説明

撮像装置

【課題】設定中及び設定された露光感度幅を容易に確認することが可能な撮像装置を提供する。
【解決手段】撮像装置は、撮像素子を備える。測光時に得られる輝度値に基づいて撮像素子の露光感度を算出する第1露光感度設定状態において、算出する露光感度幅の上限値、下限値を設定するために使用される露光感度幅設定部を有する操作部を備える。露光感度幅設定部の操作に対応して、露光感度幅の上限値、下限値を設定する制御部を備える。設定された露光感度幅の上限値、下限値を、図示する表示部(第1表示部92a)を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に算出される露光条件の数値幅の設定が可能な撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置において、測光により得られた輝度値などに基づいて、適正露出を得るために撮像素子の露光感度を算出する撮像装置が提案されている。
【0003】
特許文献1は、算出する露光感度幅を使用者により設定可能な撮像装置撮像装置を開示する。
【特許文献1】特開2006−222757号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1の装置において、露光感度幅など露光条件の数値幅の設定は、操作キーと、設定中及び設定された数値幅の値を表示する表示部を使って行われるが、数値幅の上限値、下限値が羅列された表示部から、数値幅を瞬時に確認するのは困難であった。
【0005】
したがって本発明の目的は、設定中及び設定された露光条件の数値幅を容易に確認することが可能な撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る撮像装置は、撮像素子と、測光時に得られる輝度値に基づいて撮像素子の露光感度を算出する第1露光感度設定状態において、算出する露光感度幅の上限値、下限値を設定するために使用される露光感度幅設定部を有する操作部と、露光感度幅設定部の操作に対応して、露光感度幅の上限値、下限値を設定する制御部と、設定された露光感度幅の上限値、下限値を、図示する表示部とを備える。
【0007】
好ましくは、図示は、上限値の変動に対応して移動する第1端部と、下限値に対応して移動する第2端部とを有し、第1、第2端部の間に形成され、上限値及び下限値の変動に応じて移動及び伸縮する露光感度幅表示バーを表示することにより行われる。
【0008】
また、好ましくは、制御部は、露光感度幅設定部の操作に対応して上昇せしめられる露光感度幅の下限値が、露光感度幅設定部の下限値を上げる操作が行われる前の時点における露光感度幅の上限値を上回る場合は、露光感度幅設定部の操作を無効にする。
【0009】
また、好ましくは、制御部は、露光感度幅設定部の操作に対応して下降せしめられる露光感度幅の上限値が、露光感度幅設定部の上限値を下げる操作が行われる前の時点における露光感度幅の下限値を下回る場合は、露光感度幅設定部の操作を無効にする。
【0010】
また、好ましくは、露光感度幅設定部は、下限値を設定するために使用される第1ダイヤルと、上限値を設定するために使用される第2ダイヤルとを有する。
【0011】
さらに好ましくは、第1ダイヤルは、撮像装置の前面に配置され、第2ダイヤルは、撮像装置の背面に配置される。
【0012】
また、好ましくは、操作部は、第1露光感度設定状態と、測光時に得られる輝度値に関係なく撮像素子の露光感度を設定する第2露光感度設定状態とを切り替えるために使用される操作キーを有し、第2露光感度設定状態において、操作キーは、露光感度を設定するためにも使用される。
【0013】
さらに好ましくは、操作キーは第1、第2キーを有し、第1露光感度設定状態において第1キーの操作が行われると、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の上限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態で、第2露光感度設定状態に切り替えられ、第1露光感度設定状態において第2キーの操作が行われると、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の下限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態で、第2露光感度設定状態に切り替えられる。
【0014】
本発明に係る撮像装置は、測光時の露出条件演算において算出される数値について、算出可能な数値幅の上限値、下限値を設定するために使用される数値幅設定部を有する操作部と、数値幅幅設定部の操作に対応して、数値幅の上限値、下限値を設定する制御部と、設定された数値幅の上限値、下限値を、図示する表示部とを備える。
【0015】
好ましくは、数値は、測光時に算出されるシャッタ速度、絞り値、露光感度の少なくとも1つである。
【発明の効果】
【0016】
以上のように本発明によれば、設定中及び設定された露光条件の数値幅を容易に確認することが可能な撮像装置を提供することが可能な撮像装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、本実施形態について、図を用いて説明する。撮像装置1は、デジタルカメラである。
【0018】
撮像装置1の撮像に関する部分は、操作部10、制御部30、撮影部50、記録部70、及び表示部90を備える(図1参照)。操作部10は、露出モード選択ダイヤル11、露光感度幅設定部としての前面調整ダイヤル12と背面調整ダイヤル13、レリーズボタン14、ファンクションキー15、十字キー16、及び決定キー17を有する(図1〜図3参照)。撮影部50は、絞りを含むレンズ51、シャッタ52、及びCCDなどの撮像素子53を有する。情報表示部90は、光学ファインダ91、及び第1、第2表示部92a、92bを有する。
【0019】
被写体像は、レンズ51を介した光学像として、撮像素子53で撮像される。撮像された画像は、第1表示部92aに表示され、撮像された画像のデータは記録部70に記録される。被写体像の、レンズ51を介した光学像は、光学ファインダ91によって光学的に観察可能である。
【0020】
露出モード選択ダイヤル11は、絞り優先モードなどの露出モードを選択するためのダイヤルで、露出モード選択ダイヤル11を回転させ、ダイヤル指標位置(不図示)に合わせられたマークに対応する露出モードが、撮像装置1で設定された露出モードになる。
【0021】
前面調整ダイヤル12は、撮像装置1の前面グリップ部分に配置された電子ダイヤルで、使用者が撮像装置1を保持した状態で使用者の右手人差し指などを使って回転させることにより、撮像素子53の露光感度幅の下限値が設定される。但し、前面調整ダイヤル12は、他の調整動作(露出補正設定や、オートブラケット機能におけるコマ数設定、及びシャッタ速度設定など)に使用されてもよい。
【0022】
前面調整ダイヤル12は、正方向に回転(例えば上から見て右回り)させることにより、露光感度幅の下限値が上昇せしめられ(ISO感度の値が高くなり)、負方向に回転(例えば上から見て左回り)させることにより、露光感度幅の下限値が下降せしめられる(ISO感度の値が低くなる)。
【0023】
背面調整ダイヤル13は、撮像装置1の背面右側部分に配置された電子ダイヤルで、使用者が撮像装置1を保持した状態で使用者の右手親指などを使って回転させることにより、撮像素子53の露光感度幅の上限値が設定される。但し、背面調整ダイヤル13は、他の調整動作(オートブラケット機能における補正幅、絞り値設定等)に使用されてもよい。
【0024】
背面調整ダイヤル13は、正方向に回転(例えば上から見て左回り)させることにより、露光感度幅の上限値が上昇せしめられ(ISO感度の値が高くなり)、負方向(例えば上から見て右回り)に回転させることにより、露光感度幅の上限値が下降せしめられる(ISO感度の値が低くなる)。
【0025】
但し、前面調整ダイヤル12の回転に対応して上昇せしめられる露光感度幅の下限値が、前面調整ダイヤル12の回転が行われる前の時点における露光感度幅の上限値を上回る場合、及び背面調整ダイヤル13の回転に対応して下降せしめられる露光感度幅の上限値が、背面調整ダイヤル13の回転が行われる前の時点における露光感度幅の下限値を下回る場合は、制御部30により、ダイヤル操作を無効にする制御が行われる。
【0026】
撮像素子53の露光感度幅の上限値、下限値とは、撮像装置1が測光時に得られる輝度値などに基づいて撮像素子53の露光感度を算出する第1露光感度設定状態において、制御部30が算出する露光感度幅の上限値、下限値をいう。例えば、図5は、露光感度幅がISO100からISO1600まで設定可能な撮像素子53(露光感度の全範囲がISO100からISO1600の撮像素子53)において、算出される露光感度幅が、ISO100(下限値)からISO560(上限値)の間に限定される状態を示す。
【0027】
制御部30が算出する露光感度の値が、露光感度範囲内に無い場合(露光感度幅の範囲内に無い場合)には、適正露出が得られないとして、光学ファインダ91の露光条件表示領域(不図示)や、第2表示部92bなどで警告表示が行われる。
【0028】
レリーズボタン14は、半押しすることにより測光スイッチ(不図示)がオン状態にされAEセンサ(不図示)による測光やAFセンサ(不図示)による測距及び合焦動作が行われる。
【0029】
レリーズボタン14は、全押しすることによりレリーズスイッチ(不図示)がオン状態にされ撮像が行われる。撮像により得られた画像データに対応する画像は、第1表示部92aに表示され、画像データは記録部70に記録される。
【0030】
使用者が操作キーとしてのファンクションキー15、十字キー16、及び決定キー17を操作することにより、撮像素子53の露光感度幅の上限値、下限値を設定する第1露光感度設定状態と、固定的な露光感度を設定する第2露光感度設定状態との切り替えが行われる。また、これらのキーを操作することにより、他の機能設定操作(撮像により得られた画像データの画像処理または記録に関連する機能設定)が行われても良い。
【0031】
ファンクションキー15は、撮像装置1の背面右下に配置される。十字キー16は、右方向キー、左方向キー、上方向キー、下方向キーを有し、決定キー17を囲む位置関係で、撮像装置1の背面右側に配置される。十字キー16は、測光時に得られる輝度値などに関係なく撮像素子53の露光感度を固定的に設定する第2露光感度設定状態において、使用者が露光感度を設定するのに使用される。例えば、図7は、撮像素子53の露光感度が、十字キー16(上方向キー、下方向キー)の操作に基づくカーソルの移動により、ISO100に固定的に設定される状態を示す。決定キー17は、前面、背面調整ダイヤル12、13により設定された露光感度幅の上限値、下限値や、十字キー16により設定された露光感度を決定するのに使用される。但し、露光感度幅の上限値、下限値、及び露光感度は、他の方法(例えば、一定時間、操作しない)によって決定されてもよい。
【0032】
制御部30は、撮像に関する各部の制御、特に、撮像素子53の露光感度を設定する場合に、操作部10の操作に対応して、機能設定を行い、且つ露光感度設定に関する情報表示を表示部90に表示する。
【0033】
光学ファインダ91は、使用者の一方の目でのぞき込んで被写体像のレンズ51を介した光学像や、使用者が設定するか測光により算出された露光条件を観察するファインダである。
【0034】
第1表示部92aは、撮像装置1の背面に配置された表示装置で、撮像により得られた画像を表示する他、撮像素子53の露光感度設定に関する情報表示を行う。第2表示部92bは、撮像装置1の上面に配置された表示装置で、露光条件やホワイトバランスなどの画像処理や記録に関する機能設定状態を表示する。
【0035】
ファンクションキー15、十字キー16、及び決定キー17を操作することにより、第1表示部92aは、露光感度設定に関する情報表示を行う露光感度設定画面(図5〜図7参照)を表示する。第1表示部92aに第1露光感度設定状態に対応する露光感度設定画面を表示させた状態で、前面調整ダイヤル12、または背面調整ダイヤル13を回転させることにより、撮像素子53の露光感度幅の上限値、下限値が調整される。十字キー16を操作することにより、第1、第2露光感度設定状態に対応する画面表示の切り替えが行われ、また第2露光感度設定状態における露光感度の固定値が調整される。
【0036】
露光感度設定画面は、第1露光感度設定状態においては、撮像素子53の露光感度幅を文字(数値)と露光感度幅に対応する露光感度幅表示バーで表示し、第1露光感度設定状態であることを示すマークとしてAUTOマークを囲む白抜き矩形を表示する(図5、図6参照)。露光感度幅表示バーは、背面調整ダイヤル13の操作によって変更される露光感度幅の上限値に対応して上下動する第1端部(下端部)と、前面調整ダイヤル12の操作によって変更される露光感度幅の下限値に対応して上下動する第2端部(上端部)とを有し、上端部と下端部の間で露光感度幅表示バーを形成する矩形が移動及び伸縮する。これにより、露光感度幅の大きさを文字と合わせて瞬時に視覚的に認識することが可能になる。図6は、図5の状態に比べて、露光感度幅の上限値がISO560からISO400に変更された状態を示す。
【0037】
第1露光感度設定状態において、十字キー16が操作されると、第2露光感度設定状態に切り替えられ、露光感度設定画面は、第2露光感度設定状態に対応する画面(図7参照)に切り替えられる。上方向キーの押下によって第2露光感度設定状態に切り替えられた場合は、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の上限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態(カーソルが上限値に対応する位置に設定された状態)で、第2露光感度設定状態に切り替えられる。下方向キーの押下によって第2露光感度設定状態に切り替えられた場合は、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の下限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態(カーソルが下限値に対応する位置に設定された状態)で、第2露光感度設定状態に切り替えられる(例:下方向キーが押下されると図6の状態から図7の状態に切り替えられる)。
【0038】
本実施形態では、使用者により設定される露光感度幅を示す露光感度幅表示バーが縦方向の伸縮する形態を説明するが、横方向に伸縮する形態であってもよい。
【0039】
露光感度設定画面は、第2露光感度設定状態においては、撮像素子53の露光感度を文字と露光感度に対応する点(矩形形状の点、カーソル)で表示する(図7参照)。露光感度に対応する点(カーソル)は、十字キー16(上方向キー、下方向キー)の操作によって変更される露光感度に合わせて移動する。露光感度に対応する点(カーソル)は、第1露光感度設定状態において表示される露光感度幅表示バーのように伸縮しないため、第1、第2露光感度設定状態の違いを瞬時に把握することが可能になる。第2露光感度設定状態においては、AUTOマークを囲む白抜き矩形を表示しない。露光感度に対応する点(カーソル)が、十字キー16(上方向キー、下方向キー)の操作により、AUTOマークに移動せしめられると、第1露光感度設定状態に切り替えられ、露光感度設定画面は、第1露光感度設定状態に対応する画面(図5、6参照)に切り替えられる。
【0040】
露光感度設定画面上に表示された露光感度幅表示バーを見ながら、前面、背面調整ダイヤル12、13を回転させることにより露光感度幅の下限値、上限値が調整される本実施形態は、露光感度幅を視覚的に認識しやすく、容易に設定できるメリットを有する。露光感度幅の上限値、下限値を図示する形態は、露光感度幅表示バーを使ったものに限らず、円グラフ表示など他の形態であってもよい。
【0041】
次に、第1露光感度設定状態における露光感度幅の上限値と下限値、及び第2露光感度設定状態における露光感度が設定される流れを図4のフローチャートを用いて説明する。ファンクションキー15、十字キー16、及び決定キー17によって、第1表示部92aに露光感度設定画面が表示する操作が行われると、ステップS10で、第1露光感度設定状態にされているか否かが判断される。第1露光感度設定状態にされている場合は、ステップS11に進められ、されていない場合(第2露光感度設定状態にされている場合)は、ステップS29に進められる。前回、露光感度設定が行われた時に、測光時に得られた輝度値に基づく露光感度の算出が選択(露光感度幅の上限値、下限値が手動設定)された場合は、第1露光感度設定状態にされており、測光時に得られた輝度値に関係なく露光感度が手動設定された場合は、第2露光感度設定状態にされている。
【0042】
ステップS11で、第1表示部92aが第1露光感度設定状態に対応する画面、すなわち露光感度幅の上限値、下限値を設定するための露光感度設定画面を表示する。
【0043】
ステップS12で、前面調整ダイヤル12、または背面調整ダイヤル13が操作されたか否かが判断される。一定時間、前面調整ダイヤル12、または背面調整ダイヤル13が操作されず、且つ十字キー16も操作されない場合や、決定キー17が操作された場合には、ステップS13で、露光感度設定が終了される。
【0044】
前面調整ダイヤル12、または背面調整ダイヤル13が操作された場合は、第1露光感度設定状態であるとして、ステップS14に進められる。前面調整ダイヤル12、及び背面調整ダイヤル13が操作されず、十字キー16が操作された場合は、第2露光感度設定状態であるとして、ステップS29に進められる。
【0045】
ステップS14で、ダイヤル操作されたのが、前面調整ダイヤル12であるか否かが判断される。前面調整ダイヤル12が操作された場合は、露光感度幅の下限値が調整されたとして、ステップS15に進められる。背面調整ダイヤル13が操作された場合は、露光感度幅の上限値が調整されたとして、ステップS22に進められる。
【0046】
ステップS15で、前面調整ダイヤル12が正方向に回転せしめられたか否かが判断される。正方向に回転せしめられた場合は、露光感度幅の下限値を上げる調整が行われたとして、ステップS16に進められ、負方向に回転せしめられた場合は、露光感度幅の下限値を下げる調整が行われたとして、ステップS19に進められる。
【0047】
ステップS16で、前面調整ダイヤル12の正方向の回転に対応して露光感度幅の下限値を上げた場合に、前面調整ダイヤル12の正方向の回転が行われる前の時点における露光感度幅の上限値と同じになるか否かが判断される。同じでない場合はステップS17で、露光感度幅の下限値が一段階上げられ、ステップS12に戻される。すなわち、第1表示部92aに表示された露光感度設定画面における露光感度幅表示バーが一段階短くされる。同じである場合は、ステップS18に進められ、前面調整ダイヤル12の正方向の回転に対応する露光感度幅の下限値を上げる操作は行われずに(ダイヤル操作を無効にする制御が行われ)、ステップS12に戻される。
【0048】
ステップS19で、前面調整ダイヤル12の負方向の回転が行われる前の時点における露光感度幅の下限値が既に設定可能な露光感度の最小値であるか否かが判断される。最小値でない場合は、ステップS20で、露光感度幅の下限値が一段階下げられ、ステップS12に戻される。すなわち、第1表示部92aに表示された露光感度設定画面における露光感度幅表示バーが一段階長くされる。最小値である場合は、ステップS21に進められ、前面調整ダイヤル12の負方向の回転に対応する露光感度幅の下限値を下げる操作は行われずに(ダイヤル操作を無効にする制御が行われ)、ステップS12に戻される。
【0049】
ステップS22で、背面調整ダイヤル13が正方向に回転せしめられたか否かが判断される。負方向に回転せしめられた場合は、露光感度幅の上限値を下げる調整が行われたとして、ステップS23に進められ、正方向に回転せしめられた場合は、露光感度幅の上限値を上げる調整が行われたとして、ステップS26に進められる。
【0050】
ステップS23で、背面調整ダイヤル13の負方向の回転に対応して露光感度幅の上限値を下げた場合に、背面調整ダイヤル13の負方向の回転が行われる前の時点における露光感度幅の下限値と同じになるか否かが判断される。同じでない場合はステップS24で、露光感度幅の上限値が一段階下げられ、ステップS12に戻される。すなわち、第1表示部92aに表示された露光感度設定画面における露光感度幅表示バーが一段階短くされる。同じである場合は、ステップS25に進められ、背面調整ダイヤル13の負方向の回転に対応する露光感度幅の上限値を下げる操作は行われずに(ダイヤル操作を無効にする制御が行われ)、ステップS12に戻される。
【0051】
ステップS26で、背面調整ダイヤル13の正方向の回転が行われる前の時点における露光感度幅の上限値が既に設定可能な露光感度の最大値であるか否かが判断される。最大値でない場合は、ステップS27で、露光感度幅の上限値が一段階上げられ、ステップS12に戻される。すなわち、第1表示部92aに表示された露光感度設定画面における露光感度幅表示バーが一段階長くされる。最大値である場合は、ステップS28に進められ、背面調整ダイヤル13の正方向の回転に対応する露光感度幅の上限値を上げる操作は行われずに(ダイヤル操作を無効にする制御が行われ)、ステップS12に戻される。
【0052】
ステップS29で、第1表示部92aの表示が第2露光感度設定状態に対応する画面、すなわち露光感度を固定的に設定するための露光感度設定画面を表示する。上方向キーの押下によって第2露光感度設定状態に切り替えられた場合は、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の上限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態で、第2露光感度設定状態に切り替えられる。下方向キーの押下によって第2露光感度設定状態に切り替えられた場合は、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の下限値が第2露光感度設定状態における露光感度として設定された状態で、第2露光感度設定状態に切り替えられる。その後、上方向キー、下方向キーの押下により、第2露光感度設定状態における露光感度は変更せしめられる。
【0053】
ステップS30で、十字キー16(の上下方向キー)が操作されることにより、カーソルが、固定値が表示された領域に移動せしめられたか否かが判断される。移動せしめられた場合は、操作に応じて露光感度の値が変更せしめられ、ステップS31で、変更された露光感度の値が反映され、再度第2露光感度設定状態に対応する画面表示が行われ、ステップS30に戻される。カーソルが、固定値が表示された領域を超えて“AUTO”と表示された領域に移動せしめられると、ステップS32で、第1表示部92aの表示が第2露光感度設定状態に対応する画面から、第1露光感度設定状態に対応する画面、すなわち露光感度幅の上限値、下限値を設定するための表示画面に切り替えられ、ステップS12に戻される。
【0054】
なお、第2露光感度設定状態における撮像素子53の露光感度を固定的に設定する場合、露光感度の固定値は、撮像素子53が有する露光感度幅の全範囲内で設定されてもよいし、第1露光感度設定状態において設定された露光感度幅の上限値、下限値の範囲内で設定されてもよい。
【0055】
本実施形態では、測光時に算出される露光感度幅の上限値、下限値を調整する形態を説明したが、数値幅の上限値、下限値の調整は露光感度幅に限られず、シャッタ速度や絞り値であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】本実施形態における撮像装置の構成図である。
【図2】撮像装置の正面側から見た斜視図である。
【図3】撮像装置の背面側から見た斜視図である。
【図4】露光感度幅の上限値と下限値、及び露光感度が設定される流れを示すフローチャートである。
【図5】第1表示部の表示内容で、露光感度幅の上限値を下げる前の状態を示す図である。
【図6】第1表示部の表示内容で、露光感度幅の上限値を下げた後の状態を示す図である。
【図7】第1表示部の表示内容で、露光感度を設定する状態を示す図である。
【符号の説明】
【0057】
1 撮像装置
10 操作部
11 露出モード選択ダイヤル
12 前面調整ダイヤル
13 背面調整ダイヤル
14 レリーズボタン
15 ファンクションキー
16 十字キー
17 決定キー
30 制御部
50 撮影部
51 レンズ
52 シャッタ
53 撮像素子
70 記録部
90 表示部
91 光学ファインダ
92a、92b 第1、第2表示部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像素子と、
測光時に得られる輝度値に基づいて前記撮像素子の露光感度を算出する第1露光感度設定状態において、前記算出する露光感度幅の上限値、下限値を設定するために使用される露光感度幅設定部を有する操作部と、
前記露光感度幅設定部の操作に対応して、前記露光感度幅の上限値、下限値を設定する制御部と、
前記設定された前記露光感度幅の上限値、下限値を、図示する表示部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
前記図示は、前記上限値の変動に対応して移動する第1端部と、前記下限値に対応して移動する第2端部とを有し、前記第1、第2端部の間に形成され、前記上限値及び下限値の変動に応じて移動及び伸縮する露光感度幅表示バーを表示することにより行われることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記露光感度幅設定部の操作に対応して上昇せしめられる前記露光感度幅の前記下限値が、前記露光感度幅設定部の前記下限値を上げる操作が行われる前の時点における前記露光感度幅の前記上限値を上回る場合は、前記露光感度幅設定部の操作を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記露光感度幅設定部の操作に対応して下降せしめられる前記露光感度幅の前記上限値が、前記露光感度幅設定部の前記上限値を下げる操作が行われる前の時点における前記露光感度幅の前記下限値を下回る場合は、前記露光感度幅設定部の操作を無効にすることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記露光感度幅設定部は、前記下限値を設定するために使用される第1ダイヤルと、前記上限値を設定するために使用される第2ダイヤルとを有することを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記第1ダイヤルは、前記撮像装置の前面に配置され、前記第2ダイヤルは、前記撮像装置の背面に配置されることを特徴とする請求項5に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記操作部は、前記第1露光感度設定状態と、前記測光時に得られる輝度値に関係なく前記撮像素子の露光感度を設定する第2露光感度設定状態とを切り替えるために使用される操作キーを有し、
前記第2露光感度設定状態において、前記操作キーは、前記露光感度を設定するためにも使用されることを特徴とする請求項1に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記操作キーは第1、第2キーを有し、
前記第1露光感度設定状態において前記第1キーの操作が行われると、前記第1露光感度設定状態において設定された前記露光感度幅の上限値が第2露光感度設定状態における前記露光感度として設定された状態で、前記第2露光感度設定状態に切り替えられ、
前記第1露光感度設定状態において前記第2キーの操作が行われると、前記第1露光感度設定状態において設定された前記露光感度幅の下限値が第2露光感度設定状態における前記露光感度として設定された状態で、前記第2露光感度設定状態に切り替えられることを特徴とする請求項7に記載の撮像装置。
【請求項9】
測光時の露出条件演算において算出される数値について、算出可能な数値幅の上限値、下限値を設定するために使用される数値幅設定部を有する操作部と、
前記数値幅幅設定部の操作に対応して、前記数値幅の上限値、下限値を設定する制御部と、
前記設定された前記数値幅の上限値、下限値を、図示する表示部とを備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
前記数値は、前記測光時に算出されるシャッタ速度、絞り値、露光感度の少なくとも1つであることを特徴とする請求項9に記載の撮像装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−70513(P2008−70513A)
【公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−247781(P2006−247781)
【出願日】平成18年9月13日(2006.9.13)
【出願人】(000000527)ペンタックス株式会社 (1,878)
【Fターム(参考)】