説明

撮像装置

【課題】ファインダビューからライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始時に適正な露出で画像を表示できる撮像装置を提供する。
【解決手段】本発明に係わる撮像装置(1)は、光学ファインダ(24)と、撮像手段(7)と、表示手段(8)と、測光手段(32)と、被写体像の測光値を区間ごとに連続して記憶する記憶手段(33)と、遮蔽物検知手段(25)と、遮蔽物検知手段で遮蔽物の接近が検知されている間は前記記憶手段に記憶した一区間分の測光値を一定時間経過後に削除する測光値更新手段(15)と、前記遮蔽物検知手段で遮蔽物の接近が検知されないときは、前記記憶手段に記憶内容を保持し、ファインダビューからライブビューに切り替えられたときは、前記遮蔽物検知手段で遮蔽物の接近が検知されない時点から一つ前の区間で記憶した測光値に基づいてライブビュー開始直後の被写体像の露出を決定する測光値制御手段(15)と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、デジタル一眼レフカメラなどの撮像装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタル一眼レフカメラにおいては、撮像している画像をカメラ背面の液晶モニタで観察しながら撮影する、いわゆるライブビューと呼ばれる機能を備えたものが主流になっている。このようなライブビューでの画像表示を可能とするため、記録用の撮像素子(イメージセンサ)とは別に、ライブビュー専用の撮像素子を設けた機種がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−41150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のようなライブビュー専用の撮像素子を設けたものでは、ファインダビューによる観察中であっても、ライブビュー専用の撮像素子による測光が可能であるため、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後であっても、ライブビュー開始時には適正な露出で画像を表示することができる。一方、ライブビュー専用の撮像素子を持たない機種では、ライブビュー中はミラーアップ、シャッタ開放とし、記録用の撮像素子で撮像した画像を液晶モニタに表示するようにしている。
【0005】
このようなライブビュー専用の撮像素子を持たない機種において、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後の測光は、測光センサによる測光値(ファインダスクリーンで分岐した光の測光値)を利用している。この切り替えの際、撮影者はファインダから顔を離すことになる。このとき、外部からの強い光がファインダの開口部からファインダ内に逆入射光として入り込むことがある。通常、測光センサはファインダ光学系の近傍に配置されているため、ファインダから逆入射光が入り込むと、測光素子は逆入射光の影響を受けた測光値を検出してしまう。このため、ファインダに逆入射光が入り込むと、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後において、ライブビュー開始時に適正な露出で画像を表示できなくなることがある。
【0006】
本発明の課題は、ファインダに逆入射光が入り込んだ場合でも、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始時に適正な露出で画像を表示することができる撮像装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、以下のような解決手段により前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
請求項1に記載の発明は、撮影光学系(4)により形成された被写体像をファインダビューにより光学的に観察可能な光学ファインダ(24)と、撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像手段(7)と、前記撮像手段により撮像された被写体像をライブビューにより観察可能な表示手段(8)と、前記光学ファインダの近傍に設けられ、撮影光学系により形成された被写体像の明るさを検出して測光値を得る測光手段(32)と、前記測光手段で得られた被写体像の測光値を所定時間からなる区間ごとに連続して記憶する記憶手段(33)と、前記光学ファインダの接眼位置における遮蔽物の接近を検知する遮蔽物検知手段(25)と、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されている間は、前記記憶手段に記憶した一区間分の測光値を当該記憶手段に記憶してから一定時間経過後に削除する測光値更新手段(15)と、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されなくなったときは、前記記憶手段に記憶している測光値を削除しないように保持し、被写体像の観察がファインダビューからライブビューに切り替えられたときは、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前の区間で記憶した一区間分の測光値を前記記憶手段から読み出し、当該測光値に基づいてライブビュー開始直後の被写体像の露出を決定する測光値制御手段(15)とを備えることを特徴とする撮像装置である。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、撮像光学系(4)を通過した被写体光を反射する反射材からなり、前記撮像装置内の定位置から所定方向に回動自在に構成され、ファインダビューでは定位置に固定されて被写体光を前記光学ファインダ(24)側へ反射し、ライブビューでは所定方向に回動することで被写体光を前記撮像手段(7)側へ導く回動ミラーを(11)備え、当該回動ミラーを定位置又は所定方向に回動させることにより、ファインダビューとライブビューとの切り替えを行うことを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の撮像装置であって、前記測光値制御手段(15)は、前記遮蔽物検知手段(25)により遮蔽物の接近が検知されなくなったときは、前記記憶手段(33)への測光値の記憶を停止し、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されたときは、前記記憶手段への測光値の記憶を開始することを特徴とするものである。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、光学ファインダに逆入射光が入り込んだ場合であっても、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始時に適正な露出で画像を表示することができる撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】実施形態に係わるカメラの主要部分の構成(ミラーダウン時)を示す断面図である。
【図2】実施形態に係わるカメラの主要部分の構成(ミラーアップ時)を示す断面図である。
【図3】カメラ本体の電気的な構成を示すブロック図である。
【図4】測光メモリに記憶される測光値を示す模式図である。
【図5】被写体像の撮像から記録までの一連の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照して、本発明に係わる撮像装置の実施形態ついて説明する。図1は、本実施形態に係わるカメラ1の主要部分の構成を示す断面図である。カメラ1はデジタル一眼レフカメラであり、カメラ本体2と、カメラ本体2に対して着脱自在に装着されるレンズ鏡筒3とを備えている。
【0011】
レンズ鏡筒3は、被写体光Aが入射する複数の撮影レンズ4及び絞りユニット5が内部に設けられている。撮影レンズ4は、入射した被写体光Aを屈折させてカメラ本体2側に出射する光学部材である。また、絞りユニット5は、撮影レンズ4を通過する被写体光Aの光量を調節するものであり、機械的又は電気的に制御されている。
【0012】
カメラ本体2は、ミラーユニット10、ファインダ光学部20、測光部30、シャッタ6、撮像部7、液晶モニタ8などを備えている。以下、各部について説明する。
【0013】
シャッタ6は、ミラーユニット10の後方に配置されている。シャッタ6には、ミラーユニット10が上へ回動して撮影可能状態となったときに被写体光Aが入射される。シャッタ6は不図示の複数のシャッタ羽根を備えている。シャッタ6は、レリーズボタンなどによる撮影指示に応じてシャッタ羽根を開閉させ、撮像部7に被写体光Aを入射する。シャッタ6の動作は、不図示のシャッタユニットにより制御されている。
【0014】
撮像部7は、撮影レンズ4により形成された被写体像を撮像する部分であり、被写体光Aを露光して電気的な画像信号に変換し、画像処理部(図3参照)へ出力する。撮像部7は、例えばCCD、CMOSなどの撮像素子により構成されている。
【0015】
液晶モニタ8は、カメラ本体2の背面に設けられ、撮像部7で撮影した被写体像(再生画像、ライブビュー画像)や操作に関連した情報などを表示するカラー液晶ディスプレイにより構成されている。
【0016】
ミラーユニット10は、回転可能なメインミラー11及びサブミラー12を有している。ミラーユニット10は撮影レンズ4からの光が入射する位置に設けられ、ファインダ光学部20、又はシャッタ6及び撮像部7に被写体光Aを入射させる。
【0017】
メインミラー11は、被写体光Aをファインダ光学部20に反射させるものである。このメインミラー11の中央部には、光の一部を透過させる特性を有する半透過ミラーが用いられている。メインミラー11は、被写体光Aの一部を透過させてサブミラー12に被写体光Aを入射させる。また、メインミラー11は、端部に不図示の回動部を有しており、カメラ本体2の内部において上方に回動可能に構成されている。
【0018】
サブミラー12は、メインミラー11を透過した被写体光Aの一部を、ミラー13とともに測距センサ9に反射させる反射ミラーである。サブミラー12はメインミラー11に対して回動可能に取り付けられており、その回動によりメインミラー11に折り畳まれた状態及びメインミラー11の裏側で起立した状態となる。
【0019】
測距センサ9は、サブミラー12及びミラー13の近辺に配置されている。この測距センサ9は、画面内に設定された所定の測距エリアにおいて被写体像のデフォーカス量を検出するものである。この測距センサ9で検出されたデフォーカス量に基づいて自動焦点調節が行われる。
【0020】
メインミラー11及びサブミラー12は、ファインダビューでは、図1に示す定位置に固定されて、被写体光Aをファインダ光学部20及び測距センサ9へそれぞれ反射する。このファインダ光学部20への反射により、撮影者は被写体像を光学ファインダ24で観察することができる。そして、ライブビューへの切り替えが行われたとき、又は撮影のために不図示のレリーズボタンが全押されたときには、図2に示すように、メインミラー11が上方に回動してファインダ光学部20へ退避し、それと同時にサブミラー12が回動してメインミラー11に重なるように折り畳まれた状態となる(ミラーアップ)。このとき、シャッタ6のシャッタ羽根も回動し、シャッタ6が開放される。これにより、被写体光Aが撮像部7に入射されてライブビュー又は記録のための撮影が可能となる。このように、本実施形態では、メインミラー11を定位置又は上方に回動させることにより、ファインダビューとライブビューとの切り替えが行われることになる。なおメインミラー11とサブミラー12の動作は不図示のミラー駆動部により制御されている。
【0021】
ファインダ光学部20は、ファインダスクリーン21、ペンタプリズム22及び接眼レンズ23を備えている。ファインダスクリーン21は、ミラーユニット10の上方に配置されており、ミラーユニット10で反射された被写体光Aがファインダスクリーン21に投影されて被写体像が形成される。ファインダスクリーン21上の被写体像からの光は、ペンタプリズム22によって接眼レンズ23に導かれ、接眼レンズ23から光学ファインダ24に導かれる。これにより、撮影者は光学ファインダ24を覗いて被写体像を観察することができる。光学ファインダ24は接眼レンズ23の後方側に配置されている。また、ファインダスクリーン21に投影された被写体像は、ペンタプリズム22を介して測光部30へも導かれる。
【0022】
測光部30は、プリズムやレンズなどの測光光学系31及び測光センサ32を備えている。測光部30はペンタプリズム22からの分岐光を測光センサ32に入射させるものである。測光センサ32は、入射した分岐光に基づいて被写体光像の明るさ(輝度)を検出して測光値を得る測光手段として機能する。この測光センサ32で得られた測光値は、測光メモリ33に記憶される。測光メモリ33では、測光センサ32で得られた測光値が所定時間からなる区間ごとに連続して記憶される。この測光メモリ33における測光値の記憶、削除については後述する。
【0023】
また、カメラ本体2の背面であって、光学ファインダ24の接眼位置には、撮影者の光学ファインダ24への接近、非接近を検知する接近検知部25が設けられている。この接近検知部25は赤外線センサを備えたアイセンサにより構成され、光学ファインダ24への撮影者(おもに顔)の接近を検知したときは制御部15に検知信号を出力し、撮影者の接近を検知しないときは非検知信号を出力する(又は信号出力なし)。すなわち接近検知部25は、光学ファインダ24の接眼位置における遮蔽物の接近を検知する遮蔽物検知手段として機能する。
【0024】
なお、図1には示していないが、カメラ本体2には、撮影者による操作入力手段(操作部材)として、各種のダイアル、レバー、スイッチ、ボタンなどが配置されている。本実施形態では説明を簡単にするため、ファインダビューからライブビューへの切り替えは、不図示のダイアル操作により行われるものとする。ただし、ファインダビューからライブビューへの切り替えは他の操作によるものであってもよい。例えば、ダイアル操作によりライブビューモードが設定され、その状態でレリーズボタン26が全押しされたときにライブビューが開始されるというものであってもよい。
【0025】
次に、カメラ本体2の電気的な構成を図3に示すブロック図を参照しながら説明する。図3では、図1と同等部分を同一符号で示している。以下、各部について説明する。
【0026】
画像処理部14は、撮像部7から出力された画像信号に対し、ノイズ除去、A/D変換、色補正処理、サイズ変更、符号化などの、アナログ及びデジタルの処理を行い、最終的な画像データを作成する。この画像データはDRAM18に一時的に記憶される。
【0027】
EEPROM16は、カメラ1の電源がオフしても記憶した情報を保持する不揮発性メモリであり、ユーザ設定やカスタム設定などの入力情報が記憶される。
【0028】
ROM17は、カメラ1の動作や制御に必要なプログラムのほか、このプログラムの実行に必要な初期値や設定値などが記憶される。
【0029】
DRAM18は、カメラ1の電源がオフしたときに記憶した情報が消去される揮発性メモリであり、上述した画像データのほか、画像処理部14、制御部15などが処理を行う際に必要なデータが一時的に記憶される。
【0030】
メモリカードI/F(インターフェース)部19は、DRAM18に記憶されている画像データをメモリカード27に記録し、またメモリカード27に記録されている画像データを読み出す機能を備えた書き込み/読み出し装置である。このメモリカードI/F部19の図示しないメモリカードスロットには、メモリカード27が着脱自在に装着される。
【0031】
制御部15は、カメラ1全体の動作を制御する回路であり、マイクロプロセッサにより構成されている。以下、制御部15により実行される各種の機能について説明する。
【0032】
制御部15は、レリーズボタン26が半押しされると、測距センサ9で検出された被写体像のデフォーカス量に基づいてレンズ駆動量を演算する。このレンズ駆動量に関する情報をレンズ鏡筒3側の図示しないレンズ制御部へ送信することにより、レンズ鏡筒3のレンズ内モータによる焦点調節がなされる。又は、このレンズ駆動量に基づいて図示しないボディ内モータを駆動することにより、カップリング機構を介して駆動力がレンズ鏡筒3側に伝達されて焦点調節がなされるものであってもよい。
【0033】
制御部15は、接近検知部25により撮影者の接近が検知されている間は、測光メモリ33に記憶した一区間分の測光値を、この測光メモリ33に記憶してから一定時間経過後に削除する測光値更新手段として機能する。また、制御部15は、測光値更新手段の機能として、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなったときは、測光メモリ33への測光値の記憶を停止し、接近検知部25により撮影者の接近が検知されたときは、測光メモリ33への測光値の記憶を開始(再開)するようにしている。ここで、測光メモリ33における測光値の記憶、削除について説明する。
【0034】
図4は、測光メモリ33に記憶される測光値を模式的に示したものである。図4に示すように、測光メモリ33には、測光センサ32で得られた測光値が時間t1からなる区間ごとに時系列に連続して記憶される。制御部15は、測光メモリ33に記憶した一区間分の測光値を、この測光メモリ33に記憶してから時間t2経過後に削除している。例えば、n−2区間の測光値は、その一区間分の記憶が終了してから時間t2が経過したとき、すなわちn区間の測光値の記憶が終了した時点で削除されることになる。以後、時間t2が経過する毎に、記憶している一区間分の測光値が順次削除され、測光メモリ33には、最も新しい2区間分の測光値が記憶されることになる。ただし、測光値の記憶終了から削除するまでの時間t2はこの例に限らず、更に長くしてもよい。なお、測光メモリ33に記憶している測光値は、カメラ1の電源オフになった時点ですべて削除される。
【0035】
また制御部15は、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなったときは、その時点で測光メモリ33に記憶している測光値を削除しないように保持し、その後に被写体像の観察がファインダビューからライブビューに切り替えられたときは、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前の区間で記憶した一区間分の測光値を測光メモリ33から読み出し、この測光値に基づいてライブビュー開始直後の被写体像の露出を決定する測光値制御手段として機能する。
【0036】
この測光値制御手段の機能を図4により説明する。図4において、n区間の測定値を記憶している間に、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなったとする。このとき、制御部15は、測光値制御手段の機能として、測光メモリ33に記憶している測光値を削除しないように保持する。また、測光値更新手段の機能として、測光メモリ33への測光値の記憶を停止する。この後、被写体像の観察がファインダビューからライブビューに切り替えられた場合は、測光値制御手段の機能として、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前の区間、すなわちn−1区間で記憶した一区間分の測光値を測光メモリ33から読み出すようにしている。
【0037】
先に説明したように、ファインダビューからライブビューへ切り替えた直後の測光は、測光センサ32による測光値を利用している。この切り替えの際、撮影者は光学ファインダ24から顔を離すことになる。このとき、外部からの強い光が光学ファインダ24の開口部からファインダ内に逆入射光として入り込むと、測光センサ32では逆入射光の影響を受けた測光値を検出してしまう。したがって、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなった時点、すなわち、図4に示すn区間の測光値は逆入射光の影響を受けていることになる。これに対して、接近検知部25により撮影者の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前のn−1区間で記憶した一区間分の測光値は逆入射光の影響を受けていないため、この区間の測光値に基づいて被写体像の露出を決定することにより、ライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始時に適正な露出で画像を表示することができることになる。
【0038】
次に、本実施形態のカメラ1において、被写体像の撮像から記録までの一連の処理手順を図5のフローチャートにより説明する。ここでは、主にファインダビューからライブビューへの切り替えと測光値の制御について説明するものとし、その他の処理については適宜に説明を省略している。なお、このフローチャートの処理は、撮影者がレリーズボタン26を半押しすることによりスタートする。また、フローチャートの処理がスタートしたときに、撮影者はファインダビューにより被写体像を観察しているものとする。
【0039】
ステップS101において、測光センサ32は被写体光像の明るさを検出して測光値を得るとともに、その測光値を測光メモリ33に記憶する。
【0040】
ステップS102において、測距センサ9は、画面内に設定された所定の測距エリアにおいて被写体像のデフォーカス量を検出し、これを制御部15に送信する。
【0041】
ステップS103において、制御部15は、レリーズボタン26が全押しされたかどうかを判定する。このステップS103の判定でNOであれば、ステップS104へ進み、接近検知部25において撮影者の接近を検知したかどうかを判定する。このステップS104の判定でYESであればステップS101へリターンする。すなわち、撮影者の接近が検知されている間はファインダビューの状態であるため、記録用の撮影のために測光と測距を繰り返す。
【0042】
一方、ステップS104の判定でNOのとき、すなわち、接近検知部25において撮影者の接近を検知しなくなったときはステップS105へ進み、測光メモリ33への測光値の記憶を停止するとともに、すでに記憶している測光値が削除されないように測光メモリ33を制御する(測光値の保持)。
【0043】
続いて、ステップS106において、制御部15は、撮影者の操作入力によりファインダビューからライブビューへの切り替え指示があるかどうかを判定する。このステップS106の判定でNOであれば、ステップS104へリターンする。また、ステップS106の判定でYESであれば、ステップS107へ進み、接近検知部25において撮影者の接近を検知しなくなった時点から遡って一つ前の区間で記憶した一区間分の測光値を測光メモリ33から読み出す。
【0044】
そして、ステップS108において、制御部15は、不図示のミラー駆動部を制御して、メインミラー11とサブミラー12を上方に回動させて光路上から退避させる(ミラーアップ)。ステップS109において、制御部15は、不図示のシャッタユニットを制御して、シャッタを開放状態とする。
【0045】
続いて、ステップS110において、制御部15は、撮像部7で撮像された被写体像の画像を液晶モニタ8に表示する(ライブビュー開始)。ライブビュー開始時には、ステップS107で読み出した測光値に基づいて被写体像の露出が決定される。このため、ライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始時において適正な露出で画像が表示されることになる。
【0046】
なお、ライブビューでは、画像処理部14で生成された画像データを所定周期で繰り返し読み出すことにより画像の表示が行われる。ステップS107で読み出した測光値に基づいて被写体像の露出を決定する制御はライブビュー開始から1〜2秒又は数フレーム分行い、その後は、撮像部7での撮像により得られた画像データの測光値に基づいて被写体像の露出を決定する。このため、ライブビュー開始直後から、撮像部7の測光値により画像が表示されるまで、連続して適正な露出の画像が表示されることになる。
【0047】
ステップS111において、制御部15は、画像処理部14で生成された画像データに基づいて測光と焦点調節を行う。なお、ライブビュー中はコントラストAFにより焦点調節が行われる。ただし、ライブビュー開始後に、例えばレリーズボタン26が半押しされたときはライブビューを一時中断して、測光センサ32による測光と測距センサ9による位相差AFによる焦点調節を行うようにしてもよい。
【0048】
ステップS112において、制御部15は、レリーズボタン26が全押しされたかどうかを判定する。このステップS112の判定でNOであれば、ステップS113へ進み、撮影者の操作入力によりライブビューからファインダビューへの切り替え指示があるかどうかを判定する(ライブビュー解除)。このステップS113の判定でYESであれば、ステップS101へリターンする。またステップS113の判定でNOであれば、ステップS110へリターンしてライブビューを継続する。
【0049】
また、制御部15は、ステップS112の判定でYESのとき、又はステップS103の判定でYESのとき、すなわちレリーズボタン26が全押しされたときは、ステップS114へ進み、撮像処理を実行する。ここでは、上方に回動させていたメインミラー11及びサブミラー12をミラーダウンし、測光センサ32による測光と、測距センサ9による位相差AFによる焦点調節を行った後、撮像部7により撮像を行う。そして、画像処理部14において画像データを生成する。次に、ステップS115において、画像データをメモリカードI/F部19を介してメモリカード27へ記録する。
【0050】
上記実施形態によれば、以下の効果を奏する。
(1)本実施形態では、撮影者の接近が検知されないときは、測光メモリ33に記憶している測光値を削除しないように保持し、その後にファインダビューからライブビューに切り替えられたときは、撮影者の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前の区間で記憶した一区間分の測光値に基づいてライブビュー開始直後の被写体像の露出を決定するようにしている。このため、撮影者がファインダから顔を離したときに、外部からの強い光がファインダ内に逆入射光として入り込んだとしても、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後の被写体像の露出は、逆入射光の影響を受けていない測光値に基づいて決定されるため、ファインダビューからライブビューに切り替えた直後のライブビュー開始直後においても適正な露出で画像を表示することができる。
【0051】
(2)撮影者の接近が検知されないときは測光メモリ33への測光値の記憶を停止するようにしたので、逆入射光の影響を受けた測光値が測光メモリ33に記憶されることを防ぐことができる。また、撮影者の接近が検知されたときは測光メモリ33への測光値の記憶を開始するようにしたので、撮影者がファインダビューによる観察中に一時的にファインダから顔を離した場合でも、撮影者はファインダビューによる観察に戻るだけで再び測光メモリ33への測光値の記憶を行うことができる。
【0052】
(変形形態)
以上説明した実施形態に限定されることなく、本発明は以下に示すような種々の変形や変更が可能であり、それらも本発明の範囲内である。
(1)本実施形態では、撮影者の操作によりファインダビューからライブビューへ切り替える例について示したが、これに限らず、接近検知部25で撮影者の接近を検知しなければ、自動的にファインダビューからライブビューへ切り替えるようにしてもよい。
【0053】
(2)本実施形態では、遮蔽物検知手段となる接近検知部25を、赤外線センサを備えたアイセンサにより構成した例について示したが、これに限らず、遮蔽物検知手段をタッチパネルや温度センサなどで構成してもよい。
【0054】
また、上記実施形態及び変形形態は適宜に組み合わせて用いることができるが、各実施形態の構成は図示と説明により明らかであるため、詳細な説明を省略する。更に、本発明は以上説明した実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0055】
1:カメラ、2:カメラ本体、3:レンズ鏡筒、7:撮像部、8:液晶モニタ、9:測距センサ、10:ミラーユニット、11:メインミラー、12:サブミラー、14:画像処理部、15:制御部、24:ファインダ、25:接近検知部、30:測光部、32:測光センサ、33:測光メモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系により形成された被写体像をファインダビューにより光学的に観察可能な光学ファインダと、
撮影光学系により形成された被写体像を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された被写体像をライブビューにより観察可能な表示手段と、
前記光学ファインダの近傍に設けられ、撮影光学系により形成された被写体像の明るさを検出して測光値を得る測光手段と、
前記測光手段で得られた被写体像の測光値を所定時間からなる区間ごとに連続して記憶する記憶手段と、
前記光学ファインダの接眼位置における遮蔽物の接近を検知する遮蔽物検知手段と、
前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されている間は、前記記憶手段に記憶した一区間分の測光値を当該記憶手段に記憶してから一定時間経過後に削除する測光値更新手段と、
前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されなくなったときは、前記記憶手段に記憶している測光値を削除しないように保持し、被写体像の観察がファインダビューからライブビューに切り替えられたときは、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されなくなった時点から遡って一つ前の区間で記憶した一区間分の測光値を前記記憶手段から読み出し、当該測光値に基づいてライブビュー開始直後の被写体像の露出を決定する測光値制御手段と、
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置であって、
撮像光学系を通過した被写体光を反射する反射材からなり、前記撮像装置内の定位置から所定方向に回動自在に構成され、ファインダビューでは定位置に固定されて被写体光を前記光学ファインダ側へ反射し、ライブビューでは所定方向に回動することで被写体光を前記撮像手段側へ導く回動ミラーを備え、
当該回動ミラーを定位置又は所定方向に回動させることにより、ファインダビューとライブビューとの切り替えを行うこと、
を特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像装置であって、
前記測光値制御手段は、
前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されなくなったときは、前記記憶手段への測光値の記憶を停止し、前記遮蔽物検知手段により遮蔽物の接近が検知されたときは、前記記憶手段への測光値の記憶を開始すること、
を特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−188426(P2011−188426A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54375(P2010−54375)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】