説明

撮像装置

【課題】 シェーディング補正に必要な演算を削減することを目的とする。
【解決手段】 複数の受光素子が配列されるとともに、光束を受光して得られる第1信号を出力する第1受光手段と、前記第1受光手段とは異なる位置に配置されるとともに、前記光束を受光して得られる第2信号を出力する第2受光手段と、前記受光素子の配列上の位置に基づいて、前記第1信号にシェーディング補正を行う第1補正部と、前記第1補正部によって補正された前記第1信号に基づいて、前記第2信号にシェーディング補正を行う第2補正部とを備える撮像装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像を取得する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、撮像レンズの光学特性による画像の周辺光量落ち(シェーディング)を補正する撮像装置が知られている(例えば、特許文献1など)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−163826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述した撮像装置などは、画像の周辺光量落ちを補正するために、交換レンズ毎の特性などを考慮した複雑な演算を行わなければならない。また、測光センサにも撮像素子を用いるような撮像装置の場合、複数の撮像素子に対して撮像素子の大きさやマイクロレンズの特性に適したシェーディング補正を行わなければならず、演算時間や補正に必要なデータが膨大となる。
【0005】
そこで、本発明の撮像装置は、シェーディング補正に必要な演算を削減することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の撮像装置は、複数の受光素子が配列されるとともに、光束を受光して得られる第1信号を出力する第1受光手段と、前記第1受光手段とは異なる位置に配置されるとともに、前記光束を受光して得られる第2信号を出力する第2受光手段と、前記受光素子の配列上の位置に基づいて、前記第1信号にシェーディング補正を行う第1補正部と、前記第1補正部によって補正された前記第1信号に基づいて、前記第2信号にシェーディング補正を行う第2補正部とを備える。
なお、前記第2補正部は、前記第1補正部によって補正された前記第1信号における出力分布と前記第2信号における出力分布との比に基づいて、前記第2信号にシェーディング補正を行っても良い。
【0007】
また、前記第1補正部は、前記光束を透過する光学系の光学特性を用いて前記第1信号にシェーディング補正を行っても良い。
また、前記第1補正部によって補正された前記第1信号に基づいて、前記第2受光手段に対する露出条件を決定する露出演算部をさらに備えても良い。
また、前記第2受光手段は、所定の間隔毎に表示用の第2信号を出力し、前記第2補正部は、前記表示用の第2信号にシェーディング補正を行い、前記第1補正部は、前記第2補正部によって補正された前記表示用の第2信号に基づいて、前記第1信号にシェーディング補正を行い、前記第2受光手段は、前記露出演算部によって決定された前記露出条件で得られる記録用の第2信号を出力し、前記第2補正部は、前記記録用の第2信号にシェーディング補正を行っても良い。
また、前記露出演算部は、前記第1受光手段の中央に配列された受光素子の出力に対する該受光素子の周辺に配列された受光素子の出力の比と、前記第2受光手段の中央に配列された受光素子の出力に対する該受光素子の周辺に配列された受光素子の出力の比とを比較し、前記第2受光手段における前記比が前記第1受光手段における前記比よりも大きい場合に、前記第2補正部によって補正された前記第2信号に基づいて、露出条件を決定しても良い。
【発明の効果】
【0008】
本発明の撮像装置によれば、シェーディング補正に必要な演算を削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】第1実施形態の電子カメラ100の構成を示す図である。
【図2】第1実施形態の電子カメラ100の機能ブロック図である。
【図3】(a)は、均一輝度面を撮像した場合における測光センサ画像の輝度分布の例であり、(b)は、均一輝度面を撮像した場合における静止画像又はライブビュー画像の輝度分布の例である。
【図4】一様な輝度の光が入射したときの測光センサ画像の輝度分布と補正値とを示す図である。
【図5】第1実施形態の電子カメラ100における撮像時の流れを示すフローチャートである。
【図6】Voy[i][j]、VoyCor[i][j]、Raw[i][j]の例を示す図である。
【図7】第2実施形態の電子カメラ100における撮像時の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1実施形態)
以下、図面を用いて本発明の第1実施形態について説明する。以下の実施形態では、本発明の撮像装置の一例として、一眼レフタイプの電子カメラを用いて説明する。
【0011】
図1は、第1実施形態の電子カメラ100の構成を示す図である。図1に示すように、電子カメラ100は、レンズユニット200とカメラ本体300とからなる。レンズユニット200とカメラ本体300には、雌雄の関係をなす一対のマウント11、12がそれぞれ設けられている。レンズユニット200をカメラ本体300に装着するときは、レンズユニット200側のマウント11をバヨネット機構等でカメラ本体300側のマウント12に結合する。また、上記のマウント11、12にはそれぞれ電気接点(不図示)が設けられている。レンズユニット200とカメラ本体300との接続時には、電気接点間の接触で両者の電気的な接続が確立するようになっている。
【0012】
レンズユニット200は、ズームレンズやフォーカシングレンズを含む複数の撮像レンズ13、絞り14、レンズ制御部15、メモリ16を備える。レンズ制御部15は、レンズユニット200の統括的な制御を行う。また、レンズ制御部15は、マウント11、12を介して、後述する制御部25と通信する。
【0013】
カメラ本体300は、クイックリターンミラー17、ファインダスクリーン18、ペンタダハプリズム19、接眼レンズ20、結像レンズ21、測光センサ22、シャッタ23、撮像素子24、制御部25、モニタ26を備える。
【0014】
測光時、クイックリターンミラー17は、図1の実線に示すように45°の角度に配置され、撮像レンズ13及び絞り14を通過した光束を反射する。ファインダスクリーン18、ペンタダハプリズム19は、クイックリターンミラー17で反射された光束を接眼レンズ20に導く。ユーザは、接眼レンズ20を介して被写体の像を目視することにより構図確認を行う。すなわち、接眼レンズ20は、ファインダとして機能する。結像レンズ21は、ペンタダハプリズム19を通過した光束の一部を測光センサ22の結像面上に再結像する。測光センサ22は、例えば、CCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)などで構成されるセンサである。測光センサ22の受光面には光電変換部を有する画素が二次元状に配置されている。測光センサ22は、画素毎に入射された光量に応じた電気信号を後述する制御部25に出力する。
【0015】
一方、撮像時、クイックリターンミラー17は、破線で示す位置に跳ね上げられ、シャッタ23が開放し、撮像レンズ13からの光束は撮像素子24に導かれる。撮像素子24は、測光センサ22と同一画素数のCCDやCMOSなどで構成されるセンサである。撮像素子24は、画素毎に入射された光量に応じた電気信号を後述する信号処理部28に出力する。
【0016】
ここで、モニタ26にライブビュー画像を表示して撮像する場合は、クイックリターンミラー17は跳ね上げたままの状態で、シャッタ23も開いた状態にしておき、電子シャッタによってライブビュー画像を取得してモニタ26にライブビュー画像を表示する。そして、後述するレリーズ釦35が押下されると、一旦、シャッタ23を閉じると共に、クイックリターンミラー17を元の位置に戻して測光センサ22で測光後、再びクイックリターンミラー17を跳ね上げて、シャッタ23を設定されたシャッタ速度で開閉し、撮像素子24で静止画像を取得する。
【0017】
モニタ26は、例えば、撮像により生成された画像、後述するメモリカード34に記録された画像、メニュー画像などを表示する。
【0018】
図2は、第1実施形態の電子カメラ100の機能ブロック図である。図2に示すように、電子カメラ100は、図1の構成に加えて、タイミングジェネレータ27、信号処理部28、A/D変換部29、バッファメモリ30、画像処理部31、画像表示部32、カードインターフェース33、メモリカード34、レリーズ釦35、十字キー36、バス37を備える。
【0019】
タイミングジェネレータ27は、撮像素子24にタイミングパルスを供給する。撮像素子24で生成される画像信号は、信号処理部28(撮像感度に対応するゲイン調整部を含む)及びA/D変換部29を介して、バッファメモリ30に一時記憶される。バッファメモリ30は、バス37に接続される。このバス37には、測光センサ22、カードインターフェース33、図1で説明した制御部25、画像処理部31、及び画像表示部32が接続される。カードインターフェース33は、着脱自在なメモリカード34と接続し、メモリカード34に画像データを記録する。また、制御部25には、レリーズ釦35、十字キー36、タイミングジェネレータ27が接続される。さらに、画像表示部32は、カメラ本体300の背面に設けられたモニタ26に画像などを表示する。
【0020】
画像処理部31は、バッファメモリ30に記録された画像データに対して画像処理を施す。なお、この画像処理としては、周知のホワイトバランス調整、色補間、階調変換処理、輪郭強調処理等が挙げられる。また、画像処理部31は、JPEG(Joint Photographic Experts Group)形式等で圧縮する処理や、圧縮された上記のデータを伸長復元する処理をも実行する。
【0021】
制御部25は、予め制御部25の内部に記憶されたプログラムに従って、電子カメラ100の統括的な制御を行う。また、制御部25は、露出演算部38の機能を備える。露出演算部38は、APEX(Additive System of Photographic Exposure)演算などにより、露出演算を実行する。露出演算については、後述する。
【0022】
ここで、測光センサ22及び撮像素子24について詳しく説明する。測光センサ22は、上述したように、複数の画素で構成されるセンサである。例えば、測光センサ22の画素構成を横20画素、縦10画素とする。また、測光センサ22の横方向の座標をi、縦方向の座標をjとすると、iは0から19の値をとり、jは0から9の値をとる。また、測光センサ22により取得した画像(以下、測光センサ画像)の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度をVoy[i][j]とする。Voy[i][j]は、測光センサ22に入射した光量に比例し、例えば、階調数が10bitである場合、0から1023の整数値をとる。
【0023】
なお、測光センサ22が受光する光は、撮像レンズ13、クイックリターンミラー17、ファインダスクリーン18、ペンタダハプリズム19、結像レンズ21などの光学系を介して入射される。そのため、仮に均一輝度面を撮像した場合でも、これらの光学系の特性によって、測光センサ22の周辺に配置された画素が受光する光量は、中央に配置された画素が受光する光量と比較して少なくなる。このような場合、測光センサ画像の輝度は、例えば、図3(a)に示すような輝度分布になる。なお、図3(a)は、測光センサ画像における各画素の輝度の分布を表現した図で、同じ輝度範囲の画素を同じハッチングで示す。例えば、測光センサ画像の中央に位置する領域Xの輝度が最も高く、領域Y、領域Zの順に輝度が低くなる。
【0024】
また、撮像素子24は、上述したように、複数の画素で構成されるセンサである。例えば、撮像素子24の画素構成を横20画素、縦10画素とする。また、撮像素子24の横方向の座標をi、縦方向の座標をjとすると、iは0から19の値をとり、jは0から9の値をとる。また、撮像素子24により取得した静止画像又はライブビュー画像の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度をRaw[i][j]とする。Raw[i][j]は、撮像素子24に入射した光量に比例し、例えば、階調数が12bitである場合、0から4095の値をとる。
【0025】
なお、撮像素子24が受光する光は、撮像レンズ13などの光学系を介して入射される。そのため、仮に均一輝度面を撮像した場合でも、撮像素子24の周辺に配置された画素が受光する光量は、中央に配置された画素が受光する光量と比較して少なくなる(図3(b)参照)。図3(b)の例では、静止画像又はライブビュー画像の中央に位置する領域Aの輝度が最も高く、領域B、領域C、領域D、領域Eの順に輝度が低くなる。
【0026】
画像処理部31は、上記の周辺光量落ちを補正するシェーディング補正部39の機能を有する。図4は、一様な輝度の光が入射したときの測光センサ画像の輝度分布と補正値とを示す図である。なお、縦軸は光量であり、横軸は測光センサ画像中央からの距離である。図4の場合、シェーディング補正部39は、輝度が均一になるように、測光画像センサ画像の画像中央からの距離に応じて、周辺光量落ちを補正する。以下、測光センサ画像の画像中央からの距離をdとしたとき、絞り14の開放絞り値や、撮像レンズ13の射出瞳距離などを用いて算出された補正値をZ[d]とする。すなわち、測光センサ画像を構成する画素のうち、距離dが同じ画素については、同じ補正値Z[d]となる。また、この補正値Z[d]の単位は、露出演算に使用されるAPEX演算などと同様に「段」とする。メモリ16は、補正値Z[d]を予め記録しておく。
【0027】
シェーディング補正部39は、補正値Z[d]を用いて、測光センサ画像を構成する画素毎にシェーディング補正を行う。そして、シェーディング補正部39は、その補正結果に基づいて、静止画像を構成する画素毎にシェーディング補正を行う。シェーディング補正の詳細については、後述する。
【0028】
図5は、第1実施形態の電子カメラ100における撮像時の流れを示すフローチャートである。以下、ライブビュー画像を表示して撮像する場合を例に挙げて説明する。
【0029】
ステップS101は、クイックリターンミラー17を上げ、シャッタ23を開放する処理である。
【0030】
ステップS102は、ライブビュー画像を取得する処理である。撮像素子24は、所定の間隔毎にライブビュー画像を取得する。
【0031】
ステップS103は、ライブビュー画像を表示する処理である。モニタ26は、ステップS102で取得されたライブビュー画像を表示する。
【0032】
ステップS104は、レリーズ釦35が全押しされたか否かを判定する処理である。制御部25は、レリーズ釦35が全押しされた場合(ステップS104の判定がYESとなる場合)には、ステップS105に進む。一方、制御部25は、レリーズ釦35が全押しされていない場合(ステップS104の判定がNOとなる場合)には、後述するステップS114に進む。
【0033】
ステップS105は、シャッタ23を閉じ、クイックリターンミラー17を下げる処理である。
【0034】
ステップS106は、測光センサ画像を取得する処理である。
【0035】
ステップS107は、測光センサ画像にシェーディング補正を行う処理である。レンズ制御部15は、メモリ16から補正値Z[d]を読み出し、マウント11、12を介して、制御部25に出力する。制御部25は、補正値Z[d]をシェーディング補正部39に出力する。そして、シェーディング補正部39は、測光センサ画像の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度Voy [i][j]に2^Z[d]を乗じることにより、シェーディング補正を行う。シェーディング補正後の該画素の輝度VoyCor[i][j]は、下記の(1)式で表される。なお、(1)式において、√()は、引数の平方根を返す関数であり、^は冪乗を示す。シェーディング補正部39は、測光センサ画像に含まれる画素毎にシェーディング補正を行い、周辺光量落ちをしていない、本来の被写体の輝度分布を求める。
VoyCor[i][j]=Voy[i][j]×2^Z[d]
d=√((i−10)^2+(j−5)^2)…(1)
ステップS108は、露出制御を行う処理である。露出演算部38は、ステップS107で算出されたVoyCor[i][j]を用いて、輝度値EVを算出する。輝度値EVは、以下の(2)式で表される。なお、(2)式において、Log2[]は、2を底とした引数の対数値を返す関数である。また、2つのΣの範囲は、それぞれiが0から19、jが0から9である。BVConstは、撮像レンズ13の口径や、測光センサ22と撮像素子24との撮像感度の差を吸収するための項である。
EV=Log2[{(ΣΣ(VoyCor[i][j])}/(i×j)]+BVConst…(2)
その後、露出演算部38は、算出した輝度値EVを用いて、公知の露出演算により、絞り14の絞り値やシャッタ23の開放時間(シャッタスピード)を決定する。
【0036】
ステップS109は、絞り制御や、クイックリターンミラー17を上げ、シャッタ23を開放する処理である。制御部25は、ステップS108で決定した絞り値に絞り14を制御し、クイックリターンミラー17を上げる。そして、制御部25は、ステップS108で決定したシャッタースピードで開放するようにシャッタ23を制御する。
【0037】
ステップS110は、静止画像を取得する処理である。
【0038】
ステップS111は、シャッタ23を閉じ、クイックリターンミラー17を下げる処理である。
【0039】
ステップS112は、静止画像にシェーディング補正を行う処理である。まず、シェーディング補正部39は、本来の被写体の輝度分布となるシェーディング補正後の測光センサ画像において、画像中央に位置する画素の輝度と、横座標i、縦座標jにおける画素の輝度との比率Rate[i][j]を算出する。比率DecRate[i][j]は、以下の(3)式で表される。なお、(3)式において、Width、Heightは、測光センサ22の縦横の画素数である。
DecRate[i][j]=
VoyCor[i][j]/VoyCor[Width/2][Height/2]…(3)
次に、シェーディング補正部39は、静止画像において、画像中央に位置する画素の輝度と、横座標i、縦座標jにおける画素の輝度との比率DecRateImg[i][j]を算出する。比率DecRateImg[i][j]は、以下の(4)式で表される。なお、(4)式において、ImgWidthとImgHeightとは、それぞれ撮像素子24の縦と横の画素数である。
DecRateImg[i][j]=
Raw[i][j]/Raw[ImgWidth/2][ImgHeight/2]…(4)
そして、シェーディング補正部39は、これらの比率を用いて、Raw[i][j]を補正する。以下、シェーディング補正後のRaw[i][j]をRawCor[i][j]とする。RawCor[i][j]は、以下の(5)式で表される。
RawCor[i][j]=Raw[i][j]×DecRate[i][j]/DecRateImg[i][j]…(5)
これにより、Raw[ImgWidth/2][ImgHeight/2]とRawCor[i][j]との比率は、DecRate[i][j]と一致する。なお、シェーディング補正部39は、静止画像に含まれる画素毎にシェーディング補正を行う。
【0040】
ステップS113は、シェーディング補正後の静止画像を記録する処理である。制御部25は、ステップS112でシェーディング補正を行った静止画像を、カードインターフェース33を介してメモリカード34に記録する。
【0041】
ステップS114は、電源釦(不図示)がオフにされたか否かを判定する処理である。制御部25は、電源釦がオフにされた場合(ステップS114の判定がYESとなる場合)には、一連の処理を終了する。一方、制御部25は、電源釦がオフにされていない場合(ステップS114の判定がNOとなる場合)には、ステップS101に戻る。
【0042】
上記で説明した測光センサ画像の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度Voy[i][j]、シェーディング補正後の該画素の輝度VoyCor[i][j]、静止画像の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度Raw[i][j]の例を図6に示す。なお、図6では、Voy[i][j] >Raw[i][j]である例を示す。まず、シェーディング補正部39は、Voy[i][j]に2^Z[d]を乗じ、本来の被写体の輝度であるVoyCor[i][j]を算出する。この場合、図6に示すように、本来の被写体の輝度分布は均一ではなく、画像中央の輝度が最も高く、画像中央から離れるにつれて輝度が低くなっている。次に、シェーディング補正部39は、DecRate[i][j]、及びDecRateImg[i][j]を算出し、これらの比率を用いて、本来の被写体の輝度分布になるように、Raw[i][j]を補正する。
【0043】
すなわち、第1実施形態のシェーディング補正部39は、測光センサ22に対する周辺光量落ちの補正値Z[d]のみを用いて、撮像素子24に入射する光の周辺光量落ち補正を行う。したがって、第1実施形態の電子カメラ100によれば、シェーディング補正に必要な演算を削減することができる。その結果、電子カメラ100によれば、シェーディング補正に要する時間が短縮されるため、高速な撮像動作が可能となる。
【0044】
なお、第1実施形態の電子カメラ100では、ライブビュー画像を取得する例を示したが、これに限らない。例えば、ライブビュー画像を取得しない電子カメラにも第1実施形態を適用できる。この場合、図5のフローチャートのステップS101からステップS103の処理を行わない。
【0045】
(第2実施形態)
以下、本発明の第2実施形態について説明する。第1実施形態のシェーディング補正部39は、測光センサ画像を補正し、その補正結果に基づいて、静止画像を補正する例を示した。第2実施形態のシェーディング補正部39は、ライブビュー画像を補正し、その補正結果に基づいて、測光センサ画像を補正する例を示す。ここで、第2実施形態における電子カメラの構成は、図1に示す第1実施形態の電子カメラ100のブロック図と共通するので重複説明を省略する。また、第1実施形態では、測光センサ22により取得した測光センサ画像を補正するためのZ[d]が予めメモリ16に記録されている例を示した。第2実施形態では、撮像素子24により取得したライブビュー画像及び静止画像を補正するためのZ[d]が予めメモリ16に記録されている例を示す。
【0046】
図7は、第2実施形態の電子カメラ100における撮像時の流れを示すフローチャートである。
【0047】
ステップS201からステップS203は、図5のフローチャートのステップS101からステップS103と同様の処理である。
【0048】
ステップS204は、ライブビュー画像にシェーディング補正を行う処理である。シェーディング補正部39は、ライブビュー画像の横座標i、縦座標jにおける画素の輝度Raw [i][j]に2^Z[d]を乗じることにより、シェーディング補正を行う。シェーディング補正後の該画素の輝度RawCor[i][j]は、下記の(11)式で表される。なお、シェーディング補正部39は、ライブビュー画像に含まれる画素毎にシェーディング補正を行い、本来の被写体の輝度分布を求める。
RawCor[i][j]=Raw [i][j]×2^Z[d]
d=√((i−10)^2+(j−5)^2)…(11)
ステップS205からステップS207は、図5のフローチャートのステップS104からステップS106と同様の処理である。
【0049】
ステップS208は、測光センサ画像にシェーディング補正を行う処理である。まず、シェーディング補正部39は、本来の被写体の輝度分布となるシェーディング補正後のライブビュー画像において、画像中央に位置する画素の輝度と、横座標i、縦座標jにおける画素の輝度との比率DecRateImgCor[i][j]を算出する。比率DecRateImgCor[i][j]は、以下の(12)式で表される。
DecRateImgCor[i][j]=
RawCor[i][j]/RawCor[Width/2][Height/2]…(12)
次に、シェーディング補正部39は、ステップS207で取得した測光センサ画像において、画像中央に位置する画素の輝度と、横座標i、縦座標jにおける画素の輝度との比率DecRateCor[i][j]を算出する。比率DecRateCor[i][j]は、以下の(13)式で表される。
DecRateCor[i][j]=
Voy[i][j]/Voy[ImgWidth/2][ImgHeight/2]…(13)
そして、シェーディング補正部39は、これらの比率を用いて、Voy[i][j]を補正する。以下、シェーディング補正後のVoy[i][j]をVoyCor[i][j]とする。VoyCor[i][j]は、以下の(14)式で表される。
VoyCor[i][j]=
Voy[i][j]×DecRateImgCor[i][j]/DecRateCor[i][j]…(14)
これにより、Voy[ImgWidth/2][ImgHeight/2]とVoyCor[i][j]との比率は、DecRateImgCor[i][j]と一致する。なお、シェーディング補正部39は、測光センサ画像に含まれる画素毎にシェーディング補正を行う。
【0050】
ステップS209は、ステップS208で算出したVoyCor[i][j]を用いて、露出制御を行う処理である。露出演算部38は、ステップS108と同様の処理を行い、輝度値EV、絞り14の絞り値やシャッタ23の開放時間(シャッタスピード)を決定する。
【0051】
ステップS210からステップS212は、図5のフローチャートのステップS109からステップS111と同様の処理である。
【0052】
ステップS213は、静止画像にシェーディング補正を行う処理である。シェーディング補正部39は、ステップS204と同様の処理を行い、静止画像にシェーディング補正を行う。
【0053】
ステップS214からステップS215は、図5のフローチャートのステップS113からステップS114と同様の処理である。
【0054】
以上説明したように、第2実施形態のシェーディング補正部39は、撮像素子24に対する周辺光量落ちの補正値Z[d]のみを用いて、測光センサ22に入射する光の周辺光量落ち補正を行う。したがって、第2実施形態の電子カメラ100によれば、第1実施形態の電子カメラ100と同様に、シェーディング補正に必要な演算を削減することができる。
【0055】
なお、第2実施形態では、シェーディング補正後の測光センサ画像を用いて、露出演算を実行する例を示したが、これに限らない。一般的に測光センサ22の精度は高いが、撮像レンズ13によっては、測光センサ22の周辺光量落ち量が大きい場合がある。そこで、露出演算部38は、測光センサ画像における比率とDecRateCor[i][j]と、ライブビュー画像における比率DecRateImgCor[i][j]とを比較する。そして、露出演算部38は、DecRateCor[i][j]の方がDecRateImgCor[i][j]よりも大きい場合は、シェーディング補正後の測光センサ画像の輝度VoyCor[i][j]を用いて、露出演算を実行する。一方、露出演算部38は、DecRateCor[i][j]の方がDecRateImgCor[i][j]よりも小さい場合は、シェーディング補正後のライブビュー画像の輝度RawCor[i][j]を用いて、露出演算を実行する。これにより、シェーディング補正に伴うノイズの増幅を抑えることができるため、露出演算部38は、より精度の高い露出演算を行うことができる。
【0056】
また、第1実施形態では、メモリ16に予め記録された補正値Z[d]を用いて、測光センサ画像に対してシェーディング補正を行う例を示したが、これに限らない。例えば、シェーディング補正部39は、フォーカス位置、射出瞳距離、開放絞り値、レンズ構成などの光学情報を用いてシェーディング補正を行っても良い。また、第2実施形態についても同様とする。
【0057】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、測光センサ22と撮像素子24との2つのセンサを備える電子カメラ100の例を示したが、これに限らない。例えば、測光センサの他に、ライブビュー画像取得用の撮像素子、静止画像取得用の撮像素子を備える場合など、3つ以上のセンサを備える電子カメラにも本発明を同様に適用することができる。
【0058】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、測光センサ22と撮像素子24との画素数が同じである例を示したが、これに限らない。例えば、撮像素子24の画素数の方が測光センサ22の画素数よりも多い場合、図5のフローチャートのステップS112で、まず、画像処理部31は、撮像素子24の1画素につき1つのDecRate[i][j]が対応するように、DecRate[i][j]に対して、公知の補間処理を行う。そして、シェーディング補正部39は、補間処理後の静止画像にシェーディング補正を行う。一方、測光センサ22の画素数の方が撮像素子24の画素数よりも多い場合、画像処理部31は、撮像素子24の1画素につき1つのDecRate[i][j]が対応するように、DecRate[i][j]に対して、公知の間引き処理を行う。その後、シェーディング補正部39は、間引き処理後の静止画像にシェーディング補正を行っても良い。
【0059】
また、第1実施形態では、測光センサ画像における比率DecRateCor[i][j]、及び静止画像における比率DecRateImgCor[i][j]を用いる例を示したが、これに限らない。例えば、測光センサ画像の光量落ち量(VoyCor[Width/2][Height/2]−VoyCor[i][j])、静止画像の光量落ち量(Raw[ImgWidth/2][ImgHeight/2]−Raw[i][j])を用いても良い。また、第2実施形態についても同様とする。
【0060】
また、第1実施形態及び第2実施形態では、電子カメラ100を例に挙げて説明したが、これに限らない。例えば、図1に示した以外の構成を有する電子カメラにも本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0061】
100…電子カメラ、200…レンズユニット、300…カメラ本体、22…測光センサ、24…撮像素子、25…制御部、38…露出演算部、39…シェーディング補正部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受光素子が配列されるとともに、光束を受光して得られる第1信号を出力する第1受光手段と、
前記第1受光手段とは異なる位置に配置されるとともに、前記光束を受光して得られる第2信号を出力する第2受光手段と、
前記受光素子の配列上の位置に基づいて、前記第1信号にシェーディング補正を行う第1補正部と、
前記第1補正部によって補正された前記第1信号に基づいて、前記第2信号にシェーディング補正を行う第2補正部と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像装置において、
前記第2補正部は、前記第1補正部によって補正された前記第1信号における出力分布と前記第2信号における出力分布との比に基づいて、前記第2信号にシェーディング補正を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の撮像装置において、
前記第1補正部は、前記光束を透過する光学系の光学特性を用いて前記第1信号にシェーディング補正を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の撮像装置において、
前記第1補正部によって補正された前記第1信号に基づいて、前記第2受光手段に対する露出条件を決定する露出演算部をさらに備える
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4に記載の撮像装置において、
前記第2受光手段は、所定の間隔毎に表示用の第2信号を出力し、
前記第2補正部は、前記表示用の第2信号にシェーディング補正を行い、
前記第1補正部は、前記第2補正部によって補正された前記表示用の第2信号に基づいて、前記第1信号にシェーディング補正を行い、
前記第2受光手段は、前記露出演算部によって決定された前記露出条件で得られる記録用の第2信号を出力し、
前記第2補正部は、前記記録用の第2信号にシェーディング補正を行う
ことを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像装置において、
前記露出演算部は、前記第1受光手段の中央に配列された受光素子の出力に対する該受光素子の周辺に配列された受光素子の出力の比と、前記第2受光手段の中央に配列された受光素子の出力に対する該受光素子の周辺に配列された受光素子の出力の比とを比較し、前記第2受光手段における前記比が前記第1受光手段における前記比よりも大きい場合に、前記第2補正部によって補正された前記第2信号に基づいて、露出条件を決定する
ことを特徴とする撮像装置。

【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−61659(P2011−61659A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211448(P2009−211448)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】