説明

撮像装置

【課題】小型で安価なファインダ装置を提供すること
【解決手段】ファインダ視野内に複数の焦点検出領域をスーパーインポーズ表示するファインダ装置であって、前記複数の焦点検出領域に対応する表示部33a〜33dからの反射光を接眼レンズに反射するペンタミラー31と、ペンタミラーよりも接眼レンズ側に配置され、前記表示部を照明する光を発するSI用光源35と、ペンタミラーよりも接眼レンズ側に配置され、光源からの光を2回反射して表示部に導く2つの反射面を有するSIレンズ34と、を有し、各反射面には反射膜が設けられていない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ファインダ視野内に被写体像と重ねて複数の焦点検出領域を表示するスーパーインポーズ(SI)表示機能を有する撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、フォーカシングスクリーンに形成された複数の焦点検出領域に対応する複数の表示部を照明し、各表示部からの反射光を接眼レンズに導光してSI表示機能を実現し、光源からの表示部を照明する光をプリズムの反射面によって反射していた。特許文献2は、中空ペンタの上に光源と光束を2回全反射させる導光部材を配置してフォーカシングスクリーンに導いていた。その他の従来技術としては特許文献3がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−338662号公報
【特許文献2】特開平7−244317号公報
【特許文献3】特開2007−264029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のプリズムの反射面は反射膜を蒸着することによって形成されているためコストアップの原因となっていた。また、特許文献2のように、中空ペンタ上に光源と導光部材を設けると閃光装置と干渉し、また、カメラの高さが高くなって小型化を妨げる。
【0005】
そこで、本発明は、小型で安価なファインダ装置と撮像装置を提供することを例示的な目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のファインダ装置は、ファインダ視野内に複数の焦点検出領域をスーパーインポーズ表示するファインダ装置であって、前記複数の焦点検出領域に対応する表示部からの反射光を接眼レンズに反射するペンタミラーと、前記ペンタミラーよりも接眼レンズ側に配置され、前記表示部を照明する光を発する光源と、前記ペンタミラーよりも前記接眼レンズ側に配置され、前記光源からの光を2回反射して前記表示部に導く2つの反射面を有する導光手段と、を有し、各反射面には反射膜が設けられていないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、小型で安価なファインダ装置と撮像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施例のファインダ装置の斜視図である。
【図2】本実施例の撮像装置(一眼レフデジタルカメラ)の斜視図である。
【図3】図1に示す撮像装置の断面図である。
【図4】図1に示すファインダ装置の斜視図と断面図である。
【図5】スーパーインポーズ(SI)用の照明光の反射を説明するための図である。
【図6】図1に示すファインダ装置のSIレンズと従来のSIレンズの図である。
【図7】SIレンズがダハ面を有しない場合と有する場合の入射角の関係を示すグラフである。
【図8】本実施例のファインダ視野図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図2は、撮像装置(一眼レフデジタルカメラ)1の斜視図である。なお、撮像装置は一眼レフ銀塩カメラであってもよい。図2において、2は撮像装置1の本体の筐体3に交換可能に装着されたレンズユニットであり、被写体の光学像を形成する撮影光学系を収納している。4はレンズユニット2に収納された撮影光学系の光軸、15はレリーズ釦、16は操作釦をそれぞれ示している。撮像装置1は多くの操作釦を有しているが、操作釦16は代表的な操作釦である。レリーズ釦15は2段式の釦であり、以下、レリーズ釦15の半押し操作をS1、全押し操作をS2と呼ぶ。
【0010】
図3は、撮像装置1の断面図であり、いわゆるミラーダウン状態を示している。図3において、5は撮影光学系、6は撮影光学系5が形成した光学像を光電変換する撮像素子、7は撮像装置1に設けられた光学ファインダ(ファインダ装置)、8は電子ビューファインダ、9はAFセンサ、10は主ミラー、11はサブミラーである。AFセンサ9は焦点検出領域を複数有している。
【0011】
撮影光学系5を介した被写体光は、主ミラー10がミラーダウン位置にある時には、主ミラー10により反射されて撮影光学系の予定結像面に配置されたフォーカシングスクリーン(ピント板)33の上面のマット面に被写体像が投影される。フォーカシングスクリーン33の下面は被写体光を集光するフレネルレンズ面である。
【0012】
そして、フォーカシングスクリーン33に投影された被写体像が集光正立正像に変更する中空形状のペンタミラー(以下、中空ペンタ)31、接眼レンズ群43を介して撮影者により観察される。
【0013】
静止画撮影動作において、撮影者は操作釦16などを操作して撮影用の設定を行い、その後、光学ファインダ7または電子ビューファインダ8を用いて構図を決める(エイミング動作)。光学ファインダ7を利用する場合には、図3に示すように、撮影者は光学ファインダ7を介して被写体を観察する。一方、電子ビューファインダ8を利用する場合には、主ミラー10とサブミラー11をアップさせて光束を撮像素子6に導き、撮像素子6で得られた像を電子ビューファインダ8に表示することで被写体を観察する(ライブビュー撮影)。
【0014】
エイミング動作後、レリーズ釦15を半押し操作することで撮像装置1は測光、焦点検出等の撮影に必要な情報の取り込みを行い、主被写体が存在すると撮像装置1が判断して焦点調節を行う。ファインダ視野内に焦点調節された焦点検出領域を撮影者に知らせる手段としてスーパーインポーズ(SI)が提案されている。
【0015】
図4(a)は光学ファインダ7の斜視図、図4(b)は光学ファインダ7の断面図である。図4において、32は中空ペンタ31の1面である反射ミラー、34はSIレンズ、35はSI用光源、41は接眼レンズ群43が取り付けられたファインダ保持部材、42はSI保持部材である。SIの光路は図4(b)に破線で示している。
【0016】
SI用光源35は表示部を照明する光を発し、SI用光源35からの光束は、SIレンズ34から中空ペンタ31の開口31aを介してフォーカシングスクリーン33に投射され、フォーカシングスクリーン33上に設けられた表示部で反射される。その後、表示部からの反射光は、フォーカシングスクリーン33の真上にある中空ペンタ31によって接眼レンズ群43に反射されて撮影者に観察される。
【0017】
SIレンズ34とSI用光源35はSI保持部材42に取り付けられており、SI保持部材42は図4に示すように、中空ペンタ31の接眼レンズ群43側の後頭部に配置されている。このため、SIレンズ34とSI用光源35はいずれも中空ペンタ31の接眼レンズ側に設けられている。SIレンズ34とSI用光源35が中空ペンタ31の上に設けられていないので、閃光手段と干渉したり、ファインダ装置または撮像装置の高さが高くなったりすることを防止している。
【0018】
また、SIレンズ34とSI用光源35カメラは、正面から見て横方向に配置されている。接眼レンズ群43の上には不図示の測光レンズや測光センサ等が配置されており、SIレンズ34とSI用光源35カメラを光軸と平行な方向に配置すると、これらの部材を干渉するおそれがあるからである。
【0019】
図1は、ファインダ視野内に複数の焦点検出領域をスーパーインポーズ表示する光学ファインダ(ファインダ装置)7の斜視図である。分かり易くするために中空ペンタ31を中央で切断して半分のみを示している。図1において、33a、33b、33c、33dは、それぞれ中央、長手方向端部、短手方向端部(撮影者の視野下方向)、短手方向端部(撮影者の視野上方向)の表示部である。35a、35b、35cは、それぞれ表示部33a、33b、33cを照明する発光素子である。36a、36b、36cは、それぞれ光源35a、35b、35cから表示部33a、33b、33cに向かう光束である。37aは表示部33aで反射された光束である。
【0020】
フォーカシングスクリーン33上には微細なプリズムが形成されており、SI光束を偏向する。例えば、表示部33aは光束36aを光束37aに偏向する。表示部は、図3に示すAFセンサ9の各焦点検出領域に対応して設けられている。図1においては、7つの焦点検出領域とそれに対応した表示部がある。前述したように、焦点調節に用いられる焦点検出領域が照明されることで主被写体と判断したエリアを撮影者に提示する。
【0021】
複数の発光素子35a、35b、35cは、例えば、LEDから構成され、各発光素子は対応する表示部を照明するように配置されている。
【0022】
SIレンズ34は、SI用光源35の発光素子の光を表示部に集光させるレンズとしての役割と、SI用の光束を折り返すプリズムとしての役割を持っている。また、SIレンズ34はSI用光源35からの光を表示部に導く導光手段としても機能している。
【0023】
図1に示すように、SIレンズ34で折り返してSI用光源35に向かう光束は撮像装置1の高さを高くしないように、斜め下方に折り返されている。ここで、「下方」とは図1(a)のベクトル37aと反対方向を意味し、このためには、入射角を小さくする必要がある。このことを、図5を用いて模式的に説明する。
【0024】
図5はSI用光源35の光源から発せられた光束(SI照明光)の折り返し状態を示す模式図である。図5は図1において、光束36a及び36bを含むような平面上の関係を示している。図5(a)、(b)、(c)は表示部33aを照射する光束36aとその折り返し状態を示す図であり、図5(d)、(e)、(f)は表示部33bを照射する光束36bとその折り返し状態を示す図である。図5において、34aはSIレンズ34の反射面を示している。θはSI照明光が反射面34aで折り返された時の入射角である。
【0025】
図5(a)、(b)、(c)から分かるように、撮像装置1の高さを高くしないように折り返そうとすると図5(a)に示すSI用光源35の位置を図5(c)に示す位置に変更する必要があるが、このようにすると、入射角θは小さくなる。また、図5(a)〜(c)と図5(d)〜(f)を比較すると、表示部33bに向かう光束36bは特に入射角θが小さくなる。
【0026】
図5(a)、(d)では、SI用光源35の光の射出位置がSIレンズ34の反射面34aの入射位置よりも上になるようにSI用光源35とSIレンズ34は配置されている。
図5(b)、(e)では、SI用光源35の光の射出位置がSIレンズ34の反射面34aの入射位置が同じ位置になるようにSI用光源35とSIレンズ34は配置されている。
図5(c)、(f)では、SI用光源35の光の射出位置がSIレンズ34の反射面34aの入射位置よりも下になるようにSI用光源35とSIレンズ34は配置されている。
【0027】
従来のようにSIレンズ34の反射面に反射膜を蒸着せずに安価に反射面34aを形成するためには全反射を利用することが有効である。全反射条件は、臨界角をθmとして数1のように表現することができる。
【0028】
【数1】

【0029】
但し、nは媒質Aの屈折率(媒質Aは図5において反射面34aの外側の媒質であり、図5の例では空気である)、nは媒質Bの屈折率(媒質Bとは図5において反射面34aの内側の媒質であり、図5の例ではSIレンズ34の材質)である。空気の屈折率を1、SIレンズ34の材質をアクリル樹脂(屈折率約1.49171)として数1を解くと、θm>42.1度となり、42.1度よりも入射角が大きければ全反射する。
【0030】
なお、アクリル樹脂の屈折率は他の硝材の屈折率よりも小さく全反射しにくい材料の代表例である。他の硝材、例えば、ポリカーボネート(屈折率約1.585)であれば、42.1度よりも低い入射角で全反射が可能である。
【0031】
図5において、全ての表示部に向かう光束に対して全反射条件を満たそうとすると、図5(a)、(d)から更に高い位置にSI用光源35を配置しなければならず、撮像装置1の筺体3の高さが大きくなってしまう。撮像装置1の大型化を防ぐために、従来は反射面34aでは全反射を利用せず、適当な反射膜を蒸着することで反射面を得ており、高コスト化を招いていた。
【0032】
そこで、本実施例は、SI用光源35からの光を2回反射して表示部に導く2つの反射面をSIレンズ34に設け、各反射面には反射膜を設けないこととしている。2つの反射面は、両者の間の角度が90度であるダハ面であってもよい。
【0033】
以下、図6を参照して、本実施例のSIレンズ34と従来のSIレンズ100とを比較して説明する。
【0034】
図6(b)は従来のSIレンズ100の斜視図である。図6(b)において、SIレンズ100は、入射面110、反射膜が蒸着された反射面120、射出面130を有する。反射面120は射出面130の上部に配置されている部分を有する。L20は図6(b)には不図示のSI用光源からの光束、L21は光束L21が反射面120で反射された後の光束、L22は反射面110を透過した光束を示している。
【0035】
従来のSIレンズ100においては、反射面120が1つの面で構成されているので、そのままでは全反射条件を満たしにくく、全反射条件を満たすにはファインダ装置が大型化してしまう。反射面120に反射膜を蒸着しない状態では光束L22のように光束が透過してしまい不図示の表示部に光束を導くことができない。反射面120に反射膜を蒸着すると、反射面120で光束L20を反射して光束L21として表示部を照射することができる。反射面120は、射出面130が設けられたSIレンズ100の底面と平行な上面140から45度斜め上方に延びているが、反射面120の角度はこれに限定されるものではない。
【0036】
図6(a)は本実施例のSIレンズ34の斜視図である。SIレンズ34は、入射面50、反射膜が蒸着されていない2つの反射面51、52、射出面53を有する。L10はSI用光源35からの光束、L11は光束L10が反射面51と52にこの順番で反射された後の光束を示している。反射面51、52は隣り合い、共に射出面53の上部に配置されている部分を有する。
【0037】
図6(a)では、反射面51、52がなす角度pは90度であり、ダハ面(2つの互いに90度をなす平面)を構成しているが、これに限定されない。入射面50が設けられた垂直面と射出面53が設けられた底面とがなす角度は本実施例では90度である。図6(a)に従来のSIレンズ100の反射面120を破線で仮想的に示している。
【0038】
2つの平面である反射面51、52が交差する直線(稜線)54はこの仮想的に示した反射面120上にあり、直線54は射出面53が形成されたSIレンズ34の底面と平行な上面55から45度斜め上方に延びている。但し、直線54の角度はこれに限定されるものではない。2つの反射面51、52では全反射条件を満足し易く、反射面120では全反射条件を満足しにくければ足りる。
【0039】
図6(a)では、反射面51、52はダハ面を形成しており、各反射面への入射角を大きく確保することができ、全反射条件を満たし易くなる。その結果、光束L10を2つのダハ面で全反射させて光束L11のように導き表示部を照射することができる。
【0040】
図6(c)はSIレンズ34のダハ面による反射面と従来の反射面の関係を示す図であり、図6(a)の反射面120に平行なU方向から見たSIレンズ34の部分平面図である。図6(c)はダハ面部分を強調して表示している。図6(c)において、51n、52n、120nは反射面51、52、120のそれぞれの面法線である。面法線51n及び52nは、いずれも面法線120nに対して45度をなしている。
【0041】
このように反射面51、52を配置することで、平面120内で直線54と直交する方向に光線が反転するが、その他はほぼ同じような反射をする。その結果、本実施例においては、図1に示すように、表示部33cに導かれていた光束が表示部33dに導かれるように変更されるが、表示部33a、33bに向かう光束はスポットが反転しているものの照射範囲に影響を受けない。また、上述したように、本実施例では表示部の上下方向の表示が反転するが、これは焦点検出領域に対応して点灯する光源をソフトウェアで変更すればよい。
【0042】
図7に図5に示す入射角θを考えたとき、SIレンズ34に2つの反射面51と52を設けることによる入射角θの変化を示すグラフである。図7において、横軸はダハ面が無いときの入射角であり、図5の入射角θに相当する。縦軸はダハ面をつけたときの各面への入射角である。ダハ面なしの入射角はダハ面をつけると大きくなる。更に、図7中に数1などを用いて示した媒質がアクリルと空気の場合の全反射条件を破線で図示した。
【0043】
図7によれば、図5に示す面内に存在する光束のみを考えた場合、どのような入射角θであっても全反射条件を満たす。例えば、図5(c)、(f)に示すような配置であってもダハ面を用いることで全反射によって表示部に光束を導くことができる。
【0044】
実際には、図5において紙面に垂直な方向の成分を持つ光線も存在するので図7に示すように入射角によらずに全ての場合に全反射条件を満たせるわけではないが、2つの反射面が存在することにより全反射条件を満たし易くなる。実際の設計においては、SIレンズ34に取り込む有効光束が、図5において紙面に垂直な方向になす角の最大値を見積りその分を図7の全反射条件に対して余裕をもって設定すればよい。
【0045】
例えば、8度の広がりをもった光束(光源から円錐形に各方向に8度をなすような光束)を有効光束として取り込む場合には、アクリル樹脂の全反射角42.1度に対して、8度の余裕をみて50度程度の角度をなすように設定すればよい。即ち、縦軸で50.1度よりも上に行けばよい。
【0046】
この時、反射面が一つのみ場合の入射角は、図7に示すように、縦軸で50.1度に対応する25度以上が図5において最も厳しい入射角について必要となる。このため、反射面が一つのみ場合は全反射条件を満たせない。
【0047】
次に、図8を参照して、SIレンズ34の2つの反射面51と52の好適な寸法設定について説明する。
【0048】
図8(a)は、SI光束がフォーカシングスクリーン33の表示部が形成された面に投射された状態を模式的な平面図である。図8(a)において、中央の表示部33aは中央の丸の部分、若しくは、表示部33aの正方形形状の外形輪郭部が反射部として機能する。61は表示部33aを照射するSI光束のフォーカシングスクリーン上の円形のスポット(照明領域)を示している。
【0049】
図8(a)では、スポット61は表示部33aを含むように形成されている。スポット61の大きさは、不図示のSI光源やSIレンズ34の位置に誤差があった場合にも表示部33aを照明し、かつ、隣接する別の表示部を照明しない程度の大きさに設定されている。
【0050】
図8(b)は、図8(a)の表示部33aの周りの部分拡大図である。図8(a)と図8(b)においては、2つの反射面51、52のなす角度pは90度であり、2つの反射面51、52はダハ面を構成している。
【0051】
スポット61は、スポット61a、61bから構成されている。スポット61aは、SIレンズ34の反射面(第2の反射面)52、反射面(第1の反射面)51の順に反射した光束が形成する半円形状のスポット(第2の照明領域)である。スポット61bは、SIレンズ34の反射面(第1の反射面)51、反射面(第2の反射面)52の順に反射した光束が形成する半円形状のスポット(第1の照明領域)である。なお、スポット61、61a、61bの形状は図8に示す形状に限定されるものではない。
【0052】
図8(a)と図8(b)においては、スポット61a、61bは半円の直線部分(弦の部分)で互いに接して全体として円形状のスポット61を形成している。図8(a)と図8(b)においては、スポット61が表示部33aの全体を覆っているため、表示部33aの反射部が輪郭部33aにあっても中央部33aにあってもこれを照明することができ、撮影者はこれを認識しやすい。
【0053】
図8(c)は、2つの反射面51、52のなす角度pが90度より小さい場合のスポット61a、61bを示す図である。この時、スポット61a、61bは重なり部分を有するように反射面51、52のなす角度pが設定されている。2つの反射面51、52のなす角度pが更に小さくなると、スポット61aは図8(c)の下方向にスポット61bは図8(c)の上方向に更に移動し、最終的には両者は離れていく。
【0054】
図8(c)においては、スポット61a、61bの重なり部分が表示部33aの全体を覆っているため、表示部33aの反射部が輪郭部33aにあっても中央部33aにあってもこれを照明することができる。また、重なり部分では照度が高いので撮影者はこれを更に認識しやすくなる。例えば、SIレンズ内の反射面から表示部までの距離を30mmとし、スポット半径を1.0mmとすると、約1度移動するとスポット61a,61bがすれ違ってしまうので角度pは89度から90度程度に設定すればよい。
【0055】
図8(d)は、2つの反射面51、52のなす角度pが90度より大きい場合のスポット61a、61bを示す図である。この時、スポット61a、61bの間には隙間が形成され、隙間の間隔は2つの反射面51、52のなす角度pがより大きくなるにつれて大きくなる。
【0056】
図8(c)においてスポット61a、61bの重なり部分がなくなって離れたり、図8(d)に示す状態になってもスポット61a、61bが表示部33aの近くにあれば撮影者は表示部33aの反射部を認識することができる。
【0057】
以上に説明したように、本実施例によれば、小型で安価なファインダ装置を提供することができる。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明はこれらの実施例に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。
【産業上の利用可能性】
【0059】
ファインダ装置は撮像装置に適用することができる。撮像装置は被写体を撮像する用途に適用することができる。
【符号の説明】
【0060】
1 撮像装置
7 光学ファインダ(ファインダ装置)
33 フォーカシングスクリーン
33a、33b、33c、33d 表示部
34 SIレンズ(導光手段)
35 SI用光源
51、52 反射面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファインダ視野内に複数の焦点検出領域をスーパーインポーズ表示するファインダ装置であって、
前記複数の焦点検出領域に対応する表示部からの反射光を接眼レンズに反射するペンタミラーと、
前記ペンタミラーよりも接眼レンズ側に配置され、前記表示部を照明する光を発する光源と、
前記ペンタミラーよりも前記接眼レンズ側に配置され、前記光源からの光を2回反射して前記表示部に導く2つの反射面を有する導光手段と、
を有し、
各反射面には反射膜が設けられていないことを特徴とするファインダ装置。
【請求項2】
前記表示部が形成された面を有するフォーカシングスクリーンを更に有し、
前記2つの反射面は第1の反射面と第2の反射面からなり、
前記光源からの光は前記第1の反射面、前記第2の反射面の順番で反射されて前記フォーカシングスクリーンの前記面に第1の照明領域を形成し、前記光源からの光は前記第2の反射面、前記第1の反射面の順番で反射されて前記フォーカシングスクリーンの前記面に第2の照明領域を形成することを特徴とする請求項1に記載のファインダ装置。
【請求項3】
前記2つの反射面はダハ面を形成することを特徴とする請求項1または2に記載のファインダ装置。
【請求項4】
前記2つの反射面のなす角度は90度よりも小さく前記第1の照明領域と前記第2の照明領域とが重なり部分を有するように設定されていることを特徴とする請求項2に記載のファインダ装置。
【請求項5】
前記光源の前記光の射出位置が前記導光手段の前記2つの反射面のいずれかの入射位置よりも下になるように前記光源と前記導光手段は配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のうちいずれか一項に記載のファインダ装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか一項に記載のファインダ装置を備えた撮像装置。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図6】
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【図8】
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【図2】
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【図5】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−118102(P2012−118102A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−264953(P2010−264953)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】