撮像装置
【課題】補正後輝度値を、同一の画像信号を用いて決定した軌跡範囲の輝度に基づいて決定することにより手ぶれ補正を高速に行うことができる撮像装置を提供する。
【解決手段】手ぶれ補正用マーカ光M2を照射して、その手ぶれ補正用マーカ光M2が読み取り面で反射した入射光がエリアセンサに受光される。エリアセンサから出力される画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の位置を検出し(S3)、その画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定する(S4)。決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数を決定し(S5)、輝度補正係数に基づいて全画素に対して輝度値を補正して補正画像を作成する(S6)。補正後輝度値を、同一の画像信号を用いて決定した軌跡範囲の輝度に基づいて決定することにより手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【解決手段】手ぶれ補正用マーカ光M2を照射して、その手ぶれ補正用マーカ光M2が読み取り面で反射した入射光がエリアセンサに受光される。エリアセンサから出力される画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の位置を検出し(S3)、その画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定する(S4)。決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数を決定し(S5)、輝度補正係数に基づいて全画素に対して輝度値を補正して補正画像を作成する(S6)。補正後輝度値を、同一の画像信号を用いて決定した軌跡範囲の輝度に基づいて決定することにより手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、手ぶれ補正を行うことができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手ぶれ補正を行うことができる撮像装置が種々知られている。たとえば、特許文献1では、特徴点の移動量を求め、その特徴点の移動量に基づいて各画素の座標値の補正を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−298300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特徴点の移動量に基づいて手ぶれ補正を行う場合、移動前と移動後の少なくとも2回の画像を撮像する必要があることから、補正に時間がかかってしまうという問題があった。また、撮像装置を、情報コードを読み取るために用いる場合、このような補正方法では読み取り速度の低下を招いてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、手ぶれ補正を高速に行うことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、入射光を受光する受光素子が二次元に配列され、その受光素子の信号からなる画像信号を出力する受光センサと、前記受光センサ上に像を結像させる結像レンズとを備えた撮像装置であって、特徴図形の光像を形成して外部に照射するものであって、この特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が前記受光センサの受光素子に受光されるように、前記特徴図形の光像を照射する特徴図形形成手段と、前記受光センサから出力される画像信号から、前記特徴図形の光像を検出する特徴図形検出手段と、その特徴図形の光像を検出した画像信号から、前記特徴図形の光像の軌跡範囲を決定する軌跡範囲決定手段と、その軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定する補正値決定手段と、その輝度補正値に基づいて、受光センサから出力された画像信号を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、特徴図形の光像を照射して、その特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が受光センサの受光素子に受光されるようにしている。そして、受光センサから出力される画像信号から特徴図形を検出するとともに、その画像信号から特徴図形の軌跡範囲を決定している。このようにして決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定し、輝度補正値に基づいて画像信号を補正する。このように、同一の画像信号(すなわち一枚の画像)を用いて軌跡範囲を決定し、その軌跡範囲の輝度に基づいて決定しているので、画像を2回撮像する必要がある従来技術に比較して、手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記結像レンズにより定まる受光センサの画角と、その受光センサに対する露光時間と、予め設定された手ぶれ推定角速度とに基づいて、手ぶれの影響が出る受光素子の数を推定した手ぶれ影響素子数が決定され、前記軌跡範囲決定手段は、前記軌跡範囲を、前記手ぶれ影響素子数に基づいて決定することを特徴とする。
【0009】
このように、軌跡範囲を手ぶれ影響素子数に基づいて決定することで、特徴図形の軌跡範囲を精度よく決定することができる。よって、補正手段による画像信号の補正の精度も向上する。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記軌跡範囲決定手段は、前記特徴図形検出手段により検出された前記特徴図形の光像の画像信号の輝度から、前記特徴図形の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した受光素子を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって前記手ぶれ影響素子数分とすることにより、前記軌跡範囲を決定する。
【0011】
このように、特徴図形の輝度最高値を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって手ぶれ影響素子数分とすれば、たどった範囲は、輝度最高値の部分の手ぶれによる軌跡と考えることができるので、容易に軌跡範囲を決定することができる。
【0012】
本発明の撮像装置は、情報コードを読み取る情報コード読み取り装置に適用することができる。その場合、請求項4記載のように、前記撮像装置は、情報コードを撮像するものであり、情報コードが撮像された画像信号から情報を読み取る情報読み取り手段を備え、その情報読み取り手段は、前記補正手段により補正された画像信号に基づいて前記情報コードの読み取りを行うことを特徴とする。
【0013】
撮像した画像が手ぶれによりボケていると、情報コードを撮像した画像から情報コードの情報を読み取ることが困難になる。よって、手ぶれ補正を行うことができる本発明の撮像装置を、情報コードを読み取るための装置に用いることで、情報コードの読み取り精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明を情報コード読み取り装置に適用する場合、請求項5のように、前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像を、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内においてその周縁部分に照射することが好ましい。
【0015】
通常、撮像装置により情報コードを撮像する場合、操作者は、読み取り対象となる情報コードが視野範囲の中央にくるように撮像装置の撮像位置を決定する。従って、このように、特徴図形の光像を視野範囲内においてその周縁部分に照射するようにすれば、情報コードと特徴図形の光像とが比較的離れることになる。よって、画像信号から情報コードの情報を読み取る際に、特徴図形の光像が邪魔になって情報コードから情報を読み取りにくくなることを抑制できる。
【0016】
また、本発明を情報コード読み取り装置に適用する場合、請求項6のようにすることも好ましい。その請求項6記載の発明は、前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像として、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内に、前記情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を照射することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を用いて手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定することになる。よって、輝度補正値を決定するための光像をマーカ像とは別に照射する必要がなくなる。
【0018】
また、輝度補正値を決定するための画像信号を、請求項7のように、受光センサの受光素子の一部からの画像信号に限定することもできる。その請求項7記載の発明は、前記特徴図形検出手段が特徴図形を検出する画像信号、および、前記軌跡範囲決定手段が前記特徴図形の軌跡範囲を決定する画像信号は、前記受光センサの全部の受光素子からの画像信号のうち、前記特徴図形の光像を示す入射光を受光する受光素子を含む一部の受光素子からの信号に限定されており、前記補正手段が補正を行う画像信号は、前記特徴図形検出手段、軌跡範囲決定手段において用いる画像信号よりも広い範囲に設定されていることを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、特徴図形の検出、および特徴図形の軌跡範囲の決定を、情報コードの読み取りに用いる画像信号よりも狭い範囲の画像信号とするので、軌跡範囲の決定をより速く行うことができる。その結果、手ぶれ補正や、情報コードの読み取りに要する全体の時間もより短くすることができる。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記受光センサとして、複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いることを特徴とする。カラーセンサを用いることで、種々の色の特徴図形を検出することができる。
【0021】
また、カラーセンサを用いる場合、請求項9のようにすることが好ましい。その請求項8記載の発明は、前記特徴図形検出手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形を検出し、前記軌跡範囲決定手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形の軌跡範囲を決定することを特徴とする。このようにすれば、特徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲の決定が容易になる。
【0022】
また、特徴図形形成手段は、請求項10のように、光源として発光ダイオードを用いて前記特徴図形の光像を照射してもよいし、また、請求項11のように、光源としてレーザ素子を用いて前記特徴図形の光像を照射してもよい。光源として発光ダイオードを用いれば、発光ダイオードは安価であることから、装置を安価にすることができる。また、光源としてレーザ素子を用いれば、特徴図形の光像を明瞭にすることができるので、補正精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る光学式情報読取装置10のハウジング11等の構成概要を示す部分縦断面図である。
【図2】実施形態に係る光学情報読取装置10の回路部20の構成概要を示すブロック図である。
【図3】マーカ光投射器60の構成を示す説明図である。
【図4】位置決め用マーカ光M1のパターンおよび手ぶれ補正用マーカ光M2をそれぞれ例示する図である。
【図5】制御回路40の機能のうち、手ぶれ補正に関する機能を示すブロック図である。
【図6】軌跡範囲の決定手順を具体的に説明する図である。
【図7】手ぶれ補正部406における輝度補正方法を概念的に示す説明図である。
【図8】本実施形態の光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を図8に示すフローチャートである。
【図9】軌跡追跡領域Tの一例を示す図である。
【図10】置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる場合の位置決め用マーカ光M1の一例を示す図である。
【図11】形例1において、光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を示すフローチャートである。
【図12】カラーCCDにて撮像した画像に画像補間処理を施して、各画素にRGBの色情報が割り当てられていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の撮像装置としての機能を備えた光学式情報読取装置である。まず、本実施形態に係る光学式情報読取装置10の構成概要を図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、光学式情報読取装置10は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状なすハウジング本体11と、このハウジング本体11の下面ほぼ中央後端寄りにハウジング本体11に一体に形成されるグリップ部12と、からなるガンタイプのハウジングを備えている。このグリップ部12は、作業者が片手で把持可能な程度の外径に設定されており、当該グリップ部12を握った作業者の人差し指が当接する部位に、後述する照明光Lfやマーカ光M1、M2の出射を指示するトリガースイッチ14が設けられている。
【0026】
ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されており、またハウジング本体11の先端部には、照明光Lfを出射可能、且つ、反射光Lrが入射可能な読取口11aが形成されている。ハウジング本体11内の読取口11aの付近には、マーカ光M1、M2をそれぞれ投射する第1、第2マーカ光投射器60、70が配置されている。また、図1には図示しないが、ハウジング本体11内の読取口11aの付近には、照明光Lfを照射する発光ダイオード21(図2参照)も配置されている。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15、16や、このプリント配線板16に実装されるエリアセンサ23、結像レンズ27等も図示されている。
【0027】
図2に示すように、回路部20は、主に、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されており、前述したプリント配線板15、16に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0028】
光学系は、前述のように、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23、結像レンズ27等から構成されている。発光ダイオード21は、ハウジング本体11の読取口11aを介して読み取り面Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。なお、図2には、便宜上、発光ダイオード21を1つしか示していないが、発光ダイオード21は適宜複数備えられる。発光ダイオード21により照明される読み取り面Rには、一次元コードや二次元コードなどの情報コードDが記録されている。なお、記録形態としては、印刷、刻印等がある。
【0029】
エリアセンサ23は、読み取り面Rに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を数10万から数100万個オーダでm行n列の2次元に配列して構成されている。このエリアセンサ23が特許請求の範囲の受光センサに相当する。エリアセンサ23の受光素子は、受光した光を電気信号に変換して出力する光電変換素子であり、以下では、画素と呼ぶこともある。各受光素子からは、その素子が受光した光を示す信号が出力される。なお、本実施形態では、エリアセンサ23は、モノクロのセンサであるとする。
【0030】
このエリアセンサ23の受光面23aは、ハウジング本体11外から読取口11aを介して外観可能に位置しており、エリアセンサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光面23aで受光可能にプリント配線板16に実装されている。
【0031】
結像レンズ27は、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光してエリアセンサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。本実施形態では、発光ダイオード21から照射された照明光Lfが情報コードDに反射して読取口11aに入射する反射光Lrを集光することにより、エリアセンサ23の受光面23aにコード像を結像可能にしている。
【0032】
図3は、第1マーカ光投射器60の構成を示す説明図である。第1マーカ光投射器60は、情報コードDの読み取り位置を示す位置決め用マーカ光M1を読み取り面Rに投射するもので、図3に示すように、レーザダイオード62とこのレーザダイオード62の出射側に設けられるコリメートレンズ64、位置決め用マーカ光M1のパターンを形成可能な回折格子プレート66、所定形状のスリットが設けられた視野絞り68等とから構成されている。
【0033】
視野絞り68は、種々のスリット形状のものに切り替え可能に構成されており、このスリット形状を切り替えることにより、位置決め用マーカ光M1のパターンを種々のパターンに切り替えることができる。なお、スリット形状を切り替えることにより位置決め用マーカ光M1のパターンを切り替えられることは特開2008−191999号公報に詳しく説明されているので、ここでの説明は省略する。
【0034】
第2マーカ光投射器70は、第1マーカ光投射器60から回折格子プレート66と視野絞り68を除いた構成を有している。すなわち、第2マーカ光投射器70はレーザダイオードとコリメートレンズとを備えている。この構成により、第2マーカ光投射器70は、小さな円形の手ぶれ補正用マーカ光M2を読み取り面Rに投射する。なお、第2マーカ光投射器70は、この第2マーカ光投射器70が備えているレーザダイオードを駆動させるマーカ形成回路71(図5参照)を備えており、マーカ形成回路71がレーザダイオードを駆動させることで、手ぶれ補正用マーカ光M2が形成されて外部に照射される。また、第1マーカ光投射器60も、同様に、マーカ形成回路を備えている。なお、本実施形態では、位置決め用マーカ光M1、手ぶれ補正用マーカ光M2の色はいずれも赤色とする。
【0035】
図4は、第1マーカ光投射器60によって読み取り面Rに投射された位置決め用マーカ光M1のパターンおよび第2マーカ光投射器70によって読み取り面Rに投射された手ぶれ補正用マーカ光M2をそれぞれ例示する図である。図4に示されている位置決め用マーカ光M1は、情報コードDの読み取り範囲Eの四隅をそれぞれ示す4つのL字形状の光像からなる。この位置決め用マーカ光M1が読み取り面Rに示されると、位置決め用マーカ光M1によって示される範囲内に情報コードDを位置させることで、情報コードDを確実に読み取り範囲E内に位置させることができる。
【0036】
また、図4に示すように、手ぶれ補正用マーカ光M2は、本実施形態では略円形である。この手ぶれ補正用マーカ光M2は、特許請求の範囲の特徴図形の光像に相当している。また、この手ぶれ補正用マーカ光M2は、図4に示すように、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲内においてその周縁部に照射されている。なお、読み取り範囲Eはエリアセンサ23の視野範囲とも言えることから、手ぶれ補正用マーカ光M2は、エリアセンサ23の視野範囲の周縁部分に照射されていることになる。
【0037】
また、位置決め用マーカ光M1はマーカ光投射器60から遠くなるほど広がるため、読み取り面Rまでの距離が遠いほど位置決め用マーカ光M1は大きくなる。この位置決め用マーカ光M1の広がりは、回折格子プレート66により調整されており、結像レンズ27の画角(レンズの光学中心が画面の対角をなす2点と作る角度、レンズによって明瞭に撮像できる範囲の角度)と同じとされている。そのため、読み取り距離が変化しても、位置決め用マーカ光M1が示す範囲の大きさと読み取り範囲Eの大きさとの関係は変化しない。
【0038】
次に、図2に戻ってマイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学式情報読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0039】
光学系のエリアセンサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号は、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、エリアセンサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像信号の格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0040】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。またROMには、画像処理プログラムの他、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0041】
制御回路40は、光学式情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70等が接続されている。
【0042】
これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取った情報コードによるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部機器とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御、第1、第2マーカ光投射器60、70からのマーカ光M1、M2の投射制御等を可能にしている。なお、操作スイッチ42には、前述のトリガースイッチ14が含まれている。
【0043】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0044】
次に、制御回路40の機能をさらに説明する。図5は制御回路40の機能のうち、手ぶれ補正に関する機能を示すブロック図である。制御回路40は、CPUが、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、図5に示す各部401〜405としての機能を実現する。なお、図5において矢印は信号・制御の流れを示している。
【0045】
手ぶれ補正用マーカ形成制御部401は、マーカ形成回路71を制御するものである。マーカ形成回路71は、図5には図示していない第2マーカ光投射器70のレーザダイオードを駆動させるレーザダイオード駆動回路であり、マーカ形成回路71が制御されることにより、第2マーカ光投射器70では、手ぶれ補正用マーカ光M2が生成されて読み取り面Rへ照射される。これにより、読み取り面Rには、図4に示したように、読み取り範囲Eの周縁部分に、手ぶれ補正用マーカ光M2が映し出される。なお、この手ぶれ補正用マーカ形成制御部401、および、マーカ形成回路71、第2マーカ光投射器70により、特許請求の範囲の特徴図形形成手段が構成される。
【0046】
読み取り範囲Eの画像がエリアセンサ23に取り込まれる(撮像される)ことにより、読み取り面Rに映し出された手ぶれ補正用マーカ光M2もエリアセンサ23に取り込まれる。エリアセンサ23からは、取り込んだ画像信号が、図5では省略している増幅回路31、A/D変換回路33を介してメモリ35に蓄積される。
【0047】
手ぶれ補正用マーカ検出部402は、特許請求の範囲の特徴図形検出手段に相当するものであり、メモリ35から画像信号を取得し、取得した画像信号から、各画素の輝度と輝度閾値との比較などの方法により、手ぶれ補正用マーカ光M2を検出する。そして、検出した手ぶれ補正用マーカ光M2の位置を示す位置情報を軌跡追跡部403へ送る。
【0048】
軌跡追跡部403は、特許請求の範囲の軌跡範囲決定手段に相当しており、手ぶれ補正用マーカ検出部402から取得した手ぶれ補正用マーカ光M2の位置情報をもとに、その手ぶれ補正用マーカ光M2が撮像されている一枚の画像内で手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡を追跡していって、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定する。
【0049】
軌跡範囲の決定に際しては、手ぶれの影響が出る画素数を予め決定しておく。手ぶれの影響が出る画素数は次のように、総画素数、画角、シャッター速度(すなわち露光時間)、手ぶれの角速度の4つを用いて算出する。なお、手ぶれの角速度には、統計的に求めた推定角速度を用いる。次に、手ぶれの影響が出る画素数の計算方法を具体的に説明する。たとえば、総画素数33万画素、水平画角15°、シャッター速度1/30秒、手ぶれの角速度3°/秒であったとする。まず、下記式1の計算から、1回のシャッター時間に生じる手ぶれの角度xを求める。
【数1】
【0050】
次に、下記式2の計算から、1回のシャッター時間、すなわち、1回の露光時間内に手ぶれにより生じる画素数yを計算する。
【数2】
【0051】
このようにして、手ぶれの影響が出る画素数は予め計算することができる。なお、以下では小数点1桁目を切り上げ、5画素を、手ぶれの影響が出る画素数とする。
【0052】
このようにして予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数を用いて、軌跡範囲の決定では、まず、手ぶれ補正用マーカ光M2を示す入射光を受光した画素からの信号のうち、輝度が最高輝度値となる画素を決定する。そして、その輝度最高値を検出した画素の周辺の画素が検出した輝度を、できるだけ高い輝度をたどっていって予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数分とする。このようにして、軌跡範囲を決定する。
【0053】
次に、図6に示す例を用いて軌跡範囲の決定手順を具体的に説明する。図6(1)〜(5)において、各マス目は画素を概念的に示しており、各マス目内の数値は各画素が検出した輝度を示している。(1)〜(5)の輝度を比較すれば分かるように、(1)〜(5)は、いずれも同一の画像信号である。
【0054】
まず、最初に、上述の輝度最高値の画素を決定する。この例においては、(1)に破線で囲った画素が輝度最高値の画素である。次に、この輝度最高値から、できるだけ高い輝度の画素をたどっていくことになる。この際には、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡を撮像していると決定した画素を基準としてその周囲の8画素の輝度を比較し、8画素の中で最も高い輝度の画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素に決定する。この処理(以下、軌跡移動画素決定処理という)を、軌跡範囲の画素数が、上述の手ぶれの影響が出る画素数となるまで行う。
【0055】
図6(2)に示すように、1回目の軌跡移動画素決定処理では、輝度最高値「50」を検出した画素の周囲(太線で囲った範囲)の8画素の輝度を比較し、最も輝度が高い「32」の輝度を検出した画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素とする。よって、この時点では、破線で囲った2画素が軌跡範囲の画素となる。2回目の軌跡移動画素決定処理では、図6(3)に示すように、輝度「32」を検出した画素の周囲の8画素の輝度を比較し、すでに軌跡範囲としている画素を除いたうちで最も輝度が高い「36」の輝度を検出した画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素とする。よって、この時点では、図6(3)において破線で囲った3画素が軌跡範囲の画素となる。同様に3回目の軌跡移動画素決定処理を行うことにより、図6(4)において破線で囲った4画素が軌跡範囲の画素となる。さらに、4回目の軌跡移動画素決定処理を行うことにより、図6(5)において破線で囲った5画素が軌跡範囲の画素となる。ここで、軌跡範囲の画素が5画素、すなわち、予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数に到達したので、軌跡範囲は、図6(5)において破線で囲った範囲の5画素と決定する。軌跡追跡部403は、このようにして決定した軌跡範囲を補正係数決定部404に送る。
【0056】
補正係数決定部404は、特許請求の範囲の補正値決定手段に相当するものであり、軌跡追跡部403から送られた軌跡範囲の輝度を、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数に決定する。そして、決定した輝度補正係数を手ぶれ補正部405に送る。
【0057】
手ぶれ補正部405は、特許請求の範囲の補正手段に相当するものであり、補正係数決定部404から送られてきた輝度補正係数を用いて、情報コードDのデコードに使う画像の各画素の輝度値を補正する。図7は手ぶれ補正部405における輝度補正方法を概念的に示す説明図である。この図7は、同図において、輝度値aを補正する場合の説明図である。なお、同図において、b〜eもある輝度値を意味している。
【0058】
この場合、輝度値aの補正後の値(a’とする)は、輝度値aの画素を基準として前述の軌跡範囲の画素値(a〜e)に対して、それぞれ、補正係数決定部404から送られてきた輝度補正係数を用いて加重平均を算出した値である。すなわち、補正後輝度値a’は、下記式3から算出する。手ぶれ補正部405では、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲内の画素、或いは、全画素に対してこのようにして補正後輝度値を算出する。
【数3】
【0059】
次に、本実施形態の光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を図8に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1では、操作者が読み取り位置を決定するための目印とするために、第1マーカ光投射器60から位置決め用マーカ光M1を読み取り面Rに照射する。
【0060】
続くステップS2では、照明光を読み取り面Rに照射するとともに、第2マーカ光投射器70から手ぶれ補正用マーカ光M2を読み取り面Rに照射する。なお、このステップS2では、位置決め用マーカ光M1は照射しない。その状態で、エリアセンサ23の露光を行い、エリアセンサ23から画像信号を取り込んでメモリ35に保存する。
【0061】
続くステップS3では、ステップS2で取り込んだ画像信号のうち、予め設定された軌跡追跡領域T1の画像信号をメモリ35から取得する。図9に、この軌跡追跡領域T1の一例を示す。図9に示す例は、全画素は、横640画素、縦480画素であり、軌跡追跡領域T1は、100×100画素とされている。また、この軌跡追跡領域T1の位置は、位置決め用マーカ光M1との相対的位置が予め決定されており、また、この軌跡追跡領域T1には、手ぶれ補正用マーカ光M2が含まれるようになっている。なお、図8に示すフローチャートでは、手ぶれ補正用マーカ光M2が照射されているときは、位置決め用マーカ光M1は照射されないが、図9には、比較のために、位置決め用マーカ光M1と手ぶれ補正用マーカ光M2とを両方示している。さらに、ステップS3では、メモリ35から取得した軌跡追跡領域T1の画像信号から、手ぶれ補正用マーカ光M2の位置、正確には、手ぶれ補正用マーカ光M2の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した画素を決定する。
【0062】
続くステップS4では、輝度最高値から、できるだけ高い輝度の画素を、予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数分たどっていくことで、軌跡範囲を決定する。そして、ステップS5では、ステップS4で決定した軌跡範囲の輝度値を輝度補正係数として決定する。続くステップS6では、ステップS5で決定した輝度補正係数を用いてステップS2で取り込んだ画素に対して補正後輝度値を算出することで補正画像を作成する。
【0063】
続くステップS7では、ステップS6で作成した補正画像を用いてデコード処理を行う。このデコード処理は、たとえば、所定の閾値により補正画像を二値化し、二値化後の画像を用いて行う。そして、ステップS8では、ステップS7のデコード処理においてデコードが成功したか否かを判断する。この判断が肯定判断であれば処理を終了する。一方、否定判断であればステップS1へ戻る。
【0064】
以上、説明した本実施形態によれば、手ぶれ補正用マーカ光M2を照射して、その手ぶれ補正用マーカ光M2が読み取り面Rで反射したことによる入射光がエリアセンサ23に受光されるようにしている。そして、エリアセンサ23から出力される画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2を検出するとともに、その画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定している。このようにして決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数を決定し、輝度補正係数に基づいて位置決め用マーカ光M1で規定される取り込み範囲の画素に対して輝度値を補正して補正後輝度値を算出する。このように、同一の画像信号(すなわち一枚の画像)を用いて軌跡範囲を決定し、その軌跡範囲に基づいて補正後輝度値を決定しているので、画像を2回撮像する必要がある従来技術に比較して、手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【0065】
また、本実施形態によれば、手ぶれ補正用マーカ光M2は、エリアセンサ23の視野範囲の周縁部分に照射されている。こにれ対して、情報コードDを撮像する場合、操作者は、読み取り対象となる情報コードDが視野範囲の中央にくるように撮像位置を決定することが通常である。従って、情報コードDと手ぶれ補正用マーカ光M2とが比較的離れることになる。よって、画像信号から情報コードDの情報を読み取る際に、手ぶれ補正用マーカ光M2が邪魔になって情報コードDから情報を読み取りにくくなることを抑制できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0067】
(変形例1)
前述の実施形態では、位置決め用マーカ光M1とは別に、手ぶれ補正用マーカ光M2を照射するようにしていたが、位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いるようにしてもよい。図10は、位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる場合の位置決め用マーカ光M1の一例を示す図である。図10に示す位置決め用マーカ光M1は、図4、9に示した4つの位置決め用マーカ光M1に加えて、それら4つの位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲の中心にも位置決め用マーカ光M1が照射されている。この中心の位置決め用マーカ光M1は、撮像範囲の中心位置を決めるために用いることができるマーカ光である。加えて、変形例1では、この中心の位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる。
【0068】
図11は、変形例1において、光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を示すフローチャートである。図11において、図8と同じ処理を行うステップには同じステップ番号を付している。図11では、まず、ステップS2−1において、図8のステップS2に類似する処理を実行する。このステップS2−1の処理は、手ぶれ補正用マーカ光M2に代えて、位置決め用マーカ光M1を照射する点が図8のステップS2と異なるのみである。次に、図8のステップS3に類似するステップS3−1を実行する。ステップS3−1では、ステップS2−1で取り込んだ画像信号から、予め設定された軌跡追跡領域T2の画像信号をメモリ35から取得する。軌跡追跡領域T2は、図10に示したように、中心の位置決め用マーカ光M1が含まれるようになっている。なお、軌跡追跡領域T2の画素数は図9の軌跡追跡領域T1の画素数と同じである。このステップS3−1を実行後は、図8と同じステップS4、S5を実行して軌跡範囲を決定し、輝度補正係数を決定する。続くステップS6−1では、ステップS1で取得した画像信号のうち、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲の画素に対して輝度補正係数を算出することで補正画像を作成する。その後、図8と同じステップS7、S8を実行する。
【0069】
この変形例1によれば、情報コードDの読み取り位置を決定するための位置決め用マーカ光M1を用いて輝度補正係数を決定することになる。よって、輝度補正係数を決定するための光像を位置決め用マーカ光M1とは別に照射する必要がなくなる。
【0070】
(変形例2)
前述の実施形態では、エリアセンサ23はモノクロのセンサであったが、エリアセンサ23として複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いてもよい。前述の実施形態では、特徴図形として用いている手ぶれ補正用マーカ光M2は赤色であったが、カラーセンサを用いれば、種々の色の特徴図形を検出することができる。
【0071】
また、カラーセンサを用いる場合には、色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて特徴図形を検出するとともに、特徴図形の軌跡範囲を決定すればよい。このようにすれば、特徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲の決定が容易になる。
【0072】
具体例を用いて説明すると、図12は、カラーセンサであるカラーCCDにて撮像した画像に画像補間処理を施して、各画素にRGBの色情報が割り当てられていることを示す図である。図12において、各四角は画素を意味しており、四角内の数値は、上からR、G、Bのデジタル値である。また、特徴図形は赤色に最も近いとする。この場合、各画素のR値を用いて徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲を決定することになる。
【0073】
(その他の変形例)
また、前述の実施形態では、手ぶれ補正用マーカ光M2の光源としてレーザダイオードを用いていたが、その光源として発光ダイオードを用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10:光学式情報読取装置(撮像装置)、 11:ハウジング本体、 11a:読取口、 12:グリップ部、 14:トリガースイッチ、 15:プリント配線板、 16:プリント配線板、 20:回路部、 21:発光ダイオード、 23:エリアセンサ(受光センサ)、 23a:受光面、 27:結像レンズ、 31:増幅回路、 33:A/D変換回路、 35:メモリ、 36:アドレス発生回路、 38:同期信号発生回路、 40:制御回路、 41:電源スイッチ、 42:操作スイッチ、 43:LED、 44:ブザー、 46:液晶表示器、 48:通信インタフェース、 49:電池、 60:第1マーカ光投射器、 62:レーザダイオード、 64:コリメートレンズ、 66:回折格子プレート、 68:視野絞り、 70:第2マーカ光投射器、 71:マーカ形成回路、 401:手ぶれ補正用マーカ形成制御部、 402:手ぶれ補正用マーカ検出部(特徴図形検出手段)、 403:軌跡追跡部(軌跡範囲決定手段)、 404:補正係数決定部(補正値決定手段)、 405:手ぶれ補正部(補正手段)、 D:情報コード、 E:読み取り範囲、 Lf:照明光、 Lr:反射光、 M1:位置決め用マーカ光、 M2:手ぶれ補正用マーカ光(特徴図形の光像)、 R:読み取り面、 T1:軌跡追跡領域、 T2:軌跡追跡領域
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置に関し、特に、手ぶれ補正を行うことができる撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
手ぶれ補正を行うことができる撮像装置が種々知られている。たとえば、特許文献1では、特徴点の移動量を求め、その特徴点の移動量に基づいて各画素の座標値の補正を行なっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000−298300号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特徴点の移動量に基づいて手ぶれ補正を行う場合、移動前と移動後の少なくとも2回の画像を撮像する必要があることから、補正に時間がかかってしまうという問題があった。また、撮像装置を、情報コードを読み取るために用いる場合、このような補正方法では読み取り速度の低下を招いてしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、この事情に基づいて成されたものであり、その目的とするところは、手ぶれ補正を高速に行うことができる撮像装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
その目的を達成するための請求項1記載の発明は、入射光を受光する受光素子が二次元に配列され、その受光素子の信号からなる画像信号を出力する受光センサと、前記受光センサ上に像を結像させる結像レンズとを備えた撮像装置であって、特徴図形の光像を形成して外部に照射するものであって、この特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が前記受光センサの受光素子に受光されるように、前記特徴図形の光像を照射する特徴図形形成手段と、前記受光センサから出力される画像信号から、前記特徴図形の光像を検出する特徴図形検出手段と、その特徴図形の光像を検出した画像信号から、前記特徴図形の光像の軌跡範囲を決定する軌跡範囲決定手段と、その軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定する補正値決定手段と、その輝度補正値に基づいて、受光センサから出力された画像信号を補正する補正手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
本発明では、特徴図形の光像を照射して、その特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が受光センサの受光素子に受光されるようにしている。そして、受光センサから出力される画像信号から特徴図形を検出するとともに、その画像信号から特徴図形の軌跡範囲を決定している。このようにして決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定し、輝度補正値に基づいて画像信号を補正する。このように、同一の画像信号(すなわち一枚の画像)を用いて軌跡範囲を決定し、その軌跡範囲の輝度に基づいて決定しているので、画像を2回撮像する必要がある従来技術に比較して、手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【0008】
請求項2記載の発明は、前記結像レンズにより定まる受光センサの画角と、その受光センサに対する露光時間と、予め設定された手ぶれ推定角速度とに基づいて、手ぶれの影響が出る受光素子の数を推定した手ぶれ影響素子数が決定され、前記軌跡範囲決定手段は、前記軌跡範囲を、前記手ぶれ影響素子数に基づいて決定することを特徴とする。
【0009】
このように、軌跡範囲を手ぶれ影響素子数に基づいて決定することで、特徴図形の軌跡範囲を精度よく決定することができる。よって、補正手段による画像信号の補正の精度も向上する。
【0010】
請求項3記載の発明は、前記軌跡範囲決定手段は、前記特徴図形検出手段により検出された前記特徴図形の光像の画像信号の輝度から、前記特徴図形の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した受光素子を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって前記手ぶれ影響素子数分とすることにより、前記軌跡範囲を決定する。
【0011】
このように、特徴図形の輝度最高値を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって手ぶれ影響素子数分とすれば、たどった範囲は、輝度最高値の部分の手ぶれによる軌跡と考えることができるので、容易に軌跡範囲を決定することができる。
【0012】
本発明の撮像装置は、情報コードを読み取る情報コード読み取り装置に適用することができる。その場合、請求項4記載のように、前記撮像装置は、情報コードを撮像するものであり、情報コードが撮像された画像信号から情報を読み取る情報読み取り手段を備え、その情報読み取り手段は、前記補正手段により補正された画像信号に基づいて前記情報コードの読み取りを行うことを特徴とする。
【0013】
撮像した画像が手ぶれによりボケていると、情報コードを撮像した画像から情報コードの情報を読み取ることが困難になる。よって、手ぶれ補正を行うことができる本発明の撮像装置を、情報コードを読み取るための装置に用いることで、情報コードの読み取り精度を向上させることができる。
【0014】
また、本発明を情報コード読み取り装置に適用する場合、請求項5のように、前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像を、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内においてその周縁部分に照射することが好ましい。
【0015】
通常、撮像装置により情報コードを撮像する場合、操作者は、読み取り対象となる情報コードが視野範囲の中央にくるように撮像装置の撮像位置を決定する。従って、このように、特徴図形の光像を視野範囲内においてその周縁部分に照射するようにすれば、情報コードと特徴図形の光像とが比較的離れることになる。よって、画像信号から情報コードの情報を読み取る際に、特徴図形の光像が邪魔になって情報コードから情報を読み取りにくくなることを抑制できる。
【0016】
また、本発明を情報コード読み取り装置に適用する場合、請求項6のようにすることも好ましい。その請求項6記載の発明は、前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像として、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内に、前記情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を照射することを特徴とする。
【0017】
このようにすれば、情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を用いて手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定することになる。よって、輝度補正値を決定するための光像をマーカ像とは別に照射する必要がなくなる。
【0018】
また、輝度補正値を決定するための画像信号を、請求項7のように、受光センサの受光素子の一部からの画像信号に限定することもできる。その請求項7記載の発明は、前記特徴図形検出手段が特徴図形を検出する画像信号、および、前記軌跡範囲決定手段が前記特徴図形の軌跡範囲を決定する画像信号は、前記受光センサの全部の受光素子からの画像信号のうち、前記特徴図形の光像を示す入射光を受光する受光素子を含む一部の受光素子からの信号に限定されており、前記補正手段が補正を行う画像信号は、前記特徴図形検出手段、軌跡範囲決定手段において用いる画像信号よりも広い範囲に設定されていることを特徴とする。
【0019】
このようにすれば、特徴図形の検出、および特徴図形の軌跡範囲の決定を、情報コードの読み取りに用いる画像信号よりも狭い範囲の画像信号とするので、軌跡範囲の決定をより速く行うことができる。その結果、手ぶれ補正や、情報コードの読み取りに要する全体の時間もより短くすることができる。
【0020】
請求項8記載の発明は、前記受光センサとして、複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いることを特徴とする。カラーセンサを用いることで、種々の色の特徴図形を検出することができる。
【0021】
また、カラーセンサを用いる場合、請求項9のようにすることが好ましい。その請求項8記載の発明は、前記特徴図形検出手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形を検出し、前記軌跡範囲決定手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形の軌跡範囲を決定することを特徴とする。このようにすれば、特徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲の決定が容易になる。
【0022】
また、特徴図形形成手段は、請求項10のように、光源として発光ダイオードを用いて前記特徴図形の光像を照射してもよいし、また、請求項11のように、光源としてレーザ素子を用いて前記特徴図形の光像を照射してもよい。光源として発光ダイオードを用いれば、発光ダイオードは安価であることから、装置を安価にすることができる。また、光源としてレーザ素子を用いれば、特徴図形の光像を明瞭にすることができるので、補正精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態に係る光学式情報読取装置10のハウジング11等の構成概要を示す部分縦断面図である。
【図2】実施形態に係る光学情報読取装置10の回路部20の構成概要を示すブロック図である。
【図3】マーカ光投射器60の構成を示す説明図である。
【図4】位置決め用マーカ光M1のパターンおよび手ぶれ補正用マーカ光M2をそれぞれ例示する図である。
【図5】制御回路40の機能のうち、手ぶれ補正に関する機能を示すブロック図である。
【図6】軌跡範囲の決定手順を具体的に説明する図である。
【図7】手ぶれ補正部406における輝度補正方法を概念的に示す説明図である。
【図8】本実施形態の光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を図8に示すフローチャートである。
【図9】軌跡追跡領域Tの一例を示す図である。
【図10】置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる場合の位置決め用マーカ光M1の一例を示す図である。
【図11】形例1において、光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を示すフローチャートである。
【図12】カラーCCDにて撮像した画像に画像補間処理を施して、各画素にRGBの色情報が割り当てられていることを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に説明する実施形態は、本発明の撮像装置としての機能を備えた光学式情報読取装置である。まず、本実施形態に係る光学式情報読取装置10の構成概要を図1及び図2に基づいて説明する。
【0025】
図1に示すように、光学式情報読取装置10は、丸みを帯びた薄型のほぼ矩形箱状なすハウジング本体11と、このハウジング本体11の下面ほぼ中央後端寄りにハウジング本体11に一体に形成されるグリップ部12と、からなるガンタイプのハウジングを備えている。このグリップ部12は、作業者が片手で把持可能な程度の外径に設定されており、当該グリップ部12を握った作業者の人差し指が当接する部位に、後述する照明光Lfやマーカ光M1、M2の出射を指示するトリガースイッチ14が設けられている。
【0026】
ハウジング本体11の内部には、後述する回路部20が収容されており、またハウジング本体11の先端部には、照明光Lfを出射可能、且つ、反射光Lrが入射可能な読取口11aが形成されている。ハウジング本体11内の読取口11aの付近には、マーカ光M1、M2をそれぞれ投射する第1、第2マーカ光投射器60、70が配置されている。また、図1には図示しないが、ハウジング本体11内の読取口11aの付近には、照明光Lfを照射する発光ダイオード21(図2参照)も配置されている。なお、図1には、回路部20を構成するプリント配線板15、16や、このプリント配線板16に実装されるエリアセンサ23、結像レンズ27等も図示されている。
【0027】
図2に示すように、回路部20は、主に、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23、結像レンズ27等の光学系と、メモリ35、制御回路40、操作スイッチ42、液晶表示器46等のマイクロコンピュータ(以下「マイコン」という)系と、電源スイッチ41、電池49等の電源系と、から構成されており、前述したプリント配線板15、16に実装あるいはハウジング本体11内に内装されている。
【0028】
光学系は、前述のように、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23、結像レンズ27等から構成されている。発光ダイオード21は、ハウジング本体11の読取口11aを介して読み取り面Rに向けて照明光Lfを照射可能に構成されている。なお、図2には、便宜上、発光ダイオード21を1つしか示していないが、発光ダイオード21は適宜複数備えられる。発光ダイオード21により照明される読み取り面Rには、一次元コードや二次元コードなどの情報コードDが記録されている。なお、記録形態としては、印刷、刻印等がある。
【0029】
エリアセンサ23は、読み取り面Rに照射されて反射した反射光Lrを受光可能に構成されるもので、例えば、C−MOSやCCD等の固体撮像素子である受光素子を数10万から数100万個オーダでm行n列の2次元に配列して構成されている。このエリアセンサ23が特許請求の範囲の受光センサに相当する。エリアセンサ23の受光素子は、受光した光を電気信号に変換して出力する光電変換素子であり、以下では、画素と呼ぶこともある。各受光素子からは、その素子が受光した光を示す信号が出力される。なお、本実施形態では、エリアセンサ23は、モノクロのセンサであるとする。
【0030】
このエリアセンサ23の受光面23aは、ハウジング本体11外から読取口11aを介して外観可能に位置しており、エリアセンサ23は、結像レンズ27を介して入射する入射光をこの受光面23aで受光可能にプリント配線板16に実装されている。
【0031】
結像レンズ27は、外部から読取口11aを介して入射する入射光を集光してエリアセンサ23の受光面23aに像を結像可能な結像光学系として機能するもので、例えば、鏡筒とこの鏡筒内に収容される複数の集光レンズとにより構成されている。本実施形態では、発光ダイオード21から照射された照明光Lfが情報コードDに反射して読取口11aに入射する反射光Lrを集光することにより、エリアセンサ23の受光面23aにコード像を結像可能にしている。
【0032】
図3は、第1マーカ光投射器60の構成を示す説明図である。第1マーカ光投射器60は、情報コードDの読み取り位置を示す位置決め用マーカ光M1を読み取り面Rに投射するもので、図3に示すように、レーザダイオード62とこのレーザダイオード62の出射側に設けられるコリメートレンズ64、位置決め用マーカ光M1のパターンを形成可能な回折格子プレート66、所定形状のスリットが設けられた視野絞り68等とから構成されている。
【0033】
視野絞り68は、種々のスリット形状のものに切り替え可能に構成されており、このスリット形状を切り替えることにより、位置決め用マーカ光M1のパターンを種々のパターンに切り替えることができる。なお、スリット形状を切り替えることにより位置決め用マーカ光M1のパターンを切り替えられることは特開2008−191999号公報に詳しく説明されているので、ここでの説明は省略する。
【0034】
第2マーカ光投射器70は、第1マーカ光投射器60から回折格子プレート66と視野絞り68を除いた構成を有している。すなわち、第2マーカ光投射器70はレーザダイオードとコリメートレンズとを備えている。この構成により、第2マーカ光投射器70は、小さな円形の手ぶれ補正用マーカ光M2を読み取り面Rに投射する。なお、第2マーカ光投射器70は、この第2マーカ光投射器70が備えているレーザダイオードを駆動させるマーカ形成回路71(図5参照)を備えており、マーカ形成回路71がレーザダイオードを駆動させることで、手ぶれ補正用マーカ光M2が形成されて外部に照射される。また、第1マーカ光投射器60も、同様に、マーカ形成回路を備えている。なお、本実施形態では、位置決め用マーカ光M1、手ぶれ補正用マーカ光M2の色はいずれも赤色とする。
【0035】
図4は、第1マーカ光投射器60によって読み取り面Rに投射された位置決め用マーカ光M1のパターンおよび第2マーカ光投射器70によって読み取り面Rに投射された手ぶれ補正用マーカ光M2をそれぞれ例示する図である。図4に示されている位置決め用マーカ光M1は、情報コードDの読み取り範囲Eの四隅をそれぞれ示す4つのL字形状の光像からなる。この位置決め用マーカ光M1が読み取り面Rに示されると、位置決め用マーカ光M1によって示される範囲内に情報コードDを位置させることで、情報コードDを確実に読み取り範囲E内に位置させることができる。
【0036】
また、図4に示すように、手ぶれ補正用マーカ光M2は、本実施形態では略円形である。この手ぶれ補正用マーカ光M2は、特許請求の範囲の特徴図形の光像に相当している。また、この手ぶれ補正用マーカ光M2は、図4に示すように、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲内においてその周縁部に照射されている。なお、読み取り範囲Eはエリアセンサ23の視野範囲とも言えることから、手ぶれ補正用マーカ光M2は、エリアセンサ23の視野範囲の周縁部分に照射されていることになる。
【0037】
また、位置決め用マーカ光M1はマーカ光投射器60から遠くなるほど広がるため、読み取り面Rまでの距離が遠いほど位置決め用マーカ光M1は大きくなる。この位置決め用マーカ光M1の広がりは、回折格子プレート66により調整されており、結像レンズ27の画角(レンズの光学中心が画面の対角をなす2点と作る角度、レンズによって明瞭に撮像できる範囲の角度)と同じとされている。そのため、読み取り距離が変化しても、位置決め用マーカ光M1が示す範囲の大きさと読み取り範囲Eの大きさとの関係は変化しない。
【0038】
次に、図2に戻ってマイコン系の構成概要を説明する。マイコン系は、増幅回路31、A/D変換回路33、メモリ35、アドレス発生回路36、同期信号発生回路38、制御回路40、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48等から構成されている。このマイコン系は、その名の通り、マイコン(情報処理装置)として機能し得る制御回路40およびメモリ35を中心に構成されるもので、前述した光学系によって撮像されたコード像の画像信号をハードウェア的およびソフトウェア的に信号処理し得るものである。また制御回路40は、当該光学式情報読取装置10の全体システムに関する制御も行っている。
【0039】
光学系のエリアセンサ23から出力される画像信号(アナログ信号)は、増幅回路31に入力されることで所定ゲインで増幅された後、A/D変換回路33に入力されると、アナログ信号からディジタル信号に変換される。そして、ディジタル化された画像信号は、メモリ35に入力されて蓄積される。なお、同期信号発生回路38は、エリアセンサ23およびアドレス発生回路36に対する同期信号を発生可能に構成されており、またアドレス発生回路36は、この同期信号発生回路38から供給される同期信号に基づいて、メモリ35に格納される画像信号の格納アドレスを発生可能に構成されている。
【0040】
メモリ35は、半導体メモリ装置で、例えばRAM(DRAM、SRAM等)やROM(EPROM、EEPROM等)がこれに相当する。またROMには、画像処理プログラムの他、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70、発光ダイオード21、エリアセンサ23等の各ハードウェアを制御可能なシステムプログラム等が予め格納されている。
【0041】
制御回路40は、光学式情報読取装置10全体を制御可能なマイコンで、CPU、システムバス、入出力インタフェース等からなるもので、メモリ35とともに情報処理装置を構成し得るもので情報処理機能を有する。この制御回路40は、内蔵された入出力インタフェースを介して種々の入出力装置(周辺装置)と接続可能に構成されており、電源スイッチ41、操作スイッチ42、LED43、ブザー44、液晶表示器46、通信インタフェース48、第1マーカ光投射器60、第2マーカ光投射器70等が接続されている。
【0042】
これにより、例えば、電源スイッチ41や操作スイッチ42の監視や管理、またインジケータとして機能するLED43の点灯・消灯、ビープ音やアラーム音を発生可能なブザー44の鳴動のオンオフ、さらには読み取った情報コードによるコード内容を画面表示可能な液晶表示器46の画面制御や外部機器とのシリアル通信を可能にする通信インタフェース48の通信制御、第1、第2マーカ光投射器60、70からのマーカ光M1、M2の投射制御等を可能にしている。なお、操作スイッチ42には、前述のトリガースイッチ14が含まれている。
【0043】
電源系は、電源スイッチ41、電池49等により構成されており、制御回路40により管理される電源スイッチ41のオンオフによって、上述した各装置や各回路に、電池49から供給される駆動電圧の導通や遮断が制御されている。なお、電池49は、所定の直流電圧を発生可能な2次電池で、例えば、リチウムイオン電池等がこれに相当する。
【0044】
次に、制御回路40の機能をさらに説明する。図5は制御回路40の機能のうち、手ぶれ補正に関する機能を示すブロック図である。制御回路40は、CPUが、ROMに格納されたプログラムを実行することにより、図5に示す各部401〜405としての機能を実現する。なお、図5において矢印は信号・制御の流れを示している。
【0045】
手ぶれ補正用マーカ形成制御部401は、マーカ形成回路71を制御するものである。マーカ形成回路71は、図5には図示していない第2マーカ光投射器70のレーザダイオードを駆動させるレーザダイオード駆動回路であり、マーカ形成回路71が制御されることにより、第2マーカ光投射器70では、手ぶれ補正用マーカ光M2が生成されて読み取り面Rへ照射される。これにより、読み取り面Rには、図4に示したように、読み取り範囲Eの周縁部分に、手ぶれ補正用マーカ光M2が映し出される。なお、この手ぶれ補正用マーカ形成制御部401、および、マーカ形成回路71、第2マーカ光投射器70により、特許請求の範囲の特徴図形形成手段が構成される。
【0046】
読み取り範囲Eの画像がエリアセンサ23に取り込まれる(撮像される)ことにより、読み取り面Rに映し出された手ぶれ補正用マーカ光M2もエリアセンサ23に取り込まれる。エリアセンサ23からは、取り込んだ画像信号が、図5では省略している増幅回路31、A/D変換回路33を介してメモリ35に蓄積される。
【0047】
手ぶれ補正用マーカ検出部402は、特許請求の範囲の特徴図形検出手段に相当するものであり、メモリ35から画像信号を取得し、取得した画像信号から、各画素の輝度と輝度閾値との比較などの方法により、手ぶれ補正用マーカ光M2を検出する。そして、検出した手ぶれ補正用マーカ光M2の位置を示す位置情報を軌跡追跡部403へ送る。
【0048】
軌跡追跡部403は、特許請求の範囲の軌跡範囲決定手段に相当しており、手ぶれ補正用マーカ検出部402から取得した手ぶれ補正用マーカ光M2の位置情報をもとに、その手ぶれ補正用マーカ光M2が撮像されている一枚の画像内で手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡を追跡していって、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定する。
【0049】
軌跡範囲の決定に際しては、手ぶれの影響が出る画素数を予め決定しておく。手ぶれの影響が出る画素数は次のように、総画素数、画角、シャッター速度(すなわち露光時間)、手ぶれの角速度の4つを用いて算出する。なお、手ぶれの角速度には、統計的に求めた推定角速度を用いる。次に、手ぶれの影響が出る画素数の計算方法を具体的に説明する。たとえば、総画素数33万画素、水平画角15°、シャッター速度1/30秒、手ぶれの角速度3°/秒であったとする。まず、下記式1の計算から、1回のシャッター時間に生じる手ぶれの角度xを求める。
【数1】
【0050】
次に、下記式2の計算から、1回のシャッター時間、すなわち、1回の露光時間内に手ぶれにより生じる画素数yを計算する。
【数2】
【0051】
このようにして、手ぶれの影響が出る画素数は予め計算することができる。なお、以下では小数点1桁目を切り上げ、5画素を、手ぶれの影響が出る画素数とする。
【0052】
このようにして予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数を用いて、軌跡範囲の決定では、まず、手ぶれ補正用マーカ光M2を示す入射光を受光した画素からの信号のうち、輝度が最高輝度値となる画素を決定する。そして、その輝度最高値を検出した画素の周辺の画素が検出した輝度を、できるだけ高い輝度をたどっていって予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数分とする。このようにして、軌跡範囲を決定する。
【0053】
次に、図6に示す例を用いて軌跡範囲の決定手順を具体的に説明する。図6(1)〜(5)において、各マス目は画素を概念的に示しており、各マス目内の数値は各画素が検出した輝度を示している。(1)〜(5)の輝度を比較すれば分かるように、(1)〜(5)は、いずれも同一の画像信号である。
【0054】
まず、最初に、上述の輝度最高値の画素を決定する。この例においては、(1)に破線で囲った画素が輝度最高値の画素である。次に、この輝度最高値から、できるだけ高い輝度の画素をたどっていくことになる。この際には、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡を撮像していると決定した画素を基準としてその周囲の8画素の輝度を比較し、8画素の中で最も高い輝度の画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素に決定する。この処理(以下、軌跡移動画素決定処理という)を、軌跡範囲の画素数が、上述の手ぶれの影響が出る画素数となるまで行う。
【0055】
図6(2)に示すように、1回目の軌跡移動画素決定処理では、輝度最高値「50」を検出した画素の周囲(太線で囲った範囲)の8画素の輝度を比較し、最も輝度が高い「32」の輝度を検出した画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素とする。よって、この時点では、破線で囲った2画素が軌跡範囲の画素となる。2回目の軌跡移動画素決定処理では、図6(3)に示すように、輝度「32」を検出した画素の周囲の8画素の輝度を比較し、すでに軌跡範囲としている画素を除いたうちで最も輝度が高い「36」の輝度を検出した画素を、手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡が次に移動した位置の画素とする。よって、この時点では、図6(3)において破線で囲った3画素が軌跡範囲の画素となる。同様に3回目の軌跡移動画素決定処理を行うことにより、図6(4)において破線で囲った4画素が軌跡範囲の画素となる。さらに、4回目の軌跡移動画素決定処理を行うことにより、図6(5)において破線で囲った5画素が軌跡範囲の画素となる。ここで、軌跡範囲の画素が5画素、すなわち、予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数に到達したので、軌跡範囲は、図6(5)において破線で囲った範囲の5画素と決定する。軌跡追跡部403は、このようにして決定した軌跡範囲を補正係数決定部404に送る。
【0056】
補正係数決定部404は、特許請求の範囲の補正値決定手段に相当するものであり、軌跡追跡部403から送られた軌跡範囲の輝度を、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数に決定する。そして、決定した輝度補正係数を手ぶれ補正部405に送る。
【0057】
手ぶれ補正部405は、特許請求の範囲の補正手段に相当するものであり、補正係数決定部404から送られてきた輝度補正係数を用いて、情報コードDのデコードに使う画像の各画素の輝度値を補正する。図7は手ぶれ補正部405における輝度補正方法を概念的に示す説明図である。この図7は、同図において、輝度値aを補正する場合の説明図である。なお、同図において、b〜eもある輝度値を意味している。
【0058】
この場合、輝度値aの補正後の値(a’とする)は、輝度値aの画素を基準として前述の軌跡範囲の画素値(a〜e)に対して、それぞれ、補正係数決定部404から送られてきた輝度補正係数を用いて加重平均を算出した値である。すなわち、補正後輝度値a’は、下記式3から算出する。手ぶれ補正部405では、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲内の画素、或いは、全画素に対してこのようにして補正後輝度値を算出する。
【数3】
【0059】
次に、本実施形態の光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を図8に示すフローチャートを用いて説明する。まず、ステップS1では、操作者が読み取り位置を決定するための目印とするために、第1マーカ光投射器60から位置決め用マーカ光M1を読み取り面Rに照射する。
【0060】
続くステップS2では、照明光を読み取り面Rに照射するとともに、第2マーカ光投射器70から手ぶれ補正用マーカ光M2を読み取り面Rに照射する。なお、このステップS2では、位置決め用マーカ光M1は照射しない。その状態で、エリアセンサ23の露光を行い、エリアセンサ23から画像信号を取り込んでメモリ35に保存する。
【0061】
続くステップS3では、ステップS2で取り込んだ画像信号のうち、予め設定された軌跡追跡領域T1の画像信号をメモリ35から取得する。図9に、この軌跡追跡領域T1の一例を示す。図9に示す例は、全画素は、横640画素、縦480画素であり、軌跡追跡領域T1は、100×100画素とされている。また、この軌跡追跡領域T1の位置は、位置決め用マーカ光M1との相対的位置が予め決定されており、また、この軌跡追跡領域T1には、手ぶれ補正用マーカ光M2が含まれるようになっている。なお、図8に示すフローチャートでは、手ぶれ補正用マーカ光M2が照射されているときは、位置決め用マーカ光M1は照射されないが、図9には、比較のために、位置決め用マーカ光M1と手ぶれ補正用マーカ光M2とを両方示している。さらに、ステップS3では、メモリ35から取得した軌跡追跡領域T1の画像信号から、手ぶれ補正用マーカ光M2の位置、正確には、手ぶれ補正用マーカ光M2の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した画素を決定する。
【0062】
続くステップS4では、輝度最高値から、できるだけ高い輝度の画素を、予め決定しておいた手ぶれの影響が出る画素数分たどっていくことで、軌跡範囲を決定する。そして、ステップS5では、ステップS4で決定した軌跡範囲の輝度値を輝度補正係数として決定する。続くステップS6では、ステップS5で決定した輝度補正係数を用いてステップS2で取り込んだ画素に対して補正後輝度値を算出することで補正画像を作成する。
【0063】
続くステップS7では、ステップS6で作成した補正画像を用いてデコード処理を行う。このデコード処理は、たとえば、所定の閾値により補正画像を二値化し、二値化後の画像を用いて行う。そして、ステップS8では、ステップS7のデコード処理においてデコードが成功したか否かを判断する。この判断が肯定判断であれば処理を終了する。一方、否定判断であればステップS1へ戻る。
【0064】
以上、説明した本実施形態によれば、手ぶれ補正用マーカ光M2を照射して、その手ぶれ補正用マーカ光M2が読み取り面Rで反射したことによる入射光がエリアセンサ23に受光されるようにしている。そして、エリアセンサ23から出力される画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2を検出するとともに、その画像信号から手ぶれ補正用マーカ光M2の軌跡範囲を決定している。このようにして決定した軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正係数を決定し、輝度補正係数に基づいて位置決め用マーカ光M1で規定される取り込み範囲の画素に対して輝度値を補正して補正後輝度値を算出する。このように、同一の画像信号(すなわち一枚の画像)を用いて軌跡範囲を決定し、その軌跡範囲に基づいて補正後輝度値を決定しているので、画像を2回撮像する必要がある従来技術に比較して、手ぶれ補正を高速に行うことが可能になる。
【0065】
また、本実施形態によれば、手ぶれ補正用マーカ光M2は、エリアセンサ23の視野範囲の周縁部分に照射されている。こにれ対して、情報コードDを撮像する場合、操作者は、読み取り対象となる情報コードDが視野範囲の中央にくるように撮像位置を決定することが通常である。従って、情報コードDと手ぶれ補正用マーカ光M2とが比較的離れることになる。よって、画像信号から情報コードDの情報を読み取る際に、手ぶれ補正用マーカ光M2が邪魔になって情報コードDから情報を読み取りにくくなることを抑制できる。
【0066】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、次の実施形態も本発明の技術的範囲に含まれ、さらに、下記以外にも要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施することができる。
【0067】
(変形例1)
前述の実施形態では、位置決め用マーカ光M1とは別に、手ぶれ補正用マーカ光M2を照射するようにしていたが、位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いるようにしてもよい。図10は、位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる場合の位置決め用マーカ光M1の一例を示す図である。図10に示す位置決め用マーカ光M1は、図4、9に示した4つの位置決め用マーカ光M1に加えて、それら4つの位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲の中心にも位置決め用マーカ光M1が照射されている。この中心の位置決め用マーカ光M1は、撮像範囲の中心位置を決めるために用いることができるマーカ光である。加えて、変形例1では、この中心の位置決め用マーカ光M1を手ぶれ補正用マーカ光M2としても用いる。
【0068】
図11は、変形例1において、光学式情報読取装置10が情報コードDから情報を読み取る際に行う処理の要部を示すフローチャートである。図11において、図8と同じ処理を行うステップには同じステップ番号を付している。図11では、まず、ステップS2−1において、図8のステップS2に類似する処理を実行する。このステップS2−1の処理は、手ぶれ補正用マーカ光M2に代えて、位置決め用マーカ光M1を照射する点が図8のステップS2と異なるのみである。次に、図8のステップS3に類似するステップS3−1を実行する。ステップS3−1では、ステップS2−1で取り込んだ画像信号から、予め設定された軌跡追跡領域T2の画像信号をメモリ35から取得する。軌跡追跡領域T2は、図10に示したように、中心の位置決め用マーカ光M1が含まれるようになっている。なお、軌跡追跡領域T2の画素数は図9の軌跡追跡領域T1の画素数と同じである。このステップS3−1を実行後は、図8と同じステップS4、S5を実行して軌跡範囲を決定し、輝度補正係数を決定する。続くステップS6−1では、ステップS1で取得した画像信号のうち、位置決め用マーカ光M1によって規定される矩形範囲の画素に対して輝度補正係数を算出することで補正画像を作成する。その後、図8と同じステップS7、S8を実行する。
【0069】
この変形例1によれば、情報コードDの読み取り位置を決定するための位置決め用マーカ光M1を用いて輝度補正係数を決定することになる。よって、輝度補正係数を決定するための光像を位置決め用マーカ光M1とは別に照射する必要がなくなる。
【0070】
(変形例2)
前述の実施形態では、エリアセンサ23はモノクロのセンサであったが、エリアセンサ23として複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いてもよい。前述の実施形態では、特徴図形として用いている手ぶれ補正用マーカ光M2は赤色であったが、カラーセンサを用いれば、種々の色の特徴図形を検出することができる。
【0071】
また、カラーセンサを用いる場合には、色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて特徴図形を検出するとともに、特徴図形の軌跡範囲を決定すればよい。このようにすれば、特徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲の決定が容易になる。
【0072】
具体例を用いて説明すると、図12は、カラーセンサであるカラーCCDにて撮像した画像に画像補間処理を施して、各画素にRGBの色情報が割り当てられていることを示す図である。図12において、各四角は画素を意味しており、四角内の数値は、上からR、G、Bのデジタル値である。また、特徴図形は赤色に最も近いとする。この場合、各画素のR値を用いて徴図形の検出および特徴図形の軌跡範囲を決定することになる。
【0073】
(その他の変形例)
また、前述の実施形態では、手ぶれ補正用マーカ光M2の光源としてレーザダイオードを用いていたが、その光源として発光ダイオードを用いてもよい。
【符号の説明】
【0074】
10:光学式情報読取装置(撮像装置)、 11:ハウジング本体、 11a:読取口、 12:グリップ部、 14:トリガースイッチ、 15:プリント配線板、 16:プリント配線板、 20:回路部、 21:発光ダイオード、 23:エリアセンサ(受光センサ)、 23a:受光面、 27:結像レンズ、 31:増幅回路、 33:A/D変換回路、 35:メモリ、 36:アドレス発生回路、 38:同期信号発生回路、 40:制御回路、 41:電源スイッチ、 42:操作スイッチ、 43:LED、 44:ブザー、 46:液晶表示器、 48:通信インタフェース、 49:電池、 60:第1マーカ光投射器、 62:レーザダイオード、 64:コリメートレンズ、 66:回折格子プレート、 68:視野絞り、 70:第2マーカ光投射器、 71:マーカ形成回路、 401:手ぶれ補正用マーカ形成制御部、 402:手ぶれ補正用マーカ検出部(特徴図形検出手段)、 403:軌跡追跡部(軌跡範囲決定手段)、 404:補正係数決定部(補正値決定手段)、 405:手ぶれ補正部(補正手段)、 D:情報コード、 E:読み取り範囲、 Lf:照明光、 Lr:反射光、 M1:位置決め用マーカ光、 M2:手ぶれ補正用マーカ光(特徴図形の光像)、 R:読み取り面、 T1:軌跡追跡領域、 T2:軌跡追跡領域
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光を受光する受光素子が二次元に配列され、その受光素子の信号からなる画像信号を出力する受光センサと、
前記受光センサ上に像を結像させる結像レンズとを備えた撮像装置であって、
特徴図形の光像を形成して外部に照射するものであって、この特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が前記受光センサの受光素子に受光されるように、前記特徴図形の光像を照射する特徴図形形成手段と、
前記受光センサから出力される画像信号から、前記特徴図形の光像を検出する特徴図形検出手段と、
その特徴図形の光像を検出した画像信号から、前記特徴図形の光像の軌跡範囲を決定する軌跡範囲決定手段と、
その軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定する補正値決定手段と、
その輝度補正値に基づいて、受光センサから出力された画像信号を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記結像レンズにより定まる受光センサの画角と、その受光センサに対する露光時間と、予め設定された手ぶれ推定角速度とに基づいて、手ぶれの影響が出る受光素子の数を推定した手ぶれ影響素子数が決定され、
前記軌跡範囲決定手段は、前記軌跡範囲を、前記手ぶれ影響素子数に基づいて決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記軌跡範囲決定手段は、前記特徴図形検出手段により検出された前記特徴図形の光像の画像信号の輝度から、前記特徴図形の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した受光素子を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって前記手ぶれ影響素子数分とすることにより、前記軌跡範囲を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記撮像装置は、情報コードを撮像するものであり、
情報コードが撮像された画像信号から情報を読み取る情報読み取り手段を備え、
その情報読み取り手段は、前記補正手段により補正された画像信号に基づいて前記情報コードの読み取りを行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像を、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内においてその周縁部分に照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像として、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内に、前記情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記特徴図形検出手段が特徴図形を検出する画像信号、および、前記軌跡範囲決定手段が前記特徴図形の軌跡範囲を決定する画像信号は、前記受光センサの全部の受光素子からの画像信号のうち、前記特徴図形の光像を示す入射光を受光する受光素子を含む一部の受光素子からの信号に限定されており、
前記補正手段が補正を行う画像信号は、前記特徴図形検出手段、軌跡範囲決定手段において用いる画像信号よりも広い範囲に設定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記受光センサとして、複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記特徴図形検出手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形を検出し、
前記軌跡範囲決定手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形の軌跡範囲を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記特徴図形形成手段は、光源として発光ダイオードを用いて前記特徴図形の光像を照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記特徴図形形成手段は、光源としてレーザ素子を用いて前記特徴図形の光像を照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項1】
入射光を受光する受光素子が二次元に配列され、その受光素子の信号からなる画像信号を出力する受光センサと、
前記受光センサ上に像を結像させる結像レンズとを備えた撮像装置であって、
特徴図形の光像を形成して外部に照射するものであって、この特徴図形の光像が外部の物体で反射したことによる入射光が前記受光センサの受光素子に受光されるように、前記特徴図形の光像を照射する特徴図形形成手段と、
前記受光センサから出力される画像信号から、前記特徴図形の光像を検出する特徴図形検出手段と、
その特徴図形の光像を検出した画像信号から、前記特徴図形の光像の軌跡範囲を決定する軌跡範囲決定手段と、
その軌跡範囲の輝度に基づいて、手ぶれによる輝度変化を補正するための輝度補正値を決定する補正値決定手段と、
その輝度補正値に基づいて、受光センサから出力された画像信号を補正する補正手段と
を備えることを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記結像レンズにより定まる受光センサの画角と、その受光センサに対する露光時間と、予め設定された手ぶれ推定角速度とに基づいて、手ぶれの影響が出る受光素子の数を推定した手ぶれ影響素子数が決定され、
前記軌跡範囲決定手段は、前記軌跡範囲を、前記手ぶれ影響素子数に基づいて決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記軌跡範囲決定手段は、前記特徴図形検出手段により検出された前記特徴図形の光像の画像信号の輝度から、前記特徴図形の輝度最高値およびその輝度最高値を検出した受光素子を決定し、その輝度最高値を検出した受光素子からできるだけ高い輝度を検出した受光素子をたどっていって前記手ぶれ影響素子数分とすることにより、前記軌跡範囲を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項において、
前記撮像装置は、情報コードを撮像するものであり、
情報コードが撮像された画像信号から情報を読み取る情報読み取り手段を備え、
その情報読み取り手段は、前記補正手段により補正された画像信号に基づいて前記情報コードの読み取りを行うことを特徴とする撮像装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像を、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内においてその周縁部分に照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項6】
請求項4または5において、
前記特徴図形形成手段は、前記特徴図形の光像として、前記結像レンズによって定まる受光センサの視野範囲内に、前記情報コードの読み取り位置を示すマーカ像を照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項において、
前記特徴図形検出手段が特徴図形を検出する画像信号、および、前記軌跡範囲決定手段が前記特徴図形の軌跡範囲を決定する画像信号は、前記受光センサの全部の受光素子からの画像信号のうち、前記特徴図形の光像を示す入射光を受光する受光素子を含む一部の受光素子からの信号に限定されており、
前記補正手段が補正を行う画像信号は、前記特徴図形検出手段、軌跡範囲決定手段において用いる画像信号よりも広い範囲に設定されていることを特徴とする撮像装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項において、
前記受光センサとして、複数の色フィルタを備えたカラーセンサを用いることを特徴とする撮像装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記特徴図形検出手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形を検出し、
前記軌跡範囲決定手段は、前記色フィルタによって分けられる複数の色の画像信号のうち、前記特徴図形の光像の色に最も近い色の画像信号に基づいて、前記特徴図形の軌跡範囲を決定することを特徴とする撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記特徴図形形成手段は、光源として発光ダイオードを用いて前記特徴図形の光像を照射することを特徴とする撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項において、
前記特徴図形形成手段は、光源としてレーザ素子を用いて前記特徴図形の光像を照射することを特徴とする撮像装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−174215(P2012−174215A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−38684(P2011−38684)
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】
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