説明

撮影コマ画像処理装置とこれを組み込んだ写真処理システム

【課題】撮影コマ画像の配置を規定するテンプレートの種類を出来るだけ少なくしながらもユーザやオペレータの作業負担をかけずに、多数の撮影コマ画像を不規則に配置させた複数撮影コマ画像プリントを出力する撮影コマ画像処理装置を提供する。
【解決手段】少なくとも、前記撮影コマ画像を嵌め込むための複数の画像枠がランダムに配置されている第1のテンプレートレイヤと、前記第1のテンプレートレイヤより多くの数の画像枠が第1のテンプレートレイヤと重ね合わせた際に重なり合う画像枠同士が所定レベル以上に重なり合わないようにランダムに配置されている第2のテンプレートレイヤとを格納しているテンプレートレイヤ格納部47と、選択されたテンプレートレイヤを重ね合わせて設定された実行テンプレートレイヤの各画像枠に対して複数の撮影コマ画像をリンクする画像枠リンク部46eを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定プリントサイズのプリント記録媒体に複数の撮影コマ画像を形成した複数撮影コマ画像プリントを出力するためのプリントデータを生成する撮影コマ画像処理技術と、この技術を採用した写真処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、1枚の写真プリントシートに複数の撮影コマ画像を不規則に配置して従来の写真プリントにはない楽しさを与えるプリントを出力するプリントサービスが提案されており、そのような複数撮影コマ画像プリントを出力するために、予め複数の画像枠を不規則に配置したテンプレート図面とその各画像枠に割り当てる撮影コマ画像番号がユーザによって記入されている欄とを有する写真プリント注文用紙としてのログインシートの注文内容を自動的に読み取り、各画像枠の位置を確定するとともに、この画像枠に嵌め込まれる撮影コマ画像を写真フィルムから読み取り、ログインシートによって規定された特定の位置に特定の撮影コマ画像を配置させた複数撮影コマ画像プリントを出力する画像処理装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このようなログインシートを用いた複数撮影コマ画像プリントの出力では、1枚の複数撮影コマ画像プリントに含まれるコマ画像数毎のテンプレート図面を予め作成しておかねばならないし、そのテンプレート図面を見ながら各画像枠に撮影コマ画像番号を指定しなければならない。コマ画像数が少ない場合はまだしも、百を超えるコマ画像数を有する複数撮影コマ画像プリントを処理対象とすると、そのために用意しなければならないログインシートの種類も百を超えることになり、このようなプリントサービスでは、実用的には1枚の複数撮影コマ画像プリントに含まれるコマ画像数は10以下に限定されてしまう。
【0003】
また、前もってログインシートのような写真プリント注文用紙を必要としないで、ユーザが直接自由にマニュアルで印刷プレビュー用のレイヤに複数の撮影コマ画像を配置し、配置の完了した印刷プレビュー用のレイヤに基づいて複数撮影コマ画像プリントを出力する技術も提案されている(例えば、特許文献2参照)。しかしながら、この技術では、複数の撮影コマ画像の自由なレイアウトが可能となるが、数十を超えるコマ画像数を有する複数撮影コマ画像プリントを出力する場合、マニュアルで撮影コマ画像の配置を決めていくことは、作業負担が大きく、現実的ではない。
【0004】
【特許文献1】特開平10−51576号公報(段落番号0030−0037、図6)
【特許文献2】特開2003−244418号公報(段落番号0017−0022、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記実状に鑑み、本発明の課題は、撮影コマ画像の配置を規定するテンプレートの種類を出来るだけ少なくしながらも従来技術のようにユーザやオペレータの作業負担をかけずに、多数の撮影コマ画像を不規則に配置させた複数撮影コマ画像プリントを出力するためのプリントデータを生成する撮影コマ画像処理技術及びこの技術を採用した写真処理システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、所定プリントサイズのプリント記録媒体に複数の撮影コマ画像を形成した複数撮影コマ画像プリントを出力するためのプリントデータを生成する、本発明による撮影コマ画像処理装置では、少なくとも、前記撮影コマ画像を嵌め込むための複数の画像枠がランダムに配置されている第1のテンプレートレイヤと、前記第1のテンプレートレイヤより多くの数の画像枠が前記第1のテンプレートレイヤと重ね合わせた際に重なり合う画像枠同士が所定レベル以上に重なり合わないようにランダムに配置されている第2のテンプレートレイヤとを格納しているテンプレートレイヤ格納部と、前記複数撮影コマ画像プリントにおける撮影コマ画像数を算定する画像数算定部と、前記撮影コマ画像数に近似するとともに当該撮影コマ画像数以上の画像枠を作り出すために、前記テンプレートレイヤ格納部から1つ以上のテンプレートレイヤを選択するテンプレートレイヤ選択部と、選択されたテンプレートレイヤが単一の場合そのままで、かつ選択されたテンプレートレイヤが複数の場合重ね合わせて実行テンプレートレイヤを設定する実行テンプレートレイヤ設定部と、前記実行テンプレートレイヤの各画像枠に対して前記複数の撮影コマ画像をリンクする画像枠リンク部と、前記実行テンプレートレイヤの各画像枠にリンクされている撮影コマ画像を当該画像枠に嵌め込んだ複数撮影コマ画像プリント用プリントデータを生成するプリント用情報生成部とが備えられている。
【0007】
この撮影コマ画像処理装置の特徴構成では、配置されている画像枠数が異なるともにその配置が互いに所定レベル以上重なり合わない複数のテンプレートレイヤが前もって用意されており、出力しようとする複数撮影コマ画像プリントに含まれるべき撮影コマ画像数が算定されると、その撮影コマ画像数を満たす画像枠数が作り出されるように複数のテンプレートレイヤから適切なテンプレートレイヤが1つ以上選択される。この選択された複数のテンプレートレイヤを重ね合わせて設定された実行テンプレートレイヤ(選択されたテンプレートレイヤが1つだけの場合にはそのテンプレートレイヤが実行テンプレートレイヤとなる)の各画像枠に複数撮影コマ画像プリントに含まれるべき撮影コマ画像をリンクし、最終的に各画像枠にリンクされている撮影コマ画像をその画像枠に嵌め込むことで複数撮影コマ画像プリント用プリントデータを生成することができる。このテンプレートレイヤの画像枠はランダムに配置されているので、出力される複数撮影コマ画像プリントは、多数の撮影コマ画像が自然に散らばったような、楽しげな効果をもたらす。さらに、実際に用いる実行テンプレートレイヤは前もって用意されている複数のテンプレートレイヤの適正な組み合わせであるので、異なる画像枠数を有する少ない種類のテンプレートレイヤから種々の画像枠数をもつ実行テンプレートレイヤを作り出すことが可能となる。例えば、10個と20個と40個の画像枠を有するテンプレートレイヤを用意すれば、それらの組み合わせにより、10個、20個、30個、40個、50個、60個、70個の画像枠を有する実行テンプレートレイヤを作り出すことができる。また、画像枠同士が互いに所定レベル以上重なり合わないように配置するならば、画像枠に嵌め込まれた全ての撮影コマ画像はその撮影コマ画像がもつ写真としての実質的な価値を失うことはない。しかしながら、全ての撮影コマ画像の画像内容を欠損なく再現したい場合には、画像枠同士が互いに全く重なり合わないように配置したテンプレートレイヤ群を用意するとよい。
【0008】
なお、画像枠同士が互いに所定レベル未満の重なり合いをもつことを許すように配置されたテンプレートレイヤを用いる場合で、重なり領域における画像の欠損をどうしても避けたい場合には、その重なり領域における両者の撮影コマ画像部分を融合形成するために画像重なり領域を透明化するとよい。
【0009】
異なる画像枠数を有する限られた種類のテンプレートレイヤから作り出される実行テンプレートレイヤが有する画像枠数は飛び飛びの数となるので、余った画像枠には同じ撮影コマ画像がリンクされるか、任意の画像枠が空白にされてしまう。このような不都合を回避するために、本発明の好適な実施形態の1つでは、前記実行テンプレートレイヤの画像枠数が前記撮影コマ画像数を超える場合に余分の画像枠を無効にする画像枠調整部が備えられている。
【0010】

出力される複数撮影コマ画像プリントに含まれるべき撮影コマ画像の配置に意外性を与え、従来にない楽しげな効果を得るためには、前記画像枠リンク部が前記画像枠にリンクされる撮影コマ画像をランダムに選択するとよい。このようなランダムな選択はランダム関数を用いて容易に自動化することができるので、好都合である。
【0011】
デジタルカメラに装着される写真記録メディアの記録容量が著しく増大したことから、旅行や運動会などの撮影イベントにおいて記録される撮影コマ画像数が100を超えるようになっている。しかしながら、費用などの点から写真プリントとして出力される撮影コマ画像は多くて数十止まりとなり、残りの多くの撮影コマ画像が写真プリントされずに、ハードディスクやDVDといった記録メディアに移されることになるが、そのような記録メディアに移された撮影コマ画像を再び目で確認する機会はあまり多くない。このようなデジタルカメラ時代での写真処理サービスにおいて、上述した撮影コマ画像処理技術は大きな利点をもたらす。つまり、写真プリント出力の目的でユーザによって投入された写真記録メディアに含まれている撮影コマ画像のうち、撮影コマ画像選択画面を通じてユーザによって写真プリントの対象として指定されなかった多数の撮影コマ画像を、上述した撮影コマ画像処理技術を用いて前述した複数撮影コマ画像プリントとして出力するのである。この複数撮影コマ画像プリントを通じて、ユーザは、その時点では写真プリントの対象としなかった残りの多数の撮影コマ画像を小さい画像サイズではあるがその画像内容を確認することができる。しかも、その複数撮影コマ画像プリントは、多数の撮影コマ画像が散らされたような従来にない楽しい感覚をユーザに提供することができる。本発明は、上述した撮影コマ画像処理装置を組み込むとともに、投入された写真記録メディアに含まれている撮影コマ画像のうち、撮影コマ画像選択画面を通じてユーザによって指定された撮影コマ画像を従来の写真プリントとして出力するとともに、前記撮影コマ画像のうち、ユーザによって指定されなかった撮影コマ画像を前記複数撮影コマ画像プリントとして出力することができる写真処理システムも、権利範囲としている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
まず、本発明による撮影コマ画像処理技術の基本を図1と図2と図3に示された説明図を用いて説明する。図1は前もって用意されているテンプレートレイヤの例を示しており、図2には複数のテンプレートレイヤを組み合わせて設定された実行テンプレートレイヤの例を示している。図3は、複数のテンプレートレイヤを組み合わせた実行テンプレートレイヤを用いてプリントデータを生成し、このプリントデータによって最終的に複数撮影コマ画像プリントが出力される様子を模式的に示している。本発明による撮影コマ画像処理技術を通じて最終的に出力される複数撮影コマ画像プリントでは多数の撮影コマ画像が上からまき散らされたように配置されており、以後このような複数撮影コマ画像プリントを散らし画像プリントと称し、その散らし画像プリントに配置される撮影コマ画像を場合によっては散らし画像とも称する。
【0013】
図1の(a)は20個の画像枠を有するテンプレートレイヤ1を示し、図1の(b)は30個の画像枠を有するテンプレートレイヤ2を示し、図1の(c)は40個の画像枠を有するテンプレートレイヤ3を示している。各テンプレートレイヤのレイヤ属性情報には、各画像枠のサイズ値、各画像枠の中心座標値、各画像枠の傾斜角度などが含まれている。傾斜角度は全範囲、つまり±180°からランダムに算定された値を用いてもよいが、散らし画像の見やすさを考慮して、±45°に限定することが好ましい。
【0014】
また、図1からも明らかなように、配置された撮影コマ画像の一部が散らし画像プリントの枠外へ飛び出すような配置を選択することも、自然な散らし効果を得るためには好都合である。しかしながら、散らし画像プリントの枠外へ飛び出す程度は、画像の20%以下として、その散らし画像の内容が十分に確認できるようにしておくことが好ましい。
【0015】
図2の(a)は、テンプレートレイヤ1とテンプレートレイヤ2を重ね合わせて設定された実行テンプレートを示しており、画像枠数は20+30=50個となっており、最大50枚の撮影コマ画像を散らし画像としてランダム配置し、散らし画像プリント用プリントデータの生成を可能にする。図2の(b)は、テンプレートレイヤ1とテンプレートレイヤ3を重ね合わせて設定された実行テンプレートを示しており、画像枠数は20+40=60個となっており、最大60枚の撮影コマ画像を散らし画像としてランダム配置し、散らし画像プリント用プリントデータの生成を可能にする。図2の(c)は、テンプレートレイヤ2とテンプレートレイヤ3を重ね合わせて設定された実行テンプレートを示しており、画像枠数は30+40=70個となっており、最大70枚の撮影コマ画像を散らし画像としてランダム配置し、散らし画像プリント用プリントデータの生成を可能にする。図2の(d)は、テンプレートレイヤ1とテンプレートレイヤ2とテンプレートレイヤ3を重ね合わせて設定された実行テンプレートを示しており、画像枠数は20+30+40=90個となっており、最大90枚の撮影コマ画像を散らし画像としてランダム配置し、散らし画像プリント用プリントデータの生成を可能にする。図2から明らかなように、複数のテンプレートレイヤを重ね合わせて設定された実行テンプレートでは、異なるテンプレートレイヤに属する画像枠の間で端辺で重なっている箇所がある。これは、中央領域の除く領域で少し重なり合うことを許すことで、多数の撮影コマ画像が落ち葉のように散らされたイメージを生じさせ、従来なかった楽しげな効果を得るためである。その際、各散らし画像としての撮影コマ画像の写真的価値をできるだけ失わないようにするため、実行テンプレートレイヤにおいて、隣り合う画像枠の重なり度合いは、画像枠の面積の60%以上が画像枠の中央領域に確保されるように各テンプレートレイヤにおける画像枠が配置されていることが好ましい。
なお、テンプレートレイヤの重ね合わせ時の上下配置は、任意に設定できるようにすることが好ましい。つまり、下位に配置されたテンプレートレイヤに含まれる画像枠はそれより上位に配置されたテンプレートレイヤの画像枠により部分的に隠されることが生じるが、このテンプレートレイヤ間の上下配置関係を任意に設定できるようにすれば、最終的な散らし画像プリントの印象を変えることができるからである。例えば、図2の(c)では、テンプレートレイヤ3はテンプレートレイヤ2の上側に配置されているが、図2の(d)ではテンプレートレイヤ3はテンプレートレイヤ1やテンプレートレイヤ2より下側に配置されている。
【0016】
図3は、前述したテンプレートレイヤ1とテンプレートレイヤ3を重ね合わせて設定された実行テンプレートを用い、入力された撮影コマ画像を散らし画像として実行テンプレートレイヤの画像枠にリンクし、画像枠の属性情報として散らし画像の元となる撮影コマ画像の識別コードを書き込み、その後、撮影コマ画像を散らし画像の形状姿勢に加工し、最終的に散らし画像プリントとして出力する手順を模式的に表している。
【0017】
上述した撮影コマ画像処理技術を採用した写真処理システムの一例が図4に示されている。この写真プリントシステムは、いわゆるデジタルミニラボと呼ばれる写真プリント装置100とこの写真プリント装置100とデータ伝送ラインで接続された、ここでは写真処理注文受付装置の形態を採用している撮影コマ画像処理装置20とから構成されている。この撮影コマ画像処理装置20は、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話などのデジタル撮影機器で使用されたメモリカード等の写真記録メディアに格納された撮影コマ画像を取り込んで、これらを一覧表示して写真プリント出力を希望する撮影コマ画像を指定するための写真処理注文操作画面を表示し、指定された撮影コマ画像を用いた従来通りの写真プリントと、指定されなかった残りの撮影コマ画像を用いた、ここでは散らし画像プリントと呼ばれる写真プリントの処理を行うものである。この実施形態では、写真処理注文受付装置としての撮影コマ画像処理装置20において受け付けられた、散らし画像プリントを含む写真プリントの出力は写真プリント装置100で行われる。従って、撮影コマ画像処理装置20から写真プリント装置100にはデータ伝送ラインを介して写真プリント出力を行うために必要な画像データ(プリントデータ)やプリントサイズなどのプリント属性データが転送される。もちろん、この撮影コマ画像処理装置20に写真プリント出力機能を組み込んでもよいし、逆に、写真プリント装置100に撮影コマ画像処理装置20の機能を組み込んでもよい。
【0018】
写真プリント装置100は、印画紙Pに対して露光処理と現像処理とを行うプリントステーション100Bと、撮影コマ画像処理装置20から受け取った画像データ(プリントデータ)とプリント属性データに基づいてプリントステーション100Bを駆動するプリント制御装置としての機能をもつ操作ステーション100Aとから構成されている。操作ステーション100Aは操作テーブル1に備えられている。
【0019】
図5からよく理解できるように、写真プリント装置100のプリントステーション100Bは、2つの印画紙マガジン31に納めたロール状のプリント記録媒体としての印画紙Pを搬送してプリントサイズに切断すると共に、この切断された印画紙Pに対しプリントエンジンとしての露光エンジン32で撮影コマ画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを複数の現像処理槽を有した現像処理部33に送って現像する。乾燥の後に装置上部の横送りコンベア34からソータに送られた印画紙Pは、写真プリントとして、このソータの複数のトレイにオーダ単位で仕分けられた状態で集積される。上述した印画紙Pに対する各種処理に合わせた搬送速度で印画紙Pを搬送するために複数のチャッカー搬送ユニット35aを含む印画紙搬送機構35が設けられている。露光エンジン32は、操作ステーション100Aから送られてくるプリントデータに基づいて印画紙Pを送りながらR(赤)、G(緑)、B(青)の3原色の光線の照射を印画紙Pに対して行うものであり、露光時には印画紙Pを副走査方向に搬送しながら、この搬送速度と同期して主走査方向に沿ったライン状に露光を行うよう構成されている。尚、露光ヘッドとしては、露光仕様に応じて、レーザビーム方式、蛍光ビーム方式、液晶シャッター方式、などの採用が可能であるが、ここではレーザビーム方式が採用されている。
【0020】
また、プリントステーション100Bとして、印画紙Pに対し、露光ヘッド32で撮影コマ画像の露光を行い、この露光後の印画紙Pを現像処理する、いわゆる銀塩写真プリント方式に代えて、フィルムや紙にインクを吐出して画像を形成するインクジェットプリント方式や感熱転写シートを用いた熱転写方式などの写真プリント方式のものを採用してもよい。
【0021】
写真処理注文受付装置としての撮影コマ画像処理装置20は、その正面パネルに、デジタルカメラで使用されている各種メモリカードから撮影コマ画像を取り込むカードドライブユニット21と、カメラ付き携帯電話に内蔵されているメモリから撮影画像を受け取るためのUSBケーブル22と、ユーザ操作入力部として機能するキーボード23と、入力した撮影コマ画像の一覧を含む各種情報を表示するモニタ画面を正面に向けたカラーモニタ24とこのモニタ24に装着されたタッチパネル25と、各種情報シートを出力するプリンタ26を備えている。これらの各種機器の制御や各種データの処理はこの撮影コマ画像処理装置20に内蔵されているコントローラ40によって行われる。
【0022】
図6と図7に示されるように、撮影コマ画像処理装置20の中核部材として汎用パソコンを用いたコントローラ40においてハードウエアやソフトウエアによって構築される各機能としては、入力された撮影コマ画像をメモリ41に展開する画像入力部42と、撮影コマ画像入力時の操作画面及び撮影コマ画像選択時の操作画面などを含むグラフィック化された操作画面の作成やそのようなグラフィック操作画面を通じてのユーザ操作入力から制御コマンドや管理データを生成するグラフィックユーザインターフェース(以下GUIと略称する)を構築するGUI部43と、入力された撮影コマ画像を管理するコマ画像管理部44と、入力された撮影コマ画像から操作画面用の縮小版撮影コマ画像を生成するなどの画像処理及び入力された撮影コマ画像に対して縮小拡大回転処理や透明化を含むフォトレタッチ目的の画像処理を行う画像処理部45と、多数の撮影コマ画像を用いた散らし画像プリントのためのレイアウトを決定する散らし画像プリント管理モジュール46と、散らし画像プリント管理モジュール46において用いられるテンプレートレイヤを管理格納しているテンプレートレイヤ格納部47と、注文入力操作画面を通じて入力された注文内容及び必要な画像処理を終えた写真プリント用画像や散らし画像プリント用画像をプリント用情報(プリントデータ)として通信ポートを介して写真プリント装置100に転送するとともにその注文内容とプリント料金を印字したプリント注文受領書などをプリンタ26を通じて発行するプリント用情報作成部48とが挙げられる。
【0023】
画像入力部42は、メモリカードが取り込んだ撮影コマ画像にサムネイル画像(低解像度データ)が含まれている場合はモニタ24での一覧表示などの目的で使用するため撮影コマ画像の本データ(高解像度データ)とリンクしたアドレスで指定されたメモリ41に展開するが、もしサムネイル画像が含まれていない場合は本データから縮小画像を作り出してサムネイル画像として同様に本データのアドレスとリンクしたアドレスで指定されたメモリ41に展開する。メモリ41における撮影コマ画像やサムネイル画像のアドレスはコマ画像管理部44によって管理されている。
【0024】
GUI部43は、図8に例示する撮影コマ画像選択画面70などの操作画面を生成する操作画面生成部43aや種々の操作画面を通じて取得した操作コマンドを管理する操作コマンド管理部43bを備えている。この撮影コマ画像選択画面70では、メモリカード1枚分の撮影コマ画像がその画像チェックのために撮影コマ画像表示枠71に順次表示される。この撮影コマ画像表示枠71は、図示されていない表示コマ数設定欄で選択された表示コマ数だけ配置されるが、図8では、6コマ表示となっている。各撮影コマ画像表示枠71の上側にはこの撮影コマ画像表示枠71に表示されている撮影コマ画像のコマ番号又は撮影コマ画像ファイル名を表示するコマ識別コード表示欄72が配置されている。各撮影コマ画像表示枠71の下側には色濃度補正設定エリア73とプリント枚数設定エリア74が配置されている。色濃度補正設定エリア73には「イエロー」、「マゼンタ」、「シアン」、「濃度」の設定枠が設けられており、補正量の「N」はニュートラルを表し補正なしを意味している。プリント枚数設定エリア74にはプリント枚数を入力する入力枠が設けられており、この入力枠に数値が設定された場合、その数値分の従来通りの写真プリントが出力される。この入力枠に「パス」が表示された場合、その撮影コマ画像は従来通りの写真プリントの対象外であるが、散らし画像プリントの対象となる。
【0025】
撮影コマ画像選択画面70において表示されている撮影コマ画像のチェックが終わると、矢印ボタンを押すことにより次の撮影コマ画像のチェックが可能となり、OKボタンを押すことにより、「パス」されなかった撮影コマ画像は、通常の写真プリント出力のための画像処理を施され、「パス」された撮影コマ画像は、散らし画像プリント出力のため、「パス」された撮影コマ画像の情報が散らし画像プリント管理モジュール46に渡される。
【0026】
なお、「パス」された撮影コマ画像を用いた散らし画像プリントサービスを望まないユーザのために、図9で示す散らし画像プリントサービス画面においてこのサービスをキャセルするための散らし画像プリント要否が問われる。この散らし画像プリントサービス画面には、通常の写真プリントの出力枚数も確認のために表示される。
【0027】
図7に示すように、散らし画像プリント管理モジュール46には、散らし画像プリントとなる一枚のプリント記録媒体に形成される撮影コマ画像数、通常は撮影コマ画像選択画面70において「パス」された撮影コマ画像の数を算定する画像数算定部46aと、この画像数算定部46aで算定された散らし画像となる撮影コマ画像の数に近似するとともに当該撮影コマ画像数以上の数の画像枠を作り出すために、前記テンプレートレイヤ格納部47から1つ以上のテンプレートレイヤを選択するテンプレートレイヤ選択部46bと、選択されたテンプレートレイヤが単一の場合そのままで、かつ選択されたテンプレートレイヤが複数の場合これらのテンプレートレイヤを重ね合わせて実行テンプレートレイヤを設定する実行テンプレートレイヤ設定部46cと、設定された実行テンプレートレイヤに含まれている画像枠数が画像数算定部46aによって算定された撮影コマ画像数を超える場合、つまりその画像枠に余りが生じる場合余分の画像枠を無効にする画像枠調整部46dと、必要に応じて画像枠調整部46dによってその画像枠数が調整された実行テンプレートレイヤにおける各画像枠に対して散らし画像としての撮影コマ画像をランダムあるいは予め設定された取り決めに基づいて自動的にリンクしていく散らし画像枠リンク部46eと、要望に応じて撮影コマ画像同士の重なり領域においてその上側の画像部分を透明化する際にその透明化すべき撮影コマ画像と透明化領域を画像処理部45に含まれている画像透明化部45aに指令する画像透明化指令部46fが含まれている。
【0028】
画像数算定部46aは、撮影コマ画像選択画面70で「パス」された撮影コマ画像の枚数を1枚の散らし画像プリントに含まれる散らし画像数として算定するが、散らし画像プリントに含まれる撮影コマ画像の最大数が用意されているテンプレートレイヤの組み合わせによって最大限得られる画像枠数を上回っている場合、複数の散らし画像プリントに分配して、各散らし画像プリント毎の撮影コマ画像数を算定することになる。
【0029】
画像枠調整部46dは、設定された実行テンプレートレイヤに含まれている画像枠数が画像数算定部46aによって算定された撮影コマ画像数を超える場合、自動的に余分の画像枠を無効にするように構成してもよいが、余分の画像枠数が数個以上の場合、人の感覚にたよって余分の画像枠を削除して全体のバランスをとった方が好ましい。このため、この実施の形態では、画像枠調整部46dは、余分の画像枠が発生した場合、GUI部43を通じて、図10に例示するような画像枠調整画面80を表示して、マニュアルで余分の画像枠を削除するように構成している。
【0030】
この画像枠調整画面80を用いた余分の画像枠の削除作業は、ユーザではなく、店側のオペレータによって行うようにすると好都合である。その場合、この散らし画像プリント管理モジュール46を含むコマ画像管理機能は操作ステーション100Aのコンピュータに実装されるか、操作ステーション100Aに付属するモニタを通じて画像枠調整作業を実施できるようにするとよい。
【0031】
画像枠調整画面80には、実行テンプレートレイヤを模式的に表示している実行テンプレートレイヤ表示領域81と、表示されている実行テンプレートレイヤの属性情報の一部、例えばこの実行テンプレートレイヤを構成しているテンプレートレイヤの内容やこの実行テンプレートレイヤに含まれる画像枠数などを表示する実行テンプレートレイヤ属性情報表示領域82と、実際に散らし画像として用いられる撮影コマ画像の数と、余分となる画像枠の数、つまり削除数を案内する案内コメント表示領域83が含まれている。オペレータはこの画像枠調整画面80のテンプレートレイヤ表示領域81に表示された画像枠から削除したい画像枠を選択し、ダブルクリックすることで削除画像枠(×で示される)を決定することができる。
【0032】
上述のように構成された写真処理システムにおける散らし画像プリント用プリントデータ生成のための手順を図11のフローチャートを用いて説明する。この散らしレイアウトルーチンに入る前に、顧客が投入したメモリカードに記録されている撮影コマ画像から撮影コマ画像選択画面70を通じて従来の写真プリントとして出力される撮影コマ画像とプリント枚数が指定されるので、指定されなかった残りの撮影コマ画像の情報がGUI部43から散らし画像プリント管理モジュール46に与えられる。
【0033】
まず、図3で示したような散らし画像プリントに含まれる撮影コマ画像としての散らし画像数が指定されなかった残りの撮影コマ画像の情報から算定される(#01)。この画像数が算定されると、この画像数以上でこの画像数にできるだけ近い画像枠を作り出すことができるテンプレートレイヤの組み合わせを選択する(#02)。
【0034】
選択されたテンプレートレイヤをテンプレートレイヤ格納部47から読み出し、読み出したテンプレートレイヤが複数であれば、これを重ね合わせて実行テンプレートレイヤを設定する(#03)。設定された実行テンプレートレイヤに含まれる画像枠数と散らし画像数が一致するかどうかをチェックする(#04)。画像枠数と散らし画像数が一致しない場合は、上述したような画像枠調整画面80を用いて、余り分の画像枠を無効にし、画像枠数を散らし画像数に一致させる調整を行う(#05)。
【0035】
画像枠数と散らし画像数が一致した実行テンプレートレイヤに対して、散らし画像としての撮影コマ画像を、図3に示したように、実行テンプレートレイヤの各画像枠にランダムにリンクし、そのリンクデータを実行テンプレートレイヤの属性情報として記録する(#06)。この実行テンプレートレイヤの属性情報には、各画像枠の座標位置、傾斜姿勢、サイズのなどのデータ、及びそこに嵌め込まれる撮影コマ画像の識別コードが記録されているので、この実行テンプレートレイヤの属性情報に基づいて、散らし画像としての撮影コマ画像が縮小処理や回転処理などが施され、実行テンプレートレイヤによって規定されるビットマップメモリに割り当てられている対応画像枠領域に嵌め込まれる(#07)。このようにしてビットマップメモリ上に展開された散らし画像プリント用データは、プリント用情報作成部48に転送され、そこで散らし画像プリント用プリントデータに変換生成される(#08)。
【0036】
プリント用情報作成部48では、従来の写真プリントのためのプリントデータも生成され、これらのプリントデータは写真プリント装置100に送られ、従来の写真プリントと散らし画像プリントが出力に用いられる。
【0037】
上述した実施の形態では、写真処理注文受付装置としての撮影コマ画像処理装置20が写真プリント装置100とデータ伝送ラインで接続されていたが、本発明による撮影コマ画像処理技術を写真プリント装置100に実装し、ユーザから写真記録メディアとプリントすべき撮影コマ画像を指定した注文書を受け取った写真プリント店のオペレータが全ての作業を行うような写真プリントシステムを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による散らし画像プリントに用いられるテンプレートレイヤの説明図
【図2】複数のテンプレートレイヤの重ね合わせによって作り出される実行テンプレートレイヤの説明図
【図3】本発明による散らし画像プリントの手順を模式的に示す説明図
【図4】本発明による撮影コマ画像処理技術を組み込んだ写真処理システムの一例を示す外観模式図
【図5】プリントステーションの構成を模式的に示す断面説明図
【図6】撮影コマ画像処理装置のコントローラの構成を示す模式図
【図7】撮影コマ画像処理装置のコントローラに構築された本発明に関する機能を説明する機能ブロック図
【図8】撮影コマ画像選択画面の一例を示すモニタ画面図
【図9】散らし画像プリントサービスの要否を選択させるモニタ画面図
【図10】画像枠調整画面が表示されたモニタ画面図
【図11】散らし画像プリント用プリントデータの生成ルーチンを示すフローチャート
【符号の説明】
【0039】
20:撮影コマ画像処理装置
43:GUI部
44:コマ画像管理部
45:画像処理部
45a:画像透明化部
46:散らし画像プリント管理モジュール
46a:画像数算定部
46b:テンプレートレイヤ選択部
46c:実行テンプレートレイヤ設定部
46d:画像枠調整部
46e:散らし画像枠リンク部
46f:画像透明化指令部
47:テンプレートレイヤ格納部
48:プリント用情報作成部
100:写真プリント装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定プリントサイズのプリント記録媒体に複数の撮影コマ画像を形成した複数撮影コマ画像プリントを出力するためのプリントデータを生成する撮影コマ画像処理装置において、
少なくとも、前記撮影コマ画像を嵌め込むための複数の画像枠がランダムに配置されている第1のテンプレートレイヤと、前記第1のテンプレートレイヤより多くの数の画像枠が前記第1のテンプレートレイヤと重ね合わせた際に重なり合う画像枠同士が所定レベル以上に重なり合わないようにランダムに配置されている第2のテンプレートレイヤとを格納しているテンプレートレイヤ格納部と、
前記複数撮影コマ画像プリントにおける撮影コマ画像数を算定する画像数算定部と、
前記撮影コマ画像数に近似するとともに当該撮影コマ画像数以上の画像枠を作り出すために、前記テンプレートレイヤ格納部から1つ以上のテンプレートレイヤを選択するテンプレートレイヤ選択部と、
選択されたテンプレートレイヤが単一の場合そのままで、かつ選択されたテンプレートレイヤが複数の場合重ね合わせて実行テンプレートレイヤを設定する実行テンプレートレイヤ設定部と、
前記実行テンプレートレイヤの各画像枠に対して前記複数の撮影コマ画像をリンクする画像枠リンク部と、
前記実行テンプレートレイヤの各画像枠にリンクされている撮影コマ画像を当該画像枠に嵌め込んだ複数撮影コマ画像プリント用プリントデータを生成するプリント用情報生成部と、
が備えられている撮影コマ画像処理装置。
【請求項2】
前記実行テンプレートレイヤの画像枠数が前記撮影コマ画像数を超える場合に余分の画像枠を無効にする画像枠調整部が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の撮影コマ画像処理装置。
【請求項3】
前記画像枠リンク部は前記画像枠にリンクされる撮影コマ画像をランダムに選択することを特徴とする請求項1又は2に記載の撮影コマ画像処理装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項による撮影コマ画像処理装置を組み込むとともに、投入された写真記録メディアに含まれている撮影コマ画像のうち、撮影コマ画像選択画面を通じてユーザによって指定された撮影コマ画像を写真プリントとして出力する写真処理システムにおいて、
前記撮影コマ画像のうち、ユーザによって指定されなかった撮影コマ画像を前記複数撮影コマ画像プリントとして出力する写真処理システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−289075(P2008−289075A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−134365(P2007−134365)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(000135313)ノーリツ鋼機株式会社 (1,824)
【Fターム(参考)】