説明

撮影装置、光学装置

【課題】撮影者が被写体を狙って、右手も左手も不自由な状況において、迅速に、撮影レンズ部のリング部のシフト操作を併用して撮影パラメータを変更し、所望の効果を加えた撮影制御が出来るようにした撮影装置を提供する。
【解決手段】撮影光学系と鏡筒部と、鏡筒部に沿ってのシフト操作および回動操作が可能な操作環23とを有する撮影レンズ20と、撮影光学系によって導かれた被写体画像を映像信号に変換する撮像部2aとを有する撮影機器10において、操作環23のシフト操作に関する情報に従って、撮影機器10の制御を切り換える制御部を具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は撮像装置及びカメラ並びに電子機器、または光学装置に関し、より詳細には、所謂、デジタルカメラなどの撮影装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、デジタルカメラのような撮影装置は、画像処理技術の進歩や、撮像素子や回路の高速化やインテリジェント化によって、様々な効果による写真撮影が出来るようになっている。しかし、シャッターチャンスを逃さないように、また、適切な構図で撮影できるように、被写体を狙って機器を構えながら、迅速に多彩な操作をすることは困難であった。そこで、操作部を単純化して、撮影者が頻繁な持ち替えなどをしなくとも、思い通りの撮影が出来るようにする工夫がなされていた。
【0003】
例えば、下記特許文献1には、撮影レンズ用のピントリングとズームリングの回転操作を共用するカメラの提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平4−73628公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、ピントやズームの調整のみならず、撮影者が被写体を観察しながら切り換えたい動作は数多くあり、撮影レンズ部の回転操作だけでは、こうした要求に応えることが出来なかった。
【0006】
また、特別なボタンを押すような操作を伴うと、手ぶれが生じたり、撮影のベストな瞬間を逃したりするようなことが起こりえた。
【0007】
本発明は、撮影者が被写体を狙って、右手も左手も不自由な状況において、迅速に、撮影レンズ部のリング部のシフト操作を併用して撮影パラメータを変更し、所望の効果を加えた撮影制御が出来るようにした撮影装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため第1の発明に係わる撮影装置は、撮影光学系と鏡筒部と、該鏡筒部に沿ってのシフト操作および回動操作が可能な操作部とを有する撮影レンズ部と、上記撮影光学系によって導かれた被写体画像を映像信号に変換する撮像部とを有する撮影機器において、上記操作部のシフト操作に関する情報に従って、上記撮影機器の制御を切り換える制御部を具備することを特徴とする。
【0009】
上記目的を達成するため第2の発明に係わる撮影装置は、上記映像を表示する表示部を有し、上記シフト操作に従って、上記表示部に表示される被写体画像が変更する撮影パラメータ制御部を有することを特徴とする。
【0010】
上記目的を達成するため第3の発明に係わる撮影装置は、上記映像を表示する表示部を有し、上記表示部上に設けられたタッチ操作部を有し、上記シフト操作に従って、タッチ選択可能な撮影制御項目を上記表示部に表示する表示制御部とをさらに具備することを特徴とする。
以上のような観点で、本発明は、以下のような構成を有するものとして、特徴的である。
【0011】
上記目的を達成するため第4の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠から第1の至近距離への合焦を行う第1のフォーカシングモードと、前記第1の至近距離よりも近距離への合焦を行う第2のフォーカシングモードを切り替えるために光軸方向に移動するフォーカシングモード切替レンズを有し、更に、前記フォーカシングモードの切り替えのために、前記リング部材の前記回転移動または前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記フォーカシングモード切替レンズの移動を制御するフォーカシングモード切替システム部を有することを特徴とする。
【0012】
上記目的を達成するため第5の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、周辺部にて像面湾曲収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有し、更に、前記収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動または前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することを特徴とする。
【0013】
上記目的を達成するため第6の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、ピント調整時に光軸方向に移動するフォーカシングレンズを備え、更に、前記リング部材の回転移動と前記リング部材のシフト移動に連動して前記フォーカシングレンズの移動を制御するフォーカシングレンズ制御システム部を有し、前記リング部材の外側面の移動量に対する前記フォーカシングレンズの移動量が前記回転移動時よりも前記シフト移動時にて大きいことを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するため第7の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りと、撮影レンズに対して相対的に光軸方向に移動して軸外光束のサイズを制御するフレア絞りを備え、更に、前記リング部材の回転移動または前記リング部材のシフト移動に連動して前記フレア絞りを移動させて軸外光束のサイズを制御することで像の周辺光量を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする。
【0015】
上記目的を達成するため第8の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記明るさ絞りとし、前記リング部材の回転移動に応じて前記明るさ絞りの開口面積を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする。
【0016】
上記目的を達成するため第9の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りと、軸外光束のサイズを制御するフレア絞りを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記明るさ絞りとし、前記リング部材の回転移動に応じて前記明るさ絞りの開口面積を制御し、前記制御対象の一つを前記フレア絞りとし、前記フレア絞りを制御して軸外光束のサイズを制御することで像の周辺光量を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする光学装置。
【0017】
上記目的を達成するため第10の発明に係わる光学装置は、電源と、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記移動レンズの移動とし、前記リング部材の回転移動に応じて前記移動レンズを制御し、前記制御対象の一つを前記電源への充電とし、前記リング部材の回転移動により前記電源へ充電を行う制御対象切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため第11の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、更に、制御前記シフト移動に連動してスティル撮影のシャッターレリーズ制御を行うシャッターレリーズ制御部を有することを特徴とする。
【0019】
上記目的を達成するため第12の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子で受光した像を表示するモニターを有し、前記撮影レンズは、ピント調整時に光軸方向に移動するフォーカシングレンズを備え、前記リング部材の回転移動に連動して前記フォーカシングレンズの移動を制御するフォーカシングレンズ制御システム部と、前記リング部材のシフト移動に連動して、前記モニターでの表示画像の明るさを変更する制御を行うモニター制御システム部を有することを特徴とする。
【0020】
上記目的を達成するため第13の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、複数の画像変換フィルターを処理データとして保持し、前記撮像素子による画像信号に対して前記画像変換フィルターの少なくともいずれかを用いて画像変換を行う画像変換部と、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記移動レンズの移動とし前記制御対象の他の一つを前記画像変換フィルターの選択制御とし、前記移動レンズの移動が制御対象の際は前記リング部材の回転移動に応じて前記移動レンズを制御し、前記画像変換フィルターの選択制御が制御対象の際は前記リング部材の回転移動に応じて前記画像変換フィルターの選択を行う制御対象切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【0021】
上記目的を達成するため第14の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、前記像の歪みを変換する画像変換フィルターを処理データとして保持し、前記撮像素子による画像信号に対して前記画像変換フィルターを用いて前記撮影レンズの収差をキャンセルする画像歪み変換を行う画像歪み変換部と、前記リング部材のシフト移動に連動して前記画像歪み変換部のON/OFF切り替えを行う画像歪み切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【0022】
上記目的を達成するため第15の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠合焦時にて2つのみの焦点距離の切り替えのために移動する移動レンズを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記移動レンズを移動して焦点距離の切り替えを行う焦点距離切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【0023】
上記目的を達成するため第16の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズであり、更に、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して前記リング部材の回転移動によるズーム範囲の切り替えを行うズーム範囲切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【0024】
上記目的を達成するため第17の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、球面収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有し、更に、前記第1の収差モードと前記第2の収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することを特徴とする。
【0025】
上記目的を達成するため第18の発明に係わる光学装置は、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、明るさ絞りを含み且つ無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズであり、更に、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して所定の焦点距離とし且つ明るさ絞りの開口サイズを最大径とする切り替えを行うズーム−単焦点切り替えシステム部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、撮影者が被写体を狙って、レリーズチャンスを逃さず、手ぶれをも注意しながら撮影するような、右手も左手も不自由な状況において、迅速に所望効果を加えた撮影制御が出来るようにした撮影装置を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、図面に従って本発明を適用したカメラを用いて好ましい実施形態について説明する。本発明を一眼カメラに応用した例を第1実施例として、そのブロック図を図1に示す。
【0028】
ここでは、撮影装置として、レンズ交換式のカメラを例にして、本発明の一実施例の説明を行う。しかし、レンズ交換式である必要はなく、コンパクトカメラや撮影機能付き携帯機器などに本発明を利用しても問題はない。このようなレンズ交換式のカメラでは、撮影する被写体に応じて、様々なレンズを利用した撮影が行えるので、人物や風景といった一般的な被写体以外の、本発明が主眼としているような身近にあるものをきれいに撮影したいユーザーは、このようなカメラを利用することが多い。このようなレンズ交換式のカメラでは、カメラ本体10に、好みのレンズ20を取り付けて、被写体像を撮像部2に導いて撮影するものだが、レンズ20側には、ズームレンズの場合、複数のレンズ要素の位置を切り換えてズーム制御をするためのズーム制御部26d、ピント合わせ用レンズを動かして、被写体にピントが合うような位置制御するピント制御部26e、さらには、取込む被写体像の明るさを制御するための絞り制御部26f等を有する。これらのレンズや絞り制御の位置は、位置判定部25a、25bなどで判定しながら、制御部21が、記録部27に記録された制御データやプログラムによって、モーターなどの駆動部24a、24bを介して制御するものである。レンズリングなどの操作部23によって、マニュアル調整できるようにした機種も多く、ズーム位置(画角)のみならず、ピント位置や絞りによるぼかし効果にこだわりを持った操作を可能としている。
【0029】
このようなレンズ部に、様々な操作スイッチや(操作環)リング部材を設けて、複数の操作を可能とした例がある。ここでは、特に、操作部は、鏡筒に沿って回動する操作環(リング部材)を想定しており、これは、後述するようにシフト操作も可能なものなので、回転とシフトを表わすために、ここでは23a、23bの2つを例示した。
【0030】
操作環の回転操作はピントやズームなどアナログ的な操作に向いている他、多くのものから1つを選択するような操作に向いている。また、カメラの小型化から、操作環のシフトは、回転操作よりも操作域が少ないが、ピント合わせなどを行う姿勢のままで、モードや機能の切り換えなど、迅速単純な操作には向いている。
【0031】
一方、カメラ本体側にも、スイッチ等、ユーザーが様々な操作を行える操作部6がある。撮影装置で重要なのが撮影時の操作なので、静止画撮影用のレリーズボタンなどが右手の人差し指で操作できる位置に優先的に配置されている。これらを利用して、撮影操作が可能であるし、その他のスイッチやダイヤルなどを利用して、上記露出補正やシャッタースピードや感度設定、ピント位置の変更など撮影パラメータ変更も可能である。また、タッチパネルもこのような操作を補助して利用できる。特に、この発明では、後述するように、右手の親指で操作できるようなタッチ操作を想定した。
【0032】
カメラ10はさらに交換レンズから入った像を電気信号に変える撮像部2と、撮像結果を表示する部分(接眼表示部30や、背面パネルの表示部8など)に画像を表示したり、撮影時には、記録部4に画像を記録したりする。こうした一連の制御は、マイコン等の集積回路等からなる制御部1が、記録部4に記録されたプログラムに従って行うが、この集積回路には、上記表示や記録に必要な画像処理が可能な信号処理回路も形成されている。
【0033】
また、撮像部2からの画像信号を用いて、被写体の顔部を検出する顔検出部3があり、このような重要画像部位のコントラストや位相差信号からピントのずれを検出したり、露出量など調整量を切り換える撮影制御を行う。接眼表示部は、小型の液晶パネルや有機ELパネル等の表示画像を専用の光学系で拡大して目視可能にするもので、ファインダを覗き込む形で観察可能なので、外光の影響を受けずに画像が確認できる上、この光学系の視度調整によって、ユーザーの視度に合わせて良好な観察を可能とする。
【0034】
これらの調整量はパラメータ制御部1dによって、切り換え制御が可能である。ユーザーが接眼表示部30や背面パネルなどによる表示部8を見ながら撮影できるように、制御部に組み込まれた信号処理部1は撮像結果を液晶やELパネルなどからなる表示部8に表示できるように処理したりする。
【0035】
この表示部8上にはタッチパネル8bが形成されていて、表示された被写体像を表示部上でタッチすれば、その位置に表示されたアイコンを選択可能である。レンズには、光軸方向にシフト可能で、かつ鏡枠外周に沿って回転可能なリング部材が設けられていることは説明したが、その回転やシフトを判定するために、制御部1には、1cや1dの機能部が設けられている。また、パラメータを変更した画像や、アイコンなどを、表示部に表示するために、表示制御部1eが設けられている。また、制御部1には、撮影レンズの持つディストーションや倍率色収差を補正して画像処理する画像変換フィルター処理が可能である。さらに、特定の色やコントラストを強調したり、抑えたりする特殊効果フィルター処理も可能である。これらは、特定のプログラムによって施す画像処理制御のことであるが、ハード的に構成することも可能である。
【0036】
交換レンズ20とカメラ本体10の接続は、本実施形態では、一般にバヨネット式マウントと称される係合機構によって離合可能である。なお、カメラシステム1において、カメラ本体2とレンズ鏡筒10とを離合可能とする構成は本実施形態に限られるものではなく、例えばネジ機構を用いる一般にスクリュー式マウントと称される構成であってもよい。また、カメラ本体2とレンズ鏡筒10とは、嵌合や磁石等を用いた機構によって離合可能とされる構成であってもよい。
【0037】
交換レンズ部20は、この実施例では、図2のような構成のものを想定している。交換レンズ20は、レンズ鏡筒の固定枠28に対して、複数のレンズ等からなる光学系部材26aを保持する機構を有する。なお、レンズ鏡筒28が保持する光学系部材26aの形態は、レンズの他に、絞り、プリズム、ミラー、フィルター等を含むものであってもよい。
【0038】
光学系部材26aのうちの最も像側のレンズ26aが、この例ではピント合わせ用のレンズになっているが、一般に撮影レンズは、光学系の一部又は全部が鏡枠基台部に対して光軸方向に相対的に移動することによって、合焦距離が変化するように構成されている。以下では、光学系部材26aのうち、合焦距離を変化させる場合に光軸方向に移動する部材を、合焦用光学系部材26bと称するものとする。
【0039】
合焦用光学系部材26bは、固定枠28に対して相対的に光軸方向に進退移動可能に配設された合焦用枠によって保持されている。合焦用枠は、図示していないアクチュエータによって、光軸方向に駆動される。
【0040】
アクチュエータの構成は特に限定されるものではないが、光軸と略平行に配設されたスクリューや、スクリューを回転させるステッピングモータ、及びスクリューに螺合するナット等を有して構成するが、ここでは説明を省略する。レンズ26bを保持する合焦用枠は、ナットに係合しており、ステッピングモータ等により前述のスクリューを回転させることによって、合焦用枠についたレンズ26bが移動制御される。リニアモータ等の他の形式であってもよい。
【0041】
また、前述の操作部23は、ここでは特に操作環(リング部材)であって、この操作環23の内側に配設された固定枠28には、凸条部に対向する箇所に、付勢部材及びボール29が設けられており、周方向に複数箇所に配設されている。ボールは、固定枠28の外周面よりも外側に突出可能であって、板バネである付勢部材によって、径方向外側に向かって付勢されている。
【0042】
ボールは、操作環23が第1の位置に位置している場合には、凸条部の第1斜面部に当接し、操作環が第2の位置に位置している場合には、凸条部の第2斜面部に当接する。凸条部が略三角形状の断面を有することから、ボールは、操作環23の位置に関わらず、第1斜面部及び第2斜面部のいずれかに常に当接する。
【0043】
したがって、操作環23が、図2(b)のように、移動可能範囲の前方寄りに位置している場合には、操作環23は、第1斜面部に当接するボールによって前方に向かって付勢され、第1の位置において移動可能範囲の一端に当て付き、位置決めされる。
【0044】
一方、操作環23が図2(a)のように、移動可能範囲の後方寄りに位置している場合には、操作環23は、第2斜面部に当接するボールによって後方に向かって付勢され、第2の位置において移動可能範囲の他端に当て付き、位置決めされる。
【0045】
したがって、本実施形態のレンズ鏡筒30では、操作環23に外力が加えられていない場合には、操作環23の光軸方向の位置は、第1の位置及び第2の位置のいずれかとなる。例えば、操作環23が第1の位置に位置している状態において、操作環23に加えられる後方への外力が、付勢部材及びボールが発生する付勢力よりも弱い場合には、当該外力が消失すれば操作環は第1の位置に戻る。また例えば、操作環23が第1の位置に位置している状態において、操作環23に加えられる後方への外力が、付勢部材及びボールが発生する付勢力よりも強ければ、操作環23は第2の位置へ移動する。
【0046】
光軸を中心とする回転方向には、こうした特別な力を加えなくとも回動する。図示していないが、フォトカプラや回動する羽根などのエンコーダによって、回転は電気信号検出され、また、上記第1の位置、第2の位置のいずれにあるかは、23cとして図示した、これもフォトカプラや磁気センサ、あるいはメカ的なスイッチなどによって検出可能である。
【0047】
ここでは、負勢部材とボールによる構成を説明したが、もちろん、電磁石やバネなどで、同様の効果を得ることは可能で、この発明は、こうした応用にも対応するものであることは言うまでもない。
【0048】
以上説明したように、操作環の回転は、回転させることが出来る範囲が大きいので、パラメータ調整の微調や多くの選択肢からのモードやパラメータ選択などには適している。しかし、ストロークが小さく、切り換えが明快なシフト操作は、単純さが要求される様々な切り換えには絶対位置がわかりにくい回動操作より好ましい。
【0049】
図3(a)に、このような構成の交換レンズ20をカメラ本体10に接続した様子を図示した。カメラ本体の中には、レンズ部から導かれた被写体像を電気信号に変換する撮像素子2aが、レンズ光軸に垂直に撮像面を向けて配置されており、カメラ本体10の背面には表示部8が設けられている。
【0050】
従って、レンズ20が装着されたカメラ10を構えると図2(b)、(c)のようになる。ここでは、レリーズスイッチ6aの位置を強調して表示している。
【0051】
図3(c)のように、ユーザーは構えており、このまま、手や指の位置を極力動かさないで、撮影や構図確認を行うことが、シャッターチャンスや手ぶれ防止の観点から好ましい。
【0052】
図3(b)は、操作環(リング部材)が後ろに移動させられている状態で、この場合に操作環の回転操作は、表示部8に「MF」(マニュアルフォーカス)と表示されているように、基本的な機能であるピント合わせに使われている。
【0053】
これは、レンズの制御部21やカメラの制御部1が、回転検出のエンコーダを判定して、図2の26bのピント合わせレンズの位置変更をアクチュエータに行わせればよい。この時、図1の駆動部24aや位置検出部25aによって制御がなされる。
【0054】
また、操作環23を図3(c)のように前に出した場合、このリングシフト操作を、図2の23cの検出部(センサ、エンコーダ)が検出し、この状態で回転させて選べる操作をアイコンにして表示部8に一覧表示する。
【0055】
親指でタッチできる位置に並べれば、迅速にこれを親指で選んで回転操作で、次の細かい選択や調整に入ることが出来る。回動動作は、回転量や角度などの様々な要因を駆使できるので、このような微調整、数値変更、多くの選択肢からの選択には向いている動作と考えられる。
【0056】
ここでは、「拡大」というアイコンがあるが、これを選択したら、回転操作で、電子ズームの倍率などを変更し、表示画面における被写体像の拡大が行われる。
【0057】
また、「フィルタ」というアイコンを選択すると、画像に特殊画像処理(特殊効果フィルター)が施されるモードとなり、白黒写真や、色彩を強調したような効果の画像撮影が可能となる。この効果を回転操作で選ぶことが出来る。こうした効果は数多くあるので、回転で選択した方が選択しやすい。
【0058】
また、本来は、レンズのディストーション、倍率色収差を補正する画像変換フィルターをかけたりかけなかったり、本来の方法とは異なる方法でかけることによって、特殊な効果の画像を得ることも可能である。このようなフィルター操作は、ON、OFFでも楽しめるし、補正時の数値変更で、その変化を楽しむことも出来る。ON、OFFの切り換えは、操作環のシフト操作で行えば迅速に行え、数値の変更は回転で行えば、ユーザーは単純な操作で、これらを駆使した撮影が可能となる。
【0059】
もちろん、こうした電気的な画像処理上の補正のみならず、光学系の位置制御を利用して、特殊な効果を出すようにしてもよい。
【0060】
例えば、撮影レンズの光軸を軸にした回転移動や前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動を可能として、これらの移動を組み合わせても、特殊効果撮影を行うことができる。
【0061】
中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、球面収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有するようにしてもよい。
【0062】
更に、前記第1の収差モードと前記第2の収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することで、迅速な効果付与の確認と撮影が可能となる。
【0063】
また、前記撮影レンズは、明るさ絞りを含み且つ無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズとしてもよい。この時、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して所定の焦点距離とし且つ明るさ絞りの開口サイズを最大径とする切り替えを行うズーム−単焦点切り替えシステム部を有して、ズーム−単焦点切り替えが出来るようにしてもよい。
【0064】
また、「感度」を選択すると、撮影感度の切り換えが、回転操作で出来るようになるので、暗い星などを撮影する時、ノイズと星の輝きを比較して、丁度良い感度を選択できるようになる。
【0065】
このように、撮影レンズ部の操作環の回転やシフトの操作の特徴を有効利用し、ユーザーが好みの効果で撮影を可能としたカメラのメインフロー例を示す。
【0066】
これは例えば電源スイッチなどによってなされる電源の操作をステップS101で判定、これがオンされていれば、撮影モードか再生モードかの判定をS102、S111にて行う。
【0067】
電源スイッチがオフされれば、この電源スイッチを検出する回路のみを作動させ、その他の電子回路をオフして省エネモード(スタンバイモード)になる。タッチパネルやスイッチの切り換えで撮影モードに設定されていれば、S103でスルー画表示を行う。これは、撮像部で得られた被写体像信号をリアルタイムに表示部に表示するもので、ユーザーはこれを見ながら撮影タイミングや構図ならびに撮影パラメータ変更の効果を確認することができる。このタイミングで、操作環の操作状態など、レンズの状態は逐次確認されるが、ここでは、S104の「レンズ通信」というステップで表現している。
【0068】
S104では操作環(リング部材)が、どの位置にあるかを示す信号が取得されるので、S105でリング位置が2(図2(a)参照)であるかを判定し、この場合は、S106aにてカメラ制御1を行う。これは、この実施例では、マニュアルフォーカスによるピント合わせを想定している。つまり、回転でピント合わせが行われる(図3(b)参照)。
【0069】
また、S105をNに分岐した場合は、リング位置が1である場合(図2(b)参照)、S106bでこれ判定、S106cに分岐して、タッチパネル上に選択できるモードのアイコン一覧を表示する。これは、カメラの持ち替えが必要ないように、図3(c)のように右手親指で操作できる位置(表示部右端縦に並べて)に集中させている。ここで選択されたモードにて、S106dで、カメラ制御2が行われる。例えば、フィルターを選択して、リングを回すと、画像処理の効果が切り替わる。
【0070】
また、リング位置が1から2に変わった時、または2から1に変わった時に、S106bをNに分岐するようにして、S106eでそのシフト操作に対応した制御カメラ制御3(S106e)を行うようにしてもよい。
【0071】
このシフト操作によって、特殊効果の付与の有りなしを切り換えるような制御を行ってもよい。前述の特殊効果フィルターや画像変換フィルターの効果をON、OFFできるようにすれば、通常の撮影と、撮影者の感性を活かしたこだわり撮影を切り換えることができる。
【0072】
このような例として、色やコントラストを強調したり抑えたりする画像処理がある。
【0073】
また、中央にスポットライトが当たったような効果や、周辺を変形させたような効果もあるが、これらは電気的な画像処理で行うのみならず、絞りや光学系を移動させて、同様の効果を得ることも可能である。
【0074】
例えば、撮影レンズの光軸を軸にした回転移動や前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動を可能として、これらの移動を組み合わせても、特殊効果撮影を行うことができる。
【0075】
また、中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、球面収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有するようにしてもよい。
【0076】
更に、前記第1の収差モードと前記第2の収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することも可能で、迅速な効果付与の確認と撮影が可能となる。
【0077】
また、前記撮影レンズそのものの特性を、変更できる工夫がある光学系の場合も、このシフト操作と組み合わせれば操作が単純化でき分かりやすい。
【0078】
例えば、明るさ絞りを含み且つ無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズとしてもよい。この時、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して所定の焦点距離とし且つ明るさ絞りの開口サイズを最大径とする切り替えを行うズーム−単焦点切り替えシステム部を有して、ズーム−単焦点切り替えが出来るようにしてもよい。
【0079】
また、このシフト操作で、感度を切り換えての撮影で、例えば、星空を撮影するのに相応しい暗視モードに切り換えられるようにしても良いし、明るい時に画面の明るさをアップするバックライト強調モードに入るようにしてもよい。
【0080】
撮影レンズが、無限遠合焦時にて2つのみの焦点距離の切り替えのために移動する移動レンズを備えるような設計にした場合も、前記リング部材のシフト移動に連動して前記移動レンズを移動して焦点距離の切り替えを行うような操作方法は、ユーザーには分かりやすいものとなる。
【0081】
これらのON、OFFなど二者択一的な切り換えは、切り換え位置が明確でストロークも少ないレンズ部操作環(リング部材)のシフト操作が、レリーズタイミングを逃さず、手ぶれも抑えられるので好ましい。
【0082】
撮影が行われない場合は、スルー画表示などから繰り返すので、任意のタイミングにてこれらの制御や撮影が可能となる。また、再生モードへの切り換えが行われると、S102をS111に分岐し、撮影された画像の再生が行われる(S112)。
【0083】
別の画像を鑑賞したい場合は、ユーザーがやはりタッチパネルやスイッチを操作すると、それをS113で判定し、画像の切り換えをS115で行う。また、撮影モードでも再生モードでもない場合は、ここでは、S114で、レンズの操作環によって、どのような操作が行われるかを設定変更できるモードに入れられるようにした。
【0084】
この設定に関しては、タッチパネルを有効に利用して、その上にメニューを出して、それを選択するような方法を想定している。
【0085】
例えば、図14に示したようなタッチ設定で、操作と機能を関連付けられるようにすれば良い。例えば、図示せぬダイヤルやタッチ操作によって、ユーザーが設定モードに設定し、レンズ部のリング部材のシフト位置ごとに回転で操作できる項目を選択できるようにすれば良い。
【0086】
また、シフト操作そのもので、切り換えられる操作や制御を設定できるようにしてもよい。ユーザーがアイコンから選んで設定している様子を、ここでは図示している。
【0087】
以上の実施例では、操作環によるシフトによって、2ヶ所での回転操作を可能とした例を説明したが、もちろん、図5のように3ヶ所で操作環を回転させることが出来るようにしてもよい。この場合は、さらに操作できる項目が増加させられる。このような構成であれば、第1の位置で通常のピント合わせ、第2の位置でズーム操作、第3の位置で「スーパーマクロ」モードにするような制御が可能となる。
【0088】
図6は、例えば正負正負正の五群ズームレンズで、図中左側に並べた物体側の4つのレンズ群が、望遠側にすると繰り出されるタイプのものである。このタイプのレンズの通常のピント合わせは第4レンズ群か第5レンズ群で行う。
【0089】
このようなレンズ構成において、この「スーパーマクロ」モード時のレンズの動きを説明する。
【0090】
このような光学系構成の場合、ズーム時に移動した第3レンズ群の正レンズのみを図6(a)の正規位置から、(b)の位置に移動させることによって、本来のピント合わせ位置より近距離側のものにピント合わせすることが可能となる。
【0091】
ここでは第3レンズ群を像側に移動させる例としているが、スーパーマクロモードとなる移動方向は、もちろんズームレンズのタイプや設計によって異なる。また、マクロモード時に第1レンズ群が物体側に移動する方式でもよいが、この場合は、繰り出しのメカ機構をそのために用意する必要がある。
【0092】
このような制御は、望遠時の高倍率を確保して、近距離被写体にピントが合わせられるので、通常の撮影より近距離被写体を大きく撮影できるので、「スーパーマクロ」モードと呼ばれる。例えば、本発明の特徴である、操作環シフトによって、このようなモードに入るようにすれば、余計なボタン操作をせずに、ユーザーは、カメラをブレないようにしっかり構えて、即座に近距離の被写体にピントを合わせして撮影することが可能となる。
【0093】
また、このようにレンズを正規の位置から、異なる位置に移動させることによって、ピント位置のみならず、画像の描写特性を変更することが可能である。例えば、像の湾曲を補正する、例えば図6のレンズの左から2番目の負のレンズ群を、あえて、本来の位置からずらすことによって軸外収差を発生させ、中心付近以外の像を放射状に流すような描写にすることが出来る。
【0094】
図7は、このような光学系の位置制御によって、画面中央部の被写体はそのままにして、周辺部の画像を像面を湾曲させる効果や非点収差で放射状に流して表現する場合の効果を図示したものである。これらは図1の駆動部24や位置判定部25によって行うことを想定しているが、操作環のシフトに連動するメカ設計を行って対応してもよい。
【0095】
図7(a)のように中央の犬にピントを合わせて、像面湾曲を補正するレンズを、例えば、レンズ部の操作環のシフトでずらすようにすると、図7(b)のように周辺を流した画像が撮影できる。このように、ピント合わせとフレーミングの後、カメラを持ち替えたりしなくとも、一連の操作で、特殊効果の写真を撮影することができる。シフトの後の回転操作で、像面湾曲補正レンズの位置を変更して、この流れ具合を変更できるようにしても良い。
【0096】
シフト方向は、光軸方向に限られるものではなく、光軸に垂直に移動させることで偏心収差による効果を得ることができる。また、チルト移動と併用してもよい。
【0097】
これまで、特殊画像処理とか「フィルター」といった言葉で、通常の撮影とは異なる撮影について触れて来たが、図7(b)のような効果の撮影も、それに準ずるものである。もちろん、画像処理によって、同様の効果の画像を撮影することも出来る。この場合も周辺部の画像を放射方向に伸ばして強調すれば、同様の効果を得ることが出来る。もちろん、光学的なものに電気的な処理を併用してもよい。
【0098】
ここでは、レンズシフトによって決まった効果が得られる説明をしたが、その後の回転で、色強調やコントラスト低下処理、局部強調などのフィルターを選べるようにしてもよい。
【0099】
また、収差を補正している演算を変更して、魚眼レンズ風の描写にしたり、絞り形状や位置を変更してピンホールカメラ風の描写などが出来るようにしてもよい。
【0100】
以下、このレンズ部の操作環のシフト操作による部材移動やその時の力を有効に利用した例を説明する。
【0101】
図8は、操作環23のシフト位置(ここでは(a)、(b)、(c)の3段)に従って、ピント合わせレンズ26bの位置を変更するものである。これによって、例えば、シフト操作があれば、10m、2.5m、1mの被写体にピント合わせを行うような位置にピント合わせレンズを停止させるようにすれば、瞬時に遠距離、通常距離、近距離を重視したパンフォーカス撮影が可能となる。これによって、街歩きなどで見つけたものを即座に撮影が可能となる。もちろん、この状態から回転操作を行うことで、ピントの微調整が出来るようにしてもよい。これは、操作に応じて、カメラ本体制御部1やレンズ制御部21がピント合わせ用レンズの位置をアクチュエータで変更するので、制御用のプログラムによって、自由度の高い操作制御に対応できる。もちろん、このようなシフト操作によって、本来のピント合わせ用レンズ以外のレンズ、またはレンズ全体を繰り出すようなメカ構成としてもよい。これによって、ピント合わせの距離範囲が広いカメラを提供することができる。
【0102】
また、ピントの位置のみならず、絞りの位置を変更する例を図9に示す。
【0103】
図9(a)は、真ん中の光学系の後ろ側で絞る場合を示し、操作環23が絞り部材26cから離れているので、図示しない負勢部材で、絞り部材は後ろ側(カメラ本体側)に倒れ、絞りは真ん中のレンズの後ろ側を絞る形で光路を遮っている。
【0104】
しかし、操作環23を被写体方向に前に押し出せば、図9(b)のように操作環から延びた腕部が、絞り部材の突起部26cを押すので、支軸(○で記載)を中心に絞り部材26cが前側(被写体側)に倒れて、真ん中のレンズの前側で絞りを形成して光路を遮る。
【0105】
このような絞り位置切り換えによって、本来の絞りの効果とは異なる周辺光遮光効果が生じて、画面周辺が暗くなるような画像表示が可能となる。
【0106】
図9(b)のような状態が通常の絞りで、2つのレンズ間で光束が絞られ、略並行になっている位置で光量を抑える効果がある。この状態で操作環を回転させれば、絞り込みが変化させられるようにしてもよい。
【0107】
図9(a)の状態にすれば、光線が広がった状態で絞りが入り、周辺の光が蹴られて特殊効果を出した撮影が可能となる。
【0108】
この絞り形状は、図10のようなものでも良い。回転によって図9の操作環23の腕部の長さが変化するようにして、絞り部材26cを倒す量を変化(図10(a)→(b))させ、図10(c)のように完全に遮光できるようにすれば、例えば、動画撮影時にブラックアウトするような効果を得ることが可能である。
【0109】
このような絞り制御は、操作環のシフト操作に連動して光軸方向に絞り位置を変更するような機構、または制御にすることによって、被写体像の光束を蹴る位置が変わり、周辺の減光を制御することができ、スポットライト的に主被写体に注意を促すような、印象的な画像にすることができる。
【0110】
ここでは、単純化して「絞り制御」と記載したが、この「絞り」には、レンズのフレアを抑制するフレア絞りと、軸状光束を含めて制限する明るさ絞りがある。特に、フレア絞りを変更することで、レンズの周辺部の光束を制御してフレアの効果を加味した表現にすることも可能である。
【0111】
図11には、このような操作環によって、通常の撮影とは異なる操作ができる点をさらに説明する。図3のようなレリーズスイッチ6aによって、動画の撮影を開始、終了できるようなカメラ仕様であれば、レンズ部を左手で支え、カメラをブレないように構えたまま、シフト操作を行えば、そのタイミングで静止画撮影(スティル撮影)できるようにしたものである。
【0112】
つまり、図11(a)のように、背面表示部で確認しながら動画撮影を行っており、レンズ部の操作環シフトを行えば、そのタイミングで静止画が撮影できるようにした。図11(a)は、表示部8の主画面に動画撮影が継続されている様子を示し、サブ画面(小画面)に撮影された静止画が表示されている様子を示した。このような表示を行うことによって、撮影された静止画を確認しながら動画撮影を楽しむことができる。静止画撮影に失敗した場合、すぐに撮り直しが出来る。
【0113】
また、レンズタイプの特徴を活かした切り換え操作を操作環(リング部材)のシフト操作によって、効果的に行うことも可能である。
【0114】
図12には、2焦点切り換えレンズの例、図13には、ズームレンズを低変倍型、高変倍型に切り換えられるタイプの撮影レンズを図示した。このようなタイプに特有な、変則的なレンズ群移動は、リング部材のシフト操作での切り換えに有効で、直感的に画角を切り換えた撮影が楽しめる。図10に示したような完全遮光の絞りや画像処理を利用して、切り換え時の画像をブラックアウトさせたり、ぼやかせたりして、自然な操作感にすることも出来る。特に動画などで、テンポの良い画角切り換えが楽しめる。
【0115】
図12の2焦点レンズは、一番像側(右側)の第4レンズ群(フォーカス群)でピント合わせを行い、真ん中の第2、第3レンズ群の感覚を矢印のように変更することで、焦点距離を変更する。図12(a)がレトロフォーカス式に画角が広角になり、図12(b)は、望遠タイプの配置となるので焦点距離を長くすることが出来る。
【0116】
また、図13の変倍切り換えのズームレンズでも、一番像側(右側)の第4レンズ群(フォーカス群)でピント合わせを行うが、図13(a)の全長を短くする分、変倍レンズ群の可動領域が小さい低変倍比ズームレンズとなり、図13(b)の全長を長くする分、変倍レンズ群の可動領域が大きい高変倍比ズームレンズとなる。焦点距離の範囲を拡大できる。リング操作部のわずかなシフト操作に連動して、第1、第2レンズ群が物体側にシフトし、第3レンズ群が像側にシフトして、全長が長くなる。それ以外はコンパクトにできる。
【0117】
例えば、低変倍で小回り良く撮影にカメラを使っている状況で、急に視界に鳥などが入り、遠くのものを大きく撮影したくなった時、被写体を見のがすことなく手ぶれもなく即座に長焦点側を利用した撮影に、ユーザーは簡単に移行させることができる。動画撮影などには、連続した操作が重要である。
【0118】
これまでの実施例では、様々な撮影効果の切り換え用にレンズ部操作環の回転やシフトを利用したが、リング部(操作環)回転操作によって、電源エネルギー消耗時対策をして、シャッターチャンスを逃さない工夫も可能である。
【0119】
図15に示すような構成にして、操作環シフトによって、操作環に併設するギア部が、レンズ内部のギア列に係合して動きを伝えるように出来ることを示すために、操作23aによって、高速にダイナモを動かすギア列41が連動する様子を矢印で示した。
【0120】
このギア列41が、レンズ部が内蔵するダイナモ42などを回動させて発電が出来るようにしても良い。このダイナモからの電流は整流回路43で整流されて、本体の電池45用の充電部44に出力される。これによって、撮影の寸前に電池のエネルギーが減って来た場合などに、操作環を回転させて充電して補助することが可能となる。
【0121】
この電源部以外は、第1図と共通であるので、説明は、前の説明に準ずるものとする。
【0122】
このように、レンズ部の回転操作とシフト操作を組み合わせれば、電池切れ時、操作環回動で発電がなされ、カメラ制御のエネルギーを補うような工夫も可能である。カメラを構えたまま、被写体を狙いながら咄嗟の充電が可能である。
【0123】
以上説明したように、本発明で説明した撮影装置は、「回転移動とシフト移動を行うリング部材を備えた光学装置」であることも特徴となっている。これまでの撮影装置では、ズームレンズを備えている場合は、ズーミングのみのための回転操作リング部材と、ピント合わせのみのための回転操作リング部材を備えるものが知られていたが、ズーミング操作やフォーカシング操作の切り替えのためには操作リングを持ち替えなければならなかった。
【0124】
例えば請求項4における光学装置は、図6において説明したもので、迅速に、撮影できる被写体距離の範囲を広げることが出来る。また、シャッターチャンスを逃さず、被写体を大きく撮影することが出来る。
【0125】
請求項5における光学装置は、図7において説明したもので、迅速に通常撮影と特殊効果撮影の切り換えを行い、ユーザーの好みの効果を即座に付与可能となる。
【0126】
請求項6における光学装置は、図8によって説明したもので、ピントの粗調性と微調整の操作が容易となる。これによって、例えば、街歩きの撮影において、目視距離にピントを予め設定して即座にピントが合ったノーファインダーでの撮影が可能となる。
【0127】
請求項7における光学装置は、図9、図10において説明したものであり、通常の画面全体の光量調整での撮影と、画面周辺の光量調整を異ならした撮影を迅速に切り換えて、画面の中央にスポットを当てたような印象的な撮影を行うことが可能となる。
【0128】
請求項8における光学装置は、図10において説明したものであり、撮影レンズの明るさ調整の操作を行いやすくする。
【0129】
請求項9における光学装置は、図9、10において説明したものの変形であり、通常の画面全体の光量調整での撮影と、画面の周辺の光量を落とした、または、フレアを増加させて周辺部に劣化画像を得るような、特殊な効果の撮影を簡単、迅速に切り換えて行うことが可能となる。
【0130】
請求項10における光学装置は、図15にて説明したもので、操作部を単純化して、ユーザーに分かりやすい操作での電源消耗時の咄嗟の撮影を可能とした。電池がなくなりそうな状況で、カメラを構えたまま、即時に充電が可能であるので、表示が消えたり、シャッターチャンスを逃したりすることがない。
【0131】
請求項11における光学装置は、図11において説明したものであり、レリーズボタンと連携してシャッターチャンスを逃さない撮影を可能とし、特に、動画と静止画の撮影の切り換えなどを単純化して操作容易にしている。
【0132】
請求項12における光学装置は、図3(c)や図4のS106e、図14などにおいて説明したものであり、迅速な感度切換によって、例えば夜間天体撮影のような暗い環境下において、被写体のモニター上での視認性とノイズ画像とのバランスを取りながらの撮影が容易となる。
【0133】
請求項13における光学装置は、図3や図4のS106e、図14などにおいて説明したものであり、回転操作を利用して多様な特殊効果を楽しんだり、画角やピントを調整したり、様々なシーンに対応して撮影者の好みに応じた画像処理での撮影が可能となる。例えばソフトフォーカス効果などは、ピントの位置やズーミングによる被写体深度によって効果の印象が変わるので、これらを試行錯誤しての撮影は、ユーザーのイメージ通りの撮影には重要になる。
【0134】
請求項14における光学装置は、図3(c)や図4のS106e、図14などにおいて説明したものの変形であり、画像変換フィルターのON、OFFを迅速に行って、特殊なイメージの撮影を即座にすることが可能となる。
【0135】
請求項15における光学装置は、図3(c)や図4のS106eにおいて説明したものであり、図12に示した二焦点レンズのような焦点距離の切り換えなども迅速にできるようになる。
【0136】
請求項16における光学装置は、図3(c)や図4のS106eにおいて説明した操作で切り換えられるものであり、単一のズームレンズの全域をズーム範囲にするのではなく、例えば、図4のS114の設定モードで設定された所定部分のみを利用して、利用できる焦点距離範囲をよく使う領域のみに限定できるようにしてもよい。これによって操作を簡便に出来る。図13のように、第1のシフト位置と第2のシフト位置で、ズームレンズを低変倍型、高変倍型に切り換えてもよい。
【0137】
請求項17における光学装置は、図4のS106eなどにおいて説明したものであり、光学的なソフトフォーカス効果への切り換えが容易となる。
【0138】
請求項18における光学装置は、図4のS106eなどにおいて説明したものであり、ズームレンズと明るい単焦点レンズとの切り換えのような操作が容易に行える。なお、所定の焦点距離は、ズームレンズの変倍域にて明るさ絞りの開口サイズを最大径としたときの結像性能が最も良好となる状態付近に設定するとよい。
【0139】
以上、説明したように、本発明によれば、被写体に向かって前方に突き出したレンズ部をしっかりとホールディングして撮影や表示確認に専念でき、手ぶれなく操作切り換えが可能となる。特に動画撮影中などは、被写体を狙い、追い続けたままの切り換えが重要で、このような操作は迅速かつ直感的にでき、撮影画像の完成度を上げるためにも必須となる。
【0140】
例えば特殊効果フィルター(光学的、電気的かは問わず)の付加といった他の操作を行う場合、一旦被写体を撮影エリアに捉えた状態から操作リング部材とは異なる箇所の操作を要することになるのが一般的であった。そのため、迅速に多彩な効果での撮影を行うことは困難であった。
【0141】
本発明は、操作リング部材とそれに連動するシステムの工夫により操作性を向上させた光学装置の提供を目的とするものである。上述の各発明は、複数を同時に満足するように構成できる。また、リング部材の回転による制御の対象は、ズーミング、フォーカシング、絞り値の変更を伴うように構成する等の変更も可能である。
【0142】
以上、本発明の各実施形態においては、撮影のための機器として、デジタルカメラを用いて説明したが、カメラとしては、デジタル一眼レフカメラでもコンパクトデジタルカメラでもよく、ビデオカメラ、ムービーカメラのような動画用のカメラでもよく、さらに、携帯電話や携帯情報端末(PDA:Personal Digital Assist)等に内蔵されるカメラでも勿論構わない。
【0143】
本発明は、上記各実施形態にそのまま限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素の幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0144】
なお、特許請求の範囲、明細書、および図面中の動作フローに関して、便宜上「まず、」、「次に、」等を用いて説明したとしても、この順で実施することが必須であることを意味するものではない。また、これらの動作フローを構成する各ステップは、発明の本質に影響しない部分については、適宜省略も可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0145】
【図1】本発明に係わる撮影機器の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明に係わる撮影機器のレンズ部の構成を示した図である。
【図3】本発明に係わる撮影機器の撮影時に、接眼表示部とリング操作部を利用して撮影パラメータの調整を行っているところを示す図である。
【図4】本発明の撮影機器制御のフローチャート例である。
【図5】本発明に係わる撮影機器のレンズ部の構成の変形例を示した図である。
【図6】本発明の撮影機器で、特殊撮影を行う時のレンズ移動を表わした図である。
【図7】本発明の撮影機器での特殊撮影の例を表わした図である。
【図8】本発明の撮影機器で、特殊撮影を行う時のピント移動を表わした図である。
【図9】本発明の撮影機器で、特殊撮影を行う時の絞り移動を表わした図である。
【図10】本発明の撮影機器で、特殊撮影を行う時の絞り制御を表わした図である。
【図11】本発明の撮影機器で、特殊撮影を行った時の表示を表わした図である。
【図12】本発明の撮影機器の撮影光学系を2焦点タイプとした例を表わした図である。
【図13】本発明の撮影機器の撮影光学系を変倍切り換えタイプとした例を表わした図である。
【図14】本発明の設定変更の画面の一例を表わした図である。
【図15】本発明に係わる撮影機器の構成を示すブロック図の変形例である。
【符号の説明】
【0146】
1・・・信号処理、制御部、1b・・・リング位置検知部、1c・・・回転検出部、1d・・・表示制御部、1e・・・シフト検知部、2・・・撮像部、3・・・顔検出部、4・・・記録部、5・・・レンズとの通信部、6・・・操作部、8・・・表示部、8b・・・タッチパネル部、9・・・時計、10・・・カメラ本体(ボディ)、20・・・撮像レンズ(交換レンズ)、21・・・レンズ制御部、22・・・ボディとの通信部、23・・・操作環(リング部材)、23c・・・シフト検知センサ、26a・・・撮影光学系、26b・・・ピント合わせ光学系、26c・・・絞り部、28・・・固定枠

【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮影光学系と鏡筒部と、該鏡筒部に沿ってのシフト操作および回動操作が可能な操作部とを有する撮影レンズ部と、上記撮影光学系によって導かれた被写体画像を映像信号に変換する撮像部とを有する撮影機器において、上記操作部のシフト操作に関する情報に従って、上記撮影機器の制御を切り換える制御部を具備することを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
上記撮影装置は、上記映像を表示する表示部を有し、上記シフト操作に従って、上記表示部に表示される被写体画像が変更する撮影パラメータ制御部を具備することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
上記撮影装置は、上記映像を表示する表示部を有し、上記表示部上に設けられたタッチ操作部を有し、上記シフト操作に従って、タッチ選択可能な撮影制御項目を上記表示部に表示する表示制御部とをさらに具備することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠から第1の至近距離への合焦を行う第1のフォーカシングモードと、前記第1の至近距離よりも近距離への合焦を行う第2のフォーカシングモードを切り替えるために光軸方向に移動するフォーカシングモード切替レンズを有し、更に、前記フォーカシングモードの切り替えのために、前記リング部材の前記回転移動または前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記フォーカシングモード切替レンズの移動を制御するフォーカシングモード切替システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項5】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、周辺部にて像面湾曲収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有し、更に、前記収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動または前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することを特徴とする光学像装置。
【請求項6】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、ピント調整時に光軸方向に移動するフォーカシングレンズを備え、更に、前記リング部材の回転移動と前記リング部材のシフト移動に連動して前記フォーカシングレンズの移動を制御するフォーカシングレンズ制御システム部を有し、前記リング部材の外側面の移動量に対する前記フォーカシングレンズの移動量が前記回転移動時よりも前記シフト移動時にて大きいことを特徴とする 光学装置。
【請求項7】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りと、撮影レンズに対して相対的に光軸方向に移動して軸外光束のサイズを制御するフレア絞りを備え、更に、前記リング部材の回転移動または前記リング部材のシフト移動に連動して前記フレア絞りを移動させて軸外光束のサイズを制御することで像の周辺光量を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項8】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記明るさ絞りとし、前記リング部材の回転移動に応じて前記明るさ絞りの開口面積を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項9】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、軸上光束のサイズを制御する明るさ絞りと、軸外光束のサイズを制御するフレア絞りを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記明るさ絞りとし、前記リング部材の回転移動に応じて前記明るさ絞りの開口面積を制御し、前記制御対象の一つを前記フレア絞りとし、前記フレア絞りを制御して軸外光束のサイズを制御することで像の周辺光量を制御する光量制御システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項10】
電源と、撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記移動レンズの移動とし、前記リング部材の回転移動に応じて前記移動レンズを制御し、前記制御対象の一つを前記電源への充電とし、前記リング部材の回転移動により前記電源へ充電を行う制御対象切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項11】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、更に、制御前記シフト移動に連動してスティル撮影のシャッターレリーズ制御を行うシャッターレリーズ制御部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項12】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、前記撮像素子で受光した像を表示するモニターを有し、前記撮影レンズは、ピント調整時に光軸方向に移動するフォーカシングレンズを備え、前記リング部材の回転移動に連動して前記フォーカシングレンズの移動を制御するフォーカシングレンズ制御システム部と、前記リング部材のシフト移動に連動して、前記モニターでの表示画像の明るさを変更する制御を行うモニター制御システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項13】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、複数の画像変換フィルターを処理データとして保持し、前記撮像素子による画像信号に対して前記画像変換フィルターの少なくともいずれかを用いて画像変換を行う画像変換部と、前記リング部材のシフト移動に連動して前記リング部材の回転移動による制御対象を変更すると共に、前記制御対象の一つを前記移動レンズの移動とし前記制御対象の他の一つを前記画像変換フィルターの選択制御とし、前記移動レンズの移動が制御対象の際は前記リング部材の回転移動に応じて前記移動レンズを制御し、前記画像変換フィルターの選択制御が制御対象の際は前記リング部材の回転移動に応じて前記画像変換フィルターの選択を行う制御対象切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項14】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、フォーカシング又はズーミングのために移動する移動レンズを備え、更に、前記撮影レンズによる像を電気信号に変換する撮像素子と、前記像の歪みを変換する画像変換フィルターを処理データとして保持し、前記撮像素子による画像信号に対して前記画像変換フィルターを用いて前記撮影レンズの収差をキャンセルする画像歪み変換を行う画像歪み変換部と、前記リング部材のシフト移動に連動して前記画像歪み変換部のON/OFF切り替えを行う画像歪み切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項15】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠合焦時にて2つのみの焦点距離の切り替えのために移動する移動レンズを備え、更に、前記リング部材のシフト移動に連動して前記移動レンズを移動して焦点距離の切り替えを行う焦点距離切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項16】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズであり、更に、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して前記リング部材の回転移動によるズーム範囲の切り替えを行うズーム範囲切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項17】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、中心部から周辺部まで収差の補正された結像を行う第1の収差モードと、球面収差を過剰に発生させた結像を行う第2の収差モードを切り替えるために光軸方向に移動する収差モード切替レンズを有し、更に、前記第1の収差モードと前記第2の収差モードの切り替えのために、前記リング部材の前記シフト移動に基づいて前記収差モード切替レンズの移動を制御する収差モード切替システム部を有することを特徴とする光学装置。
【請求項18】
撮影レンズと、前記撮影レンズを保持するレンズ鏡筒と、前記撮影レンズの光軸を軸にした回転移動と前記撮影レンズの光軸に平行な方向へのシフト移動が可能であり前記レンズ鏡筒を包囲するリング部材とを備え、前記撮影レンズは、明るさ絞りを含み且つ無限遠合焦時にて焦点距離の切り替えのために移動する複数の移動レンズを備えたズームレンズであり、更に、前記リング部材の前記回転移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれか複数のレンズを移動して焦点距離を変更し、前記リング部材のシフト移動に連動して前記複数の移動レンズのいずれかを移動して所定の焦点距離とし且つ明るさ絞りの開口サイズを最大径とする切り替えを行うズーム−単焦点切り替えシステム部を有することを特徴とする光学装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2013−92583(P2013−92583A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233294(P2011−233294)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【出願人】(504371974)オリンパスイメージング株式会社 (2,647)
【Fターム(参考)】