撮影装置
【課題】小さいサイズの撮像素子でありながら、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影可能な撮影装置を提供する。
【解決手段】全方位の映像を投影することが可能な光学系と、前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子とを備えた撮影装置において、前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置されることを特徴とする。
【解決手段】全方位の映像を投影することが可能な光学系と、前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子とを備えた撮影装置において、前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置されることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関し、広い観察画角で撮影することが可能な撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、虚像を観察する光学系として、特許文献1〜3のようなものが知られている。
【特許文献1】特開2002−196438号公報
【特許文献2】特開2004−164143号公報
【特許文献3】特開2006−126323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3において知られている技術は、虚像を観察するものであるが、撮影画像の上下方向を調整することができなかった。例えば、一般に、図13(a)に示すような風景を撮影装置で撮影した画像は、光学系によっては撮像面で図13(b)のように反転して撮像される。この場合、表示面に表示する際に、図13(c)のように撮像面での画像を反転して表示する。しかし、撮像面での状態は、撮影装置の光学系によって変化するものであり、常に同じ状態ではない。
【0004】
本発明は、従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、小さいサイズの撮像素子でありながら、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影可能な撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、全方位の映像を投影することが可能な光学系と、前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子と、を備えた撮影装置において、前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置されることを特徴とする。
【0006】
また、前記光学系を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように前記撮像素子に対して偏心することを特徴とする。
【0007】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することを特徴とする。
【0008】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記光学系と前記撮像素子との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明の撮影装置においては、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影することが可能となる。また、撮像素子を有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の撮影装置の概念図である。
【図2】光学系及び撮像面を示す図である。
【図3】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図4】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図5】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図6】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図7】本発明の実施例1の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図8】本発明の実施例2の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図9】本発明の実施例3の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図10】本発明の実施例4の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図11】本発明の実施例5の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図12】本発明の実施例6の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図13】一般的な撮影装置で風景を撮影した場合の撮像面と表示面での状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例に基づいて本発明にかかる視覚表示装置について説明する。図1は本発明にかかる撮影装置の概念図である。
【0013】
本発明にかかる撮影装置1は、図1に示すように、撮影装置本体2と、レンズ部3とからなる。撮影装置本体2は、図示しない撮像素子21及び表示面22を有する。
【0014】
また、レンズ部3は、全方位(360°)を撮影することが可能な光学系31を有し、撮影装置本体2と着脱可能な構成でもよい。
【0015】
図2は、光学系及び撮像素子を示す図である。
【0016】
撮像面としては、約180°の映像を撮像する撮像素子21を有し、光学系31の中心軸32に対して、所定の方向にずらして配置されている。言い換えれば、光学系31は、約180°の映像を撮像素子21に扇型の映像として撮像するように、撮像素子21中心に対して偏心し、ずらして配置される。撮像素子21は、少なくとも通常の1/2の大きさであればよい。なお、光学系31の中心軸32と撮像素子21とは、それぞれ交差してもよい。
【0017】
また、光学系31を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように撮像素子21に対して偏心することが好ましい。
【0018】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することが好ましい。
【0019】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することが好ましい。
【0020】
また、光学系31と撮像素子21との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部としてのシャッターボタン4を有することが好ましい。
【0021】
図3〜図6は、被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【0022】
本発明に係る撮影装置1で撮影した場合の撮像素子21及び表示面22での状態は、光学系31により、図3〜図6の4つのパターンを有する。
【0023】
図3は、光学系31内の凸面で1回反射する場合等である。図3(a)は、撮像素子21での状態、図3(b)は、補正前の表示面22’での状態、図3(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0024】
光学系31内の凸面で1回反射すると、撮像素子21での像は、図3(a)に示すように、上下方向は正しいが、左右が反転し、補正前の表示面22’では、図3(b)に示すように、左右は正しいが、上下方向が反転する。そのため、光学系31内の凸面で1回反射する場合、補正前の表示面22’の像を上下反転するように補正し、図3(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0025】
図4は、光学系31内の凹面で1回反射する場合等である。図4(a)は、撮像素子21での状態、図4(b)は、補正前の表示面22’での状態、図4(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0026】
光学系31内の凹面で1回反射すると、撮像素子21での像は、図4(a)に示すように、上下方向は正しいが、左右が反転し、補正前の表示面22’では、図4(b)に示すように、左右は正しいが、上下方向が反転する。そのため、光学系31内の凹面で1回反射する場合、補正前の表示面22’の像を上下反転するように補正し、図4(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0027】
図5は、光学系31内で2回反射し、1回結像する場合等である。図5(a)は、撮像素子21での状態、図5(b)は、補正前の表示面22’での状態、図5(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0028】
光学系31内で2回反射し、1回結像すると、撮像素子21での像は、図5(a)に示すように、上下左右の正しい像となる。しかし、補正前の表示面22’では、図5(b)に示すように、上下左右が反転する。そのため、光学系31内で2回反射し、1回結像する場合、補正前の表示面22’の像を180°回転するように補正し、図5(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0029】
図6は、光学系31内で2回反射し、2回結像する場合等である。図6(a)は、撮像素子21での状態、図6(b)は、表示面22での状態である。
【0030】
光学系31内で2回反射し、2回結像すると、撮像素子21での像は、図6(a)に示すように、上下左右の正しい像となる。しかし、表示面22では、図6(b)に示すように、上下左右が反転する。そのため、光学系31内で2回反射し、2回結像する場合、表示面22の像はそのままで補正する必要はない。
【0031】
このように、光学系の反射回数及び結像回数により、表示面22に表示する像の向きの補正が決定する。反射回数をS、結像回数をTとすると、以下の式(1)を満足する場合、表示面22に表示する像は、上下反転して表示する。
S=2n−1 ・・・(1)
ただし、nは自然数である。
【0032】
また、以下の式(2)を満足する場合、表示面22に表示する像は、180°回転して表示する。
S+T=2n+1 ・・・(2)
ただし、nは自然数である。
【0033】
また、以下の式(3)を満足する場合、表示面22に表示する像は、補正せず、そのまま表示する。
S+T=2(n+1) ・・・(3)
ただし、nは自然数である。
【0034】
以下に、本発明の撮影装置1の光学系の実施例を説明する。矢印Aは、撮像素子21を見る方向、矢印Yは、図3〜図6の矢印Yに相当し、撮像素子21の上方向を示す。
【0035】
実施例1の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図7に示す。
【0036】
本実施例1は、1回反射1回結像の光学系31である。光束は、凸面で1回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(1)に対応し、映像は、撮像素子21では、図3(a)のように撮像され、表示面22では、補正しないと図3(b)のように表示されてしまうので、上下方向反転させ、図3(c)のように表示する。
【0037】
実施例2の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図8に示す。
【0038】
本実施例2は、1回反射1回結像の光学系31である。光束は、凹面で1回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(1)に対応し、映像は、撮像素子21では、図4(a)のように撮像され、表示面22では、補正しないと図4(b)のように表示されてしまうので、上下方向反転させ、図4(c)のように表示する。
【0039】
実施例3の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図9に示す。
【0040】
本実施例3は、2回反射1回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(2)に対応し、映像は、撮像素子21では、図5(a)のように撮像され、表示面22では、補正しない場合図5(b)のように表示されてしまうので、180°回転させ、図5(c)のように表示する。
【0041】
実施例4の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図10に示す。
【0042】
本実施例4は、2回反射3回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、3回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(2)に対応し、映像は、撮像素子21では、図5(a)のように撮像され、表示面22では、補正しない場合図5(b)のように表示されてしまうので、180°回転させ、図5(c)のように表示する。
【0043】
実施例5の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図11に示す。
【0044】
本実施例5は、2回反射2回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、2回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(3)に対応し、撮像素子21では、図6(a)のように撮像され、表示面22では、図6(b)のように表示される。この場合、映像を表示面22に表示する際の補正は必要ない。
【0045】
実施例6の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図12に示す。
【0046】
本実施例6は、2回反射2回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、2回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(3)に対応し、撮像素子21では、図6(a)のように撮像され、表示面22では、図6(b)のように表示される。この場合、映像を表示面22に表示する際の補正は必要ない。
【0047】
なお、各実施例1〜6における撮影装置1は、光学系31内での反射回数と結像回数に応じて観察時の像の上下方向を正しくするために、映像を反転させる像反転手段や映像を回転させる像回転手段を有することが好ましい。
【0048】
このように、本実施形態の撮影装置においては、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影することが可能となる。また、撮像素子21は、少なくとも通常の1/2の大きさであればよいので、撮像素子21を有効利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…撮影装置
2…撮影装置本体
21…撮像面
22…表示面
3…レンズ部
31…光学系
32…光軸
4…操作部
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮影装置に関し、広い観察画角で撮影することが可能な撮影装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、虚像を観察する光学系として、特許文献1〜3のようなものが知られている。
【特許文献1】特開2002−196438号公報
【特許文献2】特開2004−164143号公報
【特許文献3】特開2006−126323号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、特許文献1〜3において知られている技術は、虚像を観察するものであるが、撮影画像の上下方向を調整することができなかった。例えば、一般に、図13(a)に示すような風景を撮影装置で撮影した画像は、光学系によっては撮像面で図13(b)のように反転して撮像される。この場合、表示面に表示する際に、図13(c)のように撮像面での画像を反転して表示する。しかし、撮像面での状態は、撮影装置の光学系によって変化するものであり、常に同じ状態ではない。
【0004】
本発明は、従来技術のこのような状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、小さいサイズの撮像素子でありながら、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影可能な撮影装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、全方位の映像を投影することが可能な光学系と、前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子と、を備えた撮影装置において、前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置されることを特徴とする。
【0006】
また、前記光学系を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように前記撮像素子に対して偏心することを特徴とする。
【0007】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することを特徴とする。
【0008】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することを特徴とする。
【0009】
また、前記光学系と前記撮像素子との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
以上の本発明の撮影装置においては、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影することが可能となる。また、撮像素子を有効利用することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の撮影装置の概念図である。
【図2】光学系及び撮像面を示す図である。
【図3】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図4】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図5】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図6】被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【図7】本発明の実施例1の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図8】本発明の実施例2の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図9】本発明の実施例3の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図10】本発明の実施例4の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図11】本発明の実施例5の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図12】本発明の実施例6の視覚表示装置の光軸に沿ってとった断面図である。
【図13】一般的な撮影装置で風景を撮影した場合の撮像面と表示面での状態である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施例に基づいて本発明にかかる視覚表示装置について説明する。図1は本発明にかかる撮影装置の概念図である。
【0013】
本発明にかかる撮影装置1は、図1に示すように、撮影装置本体2と、レンズ部3とからなる。撮影装置本体2は、図示しない撮像素子21及び表示面22を有する。
【0014】
また、レンズ部3は、全方位(360°)を撮影することが可能な光学系31を有し、撮影装置本体2と着脱可能な構成でもよい。
【0015】
図2は、光学系及び撮像素子を示す図である。
【0016】
撮像面としては、約180°の映像を撮像する撮像素子21を有し、光学系31の中心軸32に対して、所定の方向にずらして配置されている。言い換えれば、光学系31は、約180°の映像を撮像素子21に扇型の映像として撮像するように、撮像素子21中心に対して偏心し、ずらして配置される。撮像素子21は、少なくとも通常の1/2の大きさであればよい。なお、光学系31の中心軸32と撮像素子21とは、それぞれ交差してもよい。
【0017】
また、光学系31を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように撮像素子21に対して偏心することが好ましい。
【0018】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することが好ましい。
【0019】
また、観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することが好ましい。
【0020】
また、光学系31と撮像素子21との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部としてのシャッターボタン4を有することが好ましい。
【0021】
図3〜図6は、被写体を本発明の撮影装置で撮影した場合の撮像面及び表示面での状態を示す図である。
【0022】
本発明に係る撮影装置1で撮影した場合の撮像素子21及び表示面22での状態は、光学系31により、図3〜図6の4つのパターンを有する。
【0023】
図3は、光学系31内の凸面で1回反射する場合等である。図3(a)は、撮像素子21での状態、図3(b)は、補正前の表示面22’での状態、図3(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0024】
光学系31内の凸面で1回反射すると、撮像素子21での像は、図3(a)に示すように、上下方向は正しいが、左右が反転し、補正前の表示面22’では、図3(b)に示すように、左右は正しいが、上下方向が反転する。そのため、光学系31内の凸面で1回反射する場合、補正前の表示面22’の像を上下反転するように補正し、図3(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0025】
図4は、光学系31内の凹面で1回反射する場合等である。図4(a)は、撮像素子21での状態、図4(b)は、補正前の表示面22’での状態、図4(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0026】
光学系31内の凹面で1回反射すると、撮像素子21での像は、図4(a)に示すように、上下方向は正しいが、左右が反転し、補正前の表示面22’では、図4(b)に示すように、左右は正しいが、上下方向が反転する。そのため、光学系31内の凹面で1回反射する場合、補正前の表示面22’の像を上下反転するように補正し、図4(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0027】
図5は、光学系31内で2回反射し、1回結像する場合等である。図5(a)は、撮像素子21での状態、図5(b)は、補正前の表示面22’での状態、図5(c)は、補正後の表示面22での状態である。
【0028】
光学系31内で2回反射し、1回結像すると、撮像素子21での像は、図5(a)に示すように、上下左右の正しい像となる。しかし、補正前の表示面22’では、図5(b)に示すように、上下左右が反転する。そのため、光学系31内で2回反射し、1回結像する場合、補正前の表示面22’の像を180°回転するように補正し、図5(c)に示すように、上下左右の正しい映像とする。
【0029】
図6は、光学系31内で2回反射し、2回結像する場合等である。図6(a)は、撮像素子21での状態、図6(b)は、表示面22での状態である。
【0030】
光学系31内で2回反射し、2回結像すると、撮像素子21での像は、図6(a)に示すように、上下左右の正しい像となる。しかし、表示面22では、図6(b)に示すように、上下左右が反転する。そのため、光学系31内で2回反射し、2回結像する場合、表示面22の像はそのままで補正する必要はない。
【0031】
このように、光学系の反射回数及び結像回数により、表示面22に表示する像の向きの補正が決定する。反射回数をS、結像回数をTとすると、以下の式(1)を満足する場合、表示面22に表示する像は、上下反転して表示する。
S=2n−1 ・・・(1)
ただし、nは自然数である。
【0032】
また、以下の式(2)を満足する場合、表示面22に表示する像は、180°回転して表示する。
S+T=2n+1 ・・・(2)
ただし、nは自然数である。
【0033】
また、以下の式(3)を満足する場合、表示面22に表示する像は、補正せず、そのまま表示する。
S+T=2(n+1) ・・・(3)
ただし、nは自然数である。
【0034】
以下に、本発明の撮影装置1の光学系の実施例を説明する。矢印Aは、撮像素子21を見る方向、矢印Yは、図3〜図6の矢印Yに相当し、撮像素子21の上方向を示す。
【0035】
実施例1の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図7に示す。
【0036】
本実施例1は、1回反射1回結像の光学系31である。光束は、凸面で1回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(1)に対応し、映像は、撮像素子21では、図3(a)のように撮像され、表示面22では、補正しないと図3(b)のように表示されてしまうので、上下方向反転させ、図3(c)のように表示する。
【0037】
実施例2の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図8に示す。
【0038】
本実施例2は、1回反射1回結像の光学系31である。光束は、凹面で1回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(1)に対応し、映像は、撮像素子21では、図4(a)のように撮像され、表示面22では、補正しないと図4(b)のように表示されてしまうので、上下方向反転させ、図4(c)のように表示する。
【0039】
実施例3の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図9に示す。
【0040】
本実施例3は、2回反射1回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、1回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(2)に対応し、映像は、撮像素子21では、図5(a)のように撮像され、表示面22では、補正しない場合図5(b)のように表示されてしまうので、180°回転させ、図5(c)のように表示する。
【0041】
実施例4の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図10に示す。
【0042】
本実施例4は、2回反射3回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、3回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(2)に対応し、映像は、撮像素子21では、図5(a)のように撮像され、表示面22では、補正しない場合図5(b)のように表示されてしまうので、180°回転させ、図5(c)のように表示する。
【0043】
実施例5の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図11に示す。
【0044】
本実施例5は、2回反射2回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、2回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(3)に対応し、撮像素子21では、図6(a)のように撮像され、表示面22では、図6(b)のように表示される。この場合、映像を表示面22に表示する際の補正は必要ない。
【0045】
実施例6の撮影装置1の光学系31の中心軸32に沿ってとった断面図を図12に示す。
【0046】
本実施例6は、2回反射2回結像の光学系31である。光束は、透明媒体で2回反射し、2回結像して撮像素子21に入射する。この場合、反射回数と結像回数は、上記式(3)に対応し、撮像素子21では、図6(a)のように撮像され、表示面22では、図6(b)のように表示される。この場合、映像を表示面22に表示する際の補正は必要ない。
【0047】
なお、各実施例1〜6における撮影装置1は、光学系31内での反射回数と結像回数に応じて観察時の像の上下方向を正しくするために、映像を反転させる像反転手段や映像を回転させる像回転手段を有することが好ましい。
【0048】
このように、本実施形態の撮影装置においては、広い観察画角を確保しつつ、鮮明な映像を上下方向正しく撮影することが可能となる。また、撮像素子21は、少なくとも通常の1/2の大きさであればよいので、撮像素子21を有効利用することが可能となる。
【符号の説明】
【0049】
1…撮影装置
2…撮影装置本体
21…撮像面
22…表示面
3…レンズ部
31…光学系
32…光軸
4…操作部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
全方位の映像を投影することが可能な光学系と、
前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子と
を備えた撮影装置において、
前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置される
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記光学系を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように前記撮像素子に対して偏心することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記光学系と前記撮像素子との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の撮影装置。
【請求項1】
全方位の映像を投影することが可能な光学系と、
前記光学系が投影した映像を撮像する撮像素子と
を備えた撮影装置において、
前記光学系は、約180°の映像を前記撮像素子に扇型の映像として撮像するように、前記撮像素子に対して偏心して配置される
ことを特徴とする撮影装置。
【請求項2】
前記光学系を、観察時に映像の上下方向が正しくなるように前記撮像素子に対して偏心することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項3】
観察時の像の上下方向を正しくする像反転機能を有することを特徴とする請求項1に記載の撮影装置。
【請求項4】
観察時の像の上下方向を正しくする像回転機能を有することを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の撮影装置。
【請求項5】
前記光学系と前記撮像素子との偏心方向で、撮影する映像の反対側に操作部を有する
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1つに記載の撮影装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−181451(P2010−181451A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−22477(P2009−22477)
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月3日(2009.2.3)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]