説明

操作スイッチ用シート部材及び操作スイッチ

【課題】操作面側から視認される光の強さと静電容量検出部の検出精度とを同時に向上し易く、しかも、薄肉に形成し易い操作スイッチ用シート部材を提供する。
【解決手段】操作面11aを有する表面操作部14と、表静電容量検出部17aと、EL発光部22aとを備え、EL発光部22aの光が表面操作部14の透光表示部16を透過して操作面11a側から視認可能に構成された操作スイッチ用シート部材11であり、静電容量検出部17aと透光表示部16を照射するEL発光部22aとは、平面視において異なる位置に互いに隔離して、表面操作部14と接合されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、操作面への接触操作により静電容量を検出可能な静電容量検出部と、操作面側から光を放射可能なEL発光部とを備えた操作スイッチ用シート部材及び操作スイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、操作スイッチとしては、指を近接或いは接触させたり、摺動させることで行う接触操作が、内部の回路に入力されて各種の処理が実行されるように構成されたものが多数知られている。このような操作スイッチとして、下記特許文献1のように、接触操作を静電容量の変化として検出するものが提案されている。
【0003】
また、操作スイッチとして、この特許文献1のように、表面操作部から光を放射可能に構成されたものも多数知られている。このような操作スイッチでは、例えば、操作スイッチ用シート部材に抜き文字等の表示部が設けられ、操作スイッチ内部に配置されたLED等の光源が発光して、表示部から光が放射されることで、操作スイッチの表示部等を視認し易くしている。
【特許文献1】特開2006−128019号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、意匠板の下側に表示用マスク板を配置して、その下側に導光部材を設け、この導光部材とは別に下側或いは横側に光源を設けていると共に、導光部材の下側に検知電極を設けている。そのため、別に接地される光源を配置するための厚さや空間が必要で操作スイッチの厚さが厚くなり易かった。同時に、多数の厚肉の部材が積層されるため、検知電極による静電容量の検出精度が低下し易かった。
【0005】
ところで、近年、このような操作スイッチの光源として、EL(エレクトロルミネッセンス)シートを用いることが検討されている。ELシートはそれ自体が均一に面発光することから、LEDを多数設けたり、LEDからの光を導くための導光部材等を設けることなく、表面操作部の複数の位置で均一な光を放射させることが可能である。しかも、薄肉に形成し易い。
【0006】
しかし、接触操作を静電容量の変化として検出する操作スイッチでは、操作スイッチの内部に光源としてELシートを配置することは容易でない。即ち、ELシートは、表裏両面側の全面に電極が設けられ、この電極間に交流電圧を加えることで、両電極間に配置された発光層を発光させるように構成されたものであるため、発光する全面に電極が面状に配置される。そのため、ELシートによる電気的な影響で静電容量検出部の検出精度が大きく低下したり、検出不能となり易い。
【0007】
そこで、この発明では、静電容量検出部とEL発光部が配置された操作スイッチに用いる操作スイッチ用シート部材において、操作面側から視認される光の強さと静電容量検出部の検出精度とを同時に向上し易く、しかも、薄肉に形成し易い操作スイッチ用シート部材を提供することを課題とし、また、そのような操作スイッチ用シート部材を用いて押圧操作感をも同時に向上し易い操作スイッチを提供することを他の課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決する請求項1に記載の操作スイッチ用シート部材は、接触操作が行われる操作面を有する表面操作部と、前記表面操作部の前記操作面の反対面側に配置され、前記表面操作部に対する接触操作を静電容量の変化として検出可能な静電容量検出部と、前記表面操作部の前記操作面の反対面側に配置されたEL発光部とを備え、前記EL発光部の光が前記表面操作部の透光表示部を透過して前記操作面側から視認可能に構成された操作スイッチ用シート部材であって、前記静電容量検出部と前記透光表示部を照射する前記EL発光部とは、平面視において異なる位置に互いに隔離して、前記表面操作部と接合されていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1に記載の構成に加え、前記表面操作部は、複数の位置に前記操作面を備えた弾性変形可能なキーシートからなることを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1又は2に記載の構成に加え、複数の位置の前記透光表示部を照射する前記EL発光部及び/又は複数の位置の前記操作面に対応する前記静電容量検出部が、連続した基材シートに設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項3に記載の構成に加え、前記EL発光部及び前記静電容量検出部は、同一の前記基材シートに設けられていることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の操作スイッチ用シート部材は、3又は4に記載の構成に加え、前記基材シートは、前記キーシートからなることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の操作スイッチ用シート部材は、請求項1乃至5の何れか一つに記載の構成に加え、前記静電容量検出部及び/又は前記EL発光部は、印刷層からなることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の操作スイッチは、前記請求項1乃至6の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材と、該操作スイッチ用シート部材と離間して対向する基体部とを備え、前記操作スイッチ用シート部材と前該基体部との間に、弾性変形可能な中空立体形状を有する弾性ドームと、該弾性ドームを押圧可能なプランジャとが互いに対向して配設され、前記表面操作部が押圧されることにより、前記プランジャにて前記弾性ドームが弾性変形可能に構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明によれば、静電容量検出部と透光表示部を照射するEL発光部とが平面視において異なる位置に互いに隔離して、表面操作部と接合されているので、静電容量検出部に対するEL発光部の電磁的な影響を抑えて、EL発光部と静電容量検出部とをそれぞれ表面操作部に近接配置することができる。そのため、EL発光部を表面操作部の近接位置で発光させることができて、操作面側から視認される光をより強くし易く、また、静電容量検出部により表面操作部の近接位置で接触操作を検出させることができて、静電容量検出部の検出精度を向上し易い。同時に、EL発光部及び静電容量接触部を表面操作部に近接配置できる結果、操作スイッチ用シート部材を薄肉に形成し易い。
【0016】
請求項2に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、表面操作部が複数の位置に操作面を備えたキーシートからなるので、キーシートに静電容量検出部及びEL発光部が接合されれば、各操作面と静電容量検出部及びEL発光部との間の間隔を確実に均一にでき、各操作面における光の強さと静電容量の検出精度とを均一にし易い。しかも、キーシートが弾性変形可能であるため、簡単な構成で押圧操作を可能にでき、静電容量検出部の検出精度とキーシートから放出する光の強さとを均一に向上させつつ、各操作面の押圧操作が可能な構成を容易に得られる。
【0017】
請求項3乃至5に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、複数の位置の透光表示部を照射するEL発光部及び/又は複数の位置の操作面に対応する静電容量検出部が、連続した基材シートに設けられているので、複数の位置のEL発光部や静電容量検出部を均質に薄肉に形成し易い。特に、請求項4又は5によれば、基材シートを特定のものとすることで積層数を少なくできる。そのため、操作スイッチ用シート部材の薄肉化を図り易い。
【0018】
請求項6に記載の操作スイッチ用シート部材によれば、静電容量検出部及び/又はEL発光部が印刷層からなるので、静電容量検出部及び/又はEL発光部をより薄肉に形成し易く、操作スイッチ用シート部材の薄肉化を更に図り易い。
【0019】
請求項7に記載の操作スイッチによれば、請求項1乃至6の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材の基体部側に弾性ドーム及びプランジャが配置されているので、弾性ドーム及びプランジャにより押圧操作の操作感を向上させても、静電容量検出部及びEL発光部を表面操作部に近接配置することができ、表面側から視認される光の強さと静電容量検出部の検出精度とを向上することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の実施の形態を、図を用いて説明する。
[実施の形態1]
【0021】
図1乃至図4は、この実施の形態1の操作スイッチの一部を示している。
【0022】
実施の形態1の操作スイッチは、図1及び図2に示すように、開口部10aを有する筐体10と、筐体10の開口部10aに配置された操作スイッチ用シート部材としての操作パネル11と、筐体10の内部に操作パネル11と離間して対向配設された基体部としての基板21とを備えている。
【0023】
操作パネル11には、押圧操作可能な押圧操作部15が縦横に複数配列して設けられ、複数の押圧操作部15を含む操作パネル11の広い範囲に、接触操作可能な接触操作部12が設けられている。ここでは、全て又は一部の押圧操作部15が、接触操作部12の一部を構成しており、押圧操作及び接触操作可能となっている。なお、操作パネル11の接触操作部12及び押圧操作部15とは異なる位置には、接触操作及び押圧操作が可能な他の補助操作部13が設けられている。
【0024】
基板21には、操作パネル11の全押圧操作部15と対向する各位置に、図示しない回路と接続されて互いに離間して配置された接点端子25が設けられており、各押圧操作部15と基板21との間には、接点端子間25間を離接すると共に押圧操作時の操作感を付与するための押圧変形部23が設けらている。
【0025】
操作パネル11は、積層構造を有しており、接触操作部12及び押圧操作部15の操作面11aを有する表面操作部としてのキーシート14と、このキーシート14を照光するためのELシート22と、接触操作部12への接触操作を静電容量の変化として検出するための静電容量検出シート17と、押圧操作部15への押圧操作により押圧変形部23を押圧するためのプランジャシート19とが、筐体10の開口部10aの最外側から順に積層されて接合一体化されている。
【0026】
キーシート14とELシート22との間、ELシート22と静電容量検出シート17との間、静電容量検出シート17とプランジャシート19との間は、それぞれ両面テープ18a、18b、18cにより互いに全面にわたり密着して接合されている。
【0027】
操作パネル11のキーシート14は、ポリカーボネート、PET等の光を透過可能であると共に弾性変形可能な樹脂により平板状に形成された硬質樹脂シートからなる。この実施形態では、キーシート14は、操作パネル11の形状を保持できると共に押圧操作が可能な程度の強度を有することが好ましく、例えば、厚さが0.075mmから1mmの範囲となるものが好ましく、特に、0.1mmから0.5mmの範囲が好適である。薄すぎるとキーシートとしての剛性が保たれず、下部に配置するELシート22や静電容量検出シート17の保護の役割を果たさず、変形等の損傷により機能障害を生じさせるおそれがある。一方、厚すぎると弾性変形できず、押圧操作が困難となる。
【0028】
キーシート14には、筐体10の開口部10aから露出される面に接触操作部12及び押圧操作部15の操作面11aが設けられており、この操作面11aとは反対側の面に、光を遮断可能な印刷層からなる遮光層14aが設けられている。押圧操作部12等の所定位置には、文字、線図等の各種の形状で遮光層14aを抜くことで、即ち、遮光層14aを存在させないことで、光が透過可能な透光表示部16が形成されている。ここでは、透光表示部16に有色の透光性加飾印刷層が設けられており、透光する光が着色されるようになっている。
【0029】
操作パネル11のELシート22は、キーシート14の複数位置の透光表示部16の位置を含む大きさの基材シート22bと、基材シート22bの各透光表示部16に対応する位置に設けられたEL発光部22aとを備えている。
【0030】
基材シート22bは、静電容量検出シート17による静電容量の検出精度を低下させ難い材料から、均一な厚さでより薄肉に形成されている。また、この実施形態では、キーシート14の弾性変形を阻害し難くするために、基材シート22bをキーシート14より大幅に軟質に形成している。このような基材シート22bとしては、例えばPET等の各種の樹脂フィルムを使用することができる。
【0031】
EL発光部22aは、詳細な図示は省略されているが、基材シート22b上或いは内部に配置されて面方向に広がる一対の電極層と、この一対の電極層間に配置された発光層とを含む多層積層構造を有している。各EL発光部22aの電極層は基板21の図示しない発光用回路と接続されており、電極間に交流電圧を印加することで発光し、透光表示部16を照射可能となっている。
【0032】
操作パネル11の静電容量検出シート17は、キーシート14の接触操作部12の位置を含む大きさの基材シート17bと、この基材シート17bの接触操作部12に対応する範囲内で、ELシート22のEL発光部22aと平面視において重ならない異なる位置に担持された静電容量検出部17aとを備えている。
【0033】
基材シート17bは、この実施形態では、操作パネル11を薄肉に形成するために、より薄肉に形成されている。また、キーシート14の弾性変形を阻害し難くするために、基材シート17bをキーシート14より大幅に軟質に形成している。このような基材シート17bとしては、例えば、PET等のポリエステルフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリカーボネートフィルムなどの各種の樹脂フィルムを使用することができる。
【0034】
静電容量検出部17aは、例えば基材シート17bに導電性被膜層により、静電容量の変化を検出可能な複数の検出部位17cを互いに非接続状態で近接して設けることで構成されている。静電容量検出部17aの形状は目的に応じて適宜設定できるが、例えば図4に示すように、複数の扇形の検出部位17cが任意の中心位置の周囲に円形となるように配置した形状としていてもよい。各検出部位17cはリード線17dにより静電容量検出回路と接続されている。
【0035】
この静電容量検出部17aは、図2乃至図4に示すように、ELシート22のEL発光部22aと平面視において互いに重なる位置には設けられておらず、静電容量検出シート17の静電容量検出部17aとELシート22のEL発光部22aとが、互いに重ならない異なる位置に設けられている。
【0036】
この場合、互いに隣接する静電容量検出部17aとEL発光部22aとの間の間隔W2は、互いに絶縁性を確保できる距離を確保できる範囲とし、例えば、0.3mm以上としてもよい。なお、この実施の形態では、静電容量検出シート17とELシート22との間を接合する両面テープ18bとして絶縁性の高いものを使用すれば、静電容量検出部17aとEL発光部22aとを電気的に隔離し易くでき、静電容量検出部17aとEL発光部22aとの間隔W2をより短く形成し易くできる。
【0037】
また、このようにEL発光部22aの配置部分に静電容量検出部17aを設けない場合には、静電容量検出部17aにそのための間隙が形成されるが、このときの静電容量検出部17a間の間隙W1は指の幅より狭いことが好ましく、例えば、10mm以下とするのが好適である。
【0038】
このような静電容量検出部17aやリード線17dを構成する導電性被膜層は、カーボンインク、銀系インク等の導電性インクを用いた印刷層により形成することができ、導電性ポリマーや酸化インジウム錫粉を分散させた透明性を有する導電性インクを用いてもよい。
【0039】
その際、静電容量検出部17aの検出部位17c及びリード線17dの全てが、基材シート17bの一方の面に印刷されていてもよいが、互いに隣接する検出部位17c及びリード線を異なる面となるように印刷することも可能である。
【0040】
更に、導電性被膜層は、例えば、酸化インジウム錫等の導電性金属を蒸着し、所定の形状にエッチングするなど、他の方法で形成することも可能である。
【0041】
操作パネル11のプランジャシート19は、キーシート14の複数位置の押圧操作部15を含む大きさの平坦なシート形状部19bと、このシート形状部19bの押圧変形部23と対向する面の押圧操作部15に対応する位置にそれぞれ突設された複数のプランジャ部19aとを備えている。プランジャシート19のシート形状部19bは、静電容量検出シート17の静電容量検出部17a全面を被覆している。
【0042】
このプランジャシート19は、シリコーンゴム、ポリウレタン等から成形されている。また、PET等のポリエステルフィルムにアクリル、エポキシ、ポリエステルなどのプランジャ部19aを設けたものでもよい。シート形状部19bは、操作パネル11を薄肉に形成するために、より薄肉に形成されており、また、キーシート14の弾性変形を阻害し難くするために、キーシート14より大幅に軟質に形成している。
【0043】
このような構成を有する操作パネル11の周縁部には、プランジャシート19側から枠板状の補強板28が両面テープ29により接合されており、操作パネル11の剛性が向上されている。また、この補強板28が筐体10の開口部10a近傍に設けられた被固定部31に固定されることで、操作パネル11が筐体10に固定されている。
【0044】
一方、基体部としての基板21は、硬質樹脂製の板材からなり、筐体10に固定して装着されている。この基板21には、図示しない多数の回路が設けられており、接点端子25が押圧操作部15に対応する位置に設けられている。
【0045】
また、基板21と操作パネル11との間に設けられた押圧変形部23は、押圧操作部15に対応する位置毎に、弾性変形可能な中空立体形状を有する弾性ドームとしてのメタルドーム27を備えている。メタルドーム27は基板21上に操作パネル11側に向けて凸となるように配置されており、基板21に貼着可能な可撓性を有する樹脂製のドーム固定シート24により凸面側から被覆されることで基板21の表面に固定されている。
【0046】
メタルドーム27は、周縁で接点端子25の一方に常時接触し、中央部で他方の接点端子25と離間した状態で配置され、プランジャ部19aで押圧されることにより、メタルドーム27により接点端子25間が接続されるように構成されている。
【0047】
次に、このような構成を有する操作スイッチの動作について説明する。
【0048】
まず、押圧操作を行うには、操作パネル11の複数の押圧操作部15の一部をキーシート14の操作面11a側から押圧する。すると、操作パネル11全体がキーシート14の弾性により弾性変形し、プランジャシート19のプランジャ部19aが下降し、プランジャ部19eにより押圧変形部23が押圧される。そして、ドーム固定シート24と共にメタルドーム27が弾性変形され、クリック動作感が得られた状態で、メタルドーム27により接点端子25間が導通される。この押圧操作により、各種の処理が実行される。なお、この押圧操作時の距離は微細であり、押圧操作は短時間で実施される。
【0049】
また、接触操作を行うには、操作パネル11の接触操作部12において、キーシート14の操作面11a上に指を近接、接触、或いは摺動させる。すると、キーシート14及びELシート22の基材シート22bを介して、静電容量検出シート17の静電容量検出部17により静電容量の変化が検出され、リード線17dを介して基板21上の静電容量検出回路に伝達されて、接触操作が認識され、各種の処理が実行される。
【0050】
更に、予め設定されている所定時において、操作パネル11の透光表示部16から光を放出するには、所定時に発光回路からELシート22のEL発光部22aに電圧が印加されることで、EL発光部22aを発光させる。
【0051】
EL発光部22aがキーシート14直下で発光すると、この光が所望の形状で透光可能に設けられた透光表示部16から外部に放射され、透光表示部16の形状や色が外部から視認される。キーシート14の遮光層14aではキーシート14から外部に光は放射されない。また、操作パネル11以外の部位では筐体10に覆われているため、光は外部に放射されない。なお、EL発光部22aの発光時であっても、前述の押圧操作や接触操作は同様に行なうことが可能である。
【0052】
以上のような操作スイッチの操作パネル11によれば、静電容量検出シート17の静電容量検出部17aとELシート22のEL発光部22aとが平面視において異なる位置に電気的に隔離して、キーシート14に接合されているので、EL発光部22aと静電容量検出部17aとをそれぞれ表面操作部に近接配置することができると共に、近接配置していても静電容量検出部17aに対するEL発光部22aの電磁的な影響を抑えることができる。
【0053】
そのため、EL発光部22aをキーシート14の近接位置で発光させることができ、キーシート14の操作面11a側から視認される光をより強くし易く、同時に、静電容量検出部17aによりキーシート14の近接位置で接触操作を検出させることができ、静電容量検出部17aの検出精度を向上し易い。そして、EL発光部22a及び静電容量接触部17aをキーシート14に近接配置できる結果、操作パネル11をより薄肉に形成し易い。
【0054】
また、この操作パネル11によれば、連続した複数の位置に操作面11aを備えたキーシート14を備えているので、複数のキーを配置して各表面に操作面を設ける場合に比べて、部材部品点数を少なくできる上に、キーシート14に静電容量検出シート17及びELシート22を接合すれば、複数の位置の操作面11aと静電容量検出部17a及びEL発光部22aとの間の間隔を確実に均一にでき、各位置の操作面11aと静電容量検出部17a及びEL発光部22aとの間の間隔を確実に均一にでき、各操作面11aにおける光の強さや静電容量の検出精度を向上させ易い。
【0055】
更に、この操作パネル11によれば、接触操作が行われるキーシート14が硬質樹脂からなるので、EL発光部22aと静電容量検出部17aとを操作パネル11の操作面11aに近接配置していても、キーシート14によりEL発光部22aと静電容量検出部17aを十分に保護することができて耐久性を確保し易い。また、EL発光部22aや静電容量検出部17aが形状保持性を有する必要がないため、これらをより薄肉に形成することもできる。
【0056】
また、キーシート14が弾性変形可能であるので、静電容量検出部17aの検出精度と、キーシート14から放出する光の強さとを向上させつつ、補強板28で固定するという簡単な構成で各操作面11aの押圧操作を可能にすることができる。しかも、キーシート14を部分的に固定して支持しても押圧操作が可能であるため、キーシート14、EL発光部22a、及び静電容量検出部17aの支持構造を簡単にでき、操作パネル11の薄肉化をより図り易い。
【0057】
更に、この操作パネル11によれば、静電容量検出部17aが印刷により形成されているので、静電容量検出シート17を薄肉にして操作パネル11を薄肉化し易い。
【0058】
そして、このような操作パネル11を有する操作スイッチでは、メタルドーム27及びプランジャ部19aにより押圧操作の操作感を向上させていても、静電容量検出部17a及びEL発光部22aがキーシート14に近接配置されているため、操作面11a側から視認される光の強さと静電容量の検出精度とを同時に向上することが可能である。
【0059】
なお、上記実施の形態1は、この発明の範囲内において適宜変更可能である。例えば、上記実施の形態1では、操作パネル11が接触操作部12と押圧操作部15とを備えた例について説明したが、この発明は押圧操作部15が設けられていない操作スイッチ用部材に適用することも可能である。
【0060】
更に、上記実施の形態1では、操作パネル11にプランジャシート19を設け、このプランジャシート19に押圧変形部23を押圧するためのプランジャ部19aを設けたが、例えば押圧変形部23にプランジャ部を設け、操作パネルのプランジャシートを平坦なシート形状に構成したり、プランジャシートを設けない構成とし、押圧操作部15が押圧操作された際、操作パネルにより押圧変形部23に設けられたプランジャ部を押圧し、このプランジャ部によりメタルドーム27を押圧するようにしてもよい。
【0061】
また、上記の押圧変形部23は、メタルドーム27がドーム固定シート24により固定されて構成されているが、例えば、弾性変形可能な樹脂により形成された弾性ドームの内面に金属層を蒸着させたり、導電性のカーボン層を印刷することで構成してもよい。更に、接点端子25を設けない場合には、メタルドーム27や金属蒸着層を設けず、樹脂製の弾性ドームにより押圧変形部を構成することも可能である。
[実施の形態2]
【0062】
図5は、実施の形態2を示す。
【0063】
実施の形態2の操作スイッチは、操作パネル11のELシート22と静電容量検出シート17との積層順序が異なる他は、実施の形態1の操作スイッチと同様の構成を有している。ここでは、キーシート14の基板21側に静電容量検出シート17が配置され、静電容量検出シート17の基板21側にELシート22が配置され、ELシート22の基板21側にプランジャシート19が配置されている。
【0064】
このような構成を有する操作パネル11及び操作スイッチであっても、実施の形態1と同様の作用効果を得ることが可能である。
【0065】
なお、この実施の形態2では、静電容量検出シート17の静電容量検出部17aと平面視において重なる位置には、ELシート22のEL発光部22aが設けられていないが、静電容量検出シート17の静電容量検出部17aとELシート22のEL発光部22aとの間に確実な絶縁層を介在させれることにより、静電容量検出部17aと重なる位置にEL発光部22aを設けることも可能であり、例えば、ELシート22の全面にEL発光部22aを設けてもよい。
[実施の形態3]
【0066】
図6は、実施の形態3を示す。
【0067】
実施の形態3の操作スイッチ及び操作パネル11では、基材シート22bにEL発光部22aが設けられたELシート22を積層する代わりに、印刷層からなるEL層32をキーシート14に担持させて構成している。その他は、実施の形態1と同様である。
【0068】
ここでは、EL層32はキーシート14の基板21側表面に印刷されており、透光表示部16の加飾印刷層の表面には、EL発光部32aが発光可能な複数層の積層構成で印刷されている。このEL発光部32aから図示しない発光回路までの間のリード線は遮光層14aの表面に印刷されている。
【0069】
また、少なくともEL発光部32aが設けられていない遮光層14aの表面、好ましくは基板21側の全面には十分な絶縁性を有する絶縁印刷層32bが印刷されている。
【0070】
このような構成を有する操作パネル11や、この操作パネルを備えた操作スイッチであっても、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
【0071】
しかも、EL発光部32aが印刷層から構成されているので、キーシート14にEL発光部32aをより薄肉に形成し易く、操作パネル11をより薄肉化することができる。
[実施の形態4]
【0072】
図7は、実施の形態4を示す。
【0073】
実施の形態4の操作スイッチ及び操作パネル11では、キーシート14にELシート22及び静電容量検出シート17を積層する代わりに、EL発光部34a及び静電容量検出部34bを担持した複合シート34をキーシート14に積層している。その他は実施の形態1と同様である。
【0074】
ここでは、PET等からなる基材シート34cの一方の表面にEL発光部34aが印刷されると共に、他方の面に静電容量検出部34bが印刷されることにより複合シート34が形成されている。
【0075】
このような構成を有する操作パネル11や、この操作パネルを備えた操作スイッチであっても、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
【0076】
しかも、EL発光部34a及び静電容量検出部34bが印刷層から構成されて薄肉に形成し易い上に、EL発光部34aと静電容量検出部34bとが同一の基材シート34cの異なる位置に設けられているので、実施の形態1、2等のようにEL発光部と静電容量検出部とを異なる基材シートに設ける場合に比べ、少ない積層数で操作パネル11を形成でき、より薄肉に形成することが可能である。
【0077】
更に、EL発光部34aと静電容量検出部34bとの両方をキーシート14の操作面11aにより近接配置できるため、透光表示部16の操作面側から視認される光の強さと静電容量の検出精度とを同時により向上することが可能である。
【0078】
なお、この実施の形態4では、EL発光部34aと静電容量検出部34bとが同一の基材シート34cの異なる面に設けることで、両者の電気的な影響を防止し易くしているが、EL発光部34aと静電容量検出部34bとを同一の面に、絶縁部となる間隔を置いて設けることも可能である。
[実施の形態5]
【0079】
図8及び図9は、実施の形態5を示す。
【0080】
実施の形態5の操作スイッチ及び操作パネル11では、キーシート14にELシート22及び静電容量検出シート17を積層する代わりに、印刷層からなるEL発光部35a及び静電容量検出部35bをキーシート14の基板21側に担持させている。
【0081】
また、操作パネル11は補強板28により筐体10に固定する構成が設けられておらず、ウレタン等の発泡材、シリコーンゴム、熱可塑性エラストマーなどの可撓性材料からなるスペーサ37により基板21に支持されている。
【0082】
その他は、実施の形態1と同様である。
【0083】
ここでは、透光表示部16の加飾印刷層の表面にEL発光部35aが印刷されると共に、遮光層14aの表面に静電容量検出部35bが印刷されており、EL発光部35aと静電容量検出部35bとは、互いに異なる位置に、間隙W2をおいて設けられている。更に、EL発光部35a及び静電容量検出部35bの表面を含むキーシート14の基板21側の全面が、十分な絶縁性を有する絶縁印刷層35cにより覆われており、EL発光部35aと静電容量検出部35bとの間が絶縁印刷層35cにより確実に絶縁されている。
【0084】
このような構成を有する操作パネル11や、この操作パネルを備えた操作スイッチであっても、実施の形態1と同様の作用効果が得られる。
【0085】
しかも、EL発光部35a及び静電容量検出部35bが印刷層から構成されて薄肉化し易い上、EL発光部35a及び静電容量検出部35bがキーシート14に設けられているので、より少ない積層数で操作パネル11を形成でき、より薄肉に形成することが可能であると共に、透光表示部16の操作面側から視認される光の強さと静電容量の検出精度とを同時に更に向上することが可能である。
【0086】
加えて、EL発光部22aと静電容量検出部17aとの間が絶縁印刷層35cにより隔離されているので、EL発光部22aと静電容量検出部17aとを近接配置していても、EL発光部22aに印加される交流による静電容量検出部17aへの電気的な影響を防止して、精度よく静電容量の変化を検出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】この発明の実施の形態1の操作スイッチの正面図である。
【図2】同実施の形態1の図1のA−A断面図である。
【図3】同実施の形態1の操作スイッチの分解図である。
【図4】同実施の形態1の操作パネルの静電容量検出部の正面図である。
【図5】この発明の実施の形態2の操作スイッチの分解図である。
【図6】この発明の実施の形態3の操作スイッチの分解図である。
【図7】この発明の実施の形態4の操作スイッチの分解図である。
【図8】この発明の実施の形態5の図1のA−A断面相当図である。
【図9】同発明の実施の形態5の操作スイッチの分解図である。
【符号の説明】
【0088】
10 筐体
11 操作パネル
12 接触操作部
14 キーシート
15 押圧操作部
16 透光表示部
17 静電容量検出シート
17a 静電容量検出部
19 プランジャシート
19a プランジャ部
21 基板
22 ELシート
22a EL発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
接触操作が行われる操作面を有する表面操作部と、前記表面操作部の前記操作面の反対面側に配置され、前記表面操作部に対する接触操作を静電容量の変化として検出可能な静電容量検出部と、前記表面操作部の前記操作面の反対面側に配置されたEL発光部とを備え、前記EL発光部の光が前記表面操作部の透光表示部を透過して前記操作面側から視認可能に構成された操作スイッチ用シート部材であって、
前記静電容量検出部と前記透光表示部を照射する前記EL発光部とは、平面視において異なる位置に互いに隔離して、前記表面操作部と接合されていることを特徴とする操作スイッチ用シート部材。
【請求項2】
前記表面操作部は、複数の位置に前記操作面を備えた弾性変形可能なキーシートからなることを特徴とする請求項1に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項3】
複数の位置の前記透光表示部を照射する前記EL発光部及び/又は複数の位置の前記操作面に対応する前記静電容量検出部が、連続した基材シートに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項4】
前記EL発光部及び前記静電容量検出部は、同一の前記基材シートに設けられていることを特徴とする請求項3に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項5】
前記基材シートは、前記キーシートからなることを特徴とする請求項3又は4に記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項6】
前記静電容量検出部及び/又は前記EL発光部は、印刷層からなることを特徴とする請求項1乃至5の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材。
【請求項7】
前記請求項1乃至6の何れか一つに記載の操作スイッチ用シート部材と、該操作スイッチ用シート部材と離間して対向する基体部とを備え、
前記操作スイッチ用シート部材と前記基体部との間に、弾性変形可能な中空立体形状を有する弾性ドームと、該弾性ドームを押圧可能なプランジャとが互いに対向して配設され、
前記表面操作部が押圧されることにより、前記プランジャにて前記弾性ドームが弾性変形可能に構成されていることを特徴とする操作スイッチ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−181709(P2008−181709A)
【公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−12871(P2007−12871)
【出願日】平成19年1月23日(2007.1.23)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】