説明

操作位置検出装置及びシフト操作位置検出装置

【課題】例えば操作手段の操作位置を検出するセンサ部品の共用化を図るにあたって、これを簡素な構成で満たすことができる操作位置検出装置及びシフト操作位置検出装置を提供する。
【解決手段】装置ケース3に対してスライド移動可能なノブ支持スライダ53に、シフトノブ2が回動可能に取り付けられる。これにより、シフトノブ2のスライド操作と、このスライド操作後のシフトノブ2の回動操作とが可能となっている。ノブ支持スライダにガイド孔75を形成し、このガイド孔75を通して飛び出るセンサユニット5のセンサ連結部38を、シフトノブ2の裏面に設けたリブに係止する。そして、ガイド孔75とリブとによってシフトノブ2の回動運動を直線運動に変換してセンサユニット5に伝達し、センサユニット5のセンサ連結部38、即ちマグネットを直線移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作手段の操作位置を検出部及び被検出部の位置関係を基に検出する操作位置検出装置及びシフト操作位置検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車等の車両では、車両のギア変速比を車速やエンジン回転数等に応じて自動で切り換える自動変速機によって走行するオートマチック車両が広く普及している。この種のオートマチック車両では、車両の運転席に自動変速機のレンジを切り換えるときに操作するシフトレバー(セレクトレバー)が設けられ、主にパーキングレンジ、ニュートラルレンジ、リターンレンジ、ドライブレンジ等に操作可能となっている。また、シフトレバーには、レバーの操作レンジ位置を検出するレバー位置検出装置が設けられ、この検出装置でレンジ位置を検出して自動変速機のギア位置が切り換えられる。なお、この種の検出装置は、例えば特許文献1等に開示されている。
【0003】
ところで、このレバー位置検出装置の一種として、近年においてはシフトバイワイヤ構造のものが開発されている。シフトバイワイヤ構造は、シフトレバーの操作位置をセンサにより検出し、自動変速機のコントロールユニットであるコントローラによってレンジ位置の切り換えを行う技術である。このように、自動変速機のレンジ位置切り換えを電気的に行うようにすれば、シフトレバーと変速機とを直に連結する機械構造のものと比較して、操作荷重等の面からレンジ位置の切り換え操作が負荷の軽いものとなり、この点から利便性が非常に高いと言える。
【特許文献1】特開2004−138235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、シフトバイワイヤ構造のレバー位置検出装置は、レバー操作位置を検出するセンサ部分がユニット化される傾向にある。さらに、この種のシフトレバー装置には、例えばレバー形状をとる操作部を前後左右に倒すレバータイプのものや、或いは操作部を回動操作するダイヤルタイプのものが開発されている。ここで、例えば操作形式が異なる各々のシフタ装置ごとにセンサユニットを形成すると、部品新設によるコストアップ等の問題が発生する。よって、異なるタイプのシフタでも同じセンサユニットを共用化できる技術の開発が要望されていた。また、この共用化技術をなるべく簡素な構造をとることも大きな要望となっていた。
【0005】
本発明の目的は、例えば操作手段の操作位置を検出するセンサ部品の共用化を図るにあたって、これを簡素な構成で満たすことができる操作位置検出装置及びシフト操作位置検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記問題点を解決するために、本発明では、操作手段に検出部及び被検出部の一方として第1検出体を設け、前記操作手段を可動可能に支持するケース部材に、前記した2者の他方として第2検出体を設け、前記操作手段の操作の際に前記第1検出体が当該操作手段に追従して直線移動して、前記2つの検出体の位置関係に応じて変わる前記検出部の検出値により、前記操作手段の操作位置を検出する操作位置検出装置において、前記ケース部材に対して直線移動可能に取り付けられた支持部材に前記操作手段を回動可能に連結することにより、前記操作手段の直線操作と該直線操作後の回動操作とが許容され、前記操作手段が直線操作された際には、前記支持部材に設けたガイド部で前記第1検出体を押して、当該第1検出体を前記操作手段の直線操作に追従させ、前記操作手段が該直線操作後に回動操作された際には、当該操作手段に設けた係止部で前記第1検出体を引っ張りつつ、しかも前記ガイド部において前記直線操作の直行方向に沿って延びる案内面で前記第1検出体を案内することにより、前記第1検出体を前記直行方向に直線移動させる変換機構を備えたことを要旨とする。
【0007】
この構成によれば、例えば操作手段がレバータイプ、即ちレバー部材を前後や左右に倒し込む操作形式をとる場合、操作手段の操作位置を検出するセンサ部品としては、例えば操作手段の操作に応じて第1検出体が装置の平面方向において直線移動をとる種類のものが採用される。ところで、本構成においては、操作手段が直線操作及びその直線操作後に回動操作が可能なダイヤルタイプをとる場合であっても、このときに操作手段に発生する操作力が変換機構により直線方向に操作力に変換されてセンサ部品側に伝達可能となるので、前述したレバータイプで使用していたセンサ部品を、ダイヤルタイプにも使用することが可能となる。よって、1つのセンサ部品を2つのタイプに共用可能となるので、各々のタイプごとにセンサ部品を用意せずに済み、部品コスト削減等の効果を得ることが可能となる。また、本構成の変換機構は、操作手段の動きをガイド部の面で第1検出体の直線移動に変換するという簡素な構成で、本構成の利点であるセンサ部品の共用化を図ることも可能であると言える。
【0008】
本発明では、前記ガイド部には、前記操作手段が直線操作されても、暫くの間は前記第1検出体を押し込まないように空走距離が形成されていることを要旨とする。
この構成によれば、操作手段を直線操作した際、まずは最初にガイド部の空走距離分だけ操作手段が直線操作された後に第1検出体が動き始め、この動きをとった後の第1検出体の位置を第2検出体が見て操作手段の位置が検出される。このため、第1検出体が第2検出体に対して少量だけしか動かない構造をとる場合であっても、空走距離の分だけ操作手段の操作量を長くとることが可能となり、操作手段の操作量不足を解消することが可能となる。
【0009】
本発明では、前記係止部は、前記操作手段が直線操作される前とその後との両方において前記第1検出体と係止状態をとることを要旨とする。
この構成によれば、操作手段が直線操作されるその前と後とに拘わらず、第1検出体は係止部と係止状態を常時とる。ところで、操作手段を直線操作した後には、操作手段を回動操作するために第1検出体を係止部に必ず係止させなくてはならないが、本構成は第1係止対が直線操作の前後に拘わらず予め係止部に係止するので、操作手段を直線移動させた後に、第1検出体が係止部に係止しないという状況が生じない。このため、操作位置検出装置を誤作動の生じ難いものとすることが可能となる。
【0010】
本発明では、前記第1検出体は、当該第1検出体を操作前の位置側に押す付勢手段によって戻し側に常時付勢されていることを要旨とする。
この構成によれば、第1検出体をガイド部の周縁に常時押し付けることが可能となるので、操作位置の検出精度をより高いものとすることが可能となる。
【0011】
本発明では、前記操作手段は、非操作時には定常位置に位置し、当該定常位置から他の位置に操作された後、自動で元の前記定常位置に復帰するモーメンタリ式をとっていることを要旨とする。
【0012】
この構成によれば、操作手段を操作した後は操作手段が自動で元の定常位置(中立位置)に戻るので、操作手段を元の位置に戻す際に別途操作が不要となる。
本発明では、車両の変速機のギア位置を切り換える際に操作するシフト操作部に検出部及び被検出部の一方として第1検出体を設け、前記シフト操作部を可動可能に支持するケース部材に、前記した2者の他方として第2検出体を設け、前記シフト操作部の操作の際に前記2つの検出体の位置関係に応じて変わる前記検出部の検出値により、前記シフト操作部の操作位置を検出するシフト操作位置検出装置において、前記ケース部材に対して直線移動可能に取り付けられた支持部材に前記シフト操作部を回動可能に連結することにより、前記シフト操作部の直線操作と該直線操作後の回動操作とが許容され、前記シフト操作部が直線操作された際には、前記支持部材に設けたガイド部で前記第1検出体を押して、当該第1検出体を前記シフト操作部の直線操作に追従させ、前記シフト操作部が該直線操作後に回動操作された際には、当該シフト操作部に設けた係止部で前記第1検出体を引っ張りつつ、しかも前記ガイド部において前記直線操作の直行方向に沿って延びる案内面で前記第1検出体を案内することにより、前記第1検出体を前記直行方向に直線移動させる変換機構を備えたことを要旨とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、例えば操作手段の操作位置を検出するセンサ部品の共用化を図るにあたって、これを簡素な構成で満たすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を具体化した操作位置検出装置及びシフト操作位置検出装置の一実施形態を図1〜図15に従って説明する。
図1に示すように、オートマチック車両には、自動変速機(トランスミッション)の動作状態を切り換える際に操作する装置としてシフタ装置1が設けられている。本例のシフタ装置1は、レンジ位置切り換えの際の操作箇所であるシフトノブ2が自動変速機に機械的ではなく電気的に繋がったシフトバイワイヤ構造がとられている。シフタ装置1には、シフタ装置1の各種部品の収納箇所として箱形状の装置ケース3が設けられている。シフタ装置1は、このケース3を例えばネジ部品を用いて車体に組み付けることによって車両に取り付けられている。なお、シフトノブ2が操作手段及びシフト操作部を構成し、装置ケース3がケース部材に相当する。
【0015】
また、本例のシフタ装置1は、図2に示すように、シフトノブ2が中立位置、ニュートラル位置(N位置)、ドライブ位置(D位置)、リバース位置(R位置)の4位置をとり、ノブ操作前の基準位置である中立位置からN位置に操作可能であり、また中立位置からN位置を経由してD位置やR位置に操作可能となっている。このシフトノブ2は、通常において中立位置をとるとともに、中立位置からN位置、D位置、R位置に操作された後、例えばノブ2から手を離されるなどして操作力がなくなると、自動で元の中立位置に復帰するモーメンタリ式をとっている。なお、中立位置が定常位置に相当する。
【0016】
更に、本例のシフタ装置1は、シフトノブ2をスライド操作及び回転操作してレンジ位置を切り換えるダイヤルタイプとなっている。本例のシフトノブ2は、図2に示すように、中立位置からN位置への操作がスライド操作で、スライド操作後のN位置からD位置やR位置に操作するときに回動操作をとる。シフトノブ2のスライド操作は、シフタ装置1の左右方向(セレクト方向:図3のY軸方向)に沿う向きをとる。また、シフトノブ2の回動操作は、セレクト方向に直行する方向(シフト方向:図3のX軸方向)に操作力を付与することで行われ、シフトノブ2の支持軸4(図2等参照)を回動中心とした回動軌跡をとる。また、N位置からD位置への回動操作方向と、N位置からR位置への回動操作方向とは、互いに逆向きをとる。なお、シフト方向が直行方向に相当する。
【0017】
また、装置ケース3の内部には、シフタ装置1におけるシフトノブ2の位置検出部品として図3及び図4に示すセンサユニット5が設けられている。本例のセンサユニット5は、シフトノブ2の操作に応じて動くマグネット6(図4参照)の位置を磁気センサ7(図4参照)によって検出することによりシフトノブ2の操作位置を検出する磁気式が採用され、同ユニット5のケース部分である箱形状のセンサケース8に、センサユニット5の各種構成部品群を収納することによってユニット化されている。センサケース8は、上面が開口した箱形状をなすロアケース9と、このロアケース9の開口部を上から閉じるアッパケース10とからなる。アッパケース10は、複数のネジ11によってロアケース9に取り付け固定されている。なお、マグネット6が被検出部(第1検出体)が被検出部(第1検出体)を構成し、磁気センサ7が検出部(第2検出体)に相当する。
【0018】
また、ロアケース9の裏面には、センサユニット5の各種電子部品の実装先として板状のPCボード(Printed Circuit Board:プリント回路基板)12が複数のネジ(図示略)によってロアケース9に取り付け固定されている。このPCボード12の上面には、センサユニット5の磁気検出部品として磁気センサ7がPCボード12に実装され、センサケース8に対して動かない状態で取り付けられている。また、この磁気センサ7は、例えばMRE(Magnetic Resistance Element:磁気抵抗素子)が使用されるとともに、複数のレンジ位置を検出すべく複数個配置されている。また、PCボード12の裏面には、外部ケーブルの接続先としてコネクタ13が設けられ、このコネクタ13から磁気センサ7の検出信号が外部に引き出される。
【0019】
ロアケース9の内部には、シフトノブ2がN位置及びD位置の間において操作可能となることを許容する下側スライダ14がケース8の奥行き方向(図4のX軸方向)に沿って直線移動可能(スライド移動可能)に収納されている。また、この下側スライダ14の内部には、シフトノブ2がN位置及びR位置の間において操作可能となることを許容する上側スライダ15が図4のX軸方向に沿って直線移動可能(スライド移動可能)に収納されている。さらに、この上側スライダ15には、マグネット6の取付部品で、しかもシフトノブ2が中立位置及びN位置の間において操作可能となることを許容するマグネットホルダ16がケース8の左右方向(図4のY軸方向)に沿って直線移動可能(スライド移動可能)に収納されている。なお、マグネットホルダ16が被検出部(第1検出体)を構成する。
【0020】
図4に示すように、下側スライダ14は、同図におけるY軸方向両側の側壁が省略され、同図のX軸方向の両側において一対の側壁17,18を持つ形状をとっている。下側スライダ14の+X軸側の側壁17と、この側壁17に向き合うロアケース9の側壁19との間には、下側スライダ14を常時−X側に付勢することにより、D位置からN位置に位置復帰するシフトノブ2の動きに下側スライダを追従させる下側スライダ用付勢部材20が介装されている。即ち、本例の下側スライダ用付勢部材20は、マグネット6(マグネットホルダ16)を、シフトノブ2の復帰動作に連動して元の中立位置に戻す付勢部材として働き、例えばコイルスプリングからなる。なお、下側スライダ用付勢部材20が付勢部材を構成する。
【0021】
また、下側スライダ14において+X軸側の側壁17寄りの位置には、下側スライダ用付勢部材20を収納する下側スライダ用付勢部材収納部21が設けられている。下側スライダ用付勢部材20は、下側スライダ用ピン22により後ろから縮むように押し付けられた状態で下側スライダ用付勢部材収納部21に収納され、ピン22のエッジが+X側の側壁17の溝23に嵌め込まれて位置決めされている。また、下側スライダ用付勢部材により下側スライダ14がロアケース9の−X側の側壁24に押し付けられた際、シフトノブ2はD位置からN位置(中立位置)に復帰する。
【0022】
上側スライダ15は、上面が開口した箱形状をなすとともに、下側スライダ14の内部に収納された取り付け状態をとっている。また、上側スライダ15の−X軸側の側壁25と、この側壁25に向き合う下側スライダ14の側壁18との間には、上側スライダ15を+X軸側に付勢することにより、R位置からN位置に位置復帰するシフトノブ2の動きに上側スライダ15を追従させる上側スライダ用付勢部材26が介装されている。即ち、本例の上側スライダ用付勢部材26は、マグネット6(マグネットホルダ16)を、シフトノブ2の復帰動作に連動して元の中立位置に戻す付勢部材として働き、例えばコイルスプリングからなる。なお、上側スライダ用付勢部材26が付勢部材を構成する。
【0023】
また、上側スライダ15の裏面において側壁25寄りの位置には、上側スライダ用付勢部材26を収納する上側スライダ用付勢部材収納部27が設けられている。上側スライダ用付勢部材26は、上側スライダ用ピン28により後ろから縮むように押し付けられた状態で上側スライダ用付勢部材収納部27に収納され、ピン28のエッジが下側スライダ14の−X側の側壁18の溝29に嵌め込まれて位置決めされている。また、上側スライダ用付勢部材により上側スライダ15が下側スライダ14の側壁18に押し付けられた際、シフトノブ2はR位置からN位置(中立位置)に復帰する。
【0024】
マグネットホルダ16は、上面が開口した箱形状をなすとともに、上側スライダ15の内部に収納された取り付け状態をとっている。また、マグネットホルダ16の底面には、円筒形状のマグネット取付部30が突設され、このマグネット取付部30に円板形状をなしたマグネット6が嵌め込み取り付けされている。また、マグネットホルダ16の+Y軸側の側壁31と、この側壁31に向き合う上側スライダ15の側壁32との間には、マグネットホルダ16を−Y軸側に付勢することにより、N位置から中立位置に位置復帰するシフトノブ2の動きに追従させるマグネットホルダ用付勢部材33が介装されている。即ち、本例のマグネットホルダ用付勢部材33は、マグネット6(マグネットホルダ16)を、シフトノブ2の復帰動作に連動して元の中立位置に戻す付勢部材として働き、例えばコイルスプリングからなる。なお、ホルダ用付勢部材33が付勢部材を構成する。
【0025】
また、マグネットホルダ16の裏面において側壁31寄りの位置には、マグネットホルダ用付勢部材33を収納するマグネットホルダ用付勢部材収納部34が設けられている。マグネットホルダ用付勢部材33は、マグネットホルダ用ピン35により後ろから縮むように押し付けられた状態でマグネットホルダ用付勢部材収納部34に収納され、ピン35のエッジが上側スライダ15の+Y軸側の側壁32の溝36に嵌め込まれて位置決めされている。また、マグネットホルダ用付勢部材33によりマグネットホルダ16が上側スライダ15の側壁32に押し付けられた際、シフトノブ2はN位置から中立位置に復帰する。
【0026】
マグネットホルダ16の内部には、センサユニット5におけるシフトノブ2への連結箇所としてマグネットスライダ37が収納されている。このマグネットスライダ37は、下側スライダ14、上側スライダ15及びマグネットホルダ16が動く3方向、即ちシフトノブ2を中立位置及びN位置の間で操作するときの操作方向と、シフトノブ2をN位置及びD位置の間で操作するときの操作方向と、シフトノブ2をN位置及びR位置の間で操作するときの操作方向との3方向に操作可能となっている。また、マグネットスライダ37は、上面中央部に形成された円柱棒形状をなすセンサ連結部38を、シフトノブ2に係止することによってシフトノブ2に連結されている。なお、マグネットスライダ37が被検出部(第1検出体)を構成する。
【0027】
また、図4に示すように、マグネットホルダ16とマグネットスライダ37との間には、マグネットスライダ37の各々の操作方向ごとに複数(本例は3つ)のオーバーストローク吸収用付勢部材39〜41が取り付けられている。オーバーストローク吸収用付勢部材39〜41は、シフトノブ2の操作時に付勢部材20,26,33の撓みによってスライド移動したシフトノブ2を、自身が撓んで更に奥に押し込み可能とすることにより、シフトノブ2のオーバーストロークを吸収して、シフトノブ2周りに生じる部品バラツキや組付バラツキを吸収する。なお、部品バラツキは部品製造上に発生し得る部品間のバラツキをいい、組付バラツキは部品組付時に発生し得る部品間のバラツキをいう。本例の3つのオーバーストローク吸収用付勢部材39〜41は、例えばコイルスプリングからなり、シフトノブ2をD位置に操作するときに利くものを39とし、シフトノブ2をR位置に操作するときに利くものを40とし、シフトノブ2をN位置に操作するときに利くものを41とする。
【0028】
マグネットスライダ37の裏面には、オーバーストローク吸収用付勢部材39〜41を収納するオーバーストローク吸収用付勢部材収納部42が各付勢部材39〜41ごとに設けられている。なお、図4では、付勢部材39用の収納部42のみを図示する。オーバーストローク吸収用付勢部材39〜41は、マグネットスライダ用ピン43〜45によって後ろから縮むように押し付けられた状態で、オーバーストローク吸収用付勢部材収納部42に収納されている。また、オーバーストローク吸収用付勢部材39〜41は、マグネット6を中立位置に復帰させるときに利く付勢部材20,26,33のバネ荷重、更に詳しく言うならば、シフトノブ2を各レンジ位置に操作して付勢部材20,26,33が撓んだ状態をとるときのバネ荷重よりも、強いバネ荷重に設定されている。
【0029】
また、センサ連結部38は、アッパケース10に設けられた案内孔46から、その一部分がセンサケース8の外部に引き出されている。案内孔46は、例えば片仮名の「ト」を左右反転した形状をとり、ケース10の左右方向(セレクト方向)に延びるセレクト孔47と、セレクト孔47の右端で繋がるとともにケース10の奥行き方向(シフト方向)に延びるシフト孔48とからなる。センサ連結部38は、シフトノブ2が中立位置に位置する際、セレクト孔47に位置し、シフトノブ2がN位置に位置する際、セレクト孔47とシフト孔48とが交わる位置に位置し、シフトノブ2がR位置に位置する際、シフト孔48の一方(図4では上)の孔終端付近に位置し、シフトノブ2がD位置に位置する際、シフト孔48の他方(図4では下)の孔終端付近に位置する。
【0030】
シフトノブ2が中立位置に位置する際には、図5に示すように、下側スライダ14、上側スライダ15及びマグネットホルダ16の全てが付勢部材20,26,33の各々の付勢力によって目一杯押し込まれた状態をとると、マグネット6が中立検出位置に位置する。また、シフトノブ2がN位置に操作された際には、図6に示すように、マグネットホルダ用付勢部材33がマグネットホルダ16によって押されて撓み、マグネット6がN検出位置に位置する。更に、シフトノブ2がD位置に操作された際には、図7に示すように、マグネットホルダ用付勢部材33がマグネットホルダ16によって押されて撓みつつ、しかも下側スライダ用付勢部材20が下側スライダ14によって押されて撓み、マグネット6がD検出位置に位置する。また、シフトノブ2がR位置に操作された際には、図8に示すように、マグネットホルダ用付勢部材33がマグネットホルダ16によって押されて撓みつつ、しかも上側スライダ用付勢部材26が上側スライダ15によって押されて撓み、マグネット6がR検出位置に位置する。
【0031】
ここで、シフトノブ2を各レンジ位置に操作した際、もし仮にシフトノブ2とその支えとの間に、部品バラツキや組付バラツキが発生していた場合、シフトノブ2を各レンジ位置に操作した際には、このバラツキが原因でシフトノブ2にストローク不足やストローク過多が発生する可能性も否めない。しかし、本例はシフトノブ2の操作時にその操作方向の付勢部材20(26,33)が撓んだ後、続いて今度はオーバーストローク吸収用付勢部材43(44,45)が撓むことにより、シフトノブ2のオーバーストロークが吸収されるので、このときに発生し得る位置ズレが吸収される。
【0032】
また、図3、図9及び図10に示すように、装置ケース3の本体部49の上部には、シフトノブ2のスライド移動を許容する一部品としてノブスライドガイド50が設けられている。このノブスライドガイド50においてシフト方向の両側には、溝がセレクト方向に沿って延びる一対のレール溝51,51が設けられている。また、ノブスライドガイド50の底壁には、この底壁の中央付近一面を大きく刳り抜くことにより、センサ連結部38を通す箇所としてセンサ連結部用通し孔52が貫設されている。
【0033】
ノブスライドガイド50の一対のレール溝51,51には、シフトノブ2の支持部品である略平板形状のノブ支持スライダ53がセレクト方向に直線移動可能(スライド移動可能)な状態で取り付けられている。また、ノブ支持スライダ53の上面には、シフトノブ2の座部分であるレバー部54がセンサユニット5の高さ方向(図3のZ軸方向)を軸線として、その軸回りに沿って回動可能に取り付けられている。レバー部54は、レバー部54の裏面に設けられた支持軸4(図10参照)を、ノブ支持スライダ53の中心位置に貫設された軸孔55(図3、図9及び図10参照)に通すことによって、ノブ支持スライダ53に取り付けられている。レバー部54の上部には、シフトノブ2の把持箇所として略扁平円形状をなしたノブ部56がレバー部54と一体動作可能に取り付け固定されている。なお、ノブ支持スライダ53が支持部材に相当する。
【0034】
装置ケース3の本体部49の上面には、この本体部49の内部空間を上から閉じる上部パネル(アッパーハウジング)57が取り付け固定されている。この上部パネル57の中央付近一面には、センサユニット5のセンサ連結部38と、レバー部54の上面のノブ取付部58とを、ノブ部56側に引き出すパネル孔59が貫設されている。よって、センサユニット5のセンサ連結部38とレバー部54とは、装置ケース3の外部から露出した取り付け状態をとるノブ部56に対し、上部パネル57のパネル孔59から外部に引き出されることによって連結されている。
【0035】
また、レバー部54の裏面において+X軸方向寄りの位置には、裏面から下方に延びる形状で規制部60が突設されている。また、ノブ支持スライダ53において規制部60の対向位置には、レバー部54の規制部60と協同してシフトノブ2の回動操作量を決める規制孔61が貫設されている。規制孔61は、レバー部54の規制部60が通されるとともに、孔経路が軸孔55周りに沿いつつ、しかも円弧経路をとる形状に形成されている。また、ロアケース9の上部には、シフトノブ2がスライド操作される前(即ち、シフトノブ2が中立位置をとるとき)の規制部60と対向する位置に、この規制部60を両側から挟み込む一対の規制片62,62が設けられている。
【0036】
シフトノブ2が中立位置に位置する際、レバー部54の規制部60がその両側から一対の規制片62,62に挟み込まれて、中立位置での回動動作が禁止される。このため、シフトノブ2が中立位置に位置する際には、スライド操作のみが許可され、回動操作は実行できない状態となる。シフトノブ2が中立位置からN位置にスライド操作された後、規制部60は一対の規制片62,62から離脱して、回動操作が可能となる。シフトノブ2は、回動操作の際に規制部60が規制孔61の孔終端にくるとそれ以上の回動動作が制限され、シフトノブ2の回動時に規制部60が規制孔61の一方の孔終端に当接すると、シフトノブ2がD位置をとり、これとは逆に規制部60が規制孔61の他方の孔終端に当接すると、シフトノブ2がR位置をとる。
【0037】
シフトノブ2には、シフトノブ2を回動操作した際に同シフトノブ2に節度を付与する節度機構63が設けられている。本例の節度機構63は、シフトノブ2の支持軸4を挟んで両側に一対設けられている。この節度機構63においては、レバー部54の径方向縁部寄りの位置に、節度谷64とその両側に節度山65(ともに図10参照)とが設けられている。一方、ノブ支持スライダ53の上面には、節度用付勢部材66により後ろから押し上げられた取り付け状態をとる節度ピース67が節度谷64に嵌り込む状態で設けられている。シフトノブ2が回動操作された際には、節度ピース67が節度山65を登り、これがシフトノブ2の節度として発生し、シフトノブ2が回動前の位置に戻る際には、節度ピース67が節度山65を下って、元の節度谷64に嵌り込む状態に戻る。
【0038】
また、ノブスライドガイド50とノブ支持スライダ53との間には、N位置にスライド操作された後のシフトノブ2を中立位置に自動復帰させるセレクト方向復帰用付勢部材68,68がノブ支持スライダ53のシフト方向両側に各々1つずつ設けられている。セレクト方向復帰用付勢部材68,68は、ノブ支持スライダ53を+X軸方向に付勢することによりセレクト方向におけるシフトノブ2を許容し、例えばコイルスプリングからなる。また、セレクト方向復帰用付勢部材68,68においてシフト方向両側には、セレクト方向復帰用付勢部材68,68の収納先としてセレクト方向復帰用付勢部材収納穴69(図10参照)が各々設けられている。セレクト方向復帰用付勢部材68,68は、ノブスライドガイド50に突設されたボス部70(図3参照)により後ろから押された取り付け状態をとり、このボス部70とともにセレクト方向復帰用付勢部材収納穴69に収められている。
【0039】
更に、図3及び図10に示すように、シフトノブ2とノブ支持スライダ53との間には、N位置からD位置やR位置に回動操作されたシフトノブ2を、回動操作前の元のN位置に自動復帰させるシフト方向復帰用付勢部材71が設けられている。本例のシフト方向復帰用付勢部材71は、例えばトーションバネ(ねじりコイルバネ)からなり、レバー部54の取付部58の内部において縦向きに収納されている。シフト方向復帰用付勢部材71の各々のバネ端は、レバー部54において取付部58を挟んで両側に形成された一対のレバー側溝72,72(図10参照)に通されつつ、ノブ支持スライダ53の上面において軸孔55を挟んで両側に形成された一対のスライダ側溝73,73(図3及び図9参照)に挿し込み係止されている。
【0040】
このため、シフトノブ2を中立位置からN位置にスライド操作した後に、このシフトノブ2から手を離すと、セレクト方向復帰用付勢部材68,68が利いて、シフトノブ2が操作前の元の中立位置に復帰する。このとき、マグネット6は、マグネットホルダ用付勢部材33の付勢力によって、ノブ2の戻り動作に追従する。また、シフトノブ2を中立位置からN位置を経由してD位置やR位置に操作した後に、このシフトノブ2から手を離すと、まずは最初にシフト方向復帰用付勢部材71が利いてシフトノブ2がN位置に復帰し、続いて今度はセレクト方向復帰用付勢部材68,68が利いて、シフトノブ2がN位置から中立位置に動く動作をとって、操作前の元の中立位置に復帰する。このとき、マグネット6は、付勢部材20(26)及び付勢部材33の付勢力によって、ノブ2の戻り動作に追従する。
【0041】
また、本例のシフタ装置1には、シフトノブ2をN位置からD位置やR位置に回動操作するときにシフトノブ2に発生する回動操作力を、マグネット6を直線移動させる直線方向の操作力に変換してセンサ連結部38に伝達する変換機構74が設けられている。この変換機構74では、ノブ支持スライダ53に、孔の平面視が「凸」形状をなすガイド孔75が貫設されている。このガイド孔75は、セレクト方向に所定量飛び出たセレクト方向ガイド孔76と、シフト方向に長く延びたシフト方向ガイド孔77とからなる。また、ガイド孔75の孔周縁においは、軸孔55側の一続き(長手方向)の面が、シフトノブ2の回動運動をセンサ連結部38(即ち、マグネット6)の直線運動に変換する働きを持つシフト方向規制ガイド面78として働く。なお、ガイド孔75がガイド部に相当し、シフト方向規制ガイド面78が案内面に相当する。
【0042】
一方、図10に示すように、レバー部54の裏面には、センサ連結部38の係止箇所として一対のリブ79,79が設けられている。本例のリブ79,79は、シフトノブ2をN位置からD位置やR位置に回動操作する際にセンサ連結部38に引っ掛かって、センサ連結部38(即ち、マグネット6)をシフトノブ2に追従させるように働く。なお、本例のリブ79,79は、セレクト方向において長く形成され、シフトノブ2が中立位置及びN位置のどちらに位置していても、センサ連結部38と常時係止する係止状態をとっている。なお、リブ79が係止部に相当する。
【0043】
また、ガイド孔75におけるセレクト方向の長さ、言い換えるならばセレクト方向ガイド孔76の長さは、シフトノブ2が中立位置からN位置に向けてスライド移動を開始しても、暫くの間はセンサ連結部38が動かないように長めに形成されている。よって、この長さは、センサ連結部38は動かさずにシフトノブ2のみを動かす空走距離Lとして働く。この空走距離Lは、マグネット6の移動量が少量(例えば6mm程度)しかとれない場合であっても、シフトノブ2のセレクト方向における充分な操作量(例えば15mm程度)を確保するために働く。
【0044】
図11に示すように、シフタ装置1には、シフトノブ2の操作位置を検出するためのコントロールユニットとしてシフトECU(Electronic Control Unit)80が設けられている。このシフトECU80には、磁気センサ7,7…が接続され、これら磁気センサ7,7…から取得する検出信号を基に、シフトノブ2のレンジ位置を判定する。そして、シフトECU80は、自動変速機がシフトノブ2のレンジ位置に応じたギア位置をとるように、割り出したレンジ位置を基に自動変速機を制御する。また、シフトECU80は、磁気センサ7,7…から割り出したレンジ位置を、必要に応じて他のECUにも出力可能となっている。
【0045】
次に、本例のシフタ装置1の動作を図12〜図15に従って説明する。
シフトノブ2を操作していないノブ非操作時、セレクト方向復帰用付勢部材68及びシフト方向復帰用付勢部材71の付勢力が利いて、図12に示すように、シフトノブ2は中立位置を常時とる。シフトノブ2が中立位置に位置する際、センサ連結部38はノブ支持スライダ53のシフト方向ガイド孔77によって−Y軸方向に引き込まれた位置状態をとり、センサ連結部38はアッパケース10においてセレクト孔47に位置する。これにより、マグネット6が中立検出位置に位置することになり、シフトノブ2が中立位置に位置することが磁気センサ7,7…によって検出される。
【0046】
この中立位置からシフトノブ2が図13に示すN位置にスライド操作されると、まずは空走距離Lが利いてセンサ連結部38は中立検出位置に留まり、シフトノブ2(ノブ支持スライダ53も含む)のみが装置ケース3に対してスライド移動する。このとき、センサ連結部38は一対のリブ79,79の間にできている通路81を通過する動きをとるので、センサ連結部38を中立検出位置に止めつつシフトノブ2のみをスライド移動させる動作に、リブ79,79がシフトノブ2のスライド移動に影響を与えずに済む。
【0047】
そして、シフトノブ2が空走距離L分スライド移動すると、シフト方向規制ガイド面78の長手方向中央位置にセンサ連結部38が当接して、センサ連結部38が+Y軸方向へのスライド移動を開始する。よって、これ以降のスライド操作においては、センサ連結部38がシフト方向規制ガイド面78に押されることによって、センサ連結部38はスライド移動するシフトノブ2に追従して+Y軸方向にスライド移動する。そして、シフトノブ2が最大ストローク位置までスライド操作されると、センサ連結部38はアッパケース10のセレクト方向ガイド孔76の中央に位置する。これにより、マグネット6がN検出位置に位置することになり、シフトノブ2がN位置に位置することが磁気センサ7,7…によって検出される。
【0048】
続いて、このN位置からシフトノブ2が図14に示すR位置に回動操作されると、センサ連結部38はリブ79,79によって引っ張られて、シフトノブ2の回動動作に追従する動きをとる。このとき、センサ連結部38はシフト方向規制ガイド面78に沿って動く動作をとり、これによりシフトノブ2の回動動作が、センサ連結部38の直線動作、即ちマグネット6の直線動作に変換されてセンサ連結部38に伝達される。よって、センサ連結部38に繋がるマグネット6は、このR検出位置への移動時において直線軌跡をとる。なお、このときはセンサユニット5のマグネットホルダ用付勢部材33が利いて、センサ連結部38はシフト方向規制ガイド面78に押し付けられた状態を維持する。そして、シフトノブ2が最大ストローク位置まで回動操作されると、センサ連結部38はアッパケース10のシフト方向ガイド孔77の−X方向側の孔端に位置する。これにより、マグネット6がR検出位置に位置することになり、シフトノブ2がR位置に位置することが磁気センサ7,7…によって検出される。
【0049】
また、シフトノブ2をN位置から図15に示すD位置に回動操作した場合は、シフトノブ2をN位置からR位置に操作するときと比較して、操作方向(動作方向)が左右異なるだけである。よって、本例では、シフトノブ2をN位置からD位置に回動操作したときの動作説明は、シフトノブ2をN位置からR位置に操作したときの動作を説明することを以て、これを省略する。
【0050】
ところで、シフタ装置1の操作系として、例えばレバー部材を前後左右に倒し込むレバータイプのものを使用した場合、この種のレバータイプは、シフタ装置1の上面視においてレバーが直線方向に動く操作形式をとるので、レバーの操作位置を検出するこの種のセンサユニット5も、シフタ装置1の上面視においてセンサ連結部38(即ち、マグネット6)が直線移動する移動形式をとるもの、即ち本例で説明したマグネット直線移動式のセンサユニット5が使用されることになる。要は、操作系がレバータイプの場合、平面視において直線移動するレバーの操作方向に合わせて、センサユニット5はセンサ連結部38が直線移動をとる構造のものとなる。
【0051】
ここで、本例では、レバー部54の裏面にリブ79,79を設けるとともに、ノブ支持スライダ53にノブスライドガイド50を設け、シフトノブ2が回動操作された際には、ノブスライドガイド50とこれらリブ79,79とによって、シフトノブ2の回動運動をセンサ連結部38の直線運動のための操作力に変換し、この操作力によってセンサ連結部38(即ち、マグネット6)を直線移動させる。このため、本例のようなダイヤルタイプと、シフト切り換えの操作形式がレバー部材を倒し込むレバータイプとの両方で、本例のマグネット直線移動式のセンサユニット5を共用することが可能となる。よって、操作形式がダイヤルタイプのものとレバータイプのものとで各々個別のセンサユニット5を用意する必要がなくなり、その分だけ部品コストを低く抑えることが可能となる。
【0052】
また、ダイヤルタイプのシフトノブ2を、レバータイプのセンサユニット5に対応可能とするにあたっては、レバー部54の裏面にリブ79,79を設けつつ、しかもノブ支持スライダ53にノブスライドガイド50という孔を設けるという構造が簡素なもので済むので、本例の技術を採用するにあたって、費用コストを極力少なく抑えることが可能となる。よって、以上により、本例においては、センサユニット5の共用化を図りつつ、しかもこの共用化の構造を簡素なもので済ませるという効果を奏することが可能となる。
【0053】
本実施形態の構成によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1)シフタ装置1に、シフトノブ2をN位置からD位置やR位置に回動操作するときにシフトノブ2に発生する回動操作力を、マグネット6を直線移動させる直線方向の操作力に変換してセンサ連結部38に伝達する変換機構74を設けた。このため、レバータイプの本例のセンサユニット5をダイヤルタイプにも使用することが可能となるので、1つのセンサユニット5を2タイプで共用可能となる。よって、各々のタイプ毎にセンサユニット5を用意する必要がなくなるので、その分だけ部品コストを低く抑えることができる。また、レバー部54のリブ79,79とノブ支持スライダ53のノブスライドガイド50という簡素な構造を持つ変換機構74でセンサユニット5の共用化を図ることが可能となるので、共用化に際して多大なコストを必要とすることもない。
【0054】
(2)ノブスライドガイド50のセレクト方向には、シフトノブ2の操作量を確保する空走距離Lが設けられている。このため、もし仮にマグネット6の移動量が大きくとれない場合であっても、この空走距離Lによってシフトノブ2のセレクト方向における操作量を大きくとることが可能となるので、シフトノブ2の操作量を充分に確保することができる。
【0055】
(3)センサ連結部38は、シフトノブ2が直線操作される前のとき(即ち、中立位置の状態)でも、一対のリブ79,79の間に挟まった取り付け状態をとる。このため、例えばシフトノブ2を回動操作するときにセンサ連結部38がリブ79,79に係止していないという状況を発生させずに済むので、センサユニット5に誤作動を生じ難くすることができる。
【0056】
(4)マグネットホルダ16を押し込むマグネットホルダ用付勢部材33によって、センサ連結部38が常にガイド孔75のガイド面78に押し付けられる。このため、センサ連結部38の位置決め精度が高くなり、センサユニット5の位置検出精度を高いものとすることができる。
【0057】
(5)シフトノブ2はモーメンタリ式であるので、シフトノブ2を中立位置から他のレンジ位置に操作した後、シフトノブ2が自動で元の中立位置に復帰する。このため、中立位置から他のレンジ位置に操作したシフトノブ2を元の中立位置に復帰させるときに、操作者に特別な操作を課す必要がなくなるので、利便性が高いものとなる。
【0058】
(6)ノブ回動操作時においてシフトノブ2に節度感を付与する節度機構63をシフタ装置1に設けたので、シフトノブ2に適度な操作感を付与することができる。
なお、実施形態はこれまでに述べた構成に限らず、以下の態様に変更してもよい。
【0059】
・ シフタ装置1は、必ずしも車内のセンターコンソールに配置されたフロア型に限らず、例えばステアリングコラムに配置されたコラム型や、センタークラスターに配置されたインストルメントパネル型の何れを採用してもよい。
【0060】
・ シフトノブ2の直線操作後の回動操作は、必ずしも円弧をとる動きに限定されず、要は直線操作時に課される操作方向に対して曲線形状(経路が曲がる形状)をとっていればよい。
【0061】
・ センサユニット5は、必ずしも下側スライダ14、上側スライダ15、マグネットホルダ16、マグネットスライダ37を順次積み重ねた亀の子形状をとることに限定されず、各々が個別の収納部を持つものでもよい。
【0062】
・ センサユニット5は、隣り合うレンジ位置間ごとに各々独立した部材のユニットを持つことに限定されず、要はマグネット6が装置平面視において平面方向に直線移動するものであればよい。
【0063】
・ センサユニット5は、必ずしもマグネット6をシフトノブ2に動きを追従させる付勢部材を持つことに限定されず、これを持っていない構造をとっていてもよい。
・ シフトノブ2の検出系は、必ずしも磁気式に限定されず、例えば光センサ等の他の検出形式を採用してもよい。
【0064】
・ シフトノブ2(センサユニット5)は、必ずしも元の操作位置に自動で戻るモーメンタリ式をとることに限定されず、各々のレンジ位置に操作された際にその操作位置を保持する保持式でもよい。
【0065】
・ シフトノブ2側にマグネット6が配置され、ケース側に磁気センサ7が配置される組み合わせに限定されず、これを逆に入れ換えてもよい。
・ PCボード12にもう一組の磁気センサ群を設けて二重系としてもよい。
【0066】
・ センサユニット5は、必ずしも多軸の操作位置を検出できるものに限らず、1軸のみ検出するものであってもよい。
・ 第1検出体は、必ずしもマグネットホルダ16にマグネット6を取着した部品であることに限定されず、マグネット6のみからなるものでもよい。
【0067】
・ シフトノブ2とマグネットスライダ37との連結構造は、必ずしもマグネットスライダ37側の突起を、シフトノブ2の凹部に挿し込む形状に限らず、これを逆としてもよい。
【0068】
・ ガイド部は、必ずしも部材が貫通した孔に限らず、凹みを有する穴でもよい。
・ 係止部は、必ずしもリブ形状のものに限定されず、センサ連結部38を係止できれば、どのような形状のものを採用してもよい。
【0069】
・ リブ79,79は、シフトノブ2の直線操作の前後においてセンサ連結部38と常時係止する取り付け状態をとることに限らず、少なくとも直線操作後にセンサ連結部38と係止するものであれば、どのような形状を採用してもよい。
【0070】
・ シフタ装置1は、必ずしもシフトノブ2の操作方向が片仮名を左右反転させた「ト」の経路をとることに限らず、例えばシフトノブ2の操作経路を英子文字の「h」を左右反転させた経路として、実施形態の述べた4つのレンジ位置にブレーキ位置(B位置)を加えて、5位置を検出するものでもよい。
【0071】
・ シフタ装置1は、必ずしもシフタ装置1に適用されることに限らず、レバーやノブ等の各種操作系を持った装置や機器に応用可能であることは言うまでもない。
次に、上記実施形態及び別例から把握できる技術的思想について、それらの効果とともに以下に追記する。
【0072】
(1)請求項1〜5のいずれかにおいて、前記操作手段が操作された際、後ろから前記第1検出体を押すことにより当該第1検出体の操作前の位置への復帰を助長する復帰用付勢部材が撓んで、前記第1検出体が前記操作手段に追従して動いて前記操作位置の検出を許容し、更に前記復帰用付勢部材が撓み切った後、今度は前記第1検出体に可動可能に保持された保持部材と前記第1検出体との間に設けた高荷重のバラツキ吸収付勢部材が続いて撓んで、前記第1検出体は止まるものの前記保持部材が動くことにより部品間のバラツキを吸収するバラツキ吸収機構を備えた。この構成によれば、もし仮に操作手段とその周囲部品との間にバラツキが発生していても、これに影響を受けずに第1検出体が好適な位置に位置するので、操作手段の操作位置を検出する際のその検出精度を高いものとすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】一実施形態におけるダイヤルタイプシフタ装置の外観を示す斜視図。
【図2】ダイヤルタイプのシフタ装置におけるシフトノブの動きを示す説明図。
【図3】シフタ装置の部品構成を示す分解斜視図。
【図4】センサユニットの内部構成を示す分解斜視図。
【図5】シフトノブが中立位置をとる際のセンサユニットの状態を示す平面図。
【図6】シフトノブがN位置をとる際のセンサユニットの状態を示す平面図。
【図7】シフトノブがD位置をとる際のセンサユニットの状態を示す平面図。
【図8】シフトノブがR位置をとる際のセンサユニットの状態を示す平面図。
【図9】レバー部及びノブ支持スライダの具体的形状を示す斜視図。
【図10】図9の部品を下側から見たときの斜視図。
【図11】シフタ装置の電気構成を示すブロック図。
【図12】シフトノブが中立位置をとる際の変換機構の動作状態を示す平面図。
【図13】シフトノブがN位置をとる際の変換機構の動作状態を示す平面図。
【図14】シフトノブがR位置をとる際の変換機構の動作状態を示す平面図。
【図15】シフトノブがD位置をとる際の変換機構の動作状態を示す平面図。
【符号の説明】
【0074】
2…操作手段及びシフト操作部を構成するシフトノブ、3…ケース部材としての装置ケース、6…被検出部(第1検出体)を構成するマグネット、7…検出部(第2検出体)としての磁気センサ、16…被検出部(第1検出体)を構成するマグネットホルダ、20…付勢手段を構成する下側スライダ用付勢部材、26…付勢手段を構成する上側スライダ用付勢部材、33…付勢手段を構成するマグネットホルダ用付勢部材、37…被検出部(第1検出体)を構成するマグネットスライダ、53…支持部材としてのノブ支持スライダ、74…変換機構、75…ガイド部としてのガイド孔、78…案内面としてのシフト方向規制ガイド面、79…係止部としてのリブ、L…空走距離。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作手段に検出部及び被検出部の一方として第1検出体を設け、前記操作手段を可動可能に支持するケース部材に、前記した2者の他方として第2検出体を設け、前記操作手段の操作の際に前記第1検出体が当該操作手段に追従して直線移動して、前記2つの検出体の位置関係に応じて変わる前記検出部の検出値により、前記操作手段の操作位置を検出する操作位置検出装置において、
前記ケース部材に対して直線移動可能に取り付けられた支持部材に前記操作手段を回動可能に連結することにより、前記操作手段の直線操作と該直線操作後の回動操作とが許容され、前記操作手段が直線操作された際には、前記支持部材に設けたガイド部で前記第1検出体を押して、当該第1検出体を前記操作手段の直線操作に追従させ、前記操作手段が該直線操作後に回動操作された際には、当該操作手段に設けた係止部で前記第1検出体を引っ張りつつ、しかも前記ガイド部において前記直線操作の直行方向に沿って延びる案内面で前記第1検出体を案内することにより、前記第1検出体を前記直行方向に直線移動させる変換機構を備えたことを特徴とする操作位置検出装置。
【請求項2】
前記ガイド部には、前記操作手段が直線操作されても、暫くの間は前記第1検出体を押し込まないように空走距離が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の操作位置検出装置。
【請求項3】
前記係止部は、前記操作手段が直線操作される前とその後との両方において前記第1検出体と係止状態をとることを特徴とする請求項1又は2に記載の操作位置検出装置。
【請求項4】
前記第1検出体は、当該第1検出体を操作前の位置側に押す付勢手段によって戻し側に常時付勢されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか一項に記載の操作位置検出装置。
【請求項5】
前記操作手段は、非操作時には定常位置に位置し、当該定常位置から他の位置に操作された後、自動で元の前記定常位置に復帰するモーメンタリ式をとっていることを特徴とする請求項1〜4のうちいずれか一項に記載の操作位置検出装置。
【請求項6】
車両の変速機のギア位置を切り換える際に操作するシフト操作部に検出部及び被検出部の一方として第1検出体を設け、前記シフト操作部を可動可能に支持するケース部材に、前記した2者の他方として第2検出体を設け、前記シフト操作部の操作の際に前記2つの検出体の位置関係に応じて変わる前記検出部の検出値により、前記シフト操作部の操作位置を検出するシフト操作位置検出装置において、
前記ケース部材に対して直線移動可能に取り付けられた支持部材に前記シフト操作部を回動可能に連結することにより、前記シフト操作部の直線操作と該直線操作後の回動操作とが許容され、前記シフト操作部が直線操作された際には、前記支持部材に設けたガイド部で前記第1検出体を押して、当該第1検出体を前記シフト操作部の直線操作に追従させ、前記シフト操作部が該直線操作後に回動操作された際には、当該シフト操作部に設けた係止部で前記第1検出体を引っ張りつつ、しかも前記ガイド部において前記直線操作の直行方向に沿って延びる案内面で前記第1検出体を案内することにより、前記第1検出体を前記直行方向に直線移動させる変換機構を備えたことを特徴とするシフト操作位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−105623(P2010−105623A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−282092(P2008−282092)
【出願日】平成20年10月31日(2008.10.31)
【出願人】(000003551)株式会社東海理化電機製作所 (3,198)
【Fターム(参考)】