説明

操作入力装置

【課題】操作入力を受けることによりスライドするスライド部材のスライド量が制限されにくい、操作入力装置を提供すること。
【解決手段】操作入力を受けることによりスライドするスライドキー30と、スライドキー30の下方に配置された板ばね50と、スライドキー30の下面に形成された凹面31bに板ばね50の付勢力によって当接する突起部55とを備える、操作入力装置であって、板ばね50が、突起部55の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から前記頂点に向けて螺旋状に伸びていることを特徴とする、操作入力装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作入力を受ける操作入力装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スライド操作可能な可動部材のスライド操作を解除すると、両端部同士が接続された無端状のコイルバネの付勢力で可動部材が初期位置に自動復帰する座標入力装置が知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、付勢部材にスライド部材が嵌め込み保持された状態で、スライド部材が非操作状態であればスライド部材は中立位置に保持され、スライド部材を導電体が形成された方向に操作すると導電体と電極が接触して導通状態に達するように構成されているスライド操作式スイッチが知られている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
なお、スライド操作式スイッチが記載された刊行物として、例えば特許文献3,4なども存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第4292103号
【特許文献2】特許第3652234号
【特許文献3】特開2006−100188号公報
【特許文献4】特開2007−311189号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に開示された従来技術では、コイルバネと可動部材が同一平面に配設されているため、可動部材のスライド量がコイルバネの体積分によって減じてしまう。また、特許文献2に開示された従来技術では、弾性部材の撓み方向(XY平面に平行な方向)がスライド部材のスライド方向と同一のため、スライド部材のスライド量が弾性部材の弾性限界又は圧縮限界によって減じてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、操作入力を受けることによりスライドするスライド部材のスライド量が制限されにくい、操作入力装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明に係る操作入力装置は、
操作入力を受けることによりスライドするスライド部材と、
前記スライド部材の下方に配置された板ばねと、
前記スライド部材の下面に形成された凹面に前記板ばねの付勢力によって当接する突起部とを備える、操作入力装置であって、
前記板ばねが、前記突起部の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から前記頂点に向けて螺旋状に伸びていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、操作入力を受けることによりスライドするスライド部材のスライド量が制限されにくくなる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の分解斜視図である。
【図2】操作入力装置1の断面図である。
【図3】操作入力装置1(2,3)の全体斜視図である。
【図4】スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。
【図5】本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の断面図である。
【図6】突起部56の斜視図である。
【図7】本発明の第3の実施形態である操作入力装置3の分解斜視図である。
【図8】操作入力装置3の断面図である。
【図9】2つの板ばね要素が90°の屈曲部をそれぞれ1箇所有する構造例である。
【図10】3つの板ばね要素が90°の屈曲部をそれぞれ1箇所有する構造例である。
【図11】4つの板ばね要素が90°の屈曲部をそれぞれ1箇所有する構造例である。
【図12】6つの板ばね要素が90°の屈曲部をそれぞれ1箇所有する構造例である。
【図13】2つの板ばね要素が135°の屈曲部をそれぞれ2箇所有する構造例である。
【図14】3つの板ばね要素が135°の屈曲部をそれぞれ2箇所有する構造例である。
【図15】4つの板ばね要素が135°の屈曲部をそれぞれ2箇所有する構造例である。
【図16】6つの板ばね要素が135°の屈曲部をそれぞれ2箇所有する構造例である。
【図17】4つの板ばね要素が90°の屈曲部をそれぞれ2箇所有する構造例である。
【図18】4つの板ばね要素が70°の屈曲部をそれぞれ1箇所有する構造例である。
【図19】8つの板ばね要素が135°の屈曲部をそれぞれ3箇所有する構造例である。
【図20】曲線状の板ばね要素を8つ有する構造例である。
【図21】曲線状の板ばね要素を3つ有する構造例である。
【図22】1つの板ばね要素が直線部と曲線部に挟まれて形成された屈曲部を有する構造例である。
【図23】2つの板ばね要素が直線部と曲線部に挟まれて形成された屈曲部を有する構造例である。
【図24】3つの板ばね要素が直線部と曲線部に挟まれて形成された屈曲部を有する構造例である。
【図25】4つの板ばね要素が直線部と曲線部に挟まれて形成された屈曲部を有する構造例である。
【図26】スライドキー30の凹部31が円錐凹形状の構造例である。
【図27】スライドキー30の凹部31が四角錐凹形状の構造例である。
【図28】スライドキー30の凹部31が、略ホーン形状の構造例である。
【図29】スライドキー30の凹部31が、略半球形状の構造例である。
【図30】スライドキー30の凹部31の凹面に同心円状に線状突起が設けられた構造例である。
【図31】線状突起32がスライドキー30の凹面31bに設けられた操作入力装置1の断面図である。
【図32】本発明の第4の実施形態である操作入力装置4の分解斜視図である。
【図33】操作入力装置4の断面図である。
【図34】操作入力装置4の全体斜視図である。
【図35】上ケース70に収容されたXYスライド機構の斜視図である。
【図36】スライドキー30の動きを検知する検知部90の構成図である。
【図37】スライドキー30が下ケース60に取り付けられた状態を示した斜視図である。
【図38】板ばね54が下ケース60に下カバー80によって固定された状態を示した斜視図である。
【図39】板ばね54の上面視図である。
【図40】板ばね54の側面図である。
【図41】本発明の第5の実施形態である操作入力装置5の分解斜視図である。
【図42】操作入力装置5の断面図である。
【図43】操作入力装置5の全体斜視図である。
【図44】本発明の第6の実施形態である操作入力装置6の分解斜視図である。
【図45】操作入力装置6の断面図である。
【図46】スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。
【図47】4つの板ばね要素が直線部と曲線部に挟まれて形成された屈曲部を有する構造例である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための形態の説明を行う。本発明の一実施形態である操作入力装置は、操作者の手指等による力を受けて、その受けた力に応じた出力信号を出力する操作インターフェイスである。その出力信号に基づいて操作者による操作入力が検出される。操作入力の検出によって、操作入力に応じた操作内容をコンピュータに把握させることができる。
【0011】
例えば、家庭用又は携帯可能なゲーム機、携帯電話や音楽プレーヤーなどの携帯端末、パーソナルコンピュータ、電化製品などの電子機器に備えられるディスプレイの画面上の表示物(例えば、カーソルやポインタなどの指示表示や、キャラクターなど)を、操作者が意図した操作内容に従って、移動させることができる。また、操作者が所定の操作入力を与えることにより、その操作入力に対応する電子機器の所望の機能を発揮させることができる。
【0012】
以下、本発明の実施形態である操作入力装置の具体例について説明する。
【0013】
図1は、本発明の第1の実施形態である操作入力装置1の分解斜視図である。図2は、操作入力装置1の断面図である。図3は、操作入力装置1の全体斜視図である。
【0014】
操作入力装置1は、スライドキー30と、螺旋状の板ばね50と、突起部55とを備える。スライドキー30は、操作荷重を操作入力として受けることにより、X,Y,Z軸によって定まる直交座標系のXY平面に平行な基準面に沿ってスライド可能なスライド部材である。板ばね50は、スライドキー30の下方に配置された弾性部材である。突起部55は、スライドキー30の下面に形成された凹部31の凹面31bに板ばね50の付勢力によって当接する球状部材(典型的には、球体)である。そして、板ばね50は、図1,2に示されるように、突起部55の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から該頂点に向けて螺旋状に伸びている。
【0015】
このような構成を有する操作入力装置1は、スライドキー30がスライドし得るスライド方向に板ばね50が配設されてなく、スライドキー30のスライド動作に対して板ばね50の撓み方向(収縮方向)が垂直になるため、板ばね50の存在によってスライドキー30のスライド量が制限されにくく、スライドキー30の長ストローク化が可能となる。
【0016】
例えば、図4のように、スライドキー30をXY平面上のX(−)方向にスライドさせると、凹面31bから突起部55を介して力を受けた板ばね50はXY平面に対して下向きの法線方向に縮む。したがって、板ばね50の収縮方向がスライドキー30のスライド方向に対して垂直であるので、スライドキー30がスライド可能なスライド量を容易に且つ大きく確保することができる。
【0017】
また、板ばね50が、底面から頂点に向かう略錐体形状の螺旋構造を有しているため、下向きの力を受けたとき、頂点部が螺旋に囲まれた中心部を下方に移動するので、円柱状のコイルスプリングに比べて、底面から頂点部までの高さを低くできる。また、板ばね50が螺旋状に曲がった形状であることにより、ばね設計の自由度が向上するため、より広範な変形量や復元力をばねに持たせることができる。また、螺旋状にすることにより、ばね長が長くなって、ばねに生じる応力を低減させることができるので、耐久性が向上する。
【0018】
また、スライドキー30の凹面31bと当接しうる突起部55の当接部が曲面(典型的には、球面)であれば、スライドキー30が突起部55を介してスライドする時の摩擦を低減できる。特に、突起部55が球体であれば、転がり接触となるので、摩擦抵抗を更に低減することができる。その結果、耐摩耗性が向上し、発熱を抑制できる。また、スライドキー30と板ばね50が直接接することなく、スライドキー30は突起部55を介してスライドするので、スライドキー30や板ばね50の材質を選定する自由度が増す。
【0019】
次に、操作入力装置1の構成について、より詳細に説明する。操作入力装置1は、図1〜3に示されるように、下ケース40と、板ばね50と、突起部55と、突起部55が板ばね50の弾性力によって初期荷重を伴って押し当てられているスライドキー30と、スライドキー30の下側に配置される下側スライド支持部10と、スライドキー30の上側に配置される上側スライド支持部20とを備える。突起部55が板ばね50の弾性力による初期荷重を伴ってスライドキー30の凹部頂点31aに押し当てられることにより、スライドキー30が初期位置に保持される。スライドキー30が操作者の力によってスライド移動した場合、板ばね50は、凹面31bとの作用により、スライドキー30のスライド方向とは垂直をなす方向に撓む。その撓みによって発生した復帰力を利用してスライドキー30を初期位置(原点)に復帰させる原点復帰機構が実現されている。
【0020】
下ケース40は、板ばね50が配置される配置面を有する基部である。当該配置面は、低背化の点で、XY平面に対して平行であるとよい。板ばね50は、下ケース40の一部である当該配置面の中央部をプレス加工にて打ち抜いた後、曲げ加工及び絞り加工によって、成形される。板ばね50をこのように成形することによって、下ケース40との一体化が可能となるため、部品点数が減り、部品の組み付け性が向上する。
【0021】
また、下ケース40の絞り加工によって、突起部55を凹部頂点31a又は凹面31bに当接した位置に保持する保持部51が形成される(図2参照)。保持部51は、球状の突起部55が板ばね50によって形成された略錐体形状の頂点部に回転可能に位置決めされるように、絞り加工によって形成された凹部を有している。すなわち、保持部51は、突起部55を凹部に収容する収容部である。保持部51は、一端が下ケース40に固定された板ばね50の他端に接続されることにより、板ばね50に支持されている。
【0022】
板ばね50は、突起部55の位置を頂点とする略錐体形状の側面を形成するように、該錐体形状の底面から該頂点に向けて螺旋状に伸びた構造を有している。板ばね50は、その錐体形状の底面の互いに異なる箇所からその錐体形状の頂点に向けて螺旋状に伸びる複数の板ばね要素から構成されている。図1に示した操作入力装置1の板ばね50は、2つの板ばね要素から構成されている。各板ばね要素は、その錐体形状の底面の対向する位置から延びている。これにより、突起部55が安定して保持されるとともに、板ばね50が安定的に弾性変形する。また、これらの安定化をさらに図るため、板ばね50の各板ばね要素は、その錐体形状の底面に接続されている一端に対して反対側の他端で、保持部51を両側から挟むように、互いに対向する位置で保持部51を支持している。
【0023】
スライドキー30は、板状の下側スライド支持部10の上側の面であるスライド面10bに沿ってXY平面内の各方向に自在にスライドする。スライド面10bは、低背化の点で、XY平面に平行な平面であることが好ましい。下ケース40に収容される下側スライド支持部10の中央部には、板ばね50が貫通する孔10aが形成されている。
【0024】
スライドキー30は、操作者の力が作用しうる突出部30aを有する操作部である。スライドキー30は、操作者の力が突出部30aに作用することにより、XY平面内を変位する変位部材である。スライドキー30は、下側スライド支持部10と上側スライド支持部20によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。操作者の力が突出部30aに作用されていない待機状態(初期状態)でのスライドキー30の位置を待機位置(初期位置、又は中立位置とも称する)として、下側スライド支持部10と上側スライド支持部20は、操作者の力が突出部30aに作用することによって、その待機位置からXY平面に平行な方向に移動できるように支持する。上側スライド支持部20は、下ケース40に固定されているが、下側スライド支持部10に固定されていてもよい。
【0025】
上側スライド支持部20の中央部には、突出部30aが貫通する孔20aが形成されている。下側スライド支持部10の貫通孔10a及び上側スライド支持部20の貫通孔20aの内径は、スライドキー30の円形のスライド板30bの外径に比べて小さい。これによって、スライドキー30のスライド板30bを、下側スライド支持部10と上側スライド支持部20との間に挟んで、XY平面に平行なスライド方向に変位可能に支持することができる。また、ほこりなどの異物が操作入力装置1の内部に入ることを防止することができる。突出部30aが貫通孔20aから突出するように、突出部30aがスライドキー30のスライド板30bに形成されている。これによって、操作者がスライドキー30をスライド方向に操作しやすくなる。
【0026】
図2は、操作入力を受けていない初期状態を示しており、図4は、操作入力を受けることにより、スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。X(−)方向は、XY平面上でX(+)方向に対して180°反対向きの方向であり、Y(−)方向は、XY平面上でY(+)方向に対して180°反対向きの方向である。X(+)方向はX軸正側方向に相当し、X(−)方向はX軸負側方向に相当し、Y(+)方向はY軸正側方向に相当し、Y(−)方向はY軸負側方向に相当する。スライドキー30は、XY平面内の各方向を自在にスライドする。
【0027】
図2に示されるように、スライドキー30の突出部30a及び突起部55の初期状態での位置(初期位置、又は中立位置とも称する)が、XY平面の原点を通るZ軸上に存在するように、板ばね50によって付勢された状態で支持されている。初期状態での突出部30aの軸は、Z軸上に存在する。また、初期状態での突起部55は、スライドキー30の凹部31の凹部頂点31aに付勢して当接している。
【0028】
一方、図4のように、スライドキー30がX(−)方向にスライドすることにより、突起部55が凹面31bによって、X(−)方向に垂直な下方に押し下げられる。すなわち、スライドキー30のスライドに伴って、突起部55は凹部31bとの当接位置を自転して変えながら押し下がる。突起部55は、スライドキー30がスライドしても、Z方向の位置は変化するが、XY方向の位置が変化しないように支持されている。スライドキー30のスライド量が増えるにつれて突起部55の押し下げ量が増え、突起部55の押し下げ量が増えるにつれて、板ばね50の収縮量も増加する。そして、スライドキー30に与える操作荷重を解除すると、Z方向に縮んだ板ばね50の弾性力による作用によって、突起部55が凹面31bとの当接位置を変えながら自転して押し上がり、X(−)方向に移動したスライドキー30の位置は、初期位置に戻る。スライドキー30をXY平面360°内の他の方向にスライドした場合も同様に考えることができる。
【0029】
このように、操作入力装置1は、スライドキー30のスライド方向と板ばね50の収縮方向は互いに直交するように構成されているので、スライドキー30のスライド量の確保が容易である。
【0030】
なお、突起部55は、操作入力装置1のように球体でもよいが、図5に示した操作入力装置2のように、球体でなくてもよい。図5は、本発明の第2の実施形態である操作入力装置2の断面図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。操作入力装置2のスライドキー30の凹面31bに当接し得る突起部56の当接面は、側面が曲面で形成された円錐形状である。図6は、突起部56の斜視図である。突起部56は、円柱状部材の上部が、凹面31bと当接可能なように円錐形状に形成されたものである。
【0031】
また、スライドキー30の凹面31bに付勢された状態で当接する突起部は、操作入力装置1の突起部55や操作入力装置2の突起部56のように、板ばね50と別体で構成されてもよいが、図7,8に示した操作入力装置3の突起部57のように、板ばね50と一体で構成されてもよい。図7は、本発明の第3の実施形態である操作入力装置3の分解斜視図である。図8は、操作入力装置3の断面図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。突起部57は、一端が固定された板ばね50の他端を絞り加工することにより形成される。凹面31bと当接する突起部57の当接面は、例えば、球面上に形成される。これにより、耐摩耗性が向上する。
【0032】
また、錐体の側面に沿うように螺旋状(渦巻状)に伸びる板ばねは、操作入力装置1等の板ばね50に限らず、図9〜図25に示されるような螺旋形状を有する板ばね52でもよい。図9〜25には、上側に上面視図が示され、下側に側面図が示される。板ばね52は、一端が環状部53に接続され、他端が環状部53の中心部の上方に位置する保持部51に接続される弾性部材である。環状部53は、板ばね52によって側面が形成される略円錐形状の底面の外周部に相当する。
【0033】
図9〜図19は、環状部53から保持部51に向けての延伸途中で2つの直線部に挟まれて所定の折れ曲がり角度で折れ曲がる屈曲部を備える複数の板ばね要素から構成される板ばね52の構造例を示している。図20,21は、曲線部によって形成された複数の板ばね要素から構成される板ばね52の構造例を示している。図22〜図25は、屈曲部が直線部と曲線部によって形成された複数の板ばね要素から構成される板ばね52の構造例を示している。図22〜25において、直線部は略円錐形状の頂点方向(保持部51の方向)に該円錐形状の側面に沿って延伸する部分であり、曲線部は該円錐形状の側面の円周方向に延伸する部分である。
【0034】
なお、図19〜25における「直線部」及び「曲線部」は、板ばね52を上方(Z軸方向)から投影したときの形状を表す用語で表現している。したがって、図19〜25における「直線部」が、文字通り「直線部」であるとは限らず、略錐体形状の頂点方向に該錐体形状の側面に沿うような曲面で形成されていてもよい。
【0035】
板ばねが錐体の側面に沿うように螺旋状に伸びる構造を有することにより、ばね設計の自由度が向上し、より広範な変形量や復元力を持たせることができる。また、ばねの応力を低減させることができるため、耐久性が向上する。特に、上述のように屈曲部を設けることによって、屈曲部を設けずに錐体の頂点部に向けて伸ばす構造に比べて、板ばね要素の長さを長くすることができるため(稼ぐことができるため)、ばねの応力が更に低減し、耐久性が向上する。
【0036】
また、スライドキー30の凹部31の凹面は、図26に示されるような円錐凹形状に限らず、図27に示されるような略四角錐形状でもよい。凹部31の凹面を略四角錐形状などの多角錐形状にすることによって、スライドキー30の操作方向の違いによって、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重を変えることができる。すなわち、「スライドキー30の初期状態での位置(初期位置)を起点に、凹部31の凹面を形成する多角錐の複数の側面のうち隣り合う2つの側面に挟まれた辺に沿って突起部55等が相対的にスライドする方向に、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重」と、「スライドキー30の初期位置を起点に、該隣り合う2つの側面に挟まれた辺以外の方向に突起部55等がその凹面に沿って相対的にスライドする方向に、スライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重」とが、互いに異なるようにすることができる。
【0037】
例えば、略四角錐形状では、上下左右4方向への操作荷重と上下左右4方向に挟まれた斜め4方向への操作荷重を異なるようにすることができる。つまり、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の各XY軸の4方向に操作したときの感覚とそれら各方向に挟まれた斜め4方向に操作したときの感覚とを変えることができる。
【0038】
このように、スライドキー30の操作方向の違いによって、操作者がスライドキー30をスライドさせるのに必要な操作荷重を変えることができるので、操作方向に応じて操作者の操作感触を変えることができる。
【0039】
また、凹部頂点部から下方に向けて開口部が次第に広がる凹部31の凹面は、略円錐形状や略四角錐形状に限らず、図28に示されるように、略ホーン形状(略ラッパ形状)でもよいし、図29に示されるように、略半球形状でもよいし、それらの形状を組み合わせた3次元形状でもよい。図28の場合、スライドキー30の中心部(初期位置)への復帰力は、凹面の傾斜が急になる中心部に近づくほど強く、突起部55等が中心部から外周部に向けて相対的にスライドするに従って弱くなる。図29の場合、スライドキー30の中心部への復帰力は、凹面の傾斜が緩やかになる中心部に近づくほど弱く、突起部55等が中心部から外周部に向けて相対的にスライドするに従って強くなる。
【0040】
さらに、凹部31の凹面に線状突起などの段差を設けてもよい。図30は、スライドキー30の凹部31の凹面に同心円状に線状突起が設けられた構造例である。図31は、線状突起32がスライドキー30の凹面31bに設けられた操作入力装置1の断面図である。このような段差を凹面に設けることによって、突起部55がその段差を乗り越える時に、スライドキー30をスライド操作する操作者にクリック感を与えることができる。
【0041】
このように、凹面の形態に応じて、スライドキー30のスライドに伴う荷重変化曲線を自由に設定することができる。つまり、操作者のスライド操作に伴う操作感を自由に設定できる。
【0042】
図32は、本発明の第4の実施形態である操作入力装置4の分解斜視図である。図33は、操作入力装置4の断面図である。図34は、操作入力装置4の全体斜視図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。
【0043】
下ケース60は、スライドキー30が配置される配置面60bを有する基部である。スライドキー30は、配置面60bに沿って各方向自在にスライドする。下ケース60は、樹脂製でもよいし、鉄やアルミニウムなどの金属製でもよい。
【0044】
スライドキー30は、下ケース60と上ケース70によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。スライドキー30のスライド板の上面に上ケース70の下面が接し、スライドキー30のスライド板の下面に下ケース60の配置面60bが接することによって、スライドキー30を、下ケース60と上ケース70との間に挟んで、XY平面に平行な方向に変位可能に支持することができる。突出部30aは、上ケース70の中央部に形成された孔70aを貫通し、上ケース70に収容されたXY変位分離機構(詳細は後述)も貫通し、上カバー100に形成された孔100aを貫通して、上カバー100の上面から露出する。下カバー80は、上ケース70と下ケース60を挟んで固定する。また、操作者の操作性を向上させるため、突出部30aの上部には、操作者の接触面が曲面で形成された接触部(不図示)が取り付けられてもよい。
【0045】
また、図33に示されるように、板ばね54の一端が固定される環状部53が、凹面31bに突起部55が付勢して当接した状態で、スライドキー30をスライド可能に支持する支持部材である下ケース60に下カバー80によって固定される。これにより、板ばね54が図1のように他の部品と一体構成ではなく単独部品であっても、板ばね54を下ケース60に容易に取り付けることができる。
【0046】
XY変位分離機構は、Y方向に変位自在に取り付けられたY方向変位部71と、X方向に変位自在に取り付けられたX方向変位部72と、ストッパー73とを備える。X方向に延在するY方向変位部71の上側に、Y方向に延在するX方向変位部72が配置され、X方向変位部72の上側に、Y方向に延在するストッパー73が配置されている。スライドキー30の突出部30aは、Y方向変位部71の中央部にX方向に形成されたスライド溝71aと、X方向変位部72の中央部にY方向に形成されたスライド溝72aと、ストッパー73の中央部にX方向に形成されたスライド溝73aとを貫通する。突出部30aがXY変位分離機構をこのように貫通することにより、スライドキー30のXY平面上でのスライド方向とスライド量を、X方向の変位量とY方向の変位量として取り出すことができる。
【0047】
スライドキー30の動きは操作入力に応じて変化するので、スライドキー30の動きを検知することによって、スライドキー30の動きに対応した操作入力を検出することができる。操作入力の検出によって、検出された操作入力に応じた操作内容を所定のコンピュータに把握させることができる。
【0048】
図35は、上ケース70に収容されたXYスライド機構の斜視図である。図36は、スライドキー30の動きを検知する検知部90の構成図である。検知部90は、Y方向変位部71(図35参照)の下面に配置された接触端子95と、接触端子95に接触可能な位置に設けられたY方向に並走する2本の導体パターン91,92と、X方向変位部72(図35参照)の下面に配置された接触端子96と、接触端子96に接触可能な位置に設けられたX方向に並走する2本導体パターン93,94とを備えている。導体パターン91〜94は、フレキシブル基板などの基板に形成されるとよい。
【0049】
導体パターン91には抵抗膜91bが更に形成され、導体パターン93には抵抗膜93bが更に形成されている。また、導体パターン91の一端に電極91aが形成され、導体パターン92の一端に電極92aが形成される。同様に、導体パターン93の一端に電極93aが形成され、導体パターン94の一端に電極94aが形成される。
【0050】
スライドキー30のY方向へのスライド移動に連動して接触端子95が導体パターン91と92に接触しながら同じY方向の向きにスライド移動するので、電極91aと電極92aとの間の抵抗値を検出することによって、スライドキー30のY方向の変位量を検出することができる。同様に、スライドキー30のX方向へのスライド移動に連動して接触端子96が導体パターン93と94に接触しながら同じX方向の向きにスライド移動するので、電極93aと電極94aとの間の抵抗値を検出することによって、スライドキー30のX方向の変位量を検出することができる。これらの抵抗値の検出手段は、操作入力装置4の外部装置に備えられてもよいし、操作入力装置4の内部に備えられてもよい。
【0051】
したがって、スライドキー30のXY平面上の位置を検知することができるので、スライドキー30を操作した操作者が意図した操作内容を、所定のコンピュータに把握させることができる。
【0052】
また、操作入力装置4の場合、図37,38に示されるスライドキー30と板ばね54と突起部55と下ケース60などから構成される「キー戻り機構」は、図35,36に示される検知部90とXY変位分離機構から構成される「センサ機構」の下部に位置しているため、センサ機構に接触せずに上下方向に貫通する突出部30aを介して大きな上下方向の荷重がスライドキー30に付加されても、センサ機構に荷重が加わることを抑えることができる。なお、キー戻り機構とセンサ機構との位置関係は、操作入力装置4の場合に対して上下逆でもよい。
【0053】
また、操作入力装置4は、スライドキー30の移動に伴って変化する抵抗値を検出することによってスライドキー30の動きを検知するものであったが、スライドキー30の動きを検知する検知方法は、上述の方法に限らない。例えば、スライドキー30の移動に伴って変化する電界強度をホール素子やMR素子などの磁気センサによって検知することによって、スライドキー30の動きを検知してもよいし、スライドキー30の移動に伴って変化する静電容量を検出することによって、スライドキー30の動きを検知してもよい。
【0054】
図39は、螺旋形状を有する板ばね54の上面視図である。図40は、板ばね54の側面図である。板ばね54は、スライドキー30の凹部の中で応力を効率良く緩和し、ストロークがZ方向で最大でとれるように、螺旋形状で且つ円錐を成している。
【0055】
図41は、本発明の第5の実施形態である操作入力装置5の分解斜視図である。図42は、操作入力装置5の断面図である。図43は、操作入力装置5の全体斜視図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。操作入力装置5は、ヨークを使用した磁気回路で構成され、第1のヨーク130、第2のヨーク140、第3のヨーク150とを備える。第1のヨーク130は、第3のヨーク150の上側に配置され、第2のヨーク140は、第3のヨーク150の下側に配置される。第3のヨーク150は、突起部55が板ばね54の弾性力によって初期荷重を伴って押し当てられている。
【0056】
第2のヨーク140は、第3のヨーク150が配置される配置面140bを有する基部である。第3のヨーク150は、配置面140bに沿って各方向自在にスライドする。第2のヨーク140の中央部には、板ばね54が貫通する孔140aが形成されている。
【0057】
第3のヨーク150は、第2のヨーク140と第1のヨーク130によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。第3のヨーク150のスライド板の上面に第1のヨーク130の下面が接し、第3のヨーク150のスライド板の下面に第2のヨーク140の配置面140bが接することによって、第3のヨーク150を、第2のヨーク140と第1のヨーク130との間に挟んで、XY平面に平行な方向に変位可能に支持することができる。第3のヨーク150に設けられた突出部150aは、第1のヨーク130の中央部に形成された孔130aを貫通して、第1のヨーク130の上面から露出する。
【0058】
Z方向に対向する第1のヨーク130と第2のヨーク140の間に、複数のコイルが、円周方向に配置されている。操作入力装置5の場合、4つのコイル111〜114が円周方向で等間隔に、第3のヨーク150のスライド板の外側に配置されている。
【0059】
コイル111〜114は、原点Oとの距離が等しい点を結んでできる仮想的な円の円周方向に並べられている。コイル111〜114は、操作者の力のベクトルを算出しやすくするという点で、その円周方向に等間隔に配置されることが好ましい。各コイルが互いに同特性の場合、隣接する2つのコイルの重心間の距離が等しければよい。コイル111〜114は、X(+),X(−),Y(+),Y(−)の4方向に同心円状に90°毎に配置されている。
【0060】
第3のヨーク150は、原点Oを通るZ軸上に配置されている。第3のヨーク150の下面には、略円錐形状の側面を有する凹部31が形成されている。
【0061】
第1のヨーク130と第2のヨーク140と第3のヨーク150は、文字通り、ヨークの役目を果たす。したがって、第1のヨーク130と第2のヨーク140と第3のヨーク150は、比透磁率が1よりも高い材質であればよい。例えば、比透磁率は1.001以上あると好適であり、具体的には、鋼板(比透磁率5000)などが好ましい。各コイルを貫くコアそれぞれは(すなわち、コア121〜124は)、樹脂でも鉄でもフェライトでもよく、無くてもよい。
【0062】
操作入力装置5は、コイル111〜114の少なくともいずれか一つのインダクタンスの変化により生じた出力信号を所定の操作入力検出装置に出力するための出力部を備える。この出力部は、コイルの端部に電気的に接続される。出力部は、コイルに生じたインダクタンスの変化をコイル毎に検知できるように、コイル毎に設けられる。例えば、この出力部として、各コイルの一端に接続された配線及び該配線に接続された端子が設けられるとよい。
【0063】
例えば、インダクタンスのX方向成分の変化量は、X(+)方向に配置されたコイル111のインダクタンスの変化量とX(−)方向に配置されたコイル113のインダクタンスの変化量との差であるX方向差分値に基づいて、検知される。インダクタンスY方向成分の変化量についても、同様に、Y(+)方向に配置されたコイル112のインダクタンスの変化量とY(−)方向に配置されたコイル114のインダクタンスの変化量との差であるY方向差分値に基づいて、検知される。インダクタンスのX方向成分とY方向成分の変化量が検知されることによって、第3のヨーク150の位置が検出される。
【0064】
もちろん、X軸方向を、コイル111とコイル113を結ぶ直線方向に対してXY平面内で45°ずらした方向に定義し、Y軸方向を、コイル112とコイル114を結ぶ直線方向に対してXY平面内で同じ向きに45°ずらした方向に定義してもよい。
【0065】
図44は、本発明の第6の実施形態である操作入力装置6の分解斜視図である。図45は、操作入力装置6の断面図である。図46は、スライドキー30がX(−)方向にスライドした状態を示した図である。上述の実施形態と同様の部分については、その説明を省略する。上述の実施形態の板ばね(例えば、第1の実施形態の板ばね50)は、スライドキー30等のスライド部材が初期位置に位置した状態で、突起部の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から該頂点に向けて螺旋状に伸びている弾性部材である。これに対し、第6の実施形態の操作入力装置6の板ばね58は、図46に示されるように、スライドキー30等のスライド部材が該初期位置からスライドした位置に位置した状態で、スライド部材の凹面31bに当接した突起部の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から該頂点に向けて螺旋状に伸びている弾性部材である。
【0066】
このような構成を有する操作入力装置6は、スライドキー30がスライドし得るスライド方向に板ばね58が配設されてなく、スライドキー30のスライド方向に対して板ばね58の伸縮方向が垂直なため、板ばね58の存在によってスライドキー30のスライド量が制限されにくく、スライドキー30の長ストローク化が可能となる。
【0067】
例えば、図46のように、スライドキー30をXY平面上のX(−)方向にスライドさせると、凹面31bから突起部55を介して力を受けた板ばね58はXY平面に対して下向きの法線方向に伸長する。したがって、板ばね58の伸長方向がスライドキー30のスライド方向に対して垂直であるので、スライドキー30がスライド可能なスライド量を容易に且つ大きく確保することができる。
【0068】
また、板ばね50が、操作入力を受けていない初期状態で渦巻状に曲がった形状であることにより、ばね設計の自由度が向上するため、より広範な変形量や復元力をばねに持たせることができる。また、渦巻状にすることにより、ばね長が長くなって、ばねに生じる応力を低減させることができるので、耐久性が向上する。
【0069】
操作入力装置1は、図44〜46に示されるように、下ケース41と、板ばね58と、突起部55と、突起部55が板ばね58の弾性力によって初期荷重を伴って又は伴わずに押し当てられているスライドキー30と、スライドキー30の下側に配置される下側スライド支持部11と、スライドキー30の上側に配置される上側スライド支持部20とを備える。突起部55がスライドキー30の下面に形成された凹部頂点31aに板ばね58によって押し当てられることにより、スライドキー30が初期位置に保持される。スライドキー30が操作者の力によってスライド移動した場合、板ばね58は、凹面31bとの作用により、スライドキー30のスライド方向とは垂直をなす方向に伸びる。その伸びによって発生した復帰力を利用してスライドキー30を初期位置(原点)に復帰させる原点復帰機構が実現されている。
【0070】
下ケース41は、下側スライド支持部11を収容して固定する基部である。下ケース41の中央部には、貫通孔41aが設けられている。貫通孔41aによって、下方に伸長した板ばね58が下ケース41に接触することを防いだり、板ばね58が伸長可能な最大ストローク長を長くしたりすることができる。また、貫通孔41aは、外部機器と接続するための配線を通す孔として使用してもよい。
【0071】
また、突起部55を凹部頂点31a又は凹面31bに当接した位置に保持する保持部59が、板ばね58によって形成された渦巻きの中央部に形成される。保持部59は、球状の突起部55が該渦巻きの中央部に回転可能に位置決めされるように形成された凹部を有している。保持部59は、一端が環状部53に固定された板ばね58の他端に接続されることにより、板ばね58に支持されている。
【0072】
板ばね58は、荷重が付与されていない状態で、突起部55の位置を中心とする略平板形状の板面を形成するように、該平板形状の外周部(すなわち、環状部53)から該中心に向けて渦巻状に伸びた構造を有している(図47参照)。板ばね58は、その平板形状の外周部の互いに異なる箇所からその平板形状の中心に向けて渦巻状に伸びる複数の板ばね要素から構成されている。図47に示した操作入力装置6の板ばね58は、4つの板ばね要素から構成されている。各板ばね要素は、その平板形状の外周部の対向する位置から延びている。これにより、突起部55が安定して保持されるとともに、板ばね58が安定的に弾性変形する。また、これらの安定化をさらに図るため、板ばね58の各板ばね要素は、その平板形状の外周部に接続されている一端に対して反対側の他端で、保持部59を両側から挟むように、互いに対向する位置で保持部59を支持している。
【0073】
板ばね58は、図44〜46に示されるように、上下方向に伸縮可能に、下側スライド支持部11の中央部に形成されたフランジ11bによって支持される。
【0074】
スライドキー30は、板状の下側スライド支持部11の上側の面であるスライド面11cに沿ってXY平面内の各方向に自在にスライドする。スライド面11cは、低背化の点で、XY平面に平行な平面であることが好ましい。下ケース41に収容される下側スライド支持部11の中央部には、板ばね58が貫通する孔11aが形成されている。
【0075】
スライドキー30は、操作者の力が作用しうる突出部30aを有する操作部である。スライドキー30は、操作者の力が突出部30aに作用することにより、XY平面内を変位する変位部材である。スライドキー30は、下側スライド支持部11と上側スライド支持部20によってXY平面に平行な方向に移動可能に支持されている。
【0076】
図45に示されるように、スライドキー30の突出部30a及び突起部55の初期状態での位置(初期位置、又は中立位置とも称する)が、XY平面の原点を通るZ軸上に存在するように、板ばね58によって付勢された状態で又は付勢されていない状態で支持されている。初期状態での突出部30aの軸は、Z軸上に存在する。また、初期状態での突起部55は、スライドキー30の凹部31の凹部頂点31aに付勢して又は付勢せずに当接している。
【0077】
一方、図46のように、スライドキー30がX(−)方向にスライドすることにより、突起部55が凹面31bによって、X(−)方向に垂直な下方に押し下げられる。すなわち、スライドキー30のスライドに伴って、突起部55は凹部31bとの当接位置を自転して変えながら押し下がる。突起部55は、スライドキー30がスライドしても、Z方向の位置は変化するが、XY方向の位置が変化しないように支持されている。スライドキー30のスライド量が増えるにつれて突起部55の押し下げ量が増え、突起部55の押し下げ量が増えるにつれて、板ばね58の伸長量も増加する。そして、スライドキー30に与える操作荷重を解除すると、Z方向に伸びた板ばね58の弾性力による作用によって、突起部55が凹面31bとの当接位置を変えながら自転して押し上がり、X(−)方向に移動したスライドキー30の位置は、初期位置に戻る。スライドキー30をXY平面360°内の他の方向にスライドした場合も同様に考えることができる。
【0078】
このように、操作入力装置6は、スライドキー30のスライド方向と板ばね58の伸長方向は互いに直交するように構成されているので、スライドキー30のスライド量の確保が容易である。
【0079】
以上、本発明の好ましい実施例について詳説したが、本発明は、上述した実施例に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施例に種々の変形、改良及び置換を加えることができる。また、上述の複数の実施形態それぞれの一部を組み合わせて構成された別の実施形態も考えられ得る。
【0080】
また、操作入力装置は、手指に限らず、手のひらで操作するものあってもよい。また、足指や足の裏で操作するものであってもよい。また、操作者が触れる面は、平面でも、凹面でも、凸面でもよい。
【0081】
また、図9〜図25に示した板ばね52は、荷重が付与されていない状態で略錐体形状の側面を成すように伸びるものであったが、図47のように、荷重が付与されていない状態で略円板形状の板面を成すように伸びるものであってもよい。
【符号の説明】
【0082】
1,2,3,4,5 操作入力装置
10,11 下側スライド支持部
20 上側スライド支持部
30 スライド部材(スライドキー)
30a 突出部
30b スライド板
31 凹部
31a 凹部頂点
31b 凹面
32 線状突起
40,41 下ケース
50,52,54,58 弾性部材(板バネ)
51,59 保持部
53 環状部
55,56,57 突起部
60 下ケース
70 上ケース
80 下カバー
91〜94 導体パターン
91a〜94a 電極
91b,93b 抵抗膜
95,96 接触端子
100 上カバー
111〜114 コイル
121〜124 コア
130 第1のヨーク
140 第2のヨーク
150 第3のヨーク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作入力を受けることによりスライドするスライド部材と、
前記スライド部材の下方に配置された板ばねと、
前記スライド部材の下面に形成された凹面に前記板ばねの付勢力によって当接する突起部とを備える、操作入力装置であって、
前記板ばねが、前記突起部の位置を頂点とする略錐体形状の側面を成すように、該錐体形状の底面から前記頂点に向けて螺旋状に伸びていることを特徴とする、操作入力装置。
【請求項2】
前記板ばねが、前記底面の互いに異なる箇所から前記頂点に向けて螺旋状に伸びる複数の板ばねから構成される、請求項1に記載の操作入力装置。
【請求項3】
前記板ばねが、前記底面から前記頂点に向けての延伸途中に屈曲部を備える、請求項1又は2に記載の操作入力装置。
【請求項4】
前記板ばねが、前記凹面に前記突起部が付勢して当接した状態で、前記スライド部材をスライド可能に支持する支持部材に固定される、請求項1から3のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項5】
前記板ばねが、前記突起部を保持する保持部を支持する、請求項1から4のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項6】
前記凹面と当接し得る前記突起部の当接部が、曲面である、請求項1から5のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項7】
前記曲面が、球面である、請求項6に記載の操作入力装置。
【請求項8】
前記突起部が、球状部材である、請求項1から7のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項9】
前記凹面が、略多角錐形状である、請求項1から8のいずれか一項に記載の操作入力装置。
【請求項10】
前記凹面に段差を設けた、請求項1から9のいずれか一項に記載の操作入力装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図6】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2011−165380(P2011−165380A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−24128(P2010−24128)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【出願人】(000006220)ミツミ電機株式会社 (1,651)
【Fターム(参考)】