説明

操作機構

【課題】 可動部の可動範囲が広く、可動部をスムーズな動きで精度良く操作することができる操作機構を提供する。
【解決手段】 操作機構1は、3組以上のリンク機構11Aを介して、固定部材4に対し入力部材15Aを姿勢変更可能に連結した入力側リンク作動装置2Aと、3組以上のリンク機構11Bを介して、固定部材4に対し出力部材15Bを姿勢変更可能に連結した出力側リンク作動装置2Bとを備える。リンク機構11A,11Bは、固定側の端部リンク部材1aと、入力側または出力側の端部リンク部材1cと、これら両端部リンク部材1a,1cを連結した中央リンク部材1bとでなる。入力側リンク機構11Aの固定側の端部リンク部材11aの回転を出力側リンク機構11Bの固定側リンク部材11aに伝達する回転伝達機構5を2組以上設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、医療機器や産業機器等の精密で広範な作動範囲を必要とする機器を搭載する操作機構に関する。
【背景技術】
【0002】
医療機器や産業機器に用いられる遠隔操作システムが、例えば特許文献1、2に開示されている。特許文献1のものは、マスター側リンク機構とスレーブ側リンク機構を用いたマスタースレーブシステムであり、マスター側とスレーブ側とで同一形状のリンク機構を用いている。特許文献2のものは、医療用マスタースレーブシステムであり、スレーブ側となる多関節構造の医療用マニピュレータを遠隔的に操作させるために、マスター側となる遠隔操作装置も医療用マニピュレータと同じ自由度を持つ多関節構造としてある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−305585号公報
【特許文献2】特開2001−137257号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記各例の遠隔操作システムは、制御装置の制御によりマスター側の動作を電気的にスレーブ側へ伝える構成であるため、例えば制御装置が故障した場合、スレーブ側が暴走して周囲のものを傷つけるおそれがある。医療用マニピュレータのような特に精密な動作が要求される機器に使用される遠隔操作システムでは、上記事態を避けるため、制御系を介せずに、マスター側の操作をそのままスレーブ側へ伝達する方が良い場合がある。
【0005】
特許文献2の遠隔操作システムのように、スレーブ側の作業装置にパン・チルト機構が採用されている場合、スレーブ側をパン・チルト機構の各回転対偶部の回転方向に動かすときの操作性は良いが、それ以外の方向に動かすときは、一つ一つの回転対偶部を動かすような動きになり、操作性が悪くなる。また、チルト角が0°の状態、すなわちパンで動作する部材とチルトで動作する部材とが一直線に並んだ状態では、完全にチルトの回転方向にしか動作できなくなる。
【0006】
この発明の目的は、可動部の可動範囲が広く、可動部をスムーズな動きで精度良く操作することができる操作機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の操作機構は、固定部材に対し入力部材を、3組以上の入力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各入力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および入力部材に一端が回転可能に連結された固定側および入力側の端部リンク部材と、これら固定側および入力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各入力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と入力側部分とが対称を成す形状である入力側リンク作動装置と、前記固定部材に対し出力部材を、前記入力側リンク機構と同じ組数の出力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各出力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および出力部材に一端が回転可能に連結された固定側および出力側の端部リンク部材と、これら固定側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各出力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と出力側部分とが対称を成す形状である出力側リンク作動装置とを備え、前記3組以上の入力側リンク機構および出力側リンク機構のうち互いに対応する2組以上の入力側リンク機構と出力側リンク機構間に、それぞれ入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転を出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材に伝達する2つ以上の回転伝達機構を設けたことを特徴とする。
【0008】
この構成の操作機構は、それぞれ3組以上のリンク機構を有する入力側と出力側の2つのリンク作動装置を備えたものであり、各リンク作動装置は、固定部材と入力部材、または固定部材と出力部材が互いに直交2軸方向に移動自在な2自由度機構を構成する。この2自由度機構は、可動範囲を広くとれる。例えば、入力側リンク作動装置の場合、固定部材の中心軸と入力部材の中心軸の最大折れ角は約±90°であり、固定部材に対する入力部材の旋回角を0°〜360°の範囲に設定できる。出力側リンク作動装置についても同様である。
【0009】
入力側リンク作動装置の入力部材を動かすと、2つ以上の回転伝達機構により、入力側リンク機構の固定側の端部リンク部材の回転が、出力側リンク機構の固定側の端部リンク部材に伝達されて、出力側リンク作動装置の出力部材が動作する。入力側リンク作動装置と出力側リンク作動装置は同じ構成であるため、入力部材と出力部材は同じ動きをする。そのため、例えば入力部材に設けた操作部材を操作して出力部材に設けた駆動装置を動作させる場合、操作部材の操作と駆動装置の動作が一致し、感覚的に操作しやすい。回転伝達機構の数を2つ以上としたのは、入力側リンク作動装置の動作に対する出力側リンク作動装置の動作を確定するのに必要なためである。
【0010】
この発明において、前記入力側リンク作動装置と前記出力側リンク作動装置は、前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構が前記固定部材に対し互いに鏡面対称となる配置であって良い。
これにより、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材と出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転数が等しくなるように回転伝達機構を設置すると、入力側リンク作動装置の動作と出力側リンク作動装置の動作が互いに鏡面対称となり、操作者の動かしたい方向に動くことになり、操作性が良い。
【0011】
前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構を上記配置とした場合、前記回転伝達機構は、前記入力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転する入力側ギア部材と、前記出力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転し、前記入力側ギア部材と同じ歯数で、同入力側ギア部材と互いに噛み合う出力側ギア部材とを有する構成とするのが良い。
この構成によると、入力側ギア部材と出力側ギア部材との噛み合いにより、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材から出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材へ回転を伝達するため、回転伝達機構での滑りが発生せず、確実に回転を伝達できる。入力側ギア部材と出力側ギア部材は同じ歯数であるため、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材と出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転数が等しくなり、入力側リンク作動装置から出力側リンク作動装置へ同じ運動を伝達することができる。
【0012】
この発明において、前記入力側リンク作動装置と前記出力側リンク作動装置は、前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構が前記固定部材に対し互いに回転対称となる配置としても良い。
これにより、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材と出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転数が等しくなるように回転伝達機構を設置すると、入力側リンク作動装置の動作と出力側リンク作動装置の動作が互いに回転対称となり、操作者の動かしたい方向と反対側に動く。そのため、固定部材を支点にして操作する感覚になり、操作性が良い。
【0013】
前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構を上記配置とした場合、前記回転伝達機構は、前記入力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転する入力側プーリと、前記出力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転し前記入力側プーリと同径の出力側プーリと、これら入力側プーリおよび出力側プーリに巻き掛けた伝動ベルトとを有する構成とするのが良い。
回転伝達機構を、上記入力側プーリと出力側プーリに巻き掛けた伝動ベルトにより、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材から出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材へ回転を伝達する構成とすれば、入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材と出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転数が等しくなり、入力側リンク作動装置から出力側リンク作動装置へ同じ運動を伝達することができる。
【0014】
この発明において、2組以上の前記入力側リンク機構に、前記入力部材を任意の位置で静止させることが可能な静止機構を設けるか、または2組以上の前記出力側リンク機構に、前記出力部材を任意の位置で静止させることが可能な静止機構を設けるのが良い。
静止機構を設ければ、操作者が誤って入力部材から手を放してしまっても、出力部材の姿勢が一定に保たれ安全である。また、操作者が出力部材を一定な姿勢に保とうとする労力が省け、操作性が向上する。
【0015】
前記静止機構として、前記入力側リンク機構または出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転対偶の回転部に、固定側の端部リンク部材の回転を拘束することが可能な回転拘束手段を設けても良い。
静止機構として回転拘束手段を設ければ、出力部材を任意の位置で静止させることが可能となる。
【0016】
また、前記静止機構として、前記出力部材側から前記入力部材側への回転伝達を阻止し、前記入力部材側から前記出力部材側への回転伝達を許容するワンウェイクラッチを設けても良い。
静止機構としてワンウェイクラッチを設ければ、出力部材に作用する外力により操作が乱れることを防止でき、安全である。
【0017】
この発明において、2組以上の前記入力側リンク機構または前記出力側リンク機構に、固定側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けるのが良い。
回転角検出手段を設ければ、この回転角検出手段の出力信号より、出力側リンク作動装置または出力側リンク作動装置の姿勢を算出することができる。
【0018】
上記回転角検出手段を設ける場合、前記回転角検出手段の出力信号を順変換して前記出力部材の角度を算出する角度算出手段と、この角度算出手段により算出された出力部材の角度を表示する角度表示手段とを設けるのが望ましい。
角度算出手段および角度表示手段を設ければ、角度表示手段に表示される入力側リンク作動装置または出力側リンク作動装置の現在の姿勢を見ながら操作することが可能となり、操作性が向上する。
【0019】
この発明において、前記入力側リンク作動装置の前記入力側リンク機構の内側、または前記出力側リンク作動装置の前記出力側リンク機構の内側に、前記入力部材側から前記出力部材側へ回転を伝達する可撓性を有する可撓性ワイヤを設けても良い。
可撓性ワイヤを設ければ、この可撓性ワイヤを介して、出力側リンク作動装置の出力部材に搭載した駆動装置を駆動することができる。そのため、出力部材に駆動装置を駆動するための回転駆動源を設ける必要がなくなり、出力部材と駆動装置とでなる可動部を軽量化できる。その結果、操作性が向上する。
【0020】
前記可撓性ワイヤは、可撓性を有するアウタチューブの内部に、両端がそれぞれ回転の入力端および出力端となる可撓性のインナワイヤを複数の転がり軸受によって回転自在に支持し、隣合う転がり軸受間に、これら転がり軸受に対して予圧を与えるばね要素を設けた構造とするのが良い。
可撓性ワイヤの回転軸となるインナワイヤをアウタチューブの内部に設けることで、インナワイヤを保護することができる。インナワイヤを複数の転がり軸受によって回転自在に支持し、隣合う転がり軸受間にばね要素を設けることにより、インナワイヤの固有振動数が低くなることを抑えられ、インナワイヤを高速回転させることが可能である。
【0021】
前記可撓性ワイヤを設ける場合、この可撓性ワイヤに回転力を与える回転駆動源を前記固定部材に設けても良い。
可撓性ワイヤの回転駆動源を固定部材に設けることにより、可撓性ワイヤと回転駆動源とを余分な部品を使用せずに連結することができ、構造がコンパクトになる。
【0022】
この発明において、前記固定部材を、1自由度以上の動作が可能な可動ステージに設置しても良い。
固定部材を可動ステージに設置すれば、入力部材や出力部材の可動範囲がより一層広がり、より幅広い操作が可能になる。
【発明の効果】
【0023】
この発明の操作機構は、固定部材に対し入力部材を、3組以上の入力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各入力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および入力部材に一端が回転可能に連結された固定側および入力側の端部リンク部材と、これら固定側および入力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各入力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と入力側部分とが対称を成す形状である入力側リンク作動装置と、前記固定部材に対し出力部材を、前記入力側リンク機構と同じ組数の出力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各出力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および出力部材に一端が回転可能に連結された固定側および出力側の端部リンク部材と、これら固定側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各出力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と出力側部分とが対称を成す形状である出力側リンク作動装置とを備え、前記3組以上の入力側リンク機構および出力側リンク機構のうち互いに対応する2組以上の入力側リンク機構と出力側リンク機構間に、それぞれ入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転を出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材に伝達する2つ以上の回転伝達機構を設けたため、可動部の可動範囲が広く、可動部をスムーズな動きで精度良く操作することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の一実施形態にかかる操作機構の一部を省略した正面図である。
【図2】同操作機構の異なる状態を示す一部を省略した正面図である。
【図3】(A)は同操作機構の入力側リンク作動装置の一部を省略した正面図、(B)は同操作機構の出力側リンク作動装置の一部を省略した正面図である。
【図4】同入力側リンク作動装置の斜視図である。
【図5】同出力側リンク作動装置の斜視図である。
【図6】同入力側リンク作動装置の固定部材、固定側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図である。
【図7】この発明の異なる実施形態にかかる操作機構の一部を省略した正面図である。
【図8】同操作機構の異なる状態を示す一部を省略した正面図である。
【図9】(A)は同操作機構の入力側リンク作動装置の一部を省略した正面図、(B)は同操作機構の出力側リンク作動装置の一部を省略した正面図である。
【図10】この発明のさらに異なる実施形態にかかる操作機構の一部を省略した正面図である。
【図11】(A)は同操作機構の入力側リンク作動装置の一部を省略した正面図、(B)は同操作機構の出力側リンク作動装置の一部を省略した正面図である。
【図12】同入力側リンク作動装置の固定部材、固定側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図である。
【図13】静止機構の一例が設けられた固定部材と固定側の端部リンク部材との連結部の断面図である。
【図14】(A)は静止機構の異なる例が設けられた固定部材と固定側の端部リンク部材との連結部の断面図、(B)はそのXIVB矢視図である。
【図15】静止機構のさらに異なる例が設けられた固定部材と固定側の端部リンク部材との連結部の外形図である。
【図16】出力側リンク作動装置の固定部材、固定側の端部リンク部材、および中央リンク部材の断面図に姿勢検出機構を加えた概略構成図である。
【図17】出力側リンク作動装置の各部の角度を示す斜視図である。
【図18】この発明のさらに異なる実施形態にかかる操作機構の一部を省略した正面図である。
【図19】この発明のさらに異なる実施形態にかかる操作機構の一部を省略した正面図である。
【図20】(A)は同操作機構の可撓性ワイヤの断面図、(B)はXXB部拡大図、(C)はXXC部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
この発明の一実施形態を図1〜図6と共に説明する。図1および図2は、この実施形態にかかる操作機構のそれぞれ異なる状態を示す正面図である。この操作機構1は、入力側と出力側の2つのリンク作動装置2A,2Bを備える。両リンク作動装置2A,2Bの固定部材14A,14Bが、それぞれ共通の固定台3に固定されている。広義では、2つの固定部材14A,14Bと固定台3とを合わせたものも「固定部材」である。以下、この広義の固定部材を「広義固定部材4」とする。請求の範囲で言うところの「固定部材」は、「広義固定部材4」のことである。
【0026】
図3(A)に示すように、入力側リンク作動装置2Aは、固定部材14Aに対し入力部材15Aを3組の入力側リンク機構11Aを介して姿勢変更可能に連結したものであり、図3(B)に示すように、出力側リンク作動装置2Bは、固定部材14Bに対し出力部材15Bを3組の出力側リンク機構11Bを介して姿勢変更可能に連結したものである。両リンク作動装置2A,2Bは、入力側リンク機構11Aと出力側リンク機構11Bとが広義固定部材4に対し互いに鏡面対称となるように配置されている。この点を除けば、両リンク作動装置2A,2Bは基本的に同じ構造である。なお、図1〜図3では、入力側および出力側の各3組のリンク機構のうち、それぞれ1組のリンク機構11A,11Bのみが表示されている。
【0027】
図4は入力側リンク作動装置2Aの斜視図、図5は出力側リンク作動装置2Bの斜視図である。先に説明したように、両リンク作動装置2A,2Bはリンク機構11A,11Bが鏡面対称の配置であることを除けば同じ構造であるため、重複を避けるために、以下の説明では入力側リンク作動装置2Aについて記し、入力側リンク作動装置2Aと出力側リンク作動装置2Bとで名称や符号が異なる箇所についてのみ、出力側リンク作動装置2Bの名称や符号を括弧内に記すことにする。
【0028】
入力側リンク作動装置2A(出力側リンク作動装置2B)は、3組の入力側リンク機構11A,12A,13A(出力側リンク機構11B,12B,13B)を具備する。以下、各リンク機構11A,12A,13A(11B,12B,13B)を、「11A〜13A(11B〜13B)」と表記する。これら3組のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)は、それぞれ幾何学的に同一形状をなす。すなわち、各リンク機構11A〜13A(11B〜13B)は、後述の各リンク部材11a〜13a,11b〜13b,11c〜13cを直線で表現した幾何学モデルが、中央リンク部材11b〜13bの中央部に対する入力側部分と出力側部分が対称を成す形状である。
【0029】
各リンク機構11A,12A,13A(11B,12B,13B)は、固定側の端部リンク部材11a,12a,13a、中央リンク部材11b,12b,13b、および入力側(出力側)の端部リンク部材11c,12c,13cで構成され、4つの回転対偶からなる3節連鎖のリンク機構をなす。以下、上記各リンク部材をそれぞれ「11a〜13a」、「11b〜13b」、「11c〜13c」と表記する。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cは球面リンク構造で、3組のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)における球面リンク中心PA,PC(図3)は一致しており、また、その中心PA,PCからの距離も同じである。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bとの連結部となる回転対偶軸は、ある交差角をもっていてもよいし、平行であってもよい。但し、3組のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)における中央リンク部材11b〜13bの形状は幾何学的に同一である。
【0030】
1組のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)は、前記固定部材14A(14B)と、前記入力部材15A(出力部材15B)と、これら固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)のそれぞれに回転可能に連結させた2つの端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと、両端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cのそれぞれに回転可能に連結されて両端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cを互いに連結する1つの中央リンク部材11b〜13bとを具備する。
【0031】
この実施形態のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)は回転対称タイプで、固定部材14A(14B)および端部リンク部材11a〜13aと、入力部材15A(出力部材15B)および端部リンク部材11c〜13cとの位置関係が、中央リンク部材11b〜13bの中心線Aに対して回転対称となる位置構成になっている。図1は、固定部材14A(14B)の中心軸Bと入力部材15A(出力部材15B)の中心軸Cとが同一線上にある状態を示し、図2は、固定部材14A(14B)の中心軸Bに対して入力部材15A(出力部材15B)の中心軸Cが所定の作動角をとった状態を示す。各リンク機構11A〜13A(11B〜13B)の姿勢が変化しても、固定側と入力側(出力側)の球面リンク中心PA,PC間の距離L(図3)は変化しない。
【0032】
図6に示すように、固定部材14A(14B)は、その中心部に貫通孔16が軸方向に沿って形成され、また、大きな角度がとれるように外形を球面状としたドーナツ形状をなしている。固定部材14A(14B)には、半径方向に延びる軸部材嵌挿用の貫通孔18が円周方向等間隔で3個形成され、各貫通孔18に複列の軸受19を介して軸部材20が嵌挿されている。入力部材15A(出力部材15B)も同じ構造で、その中心部に貫通孔16(図4、図5)が軸方向に沿って形成されている。
【0033】
前記軸受19は、例えば深溝玉軸受であって、固定部材14A(14B)の貫通孔18に内嵌された外輪19aと、軸部材20に外嵌された内輪19bと、これら外輪19aと内輪19b間に回転自在に介挿されたボール等の転動体19cとからなる。つまり、外輪19aは固定部材14A(14B)に固定され、内輪19bは軸部材20と共に回転する構造である。軸部材20の外側端部は、固定部材14A(14B)から突出し、その突出ねじ部20aに端部リンク部材11a,12a,13aが結合され、ナット23による締付けでもって軸受19に所定の予圧量を付与して固定されている。固定部材14A(14B)に対して軸部材20を回転自在に支承する軸受19は、止め輪22により固定部材14A(14B)から抜け止めされている。なお、軸受19としては、図6に図示されているように深溝玉軸受を複列で配設する以外に、アンギュラ玉軸受、ローラ軸受、あるいは滑り軸受を使用することも可能である。
【0034】
また、固定部材14A(14B)に設けられた3本の軸部材20のうち、端部リンク部材11a,12aが結合された2本の軸部材20には、端部リンク部材11a,12aとナット23との間にギア部材21A(21B)が軸部材20と一体回転するように取付けられている。このギア部材21A(21B)は、図1〜図5に図示されているように扇形の平歯車である。両ギア部材21A,21Bは、同径同ピッチであり、対応するもの同士が互いに噛み合っている。
【0035】
なお、軸部材20と端部リンク部材11a〜13aとは、加締め等により結合される。キーあるいはセレーションにより結合することが可能である。その場合、結合構造の緩みを防止でき、伝達トルクの増加を図ることができる。また、軸部材20とギア部材21A(21B)とは、スプライン等により一体に回転するように結合される。
【0036】
入力部材15A(出力部材15B)は、軸部材20の外側端部にギア部材21A(21B)が設けられていない点を除いて、固定部材14A(14B)と同一構造である。軸部材20の円周方向位置は等間隔でなくてもよいが、固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)は同じ円周方向の位置関係とする必要がある。これら固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)は、3組のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)で共有され、各軸部材20に端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cが連結される。
【0037】
端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cはL字状をなし、一辺を固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)から突出する軸部材20に結合し、他辺を中央リンク部材11b〜13bに連結する。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cは、大きな角度がとれるようにリンク中心側に位置する軸部25の屈曲基端内側が大きくカットされた形状を有する。
【0038】
中央リンク部材11b〜13bはほぼL字状をなし、両辺に貫通孔24を有する。この中央リンク部材11b〜13bは、大きな角度がとれるようにその周方向側面がカットされた形状を有する。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの他辺から一体的に屈曲成形された軸部25を、複列の軸受26を介して中央リンク部材11b〜13bの両辺の貫通孔24に挿通する。
【0039】
軸受26も、例えば深溝玉軸受であって、中央リンク部材11b〜13bの貫通孔24に内嵌された外輪26aと、端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの軸部25に外嵌された内輪26bと、これら外輪26aと内輪26b間に回転自在に介挿されたボール等の転動体26cとからなる。端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cに対して中央リンク部材11b〜13bを回転自在に支承する軸受26は、止め輪27により中央リンク部材11b〜13bから抜け止めされている。
【0040】
図4(図5)に図示された前記リンク機構11A〜13A(11B〜13B)において、固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)の軸部材20の角度、長さ、および端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cの幾何学的形状が固定側と入力側(出力側)で等しく、また、中央リンク部材11b〜13bについても固定側と入力側(出力側)で形状が等しいとき、中央リンク部材11b〜13bの対称面に対して中央リンク部材11b〜13bと、固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)と連結される端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cとの角度位置関係を固定側と入力側(出力側)で同じにすれば、幾何学的対称性から入力部材14A(14B)および端部リンク部材11a〜13aと、入力部材15A(出力部材15B)および端部リンク部材11c〜13cとは同じに動き、固定側と入力側(出力側)は同じ回転角になって等速で回転することになる。この等速回転するときの中央リンク部材11b〜13bの対称面を等速二等分面という。
【0041】
このため、固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)を共有する同じ幾何学形状のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)を円周上に複数配置させることにより、複数のリンク機構11A〜13A(11B〜13B)が矛盾なく動ける位置として中央リンク部材11b〜13bが等速二等分面上のみの動きに限定され、これにより固定側と入力側(出力側)は任意の作動角をとっても等速回転が得られる。
【0042】
各リンク機構11A〜13A(11B〜13B)における4つの回転対偶の回転部、つまり、端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと固定部材14A(14B)および入力部材15A(出力部材15B)との2つの連結部、および端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bの2つの連結部に軸受19,26を介在させた構造とすることにより、その連結部での摩擦抵抗を抑えて回転抵抗の軽減を図ることができ、滑らかな動力伝達を確保できると共に耐久性を向上できる。
【0043】
この軸受19,26を介在させた構造では、軸受19,26に予圧を付与することにより、ラジアル隙間とスラスト隙間をなくし、連結部でのがたつきを抑えることができ、固定側と入力側(出力側)間の回転位相差がなくなり等速性を維持できると共に振動や異音の発生を抑制できる。特に、前記軸受19,26の軸受隙間を負すきまとすることにより、入出力間に生じるバックラッシュを少なくすることができる。
【0044】
この入力側リンク作動装置2A(出力側リンク作動装置2B)の構成によれば、固定部材14A(14B)に対する入力部材15A(出力部材15B)の可動範囲を広くとれる。例えば、固定部材14A(14B)の中心軸Bと入力部材15A(出力部材15B)の中心軸Cの最大折れ角を約±90°とすることができる。また、固定部材14A(14B)に対する入力部材15A(出力部材15B)の旋回角を0°〜360°の範囲で設定できる。
【0045】
また、この構成の入力側リンク作動装置2A(出力側リンク作動装置2B)は、固定部材14A(14B)および出力部材15A(15B)に軸受19の外輪19aを内包すると共に内輪19bを端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cと結合させて、固定部材14A(14B)および出力部材15A(15B)内に軸受19を埋設したので、全体の外形を大きくすることなく、固定部材14A(14B)および出力部材15A(15B)の外形を拡大することができる。そのため、固定部材14A(14B)を固定台3に取付けるための取付スペース、入力部材15Aに後述する操作部材6(図1、図2)を取付けるための取付スペース、および出力部材15Bに駆動装置(図示せず)を取付けるための取付スペースの確保が容易である。
【0046】
図1および図2に示すように、入力側リンク作動装置2Aに設けた前記2個の入力側ギア部材21Aと出力側リンク作動装置2Bに設けた前記2個の出力側ギア部材21Bとは、互いに対応するもの同士が噛み合っている。両ギア部材21A,21Bは、同じ歯数である。これら互いに噛み合う一対のギア部材21A,21Bで、回転伝達機構5を構成する。すなわち、1つの操作機構1に付き、2組の回転伝達機構5が設けられている。この2組の回転伝達機構5により、入力側リンク機構11A,12Aにおける固定側の端部リンク部材11a,12aの回転を出力側リンク機構11B,12Bにおける固定側の端部リンク部材11a,12aに伝達する。3組の入力側リンク機構11A〜13Aおよび出力側リンク機構11B〜13Bのうち2組に回転伝達機構5を設けたのは、入力側リンク作動装置2Aの動作に対する出力側リンク作動装置2Bの動作を確定するのに必要なためである。3組の入力側リンク機構11A〜13Aおよび出力側リンク機構11B〜13Bの全て回転伝達機構5を設けても良い。
【0047】
入力側リンク作動装置2Aの入力部材15Aには、手動操作用の操作部材6が取付けられる。また、出力側リンク作動装置2Bの出力部材15Bには、医療用マニピュレータ等の駆動装置(図示せず)が搭載される。操作機構1自体は、固定台3を固定構造物等に固定することで、固定状態に設置される。
【0048】
操作部材6を操作して入力側リンク作動装置2Aの入力部材15Aを動かすと、2組の回転伝達機構5により、入力側リンク機構11A,12Aの固定側の端部リンク部材11a,12aの回転が、出力側リンク機構11B,12Bの固定側の端部リンク部材11a,12aに伝達されて、出力側リンク作動装置2Bの出力部材15Bが動作する。入力側リンク機構11A〜13Aと出力側リンク機構11B〜13Bは鏡面対称の配置であるため、入力部材15Aと出力部材15Bは鏡面対称の動きをする。そのため、操作部材6の操作と出力部材15Bに設けた駆動装置の動作が一致し、感覚的に操作しやすい。
【0049】
回転伝達機構5は、入力側ギア部材21Aと出力側ギア部材21Bとの噛み合いにより、入力側リンク機構11A,12Aにおける固定側の端部リンク部材11aから出力側リンク機構11B,12Bにおける固定側の端部リンク部材11aへ回転を伝達する構成であるため、回転伝達機構5内での滑りが発生せず、確実に回転を伝達できる。入力側ギア部材21Aと出力側ギア部材21Bは同じ歯数であるため、入力側リンク機構11A,12Aにおける固定側の端部リンク部材11aと出力側リンク機構11B,12Bにおける固定側の端部リンク部材11aの回転数が等しくなり、入力側リンク作動装置2Aから出力側リンク作動装置2Bへ同じ運動を伝達することができる。
【0050】
図7〜図9は異なる実施形態を示す。この実施形態の操作機構1は、回転伝達機構5をベルト伝動機構としたものである。入力側リンク作動装置2Aと出力側リンク作動装置2Bは同形同寸であって、固定台3に対して互いに回転対称となる配置で固定されている。そして、各固定部材14A,14Bに設けられた各3本の軸部材20のうち、端部リンク部材11aが結合された軸部材20を含む2本の軸部材20に、前記実施形態におけるギア部材21A,21Bの代わりに同一径のプーリ30A,30Bを設け、これらプーリ30A,30Bに伝動ベルト31をけさ掛けで掛けてある。上記プーリ30A,30Bと伝動ベルト31とで、回転伝達機構5を構成する。伝動ベルト31は、歯付きのタイミングベルトとするのが好ましい。
【0051】
この構成によると、入力側リンク機構11Aにおける固定側の端部リンク部材11aと出力側リンク機構11Bにおける固定側の端部リンク部材11aの回転数が等しく、入力側リンク作動装置2Aから出力側リンク作動装置2Bへ同じ運動が伝達される。入力側リンク機構11A〜13Aと出力側リンク機構11B〜13Bは回転対称の配置としてあるため、入力側リンク作動装置2Aの動作と出力側リンク作動装置2Bの動作の関係も互いに回転対称となる。つまり、操作部材6の操作方向と反対の方向に駆動装置(図示せず)が動き、固定台3を支点にして駆動装置を操作する感覚が得られる。駆動装置の種類や使用状況によっては、上記のように操作部材6の操作と駆動装置の動作が逆である方が、操作部材6の操作と出力部材15Bの動作が同じであるよりも操作性が良いことがあり、その場合にこの実施形態の構成を採用すると良い。
【0052】
図10〜図12はさらに異なる実施形態を示す。この実施形態の操作機構1は、固定部材14A,14B、入力部材15A,および出力部材15Bに対し端部リンク部材11a〜13a,11c〜13cを支持する軸受19(図12)を外輪回転タイプとしたものである。入力側リンク作動装置2Aの固定部材14Aと固定側の端部リンク部材11a〜13aの連結部を例にとって説明すると、図12に示すように、固定部材14Aの円周方向の3箇所に軸部33が形成され、この軸部33に複列で設けた軸受19の内輪19bが外嵌され、端部リンク部材11a〜13aに形成された軸受支持部34に軸受19の外輪19aが内嵌している。つまり、内輪19bは固定部材14Aに固定され、外輪19aが端部リンク部材11a〜13aと共に回転する構造である。軸部33の先端ねじ部33aに螺着したナット23による締付けでもって、軸受19に所定の予圧量を付与している。固定部材14Bと固定側の端部リンク部材11a〜13aの連結部、入力部材15Aと入力側の端部リンク部材11c〜13cの連結部、および出力部材15Bと出力側の端部リンク部材11c〜13cの連結部も、上記同様の構造である。
【0053】
3本の固定側の端部リンク部材11a〜13aのうちの、端部リンク部材11aを含む2本の端部リンク部材に、入力側ギア部材21A(図10、図11(A))が一体に形成されている。また、出力側リンク作動装置2Bの固定部材14Bと固定側の端部リンク部材11a〜13aの連結部には、出力側ギア部材21B(図10、図11(B))が一体に形成されている。これら一対のギア部材21A,21Bで、回転伝達機構5を構成する。ギア部材21A,21Bは、端部リンク部材11aと別体とし、固定具(図示せず)により端部リンク部材11aに固定してもよい。
【0054】
また、図例では、固定側の端部リンク部材11a〜13aに対し中央リンク部材11b〜13bを支持する軸受26は、端部リンク部材11a〜13aの軸受支持部35に外輪26aが内嵌し、中央リンク部材11b〜13bの軸部36に内輪26bが外嵌している。入力側および出力側の端部リンク部材11c〜13cと中央リンク部材11b〜13bの連結部も、上記同様の構造である。
なお、固定部材14A,14B、入力部材15A、および出力部材15Bには、前記実施形態と同様に、中心部に軸方向に沿う貫通孔16が形成されている。
【0055】
図13〜図15に示すように、操作機構1に、入力側および出力側のリンク作動装置2A,2Bを任意の姿勢で位置決めするための静止機構を設けても良い。
図13の静止機構43は、固定部材14Aに対し固定側の端部リンク部材11aを支持する軸受19が外輪回転タイプである入力側リンク作動装置2A(図12)に設けた例であり、固定部材14Aの軸部33に、端部リンク部材11aの側面に接触するように静止部材37を螺着させてある。これにより、端部リンク部材11aと静止部材37との摩擦力により、端部リンク部材11aの回転自由度が抑制される。このような静止部材37を、3つの端部リンク部材11a〜13aのうち2つ以上に設ければ、リンク作動装置2A,2Bの動きが抑制され、リンク作動装置2A,2Bを任意の姿勢で固定することが可能になる。静止部材37は、出力側リンク作動装置2Bに設けても良い。また、入力側または出力側の端部リンク部材(図示せず)の回転対偶部に設けても良い。いずれの場合も、上記と同様の作用・効果が得られる。
【0056】
図14の静止機構43も、前記軸受19が外輪回転タイプである入力側リンク作動装置2A(図12)に設けた例であり、固定部材14Aの軸部33に取付けられたギア38と、このギア38に係合可能なストッパ39とで回転拘束手段40を構成している。ストッパ39は、端部リンク部材11aに固定した取付部材41のストッパ保持孔41a内に保持され、ばね42により軸部33の中心側に付勢されており、球状の先端部がギア38の外周面に当接している。ストッパ39の先端部がギア38の溝に係合することで、端部リンク部材11aの回転自由度が抑制される。このような回転拘束手段40を、3つの端部リンク部材11a〜13aのうち2つ以上に設ければ、リンク作動装置2A,2Bの動きが抑制され、リンク作動装置2A,2Bを任意の姿勢で固定することが可能になる。この回転拘束手段40は、出力側リンク作動装置2Bに設けても良い。また、入力側または出力側の端部リンク部材(図示せず)の回転対偶部に設けても良い。いずれの場合も、上記と同様の作用・効果が得られる。
【0057】
図15に示す静止機構43は、固定部材14Bに対し固定側の端部リンク部材11aを支持する軸受19が内輪回転タイプである出力側リンク作動装置2B(図6)に設けた例であり、固定側の端部リンク部材11aの回転対偶部と回転伝達機構5を構成するギア部材21Bとの間に、ワンウェイクラッチ44を介在させてある。ワンウェイクラッチ44は、回転伝達機構5からの入力時は回転を許容するが、端部リンク部材11aからの入力に対してはロックする機能を有する。これにより、出力側リンク作動装置2Bに力が作用した場合でも、入力側リンク作動装置2Aに回転力が伝達されないため、リンク作動装置2A,2Bはそのままの姿勢で保持される。つまり、出力部材15Aおよびこの出力部材15Aに搭載される駆動装置(図示せず)に外力が作用しても、操作が乱されることが無くて、安全である。
【0058】
図16は、リンク作動装置2A,2Bの姿勢を検出する姿勢検出機構の概略構成図である。この姿勢検出機構50は、出力側リンク作動装置2Bの3つの端部リンク部材11a〜13aのうち2つ以上に設けられた回転角検出手段51を有する。図例では、2つの回転角検出手段51により、端部リンク部材11a,12aの回転角を検出する。例えば、回転角検出手段51はロータリエンコーダであり、固定部材14Bにボルト52で固定された取付部材53に設置されている。そして、ロータリエンコーダである回転角検出手段51の回転軸51aが、固定部材14Bの軸部33に設けた孔54に固定状態で挿入されている。
【0059】
上記2つの回転角検出手段51の出力信号は、角度算出手段55に送られる。角度算出手段55は、上記出力信号より、リンク作動装置2A,2Bの姿勢を表す折れ角θ(図17)および旋回角φ(図17)を算出する。折れ角θは、固定部材14A(14B)の中心軸Bに対して入力部材15A(出力部材15B)が傾斜した垂直角度のことであり、旋回角φは、固定部材14A(14B)の中心軸Bに対して入力部材15A(出力部材15B)が傾斜した水平角度のことである。そして、算出された折れ角θおよび旋回角φを角度表示手段56に表示する。このような姿勢検出機構50を設ければ、角度表示手段56に表示されるリンク作動装置2A,2Bの姿勢を見ながら操作機構1を操作することができ、操作性が向上する。
【0060】
なお、上記角度算出手段55による折れ角θおよび旋回角φの算出は、下記の関係式を順変換することで行われる。順変換とは、端部リンク部材11a〜13aの回転角度から折れ角θおよび旋回角φを算出する変換のことである。
cos(θ/2)sinβn−sin(θ/2)sin(φ+δn)cosβn+sin(γ/2)=0
ここで、βn(図17におけるβ1,β2)は、固定部材14Aに回転自在に連結された固定側の端部リンク部材11a〜13aの連結端における回転角である。γ(図17)は、固定側の端部リンク部材11aに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸と、出力側の端部リンク部材11c〜13cに回転自在に連結された中央リンク部材11b〜13bの連結端軸とが成す角度である。δn(図17におけるδ1,δ2,δ3)は、基準となる固定側の端部リンク部材11aに対する各固定側の端部リンク部材11a〜13aの円周方向の離間角である。
【0061】
図18は、操作機構のさらに異なる実施形態を示す。この操作機構1は、図1に示す操作機構に相当する操作機構本体1aを可動ステージ60上に設置したものである。可動ステージ60は、図の左右方向に延びるステージガイド61に沿って摺動自在に設けられ、モータ等の駆動源62の駆動によりステージガイド61に沿って移動するようになっている。この構成とすることにより、操作機構1の自由度がさらに増し、より一層幅広い操作が可能となる。図7、図10に示す操作機構を操作機構本体1aとしても良い。
【0062】
図19は、操作機構のさらに異なる実施形態を示す。この操作機構1は、図7に示す操作機構の固定台3に回転駆動源69を設置し、この回転駆動源69の回転を、可撓性ワイヤ70により出力側へ伝達するようにしたものである。可撓性ワイヤ70は、出力側リンク作動装置2Bの固定部材14Bおよび出力部材15Bの各貫通孔16に挿通させて設けられている。可撓性ワイヤ70については、後で詳しく説明する。
【0063】
このように固定台3に回転駆動源69を設置すると、出力部材15Bに駆動装置(図示せず)を搭載した場合、出力部材15Bに駆動装置用の回転駆動源を設ける必要がなく、出力部材15Bおよび駆動装置からなる可動部の軽量化を図れる。それにより、操作性が向上し、駆動装置の位置決め精度を高められる。可撓性ワイヤ70は可撓性を有するため、出力側リンク作動装置1Bの姿勢を変化させても、回転駆動源69の回転を確実に駆動装置に伝達することができる。各リンク機構11B〜13Bの姿勢が変化しても、固定側と出力側の球面リンク中心間の距離Lが変化しないため、可撓性ワイヤ70に大きなアキシアル力(引張り力)が作用することがない。また、可撓性ワイヤ70は、固定部材14Bおよび出力部材15Bの各貫通孔16に挿通して設けられているため、取り回しが容易であり、操作時の邪魔にならない。
【0064】
図20に、可撓性ワイヤ70の一例の構造を示す。可撓性ワイヤ70は、可撓性のアウタチューブ71と、このアウタチューブ71の内部の中心位置に設けられた可撓性のインナワイヤ72と、このインナワイヤ72を前記アウタチューブ71に対して回転自在に支持する複数の転がり軸受73とを備える。インナワイヤ72の両端は、それぞれ回転の入力端72aおよび出力端72bとなる。アウタチューブ71は、例えば樹脂製である。インナワイヤ72としては、例えば金属、樹脂、グラスファイバー等のワイヤが用いられる。ワイヤは単線であっても、撚り線であってもよい。
【0065】
各転がり軸受73はアウタチューブ71の中心線に沿って一定の間隔を開けて配置されており、隣合う転がり軸受73間に、これら転がり軸受73に対して予圧を与えるばね要素74I,74Oが設けられている。ばね要素74I,74Oは、例えば圧縮コイルばねであり、インナワイヤ72の外周を巻線が囲むように設けられる。ばね要素は、転がり軸受73の内輪に予圧を発生させる内輪用ばね要素74Iと、外輪に予圧を発生させる外輪用ばね要素74Oとがあり、これらが交互に配置されている。
【0066】
前記アウタチューブ71の両端には、このアウタチューブ71を他の部材に結合する継手75が設けられている。継手75は、雄ねじ部材76と雌ねじ部材83とで構成される。
雄ねじ部材76は、内周に貫通孔77が形成された筒状の部材であって、軸方向中央部の外周に雄ねじ部78が形成されている。雄ねじ部材76の軸方向の一方端には、内径および外径が同一径で軸方向に延びる円筒部79が設けられている。この円筒部79の外径は、アウタチューブ71の内径部に嵌合する寸法とされている。また、軸方向の他方端には、外径側に拡がるフランジ部80が設けられている。このフランジ部80は他の部材に結合する結合手段であって、円周方向複数箇所に、ボルト等の固定具を挿入するための通孔81が形成されている。前記貫通孔77は、円筒部79側からフランジ部80側に向かって、小径部77a、中径部77b、大径部77cの順に段階的に内径が大きくなっている。中径部77bには、インナワイヤ72を回転自在に支持する転がり軸受82が嵌め込まれる。
【0067】
雌ねじ部材83は、円筒状部84と、この円筒状部84の一端から内径側へ延びるつば状部85とを有する筒状の部材であって、円筒状部84の内周先端側に、前記雄ねじ部材76の雄ねじ部78に螺合する雌ねじ部86が形成されている。つば状部85の内径は、アウタチューブ71が外周に嵌合する寸法とされている。
【0068】
アウタチューブ71を他の部材に結合する際には、まず、雄ねじ部材76の円筒部79をアウタチューブ71の内径部に嵌合させ、かつ雌ねじ部材83のつば状部85をアウタチューブ71の同一端の外径部に嵌合させた状態で、雄ねじ部材76の雄ねじ部78と雌ねじ部材83の雌ねじ部86とを螺合させる。これにより、雄ねじ部材76の円筒部79と雌ねじ部材83のつば状部85とで、アウタチューブ71の一端を内外から挟み込んで固定する。インナワイヤ72は、雄ねじ部材76の貫通孔77に挿通し、貫通孔77の中径部77bに嵌め込んだ転がり軸受82によって支持させる。次いで、雄ねじ部材76のフランジ部80を、回動駆動源69や駆動装置(図示せず)等の結合対象に結合する。この結合は、通孔81に挿通したボルト等の固定具(図示せず)によって行う。以上で、アウタチューブ71と他の部材との結合が完了し、図20の状態となる。
【0069】
この状態から、雄ねじ部78と雌ねじ部86の螺合を外すことで、雄ねじ部材76の円筒部79および雌ねじ部材83のつば状部85による拘束からアウタチューブ71が解放され、アウタチューブ71と結合対象部材との結合が解除される。これらアウタチューブ71と他の部材との結合操作およびその解除操作は容易である。
【0070】
また、アウタチューブ71と継手75を結合した状態で、雄ねじ部材76の結合手段(フランジ部80)により可撓性ワイヤ70と他の部材との結合操作および解除操作を行っても良い。これら可撓性ワイヤ70と他の部材との結合操作およびその解除操作はさらに容易となる。
【0071】
前記インナワイヤ72の入力端72aおよび出力端72bには、回転軸と連結するカップリング89が設けられている。インナワイヤ72の入力端72aに連結される回転軸は前記回転駆動源69の出力軸69aであり、インナワイヤ72の出力端72bに連結される回転軸は後記減速機92の入力軸92aである。以下の説明では、回転駆動源69の出力軸69aおよび減速機92の入力軸92aをまとめて回転軸88とする。
【0072】
図例のカップリング89は、軸方向に貫通する貫通孔89aを有し、この貫通孔89aと外周との間に軸方向に離れて2つのねじ孔89bを設けてある。前記貫通孔89aにインナワイヤ72および回転軸88を両側から挿入し、ねじ孔89bに螺着したボルト等のねじ部材(図示せず)の先端をインナワイヤ72および回転軸88に押し付けることで、これらインナワイヤ72および回転軸88をカップリング89に固定して、インナワイヤ72と回転軸88とを連結する。
【0073】
可撓性ワイヤ70の出力側には、インナワイヤ72の回転を減速する減速機92が設けられている。この減速機92は、減速機ハウジング92cの前後にそれぞれ突出する入力軸92aと出力軸92bを回転自在に支持し、減速機ハウジング92c内に、入力軸92aの回転を減速して出力軸92bに伝達する回転減速伝達系(図示せず)を設けたものである。図例では、入力軸92aと出力軸92bとが同一軸上に配置されている。減速機92の回転減速伝達系としては、遊星歯車機構、波動歯車(ハーモニックドライブ)等が採用される。減速機92の入力軸92aは、カップリング89を介してインナワイヤ72の出力端72bに連結される。減速機92の出力軸92bは、外部の駆動装置(図示せず)に連結される。
【0074】
この構成の可撓性ワイヤ70は、インナワイヤ72の出力側にこのインナワイヤ72の回転を減速して出力する減速機92を設けたため、インナワイヤ72で伝達するトルクが小さくても、大きなトルクを発生できる。インナワイヤ72で伝達するトルクが小さければ、細いインナワイヤ72を使用することができる。そのため、コンパクトな構造で、可撓性の高い可撓性ワイヤ70を実現できる。また、隣合う転がり軸受73間に、これら転がり軸受73に対して予圧を与えるばね要素74I,74Oを設けたことにより、インナワイヤ72の固有振動数が低くなることを抑えられ、インナワイヤ72を高速回転させることが可能である。内輪用ばね要素74Iおよび外輪用ばね要素74Oは、インナワイヤ72の長さ方向にわたり交互に配置されているため、アウタチューブ71の径を大きくせずに、ばね要素74I,74Oを設けることができる。
【符号の説明】
【0075】
1…操作機構
1a…操作機構本体
2A…入力側リンク作動装置
2B…出力側リンク作動装置
3…固定台
4…広義固定部材
5…回転伝達機構
11A,12A,13A…入力側リンク機構
11B,12B,13B…出力側リンク機構
11a,12a,13a…固定側の端部リンク部材
11b,12b,13b…中央リンク部材
11c,12c,13c…入力側または出力側の端部リンク部材
14A,14B…固定部材
15A…入力部材
15B…出力部材
21A,21B…ギア部材
30A,30B…プ―リ
31…伝動ベルト
40…回転拘束手段
43…静止機構
44…ワンウェイクラッチ
51…回転角検出手段
55…角度算出手段
56…角度表示手段
60…可動ステージ
69…回転駆動源
70…可撓性ワイヤ
71…アウタチューブ
72…インナワイヤ
73…転がり軸受
74I,74O…ばね要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固定部材に対し入力部材を、3組以上の入力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各入力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および入力部材に一端が回転可能に連結された固定側および入力側の端部リンク部材と、これら固定側および入力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各入力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と入力側部分とが対称を成す形状である入力側リンク作動装置と、
前記固定部材に対し出力部材を、前記入力側リンク機構と同じ組数の出力側リンク機構を介して姿勢を変更可能に連結し、前記各出力側リンク機構は、それぞれ前記固定部材および出力部材に一端が回転可能に連結された固定側および出力側の端部リンク部材と、これら固定側および出力側の端部リンク部材の他端をそれぞれ回転可能に連結した中央リンク部材とでなり、前記各出力側リンク機構は、前記各リンク部材を直線で表現した幾何学モデルが、前記中央リンク部材の中央部に対する固定側部分と出力側部分とが対称を成す形状である出力側リンク作動装置とを備え、
前記3組以上の入力側リンク機構および出力側リンク機構のうち互いに対応する2組以上の入力側リンク機構と出力側リンク機構間に、それぞれ入力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転を出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材に伝達する2つ以上の回転伝達機構を設けたことを特徴とする操作機構。
【請求項2】
請求項1において、前記入力側リンク作動装置と前記出力側リンク作動装置は、前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構が前記固定部材に対し互いに鏡面対称となる配置とした操作機構。
【請求項3】
請求項2において、前記回転伝達機構は、前記入力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転する入力側ギア部材と、前記出力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転し、前記入力側ギア部材と同じ歯数で、同入力側ギア部材と互いに噛み合う出力側ギア部材とを有する操作機構。
【請求項4】
請求項1において、前記入力側リンク作動装置と前記出力側リンク作動装置は、前記入力側リンク機構と前記出力側リンク機構が前記固定部材に対し互いに回転対称となる配置とした操作機構。
【請求項5】
請求項4において、前記回転伝達機構は、前記入力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転する入力側プーリと、前記出力側リンク機構の固定側の端部リンク部材と一体に回転し前記入力側プーリと同径の出力側プーリと、これら入力側プーリおよび出力側プーリに巻き掛けた伝動ベルトとを有する操作機構。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれか1項において、2組以上の前記入力側リンク機構に、前記入力部材を任意の位置で静止させることが可能な静止機構を設けるか、または2組以上の前記出力側リンク機構に、前記出力部材を任意の位置で静止させることが可能な静止機構を設けた操作機構。
【請求項7】
請求項6において、前記静止機構として、前記入力側リンク機構または出力側リンク機構における固定側の端部リンク部材の回転対偶の回転部に、固定側の端部リンク部材の回転を拘束することが可能な回転拘束手段を設けた操作機構。
【請求項8】
請求項6において、前記静止機構として、前記出力部材側から前記入力部材側への回転伝達を阻止し、前記入力部材側から前記出力部材側への回転伝達を許容するワンウェイクラッチを設けた操作機構。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項において、2組以上の前記入力側リンク機構または前記出力側リンク機構に、固定側の端部リンク部材の回転角を検出する回転角検出手段を設けた操作機構。
【請求項10】
請求項9において、前記回転角検出手段の出力信号を順変換して前記出力部材の角度を算出する角度算出手段と、この角度算出手段により算出された出力部材の角度を表示する角度表示手段とを設けた操作機構。
【請求項11】
請求項1ないし請求項10のいずれか1項において、前記入力側リンク作動装置の前記入力側リンク機構の内側、または前記出力側リンク作動装置の前記出力側リンク機構の内側に、前記入力部材側から前記出力部材側へ回転を伝達する可撓性を有する可撓性ワイヤを設けた操作機構。
【請求項12】
請求項11において、前記可撓性ワイヤは、可撓性を有するアウタチューブの内部に、両端がそれぞれ回転の入力端および出力端となる可撓性のインナワイヤを複数の転がり軸受によって回転自在に支持し、隣合う転がり軸受間に、これら転がり軸受に対して予圧を与えるばね要素を設けた構造とした操作機構。
【請求項13】
請求項11または請求項12において、前記可撓性ワイヤに回転力を与える回転駆動源を、前記固定部材に設けた操作機構。
【請求項14】
請求項1ないし請求項13のいずれか1項において、前記固定部材を、1自由度以上の動作が可能な可動ステージに設置した操作機構。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−66323(P2012−66323A)
【公開日】平成24年4月5日(2012.4.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−211905(P2010−211905)
【出願日】平成22年9月22日(2010.9.22)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ハーモニックドライブ
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】