説明

操作端末器

【課題】 制御スイッチを押操作する際の切換スイッチの誤操作が抑制される操作端末器を提供する。
【解決手段】 ハウジング3の前面に設けられた銘板凹部32lの底面は、いずれの制御スイッチ21の押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチ21と切換スイッチ22とをそれぞれ囲む平面形状となっている。切換スイッチ22の押釦の前端は銘板凹部32lの底面よりも後方に位置する。すなわち、切換スイッチ22の押釦の前端が、制御スイッチ21の押釦の前端よりも後方に位置することになるから、切換スイッチ22の押釦の前端と制御スイッチ21の押釦の前端とが互いに同じ前後位置に配置されている場合に比べ、制御スイッチ21を押操作する際の切換スイッチ22の誤操作が抑制される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作端末器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、図7に示すように、それぞれ固有のアドレスが設定される1乃至複数の制御スイッチ103a,104a,105aを有する複数台(図では3台)操作端末器103〜105と、1乃至複数の負荷(図示せず)が接続され、2線式の信号線Lsを介して操作端末器103〜105に接続されるとともに、制御スイッチ103a,104a,105aが操作されたときに信号線Lsを介して操作端末器103〜105から受け取る監視データに基いて、操作された制御スイッチ103a,104a,105aに対応した負荷を制御する制御装置としての制御親器101及び制御子器102とを備える遠隔制御システムが提供されている(例えば、特許文献1参照)。信号線Lsに対する接続形態は、マルチドロップ接続となっている。
【0003】
具体的に説明すると、制御親器101及び制御子器102はそれぞれ負荷への給電路に挿入されたリレー(図示せず)を有し、リレーを制御することで負荷への給電をオンオフすることにより負荷をオンオフ制御する。制御親器101は8回路(負荷8個分)のリレーを有し、制御子器102は4回路(負荷4個分)のリレーを有する。
【0004】
また、操作端末器103〜105が有する制御スイッチ103a,104a,105aには、例えば特許文献2にも示されているような周知の押釦スイッチが用いられる。
【0005】
以下、上記の遠隔制御システムの動作を説明する。
【0006】
制御親器101は、信号線Lsに対し、図8(a)に示すフォーマットの伝送信号Vsを送出する。伝送信号Vsは、信号送出開始を示すスタートパルス信号ST、伝送信号Vsのモードを示すモードデータMD、制御子器102や操作端末器103〜105を格別に呼び出すためのアドレスデータAD、制御の指示が示される制御データCD、伝送誤りを検出するためのチェックサムデータCS、制御子器102や操作端末器103〜105から返送された監視データを受信するタイムスロットである信号返送期間WTよりなる双極性(±24V)の時分割多重信号であり、図8(b)に示すようなパルス幅変調によってデータが伝送されるようになっている。
【0007】
制御子器102及び操作端末器103〜105では、信号線Lsを介して受信した伝送信号Vs中のアドレスデータADが、自身が有するリレーや制御スイッチ103a,104a,105aに予め設定されているアドレスのいずれかに一致すると、伝送信号Vsから制御データCDを取り込むとともに、伝送信号Vsの信号返送期間WTに監視データを電流モード信号として返送する。なお、電流モード信号とは、信号線Lsを適当な低インピーダンスを介して短絡することにより送出される信号である。
【0008】
制御親器101は、通常時には、モードデータMDをダミーモードとした伝送信号Vsを一定時間間隔で送出する、いわゆる常時ポーリングを行なっている。操作端末器103〜105は、制御スイッチ103a,104a,105aが操作されたときには、ダミーモードの伝送信号Vsのスタートパルス信号STに同期させて図8(c)に示すような割込信号Viを発生させる。このとき、割込信号Viを発生させた操作端末器103〜105は割込みフラグを設定して制御親器101との以後の情報授受に備える。制御親器101は、割込信号Viを受信すると、モードデータMDを割込ポーリングモードとし且つアドレスデータADの上位の半数のビットを順次増加させながら伝送信号を送出し、割込信号Viを発生させた操作端末器103〜105では、操作された制御スイッチ103a,104a,105aに予め設定されているアドレス(以下、「制御アドレス」と呼ぶ。)の上位の半数のビットに、割込ポーリングモードの伝送信号VsのアドレスデータADの上位の半数のビットが一致するとき、信号返送期間WTに制御アドレスの下位の半数のビットを制御親器101に返送する。
【0009】
制御親器101は、上記の信号返送期間WTに制御アドレスの下位の半数のビットを獲得し、上記アドレスデータADの上位の半数のビットと合わせて、制御アドレスの全体を獲得すると、モードデータMDを監視モードとし、獲得された制御アドレスをアドレスデータADとする伝送信号Vsを信号線Lsに送出する。この伝送信号Vsの信号返送期間WTに、割込信号Viを発生させた操作端末器103〜105は、操作された制御スイッチ103a,104a,105aの操作状態を返送する。
【0010】
最後に、制御親器101は、割込信号Viを発生させた操作端末器103〜105に対し、割込フラグの解除を指示する信号を送出し、割込信号Viを発生させた操作端末器103〜105はこの信号を受けて割込フラグを解除する。
【0011】
以上のようにして、操作端末器103〜105から制御親器101への情報伝送は、制御親器101から操作端末器103〜105への4回の信号送出(ダミーモード、割込ポーリングモード、監視モード、割込リセット)によって完了する。
【0012】
また、制御親器101が制御子器102からリレーの動作状態の情報を得ようとするときには、モードデータMDを監視モードとした伝送信号Vsが用いられる。
【0013】
ここで、制御親器101は、制御スイッチ103a,104a,105aのアドレスと各リレーとの対応関係を管理しており、操作された制御スイッチ103a,104a,105aのアドレス(制御アドレス)と該制御スイッチ103a,104a,105aの操作状態とを獲得すると、制御アドレスに対応付けられたリレーを制御親器101自身が有しておればそのリレーを上記操作状態に応じた状態とするようにオンオフ制御する。さらに、制御アドレスに対応付けられたリレーを制御子器102が有しておれば、モードデータMDを制御モードとし、アドレスデータADを上記リレーのアドレスとし、行なわれるべき制御の内容の指示が制御データCDに含まれる伝送信号Vsを信号線Lsに送出する。制御子器102は、自身が有するリレーのアドレスがアドレスデータADに示された伝送信号Vsが受信されると、該リレーを制御データCDに示された指示のように制御するとともに、制御後のリレーの状態を示す監視データを信号返送期間WTに返送する。制御親器101では、送出した制御データCDと返送された監視データとの関係により、伝送信号Vsが正常に受信されたことを確認する。
【0014】
さらに、操作端末器103〜105が例えば点灯・消灯の別や光色によって負荷の動作状態(すなわちリレーのオンオフ)を表示する発光ダイオードのような表示手段を有する場合、制御親器101は、制御スイッチ103a,104a,105aへの操作に応じた動作が完了した後は、モードデータMDを制御モードとし、制御されたリレーに対応する制御スイッチ103a,104a,105aのアドレスをアドレスデータADとし、制御データCDにおいて表示手段の制御を指示する伝送信号Vsを信号線Lsに送出する。これを受けて、操作端末器103〜105では、表示手段を制御して負荷の動作状態(厳密にはリレーの状態)を正しく表示させるとともに、制御後の表示手段の状態を示す監視データを信号返送期間WTに返送する。制御親器101では、送出した制御データCDと返送された監視データとの関係により、伝送信号Vsが正常に受信されたことを確認する。
【0015】
ここで、制御スイッチ103a,104a,105aの操作に応じた制御の形態としては、1個の制御スイッチ103a,104a,105aが1個のリレーに対応付けられる個別制御だけでなく、1個の制御スイッチ103a,104a,105aが操作される度に複数個のリレーのオンオフが一括して切り換えられるグループ制御や、1個の制御スイッチ103a,104a,105aが操作されたときに複数個のリレーがそれぞれ予め設定されたオンオフ状態に切り換えられるパターン制御もある。
【0016】
そして、信号線Lsには、各制御スイッチ103a,104a,105aにそれぞれアドレスを設定するためのアドレス設定器106もマルチドロップ接続されている。
【特許文献1】特開2007−124159号公報
【特許文献2】特開2006−032201号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
また、操作端末器に、アドレス設定器106の機能を持たせることも提案されている。すなわち、操作端末器において、押釦スイッチからなる切換スイッチを設け、通常の操作端末器103〜105と同様の動作を行う制御モードと、制御スイッチが押操作される度に押操作された制御スイッチのアドレスを変更する設定モードとの間で、動作モードが択一的に切り換えられるようにする。
【0018】
このような操作端末器では、制御スイッチを押操作しようとしたところを誤操作により切換スイッチが押操作されると、動作モードが切り換わってしまう。特に、所定の規格に準拠した寸法形状に形成された操作端末器において、設けられている制御スイッチや表示装置が多いことで寸法上の制約から制御スイッチと切換スイッチとの距離が近くなっているような場合、上記のような誤操作が発生しやすい。
【0019】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、制御スイッチを押操作する際の切換スイッチの誤操作が抑制される操作端末器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
請求項1の発明は、それぞれ固有のアドレスが設定される1乃至複数の制御スイッチを有する操作端末器と、1乃至複数の負荷が接続され、信号線を介して操作端末器に接続されるとともに、制御スイッチが操作されたときに信号線を介して操作端末器から受け取る監視データに基いて、操作された制御スイッチに対応した負荷を制御する制御装置とを備える遠隔制御システムに用いられる操作端末器であって、ハウジングと、それぞれ押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された複数個の制御スイッチと、押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された切換スイッチと、ハウジングに保持されて信号線に接続され制御装置に対して監視データを送信する通信部と、ハウジングに収納され、切換スイッチが押操作される度に、いずれかの制御スイッチが押操作されたときに押操作された制御スイッチに設定されたアドレスの情報を含む監視データを生成するとともに通信部を制御して該監視データを制御装置へ送信させる制御モードと、制御スイッチが押操作される度に押操作された制御スイッチのアドレスを変更する設定モードとの間で、動作モードを択一的に切り換える制御部とを備え、ハウジングの前面には、いずれの制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチと切換スイッチとをそれぞれ囲む平面形状の露出部が設けられていて、切換スイッチの押釦の前端は露出部よりも後方に位置することを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、切換スイッチの押釦の前端が、制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置することになるから、切換スイッチの押釦の前端と制御スイッチの押釦の前端とが互いに同じ前後位置に配置されている場合に比べ、制御スイッチを押操作する際の切換スイッチの誤操作が抑制される。
【0022】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、切換スイッチの押釦は、ハウジングの露出部に開口した切換凹部の内側に突出していることを特徴とする。
【0023】
この発明によれば、切換スイッチの押釦を切換凹部の内側に突出させない場合に比べ、切換スイッチの押操作が容易となる。
【0024】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、切換スイッチの押釦は、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチの押釦とも異なっていることを特徴とする。
【0025】
この発明によれば、切換スイッチの押釦と各制御スイッチの押釦とで、前方から見た寸法形状や色を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの押釦と制御スイッチの押釦との区別がつきやすくなり誤操作が抑制される。
【0026】
請求項4の発明は、請求項1〜3のいずれかの発明において、切換スイッチは、いずれの制御スイッチと比べても、押操作が受け付けられるために必要な押力が強いことを特徴とする。
【0027】
この発明によれば、切換スイッチと各制御スイッチとで必要な押力を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの誤操作がより抑制される。
【0028】
請求項5の発明は、それぞれ固有のアドレスが設定される1乃至複数の制御スイッチを有する操作端末器と、1乃至複数の負荷が接続され、信号線を介して操作端末器に接続されるとともに、制御スイッチが操作されたときに信号線を介して操作端末器から受け取る監視データに基いて、操作された制御スイッチに対応した負荷を制御する制御装置とを備える遠隔制御システムに用いられる操作端末器であって、ハウジングと、それぞれ押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された複数個の制御スイッチと、押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された切換スイッチと、ハウジングに保持されて信号線に接続され制御装置に対して監視データを送信する通信部と、ハウジングに収納され、切換スイッチが押操作される度に、いずれかの制御スイッチが押操作されたときに押操作された制御スイッチに設定されたアドレスの情報を含む監視データを生成するとともに通信部を制御して該監視データを制御装置へ送信させる制御モードと、制御スイッチが押操作される度に押操作された制御スイッチのアドレスを変更する設定モードとの間で、動作モードを択一的に切り換える制御部とを備え、ハウジングの前面には、いずれの制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチと切換スイッチとをそれぞれ囲む平面形状の露出部が設けられていて、切換スイッチの押釦の前端は露出部よりも後方に位置し、切換スイッチの押釦は、ハウジングの露出部に開口した切換凹部の内側に突出していて、切換スイッチの押釦は、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチの押釦とも異なっていて、切換スイッチは、いずれの制御スイッチと比べても、押操作が受け付けられるために必要な押力が強いことを特徴とする。
【0029】
この発明によれば、切換スイッチの押釦の前端が、制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置することになるから、切換スイッチの押釦の前端と制御スイッチの押釦の前端とが互いに同じ前後位置に配置されている場合に比べ、制御スイッチを押操作する際の切換スイッチの誤操作が抑制される。また、切換スイッチの押釦を切換凹部の内側に突出させない場合に比べ、切換スイッチの押操作が容易となる。さらに、切換スイッチの押釦と各制御スイッチの押釦とで、前方から見た寸法形状や色を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの押釦と制御スイッチの押釦との区別がつきやすくなり誤操作が抑制される。また、切換スイッチと各制御スイッチとで必要な押力を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの誤操作がより抑制される。
【発明の効果】
【0030】
請求項1及び請求項5の発明によれば、ハウジングの前面には、いずれの制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチと切換スイッチとをそれぞれ囲む平面形状の露出部が設けられていて、切換スイッチの押釦の前端は露出部よりも後方に位置するので、切換スイッチの押釦の前端が、制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置することになるから、切換スイッチの押釦の前端と制御スイッチの押釦の前端とが互いに同じ前後位置に配置されている場合に比べ、制御スイッチを押操作する際の切換スイッチの誤操作が抑制される。
【0031】
請求項2及び請求項5の発明によれば、切換スイッチの押釦は、ハウジングの露出部に開口した切換凹部の内側に突出しているので、切換スイッチの押釦を切換凹部の内側に突出させない場合に比べ、切換スイッチの押操作が容易となる。
【0032】
請求項3及び請求項5の発明によれば、切換スイッチの押釦は、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチの押釦とも異なっているので、切換スイッチの押釦と各制御スイッチの押釦とで、前方から見た寸法形状や色を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの押釦と制御スイッチの押釦との区別がつきやすくなり誤操作が抑制される。
【0033】
請求項4及び請求項5の発明によれば、切換スイッチは、いずれの制御スイッチと比べても、押操作が受け付けられるために必要な押力が強いので、切換スイッチと各制御スイッチとで必要な押力を全て共通とする場合に比べ、切換スイッチの誤操作がより抑制される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0035】
本実施形態は、図7及び図8(a)〜(c)を用いて説明した遠隔制御システムにおいて信号線Lsに接続して用いられる操作端末器であって、図2に示すように、信号線Lsに接続されて伝送信号Vsの受信並びに割込信号Viや監視データの送信を行う通信部11と、操作入力を受け付ける操作部12と、各種の表示がなされる表示部13と、通信部11に受信された伝送信号Vsや操作部12に受け付けられた操作入力に応じて通信部11と表示部13とをそれぞれ制御する制御部14とを備える。
【0036】
通信部11と操作部12と表示部13と制御部14との各回路部品は、それぞれ図3に示すプリント配線板20に実装されて回路ブロック2を構成している。以下、上下方向は図3を基準とし、図3の左上−右下方向を左右方向と呼び、図3の左下−右上方向を前後方向と呼ぶ。つまり、プリント配線板20の厚さ方向は前後方向と呼ぶ。
【0037】
操作部12は、4個の制御スイッチ21と、1個の切換スイッチ22とを備える。各制御スイッチ21と切換スイッチ22とは、それぞれ前方からの押力を受ける押釦を有する押釦スイッチからなる。4個の制御スイッチ21は、プリント配線板20の前面の左右方向の中央よりも右寄りに、上下に並べて実装されている。また、切換スイッチ22は、プリント配線板20の前面の右下端部に実装されている。制御部14は、切換スイッチ22が押操作される度に、動作モードを制御モードと設定モードとの一方に択一的に切り換える。制御モードでの動作は従来技術の項で説明した操作端末器103〜105と同様であるから説明を省略する。設定モードでは、制御部14は、制御スイッチ21が押操作される度に、押操作された制御スイッチ21のアドレスをサイクリックに変更する。
【0038】
また、表示部13は、それぞれ発光部が直方体形状とされた発光ダイオードからなり制御スイッチ21に一対一に対応付けられた4個の表示灯23と、少なくとも設定モードでは各制御スイッチ21の現在のアドレスをそれぞれ表示するアドレス表示機24とを備える。各表示灯23は、従来技術の項で説明した表示手段であって、それぞれ対応する制御スイッチ21が対応付けられた負荷の動作状態を表示するものである。また、アドレス表示機24としては、具体的には例えばアドレスをデジタル表示するセグメント型の発光ダイオードや、液晶パネルを用いることができる。各表示灯23は、それぞれプリント配線板20の左端部において、対応する制御スイッチ21に近い上下位置で上下に並べて略等間隔に実装されている。また、アドレス表示機24は、各制御スイッチ21のアドレスが前面に上下に並べてそれぞれ表示されるものであり、前面が上下に長い長方形状であって、プリント配線板20の前面において表示灯23と制御スイッチ21とに挟まれる左右位置に実装されている。
【0039】
通信部13及び制御部14は、それぞれ周知技術によって実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0040】
さらに、本実施形態は、プリント配線板20を収納するハウジング3を備える。ハウジング3は、前面が開口した直方体形状のボディ31と、前後に扁平な形状であってボディ31の前面の開口を閉塞する形でボディ31に機械的に結合するカバー32とを備える。ボディ31とカバー32とはそれぞれ例えば合成樹脂成型品からなる。ボディ31の左右の壁には、それぞれ前端部に上下に並べて結合片31aが前方へ突設され、各結合片31aの後端部には、それぞれ上下に長い結合穴31bが左右に貫設されている。また、カバー32の左右の両側面には、それぞれ前後両側に開放された結合溝32aが設けられ、各結合溝32aの底面にはそれぞれ上下に長い結合爪32bが左右方向の外向きに突設されていて、各結合溝32aにそれぞれ1個ずつの結合片31aが導入されるとともに結合爪32bが結合穴31bに係入することにより、ボディ31とカバー32とは機械的に結合する。
【0041】
また、ボディ31の底面の上端部には一対のねじ端子33が保持されており、各ねじ端子33にはそれぞれ後側から一対の信号線Lsのうちの一方ずつが接続され、一端が通信部11に接続された電線(図示せず)が前側から接続される。つまり、通信部11は上記電線とねじ端子33とを介して信号線Lsに電気的に接続される。
【0042】
さらに、カバー32は、JIS C 8304に規定された大角連用型の既成の取付枠に対応した形状に形成されており、ハウジング3は前面を露出させる形で壁面等の施工面(図示せず)への埋込配設が可能となっている。そして、カバー32の上下両端部には、それぞれボディ31よりも上下方向の外側に突出して施工面へのハウジング3の固定に用いられる取付部32cが設けられている。各取付部32cにおいて、中央部には、それぞれ左右に長い長穴形状であって施工面に埋め込まれた埋込ボックス(図示せず)に螺合するボックスねじが挿通されるボックス穴32dが前後に貫設されている。また、各取付部32cにおいてボックス穴32dの左右には、施工面がパネル材で形成されているときにパネル材を取付部32cとの間で挟持する挟み金具(図示せず)を引掛け係止するための引掛け穴32eが前後に貫設されている。さらに、各取付部32cにおいてそれぞれボックス穴32dよりも上下方向の外側となる位置には、それぞれプレート(図示せず)を取り付けるためのねじが挿通されるプレート穴32fが前後に貫設されている。さらに、各取付部32cにおいてプレート穴32fの左右両側には、それぞれ施工面に螺合する直付け用のねじが挿通される直付け穴32gが貫設されている。
【0043】
また、カバー32には、それぞれ1個ずつの制御スイッチ21の押釦を前面に露出させる4個の制御穴32hと、切換スイッチ22の押釦を前面に露出させる切換穴32iと、それぞれ1個ずつの表示灯23の発光部を前面に露出させる4個の表示穴32jと、アドレス表示機24に表示された制御スイッチ21のアドレスをそれぞれ1個ずつ表示させるアドレス穴(図示せず)とが、それぞれ前後に貫設されている。また、図4に示すように、カバー32の前面において切換穴32iを囲む範囲には球面形状に窪んだ切換凹部32kが設けられており、切換穴32iは切換凹部32kの前方から見た中央部の底に開口している。
【0044】
さらに、カバー32の前面にはシート状の銘板34が貼着される。銘板34は、例えば合成樹脂からなり、上2個の切換穴32iと最も下の切換穴32iと各表示穴32jとの1個ずつに連通する7個の貫通穴が前後に貫設され、下から2番目の切換穴32iと切換凹部32kとをそれぞれ前方に開放する切欠が設けられた形状であって、アドレス穴の前側となる4箇所がそれぞれ透明とされている。また、カバー32の前面には、銘版34よりも僅かに大きい寸法形状とされた銘版凹部32lが設けられており、銘板34は銘板凹部32lの内面によって位置決めされる。また、銘板凹部32lの底面は平面形状であって、各制御スイッチ21の押釦スイッチ及び切換スイッチ22の押釦スイッチはそれぞれ銘板凹部32lの底面に露出し、切換凹部32kは銘板凹部32lの底面に開口している。つまり、銘板凹部32lの底面が請求項における露出部である。
【0045】
また、動作モードが制御モードとされて通常の操作端末器として使用される通常時には、ハウジング3の前側にはハンドルブロック4が取着される。ハンドルブロック4は、ハウジング3の左端部の前側に固定されるベース部41と、それぞれ前方から見て長方形状であって左後端部が薄肉部を介してベース部41に連結されることによりベース部41に対して右端部を後方に弾性的に変位させることができる4個のハンドル部42とを有するハンドル本体40を備える。すなわち、図5及び図6に示すようにハンドルブロック4が装着された状態では、前方からハンドル部42を押操作して後方へ変位させることにより、押操作されたハンドル部42に応じた制御スイッチ21の押釦がハンドル部42によって押操作される。また、ハンドルブロック4は、前方から見てボックス穴32dの上下位置までを覆う長方形状であって、ハンドルブロック4が取り付けられた状態では、切換凹部32や切換スイッチ22の押釦はハンドルブロック4によって覆われ、切換スイッチ22を押操作することはできない。つまり、ハンドルブロック4が取り付けられた状態では、見栄えが改善されるとともに、切換スイッチ22の誤操作が防止される。ハンドル本体40は例えば合成樹脂成型品からなる。
【0046】
ハンドル本体40において、ベース部41の上下両端部と各ハンドル部42の右端部とにはそれぞれハウジング3との結合のための係止凸部(図示せず)が突設されている。ハウジング3のカバー32において、左上端部及び左下端部にはそれぞれベース部41の係止凸部が挿入係止される係止穴32mが前後に貫設されるとともに、右端部にはそれぞれ1個ずつのハンドル部42の係止凸部が挿入係止される4個の係止穴32nが上下に並べて前後に貫設されている。すなわち、ハンドル本体40の各係止凸部がそれぞれハウジング3の係止穴32m,32nに挿入係止されることにより、ハンドル本体40はハウジング3に機械的に結合する。ここで、各ハンドル部42の係止凸部及び対応する各係止穴32nは、それぞれ制御スイッチ21を押操作可能な程度にハンドル部42の可動範囲を確保する形状とされている。
【0047】
また、ベース部41の前面には上下に長い嵌合凹部41aが設けられるとともに嵌合凹部41aの底面において表示灯23の前側となる4箇所にはそれぞれ窓穴41bが前後に貫設されている。さらに、嵌合凹部41aには透光性を有する材料からなる表示窓43が嵌め込まれており、ハンドルブロック4が取り付けられた状態でも各表示灯23の光をそれぞれ表示窓43を通じて前方から視認可能となっている。表示窓43は例えば透明な合成樹脂からなる。
【0048】
さらに、各ハンドル部42の前面にはそれぞれ長方形状のカバー凹部42aが設けられるとともに、各カバー凹部42aの底面にはそれぞれカード凹部42bが設けられていて、各ハンドル部42には、例えば紙からなりカード凹部42bに収納されるネームカード44と、例えば透明な合成樹脂からなりカバー凹部42aに嵌合することによりハンドル部42に対して固定されネームカード44の脱落を防止するネームカバー45を取付可能となっている。ネームカード44には、例えばハンドル部42によって押操作される制御スイッチ21に対応付けられた負荷の名称が記入される。
【0049】
ここで、図1に示すように、各表示灯23の発光部や、各制御スイッチ21の押釦は、それぞれ銘板34の前面よりも前方に突出する。一方、切換スイッチ22の押釦は切換凹部32lの内側に突出するものの、切換スイッチ22の前端は銘板凹部32lの底面よりも後側に位置する。
【0050】
上記構成によれば、切換スイッチ22の押釦の前端が、いずれの制御スイッチ21の押釦の前端よりも後方に位置することになるから、切換スイッチ22の押釦の前端と各制御スイッチ21の押釦の前端とが互いに同じ前後位置に配置される場合に比べ、制御スイッチ21を押操作する際の切換スイッチ22の誤操作が抑制される。
【0051】
また、切換スイッチ22の押釦を内側に突出させる切換凹部32kを設けていることにより、切換スイッチ22の押釦を切換凹部32kの内側に突出させない場合に比べ、手の指による切換スイッチ22の押操作が容易となり、切換スイッチ22の押操作にドライバー等の治具を用いる必要がない。なお、切換凹部32kの形状及び大きさは、切換スイッチ22の押釦の寸法形状や、切換スイッチ22において押操作が受け付けられるために必要なストローク(押し込みの深さ)に応じて、適宜選択すればよい。
【0052】
なお、切換スイッチ22の押釦において、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチ21の押釦とも異なっているようにすれば、切換スイッチ22の押釦と各制御スイッチ21の押釦とで、前方から見た寸法形状や色を全て共通とする場合に比べ、使用者にとって切換スイッチ22の押釦と制御スイッチ21の押釦との区別がつきやすくなり誤操作が抑制されるから望ましい。
【0053】
さらに、切換スイッチ22において、押操作が受け付けられるために必要な押力をいずれの制御スイッチ21よりも強くしたり、前方から見た押釦の面積をいずれの制御スイッチ21よりも小さくしたりすれば、押操作が受け付けられるために必要な押力や、前方から見た押釦の面積を、切換スイッチ22と各制御スイッチ21とで共通とする場合に比べ、切換スイッチ22の誤操作がより抑制されるから望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施形態においてハンドルブロックを取り外した状態を示す斜視図である。
【図2】同上を示すブロック図である。
【図3】同上を示す分解斜視図である。
【図4】同上の要部を示す斜視図である。
【図5】同上を示す斜視図である。
【図6】同上を示す正面図である。
【図7】遠隔制御システムを示す概略構成図である。
【図8】(a)〜(c)はそれぞれ図7の遠隔制御システムにおいて用いられる伝送信号を示す説明図である。
【符号の説明】
【0055】
1 操作端末器
3 ハウジング
21 制御スイッチ
22 切換スイッチ
32k 切換凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれ固有のアドレスが設定される1乃至複数の制御スイッチを有する操作端末器と、1乃至複数の負荷が接続され、信号線を介して操作端末器に接続されるとともに、制御スイッチが操作されたときに信号線を介して操作端末器から受け取る監視データに基いて、操作された制御スイッチに対応した負荷を制御する制御装置とを備える遠隔制御システムに用いられる操作端末器であって、
ハウジングと、
それぞれ押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された複数個の制御スイッチと、
押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された切換スイッチと、
ハウジングに保持されて信号線に接続され制御装置に対して監視データを送信する通信部と、
ハウジングに収納され、切換スイッチが押操作される度に、いずれかの制御スイッチが押操作されたときに押操作された制御スイッチに設定されたアドレスの情報を含む監視データを生成するとともに通信部を制御して該監視データを制御装置へ送信させる制御モードと、制御スイッチが押操作される度に押操作された制御スイッチのアドレスを変更する設定モードとの間で、動作モードを択一的に切り換える制御部とを備え、
ハウジングの前面には、いずれの制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチと切換スイッチとをそれぞれ囲む平面形状の露出部が設けられていて、切換スイッチの押釦の前端は露出部よりも後方に位置することを特徴とする操作端末器。
【請求項2】
切換スイッチの押釦は、ハウジングの露出部に開口した切換凹部の内側に突出していることを特徴とする請求項1記載の操作端末器。
【請求項3】
切換スイッチの押釦は、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチの押釦とも異なっていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の操作端末器。
【請求項4】
切換スイッチは、いずれの制御スイッチと比べても、押操作が受け付けられるために必要な押力が強いことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の操作端末器。
【請求項5】
それぞれ固有のアドレスが設定される1乃至複数の制御スイッチを有する操作端末器と、1乃至複数の負荷が接続され、信号線を介して操作端末器に接続されるとともに、制御スイッチが操作されたときに信号線を介して操作端末器から受け取る監視データに基いて、操作された制御スイッチに対応した負荷を制御する制御装置とを備える遠隔制御システムに用いられる操作端末器であって、
ハウジングと、
それぞれ押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された複数個の制御スイッチと、
押釦スイッチからなり前方からの押力を受ける押釦をハウジングの前面に露出させる形でハウジングに対して保持された切換スイッチと、
ハウジングに保持されて信号線に接続され制御装置に対して監視データを送信する通信部と、
ハウジングに収納され、切換スイッチが押操作される度に、いずれかの制御スイッチが押操作されたときに押操作された制御スイッチに設定されたアドレスの情報を含む監視データを生成するとともに通信部を制御して該監視データを制御装置へ送信させる制御モードと、制御スイッチが押操作される度に押操作された制御スイッチのアドレスを変更する設定モードとの間で、動作モードを択一的に切り換える制御部とを備え、
ハウジングの前面には、いずれの制御スイッチの押釦の前端よりも後方に位置し前方から見て各制御スイッチと切換スイッチとをそれぞれ囲む平面形状の露出部が設けられていて、切換スイッチの押釦の前端は露出部よりも後方に位置し、
切換スイッチの押釦は、ハウジングの露出部に開口した切換凹部の内側に突出していて、
切換スイッチの押釦は、前方から見た寸法形状と色との少なくとも一方が、いずれの制御スイッチの押釦とも異なっていて、
切換スイッチは、いずれの制御スイッチと比べても、押操作が受け付けられるために必要な押力が強いことを特徴とする操作端末器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−206632(P2009−206632A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−44859(P2008−44859)
【出願日】平成20年2月26日(2008.2.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】