説明

操作装置

【課題】操作装置の特性を動的に変化させ、急操作時の操作感又は操作性の向上と誤操作の抑制を両立することができる操作装置を提供する。
【解決手段】操作者の操作に応じて作業機械のアクチュエータの動作指令値を生成する操作装置70において、操作入力を受ける被操作部材71、及び被操作部材71の動作を基に操作信号を出力する操作信号生成手段72を有する操作入力手段76と、操作者が被操作部材71を制動する動作を検出する制動動作検出手段78と、被操作部材71に対して操作方向と反対方向に作用する力を付加し被操作部材71の動作を減衰させる抵抗反力生成手段75、制動動作検出手段78からの検出信号に基づいて抵抗反力生成手段75への指令値を生成する抵抗反力指令値生成手段73、及び抵抗反力指令値生成手段73からの指令値に応じて抵抗反力生成手段75に指令信号を出力する抵抗反力制御手段74を有する操作支援手段77とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操作者の操作に応じて油圧ショベルや油圧クレーン等の作業機械のアクチュエータの動作指令値を生成する操作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
土木工事や解体工事等の作業現場では、一般に油圧ショベルや油圧クレーンに代表される作業機械が用いられる。この種の作業機械は、動力源となる油圧ポンプ、油圧ポンプからの圧油で駆動する油圧アクチュエータ(油圧シリンダ、油圧モータ等)、油圧アクチュエータにより駆動される被駆動部材(アーム、バケット、ワイヤロープ等)、油圧アクチュエータへの圧油の流れ(流量及び方向)を制御する制御弁、被駆動部材の動作を指示する操作装置等を備えている。通常、操作装置は、操作者により操作される被操作部材(操作レバー、ペダル、ボタン等)、及び被操作部材の移動角や移動距離を油圧アクチュエータの動作速度指令値に変換する指令値生成装置から構成されている。操作者によって被操作部材が操作されると操作装置からの指令値を基に制御弁が制御され、指令値に応じた駆動速度で油圧アクチュエータが駆動し被駆動部材の動作として出力される。こうした作業機械では、作業の効率や質等を含めた作業性を高めるために、疲労が少なく作業に適した操作感又は操作性が求められる。
【0003】
一般的な操作装置には、無操作時に指令値がゼロになるように被操作部材を中立位置に自動復帰させるためのバネが取付けられている。バネ弾性が大きければ被操作部材を中立位置に復帰させる力が強く復帰時間も早くなる。この場合、誤操作を避けてゆっくり慎重に操作する場面では良い操作感が得られるが、被操作部材を動かすのに要する力(操作力)が大きくなるので、急操作や微操作が難しく操作による操作者の疲労も大きくなる。反対に、バネ弾性を小さくすれば操作力が小さくなり、速い操作や微操作が要求される場面や運転時間が長時間に及ぶ場面では有利となるが、バネ弾性が過度に小さいと被操作部材の中立位置への復帰が遅くなる上、操作者の腕のぶれ等が操作に影響し易くなる。したがって、作業機械の操作性をより良くするためには、操作装置の特性(被操作部材の弾性や慣性、操作に関わる流体の粘性、また流体や可動部の摩擦等)を操作者の操作に対して適切に設定する必要がある。
【0004】
操作装置の操作性の向上を狙った技術は既に多数存在するが、その1つとして操作装置の特性を動的に変更する技術があり、例えば特許文献1には、被操作部材に可変粘性流体を用いたダンパを接続し、被操作部材の操作速度に反比例するように可変粘性流体の粘性抵抗を制御して操作反力を調整する技術が開示されている。この記載技術を用いれば、速い操作のときに操作反力が大きく、遅い操作のときに操作反力が小さくなるので、上記のバネ弾性を小さく設定しても腕のぶれ等による誤操作を抑制することができる。
【0005】
【特許文献1】特開2000−276244号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1の開示技術では、操作装置のバネ弾性を小さく設定しても微操作時等の誤操作が抑制される利点はあるが、被操作部材を急操作する場面では、被駆動部材の操作速度が十分に上がり切らない間は操作反力が強く速い操作ができない。この場合、過度に力を加えて操作速度を上げようとすると操作速度の上昇に伴って操作反力が急激に軽くなるため、的確な位置に被操作部材を停止させるための力加減も難しくなる。このように、操作感や操作性を向上させるために、操作装置の特性をどのような方法や手段で変化させるかについては更なる改善の余地が残されている。
【0007】
本発明は上記課題を解決するためになされたものであり、操作装置の特性を動的に変化させ、急操作時の操作感又は操作性の向上と誤操作の抑制を両立することができる操作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)上記目的を達成するために、本発明は、操作者の操作に応じて作業機械のアクチュエータの動作指令値を生成する操作装置において、操作入力を受ける被操作部材、及び前記被操作部材の動作を前記アクチュエータの動作指令値に変換し操作信号を出力する操作信号生成手段を有する操作入力手段と、操作中に操作者が前記被操作部材を制動する動作を検出する制動動作検出手段と、前記被操作部材に対して操作方向と反対方向に作用する力を付加し前記被操作部材の動作を減衰させる抵抗反力生成手段、前記制動動作検出手段からの検出信号に基づいて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成する抵抗反力指令値生成手段、及び前記抵抗反力指令値生成手段からの指令値に応じて前記抵抗反力生成手段に指令信号を出力する抵抗反力制御手段を有する操作支援手段とを備えたことを特徴とする。
【0009】
(2)上記(1)において、好ましくは、前記抵抗反力生成手段は、前記被操作部材の移動速度と前記被操作部材の動きに伴って流動する粘性摩擦係数との積で決まる粘性摩擦抵抗反力を生成することを特徴とする。
【0010】
(3)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記制動動作検出手段として、前記被操作部材に加わる操作力を検出する操作力検出手段又は前記操作信号生成手段が出力する操作信号の加速度成分を演算する加速度演算手段を設け、前記抵抗反力指令値生成手段は、前記制動動作検出手段により検出された前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率の絶対値が予め設定した第1閾値以上に増大した後、前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率が正負逆転して絶対値が予め設定した第2閾値以上に増大した場合、前記操作力又は前記加速度成分に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成し、前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率の絶対値が前記第1及び第2閾値よりも小さな第3閾値以下にある場合、前記抵抗反力生成手段への指令値の出力を停止することを特徴とする。
【0011】
(4)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記制動動作検出手段として、操作者が前記被操作部材を動かすときに活動する主動筋と制動するときに活動する拮抗筋の緊張度を測定する筋緊張測定手段を設け、前記抵抗反力指令値生成手段は、前記主動筋と前記拮抗筋の同時出力の拮抗度に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成することを特徴とする。
【0012】
(5)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記制動動作検出手段として、操作者が前記被操作部材を把持する握り圧又は握り力を検出する握り量検出手段を設け、前記抵抗反力指令値生成手段は、前記握り量検出手段で検出された握り量に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成することを特徴とする。
【0013】
(6)上記(1)又は(2)において、好ましくは、前記制動動作検出手段として、操作者が操作レバーである前記被操作部材を軸方向に押し付ける力又は圧力を検出する押し付け量検出手段を設け、前記抵抗反力指令値生成手段は、前記押し付け量検出手段で検出された押し付け量に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、操作装置の特性を動的に変化させることによって、適当な操作反力を被操作部材に適時に付与することができるので、急操作時の操作感又は操作性の向上と誤操作の抑制を両立することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に図面を用いて本発明の実施形態を説明する。
【0016】
図1は本発明の操作装置の適用対象である作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。まず図1に示した油圧ショベルを例に、本発明の操作装置の適用対象である作業機械の概略構成を説明する。以下の説明では、特に断り書きのない場合は図1中の左右を機体の前後方向とする。
【0017】
図1に示した油圧ショベルは、大きく分けて走行体1及びこの走行体1上に旋回可能に搭載された旋回体2から構成される。
【0018】
走行体1は、無限軌道履帯を有する左右のクローラを備えており、左右のクローラを左右の走行モータ33E,33F(後述する図4参照)によりそれぞれ駆動することで走行する。走行モータ33E,33Fは油圧アクチュエータであり、走行体1は走行モータ33E,33Fにより駆動される被駆動部材を構成する。
【0019】
旋回体2は、旋回フレーム3を有し、旋回フレーム3には、前方側に操作者が搭乗するキャブボックス4が、キャブボックス4の後方側に機械室を画成する建屋カバー5が、最後部に機体の前後方向のバランスを調整するカウンタウェイト6が搭載されている。旋回フレーム3には旋回モータ33D(後述する図4参照)が設けられており、旋回体2はこの旋回モータによって旋回駆動される。旋回モータ33Dは油圧アクチュエータであり、旋回体2は旋回モータ33Dにより駆動される被駆動部材を構成する。
【0020】
また、旋回体2の前部(本例ではキャブボックス4の右側)には、旋回体2に対して俯仰動作するフロント作業装置8が設けられている。このフロント作業装置8は、旋回体2の旋回フレーム3にピン結合されたブーム8Aと、ブーム8Aの先端側にピン結合されたアーム8Bと、アーム8Bの先端側にピン結合された作業具(バケット)8Cとによって構成されている。そして、ブーム8A、アーム8B及びバケット8Cは、ブームシリンダ33A、アームシリンダ33B及びバケットシリンダ33C等の油圧アクチュエータによって駆動される。ブーム8A、アーム8B及びバケット8Cは、それぞれブームシリンダ33A、アームシリンダ33B及びバケットシリンダ33Cにより駆動される被駆動部材を構成している。
【0021】
図2はキャブボックス4の内部の概略構成を表す側面図である。
【0022】
図2に示すように、キャブボックス4の床板4A上には、運転席7と運転席7の左右両側に配置された操作装置11(左側のみ図示)が設けられている。操作装置11は、被駆動部材としての旋回体2やフロント作業装置8の動作を指示するものである。この操作装置11については、後に図3を用いて詳述するが、操作者の操作入力を受ける被操作部材である操作レバー15と、操作レバー15を支持するレバー支持体12とを備えている。レバー支持体12は、レバースタンド13と、操作レバー15のケーシング14とを備えている。レバースタンド13は、運転席7の側方に位置し、キャブボックス4の床板4Aに取付けられている。左右の操作レバー15を前後左右に傾転操作することによって、ブームシリンダ33A、アームシリンダ33B、バケットシリンダ33C及び旋回モータ33Dが駆動され、ブーム8A、アーム8B、バケット8C及び旋回体2が動作する。また、運転席7の前方には、走行体1の左右のクローラに対応する一対の被操作部材であるペダル付き操作レバー15C(左側のみ図示)が、キャブボックス4の床板4Aに取付けられている。
【0023】
図3は操作レバー15の構成を表す断面図である。
【0024】
操作レバー15のケーシング14は、その蓋16のフランジ部がレバースタンド13の開口部13Aに取付けられることによってレバースタンド13に固定されている。操作レバー15は、軸15Aとその先端部に装着されたグリップ15Bで構成されている。軸15Aの基端部はカム40に固定的に接続されている。カム40は自由継手41を介してケーシング14の蓋16の中央に連結されており、操作レバー15の前後左右への傾転動作を許容する構成となっている。カム40は、操作レバー15の傾転動作によりプッシャ42を押し下げ、またプッシャ42からの反力で操作レバー15を中立位置に復帰させる構成となっている。全ては図示していないが、プッシャ42は自由継手41の前後左右に各1つずつ計4つ設けられており、プッシャ42の下部には操作装置11の操作特性を決定するバネ等の反力生成要素が取付けられている。プッシャ42の押し込み量(又は押し込みエネルギ)は、図示しない操作信号生成装置によって作業機械の動作速度や移動量の指令値となる電気信号、油圧の圧力値等の操作信号に変換される。
【0025】
図4は作業機械に備えられた油圧アクチュエータの駆動回路の概略図である。
【0026】
図4に示すように、油圧アクチュエータすなわち、ブームシリンダ33A、アームシリンダ33B、バケットシリンダ33C、旋回モータ33D、走行モータ33E,33Fは、建屋カバー5内に設けられた動力源としての油圧ポンプ30からの圧油(作動油)により駆動する。油圧ポンプ30はエンジン(図示せず)により駆動される。油圧ポンプ30から吐出された圧油は、吐出配管31Aを流通して電磁・油圧パイロット式の制御弁(3位置コントロールバルブ)32A〜32Fに供給され、それぞれ制御弁32A〜32Fによって流れ(方向及び流量)を制御されて油圧アクチュエータ33A〜33Fに供給される。油圧アクチュエータ33A〜33Fからの各戻り油は、それぞれ制御弁32A〜32Fを介して戻り油配管31Bに流れ込みタンク38に戻される。また、吐出配管31Aの圧油の最高圧はリリーフ弁36により規制される。
【0027】
左右の操作レバー15(図2参照)には、操作方向(前・後又は左・右)及び操作量に応じ、油圧アクチュエータ33A〜33Dの動作指令値をそれぞれ生成する指令値生成装置34A〜34Dが設けられており、指令値生成装置34A〜34Dで生成された指令値は制御ユニット37に出力される。また、ペダル付き操作レバー15C(図2参照)には、それぞれ対応付けられた側の操作レバー15Cの操作方向(前・後)及び操作量に応じ、走行モータ33E,33Fの動作指令値をそれぞれ生成する指令値生成装置34E,34Fが設けられており、指令値生成装置34E,34Fで生成された指令値が制御ユニット37に出力される。
【0028】
制御ユニット37は、油圧アクチュエータの動作を制御する動作制御手段であり、指令値生成装置34A〜34Fからの指令値を基にそれぞれ制御弁32A〜32Fへの制御信号を生成し、それぞれ制御弁32A〜32Fのソレノイドに制御信号を出力する。制御ユニット37からの制御信号により制御弁32A〜32Fのポジションがそれぞれ切り換わり、油圧アクチュエータ33A〜33Fへの圧油の流れ(方向及び流量)が制御され、油圧アクチュエータ33A〜33Fが駆動制御される。
【0029】
このような油圧系は、大きな力を効率良く伝達することが可能である反面、振動が生じ易く減衰し難い性質を持つ振動系となることが知られている。特に配管の長い作業機械や重量物のハンドリングでは、操作者が被操作部材15,15Cに対して急な操作を加えると振動が生じ易い。この場合、ゆっくり慎重に操作する必要があり、被操作部材の反力を強めに設定すると操作性が良い。一方、振動の小さな作業機械では、変化の早い動作指令値を与えても安定に動作するため早い操作が可能となり、被操作部材の反力を弱めに設定すると操作性が良い。
【0030】
次に本発明の操作装置の第1実施形態について説明する。
【0031】
まず、操作者の操作動作の基本特性についての分析と本発明の理論的背景について図5を用いて説明する。図5は操作者の操作動作の特性図である。
【0032】
図5(a)は目標追従波形を示した図であり、ランダムに変化する目標値50(実線)に操作装置の指令値51(点線)が追従するように操作者が操作装置を操作した時の出力信号の波形を表している。
【0033】
図5(a)の信号波形を取得するには、第一に、表示装置に目標値と指令値の差を示し、その差がゼロになるように操作者が操作しているときの操作装置の出力信号を取得する方法がある。このときの操作動作は補償動作と呼ばれる。第二に、目標値と指令値を同時に表示し、指令値が目標値に一致すように操作者が操作しているときの操作装置の出力信号を取得する方法もある。この操作動作は追跡動作と呼ばれる。補償動作は、ある時点の誤差を認識してその誤差を補正する能力が要求され、追跡動作は、加えて目標値の将来の値を予測してその値に指令値を合わせる能力も要求される。但し、どちらの方法で測定した場合でも、目標追従波形は同じ傾向を示し、目標値50から指令値51までの伝達関数は、むだ時間と一次遅れの特性に近似できることが知られている。むだ時間は200ms程度、一次遅れ特性のゲインが0dBの周波数は0.1〜1Hz程度と言われている。
【0034】
図5(b)は図5(a)の指令値51の一部(数百ms程度)を拡大して表した図であり、操作動作の平均的な基本単位を示している。
【0035】
図5(b)に例示された信号波形は、物を掴む時に掴む物まで手を伸ばす動作に伴う信号波形に類似しており、到達動作と呼ばれるものである。期間52は操作者が目標の認識(目標の位置や動きの認知・予測)や操作動作の計画等を行っている期間であり、期間53は目標の近傍まで早い速度で移動する期間、期間54は目標位置への動作補正期間である。このような動作の連続したより巨視的な波形が図5(a)の指令値51である。したがって、操作者の基本操作は数百ms程度の周期で繰り返されるフィードバック制御特性と等価であると言え、その特性が前述のむだ時間と一次遅れ特性に近似される。この図5(b)に示した微視的な到達動作の操作性を向上させることが、操作系全体の操作性向上に大きく寄与すると考えられる。
【0036】
図5(c)は図5(b)の期間53,54の操作者が被操作部材に加える力(操作力)の波形55を表した図であり、例えば被操作部材からの反力は速い操作への対応に配慮して小さく設定されているものとする。この図を用いて操作者の筋肉の活動について説明する。
【0037】
まず初動時には、被操作部材を操作方向へ動かすための操作力(図の正の領域)が増加する(期間53a)。その後、操作力は直ぐに一定の値に到達して減少に転じ、さらに被操作部材が到達目標位置に近付くにつれて被操作部材を到達目標位置に停止させるために被操作部材を制動する力(操作方向と反対方向の力)が加わることで負の値になる(期間53b)。そして、到達目標位置近くではゼロに近い領域で操作力を微調整して被操作部材を到達目標位置に収束させる(期間54)。このとき期間53aでは、操作者は腕の剛性を下げ(力を抜いて柔らかくした状態)、主動筋(被操作部材を所定の方向に動かすときに主に活動する腕の筋肉)のみを用いて被操作部材の動きを加速操作し、期間53bでは主動筋以外に拮抗筋(主動筋と反対方向に出力し被操作部材を制動する筋肉)を動かして腕の剛性を上げ(力を入れて腕を硬くし、粘性抵抗を増加させ、被操作部材の動きを抑制する状態)、被操作部材の動きを減速操作する。また期間54では、操作力はゼロ付近でも腕に力が入っている状態であり、到達目標位置にうまく停止できない場合は、主動筋と拮抗筋の筋力のバランスを微妙に変えながら被操作部材を到達目標位置に収束させる。
【0038】
このように、操作者は腕の剛性を変えることで被操作部材を操作する動特性を動的に変化させている。一般に被操作部材を素早く動かすときは腕の剛性を下げ(粘性抵抗は小)、腕のぶれ等の誤操作を避けてゆっくり慎重に動かすとき、微操作時や停止時等は腕の剛性を上げる傾向にある。腕の剛性を上げると筋力負担が増して操作感を損なう結果、疲労を感じ易くなり、また誤操作も増えて操作性低下の要因ともなり得る。また腕の剛性がうまく調整できないと、被操作部材の加減速がうまく調整できない上、図5(c)の期間54に示したように被操作部材を目標位置に収束させるまでに振動的な動作となり、結果として応答が遅れ前述したむだ時間と一次遅れ特性が悪化する。したがって本実施形態では、操作装置の特性を動的に調整し、腕の剛性を上げた場合の粘性抵抗を補助することでこの微視的な到達動作の操作性を向上させることを目的とする。
【0039】
図5(d)は本発明を適用したときの、操作指令値59と操作力60、被操作部材からの抵抗反力61(反力なので負の値で示した)の一例を示した図である。この図のように腕の剛性が上がる減速期間と停止期間で、操作装置からの抵抗反力61を大きくすると、目標位置停止までの期間が短くなり(振動もない)、操作性が向上する。
【0040】
図6は本発明の操作装置の第1実施形態の機能ブロック図である。
【0041】
図6に示したように、本発明の操作装置70は、操作者(オペレータ)の操作に応じて作業機械のアクチュエータ(図1−図4の例では図3の油圧モータ33D−33F、油圧シリンダ33A−33C)の動作指令値を生成する装置である。この操作装置70は、操作者による操作入力に応じてアクチュエータの動作を指示する操作信号を出力する操作入力手段76と、操作中に操作者が操作を抑制する動作を検出する制動動作検出手段78と、この操作者の操作を抑制する動きを支援する操作支援手段77とを備えている。
【0042】
操作入力手段76は、操作者による物理的な操作入力(レバーであれば傾転動作等)を受ける被操作部材71(図1−図4の例では図2の操作レバー15,15C)、及び被操作部材71の動作をアクチュエータの動作指令値に変換し操作信号を出力する操作信号生成手段72を有している。
【0043】
被操作部材71は、無操作時に指令値がゼロになるように中立位置に自動復帰させるためのバネ等の反力生成機構(図1−図4の例では図3のプッシャ42)が取り付けられている。本実施形態においては、反力生成機構の弾性係数をあまり大きな値には設定せず、早い操作をする際の操作性を考慮して被操作部材71の動きを軽めに調整する。
【0044】
操作信号生成手段72は、被操作部材71の移動角や移動距離等を含めた操作量を、作業機械のアクチュエータの動作速度や移動量の指令値となる電気信号又は油圧の圧力値などの操作信号に変換する手段であり、図1−図4の例では図3のプッシャ42の押し込み量を測定する変位センサや被操作部材の傾斜角度を検出するポテンショメータ等で構成することができる。
【0045】
制動動作検出手段78は、操作中に操作者が被操作部材71を制動する動作を検出するものであり、例えば図1−図4の例において操作レバー15の場合、操作者の操作動作によって操作レバー15(被操作部材71)に加わる少なくとも操作方向(この場合、前後方向及び左右方向)への荷重(操作力)を検出する力センサ(歪センサ)を、制動動作検出手段78としてグリップ15B(図3参照)に取り付けることができる。
【0046】
操作支援手段77は、被操作部材71に対して操作方向と反対方向に作用する力(抵抗反力)を付加し被操作部材71の動作を減衰させる抵抗反力生成手段75、制動動作検出手段78からの検出信号に基づいて抵抗反力生成手段75への指令値を生成する抵抗反力指令値生成手段73、及び抵抗反力指令値生成手段73からの指令値に応じて抵抗反力生成手段75に指令信号を出力する抵抗反力制御手段74を有している。
【0047】
抵抗反力生成手段75は、上記の通り被操作部材71の動作方向とは逆の方向に反力を生成し、その動作を減衰する手段である。このような反力を生成する要素には、粘性流体を用いた粘性摩擦抵抗、或いは固体を用いた乾性摩擦抵抗がある。粘性摩擦抵抗の反力は、被操作部材71の移動速度と被操作部材71の動きに伴って流動する粘性流体の粘性摩擦係数との積で決まる抵抗反力を生成し、乾性摩擦抵抗による抵抗反力は被操作部材71の稼働部分に固体を押し付けたときに、その押し付け力と摩擦の生ずる固体間の摩擦係数の積で決まる抵抗反力を生成する。本実施形態では、操作者の腕の粘性抵抗の支援を行うものであるため、粘性摩擦抵抗を用いる方が望ましい。
【0048】
粘性摩擦抵抗を用いて抵抗反力生成手段75を構成する場合、例えば特開2000−276244号公報に開示された反力発生装置を適用することができる。この反力発生装置は、プッシャに連動するピストンに流体抵抗を与えるダンパ機構を応用した装置であり、通電により粘性が変化する可変粘性流体を用い、可変粘性流体に通電することでダンパの重さを変化させることによって操作装置の操作に反力を付与する構成となっている。本実施形態に適用する場合、後述する条件の下、抵抗反力指令値生成手段73により可変粘性流体への通電を制御する構成とすることができる。この他に、ダンパのボトム側から排出される流体を流通する流路に可変絞りを設ければ、可変粘性流体を用いずとも、可変絞りの開度によってプッシャの押動に対する反力を調整する構成とすることができる。これを本実施形態に適用する場合も、後述する条件の下、抵抗反力指令値生成手段73により可変絞りの開度を制御する構成とすることで実現できる。
【0049】
乾性摩擦抵抗を用いて抵抗反力生成手段75を構成する場合、例えば図1−図4の例の各プッシャ42(図3参照)の外周面にそれぞれ押し付け可能なパッド(図示せず)を設け、押動されるプッシャ42の外周面にパッドを押し付けることで操作レバー15(被操作部材71)の操作に対する抵抗反力を生成することができる。また、自由継手41の軸部とブラケット部の間に作用する摩擦力を変化させる構成、例えばブラケット部側に軸部の外周部にパッドを押し付ける構成を設けることもできる。これら乾性摩擦抵抗を用いる構成も、抵抗反力指令値生成手段73によって後述の条件下でパッドの動きを制御することで実現することができる。
【0050】
抵抗反力指令値生成手段73は、被操作部材71への抵抗反力の指令値を生成する手段であり、本実施形態では、先に図5(d)で述べた抵抗反力61に相当する抵抗反力を生成するための指令値を生成し、抵抗反力制御手段74に出力する。本実施形態では制動動作検出手段78として被操作部材71のグリップ部分に力センサを設けているので、図5(c)及び図5(d)を用いて説明すると、抵抗反力指令値生成手段73は、制動動作検出手段78により測定された操作力60の変化率(図5(c)の波形56)の絶対値が予め設定した第1閾値P1以上に増大した後、操作力60の変化率が正負逆転して絶対値が予め設定した第2閾値P2以上に設定時間内に増大した場合、操作力60に応じて抵抗反力生成手段75への指令値を生成する。また、操作力60の変化率の絶対値が第1閾値P1及び第2閾値P2よりも小さな第3閾P3値以下に設定時間以上あれば(ゼロ近傍に収束しているときは)、抵抗反力生成手段75への指令値の出力を停止して被操作部材71への操作反力の付与を停止する。なお図5(c)において、第2閾値P2は波形56の図示に合わせて負の領域に表してあり、また第1閾値と異なる値とすることも同値とすることもできる。また、第3閾値P3は正負の両領域に表してある。
【0051】
抵抗反力制御手段74は、上記の通り、抵抗反力指令値生成手段73からの抵抗反力の指令値を抵抗反力生成手段75の制御信号に変換する手段である。ただし、ここで言う指令値や信号は、電気的な信号に限定されず、圧力や力等の機械的又は物理的な信号も含まれる。例えば、上記の抵抗反力生成手段75が可変絞りの開度によって粘性摩擦係数を決定する場合、可変絞りの面積を抵抗反力の指令値(電気信号、圧力、力等)に対応した値に制御する信号(電気信号、圧力、力など)に変換する。
【0052】
次に本実施形態の操作装置の操作に伴う動作と作用を順次説明する。
【0053】
操作者により被操作部材71が操作されると、操作信号生成手段72は被操作部材71の単位時間当たりの操作量と操作方向に応じ、操作方向に対応するアクチュエータへの動作指令値を生成する。図1−図4の例において当該操作が「ブーム上げ」の動作を指示する場合、動作指令値に応じた大きさの操作信号が制御弁32Aの図3中の右側のソレノイド駆動部に出力され、制御弁32Aが図中右側のポジションに切り換わり、ブームシリンダ33Aのボトム側に圧油が供給され、操作に応じてブーム8Aが上昇する。
【0054】
このとき、被操作部材71は比較的弱い操作力で円滑に動作するように反力生成要素(プッシャ42やバネ等)が設定されているため、操作の初動から到達目標位置近傍に被操作部材71を粗寄せする間の位置調整を伴わない速い操作は、円滑にすることができる。この間、操作者により被操作部材71に加えられる操作力は主に主動筋による操作方向への荷重が支配的で、操作力の変化率は第1閾値を超えても変化率が正負逆転しないため、抵抗反力指令値生成手段73では制御指令値が生成されず、抵抗反力生成手段75から被操作部材71に反力は付加されない。一方、到達目標位置近傍で被操作部材71を停止させる過程において、主動筋の活動に対する拮抗筋の活動が増大して(被操作部材71に操作方向と反対方向から加わる力が大きくなって)操作力の変化率が正負逆転する。この際、拮抗筋の活動が支配的になるにつれ、設定時間内に主動筋の動作時とは逆符号の変化率が第2閾値を超えた場合、抵抗反力生成手段73は、その際の操作力(例えば操作方向と反対方向に作用する操作力、又は操作方向への操作力とその反対方向への操作力の差)に応じた抵抗反力指令値を生成し、その結果、抵抗反力生成手段75によって被操作部材71に反力が付与さる。この場合、操作者が被操作部材71を停止させる際の筋力負担が軽減される。また、微操作時にも操作者は腕に力を入れて主動筋と拮抗筋の活動が拮抗させるので、その状態が制動動作検出手段78により検出されることで、操作支援手段77からの反力の作用によって被操作部材71の操作が重くなる。
【0055】
以上のように、本実施形態によれば、被操作部材71の操作特性を動的に調整することができる。具体的には、速く粗い操作の時には操作反力が作用しないので(又は弱いので)、軽い力で操作することができ疲労も小さい。一方、被操作部材71の急制動時や微操作時等のように慎重な操作によって操作者の腕の剛性が上がる場面では、被操作部材71の操作反力が大きくなるため、腕のぶれ等に起因する誤操作を抑制することができ、また操作者の被操作部材71の制動動作に要する筋力負担を軽減することができる点で疲労低減の効果が期待できる。このように動作解析に基づく操作者の筋肉の動きを制御概念に取り込み、操作装置の特性を動的に変化させることによって、本実施形態によれば、適当な操作反力を被操作部材71に適時に付与することができるので、急操作時の操作感又は操作性の向上と誤操作の抑制を両立することができる。これにより、操作感及び操作性を向上させることができ、ひいては、作業機械の動作の安定性、作業精度及び作業効率を向上させることができ、操作者の負担及び疲労を低減することができる。
【0056】
なお、本実施形態では、制動動作検出手段78として被操作部材71に取り付けた力センサを例に上げて説明したが、これに限られない。図5(d)に示した抵抗反力61は腕の剛性が高まったときの粘性抵抗を補助するものであるから、腕の剛性が高まったときに抵抗反力指令値が大きくなるように、抵抗反力指令値生成手段73を構成することもできる。この場合、例えば操作者が被操作部材71を操作するときの腕の主動筋と拮抗筋となり得る筋肉に、制動動作検出手段78として筋肉の緊張度合いを測定する筋電センサを取り付け、両方の筋肉が同時に緊張しているときに主動筋と拮抗筋の同時出力の拮抗度に応じて、抵抗反力指令値生成手段73が抵抗反力生成手段75への指令値を生成する構成とすることもできる。このように構成すると、素早く腕を動かしているときのように腕の剛性が低い場合は被操作部材71の抵抗反力は小さくなり、腕のぶれ等の誤操作を避けてゆっくり慎重に動かすとき、また微操作時や停止時のように腕の剛性が高い場合は被操作部材71の抵抗反力は大きくなる。これにより、適切なタイミングで適切な操作支援が可能となり、操作感及び操作性が向上する。
【0057】
また、操作装置70を操作する際、操作者は腕の剛性が高まるのと同時に被操作部材71を強く握る傾向があるので、腕の剛性を直接測定する代わりに、操作者が被操作部材71を把持する握り圧又は握る力を検出し、その検出値に応じて抵抗反力指令値生成手段71が抵抗反力指令値を決定する構成とすることもできる。この場合、例えば被操作部材71のグリップ部分に青銅動作検出手段78として圧力分布センサを設置し、操作者の被操作部材71の握り圧の測定値に応じて抵抗反力指令値生成手段71が抵抗反力指令値を決定する構成とすることができる。また、圧力分布センサの代わりに押し込み力により出力が変化するセンサ(力センサ等)を1つ又は複数用いて指や掌にかかる力を測定し、その測定値に応じて抵抗反力指令値生成手段71が抵抗反力指令値を決定する構成とすることもできる。
【0058】
さらには、被操作部材71が図3に示した操作レバー15のような構成である場合、操作者は粘性反力が必要なときにグリップ15Bを握る力を増加させるだけでなく、軸15A方向に操作レバー15を押し込む傾向がある。この現象を利用し、例えば軸15Aにその軸方向に押し付ける力又は圧力を測定する力センサ又は圧力分布センサを制動動作検出手段78として設け、その測定値に応じて抵抗反力指令値生成手段71が抵抗反力指令値を決定する構成とすることもできる。
【0059】
本発明の操作装置の第2の実施形態を説明する。
【0060】
図7は本発明の操作装置の第2実施形態の機能ブロック図である。図7において既出図面と同様の部分には既出の符号を付して説明を省略する。
【0061】
本実施形態は、図5及び図6で説明した第1実施形態の操作装置が制動動作検出手段78として力センサを被操作部材71に取付けて操作力60を測定する構成を採っていたのに対し、操作信号生成手段72の出力である操作信号の加速度成分を基に被操作部材71に付与する抵抗反力を演算する例である。操作信号の加速度成分は被操作部材71に加わる操作力の変化率と同じように変動する傾向があるため、被操作部材71に加わる操作力の代わりに操作信号の加速度成分を操作反力の制御の基礎に利用することができる。
【0062】
本実施形態では、操作信号生成手段72が出力する操作信号の加速度成分を演算する加速度演算手段を制動動作検出手段78Aとして設けている。この制動動作検出手段78Aで演算された操作信号の加速度は抵抗反力指令値生成手段73に出力される。抵抗反力指令値生成手段73は、制動動作検出手段78Aにより演算された操作信号の加速度成分の絶対値が予め設定した第1閾値以上に増大した後、加速度成分が正負逆転して絶対値が予め設定した第2閾値(第1閾値と異なる値にも同値にも設定可能)以上に増大した場合、その時点の加速度成分に応じて抵抗反力生成手段75への指令値を生成する。一方、加速度成分の絶対値が第1及び第2閾値よりも小さな第3閾値以下にある場合、抵抗反力生成手段75への指令値の出力を停止する。
【0063】
本実施形態によっても第1実施形態と同様の効果が得られる。
【0064】
本発明の操作装置の第3の実施形態を説明する。
【0065】
前述した各実施形態では粘性摩擦抵抗や乾性摩擦抵抗を利用して被操作部材に操作反力を与える構成を例に上げて説明したが、本実施形態では被操作部材の動きに抗う能動的な反力を作り出して被操作部材に付与する。
【0066】
図8は本発明の操作装置の第3実施形態の反力生成構造を模式的に表した概略図である。図8において既出図面と同様の部分には既出の符号を付して説明を省略する。
【0067】
図8に示したように、本実施形態の操作装置11では、操作レバー15がそれぞれ前後方向・左右方向に回動するアーチ状のガイド部材51,52の頂部に設けた長穴51a,52aに通されている。例えば操作レバー15を前後方向に操作すると、操作レバー15はガイド部材52の長穴52a内を長穴52aの長手方向に移動する一方、操作レバー15の前後への動きに伴ってガイド部材51が前後に回動する。反対に、操作レバー15を左右方向に操作すると、操作レバー15はガイド部材51の長穴51a内を長穴51aの長手方向に移動する一方、操作レバー15の左右への動きに伴ってガイド部材52が左右に回動する。操作レバー15を複合操作した場合、例えば操作レバー15を左前方に操作した場合には、操作レバー15の動作に伴ってガイド部材51,52がそれぞれ前方及び左方向に回動する。
【0068】
このとき、ガイド部材51,52の支軸には、抵抗反力生成手段である電動モータ53,54の出力軸がそれぞれ連結されている。これら電動モータ53,54は、ガイド部材51,52に対し、ガイド部材51,52の回動方向と対向する方向(反対方向)にトルクを与え、操作レバー15に与える操作反力を生成する反力生成手段として機能する。
【0069】
したがって、抵抗反力指令値生成手段73において、第1又は第2実施形態で抵抗反力指令値を生成したのと同じ条件下で、制動動作検出手段からの検出値を基に電動モータ53,54への指令値を演算し、この指令値に応じて抵抗反力制御手段74を介して電動モータ53,54に制御信号を出力することによって、被操作部材71に操作反力を適時に作用させることができる。よって、本実施形態によっても第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
以上、本発明の操作装置は、土木工事、解体工事等の作業現場に使用される、油圧ショベルや油圧クレーンに代表される作業機械の操作装置に利用することができる。また、工場、宇宙、その他の環境で操作者の操作する作業機械等にも利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の操作装置の適用対象である作業機械の一例である油圧ショベルの側面図である。
【図2】図1の油圧ショベルに備えられたキャブボックスの内部の概略構成を表す側面図である。
【図3】図1の油圧ショベルに備えられた操作レバーの構成を表す断面図である。
【図4】図1の油圧ショベルに備えられた油圧アクチュエータの駆動回路の概略図である。
【図5】操作者の操作動作の特性図である。
【図6】本発明の操作装置の第1実施形態の機能ブロック図である。
【図7】本発明の操作装置の第2実施形態の機能ブロック図である。
【図8】本発明の操作装置の第3実施形態の反力生成構造を模式的に表した概略図である。
【符号の説明】
【0072】
11,70 操作装置
15 操作レバー
15A 軸
15B グリップ
15C ペダル付き操作レバー
33A ブームシリンダ
33B アームシリンダ
33C バケットシリンダ
33D 旋回モータ
33E,F 走行モータ
53,54 電動モータ
59 操作指令値
60 操作力
61 抵抗反力
71 被操作部材
72 操作信号生成手段
73 抵抗反力指令値生成手段
74 抵抗反力制御手段
75 抵抗反力生成手段
76 操作入力手段
77 操作支援手段
78,78A 制動動作検出手段
P1 第1閾値
P2 第2閾値
P3 第3閾値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作者の操作に応じて作業機械のアクチュエータの動作指令値を生成する操作装置において、
操作入力を受ける被操作部材、及び前記被操作部材の動作を前記アクチュエータの動作指令値に変換し操作信号を出力する操作信号生成手段を有する操作入力手段と、
操作中に操作者が前記被操作部材を制動する動作を検出する制動動作検出手段と、
前記被操作部材に対して操作方向と反対方向に作用する力を付加し前記被操作部材の動作を減衰させる抵抗反力生成手段、前記制動動作検出手段からの検出信号に基づいて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成する抵抗反力指令値生成手段、及び前記抵抗反力指令値生成手段からの指令値に応じて前記抵抗反力生成手段に指令信号を出力する抵抗反力制御手段を有する操作支援手段と
を備えたことを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記抵抗反力生成手段は、前記被操作部材の移動速度と前記被操作部材の動きに伴って流動する粘性摩擦係数との積で決まる粘性摩擦抵抗反力を生成することを特徴とする請求項1の操作装置。
【請求項3】
前記制動動作検出手段として、前記被操作部材に加わる操作力を検出する操作力検出手段又は前記操作信号生成手段が出力する操作信号の加速度成分を演算する加速度演算手段を設け、
前記抵抗反力指令値生成手段は、前記制動動作検出手段により検出された前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率の絶対値が予め設定した第1閾値以上に増大した後、前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率が正負逆転して絶対値が予め設定した第2閾値以上に増大した場合、前記操作力又は前記加速度成分に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成し、前記操作力の変化率又は前記加速度成分の変化率の絶対値が前記第1及び第2閾値よりも小さな第3閾値以下にある場合、前記抵抗反力生成手段への指令値の出力を停止する
ことを特徴とする請求項1又は2の操作装置。
【請求項4】
前記制動動作検出手段として、操作者が前記被操作部材を動かすときに活動する主動筋と制動するときに活動する拮抗筋の緊張度を測定する筋緊張測定手段を設け、
前記抵抗反力指令値生成手段は、前記主動筋と前記拮抗筋の同時出力の拮抗度に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2の操作装置。
【請求項5】
前記制動動作検出手段として、操作者が前記被操作部材を把持する握り圧又は握り力を検出する握り量検出手段を設け、
前記抵抗反力指令値生成手段は、前記握り量検出手段で検出された握り量に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2の操作装置。
【請求項6】
前記制動動作検出手段として、操作者が操作レバーである前記被操作部材を軸方向に押し付ける力又は圧力を検出する押し付け量検出手段を設け、
前記抵抗反力指令値生成手段は、前記押し付け量検出手段で検出された押し付け量に応じて前記抵抗反力生成手段への指令値を生成する
ことを特徴とする請求項1又は2の操作装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2010−66962(P2010−66962A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−232062(P2008−232062)
【出願日】平成20年9月10日(2008.9.10)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】