改善された隣接チャネル抑圧を有するHFフィルタ
HFフィルタが提案され、このHFフィルタは、直列共振器(S1)及び少なくとも2つのそれぞれ並列分岐路に配置された並列共振器(P1、P2)を有する第1の部分フィルタ(TF1)を有し、DMSフィルタとして形成された第2の部分フィルタ(TF2)を有し、ベースプレート上にいくつかの内部ハウジング接点(GKi)を有するハウジングを有し、このベースプレートは基板(SU)上の端子面に接続されており、これに比べて少数の外部ハウジング接点(GKa)を有し、これらの外部ハウジング接点はベースプレート内部に導かれる線路(DL1、DL2)を介して内部ハウジング接点(GKi)に接続されており、第1の並列共振器(P1)及び第2の部分フィルタ(TF2)のアース端子のためのベースプレート内に又はベースプレート上に互いに別個に導かれた少なくとも2つの線路を有し、これらの線路は少なくとも2つ異なる外部ハウジング接点(E2、E4)に接続されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
HFフィルタはとりわけ移動通信の端末機器において必要とされる。大抵の場合、HFフィルタは移動無線システムにおける使用のために設計されており、これらの移動無線システムは異なるが近くに互いに隣り合う周波数帯域において送受信する。受信フィルタは通常はバンドパスフィルタとして構成され、このバンドパスフィルタの通過領域は少なくともRX帯域の帯域幅に相応する。この場合、必要なのは、大抵の場合、これに所属するTX帯域の周波数が抑圧されることである。
【0002】
HFフィルタの製造のためには様々なテクノロジーが適している。誘電体フィルタは個別L及びC素子から製造され、必要とされるフィルタ特性を提供するために多数の個別素子を必要とする。マイクロ波セラミックフィルタはコスト的に有利に製造可能であり、低い挿入損を有するが、小型化された端末機器への組み込みには通常大きすぎる。良好な電気的特性は体積音響波共振器又は表面弾性波構成素子に基づいて構成されるフィルタが与える。とりわけ有利なのはSAW又は表面弾性波構成素子であり、このSAW又は表面弾性波構成素子は僅少なサイズ及び/又は多数の調整すべき電気的パラメータによって際立っている。
【0003】
SAWベース上のHFフィルタはDMSフィルタ(Dual Mode SAW)として又はリアクタンスフィルタとして多数の共振器から構成され、これらの共振器は直列な又はこれに対して並列な分岐路においてラダータイプ配置又はラティス配置の形式で互いに結線されている。
【0004】
僅少なサイズ及び簡単な製造可能性のほかに、HFフィルタにおいては所与の帯域幅が必要とされ、通過帯域は阻止領域に向かって急峻なエッジで降下すべきである。通過領域における挿入損は、エネルギー損失を最小化するために、最小であるべきである。他方で、HFフィルタは電力適合性を有するべきであり、高い入出力電力においてさえもつねに電極構造の損傷をうけない。
【0005】
隣接チャネル抑圧の改善のために、RXフィルタにおいて例えばTX周波数の抑圧のために既に、2トラック3変換器DMSフィルタが入出力側において並列共振器に結線することが提案された。しかし、このような構造は不十分な電力耐性をもつものとして証明されており、比較的大きな挿入損を有する。
【0006】
まったくのリアクタンスフィルタは十分な隣接チャネル帯域抑圧を達成するためにあまりにも多数の基本素子を必要とし、各基本素子は直列共振器及び並列共振器から構成される。しかし、基本素子の個数が増大するにつれてこのようなフィルタの挿入損は悪化する。
【0007】
よって、本発明の課題は良好な隣接チャネル抑圧を有しかつこれを他の有利な特性と組み合わせるHFフィルタを提供することである。
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を備えたHFフィルタによって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項から得られる。
【0009】
HFフィルタが提案され、このHFフィルタは第1の及び第2の部分フィルタから構成される。第1の部分フィルタはリアクタンスフィルタとして設計され、少なくとも2つの並列共振器及び1つの直列共振器を有する。第2の部分フィルタはDMSフィルタとして構成され、少なくとも2つの変換器を有する。十分な隣接チャネル抑圧を得るために、このフィルタは特別に設計されたハウジングの中に組み込まれ、このハウジングの中では第1の並列共振器及び第2の部分フィルタのアース端子が互いに別個にガイドされ、別個の外部ハウジング接点に引き込まれる。
【0010】
これらの別個のアース線路によって、他の場合には出力側における望ましくない信号を引き起こす異なるフィルタエレメントの間のガルバニックなカップリングが低減されることが判明した。これらの望ましくない信号はその性質に応じて通過領域を妨害し、阻止帯域における望ましくないピークをもたらすか又は全く一般的に有効信号を抑圧すべき信号によって劣化させる。
【0011】
第1及び第2の部分フィルタは共通の圧電基板上に構成され、そこで互いに結線されうる。第1の部分フィルタは有利には入力側に接続される。これは次のような利点を有する。すなわち第1の部分フィルタとして比較的電力耐性のあるリアクタンスフィルタが受信信号の電力の一部分を受け取り、この結果、第2の部分フィルタは、よってDMSフィルタは比較的僅少な信号レベルを引き受ける。とりわけ隣接チャネルにおいてリアクタンスフィルタは電力のきわめて大きな部分を引き受ける。従って、ここに提案されるHFフィルタは全体として比較的良好な電力適合性を有するようになる。
【0012】
ここに提案されるフィルタによって良好な隣接チャネル抑圧及び高いエッジ急峻度も達成される。この場合、リアクタンスフィルタの良好な近接領域抑圧が利用され、この良好な近接領域抑圧は極の適当な周波数位置によって、とりわけ並列共振器の共振周波数の適当な選択によって良好に調整される。良好な遠方領域抑圧はこれに対してDMSフィルタによって提供される。両方の部分フィルタの組み合わせにおいて異なるフィルタタイプの有利な特性がこの組み合わされたHFフィルタにおいて加算される。
【0013】
フィルタのハウジングはベースプレートを含み、このベースプレートは少なくとも1つの誘電体層を有し、この誘電体層は実質的に電気的には伝導性を持たない。複数の誘電体層においてそれぞれ2つの層の間に金属被覆平面が設けられる。この金属被覆平面には導体線路又は一般的に結線がパターニングされている。誘電体層を貫くスルーホールを介して少なくとも1つの金属被覆平面の導体線路及び回路エレメントは内部及び外部接点に接続されている。スルーホールとはこの場合1つ又は複数の誘電体層を貫いてガイドする導電性材料により充填された又は少なくとも1つのコーティングされた孔部と解釈してほしい。
【0014】
内部ハウジング接点は第1及び第2の部分フィルタの基板接点の接続のために使用され、他方で外部ハウジング接点は外部回路周囲にフィルタを接続するために使用される。有利には、フィルタ入力側の最も近くにある第1の並列共振器のアース端子は他の線路からは分離して別個にハウジングを貫いて及びとりわけベースプレートを貫いて導かれ、直接第1の外部ハウジング接点に接続されている。これによって、第1の並列分岐路とのガルバニックなカップリング効果が外部回路周囲において場合によってはありうるインピーダンスによってしか引き起こされないことが達成される。普通はしかし外部アース接点は非常に良好に回路周囲のアースに接続されており、この結果、電気的クロストークの形式のガルバニックなカップリング効果は最小化される。
【0015】
第1の並列共振器のアース端子と第1の外部ハウジング接点との間の接続は直線状に導かれ、次いでスルーホールとして構成される。これは、ハウジング乃至はハウジングのベースプレートの所与の厚さにおいてこの線路に結びついたインダクタンスが最小化されることを保証する。これによって共振器の極零点間隔の拡大が回避され、左側エッジの比較的大きいな急峻度が達成される。また非常に高い周波数における減衰がこれによって改善される。ガルバニックなカップリングに関して最適化されたベースプレートを貫くこの線路は第1の並列分岐路においてとりわけ有利である。なぜなら、この第1の並列分岐路の高い電力消費、すなわち高い電流フローは、層に起因してフィルタ入力側で他の線路及び金属被覆とのカップリングのための高い電位も有するからである。
【0016】
その他に有利には、ハウジングを貫く他の線路とは別個に第2の並列共振器のアース端子をガイドし、外部ハウジング接点、例えば第1の並列共振器のハウジング接点と接続する。これにより第1の及び第2の並列共振器の2つのアース端子の接続がはじめて外部ハウジング接点の平面で行われ、この外部ハウジング接点は通常良好なアースであるか又は良好なアースと接続されており、この結果、この理由からだけでこれら2つのアース線路の間のガルバニックなカップリングが最小化される。
【0017】
隣接チャネル抑圧の更なる改善のために、第2の直列共振器及び第3の並列分岐路において第3の並列共振器が設けられうる。第3の並列共振器のアース端子は有利には第2の外部ハウジング接点に接続されており、この第2の外部ハウジング接点は第1のハウジング接点と同一のものではない。
【0018】
これにより、第1の並列分岐路と第3の並列分岐路との乃至はこれらの分岐路のアース端子のカップリングが低減される。
【0019】
第2の部分フィルタが5つの変換器を有するDMSトラックを有する場合、適当なフィルタ機能が得られる。代替的に、それぞれ3つの変換器を有する2つの電気的に並列に接続されたDMSトラックを有する第2の部分フィルタを構成することも可能である。これによって、損失特性が1トラック3変換器DMS装置に比べてはるかに改善される。
【0020】
リアクタンスフィルタの性能改善のためには、少なくとも第1の直列共振器、有利には第1の並列共振器及び場合によっては更に別の直列共振器をカスケード接続すること、すなわち2つの直列に接続された部分共振器に分割することが提案される。カスケード接続された共振器のインピーダンスを保持するためには、逆に共振器面が拡大されなければならず、このことは共振器全体に対して例えば2カスケードにおいて分割されていない共振器に比べて共振器面の4倍化を意味する。これは電極指の個数の増大及び/又はアパーチャの拡大によって得られる。直列に接続された部分共振器の各々に印加される僅少な電圧とともに、これはカスケード接続された共振器の電力適合性の明らかな改善を生じる。
【0021】
HFフィルタは非対称入力側及び非対称出力側を有しうる。この場合、ハウジングは4つの外部ハウジング接点を有すれば十分である。これに対して出力側が対称的に接続されている場合、更に別のハウジング接点が必要であり、この結果、少なくとも5つの外部ハウジング接点がなければならない。しかし、より多くの外部ハウジング接点を設けることは常に可能であるが、これらの外部ハウジング接点はそれらの所要面積及び回路コストの上昇に関してフィルタを外部回路周囲と接続する際に通常不利である。しかし、大きな付加的なコストなしで奇数個の外部ハウジング接点を1だけ上げて次の偶数個にすることは可能である。
【0022】
焦電効果に基づいて生じる電荷のフラッシュオーバによるフィルタの損傷を回避するためにベースプレート上で分離されたアースを基板に高オーミックに(例えば少なくとも1キロオームで)接続することは有意義である。これは例えば基板表面上の金属のメアンダ状の構造によって実現されうる。このような高オーミックな接続によってクロストーク、すなわち隣接チャネル抑圧は影響を受けない。
【0023】
第2の部分フィルタにおいて互いに隣接する異なる変換器の末端の電極指が両方ともホットで又は両方ともコールドで接続されれば、改善されたエッジ急峻度が得られる。これは次のことを意味する。すなわち、異なる変換器の両方の隣接する電極指が両方とも信号線路に又は両方ともアース端子に接続される。
【0024】
部分フィルタを有する基板がハウジングの中でベースプレートと蓋との間に配置され、この蓋が少なくとも1つの導電層を含む場合、遮蔽及び密度に関して改善されたハウジングが得られる。遮蔽の改善のためには、蓋が導電的にベースプレート内のアース接続に及びさらにフィルタのアース端子に乃至はアースに接続されたHFフィルタの外部ハウジング接点に接続される。ハウジングの導電性の蓋は複数の地点を介してアース接続にベースプレート内で又はベースプレート上で接続されうる。こうして蓋を介してフィルタの異なるアース端子が互いに接続され、これらのアース端子はベースプレート内で又は基板上で分離されている。有利には蓋は非対称的に結線に接続されている。入力側の改善された蓋のアース接続が有利であり、この改善されたアース接続は出力側よりも多くの並列に導かれ接続されたスルーホールを介して行われる。
【0025】
通常は両方の部分フィルタのための基板上に存在するアース端子の個数は外部ハウジング接点の個数を上まわる。従って、ハウジングの内部で、とりわけベースプレートの内部で少なくとも2つの電気的に互いにアイソレートされた内部アース面を設けることが提案され、これらの内部アース面はそれぞれ第1及び第2の部分フィルタの複数のアース端子を互いに接続する。これらの内部アース面はまたスルーホールを介して外部ハウジング接点に接続される。
【0026】
この場合、内部アース面を外部ハウジング接点に接続するために複数のスルーホールを使用することが可能であり、これによって共通のアース分岐路にあるインダクタンスは低減される。これはこうして接続されたアース分岐路のガルバニックなカップリングを低減し、従って、フィルタの選択特性(Selektionsverhalten)を改善する。
【0027】
通過帯域の更なる改善及びとりわけ比較的急峻な左側エッジは、並列共振器に対して並列にキャパシタンスが接続される場合に得られる。このような並列キャパシタンスは、共振器の極零点間隔を低減し、従ってエッジ急峻度を改善するために周知である。これは有利には基板表面上の金属構造の形式において実現される。例えば、キャパシタンスを櫛形電極構造として構成することが可能である。この櫛形電極構造ができるだけ純粋なキャパシタンスとして作用し、放射される波の形式の損失を発生しないことを達成するためには、有利には、これに対して第1の及び第2の部分フィルタの変換器の電極指周期よりも明らかに小さい電極指周期を選択する。
【0028】
櫛形電極構造として実現されたキャパシタンスからの音響波の放射を阻止する更に別の可能性は、この櫛形電極構造を回転させ、波が励起されない基板の水晶軸に沿って配向することである。例えばタンタル酸リチウム(LT)から成る基板が使用される場合、これは90度の回転により達成される。しかし、キャパシタンスは他のやり方で形成された金属構造によっても実現されうる。
【0029】
以下では、提案されるHFフィルタを実施例および付属の図面に基づき詳細に説明する。これらは全く概略的に図示されており、従って正確なスケールでは図示されていない。
【0030】
図1は第1の及び第2の部分フィルタの第1の可能な電極構造を示し、
図2は2層ベースプレートの3つの金属被覆平面を示し、
図3は1層及び2層ベースプレートを有するハウジングの様々な概略的な断面図を示し、
図4はフィルタエレメントの可能な結線の等価回路図を示し、
図5は第1及び第2の部分フィルタのための第2の電極構造を示し、
図6は並列キャパシタンスの実現のための様々な可能性を示し、
図7は従来技術と比較した本発明のフィルタの伝達曲線を示し、
図8及び9は内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較し、
図10は非対称的な接続と比較したハウジング蓋の対称的な接続の効果を示し、
図11は2つの部分共振器に1つの共振器を分割する2つの可能性を示す。
【0031】
第1の部分フィルタに対する有利なトポロジは3つから5つまでの基本素子からなり、これらの基本素子はフィルタ入力側から見て共振器順序PSPSP乃至はPSPSPSで実現され、Pは並列共振器を表し、Sは直列共振器を表す。
図1は第1及び第2の部分フィルタのための圧電基板上の金属被覆構造を示し、第1の部分フィルタに対しては6つの共振器S、Pが使用され、これら6つの共振器S、Pは順序PSPSPSに接続されており、5つの基本素子を形成する。第1の並列共振器P1は第1の並列分岐路に配置されており、この第1の並列分岐路は直接入力側INに接続されている。
同様に直接入力側INに第1の直列共振器S1が接続されている。それぞれ2つの直列共振器の間には並列共振器を有する並列分岐路が設けられている。第1の部分フィルタにおける末端の第3の直列共振器S3は第2の部分フィルタの入力側に接続されている。
【0032】
第2の部分フィルタTF2は5つの櫛形電極変換器から成り、3つの変換器は第1の部分フィルタの入力側乃至は出力側に接続され、2つの変換器は出力側OUTに接続されている。入出力側と接続された変換器は交互に配置されている。個々の変換器の電極指配置は第2の部分フィルタではシングルエンデッドモードで、すなわち両側で非対称な動作方法で構成されており、入力側変換器の末端の電極指及び出力側変換器のダイレクトに隣接した末端電極指はここではそれぞれホットな電位に設けられている。各変換器は2つの互いにかみあった櫛状の電極構造から成り、インターデジタル構造とも呼ばれる。それぞれ複数の電極指は共通のバスバー(Busbar)に接続されている。1つのバスバーに信号が印加される間に、同じ変換器の他のバスバーはそれぞれアース端子MAに接続される。第2の部分フィルタTF2では3つの入力側変換器が並列に接続されており、そのホットなバスバーによって第3の直列共振器の出力側に接続されている。同様に2つの並列に接続された出力側変換器の2つのホットなバスバーは出力側OUTに接続されている。よって、ここに図示されたフィルタは両側で非対称に動作され、その結果入出力側では信号を導く線路だけが必要となる。原理的にはここでも実際の全てのHFフィルタと同様に、フィルタの入力側及び出力側を交換することができる。
【0033】
更に別の端子には第1の部分フィルタTF1がそれぞれ3つの並列共振器の各々に対してそれぞれ1つのアース端子を有し、他方で第2の部分フィルタTF2は5つの変換器の各々に対してそれぞれ1つのアース端子を有する。これは全部で8つのアース端子、1つの入力側及び1つの出力側を意味しており、これらの8つのアース端子、1つの入力側及び1つの出力側は基板表面上に端子パッドとして又はハンダ付け可能な金属被覆された面として形成される。
【0034】
図2は概略的な構成においてハウジング内部に実現される結線の可能な実施形態を3つの金属被覆平面に基づいて示している。図2aはハウジングのベースプレートGPの表面を示し、このベースプレートGPはフィルタの端子の個数に相応する個数の内部ハウジング接点GKiを有する。図1に図示された実施例に関連してこれらは10個の接点である。しかし、選択された実施例においては、図1において下方に図示された3つのアース端子MAが既に基板上で互いに接続される。このために、出力側変換器に接続された2つの端子が別個に内部ハウジング接点GKiに導かれ、この結果、9個の内部ハウジング接点が基板上の端子の接続のために必要である。図2aには10番目の端子が図示されており、この10番目の端子は対称性の理由からだけで導入されており、ハウジングの安定性に使用される。さらに、図2aに図示されたベースプレートの表面上には蓋接点端子面DKが設けられており、この蓋接点端子面DKは電気的にハウジング蓋にもベースプレート内部のアース接続にも接続されている。従って、これらの蓋接点端子面は基板SUの外側に設けられた面に配置されており、この面は図2aでは一点鎖線によって示されている。
【0035】
図2bは中間金属被覆平面の金属被覆を示し、この中間金属被覆平面は誘電体層DL1によって図2aに図示された金属被覆平面から及び更なる誘電体層DL2によって図2cに図示された金属被覆平面から分離されている。これらの誘電体層は有利にはセラミックからなるが、他の材料から、とりわけプラスチック材料又はガラスから成るのでもよい。図2bの中間金属被覆平面には2つのアース面C2及びC4が設けられている。上部金属被覆平面へのスルーホールは×印によって示されている。従って、アース面C2は上部金属被覆平面の5つの内部ハウジング接点に接続され、従って、フィルタの5つのアース端子と接続されている。さらに、内部アース面C2は第1の金属被覆平面の蓋接点端子L3と接続されている。第2のアース面C4はアース端子のためのただ1つの内部ハウジング接点(G2)ならびに2つの蓋接点端子L1、L2と接続されている。導体線路構造C3は第2の部分フィルタTF2の出力側変換器の2つの端子の間の電気接続を表している。これに対して更に別のアイソレートされた導体線路C1は入力側INのために設けられた内部ハウジング接点I1と接続されている。中間金属被覆平面の更なる接点C5はアース端子G1のために設けられた内部ハウジング接点と接続されている。
【0036】
図2cは下部金属被覆平面を示し、この下部金属被覆平面は4つの外部ハウジング接点GKaにより形成されている。中間金属被覆平面へのスルーホールはここでも×印で示されている。ここから、第1の外部ハウジング接点E1はスルーホールを介して導体線路C1に接続されており、この導体線路C1はスルーホールを介して第1の部分フィルタの入力側に接続されていることになる。第3の外部ハウジング接点E3はスルーホールを介して導体線路C3に接続されており、この導体線路C3はまた第2の部分フィルタの2つの出力側変換器の2つの端子に接続されている。内部アース面C2は3つのスルーホールを介して第2の外部ハウジング接点E2に接続されている。4番目の外部ハウジング接点E4は2つのスルーホールを介して内部アース面C4及びスルーホールを介して中間金属被覆平面の端子C5に接続されている。
【0037】
図3Aは図2に示された切断ラインA−A’に沿ってベースプレート、基板及びハウジングの蓋の断面を示す。この図から分かることは、基板SUがここではバンプBUとして構成されたハンダ接続を介してベースプレートGPの表面上の内部ハウジング接点に接続されていることである。同様にベースプレートGP上にはハウジング蓋Dが載置されており、このハウジング蓋Dは基板SUを自らの下に保護している。例えばハウジング蓋Dは金属被覆されたフォイルとして構成されており、このフォイルは基板を介してベースプレートGPの表面にラミネート加工されている。しかし、蓋Dは弾力のないようにも構成でき、ベースプレート上に載置されている。基板SUとベースプレートGPの表面の間のスペースを基板の縁部において密閉し、蓋を表面の直接金属被覆によって製造することも可能である。
【0038】
図2に図示された金属被覆パターンに従って、ベースプレートGPは、ここで、ベースプレートの表面の第1の金属被覆平面及び第1と第2の誘電体層との間の第2の金属被覆平面及び底面の第3の金属被覆平面を有する第1及び第2の誘電体層DL1、DL2を含む。金属被覆平面間の電気的接続はスルーホールを介してつくられ、これらのスルーホールは例えば誘電体層を貫く金属被覆された開口部として構成されている。スルーホールの内部の金属被覆は孔部を密閉することができるか又は相応の孔部の縁部だけを被覆することができる。
【0039】
金属被覆平面の金属被覆は例えばプリントされるか又は薄膜又は厚膜方法において製造される。
【0040】
薄膜及び厚膜技術の組み合わせによって金属被覆を構成することも可能である。
例えば、ベース金属被覆はパターニングされて塗布され、ガルバニックに強化されうる。
【0041】
図3Aから、第1の並列共振器P1のアース端子に接続されている内部ハウジング接点G1は2つの重なり合って配置されたスルーホールによって2つのセミラック層を貫いて直接外部ハウジング接点E4に接続されていることがわかる。第2の金属被覆平面の金属被覆C4及びC1によって接続された内部ハウジング接点G2及びJ1はまずこの平面においてずらされて相応の外部ハウジング接点に接続されている。金属被覆された蓋は蓋接点端子面L2によってスルーホールを介して中間金属被覆平面の金属被覆面C4と接続され、さらに別のスルーホールを介して外部ハウジング接点E4に接続されている。
【0042】
図3Bは概略的な断面図においてフィルタを示し、このフィルタでは基板SUがベースプレートGP及び蓋Dから成るハウジング内に貼り付けられ、ボンディングワイヤ接続によって接続されている。外部ハウジング接点へのスルーホールはこの図には図示されていない。
【0043】
図3Cは概略的な断面図においてフィルタを示し、このフィルタではハウジング下部が1層のベースプレートGP及びフレームから形成され、このハウジング下部の上に基板SUが蓋として載置されている。内部ハウジング接点への基板SUの接続は例えば金属構造物を介して、とりわけバンプを介して可能である。
【0044】
図4は、ベースプレート内に設けられた接続及びその寄生インダクタンス(引き込み線インダクタンス(Durchfuehrungsinduktivitaeten))を含めてフィルタの概略的な等価回路図を示す。この図には様々なフィルタエレメントが箇所乃至はその由来に従って分離されている。よって、上から下へと基板上のフィルタ構造のレベル、内部ハウジング接点のレベル、引き込み線インダクタンスの形式でしか分からない第1の誘電体層DL1のレベル、中間金属被覆平面、その引き込み線インダクタンスを有する第2の誘電体層DL2、そして最後に外部ハウジング接点GKaのレベルが区別される。基板上のインダクタンスは無視されている。最も上の金属被覆レベルには内部ハウジング接点GKiがあり、接点I1は入力側に、G1は第1の並列共振器P2に、G2は第2の並列共振器P2に、G3は第3の並列共振器P3に接続されている。出力側端子の側の第2の部分フィルタTF2のアース接点は既に基板金属被覆SMのレベルにおいて互いに及び唯一の内部ハウジング接点G7に接続されている。ハウジング接点G4及びG5には第2の部分フィルタの残りの2つのアース端子が接続されている。2つの出力側はハウジング接点O1及びO2に接続されている。
【0045】
この図からは、第1の2つの並列共振器P1及びP2のアース端子が互いに別個にハウジングのベースプレートを貫いて導かれ、ようやく最も下の金属被覆平面で外部ハウジング接点E4に接続されていることが良く分かる。これによってこれら2つの並列共振器は良好に互いにデカップリングされている。第2の部分フィルタの2つの出力側は互いに別個に中間金属被覆平面MMまで導かれ、ようやくそこで金属被覆C3を介して接続される。第3の並列共振器のアース端子ならびに第2の部分フィルタの全アース端子は中間金属被覆平面MMの金属被覆面C2に接続され、そこから3つの並列なスルーホールを介してアース端子を表す外部ハウジング接点E2に接続される。
【0046】
図4に図示されたアース接続スキームは、選択された図1に図示された実施例に最適化されており、選択性及び隣接チャネル抑圧に関して最適な特性を示す。より多くの外部ハウジング接点が使用できるならば、さらに第1及び第2の並列共振器のためのアース端子を分離し、別個の外部ハウジング接点に導くことが可能である。次のステップでは、さらに第3の並列共振器のためのアース接点が独自の外部ハウジング接点に導かれうるだろう。入力側及び出力側変換器に関して第2の部分フィルタのアース端子の分離も選択性及び隣接帯域抑圧をさらに改善するだろう。
【0047】
ハウジング乃至はここでは多層構造として実現されたベースプレートは、引き込み線インダクタンスが最小であるように最適化されている。これはとりわけ短いスルーホール乃至は誘電体層の僅少な厚さによって達成されるが、並列に接続された引き込み線を介しても達成される。さらにインダクタンスはスルーホールの幾何学的な実施形態を介して影響を受ける。スルーホールの僅少なインダクタンス値によって急峻なエッジを有する通過帯域が得られる。複数のアース端子が中間金属被覆平面MMにおいて統合され、唯一のスルーホール、例えば内部金属面C2をハウジング接点E2に接続するスルーホールを用いて外部ハウジング接点に導かれるならば、この最後の共通スルーホールはそのインダクタンス値に関してとりわけクリティカルであり、アース端子のカップリングにとりわけ強く影響を与える。よって、第2の誘電体層を第1の誘電体層よりも薄く形成することは有意義である。
【0048】
図4に図示された例示的なフィルタのヴァリエーションにおいて、内部ハウジング接点G3及びG7に接続されたアース端子を既に基板において互いに接続することが可能であり、しかもそのうえより高い選択性が得られる。ハウジング蓋Dの接続は図4には図示されていないが、このハウジング蓋Dを介してアース面C2及びC4が間接的に接続されている。C2もC4も直接的に良好なアースE2及びE4に接続されているので、蓋の影響はなるほど最小化されているが、後で図10が示すように依然として明瞭な影響が存在する。
等価回路図には高オーミックな接続は図示されていないが、基板の焦電特性によって生じる電荷を構成素子に対して無害に逃すために、この高オーミックな接続によってハウジング接点G1、G2、G7及びG3乃至はこれらに接続された基板上の端子が互いに接続される。これらの電荷はとりわけ温度変化においてあらわれ、フラッシュオーバの際に金属被覆構造又は基板を損ない又はまったく破壊してしまう。
【0049】
図5には図1に図示された2つの部分フィルタのための金属被覆スキームが、出力側における対称的な動作が可能となるように変化されている。このために、一方の(右側の)出力側変換器の電極構造は他方の出力側変換器に対して鏡像的に配置されており、この結果、2つの出力側端子において2つの180度だけ異なる乃至は位相シフトされた信号が得られる。よって、付加的な信号に対しては付加的な外部ハウジング接点が必要である。図4に図示された結線を変更して、出力側で対称的に動作されるフィルタでは2つの出力側端子が互いに別個にベースプレートを貫いて導かれ、別々の外部ハウジング接点に接続される。従って、最小限必要な外部ハウジング接点の個数は5個に増大する。
【0050】
図6は並列共振器に対して並列に接続されたキャパシタンスを示し、これらのキャパシタンスによってフィルタのエッジ急峻度が改善され、しかもとりわけ通過帯域の左側エッジの急峻度が改善される。これらのキャパシタンスは有利には基板表面上に端子面の形式で又は櫛形電極構造として実現される。図6aは概略的な等価回路図におけるこのようなキャパシタンスを示す。図6bは互いに隣接した金属被覆面としての実施形態を示し、これらの金属被覆面の間にキャパシタンスCAが形成されうる。図6cは櫛形電極構造として形成されたキャパシタンスを示し、このキャパシタンスは並列共振器の変換器よりも僅少な電極指周期を有する。図6dは同様に櫛形電極構造を示し、この櫛形電極構造は基板上の配向において並列共振器の配向に対して90度だけ回転されている。さらに電極指周期は櫛形電極変換器の電極指よりもさらに小さくてもよい。直列共振器に対して並列に接続されたキャパシタンスCAによって、通過帯域の右側エッジの急峻度も改善されうる。
【0051】
図7は従来技術によるフィルタの伝達関数(曲線b)と比べた本発明のフィルタにより得られる伝達関数S21(曲線a参照)を示し、この従来技術によるフィルタは直列に接続された2つの3変換器DMS構造及びさらに入力及び出力側にそれぞれ1つの並列共振器を含む。本発明により提案されたフィルタはエッジ急峻度に関しても隣接チャネル抑圧に関しても明らかに改善されている。
【0052】
図8には2つの例示的な伝達曲線S21に基づいてもう一度どのような効果を分離されたアースがフィルタ特性に対して示すかを図示する。2つのフィルタの通過曲線S21が比較され、しかも本発明で提案されたような図4により形成されたフィルタ(曲線a参照)が、中間金属被覆平面MMのアース面C2及びC4が直接互いに接続されている類似のフィルタ(曲線b参照)と比較される。明らかに(左側エッジの)エッジ急峻度及び隣接チャネル抑圧に関して明瞭な効果が示されている。
【0053】
図9も、本発明の図4により形成されたフィルタの通過曲線(曲線a参照)と中間金属被覆平面MMにおいて地点C4及びC5に相応する第1の2つの並列共振器のアース接点が互いに接続されているフィルタの通過曲線(曲線b参照)とを比較することによって、分離されたアースガイドの利点を示す。ここでも選択性の改善及びとりわけ改善された隣接帯域抑圧が示されている。
【0054】
図10には本発明により提案され行われた蓋の電気的接続により惹起される効果が図示されている。ここでは図2のように接続された蓋の通過曲線aが比較され、この蓋は内部ハウジング接点L3及びスルーホールを介してアース面C2に接続されならびに内部ハウジング接点L1及びL2及びそれぞれスルーホールを介してアースC4に接続されている。このフィルタがアース面C2及びC4に同一の個数のスルーホールが導かれる対称的に接続された蓋(曲線b)と比較される。非対称的な蓋接続によっても同様に選択性及びとりわけ隣接チャネル抑圧に関してポジティブな効果が得られる。
【0055】
図11は直列に接続された2つの部分共振器TR1及びTR2に分割されている共振器を示す。電極指配置は図11bにおいて2つの部分共振器で音響波の位相が一致するようになっている。図11aではこれに対して音響波の位相が2つの部分共振器において180°だけずれている。部分共振器に分割された共振器は直列共振器としても並列共振器としても使用され、相応の共振器の電力適合性を改善する。
【0056】
ここで提案されたフィルタは実施例に限定されるものではなく、使用可能な外部ハウジング接点の数に依存して本発明の枠内で変更できる。ハウジングはたった1つの又は更なる誘電体層及び更なる金属被覆平面から構成されうる。材料に関してもここで提案された材料からの逸脱は可能である。第1の部分フィルタは別個の第2の基板上に配置されるか又はSAW共振器とは別の共振器から、例えば体積音響波BAWにより作動する共振器から構成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の及び第2の部分フィルタの第1の可能な電極構造を示す。
【図2】2層ベースプレートの3つの金属被覆平面を示す。
【図3】1層及び2層ベースプレートを有するハウジングの様々な概略的な断面図を示す。
【図4】フィルタエレメントの可能な結線の等価回路図を示す。
【図5】第1及び第2の部分フィルタのための第2の電極構造を示す。
【図6】並列キャパシタンスの実現のための様々な可能性を示す。
【図7】従来技術と比較した本発明のフィルタの伝達曲線を示す。
【図8】内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較する。
【図9】内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較する。
【図10】非対称的な接続と比較したハウジング蓋の対称的な接続の効果を示す。
【図11】2つの部分共振器に1つの共振器を分割する2つの可能性を示す。
【符号の説明】
【0058】
SU 基板
TF1 第1の部分フィルタ
S1、S2、S3 直列共振器
P1、P2、P3 並列共振器
TF2 第2の部分フィルタ
GKi 内部ハウジング接点
GKa 外部ハウジング接点
GP ベースプレート
DL1、DL2 誘電体層
TR1、TR2 部分共振器
D 蓋
G1〜G5 アースのための内部ハウジング接点
L1、L2、L3 蓋接点端子面
I 入力側のための内部ハウジング接点
O 出力側のための内部ハウジング接点
C1〜C5 内部金属被覆面
MM 中間金属被覆平面
CA キャパシタンス
MA アース端子
E1〜E4 外部ハウジング接点
VI スルーホール
BU バンプ
IN 入力側
OUT 出力側
【技術分野】
【0001】
HFフィルタはとりわけ移動通信の端末機器において必要とされる。大抵の場合、HFフィルタは移動無線システムにおける使用のために設計されており、これらの移動無線システムは異なるが近くに互いに隣り合う周波数帯域において送受信する。受信フィルタは通常はバンドパスフィルタとして構成され、このバンドパスフィルタの通過領域は少なくともRX帯域の帯域幅に相応する。この場合、必要なのは、大抵の場合、これに所属するTX帯域の周波数が抑圧されることである。
【0002】
HFフィルタの製造のためには様々なテクノロジーが適している。誘電体フィルタは個別L及びC素子から製造され、必要とされるフィルタ特性を提供するために多数の個別素子を必要とする。マイクロ波セラミックフィルタはコスト的に有利に製造可能であり、低い挿入損を有するが、小型化された端末機器への組み込みには通常大きすぎる。良好な電気的特性は体積音響波共振器又は表面弾性波構成素子に基づいて構成されるフィルタが与える。とりわけ有利なのはSAW又は表面弾性波構成素子であり、このSAW又は表面弾性波構成素子は僅少なサイズ及び/又は多数の調整すべき電気的パラメータによって際立っている。
【0003】
SAWベース上のHFフィルタはDMSフィルタ(Dual Mode SAW)として又はリアクタンスフィルタとして多数の共振器から構成され、これらの共振器は直列な又はこれに対して並列な分岐路においてラダータイプ配置又はラティス配置の形式で互いに結線されている。
【0004】
僅少なサイズ及び簡単な製造可能性のほかに、HFフィルタにおいては所与の帯域幅が必要とされ、通過帯域は阻止領域に向かって急峻なエッジで降下すべきである。通過領域における挿入損は、エネルギー損失を最小化するために、最小であるべきである。他方で、HFフィルタは電力適合性を有するべきであり、高い入出力電力においてさえもつねに電極構造の損傷をうけない。
【0005】
隣接チャネル抑圧の改善のために、RXフィルタにおいて例えばTX周波数の抑圧のために既に、2トラック3変換器DMSフィルタが入出力側において並列共振器に結線することが提案された。しかし、このような構造は不十分な電力耐性をもつものとして証明されており、比較的大きな挿入損を有する。
【0006】
まったくのリアクタンスフィルタは十分な隣接チャネル帯域抑圧を達成するためにあまりにも多数の基本素子を必要とし、各基本素子は直列共振器及び並列共振器から構成される。しかし、基本素子の個数が増大するにつれてこのようなフィルタの挿入損は悪化する。
【0007】
よって、本発明の課題は良好な隣接チャネル抑圧を有しかつこれを他の有利な特性と組み合わせるHFフィルタを提供することである。
【0008】
本発明によれば、この課題は、請求項1の特徴を備えたHFフィルタによって解決される。本発明の有利な実施形態は従属請求項から得られる。
【0009】
HFフィルタが提案され、このHFフィルタは第1の及び第2の部分フィルタから構成される。第1の部分フィルタはリアクタンスフィルタとして設計され、少なくとも2つの並列共振器及び1つの直列共振器を有する。第2の部分フィルタはDMSフィルタとして構成され、少なくとも2つの変換器を有する。十分な隣接チャネル抑圧を得るために、このフィルタは特別に設計されたハウジングの中に組み込まれ、このハウジングの中では第1の並列共振器及び第2の部分フィルタのアース端子が互いに別個にガイドされ、別個の外部ハウジング接点に引き込まれる。
【0010】
これらの別個のアース線路によって、他の場合には出力側における望ましくない信号を引き起こす異なるフィルタエレメントの間のガルバニックなカップリングが低減されることが判明した。これらの望ましくない信号はその性質に応じて通過領域を妨害し、阻止帯域における望ましくないピークをもたらすか又は全く一般的に有効信号を抑圧すべき信号によって劣化させる。
【0011】
第1及び第2の部分フィルタは共通の圧電基板上に構成され、そこで互いに結線されうる。第1の部分フィルタは有利には入力側に接続される。これは次のような利点を有する。すなわち第1の部分フィルタとして比較的電力耐性のあるリアクタンスフィルタが受信信号の電力の一部分を受け取り、この結果、第2の部分フィルタは、よってDMSフィルタは比較的僅少な信号レベルを引き受ける。とりわけ隣接チャネルにおいてリアクタンスフィルタは電力のきわめて大きな部分を引き受ける。従って、ここに提案されるHFフィルタは全体として比較的良好な電力適合性を有するようになる。
【0012】
ここに提案されるフィルタによって良好な隣接チャネル抑圧及び高いエッジ急峻度も達成される。この場合、リアクタンスフィルタの良好な近接領域抑圧が利用され、この良好な近接領域抑圧は極の適当な周波数位置によって、とりわけ並列共振器の共振周波数の適当な選択によって良好に調整される。良好な遠方領域抑圧はこれに対してDMSフィルタによって提供される。両方の部分フィルタの組み合わせにおいて異なるフィルタタイプの有利な特性がこの組み合わされたHFフィルタにおいて加算される。
【0013】
フィルタのハウジングはベースプレートを含み、このベースプレートは少なくとも1つの誘電体層を有し、この誘電体層は実質的に電気的には伝導性を持たない。複数の誘電体層においてそれぞれ2つの層の間に金属被覆平面が設けられる。この金属被覆平面には導体線路又は一般的に結線がパターニングされている。誘電体層を貫くスルーホールを介して少なくとも1つの金属被覆平面の導体線路及び回路エレメントは内部及び外部接点に接続されている。スルーホールとはこの場合1つ又は複数の誘電体層を貫いてガイドする導電性材料により充填された又は少なくとも1つのコーティングされた孔部と解釈してほしい。
【0014】
内部ハウジング接点は第1及び第2の部分フィルタの基板接点の接続のために使用され、他方で外部ハウジング接点は外部回路周囲にフィルタを接続するために使用される。有利には、フィルタ入力側の最も近くにある第1の並列共振器のアース端子は他の線路からは分離して別個にハウジングを貫いて及びとりわけベースプレートを貫いて導かれ、直接第1の外部ハウジング接点に接続されている。これによって、第1の並列分岐路とのガルバニックなカップリング効果が外部回路周囲において場合によってはありうるインピーダンスによってしか引き起こされないことが達成される。普通はしかし外部アース接点は非常に良好に回路周囲のアースに接続されており、この結果、電気的クロストークの形式のガルバニックなカップリング効果は最小化される。
【0015】
第1の並列共振器のアース端子と第1の外部ハウジング接点との間の接続は直線状に導かれ、次いでスルーホールとして構成される。これは、ハウジング乃至はハウジングのベースプレートの所与の厚さにおいてこの線路に結びついたインダクタンスが最小化されることを保証する。これによって共振器の極零点間隔の拡大が回避され、左側エッジの比較的大きいな急峻度が達成される。また非常に高い周波数における減衰がこれによって改善される。ガルバニックなカップリングに関して最適化されたベースプレートを貫くこの線路は第1の並列分岐路においてとりわけ有利である。なぜなら、この第1の並列分岐路の高い電力消費、すなわち高い電流フローは、層に起因してフィルタ入力側で他の線路及び金属被覆とのカップリングのための高い電位も有するからである。
【0016】
その他に有利には、ハウジングを貫く他の線路とは別個に第2の並列共振器のアース端子をガイドし、外部ハウジング接点、例えば第1の並列共振器のハウジング接点と接続する。これにより第1の及び第2の並列共振器の2つのアース端子の接続がはじめて外部ハウジング接点の平面で行われ、この外部ハウジング接点は通常良好なアースであるか又は良好なアースと接続されており、この結果、この理由からだけでこれら2つのアース線路の間のガルバニックなカップリングが最小化される。
【0017】
隣接チャネル抑圧の更なる改善のために、第2の直列共振器及び第3の並列分岐路において第3の並列共振器が設けられうる。第3の並列共振器のアース端子は有利には第2の外部ハウジング接点に接続されており、この第2の外部ハウジング接点は第1のハウジング接点と同一のものではない。
【0018】
これにより、第1の並列分岐路と第3の並列分岐路との乃至はこれらの分岐路のアース端子のカップリングが低減される。
【0019】
第2の部分フィルタが5つの変換器を有するDMSトラックを有する場合、適当なフィルタ機能が得られる。代替的に、それぞれ3つの変換器を有する2つの電気的に並列に接続されたDMSトラックを有する第2の部分フィルタを構成することも可能である。これによって、損失特性が1トラック3変換器DMS装置に比べてはるかに改善される。
【0020】
リアクタンスフィルタの性能改善のためには、少なくとも第1の直列共振器、有利には第1の並列共振器及び場合によっては更に別の直列共振器をカスケード接続すること、すなわち2つの直列に接続された部分共振器に分割することが提案される。カスケード接続された共振器のインピーダンスを保持するためには、逆に共振器面が拡大されなければならず、このことは共振器全体に対して例えば2カスケードにおいて分割されていない共振器に比べて共振器面の4倍化を意味する。これは電極指の個数の増大及び/又はアパーチャの拡大によって得られる。直列に接続された部分共振器の各々に印加される僅少な電圧とともに、これはカスケード接続された共振器の電力適合性の明らかな改善を生じる。
【0021】
HFフィルタは非対称入力側及び非対称出力側を有しうる。この場合、ハウジングは4つの外部ハウジング接点を有すれば十分である。これに対して出力側が対称的に接続されている場合、更に別のハウジング接点が必要であり、この結果、少なくとも5つの外部ハウジング接点がなければならない。しかし、より多くの外部ハウジング接点を設けることは常に可能であるが、これらの外部ハウジング接点はそれらの所要面積及び回路コストの上昇に関してフィルタを外部回路周囲と接続する際に通常不利である。しかし、大きな付加的なコストなしで奇数個の外部ハウジング接点を1だけ上げて次の偶数個にすることは可能である。
【0022】
焦電効果に基づいて生じる電荷のフラッシュオーバによるフィルタの損傷を回避するためにベースプレート上で分離されたアースを基板に高オーミックに(例えば少なくとも1キロオームで)接続することは有意義である。これは例えば基板表面上の金属のメアンダ状の構造によって実現されうる。このような高オーミックな接続によってクロストーク、すなわち隣接チャネル抑圧は影響を受けない。
【0023】
第2の部分フィルタにおいて互いに隣接する異なる変換器の末端の電極指が両方ともホットで又は両方ともコールドで接続されれば、改善されたエッジ急峻度が得られる。これは次のことを意味する。すなわち、異なる変換器の両方の隣接する電極指が両方とも信号線路に又は両方ともアース端子に接続される。
【0024】
部分フィルタを有する基板がハウジングの中でベースプレートと蓋との間に配置され、この蓋が少なくとも1つの導電層を含む場合、遮蔽及び密度に関して改善されたハウジングが得られる。遮蔽の改善のためには、蓋が導電的にベースプレート内のアース接続に及びさらにフィルタのアース端子に乃至はアースに接続されたHFフィルタの外部ハウジング接点に接続される。ハウジングの導電性の蓋は複数の地点を介してアース接続にベースプレート内で又はベースプレート上で接続されうる。こうして蓋を介してフィルタの異なるアース端子が互いに接続され、これらのアース端子はベースプレート内で又は基板上で分離されている。有利には蓋は非対称的に結線に接続されている。入力側の改善された蓋のアース接続が有利であり、この改善されたアース接続は出力側よりも多くの並列に導かれ接続されたスルーホールを介して行われる。
【0025】
通常は両方の部分フィルタのための基板上に存在するアース端子の個数は外部ハウジング接点の個数を上まわる。従って、ハウジングの内部で、とりわけベースプレートの内部で少なくとも2つの電気的に互いにアイソレートされた内部アース面を設けることが提案され、これらの内部アース面はそれぞれ第1及び第2の部分フィルタの複数のアース端子を互いに接続する。これらの内部アース面はまたスルーホールを介して外部ハウジング接点に接続される。
【0026】
この場合、内部アース面を外部ハウジング接点に接続するために複数のスルーホールを使用することが可能であり、これによって共通のアース分岐路にあるインダクタンスは低減される。これはこうして接続されたアース分岐路のガルバニックなカップリングを低減し、従って、フィルタの選択特性(Selektionsverhalten)を改善する。
【0027】
通過帯域の更なる改善及びとりわけ比較的急峻な左側エッジは、並列共振器に対して並列にキャパシタンスが接続される場合に得られる。このような並列キャパシタンスは、共振器の極零点間隔を低減し、従ってエッジ急峻度を改善するために周知である。これは有利には基板表面上の金属構造の形式において実現される。例えば、キャパシタンスを櫛形電極構造として構成することが可能である。この櫛形電極構造ができるだけ純粋なキャパシタンスとして作用し、放射される波の形式の損失を発生しないことを達成するためには、有利には、これに対して第1の及び第2の部分フィルタの変換器の電極指周期よりも明らかに小さい電極指周期を選択する。
【0028】
櫛形電極構造として実現されたキャパシタンスからの音響波の放射を阻止する更に別の可能性は、この櫛形電極構造を回転させ、波が励起されない基板の水晶軸に沿って配向することである。例えばタンタル酸リチウム(LT)から成る基板が使用される場合、これは90度の回転により達成される。しかし、キャパシタンスは他のやり方で形成された金属構造によっても実現されうる。
【0029】
以下では、提案されるHFフィルタを実施例および付属の図面に基づき詳細に説明する。これらは全く概略的に図示されており、従って正確なスケールでは図示されていない。
【0030】
図1は第1の及び第2の部分フィルタの第1の可能な電極構造を示し、
図2は2層ベースプレートの3つの金属被覆平面を示し、
図3は1層及び2層ベースプレートを有するハウジングの様々な概略的な断面図を示し、
図4はフィルタエレメントの可能な結線の等価回路図を示し、
図5は第1及び第2の部分フィルタのための第2の電極構造を示し、
図6は並列キャパシタンスの実現のための様々な可能性を示し、
図7は従来技術と比較した本発明のフィルタの伝達曲線を示し、
図8及び9は内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較し、
図10は非対称的な接続と比較したハウジング蓋の対称的な接続の効果を示し、
図11は2つの部分共振器に1つの共振器を分割する2つの可能性を示す。
【0031】
第1の部分フィルタに対する有利なトポロジは3つから5つまでの基本素子からなり、これらの基本素子はフィルタ入力側から見て共振器順序PSPSP乃至はPSPSPSで実現され、Pは並列共振器を表し、Sは直列共振器を表す。
図1は第1及び第2の部分フィルタのための圧電基板上の金属被覆構造を示し、第1の部分フィルタに対しては6つの共振器S、Pが使用され、これら6つの共振器S、Pは順序PSPSPSに接続されており、5つの基本素子を形成する。第1の並列共振器P1は第1の並列分岐路に配置されており、この第1の並列分岐路は直接入力側INに接続されている。
同様に直接入力側INに第1の直列共振器S1が接続されている。それぞれ2つの直列共振器の間には並列共振器を有する並列分岐路が設けられている。第1の部分フィルタにおける末端の第3の直列共振器S3は第2の部分フィルタの入力側に接続されている。
【0032】
第2の部分フィルタTF2は5つの櫛形電極変換器から成り、3つの変換器は第1の部分フィルタの入力側乃至は出力側に接続され、2つの変換器は出力側OUTに接続されている。入出力側と接続された変換器は交互に配置されている。個々の変換器の電極指配置は第2の部分フィルタではシングルエンデッドモードで、すなわち両側で非対称な動作方法で構成されており、入力側変換器の末端の電極指及び出力側変換器のダイレクトに隣接した末端電極指はここではそれぞれホットな電位に設けられている。各変換器は2つの互いにかみあった櫛状の電極構造から成り、インターデジタル構造とも呼ばれる。それぞれ複数の電極指は共通のバスバー(Busbar)に接続されている。1つのバスバーに信号が印加される間に、同じ変換器の他のバスバーはそれぞれアース端子MAに接続される。第2の部分フィルタTF2では3つの入力側変換器が並列に接続されており、そのホットなバスバーによって第3の直列共振器の出力側に接続されている。同様に2つの並列に接続された出力側変換器の2つのホットなバスバーは出力側OUTに接続されている。よって、ここに図示されたフィルタは両側で非対称に動作され、その結果入出力側では信号を導く線路だけが必要となる。原理的にはここでも実際の全てのHFフィルタと同様に、フィルタの入力側及び出力側を交換することができる。
【0033】
更に別の端子には第1の部分フィルタTF1がそれぞれ3つの並列共振器の各々に対してそれぞれ1つのアース端子を有し、他方で第2の部分フィルタTF2は5つの変換器の各々に対してそれぞれ1つのアース端子を有する。これは全部で8つのアース端子、1つの入力側及び1つの出力側を意味しており、これらの8つのアース端子、1つの入力側及び1つの出力側は基板表面上に端子パッドとして又はハンダ付け可能な金属被覆された面として形成される。
【0034】
図2は概略的な構成においてハウジング内部に実現される結線の可能な実施形態を3つの金属被覆平面に基づいて示している。図2aはハウジングのベースプレートGPの表面を示し、このベースプレートGPはフィルタの端子の個数に相応する個数の内部ハウジング接点GKiを有する。図1に図示された実施例に関連してこれらは10個の接点である。しかし、選択された実施例においては、図1において下方に図示された3つのアース端子MAが既に基板上で互いに接続される。このために、出力側変換器に接続された2つの端子が別個に内部ハウジング接点GKiに導かれ、この結果、9個の内部ハウジング接点が基板上の端子の接続のために必要である。図2aには10番目の端子が図示されており、この10番目の端子は対称性の理由からだけで導入されており、ハウジングの安定性に使用される。さらに、図2aに図示されたベースプレートの表面上には蓋接点端子面DKが設けられており、この蓋接点端子面DKは電気的にハウジング蓋にもベースプレート内部のアース接続にも接続されている。従って、これらの蓋接点端子面は基板SUの外側に設けられた面に配置されており、この面は図2aでは一点鎖線によって示されている。
【0035】
図2bは中間金属被覆平面の金属被覆を示し、この中間金属被覆平面は誘電体層DL1によって図2aに図示された金属被覆平面から及び更なる誘電体層DL2によって図2cに図示された金属被覆平面から分離されている。これらの誘電体層は有利にはセラミックからなるが、他の材料から、とりわけプラスチック材料又はガラスから成るのでもよい。図2bの中間金属被覆平面には2つのアース面C2及びC4が設けられている。上部金属被覆平面へのスルーホールは×印によって示されている。従って、アース面C2は上部金属被覆平面の5つの内部ハウジング接点に接続され、従って、フィルタの5つのアース端子と接続されている。さらに、内部アース面C2は第1の金属被覆平面の蓋接点端子L3と接続されている。第2のアース面C4はアース端子のためのただ1つの内部ハウジング接点(G2)ならびに2つの蓋接点端子L1、L2と接続されている。導体線路構造C3は第2の部分フィルタTF2の出力側変換器の2つの端子の間の電気接続を表している。これに対して更に別のアイソレートされた導体線路C1は入力側INのために設けられた内部ハウジング接点I1と接続されている。中間金属被覆平面の更なる接点C5はアース端子G1のために設けられた内部ハウジング接点と接続されている。
【0036】
図2cは下部金属被覆平面を示し、この下部金属被覆平面は4つの外部ハウジング接点GKaにより形成されている。中間金属被覆平面へのスルーホールはここでも×印で示されている。ここから、第1の外部ハウジング接点E1はスルーホールを介して導体線路C1に接続されており、この導体線路C1はスルーホールを介して第1の部分フィルタの入力側に接続されていることになる。第3の外部ハウジング接点E3はスルーホールを介して導体線路C3に接続されており、この導体線路C3はまた第2の部分フィルタの2つの出力側変換器の2つの端子に接続されている。内部アース面C2は3つのスルーホールを介して第2の外部ハウジング接点E2に接続されている。4番目の外部ハウジング接点E4は2つのスルーホールを介して内部アース面C4及びスルーホールを介して中間金属被覆平面の端子C5に接続されている。
【0037】
図3Aは図2に示された切断ラインA−A’に沿ってベースプレート、基板及びハウジングの蓋の断面を示す。この図から分かることは、基板SUがここではバンプBUとして構成されたハンダ接続を介してベースプレートGPの表面上の内部ハウジング接点に接続されていることである。同様にベースプレートGP上にはハウジング蓋Dが載置されており、このハウジング蓋Dは基板SUを自らの下に保護している。例えばハウジング蓋Dは金属被覆されたフォイルとして構成されており、このフォイルは基板を介してベースプレートGPの表面にラミネート加工されている。しかし、蓋Dは弾力のないようにも構成でき、ベースプレート上に載置されている。基板SUとベースプレートGPの表面の間のスペースを基板の縁部において密閉し、蓋を表面の直接金属被覆によって製造することも可能である。
【0038】
図2に図示された金属被覆パターンに従って、ベースプレートGPは、ここで、ベースプレートの表面の第1の金属被覆平面及び第1と第2の誘電体層との間の第2の金属被覆平面及び底面の第3の金属被覆平面を有する第1及び第2の誘電体層DL1、DL2を含む。金属被覆平面間の電気的接続はスルーホールを介してつくられ、これらのスルーホールは例えば誘電体層を貫く金属被覆された開口部として構成されている。スルーホールの内部の金属被覆は孔部を密閉することができるか又は相応の孔部の縁部だけを被覆することができる。
【0039】
金属被覆平面の金属被覆は例えばプリントされるか又は薄膜又は厚膜方法において製造される。
【0040】
薄膜及び厚膜技術の組み合わせによって金属被覆を構成することも可能である。
例えば、ベース金属被覆はパターニングされて塗布され、ガルバニックに強化されうる。
【0041】
図3Aから、第1の並列共振器P1のアース端子に接続されている内部ハウジング接点G1は2つの重なり合って配置されたスルーホールによって2つのセミラック層を貫いて直接外部ハウジング接点E4に接続されていることがわかる。第2の金属被覆平面の金属被覆C4及びC1によって接続された内部ハウジング接点G2及びJ1はまずこの平面においてずらされて相応の外部ハウジング接点に接続されている。金属被覆された蓋は蓋接点端子面L2によってスルーホールを介して中間金属被覆平面の金属被覆面C4と接続され、さらに別のスルーホールを介して外部ハウジング接点E4に接続されている。
【0042】
図3Bは概略的な断面図においてフィルタを示し、このフィルタでは基板SUがベースプレートGP及び蓋Dから成るハウジング内に貼り付けられ、ボンディングワイヤ接続によって接続されている。外部ハウジング接点へのスルーホールはこの図には図示されていない。
【0043】
図3Cは概略的な断面図においてフィルタを示し、このフィルタではハウジング下部が1層のベースプレートGP及びフレームから形成され、このハウジング下部の上に基板SUが蓋として載置されている。内部ハウジング接点への基板SUの接続は例えば金属構造物を介して、とりわけバンプを介して可能である。
【0044】
図4は、ベースプレート内に設けられた接続及びその寄生インダクタンス(引き込み線インダクタンス(Durchfuehrungsinduktivitaeten))を含めてフィルタの概略的な等価回路図を示す。この図には様々なフィルタエレメントが箇所乃至はその由来に従って分離されている。よって、上から下へと基板上のフィルタ構造のレベル、内部ハウジング接点のレベル、引き込み線インダクタンスの形式でしか分からない第1の誘電体層DL1のレベル、中間金属被覆平面、その引き込み線インダクタンスを有する第2の誘電体層DL2、そして最後に外部ハウジング接点GKaのレベルが区別される。基板上のインダクタンスは無視されている。最も上の金属被覆レベルには内部ハウジング接点GKiがあり、接点I1は入力側に、G1は第1の並列共振器P2に、G2は第2の並列共振器P2に、G3は第3の並列共振器P3に接続されている。出力側端子の側の第2の部分フィルタTF2のアース接点は既に基板金属被覆SMのレベルにおいて互いに及び唯一の内部ハウジング接点G7に接続されている。ハウジング接点G4及びG5には第2の部分フィルタの残りの2つのアース端子が接続されている。2つの出力側はハウジング接点O1及びO2に接続されている。
【0045】
この図からは、第1の2つの並列共振器P1及びP2のアース端子が互いに別個にハウジングのベースプレートを貫いて導かれ、ようやく最も下の金属被覆平面で外部ハウジング接点E4に接続されていることが良く分かる。これによってこれら2つの並列共振器は良好に互いにデカップリングされている。第2の部分フィルタの2つの出力側は互いに別個に中間金属被覆平面MMまで導かれ、ようやくそこで金属被覆C3を介して接続される。第3の並列共振器のアース端子ならびに第2の部分フィルタの全アース端子は中間金属被覆平面MMの金属被覆面C2に接続され、そこから3つの並列なスルーホールを介してアース端子を表す外部ハウジング接点E2に接続される。
【0046】
図4に図示されたアース接続スキームは、選択された図1に図示された実施例に最適化されており、選択性及び隣接チャネル抑圧に関して最適な特性を示す。より多くの外部ハウジング接点が使用できるならば、さらに第1及び第2の並列共振器のためのアース端子を分離し、別個の外部ハウジング接点に導くことが可能である。次のステップでは、さらに第3の並列共振器のためのアース接点が独自の外部ハウジング接点に導かれうるだろう。入力側及び出力側変換器に関して第2の部分フィルタのアース端子の分離も選択性及び隣接帯域抑圧をさらに改善するだろう。
【0047】
ハウジング乃至はここでは多層構造として実現されたベースプレートは、引き込み線インダクタンスが最小であるように最適化されている。これはとりわけ短いスルーホール乃至は誘電体層の僅少な厚さによって達成されるが、並列に接続された引き込み線を介しても達成される。さらにインダクタンスはスルーホールの幾何学的な実施形態を介して影響を受ける。スルーホールの僅少なインダクタンス値によって急峻なエッジを有する通過帯域が得られる。複数のアース端子が中間金属被覆平面MMにおいて統合され、唯一のスルーホール、例えば内部金属面C2をハウジング接点E2に接続するスルーホールを用いて外部ハウジング接点に導かれるならば、この最後の共通スルーホールはそのインダクタンス値に関してとりわけクリティカルであり、アース端子のカップリングにとりわけ強く影響を与える。よって、第2の誘電体層を第1の誘電体層よりも薄く形成することは有意義である。
【0048】
図4に図示された例示的なフィルタのヴァリエーションにおいて、内部ハウジング接点G3及びG7に接続されたアース端子を既に基板において互いに接続することが可能であり、しかもそのうえより高い選択性が得られる。ハウジング蓋Dの接続は図4には図示されていないが、このハウジング蓋Dを介してアース面C2及びC4が間接的に接続されている。C2もC4も直接的に良好なアースE2及びE4に接続されているので、蓋の影響はなるほど最小化されているが、後で図10が示すように依然として明瞭な影響が存在する。
等価回路図には高オーミックな接続は図示されていないが、基板の焦電特性によって生じる電荷を構成素子に対して無害に逃すために、この高オーミックな接続によってハウジング接点G1、G2、G7及びG3乃至はこれらに接続された基板上の端子が互いに接続される。これらの電荷はとりわけ温度変化においてあらわれ、フラッシュオーバの際に金属被覆構造又は基板を損ない又はまったく破壊してしまう。
【0049】
図5には図1に図示された2つの部分フィルタのための金属被覆スキームが、出力側における対称的な動作が可能となるように変化されている。このために、一方の(右側の)出力側変換器の電極構造は他方の出力側変換器に対して鏡像的に配置されており、この結果、2つの出力側端子において2つの180度だけ異なる乃至は位相シフトされた信号が得られる。よって、付加的な信号に対しては付加的な外部ハウジング接点が必要である。図4に図示された結線を変更して、出力側で対称的に動作されるフィルタでは2つの出力側端子が互いに別個にベースプレートを貫いて導かれ、別々の外部ハウジング接点に接続される。従って、最小限必要な外部ハウジング接点の個数は5個に増大する。
【0050】
図6は並列共振器に対して並列に接続されたキャパシタンスを示し、これらのキャパシタンスによってフィルタのエッジ急峻度が改善され、しかもとりわけ通過帯域の左側エッジの急峻度が改善される。これらのキャパシタンスは有利には基板表面上に端子面の形式で又は櫛形電極構造として実現される。図6aは概略的な等価回路図におけるこのようなキャパシタンスを示す。図6bは互いに隣接した金属被覆面としての実施形態を示し、これらの金属被覆面の間にキャパシタンスCAが形成されうる。図6cは櫛形電極構造として形成されたキャパシタンスを示し、このキャパシタンスは並列共振器の変換器よりも僅少な電極指周期を有する。図6dは同様に櫛形電極構造を示し、この櫛形電極構造は基板上の配向において並列共振器の配向に対して90度だけ回転されている。さらに電極指周期は櫛形電極変換器の電極指よりもさらに小さくてもよい。直列共振器に対して並列に接続されたキャパシタンスCAによって、通過帯域の右側エッジの急峻度も改善されうる。
【0051】
図7は従来技術によるフィルタの伝達関数(曲線b)と比べた本発明のフィルタにより得られる伝達関数S21(曲線a参照)を示し、この従来技術によるフィルタは直列に接続された2つの3変換器DMS構造及びさらに入力及び出力側にそれぞれ1つの並列共振器を含む。本発明により提案されたフィルタはエッジ急峻度に関しても隣接チャネル抑圧に関しても明らかに改善されている。
【0052】
図8には2つの例示的な伝達曲線S21に基づいてもう一度どのような効果を分離されたアースがフィルタ特性に対して示すかを図示する。2つのフィルタの通過曲線S21が比較され、しかも本発明で提案されたような図4により形成されたフィルタ(曲線a参照)が、中間金属被覆平面MMのアース面C2及びC4が直接互いに接続されている類似のフィルタ(曲線b参照)と比較される。明らかに(左側エッジの)エッジ急峻度及び隣接チャネル抑圧に関して明瞭な効果が示されている。
【0053】
図9も、本発明の図4により形成されたフィルタの通過曲線(曲線a参照)と中間金属被覆平面MMにおいて地点C4及びC5に相応する第1の2つの並列共振器のアース接点が互いに接続されているフィルタの通過曲線(曲線b参照)とを比較することによって、分離されたアースガイドの利点を示す。ここでも選択性の改善及びとりわけ改善された隣接帯域抑圧が示されている。
【0054】
図10には本発明により提案され行われた蓋の電気的接続により惹起される効果が図示されている。ここでは図2のように接続された蓋の通過曲線aが比較され、この蓋は内部ハウジング接点L3及びスルーホールを介してアース面C2に接続されならびに内部ハウジング接点L1及びL2及びそれぞれスルーホールを介してアースC4に接続されている。このフィルタがアース面C2及びC4に同一の個数のスルーホールが導かれる対称的に接続された蓋(曲線b)と比較される。非対称的な蓋接続によっても同様に選択性及びとりわけ隣接チャネル抑圧に関してポジティブな効果が得られる。
【0055】
図11は直列に接続された2つの部分共振器TR1及びTR2に分割されている共振器を示す。電極指配置は図11bにおいて2つの部分共振器で音響波の位相が一致するようになっている。図11aではこれに対して音響波の位相が2つの部分共振器において180°だけずれている。部分共振器に分割された共振器は直列共振器としても並列共振器としても使用され、相応の共振器の電力適合性を改善する。
【0056】
ここで提案されたフィルタは実施例に限定されるものではなく、使用可能な外部ハウジング接点の数に依存して本発明の枠内で変更できる。ハウジングはたった1つの又は更なる誘電体層及び更なる金属被覆平面から構成されうる。材料に関してもここで提案された材料からの逸脱は可能である。第1の部分フィルタは別個の第2の基板上に配置されるか又はSAW共振器とは別の共振器から、例えば体積音響波BAWにより作動する共振器から構成されうる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】第1の及び第2の部分フィルタの第1の可能な電極構造を示す。
【図2】2層ベースプレートの3つの金属被覆平面を示す。
【図3】1層及び2層ベースプレートを有するハウジングの様々な概略的な断面図を示す。
【図4】フィルタエレメントの可能な結線の等価回路図を示す。
【図5】第1及び第2の部分フィルタのための第2の電極構造を示す。
【図6】並列キャパシタンスの実現のための様々な可能性を示す。
【図7】従来技術と比較した本発明のフィルタの伝達曲線を示す。
【図8】内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較する。
【図9】内部アースがハウジング内で互いに接続されているテスト構造と本発明のフィルタの伝達曲線を比較する。
【図10】非対称的な接続と比較したハウジング蓋の対称的な接続の効果を示す。
【図11】2つの部分共振器に1つの共振器を分割する2つの可能性を示す。
【符号の説明】
【0058】
SU 基板
TF1 第1の部分フィルタ
S1、S2、S3 直列共振器
P1、P2、P3 並列共振器
TF2 第2の部分フィルタ
GKi 内部ハウジング接点
GKa 外部ハウジング接点
GP ベースプレート
DL1、DL2 誘電体層
TR1、TR2 部分共振器
D 蓋
G1〜G5 アースのための内部ハウジング接点
L1、L2、L3 蓋接点端子面
I 入力側のための内部ハウジング接点
O 出力側のための内部ハウジング接点
C1〜C5 内部金属被覆面
MM 中間金属被覆平面
CA キャパシタンス
MA アース端子
E1〜E4 外部ハウジング接点
VI スルーホール
BU バンプ
IN 入力側
OUT 出力側
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HFフィルタにおいて、
少なくとも1つの基板(SU)を有し、
該基板(SU)上に配置された第1の部分フィルタ(TF1)を有し、該第1の部分フィルタ(TF1)は直列共振器(S)及びそれぞれ並列分岐路に配置された2つの並列共振器(P)を含み、
DMSフィルタとして形成された第2の部分フィルタ(TF2)を有し、
ハウジングを有し、該ハウジングは、少なくとも1つの誘電体又は非導電層(DL)を有するベースプレート(GP)を含み、該ベースプレート(GP)上にいくつかの内部ハウジング接点(I、G、O)を含み、該内部ハウジング接点(I、G、O)は基板上の接点面に接続されており、さらにこれら内部ハウジング接点に比べて少数の外部ハウジング接点(GKa)をベースプレートの下面に有し、前記外部ハウジング接点(GKa)はハウジング内部に導かれた線路を介して前記内部ハウジング接点と接続されており、
第1の並列共振器及び第2の部分フィルタのアース端子のための前記ベースプレートの中に又は前記ベースプレートの上に互いに別個に導かれた少なくとも2つの線路を有し、該線路は少なくとも2つの異なる外部ハウジング接点に接続されている、HFフィルタ。
【請求項2】
ベースプレート(GP)が少なくとも2つの誘電体層(DL1、DL2)及びこれらの誘電体層の間に配置された結線のためにパターニングされた金属被覆平面を有し、該金属被覆平面はスルーホール(VI)を介して内部ハウジング接点(GKi)及び外部ハウジング接点(GKa)に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
第1の並列共振器(P1)のアース端子はスルーホールを介して直接的に更に別の結線なしで第1の外部ハウジング接点(E4)に接続されている、請求項1又は2記載のフィルタ。
【請求項4】
第1及び第2の並列共振器(P1、P2)のアース端子は互いに別個に導かれており、これら両方のアース端子は第1の外部ハウジング接点(E4)に接続されている、請求項1〜3のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項5】
第2の直列共振器(S2)及び第3の並列分岐路における第3の並列共振器(P3)が設けられており、該第3の並列共振器のアース端子は第2の外部ハウジング接点に接続されている、請求項1〜4のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項6】
付加的に第3の直列共振器(S3)が第2の直列共振器(S2)とDMSフィルタ(DMS)との間に設けられている、請求項4記載のフィルタ。
【請求項7】
DMSフィルタ(DMS)は5つの変換器を有するトラック又はそれぞれ3つの変換器を有する2つの並列に接続されたトラックを含む、請求項1〜6のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項8】
少なくとも第1の直列共振器(S)又は第1及び第2の直列共振器(S)はカスケード接続されており、その結果、少なくとも第1の直列共振器(S)又は第1及び第2の直列共振器(S)は直列に接続された2つの部分共振器(TR1、TR2)に分割されている、請求項1〜7のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項9】
少なくとも第1の並列共振器(P)又は第1及び第2の並列共振器(P)はカスケード接続されており、その結果、少なくとも第1の並列共振器(P)又は第1及び第2の並列共振器(P)は直列に接続された2つの部分共振器(TR1、TR2)に分割されている、請求項1〜8のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項10】
第1の部分フィルタ(TF1)は非対称入力側を有し、第2部分フィルタ(TF2)は非対称出力側を有し、
ハウジングは4つ又は5つの外部ハウジング接点(GKa)を有する、請求項1〜9のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項11】
第1の部分フィルタ(TF1)は非対称入力側を有し、第2部分フィルタ(TF2)は対称出力側を有し、
ハウジングは5つ又は6つの外部ハウジング接点(GKa)を有する、請求項1〜9のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項12】
アース端子は基板(SU)上で高オーミックに互いに接続されている、請求項1〜11のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項13】
アース端子はメアンダ構造を介して互いに接続されており、前記メアンダ構造は1kΩより大きい抵抗を有する、請求項12記載のフィルタ。
【請求項14】
第2の部分フィルタ(TF2)においてそれぞれ2つの互いに隣り合った異なる変換器の末端の電極指に対して、これら両方が信号線路に又はこれら両方がアース端子に接続されていることが当てはまる、請求項1〜10のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項15】
基板(SU)はハウジングの中でベースプレート(GP)と蓋(D)との間に設けられており、該蓋(D)は少なくとも1つの導電層を含み、
前記蓋はベースプレートの中の結線と導電的に接続されており、この場合フィルタのアース端子は互いに接続されている、請求項1〜11のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項16】
蓋(D)は非対称的に結線に接続されている、請求項15記載のフィルタ。
【請求項17】
蓋(D)は外部ハウジング接点(GKa)にスルーホール(VI)を介して接続されており、入力側のアース端子への接続は出力側のアース端子への接続よりも多くの並列接続されたスルーホールを含む、請求項16記載のフィルタ。
【請求項18】
ベースプレート(GP)の中には2つの別個の内部アース面(C2、C4)が設けられており、これらの内部アース面(C2、C4)は第1の及び第2の部分フィルタ(TF1、TF2)の複数のアース端子に接続されている、請求項1〜17のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項19】
前記内部アース面(C2、C4)のうちの1つは複数の並列なスルーホール(VI)を介して外部ハウジング接点(GKa)に接続されている、請求項18記載のフィルタ。
【請求項20】
第2の部分フィルタ(TF2)と出力側(OUT)との間に第3の部分フィルタが接続されており、該第3の部分フィルタは少なくとも1つの並列共振器及び少なくとも1つの直列共振器から成る、請求項1〜19のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項21】
並列共振器(P)に対して並列にキャパシタンス(CA)が接続されている、請求項1〜20のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項22】
キャパシタンス(CA)は金属被覆の形式で基板(SU)の上に実現される、請求項21記載のフィルタ。
【請求項23】
キャパシタンス(CA)は櫛形電極構造として形成されている、請求項16又は17のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項24】
キャパシタンス(CA)の櫛形電極構造は並列共振器(P)の櫛形電極構造に対して回転されている、請求項18記載のフィルタ。
【請求項25】
入力側(IN)と出力側(OUT)は交換される、請求項1〜24のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項1】
HFフィルタにおいて、
少なくとも1つの基板(SU)を有し、
該基板(SU)上に配置された第1の部分フィルタ(TF1)を有し、該第1の部分フィルタ(TF1)は直列共振器(S)及びそれぞれ並列分岐路に配置された2つの並列共振器(P)を含み、
DMSフィルタとして形成された第2の部分フィルタ(TF2)を有し、
ハウジングを有し、該ハウジングは、少なくとも1つの誘電体又は非導電層(DL)を有するベースプレート(GP)を含み、該ベースプレート(GP)上にいくつかの内部ハウジング接点(I、G、O)を含み、該内部ハウジング接点(I、G、O)は基板上の接点面に接続されており、さらにこれら内部ハウジング接点に比べて少数の外部ハウジング接点(GKa)をベースプレートの下面に有し、前記外部ハウジング接点(GKa)はハウジング内部に導かれた線路を介して前記内部ハウジング接点と接続されており、
第1の並列共振器及び第2の部分フィルタのアース端子のための前記ベースプレートの中に又は前記ベースプレートの上に互いに別個に導かれた少なくとも2つの線路を有し、該線路は少なくとも2つの異なる外部ハウジング接点に接続されている、HFフィルタ。
【請求項2】
ベースプレート(GP)が少なくとも2つの誘電体層(DL1、DL2)及びこれらの誘電体層の間に配置された結線のためにパターニングされた金属被覆平面を有し、該金属被覆平面はスルーホール(VI)を介して内部ハウジング接点(GKi)及び外部ハウジング接点(GKa)に接続されている、請求項1記載のフィルタ。
【請求項3】
第1の並列共振器(P1)のアース端子はスルーホールを介して直接的に更に別の結線なしで第1の外部ハウジング接点(E4)に接続されている、請求項1又は2記載のフィルタ。
【請求項4】
第1及び第2の並列共振器(P1、P2)のアース端子は互いに別個に導かれており、これら両方のアース端子は第1の外部ハウジング接点(E4)に接続されている、請求項1〜3のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項5】
第2の直列共振器(S2)及び第3の並列分岐路における第3の並列共振器(P3)が設けられており、該第3の並列共振器のアース端子は第2の外部ハウジング接点に接続されている、請求項1〜4のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項6】
付加的に第3の直列共振器(S3)が第2の直列共振器(S2)とDMSフィルタ(DMS)との間に設けられている、請求項4記載のフィルタ。
【請求項7】
DMSフィルタ(DMS)は5つの変換器を有するトラック又はそれぞれ3つの変換器を有する2つの並列に接続されたトラックを含む、請求項1〜6のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項8】
少なくとも第1の直列共振器(S)又は第1及び第2の直列共振器(S)はカスケード接続されており、その結果、少なくとも第1の直列共振器(S)又は第1及び第2の直列共振器(S)は直列に接続された2つの部分共振器(TR1、TR2)に分割されている、請求項1〜7のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項9】
少なくとも第1の並列共振器(P)又は第1及び第2の並列共振器(P)はカスケード接続されており、その結果、少なくとも第1の並列共振器(P)又は第1及び第2の並列共振器(P)は直列に接続された2つの部分共振器(TR1、TR2)に分割されている、請求項1〜8のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項10】
第1の部分フィルタ(TF1)は非対称入力側を有し、第2部分フィルタ(TF2)は非対称出力側を有し、
ハウジングは4つ又は5つの外部ハウジング接点(GKa)を有する、請求項1〜9のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項11】
第1の部分フィルタ(TF1)は非対称入力側を有し、第2部分フィルタ(TF2)は対称出力側を有し、
ハウジングは5つ又は6つの外部ハウジング接点(GKa)を有する、請求項1〜9のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項12】
アース端子は基板(SU)上で高オーミックに互いに接続されている、請求項1〜11のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項13】
アース端子はメアンダ構造を介して互いに接続されており、前記メアンダ構造は1kΩより大きい抵抗を有する、請求項12記載のフィルタ。
【請求項14】
第2の部分フィルタ(TF2)においてそれぞれ2つの互いに隣り合った異なる変換器の末端の電極指に対して、これら両方が信号線路に又はこれら両方がアース端子に接続されていることが当てはまる、請求項1〜10のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項15】
基板(SU)はハウジングの中でベースプレート(GP)と蓋(D)との間に設けられており、該蓋(D)は少なくとも1つの導電層を含み、
前記蓋はベースプレートの中の結線と導電的に接続されており、この場合フィルタのアース端子は互いに接続されている、請求項1〜11のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項16】
蓋(D)は非対称的に結線に接続されている、請求項15記載のフィルタ。
【請求項17】
蓋(D)は外部ハウジング接点(GKa)にスルーホール(VI)を介して接続されており、入力側のアース端子への接続は出力側のアース端子への接続よりも多くの並列接続されたスルーホールを含む、請求項16記載のフィルタ。
【請求項18】
ベースプレート(GP)の中には2つの別個の内部アース面(C2、C4)が設けられており、これらの内部アース面(C2、C4)は第1の及び第2の部分フィルタ(TF1、TF2)の複数のアース端子に接続されている、請求項1〜17のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項19】
前記内部アース面(C2、C4)のうちの1つは複数の並列なスルーホール(VI)を介して外部ハウジング接点(GKa)に接続されている、請求項18記載のフィルタ。
【請求項20】
第2の部分フィルタ(TF2)と出力側(OUT)との間に第3の部分フィルタが接続されており、該第3の部分フィルタは少なくとも1つの並列共振器及び少なくとも1つの直列共振器から成る、請求項1〜19のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項21】
並列共振器(P)に対して並列にキャパシタンス(CA)が接続されている、請求項1〜20のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項22】
キャパシタンス(CA)は金属被覆の形式で基板(SU)の上に実現される、請求項21記載のフィルタ。
【請求項23】
キャパシタンス(CA)は櫛形電極構造として形成されている、請求項16又は17のうちの1項記載のフィルタ。
【請求項24】
キャパシタンス(CA)の櫛形電極構造は並列共振器(P)の櫛形電極構造に対して回転されている、請求項18記載のフィルタ。
【請求項25】
入力側(IN)と出力側(OUT)は交換される、請求項1〜24のうちの1項記載のフィルタ。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【図2A】
【図2B】
【図2C】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4】
【図5】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図6D】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11A】
【図11B】
【公表番号】特表2009−500928(P2009−500928A)
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−519810(P2008−519810)
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005270
【国際公開番号】WO2007/006375
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月2日(2006.6.2)
【国際出願番号】PCT/EP2006/005270
【国際公開番号】WO2007/006375
【国際公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【出願人】(300002160)エプコス アクチエンゲゼルシャフト (318)
【氏名又は名称原語表記】EPCOS AG
【住所又は居所原語表記】St.−Martin−Strasse 53, D−81669 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】
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