説明

改良された音吸収能力を有する熱可塑性複合物

強化繊維と、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維のような音響増強繊維と、1又は2以上の有機繊維とで形成される複合材料を提供する。音響増強繊維は、特に低周波数で音吸収性を向上又は増強させるいずれの繊維でもよい。ウェット強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を部分的に広げ、該強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を混合し、これら繊維をシートに形成し、かつ該シート内でこれら繊維を結合することによって、複合材料を形成することができる。好ましくは、強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維の単一の層で複合材料を形成することができる。或いは、複合材料は多層複合物でもよく、この場合、有機繊維と強化繊維で形成された熱層に積層された音響層内に音響増強繊維がある。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔発明の分野及び産業上の利用可能性〕
本発明は、一般的に音響製品に関し、さらに詳しくは、強化繊維、有機繊維、及びポリエチレンテレフタレート(PET)繊維を含み、かつ低周波数で改良された音吸収を有する複合材料に関する。複合材料の製造方法も提供する。
【0002】
〔発明の背景〕
外部起源からの騒音を鎮静させることが望まれる種々の環境で遮音材料が使用されている。例えば、家の周囲領域に発せられる音を減少させる用途、モーター及び道路の騒音といった機械音を減少させるため自動車内、及び電話の会話又は事務装置の操作等のような職場から生成される音を軽減するためオフィスビル内などの用途で遮音材料が使用されている。従来の遮音材料として、フォーム、圧縮繊維、ガラス繊維バット(batt)、フェルト、及びメルトブローン繊維のような繊維の不織ウェブ等の材料が挙げられる。遮音は、典型的に、音吸収(入射音波を吸収する能力)と伝送損(入射音波を反射する能力)の両方に依って十分な音の減衰を与える。
自動車内では、遮音材料は、自動車内の種々の熱源由来(例えば、エンジン、トランスミッション、排気管等から)の熱の該車輌のパッセンジャー・コンパートメントへの伝達を低減又は防止するための熱遮蔽特性にも依存する。このような遮蔽材は、一般的ににヘッドライナー、ダッシュライナー、又は防火壁ライナーとして自動車内で使用される。ライナーは典型的に、所望の機械的強度特性を与えるための遮蔽材料の1又は2以上の層と、自動車内での簡単かつ便利な据付け及び正確な機能遂行を可能にするための剛性材料の1又は2以上の追加層との積層で形成される。
【0003】
Chenowethらの米国特許第4,889,764号及び米国特許第4,946,738号は、鉱物繊維(ガラス繊維)、合成繊維(ポリエステル)、及び二成分繊維を含む不織繊維状ブランケットを開示している。合成繊維は、好ましくは0.6cm〜10cm(1/4〜4インチ)の長さと1〜15デニールの範囲のデニールを有する。二成分繊維は、好ましくは0.6cm〜7.6cm(1/4〜3インチ)の長さと1〜10デニールの範囲のデニールを有する。
Soudersらの米国特許第5,591,289号は、高ロフトバッティングのポリマー熱可塑性繊維(ポリプロピレンとポリエチレンテレフタレート)製の繊維状コアを有するヘッドライナーを開示している。該繊維は約5cm(約2インチ)の長さと5〜30の範囲のデニールを有する。
Olingerらの米国特許第5,662,981号は、強化繊維(ガラス繊維とポリマー繊維)を含む樹脂製のコア層と、実質的に強化繊維のない樹脂製の表面層とを有する成形複合製品を開示している。表面層は、ポリテトラフルオロエチレン(poytretrafluoroethylene)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、又はポリカーボネート等の熱可塑性又は熱硬化性材料で形成され得る。
Patelらの米国特許第5,886,306号は、メルトブローン又はスパンボンド熱可塑性繊維(ポリプロピレン)の層と、フィルム、泊、紙、又はスパンボンド熱可塑性繊維の層との間にサンドイッチされた一連の海綿状の繊維層を含む層状の遮音ウェブを開示している。
Tiltonらの米国特許第6,669,265号は、かさ高な遮音部分と、防水層として機能し得る相対的に高密度のスキンとを有する繊維状材料を開示している。この繊維状材料として、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ガラス繊維、天然繊維、及びその混合物が挙げられる。
Nakamuraらの米国特許第6,695,939号は、基材と該基材に結合したスキンで形成される内部トリム材料を開示している。基材は、マット様の繊維構造で、熱可塑性繊維と無機繊維のブレンドである。スキンは、基材中の熱可塑性繊維の融点より高い融点を有する繊維製の高融点繊維シートである。高融点繊維はポリエチレンテレフタレート(PET)でよい。
Sandoeらの米国特許第6,756,332号は、2つの強め層間に不織布をブレンドしたバット製のコア層を含むヘッドライナーを開示している。コア層は、(1)0.8〜3.0の範囲のデニールの20〜50質量%の微細繊維、(2)10〜50質量%のバインダー繊維、及び(3)4.0〜15.0の範囲のデニールの他の繊維を有する熱可塑性繊維を含む。熱可塑性繊維としてポリエステル、ポリオレフィン、及びナイロンが挙げられる。ポリエステル繊維として、好ましくは二成分繊維が挙げられる。
Tiltonらの米国特許公開第2003/0039793 A1号は、ポリマー繊維の非積層の遮音かつ断熱層を含む自動車用トリムパネル絶縁体を開示している。この絶縁体は、相対的に高密度のポリマー繊維の非積層スキン及び/又はポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、レーヨン、エチレン酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、繊維状スクリム、金属箔、及びその混合物製の1又は2以上の表面仕上げ層をも含み得る。
Tiltonの米国特許公開第2004/0002274 A1号は、(1)ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス繊維、天然繊維、ナイロン、レーヨン、及びそのブレンド製の基礎層と(2)表面仕上げ層とを含む積層材料を開示している。基礎層は、約0.5〜約15.0pcfの密度を有し、表面仕上げ層は約160kg/m3〜1600kg/m3(約10pcf〜約100pcf)の密度を有する。
Tiltonの米国特許公開第2004/0023586 A1号及びBlockの米国特許公開第2003/0008592号は、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリエチレン、ガラス繊維、天然繊維、ナイロン、及び/又はレーヨン製の第1繊維層と、メルトブローンポリプロピレン繊維の層を有する繊維状ブランケット材料を開示している。第1繊維層とメルトブローン繊維層との間に第2繊維層がサンドイッチされ得る。ブランケット材料を調整して個々の製品用途のために音減衰し得る。
Schmidtらの米国特許公開第2004/0077247号は、約1.8dpf未満の平均デニールを有する熱可塑性スパンボンドフィラメント製の第1層と、約2.3dpfより大きい平均デニールを有する熱可塑性多成分スパンボンドフィラメントを含む第2層とを含む不織積層品を開示している。この積層品は、第1層の密度が第2層の密度より高く、かつ第2層の厚さが第1層の厚さより大きいという構造を有する。
【0004】
自動車用途の技術では多くの遮音製品が存在するが、十分な構造特性を維持しながら、低周波数で音を十分吸収できる遮音製品は存在しない。
従って、優れた音減衰特性、改良された構造的及び熱的特性を有し、かつ軽量で低コストの音響材料が要望されている。
【0005】
〔発明の概要〕
本発明の目的は、強化繊維、有機繊維、及び音響増強繊維を含む、音及び熱吸収性複合材料の製造方法を提供することである。本複合材料を形成するため、ウェット強化繊維を広げてフィラメント化し、ウェット強化繊維中に存在する水の少なくとも一部を除去して、脱水した強化繊維を形成する。この脱水した強化繊維を、例えば高速空気流中で、音響増強繊維及び有機繊維とブレンドして、該繊維の実質的に均質な混合物を形成する。次に、混合物をシート形成機に移してシートに形成する。脱水した強化繊維、有機繊維、及び音響増強繊維の少なくとも一部を結合して複合材料を形成する。少なくとも1つの典型的な実施態様では、シートを有機繊維及び/又は音響増強繊維の融点より高く、かつ脱水した強化繊維の融点より低い温度に加熱して、有機繊維及び/又は音響増強繊維を少なくとも部分的に融かし、強化繊維、有機繊維、及び音響増強繊維を互いに結合する。好ましい実施態様では、強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。音響増強繊維は、好ましくはポリエチレンテレフタレート繊維及び/又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維である。
【0006】
本発明の別の目的は、積層複合製品の製造方法を提供することである。第1組立ラインでは、スクリムと、第1接着剤と、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を含む複合材料と、第2接着剤との連続層を含む第1層状材料を形成する。第2組立ラインでは、ポリエチレンテレフタレート繊維及び/又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維のコア層と、第3接着剤層と、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を含む複合材料と、第4接着剤層とで形成される第2層状材料を製造する。第1及び第2組立ラインをインライン合流させて、第2接着剤層がポリエチレンテレフタレート繊維コア層に隣接して位置づけることができる。このようにして形成された層状複合物をラミネーションオーブンに通し、熱と圧力を加えて積層複合材料を形成する。この積層複合材料を常法でさらに加工して自動車用ライナー等の複合製品とすることができる。例えば、積層複合材料をトリミングし、モールディング法などによってヘッドライナーに形成することができる。美的目的のためヘッドライナーにフォーム又は布を施すことができる。
本発明のさらに別の目的は、(1)強化繊維と有機繊維を含む第1層及び(2)音響増強繊維を含む第2層で形成される複合材料の製造方法を提供することである。第1層を形成するため、ウェット強化繊維のベイルを広げてフィラメント化し、かつ該ウェット強化繊維中に存在する水の少なくとも一部を除去して、脱水した強化繊維を形成する。この脱水した強化繊維を有機繊維と混合して、該繊維の実質的に均質な混合物を形成する。次に、混合物をシート形成機に移してシートに形成する。脱水した強化繊維と有機繊維の少なくとも一部を結合して第1層を形成する。少なくとも1つの典型的な実施態様では、シートを有機繊維の融点より高く、かつ脱水した強化繊維の融点より低い温度に加熱して、有機繊維を少なくとも部分的に融かし、強化繊維と有機繊維を互いに結合する。好ましい実施態様では、強化繊維はウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。音響増強繊維の第2層を第1層の上に位置づけて複合製品を形成する。音響増強繊維はポリエチレンテレフタレート繊維及び/又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維であることが好ましい。さらに、エアレイド(air-laid)、ウェットレイド(wet-laid)、又はメルトブローン法で第2層を形成することができる。第2層は、任意に、二成分繊維のような熱可融性繊維を含み得る。音響増強繊維の長さとデニールを変えることによって、本複合製品の音響挙動を微調整することができる。
【0007】
本発明の利点は、複合材料中に存在する繊維の特有の組合せによって複合材料の音響性能を変更又は改善することができ、ひいては特定用途の要求に合わせてあつらえ得ることである。例えば、繊維の重量を変えることによって、或いは強化繊維含量及び/又は強化繊維の長さ若しくは直径を変えることによって、或いは音響増強繊維又は有機繊維の繊維長及び/又はデニールを変えることによって、特有の用途に望まれる音響特性を最適化することができる。
本発明の別の利点は、複合材料の有機繊維及び/又は強化繊維分の基礎重量を変えることによって、複合材料製の複合部品の厚さ、形成される複合部品の多孔度(気孔率)、及び形成される複合部品の空気流路を調節できることである。
さらなる利点は、本発明におけるようなウェットユースのチョップストランドドガラス繊維を用いるドライレイド法で形成される複合材料は、より高いロフト(loft)(高い多孔度)を有することである。
本発明のさらに別の利点は、本複合材料は、該複合材料で使用する強化繊維及び/又は有機繊維の重量、長さ、及び/又はデニールを変えることによって、特有の用途に必要な物理的性質(例えば剛性又は強度)を最適化する、及び/又はあつらえる能力を提供することである。
本発明のさらなる利点は、本明細書で述べる方法で形成される複合材料は、繊維の均一又は実質的に均一な分布を有するので、改良された強度並びに改良された音響及び熱的特性、強度、剛性、耐衝撃性、及び音吸収性を提供することである。
本発明の別の利点は、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を強化繊維材料として使用すると、該ガラス繊維中に存在する湿分のためほとんど静電気を生じずにガラス繊維を容易に広げて繊維状にし得ることである。
また、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維はドライチョップド繊維より安価に製造されるので(ドライ繊維は、典型的に、チョップする前に別個の工程で乾燥させて包装される)、形成される最終製品を低コストで製造することができる。
本発明の上記及び他の目的、特徴、及び利点は、以下の詳細な説明を考慮することでさらに完全に明らかになるだろう。しかし、図面は説明の目的のためであり、かつ本発明の限界を定義するものと解釈すべきでないことを明白に理解すべきである。
本発明の以下の詳細な説明を考慮すると、特に添付図面と共に考慮すると、この発明の利点が明白になるだろう。
【0008】
〔発明の詳細な説明及び好ましい実施態様〕
特に定義しない限り、本明細書で使用するすべての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術の当業者によって一般的に理解される意味と同じ意味を有する。本発明の実施又は試験では、本明細書で述べるものと同様又は均等ないずれの方法及び材料も使用できるが、本明細書では好ましい方法と材料について述べる。本明細書で引用するすべての参考文献は、公開された又は対応する米国若しくは外国の特許出願、発行された米国若しくは外国の特許、又は他の参考文献を含め、該引用文献中に提示されるすべてのデータ、表、図面、及び本文を含むその全体がそれぞれ参考として取り込まれる。
図面中、線、層、及び領域の厚さは明瞭さのため拡大されていることがある。図面全体を通じて同様の符号は同様の要素を示すことに注意すべきである。用語“トップ”、“ボトム”、“サイド”等は、本明細書では説明目的のためだけに使用される。層、領域、基材、又はパネル等の要素が別の要素の“上”であると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上にあってもよく、或いは介在要素が存在し得ることが分かるだろう。要素若しくは層が別の要素若しくは層“に隣接して”又は“と向かい合って”いると記述されている場合、当該要素若しくは層が別の要素若しくは層に直接隣接し、又は別の要素若しくは層と直接向かい合っていてもよく、或いは介在要素が存在し得ることを理解すべきである。層、領域、又は基材などの要素が別の要素の上方にあると表されている場合、該要素は、直接別の要素の上方にあってもよく、或いは介在要素が存在し得ることも分かるだろう。用語“強化繊維(reinforcing fiber)”及び“強化繊維(reinforcement fiber)”は相互交換可能に使用される。さらに、用語“音響増強繊維(acoustical enhancement fiber)”は用語“音響増強繊維(acoustical enhancing fiber)”と相互交換可能に使用される。
【0009】
本発明は、強化繊維と、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維などの音響増強繊維と、1又は2以上の有機繊維とで形成される音及び熱吸収性複合材料に関する。本複合材料は、多くの構造用途、例えば自動車内(ヘッドライナー、フードライナー、トリムパネル、パーセル棚、車輌用日除け、機器パネル構造、フロアライナー等)、及びレジャー用自動車(RV車)の壁パネルと屋根パネル並びに非構造的な音響用途、例えば、台所用器具、オフィスのスクリーンと仕切り、天井タイル、建築用パネル、及び地階仕上システム等で利用される。
本複合材料で利用する強化繊維は、良い構造品質並びに良い音響的及び熱的特性を与えるために適したいずれのタイプの繊維でもよい。本複合材料で利用し得る強化繊維の非限定例として、ガラス繊維、ウールガラス繊維、天然繊維、金属繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ナノ繊維、及びその組合せが挙げられる。本発明と共に使用する場合、用語“天然繊維”は植物のいずれの部分から抽出される植物繊維をも指し、植物の部分としては、限定するものではないが、幹、種、葉、根、又は靭皮が挙げられる。本複合材料では、強化繊維は同一又は異なった長さ、直径、及び/又はデニールを有し得る。好ましくは、強化繊維材料はガラス繊維である。
本複合材料で利用する強化繊維は約10〜約100mmの長さ、なおさらに好ましくは25〜500mmの長さを有し得る。さらに、強化繊維は11〜25ミクロンの直径を有し得る。好ましくは12〜18ミクロンの直径を有する。強化繊維は複合材料内で相互に変化する長さ(アスペクト比)と直径を有し得る。強化繊維は全繊維の質量の20〜60質量%の量で複合材料中に存在し得る。好ましくは30〜50質量%の量で複合材料中に存在する。
【0010】
さらに、本複合材料は少なくとも1種の音響増強繊維を含む。音響増強繊維は、特に例えば、約2000Hz未満の周波数のような低周波数で、音吸収性を高め又は増強するいずれの繊維でもよい。このような繊維の非限定例として、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維及び変性ポリエチレンテレフタレート繊維(例えば、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチルテレフタレート、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート)、綿及びジュート繊維(海綿状及び天然)、ガラス繊維、及びポリウレタンフォームが挙げられる。好ましくは、音響増強繊維はポリエチレンテレフタレート繊維又は変性ポリエチレンテレフタレート繊維である。音響増強繊維は、音の吸収性を高めるため、種々のデニールと繊維長を有してよい。本複合材料で利用する音響増強繊維は、約6〜75mmの長さを有し得る。好ましくは18〜50mmの長さを有する。さらに、音響増強繊維は約1.5〜30デニール、好ましくは1.5〜6デニールのデニールを有し得る。音響増強繊維は、全繊維の質量の30〜70質量%の量で複合材料中に存在し得る。好ましくは30〜40質量%の量で存在する。
【0011】
さらに、本複合材料は少なくとも1種の有機繊維を含む。複合材料中に存在する有機繊維としてポリマーベース熱可塑性繊維、例えば、限定するものではないが、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分加水分解ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン及びブタジエンコポリマー、例えばスチレン/ブタジエンゴム(SBR)及びブタジエン/アクリロニトリルゴム(NBR)等が挙げられる。有機繊維は、例えば、マレイン酸又はアクリル酸等の酸でカルボキシル化することによって、酸性基で官能化されていてもよく、或いはアンヒドリド基又は酢酸ビニルを加えて該ポリマー繊維が官能化されていてもよい。有機繊維は、二者択一的に、ポリマー繊維の形態でなく、フレーク、顆粒、又は粉末の形態でもよい。いくつかの実施態様では、有機繊維に加えて、フレーク、顆粒、及び/又は粉末の形態の樹脂が添加される。
本複合材料中に1又は2以上のタイプの有機繊維が存在し得る。複合材料中に存在する有機繊維のタイプの特有の組合せを変えて、個々の用途の特有の音響要求に合わせる。複合材料中に存在する有機繊維は、同一又は異なった長さ、直径、及び/又はデニールを有し得る。例えば、複合材料の有機繊維は単一のポリマー繊維状材料(例えばポリプロピレン)を含み得る(該ポリマー繊維は種々の長さ、直径、及び/又はデニールを有する)。別の例として、複合材料中に存在する有機繊維が2種以上の異なるポリマー繊維状材料を含んでよく、各ポリマーが同じ長さ及び/又は直径及び/又はデニールを有してよく、或いはこれらポリマーが異なる長さ及び/又は直径及び/又はデニールを有し得る。有機ポリマー繊維の長さとデニールを変えることによって、複合材料の音響挙動を微調整することができる。さらに、複合材料中に存在する異なる有機繊維の比を変えて、特有の音響特性を達成することができる。
有機繊維は約6〜約75mmの長さを有し得る。好ましくは18〜50mmの長さを有する。さらに、有機繊維は2〜30デニール、好ましくは2〜18デニール、さらに好ましくは3〜7デニールのデニールを有し得る。複合材料中に存在する有機繊維は、該複合材料の所望の音響特性によって変化する長さと直径を有し得る。該ポリマー繊維は、全繊維の質量の10〜50質量%の量で複合材料中に存在し得る。好ましくは10〜約30質量%の量で存在する。
【0012】
1又は2以上の有機繊維は、多成分繊維、例えば、二成分繊維、三成分繊維、又は熱可塑性樹脂被覆ガラス繊維のようなプラスチック被覆鉱物繊維でもよい。二成分繊維は、鞘-核(sheath-core)、サイドバイサイド(side-by-side)、アイランドインザシー(islands-in-the-sea)、又はセグメント化パイ(segmented-pie)配列で配置されていてよい。好ましくは、二成分繊維は鞘-核配列で形成され、鞘が第1ポリマー繊維で形成され、この第1ポリマー繊維が、第2ポリマー繊維で形成された核を実質的に取り囲んでいる。鞘繊維が全体的に核繊維を取り囲んでいる必要はない。第1ポリマー繊維は第2ポリマー繊維の融点より低い融点を有するので、該二成分繊維を加熱すると、第1ポリマー繊維と第2ポリマー繊維が別々に反応する。特に、二成分繊維を第1ポリマー繊維(鞘繊維)の融点より高く、かつ第2ポリマー繊維(核繊維)の融点より低い温度に加熱すると、第1ポリマー繊維は軟化又は融解するが、第2ポリマー繊維は元のままである。この第1ポリマー繊維(鞘繊維)の軟化が第1ポリマー繊維を粘着性にして第1ポリマー繊維をそれ自体及び密接している他の繊維に結合させるだろう。
二成分ポリマー繊維を調製するため、多くの材料の組合せ、例えば、限定するものではないが、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリスルフィド、ポリオレフィン、及びポリエチレン繊維を用いた組合せを使用することができる。二成分繊維のための特定ポリマーの組合せとして、ポリエチレンテレフタレート/ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレン、及びポリプロピレン/ポリエチレンが挙げられる。他の非限定的な二成分繊維の例として、コポリエステルポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(coPET/PET)、ポリ-1,4-シクロヘキサンジメチルテレフタレート/ポリプロピレン(PCT/PP)、高密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(HDPE/PET)、高密度ポリエチレン/ポリプロピレン(HDPE/PP)、線状低密度ポリエチレン/ポリエチレンテレフタレート(LLDPE/PET)、ナイロン6/ナイロン6,6(PA6/PA6,6)、及びグリコール変性ポリエチレンテレフタレート/ポリエチレンテレフタレート(6PETg/PET)が挙げられる。
二成分ポリマー繊維は、2〜4mmの長さと約1〜約18デニールの範囲のデニールを有し得る。第1ポリマー繊維(鞘繊維)は約66〜約200℃(約150〜約400°F)の範囲の融点を有することが好ましく、さらに好ましくは約77〜約150℃(約170〜約300°F)の範囲である。第2ポリマー繊維(核繊維)は、より高い融点を有し、好ましくは約177℃(約350°F)より高い。二成分繊維を本複合材料の成分として使用する場合、該二成分繊維は、全繊維の質量の20質量%までの量、好ましくは10質量%までの量で存在し得る。
【0013】
ランダムに配向された強化繊維、音響増強繊維、及び/又は有機繊維のエアレイド(air-laid)、ウェットレイド(wet-laid)、又はメルトブローン不織マット若しくはウェブで複合材料を形成し得る。少なくとも1つの典型的な実施態様では、複合材料は、例えば2003年10月17日提出の米国特許出願10/688,013号、Enamul Haqueの表題“ドライレイド法でウェットユースのチョップドストランドガラスを用いた熱可塑性複合物の開発(Development Of Thermoplastic Composites Using Wet Use Chopped Strand Glass In A Dry Laid Process)”(該文献は参考としてその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されているドライレイド法によって形成される。好ましい実施態様では、複合材料を形成するために使用する強化繊維はウェット強化繊維であり、最も好ましくはウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である。強化繊維として使うウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、技術上周知の常法で形成される。該ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、5〜30%の含水率、より好ましくは5〜15%の含水率を有することが望ましい。
本発明の複合材料の典型的な製造方法は図1に一般的に示され、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を少なくとも部分的に広げる工程(工程100)、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維をブレンドする工程(110)、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維をシートに形成する工程(工程120)、任意に、前記シートをニードリングしてシートに構造統合性を与える工程(工程130)、及び強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を結合する工程(工程140)を含む。
強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維は、典型的に個々の繊維のベイル(bale)の形態で集塊している。複合材料の形成では、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維のベイルを、該業界で共通のベイルオープニングシステム等のオープニングシステムでそれぞれ広げ得る。
さて、図2に戻ると、ウェット強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維のオープニングが最も良く分かる。典型的にベイルの形態のウェット強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220をそれぞれ第1オープニングシステム230、第2オープニングシステム240、及び第3オープニングシステム250に供給してウェット強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220を少なくとも部分的に広げ、及び/又はフィラメント化(個別化)する。図1及び2に示される典型的な方法は、音響増強繊維210を第2オープニングシステム240で広げる工程及び有機繊維220を第3オープニングシステム250で広げる工程を示しているが、音響増強繊維210及び/又は有機繊維220がフィラメント形態で存在し又は得られ、ベイルの形態でない場合、音響増強繊維210及び/又は有機繊維220を繊維移動システム270に直接供給してよい(図示しない実施態様)ことに留意すべきである。このような実施態様は、本発明の範囲内であると考えられる。
これとは別の、有機繊維がフレーク、顆粒、又は粉末形態の実施態様では、これら樹脂材料を強化繊維200及び音響増強繊維210と混合できるように、第3オープニングシステム250を、繊維移動システム270に該フレーク、粉末、又は顆粒を配給するのに適した装置と置き換えてよい。当業者は、好適な配給装置を容易に特定するだろう。有機繊維220に加え(代わりではなく)、フレーク、顆粒、又は粉末形態の樹脂を使用する実施態様では、フレーク、顆粒、又は粉末を配給する装置を第3オープニングシステム250と置き換えなくてよい。
第1、第2及び第3オープニングシステム230、240、250は、好ましくはベイルオープナーであるが、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220のベイルを広げるのに適したいずれのタイプのオープナーでもよい。オープナーのデザインは、広げる繊維のタイプと物理的性質によって決まる。本発明で使うのに適したオープナーには、秤量デバイスがあるか又は無い通常の標準的ないずれのタイプのベイルオープナーも含まれる。秤量デバイスが働いて、部分的に広げられた繊維が該ベイルオープナーを通過するとき、該部分的に広げられた繊維を連続的に秤量して、次の処理工程に進む繊維の量をモニターする。ベイルオープナーは、種々の微細オープナー、1種以上のリッカイン(licker-in)ドラム又は鋸歯状ドラム、フィーディング(feeding)ローラー、及び/又はフィーディングローラーとノーズバー(nose bar)の組合せを備え得る。
【0014】
次に、部分的に広げられたウェット強化繊維200を第1オープニングシステム230から凝縮ユニット260に供給して、該ウェット繊維から水を除去し得る。典型的な実施態様では、70%を超えるフリーな水(強化繊維の外部にある水)が除去される。しかし、好ましくは、実質的にすべての水が凝縮ユニット260で除去される。ここで使用する用語“実質的にすべての水”とは、フリーな水のすべて又はほとんどすべてが除去される意であることに留意すべきである。凝縮ユニット260は技術上周知のいずれの乾燥デバイス又は水除去デバイスでもよく、限定するものではないが、エアドライヤー、オーブン、ローラー、吸引ポンプ、加熱ドラムドライヤー、赤外線加熱源、ホットエアブロワー、又はマイクロ波放出源が挙げられる。
強化繊維200が凝縮ユニット260を通過した後、上述したようなベイルオープナー等の別のオープニングシステムに繊維を通して、強化繊維200をさらにフィラメント化及び分離してもよい(図示せず)。
【0015】
強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220を一緒に繊維移動システム270で、好ましくは高速空気流内でブレンドする。繊維移動システム270は、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220をシート形成機280に輸送する導管として働くと共に、これら繊維を実質的に均一に混合するために働く。強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220をできる限り均一に分布させることが望ましい。第1、第2及び第3オープニングシステム230、240、250について上述したような秤量デバイスによって、或いは繊維が第1、第2及び第3オープニングシステム230、240、250を通過するときの量及び/又は速度によって、繊維移動システム270の空気流に入る強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220の比を制御することができる。強化繊維200、音響増強繊維210及び有機繊維220のそれぞれの比は、強化繊維200対音響増強繊維210対有機繊維220が約50:20:30でよい。しかし、空気流中に存在する繊維の比は、最終製品の所望の構造上及び音響上の要求によって変わるだろう。
【0016】
複合材料の所望組成によって、チョップドロービング、ドライユースのチョップドストランドガラス(DUCS)、ガラス繊維、天然繊維(例えば、ジュート、大麻、及びケナフ)、アラミド繊維、金属繊維、セラミック繊維、鉱物繊維、炭素繊維、グラファイト繊維、ポリマー繊維、又はその組合せ等の他の追加の繊維を追加のオープナー(図示せず)で広げてフィラメント化することができる。これら追加の繊維を繊維移動システム270に加え、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維200、210、220と混合することができる。或いは、これら繊維がフィラメント形態で得られる場合、最初にオープニングシステムに通すことなく、繊維移動システム270に加えてよい。このような追加繊維を繊維移動システム270に加える場合、全繊維の質量の約10〜30質量%がこれら追加繊維から成ることが好ましい。
図2に戻って、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220の混合物をシート形成機280に移動することができ、シート形成機280で繊維がシートに形成される。少なくとも1つの典型的な実施態様では、繊維の混合物を高速空気流によってシート形成機280に移す。本発明のいくつかの実施態様では、シート形成機280に入る前に、ブレンドした繊維を繊維移動システム270によって装填ボックスタワー290に輸送し、そこで強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220を、例えばコンピューター監視電子秤量装置によって容積測定してシート形成機280に供給する。装填ボックスタワー290は、望ましくはシート形成機280の外部に配置される。装填ボックスタワー290は、シート形成機280に入る前に強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220をさらにブレンド及び混合するための整流装置を含んでもよい。いくつかの実施態様では、シート形成機280が凝縮器と分配コンベヤーを有して、装填ボックスタワー290への繊維の供給を高め、かつ装填ボックスタワー290を通る空気の量を増やす。広げられた繊維の交差分布を高めるため、シートの方向に対して横断的に分配コンベヤーを動かしてよい。結果として、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220がほとんど又は全く圧力なしで最小限の繊維破損で装填ボックスタワー290に移動し得る。
少なくとも1つの典型的な実施態様では、シート形成機280で形成されたシートを第2シート形成機(図示せず)に移すことができる。第2シート形成機は、シート内で強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220を実質的に均一に分布させる補助をする。さらに、追加のシート形成機の使用により、形成されるシートの構造的統合性を高め得る。代替実施態様では(図示せず)、カーディング(carding)法におけるように、シート形成機280に入る前に、微細なワイヤー又は歯で覆われたドラム又は一連のドラム上に強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220の混合物をブローして繊維を平行配列に梳く(図示せず)。
【0017】
シート形成機280で形成されたシートは、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220の所望の比と重量分布の実質的に均一な分布を含む。シート形成機280で形成されたシートは400〜3000g/m2の重量分布、好ましくは約600〜2000g/m2の重量分布を有し得る。
本発明の1又は2以上の実施態様では、シート形成機280を出るシートを任意にニードルフェルティング(needle felting)装置300におけるニードリング(needling)プロセスに供して、有刺針又はフォーク状針を下向き又は上向きの動きでシートの繊維に通して押し出して、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220をもつれさせ又は絡み合わせて、該シートに機械的な強度と統合性を与える。ニードルフェルティング装置300は、ウェブ供給機構と、ニードルボード、機械の幅1メートル当たり約500〜約7,500個の範囲の有刺フェルティングニードルを有するニードルビームと、ストリッパープレートと、ベッドプレートと、巻取機構とを含み得る。有刺フェルティングニードルをシートの中と外に繰り返し通すことによって、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220の機械的インターロッキングを達成する。当業者は、本発明の方法で使うために選ばれた個々の繊維で使うための最適なニードル選択を容易に特定するだろう。
【0018】
シートがシート形成機280を出た後、又はシートの任意的なニードリングの後、シートを熱結合システム310に進めて、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220を結合して複合材料を形成することができる。しかし、ニードルフェルティング装置300内でシートがニードリングされて、強化繊維200、音響増強繊維210、及び有機繊維220が機械的に結合している場合、複合材料320を形成するためにシートを熱結合システム310を通過させる必要がないことを理解すべきである。
熱結合では、音響増強繊維210と有機繊維220の熱可塑特性を利用し、加熱によって強化繊維200との結合を形成する。熱結合システム310では、音響増強繊維210及び/又は有機繊維220の融点より高いが、強化繊維200の融点より低い温度にシートを加熱する。有機繊維220として二成分繊維を使用する場合、熱結合システム310内の温度は、鞘繊維の融点より高いが、強化繊維200の融点より低い温度に上げられる。音響増強繊維210及び/又は有機繊維220をその融点、又は有機繊維220が二成分繊維の場合は鞘繊維の融点より高い温度に加熱すると、音響増強繊維210及び/又は有機繊維220が接着性になって、音響増強繊維210、有機繊維220、及び強化繊維200を結合する。音響増強繊維210及び/又は有機繊維220が完全に融解すると、融解した繊維は、強化繊維200を包み込むことができる。熱結合システム310内の温度が強化繊維200及び/又は核繊維の融点ほどには上昇しない限り、これら繊維は、熱結合システム310及び複合材料320内で繊維状態のままだろう。
【0019】
音響増強繊維210及び/又は有機繊維220を用いて強化繊維200を相互に結合し得るが、熱結合システム310にシートを進める前に、追加の結合剤としてバインダー樹脂285を添加することができる。バインダー樹脂285は樹脂の粉末、フレーク、顆粒、フォーム、又は液体スプレーの形態でよい。例えば、フラッド及び抽出法のようないずれの適切な方法によってもバインダー樹脂285を添加することができ、或いはシート上にバインダー樹脂285を噴霧することによってバインダー樹脂285を添加してもよい。シートに添加するバインダー樹脂285の量は、複合材料の所望特性によって変化し得る。塩化アンモニウム、p-トルエン、スルホン酸、硫酸アルミニウム、リン酸アンモニウム、又は硝酸亜鉛などの触媒を用いて、硬化速度及び硬化したバインダー樹脂285の品質を高めることができる。
強化繊維200をさらに結合するために利用し得る単独の、又は本明細書で述べる他の結合法に加えて行う別の方法は、ラテックス結合法である。ラテックス結合法では、エチレン(Tg -125℃)、ブタジエン(Tg -78℃)、アクリル酸ブチル(Tg -52℃)、アクリル酸エチル(Tg -22℃)、酢酸ビニル(Tg 30℃)、塩化ビニル(Tg 80℃)、メタクリル酸メチル(Tg 105℃)、スチレン(Tg 105℃)、及びアクリロニトリル(Tg 130℃)等のモノマーから形成されたポリマーを結合剤として使用する。ガラス転移温度(Tg)が低いほど軟らかいポリマーをもたらす。シートが熱結合システム310に入る前に、ラテックスポリマーをスプレーとして添加することができる。シートが熱結合システム310に入ると、ラテックスポリマーが融けて強化繊維200を互いに結合する。
単独で、又は本明細書で述べる他の結合法と組み合わせて使用し得るさらなる任意の結合法は化学結合法である。液体ベース結合剤、粉末接着剤、フォーム、及びいくつかの例では、有機溶剤を化学結合剤として使用できる。化学結合剤の好適な例として、限定するものではないが、アクリレートポリマー及びコポリマー、スチレン-ブタジエンコポリマー、酢酸ビニルエチレンコポリマー、及びその組合せが挙げられる。例えば、ポリ酢酸ビニル(PVA)、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)、低級アルキルアクリレートポリマー、スチレン-ブタジエンゴム、アクリロニトリルポリマー、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、及び塩化ビニリデンと他のモノマーのコポリマー、部分加水分解ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエステル樹脂、及びスチレンアクリレートを化学結合剤として使用し得る。化学結合剤を含浸させ、コーティングし、又は噴霧することによって、化学結合剤をシートに均一に施すことができる。
熱結合システムは、技術上周知のいずれの加熱及び結合法をも包含し得る。例えば、オーブン結合法、強制空気を用いるオーブン結合法、赤外線加熱法、熱カレンダー法、ベルトカレンダー法、超音波結合法、マイクロ波加熱法、及び加熱ドラムが挙げられる。任意に、これら結合法の2種以上を併用してシート内の繊維を結合することができる。熱結合システム310の温度は、使用する個々の音響増強繊維210、有機繊維220、バインダー樹脂製、及び/又はラテックスポリマーの融点、並びにシート内に二成分繊維が存在するか否かによって変化する。
【0020】
代替実施態様では(図示せず)、ウェットレイド(wet-laid)法で複合材料を形成する。例えば、バインダーのみならず、分散剤、粘度変性剤、消泡剤、及び/又は他の化学薬剤を含む水溶液に強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を分散させ、かつ撹拌してスラリーを形成する。次に、スラリー中にある強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を移動スクリーン上に置いて水を除去する。任意に、マットをオーブンで乾燥させてよい。次に、マットをバインダー組成物に浸して該マットにバインダー組成物を含浸させ得る。次に、マットを硬化オーブンに通して如何なる残存水をも除去し、バインダーを硬化させ、かつ音響増強繊維及び/又は有機繊維の少なくとも一部を融かして、強化繊維、音響増強繊維、及び有機繊維を互いに結合する。結果として生じる複合材料は、分散した熱可塑性繊維(音響増強繊維及び有機繊維)と強化繊維の集合である。
【0021】
図3に示した典型的な実施態様では、音響層360と熱層370で複合材料320を形成する。この実施態様では、有機繊維220と強化繊維200で形成された熱層370に貼付又は積層された音響層360内に音響増強繊維210がある。熱層370は、音響増強繊維が存在しないこと以外、上述し、かつ図2及び3示した方法で調製される。音響層360及び熱層370の名称は、本明細書の議論を容易にするために使用され、音響層360と熱層370は両方とも遮音特性と断熱特性を共に与えることを理解すべきである。
音響層360は、エアレイド、ウェットレイド、又はメルトブローン法で形成される不織マットでよく、望ましくは100%の上記音響増強繊維210で形成される。或いは、音響層360は、1又は2以上の音響増強繊維210とポリマーベース熱可塑性有機材料で形成される。ポリマーベース熱可塑性有機材料として、限定するものではないが、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリフェニレンスルフィド(PPS)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、及びその混合物が挙げられる。さらに、音響層360は熱可融性繊維、例えば上述したような二成分繊維を含んでよい。音響層360の成分として二成分繊維を使用する場合、それらは全繊維の10〜80%の量で存在し得る。音響層360を形成する繊維は、同一又は異なる長さ及び/又は直径及び/又はデニールを有し得る。
熱層370の主要面上に音響層360を位置づけ、かつニップロールシステムにより、又はラミネーターを用いて音響層360を熱層370に付着させることができる。従って、音響増強繊維210は複合材料320の一面上にあり、図1及び2に関連して上述したように複合材料全体には分散していない。PlexarTM(Quantum Chemicalから商業的に入手可能)、AdmerTM(Mitsui Petrochemicalから商業的に入手可能)、及びBynelTM(DuPontから商業的に入手可能なアンヒドリド変性ポリオレフィン)等の樹脂製つなぎ層、スプレーオン接着剤、感圧接着剤、超音波、振動溶着、又は他の常用される固着技術を用いて音響層360と熱層370を接着させることができる。
音響層360中に存在する音響増強繊維210及び/又はポリマーベース熱可塑性有機材料(存在する場合)の長さとデニールを変えることによって、熱層370と音響層360で形成される複合製品320の音響的挙動を微調整することができる。さらに、音響増強繊維210の、音響層360中に存在し得る他の繊維状ポリマー材料に対する比を変えて、特有の音響特性を達成することができる。いくつかの典型的な実施態様では、音響層360中の音響増強繊維210の長さは、熱層370中に存在する強化繊維200の長さと実質的に等しく、加工を補助する。
【0022】
ドライレイド法で音響増強繊維210と熱可塑性樹脂ベースポリマー繊維で形成される音響層360の形成の1つの典型的な実施態様を図4に示す。追加の音響増強繊維及び/又はポリマー繊維を用いて音響層360を形成してもよく、図4は説明のためだけに示した特定の繊維であることを理解すべきである。図4に示されるように、典型的にベイルの形態の音響増強繊維210とポリマー繊維330をそれぞれ第1オープナー340と第2オープナー350に通すことによって、音響増強繊維210とポリマー繊維330を広げて、該繊維をフィラメント化することができる。
繊維移動システム270により、好ましくは高速空気流内で、音響増強繊維210とポリマー繊維330を互いにブレンドする。或いは、音響増強繊維210とポリマー繊維330を装填ボックスタワー290に運んで、音響増強繊維210とポリマー繊維330の容積を測定してシート形成機280に供給してもよい。シート形成機280を出るシートを、任意に、機械的強化用の第2シート形成機(図示せず)及び/又はニードルフェルティング(needle felting)装置300に運んでもよい。上述した方法で熱結合機310にシートを通す前にバインダー樹脂285を添加してよい。次に、シートを熱結合機310に通してバインダー樹脂(存在する場合)を硬化させて音響増強繊維210とポリマー繊維330を結合する。
【0023】
本発明の別の典型例では、本複合材料を積層法で用いて自動車用のヘッドライナーのようなライナーを形成する。このような積層法の例を図5に示す。第1組立ライン400では、接着剤分配装置420で形成された第1接着剤層410を、分配装置430を介してスクリム440の上に置く。本発明の複合材料320をロール330から供給し、第1接着剤層410の上に積層させる。第2接着剤450を複合材料320の上に置いて第2接着剤層460を形成する。このようにして製造された第1層状材料は、スクリム440、第1接着剤層410、複合製品320で形成された層、及び第2接着剤層460の連続層を含む。
第2組立ライン470では、分配装置430を介して第3接着剤480を、ポリエチレンテレフタレートのロール495から供給されるポリエチレンテレフタレート繊維のコア層490の上に置く。ポリエチレンテレフタレート繊維のコア層490は、全体的に、ポリエチレンテレフタレート繊維、変性ポリエチレンテレフタレート繊維、又はポリエチレンテレフタレート繊維と変性ポリエチレンテレフタレート繊維の混合物で形成されるマットでよい。いくつかの実施態様では、該コア層490に他の繊維を含めて、特定周波数で音吸収性を増強し、及び/又は特定の周波数で騒音に対するバリアとして作用させることができる。好ましい実施態様では、マット中に1種類だけのポリエチレンテレフタレート繊維が存在する。次に、ロール330から供給される複合材料320を第3接着剤層500の上に積層させ、かつ第4接着剤層510で被覆して、複合材料320が第3及び第4接着剤層500、510の間に挟まれるようにする。第4接着剤層510は、分配装置430から第3接着剤520を置くことによって形成される。このようにして製造される第2層状材料はポリエチレンテレフタレート繊維490、第3接着剤層500、複合材料層320、及び第4接着剤層510の連続層で形成される。
図5に示されるように、第1及び第2組立ラインをインライン合流させて、第2接着剤層460がポリエチレンテレフタレートの層490に隣接して位置づけられるようにすることができる。図6に概略が示される層状複合製品530は、スクリム440、第1接着剤層410、複合材料320の層、第2接着剤層460、ポリエチレンテレフタレート繊維層490、第3接着剤層500、複合材料320の第2層、及び第4接着剤層510の連続層で形成される。層状複合製品530をラミネーションオーブン(図示せず)に通し、熱と圧力を加えて最終的な積層複合材料(図示せず)を形成し得る。この積層複合材料を常法でさらに加工して、自動車用ライナー等の複合製品とすることができる。例えば、積層複合材料をトリミングし、かつモールディング法などによってヘッドライナーに形成することができる。次に、音響目的のためヘッドライナーにフォーム又は布を施してよい。第1、第2、第3、及び第4接着剤として、エチレンと酢酸ビニルのコポリマー(EVA)、エチレンと酢酸のコポリマー(EAA)、酸変性ポリエチレン、コポリアミド、及びアクリル酸エチル等の接着剤が挙げられる。接着剤は、それぞれ同一又は異なってよく、液体形態、フォーム形態、又は粉末形態でよい。好ましくは、接着剤は液体接着剤である。上記積層法について好ましいと考えられる実施態様で述べたが、当業者がこれらの方法と同一視し得る他の変形及び代替法も本発明の範囲内であると考えられることを理解すべきである。例えば、代替実施態様では(図示せず)、スクリム440、第1接着剤層410、複合材料320の層、第2接着剤層460、ポリエチレンテレフタレートコア繊維層490、第3接着剤層500、複合材料320の第2層、及び第4接着剤層510の層を順次置くことによって、積層複合材料を形成することができる。
【0024】
本発明の複合材料は、特に低周波数で(例えば、2000Hz以下)改良された音吸収特性を示す最終製品を形成する。このような改良された音吸収性能は、図7及び8に示される実施例で分かる。まず図7では、本発明の複合材料(ポリプロピレン/ガラス/ポリエチレンテレフタレート複合材料)が、ポリプロピレンとガラス繊維で形成された従来の複合材料に比し、すべての周波数で、より多くの入射音を吸収したことが分かる。従って、本発明の複合材料は低周波数で改良された音吸収性を示すのみならず、中間範囲及び高い周波数でも改良された音吸収性を提供する。図8は、ポリエチレンテレフタレート(PET)とガラス繊維で形成された本発明の複合材料と、有機繊維とガラス繊維で形成され、音響増強繊維のない従来の複合材料の標準的な入射曲線のグラフ図を示す。図8に示されるように、ポリエチレンテレフタレート繊維(音響増強繊維)を含有する複合材料は、約4500Hz以下の周波数で従来のポリプロピレンガラス複合材に比べて大いに改良された吸収係数(%)を有する。図7及び8に示されるように、本発明の複合材料で提供される低周波数における音吸収性能の向上は、道路の騒音、タイヤの騒音、エンジンの騒音、及び/又は風の騒音などの起源由来の車内での内部区画の騒音を低減し、結果として、自動車の乗客及び運転者をより快適にする。例えば、道路の騒音は、典型的に約30〜1000Hz、エンジンの騒音は約500〜4000Hz、タイヤの騒音は約800〜2000Hz、及び風の騒音は約2000〜2000Hzで生じる。さらに、本複合製品は、現在市販されている従来の複合材料に欠けている、構造用途に必要な構造的統合性と剛性を提供する。
【0025】
複合材料中に存在する繊維の特有の組合せによって、複合材料の音響性能を変更又は改善できるので、個々の用途の要求に合わせて音響性能をあつらえることができる。例えば、繊維の重量を変えることによって、或いは強化繊維含量及び/又は強化繊維の長さ若しくは直径を変えることによって、或いは音響増強繊維若しくは有機繊維の繊維長及び/又はデニールを変えることによって、特有の用途で望まれる音響特性を最適化することができる。複合材料の有機繊維及び/又はガラス分の基礎重量を変えることによって、形成される複合部品の厚さ、形成される複合部品の多孔度(気孔率)を調節し得る。さらに、上述したようなドライレイド法でのウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用も、本発明の複合材料の音吸収性の改良に寄与する。本明細書に記載のドライレイド法で形成される複合材料は高いロフト(高い多孔度)を有するからである。
さらに、本複合材料は、該複合材料に使う強化繊維及び/又は有機繊維の重量、長さ、及び/又は直径を変えることによって、特有の用途で必要な物理的性質(例えば剛性及び/又は強度)を最適化する、及び/又はあつらえる能力を提供する。さらに、本明細書に記載の方法で形成される複合材料は、繊維の均一又は実質的に均一な分布を有するので、改良された強度並びに改良された音響及び熱的特性、剛性、耐衝撃性、及び音吸収性を提供する。
【0026】
本発明の別の利点は、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維を強化繊維材料として使用すると、ガラス繊維中に存在する湿分のためほとんど静電気を生じずに容易にガラス繊維を広げて繊維状にし得ることである。さらに、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維は、ドライチョップド繊維より製造費用が安い。ドライ繊維は典型的にチョップするまえに個別工程で乾燥かつ包装されるからである。従って、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維の使用により、複合材料から形成される製品を低コストで製造することができる。
この出願の発明を一般的及び特定実施態様に関して上述した。本発明を好ましい実施態様と考えられることで示したが、一般的な開示内で、当業者に周知の種々多様な代替物を選択することができる。本発明は、添付の特許請求の範囲の記述を除き、その他の点では制限されない。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の一局面のドライレイド法でウェット強化繊維を使用するための工程を示す流れ図である。
【図2】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の複合材料を形成するためのウェット強化繊維を用いるエアレイド法の概略図である。
【図3】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の音響層と熱層で形成される複合材料の概略図である。
【図4】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の音響層を形成するため音響増強繊維とポリマー繊維を利用するエアレイド法の概略図である。
【図5】本発明の少なくとも1つの典型的な実施態様の層状複合製品を製造するための積層法の概略図である。
【図6】図5に示される典型的な方法で形成される層状複合製品の概略図である。
【図7】従来のポリプロピレン/ガラス複合材料及び本発明のポリプロピレン/ガラス/ポリエチレンテレフタレート複合材料のランダムな入射音の吸収のグラフ図である。
【図8】従来のポリプロピレン/ガラス複合材料及び本発明のポリプロピレン/ガラス/ポリエチレンテレフタレート複合材料の標準的な入射音の吸収のグラフ図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の工程を含む、音及び熱吸収性複合材料(320)の製造方法:
ウェット強化繊維のベイルを少なくとも部分的に広げる工程;
前記少なくとも部分的に広げられたウェット強化繊維から水を除去して、脱水した強化繊維を形成する工程;
前記脱水した強化繊維を有機繊維及び音響増強繊維とブレンドして、前記脱水した強化繊維、前記有機繊維、及び前記音響増強繊維の実質的に均質な混合物を形成する工程;
前記混合物をシートに形成する工程;及び
前記脱水した強化繊維、前記有機繊維、及び前記音響増強繊維の少なくとも一部を結合して複合材料を形成する工程。
【請求項2】
前記結合工程が、前記シートをニードリングプロセスに供して、前記脱水した強化繊維、前記有機繊維、及び前記音響増強繊維を機械的に結合する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記結合工程が、前記有機繊維及び前記音響増強繊維の少なくとも一方の融点より高く、かつ前記脱水した強化繊維の融点より低い温度に前記シートを加熱して、前記有機繊維及び前記音響増強繊維の少なくとも一方を少なくとも部分的に融かす工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記結合工程の前に、結合剤(285)を添加する工程をさらに含み、前記結合剤が、樹脂粉末、樹脂フレーク、ラテックスポリマー、樹脂顆粒、接着剤フォーム及び有機溶剤から成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記形成工程が、前記混合物を少なくとも1つのシート形成機(280)に通す工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記形成工程の前に、前記混合物を装填ボックスタワー(290)に輸送する工程をさらに含み、前記装填ボックスタワーは、前記混合物の容積を測定して前記シート形成機に前記混合物を供給する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記有機繊維が、二成分繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分加水分解ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン及びブタジエンコポリマーから成る群より選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記音響増強繊維が、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維及び変性ポリエチレンテレフタレート繊維から成る群より選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェット強化繊維が、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1に記載の方法で製造された複合マット。
【請求項11】
以下の工程を含む、積層複合製品の製造方法:
以下を含む第1層状材料を形成する工程:
第1接着剤(420)で形成された第1接着剤層(410)を第1スクリム(440)の上に置く工程;
前記第1接着剤層の上に、脱水したウェット強化繊維と、有機繊維と、音響増強繊維とを含む第1複合材料の層(320)を位置づける工程;及び
第2接着剤(450)で形成された第2接着剤層(460)を前記第1複合材料層の上に置く工程;
以下を含む第2層状材料を形成する工程:
第3接着剤(520)で形成された第3接着剤層(500)を、ポリエチレンテレフタレート繊維、変性ポリエチレンテレフタレート繊維及びこれらの組合せから成る群より選択されるメンバーで形成されたコア層の上に置く工程;
前記第3接着剤層の上に、前記強化繊維と、前記音響増強繊維と、前記有機繊維とを含む第2複合材料の層を置く工程;及び
第4接着剤で形成された第4接着剤層(510)を前記第2複合材料層の上に置く工程;並びに
前記第2層状材料と前記第1層状材料を、前記第2接着剤層が前記コア層に隣接して配置されるように位置づけて、積層複合製品(530)を形成する工程。
【請求項12】
前記積層複合製品が自動車用ヘッドライナーであり、かつ前記方法が以下の工程をさらに含む、請求項11に記載の方法:
前記積層複合製品をトリミングする工程;及び
前記トリミングした積層複合製品をヘッドライナーに成形する工程。
【請求項13】
前記トリミング工程の前に、前記積層複合製品を加熱する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記複合材料を形成する工程をさらに含み、この形成工程が以下の工程を含む、請求項11に記載の方法:
ウェット強化繊維のベイルを少なくとも部分的に広げる工程;
前記少なくとも部分的に広げられたウェット強化繊維から水を除去して、脱水した強化繊維を形成する工程;
前記脱水した強化繊維を有機繊維及び音響増強繊維とブレンドして、前記脱水した強化繊維、前記有機繊維、及び前記音響増強繊維の実質的に均質な混合物を形成する工程;
前記混合物をシートに形成する工程;及び
前記脱水した強化繊維、前記有機繊維、及び前記音響増強繊維の少なくとも一部を結合して前記複合材料を形成する工程。
【請求項15】
前記第1、第2、第3、及び第4接着剤が、液体形態、フォーム形態及び粉末形態から成る群より選択される形態を有する、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
以下の工程を含む、複合材料の製造方法:
ウェット強化繊維のベイルを少なくとも部分的に広げる工程;
前記少なくとも部分的に広げられたウェット強化繊維から水を除去して、脱水した強化繊維を形成する工程;
前記脱水した強化繊維を有機繊維とブレンドして、前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の実質的に均質な混合物を形成する工程;
前記混合物をシートに形成する工程;
前記シート内の前記強化繊維と前記有機繊維を結合して第1層を形成する工程;及び
前記第1層に、音響増強繊維で形成された第2層を貼付して複合材料を形成する工程、ここで前記音響増強繊維は、ポリエチレンテレフタレート繊維及び変性ポリエチレンテレフタレート繊維から成る群より選択される。
【請求項17】
前記有機繊維が、二成分繊維、ポリエステル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレンテレフタレート(PET)繊維、ポリフェニレンスルフィド(PPS)繊維、ポリ塩化ビニル(PVC)繊維、エチレン酢酸ビニル/塩化ビニル(EVA/VC)繊維、低級アルキルアクリレートポリマー繊維、アクリロニトリルポリマー繊維、部分加水分解ポリ酢酸ビニル繊維、ポリビニルアルコール繊維、ポリビニルピロリドン繊維、スチレンアクリレート繊維、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリスルフィド、ポリカーボネート、レーヨン、ナイロン及びブタジエンコポリマーから成る群より選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ウェット強化繊維が、ウェットユースのチョップドストランドガラス繊維である、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記結合工程が、前記有機繊維の融点より高く、かつ前記脱水した強化繊維の融点より低い温度に前記シートを加熱して、前記有機繊維を少なくとも部分的に融かして、前記脱水した強化繊維と前記有機繊維の少なくとも一部を結合する工程を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
前記結合工程の前に、前記シートをニードリングプロセスに供して、前記脱水した強化繊維と前記有機繊維を機械的に結合する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記結合工程の前に、結合剤を添加する工程をさらに含み、前記結合剤が、樹脂粉末、樹脂フレーク、ラテックスポリマー、樹脂顆粒、接着剤フォーム及び有機溶剤から成る群より選択される、請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−525664(P2008−525664A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−549416(P2007−549416)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【国際出願番号】PCT/US2005/045057
【国際公開番号】WO2006/071518
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507130004)オウェンス コーニング ファイバーグラス テクノロジー ザ セカンド リミテッド ライアビリティ カンパニー (9)
【Fターム(参考)】