説明

改良強度を有する混合オキシアルキレンユニット具有ポリマー

本発明は、2種又はそれよりも多種のポリオール混合物を用いて製造される組成物及び該組成物の製造方法に関する。本発明はまた、該組成物の接着剤、封止剤、表面被覆剤、充填剤及び成形品製造材料としての使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2種若しくはそりよりも多種のポリオールの混合物を使用することによって製造されるポリマー組成物(特に、ポリウレタン)、該ポリマー組成物の製造方法及び該ポリマー組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンは、特に、表面被覆剤、接着剤及び封止剤の分野における使用を通じて広範囲の分野において使用可能な合成物質として多くの技術分野において利用されている。この場合、外部から供給される化合物による活性化によって架橋される反応性末端基を有するポリウレタンは特に注目されている。例えば、水(例えば、空気中の水分)と反応し得る末端基が重要である。
【0003】
この反応性を利用することによって、加工可能な状態の反応性ポリウレタンを所望の場所に存在する所望の型内へ供給した後、水の添加又は空気中の水分の作用等によって、反応性末端基と反応性のある化合物を用いて硬化させることが可能となる。この場合、通常は、硬化剤の添加は加工前におこなわれるので、硬化剤の添加後に作業者が利用できる加工時間は非常に制限される。
【0004】
反応性末端基としてはイソシアネート末端基が例示される。この種の末端基を有するポリウレタンは、適当な官能価を有する化合物の存在下では、空気中の水分の作用で硬化する。もっとも、例えば、水の存在下でNCO−末端基を有するポリウレタンを使用する際には二酸化炭素が生成する。通常は、これによって問題がもたらされることはないが、二酸化炭素の発生は、多くの用途における表面構造に不都合な効果をもたらす。さらに、この種のポリウレタンは滑らかな不活性表面(例えば、ガラス、セラミック及び金属等の表面)上には付着しない場合が多い。
【0005】
このような問題の対策、即ち、上記のような表面上へのポリウレタンの強固で耐久性のある接合を可能にする対策として、従来技術においては、このような場合には、例えば、アルコキシシラン基を反応性末端基としてポリウレタン中へ導入することが提案されている。
【0006】
特に、シリル基を有するポリマーを、接着剤、封止剤及び発泡材料の結合剤として使用することの重要性が最近になって益々高まっている。このようなポリマーにおいては、通常は、アルコキシシラン末端基を有するポリウレタン−プレポリマーが重要である。しかしながら、従来技術においては、前記問題点の別の解決策も提案されている。
【0007】
例えば、ヨーロッパ特許公報EP0265929B1には、アクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルから成る硬化性ポリマー並びに硬化性オキシアルキレンポリマーが記載されている。特に、下記の成分(a)〜(c)を含有する硬化性マスが記載されている:
(a)シロキサン結合によって架橋するケイ素含有官能基を有する共重合体であって、その分子鎖が50重量%以上の下記のユニット 1)及び 2)を含む該共重合体;
1)炭素原子数が1〜8のアルキル基を有するアルキルアクリレートエステルモノマーユニット及び/又は炭素原子数が1〜8のアルキル基を有するアルキルメタクリレートエステルモノマーユニット、並びに
2)炭素原子数が少なくとも10であるアルキル基を有するアルキルアクリレートエステルモノマーユニット及び/又は炭素原子数が少なくとも10であるアルキル基を有するアルキルメタクリレートエステルモノマーユニット、
(b)シロキサン結合によって架橋するケイ素含有官能基を有するオキシアルキレン重合体、
(c)硬化促進剤。
【0008】
一般に、溶剤に基づく弾性接着剤は取り扱いが容易であるが、該弾性接着剤は、環境に対して有害であるだけでなく、引火性のある溶剤を必須成分として含有するという問題がある。このような問題を解決するために、多くの研究がなされている。例えば、この種の接着剤の代替物として、溶剤不含接着剤及び水性触圧接着剤等が開発されている。
【0009】
米国特許公報US6306966B1には、接着剤として適した湿分硬化性組成物が記載されている。該組成物は、下記のユニットi)〜iii)を含む成分Aを、粒径が0.01〜300μmの非晶質粉末である成分Bと混合することによって調製される:
i)炭素原子数が1〜8のアルキル基を有するシリル基含有アルキルアクリレートモノマーユニット及び/又はシリル基含有アルキルメタクリレートモノマーユニット、
ii)炭素原子数が10以上のアルキル基を有するシリル基含有アルキルアクリレートモノマーユニット及び/又はシリル基含有アルキルメタクリレートモノマーユニット、
iii)反応性Si−基を有するオキシアルキレンポリマー。
【0010】
しかしながら、上記系には、該組成物を用いて得られる引張強さが多くの場合は狭い範囲に限定されるという欠点がある。さらに、特に接着剤の強度付与性構造中へ重合体を組み入れることは困難な場合が多い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明が解決しようとする課題は、上述の問題点を有さない組成物を提供することである。特に、本発明の課題は、高い引張強さをもたらす組成物を提供することである。さらに、本発明の課題は、本発明による当該組成物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明によれば、2種以上のポリオールの混合物を用いて調製される組成物(特に、ポリウレタン)が前述の従来技術における欠点を有していないことが判明した。特に驚くべきことには、本発明において用いる2種以上のポリオール混合物が、特にシリル基又はイソシアネート基に基づいて架橋される架橋性組成物であって、架橋状態において明確に改良された引張強さを発揮する架橋性組成物を万能的な方法によって供給するのに適していることが判明した。
【0013】
即ち本発明は、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋に導く多数の反応性官能基を有する架橋性ポリマーを少なくとも1種含有する架橋性ポリマー組成物であって、下記の成分 a)若しくは b)若しくは c)を含有する該架橋性ポリマー組成物に関する:
a)ポリマー主鎖が少なくとも2種のオキシアルキレンユニットOX及びOXを有する少なくとも1種の架橋性ポリマーであって、少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する該架橋性ポリマー、
b)ポリマー主鎖が少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第1ポリマー、及びポリマー主鎖が少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1架橋性ポリマー中の第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第2ポリマー、
c)上記の a)成分と b)成分との混合物
[この場合、第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)と第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)の重量比は10:90〜90:10である]。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明において用いる「組成物」という用語は、2種若しくはそれよりも多種の異なる物質の混合物を意味する。この場合、本発明による組成物が、例えば、特定のタイプのポリマーであって、1よりも大きい多分散度に基づいて2種以上の異なるポリマー分子を含むポリマーを含有するときには(この場合、これらのポリマー分子は、分子量及び/又は化学的組成に基づいて、種類や調製法に特徴的は方法によって区別される)、本明細書においては十分である。
【0015】
本発明において用いる「オキシアルキレンユニット」という用語は、一般式−O−R−O−で表されるユニットを意味する。この一般式において、Rは、炭素原子数が2〜約40の線状若しくは分枝状の飽和若しくは不飽和アルキル基、炭素原子数が4〜18の飽和若しくは不飽和シクロアルキル基又は炭素原子数が6〜24のアリール基を示す。この場合、Rは、本発明による組成物における官能基の架橋に関する反応性を妨げる影響をもたらさないか、又は、少なくとも該反応性を妨げる影響を回避できる程度以上の影響をもたらさない1個若しくは複数個の置換基を有していてもよい。
【0016】
本発明において用いる「オキシアルキレンユニット」という用語は、1種の序列(sequence)−O−R−O−から成っていてもよい。しかしながら、本発明においては、相当する「オキシアルキレンユニット」は2種以上のこの種の序列を有する態様も包含される。この場合、常套の用語法に従えば、これらは「ポリエーテル」とみなされる。本発明においては、前述の2種のオキシアルキレンユニットの序列は「ポリエーテル」として記載されるものであり、このことは、2種よりも多い前述のオキシアルキレンユニットの序列にも適用できる。
【0017】
本発明による組成物に含まれるポリマーは、「適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋に導く多数の反応性官能基」を有する。本明細書において用いる「架橋」という用語は、ポリマー化学における関連する定義によるネットワークの形成を意味する。本発明による組成物中に含まれるポリマーは、2個よりも多くの架橋に使用される架橋性の単官能性基を必ずしも有していなければならないことはない。本発明による組成物に含まれるポリマーが、2官能性よりも高位の適当な架橋剤によって架橋されるこの種の単官能性基を僅かに2個有する態様も可能である。この種の架橋性の単官能性基は、例えば、イソシアネート基である。
【0018】
さらに、本発明においては、本発明による組成物に含まれるポリマーは架橋性の多官能性官能基を有していてもよく、このような態様も本発明に含まれる。相当する官能性基は、例えば、2個又はそれよりも多くの、好ましくは共有結合性の潜在的な結合部位を有するので、例えば、各々が2個の結合部位を有する2個のこの種の官能基はポリマー中に全体で4個の結合部位をもたらす。この結果、全体で2個の官能基は、個々の官能基の多官能性に基づいて架橋をもたらすことができる。このような意味において適当な官能基は、例えば、シリル基である。
【0019】
本発明において用いる「シリル基」という用語は、下記の一般式(I)で表される官能基を意味する:
【化1】

一般式(I)において、R〜Rは相互に独立して、線状若しくは分枝状の炭素原子数が1〜約24の飽和若しくは不飽和炭化水素基、炭素原子数が4〜約24の飽和若しくは不飽和シクロアルキル基、又は、炭素原子数が6〜約24のアリール基を示し、n、m及びjはそれぞれ0〜3の整数を示し(但し、m+n+j=3である)、aは0〜3の整数を示し、bは0〜2の整数を示し、cは0〜8の数を示す。
【0020】
原則的には、本発明による組成物は、実質上任意の架橋に適した官能基を有するポリマーを含有する。適当な官能基は、ポリマー中の任意の位置に配置されていてもよい。従って、例えば、適当な官能基は、ポリマーの末端に配置されていてもよい。しかしながら、適当な官能基は、ポリマー主鎖の内部の1若しくは複数の任意の位置又は側鎖中に配置されていてもよい。
【0021】
官能基としては、原則的には、自己反応又は架橋剤との反応によって組成物中に含まれるポリマーの架橋をもたらすことができる全ての官能基が適している。この場合、架橋は、例えば、特定の外部条件によって惹起させることができる。適当な外部条件は、例えば、一定の温度、光若しくは高エネルギー放射線の使用又は大気中の特定の化合物(特に、水分)の利用であってもよい。架橋の達成は、例えば、官能基がカルボキシル基若しくはエポキシ基の場合には通常は昇温によっておこなわれ、又、オレフィン性不飽和二重結合の場合には光又はその他の高エネルギー放射線を作用させることによっておこなわれるが、本発明においては、周囲環境に起因する物質の作用、特に水の作用又は空気中の湿分の作用によって架橋する官能基を有するポリマーを使用するのが好ましい。本発明の好ましい実施態様においては、本発明による組成物は、反応性官能基としてイソシアネート基若しくはシリル基又は両者を有する少なくとも1種のポリマーを含有する。
【0022】
本発明においては、原則的には、任意のタイプのポリマーが適している。しかしながら、本発明の好ましい実施態様においては、本発明による組成物は、ポリマーとして、ポリウレタン、ポリエーテル又はポリエステルを含有する。
【0023】
この場合、「ポリウレタン」という用語は、例えば、適切な1段階若しくは2段階のポリウレタン合成法によって得られる特定のポリウレタン構造を有する化合物を意味するものである。この概念には、例えば、重付加法の統計的特徴によってもたらされる該ポリウレタン構造を有する全ての誘導体が包含される。
【0024】
本発明による第1の実施態様においては、本発明による組成物は、ポリマー主鎖が少なくとも2種のオキシアルキレンユニットOX及びOXを有する少なくとも1種のポリマーであって、少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOXが隣接する酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する該ポリマーを含有する。
【0025】
本明細書に記載の「オキシアルキレンユニット」という用語の定義によれば、オキシアルキレンユニットOX及びOXは、OX中の残基Rが、OX中の残基Rの場合よりも少なくとも2個多い炭素原子を有するという点で区別される。この場合、本発明による効果を得るためには、OX及びOX中のRが炭素原子数の総数の点で区別されるだけでなく、オキシアルキレンユニットの直接的に隣接する酸素原子間に位置して末端と末端とを直接的に結ぶ結合中の炭素原子の数が少なくとも1個相違するということが前提となる。
【0026】
本発明の好ましい実施態様においては、末端と末端を直接的に結ぶ結合中に含まれるオキシアルキレンユニットの直接的に隣接する酸素原子間に位置する炭素原子の数の差は少なくとも2である。
【0027】
本発明による組成物中に含まれるポリマーは、本発明の範囲内においては、個々のポリマー鎖の内部(即ち、個々のポリマー分子の内部)のオキシアルキレンユニットに関する上記の条件が満たされるようにして調製することができる。しかしながら、本発明には次の態様も包含される。即ち、本発明による組成物は、ポリマー主鎖が少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第1ポリマー、及びポリマー主鎖が少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1ポリマー中の第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第2ポリマーを含有する。
【0028】
さらに、本発明の範囲内には、次の態様も包含される。即ち、本発明による組成物は、i)ポリマー主鎖が少なくとも2種のオキシアルキレンユニットOX及びOXを有する少なくとも1種のポリマーであって、少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する該ポリマー、
ii)ポリマー主鎖が少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第1ポリマー、及び
iii)ポリマー主鎖が少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1ポリマー中の第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第2ポリマーを含有する。
【0029】
さらに、本発明による効果を達成するためには、第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)と第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)の重量比を10:90〜90:10にすることが重要である。この場合、本発明においては、本発明による組成物に含まれるポリマーに応じて、該重量比を約20:80〜約80:20若しくは約30:70〜約70:30若しくは約40:60〜約60:40、例えば、50:50にすることが適当であることが判明した。しかしながら、本発明の範囲内においては、好ましくは、OXとOXの比が1:1よりも大きな値(好ましくは、約1.1:1〜約8.5:1若しくは約1.2:1〜約8:1若しくは約1.5:1〜約5:1若しくは約2:1〜4:1)であるポリマー若しくはポリマー混合物が使用される。
【0030】
オキシアルキレンユニットOX及びOXは、特定のポリマーの主鎖中に共存している限り、実質上任意の序列で配置されていてもよい。しかしながら、本発明においては、少なくとも2種の異なるオキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマーを含む場合には、これらのオキシアルキレンユニットは、ランダム状、又は−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−のようなブロック状、又は−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−のようなブロック状に配列される。
【0031】
オキシアルキレンユニットのブロック状配列−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−は、本発明の範囲内においては、本発明において使用するポリマー中のオキシアルキレンユニットが、実際上このような配列様式で共有結合的に相互に結合しなければならないということを意味するものではない。このような配列様式は、ポリマー中のオキシアルキレンユニットの序列を単に模式的に示すだけであって、個々のオキシアルキレンユニット間には共有結合が存在することが可能であるが、存在しなければならないわけではない。又、本発明によれば、個々のオキシアルキレンユニット間又は同種若しくは異種のオキシアルキレンユニットの個々のブロック間に分子構造(例えば、ポリマーの合成反応に基づいて出現する分子構造)を存在させることも可能である。
【0032】
個々のオキシアルキレンユニット間又はオキシアルキレンユニットのブロック間に出現できる適当な構造は、例えば、既知のモノマー性若しくはポリマー性ユニットの重縮合若しくは重付加によってもたらされるような構造である。特にこの種の構造はエステル結合又はウレタン結合であってもよい。従って、例えば、2個のオキシアルキレンユニットの結合は、対応するOH基具有オキシアルキレンユニットをジイソシアネートと反応させることによってもたらされる。これによって、2個のオキシアルキレンユニット間には、2個若しくは1個の特徴的構造を有する基を介してもたらされる結合が形成される。本明細書においては、相当する構造についてさらに詳述する。
【0033】
本発明による組成物は、当業者には既知の実質上任意の方法によって調製することができる。しかしながら、以下に詳述するような方法によれば、特に良好な結果がもたらされることが判明した。
【0034】
本発明は、少なくとも下記の2種の成分A及びBを反応させることによって調製される架橋性ポリマー組成物にも関する:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物;
b)成分B:2種以上のポリオールの混合物[この場合、成分Bは、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する少なくとも2種のポリオールを含有し、OXは2個の隣接する酸素原子間にOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10である]。
【0035】
従って、本発明による組成物は、イソシアネート若しくはポリイソシアネート又は先に詳述したようなこれらの混合物を先に規定した2種以上のポリオール混合物と反応させることによって調製することができる。
【0036】
本発明の範囲内においては、成分Aとしては、例えば、ポリイソシアネート又は2種以上のポリイソシオアネートの混合物を使用する。本発明によるポリイソシアネートを調製するためには、原則的には、2個以上のイソシアネート基を有する全ての化合物が適している。ポリイソシアネートは、少なくとも2個のイソシアネート基(NCO−基)を有する化合物を意味する。この種の化合物としては、次の一般的構造式によって表される化合物が例示される:O=N=C−Z−C=N=O(式中、Zは線状若しくは分枝状の脂肪族、脂環式若しくは芳香族炭化水素基を示し、該炭化水素基は、所望により、別の不活性な置換基若しくは反応を妨げない置換基を有していてもよい)。この種の化合物においては、モノマー性化合物、例えば、ポリイソシアネートが重要である。しかしながら、本発明においては、2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、対応する構成成分の反応、特にポリイソシアネートとポリオール若しくはポリアミンとの反応によって得られる化合物を使用することも可能である。例えば、本発明の範囲内においては、2個以上のイソシアネート基を有する化合物としては、ポリウレタンプレポリマー又は2種以上のこれらの混合物が使用される。該ポリウレタンプレポリマーは1種のポリイソシアネート若しくは2種以上のポリイソシアネートの混合物を1種のポリオール若しくは2種以上のポリオールの混合物又は1種のポリアミン若しくは2種以上のポリアミンの混合物と反応させることによって調製することができる。
【0037】
本発明において成分Aとして使用するポリイソシアネートとしては、下記のものが例示される:エチレンジイソシアネート、1,4−テトラメチレンジイソシアネート、1,4−テトラメトキシブタンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、シクロブタン−1,3−ジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3及び−1,4−ジイソシアネート、ビス(2−イソシアナト−エチル)フマレート、2種以上のこれらの混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジシソシアネート;IPDI)、2,4−及び2,6−ヘキサヒドロトルイレンジシソシアネート、ヘキサヒドロ−1,3−又は−1,4−フェニレンジイソシアネート、ベンジジンジイソシアネート、ナフタリン−1,5−ジイソシアネート、1,6−ジイソシアナト−2,2,4−トリメチルヘキサン、1,6−ジイソシアナト−2,4,4−トリメチルヘキサン、キシリレンジイソシアネート(XDI)、テトラメチルキシリレンジシソシアネート(TMXDI)、1,3−及び1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−又は2,5−トルエンジイソシアネート(TDI)、2,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’−ジフェニルメタンジイソシアネート若しくは4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)又はこれらの部分的若しくは完全な水素化シクロアルキル誘導体[例えば、完全水素化MDI(H−MDI)]、アルキル置換ジフェニルメタンジイソシアネート[例えば、モノ−、ジ−、トリ−若しくはテトラアルキルジフェニルメタンジイソシアネート及びこれらの部分的若しくは完全な水素化シクロアルキル誘導体]、4,4’−ジイソシアナトフェニルペルフルオロエタン、フタル酸−ビス−イソシアナトエチルエステル、1−クロロメチルフェニル−2,4−又は2,6−ジイソシアネート、1−ブロモメチルフェニル−2,4−又は2,6−ジイソhシアネート、3,3−ビス−クロロメチルエーテル−4,4’−ジフェニルジイソシアネート、含硫黄ジイソシアネート[例えば、2モルのジイソシアネートに1モルのチオジグリコール若しくはジヒドロキシジヘキシルスルフィドを反応させて得られる化合物]、ダイマー脂肪酸及びトリマー脂肪酸のジイソシアネート及びトリイソシアネート、又は前記の化合物の任意の2種以上の混合物。
【0038】
これらのイソシアネートの混合物としては、ジイソシアナトトルエン及びジイソシアナトジフェニルメタンの各構造異性体の混合物が重要であり、特に、2,4−ジイソシアナトトルエン80モル%と2,6−ジイソシアナトトルエン20モル%の混合物が適当である。さらに、芳香族イソシアネート(例えば、2,4−ジイソシアナトトルエン及び/又は2,6−ジイソシアナトトルエン等)と脂肪族若しくは脂環式イソシアネート(例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート又はIPDI等)との混合物が好ましい。この場合、脂肪族イソシアネートと芳香族イソシアネートとの混合比は約4:1〜1:4である。
【0039】
本発明において用いる成分Aを調製するためのポリイソシアネートとしては、3価若しくはそれよりも高位の多価イソシアネート、例えば、ジイソシアネートのオリゴマー化、特に、前述のイソシアネートのオリゴマー化によって得られるイソシアネート等も適当である。この種の3価若しくはそれよりも高位の多価ポリイソシアネートとしては、HDI若しくはIPDI若しくはこれらの混合物のトリイソシアヌレート又はこれらの混合トリイソシアヌレート及びポリフェニルメチレンポリイソシアネート(例えば、アニリン−ホルムアルデヒド縮合生成物のホスゲン化によって得られる生成物等)が例示される。
【0040】
本発明の範囲内において、ポリウレタンプレポリマーを用いて調製されるポリマーが本発明による組成物中に含まれる場合には、ポリイソシアネート若しくは2種以上のポリイソシアネートの混合物を、少なくとも2個の活性水素原子を有する化合物又はこれらの化合物の2種以上の混合物と反応させて得られるポリウレタンプレポリマーを使用することが本発明においては好ましい。
【0041】
本発明の範囲内においては、少なくとも2個の活性水素を有する化合物として、特に、2個以上のOH−基を有する化合物(ポリオール)、1個のアミノ基若しくは所望により完全若しくは部分的に単純置換された2個以上のアミノ基を有する化合物、少なくとも2個のカルボン酸基を有する化合物、少なくとも2個のメルカプト基を有する化合物又はこれらの2種以上の混合物が使用される。本発明の範囲内においては、ポリオール若しくはポリアミンを用いて調製されるポリウレタンプレポリマーが特に好ましい。
【0042】
本発明の範囲内において成分A若しくは成分Aの構成成分として適当なポリウレタンプレポリマーを調製するためには、1種のポリオール又は2種以上のポリオールの混合物がポリウレタンの合成に際して使用される。
【0043】
本発明の範囲内において用いる「ポリオール」という用語には、少なくとも2個のOH−基を有する化合物が包含され、該化合物がさらに別の官能基を有しているかどうかということとは関係がない。しかしながら、好ましくは、本発明の範囲内において使用されるポリオールは官能基としてOH−基のみを有する化合物である。なお、ポリオールがさらに別の官能基を有する場合には、全てのこれらの官能基は、ポリイソシアネートとポリオールとの反応を支配する条件下において、少なくともイソシアネートに対して非反応性である。
【0044】
適当なポリオールの中でも、例えば、ポリエステルポリオールが重要であり、この種のポリエステルポリオールは、例えば、次の文献に記載されている:ウルマンズ・エンチクロペディー・デア・テヒニッシェンヘミー、第4版、第19巻、第62頁〜第65頁。好ましくは、2価アルコールを多価(好ましくは2価)ポリカルボン酸と反応させることによって調製されるポリエステルポリオールが使用される。ポリカルボン酸は脂肪族、脂環式、芳香族−脂肪族、芳香族又は複素環式のポリカルボン酸であってもよく、この種のポリカルボン酸は所望により、例えば、ハロゲン原子等によって置換されていてもよく、及び/又は不飽和カルボン酸であってもよい。この種のポリカルボン酸としては、次の化合物が例示される:スベリン酸、アゼライン酸、フタル酸、イソフタル酸、無水フタル酸、無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水テトラクロロフタル酸、無水エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水グルタル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、フマル酸及び/又はダイマー脂肪酸。
【0045】
上記のポリカルボン酸は、成分Aを合成するための唯一の酸成分として単独で使用してもよく、あるいは混合物で使用してもよい。次の一般式で表されるカルボン酸、例えば、コハク酸、アジピン酸、ドデカンジカルボン酸及びセバシン酸等が好ましい:HOOC−(CH−COOH[式中、yは1〜20の数、好ましくは2〜20の偶数を示す]。ポリエステルポリオールを調製するためには、遊離のポリカルボン酸の代わりに、対応するポリカルボン酸無水物、対応する低級アルコールのポリカルボン酸エステル又はこれらの混合物を使用することができる。
【0046】
成分Aを調製するためにポリカルボン酸成分と反応させる多価アルコールとしては、次の化合物が例示される:エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,4−ブチンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン[例えば、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン]、2−メチル−1,3−プロパンジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール等。ネオペンチルグリコール及び次式で表されるアルコールが好ましい:HO−(CH)x−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは、2〜20の偶数を示す]。この種のアルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール及び1,12−ドデカンジオール等が例示される。
【0047】
さらに、ポリオールとしては、ポリカーボネートジオール、例えば、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子量アルコールをホスゲンに過剰量反応させて得られるポリカーボネートジオール等を使用してもよい。
【0048】
さらにまた、ラクトンに基づくポリエステルジオールもポリオールとして適当である。この場合、ラクトンのホモポリマー又はコポリマー、好ましくは、ラクトンと適当な2官能性スターター成分との反応によって得られる末端ヒドロキシル基具有付加物が重要である。適当なラクトンとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン及び/又はメチル−ε−カプロラクトン並びにこれらの任意の混合物が例示される。適当なスターター成分としては、ポリエステルポリオールの構成成分として上述した低分子量の2価アルコールが例示される。低分子量のポリエステルジオール又なポリエーテルジオールもラクトンポリマーの調製用スターターとして使用することができる。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに対応するヒドロキシカルボン酸から得られる化学的に等価な重縮合物も使用することができる。
【0049】
ポリエステルポリオールは、副次的な量の単官能性及び/又は多官能性モノマーを用いて調製することもできる。
【0050】
同様に、ポリオール成分としては、例えば、エチレン性不飽和結合とOH基を有するモノマーの重合によって得られるOH基具有ポリアクリレートも使用できる。この種のモノマーは、例えば、エチレン性不飽和結合を有するカルボン酸に2価アルコールを反応させることによって得られる(この場合、通常はアルコールを少過剰量で反応させる)。エチレン性不飽和結合を有する適当なカルボン酸としてはアクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びマレイン酸等が例示される。対応するOH基具有エステルとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート及びこれらの2種若しくはそれ以上の混合物が例示される。
【0051】
さらに、ポリオールとしては、ポリエーテルジオール若しくはポリエーテルポリオールを使用してもよい。この種のポリオールは、特にプロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド、若しくはエピクロロヒドリンを、例えば、BF等の存在下において、これら自体を重合させるか、又はこれらの化合物を活性水素原子具有スターター成分[例えば、水、アルコール若しくはアミン、例えば、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)プロパン若しくはアニリン等]に付加させることによって得られる(これらの化合物は、所望により混合物として反応させてもよく、あるいは逐次的に反応させてもよい)。
【0052】
ポリエステルポリオールの調製の場合であっても、あるいはポリエーテルポリオールの調製の場合であっても、2価よりも高い官能価を有するアルコールを副次的な量で使用してもよい。このような化合物としては、特に次の化合物が例示される(この場合、エステル化のためには、単官能性の脂肪族カルボン酸を使用するのが好ましい):トリメチロールプロパン、ペンタエリトリット、グリセリン、グルコース等の糖、オリゴマー化ポリオール(例えば、トリメチロールプロパン、グリセリン又はペンタエリトリットのダイマーエーテル又はトリマーエーテル)、及び前述の一般式で表される多官能性アルコールの部分エステル化物(例えば、部分エステル化トリメチロールプロパン、部分エステル化グリセリン、部分エステル化ペンタエリトリット、部分エステル化ポリグリセリン等)。所望により、ポリオールのヒドロキシル基は、アルキレンオキシドとの反応によって、エーテル化されていてもよい。上記の化合物も、ポリエーテルポリオールを調製するためのスターター成分として適当なものである。好ましくは、2よりも高い官能基を有するポリオール化合物をポリエステルポリオール又はポリエーテルポリオールを調製するために副次的な量で使用してもよい。
【0053】
また、ポリオールとしては、ポリヒドロキシオレフィン(好ましくは、2個の末端ヒドロキシル基を有するもの、例えば、α,ω−ジヒドロキシポリブタジエン、α,ω−ジヒドロキシポリメタクリルエステル及びα,ω−ジヒドロキシポリアクリルエステル等)も適当である。
【0054】
別のポリオールとしては、前述の短鎖アルカンジオールを使用してもよい(この場合、ネオペンチルグリコール及び炭素原子数が2〜12の非分枝状ジオール、例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオール等が好ましい)。
【0055】
上述の使用可能なポリオールは任意の割合の任意の混合物として使用することもできる。
【0056】
相当するポリウレタンプレポリマーを調製するためには、ポリアミンも本発明の範囲内においては適当である。この場合、例えば、末端にアミノ基を有するポリエーテル及び1個若しくは複数個のアミノ基若しくはイミノ基を有するポリマー性化合物が特に適当である。ポリアミンとしては、例えば、少なくとも1個の第一アミノ基若しくは第二アミノ基、又は、1分子あたり1個よりも多くのアミノ基が存在する限りは第一アミノ基と第二アミノ基を併有することができる2価よりも高位の化合物を使用することもできる。この種の化合物としては、ヒドラジン、エチレンジアミン、1,2−及び1,3−プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン(例えば、1,6−ヘキサメチレンジアミン等)、アルキルヘキサメチレンジアミン(例えば、2,4−ジメチルヘキサメチレンジアミン等)及び炭素原子数が約44までの一般的なアルキレンジアミンが例示される。この場合、環状又は多環状のアルキレンジアミンを使用することができ、この種の化合物は、例えば、不飽和脂肪酸の二量化生成物から既知の方法によって得ることができる。又、好ましい態様ではないが、芳香族ジアミン、例えば、1,2−フェニレンジアミン、1,3−フェニレンジアミン又は1,4−フェニレンジアミン等も使用可能である。さらに、本発明においては、より高位のアミン、例えば、ジエチレントリアミン、アミノメチル−1,8−ジアミノオクタン及びトリエチレンテトラミン等を使用することができる。
【0057】
対応するアミノ化合物は、アミノ基のほかに、その他の官能基、特にイソシアネートに対して反応性のある基を有することができる。このような官能基としては、特にヒドロキシル基又はメルカプト基が例示される。
【0058】
本発明において、ポリアミンとして使用可能な化合物としては、例えば、所望により、イソシアネート基に対して反応性のある官能基を1個若しくは複数個有する低分子量アミノ化合物が挙げられる。この種の化合物としては、以下に記載のような脂肪族結合を介したヒドロキシル基を有するモノアミノアルコールが例示される:エタノールアミン、N−メチルエタノールアミン、N−エチルエタノールアミン、N−ブチルエタノールアミン、N−シクロヘキシルエタノールアミン、N−t−ブチルエタノールアミン、ロイシノール、イソロイキノール、バリノール、プロリノール、ヒドロキシエチルアニリン、2−(ヒドロキシメチル)ピペリジン、3−(ヒドロキシメチル)ピペリジン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピペリジン、2−アミノ−2−フェニルエタノール、2−アミノ−1−フェニルエタノール、エフェドリン、p−ヒドロキシエフェドリン、ノルエフェドリン、アドレナリン、ノルアドレナリン、セリン、イソセリン、フェニルセリン、1,2−ジフェニル−2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−1−プロパノール、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、イソプロパノールアミン、N−エチルイソプロパノールアミン、2−アミノ−3−フェニルプロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、2−アミノ−1−ブタノール、2−アミノイソブタノール、ネオペンタノールアミン、2−アミノ−1−ペンタノール、5−アミノ−1−ペンタノール、2−エチル−2−ブチル−5−アミノペンタノール、6−アミノ−1−ヘキサノール、2−アミノ−1−ヘキサノール、2−(2−アミノエトキシ)エタノール、3−(アミノメチル)−3,5,5−トリメチルシクロヘキサノール、2−アミノベンジルアルコール、3−アミノベンジルアルコール、3−アミノベンジルアルコール、3−アミノ−5−メチルベンジルアルコール、及び2−アミノ−3−メチルベンジルアルコール。
【0059】
ポリオール若しくはポリアミンの使用によって、例えば、分枝鎖を形成させようとする場合には、例えば、脂肪族結合を介して結合したヒドロキシル基を2個有するモノアミノポリオールを使用することができ、この種のモノアミノポリオールとしては、1−アミノ−2,3−プロパンジオール、2−アミノ−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−アミノ−1−フェニル−1,3−プロパンジオール、ジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、3−(2−ヒドロキシエチルアミノ)プロパノール、及びN−(3−ヒドロキシプロピル)−3−ヒドロキシ−2,2−ジメチル−1−アミノ基含有ポリオール等が例示される。
【0060】
本発明において、成分Aとして、ポリウレタンプレポリマーを使用する場合には、通常はこの種のポリウレタンプレポリマーは、本明細書において必要とされるようなオキシアルキレンユニットOX及びOXの序列を有さない。対応するポリウレタンプレポリマーがこの種のオキシアルキレンユニットOX及びOXを有する場合には、本発明による配合物中に存在するようなポリマーが重要である。即ち、この種のポリウレタンプレポリマーは、本発明において必要とする対応するオキシアルキレンユニットOX及びOXの序列を有する。さらに、対応するポリウレタンプレポリマーは、適当な架橋剤の存在下(特に、2価よりも高位の多官能性ポリオールの存在下)で架橋可能なNCO−末端基を有する。
【0061】
本発明の範囲内においては、前述のように、成分Aとして、2個以上のイソシアネート基を有する化合物を使用することも可能である。しかしながら、本発明によれば、前述の定義によるシリル基を少なくとも1個有すると共にイソシアネート基を少なくとも1個有する化合物のみから成分Aを構成させること可能であり、このような態様も本発明に包含される。さらに、本発明によれば、成分Aの一部は前述の定義によるシリル基を少なくとも1個有すると共にイソシアネート基を少なくとも1個有する化合物から構成させ、残りの部分を、例えば、ポリイソシアネートから構成させることも可能である。成分Aの構成成分として後者の化合物を使用するか、又は成分Aがこの種の化合物から構成される場合には、1個若しくは複数個のシリル−末端基を有するポリマーを含有する本発明による組成物が得られる。
【0062】
従って、本発明の範囲内においては、イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートが使用される。成分A又は成分Aの構成成分として適当なイソシアネート基含有シランとしては、以下に例示するシラン類及びこれらの任意の2種若しくはそれよりも多種の混合物が適当である:メチルジメトキシシリルメチルイソシアネート、トリメトキシシリルメチルイソシアネート、ジエチルメトキシシリルメチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルメチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルメチルイソシアネート、トリエトキシシリルメチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルメチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルエチルジイソシオネート、トリメトキシシリルエチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルエチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルエチルイソシアネート、トリエトキシシリルエチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルエチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、トリメトキシシリルプロピルイソシアネート、エチルジメトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、エチルジエトキシシリルプロピルイソシアネート、メチルジメトキシシリルブチルイソシアネート、トリメトキシシリルブチルイソシアネート、トリエチルシリルブチルイソシアネート、ジエチルメトキシシリルブチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルブチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルブチルイソシアネート、トリエトキシシリルブチルイソシアネート、ジエチルエトキシシリルブチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルブチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリメトキシシリルペンチルイソシアネート、トリエチルシリルペンチルイソシアネート、エチルジメトキシシリルペンチルイソシアネート、メチルジエトキシシリルペンチルイソシアネート、トリエトキシシリルペンチルイソシアネート、ジエチルエトキシシリルペンチルイソシアネート、エチルジエトキシシリルペンチルイソシアネート、メチルジメトキシシリルヘキシルイソシアネート、トリメトキシシリルヘキシルイソシアネート、エチルジメトキシシリルヘキシルイソシアネート、メチルジエトキシシリルヘキシルイソシアネート、トリエトキシシリルヘキシルイソシアネート、エチルジエトキシシリルヘキシルイソシアネート、γ−トリメトキシシロキシジメチルシリルプロピルイソシアネート、γ−トリメチルシロキシジメトキシシリルプロピルイソシアネート、γ−トリエトキシシロキシジエチルプロピルイソシアネート及びγ−トリエトキシシロキシジエトキシシリルプロピルイソシアネート。
【0063】
上述の方法の実施の結果として、前述の定義によるポリマーを含有する本発明による組成物が得られる。上述の調製法の範囲内においては、相当するポリマーは、上記の定義により、1個のイソシアネート基若しくは2個以上のイソシアネート基、又は1個のシリル基若しくは2個以上のシリル基、又は1個のイソシアネート基若しくは2個以上のイソシアネート基と1個のシリル基、又は1個のイソシアネート基と1個のシリル基若しくは2個以上のシリル基、又は2個以上のイソシアネート基と2個以上のシリル基を有する。
【0064】
上述の調製法によれば、実質上ランダム状の配列又はオキシアルキレンユニットの異なる反応性に基づいて所望により少なくとも部分的にブロック状の配列を有する組成物が得られるが、本発明の範囲内においては、異なる序列のオキシアルキレンユニットを有する架橋性の組成物が調製される。
【0065】
従って、本発明は、少なくとも下記の3種の成分A,C及びDを反応させることによって調製される架橋性ポリマー組成物にも関する:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分C:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール、
c)成分D:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール
[この場合、上記反応は2工程若しくはそれよりも多い工程でおこなう:
第1工程においては、成分Aの全部若しくは一部を成分Cの全部若しくは一部又は成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
第2工程においては、反応生成物を、第1工程における反応条件と末端基に応じて、残存する成分Aの全部若しくは一部又は残存する成分Cの全部若しくは一部又は残存する成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
次の工程においては、第1工程若しくは第2工程の反応条件に応じて、先行工程で得られる反応生成物を、反応体が消費されるまで残存する成分A、C及びDと反応させる:
この場合、生成物中のOXは隣接する2個の酸素原子間においてはOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、架橋性ポリマー中のオキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10である。
【0066】
上記の方法によれば、オキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマーであって、該ユニットの序列が、実質的に成分Cと成分Dの反応工程の序列によって自由に選定可能な該ポリマーを含有する組成物が得られる。又、上記の方法においては、成分Aとして、前述の定義によるシリル基を有するイソシアネートを使用することができる。
【0067】
本発明の範囲内において、オキシアルキレンユニットOX及びOXを導入するためには、当業者には既知の実質上任意の化合物が使用される。
【0068】
オキシアルキレンユニットOX及びOXを導入するのに適当な実質的に低分子量の化合物としては、例えば、下記の化合物が有効である:
エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,4−ブチンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン[例えば、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン]、2−メチル−1,3−プロパンジオール、メチルペンタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール等。ネオペンチルグリコール及び次式で表されるアルコールが好ましい:HO−(CH)x−OH[式中、xは1〜20の数、好ましくは、2〜20の偶数を示す]。この種のアルコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオール及び1,12−ドデカンジオールが例示される。
【0069】
さらに、本発明の範囲内においては、ポリマー性化合物、例えば、ポリエーテルジオール又はポリエーテルポリオール等も適当である。この種の化合物は、特に、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンを、例えば、BFのような触媒の存在下で自己重合させるか、あるいはこれらの化合物を、活性水素原子を有する出発成分[例えば、水、又は1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ビス(4−ヒドロキシジフェニル)−プロパン及びアニリンのようなアルコール若しくはアミン等]に対して、所望により混合物状態で付加させるか、若しくは逐次的に付加させることによって得られる。
【0070】
本発明の範囲内においては、オキシアルキレンユニットOXとしては、2個の隣接する酸素原子間に2個の炭素原子を有する化合物が特に好ましい。特にこの種の化合物は、
プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン、スチレンオキシド又はエピクロロヒドリンを、例えば、BFのような触媒の存在下で自己重合させる相当する反応、又はこれらの化合物を、活性水素原子を有する出発成分[例えば、水、アルコール若しくはアミン等]に対して、所望により混合物状態で付加させるか、若しくは逐次的に付加させる付加反応によって得られる反応生成物である。オキシアルキレンユニットOXとしては、1,3−ブタンジオール、1,4−ブテンジオール、1,4−ブチンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ビス−(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン[例えば、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン]、メチルペンタンジオール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコールのような化合物が特に適当である。一般式HO−(CH−OH[式中、xは4〜20の数、好ましくは4〜20の偶数を示す]で表されるアルコールが好ましい。本発明の範囲内においては、オキシアルキレンユニットOXとしてはポリプロピレングリコールが特に好ましく、オキシアルキレンユニットOXとしてはテトラヒドロフランの重合物が特に好ましい。
【0071】
オキシアルキレンユニットOX及びOXとしてポリマー性化合物を使用する場合、本発明の好ましい実施態様の範囲内においては、オキシアルキレンユニットOXの構築に寄与する化合物は、オキシアルキレンユニットOXの構築に寄与する化合物よりも高い分子量を有する場合が有利であることが実証された。本発明の範囲内においては、本発明による組成物がオキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマー又はオキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマーの2種以上の混合物を含有する態様が特に有利である。この場合、オキシアルキレンユニットOX及びOXの数平均分子量(M)の比は約1.2:1〜約40:1、例えば、約1.3〜約30:1又は約1.5〜約20:1又は約1.8:1〜約15:1又は約2:1〜約12:1又は3:1〜約10:1又は約4:1〜約9:1又は約5:1〜約8:1又は約6:1〜約7:1である。分子量の測定は当業者に既知の方法、例えば、粘度測定法、光散乱法、膜浸透圧法、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法等に従っておこなわれる。
【0072】
さらに、本発明の好ましい実施態様の範囲内においては、オキシアルキレンユニットOXの構築に寄与する化合物が約1000〜約100000の分子量を有するのに対し、オキシアルキレンユニットOXの構築に寄与する化合物は約200〜約50000の分子量を有する。本発明の範囲内においては、本発明による組成物は、オキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマー又はオキシアルキレンユニットOX及びOXを有するポリマーの2種以上の混合物を含有することが特に好ましい。この場合、オキシアルキレンユニットOXの数平均分子量(M)は約2000〜約40000、例えば、約3000〜約30000、又は約4000〜約25000、又は約5000〜約20000、又は約6000〜約19000、又は約7000〜約18000、又は約8000〜約15000、又は約9000〜約12000である。一方、オキシアルキレンユニットOXの数平均分子量(M)は約200〜約30000、例えば、約500〜約10000,又は600〜約7000、又は約700〜約5000、又は約800〜約40000、又は約900〜約3500、又は約1000〜約3000である。この場合の分子量の測定も当業者に既知の方法、例えば、粘度測定法、光散乱法、膜浸透圧法、ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)法等に従っておこなわれる。
【0073】
本発明の好ましい実施態様によれば、オキシアルキレンユニットOXの構築に寄与する化合物は7000〜100000、特に好ましくは10000〜100000、就中、20000〜100000の分子量を有する。これらの分子量は特に有利である。何故ならば、これらの分子量を有する化合物から調製されるポリマーが明らかにより高い弾性を有すると共に、高い強度を有するからである。別の利点として、次の点が挙げられる。即ち、比較的長い鎖長を有するこの種の化合物の選択により、少数の水素架橋形成性ウレタンユニットが形成され、これによって対応するポリマーは低粘度を有するようになる。さらに、7000よりも大きい分子量、特に10000よりも大きい分子量、就中20000よりも大きい分子量を有する前記の長鎖化合物を使用する場合には、シラン−末端基の含有量が低く維持されることが判明した。これに関連して、該ポリマーは、前記の低粘度にもかかわらず、比較的大きな分子量を有し、又、架橋度はより小さくなり、該ポリマーの機械的特性、例えば、高い引張強さを伴う弾性破断点伸び等が改良される。さらに、この種の長鎖化合物を使用することにより、重合時に高い分子量が実質上迅速に得られるために、初期強度が部分的に改良される。
【0074】
シラン基の数が少ないことによって得られる別の利点は、シラン基の密度が低いことに起因して硬化に必要な水分量が少なくなるために、硬化性を部分的に改良することができるということである。
【0075】
本発明による組成物は、成分A中のイソシアネートとしてシリル基含有イソシアネートが使用される場合には、シリル基を有するポリマーを含有する。しかしながら、本発明によれば、前述のイソシアネート基を含有するポリマー性反応生成物、例えば、成分A及びB、又は成分A,C及びDをシリル基含有アミンと反応させるときには、本発明によるシリル基含有ポリマーを含有させることも可能である。これに対応する反応方法と適当なシリル基含有アミンに関しては、本明細書の以下においてさらに詳述する。
【0076】
本発明の好ましい実施態様の範囲内においては、本発明による組成物を調製するために、イソシアネート基含有プレポリマーを、本発明による組成物用のシリル基含有アミンと反応させる。
【0077】
本発明による組成物は、原則的には、当業者に既知の任意の方法に従って調製することができる。しかしながら、以下に説明する方法は、本発明による組成物の調製のためには特に適していることが判明した。
【0078】
従って、本発明は、下記の成分a)又はb)を混合させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法にも関する:
a)ポリマー主鎖が少なくとも2種の異なるオキシアルキレンユニットOX及びOX[この場合、少なくとも1種の第1オキシアルキレンユニットOXは2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1種の第2オキシアルキレンユニットOXは2個の隣接する酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する]を有すると共に、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有する少なくとも1種のポリマー、
b)ポリマー主鎖が2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXを有する少なくとも1種の第1ポリマー、及びポリマー主鎖が2個の隣接する酸素原子間に該1ポリマーの第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する少なくとも1種の第2オキシアルキレンユニットOXを有する少なくとも1種の第2ポリマーが、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基で相互に分離されたポリマー
[この場合、第1オキシアルキレンユニットOXと第2オキシアルキレンユニットOXの重量比は10:90〜90:10である]。
【0079】
さらに、本発明は、少なくとも下記の2種の成分A及びBを反応させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法にも関する[この場合、成分Aと成分Bの反応比は、該ポリマー組成物が、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有するように選択される]:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分B:2種以上のポリオールの混合物[成分Bは、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する少なくとも2種のポリオールを含有し、OXは2個の隣接する酸素原子間にOXの場合よりも少なくとも1個の多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10である]。
【0080】
本明細書において、先に詳述したように、本発明による上記方法においては、イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートが使用される。
【0081】
さらにまた、本発明は、少なくとも下記の3種の成分A,C及びDを反応させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法にも関する:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分C:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール、
c)成分D:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール
[この場合、上記反応は2工程若しくはそれよりも多い工程でおこなう:
第1工程においては、成分Aの全部若しくは一部を成分Cの全部若しくは一部又は成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
第2工程においては、反応生成物を、第1工程における反応条件と末端基に応じて、残存する成分Aの全部若しくは一部又は残存する成分Cの全部若しくは一部又は残存する成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
次の工程においては、第1工程若しくは第2工程の反応条件に応じて、先行工程で得られる反応生成物を、反応体が消費されるまで残存する成分A、C及びDと反応させる
[この場合、架橋性ポリマー中のOXは隣接する2個の酸素原子間においてはOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10であり、又、上記の成分A,C及びDの反応比は、該組成物が、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有するように選択される]。
【0082】
上記の最後の方法においては、イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートが使用される。
【0083】
本発明による方法又は本明細書に記載の上記方法によって調製されるポリマー(例えば、本発明による組成物において、該組成物の構成成分として存在するポリマー)は、該組成物中に含まれる架橋性ポリマーを架橋するのに適した種類と数の官能基を有する。適当な官能基は、本明細書において既に記載した。本発明による組成物が、架橋性官能基として前記の定義によるイソシアネート基又はシリル基を有するポリマーを含有する態様が好ましいことが判明した。当業者にとっては、対応するイソシアネート基含有ポリマーの調製法は、本明細書に記載の種々の方法による調製法から明らかな事項である。1個若しくは複数個のシリル基を有するポリマーの調製法も本明細書において既に記載した。しかしながら、シリル基含有ポリマーは、本明細書に記載の定義によるイソシアネート基含有ポリマーを対応するシリル基含有アミンと反応させることによって調製することも可能である。
【0084】
従って、本発明には、本明細書に記載のイソシアネート基を有する反応生成物を少なくとも1個のシリル基を有する少なくとも1種のアミンと反応させることによって調製される組成物も包含される。
【0085】
対応するシリル基を有する適当なポリウレタンは、例えば、好ましくは2個以上のイソシアネート基を有する対応するプレポリマーを下記の一般式(II)で表されるシランと反応させることによって容易に調製することができる:
【化2】

【0086】
上記の一般式において、R〜Rは相互に独立して、炭素原子数が1〜約24の直鎖状若しくは分枝鎖状の飽和若しくは不飽和な炭化水素基、炭素原子数が4〜約24の飽和若しくは不飽和なシクロアルキル基又は炭素原子数が6〜約24のアリール基を示し、Rは置換されていてもよい炭素原子数が1〜約44のアルキレン基、置換されていてもよい炭素原子数が6〜約24のシクロアルケニル基又は置換されていてもよい炭素原子数が6〜約24のアリーレン基を示し、ZはOH、NH,NHR,SH,COOH又はNCOを示し、n,m及びjは0〜3の整数を示し(この場合、m+n+j=3)、aは0〜3の整数を示し、bは0〜2の整数を示し、cは0〜8の数を示し、Rは直鎖状若しくは分枝鎖状のC1〜24−アルキル基、シクロヘキシル基、フェニル基、トリル基、メシチル基、トリチル基又は2,4,6−トリ−t−ブチルフェニル基を示す。
【0087】
本発明による適当なポリウレタンを調製するためには、原則的には、上記の一般式(II)で表される任意の化合物が適当である。この種の化合物としては下記のものが例示される:
N−(α−メチルジメトキシシリルメチル)アミン、N−(α−トリメトキシシリルメチル)アミン、N−(α−ジエチルメトキシシリルメチル)アミン、N−(α−エチルジメトキシシリルメチル)アミン、N−(α−メチルジエトキシシリルメチル)アミン、N−(α−トリエトキシシリルメチル)アミン、N−(α−エチルジエトキシシリルメチル)アミン、N−(β−メチルジメトキシシリルエチル)アミン、N−(β−トリメトキシシリルエチル)アミン、N−(β−エチルジメトキシシリルエチル)アミン、N−(β−メチルジエトキシシリルエチル)アミン、N−(β−トリエトキシシリルエチル)アミン、N−(β−エチルジエトキシシリルエチル)アミン、N−(γ−メチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−エチルジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−メチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−エチルジエトキシシリルプロピル)アミン、N−(4−メチルジメトキシシリルブチル)アミン、N−(4−トリメトキシシリルブチル)アミン、N−(4−トリエチルシリルブチル)アミン、N−(4−ジエチルメトキシシリルブチル)アミン、N−(4−エチルジメトキシシリルブチル)アミン、N−(4−メチルジエトキシシリルブチル)アミン、N−(4−トリエトキシシリルブチル)アミン、N−(4−ジエチルエトキシシリルブチル)アミン、N−(4−エチルジエトキシシリルブチル)アミン、N−(5−メチルジメトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−トリメトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−トリエチルシリルペンチル)アミン、N−(5−エチルジメトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−メチルジエトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−トリエトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−ジエチルエトキシシリルペンチル)アミン、N−(5−エチルジエトキシシリルペンチル)アミン、N−(6−メチルジメトキシシリルヘキシル)アミン、N−(6−トリメトキシシリルヘキシル)アミン、N−(6−エチルジメトキシシリルヘキシル)アミン、N−(6−メチルジエトキシシリルヘキシル)アミン、N−(6−トリエトキシシリルヘキシル)アミン、N−(6−エチルジエトキシシリルヘキシル)アミン、N−[γ−トリス−(トリメトキシシロキシ)シリルプロピル]アミン、N−[γ−トリス−(トリメトキシシロキシ)シリルプロピル]アミン、N−(γ−トリメトキシシロキシジメチルシリルプロピル)アミン、N−(γ−トリメチルシロキシジメトキシシリルプロピル)アミン、N−(γ−トリエトキシシロキシジエチルプロピル)アミン、N−(γ−トリエトキシシロキシジエトキシシリルプロピル)アミン、N,N−ブチル−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N−ブチル−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N,N−フェニル−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N−フェニル−(γ−トリエトキシシリルプロピル)アミン、N,N−シクロヘキシル−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N−エチル−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、ジエチル−N−(トリメトキシシリルプロピル)アスパルテート、ジエチル−N−(トリエトキシシリルプロピル)アスパルテート、N,N−エチル−(γ−ジメトキシメチルシリルプロピル)アミン、N,N−エチル−(γ−トリメトキシシリルイソブチル)アミン、N,N−ビス−(トリメトキシプロピル)アミン、N,N−エチル−(γ−トリメトキシシリルイソブチル)アミン、N,N−エチル−(α−トリメトキシシリルメチル)アミン、ジブチル−N−(トリメトキシシリルプロピル)アスパルテート、ジブチル−N−(トリエトキシシリルプロピル)アスパルテート、N,N−−(β−アミノプロピル)−(γ−トリメトキシシリルプロピル)アミン、N,N−ジ−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、テトラ−(トリメトキシシリルプロピル)エチレンジアミン、N,N−エチル−(β−トリメトキシシリルエチル)アミン、N−[γ−トリス(トリメチルシロキシ)シリルプロピル]アミン、N,N−シクロヘキシル−α−トリエトキシシリルメチルアミン、N,N−シクロヘキシル−α−メチルジエトキシシリルメチルアミン、N,N−フェニル−α−トリメトキシシリルメチルアミン、N,N−フェニル−α−メチルジメトキシシリルメチルアミン、及び2種又はそれ以上の上記化合物の混合物。
【0088】
本発明の範囲内において使用されるポリウレタンであって、所望によりシリル基を有することもあるポリウレタンは、2個以上のイソシアネート基を有する化合物を、少なくとも1個の活性水素原子を有する対応する数の官能基を有する化合物と結合させることによって調製される。通常、この種の反応は、特に反応成分として1種のポリオール又は2種以上のポリオール混合物を使用する場合、触媒の存在下でおこなわれる。
【0089】
上記のポリウレタンの調製に常用される触媒としては次のものが例示される:
強塩基性アミド、例えば、2,3−ジメチル−3,4,5,6−テトラヒドロピリミジン、トリス−(ジアルキルアミノアルキル)−s−ヘキサヒドロトリアジン、例えば、トリス−(N,N−ジメチルアミノプロピル)−s−ヘキサヒドロトリアジン;通常の第3アミン、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、N−エチルモルホリン、N−メチルモルホリン、N−シクロヘキシルモルホリン、ジメチルシクロヘキシルアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、2−(ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1−アザビシクロ[3.3.0]オクタン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルブタンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルヘキサンジアミン−1,6、ペンタメチルジエチレントリアミン、テトラメチルジアミノエチルエーテル、ビス−(ジメチルアミノプロピル)−ウレア、N,N’−ジメチルピペラジン、1,2−ジメチルイミダゾール、及びジ−(4−N,N−ジメチルアミノシクロヘキシル)−メタン等;金属有機化合物、例えば、チタン酸エステル、鉄化合物、例えば、鉄(II)アセチルアセトネート、錫化合物、例えば、有機カルボン酸の錫(II)塩、例えば、錫(II)ジアセテート、2−エチルヘキサン酸の錫(II)塩(錫(II)オクトエート)、錫(II)ジラウレート、有機カルボン酸のジアルキル錫(IV)塩、例えば、ジブチル錫(IV)ジアセテート、ジブチル錫(IV)ジラウレート、ジブチル錫(IV)マレエート、ジオクチル錫(IV)ジアセテート等、及びジブチル錫(IV)ジメルカプチド。上記の触媒は、2種若しくはそれより多くのこれらの混合物として使用してもよく、あるいは、強塩基性アミンと金属有機化合物を組み合わせて相乗的に作用する触媒として使用してもよい。触媒の常用量は、例えば、ポリアルコールに基づいて、約0.002〜約5重量%である。
【0090】
本発明は、本明細書に記載のような適当なポリマー若しくは2種以上の適当なポリマーの混合物及び少なくとも1種のその他の添加剤を含有する本発明による架橋性配合物にも関する。
【0091】
従って、本発明による配合物は、本発明によるシラン化ポリウレタン若しくは複数の異なるこの種のポリウレタン及び次の化合物群から選択される1種若しくは2種以上の添加剤を含有する:可塑剤、反応性希釈剤、酸化防止剤、硬化剤、充填剤、粘着付与剤、乾燥剤、水分捕獲剤及び紫外線安定剤。
【0092】
本発明によるシリル基含有ポリウレタンは、本発明によって提案される使用の範囲内において既に記載した形態で最終的な使用に供することができる。しかしながら、通常な、本発明によるポリウレタンを配合物に使用するに際しては、別の化合物、例えば、粘度若しくは材料特性等を調整するための化合物を含有させるのが有利である。
【0093】
例えば、特定の用途に対しては、本発明によるポリウレタンの粘度を高くすることが可能であるが、本発明によるポリウレタンの粘度は、通常は「反応性希釈剤」の使用によって、硬化ポリウレタンの材料特性に実質的な影響をもたらすことなく、簡単で効果的に低減させることができることが判明した。
【0094】
反応性希釈剤としては、例えば、水に対して反応性のある末端基(特に、NCO基、アルコキシシラン基又は両者)を少なくとも1個有する第2のポリウレタンであって、その分子量(M)が高くて10000であり、又、反応性希釈剤としての第1のポリウレタンの分子量よりも少なくとも3000(好ましくは少なくとも5000)小さい分子量を有する第2ポリウレタンが適当である。
【0095】
好ましくは、反応性希釈剤は少なくとも1個の官能基を有しており、該官能基は、湿気の影響下において本発明による第1のポリウレタンの反応性基と反応して連鎖延長又は架橋をもたらす。この少なくとも1個の官能基は、湿気の影響下において架橋又は連鎖延長をもたらすように反応するいずれの官能基であってもよい。
【0096】
反応性希釈剤としては、本発明による第1のポリウレタンと混和して粘度を低下させると共に、硬化後又は架橋後に生成する生成物の材料特性にさらなる影響を及ぼさないか、又は少なくとも該生成物を使用不能にするような悪影響を及ぼさない全てのポリマー性化合物が適している。例えば、上記の前提条件を満たすようなポリエステル、ポリエーテル、オレフィン性二重結合を有する化合物の重合体及びポリウレタン等が適している。
【0097】
しかしながら、反応性希釈剤としては、反応性基として少なくとも1個のアルコキシシラン基を有するポリウレタンが好ましい。
【0098】
反応性希釈剤は、1個又は2個以上の官能基を有していてもよいが、該官能基の数は1〜約6、特に2〜約4、例えば、3であるのが好ましい。
【0099】
好ましい実施態様においては、反応性希釈剤の粘度は約20000 mPas未満、特に約1000〜約10000 mPas、例えば、約3000〜約6000 mPasである[これらの粘度値はブルックフィールドRVT(スピンドル7、2.5rpm)を使用し、23℃で測定した値である]。
【0100】
本発明の範囲内において使用する反応性希釈剤は任意の分子量分布(PD)を有していてもよく、又、ポリマー化学における常套の方法を使用して調製することができる。
【0101】
反応性希釈剤としては、ポリオール成分とイソシアネート成分を出発原料として得られるポリマーを1個又は2個以上のアルコキシシリル基を用いて官能化させることによって調製されるポリウレタンを使用するのが好ましい。
【0102】
この場合、本明細書で用いる「ポリオール成分」という概念には、ポリウレタンの製造のために考慮することができる1種のポリオール又は2種以上のポリオール混合物が包含される。ポリオールは多官能価アルコール、即ち、分子中に1個よりも多くのOH基を有する化合物を意味し、このような化合物としては、本明細書において先に成分Aの調製時の構成成分として記載した化合物が例示される。
【0103】
反応性希釈剤を調製するためのポリオール成分としては、多数のポリオールを使用することができる。例えば、分子中に2〜4個のOH基を有する脂肪族アルコール等が挙げられる。OH基は第一OH基であってもよく、第二OH基であってもよい。適当な脂肪族アルコールとしては、エチレングリコール及びプロピレングリコール等並びに本明細書において既に言及した多官能価アルコールが例示される。
【0104】
さらに、ポリオール成分として使用するのに適当な化合物は、ビニルポリマーによって改質されたポリエーテルである。この種の生成物は、例えば、スチレン及び/又はアクリロニトリルをポリエーテルの存在下において重合させることによって調製することができる。
【0105】
又、反応性希釈剤を調製するためのポリオール成分としては、約200〜約5000の分子量を有するポリエステルポリオールも適当である。従って、例えば、先に言及した低分子量アルコール(特に、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、ブタンジオール、プロピレングリコール、グリセリン又はトリメチロールプロパン)とカプロラクトンとの反応によって得られるポリエステルポリオールを使用することができる。同様に、ポリエステルポリオールを調製するための多官能価アルコールとしては既に言及した次の化合物が適当である:1,4−ヒドロキシメチルシクロヘキサン、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,4−ブタンジオール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジブチレングリコール及びポリブチレングリコール。
【0106】
別の適当なポリエステルポリールは、先に記載した重縮合によって調製可能なポリエステルポリオールである。従って、2官能価及び/又は3官能価アルコールを不十分な量のジカルボン酸及び/又はトリカルボン酸あるいはこれらの反応性誘導体を縮合させることによってポリエステルポリオールを調製することができる。適当なジカルボン酸及びトリカルボン酸並びに適当なアルコールは先に記載したものである。
【0107】
本発明において、反応性希釈剤を調製するためのポリオール成分として使用するのに特に好ましいポリオールとしては、ジプロピレングリコール及び/又はポリプロピレングリコール(分子量:約400〜約2500)並びにポリエステルポリオール(好ましくは、ヘキサンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ネオペンチルグリコール又はこれらの2種若しくはそれ以上の混合物とイソフタル酸、アジピン酸又はこれらの混合物の重縮合によって得られるポリエステルポリオール)が例示される。
【0108】
さらに、反応性希釈剤を調製するためのポリオール成分としては、ポリアセタールも適当である。ポリアセタールは、グリコール(例えば、ジエチレングリコール又はヘキサンジオールとホルムアルデヒドから得られるような化合物である。本発明において使用することができるポリアセタールは環状アセタールの重合によっても得ることができる。
【0109】
さらにまた、反応性希釈剤を調製するためのポリオールとしてはポリカーボネートも適当である。ポリカーボネートは、例えば、ジオール(例えば、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール又はこれらの2種若しくはそれ以上の混合物)とジアリールカーボネート(例えば、ジフェニルカーボネート)若しくはホスゲンとの反応によって得ることができる。
【0110】
さらに、反応性希釈剤を調製するためのポリオール成分としては、OH基を有するポリアクリレートも適当である。この種のポリアクリレートは、例えば、OH基を有するエチレン性不飽和モノマーの重合によって得ることができる。この種のモノマーは、例えば、エチレン性不飽和カルボン酸を2官能価アルコールでエステル化することによって得られる(この場合、通常はアルコール成分を幾分過剰にして反応をおこなう)。又、適当なエチレン性不飽和カルボン酸としては、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸及びマレイン酸等が例示される。対応するOH基保有エステルとしては、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−ヒドロキシプロピルメタクリレート、及びこれらの2種若しくはそれ以上の混合物が例示される。
【0111】
本発明において使用するのに好ましい反応性希釈剤を調製するためには、相当するポリオール成分を少なくとも2官能価のイソシアネートと反応させる。少なくとも2官能価のイソシアネートとしては、原則的には、少なくとも2個のイソシアネート基を有するいずれの化合物も使用可能であるが、本発明においては、好ましくは、通常は2〜4個のイソシアネート基を有する化合物、特に2個のイソシアネート基を有する化合物を使用するのが好ましい。
【0112】
このような反応性希釈剤を調製するのに特に適したイソシアネートは、先に記載したポリイソシアネートである。
【0113】
本発明において、反応性希釈剤として使用する化合物は少なくとも1個のアルコキシシラン基を有しているのが好ましい。この場合、アルコキシシラン基としてはジアルコキシシラン基及びトリアルコキシシラン基が好ましい。
【0114】
特定の使用条件下においては、反応性希釈剤の官能基が、湿気又は使用される硬化剤に対して、比較的高い分子量を有する本発明によるシリル基含有ポリウレタンの官能基とは異なる反応性を示すならば有利なことがある。従って、例えば、反応性希釈剤は、長鎖ポリマー分子の架橋効果ができるだけ早く得られるように、第1ポリウレタンに比べて緩やかに反応するのが望ましい。第1ポリウレタンが1個若しくは複数個のアルコキシシラン−末端基を有する場合には、反応性希釈剤の末端基の反応性は、本発明によるシリル基含有ポリウレタンの末端基中のアルコキシ基とは異なる別のアルコキシ基を使用することによって調整することができる。
【0115】
本発明による配合剤は、本発明によるポリウレタン又は該ポリウレタンの2種若しくはそれ以上の混合物及び反応性希釈剤又は該希釈剤の2種若しくはそれ以上の混合物を、通常は、該配合物の粘度が高くても300000 mPas[ブルックフィールドRVT(スピンドル7、2.5rpm)を使用して23℃で測定した値]になるような割合で含有する。この場合、反応性希釈剤(2種若しくはそれ以上の反応性希釈剤の混合物を含む)の含有量は、該配合物の全重量に基づいて約1重量%〜約70重量%、特に約5〜約25重量%が適当である。
【0116】
本発明によるポリウレタンの粘度を低下させるためには、反応性希釈剤のほかに又は反応性希釈剤の代わりに可塑剤を使用することができる。
【0117】
本発明において、可塑剤とは、第1のポリウレタンに対して不活性な化合物であって、本発明によるポリウレタン又は該ポリウレタンの2種若しくはそれ以上の混合物を含有する配合物の粘度を低下させる化合物を意味する。
【0118】
可塑剤としては、エステル(例えば、アビエチン酸エステル、アジピン酸エステル、アゼライン酸エステル、安息香酸エステル、酪酸エステル等)、炭素原子数が約8〜約44の高級脂肪酸エステル、OH基を有するか又はエポキシ化された脂肪酸のエステル、脂肪酸エステルと油脂、グリコール酸エステル、リン酸エステル、フタル酸エステル、炭素原子数が1〜12の直鎖状又は分枝鎖状アルコール、プロピオン酸エステル、セバシン酸エステル、スルホン酸エステル、チオ酪酸エステル、トリメリット酸エステル、クエン酸エステル、ニトロセルロース又はポリビニルアセテートに基づくエステル、及びこれらの2種若しくはそれ以上の任意の混合物が例示される。2官能性の脂肪族ジカルボン酸の非対称エステル、例えば、2−エチルヘキサノールを用いたアジピン酸モノオクチルエステルのエステル化物[「エデノールDOA」;コグニス社(デュッセルドルフ)の製品]等が特に適当である。さらに、フェニルアルキルスルホン酸エステルのような可塑性アルキルスルホン酸エステルも適当である。
【0119】
さらに、単官能性の直鎖状若しくは分枝鎖状のC4−16−アルコールの純粋エーテル若しくは混合エーテル又はこの種のアルコールの2種若しくはそれ以上のエーテル、例えば、ジオクチルエーテル[「セチオールOE」;コグニス社(デュッセルドルフ)の製品]の混合物も適当である。
【0120】
可塑剤の別例としては、末端基が閉鎖したポリエチレングリコール、例えば、ポリエチレングリコールジ−C1−10−アルキルエーテル又はポリプロピレングリコールジ−C1−10−アルキルエーテル、特にジエチレングリコール若しくはジプロピレングリコールのジメチルエーテル若しくはジエチルエーテル及びこれらの2種若しくはそれ以上の混合物等が挙げられる。
【0121】
さらにまた、本発明において使用する可塑剤としては、ジウレタンも適当である。ジウレタンは、例えば、OH末端基を有するジオールに単官能性イソシアネートを反応させることによって調製される。この場合、反応成分の化学量論比は、実質上全ての遊離のOH基が反応するように選択される。所望により、過剰のイソシアネートは、反応後に、例えば、蒸留によって反応混合物から除去してもよい。ジウレタンの別の調製法は、単官能性アルコールにジイソシアネートを反応させる方法である(この場合、可能な限り全てのNCO基が反応するように反応条件を調整する)。
【0122】
ジオールに基づくジウレタンを調整するためには、炭素原子数が2〜約22のジオール、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,2−プロパンジオール、ジブタンジオール、ヘキサンジオール、オクタンジオール又は炭素原子数が約14のヒドロキシ脂肪アルコール、特にヒドロキシステアリルアルコールの工業用混合物等を使用することができる。線状ジオールの混合物が好ましく、特に平均分子量(M)が約1000〜約6000のポリプロピレングリコールを約50重量%よりも多く(特に70重量%よりも多く)含有する線状ジオール混合物が好ましい。同一若しくは異なる平均分子量(約1000〜約4000)を有するプロピレングリコールのみに基づくジウレタンが特に好ましい。ジオール混合物の遊離のOH基は、実質上全ての芳香族若しくは脂肪族のモノイソシアネート又はこれらの混合物との反応によって実質上全て消費される。好ましいモノイソシアネートはフェニルイソシアネート若しくはトルエンイソシアネート又はこれらの混合物である。
【0123】
ジイソシアネートに基づくジウレタンを調製するためには、芳香族若しくは脂肪族ジイソシアネート又はこれらの混合物が使用される。芳香族若しくは脂肪族ジイソシアネートとしては、例えば、本発明によるポリウレタンの製造用に適したものとして先に例示したようなイソシアネート、好ましくはトルエンジイソシアネート(TDI)が挙げられる。ジイソシアネートの遊離のNCO基は単官能性アルコール(好ましくは、線状の単官能性アルコール又は2種以上の異なる単官能性アルコールの混合物)と実質上完全に反応する。適当なモノアルコールとしては、例えば、炭素原子数が1〜約24のモノアルコール、例えば、メタノール、エタノール又はプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、デカノール及びドデカノールの位置異性体、特にこれらの化合物の対応する1−ヒドロキシ化合物、並びにこれらの2種以上の混合物が挙げられる。アルコールの所謂「工業用混合物」及び末端基が閉鎖したポリアルキレングリコールエーテルも適当である。平均分子量(M)が約200〜約2000のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルをアルコール混合物に基づいて約50重量%よりも多く(好ましくは、約70重量%よりも多く)含有するアルコール混合物は特に適当である。平均分子量が約500〜約2000のポリプロピレングリコールモノアルキルエーテルを用いて遊離のNCO基を完全に反応させたジイソシアネートに基づくジウレタンは特に好ましい。
【0124】
本発明による配合物には、前述の可塑剤を、通常は該配合物の粘度が最大で約300000 mPas(ブルックフィールドRVT、23℃、スピンドル7、2.5rpm)になるような量で添加する。該配合物に含有させることができる種々のポリウレタンを考慮するならば、上記の粘度を達成するためには種々の異なる量の可塑剤が必要となる。しかしながら、通常は、配合物に基づいて約1〜約40重量%の可塑剤を添加することによって必要な粘度を得ることができる。一般に可塑剤の添加量を高めると、粘度はさらに低下する。
【0125】
本発明による配合物には、反応性希釈剤又は可塑剤をそれぞれ単品又は混合物として含有させることができる。
【0126】
本発明による配合物は、反応性希釈剤と可塑剤のほかに、通常は加工前若しくは加工後の配合物の特定の材料特性を修正するか又は加工前若しくは加工後の配合物の安定性を高めるその他の添加剤を含有していてもよい。
【0127】
貯蔵性(貯蔵寿命)をさらに高めるために、侵入する湿気に対して本発明による配合物を安定化させることがしばしば有効である。
【0128】
このような貯蔵性の改良は、例えば、湿気に対する安定剤(水分掃去剤)の使用によって達成することができる。この種の安定剤としては、水と反応して配合物中に存在する反応性基に対して不活性な基を形成すると共に、できるだけ少ない分子量変化をもたらすような全ての化合物が適当である。さらに、配合物中へ侵入する湿気に対する安定剤の反応性は、配合物中に存在する本発明によるポリウレタン若しくは2種以上のポリウレタン混合物の末端基の反応性よりも高くなければならない、この種の湿気に対する安定剤としては、例えば、イソシアネートが適当である。
【0129】
しかしながら、好ましい実施態様においては、シランが湿気に対する安定剤として使用される。例えば、3−ビニルプロピルトリエトキシシランのようなビニルシラン、メチル−O,O’,O”−ブタノン−2−トリオキシモシラン若しくはO,O’,O”,O'''−ブタノン−2−テトラオキシモシラン[CAS Nr.022984-54-9 及び034206-40-1]のようなオキシムシラン、ビス(N−メチルベンズアミド)メチルエトキシシラン[CAS Nr.16230-35-6]のようなベンズアミドシラン、及びカルバマトメチルトリメトキシシランのようなカルバマトシラン等が挙げられる。
【0130】
さらに、湿気に対する安定剤としては、前述の反応性希釈剤であって、約5000よりも小さな分子量(M)を有すると共に、侵入する湿気に対する反応性が、本発明によるポリウレタン反応性基の反応性と少なくとも同等であるか、好ましくは大きい反応性希釈剤も適当である。
【0131】
本発明による配合物は、通常は約0〜約6重量%の湿気安定剤を含有する。
【0132】
本発明による配合物はさらに、約7重量%まで、特に約3〜約5重量%の抗酸化剤を含有することができる。
【0133】
本発明による配合物は、約2重量%まで、好ましくは約1重量%までの紫外線安定剤を含有することができる。紫外線安定剤としては、所謂ヒンダードアミン光安定剤(HALS)が特に適当である。本発明においては、シラン基を有すると共に、架橋時若しくは硬化時に最終生成物中へ組み込まれる紫外線安定剤を使用することが好ましい。この場合、グレート・レイクス社(米国)の製品「ロウビライト(Lowilite)75」及び「ロウビライト77」が特に適当である。
【0134】
さらにまた、本発明による配合物は充填剤を約0〜約50重量%まで含有することができる。充填剤としては、例えば、シラン適合性無機化合物(例えば、チョーク、石灰粉末、カオリン、タルク、硫酸バリウム、雲母、沈降シリカ、熱分解法シリカ、ゼオライト、ベントナイト、粉砕鉱物、ガラス球、ガラス粉末、中空ガラス球、ガラス繊維、及びガラス繊維の短切断物並びに当業者には既知のその他の無機充填剤)及び有機充填剤、特に繊維の短切断物及び中空プラスチック球等が適当である。所望により、配合物にチキソトロピー性を付与する充填剤、例えば、膨潤性プラスチック、例えば、PVC、ポリアミド粉末、及びポリアミドワックス等を使用してもよい。
【0135】
本発明による配合物中の充填剤の含有量は、例えば、約30重量%まで、若しくは約10重量%まで、若しくは約2重量%までである。
【0136】
本発明による配合物は、原則的には、広範囲の粘度を有する。該粘度は、用途に応じて、例えば、約500〜約600000 mPas又は約2000〜約400000 mPas(ブルックフィールドRVTによる23℃での測定値;スピンドル7、2.5rpm)にすることができる。
【0137】
本発明は、本発明による組成物の接着剤、封止剤、表面被覆剤、充填剤及び成形品製造材料としての使用にも関する。
【0138】
本発明による組成物の別の適用分野はプラグ(plug)、孔充填剤及び亀裂充填剤としての用途である。
【0139】
接着剤としては、例えば、プラスチック、金属、鏡、ガラス、セラミック、鉱物質基材、木材、皮革、織物、紙、ボール紙及びゴム等の接着剤として適当である。この場合、これらの被接着材料は各材料同士で接着させてもよく、あるいは異種材料を任意に接着させてもよい。
【0140】
さらに、本発明による組成物は、プラスチック、金属、ガラス、セラミック、鉱物質基材、木材、皮革、織物、紙、ボール紙及びゴム等を材質とする表面用の表面被覆剤としても適当である。
【0141】
上記の使用可能な用途は単なる例示に過ぎず、本発明はこれらの用途には限定されない。
【実施例】
【0142】
本発明を以下の実施例によってさらに説明するが、本発明はこれらの実施例によって制限されない。
実施例1:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール18000(OH価:6.0)282g(15mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.4%)7.2g(32mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン(NCO:18.4%)6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0143】
実施例2:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリTHF2900(OH価:38)260.5g(88mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)7.8g(44mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをイソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.4%)21.1g(93mmpl)と混合し、次いで、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0144】
実施例3:
実施例1及び実施例2で得られたポリマーを種々の割合で混合した。これらの混合物をN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1%及びジブチル錫ジラウレート0.2%と混合した。得られた混合物をガラス製プレート上に塗布し(フィルム厚:1mm)、皮膜形成時間[スキンオーバータイム(skin over time):SOT]及び不粘着層の形成時間[不粘着時間(tack free time):TFT]を測定した。1週間貯蔵した後のフィルムを引裂き試験に供した。試験結果を以下の表1に示す。
【0145】
【表1】

【0146】
実施例4:
実施例2で得られたポリマーを種々の割合でシラン末端基を有するポリマー「S203H」(カネカ社製)と混合した。これらの混合物をN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1%及びジブチル錫ジアセトネート0.2%と混合した。得られた混合物をガラス製プレート上に塗布し(フィルム厚:1mm)、1週間貯蔵した後の硬化フィルムを引裂き試験に供した。試験結果を以下の表2に示す。
【0147】
【表2】

【0148】
実施例5:
実施例2で得られたポリマーを種々の割合でシラン末端基を有するポリマー「S303H」(カネカ社製)と混合した。これらの混合物をN−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1%及びジブチル錫ジアセトネート0.2%と混合した。得られた混合物をガラス製プレート上に塗布し(フィルム厚:1mm)、1週間貯蔵した後の硬化フィルムを引裂き試験に供した。試験結果を以下の表3に示す。
【0149】
【表3】

【0150】
実施例6:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール18000(OH価:6.0)117g(6mmol)及びポリTHF2900(OH価:38)108g(37mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)3.0g(17mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをイソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.4%)12.4g(54mmpl)と混合し、次いで、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0151】
実施例7:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)139.5g(17mmol)及びポリTHF1000(OH価:114)114.2g(116mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)16.4g(93mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをイソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.3%)19.3g(84mmpl)と混合し、次いで、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0152】
実施例8:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)139.5g(17mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)16.4g(93mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをイソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.3%)19.3g(84mmpl)と混合し、次いで、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0153】
実施例9:
実施例6〜8で得られたポリマーの特性及びこれらのポリマーを用いて調製した接着剤組成物の特性を測定した。測定結果を以下の表4に示す。
【0154】
【表4】

【0155】
実施例10:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)155.1g(19mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)15.3g(87mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをポリTHF1000(OH価:114)103.4g(105mmol)と混合し、80℃での撹拌をさらに1時間おこなった。次いで、イソシアナトプロピルトリメトキシシラン(NCO:18.3%)10.2g(45mmpl)及びイソシアナトメチルジメトキシメチルシラン(NCO:25.7%)5.5g(34mmol)との混合物と混合した後、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0156】
実施例11:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)171.2g(21mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)14.2g(81mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをポリTHF1000(OH価:114)92.2g(94mmol)と混合し、80℃での撹拌をさらに1時間おこなった。次いで、イソシアナトメチルジメトキシメチルシラン(NCO:25.7%)11.8g(72mmpl)と混合した後、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。
【0157】
実施例12:
実施例8,10及び11で得られたポリマーの特性を測定した。測定結果を以下の表5に示す。
【0158】
【表5】

【0159】
実施例13:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)143.3g(21mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)28.1g(160mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをポリTHF1000(OH価:114)95.4g(97mmol)と混合し、80℃での撹拌をさらに1時間おこなった。次いで、N−ブチルアミノプロピルトリメトキシシラン19.5g(83mmpl)と混合した後、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。このポリマーの皮膜形成時間及び不粘着時間はそれぞれ20分間及び約2.5時間であった(触媒:N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1%及びDBTL0.2%)。
【0160】
実施例14:
三口フラスコ(500ml)内において、ポリプロピレングリコール8000(OH価:14.0)143.3g(21mmol)を100℃で真空乾燥させた。窒素雰囲気下において、ジブチル錫ジラウレート0.06gを80℃で添加し、次いで、TDI(NCO:47.8%)28.1g(160mmol)を混合した。80℃で撹拌を1時間おこなった後、生成したポリマーをポリTHF1000(OH価:114)95.4g(97mmol)と混合し、80℃での撹拌をさらに1時間おこなった。次いで、N−シクロヘキシルアミノメチルトリエトキシシラン22.8g(83mmpl)と混合した後、80℃で撹拌をさらに1時間おこなった。得られたポリマーを冷却させてからビニルトリメトキシシラン6gと混合した。生成物は、窒素雰囲気のガラス容器内において、湿気を遮断する状態で貯蔵した。このポリマーの皮膜形成時間及び不粘着時間はそれぞれ1分間未満及び約1時間であった(触媒:N−アミノエチル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン1%及びDBU0.2%)。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋に導く多数の反応性官能基を有する架橋性ポリマーを少なくとも1種含有する架橋性ポリマー組成物であって、下記の成分 a)若しくは b)若しくは c)を含有する該架橋性ポリマー組成物:
a)ポリマー主鎖が少なくとも2種の異なるオキシアルキレンユニットOX及びOXを有する少なくとも1種の架橋性ポリマーであって、少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOXが隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する該架橋性ポリマー、
b)ポリマー主鎖が少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第1架橋性ポリマー、及びポリマー主鎖が少なくとも1個の第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1架橋性ポリマー中の第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)を有する少なくとも1種の第2架橋性ポリマー、
c)上記の a)成分と b)成分との混合物
[この場合、第1オキシアルキレンユニットOXの分子量は7000〜100000であり、第1オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する)と第2オキシアルキレンユニットOX(該ユニットは、隣接する2個の酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する)の重量比は10:90〜90:10である]。
【請求項2】
少なくとも1種の架橋性ポリマー又は少なくとも1種の第1架橋性ポリマーと少なくとも1種の第2架橋性ポリマーが、反応性官能基としてイソシアネート基、シリル基又は両者を有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
少なくとも1種の架橋性ポリマーのポリマー主鎖が少なくとも2種の異なるオキシアルキレンユニットOX及びOXを有し、これらのオキシアルキレンユニットがランダム状、又は−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−のようなブロック状、又は−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−OX−のようなブロック状に配列された請求項1又は2記載の組成物。
【請求項4】
1種の添加剤又は2種若しくはそれよりも多種の添加剤を含有する請求項1から3いずれかに記載の組成物。
【請求項5】
少なくとも下記の2種の成分A及びBを反応させることによって調製される架橋性ポリマー組成物:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物;
b)成分B:2種以上のポリオールの混合物[この場合、成分Bは、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する少なくとも2種のポリオールを含有、OXは2個の隣接する酸素原子間にOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10であり、第1オキシアルキレンユニットOXの分子量は7000〜100000である]。
【請求項6】
少なくとも下記の3種の成分A,C及びDを反応させることによって調製される架橋性ポリマー組成物:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分C:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール、
c)成分D:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール。
[この場合、上記反応は2工程若しくはそれよりも多い工程でおこなう:
第1工程においては、成分Aの全部若しくは一部を成分Cの全部若しくは一部又は成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
第2工程においては、反応生成物を、第1工程における反応法と末端基に応じて、残存する成分Aの全部若しくは一部又は残存する成分Cの全部若しくは一部又は残存する成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
次の工程においては、第1工程若しくは第2工程の反応法に応じて、先行工程で得られる反応生成物を、反応体が消費されるまで残存する成分A、C及びDと反応させる。又、
生成物中のOXは隣接する2個の酸素原子間においてはOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、架橋性ポリマー中のオキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10であり、第1オキシアルキレンユニットOXの分子量は7000〜100000である。]。
【請求項7】
イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートを使用する請求項5又は6記載の組成物。
【請求項8】
成分A及びBとの反応又は成分A,C及びDとの反応によって得られるイソシアネート基を有する反応生成物を、シリル基を有するアミン若しくはこれらの2種以上の混合物と反応させる請求項5又は6記載の組成物。
【請求項9】
下記の成分a)又はb)を混合させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法:
a)ポリマー主鎖が少なくとも2種の異なるオキシアルキレンユニットOX及びOX[この場合、少なくとも1種の第1オキシアルキレンユニットOXは2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有し、又、少なくとも1種の第2オキシアルキレンユニットOXは2個の隣接する酸素原子間に第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する]を有すると共に、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有する少なくとも1種のポリマー、
b)ポリマー主鎖が2個の隣接する酸素原子間に少なくとも2個の炭素原子を有する少なくとも1個の第1オキシアルキレンユニットOXを有する少なくとも1種の第1ポリマー、及びポリマー主鎖が2個の隣接する酸素原子間に第1ポリマーの第1オキシアルキレンユニットOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有する少なくとも1種の第2オキシアルキレンユニットOXを有する少なくとも1種の第2ポリマーが、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の官能基で相互に分離されたポリマー
[この場合、第1オキシアルキレンユニットOXと第2オキシアルキレンユニットOXの重量比は10:90〜90:10であり、第1オキシアルキレンユニットOXの分子量は7000〜100000である]。
【請求項10】
少なくとも下記の2種の成分A及びBを反応させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法[この場合、成分Aと成分Bの反応比は、該ポリマー組成物が、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有すると共に第1オキシアルキルユニットOXの分子量が7000〜100000になるように選択される]:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分B:2種以上のポリオールの混合物[成分Bは、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する少なくとも2種のポリオールを含有し、OXは2個の隣接する酸素原子間にOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10である]。
【請求項11】
イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートを使用する請求項10記載の方法。
【請求項12】
少なくとも下記の3種の成分A,C及びDを反応させることを含む架橋性ポリマー組成物の製造方法:
a)成分A:1種のイソシアネート、1種のポリイソシアネート、2種以上のイソシアネートの混合物、2種以上のポリイソシアネートの混合物、1種のイソシアネートと1種のポリイソシアネートとの混合物、又は2種以上のイソシアネートと2種以上のポリイソシアネートとの混合物、
b)成分C:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール、
c)成分D:オキシアルキレンユニットOXを有するポリオール
[この場合、上記反応は2工程若しくはそれよりも多い工程でおこなう:
第1工程においては、成分Aの全部若しくは一部を成分Cの全部若しくは一部又は成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
第2工程においては、反応生成物を、第1工程における反応法と末端基に応じて、残存する成分Aの全部若しくは一部又は残存する成分Cの全部若しくは一部又は残存する成分Dの全部若しくは一部と反応させ、
次の工程においては、第1工程若しくは第2工程の反応法に応じて、先行工程で得られる反応生成物を、反応体が消費されるまで残存する成分A、C及びDと反応させる
[この場合、架橋性ポリマー中のOXは隣接する2個の酸素原子間においてはOXの場合よりも少なくとも1個多い炭素原子を有し、オキシアルキレンユニットOXとOXを有する両方のポリオールの混合重量比は10:90〜90:10であり、又、上記の成分A,C及びDの反応比は、該組成物が、適当な条件下でそれ自体によるか若しくは適当な架橋剤と共に架橋をもたらす多数の反応性官能基を有すると共に第1オキシアルキレンユニットOXの分子量が7000〜100000になるように選択される]。
【請求項13】
イソシアネートとして、少なくとも1個のシリル基を有するイソシアネートを使用する請求項12記載の方法。
【請求項14】
イソシアネート基を有する反応生成物を、少なくとも1個のシリル基を有する少なくとも1種のアミンと反応させる請求項9から13いずれかに記載の方法。
【請求項15】
請求項1から8いずれかに記載の組成物又は請求項9から14いずれかに記載の方法によって製造される組成物の接着剤、封止剤、表面被覆剤、充填剤又は成形品製造材料としての使用。


【公表番号】特表2007−510020(P2007−510020A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−537110(P2006−537110)
【出願日】平成16年10月14日(2004.10.14)
【国際出願番号】PCT/EP2004/011520
【国際公開番号】WO2005/047394
【国際公開日】平成17年5月26日(2005.5.26)
【出願人】(391008825)ヘンケル・コマンディットゲゼルシャフト・アウフ・アクチエン (309)
【氏名又は名称原語表記】HENKEL KOMMANDITGESELLSCHAFT AUF AKTIEN
【住所又は居所原語表記】40191 Dusseldorf,Henkelstrasse 67,Germany
【Fターム(参考)】