説明

改質基材およびその製造方法

【課題】
放射線に不安定な化合物を基材表面に放射線照射により導入する基材の表面改質において、放射線による該化合物の変性を大幅に低減することができる表面改質方法と、その表面改質方法で得られた改質基材を提供する。
【解決手段】
有機溶媒の存在下で、放射線に対して不安定な化合物を接触させた基材が放射線照射されてなることを特徴とする改質基材であり、前記の基材としては中空糸膜等の分離膜が用いられ、前記の化合物としてはアミノ酸を構成要素とする化合物、なかでも血液抗凝固活性を有する化合物が好適に用いられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、医薬、医療、プロテオーム解析および食品製造などの分野で好適に用いられる基材の表面改質技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
各種の分野で利用される基材において、その基材表面物性が十分でない場合や、基材表面に機能性を付与したい場合などに、表面改質は有効な方法である。一概に表面改質といっても、物理的、化学的および生物学的など様々な方法があり、用途も多岐に及んでいる。例えば、表面研磨による鏡面処理などの物理的な表面改質や、屈折率の異なる化合物を真空蒸着やスパッタリングで薄膜形成し反射率や屈折率などの光学的特性を向上させる表面改質、酸素プラズマに暴露することで表面に水酸基などを導入し親水性向上させる表面改質、そして酵素免疫検定法(ELISA)に用いられる基材に抗体を吸着させ特異的な反応性を付与させるのも表面改質の一種といえる。
近年、タンパク質をはじめとする生理活性を有する化合物を、基材表面に導入する表面改質技術が着目され、一部は実用化されている。例えば、血液浄化用途、血液成分分離用途、細胞分離用途、細胞培養用途および組織形成用途などの医療材料用途として利用されている(非特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、これらの生理活性を有する化合物の基材への導入は、物理的あるいは化学的な吸着によるものであるため、使用中に化合物の溶出による機能低下を引き起こすだけでなく、人工腎臓などの体外循環用途の場合には溶出した化合物が生体内に入る危険性があった。
【0004】
かかる化合物の溶出の問題に対して、共有結合など比較的強固な結合により、化合物を基材に固定化する方法、すなわち化合物をグラフト重合させ溶出を防ぐ方法がある。このようなグラフト重合による表面改質の方法には大きく分けて2種類の方法、すなわち有機化学的な方法と放射線化学的な方法がある。
【0005】
有機化学的な方法は、臭化シアンで活性基を基材表面に導入したり、スクシンイミド基やαクロロアセトアミドメチル基などの活性基を基材表面に導入したり、担体官能基と生理活性物質の官能基を結合させてやるためにカルボジイミドなどを利用したりして、生理活性物質をグラフト重合する方法である。しかしながら、この方法では、反応の副生成物、例えば、カルボジイミドを用いた場合では尿素化合物が生成するのでこれらを除去する必要があり、工程数が増えてコスト面で問題があった。また、この方法を滅菌の必要な医療用途に用いる際は、無菌状態で製造を行わないといけないため、原料の滅菌を含めて設備的にも莫大な製造コストがかかってしまうという問題があった(非特許文献2と特許文献1参照)。
【0006】
また、放射線化学的な方法は、放射線照射により基材表面と化合物にラジカルを発生させ、両ラジカルが反応し結合生成することにより化合物をグラフト重合する方法である(特許文献2参照)。この方法は、放射線および照射線量を選択することにより、基材の滅菌も同時に行なうことができるという利点があり、医療用途ではコスト的に有利である。しかしながら、タンパク質などは放射線に対して不安定であり、放射線照射により構造変化を引き起こし生理活性などの機能が失われてしまうという問題があった。かかる問題に対して、抗酸化剤を含浸させた状態で放射線照射する方法が提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、この方法は、抗酸化剤を用いることによるコストの増加や抗酸化剤の分解物が問題であった。例えば、ピロ亜硫酸ナトリウムは、放射線照射により亜硫酸や二酸化硫黄などの硫黄化合物に分解し、例えば、水溶液で用いた場合は強い酸性となるため問題であった。
【特許文献1】特許第2754203号公報
【特許文献2】特開平10−066846号公報
【特許文献3】国際特許公開97/027878号パンフレット
【非特許文献1】筏義人ら、「バイオマテリアルの開発」、CMC、1989年、pp.56−57
【非特許文献2】ポール・T・シャープ(P.T.Sharpe)、「生化学実験法13−細胞分離法−」、東京化学同人、第一版、1991年、pp.151−190
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そこで本発明の目的は、上記の問題を考慮して、放射線に不安定な化合物を基材表面に放射線照射により導入する基材の表面改質において、放射線による該化合物の変性を大幅に低減することができる表面改質方法を提供することにあり、またこの表面改質方法で得られる改質基材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を有するものである。
(1)有機溶媒の存在下で、放射線に対して不安定な化合物を接触させた基材が放射線照射されてなることを特徴とする改質基材。
(2)有機溶媒が水酸基を含有することを特徴とする前記(1)記載の改質基材。
(3)水酸基の少なくとも一つが2級または3級の水酸基であることを特徴とする前記(2)記載の改質基材。
(4)有機溶媒の水分率が20%以下であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の改質基材。
(5)放射線に対して不安定な化合物がアミノ酸を構成要素とするものであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の改質基材。
(6)放射線に対して不安定な化合物が血液抗凝固活性を有することを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の改質基材。
(7)放射線に対して不安定な化合物が抗トロンビン活性を有することを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の改質基材。
(8)有機溶媒が抗酸化剤を含有することを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の改質基材。
(9)基材が高分子化合物材料からなるであることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の改質基材。
(10)基材が医療用基材であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の改質基材。
(11)医療用基材が生体成分分離用モジュールに内蔵されていること特徴とする前記(10)記載の改質基材。
(12)医療用基材が血液浄化用モジュールに内蔵されていることを特徴とする前記(10)または(11)記載の改質基材。
(13)医療用基材が人工腎臓用モジュールに内蔵されていることを特徴とする前記(10)〜(12)のいずれかに記載の改質基材。
(14)医療用基材が分離膜であることを特徴とする前記(10)〜(13)のいずれかに記載の改質基材。
(15)基材が分離膜であることを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに記載の改質基材。
(16)分離膜が中空糸膜であることを特徴とする前記(15)記載の改質基材。
(17)放射線に対して不安定な化合物を有機溶媒に溶解した溶液に接触させた基材に、放射線を照射することを特徴とする改質基材の製造方法。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、有機溶媒の存在下で、放射線に対して不安定な血液抗凝固活性を有する化合と基材を接触させた状態で放射線照射することにより、例えば、放射線に対して不安定な血液抗凝固活性を有する化合物を、その活性を維持しつつ基材表面に放射線グラフト重合させることが可能となり、抗凝固剤の使用量を減らすことができるので、抗凝固剤に対する副作用等のリスクを減らすことが期待できる。このように、本発明によれば、種々の放射線に対して不安定な生理活性物質を変性を抑制しつつ基材表面に放射線グラフト重合させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の改質基材は、有機溶媒の存在下で放射線に対して不安定な化合物と基材を接触させた状態で放射線照射されてなるものである。
【0011】
本発明で用いられる放射線とは、高エネルギーの粒子線および電磁波のことであり、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線、電子線および中性子線などが挙げられる。これらのうちγ線と電子線はエネルギーが特に高く効率よく改質ができるので、より好ましく用いられる。また、γ線、X線および電子線は線量をコントロールすることで滅菌も同時に行うことができるので、医療材料などに好適である。
【0012】
また、本発明で用いられる放射線に対して不安定な化合物とは、放射線が照射されたときに化合物中の少なくとも一部において、化学結合の切断や生成あるいは酸化反応などにより分子構造に変化を生じ、強度などの機械的特性、導電性などの電気的特性、屈折率などの光学特性、表面張力のような物理的機能および/または触媒活性や吸着特性などの化学的な機能および/または生体適合性や酵素活性や抗体活性などの生物的な機能が変化する化合物のことをさす。本発明で用いられる放射線に対して不安定な化合物の詳細については、後述する。
【0013】
また、基材に対して放射線照射する場合、放射線の線量が少ない場合は基材中の吸収線量にばらつきが生じるなど、線量のコントロールが困難となるので、放射線の線量は1kGy以上の線量であることが好ましく、より好ましくは5kGy以上である。また、医療材料など同時に滅菌も行う場合、放射線の線量は15kGy以上であることが好ましく、より好ましくは25kGy以上である。ただし、過剰な放射線の照射は基材自身を劣化させるので、放射線の線量は5000kGy以下であることが好ましく、より好ましくは1000kGy以下であり、さらに好ましくは100kGy以下である。
本発明で好適に用いられる有機溶媒としては、分子中に炭素原子および/またはケイ素原子を含む溶媒が挙げられる。水酸基は、放射線照射により発生したラジカルを安定化する効果が高く、かつ非イオン性の官能基であり強い表面電荷を有する化合物との相互作用が小さく、かつ酸化還元力も小さく化合物の変性も少ないので、分子中に水酸基を有する有機溶媒が好ましく用いられる。水酸基を有する有機溶媒の例としては、メタノールやエタノールなどのアルコール類、ポリエチレングリコールおよびエチレングリコール等が挙げられる。特に、2級および3級の水酸基は、ラジカルを安定化する効果がより高いので、水酸基の少なくとも一つが2級または3級の水酸基を有する有機溶媒、例えば、グリセリンやプロピレングリコール、イソプロパノール等はより好ましく用いられる。これらの有機溶媒は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。また、本発明の改質基材を医療用具に用いる際は、その安全性を考慮する必要があるため、有機溶媒は毒性の低いものが好適である。
【0014】
有機溶媒の存在下で、放射線に対して不安定な化合物を基材に接触させる方法としては、化合物を有機溶媒に溶解および/または分散し、得られた液体に基材を浸漬させたり、基材に塗布したりする方法が挙げられる。また、化合物が目的の有機溶媒に溶解しにくい場合は、化合物に対する溶解度が高い溶媒に溶解させて基材に接触させた後に目的の有機溶媒に置換しても良く、このとき溶解させる溶媒は水などの無機溶媒でも良い。また、あらかじめ化合物を基材に塗布もしくは吸着させた基材を有機溶媒に浸漬させてもよい。化合物が溶解するとは、化合物が溶媒に溶けて均一混合物、すなわち溶液になることを指す。また、化合物が分散するとは、化合物が溶媒中に散在することを指す。
有機溶媒において水分率が高いと放射線照射により、活性が高いヒドロキシラジカルが発生し周囲の化合物を変性させるおそれがあるので、水分率は20%以下であることが好ましく、より好ましく15%以下であり、更に好ましくは10%以下である。また、放射線照射までの保管中に水分率が上がることを抑制するため、にシリカゲルなどの乾燥剤を用いても良い。
【0015】
ここで、本発明における水分率は、次のとおり定義されるものであり、水分率測定は、日本薬局方のカールフィッシャー法で行うこととする。
水分率=(放射線に不安定な化合物および有機溶媒に含まれる水の重量)/(放射線に対して不安定な化合物および有機溶媒の重量)×100
また、本発明では、放射線に対して不安定な化合物を基材に接触させるに際し、抗酸化剤を併用することも可能である。抗酸化剤が、放射線照射により発生したヒドロキシラジカルを補足し、放射線に不安定な化合物の変性を抑制する効果が期待できるからである。ここでいう抗酸化剤とは、他の分子に電子を与えやすい性質を持つ分子を有する化合物のことを言うが、基材や機能性物質、非イオン性親水性高分子が放射線によって変性することを抑制する性質をもつものである。抗酸化剤としては、例えば、ビタミンCなどの水溶性ビタミン類、ポリフェノール類、グルコース、ガラクトース、マンノース、トレハロースなどの糖類、ソジウムハイドロサルファイト、ピロ亜硫酸ナトリウム、二チオン酸ナトリウムなどの無機塩類、ポリビニルアルコール、尿酸、システインおよびグルタチオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。これらの抗酸化剤は単独で用いてもよく、2種類以上を混合して用いてもよい。
本発明の改質基材を医療用具に用いる際は、その安全性を考慮する必要があるため、抗酸化剤は毒性の低いものが好適に用いられる。抗酸化剤を含有する水溶液の濃度は、含有する抗酸化剤の種類や放射線の照射線量などにより異なるため、適宜、最適な濃度で使用すればよい。
【0016】
本発明で用いられる基材とは、放射線に対して不安定な化合物を付与させたい材料のことを指し、高分子化合物材料が好ましく用いられる。高分子化合物材料を構成する高分子化合物の例としては、例えば、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、ポリカーボネート、セルロース、セルロースアセテート、セルローストリアセテート、ポリアクリロニトリル、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリスチレンおよびポリウレタンなどが挙げられが、これらに限定されるものではない。
【0017】
本発明では、基材として、医療用基材を用いることができる。医療用基材としては、人工血管、カテーテル、血液バッグ、コンタクトレンズ、眼内レンズおよび手術用補助器具等が挙げられ、生体成分分離用モジュールや血液浄化用モジュールなどに内蔵され用いられる分離膜なども含まれる。生体成分分離用の分離膜とは、濾過もしくは透析により生体物質を分離し、一部を回収する膜のことをいう。
【0018】
本発明において、血液浄化用モジュールとは、血液を体外に循環させる際に、吸着や濾過、拡散によって血中の老廃物や有害物質を取り除く機能を有したモジュールのことをいい、具体的に人工腎臓や外毒素吸着カラムなどがある。
血液浄化用モジュールに内蔵される分離膜の形態は特に限定されるものではなく、平膜や中空糸膜などの形態で用いられる。しかしながら、処理効率、すなわち血液と接触する表面積の確保などを考慮すると、中空糸膜型であることが好ましい。
【0019】
本発明においては、放射線に対して不安定な化合物として、アミノ酸を構成要素とする化合物を好適に用いることができる。アミノ酸を構成要素としている化合物とは、天然に存在するアミノ酸を含有する化合物のことであり、例えば、タンパク質やペプチドなどのアミノ酸だけから構成されるものや、糖タンパク質、アミノ酸錯体およびアミノアシルアデニル酸等のアミノ酸とアミノ酸以外のものから構成されるものも挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0020】
血液は、異物と接触すると凝固系が活性化されて、やがて血栓が形成される。人工腎臓などの血液体外循環において回路や透析器内などで血栓が生成すると循環圧力が上昇し、やがて循環できなくなるだけでなく、生成した血栓の一部が体内へ入ると血管が詰まる危険がある。従って、血液体外循環では、血液中に血液抗凝固活性を有する化合物を添加する必要がある。しかしながら、手術直後の患者や消化管出血を合併している患者などの血中に血液抗凝固作用を有する化合物を添加すると、出血の危険を伴う危険がある。そこで、体外循環に用いられる基材表面に血液抗凝固活性を有する化合物をグラフト重合させることにより血中への抗凝固活性を有する化合物を添加せずに血栓形成の抑制が可能となる。
【0021】
血液抗凝固活性を有する化合物とは、血液に化合物を10μg/mlの濃度となるように加えたとき、未添加の血液と比較してプロトロンビン時間が30%以上延長する化合物を指す。プロトロンビン時間の測定は、次の文献に記載の方法で行うことができる。
金井正光ら、「臨床検査法提要 改訂第30版」、金原出版、1993年、pp.416−418
すなわち、3.2%クエン酸ナトリウム1容と血液の9容を混じて、分取したクエン酸血漿0.1mlを小試験管(内径8mm、長さ7.5cm)にとり、37℃の温度の恒温水槽に入れ約3分間加熱する。同温度に保温した組織トロンボプラスチン・カルシウム試薬0.2mlを加えると同時に秒時計を始動し軽く振とうし、傾斜させながらフィブリンが析出するまでの時間を測定する。
【0022】
本発明において、放射線に対して不安定な化合物として、血液抗凝固活性を有する化合物が挙げられる。血液抗凝固活性を有する化合物としては、例えば、ヘパリン、ナファモスタットメシレート、クエン酸ナトリウム、シュウ酸ナトリウム、αアンチトリプシン、αマクログロブリン、C1インヒビタ、トロンボモジュリンおよびプロテインC等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。血液抗凝固活性を有する化合物の中で、トロンビンの活性を抑制することで強力な血液抗凝固作用を示す化合物、すなわち抗トロンビン活性を有する化合物がある。
【0023】
本発明で用いられる抗トロンビン活性を有する化合物とは、血液中の凝固関連物質であるトロンビンの活性を抑制する化合物のことであり、化合物を10μg/mlの濃度で加えた血漿のHEAMOSYS社「ECA−Tkit」における測定値が、化合物未添加血漿のものと比較して50%以上増加する化合物を指す。このうち、放射線に不安定な抗トロンビン活性を有する化合物とは、該化合物の水溶液に吸収線量が25kGyのγ線を照射した場合、かかる測定値が90%以下となる化合物を指す。
超純水に抗トロンビン活性を有する化合物として、下記の化学式で示される。
4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(以下、化合物Aと略す。)、アンチトロンビンIII、ヒルジンなどが挙げられる。
【0024】
【化1】

【0025】
(式中、PEGはポリエチレングリコール残基、Meはメチル基を表す。)
本発明の改質基材は、放射線に対して不安定な化合物を有機溶媒に溶解した溶液に接触させた基材に、放射線を照射することにより製造することができる。
【0026】
放射線に対して不安定な化合物の有機溶媒への溶解速度が小さい場合は、既述のように、予め溶解速度が大きい溶媒に溶解した溶液を用意し目的の有機溶媒と混合し、抽出や乾燥や蒸留などの操作により溶媒分離し目的の有機溶媒の溶液を調整することも可能である。
基材が分離膜の場合、溶液をろ過することにより溶質分子を膜の内部にも効率的に接触させることが可能になる。ただし、溶質分子のストークス半径が膜の細孔半径より同等あるいは大きい場合は、膜の目詰まりが発生し、当初計画した膜性能が得られない場合があるので注意が必要である。
【0027】
以下、実施例を挙げて本発明の改質基材とその製造方法について説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0028】
(ミニモジュール血液循環実験)
図2は、本発明の各実施例の血液循環実験で使用した血液回路を例示する概略系統図である。図2において、ミニモジュール6の片側の血液ポートに内径0.8mm、長さ52cmのシリコンチューブ7をつなぎ、途中にはペリスタポンプ8と圧力計11(キーエンス社製AP−32A)を設置した。もう一方の血液ポートに内径0.8mm、長さ16cmのシリコンチューブをつないだ。両シリコンチューブの血液ポートにつないでいない側を、BECTON DICKINSON社製5mlポリスチレンラウンドチューブ9(352054)に差し込み、図2に示した循環回路を作製した。
【0029】
ヒトの静脈血を採血後、直ちに清水製薬株式会社製「ヘパリンナトリウム注」を0.5U/mlになるように添加した。該血液10の5mlを前記ポリスチレンラウンドチューブ9に加えてペリスタポンプ8で流速0.5ml/minで循環し、循環圧力の変化を測定した。
(水分率の測定)
放射線照射直前のミニモジュールの中空糸膜に含まれる有機溶媒を搾取し、該有機溶媒の水分率測定を平沼産業株式会社製AQ−7平沼微量水分測定装置を用い、電解液として平沼産業株式会社製ハイドラナールアクアライトRS、アクアライトCNを用い装置付属の取扱説明書に従って測定を行った。
(実施例1)
iso−ポリメタクリル酸メチル5重量部とsyn−ポリメタクリル酸メチル20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、加熱溶解し製膜原液を得た。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し、空気中を300mm通過させた後、水100%の凝固浴中に導き中空糸分離膜を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。得られた中空糸分離膜の内径は0.2mmであり 、膜厚は0.03mmであった。
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備したポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないように、エポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート1)を2個と、外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して、濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプ8で10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にグリセリン(シグマアルドリッチ発売code:12−1120−5)を溶解して65vol/vol%のグリセリン水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し、中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(1))を得た。
【0030】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、18kPaであった。また、水分率は1.6%であった。結果を表1に示す。
(実施例2)
ポリスルホン(ソルベー社製“ユーデル”(登録商標)P−3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30)9重量部を、N,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃の温度で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管から吐出した。芯液としてN,N’−ジメチルアセトアミド58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管から吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸分離膜が得られた。得たれた中空糸分離膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ、非対称構造を有していた。
【0031】
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備されたポリスルホンの中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜4の内側のポート(血液ポート1)を2個と外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由し、もう一方の血液ポート1から出しポリスチレンラウンドチューブ10を介し該血液ポート側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にグリセリン(シグマアルドリッチ発売code:12−1120−5)を溶解して65vol/vol%のグリセリン水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜内4を経由しもう一方の血液ポート1から出しチューブを介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(2))を得た。
【0032】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、23kPaであった。また、水分率は2.1%であった。結果を表1に示す。
(比較例1)
iso−ポリメタクリル酸メチル5重量部とsyn−ポリメタクリル酸メチル20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、加熱溶解した。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し空気中を300mm通過した後、水100%の凝固浴中に導き中空糸分離膜を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。該中空糸分離膜の内径は0.2mmであり、膜厚は0.03mmであった。
【0033】
このようにして準備したポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜を50本束ね、中空糸分離膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤で両末端をガラス管のモジュールケースに固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmで、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の一方の血液ポートから入れて中空糸分離膜内を経由しもう一方の血液ポートから出しポリスチレンラウンドチューブを介し該血液ポート側の透析液ポートに入れもう一方の透析液ポートから出した。化合物Aの水溶液を充填し4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した。このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(3))を得た。
【0034】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始直後から圧力上昇が観測され、約2時間後には循環圧力が80kPaを超えたため循環不能となった。また、水分率は100%であった。結果を表1に示す。
(比較例2)
iso−ポリメタクリル酸メチル5重量部とsyn−ポリメタクリル酸メチル20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、加熱溶解した。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し空気中を300mm通過した後、水100%の凝固浴中に導き中空糸分離膜を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。該中空糸分離膜の内径は0.2mmであり、膜厚は0.03mmであった。
【0035】
このようにして準備したポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜を50本束ね、中空糸分離膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤で両末端をガラス管のモジュールケースに固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmで、長さは約12cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水にグリセリン(シグマアルドリッチ発売code:12−1120−5)を溶解して65vol/vol%のグリセリン水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸膜の内側の一方の血液ポートから入れて中空糸内を経由しもう一方の血液ポートから出しチューブを介し該血液ポート側の透析液ポートに入れもう一方の透析液ポートから出した。その後、該ミニモジュール中空糸膜の内側の血液ポートからもう一方の血液ポートに20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポートからもう一方の透析液ポートに20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(4))を得た。
【0036】
該モジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始直後から圧力上昇が観測され、約2時間後には循環圧力が80kPaを超えたため循環不能となった。また水分率は1.8%であった。結果を表1に示す。
(比較例3)
ポリスルホン(ソルベー社製“ユーデル”(登録商標)P−3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30)9重量部を、N,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃の温度で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管から吐出した。芯液としてN,N’−ジメチルアセトアミド58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管から吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸分離膜が得られた。得たれた中空糸分離膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。
【0037】
このようにして準備されたポリスルホン中空糸分離膜を50本束ね、中空糸分離膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤で両末端をガラス管のモジュールケースに固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の一方の血液ポートから入れて中空糸分離膜内を経由しもう一方の血液ポートから出しチューブを介し該血液ポート側の透析液ポートに入れもう一方の透析液ポートから出した。化合物Aの水溶液を充填し4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸膜ミニモジュール(ミニモジュール(5))を得た。
【0038】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始直後から圧力上昇が観測され、約2時間後には循環圧力が80kPaを超えたため循環不能となった。また、水分率は100%であった。結果を表1に示す。
(比較例4)
ポリスルホン(ソルベー社製“ユーデル”(登録商標)P−3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30)9重量部を、N,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃の温度で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管から吐出した。芯液としてN,N’−ジメチルアセトアミド58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管から吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸分離膜が得られた。得たれた中空糸分離膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ非対称構造を有していた。
【0039】
このようにして準備されたポリスルホン中空糸分離膜を50本束ね、中空糸分離膜の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤で両末端をガラス管のモジュールケースに固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmで、長さは約12cmであり、一般的な中空糸膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート)を2個と外側のポート(透析液ポート)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水にグリセリン(シグマアルドリッチ発売code:12−1120−5)を溶解して65vol/vol%のグリセリン水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜の内側の一方の血液ポートから入れて中空糸内を経由しもう一方の血液ポートから出しチューブを介し該血液ポート側の透析液ポートに入れもう一方の透析液ポートから出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の血液ポートからもう一方の血液ポートに20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポートからもう一方の透析液ポートに20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は26kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(6))を得た。
【0040】
該モジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始直後から圧力上昇が観測され、約2時間後には循環圧力が80kPaを超えたため循環不能となった。また水分率は1.9%であった。結果を表1に示す。
(実施例3)
iso−ポリメタクリル酸メチル5重量部とsyn−ポリメタクリル酸メチル20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、加熱溶解し製膜原液を得た。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し、空気中を300mm通過させた後、水100%の凝固浴中に導き中空糸分離膜を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。得られた中空糸分離膜の内径は0.2mmであり 、膜厚は0.03mmであった。
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備したポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないように、エポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート1)を2個と、外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物
4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して、濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプ8で10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にプロピレングリコール(和光純薬工業(株)製Code:164−04996)を溶解して65vol/vol%のプロピレングリコール水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は27kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し、中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(7))を得た。
【0041】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、8kPaであった。また、水分率は1.8%であった。結果を表1に示す。
(実施例4)
ポリスルホン(ソルベー社製“ユーデル”(登録商標)P−3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30)9重量部を、N,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃の温度で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管から吐出した。芯液としてN,N’−ジメチルアセトアミド58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管から吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸分離膜が得られた。得たれた中空糸分離膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ、非対称構造を有していた。
【0042】
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備されたポリスルホンの中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜4の内側のポート(血液ポート1)を2個と外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由し、もう一方の血液ポート1から出しポリスチレンラウンドチューブ10を介し該血液ポート側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にプロピレングリコール(和光純薬工業(株)製Code:164−04996)を溶解して65vol/vol%のプロピレングリコール水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜内4を経由しもう一方の血液ポート1から出しチューブを介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は27kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(8))を得た。
【0043】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、5kPaであった。また、水分率は2.1%であった。結果を表1に示す。
(実施例5)
iso−ポリメタクリル酸メチル5重量部とsyn−ポリメタクリル酸メチル20重量部を、ジメチルスルホキシド75重量部に加え、加熱溶解し製膜原液を得た。この製膜原液をオリフィス型二重円筒型口金から吐出し、空気中を300mm通過させた後、水100%の凝固浴中に導き中空糸分離膜を得た。この際、内部注入気体として乾燥窒素を用いた。得られた中空糸分離膜の内径は0.2mmであり 、膜厚は0.03mmであった。
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備したポリメタクリル酸メチル中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないように、エポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜の内側のポート(血液ポート1)を2個と、外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物
4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して、濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプ8で10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にイソプロパノール(シグマアルドリッチジャパン(株)製Code:15−2320−5)を溶解して65vol/vol%のイソプロパノール水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由しもう一方の血液ポート1から出し、ポリスチレンラウンドチューブ9を介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は27kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプを用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し、中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(9))を得た。
【0044】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、11kPaであった。また、水分率は2.0%であった。結果を表1に示す。
(実施例6)
ポリスルホン(ソルベー社製“ユーデル”(登録商標)P−3500)18重量部およびポリビニルピロリドン(BASF社製K30)9重量部を、N,N’−ジメチルアセトアミド72重量部および水1重量部の混合溶媒に加え、90℃の温度で14時間加熱して溶解し、製膜原液を得た。この製膜原液を外径0.3mm、内径0.2mmのオリフィス型二重円筒型口金の外側の管から吐出した。芯液としてN,N’−ジメチルアセトアミド58重量部および水42重量部からなる溶液を内側の管から吐出した。吐出された製膜原液は、口金から凝固浴液面までの距離350mmを通過した後、水100%の凝固浴に導かれ、中空糸分離膜が得られた。得たれた中空糸分離膜の構造を電子顕微鏡(日立社製S800)にて確認したところ、非対称構造を有していた。
【0045】
図3は、ミニモジュールを例示する概略側面図である。上記のようにして準備されたポリスルホンの中空糸分離膜4を50本束ね、中空糸分離膜4の中空部を閉塞しないようにエポキシ系のポッティング剤5で両末端をガラス管のモジュールケース3に固定し、図3に示す構造のミニモジュールを作成した。該ミニモジュールの直径は約7mmであり、長さは約12cmであり、一般的な中空糸分離膜型透析器同様に中空糸分離膜4の内側のポート(血液ポート1)を2個と外側のポート(透析液ポート2)を2個有している。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部を蒸留水にて洗浄した。その後、超純水に抗トロンビン活性を有する化合物4−methoxy−benzenesulfonyl−Asn(PEG2000−Ome)−Pro−4amidinobenzylamide(化合物A)を溶解して濃度11.7重量ppmの化合物A水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュール中空糸分離膜の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜4内を経由し、もう一方の血液ポート1から出しポリスチレンラウンドチューブ10を介し該血液ポート側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、超純水にイソプロパノール(シグマアルドリッチジャパン(株)製Code:15−2320−5)を溶解して65vol/vol%のイソプロパノール水溶液を調製し、ペリスタポンプで10ml/minの流速で30mlを該ミニモジュールの中空糸分離膜4の内側の一方の血液ポート1から入れて中空糸分離膜内4を経由しもう一方の血液ポート1から出しチューブを介し該血液ポート1側の透析液ポート2に入れもう一方の透析液ポート2から出した。その後、該ミニモジュール中空糸分離膜4の内側の血液ポート1からもう一方の血液ポート1に20kPaの圧縮空気を30秒間通し、続いて透析液ポート2からもう一方の透析液ポート2に20kPaの圧縮空気を60秒間通した。該ミニモジュールを50℃の温度で3時間乾燥した後、4ヶ所のポートを密栓した状態でγ線を照射した、このときγ線の吸収線量は27kGyであった。該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の超純水300mlを流速10ml/minで洗浄した。その後、該ミニモジュールの中空糸分離膜4およびモジュール内部をペリスタポンプ8を用いて25℃の温度の大塚製薬株式会社発売生理食塩水「大塚生食注」300mlを流速10ml/minで洗浄し中空糸分離膜ミニモジュール(ミニモジュール(10))を得た。
【0046】
該ミニモジュールによる血液循環実験の結果、循環時間に対する循環圧力変化を図1に示す。循環開始4時間後の循環圧力は、18kPaであった。また、水分率は1.9%であった。結果を表1に示す。
【0047】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0048】
本発明は、放射線に対して不安定な血液抗凝固活性を有する化合物を、その活性を維持しつつ基材表面に放射線グラフト重合した改質基材であり、抗凝固剤の使用量を減らすことができるので、抗凝固剤に対する副作用等のリスクを減らすことが期待できる。このように、本発明によれば、種々の放射線に対して不安定な生理活性物質を変性を抑制しつつ基材表面に放射線グラフト重合させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、本発明の実施例1〜6および比較例1〜4の循環圧力の経時変化を示したグラフである。
【図2】図2は、本発明の実施例1〜6の血液循環実験で使用した血液回路を例示する概略系統図である。
【図3】図3は、本発明の実施例1〜6および比較例1〜4で用いられたミニモジュールを例示する概略側面図である。
【符号の説明】
【0050】
1.血液ポート
2.透析液ポート
3.モジュールケース
4.中空糸分離膜
5.ポッティング剤
6.ミニモジュール
7.シリコンチューブ
8.ペリスタポンプ
9.ポリスチレンラウンドチューブ
10.血液
11.圧力計

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒の存在下で、放射線に対して不安定な化合物を接触させた基材が放射線照射されてなることを特徴とする改質基材。
【請求項2】
有機溶媒が水酸基を含有することを特徴とする請求項1記載の改質基材。
【請求項3】
水酸基の少なくとも一つが2級または3級の水酸基であることを特徴とする請求項2記載の改質基材。
【請求項4】
有機溶媒の水分率が20%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の改質基材。
【請求項5】
放射線に対して不安定な化合物がアミノ酸を構成要素とするものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の改質基材。
【請求項6】
放射線に対して不安定な化合物が血液抗凝固活性を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の改質基材。
【請求項7】
放射線に対して不安定な化合物が抗トロンビン活性を有することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の改質基材。
【請求項8】
有機溶媒が抗酸化剤を含有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の改質基材。
【請求項9】
基材が高分子化合物材料からなることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の改質基材。
【請求項10】
基材が医療用基材であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の改質基材。
【請求項11】
医療用基材が生体成分分離用モジュールに内蔵されていること特徴とする請求項10記載の改質基材。
【請求項12】
医療用基材が血液浄化用モジュールに内蔵されていることを特徴とする請求項10または11記載の改質基材。
【請求項13】
医療用基材が人工腎臓用モジュールに内蔵されていることを特徴とする請求項10〜12のいずれかに記載の改質基材。
【請求項14】
医療用基材が分離膜であることを特徴とする請求項10〜13のいずれかに記載の改質基材。
【請求項15】
基材が分離膜であることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の改質基材。
【請求項16】
分離膜が中空糸膜であることを特徴とする請求項15記載の改質基材。
【請求項17】
放射線に対して不安定な化合物を有機溶媒に溶解した溶液に接触させた基材に、放射線を照射することを特徴とする改質基材の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−291193(P2006−291193A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−74029(P2006−74029)
【出願日】平成18年3月17日(2006.3.17)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】