説明

放出を制御した口腔デリバリーシステム

【課題】高濃度の有効成分が送達された後、有効成分がなくなるのではなく、長期間にわたって口腔内に送達される口腔ケア有効成分の量を制御する口腔デリバリーシステム等を提供すること。
【解決手段】口腔デリバリーシステムは、少なくとも1種類の有効成分と、前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスとを含有する。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有する。少なくとも1種類の有効成分は、口腔ケアに有効な成分であってもよいし、単独で、又は矯味剤等の他の有効成分と組み合わせて封入されてもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広義には、封入された有効成分を含有する口腔デリバリーシステムに関する。特に、本発明は、少なくとも1種類の有効成分がポリマーマトリックス内に封入された口腔デリバリーシステムに関する。ある実施形態において、ポリマーマトリックスは、所望の範囲内の引張強度を有していてもよく、かつ/又は制御された量の有効成分を放出させる少なくとも1種類の疎水性ポリマーを含有してもよい。
【背景技術】
【0002】
汚れのない白い歯は、昔から美容上望ましいと考えられてきた。ところが、徹底的な歯の清掃をしないと、食品、飲料、タバコ等に含まれる着色性物質、並びに血液、アマルガムベースの充填物質、及び抗生物質(例えば、テトラサイクリン)等の内性要因によって、歯は変色したり、汚れたりする可能性がある。
【0003】
現在、歯のステインを除去する方法は数多くある。これらの方法は、一般に、汚染質を分解する研磨剤、加水分解剤又は酸化剤の使用に基づいている。例えば、機械的な歯の清掃方法が知られており、練り歯磨き製剤で通常用いられる研削剤又は研磨剤の使用によってステインを機械的に削り取る。研削剤を含有する代表的な製剤としては、歯と密接に接触する必要のある練り歯磨き、ゲル、又は粉末歯磨剤がある。代表的な研削剤としては、水和シリカ、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、及びアルミナが挙げられる。
【0004】
タンパク分解酵素等の加水分解剤も歯をホワイトニングするのに使用できる。これらの製品は、通常、ペースト又はゲルの形状を取り、ステインを閉じ込めている歯垢及び歯石を除去することによって、歯をホワイトニングする機能を果たす。
【0005】
過酸化尿素、過酸化水素、又は過酸化カルシウム等の酸化剤は、歯のエナメル質に対するホワイトニング剤の最も一般的な代表例である。過酸化物は、歯垢/ステインの複合体を洗浄又は研磨剤により除去できる形に分解可能なヒドロキシルラジカルを放出することで、歯を白くすると信じられている。
【0006】
他の有効なステイン除去成分としては、それらがステインを除去する性質を有するがゆえにステイン除去組成物に配合される、陰イオン性界面活性剤、及びキレート剤等の界面活性剤が挙げられる。例えば、歯磨剤組成物に代表的に用いられる陰イオン性界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウム、及びN−ラウリルサルコシン酸ナトリウムが挙げられる。さらに、ポリリン酸塩等のキレート剤は、歯石をコントロールする配合成分として歯磨剤組成物に代表的に用いられる。例えば、ピロリン酸四ナトリウム及びトリポリリン酸ナトリウムは、かかる組成物に見られる代表的な配合成分である。
【0007】
ステインを除去するガムが知られている。例えば、トリポリリン酸ナトリウム及びキシリトールを含有するガム組成物が知られている。また、ヘキサメタリン酸及び研削剤シリカ材料を含有するガム組成物が知られている。さらに、トリポリリン酸ナトリウム、ピロリン酸四ナトリウム、シリカ研削剤、及び酢酸亜鉛を含有する歯科用ガムが知られている。炭酸水素ナトリウム及び炭酸カルシウムといった研削剤を含有するホワイトニングガム組成物も知られており、V6(登録商標)の商標名で販売されている。
【0008】
さらに、脂肪酸塩等の陰イオン界面活性剤を含有するステインを除去するガム組成物が知られている。例えば、ステアリン酸ナトリウムは、Trident White(登録商標)の商標名で販売されているガム製品に用いられている脂肪酸塩である(米国特許第6,471,945号、第6,479,071号、及び第6,696,044号参照)。さらに、共係属中で共有の米国特許出願第10/901,511号では、リシノール酸塩を含有するステインを除去するガム組成物が開示されている。
【0009】
現在用いられている、口腔ケア/歯のホワイトニング有効成分を有するデリバリーシステムには問題が存在する。例えば、錠剤、フィルム、マウスウォッシュ、練り歯磨き、及びゲルからの有効成分の放出は非常に速く、短時間しか起こらない。これらの製品の大部分においては、有効成分の濃度が一時的に上昇し、その後急速にゼロ付近に低下する。同様に、歯のホワイトニング有効成分にも、ガムベースから咀嚼後数分以内に高濃度で放出され、その後急速に低濃度になりうるものがある。
【0010】
甘味料、酸、香味料、可溶性食物繊維、生理活性物質、息清涼剤等を封入するために、封入材料が用いられている。かかる封入材料としては、例えば、セルロース及びその誘導体、アラビノガラクチン、アラビアガム、ポリオレフィン、ワックス、ビニルポリマー、ゼラチン並びにゼイン等が挙げられる。一般に、有効成分の分解を遅らせ、有効成分の放出の均一性を向上させつつ、制御された方法で有効成分の放出を長く持続させるために、食用組成物中に封入された有効成分が用いられていた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
通常、適当な封入材料(ポリ酢酸ビニル(PVAc)等)の選択に際しては、封入材料の分子量に重点が置かれ、一般に、分子量が高いものほど、放出時間が長くなる。しかし、この手法には、有効成分の放出プロファイルの予測可能な変化を封入材料の分子量変化によってしか起こし得ないという制約が存在する。
【0012】
上述の通り、高濃度の有効成分が送達された後、有効成分がなくなるのではなく、長期間にわたって口腔内に送達される口腔ケア有効成分の量を制御する口腔デリバリーシステムを提供できれば有益である。特に、有効成分の放出の均一性を向上させ、制御された方法で有効成分の放出をより長く持続させるためには、少なくとも1種類の口腔ケア有効成分を適当なポリマーマトリックス内に封入することが好都合であると考えられる。ある実施形態において、有効成分の放出プロファイルは、所望の範囲内の引張強度を有するポリマーマトリックスを選択し、かつ/又は所望の範囲内の吸水率を有するポリマーをマトリックス内に含有させることによって変化させることができる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、広義には、ポリマーマトリックス内に有効成分が効果的に封入された口腔デリバリーシステムに関する。口腔デリバリーシステムは、食用組成物に用いられる。ポリマーマトリックスは、制御された方法で有効成分の放出をより長く持続させ、かつ/又は有効成分の放出の均一性を向上させる。このようにすることにより、有効成分が遊離の状態で存在する食用組成物に比べて、より長期間にわたって、有効成分を本来の目的のために口腔内に残存させることができる。このことについては、以下、詳細に説明する。
【0014】
本発明の一態様において、少なくとも1種類の有効成分と、前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスと、を含む口腔デリバリーシステムを提供する。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。
【0015】
本発明の口腔用組成物としては、特に限定されないが、ガム、菓子組成物、練り歯磨き及びマウスウォッシュ等の多くの組成物が挙げられる。例えば、本発明のある態様は、歯のホワイトニング用ガム組成物に関する。
【0016】
ある実施形態において、ガム組成物は、ガムベース及びデリバリーシステムを含む。ガム組成物に用いられるデリバリーシステムは、少なくとも1種類の有効成分と、前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスとを含有する。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。
【0017】
本発明の他の態様は、本明細書で提供される、本発明の口腔内デリバリー用組成物を調製及び使用する方法に関する。
【0018】
ある実施形態において、口腔デリバリーシステムを調製する方法は、少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部をポリマーマトリックス内に封入することにより、口腔デリバリーシステムを形成する工程を含む。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。
【0019】
本発明の口腔デリバリーシステムは、多くの方法によって調製できる。例えば、押出成形を用いて、有効成分の少なくとも一部をポリマーによって封入してもよい。シグマ型ミキサー、バンバリーミキサー等の高せん断ミキサーを用いて、有効成分とポリマー融液とを混合することにより、有効成分の少なくとも一部をポリマー内に封入してもよい。他の実施例において、ポリマーの流動化粒子のスプレーコーティングを用いて、有効成分の少なくとも一部をポリマー内に封入してもよい。
【0020】
また、本発明は、口腔ケア用組成物等の口腔用組成物の調製方法を提供する。この方法は、口腔デリバリーシステムを準備する工程と、口腔デリバリーシステムを担体組成物と混合する工程とを含む。口腔用組成物の調製に用いられる口腔デリバリーシステムは、少なくとも1種類の有効成分と、前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスと、を含有する。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。
【0021】
本発明の1つの具体的な態様は、ガム組成物を調製する方法に関する。ある実施形態において、この方法は、少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部をポリマーマトリックス内に封入する工程を含む。ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。この方法は、ガムベースを加熱して基材を軟化させる工程と、軟化したガムベースと少なくとも一部が封入された有効成分とを混合して、ほぼ均一な混合物を得る工程とをさらに含む。この方法はまた、混合物を冷却する工程と、冷却した混合物をガム片に成形する工程と、を含む。
【0022】
口腔デリバリーシステムからの有効成分の放出を制御する方法をさらに提供する。この方法は、本発明の口腔デリバリーシステムを準備する工程と、前記口腔デリバリーシステムを口腔内で用いる工程と、を含み、これにより少なくとも1種類の有効成分の制御された量が、口腔内に放出される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明は、有効成分のデリバリーシステムを提供する。該デリバリーシステムは、ガム組成物等の食用組成物に用いられる。該デリバリーシステムは、封入材料と少なくとも1種類の有効成分とを含有する。該封入材料は、少なくとも1種類の有効成分の周囲の少なくとも一部に物理的な障壁を形成する。この物理的な障壁が、制御された方法で有効成分の放出をより長く持続させ、かつ/又は有効成分の放出の均一性を向上させる。このようにすることにより、有効成分が遊離の状態で存在する食用組成物に比べて、より長期間にわたって、有効成分を本来の目的のために口腔内に残存させることができる。
【0024】
本明細書で用いられる場合において、「含有する(comprising)」(「含有する(comprises)」等も同様)という移行句は、「含む(including)」、「含む(containing)」、又は「〜を特徴とする(characterized by)」と同義で、包括的又は非制限的であり、請求項の前提部又は本体のいずれで用いられているかにかかわらず、他の列挙されていない要素又は方法における工程を排除しない。
【0025】
本明細書で用いられている場合において、「ガム組成物」には、「チューインガム」及び「風船ガム」等の任意のガム組成物が含まれるものとする。
【0026】
本明細書で用いられている場合において、「有効成分」という語句は、本発明の組成物中に封入された任意の物質を意味し、(例えば、封入物が咀嚼されることにより)封入物から放出されると、有効成分は何らかの望ましい性質をもたらす。適当な有効成分の例としては、界面活性剤等の口腔ケア用有効成分、抗歯石剤、加水分解剤(酵素等)、漂白剤又はホワイトニング剤、抗菌剤、虫歯予防剤、歯用再石灰化剤、知覚過敏症治療剤、抗口臭剤又は息清涼剤、歯垢酸緩衝剤、及び甘味料(高甘味度甘味料)等が挙げられる。適当な有効成分の他の例としては、香味料、薬剤、ビタミン、及び矯味剤等が挙げられる。
【0027】
本明細書中で用いられる場合において、「口腔デリバリーシステム」という語句には、ポリマーマトリックスと、少なくとも一部がポリマーマトリックス内に封入された少なくとも1種類の有効成分と、が含まれるものとする。この語句には、口腔デリバリーシステムの形成に用いられる他の添加剤(溶媒、可塑剤、充填剤等)も含まれるものとする。当然ながら、本発明の口腔用組成物(食用組成物等)は、必要ならば複数のデリバリーシステムを含んでいてもよい。
【0028】
「少なくとも一部が封入されている」という語句は、ポリマーマトリックスが少なくとも1種類の有効成分の周囲に、少なくとも部分的に物理的な障壁を形成していることを意味する。このような障壁は、ポリマー融液及び少なくとも1種類の有効成分を押出成形機又は他の高せん断ミキサーを用いて混合する際に形成される。障壁は、例えば、少なくとも1種類の有効成分の周囲の少なくとも一部を取り囲むポリマーコーティング(スプレーコーティング等)又はポリマーフィルムとして形成されていてもよい。
【0029】
本発明の口腔デリバリーシステムは、食用組成物に用いられる。
【0030】
本発明の組成物は、例えば、マウスウォッシュ、口腔洗浄剤、練り歯磨き、歯磨き粉、歯の硬化剤、歯垢予防用組成物、歯科用クリーム、デンタルフロス、液体、ゲル等を含む歯磨き剤、センターフィルドガム等を含むチューインガム、ミント、トローチ剤等を含む菓子から選択される形態をとってもよい。ある実施形態において、本発明の組成物はチューインガムの形態を有する。
【0031】
ある実施形態において、本発明は、ステイン(着色汚れ)を除去する性質を有し、それによって処理された歯の表面にホワイトニング効果をもたらす組成物を対象とする。かかる組成物は、歯の表面に付着し、或いは歯の表面上の物質に包み込まれたステインの除去、及びステインを包み込む物質やステインの歯の表面への蓄積の予防に適している。本発明の組成物は、適当な時間口腔内に保持され、歯の表面に接触して、有益な歯科的効果をもたらす。
【0032】
食用組成物中の成分は、消費者が食用組成物を消費する際に放出プロファイルを有する。ある実施形態において、成分は、咀嚼による物理的作用及び/又は化学的作用、又は他の成分若しくは唾液若しくは消費者の口腔内の他の物質との反応によって放出される。成分の放出プロファイルは、消費者の口腔内の受容体(味覚受容体等)、粘膜、歯等と消費者の口腔内で相互作用する成分の利用度の指標となる。食用組成物は、異なる成分に対して同一の、或いは異なる放出プロファイルを有していてもよい。ある実施形態において、成分のうち限られた種類(例えば、1種類又は2種類)のものの放出プロファイルのみが最も重要となる。
【0033】
食用組成物中の成分の放出プロファイルは、例えば、咀嚼速度、咀嚼する強さ、成分の量、食用組成物への成分の添加形態(デリバリーシステム中への封入、未封入、前処理済み等)、食用組成物の混合法又は他の処理法、食用組成物の他の成分への成分の添加の時期又は方法、食用組成物中の1種類以上の他の成分に対する成分の比率、食用組成物に含まれるデリバリーシステム中における1種類以上の他の成分に対する成分の比率等の多くの要因に影響を受ける。
【0034】
ある実施形態において、成分の放出プロファイルは、特定の時間帯と関連していてもよい。例えば、デリバリーシステムからの成分の放出は、第1の時間帯の間に増大し、最高値に到達後、第2の時間帯の間に減少してもよい。このように、ある実施形態において、成分の放出プロファイルが、それぞれ関連した放出速度(既知であってもなくてもよく、測定可能であってもなくてもよい)を有する1つ以上の時間帯を含んでいてもよい。各時間帯は同じ長さの時間であってもよく、異なる長さの時間であってもよい。第1の時間帯は、その間、成分について、一定の又は変動する放出速度、及び第1の時間帯にわたる平均放出速度を有していてもよい。同様に、第2の時間帯は、その間、成分について、一定の又は変動する放出速度、及び第2の時間帯にわたる平均放出速度を有していてもよい。ある実施形態において、食用組成物中の成分の放出プロファイルは、単一の時間帯のみを含み、又は単一の時点と関連していてもよく、通常、いずれの場合も、食用組成物の消費が開始された時点と関連している。他の実施形態において、放出プロファイルは、2つ以上の時間領域と関連し、及び/又は2つ以上の時点と関連していてもよく、通常、いずれの場合も、食品の消費が開始された時点と関連している。
【0035】
ある実施形態において、放出プロファイルは、放出プロファイルの他の側面が定義も選択もされておらず、さらには知られていない場合であっても、1つ以上の要因又は特性によって定義され又は特徴づけられていてもよい。このように、ある実施形態において、成分の放出プロファイルは単一の特徴のみを含んでいてもよい。例えば、特徴として、ある時間帯における成分の放出速度、ある成分を含有する食用組成物が消費されている間、成分の放出量が最小、平均値、又は最大となる特定の時間帯(成分のうちいくつかがその特定の時間の前後に放出される場合や、時間帯における放出速度が特定されず、或いは変動する場合も含まれる)、その時間の経過後に成分の放出量が最小、平均値、又は最大となる特定の時間(成分のうちいくつかがその特定の時間の経過前に放出される場合や、放出速度が特定される場合又は特定されない場合も含まれる)等のうち1つ以上を含んでいてもよい。
【0036】
ある実施形態において、1つ以上の成分の放出プロファイルの管理方法としては、時間帯の開始時間及び終了時間の変更若しくは他の方法による管理、時間帯の長さの変更若しくは他の方法による管理、及び/又はある時間帯の間の放出速度の変更若しくは他の方法による管理が挙げられる。例えば、放出プロファイルの管理は、ある時間帯の間の放出速度の変更又は管理を含んでいてもよい。これらの時間帯に放出速度を増大させることにより、第1及び第2の時間帯の間に、より大きな速度で、又は早期に成分を放出させることができる。同様に、これらの時間帯に放出速度を減少させることにより、第1及び第2の時間帯の間に、より小さな速度で、又はより遅れて成分を放出させることができる。他の例として、放出プロファイルの管理は、放出プロファイルにおける時間帯の開始時間及び終了時間をシフトさせるが、各時間帯の長さは同一に保ち、かつ各時間帯における放出速度を同一に保つという形態(例えば、大部分の成分の放出を、例えば、1分、5分、10分、30分遅らせることにより、成分の放出を管理する)で行ってもよい。第3の例として、放出プロファイルの管理は、1つ以上の時間帯の開始又は終了をシフトさせること、及び1つ以上の時間帯における放出速度を変更することを含んでいてもよい。
【0037】
ある実施形態において、食用組成物中の成分の放出を遅らせることは、食品の消費が開始された後、大部分の成分が放出され、又は使用可能になるまでの時間を遅らせること、及び/又は食用組成物の消費が開始された後、ある時点、ある時間経過後、又は希望時間帯において、所望量の、大部分の、又は最小量の成分が放出され又は利用できるようにすることを含んでいる。ある実施形態において、ある時点の前、又は希望時間帯の前若しくは後には、成分がまったく放出されず、若しくは利用できない。他の実施形態において、ある時点の前、又は希望時間帯の前若しくは後には、いくつかの成分が放出され、若しくは利用できる。
【0038】
ある実施形態において、望ましい放出プロファイルの決定又は選択は、上述のような望ましい放出プロファイルに関する1つ以上の要因及び特性を決定又は選択することを含んでいてもよい。その際、要因及び特性は、放出プロファイルの他或いは全ての態様が決定又は選択されていない場合でも、放出プロファイルを決定又は選択する役割を果たす。したがって、成分の放出プロファイルの決定又は選択には、成分の放出に関する唯一の特性のみが決定又は選択された状況が含まれる場合がある。ある実施形態において、例えば、化学試験及び/又は物理試験及び分析、消費者試験、記述試験若しくは専門家による味覚試験若しくはパネルによる咀嚼試験、他のインビボ(in vivo)若しくはインビトロ(in vitro)試験等によって特性を決定又は測定できる。
【0039】
本発明によると、口腔ケア有効成分を本発明の組成物に用いることができる。かかる有効成分としては、歯のホワイトニング有効成分が挙げられるが、これに限定されない。例えば、封入された歯のホワイトニング有効成分は、ポリリン酸塩等の抗歯石剤、脂肪酸塩等の界面活性剤、タンパク分解酵素等の加水分解剤、及び過酸化物等の酸化剤のうち1種類以上であってもよい。かかる薬剤は、歯のステインの効果的な除去を促進する。他の口腔ケア成分としては、例えば、知覚過敏症治療剤、歯用再石灰化剤、抗菌剤、虫歯予防剤、抗口臭剤又は息清涼剤、及び歯垢酸緩衝剤が挙げられる。
【0040】
上述のように、錠剤、フィルム、マウスウォッシュ、練り歯磨き、及びゲルからの封入されていない口腔ケア有効成分の放出は非常に速く、短期間で起こる。これらの成分の殆どは、有効成分の濃度を一時的に上昇させ、その後急速にゼロ付近に低下させる。同様に、ある歯のホワイトニング有効成分は、ガムベースからの放出量が咀嚼後数分以内に上昇し、その後、急速に低レベルまで低下する。本発明は、有効成分を適当なポリマーマトリックス内に封入することにより、この問題を解決することを目的とする。
【0041】
本発明者らは、例えば、有効成分を適当なポリマーマトリックス内に封入することにより、有効成分の放出の均一性が向上し、長時間にわたって有効成分の放出を制御できることを見出した。ある実施形態において、有効成分の放出プロファイルは、所望の範囲内の引張強度を有するポリマーマトリックスを選択し、かつ/又は所望の範囲内の吸水率を有するポリマーをマトリックス内に封入することによって変化させることができる。
【0042】
ある実施形態において、本発明に有用なポリマーマトリックスは、少なくとも約448.2bar(約6500psi)の引張強度を有している。ある実施形態において、ポリマーマトリックスは、約1379bar〜約3448bar(約20000〜約50000psi)の引張強度を有している。引張強度は、ASTM D638に準拠して測定できる。
【0043】
ある実施形態において、ポリマーマトリックスは、約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有する。ある実施形態において、少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される。ある実施形態において、少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有している。
【0044】
ポリマーマトリックス中の少なくとも1種類のポリマーは、少なくとも1種類の有効成分の周囲に物理的な障壁をもたらす。ある実施形態において、ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの組み合わせから選択される少なくとも1種類であってもよい。ポリマーマトリックスは、さらに、溶媒、可塑剤、充填剤、又はこれらの組み合わせを含有してもよい。
【0045】
ある実施形態において、デリバリーシステムは、口腔用組成物に用いられた場合、有効成分が遊離の状態で存在する口腔用組成物に比べて、より長期間にわたって制御された量の有効成分を口腔内に放出させることができる。1つの実施形態において、この期間は、約5分間〜約60分間である。
【0046】
本発明者らは、本発明の口腔デリバリーシステムがチューインガム組成物に用いた場合に、口腔内での有効成分の放出を制御及び保持する上で有用であることを見出した。
【0047】
ある実施形態において、約5〜約60分後に、少なくとも約50%の有効成分が口腔用組成物中に残存している。例えば、以下の実施例に示すように、in vitroでの咀嚼試験において、本発明の口腔デリバリーシステムを含むチューインガムは、遊離の状態で有効成分を含有するチューインガムと比較して、少なくとも30分間の咀嚼の間、歯のホワイトニング有効成分の放出を大幅に遅らせるという結果を示した。歯のホワイトニング有効成分は、迅速に放出されると効果的でないため、このことは重要な意義を有する。
【0048】
上述のように、本発明の口腔デリバリーシステムは、少なくとも1種類の有効成分を含有している。ある実施形態において、少なくとも1種類の有効成分は、抗歯石剤、研磨剤、口腔洗浄剤、漂白剤又はホワイトニング剤、知覚過敏症治療剤、歯用再石灰化剤、界面活性剤、抗菌剤、虫歯予防剤、抗口臭剤又は息清涼剤、歯垢酸緩衝剤、甘味料、清涼剤、温熱剤、ハーブ剤、薬剤、ビタミン、矯味剤、及びこれらの組み合わせから選択される。
【0049】
ある望ましい実施形態において、少なくとも1種類の有効成分は、抗歯石剤及び矯味剤である。抗歯石剤の例としては、ポリリン酸塩及び炭酸水素ナトリウムが挙げられる。かかる抗歯石剤は苦味を呈する場合がある。そのため、ある望ましい実施形態において、抗歯石剤(又は不快な味を呈する他の有効成分)は、少なくとも1種類の矯味剤と共に封入してもよい。ある実施形態において、矯味剤は、高甘味度甘味料等の甘味料である。
【0050】
上述のように、封入される適当な有効成分は、歯のホワイトニング有効成分であってもよい。ステインを除去するために有効な量の歯のホワイトニング有効成分が本発明の組成物に用いられることは好ましい。ステインを除去するために有効な量とは、ヒトを含む温血動物の歯の表面に存在するステインを、防止、除去、或いは少なくとも減少するのに十分であるが、望ましくない副作用を避けうる程度に少量である、歯のホワイトニング有効成分の量をいう。ステインを除去するために有効な歯のホワイトニング有効成分の量は、個々のステインの種類及び程度、処置の対象であるヒトを含む温血動物の年齢及び健康状態、同時に行われる治療の性質、用いられる具体的な歯のホワイトニング有効成分、並びに歯のホワイトニング有効成分が添加される具体的な担体に依存する。
【0051】
組成物が歯に接触する効率、及び通常用いられる組成物の有効量が相違するため、本発明の組成物に含まれる歯のホワイトニング有効成分の濃度は、歯のホワイトニング有効成分を歯の表面に適用するのに用いられる組成物の種類(練り歯磨き、マウスウォッシュ及び口腔洗浄剤、トローチ剤、チューインガム、菓子等)に依存する。濃度は、存在するステインの程度にも依存する。
【0052】
特に注記しない限り、本発明の組成物中に封入された成分の量は、組成物の全質量に対する質量%単位で表記する。
【0053】
上述の通り、本発明の口腔用組成物は、チューインガム組成物等のガム組成物であってもよい。本発明のチューインガム組成物は、コーティングを有していても有していなくてもよく、板状、棒状、粒状、ボール状等の形状を有していてもよい。異なる形状のチューインガム組成物は、同一の組成を有していても、成分比については変えてもよい。例えば、コーティングを有するガム組成物は、軟化剤の含有率が低くてもよい。粒状及びボール状のものは、砂糖を含む溶液又は砂糖を含まない溶液でコーティングされて硬いシェルが形成されたチューインガムのコアを有していてもよい。板状及び棒状のものは、通常、チューインガムのコアよりもテクスチュアが柔らかくなるように形成される。
【0054】
センターフィルドガムも、一般的なガムの形態である。ガムの部分は上述のものと同様な組成及び製造方法を有している。しかし、センターフィルは、通常、水性の液体又はゲルであり、ガムの製造過程で内部に注入される。場合によっては、封入された適当な有効成分を、フィルの製造の際にセンターフィルの内部に封入してもよく、ガム組成物全体のうちチューインガムの部分に封入してもよく、両者に封入してもよい。センターフィルドガムは、場合によってはコーティングされていてもよく、棒付きキャンディー等の種々の形態に成形してもよい。
【0055】
本発明のある実施形態において、有効成分がコア又はガムのコーティングの少なくとも一方に封入された、コーティングされたガムを形成してもよい。例えば、封入された研磨剤をコーティングに含有してもよく、封入された界面有効成分(例えば、界面活性剤及び/又は抗歯石剤)をガムベースの中に含有してもよい。封入された研磨剤をコーティングの内部に含有させることにより、まず、歯と密接に接触する必要のある研磨剤と咀嚼とによってステインを機械的に削り取る。研磨剤は、コーティングから唾液中へ放出された後も、ステインの除去について化学的な効果を有するが、研磨剤をコーティング層に含ませることにより、初期段階で機械的なステインの削り取りを促進することは有益である。さらに、コーティングは、封入された界面有効成分を送達するための他の効果的な担体となり得る。
【0056】
封入された有効成分をガムベースの中に含有させることも、本発明の意図する範囲に十分含まれる。ガムベースは、長期間にわたって歯と接触することができるため、研磨剤及び界面有効成分等の封入された有効成分を送達するための他の効果的な担体となることができる。例えば、歯のホワイトニング剤は、ガムベース及び/又はガムのコーティングから唾液中に放出されると、ステインを化学的に除去することができる。本発明の口腔デリバリーシステムは、歯のホワイトニングガム又は他の口腔内ケア用組成物に用いられた場合、有効成分を制御された状態で口腔内に長期間放出させることができる。このため、有効成分の効果が増大する。
【0057】
本発明のチューインガム組成物は、ガムベース、及び甘味料、軟化剤、香味料等のチューインガム組成物に通常含まれる成分の大部分を含有してもよい。ガム組成物のある実施形態において、少なくとも1種類の歯のホワイトニング剤等が封入された口腔ケア有効成分が用いられる。
【0058】
<界面活性剤>本発明の口腔用組成物は、本明細書に記載の封入された歯のホワイトニング剤を含有してもよい。例えば、ある実施形態において、口腔デリバリーシステムに用いられている少なくとも1種類の有効成分は界面活性剤である。好適な界面活性剤としては、陰イオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤又はこれらの組み合わせが挙げられる。本発明において有用な陰イオン性界面活性剤としては、中鎖及び長鎖脂肪酸エステル及びその塩が挙げられる。ある実施形態において、陰イオン性界面活性剤は、14〜25個の炭素原子を有する脂肪酸の水溶性の塩である。塩は、金属イオンを有しているが、2価の金属イオン又は1価の金属イオンのいずれであってもよい。例えば、金属イオンは、ナトリウム、カリウム、カルシウム、マグネシウム、及びこれらの組み合わせより選択される。
【0059】
脂肪酸塩の好適な例としては、ステアリン酸塩及びパルミチン酸塩が挙げられる。他の例としては、リシノール酸、ヒマシ油及び麦角油等のヒドロキシ脂肪酸塩が挙げられる。ある実施形態において、脂肪酸塩は、ステアリン酸ナトリウム又はリシノール酸ナトリウムである。
【0060】
リシノール酸は、ヒマシ油のトリグリセリド脂肪酸の約90%、及び麦角油のグリセリド脂肪酸の最大約40%を占める。他の好適なヒドロキシ脂肪酸塩の例としては、レスケロール酸(lesquerolic acid)、デンシポリン酸(densipolic acid)、アウリコール酸(auricolic acid)、及びβ−ジモルフェコール酸(β−dimorphecolic acid)から誘導されるヒドロキシ脂肪酸塩が挙げられるが、これらに限定されない。ヒドロキシ脂肪酸塩を組み合わせて用いてもよい。
【0061】
ヒドロキシ脂肪酸塩の水溶性の塩は、リシノール酸等の、少なくとも1つのヒドロキシル基を有する天然脂肪酸から誘導され得る。さらに、本発明で用いられる界面活性剤、又はその原料となる脂肪酸は、少なくとも1つのヒドロキシル基を有するように化学的に又は酵素的に修飾してもよい。
【0062】
脂肪酸塩は、例えば、動物、植物、又は細菌に由来する脂肪酸から誘導される。短鎖脂肪酸(例えば、炭素数2〜4)、及び中鎖脂肪酸(例えば、炭素数6〜10)の極性の−COOH基は、それらに十分な水溶性を付与できる。しかし、鎖長が増大すると(例えば、炭素数14〜25)、脂肪酸は、徐々に水溶性が低下し、油状の、又は脂肪質の性質を帯びるようになる。長鎖脂肪酸上にヒドロキシル基が存在すると、水溶性が増大する。そのため、炭素数14〜25のヒドロキシ脂肪酸の水溶性の塩は、本発明の組成物において有用である。特に、ヒドロキシ脂肪酸塩が水溶性であると、唾液中に可溶化し、咀嚼、ブラッシング又は唾液によって容易に除去することができるように付着したステインを緩めることができる。
【0063】
ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、他の陰イオン性又は非イオン性界面活性剤を含有してもよい。例えば、他の好適な界面活性剤としては、硫酸化オレイン酸ブチル、オレイン酸ナトリウム、フマル酸塩、カリウムグロメート(potassium glomate)、モノ及びジグリセリドの有機酸エステル、ステアリルモノグリセリジルクエン酸エステル、サクシステアリン(succistearin)、スルホコハク酸ジオクチルナトリウム、トリステアリン酸グリセロール、レシチン、水酸化レシチン、ラウリル硫酸ナトリウム、アセチル化モノグリセリド、サクシニル化モノグリセリド、クエン酸モノグリセリド、エトキシ化モノグリセリド及びエトキシ化ジグリセリド、モノステアリン酸ソルビタン、ステアリル−2−乳酸カルシウム、ステアリル乳酸ナトリウム、グリセロール及びプロピレングリセロールの乳酸化脂肪酸エステル、C〜C24脂肪酸のグリセロールラクトエステル、C〜C24脂肪酸のポリグリセロールエステル、プロピレングリコールアルギン酸エステル、サッカロースC〜C24脂肪酸エステル、モノグリセリド及びジグリセリドのジアセチル酒石酸エステル及びジアセチルクエン酸エステル、トリアセチン、サルコシン酸塩界面活性剤、イセチオン酸塩界面活性剤、タウレート(taurate)界面活性剤、プロニックス、アルキルフェノールのポリエチレンオキシド縮合体、エチレンオキシドと、プロピレンオキシドとエチレンジアミンとの反応生成物との反応により誘導される生成物、脂肪族アルコールのエチレンオキシド縮合体、長鎖第三級アミンオキシド、長鎖ジアルキルスルホキド、並びにこれらの組み合わせが挙げられる。
【0064】
本発明の口腔用組成物には、界面活性剤が、単独で、又は他の界面活性剤と組み合わせて、組成物の全質量に対し約0.001質量%〜約20質量%存在していてもよい。ある実施形態において、界面活性剤の含有量は、組成物の全質量に対し約0.05質量%〜約10質量%であってもよい。さらに、ある実施形態において、界面活性剤の含有量は、組成物の全質量に対し約0.05質量%〜約2質量%であってもよい。
【0065】
ある実施形態において、本発明の組成物に用いられる界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせである。
【0066】
<抗歯石剤>上述の通り、本発明の口腔用組成物は、封入された抗歯石有効成分を含有してもよい。これらの薬剤は、口内バクテリアの細胞壁に存在するカルシウム等の金属イオンと強く相互作用するキレート剤であってもよい。抗歯石剤は、このような生物の形を一定に保つ働きをしているカルシウムブリッジを除去することによって、歯垢の形成を阻害することもできる。
【0067】
本発明の組成物中で抗歯石剤として用いるのに好適な一群の薬剤は、リン酸塩である。ある実施形態において、リン酸塩は、ピロリン酸塩、トリリン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの組み合わせから選択される。抗歯石剤は、ピロリン酸二アルカリ金属塩、ポリリン酸四アルカリ金属塩、又はこれらの組み合わせであってもよい。例えば、ある実施形態において、キレート剤は、ピロリン酸四ナトリウム、ピロリン酸四カリウム、トリポリリン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、及びこれらの組み合わせから選択されてもよい。
【0068】
ある実施形態において、少なくとも1種類の封入された有効成分は、ヘキサメタリン酸ナトリウムである。さらなる実施形態において、少なくとも1種類の封入された有効成分は、トリポリリン酸ナトリウムである。
【0069】
本発明の組成物で用いることができる他の抗歯石剤としては、酒石酸及びその塩、クエン酸及びそのアルカリ金属塩、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0070】
ある実施形態において、抗歯石剤の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.001質量%〜約5質量%である。さらに、ある実施形態において、抗歯石剤の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.5質量%〜約3質量%である。
【0071】
<矯味剤>ある実施形態において、封入された有効成分は矯味剤である。苦味及び/又は金属味を呈する化合物等の味が不快な化合物を含有する口腔用組成物に矯味剤を配合することは有益である。例えば、上述のように、トリリン酸塩は苦味を呈する場合がある。ポリリン酸を矯味剤と共にポリマーマトリックスに封入することにより、苦味をマスクすることができる。
【0072】
矯味剤の例としては、例えば、高甘味度甘味料、水素添加ヒマシ油、BASF社製クレモフォールRH40、クエン酸ナトリウム、酸塩、チェリー香味料、フルーツ香味料、クレモフォール香味料、及び清涼化合物等が挙げられる。矯味剤は、口腔用組成物に対し約0.1質量%〜約7質量%用いることができる。
【0073】
<口腔洗浄剤(酵素等)>ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は封入された口腔洗浄剤を含有している。好適な口腔内洗浄剤としては、加水分解剤である酵素が挙げられる。酵素は、歯のステインを捕捉した歯垢及び歯石を除去することによって歯を白くする作用を有する。例えば、本発明の組成物は、タンパク分解酵素、リパーゼ、アミラーゼ、グルコアミラーゼ、デキストラナーゼ、ムタナーゼ、又はグルコース酸化酵素を含有してもよい。
【0074】
ある実施形態において、酵素の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.01質量%〜約5.0質量%である。さらに、ある実施形態において、酵素の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.01質量%〜約3.0質量%、より具体的には約0.1質量%〜約1.0質量%である。
【0075】
<漂白剤又はホワイトニング剤>本発明の口腔用組成物は、封入された漂白剤又はホワイトニング剤を含有してもよい。好適な漂白剤又はホワイトニング剤としては、過酸化物化合物が挙げられる。過酸化物は、歯垢−ステイン複合体を洗浄又は研磨剤によって除去できる形に分解可能なヒドロキシルラジカルを放出することで、歯を白くすると信じられている。有益な過酸化物は、切断により少なくとも1種類の活性種を生成するO−O結合を含んでいる。好ましい過酸化物化合物の例としては、過酸化水素、過酸化カルシウム、過酸化ストロンチウム、過酸化亜鉛、又は過酸化マグネシウム等の無機過酸化物、及び過酸化カルバミドを含む有機化酸化物が挙げられるがこれに限定されない。
【0076】
本発明の組成物に封入される過酸化物化合物の量は、単独又は組み合わせで用いられるステイン除去剤、及び他の成分又は組成物の成分のタイプ、並びにこれらの個々の量に応じて変化する。過酸化物化合物の含有量は、組成物の全質量に対して、ステインを除去するために有効な約0.01質量%〜10質量%、好ましくは約0.1質量%〜5質量%、より好ましくは、約0.2質量%〜3質量%であってもよい。
【0077】
<甘味料>ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、封入された高甘味度甘味料等の甘味料を含有している。高甘味度甘味料としては、スクラロース、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムの塩等が挙げられる。特に、歯のホワイトニング効果を有するチューインガム組成物等の口腔ケア用組成物においては、通常、かかる糖の代用品が用いられている。かかる高甘味度甘味料の含有量は、望ましくは、口腔用組成物に対し、最大約1.0質量%である。
【0078】
封入可能な他の好適な甘味料は、後述の通りである。
【0079】
<研磨剤>ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、封入された研磨剤を含有してもよい。好適な研磨剤としては、シリカ、アルミナ、リン酸塩、炭酸塩、及びこれらの組み合わせが挙げられる。ある実施形態において、研磨剤は、沈降シリカ、シリカゲル、及びこれらの組み合わせより選択されるシリカである。さらに、ある実施形態において、研磨剤は、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、リン酸カルシウム二水和物、無水リン酸二カルシウム、及びこれらの組み合わせから選択される。ある実施形態において、研磨剤は、抗歯石剤としても用いることができると考えられる炭酸水素ナトリウムである。
【0080】
本発明の組成物に用いることが意図される研磨剤は、象牙質を過度に磨耗させることのない任意の物質であってよい。しかし、シリカ製の歯の研磨剤は、歯のエナメル質及び象牙質を過度に磨耗させることなく歯を非常にきれいにすることができるという特有の利点を有している。
【0081】
シリカ製の研磨剤の平均粒径は、他の研磨剤と同様、通常約0.1〜約30ミクロン、好ましくは約5〜約15ミクロンである。研磨剤は、沈降シリカ、又はPaderらに付与された米国特許第3,538,230号明細書、及びDiGiulioに付与された米国特許第3,862,307号明細書(これらの全体は、参照として本明細書に組み込まれる)に記載のシリカキセロゲル等のシリカゲルであってもよい。好ましいものは、W.R.グレース社ダービッドソン化成品事業部より「Syloid」の商品名で市販されているシリカキセロゲルである。J.M.ヒューバー社より、「Zeodent」の商品名で市販されている沈降シリカ、特に、商品番号「Zeodent119」のシリカも好ましい。本発明に有用なシリカ製の歯の研磨剤は、Wasonに付与された米国特許第4,340,583号明細書(本明細書の全体は、参照として本明細書に組み込まれる)に、詳細に記載されている。シリカ研磨剤は、共に1995年5月2日に出願された、米国特許出願第08/434,147号明細書、及び米国特許出願第08/434,149号明細書(これらの全体は、参照として本明細書に組み込まれる)に記載されている。
【0082】
ある実施形態において、研磨剤の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.1質量%〜約30質量%である。研磨剤の含有量は、より一般的には、組成物の全質量に対し約0.5質量%〜約5質量%であってもよい。研磨剤の含有量は、本発明の練り歯磨き組成物中に、通常、組成物に対し約0.5質量%〜約10質量%である。さらに、研磨剤の含有量は、本発明のチューインガム組成物中に、通常、組成物に対し約1質量%〜約6質量%である。
【0083】
本発明のチューインガム組成物の調製に用いられるシリカは、吸油量の値によって分類され、100ml/100gシリカ未満、好ましくは、45ml/100gシリカ〜70ml/100gシリカという吸油量値を有する。本発明の実施に特に有用なシリカは、グレースダービッドソン社(コロンビア市、DS21044)から、SYLODENT XWAの商品名で市販されている。このようなシリカとしては、含水率4.7質量%、平均粒径約7〜約11ミクロン、アインレーナー硬さ5、BET法による表面積390m/1gシリカ、吸油量70cm/100gシリカ未満の沈降シリカである、SYLODENT XWA150等がある。このシリカの歯のエナメル質に対する磨損性は低い。
【0084】
シリカ研磨剤は、本発明のチューインガム組成物の調製に単独の研磨剤として用いてもよく、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、メタリン酸カリウム、リン酸三カルシウム、無水リン酸二カルシウム、若しくは他のシリカ系材料又はこれらの組み合わせ等の、他の既知の研削剤又は研磨剤と共に用いてもよい。
【0085】
ある実施形態において、シリカ研磨剤の含有量は、本発明のチューインガム組成物に対し約0.1質量%〜約20質量%である。さらに、ある実施形態において、シリカ研磨剤の含有量は、本発明のチューインガム組成物に対し約0.5質量%〜約5質量%である。
【0086】
<抗菌剤>ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、少なくとも1種類の封入された抗菌剤を含有している。抗菌剤は、トリクロサン、クロルヘキシジン、クエン酸亜鉛、硝酸銀、銅、及び塩化セチルピリジニウムであってもよいが、これらに限定されない。
【0087】
ある実施形態において、抗菌剤の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.01質量%〜約3.0質量%である。
【0088】
<虫歯予防剤>さらに他の実施形態において、本発明の口腔用組成物は、少なくとも1種類の封入された虫歯予防剤を含有している。本発明に用いるための虫歯予防剤は、フッ化物イオン又はフッ化物イオンを供給する成分であってもよい。望ましくは、虫歯予防剤は、約0.001mg/g〜約1.5mg/g(約1ppm〜約1500ppm)のフッ化物イオンを供給するのに十分な量を含んでいると有用である。
【0089】
虫歯予防剤としては、可溶性のアルカリ金属塩等の無機フッ化物が挙げられる。例としては、フッ化ナトリウム、フッ化カリウム、フルオロケイ酸ナトリウム、フルオロケイ酸アンモニウム、及びモノフルオロリン酸ナトリウムが挙げられる。好適な虫歯予防剤は、さらに、フッ化第一スズ等のスズのフッ化物及び塩化第一スズを含有している。1つの実施形態において、フッ化ナトリウムは好ましい虫歯予防剤である。
【0090】
エナメル質の酸に対する溶解度の減少及び歯の腐食に対する保護等の、口腔内のケア及び衛生状態に有益な効果を有するフッ化物を含有する化合物を共に封入してもよい。この点に関して好適なフッ化物を含有する化合物としては、フッ化ナトリウム、フッ化第一スズ、フッ化カリウム、フッ化第一スズカリウム、ヘキサフルオロスズ酸ナトリウム、塩化フッ化第一スズ、フルオロジルコン酸ナトリウム、及びモノフルオロリン酸ナトリウムが挙げられる。フッ化物を含有するイオンを水中に解離又は放出するこれらの物質は、有効だが毒性を有しない量だけ含まれており、通常、水溶性のフッ化物の含有量は、約0.01質量%〜約1.0質量%である。
【0091】
他の虫歯予防剤として、キシリトール及びカルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウム(CCP−CP)が挙げられる。
【0092】
<抗口臭剤/息清涼剤>ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、少なくとも1種類の封入された抗口臭剤又は息清涼剤を含有している。これらの薬剤の含有量は、本発明の口腔用組成物に対し約0.01質量%〜約7.0質量%であってもよい。
【0093】
このような薬剤として、例えば、精油、芳香性アルデヒド、又はアルコールが挙げられる。精油の例としては、スペアミント油、ペパーミント油、冬緑油、ササフラスクロロフィル、クローブ油、セージ油、ユーカリ油、マージョラム油、シナモン油、レモン油、ライム油、グレープフルーツ油、及びオレンジ油が挙げられる。メントール、カルボン、及びアネトールも有用である。これらのうち、最も広く用いられているのは、ペパーミント油、スペアミント油、及びクロロフィルである。他の好適な香味料は、後述のとおりである。
【0094】
抗口臭剤又は息清涼剤として好適な薬剤としては、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、フッ化亜鉛、硫酸アンモニウム亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、コハク酸亜鉛、ギ酸亜鉛、クロム酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、ジチオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸銀、サリチル酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、硝酸銅、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0095】
<他の有効成分>ある実施形態において、少なくとも1種類の封入された有効成分は知覚過敏症治療剤である。知覚過敏症治療剤は、例えば、硝酸カリウム又はクエン酸カリウムであってもよい。
【0096】
他の実施形態において、少なくとも1種類の封入された有効成分は、歯用再石灰化剤である。例えば、歯用再石灰化剤は、カルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウム(CCP−CP)又はリン酸カルシウムカゼイングリコマクロペプチドであってもよい。
【0097】
他の実施形態において、封入された有効成分は歯垢酸緩衝剤であり、その一例は尿素である。
【0098】
さらに他の実施形態において、封入された有効成分は清涼剤又は温熱剤であってもよい。好適な例及びそれらの量は、以下に示す。
【0099】
さらに他の実施形態において、封入された有効成分は、ハーブ剤、薬剤、又はビタミンであってもよい。
【0100】
<担体組成物>本発明の口腔用組成物は、製剤中の他の成分を封入するのに適当な量の担体組成物を含有している。「担体組成物」という語句は、口腔内のケアを目的として口腔内に送達するために封入された有効成分と混合可能で、ヒトを含む温血動物に害を及ぼさない媒体を意味する。本発明の組成物及び方法において、担体は、組成物の安定性、及び/又はヒトを含む温血動物の口腔内で歯のステイン除去効率を低下させるような相互作用を起こすことなく混合可能な組成物の成分をさらに含有している。
【0101】
本発明の担体は、1種類以上の口内投与に適し、適合性を有する固体又は液体の増量希釈剤又は封入剤を含有してもよい。本発明で用いられる担体又は賦形剤は、例えば、溶液、コロイド分散物、乳剤、懸濁液、洗浄剤、ゲル、形成剤、パウダー、固体等の送達の方法に適合した任意の形態をとることができ、練り歯磨き(ゲルを含む)、マウスウォッシュ及び口腔洗浄剤、マウススプレー、チューインガム、トローチ剤、並びに菓子に通常用いられる成分を含有してもよい。本発明の組成物の調剤に好適な担体は、周知である。それらは、味、コスト、保存安定性等の二次的考察に応じて選択される。
【0102】
ある実施形態において、本発明の口腔用組成物は、以下に示すものから選択される担体組成物を含有している:ガムベース、菓子用基材、練り歯磨き用基材、ゲル歯磨き用基材、歯磨き粉用基材。例えば、口腔用組成物は、ガム組成物、トローチ剤組成物、ミント組成物、キャンディー組成物、練り歯磨き組成物、ゲル歯磨き剤組成物、口腔洗浄剤若しくはマウスウォッシュ組成物、又は歯磨き粉組成物であってもよい。
【0103】
本発明の組成物に配合できる添加物又は成分の種類としては、本明細書に記載の、1種類以上の所望のステイン除去剤が挙げられる。本発明の組成物は、以下に示すものから選択される成分を含有してもよい:エラストマー、エラストマー溶剤、ろう、乳化剤、可塑剤、軟化剤、分散剤、甘味料、香味剤、保湿剤、活性剤、清涼剤、温熱剤、歯のホワイトニング剤、着色料、膨張剤、充填剤、及びこれらの組み合わせ。
【0104】
さらに、ある実施形態において、膜形成能を有するポリマーを、本発明の組成物に含有してもよい。例えば、膜形成能を有するポリマーは、PVM/MA共重合体(GAF社製Gantrez S−97)等の合成アニオン性ポリカルボン酸重合体(SAPP)であってもよい。このようなポリマーは、米国特許第5,334,375号及び5,505,933号明細書に記載されており、これらの全体は参照として本明細書に組み込まれる。SAPPは、象牙質の知覚を低減させるのに有用であると言われている。さらに、SAPPは、口腔の表面への抗菌剤の送達を促進し、口腔の表面への抗菌剤の保持を促進する抗菌性増強剤と言われている。PVM/MA等の膜形成能を有するポリマーを、ステインの形成を抑制するための手段として本発明の組成物に用いることは、本発明の意図する範囲内に十分に含まれる。
【0105】
上述のとおり、ある実施形態において、本発明の組成物は、ガムベース及び封入された有効成分を含有するガム組成物であってもよい。
【0106】
上述のとおり、ある実施形態において、本発明の組成物は、ガムベース及び封入された有効成分を含有するガム組成物であってもよい。ガムベースの含有量は、組成物に対して約20質量%〜約40質量%であっても。ガム組成物は、チューインガムの分野で公知の任意の成分を含有してもよい。例えば、ガムベースは、甘味料、エラストマー、膨張剤、ろう、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、これらの混合物を含有してもよく、本明細書に記載の任意の口腔ケア剤を含有してもよい。
【0107】
ある実施形態において、ガムベースは適当な糖膨張剤を含有してもよい。例えば、ガムベースは、ガムベースに対し約30質量%〜約80質量%、好ましくは約50質量%〜約60質量%の、少なくとも1種類のポリオールを含有する、あるポリオール組成物を含有してもよい。ポリオール組成物は、任意の公知のポリオールを含有してもよいが、マルチトール、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、及びこれらの組み合わせに限定されない。水素化デンプンの加水分解物であり、ソルビトール及びマルチトールを含有するマルチトールシロップを用いてもよい。
【0108】
ガムベースに用いられるエラストマー(ゴム)は、望ましいガムベースのタイプ、望ましいガム組成物の粘稠度、及び最終製品であるチューインガムの製造のために組成物に用いられる他の成分等の種々の因子に応じて、幅広く変化させることができる。エラストマーは、水に不溶である任意の公知のポリマーであってよく、チューインガム及び風船ガムに用いられるガム用ポリマーが挙げられる。ガムベースに好適なポリマーの具体例としては、天然エラストマー及び合成エラストマーの両者が挙げられる。例えば、ガムベース組成物に好適なポリマーとしては、チクル、天然ゴム、クラウンガム、ニスペロ、ロシディンハ、ジェルトン、ペリロ、ニガーグッタ、ツヌー、バラタ、グッタペルカ、レチカプシ(lechi capsi)、ソルバ、グッタケイ等、及びこれらの混合物等の(植物系の)天然物質が挙げられるが、これらに限定されない。合成エラストマーの例としては、スチレン−ブタジエン共重合体(SBR)、ポリイソブチレン、イソブチレン−イソプレン共重合体、ポリエチレン、ポリ酢酸ビニル等、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
ガムベースに用いられるエラストマーの量は、用いられるガムベースのタイプ、望ましいガム組成物の粘稠度、及び最終製品であるチューインガムの製造のために組成物に用いられる他の成分等の種々の因子に応じて変化させることができる。通常、ガムベース中のエラストマーの含有量は、ガム部分に対し、約10質量%〜約60質量%、好ましくは、約35質量%〜約40質量%である。
【0110】
ガムベース中にろうが含まれる場合、高分子エラストマー混合物は柔らかくなり、ガムベースの可塑性が向上する。用いられるろうの融点は約60℃以下、望ましくは約45℃〜約55℃である。低融点のろうは、パラフィンろうであってもよい。ガムベース中に、ろうの含有量は、ガムベースに対し、約6質量%〜約10質量%、好ましくは、約7質量%〜約9.5質量%であってもよい。
【0111】
低融点のろう以外に、ガムベースの質量の約5質量%以下の高融点のろうをガムベースに用いてもよい。かかる高融点のろうとしては、蜜ろう、植物ろう、カンデリラろう、カルナバろう、大部分の石油ろう等、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0112】
上述の成分以外に、ガムベースは、エラストマー溶剤、乳化剤、可塑剤、充填剤、及びこれらの混合物等から選択される成分等の、他の種々の成分を含有してもよい。
【0113】
ガムベースは、エラストマー成分の軟化を助けるために、エラストマー溶剤を含有してもよい。かかるエラストマー溶剤としては、例えば、α−ピネン又はβ−ピネンのポリマー等のテルペン樹脂、ロジンのメチル、グリセロール、又はペンタエリスリトールエステル及び改質ロジン、ロジンの水素化物、二量体、重合体等のガム類、並びにこれらの混合物等の公知のエラストマー溶剤が挙げられる。本発明で用いられるのに好適なエラストマー溶剤の例としては、部分水素化ウッドロジン又はガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジン又はガムロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセロールエステル、部分二量化ウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、重合ウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、トールオイルロジンのグリセロールエステル、ウッドロジン又はガムロジンのグリセロールエステル、及び部分水素化ウッドロジン又はガムロジン、及び部分水素化ウッドロジン又はガムロジンのメチルエステル等、並びにこれらの混合物が挙げられる。エラストマー溶剤は、ガムベースに対して約2質量%〜約15質量%、好ましくは、約7質量%〜約11質量%用いることができる。
【0114】
ガムベースは、混和性のない成分を分散させて、単一の安定な系とするのを助けるために、乳化剤を含有してもよい。本発明に有用な乳化剤は、モノステアリン酸グリセリル、レシチン、脂肪酸モノグリセリド、ジグリセリド、モノステアリン酸プロピレングリコール等、及びこれらの混合物が挙げられる。乳化剤は、ガムベースに対して約2質量%〜約15質量%、好ましくは、約7質量%〜約11質量%用いることができる。
【0115】
ガムベースは、種々の望ましいテクスチュア及び粘稠性を付与するために、可塑剤又は軟化剤を含有してもよい。これらの成分は分子量が低いため、可塑剤及び軟化剤は、ガムベースの基本構造中に浸透し、可塑性を付与すると共に粘性を低下させる。有用な可塑剤及び軟化剤としては、ラノリン、パルミチン酸、オレイン酸、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、グリセロールトリアセチルエステル、グリセリルレシチン、グリセロールモノステアレート、モノステアリン酸プロピレングリコールエステル、アセチル化モノグリセリド、グリセリン等、及びこれらの混合物が挙げられる。天然ろう、又は合成ろう等のろう、水素化植物油、ポリウレタンろう等の石油ろう、ポリエチレンろう、パラフィンろう、微結晶ろう、脂質ろう、モノステアリン酸ソルビタンエステル、獣脂、プロピレングリコール、これらの混合物等を、ガムベースに含有してもよい。可塑剤及び軟化剤は、通常、ガムベースに対して約20質量%以下、より具体的には、ガムベースの質量に対して約9質量%〜約17質量%用いられる。
【0116】
また、可塑剤としては、水素化植物油が含まれ、大豆油及び綿実油が挙げられ、これらは単独で、又は組み合わせて用いることができる。これらの可塑剤は、優れたテクスチュアと、柔らかい咀嚼感をガムベースにもたらす。これらの可塑剤は、ガムベースに対して約5質量%〜約14質量%、より具体的には、ガムベースの質量に対して約5質量%〜約13.5質量%用いることができる。
【0117】
市販の米国薬局方(USP)グレードのもの等の無水グリセリンを、軟化剤として用いてもよい。グリセリンは、温熱感のある甘みを有するシロップ状の液体であり、甘藷糖の約60%の甘みを有する。グリセリンは吸湿性を有しているため、無水グリセリンは、チューインガム組成物の調製の間、無水条件下に保たれうる。
【0118】
軟化剤は、ガム組成物のテクスチュアを変化させるために加えてもよいが、通常のガム組成物よりも少量であってもよい。例えば、それらの含有量は、組成物に対して約0.5質量%〜約10質量%であってもよいが、界面活性剤が軟化剤としても作用するため、組成物中になくてもよい。
【0119】
本発明のガムベースは、有効量の、充填剤又はテクスチュア剤として作用しうる、無機補助剤等の膨張剤を含有してもよい。有用な無機補助剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、アルミナ、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、タルク、リン酸三カルシウム、リン酸二カルシウム、硫酸カルシウム等、及びこれらの混合物が挙げられる。充填剤又は補助剤は、ガムベース中に様々な量用いることができる。用いられる場合、好ましくは、充填剤の含有量は、ガムベースに対して約15質量%〜約40質量%、望ましくは約20質量%〜約30質量%である。
【0120】
有効量の着色料、酸化防止剤、保存料、香味料等の、従来より用いられている種々の添加剤を、場合によっては、ガムベース中に含有してもよい。例えば、酸化チタン、及びF.D.&C色素として知られている、食品、医薬品、及び化粧品用途に好適な他の色素を用いてもよい。ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、及びこれらの混合物等の酸化防止剤を含有してもよい。チューインガムの分野で当業者に知られていて従来より用いられている他のチューインガム用添加剤を、ガムベースに用いてもよい。
【0121】
ある実施形態は、ガム組成物の製造方法に及ぶ。ガムベースの成分を混合する方法は重要ではなく、通常の手法及び当業者に公知の装置を用いて行うことができる。通常の方法において、エラストマーはエラストマー溶剤及び/又は可塑剤及び/又は乳化剤と混合され、1〜30分間撹拌される。次いで、ガムベースを再び1〜30分間混練しながら、低融点のろう等の残りの成分を、一度に、又は徐々に混合する。
【0122】
ガムベースは、十分な量の、以下のものから選択されるが、これらに限定されない通常用いられる添加剤を含んでいてもよい:甘味剤(甘味料)、可塑剤、軟化剤、乳化剤、ろう、充填剤、膨張剤(担体、増量剤、バルク甘味料)、無機補助剤、香味剤(香味料、着香料)、着色剤(色素、着色料)、酸化防止剤、酸味料、増粘剤、薬剤等、及びこれらの混合物。これらの添加物は、2つ以上の目的に対する役割を果たす場合がある。例えば、シュガーレスガム組成物において、マルチトール又は他の糖アルコール等の甘味料は、膨張剤としての機能を果たす場合がある。
【0123】
上で議論した可塑剤、軟化剤、無機補助剤、ろう、及び酸化防止剤は、ガムベースに用いるのに好適であるため、チューインガム組成物に用いてもよい。他の通常用いられる添加剤の例としては、レシチン及びモノステアリン酸グリセリルエステル等の乳化剤、メチルセルロース、アルギン酸、カラギーナン、キサンタンガム、ゼラチン、イナゴマメ、トラガント、ローカストビーン、及びカルボキシメチルセルロース等の、単独で、又は他の軟化剤と共に用いられる増粘剤、リンゴ酸、アジピン酸、クエン酸、酒石酸、フマル酸、及びこれらの混合物等の酸味料、並びに無機補助剤に属する上述の充填剤が挙げられる。
【0124】
ある実施形態において、ガム部分は膨張剤を含有してもよい。好適な膨張剤は、水溶性で、単糖類、二糖類、多糖類、糖アルコール、及びこれらの混合物、Pfizer社(コネチカット州グロトン)より、POLYDEXTROSEという商品名で市販されている、ランダムに結合したグルコース重合体より選択されるもの、イソマルト(Suddeutsch Zucker社よりPALATINITという商品名で製造されているα−D−グルコピラノシル−1,6−マニトール及びα−D−グルコピラノシル−1,6−ソルビトールのラセミ混合物)、マルトデキストリン、水素化デンプン加水分解物、水素化ヘキソース、水素化二糖類、炭酸カルシウム、タルク、二酸化チタン、リン酸二カルシウム等の無機物、セルロース、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0125】
好適な糖膨張剤としては、キシロース、リブロース、グルコース(デキストロース)、マンノース、ガラクトース、フルクトース(レブロース)、サッカロース(砂糖)、マルトース、転化糖、部分水素化デンプン、及び固形コーンシロップ、並びにこれらの混合物等の、単糖類、二糖類、及び多糖類が挙げられる。
【0126】
好適な糖アルコール膨張剤としては、ソルビトール、キシリトール、マンニトール、ガラクチトール、マルチトール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0127】
好適な水素化デンプン加水分解物としては、米国特許第25,959号、第3,356,811号、及び4,279,931号明細書に開示されたもの、及びソルビトール、水素化二糖類、水素化高分子量多糖類、及びこれらの混合物を含む種々の水素化グルコースシロップ及び/又は粉末が挙げられる。水素化デンプン加水分解物は、主に、制御されたコーンシロップの触媒水素化によって調製される。得られた水素化デンプン加水分解物は、単糖類、二糖類、及び多糖類の混合物である。これらの種々の糖質の比により、種々の水素化デンプン加水分解物に種々の性質が付与される。フランスのRoquette Freres社製の市販の製品であるLYCASIN、米国ニュージャージー州フェアローンのLonza社製の市販の製品であるHYSTAR等の、水素化デンプン加水分解物の混合物も有用である。
【0128】
甘味料は、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然の水溶性甘味料より誘導される水溶性甘味料、ジペプチド系甘味料、及びタンパク質系甘味料、並びにこれらの混合物等の広範囲の物質から選択することができる。特定の甘味料に限定されない代表的なカテゴリー及び代表例としては、
【0129】
(a)ジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシルリジン、ジヒドロフラベノール、及びソルビトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール、及び米国特許第4,619,834号明細書(該明細書の記載は、参照として本明細書に組み込まれる)に開示されたもの等のL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド、並びにこれらの混合物等の水溶性甘味料;
【0130】
(b)可溶性サッカリン塩(サッカリンナトリウム塩又はカルシウム塩)、サイクラミン塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム塩、アンモニウム塩、又はカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファムK)、遊離酸型のサッカリン、及びこれらの混合物等の水溶性人工甘味料;
【0131】
(c)L−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)、N−[N−(3,3−ジメチルブチル)−L−α−アスパルチル]−L−フェニルアラニン 1−メチルエステル(ネオテーム)、及び米国特許第3,492,131号明細書に記載の物質、L−アルファアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニルl)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリンのメチルエステル及びL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニルグリシン、L−アスパルチル−2,5−ジヒドロ−L−フェニルアラニン、L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン等のL−アスパラギン酸誘導体甘味料、及びこれらの混合物等の、ジペプチド系甘味料;
【0132】
(d)例えば、スクラロースの商品名で知られているクロロデオキシサッカロース又はクロロデオキシガラクトサッカロースの誘導体等のクロロデオキシ糖誘導体等の、通常の糖(サッカロース)の塩素化誘導体等の天然の水溶性甘味料から誘導される水溶性甘味料;クロロデオキシサッカロース及びクロロデオキシガラクトサッカロース誘導体の例としては、1−クロロ−1’−デオキシサッカロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド、又は4−クロロ−4−デオキシガラクトサッカロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクト−フラノシド、又は4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトサッカロース、1’,6’−ジクロロ1’,6’−ジデオキシサッカロース、4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトサッカロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトサッカロース、6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシサッカロース、4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、又は4,6,1’,6’−テトラクロロ−4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−サッカロース、及び4,6,1’,6’−テトラデオキシ−サッカロース、並びにこれらの混合物等;
【0133】
(e)タウマッコスダニエリ(タウマチンI及びII)等のタンパク質系甘味料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0134】
高甘味度甘味料を、多くの周知の物理的形状で用いて、甘味の初期バースト及び/又は長期間にわたる甘味感を付与することができる。物理的形状としては、スプレードライ体、粉体等の遊離状、ビーズ体、封入体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0135】
望ましくは、甘味料は、アスパルテーム、スクラロース、及びアセスルファムカリウム塩(Ace−K)等の高甘味度甘味料である。
【0136】
通常、有効量の甘味料を用いて、所望のレベルの甘味を付与することができ、この量は、選択された甘味料に応じて変化させることができる。甘味料の含有量は、ガム組成物に対し約0.001質量%〜約3質量%であってよく、用いた甘味料又はその組み合わせに依存する。個々の種類の甘味料の正確な量の範囲は、当業者により選択できる。
【0137】
用いることができる香味剤としては、天然又は人工香味料等の当業者に公知のものが挙げられる。これらの香味料としては、合成フレーバー油及び香味芳香族及び/又は香味油、植物、葉、花等及びこれらの組み合わせより誘導される含油樹脂及び抽出物より選択できる。香味油の限定されない代表例としては、スペアミント油、シナモン油、冬緑油(サリチル酸メチル)、ペパーミント油、クローブ油、ベイ油、アニス油、ユーカリ油、タイム油、ニオイヒバ油、ナツメグ油、オールスパイス、セージ油、メース、苦扁桃油、及びカッシア油が挙げられる。他の有用な香味料は、バニラ、レモン、オレンジ、ライム、グレープフルーツ等の柑橘油、及びリンゴ、洋ナシ、桃、ブドウ、イチゴ、ラズベリー、チェリー、プラム、パイナップル、アプリコット等のフルーツエッセンス等の人工、天然、及び合成フルーツ香料である。これらの香味料は、液体又は固体状態で用いることができ、単独で、又は混合物として用いることができる。通常用いることができる香味料としては、ペパーミント、メントール、スペアミント、人工バニラ、シナモン誘導体等のミント類、及び種々のフルーツ香料等が挙げられ、これらは単独で、又は混合物として用いられる。
【0138】
他の有用な香味料としては、酢酸シンナミル、シンナムアルデヒド、シトラールジエチルアセタール、酢酸ジヒドロカルビル、ギ酸オイゲニル、p−メチルアニソール等のアルデヒド及びエステルが挙げられ、用いることができる。通常、米国国立科学協会刊行の「Chemicals Used in Food Processing, publication 1274」の63〜258ページに記載のもの等の、任意の香味料及び食品添加物を用いることができる。この刊行物は、参照として本明細書に組み込まれる。
【0139】
他のアルデヒド香味料の例としては、アセトアルデヒド(リンゴ)、ベンズアルデヒド(チェリー、アーモンド)、アニスアルデヒド(甘草、アニス)、桂皮アルデヒド(シナモン)、シトラール(α−シトラール(レモン、ライム))、ネラール(β−シトラール(レモン、ライム))、デカナール(オレンジ、レモン)、エチルバニリン(バニラ、クリーム)、ヘリオトロープ(ピペロナール(バニラ、クリーム))、バニリン(バニラ、クリーム)、α−アミルシンナムアルデヒド(芳香性のフルーツ香料)、ブチルアルデヒド(バター、チーズ)、バレルアルデヒド(バター、チーズ)、シトロネラール(調香剤、多くのタイプ)、デカナール(柑橘類)、C8アルデヒド(柑橘類)、C9アルデヒド(柑橘類)、C12アルデヒド(柑橘類)、2−エチルブチルアルデヒド(液果類)、ヘキサナール(トランス−2ヘキサナール(液果類))、トリルアルデヒド(チェリー、アーモンド)、ベラトアルデヒド(バニラ)、2,6−ジメチル−5−ヘプタナール(メロナール(メロン))、2,6−ジメチルオクタナール(未熟果)、及び2−ドデカナール(柑橘類、マンダリン)、チェリー、ブドウ、イチゴ、ショートケーキ、及びこれらの混合物等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
ある実施形態において、香味料は液体状及び/又は乾燥状のいずれの形態でも用いることができる。後者の形態で用いる場合、油状物のスプレードライ等の適当な手段を用いることができる。或いは、セルロース、デンプン、砂糖、マルトデキストリン、アラビアガム等の水溶性の物質に香味料を吸着させてもよく、封入してもよい。かかる乾燥状物の調製のための実際の手法は周知である。
【0141】
ある実施形態において、高甘味度甘味料を、多くの周知の物理的形状で用いて、甘味の初期バースト及び/又は長期間にわたる甘味感を付与できる。物理的形状としては、スプレードライ体、粉体等の遊離状、ビーズ体、封入体、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0142】
ここで用いられる香味料の量は、最終的なチューインガム組成物のタイプ、個々の香味料、用いられるガムベース、望ましい香味の強さ等の嗜好によって変えてもよい。したがって、香味料の量は、最終製品において望ましい結果を得るために変えることができ、このように変えることは、過度の実験を必要としない当業者の能力の範囲内である。ガム組成物中の香味料の含有量は、通常、チューインガム組成物に対して約0.02質量%〜約5質量%、より具体的には約0.1質量%〜約2質量%、さらにより具体的には約0.8質量%〜約1.8質量%である。
【0143】
所望の色を付けるために有効な量の着色剤を用いてもよい。着色剤としては、ガム組成物に対して最大約6質量%まで含有させることができる顔料が挙げられる。例えば、二酸化チタンは、ガム組成物に対して最大約2質量%、好ましくは最大約1質量%まで含有させることができる。また、着色剤としては、食品、医薬品、及び化粧品用途に好適な食品用天然着色料又は色素が挙げられる。これらの着色料は、F.D.&C色素及びレーキとして知られている。上述の用途に許容される物質は、好ましくは水溶性である。非限定的な代表例としては、5,5−インディゴチンジスルホン酸の二ナトリウム塩であり、F.D.&C.ブルーNo.2として知られているインディゴ系色素が挙げられる。同様に、F.D.&C.グリーンNo.1として知られている色素は、トリフェニルメタン色素を含有しており、4−[4−(N−エチル−p−スルホニウムベンジルアミノ)ジフェニルメチレン]−[1−(N−エチル−N−p−スルホニウムベンジル)−δ−2,5−シクロヘキサジエンイミン]のモノナトリウム塩がある。全てのF.D.&C.着色料に関する詳細及び対応する化学構造については、Kirk−Othmer Encyclopedia of Chemical Technology、第3版、第5巻のp.857〜884に記載されており、その記載は参照として本明細書に組み込まれる。
【0144】
ガム組成物に用いることができる好適な油脂としては、特に、ココナッツ油、パーム核油、牛脂、及びラード等の植物性、又は動物性脂肪の部分水素化物が挙げられる。これらの成分は用いられる場合、通常、これらの含有量は、ガム組成物に対して約7質量%以下、好ましくは約3.5質量%以下である。
【0145】
ある実施形態は、チューインガム及び風船ガムの両者を含有するガム組成物を調製する方法を含んでいてもよい。チューインガム組成物は、通常の手法及び当業者に公知の装置を用いて調製できる。ある実施形態において有用な装置は、チューインガム製造の分野において周知の混合及び加熱装置を有しているため、具体的な装置の選択は、当業者には自明である。
【0146】
ある実施形態において、歯のホワイトニング効果を有するガム組成物を調製する方法は、少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部をポリマーマトリックス内に封入する工程を含んでいる。ある実施形態において、ポリマーマトリックスは、約448.2bar(約6500psi)以上の引張強度を有していてもよく、かつ/又は約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。また、この方法は、ガムベースを加熱して軟化させる工程と、軟化したガムベースと少なくとも一部が封入された有効成分とを混合して、ほぼ均一な混合物を得る工程とを含んでいる。さらに、この方法は、混合物を冷却する工程と、冷却した混合物をガムの形に成形する工程とを含んでいる。軟化したガムベースに、他の成分を混合してもよい。例えば、1種類以上の以下に示すようなものが、通常添加される:膨張剤、充填剤、保湿剤、香味剤、着色剤、分散剤、軟化剤、可塑剤、保存料、温熱剤、清涼剤、歯のホワイトニング剤、及び甘味料。
【0147】
ある望ましい実施形態において、本発明のガム組成物を製造する方法は、少なくとも1種類の封入された有効成分をガムベースと混合する工程を含んでいてもよい。封入工程は、ある望ましい実施形態において、押出しを含んでいてもよい。
【0148】
例えば、以下の実施例に詳述するように、本発明の口腔デリバリーシステムは、まず、ポリ酢酸ビニル(PVAC)等の適当なポリマーを高せん断ミキサー中で溶融させることにより調製されうる。次いで、溶融したポリマーに水素化油を加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合する。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して適当な大きさ(例えば、590ミクロン以下)にする。封入された有効成分は、ガムベースに用いられるまで、気密容器中、低湿度下で保管する。
【0149】
ある他の実施形態において、本発明のガム組成物を調製する方法は、歯のホワイトニング有効成分の粒子を気流中に分散させて、分散させた有効成分粒子の表面にコーティングを噴霧する。ある実施形態において、コーティングは、吸水率が約0.01%〜約50%の少なくとも1種類のポリマーを含有してもよい。さらに、ある実施形態において、ポリマーは、口腔デリバリーシステム中で、約448.2bar(約6500psi)以上の引張強度を有していてもよい。好適な有効成分は、上述のとおりである。さらに、好適なポリマーは、上述のとおりである。1種類以上のコーティング層を、分散させた有効成分粒子の上に噴霧してもよい。粒子の上に噴霧されるコーティング組成物は、任意の溶媒を含んでいてもよい。実施例で述べるように、封入された粒子をガムベース中に混合できる。
【0150】
ある実施形態における封入された粒子は、任意の公知のスプレーコーティング法のうち適当なものを用いて調製することができる。好適な方法の1つは、Wurster法である。この方法は、個々の粒子状物質を封入する方法を提供する。まず、封入される粒子を、通常噴霧ノズルの前側の循環流である気流中に分散させる。噴霧ノズルから、霧状のコーティング溶液流を噴霧する。
【0151】
霧状の障壁コーティング溶液は、ノズルから噴霧された後に粒子と衝突し、コーティング溶液による粒子のコーティングをもたらす。コーティングされる粒子を分散させるための気流の温度を、コーティング溶液が粒子と接触した直後に溶媒が蒸発するように設定してもよい。こうすることにより、粒子上でコーティングを固化させ、所望の封入された粒子が得られる。
【0152】
所望の厚さのコーティングが得られるまで、この工程を反復してもよい。或いは、異なるコーティング溶液を用いてこの工程を反復し、封入された粒子組成物に、異なる別個のコーティング層を設けてもよい。
【0153】
コーティング工程の後に、粒子を成形して、必要に応じて、通常、粒子サイズが約50μm〜約800μmの、適当な大きさにしてもよい。この成形は、粒子の裁断、微粉砕、製粉、及び粉砕等の任意の好適な手段を用いて行うことができる。
【0154】
ある実施形態において、ガム片は、水性のガムのコーティング組成物でコーティングされていてもよく、コーティングは任意の公知の方法を用いて行うことができる。ガムのコーティング組成物の含有量は、ガム片に対し約25質量%〜約35質量%、より具体的にはガム片に対し約30質量%であってもよい。
【0155】
ガムの外側のコーティングは、固くてもよく、又はサクサクしていてもよい。通常、ガムの外側のコーティングは、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、イソマルト、及び他の結晶性ポリオールを含んでいてもよく、スクラロースも用いることができる。香味料を添加して、ユニークな製品特性を付与してもよい。さらに、ガムの外側のコーティングは、本明細書に記載の1種類以上の封入された活性剤を含有してもよい。
【0156】
ガムのコーティングを用いる場合には、コーティングを通してガム組成物が見えないように、いくつかの不透明層を有していてもよく、美観、質感、及び保護のために、場合によっては1層以上の透明層でさらにコーティングされていてもよい。ガムの外側のコーティングは、少量の水及びアラビアガムを含有してもよい。ガムのコーティングは、さらにろうでコーティングされていてもよい。ガムのコーティングは、個々のコーティングの間で乾燥させながらコーティング溶液を順次塗布する通常の方法で塗布できる。コーティングを乾燥させると、他の色の着色料を添加していても、通常不透明な白色になる。ポリオールのコーティングの上に、さらにろうをコーティングしてもよい。ガムのコーティングは、着色された薄片又は小片をさらに含有してもよい。
【0157】
組成物がガムのコーティングを有する場合には、1種類以上の口腔ケア成分をコーティング全体に分散させることができる、1種類以上の口腔ケア成分が、単一相の組成物中で他の有効成分と適合性を有しない場合、このようにすることが好ましい。さらに、1種類以上のステイン除去剤をガム組成物中に加えることにより、組成物全体のステイン除去効率を向上させることができることも、本発明の意図する範囲内に十分含まれる。
【0158】
封入された有効成分は、ガムのコーティング、ガムベース、又は両者等の、チューインガムの1つ以上の部分に含有されてもよい。さらに、封入された有効成分は、製造工程の様々な段階において、単独で、又は他の成分と組み合わせて添加できる。例えば、ある実施形態において、ガム組成物を調製する方法は、ガムベースを加熱して基材を軟化させる工程と、軟化したガムベースに、エラストマー、ろう、乳化剤、膨張剤、充填剤、保湿剤、香味料、着色料、分散剤、軟化剤、可塑剤、保存料、温熱剤、清涼剤、封入された有効成分、及び甘味料のうち少なくとも1つを混合し、ほぼ均一な組成物を得る工程と、を含んでいてもよい。またこの方法は、混合物を冷却し、得られる冷却した混合物を個々のガム片に成形する工程と、封入された有効成分を含有するガムコーティング溶液でガム片をコーティングする工程と、を含んでいる。ガムのコーティングは、アラビアガム、香味料、着色料、甘味料、膨張剤、充填剤、粘着防止化合物、分散剤、保湿化合物、温熱剤、清涼剤、及びフィルム形成剤等の、1種類以上の他の成分を含有してもよい。
【0159】
ガム製品がセンターフィルドガムである場合に、ガム片の熱安定性を向上させ、液体のフィルが漏れ出すのを防ぐために、ガムのコーティングを形成してもよい。ある実施形態において、ガムのコーティングはゼラチン組成物を含有してもよい。ゼラチン組成物は、40質量%溶液として添加してもよく、ガムのコーティング組成物に対し約5質量%〜約10質量%、より具体的には約7質量%〜約8質量%含有する。ゼラチンのゲル強度は、約130ブルーム〜約250ブルームであってもよい。
【0160】
生理学的清涼剤、喉の鎮痛剤、香辛料、温熱剤、歯のホワイトニング剤、息清涼剤、ビタミン、ミネラル、カフェイン、薬剤、及び他の添加剤等の添加物は、チューインガム組成物の任意の部分又は全体に含有されてもよい。かかる成分は、意図する効果を達成するために十分な量を用いることができる。
【0161】
清涼剤について、種々の周知の清涼剤を用いることができる。例えば、有用な清涼剤のうち、メントール、キシリトール、メンタン、メントン、酢酸メンチル、サリチル酸メンチル、N,2,3−トリメチル−2−イソプロピルブタナミド(WS−23)、N−エチル−p−メンタン−3−カルボキサミド(WS−3)、コハク酸メンチル、3,1−メントキシプロパン−1,2−ジオールが特に挙げられる。これらの、又は他の好適な清涼剤は、以下に示す米国特許明細書に記載されており、これらの全体は参照として本明細書に組み込まれる:Roswellらに付与された米国特許第4,230,688号、及び第4,032,661号明細書、アマノらに付与された米国特許第4,459,425号明細書、Watsonらに付与された米国特許第4,136,163号明細書、及びGrubらに付与された米国特許第5,266,592号明細書。これらの清涼剤は、1層以上のガムの外側のコーティングの内部、液体のフィルを取り囲むガム部分の内部、液体のフィル自体の内部、又はガム内部のこれらの3つの任意の組み合わせの内部に存在させてもよい。ガムの外側のコーティングに用いられる場合、清涼剤は、通常、約0.01%〜約1.0%含まれる。ガム部分又はセンターフィル等の、ガムの他の部分に用いられる場合、それらの含有量は、チューインガム片に対して約0.001質量%〜約10質量%であってもよい。
【0162】
温熱成分は、使用者に温熱感の感覚信号をもたらすことが知られている広範囲の化合物の中から選択することができる。これらの化合物は、特に口腔内で温熱感を感知させ、多くの場合、香味料、甘味料、及び他の感覚刺激性化合物に対する感受性を向上させる。有用な温熱化合物に含まれるものとしては、バニリルアルコールn−ブチルエーテル(TK−1000、高砂香料株式会社製)、バニリルアルコールn−プロピルエーテル、バニリルアルコールイソプロピルエーテル、バニリルアルコールイソブチルエーテル、バニリルアルコールn−アミノエーテル、バニリルアルコールイソアミルエーテル、バニリルアルコールn−ヘキシルエーテル、バニリルアルコールメチルエーテル、バニリルアルコールエチルエーテル、シンゲロール、ショーガオール、パラドール、ジンジェロン、カプサイシン、ジヒドロカプサイシン、ノルジヒドロカプサイシン、ホモカプサイシン、ホモジヒドロカプサイシン、エタノール、イソプロピルアルコール、イソ−アミルアルコール、ベンジルアルコール、グリセリン、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0163】
本発明の特徴及び利点は、説明のために示され、いかなる意味においても本発明を制限するものではない、以下の実施例により、さらに詳細に説明される。
【実施例】
【0164】
実施例1;トリポリリン酸ナトリウム(STP)の封入本実施例では、口腔デリバリーシステムを調製する。このシステムは、有効成分としてトリポリリン酸ナトリウム(STP)を、STPを封入するマトリックスとしてポリ酢酸ビニルを含有している。デリバリーシステムの成分を表1に示す。
【0165】
表1
【表1】

デリバリーシステムの調製に用いる手順は、以下のとおりである。ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約105℃の温度で溶融させる。溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油を加える。その後、得られる混合物にトリポリリン酸ナトリウム(STP)を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を590ミクロン以下にする。STPを封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0166】
実施例2;トリポリリン酸ナトリウム(STP)、ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、及びスクラロースの封入本実施例では、他の口腔デリバリーシステムを調製する。このシステムは、有効成分として、STP、SHMP、及びスクラロースを含んでいる。このシステムも、有効成分を封入するマトリックスとしてポリ酢酸ビニルを含んでいる。デリバリーシステムの成分を表2に示す。
【0167】
表2
【表2】

デリバリーシステムの調製に用いる手順は、以下のとおりである。ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約85℃の温度で溶融させる。溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油を加える。その後、得られる混合物にSTP、SHMP、及びスクラロースを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を590ミクロン以下にする。封入体は、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0168】
実施例3;トリポリリン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースの封入本実施例では、さらに異なる口腔デリバリーシステムを調製する。このシステムは、有効成分として、STP、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを含む。このシステムも、有効成分を封入するマトリックスとしてポリ酢酸ビニルを含む。デリバリーシステムの成分を表3に示す。
【0169】
表3
【表3】

デリバリーシステムの調製に用いる手順は、以下のとおりである。ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約85℃の温度で溶融させる。溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油を加える。その後、得られる混合物にSTP、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を590ミクロン以下にする。封入体は、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0170】
実施例4;STP/ポリ酢酸ビニル封入体(実施例1により調製)を含有するチューインガム組成物実施例1で調製した、STPを封入したポリ酢酸ビニルを用いて、公知の手順によりチューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を表4に示す。
【0171】
表4
【表4】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0172】
封入されたSTPを含むチューインガム組成物(表4の組成物)からのSTPの放出を、STPを遊離の状態で含有する同一組成のガム組成物と比較して以下の表5に示す。塊中に残留するSTPの量(%)を、約20分間にわたって測定した。表5の結果をグラフにして図1に示す。
【0173】
表5
【表5】

表5(及び図1)に示した結果より、本発明のデリバリーシステムは、有効成分が遊離の状態で存在するガム組成物に比べて、制御された量の有効成分(STP等)を、長期間にわたって放出させることができる。一方、有効成分が遊離の状態で存在しているガムでは、高濃度の有効成分が最初に放出され、その後有効成分がなくなってしまうが、これは望ましくない。本発明のデリバリーシステムは、有効成分の放出の均一性を向上させ、より長時間にわたって制御された状態で放出させることができる。
【0174】
実施例5:遊離の状態で有効成分を含有するチューインガム組成物に対する封入された状態で有効成分を含有するチューインガム組成物のステイン除去効率の評価遊離の状態でSTPを含有するチューインガム及び封入された状態でSTPを含有するチューインガムのステインの除去効率を評価した。具体的には、チューインガム組成物が、8個のエナメル質小片からステインを除去する能力について試験を行った。平均値を以下の表6に示す。実験は、Kleber,CJらによって開発された、A mastication device designed for the evaluation of chewing gums,J Dent Res.60(11);109−114(1981年11月)に記載の実験室的方法の変法を用いて行った。処理の前後における歯の表面のステインの量は、比色計を用いて定量した。処理に備えて、試料となる歯のベースラインL*a*b*着色スコアを決定し、8つの試料を、それぞれ平均の取れたグループに階層化するのに用いた。人間の咀嚼をシミュレートする、フローシステムを備える機械的装置を用いて、歯の試料を試験用チューインガムで処理した。試験のために、正方形のエナメル質片を有する試料ブロックを、装置の上側及び下側試験歯ホルダーに装着した。
【0175】
人工唾液(15ml、pH7.5)を容器に入れた。約1.5グラム(すなわち、2粒)の試験用チューインガムを、下側の歯の試料の真上に位置する再配置パドルの間に配置した。咀嚼モーターを始動し、正方形のエナメル質片を有する2つの試料ブロックを、チューインガムで10分間処理した。操作手順を連続して6回繰り返した(合計処理時間は60分間であった)。10分間の処理には、その都度新しいガム及び人工唾液を用いた。6回目の処理の後、試料を洗浄し、30分間乾燥させた後、色の読み取りを行った。
【0176】
ステインの測定ミノルタ社製の分光光度計を用いて拡散反射吸収の読み取りを行うことにより、ウシの歯に付着した外因性のステインの色を測定した。可視光の色スペクトルの全域にわたる吸光度測定結果は、CIELABカラースケールを用いて得られた。このスケールは、3つのパラメータL*(明度−暗度スケール)、a*(赤−緑彩度)、及びb*(黄−青彩度)によって、色を定量的に表現する。再現性のある読み取り結果を得るため、測定を行う前に、ステインの付着したエナメル質試料を室温で30分間風乾させた。ステインが付着した4mm角のエナメル質の中心が、ミノルタ社製分光光度計の、直径3mmのターゲット開口部上に直接向くようにして測定を行った。それぞれの試料について、3回の読み取り値の平均を、L*a*b*スケールを用いて測定した。
【0177】
ステインの計算CIELABの式ΔE=[(ΔL*)+(Δa*)+(Δb*)1/2を用いて、ステインの付着した歯の色の総変化量を計算した。L*a*b*スケールの個々の成分は、白色度(L*)、赤−緑色度、及び黄−青色度の個別の変化を表す。ΔE値は、個々の色の要素(ΔL*、Δa*、及びΔb*)の総変化量を集約したものであり、試験用チューインガムがステインを除去し、歯を白くする能力を表す。データを計算し、以下のように定義した:ステインの除去量=処理後のΔEスコア(以下の表6参照)。
【0178】
表6遊離の状態で有効成分を含有するチューインガムに対する封入された状態で有効成分を含有するチューインガムのステイン除去効率
【表6】

表6に示すように、封入されたSTPを含有するチューインガム組成物(実施例1)は、遊離のSTPを含有する同様のガム組成物よりも、ステインの付着した歯の色を大きく変化させた。さらに、封入されたステアリン酸ナトリウムを含有するチューインガム組成物(実施例2により調製)は、遊離のステアリン酸ナトリウム及びSTPを含有する同様のガム組成物よりも、ステインの付着した歯の色を大きく変化させた。
【0179】
実施例6;酵素の封入実施例6のデリバリーシステムは、グルコース酸化酵素(表7)、又は他の有効成分と組み合わせたもの(表8)の封入を目的とする。デリバリーシステムの組成を以下の表7及び8に示す。
【0180】
本実施例のデリバリーシステムにおいて、グルコース酸化酵素を、最初にアラビアガムに封入する。これは、ポリ酢酸ビニルに封入する前に、熱に不安定な酵素の保護被膜を形成するために行われた。例えば、気流中に分散させた酵素粒子の表面へ、グルコース酸化酵素をスプレーコーティングしてもよい。分散させた酵素の粒子の上に、アラビアガムのコーティングを噴霧してもよい。その後、コーティングされた酵素の粒子を単独で、又は他の有効成分と共にポリ酢酸ビニル中に封入してもよい。本実施例のデリバリーシステムにおいて、グルコースは酵素活性化剤である。グルコースとグルコース酸化酵素との反応により、過酸化物が生成する。スクラロースが存在する場合には、矯味剤として作用する。
【0181】
表7グルコース酸化酵素(GO)の封入
【表7】

【0182】
表8オキシダーゼと矯味有効成分との封入
【表8】

本実施例のデリバリーシステムは、以下のようにして調製する:PVAcを、高せん断ミキサー中、約85℃の温度で溶融させる。溶融したPVAcに硬化油(脂)を加える。その後、得られる混合物にコーティングされた酵素の粒子等の残りの成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を590ミクロン以下にし、封入された有効成分を含有するマトリックスを、実施例1に記載のように保管する。
【0183】
実施例7;封入されたグルコース酸化酵素を含有するチューインガム組成物実施例6で調製した、封入されたグルコース酸化酵素(表7又は8)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を以下の表9に示す。
【0184】
表9チューインガム組成物
【表9】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0185】
実施例8;実施例8のデリバリーシステムは、界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム等)を単独で(表10)、又は他の成分と共に(表11及び12)封入することを目的とする。デリバリーシステムの成分を以下の表10〜12に示す。スクラロースは、矯味剤として作用する。
【0186】
表10ステアリン酸ナトリウムの封入
【表10】

【0187】
表11ステアリン酸ナトリウムと矯味有効成分との封入
【表11】

【0188】
表12有効成分と矯味有効成分との封入
【表12】

本実施例のデリバリーシステムは、以下のようにして調製する:PVAcを、上述の実施例1と同様に溶融させる。表10、11、及び12のデリバリーシステムの残りの成分を、溶融したPVAcに加え、高せん断力下で混合する。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を590ミクロン以下にし、封入された有効成分を含有するマトリックスを、実施例1に記載のように保管する。
【0189】
実施例8A;封入されたステアリン酸ナトリウムを含有するチューインガム組成物実施例8で調製した、封入されたステアリン酸ナトリウム(表10、11、又は12)を用いてチューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を以下の表13に示す。
【0190】
表13チューインガム組成物
【表13】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0191】
実施例9;過酸化物の封入本実施例では、分散したPVA粒子のスプレーコーティングを用いて、過酸化カルバミドを単独で(表15)、又はリン酸二カルシウムと共に(表14)封入する。
【0192】
表14過酸化カルバミド及びリン酸二カルシウムの封入
【表14】

【0193】
表15過酸化カルバミドの封入
【表15】

本実施例のデリバリーシステムの調製に用いる手順は、以下のとおりである:Wurster法を用いて、過酸化カルバミドを単独で(表15)、又はリン酸二カルシウムと共に(表14)封入する。表14又は15の組成物を用いて、トルエンとポリ酢酸ビニルとを35℃で2時間撹拌することにより、コーティング溶液を調製する。過酸化カルバミド/リン酸二カルシウムの粉末を、通常、スプレーノズル前方での循環流である気流中に分散させる。スプレーノズルから、霧状のコーティング溶液を、240分間噴霧させる。次いで、コーティングされた粒子を、流動室内で50分間乾燥させ、35℃以下の乾燥条件下で保管する。
【0194】
実施例10;封入された過酸化カルバミドを含有するチューインガム組成物実施例9で調製された、封入された過酸化カルバミド(表14又は15)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を以下の表16に示す。
【0195】
表16チューインガム組成物
【表16】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0196】
実施例11;カルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウムCCP−CP(リカルデント)の封入実施例11は、歯用再石灰化剤(リカルデント)を単独で(表17)、又は他の成分と共に(表18)封入することを目的とする。表18に示すように、リカルデントは、虫歯予防剤(フッ化ナトリウム等)、抗歯石剤(STP等)、及び矯味剤(スクラロース等)のような有効成分と組み合わせることができる。矯味剤は、リン酸等の抗歯石剤に関連しうる苦味又は金属味をマスキングする作用を有している。
【0197】
表17
【表17】

【0198】
表18有効成分と矯味有効成分との組み合わせ
【表18】

表17及び18に示すデリバリーシステムを、実施例1に記載と同様の方法を用いて調製する。
【0199】
実施例12;封入されたリカルデントを含有するチューインガム組成物実施例11で調製された、封入されたリカルデント(表17又は18)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を表19に示す。
【0200】
表19チューインガム組成物
【表19】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0201】
実施例13;息清涼剤の封入実施例13は、息清涼剤(クロロフィル)を単独で(表20)、又は他の成分と共に(表21及び22)封入することを目的とする。表21のデリバリーシステム組成物では、クロロフィルを、甘味料及び矯味剤として作用するスクラロースと共に封入する。さらに、表22のデリバリーシステム組成物では、それぞれ息清涼剤として作用するクロロフィル及びメントール−シクロデキストリンをスクラロース(矯味剤/甘味料)と共に、PVAcポリマーマトリックス中に封入する。
【0202】
表20クロロフィルの封入
【表20】

【0203】
表21クロロフィルと矯味有効成分との封入
【表21】

【0204】
表22有効成分と矯味有効成分との組み合わせの封入
【表22】

本実施例のデリバリーシステム組成物は、PVAcを高せん断ミキサー中約105℃の温度で溶融させることにより調製される。次いで残りの成分を加え、高せん断力下で混合する。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、実施例1と同様に粉砕し、有効成分を封入したマトリックスを、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。。
【0205】
実施例14;封入されたクロロフィル組成物を含有するチューインガム組成物実施例13で調製された、封入されたクロロフィル組成物(表20、21、又は22)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を表23に示す。
【0206】
表23チューインガム組成物
【表23】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0207】
実施例15;抗口臭剤の封入実施例15は、抗口臭剤(クエン酸亜鉛等)を単独で(表24)、又は他の有効成分と共に(表24A及び25)封入することを目的とする。表24Aのデリバリーシステム組成物では、クエン酸亜鉛を、抗歯石剤(STP等)及び矯味剤/甘味料(スクラロース等)と共に封入する。表25のデリバリーシステム組成物では、クエン酸亜鉛を、抗歯石剤(STP等)、界面活性剤(ステアリン酸ナトリウム等)、及び矯味剤/甘味料(スクラロース等)と共に封入する。
【0208】
表24クエン酸亜鉛の封入
【表24】

【0209】
表24A有効成分と矯味有効成分との組み合わせの封入
【表25】

【0210】
表25有効成分と矯味有効成分との組み合わせの封入
【表26】

デリバリーシステム組成物を、上述の実施例13と同様に調製する。
【0211】
実施例16;封入されたクエン酸亜鉛を含有するチューインガム組成物実施例15で調製された、封入されたクエン酸亜鉛(表24、24A、又は25)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を表26に示す。
【0212】
表26チューインガム組成物
【表27】

チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガムベースをミキサー中、適当な温度で溶融する。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0213】
実施例17;知覚過敏症治療剤の封入実施例17は、知覚過敏症治療剤(硝酸カリウム等)を単独で(表27)、又は他の有効成分と共に(表28及び29)封入することを目的とする。表28のデリバリーシステム組成物では、硝酸カリウムを、スクラロース(甘味料/矯味剤)と共に封入する。さらに、表29のデリバリーシステム組成物では、硝酸カリウムを、STP(抗歯石剤)及びスクラロース(甘味料/矯味剤)と共に封入する。
【0214】
表27硝酸カリウムの封入
【表28】

【0215】
表28硝酸カリウムと矯味有効成分との封入
【表29】

【0216】
表29有効成分と矯味有効成分との組み合わせの封入
【表30】

デリバリーシステム組成物を、上述の実施例13と同様に調製する。
【0217】
実施例18:封入された硝酸カリウムを含有するチューインガム組成物実施例17で調製された、封入された硝酸カリウム(表27、28、又は29)を用いて、チューインガム組成物を調製する。チューインガムの成分を表30に示す。
【0218】
表30チューインガム組成物
【表31】

チューインガム組成物は、以下のとおりに調製した。ガムベースをミキサー中、適当な温度で溶融する。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0219】
以下の実施例18〜31(表31〜44)は、本発明の他の口腔デリバリーシステムを目的とする。実施例18〜31では、押出機を用いて、単一の有効成分の少なくとも一部を、PVAcマトリックス中に封入する。有効成分は、可塑剤(硬化油)及び乳化剤(グリセロールモノステアレート)と共に封入される。実施例32〜43(表45〜56)は、これらのデリバリーシステムを含むガム組成物を目的とする。
【0220】
実施例18:トリポリリン酸ナトリウムの封入
【0221】
表31
【表32】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にSTPを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0222】
実施例19;フッ化ナトリウム(NaF)の封入
【0223】
表32
【表33】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にNaFを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0224】
実施例20;過酸化カルシウムの封入
【0225】
表33
【表34】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に過酸化カルシウムを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0226】
実施例21;塩化亜鉛の封入
【0227】
表34
【表35】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加え、その後、得られる混合物に塩化亜鉛を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0228】
実施例22;過酸化カルバミドの封入
【0229】
表35
【表36】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に過酸化カルバミドを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0230】
実施例23;硝酸カリウム(KNO)の封入
【0231】
表36
【表37】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に硝酸カリウムを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0232】
実施例24;クロルヘキシジンの封入
【0233】
表37
【表38】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にクロルヘキシジンを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0234】
実施例25;ステアリン酸ナトリウムの封入表38
【表39】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にステアリン酸ナトリウムを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0235】
実施例26;炭酸水素ナトリウムの封入
【0236】
表39
【表40】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に炭酸水素ナトリウムを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0237】
実施例27;塩化セチルピリジニウム(CPC)の封入
【0238】
表40
【表41】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にCPCを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0239】
実施例28;カルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウムCCP−CP(リカルデント)の封入
【0240】
表41
【表42】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にリカルデントを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0241】
実施例29;リシノール酸ナトリウムの封入
【0242】
表42
【表43】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にリシノール酸ナトリウムを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0243】
実施例30;ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)の封入
【0244】
表43
【表44】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にSHMPを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0245】
実施例31;尿素の封入
【0246】
表44
【表45】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に尿素を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0247】
実施例32;封入されたトリポリリン酸ナトリウム(STP)を含有するチューインガム組成物
【0248】
表45
【表46】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0249】
実施例33;封入されたフッ化ナトリウム(NaF)を含有するチューインガム組成物
【0250】
表46
【表47】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0251】
実施例34;封入された過酸化カルシウムを含有するチューインガム組成物
【0252】
表47
【表48】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0253】
実施例35;封入された塩化亜鉛を含有するチューインガム組成物
【0254】
表48
【表49】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0255】
実施例36;封入された過酸化カルバミドを含有するチューインガム組成物
【0256】
表49
【表50】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0257】
実施例37;封入された硝酸カリウムを含有するチューインガム組成物
【0258】
表50
【表51】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0259】
実施例38;封入されたステアリン酸ナトリウムを含有するチューインガム組成物
【0260】
表51
【表52】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0261】
実施例39;封入された炭酸水素ナトリウムを含有するチューインガム組成物
【0262】
表52
【表53】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0263】
実施例40;封入されたリカルデントを含有するチューインガム組成物
【0264】
表53
【表54】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0265】
実施例41;封入されたリシノール酸ナトリウムを含有するチューインガム組成物
【0266】
表54
【表55】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0267】
実施例42;封入されたヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)を含有するチューインガム組成物
【0268】
表55
【表56】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0269】
実施例43;封入された尿素を含有するチューインガム組成物
【0270】
表56
【表57】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0271】
以下の実施例44〜57(表57〜70)は、本発明のさらに異なる口腔デリバリーシステムを目的とする。実施例44〜57では、押出機を用いて、複数の有効成分の少なくとも一部を、PVAcマトリックス中に封入する。有効成分は、可塑剤(硬化油)及び乳化剤(グリセロールモノステアレート)と共に封入される。実施例58〜71(表71〜84)は、これらのデリバリーシステムを含有するガム組成物を目的とする。
【0272】
実施例44;封入されたトリポリリン酸(STP)、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0273】
表57
【表58】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0274】
実施例45;封入されたフッ化ナトリウム(NaF)、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0275】
表58
【表59】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0276】
実施例46;封入された過酸化カルシウム、SHMP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0277】
表59
【表60】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0278】
実施例47;封入された塩化亜鉛、STP、及びアスパルテームを含有するチューインガム組成物
【0279】
表60
【表61】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0280】
実施例48;封入された過酸化カルバミド、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0281】
表61
【表62】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0282】
実施例49;封入された硝酸カリウム(KNO)、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0283】
表62
【表63】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0284】
実施例50;封入されたクロルヘキシジン、STP、NaF、及びアスパルテームを含有するチューインガム組成物
【0285】
表63
【表64】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0286】
実施例51;ステアリン酸ナトリウム、STP、メントール、及びスクラロースの封入
【0287】
表64
【表65】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0288】
実施例52;炭酸水素ナトリウム、STP、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースの封入
【0289】
表65
【表66】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0290】
実施例53;塩化セチルピリジニウム(CPC)、NaF、STP、及びスクラロースの封入
【0291】
表66
【表67】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0292】
実施例54;カルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウムCCP−CP(リカルデント)、STP、及びスクラロースの封入
【0293】
表67
【表68】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0294】
実施例55;リシノール酸ナトリウム、STP、及びアスパルテームの封入
【0295】
表68
【表69】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0296】
実施例56;ヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースの封入
【0297】
表69
【表70】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約110℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物にSHMPを加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0298】
実施例57;尿素、STP、及びスクラロースの封入
【0299】
表70
【表71】

手順:ポリ酢酸ビニルを、押出成形機(1軸式又は2軸式)又はシグマ型ミキサー若しくはバンバリーミキサー等の高せん断ミキサー中、約80℃の温度で溶融させる。その後、溶融したポリ酢酸ビニルに硬化油及びグリセロールモノステアレートを加える。その後、得られる混合物に有効成分を加え、高せん断力下で混合し、成分を完全に分散させる。得られる封入材料入りのポリマー融液を冷却後、粉砕して粒径を420ミクロン以下にする。封入したマトリックスは、気密容器中、低湿度下、35℃以下で保管する。
【0300】
実施例58;封入されたトリポリリン酸ナトリウム(STP)、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0301】
表71
【表72】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0302】
実施例59;封入されたフッ化ナトリウム(NaF)、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0303】
表72
【表73】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0304】
実施例60;封入された過酸化カルシウム、SHMP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0305】
表73
【表74】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0306】
実施例61;封入された塩化亜鉛、STP、及びアスパルテームを含有するチューインガム組成物
【0307】
表74
【表75】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0308】
実施例62;封入された過酸化カルバミド、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0309】
表75
【表76】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0310】
実施例63;封入された硝酸カリウム、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0311】
表76
【表77】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0312】
実施例64;封入されたクロルヘキシジン、STP、NaF、及びアスパルテームを含有するチューインガム組成物
【0313】
表77
【表78】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。実施例65;封入されたステアリン酸ナトリウム、メントール、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0314】
表78
【表79】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0315】
実施例66;封入された炭酸水素ナトリウム、STP、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0316】
表79
【表80】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0317】
実施例67;封入された塩化セチルピリジニウム(CPC)、NaF、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0318】
表80
【表81】

以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0319】
実施例68;封入されたリカルデント、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0320】
表81
【表82】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0321】
実施例69;封入されたリシノール酸ナトリウム、STP、及びアスパルテームを含有するチューインガム組成物
【0322】
表82
【表83】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0323】
実施例70;封入されたヘキサメタリン酸ナトリウム(SHMP)、ステアリン酸ナトリウム、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0324】
表83
【表84】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【0325】
実施例71;封入された尿素、STP、及びスクラロースを含有するチューインガム組成物
【0326】
表84
【表85】

手順:以下のようにチューインガム組成物を調製する。ガムベースを、ミキサー中、適当な温度で溶融させる。その後、残りの成分を溶融したガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合する。得られるチューインガム組成物を一定の大きさにする。
【図面の簡単な説明】
【0327】
【図1】チューインガム塊中に残留したトリポリリン酸ナトリウム(STP)の割合と、STPを遊離の状態で含有するチューインガム組成物(対照群)及び封入されたSTPを含有するチューインガム組成物(発明群)の咀嚼時間との関係を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類の有効成分と、前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスとを含有する口腔デリバリーシステムであって、
前記ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有するシステム。
【請求項2】
少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
口腔用組成物に用いた場合、有効成分が遊離の状態で存在する口腔用組成物に比べて、より長い期間にわたって、制御された量の有効成分を口腔内に放出する請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記期間は約5分〜約60分である請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
約50%以上の有効成分は約5分〜約60分経過後に残存する請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記ポリマーマトリックスは、溶媒、可塑剤、充填剤等、又はそれらの組み合わせをさらに含有する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記ポリマーマトリックスは、約1379〜約3448bar(約20000〜約50000psi)の引張強度を有する請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
少なくとも1種類の有効成分は、抗歯石剤、研磨剤、口腔洗浄剤、漂白剤又はホワイトニング剤、知覚過敏症治療剤、歯用再石灰化剤、界面活性剤、抗菌剤、虫歯予防剤、抗口臭剤又は息清涼剤、歯垢酸緩衝剤、甘味料、清涼剤、温熱剤、ハーブ剤、薬剤、ビタミン、矯味剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
少なくとも1種類の有効成分は、抗歯石剤及び矯味剤である請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
前記矯味剤は高甘味度甘味料である請求項10に記載のシステム。
【請求項13】
前記抗歯石剤はリン酸塩である請求項10に記載のシステム。
【請求項14】
前記抗歯石剤は、ピロリン酸塩、トリリン酸塩、ポリリン酸塩、ポリホスホン酸塩、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のシステム。
【請求項15】
前記抗歯石剤はヘキサメタリン酸ナトリウムである請求項10に記載のシステム。
【請求項16】
前記抗歯石剤はトリポリリン酸ナトリウムである請求項10に記載のシステム。
【請求項17】
前記研磨剤は炭酸水素ナトリウムである請求項10に記載のシステム。
【請求項18】
前記高甘味度甘味料は、アスパルテーム、ネオテーム、アセスルファムK、及びスクラロースからなる群より選択される請求項10に記載のシステム。
【請求項19】
前記漂白剤又はホワイトニング剤は過酸化物である請求項10に記載のシステム。
【請求項20】
前記口腔洗浄剤は酵素である請求項10に記載のシステム。
【請求項21】
前記界面活性剤は中鎖又は長鎖脂肪酸の塩である請求項10に記載のシステム。
【請求項22】
前記界面活性剤は、ステアリン酸ナトリウム、リシノール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、又はこれらの組み合わせである請求項10に記載のシステム。
【請求項23】
前記知覚過敏症治療剤は硝酸カリウム又はクエン酸カリウムである請求項10に記載のシステム。
【請求項24】
前記歯用再石灰化剤は、カルシウムカゼインペプトン−リン酸カルシウム(CCP−CP)又はリン酸カルシウムカゼイングリコマクロペプチドからなる群より選択される請求項10に記載のシステム。
【請求項25】
前記抗菌剤は、トリクロサン、クロルヘキシジン、クエン酸亜鉛、硝酸銀、銅、及び塩化セチルピリジニウムからなる群より選択される請求項10に記載のシステム。
【請求項26】
前記虫歯予防剤は、フッ化物イオン又はフッ化物イオンを供給する成分である請求項10に記載のシステム。
【請求項27】
前記抗口臭剤又は息清涼剤は、精油、芳香性アルデヒド、又はアルコールである請求項10に記載のシステム。
【請求項28】
前記抗口臭剤又は息清涼剤は、クエン酸亜鉛、酢酸亜鉛、フッ化亜鉛、硫酸アンモニウム亜鉛、臭化亜鉛、ヨウ化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛、フルオロケイ酸亜鉛、グルコン酸亜鉛、酒石酸亜鉛、コハク酸亜鉛、ギ酸亜鉛、クロム酸亜鉛、フェノールスルホン酸亜鉛、ジチオン酸亜鉛、硫酸亜鉛、硝酸銀、サリチル酸亜鉛、グリセロリン酸亜鉛、硝酸銅、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項10に記載のシステム。
【請求項29】
前記歯垢酸緩衝剤は尿素である請求項10に記載のシステム。
【請求項30】
請求項1に記載の口腔デリバリーシステムを含む口腔用組成物。
【請求項31】
ガムベース、菓子用基材、練り歯磨き用基材、ゲル歯磨き用基材、歯磨き粉用基材からなる群より選択される担体組成物をさらに含有する請求項30に記載の口腔用組成物。
【請求項32】
ガム組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項33】
トローチ剤組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項34】
ミント組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項35】
キャンディー組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項36】
練り歯磨き組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項37】
ゲル歯磨き剤組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項38】
口腔洗浄剤若しくはマウスウォッシュ組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項39】
歯磨き粉組成物である請求項31に記載の口腔用組成物。
【請求項40】
(a)ガムベースと、(b)デリバリーシステムと、を含有するガム組成物であって、
前記デリバリーシステムは、(i)少なくとも1種類の有効成分と、(ii)前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスと、を含有し、前記ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有するガム組成物。
【請求項41】
少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される請求項40に記載のガム組成物。
【請求項42】
前記ポリマーマトリックスは、溶媒、可塑剤、充填剤、又はこれらの組み合わせをさらに含有する請求項40に記載のガム組成物。
【請求項43】
前記有効成分は、抗歯石剤、研磨剤、口腔洗浄剤、漂白剤又はホワイトニング剤、知覚過敏症治療剤、歯用再石灰化剤、界面活性剤、抗菌剤、虫歯予防剤、抗口臭剤又は息清涼剤、歯垢酸緩衝剤、甘味料、清涼剤、温熱剤、ハーブ剤、薬剤、ビタミン、矯味剤、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項40に記載のガム組成物。
【請求項44】
少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有する請求項40に記載のガム組成物。
【請求項45】
前記ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項40に記載のガム組成物。
【請求項46】
前記ポリマーマトリックスは、約1379bar〜約3448bar(約20000〜約50000psi)の引張強度を有する請求項40に記載のガム組成物。
【請求項47】
口腔デリバリーシステムを調製する方法であって、
少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部をポリマーマトリックス内に封入することで、口腔デリバリーシステムを形成する工程を含み、
前記ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有する方法。
【請求項48】
少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記ポリマーは、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸フタル酸ビニル、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート、及びこれらの組み合わせからなる群より選択される請求項47に記載の方法。
【請求項50】
少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有する請求項47に記載の方法。
【請求項51】
前記ポリマーマトリックスは、約1379bar〜約3448bar(約20000〜約50000psi)の引張強度を有する請求項47に記載の方法。
【請求項52】
口腔用組成物を調製する方法であって、
口腔デリバリーシステムを準備する工程と、この口腔デリバリーシステム及び担体組成物を混合する工程とを含み、
前記口腔デリバリーシステムは、(i)少なくとも1種類の有効成分と、(ii)前記少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部を封入しているポリマーマトリックスと、を含有し、
前記ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有する方法。
【請求項53】
少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記担体組成物は、ガムベース、菓子用基材、練り歯磨き用基材、ゲル歯磨き用基材、歯磨き粉用基材からなる群より選択される請求項52に記載の方法。
【請求項55】
少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有する請求項52に記載の方法。
【請求項56】
ガム組成物を調製する方法であって、
少なくとも1種類の有効成分の少なくとも一部をポリマーマトリックス内に封入する工程と、ガムベースを加熱して基材を軟化させる工程と、軟化したガムベース及び少なくとも一部が封入された有効成分を混合して、ほぼ均一な混合物を得る工程と、混合物を冷却する工程と、冷却した混合物をガム片に成形する工程と、を含み、
前記ポリマーマトリックスは、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有し、かつ約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する少なくとも1種類のポリマーを含有する方法。
【請求項57】
少なくとも1種類のポリマーの吸水率は、ASTM D570−98に準拠して測定される請求項56に記載の方法。
【請求項58】
少なくとも1種類のポリマーは、約0.1質量%〜約15質量%の吸水率を有する請求項56に記載の方法。
【請求項59】
請求項1に記載の口腔デリバリーシステムを準備する工程と、少なくとも1種類の有効成分の制御された量が口腔内に放出される口腔デリバリーシステムを口腔内で用いる工程と、を含む口腔デリバリーシステムからの有効成分の放出を制御する方法。
【請求項60】
前記口腔デリバリーシステムはガム中に存在し、少なくとも1種類の有効成分の制御された量がガムの咀嚼によって口腔内に放出される請求項59に記載の方法。
【請求項61】
第1の歯用ホワイトニング剤と、第2の歯用ホワイトニング剤と、第1及び第2の歯用ホワイトニング剤の周囲の少なくとも一部に物理的な障壁を形成する封入材料と、を含む口腔デリバリーシステム。
【請求項62】
前記封入材料は、システムに対して約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する1種類のポリマーを含む請求項61に記載の口腔デリバリーシステム。
【請求項63】
前記封入材料は、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有する請求項61に記載の口腔デリバリーシステム。
【請求項64】
第1の歯用ホワイトニング剤と、矯味剤と、第1の歯用ホワイトニング剤及び矯味剤の周囲の少なくとも一部に物理的な障壁を形成する封入材料と、を含む口腔デリバリーシステム。
【請求項65】
前記封入材料は、システムに対して約0.01質量%〜約50質量%の吸水率を有する1種類のポリマーを含む請求項64に記載の口腔デリバリーシステム。
【請求項66】
前記封入材料は、約448.2bar(6500psi)以上の引張強度を有する請求項64に記載の口腔デリバリーシステム。

【図1】
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【公表番号】特表2008−540645(P2008−540645A)
【公表日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−512263(P2008−512263)
【出願日】平成18年1月9日(2006.1.9)
【国際出願番号】PCT/US2006/000364
【国際公開番号】WO2006/127053
【国際公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【出願人】(507265133)キャドバリー アダムス ユーエスエー エルエルシー (55)
【Fターム(参考)】