説明

放射システム及びリソグラフィ装置

【課題】 光軸を画定する放射ビームを生成するための放射システムが提供される。
【解決手段】 放射システムは、EUV放射を生成するためのプラズマ生成放電源を含む。放電源は、電圧差を提供する1対の電極と、電極間にプラズマ内の放電を提供するために1対の電極間にプラズマを発生させるためのシステムとを含む。また、放射システムは、電極からのデブリを捕捉するためのデブリ捕捉シールドを含む。デブリ捕捉シールドは光軸に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域に開口を提供するように構成され配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、放射システム及び放射システムを含むリソグラフィ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] リソグラフィ装置は、所望のパターンを基板、通常は基板のターゲット部分に塗布する機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に用いられる。その場合、マスク又はレチクルとも呼ばれるパターニングデバイスを用いてICの個々のレイヤ上に形成する回路パターンを生成することができる。このパターンは、基板(例えば、シリコンウェーハ)上のターゲット部分(例えば、1つ又は複数のダイの一部を含む)上へ転写することができる。パターンの転写は、通常、基板上に提供された放射感応性材料(レジスト)のレイヤ上への結像によって行われる。一般に、単一の基板は連続的にパターン付けされる隣接するターゲット部分のネットワークを含む。周知のリソグラフィ装置は、パターン全体をターゲット部分に一度に露光することで各ターゲット部分が照射される、いわゆるステッパと、放射ビームによってパターンを所与の方向(「スキャン」方向)にスキャンしながらこれに同期してこの方向に平行又は逆平行に基板をスキャンすることで各ターゲット部分が照射される、いわゆるスキャナとを含む。パターンを基板上にインプリントすることでパターニングデバイスから基板上へパターンを転写することもできる。
【0003】
[0003] EUV放射に加えて、EUVリソグラフィで用いられる放射源は光学部品とリソグラフィ工程が実行される作業環境にとって有害な可能性がある汚染物質を生成する。これは特に、スズプラズマ源などのプラズマ生成放電源を介して動作するEUV放射源の場合の話である。そのような放射源は、通常、電圧差を印加できる1対の電極を備える。さらに、例えば、電極の一方に向けたレーザビームなどによって蒸気が発生する。従って、電極間で放電が発生し、プラズマを発生させ、またEUV放射が生成されるいわゆるピンチが発生する。この放射に加え、放電源は、通常、デブリ粒子を生成し、その中には荷電又は非荷電の原子から複素粒子までのサイズが異なるすべての種類の微粒子が存在する。EUV放射源からこのデブリに向かう放射ビームを調整するように配置された光学系の汚染を制限することが望ましい。光学系の従来の遮蔽方法は基本的にEUV放射源によって生成される光の方向に平行に並んだ多数のぎっしりと詰まったフォイルを備えるシステムを含む。EP1491963号に開示されたいわゆるフォイルトラップはEUV放射源によって生成される光の方向にほぼ平行に並んだ多数のぎっしりと詰まったフォイルを使用する。微粒子、ナノ粒子、及びイオンなどの汚染デブリはフォイルプレートによって提供される壁に捕捉される。それ故、フォイルトラップは放射源からの汚染物質を捕捉する汚染バリアの役割を果たす。プレートレットの配置によって、フォイルトラップは光を透過するが、プレートレットに平行に移動していないかバッファガスによってランダム化された動きのためにデブリを捕捉する。一部の粒子(有向又は弾道)はフォイルトラップを通過することができるので、放射システムの遮蔽を改善することが望ましい。
【発明の概要】
【0004】
[0004] 本発明の一態様によれば、光軸を画定する放射ビームを生成するための放射システムが提供される。放射システムは、EUV放射を生成するように構成され配置されたプラズマ生成放電源を含む。放電源は、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極と、電極間にピンチプラズマを提供するために1対の電極間に放電を発生させるように構成され配置されたシステムとを含む。さらに、放射システムは、電極からのデブリを捕捉して光軸に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域に開口を提供するように構成され配置されたデブリ捕捉シールドを含む。
【0005】
[0005] 本発明の一態様によれば、光軸を画定する放射ビームを生成するための放射システムを含むリソグラフィ装置が提供される。放射システムは、EUV放射を生成するように構成され配置されたプラズマ生成放電源を含む。放電源は、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極と、電極間にピンチプラズマを提供するために1対の電極間に放電を発生させるように構成され配置されたシステムとを含む。さらに、放射システムは、電極からのデブリを捕捉して光軸に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域に開口を提供するように構成され配置されたデブリ捕捉シールドを含む。また、リソグラフィ装置は、放射ビームにパターンを付与するように構成され配置されたパターニングデバイスと、放射のパターン付ビームを基板上に投影するように構成され配置された投影システムとを含む。
【0006】
[0006] 本発明の他の態様、特徴、及び利点は以下の詳細な説明と、添付の図面と、添付の特許請求の範囲から明らかになろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
[0007] 対応する参照符号が対応する部分を示す添付の概略図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明するが、この説明は単なる例示としてのものに過ぎない。
【0008】
【図1】[0008]本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を示す図である。
【図2】[0009]本発明の一態様による図1のリソグラフィ装置の放射システムの第1の概略実施形態を示す図である。
【図3】[0010]本発明の一態様による第2の実施形態の概略図である。
【図4】[0011]本発明の一態様による別の実施形態を示す図である。
【図5】[0012]図4を参照しながら説明する配置構成の変形例を示す図である。
【図6】[0013]図4を参照しながら説明する配置構成の別の変形例を示す図である。
【図7】[0014]EUV放射源からのデブリの偏向の原理の概略図である。
【図8】[0015]デブリ偏向を提供する四重極磁石配置構成の概略図である。
【図9】[0016]図9(a)〜(c)は図4の構成の別の実施形態を示す図である。
【図10】[0017]放射システムの熱クリーニングに関連するグラフを示す図である。
【図11】[0018]図10に関して述べる熱クリーニング原理の一実施形態を示す図である。
【図12】[0019]図10に関して述べる熱クリーニング原理の別の実施形態を示す図である。
【図13】[0020]図13(a)〜(e)は連続的な液滴流体噴流の実施形態を示す図である。
【図14】[0021]本発明の一実施形態による放射システムの概略斜視図である。
【図15】[0022]図14の放射システムの断面の概略斜視図である。
【図16】[0023]本発明の一実施形態による放射システムのワイピングモジュールの概略斜視図である。
【図17】[0024]図16のワイピングモジュールの概略上面図である。
【図18】[0025]図16のワイピングモジュールの概略側断面図である。
【図19】[0026]本発明の別の態様による放射システムのワイピングモジュールの概略側断面図である。
【図20】[0027]本発明の別の態様による放射システムのワイピングモジュールの概略斜視図である。
【図21】[0028]本発明の一実施形態による放射システムの概略側断面図である。
【図22】[0029]デブリ捕捉シールドの開口半角の関数としての収集可能な光出力の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[0030] 図1は、本発明の一実施形態によるリソグラフィ装置を概略示す。この装置は、放射ビームB(例えば、UV放射又はEUV放射)を調整するように構成された照明システム(イルミネータ)ILと、パターニングデバイス(例えば、マスク)MAを支持するように構成され、一定のパラメータに従ってパターニングデバイスを正確に配置するように構成された第1のポジショナPMに接続された支持構造(例えば、マスクテーブル)MTと、基板(例えば、レジストコートウェーハ)Wを保持するように構成され、一定のパラメータに従って基板を正確に配置するように構成された第2のポジショナPWに接続された基板テーブル(例えば、ウェーハテーブル)WTと、基板Wのターゲット部分C(例えば、1つ又は複数のダイを含む)上にパターニングデバイスMAによって放射ビームBへ付与されたパターンを投影するように構成された投影システム(例えば、屈折又は反射投影レンズシステム)PSとを備える。
【0010】
[0031] 照明及び投影システムは、放射を方向付け、整形し、制御する屈折、反射、回折又は他のタイプの光学コンポーネント、又はその任意の組合せなどの種々のタイプの光学コンポーネントを含むことができる。
【0011】
[0032] 支持構造は、パターニングデバイスを支持する、すなわち、その重量を受ける。支持構造は、パターニングデバイスの向き、リソグラフィ装置の設計、及びパターニングデバイスが真空環境内で保持されているか否かなどの他の条件に応じた形でパターニングデバイスを保持する。支持構造は、機械的、真空、静電気又は他のクランピング技術を用いてパターニングデバイスを保持することができる。支持構造は、例えば、必要に応じて固定するか可動式のフレーム又はテーブルであってもよい。支持構造によって、例えば、投影システムに対してパターニングデバイスが確実に所望の位置にあるようにすることができる。本明細書に記載する「レチクル」又は「マスク」という用語のいかなる使用も「パターニングデバイス」というより一般的な用語と同義と考えてよい。
【0012】
[0033] 本明細書で使用する「パターニングデバイス」という用語は、例えば、基板のターゲット部分にパターンを生成するために、放射ビームの断面にパターンを付与するために使用することができる任意のデバイスを指すものと広義に解釈すべきである。放射ビームに付与されたパターンは、基板のターゲット部分の所望のパターンに正確に対応しないこともあることに留意されたい。例えば、パターンが位相シフトフィーチャ又はいわゆるアシストフィーチャを含む場合がこれにあたる。一般に、放射ビームに付与されたパターンは、集積回路などのターゲット部分に作成されるデバイスの特定の機能レイヤに対応する。
【0013】
[0034] パターニングデバイスは、透過型又は反射型である。パターニングデバイスの例としては、マスク、プログラマブルミラーアレイ、及びプログラマブルLCDパネルが挙げられる。マスクは、リソグラフィ分野で周知であり、バイナリ、レベンソン型(alternating)位相シフト、及びハーフトーン型(attenuated)位相シフト、並びに種々のハイブリッドマスクタイプなどのマスクタイプを含む。プログラマブルミラーアレイの一例は、入射する放射ビームを様々な方向に反射するように、それぞれを個別に傾斜させることができる小型ミラーのマトリクス配列を使用する。傾斜したミラーは、ミラーマトリクスによって反射される放射ビーム内にパターンを付与する。
【0014】
[0035] 本明細書で使用する「投影システム」という用語は、使用する露光放射にふさわしい、屈折、反射、反射屈折、又はそれらの任意の組合せを含む任意のタイプの投影システムを包含すると広く解釈すべきである。本明細書での「投影レンズ」という用語のいかなる使用も、より一般的な「投影システム」という用語と同義であると考えることができる。
【0015】
[0036] 本明細書に示すように、本装置は、反射型(例えば、反射マスクを使用する)である。別の方法としては、本装置は、透過型(例えば、透過マスクを使用する)であってもよい。
【0016】
[0037] リソグラフィ装置は、2つ(デュアルステージ)又はそれ以上の基板テーブル(及び/又は2つ以上のマスクテーブル)を有するタイプであってもよい。そのような「マルチステージ」マシンでは、追加のテーブルを並列に使用することができ、又は1つ又は複数の他のテーブルで準備ステップを実行中に1つ又は複数のテーブルで露光を実行することができる。
【0017】
[0038] 図1を参照すると、イルミネータILは、放射線源SOから放射ビームを受ける。この線源とリソグラフィ装置は、別のエンティティであってもよい(例えば、線源がエクシマレーザである場合)。そのような場合、線源は、リソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、放射ビームは、例えば、適した誘導ミラー及び/又はビームエキスパンダを備えるビームデリバリシステムの助けを借りて線源SOからイルミネータILまで伝送される。他の場合、線源は、リソグラフィ装置の一体化部分であってもよい(例えば、線源が水銀ランプである場合)。
【0018】
[0039] イルミネータILは、放射ビームの角強度分布を調整するアジャスタを備えることができる。一般に、少なくともイルミネータの瞳平面内の強度分布の外側及び/又は内側半径範囲(一般にはそれぞれσ−outer及びσ−innerと呼ばれる)を調整することができる。さらに、イルミネータILは、一般に、インテグレータ及びコンデンサのような種々の他のコンポーネントを備えることができる。イルミネータは、放射ビームBが断面で所望の均一性と強度分布とを有するように放射ビームを調整するために使用することができる。
【0019】
[0040] 放射ビームBは、支持構造(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニングデバイス(例えば、マスクMA)に入射し、パターニングデバイスによってパターン付けされる。マスクMAを横断してから、放射ビームBは、投影システムPSを通過し、投影システムPSは、このビームを基板Wのターゲット部分C上に合焦する。第2のポジショナPW及び位置センサIF2(例えば、干渉計、リニアエンコーダ又は容量センサ)を用いて、基板テーブルWTを、例えば、異なるターゲット部分Cを放射ビームBの経路に配置するように、正確に動かすことができる。同様に、例えば、マスクライブラリから機械的に検索してから、又はスキャン中に、第1のポジショナPM及び別の位置センサIF1を使用して放射ビームBの経路に関してマスクMAを正確に配置することができる。一般に、マスクテーブルMTの移動は、第1のポジショナPMの一部を形成する、ロングストロークモジュール(粗動位置決め)とショートストロークモジュール(微動位置決め)の助けを借りて実現することができる。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2のポジショナPWの一部を形成するロングストロークモジュールとショートストロークモジュールとを用いて実現することができる。ステッパの場合(スキャナとは違い)、マスクテーブルMTをショートストロークアクチュエータだけに結合してもよく、又は固定してもよい。マスクMA及び基板Wは、マスクアライメントマークM1、M2及び基板アライメントマークP1、P2を用いて整列してもよい。図示の基板アライメントマークは、専用のターゲット部分を占めるが、ターゲット部分の間の空間内に配置してもよい(スクライブレーンアライメントマークとして知られている)。同様に、複数のダイがマスクMA上に提供されるケースでは、ダイとダイの間にマスクアライメントマークを配置することができる。
【0020】
[0041] 図示の装置は、以下のモードのうち少なくとも1つのモードで使用することができる。
【0021】
[0042] 1.ステップモードでは、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTが基本的に静止状態に保たれ、放射ビームに付与されたパターン全体がターゲット部分Cに1回で投影される(すなわち、単一静止露光)。次に、基板テーブルWTがX及び/又はY方向にシフトされ、異なるターゲット部分Cを露光することができる。ステップモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一静止露光で結像するターゲット部分Cのサイズを制限する。
【0022】
[0043] 2.スキャンモードでは、放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、マスクテーブルMT及び基板テーブルWTが同期してスキャンされる(単一動的露光)。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度及び方向は、投影システムPSの倍率(縮小率)及び画像反転特性によって決まる。スキャンモードでは、露光フィールドの最大サイズが、単一動的露光におけるターゲット部分の幅(非スキャン方向の)を制限し、スキャン運動の長さがターゲット部分の高さ(スキャン方向)を決定する。
【0023】
[0044] 3.別のモードでは、マスクテーブルMTが基本的に静止状態に保たれてプログラマブルパターニングデバイスを保持する。放射ビームに付与されたパターンがターゲット部分Cに投影されている間、基板テーブルWTが移動又はスキャンされる。このモードでは、通常、パルス放射線源が使用される。スキャン中、基板テーブルWTが移動するたびに、又は連続する放射パルスの間に、適宜、プログラマブルパターニングデバイスが更新される。この動作モードは、上で参照したタイプのプログラマブルミラーアレイなどのプログラマブルパターニングデバイスを使用しているマスクレスリソグラフィに容易に適用することができる。
【0024】
[0045] 上に述べた使用モードの組合せ及び/又はその変形形態、あるいは全く異なる使用モードを使用してもよい。
【0025】
[0046] 図2に、本発明の一態様による放射システムの第1の概略実施形態が示されている。特に、放射空間内に放射ビーム2を生成するための放射システム1が示されている。放射空間は、光軸3に対する所定の球面角によって画成される。放射システム1は、EUV放射を生成するためのプラズマ生成放電源4を含む。放電源は、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極5と、電極5間に放電7を提供するために1対の電極間に蒸気を発生させるレーザ6を通常含むシステムとを含む。放射システム1から放射されるデブリ8は、最初、電極5上又はその近傍で生成されることが分かっている。これらの影響で、電極5間に広がるいわゆるピンチも生成される。通常、生成されるEUV光は、放電工程で複数回イオン化された電子のスズ原子(又は別の適した材料、例えば、リチウム又はキセノン)内の電子遷移によって生成される。特に、下流の光学部品を汚染する恐れがある種類の弾道粒子であるデブリ粒子8は、中央のEUV放射源光がデブリ生成ゾーン9から離れたピンチゾーン10内で主として生成されるデブリ生成ゾーン9内の電極25上又はその近傍で主に生成されることが分かった。それ故、プラズマ生成放電源4の場合、デブリ生成ゾーン9は、通常、EUV放射生成ピンチゾーン10からは離れている。この効果は、本発明の一態様によれば、光軸3に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極5を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域に開口12を提供するシールド11を備える図示の実施形態で使用することができる。従って、最初、デブリ生成ゾーン9内で生成されるデブリ8は(しかし、追加の電磁場がない場合:図5〜図7の実施形態を参照)、ゾーン9から実質的に直線で移動する。それ故、光軸3に対して所定の球面角をなす見通し線から電極5を遮蔽するシールド11は、これらのデブリ粒子8を捕捉することができ、従って、見通し線内ではかなりの量のデブリ8が下流の光学部品(図示せず)に進入することが防止される。さらに、シールド11は、見通し線内の電極5の間の中央領域(指定のピンチゾーン10に合致する)に開口12を提供するため、実質的にEUV放射生成ピンチゾーン10からの放射を遮蔽せず、従って、この放射は実質的にシールド11によって妨げられることなく下流の光学部品まで移動することができる。こうして、デブリ(電極から運ばれる)は、EUV放射を阻止することなくシールドによって阻止することができる。実際、両方の電極がデブリ8の生成に貢献できるデブリ生成ゾーンを生成する可能性があるので、両方の電極を遮蔽することが便利である。
【0026】
[0047] 遮蔽効果は、シールド11を十分近くに、好ましくは、いずれの電極にも0.5から25mmの範囲の距離に配置してデブリ生成ゾーン9の最大球面角を遮蔽することでさらに最適化できる。
【0027】
[0048] 電極への距離を最小限にするために、シールド11上の熱負荷はあまりに上昇するため、例えば、溶融スズの流体噴流13として提供されるのが好ましい。そのような噴流は、約75mmの長さと、数ミリメートル、例えば、0.5〜3mmの範囲の厚みを有していてもよい。流体噴流自体は、流体噴流の形のプラズマ放電源内の電極を開示する米国特許第2006−0011864号から周知であるが、1対の電極の片方の近傍に提供されたシールド又は少なくとも1つの流体噴流は開示されていないことに留意されたい。従って、好ましくは、デブリ捕捉シールド11は、図に示すように、電極5の長軸に対向してほぼ平行に配置された1対の流体噴流13によって提供される。しかし、幾つかの実施形態では、プラズマ生成を電極5の一方に実質的に向けることができ、この一方の電極のより主としてデブリ8が生成される。そのようなデブリは、サイズと移動速度が様々である。例えば、微粒子を有するデブリがある。それらの微粒子は、速度が比較的遅いミクロンサイズの粒子である。さらに、通常、極めて速度が速いナノメートルサイズの粒子であるナノ粒子が生成されることがある。また、ガス状の粒子としての働きをする個々の原子である原子デブリや、イオン化された高速原子であるイオンも生成されることがある。
【0028】
[0049] 一実施形態では、流体噴流13は、光軸に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域10に開口を提供するように実質的に構成することなく、1対の電極の一方の近傍に提供することができる(図2に示す実施形態とは異なり)ことに留意されたい。本発明の別の態様によるそのような実施形態では、流体噴流13は、プラズマの再結合速度を加速することができ、その結果、EUV放射源4の周波数が増大し、放射システムの出力電力を増大させることができる。特に、流体噴流13は、溶融スズを含むことができるが、例えば、水又は液体窒素又は液体アルゴンなどの液化ガスなどを含む他の材料も同じ再結合効果を提供するために実施可能である。後者の利点は、気化してシステム内に痕跡を全く残さないという点である。さらに、流体は、好ましくは、導電材料であり、接地電位に維持することができる。しかし、アルゴン及び窒素などの他の材料も使用することができる。
【0029】
[0050] 流体噴流の利点は、障害物が常に置き換えられ、その結果、極めて高い熱負荷に耐えられるということである。しかし、他の実施形態では、図2を参照する上記電極5の近傍のほぼ同じ距離に配置されるシールド11を提供することができる。しかし、このシールド11は、流体噴流によって形成されず、軸方向に動く金属ストリップなどの、電極の長軸にほぼ平行に動き、移動要素を案内して通過させるための冷媒を容器内に提供することで冷却することができる移動要素(図示せず)によって形成される。
【0030】
[0051] 図3は、見通し線内の電極5間の中央領域10に対して放射状に配置された複数の流体噴流13の形態のシールドを示す本発明の一実施形態の概略図である。そのような実施形態では、流体噴流13は互いに隣接して提供され、一般に整合して中央領域10に対してほぼ放射状に配向されたプレートレット14の静的構成を形成することができる。本発明の一般の文脈では、好ましくは、これらのプレートレットは、プレートレット14間に提供された見通し線から電極5を遮蔽するように配向されているが、プレートレット14の間に提供された見通し線内に電極5を含むように配向されたプレートレットを備える実際の用途を有することもできる。これらの用途は、流体噴流13によって提供されるシールド11の熱負荷容量の恩恵を受けることができる。別の利点は、噴流13が連続して更新されるため、そもそもデブリ堆積物に汚染されないということである。これは、固形プレートレット14(フォイル)を用いてデブリ8からの遮蔽を提供する従来のフォイルトラップの解決策とは対照的である。従って、これらの従来のプレートレットは、EUV放射源の適正な伝達を阻害しうる汚染に曝される可能性がある。
【0031】
[0052] 特に、スズプラズマで稼動するプラズマ生成放電源4の場合、流体噴流に適した材料は、スズ又は融点が低く扱いやすいGa−In−Snなどのスズを含む化合物であってもよい。さらに、図3は、噴流13が全体が円形の形態の寸法になった実施形態を示しているが、ストリップ形態を含む他の形状も可能で、それ故、図4に概略を示す形態の単一の噴流の形態のプレートレット14を備えるシールド11を提供することもできる。そのような液状フォイルの厚さは、通常、0.5〜1mmで、約0.1mmである従来のフォイルの厚さより多少厚い。なお、薄膜液状フォイルは、T.Inamura、H.Tamura、H.Sakamotoの、「Characteristics of Liquid Film and Spray Injected from swirl Coaxial Injector」、推進力・動力ジャーナル(Journal of Proulsion and Power)19(4)、623−639(2003)に記載されている。この出版物では、円錐形のフォイルが生成される。しかし、好ましくは、本発明の一態様によれば、ピンチが広がる可能性がある中央のゾーン10に対して放射状に配向された直線形の噴流を提供するためにスリット形のノズルが特に使用される。さらに、この静的な実施形態は、それ自体EP1491963から知られる回転式フォイルトラップ、さらに当然であるが、本明細書に記載する他の実施形態と組み合わせることができる。
【0032】
[0053] ある状況下では、流体噴流は安定していない。すなわち、噴流は自発的に噴流の直径にほぼ等しい直径を有する液滴に分割されることがある。これは、直径が比較的大きい(>約0.5mm)の場合にのみ連続した噴流を生成できるということを意味する。従って、極めて小さく制御可能なサイズを有することができ、意図的に液滴間の距離が制御可能な間隔が狭い液滴から構成された噴流を使用することが有利であろう。そのような安定した液滴チェーン(直径が40μm、距離が約40μm)を生成する能力は、LPP EUV源のレーザターゲットとしての使用に関して、バルセロナのEUVL Sematech会議(会議7870、2006年10月17日)でDavid Brandtによって発表された(セッション3−SO−04)。
【0033】
[0054] 液滴チェーンの安定性とは、どの機能態様(再結合及び/又はデブリ捕捉)を最適化する必要があるかに応じて様々な構成を採用できるということを意味する。図13(a)〜図13(e)は、上記構成の例を示す。図13(a)は、再結合面が方向Tへ動く連続噴流13を示す。図13(b)は、本発明のために噴流13と考えられる方向Tへ動く安定した液滴トレーン113を示す。液滴チェーンの安定性とは、これらのチェーンは互いに隣接して位置し、本発明の実施時に柔軟性をさらに追加することができるという意味である。図13(c)は、図13(b)の噴流13とは対照的に、一方向に延びる噴流13を効果的に生成する2つの隣接した液滴チェーン113を示す。液滴チェーンの欠点は、デブリが流体噴流を通過する経路を形成する可能性があるということである。図13(d)及び図13(e)は、液滴チェーンを互いに対して移動方向Tへ移動させて図の平面内にあり噴流の移動方向Tに垂直な軌道を有するデブリのための仮想連続噴流13を効果的に生成する方法を示す。
【0034】
[0055] さらに、図4は、以下にフォイルトラップ15としても示されるデブリ捕捉シールドがプレートレット14がプレートレット14間に提供された見通し線から電極5を遮蔽するように配向された中央領域10に対してほぼ放射状に配向されたプレートレット14の静的な構成を備える本発明の態様による別の実施形態を示す。この実施形態では、少なくともプレートレットの一部が、特に、いわゆる従来のフォイルトラップで使用されるフォイルの固体の性質を有する。なお、WO99/42904A1に、一般に同じ構成のフォイルトラップが開示されている。しかし、この公報は、プレートレット14が、光軸に対して所定の球面角で提供された見通し線から電極5を遮蔽し、見通し線内の電極間の中央領域10に開口を提供するように構成されていることを記載していない。EP1491963に開示されたタイプの従来の回転形フォイルトラップと比較して、この静的フォイルトラップ構成は、より容易な冷却特性という利点を有することができる。これは、一実施形態では、この静的フォイルトラップ構成が、プレートレット14上又はその近傍に考案された静的冷媒回路を用いて冷却することができるためである。この構成は静的であるため、冷却がはるかに容易で、構成を放射源のより高い出力レベルまで容易に拡大できる。さらに、この構成は、可動部品を必要としないという利点を有する。プレートレット14の必要な強度と寸法は、プレートレットにかかる遠心張力に耐えられるエアベアリング及び高張力材料などの複雑な部品を必要とする従来の回転形構造とは異なる次元であるため、このことは構造的な利点を提供することができる。それ故、提案された実施形態によれば、放射状に配向されたプレートレット14は、ピンチゾーン10を向き、EUV放射16の伝達をほぼ阻害することがない。このフォイルトラップ15はある場所でデブリで満杯になるので、光軸周りの遅い回転(例えば、1日に1回転)は、デブリが次のフォイルトラップ15又は他の光学部品を汚染しないことを確保するのに有用である。好ましい実施形態では、光軸は、水準面に対して45°であるため、これは有用である。この原理は、同心円と平面との組合せでも設計可能である。さらに、静的な放射状に配向されたプレートレット14を含めて、図示の実施形態の幾何学構造は、プレートレット間の距離が0.5〜2mm程度、好ましくは、約1mmである高い耐ガス性があるスタッキング寸法を有することができる。従って、原子デブリがより容易に捕捉することができる。また、高い耐ガス性によって、高効率EUV出力を生み出すピンチゾーン10近傍のバッファガス圧力を低減する手助けになる。通常、そのようなバッファガスは、アルゴンガスであってもよい。
【0035】
[0056] 以下に示す図10〜図12を参照しながら説明した熱クリーニング技術に加え、プレートレット14は、毛管作用によってプレートレットからデブリを除去する多孔質特性の材料として提供することができる。例えば、多孔質特性を備えたフォイル材料(例えば、焼結材料)を用いることで、スズを光路から取り出して排出することができる(又は交換可能な要素内にバッファリングできる)。従って、デブリ抑制システムの寿命を増加でき、フォイルトラップのクリーニングによるダウンタイムは最小限にされる。
【0036】
[0057] 上記クリーニング技術に加え、放射システムは、プレートレット14の機械的な励起によりプレートレット14からデブリを除去するための加振器17(図4を参照)を備えることができる。例えば、一時的にモジュールを十分な高速で(約2000〜3000RPMで)回転させることで、関連するフォイルのスズは回転し、ゲッタ18に捕捉することができる。一実施形態では、回転軸は光軸であるが、他の回転軸も可能である。回転と振動との組合せも任意選択である。従って、加振器は、遠心作用によってプレートレットからデブリを除去するための遠心分離機と、有利には、プレートレットから除去されたデブリ8を捕捉するためのゲッタ18とを備えることができる。
【0037】
[0058] また、フォイルは、外的に励起することができ(長手方向の波)、従って、所定の方向のスズの流れが存在しうる。また、(方向性)加速/振動を用いて各々の個別のフォイルの代わりにモジュール全体に励起プロファイル(液滴の付着/脱落効果の間で未決定の)を与えることができる。
【0038】
[0059] 図5は、図4を参照しながら説明する配置構成の別の実施形態を示す図である。この実施形態では、偏向電磁場ユニット19が電極5とこの実施形態ではフォイルトラップ15として示されているシールドとの間に配置されている。電磁場を印加することで、デブリ生成ゾーン9から移動する荷電デブリ粒子8を偏向させることができ、図7を参照するとより分かりやすくなるように、これを利用してEUV放射生成ピンチゾーン10とデブリ生成ゾーン9との距離を仮想的に広げることができる。図5では、偏向場は、光軸に対向して配置された1対の電極20によって生成される。従って、荷電粒子を偏向できる基準としての静的電場が生成される。
【0039】
[0060] 図6では、図5に示す実施形態とは対照的に、又はそれに追加して、光軸3の周囲に配置された磁石要素26(図8を参照)によって、静的な磁場21として電磁偏向場が提供される。この構成の正面図については、図8を参照されたい。種々の静的なフィールド構成が実施可能であるが、一般に光学系(図示せず)、放射状に配向されたプレートレット14に沿って配向され、電極5の長軸にほぼ平行な平面22に向かう方向へ移動する実質的にすべての荷電粒子8を偏向させるように配置された四重極場として最適に画定されたフィールドが提供される。好ましくは、また図にも示すように、この平面22は、光軸3に沿って提供される。しかし、さらに軸から離れて粒子をそこへ偏向させる別の領域を選択することができる。従って、荷電デブリ粒子は、フォイルトラップ15のプレートレット14へ向けてより容易に偏向させることができる。これによって電極5の間の距離が仮想的に増加する。その結果、所与の程度のデブリ抑制を達成するのに必要なプレートレット14の数は減少する。従って、典型的な距離は、0.5〜3mmの範囲内で、好ましくは、約2mmである。これはフォイルトラップの光透過率を大幅に向上させる。
【0040】
[0061] 図6の動作原理は以下のとおりである。矩形10は、磁場が存在しない場合のフォイルトラップの許容幅を示し、一般にEUV放射が生成されるゾーン10に対応する。しかし、ゾーン10の縁部付近で(従って、デブリ生成ゾーン9で)生成される粒子8は、軌道23で示すように、妨害されることなく、この実施形態ではフォイルトラップ5として示されているシールドを阻害されずに通過することができる。
【0041】
[0062] 図示の(従来の矢印の表示による)タイプの磁場を印加することで、そのようなデブリ粒子8は光軸3方向へ偏向する。例えば、軌道23を有する粒子は、偏向して実線24をたどり、フォイルトラップ15を通過して伝送されることはない。これは、フォイルトラップの入り口で、粒子は、他方の破線25によって示すように許容幅10の外の点から生成されるように見えるからである。言い換えれば、磁場を効果的に印加すると、デブリ粒子が阻害されずにシステムに進入できるゾーンを画定するシールドの有効許容幅を効果的に狭めることができる。従って、許容幅の所与の寸法について、プレートレット11の数を減らし磁場を印加することで、光透過率を向上させることができる。
【0042】
[0063] 磁場が存在しない場合のフォイルトラップの許容幅の典型的な距離は、約0.5〜約2mmの範囲内にあり、好ましくは、約1mmである。典型的なフォイルトラップ寸法(中央ゾーン10に対して内側半径が30mm、外側半径が139mm)で、この結果、光透過率が約63%のフォイル137を備えたフォイルトラップが得られる。図に示すように、好ましい実施形態では、プレートレット14間の距離d、d’は変動することがあり、通常、光軸3へ向かう距離dは光軸3から離れる距離d’に対して増加する。
【0043】
[0064] 図7は、粒子放射源、すなわち、デブリ生成ゾーン9が磁場の印加によって仮想デブリ生成ゾーン9’だけ距離dだけ仮想的に移動する方法を示す。従って、有効許容幅を低減できる。
【0044】
[0065] 磁場Bが存在する場合、電荷qと速度vとを有する粒子は以下で与えられるローレンツ力を受ける。
【0045】
[0066] F=qv×B (1)
【0046】
[0067] 従って、磁場の方向が速度に垂直な場合、粒子は、半径Rが以下に等しい円形軌道をたどる。
R=mv/qB (2)
【0047】
[0068] 本実施形態では、磁場による角偏向αは、フォイルトラップrの内側半径にほぼ等しい、磁場が印加される距離に依存する。偏向角は、図3に示すようにsin α=r/Rで与えられる。見かけ上の粒子の出発点は、次式で与えられる距離dだけ変位する。
d=rsin α−R(1−cos α) (3)
αが小さい値の場合には、以下のように低減する。
d=r/2R (4)
【0048】
[0069] 式(2)を代入することで、変位dをデブリ粒子の特性パラメータq、m及びvに関連付ける下式が得られる。
d=qBr/2mv (5)
【0049】
[0070] 永久磁石又は電磁石を用いて、1T程度の磁場がかなり容易に達成することができる。変位dがある種のデブリについて0.5mmになるように磁場が印加されると、そのデブリの許容幅は、上記1mmの許容幅の値と比較して2分の1に減少する。従って、デブリ低減の程度は、そのままで許容幅が2mmのフォイルトラップを構成することができる。そのようなフォイルトラップは、わずか69枚のフォイルを有し、70%の光透過率を達成する。それ故、光透過率は、磁場を印加することで大幅に向上する。
【0050】
[0071] 図8は、磁石26の電極5と四重極磁石配置構成との光軸に沿った正面図を示す。この構成では、対向する磁石26の北−南の線は交互に向きを変え、電極5の長軸にほぼ平行に配向されている。従って、図6に示す向きをたどる磁場を生成して、すなわち、電極の長軸にほぼ平行な平面内の光軸3の両側に磁場の全体の方向を有する磁場を生成して、粒子を光軸3と同軸の平面22に向けて内側に偏向させることができる。従って、典型的な構成の場合、正荷電粒子は、垂直平面に集中することができる(水平方向に集中し垂直方向に拡散することで)。別の方法としては、同様の(しかし、輪郭はそれほどはっきりしない)偏向場が光軸の向き合った側に2つの同一の磁極を配置することで得られる。
【0051】
[0072] 図14は、本発明の一態様による放射システム1の別の実施形態の概略斜視図を示す。放射空間内に放射ビームを生成するための放射システム1が配置されている。図15は、図14の放射システム1の断面の概略斜視図を示す。図2に示す放射システムと同様、図14及び図15に示す放射システム1はEUV放射を生成するためのプラズマ生成放電源を備える。放電源は、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極5と、電極間に放電を提供するために1対の電極5間に蒸気を発生させるレーザを通常含むシステムとを含む。さらに、電極5は、上記電極5を相互接続する放電軸40を画定する。放電軸40は、電極間の中央領域を横断する。放射空間は、放電軸40に対して相互に逆方向に配向された円錐41、42の間に実質的画成される。円錐41,42は、その頂点43が実質的に電極5の間の中央領域内にある。2つの円錐41、42は、ディアボロタイプの外観を有する。放射システム1は、2つの円錐41、42の間に画成される放射空間44内に提供された見通し線から上記電極5のデブリを捕捉し、上記見通し線内の電極間の中央領域に開口を提供するように構成され配置されたデブリ捕捉シールドをさらに備える。デブリ捕捉シールドは、少なくとも180°、好ましくは少なくとも270°にわたって放電軸40の周りに延びている。シールドが少なくとも180°にわたって放電軸40を囲むようにシールドを配置することで、プラズマ源の有効光出力は比較的大きくなる。プラズマ源によって生成されデブリ捕捉シールドを通過する放射ビームは、図2に示す放射システムの実施形態と比較して球面延長部が大きい。その結果、次の処理のために収集可能なプラズマ源出力の性能は、図2に示す放射システムよりも増大する。さらに、360°まで放電軸40の周りにデブリ捕捉シールドを延ばすことで、最適な有効光出力が得られる。一実施形態では、シールドは約270°から約360°の周縁範囲に延び、放電軸の近傍の空間が、例えば、検査目的及び/又は1対の電極及び/又は冷却構造の間に蒸気を生成するシステムなどのデバイスを配置するために利用することができる。
【0052】
[0073] 図14の放射システム1のデブリ捕捉シールドは、放電軸40に関して実質的に回転対称の環状又は環部分形状の構造を含む。その結果、放電軸40の周りの実質的に円周範囲、すなわち、放電軸40の周りの少なくとも180°の円周範囲で放射方向に沿ってデブリ抑制が得られる。デブリ捕捉シールドは、放電軸40に対してほぼ放射状に配向されたプレートレットの静的な構成を備え、上記プレートレットは、プレートレット間に提供された見通し線から電極を遮蔽するように配向されている。放電軸40に対して少なくとも45°の角度を有する方向に優れたデブリ抑制が得られるようである。デブリ捕捉シールドのプレートレットは、同心の円錐面を有し、及び/又は少なくとも1つの平坦部を有する。
【0053】
[0074] 好ましい実施形態では、フォイルとも呼ばれるプレートレットは、放電軸40に対して整合した同心の円錐面を有し、その頂点は、放電軸に沿った中央領域にある。別の実施形態では、フォイルは、複数の平坦な部分から構成でき、フォイルは放電軸に対して整合している。例えば、各フォイルは、その断面内に六角形又は八角形の形状を有することができる。
【0054】
[0075] 図9は、図4を参照して説明したほぼ放射状に配向されたプレートレット14の静的な構成の別の実施形態を示す図である。この実施形態では、固体のモノリシックプレートレット14の代わりに、少なくともプレートレット14の一部で、プレートレット14のほぼ横断方向に配向されたトラバース27が提供されている。この実施形態は、EUV放射源4から分かるように、さらに下流のプレートレット14に対する熱的分離を提供することができる。これに加えて、好ましくは、EUV放射源4に対してプレートレット14の近位側に、できれば図3に示す流体噴流を印加することで、プレートレット14への熱負荷をさらに制御することができる。さらに、プレートレット14のトラバース27を通って、水素ラジカルガスなどのプレートレット14のクリーニングに使用することができるガス28を案内できる。従って、プレートレット14をクリーニングしてデブリがプレートレット14上に堆積することを防止し、EUV光がもはやプレートレットを通過することができない状況を回避することができる。フォイルトラップは、フォイルトラップをシステム外に取り出すことなくクリーニングできることが好ましい。図示のフォイルトラップの実施形態の追加のトラバースの原理を他のタイプのフォイルトラップ、特に非静的フォイルトラップにも利用することができる。
【0055】
[0076] 追加的に又は代替的に、トラバースをバッファガスとして使用してプレートレット内部のゾーン内にバッファガスゾーンを提供して、例えば、プレートレット14を通って拡散して下流に提供された光学系(図示せず)の汚染を引き起こす可能性がある中性ナノ粒子をさらに捕捉することができる。図9(a)は、ワイヤ29とプレートレット部品30とを交互に備えることができるトラバース27を含む一実施形態の側面図を示す。
【0056】
[0077] 図9(b)は、図3に示す流体噴流構成に似た構成を提供するワイヤ29のみを含む一実施形態を示す図である。さらに図9(c)は、図9(a)に示すプレートレットの実施形態の電極5の長軸に平行な軸に沿った概略上面図を示す。図9(b)のよりオープンな構造は、水素ラジカルに基づいてフォイルトラップのクリーニングを組み込む際に有利である。これは、反応性Hラジカルをフォイル面まで運ぶことが容易であり、反応生成物をフォイルトラップ15から取り出すことが容易になったためである。しかし、フォイルトラップ15の流れの抵抗が小さくなり、バッファガスの圧力を上げることがより困難になるという欠点がある。従って、プレートレットの開口数を最適化する必要がある。従って、好ましい実施形態は、大半のケースでは、図9(a)に示す部分的にオープンのフォイル構造である。さらに、好ましい実施形態では、Hのクリーニングは、プレートレット14のワイヤ29の少なくとも一部に接続された電流源31を提供することで各図に示すワイヤ接続構造と一体化される。プレートレットのワイヤ29の少なくとも一部は、電流を幾つかのワイヤ29に同時に流すために相互接続されている。十分に大きい電流(例えば、厚さが0.4mmのワイヤの場合、20A)を流すと、ワイヤは約2000℃の温度に達するフィラメントを形成し、通常、Hの分子が解離してHラジカルを生成する。次に、これらのHラジカルは、Snと反応してSnHガスを形成し、SnHガスはシステム外に排出される。システムにHを追加するために、この実施形態はHガス吸気口32をさらに備え、この実施形態は、システムからガスを排出する真空ポンプ33を備える(図9(c)に示す)。
【0057】
[0078] 別の方法としては、気化を用いて捕捉シールドからデブリを除去することができる。図10は、200〜800℃の範囲の温度について、スズとリチウムの除去速度を計算するために実行した計算のグラフを示す。さらに、スズの場合、約900Kの温度について約0.1nm/hの除去速度が計算され、約1400Kの温度について約1E5nm/hの除去速度が計算され、除去速度はほぼ指数関数的に増大している。それ故、これらの温度値の範囲では、加熱システム(EUV放射源4などの)を提供することで、デブリ捕捉シールド、特に図4に示す種類のフォイルトラップ15を選択的に加熱してデブリシールドの温度をデブリ捕捉シールドからデブリを気化させる温度まで上げることができる。さらに、使用時にプレートレット間にバッファガスフローを提供する役割を果たし、特にデブリ捕捉シールドから気化したデブリを排出するためのガスフローを提供するなどのクリーニングのためにオフラインで使用することができるガス供給システムが提供される。スズプラズマ源のデブリ捕捉シールドの特に好ましい上昇温度は、オフラインクリーニング目的で少なくとも900Kである。従って、光学系に有害な場合がある化学反応クリーニングの別の方法を提供してもよい。プレートレット14の温度が940K(667℃)の場合、0.4nm/hのスズの気化が達成できる。
【0058】
[0079] 有利には、リチウムは、スズよりも蒸気圧が大幅に高く(約10倍)、その結果、除去速度も大幅に速い(0.4nm/hの除去速度を得るにはわずかに550K(277℃)の温度しか必要でない)ため、リチウムプラズマ源が使用される。これによってスズで汚染された表面の気化クリーニングよりも大幅に低い温度でリチウムで汚染された表面の気化クリーニングを適用することができる。また、リチウムで汚染されたコレクタシェルの気化クリーニングが可能である。
【0059】
[0080] 図11は、図10を参照する上記のクリーニング原理の概略図を示す。特に、プレートレット14は加熱され、そこに堆積したデブリ8は気化する。プレートレット14に沿ってガスフロー34を提供することで、気化したデブリ、例えば、スズの蒸気35はプレートレットから排出され、それによってプレートレットのクリーニングが実行できる。図11をフォイルトラップのプレートレット14に沿ったガスフローに関して説明しているが、クリーニング原理は、一般に、コレクタ要素などの下流の光学要素など、特にEUVミラーの表面をクリーニングするために使用することができる。
【0060】
[0081] 図11で、クリーニングの対象(プレートレット14又はミラー光学部品)は、ガスがミラー上を流れる間、加熱され、スズの蒸気をミラーから取り除く。加熱は加熱デバイスで実行することができるが、対象の能動冷却を一時的に低減してEUV放射源によって生成された熱を利用してもよい。
【0061】
[0082] 図12で、この技術がEUVリソグラフィ装置のコレクタ36に用いられる。この実施形態では、コレクタシェルが1つずつ加熱され、コレクタシェルの反射側面からスズを気化させ、スズの蒸気を下のコレクタシェルの裏側に堆積させる。コレクタシェル37が加熱されると、通常、シェルの両側からスズを気化させる。これは、シェルの裏側もスズを気化させてこれを上のコレクタシェルの反射面に堆積させるということを意味する。これを防止するため、中央のシェルを最初に加熱し、次のシェル等を次々に加熱することが好ましい。それ故、正しい順序でコレクタシェルをクリーニングし、同時にコレクタシェルの温度を制御することで、反射面上の堆積を最小限にすることができる。
【0062】
[0083] 図16は、本発明の一態様による放射システムのワイピングモジュール60の概略斜視図を示す。ワイピングモジュール60は、デブリ捕捉シールドのそれぞれのプレートレット面62に沿って移動可能な実質的に平行の方向に配向された複数のワイピング要素61を備える。図17及び図18は、ワイピングモジュール60のそれぞれの概略上面図と概略側断面図を示す。単一のフレームがワイピング要素61を支持している。特に、ワイピングモジュールは、個々のワイピング要素61が櫛の歯を形成する櫛状の構造として実施される。ワイピング要素61の幅は、要素61が隣接するプレートレット面の間の中間空間63を満たすように選択される。その結果、クリーニングする表面に対してワイピングモジュール60の1つ又は複数の動きを実行することで、互いに向き合って配置されたプレートレット面を同時に拭くことができる。ローカルワイピング要素の幅Wは、2つの隣接するプレートレット面の間の中間空間63の距離に実質的に等しい。本発明の一態様による別の実施形態では、ワイピング要素は、実質的に平行の方向に配向されておらず、別の方向に配向され、例えば、互いに偏向してクリーニングするプレートレットの表面形状をたどるように配置されていることに留意されたい。
【0063】
[0084] プレートレット面62に対してワイピング要素61の移動経路に沿ってワイピングモジュール60を動かすことで、Sn汚染などの汚染粒子は、プレートレット面62から拭き取られ、及び/又は押し出される。フォイルトラップとも呼ばれるデブリ捕捉シールドのプレートレットの間の空間は小さくてもよいため、汚染粒子は、上記中間空間を迅速に充填し、フォイルトラップの伝送を大幅に低減させることがある。これは、特に、図14及び図15を参照する上記のようなEUV放射源によって放出されるマイクロ粒子デブリに直接曝されるフォイルトラップにあてはまる。それ故、ワイピングモジュール60を適用することでプレートレットの表面から汚染粒子を除去し、それにより、フォイルトラップの伝送を向上させることができる。
【0064】
[0085] ワイピング要素61は実質的に平行の方向に配向されているため、類似の方向に配向されたプレートレット面をクリーニングできる。さらに、ワイピング要素を支持する単一のフレームを使用する代わりに、複数の支持要素を用いてワイピング要素を支持することができる。また、指状のワイピング要素の端部を相互に結合して、プレートレットを収容するスロットを有する板状の構造を得ることができる。
【0065】
[0086] 本明細書では、ワイピングモジュールを使用中に、ワイピング要素はプレートレット面に対して移動する、すなわち、純粋な相互運動が起こるようにワイピング要素又はプレートレット又はその両方が動くことに留意されたい。プレートレット面に対するワイピング要素の移動経路に沿って、2つの対向するプレートレット面の間の中間空間距離は実質的に一定であり、それにより効率的なワイピング動作が維持される。代替実施形態では、上記経路に沿った対向するプレートレット面の間の距離は変動し、例えば、ワイピング要素の運動の局所的に小さい掃引抵抗を提供する。
【0066】
[0087] ワイピング要素61は、それぞれのプレートレット面62に対して並進移動及び/又は旋回運動をするように配置されている。図16〜図18に示す実施形態では、ワイピング要素61は並進移動を実行する。すなわち、要素61はワイピング要素が延びる平面に対して実質的に横断的な移動方向Mに移動する。プレートレット62は、実質的に平坦である。さらに、デブリ捕捉シールド、フォイルトラップのプレートレット構造は、移動方向Mに実質的に不変であり、それによりワイピングモジュール60の効率的なクリーニング動作が可能である。移動方向Mは、放射源の放電軸及び光軸の両方に対して実質的に横断方向である。
【0067】
[0088] 放射源の電極間の放電7から見て、プレートレット62は、固定径方向内側距離及び固定径方向外側距離の実質的に間に延びる(例えば、図18を参照)。各図から推定可能なように、特にワイピング要素61が移動経路の端部、図18では最上位位置及び最下位位置にある時に、放射源とコレクタとの間にワイピングモジュール60を収容するための空間を確保すべきである。
【0068】
[0089] 汚染粒子、例えば、Snの堆積速度に応じて、ワイピングモジュール60を特定の時間間隔で、例えば、5分ごとにフォイルトラップのプレートレット面に沿って移動させることができる。これは、放射源の運転中にオンラインで実行することができる。しかし、ワイピング動作中にかなりの量の放射が阻止されることがあり、例えば、ドーズセンサを備えた帰還システムを用いて、この照射の損失を長い照射時間で補償することが必要になろう。いかなる放射阻止にも対抗するため、ワイピングモジュール60の非動作状態で、固定位置で、ワイピングモジュールは、好ましくは、放射源の収集角外に配置される。例えば、ワイピングモジュールは、非動作状態で最上位位置又は下位位置に配置することができる。別の方法としては、ワイピングモジュールは、放射源の放射経路に最適に整合し、光学的損失が比較的小さくなるように、図18に示す位置である光軸上に配置することができる。
【0069】
[0090] 本発明の一態様による一実施形態では、ワイピングモジュールは、ワイピング運動中に収集される汚染粒子からワイピング要素61をクリーニングする位置にある1つ又は複数のワイパーをさらに含む。好ましくは、ワイピングモジュールは、また、ワイピング要素から除去される汚染粒子を収集する収集ベース65を含む。図18に示すように、ワイパー64は、モジュールが、最上位位置又は最下位位置にある時にワイピング要素をクリーニングするように配置することができる。別の方法としては、ワイパーは、ワイピング要素を最上位位置又は最下位位置でクリーニングするように配置することもできる。図18に示す実施形態では、ワイパー64は、ワイピング要素61の表面に沿った運動を実行する。1つ又は複数の収集ベース65に汚染粒子を収集することで、Snなどの粒子を、例えば、再利用のために除去することができる。本発明の別の実施形態では、ワイピング要素61は、固定ワイパー64に沿って動くように配置されている(例えば、ワイピングモジュールの実施形態の概略断面図を示す図19を参照)。特に、ワイパーは、互いに向き合って配置されワイピング要素61を収容する収容開口を画定する2つのワイパー部分を含んでいてもよい。本発明の一態様による別の実施形態では、ワイピング要素は、別の方法で、例えば、水素又はハロゲンクリーニング又は気化工程を用いてクリーニングされる。
【0070】
[0091] 図20は、本発明の別の態様による放射システムのワイピングモジュール60の概略斜視図を示す。ここで、フォイルトラップのプレートレット14は屈曲しており、特に、プレートレットは、図14を参照して述べたように放射源の放電軸に対して同心の円錐面を有する。プレートレットの頂点は、実質的に放電軸に沿った中央領域に位置する。図20に示す実施形態では、ワイピングモジュール60のワイピング要素61は、それぞれのプレートレット面に対して旋回運動を実行するように配置されている。旋回運動の旋回軸は、EUV放射源の放電軸と実質的に一致する。プレートレット間の空間は、放電軸に対して旋回中に実質的に不変であるため、効果的で効率的なワイピング動作を実行することができる。図20に示す放射システムでは、より小型の構造が得られる。特に、非動作状態では、ワイピングモジュールに追加の空間は、実質的に不要である。さらに、ワイピング要素は、電極間の中央領域に常に整合しているため、動作中は、最少量の放射しか阻止しない。さらに、ワイピング要素の極限位置でのクリーニング工程は容易になる。
【0071】
[0092] 本発明の別の態様によれば、例えば、酸化物の低減化又は被覆の塗布などによってワイピング要素の表面が処理されてウェッティング特性が拡大される。
【0072】
[0093] 上記ワイピングモジュールの変形例も他のデブリ捕捉シールドタイプと組み合わせて適用することができることに留意されたい。例えば、このようなワイピングモジュールは、少なくとも180°、好ましくは、少なくとも270°、任意選択として360°にわたって放電軸40の周りに延びるデブリ捕捉シールドと組み合わせて適用可能である。そのような実施形態では、デブリ捕捉シールドを放電軸に対して回転して固定ワイピングモジュールによってクリーニング動作を実行することができる。従って、本発明の一態様によれば、放射空間内で放射ビームを生成するための放射システムであって、極端紫外線を生成するように構成され配置されたプラズマ生成放電源であって、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極と、上記電極間にピンチプラズマを提供するために上記1対の電極間に放電を発生させるように構成され配置されたシステムとを備えるプラズマ生成放電源と、上記電極からのデブリを捕捉するように構成され配置されたプレートレットを備えるデブリ捕捉シールドと、上記プレートレットのそれぞれの表面に沿って移動可能な実質的に平行の方向に配向された複数のワイピング要素を備えたワイピングモジュールとを備える放射システムが提供される。本発明の一態様による好ましい実施形態では、プレートレット面の間の中間距離が、クリーニングするプレートレット面に対してワイピング要素の移動経路に沿って実質的に不変である。
【0073】
[0094] 図21は、本発明の一実施形態による放射システムの概略側断面図を示す。放射システム1は、図14及び図15を参照して説明したように、プラズマ生成放電源と、デブリ捕捉シールドとを備える。放射源は、放射システム1の動作中にその間に放電7が生成される1対の電極5を含む。2つの相互に逆方向に配向された円錐の間に画成される放射空間では、ほぼ放射状に配向されたプレートレット14の静的な構成を有するデブリ捕捉シールドを通過する放射ビームが生成される。図示の実施形態では、プレートレット14は、環状のフォイルトラップを形成する。さらに、システム1は、生成された放射ビームを修正するためのコレクタ構成を有し、上記コレクタ構成は、放電軸の周りにプラズマ生成放電源を円周方向に実質的に取り囲む。コレクタ構成は、プラズマ源の周りに実質的に円周方向に延びる垂直入射リフレクタ44を備える。図21に、リフレクタ44の上部断面44a及び下部断面44bが示されている。リフレクタ44は、フォイルトラップを通過した放射ビームを反射するように配置されている。図示の実施形態では、リフレクタ44は、リフレクタ表面に入射するビーム46a、46bが中間焦点50に向かって伝搬する収束ビーム48a、48bに変形するように楕円形のリフレクタ表面を備える。コレクタ構成は、特にデブリ捕捉シールドも放電軸40を円周方向に完全に囲まない場合に、プラズマ源に対して、低減された円周範囲、例えば、約270°の円周範囲にわたって延びるように配置することができることに留意されたい。さらに、単一の垂直入射コレクタを適用する代わりに、かすめ入射コレクタ又は垂直入射コレクタとかすめ入射コレクタの組合せを適用することができる。
【0074】
[0095] さらに、プラズマ生成放電源を実質的に取り囲むコレクタ構成は、プラズマ源の電極からデブリを捕捉し、上記電極を放射空間内に提供された見通し線から遮蔽し、上記見通し線内の電極間の中央領域に開口を提供するように構成され配置されたデブリ捕捉シールドを有する本発明の放射システムと組み合わせて適用することができるだけでなく、例えば、回転形フォイルトラップ構成を備えた他の放射システムと組み合わせて適用することもできる。従って、本発明の一態様によれば、放射空間内に放射ビームを生成するための放射システムであって、極端紫外線を生成するように構成され配置されたプラズマ生成放電源であって、電圧差を提供されるように構成され配置された1対の電極と、上記電極間にピンチプラズマを提供するために上記1対の電極間に放電を発生させるように構成され配置されたシステムとを備えるプラズマ生成放電源と、生成された放射ビームを修正するためのコレクタ構成であって、上記電極を相互接続する放電軸の周りにプラズマ生成放電源を円周方向に実質的に取り囲むコレクタ構成とを備える放射システムが提供される。本発明の別の好ましい実施形態では、コレクタ構成は、少なくとも180°、好ましくは、270°、任意選択として360°にわたって放電軸40の周りに円周方向に延びている。本発明の別の好ましい実施形態では、コレクタ構成は電極間の放電軸に対して実質的に回転対称である。
【0075】
[0096] 図22は、デブリ捕捉シールドの開口半角の関数としての収集可能な光出力の図を示す。デブリ捕捉シールドを通して伝送される有効な収集可能な光出力の量が総計4πから図14の円錐41、42に割り当てられた立体角を減算することで計算される。開口半角αの単一の円錐によって張られる立体角は2π(1−cosα)で与えられる。従って、収集可能な総立体角は、下式で与えられる。
Ω=4π−4π(1−cos α)=4πcos α=4πsinθ (6)
上式で、θは、フォイルトラップの半角である。例えば、θ=45°のフォイルトラップは、4πの総立体角の71%を覆う。
【0076】
[0097] デブリ捕捉シールドを通して実際に伝送される出力の量は覆われた立体角にわたってデブリ捕捉シールドの透過率を積分することで計算することができる。デブリ捕捉シールドの透過率は、フォイル間のますます高密度になる空間のためにθと共に増大する。
【0077】
[0098] 図22は、デブリ捕捉シールドの開口半角の関数としての収集可能な光出力の図を示す。この図は、光出力が4πで放出され、シールドを通過する際の損失がないと仮定して、式6によるシールドの半角の関数としての収集可能な立体角を表す第1の曲線80を示す。さらに、この図は、典型的なフォイルトラップシールドのパラメータに従って光損失が組み込まれた第2の曲線81を示す。この図から、例えば、θ=45°のフォイルトラップを用いて、4πで放出された放射の45%をフォイルトラップ後に収集できると推論することができる。この図は、放射ビームの光軸に対する典型的な収集を仮定して、図5に示す典型的な放射システム内で、それぞれフォイルトラップ内の損失がない場合とある場合の収集可能な出力を表す第3及び第4の曲線82、83をさらに示す。この図から分かるように、θ=45°の典型的な環状フォイルトラップを用いて収集可能な光出力の量は、例えば、図5に示すフォイルトラップを用いた放射ビームを収集する典型的な放射システム内の収集可能な出力の約4倍である。
【0078】
[0099] 本明細書では、IC製造におけるリソグラフィ装置の使用について特に言及してきたが、本明細書に記載するリソグラフィ装置は、集積光システム、磁気ドメインメモリの検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッドなどの製造を含む他の用途も有することができる。当業者には明らかなように、そのような別の用途においては、本明細書で使用する「ウェーハ」又は「ダイ」という用語はいずれも、それぞれより一般的な「基板」又は「ターゲット部分」という用語と同義であると考えてよい。本明細書に記載する基板は、露光の前後に、例えば、トラック(通常、基板にレジスト層を塗布し、露光したレジストを成長させるツール)、メトロロジーツール、及び/又は検査ツール内で処理されてもよい。本明細書中の開示内容を、適宜、上記の基板処理ツール及び他の基板処理ツールに適用することができる。さらに、基板は、例えば、多層ICを作成するために、複数回処理できるので、本明細書で使用する基板という用語は、すでに多重処理層を含む基板を意味することもできる。
【0079】
[00100] 「レンズ」という用語は、文脈によっては、屈折、反射、磁気、電磁気及び静電光学コンポーネントを含む種々のタイプの光学コンポーネントのいずれか1つ又は組合せを指すことができる。
【0080】
[00101] 上記説明は、例示としてのものであって限定するものではない。それ故、添付の請求の範囲から逸脱することなしに本発明を様々に変更することができることは当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射空間内で放射ビームを生成するための放射システムであって、
極端紫外線を生成するプラズマ生成放電源であって、電圧差を提供する1対の電極と、前記電極間にピンチプラズマを提供するために前記1対の電極間に放電を発生させるシステムとを備えるプラズマ生成放電源と、
前記電極からのデブリを捕捉して前記放射空間内に提供された見通し線から前記電極を遮蔽し、前記見通し線内の前記電極間の中央領域に開口を提供するデブリ捕捉シールドと、
を備える放射システム。
【請求項2】
前記放射空間が、光軸に対する所定の球面角で画成される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項3】
前記デブリ捕捉シールドが、少なくとも1つの流体噴流を含む、請求項1に記載の放射システム。
【請求項4】
前記流体噴流が、溶融スズ又はスズ化合物を含む、請求項3に記載の放射システム。
【請求項5】
前記スズ化合物が、Ga−In−Snを含む、請求項4に記載の放射システム。
【請求項6】
前記デブリ捕捉シールドが、対向して配置され、前記電極の長軸にほぼ平行な1対の流体噴流によって提供される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項7】
前記デブリ捕捉シールドが、前記中央領域に対して放射状の方向に配置された複数の流体噴流を含む、請求項3に記載の放射システム。
【請求項8】
前記複数の流体噴流が、互いに隣接して提供される、請求項7に記載の放射システム。
【請求項9】
前記デブリ捕捉シールドが、前記電極から約0.5〜約25mmの範囲の距離に提供される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項10】
前記デブリ捕捉シールドが、電極の長軸にほぼ平行に動く可動要素によって提供される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項11】
前記可動要素を案内して通過させるための冷媒を含む前記容器が提供される、請求項10に記載の放射システム。
【請求項12】
前記デブリ捕捉シールドが、前記中央領域に対してほぼ放射状に配向されたプレートレットの静的構成を備え、前記プレートレットが、前記プレートレット間に提供された見通し線から前記電極を遮蔽するように配向される、請求項1に記載の放射システム。
【請求項13】
前記プレートレット間の距離が、前記光軸から離れる距離に対して増加する、請求項12に記載の放射システム。
【請求項14】
前記プレートレット間の距離が、約0.5mm〜約3mmの範囲にある、請求項12に記載の放射システム。
【請求項15】
前記電極と前記シールドとの間に電磁偏向場を印加するために配置された電磁偏向場ユニットをさらに備える、請求項12に記載の放射システム。
【請求項16】
前記電磁偏向場ユニットが、静的磁場を提供する、請求項15に記載の放射システム。
【請求項17】
前記磁場が、前記放射状に配向されたプレートレットに沿って配向された平面に向かって正荷電粒子を偏向させるように配置された四重極場として提供される、請求項16に記載の放射システム。
【請求項18】
前記平面が、光軸に沿って提供される、請求項17に記載の放射システム。
【請求項19】
水素ラジカルを案内して前記プレートレットを通過させる水素ラジカル供給システムをさらに備える、請求項12に記載の放射システム。
【請求項20】
前記プレートレットの少なくとも一部が、前記プレートレットのほぼ横断方向に配向されたトラバースを備える、請求項12に記載の放射システム。
【請求項21】
前記トラバースが、ワイヤを備える、請求項20に記載の放射システム。
【請求項22】
水素ラジカルを案内して前記トラバースを通過させる水素ラジカル供給システムをさらに備える、請求項20に記載の放射システム。
【請求項23】
前記プレートレットの少なくとも一部が、流体噴流によって提供される、請求項12に記載の放射システム。
【請求項24】
前記流体噴流が、溶融スズ又はスズ化合物を含む、請求項23に記載の放射システム。
【請求項25】
前記スズ化合物が、Ga−In−Snを含む、請求項24に記載の放射システム。
【請求項26】
前記デブリ捕捉シールドの温度を前記デブリ捕捉シールドの前記デブリを気化させる温度まで上げるために選択的に加熱できる加熱システムと、前記デブリ捕捉シールドから前記気化したデブリを排出するためのガスフローを提供するためのガス供給システムとをさらに備える、請求項1に記載の放射システム。
【請求項27】
前記上昇温度が、少なくとも900℃でスズのデブリを除去する、請求項26に記載の放射システム。
【請求項28】
前記上昇温度が、少なくとも270℃でリチウムのデブリを除去する、請求項26に記載の放射システム。
【請求項29】
前記プラズマ源が、スズ、リチウム、又はキセノンを含む、請求項1に記載の放射システム。
【請求項30】
前記プレートレットが、毛管作用によって前記プレートレットから前記デブリを除去する多孔質特性の材料として提供される、請求項12に記載の放射システム。
【請求項31】
前記プレートレットの機械的励磁によって前記プレートレットから前記デブリを除去するための加振器をさらに備える、請求項12に記載の放射システム。
【請求項32】
前記加振器が、前記プレートレットに振動を提供するバイブレータを備える、請求項31に記載の放射システム。
【請求項33】
前記加振器が、遠心作用によって前記プレートレットから前記デブリを除去するための遠心分離機を備える、請求項31に記載の放射システム。
【請求項34】
前記プレートレットから除去されたデブリを捕捉するためのゲッタをさらに備える、請求項31に記載の放射システム。
【請求項35】
前記1対の電極の間に放電を発生させるように構成され配置された前記システムがレーザを備える、請求項1に記載の放射システム。
【請求項36】
前記電極が前記電極を相互接続する放電軸を画定し、前記放射空間が前記放電軸に対して相互に逆方向に配向された2つの円錐の間に実質的に画成され、前記円錐の頂点が実質的に前記電極間の中央領域内にある、請求項1に記載の放射システム。
【請求項37】
前記デブリ捕捉シールドが、少なくとも180°、好ましくは少なくとも270°、任意選択として360°にわたって前記放電軸の周りに円周方向に延びる、請求項36に記載の放射システム。
【請求項38】
プレートレットが、同心の円錐面を有し、及び/又は少なくとも1つの平坦部を含む、請求項12に記載の放射システム。
【請求項39】
生成された放射ビームを修正するためのコレクタ構成をさらに備え、コレクタ構成が前記放電軸の周りに前記プラズマ生成放電源を円周方向に実質的に取り囲む、請求項36に記載の放射システム。
【請求項40】
前記コレクタ構成が、垂直入射リフレクタ及び/又はかすめ入射リフレクタを備え、請求項39に記載の放射システム。
【請求項41】
それぞれのプレートレット面に沿って移動可能な複数のワイピング要素を備えたワイピングモジュールを備える、請求項12に記載の放射システム。
【請求項42】
単一のフレームが、前記ワイピング要素を支持する、請求項41に記載の放射システム。
【請求項43】
前記ワイピングモジュールが、櫛状の構造を有する、請求項41に記載の放射システム。
【請求項44】
前記ワイピング要素が、それぞれのプレートレット面に対して並進移動及び/又は旋回運動をするように配置される、請求項41に記載の放射システム。
【請求項45】
プレートレット面に対してワイピング要素の移動経路に沿って、局所的なワイピング要素の幅がプレートレット面と隣接するプレートレット面との間の中間空間距離と実質的に一致する、請求項41に記載の放射システム。
【請求項46】
プレートレット面に対してワイピング要素の移動経路に沿って、プレートレット面と隣接するプレート面との間の中間空間距離が実質的に一定である、請求項41に記載の放射システム。
【請求項47】
放射空間内で放射ビームを生成する放射システムであって、
極端紫外線を生成するプラズマ生成放電源であって、電圧差を提供する1対の電極と、前記電極間にピンチプラズマを提供するために前記1対の電極間に放電を発生させるシステムとを備えるプラズマ生成放電源と、
前記電極からのデブリを捕捉して前記放射空間内に提供された見通し線から前記電極を遮蔽し、前記見通し線内の前記電極間の中央領域に開口を提供するデブリ捕捉シールドと、
放射ビームにパターンを付与するパターニングデバイスと、
パターン付放射ビームを基板上に投影する投影システムと、
を備える放射システムを
備えるソグラフィ装置。

【図1】
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【図2】
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【図7】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−109613(P2012−109613A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−37310(P2012−37310)
【出願日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【分割の表示】特願2009−541246(P2009−541246)の分割
【原出願日】平成19年11月27日(2007.11.27)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】