説明

放射線モニタリング装置

【課題】監視対象の誤検知を未然にかつ確実に防止し、原子力発電所の運転効率や点検時等の作業効率を向上させ得る放射線モニタリング装置を提供する。
【解決手段】本発明に放射線モニタリング装置10は、高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段11と、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段12と、特定γ線検出手段11からのγ線測定値によってグロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定値による放射線監視を除外する判定装置15とを有し、この判定装置15により監視対象の事象を検知するものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原子力発電所、化学処理施設等の施設に用いられる放射線モニタリング技術に係り、特に、監視対象の放射線測定値を監視して監視対象の異常事象を検知する放射線モニタリング装置に関する。
【背景技術】
【0002】
原子力発電所の施設および周辺環境では、施設内の監視対象物、監視対象機器や装置、監視対象エリア(以下、監視対象という。)から放射線の強さや水および空気の放射能濃度の放射線監視の目的で種々の放射線モニタリング装置が設置されている(例えば特許文献1参照)。このような放射線モニタリング装置は、一般的には放射線検出器とモニタ装置を備え、監視対象から放出される放射線測定値を監視することで、監視対象の異常事象を検知することができる。
【0003】
従来の放射線モニタリング装置は、監視対象の異常事象に伴なう放射性核種から放出される放射線のうち、α線やβ線に較べ減衰率の小さなγ線を測定し、このγ線量のグロスの測定値を用いて、監視対象のモニタリングを行なっている。具体的には、監視対象の異常事象に伴なって、放射性核種や定期検査中の高線量作業の放射線源となる放射線核種から放出されるγ線量のグロス測定値が上昇、このグロス測定値を用いて放射線監視を行なっている。
【特許文献1】特開平4−125489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の放射線モニタリング装置は、放出されるγ線量のグロス値を測定して監視対象の異常の有無を監視している。
【0005】
γ線の中には、種々のエネルギ帯のγ線が存在し、γ線量をグロス値で測定すると、監視対象外の事象から発生するγ線に、種々のエネルギレベルのγ線と一緒くたに測定することとなるので、監視対象以外の事象を誤って検知してしまう可能性があった。
【0006】
監視対象以外の事象を誤検知すると、監視対象が正常であるにもかかわらず異常事象が発生したと判断して検出するために、原子力発電所の運転効率に悪影響を与え、原子炉停止時点検等の作業効率の低下に繋がる課題があった。
【0007】
本発明は、上述した事情を考慮してなされたもので、監視対象の誤検知を未然に確実に防止し、原子力発電所の運転効率や点検時等の作業効率を向上させることができる放射線モニタリング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項1に記載したように、高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、特定γ線検出手段からのγ線測定値によってグロスγ線検出手段からのグロスγ線測定値による放射線監視を除外する判定装置とを有し、この判定装置により監視対象の事象を検知するものである。
【0009】
また、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項2に記載したように、高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、前記両γ線検出手段からのγ線測定信号を入力し、双方のγ線測定値を同時に監視する判定装置とを有し、この判定装置により監視対象の事象を検知するものである。
【0010】
さらに、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項3に記載したように、高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、監視対象とする事象に伴なう検出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、前記両γ線検出手段でそれぞれ測定されたγ線測定値の差分値を算出する差分値計算手段と、この計算手段からの差分値の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0011】
さらにまた、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項4に記載したように、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、このγ線検出手段で測定されたγ線測定値の時間変化率を算出する計算手段と、この計算手段から出力されるγ線測定値の時間変化率の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0012】
またさらに、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項5に記載したように、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、このγ線検出手段で測定されたγ線測定値をN倍し、環境への放出放射線量を規定値以下に制限する一次遅れ処理を施す計算手段と、この計算手段から出力される一次遅れ処理した計算値から放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知検知するものである。
【0013】
一方、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項6に記載したように、監視対象とする事象に伴なう複数の放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、このγ線検出手段からのγ線測定値により、放出核種毎のエネルギレベルのγ線をパルス波高弁別によりカウントするパルス波高弁別手段と、このパルス波弁別手段でカウントされた放出核種毎のカウント値の比率から放射線監視を判別する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0014】
他方、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項7に記載したように、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、このγ線検出手段で測定されたγ線測定値の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段は、プラントからの運転モード信号または監視対象機器あるいは装置からの運転状況信号を入力可能とし、この入力信号に応じて放射線監視の有効・除外を自動的に切り換えるように設定され、前記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0015】
さらに、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項8に記載したように、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、プラントからの運転モード信号、または監視対象機器あるいは装置からの運転状況信号に応じて監視設定値を自動的に切り換える設定値選択手段と、前記γ線検出手段からのγ線測定値を設定値選択手段からの監視設定値と比較して放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0016】
また、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項9に記載したように、高線量作業の線源となる核種からの特定γ線のみを検出する特定γ線検出手段と、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、前記特定γ線検出手段で測定されたγ線測定値から監視設定値を算出する設定値計算手段と、前記グロスγ線検出手段からのグロスγ線測定値を、設定値計算手段からの監視設定値と比較して放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0017】
さらにまた、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項10に記載したように、監視対象空間のγ線分布位置、強度を測定するγ線分布測定装置と、このγ線分布測定装置から得られたγ線空間分布情報からγ線分布位置またはγ線分布強度の時間変化率を算出し、放射線監視を判断する計算判定手段とを有し、この計算判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0018】
さらに、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項13に記載したように、燃料プール周辺の監視対象エリアの放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、上記燃料プール内に設けられる水中カメラと、この水中カメラからのカメラ画像を画像処理し、監視対象物の移動速度を算出する画像処理手段と、この画像処理手段で処理された監視対象物の移動速度から通常定検時の水中作業と落下事故とを弁別する弁別判定手段と、この弁別判定手段からの弁別出力により監視対象エリアの放射線監視の有効、無効を判断する判定手段とを備え、この判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【0019】
また、本発明に係る放射線モニタリング装置は、上述した課題を解決するために、請求項15に記載したように、ステンレス等の金属製放射化物から放出されるγ線強度を検出する放射線検出手段と、この放射線検出器で計測された前記放射化物のγ線強度から、監視対象とする事象に特有の放出核種から放出されるγ線エネルギへの散乱寄与成分を予測する手段と、この予測手段で予測された予測値に対して、放射線検出器からのγ線測定信号を監視し、放射線監視を判断する判定手段とを有し、上記判定手段により監視対象の事象を検知するものである。
【発明の効果】
【0020】
本発明に係る放射線モニタリング装置においては、監視対象とする事象を正確かつ有効的に検知し、監視対象外の事象の誤検知を回避することができるので、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明に係る放射線モニタリング装置の実施の形態について添付図面を参照して説明する。
【0022】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る放射線モニタリング装置の第1実施形態を簡略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0023】
この放射線モニタリング装置10は、原子力発電所の炉心冷却材を監視対象とする炉心冷却材温度測定装置に適用した例を示す。放射線モニタリング装置10は、監視対象とする事象の放出核種から放出される特定エネルギ帯のγ線のみを検出する特定γ線検出手段11と、種々のエネルギ帯のγ線をグロス値を検出するグロスγ線検出手段12とを有する炉心冷却材には、放射性核種が含まれており、この放射性核種の放射線源から放射線が放出されるようになっている。
【0024】
特定γ線検出手段11は、放射性核種からの特定エネルギレベルあるいはエネルギ領域のγ線、すなわち定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定γ線を選択的に検出してγ線測定信号aを出力するもので、Cd−Te半導体検出器等のγ線検出器あるいはγ線検出回路で構成される。特定の核種からのγ線(特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線)のみを選択的に測定する技術には、種々の測定方法があり、例えばCd−Te半導体検出器からの出力パルス波高により、特定の核種からのγ線を弁別し、測定する技術がある。特定のエネルギレベルは、一種類のエネルギレベルではなく、複数種のエネルギレベルであってもよい。
【0025】
グロスγ線検出手段12は、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および定期検査中の高線量作業の放射線源となる放出核種から全エネルギ帯のグロスのγ線測定信号bを出力するもので、γ線検出器あるいはγ線検出回路で構成される。
【0026】
特定γ線検出手段11で検出された特定放射性核種からの特定エネルギレベルのγ線測定信号aは、特定判定手段13に入力される。この特定判定手段13には予め設定された特定監視設定信号cが入力される。特定監視設定信号cは、図示しない解析手段による事前解析あるいは予測設定手段で予め予測された特定監視設定値の信号である。
【0027】
特定判定手段13は、特定γ線検出手段11からの特定エネルギレベルあるいはエネルギ領域のγ線測定信号aを特定監視設定信号cと比較し、γ線測定値が特定監視設定値を上廻ったり、特定監視設定値cの設定範囲外になったとき、監視除外信号dをグロス判定手段14に出力するようになっている。γ線測定信号aの大きさ(γ線測定値)が、特定監視設定信号cの設定範囲内あるいは、特定監視設定信号cの特定監視設置値以下であるとき、監視除外信号dは出力されない。
【0028】
一方、グロス判定手段14はグロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定信号bを入力し、このグロスγ線測定信号bを、グロス監視設定信号eと比較し、グロスγ線測定信号bの信号レベルがグロス監視設定信号eのレベルを上廻ったり、また、この設定信号eの設定値外になったとき、警報信号fを出力するようになっている。
【0029】
グロス判定手段14に特定判定手段13から監視除外信号dが入力されると、警報信号fの出力は停止される。グロス判定手段14は、例えば、グロスγ線測定信号bとグロス監視設定信号eとを比較する第1段比較器と、この第1段比較器からの出力信号と特定判定手段13からの監視除外信号dを比較する第2段比較器とがシリーズに接続されて備えられ、第2段比較器に監視除外信号dが入力されると、警報信号fの出力が停止せしめられる。
【0030】
特定γ線検出手段12とグロスγ線検出手段12とから判定装置15が構成され、この判定装置15は、特定γ線検出手段11からのγ線測定値によって、グロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定値による放射線監視を除外するように構成される。この判定装置15により監視対象の事象を検知し、監視対象以外の事象の誤検知、例えば高線量作業を誤って事故事象や異常事象と誤検知するのを防止している。
【0031】
次に、放射線モニタリング装置10の作用を説明する。
【0032】
この放射線モニタリング装置10を用いて炉心冷却材を監視対象とする例を説明する。放射線モニタリング装置10は、特定γ線検出手段11で定検中の高線量作業の放射線源となる特定放射性核種からの特定のエネルギレベルまたはエネルギ領域のγ線のみを検出し、検出された特定γ線測定信号aを特定判定手段13に出力する。
【0033】
一方、判定装置15のグロスγ線検出手段12では、監視対象とする炉心冷却材の事象に伴なう放出核種および定検中の高線量作業の放射線源となる放射線核種からのグロスγ線(全エネルギレベルのγ線)を測定し、グロスγ線測定信号bとしてグロス判定手段14に出力する。
【0034】
グロス判定手段14は、グロスγ線測定信号bの信号レベルが予め設定されたグロス監視設定信号eの信号レベルを超えたとき、あるいはグロス監視設定信号eの信号設定値の範囲外になったとき、警報信号fを出力して警報を発生させるようになっている。
【0035】
このとき、判定装置15は、特定判定手段13から監視除外信号dがグロス判定手段14に入力されると、警報信号fの出力が停止せしめられ、グロス判定手段14から警報信号fの出力はストップせしめられる。
【0036】
特定判定手段13には、特定γ線検出手段11から特定エネルギレベルあるいはエネルギ領域の特定γ線測定信号aが入力され、この特定γ線測定信号aは特定判定手段13で特定監視設定値の信号cと比較され、この特定監視設定値cを上廻ったり、また、その設定値の範囲外になると、グロス判定手段14に監視除外信号dが出力され、グロス判定手段14から警報信号fを出力しないように出力停止させる。
【0037】
具体的には、監視対象とする異常事象(事故事象)が例えば高エネルギ領域のγ線であるとき、グロスγ線検出手段12で検出されるγ線のグロス値は大きくなり、大きなグロスγ線測定信号bがグロス判定手段14に入力される。一方、このとき、グロス判定手段14に入力されるグロス監視設定値の信号eは、予め設定された一定値であり、グロスγ線測定信号bがグロス監視設定信号eを超えると、判定装置15のグロス判定手段14から警報信号fが出力される。
【0038】
しかし、グロスγ線測定信号bがグロス監視設定信号eを超えても、グロス判定手段14に監視除外信号dが特定判定手段13から入力されると、警報信号fの出力は停止せしめられる。
【0039】
ところで、特定γ線検出手段11は、特定のエネルギ領域(エネルギレベル)のγ線、すなわち高線量作業の線源となる核種からの特定γ線を検出するものであり、特定のエネルギ領域のγ線がエネルギレベルの低いγ線であるとすると、監視対象とする事象が異常事象であったり、事故事象であると、例えば高エネルギレベルのγ線の出力が上昇し、グロスγ線検出手段12で検出されるγ線のグロス値は上昇する。しかし、特定γ線検出手段11で検出される特定エネルギレベルのγ線はほとんど変化しないので、特定判定手段13からグロス判定手段14に監視除外信号dが出力されることはない。
【0040】
この場合には、グロスγ線検出手段12で検出されるグロスのγ線の上昇変化により、グロス判定手段14から警報信号fが出力され、監視対象が異常事象であったり、事故事象であることを知らせることができる。
【0041】
また、監視対象が事故事象や異常事象ではなくても、一般的な作業が原因で、特定エネルギ領域(エネルギレベル)のγ線を放出する汚染物質が監視対象、例えば炉心冷却材に含まれるとき、特定γ線検出手段11で検出される特定γ線測定信号aの信号レベルも、グロスγ線検出手段12で検出されるグロスγ線測定信号bの信号レベルも共に上昇する。
【0042】
しかし、このときには、特定判定手段13に入力される特定γ線測定信号aの信号レベルの上昇により、特定判定手段13から監視除外信号dが出力される。この監視除外信号dがグロス判定手段14に入力されるので、グロス判定手段14から警報信号fが出力されることはない。
【0043】
このように、原子力発電所の定検中の高線量作業の放射線源となる核種からのγ線のみ、すなわち、特定エネルギレベルあるいはエネルギ領域のγ線のみを測定可能な特定γ線検出手段11を判定装置15が有し、この特定γ線検出手段11で検出される特定エネルギレベルのγ線測定信号aの信号レベルが予め設定された特定監視設定値の信号cを超えた場合に、特定判定手段13からグロス判定手段14に監視除外信号dを出力し、グロス判定手段14による監視対象の監視を除外することができる。
【0044】
この放射線モニタリング装置10では、監視対象である事故事象や異常事象の検知とグロス判定手段14から出力される警報信号により確実かつ正確に検出することができる。また、監視対象外である定期検査中の高線量作業では、特定判定手段13から監視除外信号dを出力することにより、監視対象外の事象の誤検知を未然に確実に回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0045】
[第2実施形態]
図2は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第2実施形態を簡略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0046】
第2実施形態の放射線モニタリング装置10Aを説明するに当たり、第1実施形態に示された放射線モニタリング装置10と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0047】
図2に示された放射線モニタリング装置10Aは、定検中の高線量作業の放射線源となる放射性核種からのγ線(特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線)のみを検出可能な特定γ線検出手段11と、監視対象とする事象に伴なう放出核種および定検中の高線量作業の放射線源となる核種からのグロスのγ線を検出可能なグロスγ線検出手段12と、特定γ線検出手段11からの特定エネルギ帯(エネルギレベル)のγ線測定信号aを入力し、このγ線測定信号aと特定監視設定値cを比較し、γ線測定信号aの信号レベルが特定監視設定信号cの信号レベルを超えた場合に警報出力信号gを出力する特定判定手段と、グロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定信号bを入力し、このグロスγ線測定信号bをグロス監視測定値の信号eと比較し、グロスγ線測定信号bがグロス監視設定値信号eを超えた場合に警報出力信号hを出力するグロス判定手段14と、両判定手段13および14からの警報出力信号g,hの入力を受けて、警報iを出力する警報発生手段16とを有する。
【0048】
監視発生手段16は、AND回路と警報器とを備え、AND回路に特定判定手段13からの警報出力信号gおよびグロス判定手段14からのグロス出力信号hが共に入力されたとき、警報器に出力信号を送り、警報を発するようになっている。
【0049】
放射線モニタリング装置10Aは、特定判定手段13とグロス判定手段14と警報発生手段16とから判定装置17を構成しており、この判定装置17は両γ線検出手段11,12からのγ線測定信号a,bを特定判定手段13およびグロス判定手段14に入力し、両判定手段13,14から出力信号g,hを同時に警報発生手段16が入力したとき、警報信号iの出力を停止させるようになっている。
【0050】
この放射線モニタリング装置10Aは、定検中の高線量作業の放射線源となる核種からの特定エネルギ帯のγ線のみを測定可能な特定γ線検出手段11と、監視対象とする事象に伴なう放出核種及び定検中の高線量作業の線源となる核種からのグロスのγ線を測定可能なグロスγ線検出手段12とを有し、両γ線検出手段11,12で検出される特定γ線検出値およびグロスγ線検出値が監視設定値を超えた場合に、判定装置17から警報iを出力するので、監視対象とする事象(異常事象や事故事象)を正確にかつ確実に検出することができる。
【0051】
監視対象外である定検中の高線量作業下では、特定エネルギ帯のみのγ線を測定するが、特定エネルギ帯以外のエネルギレベルのγ線を特定γ線検出手段11が検出することがない。このときには、判定装置17から警報位置信号が出力されず、したがって、監視対象外である定検中の高線量作業の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0052】
[第3実施形態]
図3は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第3実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0053】
第3実施形態の放射線モニタリング装置10Bを説明するに当たり、第1実施形態に示された放射線モニタリング装置10と同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0054】
図3に示された放射線モニタリング装置10Bは、定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線のみを検出可能な特定γ線検出手段11と、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および定検中の高線量作業の線源となる核種からのグロスのγ線量を検出可能なグロスγ線検出手段12と、特定γ線検出手段11からの特定γ線測定信号aおよびグロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定信号bの差分値を計算する計算手段18と、この計算手段18で計算された両γ線測定信号a,bの差分値の信号jが入力される判定手段19とを有し、判定手段19は差分値信号jが差分監視設定値の信号kを超えるとき、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0055】
この差分監視設定値の信号kは、図示しない解析手段の事前解析や予測設定手段で予め設定された差分監視設定信号である。
【0056】
この放射線モニタリング装置10Bは、特定γ線検出手段11で定検中の高線量作業の線源とする特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線(特定γ線)のみを検出可能であり、検出された特定γ線測定信号aは計算手段18に出力される。
【0057】
一方、グロスγ線検出手段12は、監視対象とする事象に伴なう放出核種、および定検中の高線量作業の線源となる核種からのグロスのγ線量を検出可能で、検出されたグロスγ線測定信号bは差分値計算手段18に出力される。
【0058】
差分値計算手段18には、両γ線検出手段11,12からのγ線測定信号a,bがそれぞれ入力され、入力された両γ線測定信号a,bの差分値(|a−b|)が計算される。計算された差分値信号jが差分監視設定値の信号kを上廻ると、判定手段19は警報信号fを出力し、警報を発生させる。
【0059】
この放射線モニタリング装置10Bでは、監視対象(監視対象物、機器及び装置)の事象が異常事象あるいは事故事象であると、放出γ線のグロス値(全エネルギ帯のγ線)を検出しているグロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定信号bの信号レベルが大きくなる。
【0060】
一方、特定のエネルギ帯のγ線を検出する特定γ線検出手段11は、定検中の高線量作業の線源である核種からの特定エネルギレベルのγ線のみを検出するものであるので、特定γ線測定信号aの信号レベルは上昇しない。
【0061】
このため、監視対象である事象が異常事象や事故事象であると、計算手段18で計算される差分値が大きくなり、この差分値が判定手段19に送られて予め設定された差分監視設定値と比較される。判定手段19は差分値が差分監視設定値を上廻ると、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0062】
したがって、監視対象である事象が異常事象や事故事象である場合には、これらの異常事象や事故事象を確実に検出することができる。
【0063】
一方、特定γ線検出手段11が定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定エネルギ帯のγ線のみを検出すると、特定γ線測定信号aの信号レベルは、事故事象や異常事象でなくても上昇する。このときには、グロスγ線検出手段12は、γ線のグロス値(全エネルギ帯のγ線)を検出しているので、グロスγ線測定信号bの信号レベルも上昇する。
【0064】
しかし、両γ線検出手段11,12から計算手段18に入力される両γ線測定信号a,bの差分値|a−b|は、ほとんど変化しないので、差分値が差分監視設定値を上廻ることがない。このため、判定手段19から警報信号fが出力されることはない。
【0065】
第3実施形態に示された放射線モニタリング装置10Bは、監視対象とする事象(異常事象や事故事象)を検知することができる一方、監視対象外である定検中の高線量作業を異常事象や事故事象であると誤検知するのを確実に回避することができる。したがって、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0066】
[第4実施形態]
図4は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第4実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0067】
この実施形態に示された放射線モニタリング装置10Cは、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出可能なγ線検出手段21と、このγ線検出手段21で検出されたγ線測定信号lが入力される計算手段22と、この計算手段22によりγ線測定値の時間変化率が算出され、算出されたγ線測定値の時間変化率信号mが入力される判定手段23とを有し、判定手段23ではγ線測定値の時間変化率の値を監視設定値と比較し、時間変化率の値が監視設定値を超えると、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0068】
γ線検出手段21は、監視対象とする事象(事故事象や異常事象)に伴なう放出核種からのγ線を検出しており、監視対象とする事象特有なγ線測定値の時間変化率を測定している。
【0069】
監視対象とする事象に特有なγ線測定値の時間変化率を、γ線検出手段21が入力されるγ線測定信号を計算処理する計算手段22で算出し、この算出されたγ線測定値の時間変化率の値、すなわち監視対象の事故事象や異常事象に特有な時間変化率値が、判定手段23で監視設定値と比較され、監視設定値を上廻ると、警報信号fを出力し、監視対象の事象が異常事象や事故事象であることを検出することができる。
【0070】
監視設定値は、図示しない解析手段による事前解析あるいは予測設定手段で事象特有の監視設定値が予め設定されており、予め設定された事象(異常事象や事故事象)に特有な監視設定値の信号nが判定手段23に入力されるようになっている。
【0071】
図4に示された放射線モニタリング装置10Cは、γ線検出手段21で監視対象とする事象に伴なう放出核種から放出されるγ線が検出され、検出されたγ線はγ線測定信号lとして計算手段22に入力され、この計算手段22で監視対象とする事象に特有なγ線測定値の時間変化率を算出し、判定手段23にγ線測定値の時間変化率信号mを出力している。
【0072】
判定手段23に入力されるγ線測定値の時間変化率信号mは、事象特有の監視設定値信号nと比較され、γ線測定値の時間変化率の値が監視設定値を上廻るとき、警報信号fを出力し、警報を発生するようになっている。
【0073】
この放射線モニタリング装置10Cでは、γ線検出手段21で監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を測定し、このγ線測定値の時間変化率を計算手段22で計算処理して算出し、得られたγ線測定値の時間変化率の値を計算手段23で監視対象の事象に特有な監視設定値と比較し、γ線測定値の時間変化率の値が監視設定値を上廻る場合に警報信号fを出力させることができる。
【0074】
この放射線モニタリング装置10Cは、監視対象とする事象に特有なγ線の時間変化率を検知することができ、検知されるγ線の時間変化率を予め設定された監視設定値(この監視設定値は監視対象の事象に特有な事前に定められたγ線の設定値である。)と比較して、上廻るとき警報を出力するようにしたので、監視対象とする事象を確実に検知でき、監視対象外である定検中の高線量作業を、異常事象や事故事象であると判断する誤検知を回避することができ、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0075】
[第5実施形態]
図5は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第5実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0076】
第5実施形態の放射線モニタリング装置10Dを説明するに当たり、第4実施形態の放射線モニタリング装置10Cと同じ構成には、同一符号を付して説明を省略する。
【0077】
図5に示された放射線モニタリング装置10Dは、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出可能なγ線検出手段21と、このγ線検出手段21から出力されるγ線測定信号lを入力し、γ線測定値をN倍し、一次遅れ処理を施す計算手段25と、この計算手段25から一次遅れ処理された計算値の信号oが入力される判定手段26とを有し、判定手段26では一次遅れ処理された計算値が監視設定値を超えた場合に、警報信号fを出力し、警報を発生させている。
【0078】
計算手段25は、シリーズに接続された増幅器と一次遅れ処理器とを備え、γ線検出手段21で検出されたγ線測定値は増幅器でN倍に増幅された後、一次遅れ処理器で一次遅れ処理される。一次遅れ処理されたγ線測定の計算値が判定手段26に出力される。計算手段25は一次遅れの時定数を有し、この一次遅れの時定数は、監視対象とする事象による放出核種の環境への放出量が放出制限量以下に制限できる値に、図示しない解析手段による解析評価で求めて設定される。
【0079】
計算手段25は、一次遅れの時定数を定めた一次遅れ処理器で一次処理されたγ線の計算値が、判定手段26で環境に悪影響を与えない監視設定値と比較され、監視設定値を上廻るとき、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。判定手段26に入力される警報設定値の信号pは、図示しない解析手段で事前解析され、予め設定された値である。
【0080】
この放射線モニタリング装置10Dは、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線をγ線検出手段21で検出し、検出されたγ線測定信号lを計算手段25に入力させる。計算手段25では、γ線検出手段21で検出されたγ線測定値をN倍し、一次遅れ処理された計算値を判定手段26に出力させる。
【0081】
判定手段26では、計算手段25で一次遅れ処理された計算値が監視設定値を超えた場合に、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0082】
放射線モニタリング装置10Dは、監視対象とする事象をγ線検出手段21によりγ線検出により検知でき、さらに、γ線測定値を計算手段25で一次遅れ処理し、この一次遅れ処理の時定数を環境への影響を考慮して設定することで、監視対象とする事象には放出核種の環境への放出量を放出放射後規制量以下に制限することができる。しかも、監視対象とする事象を検知でき、さらに定検中の高線量作業の誤検知を回避することができ、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0083】
[第6実施形態]
図6は、放射線モニタリング装置の第6実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0084】
この放射線モニタリング装置10Eは、γ線検出手段としてγ線検出器30を備えたものである。このγ線検出器27は、監視対象とする事象に伴なう複数の放出核種のγ線エネルギ(エネルギレベル)に応じた波高のパルス信号を出力するようになっている。
【0085】
放射線モニタリング装置10Eは、監視対象とする事象に伴なう複数の核種から放出されるγ線の各γ線エネルギに応じた波長のパルス信号を出力するγ線検出器27と、このγ線検出器27からのパルス信号をパルス波高弁別により、放射性核種毎にカウントするパルス波高弁別手段28と、このパルス波高弁別手段28で核種毎にカウントされたカウント値A〜Aを入力する判定手段29とを有し、判定手段29は、パルス波高弁別手段28から入力されるカウント値A〜Aの比率を計算し、このカウント値A〜Aの比率が監視設定値を超えた場合、警報信号fを出力し、警報を発生させている。
【0086】
なお、カウント値A〜Aの比率の計算は、パルス波高弁別手段28で実施してもよい。
【0087】
この放射線モニタリング装置10Eは、γ線検出器27で監視対象とする事象に伴なう複数の放出核種のγ線エネルギに応じた波高のパルス信号を出力し、γ線検出器27からのパルス信号qをパルス波高弁別手段28により、核種毎にカウントしており、パルス波高弁別手段28によりカウントされた核種毎のカウント値A〜Aの比率を計算し、カウント値A〜Aの比率が監視設定値を超えた場合に判定手段32から警報信号fを出力し、警報を発生させる。
【0088】
放射線モニタリング装置10Eは、γ線検出器27が複数の放出核種からγ線エネルギに応じたγ線パルス信号qを出力し、このγ線パルス信号qを入力するパルス波高弁別手段28は、放出核種毎のγ線パルス信号をパルス波高弁別によりカウントし、カウントされた核種毎に、監視対象とする事象に特有のカウント値A〜Aの比率を計算し、このカウント値A〜Aの比率を判定手段29で監視設定値の信号rと比較し、監視設定値を超えた場合に警報信号fを発生することが可能となる。
【0089】
第6実施形態に示された放射線モニタリング装置10Eにおいても、パルス波高弁別手段28で、監視対象とする事象に特有なエネルギレベルのγ線を個別にカウントすることができる。カウントされた監視対象の事象に特有なカウント値A〜Aの比を監視設定値と比較して判定手段29から警報を発生させるようにしたから、監視対象とする事象を確実に検知し、しかも定検中の高線量作業の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0090】
[第7実施形態]
図7は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第7実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0091】
第7実施形態の放射線モニタリング装置10Fを説明するに当たり、第4実施形態に示された放射線モニタリング装置10Cと同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0092】
図7に示された放射線モニタリング装置10Fは、監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線を検出可能なγ線検出手段21と、このγ線検出手段21からのγ線測定信号lを入力する判定手段31とを備える。判定手段31は、γ線検出手段から入力されるγ線測定信号lの測定値を監視設定値と比較する第1段の判定比較器と、この比較器からの警報信号fを監視対象の運転状態信号sと比較し、運転状態信号sに応じて警報信号fの出力を停止させる第2段の判定比較器を備える。
【0093】
この放射線モニタリング装置10Fは、監視対象として機器や装置をターゲットとし、監視対象機器や装置の運転状態に応じて、判定手段31からの警報出力fを自動的に無効にさせる機能を有する。
【0094】
判定手段31は、2段の判定比較器を備え、第1段の判定比較器でγ線検出手段21から入力されるγ線測定信号lを監視設定値の信号tと比較し、γ線測定値が監視設定値を上廻るとき、判定手段31から警報信号fが出力されるが、この警報信号fの出力は、監視対象から運転状態信号sあるいは原子力発電所のプラント運転モード信号が入力されると自動的に停止せしめられ、監視対象機器や装置の運転状態に応じて警報出力を自動的に無効にしている。
【0095】
この放射線モニタリング装置10Fは、監視対象である機器や装置の運転状態に応じて監視の有効・無効を判断し、監視対象機器や装置の運転状態に応じ、監視対象から運転状態信号が入力されると、判定手段31からの警報出力を自動的に無効にする。
【0096】
監視対象の運転状態に応じて放射線モニタリング装置10Fは有効・無効を自動的に判断し、監視対象の事象を正確に検知し、定検中の高線量作業のように、監視対象機器や装置の停止時には、監視対象の運転状態sが入力されないので、判定手段から警報信号fを出力し、警報を発生させる。
【0097】
したがって、第7実施形態に示された放射線モニタリング装置10Fは、監視対象の事象を検知でき、監視対象外の事象の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0098】
[第8実施形態]
図8は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第8実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0099】
第8実施形態に示された放射線モニタリング装置10Gを説明するに当たり、第7実施形態に示された放射線モニタリング装置10Fと同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0100】
図8に示された放射線モニタリング装置10Gは、監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線を検出(測定)可能なγ線検出手段21と、このγ線検出手段21からのγ線測定信号lが入力される判定手段32と、この判定手段32に所望の監視設定値信号uを入力させる設定値選択手段33とを有する。
【0101】
設定値選択手段33は、監視対象機器や装置である監視対象の運転状態信号sあるいは原子力発電所のプラント運転モード信号が入力され、この運転状態信号sに応じて予め設定された1つ以上、例えば複数の監視設定値を自動的に選択している。
【0102】
一方、判定手段31には、γ線検出手段21から、監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線測定信号lが入力され、このγ線測定信号lの設定値選択手段33から入力される監視設定値信号と判定手段32で比較される。判定手段32は監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線測定値が監視設定値を超えた場合、警報信号fを出力し、図示しない警報手段で警報を発するようになっている。
【0103】
第8実施形態に示された放射線モニタリング装置10Gは、監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出し、その測定値であるγ線測定信号lを判定手段32に送って、この判定手段31にてγ線測定値を設定値選択手段33からの監視設定値と比較し、監視対象機器や装置の運転状態に応じて自動的に設定された監視設定値をγ線測定値が上廻るとき、警報信号fを出力し、警報を発生するようになっている。
【0104】
この放射線モニタリング装置10Gは、設定値選択手段33が監視対象機器や監視対象装置である監視対象の運転状態に応じて監視設定値を自動的に選択することで、監視対象の事象を確実に検知でき、監視対象外の事象の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0105】
[第9実施形態]
図9は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第9実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0106】
第9実施形態の放射線モニタリング装置10Hを説明するに当たり、第1実施形態に示された放射線モニタリング装置10と同じ構成には同一符号を付して説明を省略する。
【0107】
図9に示された放射線モニタリング装置10Hは、監視対象とする事象に伴なう放出核種、定検中の高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを測定可能なグロスγ線検出手段12と、このグロスγ線検出手段12で検出されたグロスγ線検出信号bが入力されるグロス判定手段35と、定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線(特定γ線)のみを測定可能な特定γ線検出手段11と、この特定γ線検出手段11で検出される特定γ線測定信号aを入力して、この特定γ線測定値に対応する監視設定値を算出する設定値算出手段36とから構成される。
【0108】
グロス判定手段35はグロスγ線検出手段12から入力されるグロスγ線測定信号aと、設定値算出手段36から入力される監視設定値信号vと比較される。グロス判定手段35は、グロスγ線測定値が監視設定値を上廻るとき、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0109】
このとき、設定値算出手段36から出力される警報設定値信号vは、定検中の高線量作業の線源となる核種からのγ線測定値を反映させたものである。監視設定値信号vの監視設定値は、定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定γ線の測定値により変化せしめられ、一定値ではない。
【0110】
第9実施形態の放射線モニタリング装置10Hは、監視対象の事象が事故事象や異常事象であるとき、グロスγ線検出手段12で検出されるグロスγ線測定信号bの信号レベルが上昇する。
【0111】
このとき、監視対象の異常事象や事故事象に伴なう各核種から放出されるγ線のエネルギレベルあるいはエネルギ帯が特定γ線検出手段11で検出される特定エネルギレベルのγ線とエネルギレベルが異なるとγ線は検出されず、特定γ線測定信号aの信号レベルが変化しない。このため、特定γ線測定信号aに応じて算出される設定値算出手段36の監視設定値はほとんど変化しない。
【0112】
このため、グロス測定手段35では、グロスγ線検出手段12からのグロスγ線測定値が設定値算出手段36からの監視設定値を上廻り、グロス判定手段35から警報信号fが出力され、警報が発せられる。
【0113】
一方、定検中の高放射線作業の線源とする核種からの特定エネルギ帯あるいはエネルギレベルのγ線は、特定γ線検出手段11で検出される。特定γ線検出手段11が特定エネルギレベルのγ線(特定γ線)を検出すると、特定γ線測定信号aの信号レベルが上昇する。この信号レベルの上昇に応じて、設定値算出手段36から出力される監視設定値信号vの信号レベルも上昇する。
【0114】
設定値算出手段36からの監視設定値が上昇する場合には、グロスγ線検出手段12で検出されるグロスγ線測定信号bの信号レベルも上昇するが、グロスγ線測定値が設定値算出手段36からの監視設定値を上廻ることがないので、グロス判定手段35から警報信号fは出力されない。
【0115】
したがって、定検中の高放射線作業を、監視対象の異常事象や事故事象であると誤って判断することがない。
【0116】
第9実施形態に示された放射線モニタリング装置10Hは、監視対象とする事象に伴なう放出核種、定検中の高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスの測定値が、定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定エネルギレベルのγ線の測定値から算出された監視設定値を超えた場合に警報を発生することが可能となる。
【0117】
この放射線モニタリング装置10Hは、定検中の高線量作業の線源となる核種からの特定γ線の測定値によって監視設定値を変化させることで、監視対象の事象を検知でき、監視対象外の事象の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0118】
[第10実施形態]
図10は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第10実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0119】
第10実施形態に示された放射線モニタリング装置10Iは、監視対象が空間であったり、流体である場合に適する。この放射線モニタリング装置10Iは、監視対象空間38等の監視対象のγ線分布位置、強度を測定可能なγ線画像検出手段としてのγカメラ40を備える。
【0120】
γカメラ40からのγ線画像測定信号wはデータ処理手段41に入力される。データ処理手段41は、γ線画像測定信号wを信号処理してγ線の空間分布情報を構築しており、このデータ処理手段41からのγ線空間分布情報信号xが計算判定手段43に出力される。γカメラ40とデータ処理手段41により、監視対象空間のγ線分布位置・強度を測定するγ線分布測定装置42が構成される。
【0121】
計算判定手段43は、データ処理手段41からγ線空間分布情報信号wを入力し、γ線空間分布情報からγ線分布位置の時間変化率、γ線分布強度の時間変化率またはγ線強度を計算により求め、算出された計算値を監視設定値と比較し、計算値が監視設定値を上廻ると、警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0122】
計算判定手段43は、γ線の空間分布情報からγ線分布位置の時間変化率、γ線分布強度の時間変化率、またはγ線強度や空間分布位置の広さを計算する計算部と、この計算部で算出された計算値(計算結果)を監視設定値と比較する比較部と、計算値が警報設定値を上廻ると警報信号を出力する判定部とを備える。
【0123】
図10に示された放射線モニタリング装置10Iは、監視対象空間38のγ線分布位置・強度を測定可能なγカメラ40と、γカメラ40のγ線画像測定信号wからγ線の空間分布を構築するデータ処理手段41と、データ処理手段41からのγ線の空間分布情報から、γ線分布位置の時間変化率、γ線分布強度の時間変化率またはγ線強度を計算し、これらの計算値が監視設定値を超えた場合に警報信号fを出力する計算判定手段43から構成される。
【0124】
この放射線モニタリング装置10Iは、計算判定手段43で、γ線の空間分布情報から、監視対象空間38のγ線分布位置・分布強度の時間変化率あるいはγ線強度が計算され、この計算値が監視設定信号yの監視設定値と比較され、監視設定値を超えた場合に警報を発生することが可能となる。
【0125】
この放射線モニタリング装置10Iにおいても、監視対象とする事象を検知でき、さらに、監視対象外である定検中の高線量作業の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0126】
[第11実施形態]
図11は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第11実施形態を概略的に示すシステムブロックの構成図である。
【0127】
第11実施形態に示された放射線モニタリング装置10Jは、原子力発電所に設置される燃料プール45内に水中カメラ46を設け、水中カメラ46で撮影された画像信号zを画像処理手段47に送り、この画像処理手段47で監視対象空間中の監視対象物の移動速度を検出している。画像処理手段47は、カメラ画像を画像処理し、水中の気泡あるいはこの気泡等による水面の波、揺れ等の変化を検出するようにしてもよい。
【0128】
画像処理手段47で検出された監視対象物(部材、機器、装置)の移動速度信号Aは、弁別判定手段としての第1判定手段48に入力され、この第1判定手段48で監視対象物の移動速度は、監視設定値信号Bの監視設定値と比較され、移動速度が監視設定値を上廻る場合、警報信号Cが第2判定手段49に出力している。第1判定手段48には図示しない解析手段で事前解析された監視設定値の信号Bが入力される。
【0129】
第2判定手段49には、燃料プール45の上方でγ線検出手段50により、監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線が検出され、このγ線測定信号Dが第2判定手段49に出力され、この第2判定手段49は、γ線測定信号Dが警報設定値の信号Eと比較され、γ線測定値が警報設定値を上廻ると警報信号fを出力し、警報を発生させるようになっている。
【0130】
その後、第2判定手段49は、第1判定手段48から警報信号Cを入力すると、第2判定手段49から警報信号fを出力可能となっているが、第1判定手段48からの警報出力がない場合には、監視を除外している。第2判定手段49は第1判定手段48からの監視出力の有無により、監視を有効にしたり、監視を除外するようになっている。
【0131】
このため、第1判定手段48に入力される監視設定値信号Bは、燃料プール45内の水中に、落下物あるいは落下物により燃料が損傷した結果発生する気泡を弁別可能な監視設定値に予め設定される。
【0132】
この放射線モニタリング装置10Jは、燃料プール45内に設置した水中カメラ46と、この水中カメラ46の画像信号zから監視対象空間中の移動物体の移動速度を算出する画像処理手段47と、この画像処理手段47によってもとめた物体の移動速度が監視設定値を超えた場合に警報信号Cを出力する第1判定手段48と、監視対象とする事象に伴なう放出核種のγ線を監視対象エリア内で測定可能なγ線検出手段50と、このγ線検出手段50のγ線測定値信号を監視設定値信号と比較し、γ線測定値が監視設定値を超えた場合に警報信号fを出力する第2判定手段とから構成される。
【0133】
第2判定手段49は第1判定手段48からの警報出力が無い場合には監視を除外にし、有る場合には監視を有効にする。第1判定手段48に入力される監視設定値は、水中への落下物あるいは落下物により燃料が損傷した結果発生する気泡を弁別可能な値に予め設定される。
【0134】
第11実施形態に示された放射線モニタリング装置10Jは、燃料プール45内に設置された水中カメラ46のカメラ画像からもとめた監視対象物である水中物体の移動速度が監視設定値を超えた場合に、第1判定手段48から第2判定手段49に警報信号Cを出力し、監視対象の監視を有効にすることが可能となる。
【0135】
この放射線モニタリング装置10Jにおいても、監視対象とする事象を検知でき、しかも、水中移動物体の移動速度から、落下事故を検知し、落下事故が検知された場合のみγ線による監視を有効にすることで、通常の定検時の高線量作業の誤検知を回避することが可能となり、原子力発電所の運転効率、点検等の作業効率を向上させることができる。
【0136】
[第12実施形態]
図12および図13は、本発明に係る放射線モニタリング装置の第12実施形態を概略的に示すシステムブロック図の構成図である。
【0137】
第12実施形態に示された放射線モニタリング装置10Kは、ステンレス等の金属製容器55から放出されるガス状放射性核種56を監視対象としたものである。
【0138】
この放射線モニタリング装置10Kでは、放射化した金属製容器55から、ヨウ素(Z)、クリプトン(Kr)、キセノン(Xe)などの放射性核種56が放出される一方、金属製容器55からγ線57が放出されている。図12には、金属製容器55からガス状放射性核種56とγ線57が放出される例を示したが、ガス状放射性核種56とγ線57とが別々の容器から放出されるようにしてもよい。
【0139】
この放射線モニタリング装置10Kは、気泡ファン60を駆動させるファン駆動制御装置61と、気泡ファン60の下流側、すなわちファン駆動側に設置された放射線検出器62と、この放射線検出器62から放射化物の主成分であるコバルトおよびセシウムから放出されるγ線強度を測定し、評価する放射化評価手段63と、この放射化評価手段63の評価結果から、ガス状放射性核種56から放出されるγ線のエネルギ帯域へ寄与する散乱成分を評価する放射化散乱成分評価手段64とを備える。
【0140】
さらに、この放射線モニタリング装置10Kは、放射線検出器62の出力(γ線測定信号)からガス状放射性核種56から放出されるγ線のエネルギ帯域の放射線強度を評価するガス状帯域放射能評価手段65と、ガス状帯域放射能評価手段65の評価結果を前記放射化散乱成分評価手段64の評価結果をもとに補正し、真のガス状放射性核種からの寄与成分を抽出するガス状放射能評価手段66と、前記の評価結果を予め設定された監視設定値と比較し、評価結果値が監視設定値より大きい場合に警報を発生する警報発生手段67とから構成されている。
【0141】
放射線検出器62は1つである必要はなく、複数個設けてもよく、ガス状放射能評価手段66には、ファン駆動制御装置61で気泡ファン60を制御するファン制御情報、例えばファン回転速度情報、が入力される。
【0142】
また、放射線検出器62には、電離箱やシンチレーション計数管などの放射線測定装置がある。
【0143】
この放射線モニタリング装置10Kは、主に、ステンレス等の金属製放射化物55から放出されるγ線強度を計測する放射線検出手段としての放射線検出器62と、この放射線検出器62で計測された放射化物55からのγ線強度から、監視対象とする事象に特有の放出核種56から放出されるγ線エネルギへの散乱寄与成分を予測する手段63,64と、この予測手段で予測された予測値に対して放射線検出器62で計測させたγ線測定信号を信号処理する信号処理手段65,66と、γ線測定値を予測値に対して信号処理された計算値から放射数監視の有無や状態判断を行なう判定手段としての警報発生手段67とを備える。
【0144】
放射線モニタリング装置10には、空気収集手段としての気泡ファン60を、例えば燃料プール水面上の監視対象エリア68に設置し、空気収集手段の空気収集部に放射線検出器62が設けられる。
【0145】
第12実施形態に示された放射線モニタリング装置10Kは、ファン駆動制御装置61により気流ファン60をファン駆動させ、ガス状放射性核種56を放射線検出器62に近付ける。気流ファン60のファン駆動により、γ線57よりガス状放射性核種56からの放射線による寄与成分を増加させることができる。
【0146】
また、気流ファン60のファン動作を可変とすると、放射線検出器62に寄与するガス放射能量に相当する検出信号成分のみが変動する。変動しない検出信号成分は、気流の流れによって変化しない放射化物である金属製容器55からのγ線57である。
【0147】
したがって、放射線検出器62で放射線を検出することで、ガス状放射能評価手段66で変動成分を抽出することができ、ガス状放射性核種56からの放射線流のみを識別することができる。
【0148】
第12実施形態の放射線モニタリング装置10Kは、ガス状放射性核種56がγ線を放出する例をとって説明しているが、β線を放出する場合もある。この場合には、周りの空気がβ線によって電離し、その電離イオンを通気型電離箱のような放射線検出器62で検出することで、β線の放射線を検出することができる。
【0149】
一方、放射線検出器62は、放射化された金属製放射化物である容器55から放出されるγ線を検出しており、検出されたγ線のエネルギに相当するγ線強度が放射化評価手段63で抽出される。金属製容器55の例えばステンレス鋼が放射化すると、主にコバルト(Co)60とセシウム(Cs)137が生成される。
【0150】
コバルト60は主に1.17Mevと1.33Mevのエネルギレベルのγ線を放出し、セシウム137は662keVのエネルギレベルのγ線を放出する。
【0151】
図13はγ線のエネルギスペクトルの測定例を示す。例えばセシウム(Cs)137の場合、Gの部分が662keV付近のエネルギ帯に相当し、そのエネルギ付近で観測される光電ピークを観測すれば、Cs137のγ線強度が測定できる。
【0152】
実際の測定では、Cs137のγ線エネルギ域Gより低いエネルギ領域に点線Hで示すようにコンプトン散乱によるティルが生成される。このティルGの形状は、光電ピークの大きさが決まると、放射線検出器62の検出特性により予測することができる。
【0153】
放射線検出器62の特性を利用し、監視対象とする事象に特有の放出核種から放出されるγ線エネルギへの散乱成分寄与成分を予測する手段としての放射化散乱成分評価手段64によってγ線エネルギのティル部分Hを求める。
【0154】
一方、ガス状放射性核種56としてヨウ素(I)133を考慮すると、放出γ線のエネルギレベルは87%が530keVであり、Cs137の光電ピークGより低いエネルギのJ領域に光電ピークが生成される。
【0155】
放射線検出器62で検出されるエネルギ領域Jの放射線エネルギは、ヨウ素(I)133からのγ線の光電ピークをCs137のコンプトン散乱によるティル部分Hとの和となる。
【0156】
ヨウ素(I)133に相当するエネルギのγ線信号は、放射線検出器62からそのエネルギ部分Jを計測するガス状帯域放射能評価手段65によって行なわれる。
【0157】
また、Cs137のコンプトン散乱成分は、ガス状放射能評価手段66によって除去され、このガス状放射化評価手段66により、ヨウ素(I)133の真の放射線強度が算出される。
【0158】
ガス状放射性核種56はCs133の他に、クリプトン(Kr)やキセノン(Xe)が存在するが、KrやXeの放出γ線のエネルギは、Cs133のγ線エネルギ(662keV)より低い。このため、CsやKr,Xeのコンプトン散乱の補正機能を設けることで、ガス状放射性核種の寄与分を明確化することができる。
【0159】
そして、ヨウ素(I)133の放射線強度を、警報発生手段67にてガス状放射性核種56の各希ガスに設定された複数の比較値(既知)と比較し、ヨウ素の放射線強度が比較値より大きい場合に、その値に応じた適切な警報を発生させる。
【0160】
この放射線モニタリング装置10Kは、放射化物である金属製容器55の放射化によるγ線の影響を低減し、監視対象であるガス状放射性核種56に対する放射線検出感度を向上させ、ガス状放射性核種56からの放射線強度を正確に精度よく測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0161】
【図1】本発明の放射線モニタリング装置の第1実施形態を示すブロック図。
【図2】本発明の放射線モニタリング装置の第2実施形態を示すブロック図。
【図3】本発明の放射線モニタリング装置の第3実施形態を示すブロック図。
【図4】本発明の放射線モニタリング装置の第4実施形態を示すブロック図。
【図5】本発明の放射線モニタリング装置の第5実施形態を示すブロック図。
【図6】本発明の放射線モニタリング装置の第6実施形態を示すブロック図。
【図7】本発明の放射線モニタリング装置の第7実施形態を示すブロック図。
【図8】本発明の放射線モニタリング装置の第8実施形態を示すブロック図。
【図9】本発明の放射線モニタリング装置の第9実施形態を示すブロック図。
【図10】本発明の放射線モニタリング装置の第10実施形態を示すブロック図。
【図11】本発明の放射線モニタリング装置の第11実施形態を示すブロック図。
【図12】本発明の放射線モニタリング装置の第12実施形態を示すブロック図。
【図13】γ線のエネルギスペクトルの測定例を示す図。
【符号の説明】
【0162】
10,10A〜10K 放射線モニタリング装置
11 特定γ線検出手段
12 グロスγ線検出手段
13 特定判定手段
14 グロス判定手段
15,17 判定装置
16 警報発生手段
18 計算手段
19 判定手段
21 γ線検出手段
22 計算手段(γ線の時間変化率計算手段)
23 判定手段
25 計算手段(γ線の一次遅れ計算手段)
26 判定手段
27 γ線検出器
28 パルス波高弁別手段
29,31,32 判定手段
33 設定値選択手段
35 グロス判定手段
36 設定値算出手段
38 監視対象空間
40 γカメラ(γ線画像検出手段)
41 データ処理手段
43 計算判定手段
45 燃料プール
46 水中カメラ
47 画像処理手段
48 第1判定手段
49 第2判定手段
50 γ線検出手段
55 金属製容器
56 ガス状放射性核種
57 γ線
60 気泡ファン
61 ファン駆動制御装置
62 放射線検出器
63 放射化評価手段
64 放射化散乱成分評価手段
65 ガス状帯域放射能評価手段
66 ガス状放射能評価手段
67 警報発生手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、
監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、
特定γ線検出手段からのγ線測定値によってグロスγ線検出手段からのグロスγ線測定値による放射線監視を除外する判定装置とを有し、
この判定装置により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項2】
高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、
監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、
前記両γ線検出手段からのγ線測定信号を入力し、双方のγ線測定値を同時に監視する判定装置とを有し、
この判定装置により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項3】
高線量作業の線源となる核種からのγ線のみを検出する特定γ線検出手段と、
監視対象とする事象に伴なう検出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、
前記両γ線検出手段でそれぞれ測定されたγ線測定値の差分値を算出する差分値計算手段と、
この計算手段からの差分値の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項4】
監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
このγ線検出手段で測定されたγ線測定値の時間変化率を算出する計算手段と、
この計算手段から出力されるγ線測定値の時間変化率の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項5】
監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
このγ線検出手段で測定されたγ線測定値をN倍し、環境への放出放射線量を規定値以下に制限する一次遅れ処理を施す計算手段と、
この計算手段から出力される一次遅れ処理した計算値から放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項6】
監視対象とする事象に伴なう複数の放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
このγ線検出手段からのγ線測定値により、放出核種毎のエネルギレベルのγ線をパルス波高弁別によりカウントするパルス波高弁別手段と、
このパルス波弁別手段でカウントされた放出核種毎のカウント値の比率から放射線監視を判別する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項7】
監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
このγ線検出手段で測定されたγ線測定値の大きさから放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段は、プラントからの運転モード信号または監視対象機器あるいは装置からの運転状況信号を入力可能とし、この入力信号に応じて放射線監視の有効・除外を自動的に切り換えるように設定され、
前記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項8】
監視対象とする事象に伴なう放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
プラントからの運転モード信号、または監視対象機器あるいは装置からの運転状況信号に応じて監視設定値を自動的に切り換える設定値選択手段と、
前記γ線検出手段からのγ線測定値を設定値選択手段からの監視設定値と比較して放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項9】
高線量作業の線源となる核種からの特定γ線のみを検出する特定γ線検出手段と、
監視対象とする事象に伴なう放出核種、および高線量作業の線源となる核種からのγ線量のグロスを検出するグロスγ線検出手段と、
前記特定γ線検出手段で測定されたγ線測定値から監視設定値を算出する設定値計算手段と、
前記グロスγ線検出手段からのグロスγ線測定値を、設定値計算手段からの監視設定値と比較して放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項10】
監視対象空間のγ線分布位置、強度を測定するγ線分布測定装置と、
このγ線分布測定装置から得られたγ線空間分布情報からγ線分布位置またはγ線分布強度の時間変化率を算出し、放射線監視を判断する計算判定手段とを有し、
この計算判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項11】
前記計算判定手段は、γ線分布測定装置からγ線空間分布情報を入力して監視対象空間中の特定箇所のγ線強度の時間変化率を算出し、この時間変化率から放射線監視を判断するようにした請求項10記載の放射線モニタリング装置。
【請求項12】
前記計算判定手段は、γ線分布測定装置からγ線空間分布情報を入力して監視空間中のγ線分布位置の広さを算出し、このγ線分布位置の広さから放射線監視を判断するようにした請求項10記載の放射線モニタリング装置。
【請求項13】
燃料プール周辺の監視対象エリアの放出核種からのγ線を検出するγ線検出手段と、
上記燃料プール内に設けられる水中カメラと、
この水中カメラからのカメラ画像を画像処理し、監視対象物の移動速度を算出する画像処理手段と、
この画像処理手段で処理された監視対象物の移動速度から通常定検時の水中作業と落下事故とを弁別する弁別判定手段と、
この弁別判定手段からの弁別出力により監視対象エリアの放射線監視の有効、無効を判断する判定手段とを備え、
この判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項14】
前記画像処理手段は、カメラ画像を画像処理し、水中の気泡あるいはこの気泡による水面の変化を検出し、
この水中気泡・水面の変化から弁別判定手段により通常定検時の水中作業と落下事故とを弁別するように設定した請求項13記載の放射線モニタリング装置。
【請求項15】
金属製放射化物から放出されるγ線強度を検出する放射線検出手段と、
この放射線検出器で計測された前記放射化物のγ線強度から、監視対象とする事象に特有の放出核種から放出されるγ線エネルギへの散乱寄与成分を予測する手段と、
この予測手段で予測された予測値に対して、放射線検出器からのγ線測定信号を監視し、放射線監視を判断する判定手段とを有し、
上記判定手段により監視対象の事象を検知することを特徴とする放射線モニタリング装置。
【請求項16】
監視対象エリアの空気を収集する収集手段と、この収集手段の空気収集部に設けられた放射線検出器とを設けた請求項15記載の放射線モニタリング装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−108141(P2007−108141A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302005(P2005−302005)
【出願日】平成17年10月17日(2005.10.17)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】