説明

放射線撮影装置

【課題】複数の用途で使用が可能な放射線撮影装置を提供する。
【解決手段】放射線に対する特性が異なる発光層28A、28Bを備えた放射線検出器20A,20Bの間に、発光層28A,28Bでそれぞれ発生した光を互いに遮光する遮光層27を設けることで、それぞれの発光層28A、28Bで発光した光を分離して測定することができ、エネルギーに対する応答性、感度や解像度など、異なる情報を含む放射線画像を同時に撮影することが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、TFT(Thin Film Transistor)アクティブマトリクス基板上に放射線感応層を配置し、照射されたX線等の放射線を検出し、検出された放射線により表わされる放射線画像を示す電気信号を出力するFPD(Flat Panel Detector)等の放射線検出器が実用化されている。この放射線検出器は、従来のイメージングプレートに比べて、即時に画像を確認でき、動画も確認できるといったメリットがある。
【0003】
この種の放射線検出器に関する技術として、特許文献1には、表裏両面から受光可能な光電変換部の一方の面に第1のシンチレータに形成し、光電変換部の他方の面に第2のシンチレータを形成して、第1のシンチレータ、光電変換部、第2のシンチレータを順次に積層した放射線検出器が記載されている。この特許文献1の技術によれば、撮影の際に第1のシンチレータ側からX線が入射して第1のシンチレータが発光すると共に第1のシンチレータを透過したX線で第2のシンチレータが発光し、光電変換部で第1のシンチレータ及び第2のシンチレータで生じた光の両方を受光することにより高感度化できる。
【0004】
また、特許文献2には、照射された放射線を光に変換する2層のシンチレータと、2層のシンチレータの間に配置され、それらの2層のシンチレータにより変換された光を検出して電気信号に変換する固体光検出器とを備えた放射線検出器が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−145845号公報
【特許文献2】特開2007−163467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2の技術の放射線検出器は、2つのシンチレータで生じた光の両方を受光することにより高感度化できるものの、2つのシンチレータで生じた光を個別に検出できない。このため、各シンチレータで生じた光による放射線画像を個別に得ることができず、また、2つのシンチレータで生じた光による放射線画像によるエネルギーサブトラクション画像を得たい場合、別な放射線撮影装置で撮影を行う必要がある。
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑み、複数の用途で使用が可能な放射線撮影装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明の放射線撮影装置は、放射線が照射されることにより光を発生する発光層、及び当該発光層に発生した光を受光することにより電荷が蓄積されると共に当該電荷を読み出すためのスイッチ素子が形成された基板を各々有し、重なるように配置された2つの放射線検出器と、前記2つの放射線検出器の間に設けられ、当該2つの放射線検出器の発光層でそれぞれ発生した光を互いに遮光する遮光層と、を備えている。
【0009】
本発明の放射線撮影装置は、放射線が照射されることにより光を発生する発光層、及び当該発光層に発生した光を受光することにより電荷が蓄積されると共に当該電荷を読み出すためのスイッチ素子が形成された基板を各々有する2つの放射線検出器が重なるように配置され、2つの放射線検出器の間に、当該2つの放射線検出器の発光層でそれぞれ発生した光を互いに遮光する遮光層が設けられている。
【0010】
このように、本発明は、2つの放射線検出器の間に、当該2つの放射線検出器の発光層でそれぞれ発生した光を互いに遮光する遮光層を設けることにより、一方の放射線検出器の発光層の光が他方の放射線検出器に入射せず、また、他方の放射線検出器の発光層の光が一方の放射線検出器にも入射しなくなり、発光層で生じた光による放射線画像を個別に検出することができるため、複数の用途で使用することができる。
【0011】
なお、本発明は、請求項2に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器を発光層を
前記遮光層を挟むように配置してもよい。
【0012】
また、本発明は、請求項3に記載の発明のように、前記遮光層を、剛性を有する遮光性基板としてもよい。
【0013】
また、本発明は、請求項4に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の発光層の放射線に対する発光特性が異なってもよい。
【0014】
また、請求項4に記載の発明は、請求項5に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の発光層が、各発光層の厚み、各発光層に充填され、放射線が照射されることにより発光する粒子の粒径、当該粒子の重層構造、当該粒子の充填率、付活剤のドープ量、各発光層の材料、及び各発光層の層構造の少なくとも1つの変更、並びに各発光層の前記基板と非対向の面への前記光の反射する反射層の形成の何れかが行われてもよい。
【0015】
また、請求項4又は請求項5に記載の発明は、請求項6に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の発光層を、一方を画質重視の発光特性とし、他方を感度重視の発光特性としてもよい。
【0016】
また、請求項4又は請求項5に記載の発明は、請求項7に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の発光層を、一方側から放射線が照射された際に、放射線に対する発光特性が略同一となるようにしてもよい。
【0017】
また、請求項1〜請求項7に記載の発明は、請求項8に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の発光層の少なくとも一方が、放射線が照射されることにより発光する蛍光体材料の柱状結晶を含んで構成されてもよい。
【0018】
また、請求項8に記載の発明は、請求項9に記載の発明のように、前記蛍光体材料を、CsIとしてもよい。
【0019】
また、請求項1〜請求項9に記載の発明は、請求項10に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器の基板を、蓄積された電荷を読み出した信号の読み出し特性が異なるようにしてもよい。
【0020】
また、請求項1〜請求項10に記載の発明は、請求項11に記載の発明のように、前記遮光層が、放射線を遮蔽してもよい。
【0021】
また、請求項1〜請求項11に記載の発明は、請求項12に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器に蓄積された電荷の読み出しが個別に可能とされ、蓄積された電荷をそれぞれ電気信号として読み出し、読み出した電気信号に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する生成手段と、前記2つの放射線検出器に対する処理条件を受け付ける受付手段と、前記2つの放射線検出器に対する処理を切り替え可能とされ、前記受付手段により受け付けた処理条件に従い、前記2つの放射線検出器に対する処理を管理する管理手段と、をさらに備えてもよい。
【0022】
また、請求項12に記載の発明は、請求項13に記載の発明のように、前記2つの放射線検出器に対する替え可能な処理を、前記生成手段による前記2つの放射線検出器からの電荷の読み出し処理、前記2つの放射線検出器からそれぞれ読み出されて前記生成手段により生成された画像情報に対する画像処理、前記生成手段により生成された画像情報及び前記画像処理された画像情報の送信処理、並びに前記生成手段により生成された画像情報及び前記画像処理された画像情報の保存処理の少なくとも1つとしてもよい。
【0023】
また、請求項1〜請求項13に記載の発明は、請求項14に記載の発明のように、平板状に形成されると共に、前記2つの放射線検出器及び前記遮光層が内蔵され、当該平板の一方の面側、他方の面側の何れにおいても照射された放射線による放射線画像を撮影可能な撮影ユニットと、前記受付手段及び前記管理手段が内蔵された制御ユニットと、前記撮影ユニットと前記制御ユニットとが並んだ展開状態、及び前記撮影ユニットと前記制御ユニットとが重なり合って折り畳まれた収納状態に開閉可能に連結する連結部材と、を備えてもよい。
【0024】
また、請求項1〜請求項13に記載の発明は、請求項15に記載の発明のように、平板状に形成されると共に、前記2つの放射線検出器及び前記遮光層が内蔵され、当該平板の一方の面側、他方の面側の何れにおいても照射された放射線による放射線画像を撮影可能な撮影ユニットと、前記受付手段及び前記管理手段が内蔵された制御ユニットと、前記制御ユニットに対して前記撮影ユニットの一方の面、他方の面を反転可能に連結する連結部材と、を備えてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明の放射線撮影装置は、複数の用途で使用が可能な放射線撮影装置を提供できる、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施の形態に係る放射線検出器の構成を模式的に示した断面図である。
【図2】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示した平面図である。
【図3】実施の形態に係るTFT基板の構成を概略的に示した断面図である。
【図4】実施の形態に係る放射線検出器の構成を示した断面図である。
【図5】実施の形態に係るシンチレータ層の厚みと感度の変化を示すグラフである。
【図6】実施の形態に係るシンチレータ層の厚みと画質の変化を示すグラフである。
【図7】実施の形態に係る撮影部の構成を示す断面図である。
【図8】シンチレータ層の小粒子と大粒子の重層構造を示した模式図である。
【図9】シンチレータ層のTFT基板と反対側の面に反射層を形成した場合の構成を示す断面図である。
【図10】実施の形態に係る平板状の電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図11】実施の形態に係る平板状の電子カセッテの構成を示す断面図である。
【図12】実施の形態に係る電子カセッテの電気系の要部構成を示すブロック図である。
【図13】実施の形態に係る2つの放射線検出器、ゲート線ドライバ及び信号処理部の積層構成を示す斜視図である。
【図14】第1の実施の形態に係る画像読出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図15】実施の形態に係る開閉可能な電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図16】実施の形態に係る開閉可能な電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図17】実施の形態に係る開閉可能な電子カセッテの構成を示す断面図である。
【図18】実施の形態に係る反転可能な電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図19】実施の形態に係る反転可能な電子カセッテの構成を示す斜視図である。
【図20】実施の形態に係る反転可能な電子カセッテの構成を示す断面図である。
【図21】第2の実施の形態に係る2つの放射線検出器の画素配列を示す平面図である。
【図22】第2の実施の形態に係る画像読出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図23】第2の実施の形態に係る補完処理を模式的に示した図である。
【図24】実施の形態に係る撮影部の他の構成を示す断面図である。
【図25】実施の形態に係る撮影部の他の構成を示す断面図である。
【図26】実施の形態に係る撮影部の他の構成を示す断面図である。
【図27】実施の形態に係る撮影部の他の構成を示す断面図である。
【図28】CsIの累積被曝量と感度の関係を示すグラフである。
【図29】(A)は他の形態に係る開閉可能な電子カセッテの収納状態での断面構成を示す断面図であり、(B)は他の形態に係る開閉可能な電子カセッテの展開状態での断面構成を示す断面図である。
【図30】CsIで形成されたシンチレータ層の感度変化の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明を実施するための形態について説明する。
【0028】
[第1の実施の形態]
まず、本実施の形態に係る放射線検出器20の構成について説明する。
【0029】
図1には、本実施形態に係る放射線検出器20の構成を模式的に示した断面図が示されており、図2には、放射線検出器20の構成を示す平面図が示されている。
【0030】
図1に示すように、放射線検出器20は、絶縁性基板22に薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などのスイッチ素子24が形成されたTFT基板26を備えている。
【0031】
このTFT基板26上には、入射される放射線を変換する放射線変換層の一例として、入射される放射線を光に変換するシンチレータ層28が形成されている。
【0032】
シンチレータ層28としては、例えば、CsI:Tl、GOS(GdS:Tb)を用いることができる。なお、シンチレータ層28は、これらの材料に限られるものではない。
【0033】
シンチレータ層28が発する光の波長域は、可視光域(波長360nm〜830nm)であることが好ましく、この放射線検出器20によってモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。
【0034】
シンチレータ層28に用いる蛍光体としては、具体的には、放射線としてX線を用いて撮像する場合、ヨウ化セシウム(CsI)を含むものが好ましく、X線照射時の発光スペクトルが420nm〜600nmにあるCsI(Tl)を用いることが特に好ましい。なお、CsI(Tl)の可視光域における発光ピーク波長は565nmである。
【0035】
シンチレータ層28は、例えば、CsI(Tl)等の柱状結晶で形成しようとする場合、蒸着基板への蒸着によって形成されてもよい。このように蒸着によってシンチレータ層28を形成する場合、蒸着基板は、X線の透過率、コストの面からAlの板がよく使用されるがこれに限定されるものではない。なお、シンチレータ層28としてGOSを用いる場合、蒸着基板を用いずにTFT基板26の表面にGOSを塗布することにより、シンチレータ層28を形成してもよい。
【0036】
絶縁性基板22としては、光透過性を有し且つ放射線の吸収が少ないものあれば何れでもよく、例えば、ガラス基板、透明セラミック基板、光透過性の樹脂基板を用いることができる。なお、絶縁性基板22は、これらの材料に限られるものではない。
【0037】
シンチレータ層28とTFT基板26との間には、シンチレータ層28によって変換された光が入射されることにより電荷を発生する光導電層30が配置されている。この光導電層30のシンチレータ層28側の表面には、光導電層30にバイアス電圧を印加するためのバイアス電極32が形成されている。
【0038】
光導電層30は、シンチレータ層28から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。光導電層30は、光が照射されることにより電荷を発生する材料により形成すればよく、例えば、アモルファスシリコンや有機光電変換材料などにより形成することができる。アモルファスシリコンを含む光導電層30であれば、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ層28による発光を吸収することができる。有機光電変換材料を含む光導電層30であれば、可視域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ層28による発光以外の電磁波が光導電層30に吸収されることがほとんどなく、X線等の放射線が光導電層30で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。
【0039】
光導電層30を構成する有機光電変換材料は、シンチレータ層28で発光した光を最も効率良く吸収するために、その吸収ピーク波長が、シンチレータ層28の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光電変換材料の吸収ピーク波長とシンチレータ層28の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ層28から発された光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光電変換材料の吸収ピーク波長と、シンチレータ層28の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0040】
このような条件を満たすことが可能な有機光電変換材料としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光電変換材料としてキナクリドンを用い、シンチレータ層28の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光導電層30で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0041】
TFT基板26には、光導電層30で発生した電荷を収集する電荷収集電極34が形成されている。TFT基板26では、各電荷収集電極34で収集された電荷が、スイッチ素子24によって読み出される。
【0042】
次に、本実施の形態に係る放射線検出器20に適用可能な光導電層30について具体的に説明する。
【0043】
本発明に係る放射線検出器20における電磁波吸収/光電変換部位は、1対の電荷収集電極34,バイアス電極32と、該電荷収集電極34,バイアス電極32間に挟まれた光導電層30とを含む有機層により構成することができる。この有機層は、より具体的には、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ねもしくは混合により形成することができる。
【0044】
上記有機層は、有機p型化合物または有機n型化合物を含有することが好ましい。
【0045】
有機p型半導体(化合物)は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0046】
有機n型半導体(化合物)は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0047】
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び光導電層30の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光導電層30は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0048】
各画素部を構成するセンサ部36は、少なくとも電荷収集電極34、光導電層30、及びバイアス電極32を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜及び正孔ブロッキング膜の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【0049】
電子ブロッキング膜は、電荷収集電極34と光導電層30との間に設けることができ、電荷収集電極34とバイアス電極32間にバイアス電圧を印加したときに、電荷収集電極34から光導電層30に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0050】
電子ブロッキング膜には、電子供与性有機材料を用いることができる。
【0051】
実際に電子ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光導電層30の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、かつ、隣接する光導電層30の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0052】
電子ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部36の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
【0053】
正孔ブロッキング膜は、光導電層30とバイアス電極32との間に設けることができ、電荷収集電極34とバイアス電極32間にバイアス電圧を印加したときに、バイアス電極32から光導電層30に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0054】
正孔ブロッキング膜には、電子受容性有機材料を用いることができる。
【0055】
正孔ブロッキング膜の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させるとともに、センサ部36の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下である。
【0056】
実際に正孔ブロッキング膜に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光導電層30の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、かつ、隣接する光導電層30の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0057】
なお、光導電層30で発生した電荷のうち、正孔がバイアス電極32に移動し、電子が電荷収集電極34に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜の位置を逆にすれば良い。又、電子ブロッキング膜と正孔ブロッキング膜は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【0058】
図3には、スイッチング素子24の構成が概略的に示されている。
【0059】
TFT基板26には、電荷収集電極34に対応して、電荷収集電極34に移動した電荷を電気信号に変換して出力するスイッチング素子24が形成されている。スイッチング素子24の形成された領域は、平面視において電荷収集電極34と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部におけるスイッチング素子24とセンサ部36とが厚さ方向で重なりを有することとなる。なお、放射線検出器20(画素部)の平面積を最小にするために、スイッチング素子24の形成された領域が電荷収集電極34によって完全に覆われていることが望ましい。
【0060】
スイッチング素子24は、ゲート電極220、ゲート絶縁膜222、及び活性層(チャネル層)224が積層され、さらに、活性層224上にソース電極226とドレイン電極228が所定の間隔を開けて形成されている。
【0061】
ドレイン電極228は、絶縁性基板22と電荷収集電極34との間に設けられた絶縁膜219を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する電荷収集電極34と電気的に接続されている。これにより、電荷収集電極34で捕集された電荷をスイッチング素子24に移動させることができる。
【0062】
活性層224は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブなどにより形成することができる。なお、活性層224を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【0063】
活性層224を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層224を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
【0064】
活性層224を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。
【0065】
スイッチング素子24の活性層224を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、スイッチング素子24におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0066】
また、活性層224をカーボンナノチューブで形成した場合、スイッチング素子24のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いスイッチング素子24を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層224を形成する場合、活性層224に極微量の金属性不純物が混入するだけで、スイッチング素子24の性能は著しく低下するため、遠心分離などにより極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【0067】
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光電変換材料は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、絶縁性基板22としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリ(クロロトリフルオロエチレン)等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【0068】
また、基板22には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0069】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(indium tin oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して絶縁性基板22を形成してもよい。
【0070】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、かつ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、かつフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて薄く絶縁性基板22を形成できる。
【0071】
本実施の形態では、絶縁性基板22上に、スイッチング素子24、センサ部36、透明な平坦化層38を順に形成し、当該絶縁性基板22上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いた接着層39でシンチレータ層28を貼り付けることにより放射線検出器20を形成している。以下、平坦化層38まで形成された絶縁性基板22をTFT基板26と称する。
【0072】
TFT基板26には、図2に示すように、バイアス電極32、光導電層30、電荷収集電極34により構成され、光が入射されることにより電荷を発生するフォトダイオードとして機能するセンサ部36、センサ部36に蓄積された電荷を読み出すためのスイッチ素子24と、を含んで構成される画素37が一定方向(図2の行方向)及び一定方向に対する交差方向(図2の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0073】
また、TFT基板26には、一定方向(行方向)に延設され各スイッチ素子24をオンオフさせるための複数本のゲート配線40と、交差方向(列方向)に延設されオン状態のスイッチ素子24を介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線42が設けられている。
【0074】
なお、TFT基板26上には、TFT基板26上を平坦化するための平坦化層38(図1参照)が形成されている。また、TFT基板26とシンチレータ層28との間であって、平坦化層38上には、シンチレータ層28をTFT基板26に接着するための接着層39が、形成されている。
【0075】
TFT基板26は、平板状で平面視において外縁に4辺を有する四辺形状をしている。具体的には、矩形状に形成されている。
【0076】
ここで、放射線検出器20は、図4に示すように、シンチレータ層28が接着された表側から放射線が照射(表面照射、裏面読取方式(所謂PSS(Penetration Side Sampling)方式)ともいう)されてもよく、TFT基板26側(裏側)から放射線が照射(裏面照射、表面読取方式(所謂ISS(Irradiation Side Sampling)方式ともいう)されてもよい。放射線検出器20は、表側から放射線が照射された場合、シンチレータ層28の上面側(TFT基板26の反対側)でより強く発光し、裏側から放射線が照射された場合、TFT基板26を透過した放射線がシンチレータ層28に入射してシンチレータ層28のTFT基板26側がより強く発光する。各光導電層30には、シンチレータ層28で発生した光により電荷が発生する。このため、放射線検出器20は、表側から放射線が照射された場合の方が裏側から放射線が照射された場合よりも、放射線がTFT基板26を透過しないため、放射線に対する感度を高く設計することが可能であり、また、裏側から放射線が照射された場合の方が表側から放射線が照射された場合よりも各光導電層30に対するシンチレータ層28の発光位置が近いため、撮影によって得られる放射線画像の分解能が高い。
【0077】
図5には、放射線検出器20に対して放射線を表面照射した場合と放射線検出器20に対して放射線を裏面照射した場合でのシンチレータ層28の厚みと感度の変化の一例が示されおり、図6には、放射線検出器20に対して表面から放射線を照射した場合と放射線検出器20に対して裏面から放射線を照射した場合でのシンチレータ層28の厚みとMTF(Modulation Transfer Factor)の変化の一例が示されている。
【0078】
次に、放射線画像の撮影を行う撮影部21の構成について説明する。
【0079】
本実施の形態に係る撮影部21は、照射された放射線により示される放射線画像の撮影を行う撮影系を2つ有し、各撮影系により撮影された放射線画像を示す画像情報を個別に読み出し可能なように構成されている。
【0080】
具体的には、図7に示すように、放射線を透過させ、光を遮蔽する遮光板27の上面及び下面にシンチレータ層28が位置するように2つの放射線検出器20(20A、20B)を配置している。以下、2つの放射線検出器20A、20Bのシンチレータ層28、TFT基板26を区別する場合、放射線検出器20Aのシンチレータ層28、TFT基板26に符号Aを付し、放射線検出器20Bのシンチレータ層28、TFT基板26に符号Bを付して説明する。
【0081】
このように、遮光板27の一方の面にシンチレータ層28AとTFT基板26Aを順に設けたことにより、放射線検出器20Aは一方の面側からの放射線の照射が裏面照射となり、遮光板27の他方の面にシンチレータ層28BとTFT基板26Bを順に設けたことにより、放射線検出器20Bは他方の面側からの放射線の照射が裏面照射となる。また、2つの放射線検出器20A、20Bの間に遮光板27を設けたことにより、シンチレータ層28Aで発生した光がシンチレータ層28B側へ透過せず、シンチレータ層28Bで発生した光がシンチレータ層28A側へ透過しない。
【0082】
ここで、上述のようにシンチレータ層28は、図5、図6に示すように厚みによっても発光特性が変化する。
【0083】
シンチレータ層28は、厚い程、発光量が多く、感度が高くなるが光散乱等で画質が低下する。
【0084】
よって、シンチレータ層28A、28Bの厚みをシンチレータ層28B>シンチレータ層28Aとすることによりシンチレータ層28A側を画質重視とし、シンチレータ層28B側を感度重視とすることができる。なお、シンチレータ層28は、50μ未満ではX線に対する出力が十分に得られず、表面照射の場合、300μmを超えるとなると反射光がシンチレータ層28内で散乱、吸収されてしまうので表面に出てくる光量が不十分となりやすくなる。表面照射で用いる場合、シンチレータ層28は、厚みを50〜300μの範囲とすることが好ましく、100〜250μmの範囲とすることがより好ましい。
【0085】
また、シンチレータ層28は、シンチレータ層28に充填され、放射線が照射されることにより発光する粒子の粒径が大きい程、発光量が多く、感度が高くなるが、光散乱や検出画素に接している粒子が隣の画素に影響を与えるので、画質が低下する。
【0086】
よって、シンチレータ層28A、28Bの粒子の粒径をシンチレータ層28B>シンチレータ層28Aとすることによりシンチレータ層28A側を画質重視とし、シンチレータ層28B側を感度重視とすることができる。
【0087】
また、シンチレータ層28は、小粒子と大粒子の重層構造とすることができる。例えば、図8に示すように、シンチレータ層28は照射側を小粒子の領域25Aとし、TFT基板26側を大粒子の領域25Bとした方が画像のボケが少ないが、小粒子で放射状に発した光の斜め成分がTFT基板26まで届き難く感度が低下する。また、領域25Aと領域25Bの比率を変えて、小粒子の層に対して大粒子の層を多くすることにより感度が高くなるが、光散乱が隣の画素に影響を与えるので、画質が低下する。
【0088】
よって、シンチレータ層28A、28Bの粒子の重層構造を変えることにより、シンチレータ層28A側を画質重視とし、シンチレータ層28B側を感度重視とすることができる。
【0089】
また、シンチレータ層28は、充填率が高いほど感度が高くなるが、光の散乱が多くなり画質が低下する。ここで、充填率とは、シンチレータ層28の粒子の総体積/シンチレータ層28の体積×100した値である。なお、シンチレータ層28は、粉体を取り扱う上、充填率が80%を超えると製造上困難であるため、充填率が50〜80体積%が好ましい。
【0090】
よって、シンチレータ層28A、28Bの粒子の充填率をシンチレータ層28B>シンチレータ層28Aとすることによりシンチレータ層28A側を画質重視とし、シンチレータ層28B側を感度重視とすることができる。
【0091】
また、シンチレータ層28は、付活剤のドープ量によっても発光特性が変化し、付活剤のドープ量が多くなるほど発光量が増加する傾向があるが、光の散乱が多くなり画質が低下する。
【0092】
よって、シンチレータ層28A、28Bの付活剤のドープ量をシンチレータ層28B>シンチレータ層28Aとすることによりシンチレータ層28A側を画質重視とし、シンチレータ層28B側を感度重視とすることができる。
【0093】
また、シンチレータ層28は、用いる材料を変えることにより、放射線に対する発光特性が異なる。
【0094】
例えば、シンチレータ層28AをGOSで形成し、シンチレータ層28BをCsI:Tlで形成することにより、シンチレータ層28Aは感度重視となり、シンチレータ層28Bは画質重視となる。
【0095】
また、シンチレータ層28は、平板状や柱状分離の層構造とすることにより、放射線に対する発光特性が異なる。
【0096】
例えば、シンチレータ層28Aを平板状の層構造とし、シンチレータ層28Bを柱状分離の層構造とすることにより、シンチレータ層28Aは感度重視となり、シンチレータ層28Bは画質重視となる。
【0097】
また、図9に示すように、シンチレータ層28のTFT基板26と反対側の面にX線を透過し、可視光の反射する反射層29を形成することにより、発生した光をより効率的にTFT基板26へ導けるため、感度が向上する。この反射層を設ける方法は、スパッタ法、蒸着法、塗布法のいずれでも良い。反射層29としては、Au,Ag,Cu,Al,Ni,Tiなど、使用するシンチレータ層28の発光波長領域での反射の高い物質が好ましい。例えば、シンチレータ層28がGOS:Tbの場合、波長は400〜600nmにおいて反射率の高いAg,Al,Cuなどがよく、厚さは、0.01μm未満では反射率が得られず、3μを超えても反射率の向上で更なる効果が得られないため、0.01〜3μmが好ましい。
【0098】
ここで、シンチレータ層28は、粒子の粒径、粒子の重層構造、粒子の充填率、付活剤のドープ量、材料、層構造の変更や、反射層29の形成を組み合わせて行うことにより、特性を異ならせることができることは言うまでもない。
【0099】
また、TFT基板26A、26Bは、光導電層30の材料を変えたり、あるいは、TFT基板26Aとシンチレータ層28Aの間、TFT基板26Bとシンチレータ層28Bの間にフィルタを形成したり、TFT基板26AとTFT基板26Bとでフォトダイオードとして機能する光導電層30の受光面積を変えて、受光面積を感度重視する側で画質重視する側よりも広くしたり、TFT基板26AとTFT基板26Bとで画素ピッチを変えて画素ピッチを画質重視する側で感度重視する側よりも狭くしたり、TFT基板26A、26Bの信号の読み出し特性を変更することにより、TFT基板26A、26Bの光に対する受光特性を変えることができる。
【0100】
本実施の形態では、シンチレータ層28A、28Bの厚み、粒子の粒径、粒子の重層構造、粒子の充填率、付活剤のドープ量、材料、層構造を変えたり、反射層29を形成したり、あるいは、TFT基板26Aとシンチレータ層28の間、TFT基板26Bとシンチレータ層28の間にフィルタを形成したり、TFT基板26AとTFT基板26Bとでフォトダイオードとして機能する光導電層30の受光面積を変えて、受光面積を感度重視する側で画質重視する側よりも広くしたり、TFT基板26AとTFT基板26Bとで画素ピッチを変えて画素ピッチを画質重視する側で感度重視する側よりも狭くしたりすることにより、放射線検出器20A、20Bの撮影される放射線画像の特性を異ならせている。
【0101】
具体的には、放射線検出器20Aを画質重視とし、放射線検出器20Bを感度重視としている。
【0102】
次に、このような撮影部21を内蔵した電子カセッテ10の構成について説明する。
【0103】
図10には、電子カセッテ10の構成を示す斜視図が示されており、図11には、電子カセッテ10の断面図が示されている。
【0104】
電子カセッテ10は、放射線Xを透過させる材料からなる平板状の筐体18を備えており、防水性、密閉性を有する構造とされている。筐体18の内部には、上述の撮影部21が配設されている。筐体18は、平板状の一方の面及び他方の面の撮影部21の配設位置に対応する領域が撮影時に放射線が照射される撮影領域18A、18Bとされている。筐体18の内部には、遮光板27を挟んで放射線検出器20Aが撮影領域18A側となるように撮影部21が内蔵されており、撮影領域18Aが画質重視の撮影領域、撮影領域18Bが感度重視の撮影領域とされている。
【0105】
また、筐体18の内部の一端側には、放射線検出器20と重ならない位置(撮影領域18A、18Bの範囲外)に、後述する制御部50や電源部70を収容するケース31が配置されている。ここで、電子カセッテ10は、撮影領域18A、18Bの両面で放射線画像を撮影可能とするため、撮影領域18A、18B内に回路や素子などの放射線画像に影響を与える部材を配置しないようにしている。
【0106】
また、電子カセッテ10は、筐体18の側面に各種ボタンを備えた操作パネル19が設けられている。
【0107】
図12には、電子カセッテ10の電気系の要部構成を示すブロック図が示されている。
【0108】
放射線検出器20A、20Bは、それぞれ隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ52A、52Bが配置され、他辺側に信号処理部54A、54Bが配置されている。放射線検出器20Aの個々のゲート配線40はゲート線ドライバ52Aに接続され、放射線検出器20Aの個々のデータ配線42は信号処理部54Aに接続されており、放射線検出器20Bの個々のゲート配線40はゲート線ドライバ52Bに接続されており、放射線検出器20Bの個々のデータ配線42は信号処理部54Bに接続されている。
【0109】
なお、ゲート線ドライバ52A、52Bや信号処理部54A、54Bは、発熱するため、図13に示すように、放射線検出器20A、20Bを積層する際に、一方を他方に対して回転させてゲート線ドライバ52Aとゲート線ドライバ52B及び、信号処理部54Aと信号処理部54Bが重ならないように配置して互いの熱の影響を抑えることが好ましい。
【0110】
また、筐体18の内部には、制御部50として、画像メモリ56と、カセッテ制御部58と、無線通信部60とを備えている。
【0111】
TFT基板26A、26Bの各スイッチ素子24は、ゲート線ドライバ52A、52Bからゲート配線40を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされたスイッチ素子24によって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線42を伝送されて信号処理部54A、54Bに入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【0112】
図示は省略するが、信号処理部54A、54Bは、個々のデータ配線42毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路及びサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線42を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0113】
信号処理部54A、54Bには画像メモリ56が接続されており、信号処理部54A、54BのA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ56に順に記憶される。画像メモリ56は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ56に順次記憶される。
【0114】
画像メモリ56はカセッテ制御部58と接続されている。カセッテ制御部58はマイクロコンピュータによって構成され、CPU(中央処理装置)58A、ROMおよびRAMを含むメモリ58B、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部58Cを備えており、電子カセッテ10全体の動作を制御する。
【0115】
また、カセッテ制御部58には無線通信部60が接続されている。無線通信部60は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部58は、無線通信部60を介して、コンソールなどの放射線撮影全体を制御する外部装置と無線通信が可能とされており、コンソールとの間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0116】
カセッテ制御部58は、ゲート線ドライバ52A、52Bの動作を個別に制御しており、放射線検出器20A、20Bから放射線画像を示す画像情報の読み出しを個別に制御できる。カセッテ制御部58は、コンソールから無線通信部60を介して受信される撮影条件などの各種情報を記憶し、撮影条件に基づいてゲート線ドライバ52A、52Bを制御して放射線検出器20A、20Bから画像の読み出しを行う。
【0117】
また、カセッテ制御部58は、操作パネル19が接続されており、操作パネル19に対する操作内容を把握することができる。
【0118】
また、電子カセッテ10には、電源部70が設けられており、上述した各種回路や各素子(操作パネル19、ゲート線ドライバ52A、52B、信号処理部54A、54B、画像メモリ56、無線通信部60やカセッテ制御部58として機能するマイクロコンピュータ)は、電源部70から供給された電力によって作動する。電源部70は、電子カセッテ10の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。なお、図12では、電源部70と各種回路や各素子を接続する配線を省略している。
【0119】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ10の作用について説明する。
【0120】
本実施の形態に係る電子カセッテ10は、放射線画像を撮影する場合、放射線検出器20A、20Bの何れか一方のみでの撮影、放射線検出器20A、20Bの両方での撮影が可能とされている。
【0121】
また、放射線検出器20A、20Bで共に撮影を行う場合、放射線検出器20A、20Bによりそれぞれ撮影された放射線画像を対応する画素毎に重み付け加算する画像処理を行ってエネルギーサブトラクション画像の生成が可能とされている。
【0122】
また、電子カセッテ10は、放射線検出器20A、20Bによりそれぞれ撮影された放射線画像を示す画像情報、及び生成したエネルギーサブトラクション画像の画像情報の個別の保存が可能とされている。
【0123】
撮影者は、放射線画像の撮影を行う場合、コンソールに対して、用途に応じて画質重視、感度重視、エネルギーサブトラクション画像の何れかを撮影画像として指定する。また、撮影者は、撮影画像としてエネルギーサブトラクション画像を指定した場合、コンソールに対して、電子カセッテ10でのエネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理の実施、不実施を指定する。さらに、撮影者は、コンソールに対して、電子カセッテ10内での撮影された画像情報の保存の実施、不実施を指定する。
【0124】
コンソールは、指定された撮影画像、エネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理の実施、不実施、画像情報の保存の実施、不実施を処理条件として電子カセッテ10へ送信する。
【0125】
電子カセッテ10は、送信された処理条件を記憶部58Cに記憶する。
【0126】
電子カセッテ10は、画質重視の撮影領域18Aと感度重視の撮影領域18Bが設けられており、全体を反転させることにより、撮影領域18A又は撮影領域18Bで放射線画像の撮影が可能とされている。
【0127】
電子カセッテ10は、画質重視及びエネルギーサブトラクション画像の撮影を行う場合、撮影領域18Aを上とし、感度重視での撮影を行う場合、撮影領域18Bを上として、図11に示すように、放射線を発生する放射線発生装置80と間隔を空けて配置され、撮影領域上に患者の撮影対象部位Bが配置される。放射線発生装置80は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。放射線発生装置80から射出された放射線Xは、撮影対象部位Bを透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ10に照射される。
【0128】
放射線発生装置80から照射された放射線Xは、撮影対象部位Bを透過した後に電子カセッテ10に到達する。これにより、電子カセッテ10に内蔵された放射線検出器20の各電荷収集電極34には照射された放射線Xの線量に応じた電荷が収集されて蓄積される。
【0129】
カセッテ制御部58は、放射線Xの照射終了後に、記憶部58Cに記憶された処理条件に従って画像を読出す画像読出処理を行う。
【0130】
図14には、CPU58Aにより実行される画像読出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。なお、当該プログラムはメモリ58BのROMの所定の領域に予め記憶されている。
【0131】
ステップS10では、処理条件として指定された撮影画像が画質重視であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS12へ移行し、否定判定となった場合はステップS14へ移行する。
【0132】
ステップS12では、ゲート線ドライバ52Aを制御し、ゲート線ドライバ52Aから画質重視の特性である放射線検出器20Aの各ゲート配線40に1ラインずつ順にON信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20Aから読み出された画像情報は、画像メモリ56に記憶される。
【0133】
一方、ステップS14では、処理条件として指定された撮影画像が感度重視であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS16へ移行し、否定判定となった場合はステップS20へ移行する。
【0134】
ステップS16では、ゲート線ドライバ52Bを制御し、ゲート線ドライバ52Bから感度重視の特性である放射線検出器20Bの各ゲート配線40に1ラインずつ順にON信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20Bから読み出された画像情報は、画像メモリ56に記憶される。
【0135】
ステップS18では、画像メモリ56に記憶された画像情報をコンソールへ送信する。
【0136】
これにより、放射線検出器20Aにより画質重視の特性で撮影された放射線画像の画像情報、又は放射線検出器20Bにより感度重視の特性で撮影された放射線画像の画像情報がコンソールへ送信される。
【0137】
一方、ステップS20では、処理条件として指定された撮影画像がエネルギーサブトラクション画像であるものとしてゲート線ドライバ52A、52Bを共に制御し、放射線検出器20A、20Bの各ゲート配線40に1ラインずつ順にON信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20A、20Bから読み出された画像情報は、画像メモリ56に共に記憶される。
【0138】
ステップS22では、処理条件としてエネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理の実施が指定されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS24へ移行し、否定判定となった場合はステップS28へ移行する。
【0139】
ステップS24では、画像メモリ56に記憶された放射線検出器20A、20Bによる画像情報に対して、放射線画像の対応する画素毎に重み付け加算を行ってエネルギーサブトラクション画像を生成する。
【0140】
次のステップS26では、生成されたエネルギーサブトラクション画像の画像情報をコンソールへ送信する。
【0141】
一方、ステップS28では、画像メモリ56に記憶された放射線検出器20A、20Bによる画像情報をコンソールへ送信する。コンソールは、送信された放射線検出器20A、20Bによる画像情報に対して、放射線画像の対応する画素毎に重み付け加算を行うことにより、エネルギーサブトラクション画像を生成できる。また、コンソールは、放射線検出器20Aにより画質重視の特性で撮影された放射線画像の画像情報と放射線検出器20Bにより感度重視の特性で撮影された放射線画像の画像情報を得ることもできる。
【0142】
ステップS30では、処理条件として画像情報の保存が指定されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS32へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0143】
ステップS32では、画像情報を識別するための識別情報を関連付けて上記ステップS12、ステップS16又はステップS20で読み出された画像情報を記憶部58Cに記憶する。
【0144】
ステップS34では、上記ステップS32で画像情報に関連付けた識別情報をコンソールへ送信して処理終了となる。
【0145】
コンソールは、送信された識別情報を記憶し、電子カセッテ10に記憶された画像情報を読み出したい場合、識別情報を電子カセッテ10へ送信する。
【0146】
電子カセッテ10は、コンソールから送信された識別情報を受信すると、当該識別情報の画像情報を記憶部58Cから読み出し、コンソールへ送信する。
【0147】
これにより、電子カセッテ10で撮影された放射線画像の画像情報を再度得ることができる。
【0148】
なお、電子カセッテ10は、画像情報を記憶部58Cに保存する保存期間を、例えば、所定期間経過するまでや、次の撮影が行われるまでと定めており、保存期間をコンソールへ通知することが好ましい。
【0149】
このように本実施の形態に係る電子カセッテ10は、画質重視の放射線画像、感度重視の放射線画像、エネルギーサブトラクション画像をそれぞれ撮影できるため、複数の用途に使用することができる。
【0150】
なお、本実施の形態に係る電子カセッテ10は、全体を反転させて撮影領域18A又は撮影領域18Bの両面での撮影を可能としたが、図15〜図17に示すような電子カセッテ10を開閉可能とする構成、図18〜図20に示すような電子カセッテ10の一部を反転可能とする構成が例示できる。
【0151】
図15及び図16には、電子カセッテ10の他の構成を示す斜視図が示されており、図17には、電子カセッテ10の概略構成を示す断面図が示されている。なお、上記電子カセッテ10(図10〜図11参照)と対応する部分については同一の符号を付して、同じ機能を有する部分については説明を省略する。
【0152】
電子カセッテ10は、上述した撮影部21、ゲート線ドライバ52A、52B、信号処理部54、54B等が内蔵され、照射された放射線による放射線画像を撮影する平板状の撮影ユニット12と、上述した制御部50や電源部70が内蔵された制御ユニット14とがヒンジ16によって開閉可能に連結されている。
【0153】
撮影ユニット12及び制御ユニット14は、一方に対して他方がヒンジ16を回動中心にて回動することにより、撮影ユニット12と制御ユニット14とが並んだ展開状態(図16)と、撮影ユニット12と制御ユニット14とが重なり合って折り畳まれた収納状態(図15)とに開閉可能とされている。
【0154】
また、電子カセッテ10は、制御ユニット14の上面に操作パネル19が設けられている。
【0155】
撮影ユニット12は、図17に示すように収納状態において放射線検出器20Bが制御ユニット14側となり、放射線検出器20Aが外側(制御ユニット14側の反対側)となるように撮影部21が内蔵されており、収納状態において外側となる面側が感度重視の撮影領域18Bとされ、制御ユニット14と対向する面側が画質重視の撮影領域18A(図16)とされている。
【0156】
撮影部21と制御部50や電源部70とは、ヒンジ16内に設けられた接続配線44により接続されている。
【0157】
このように、電子カセッテ10は、開閉させて撮影領域18A又は撮影領域18Bで撮影を行うことにより、特性の異なる放射線画像の撮影を簡易に行える。
【0158】
図18及び図19には、実施の形態に係る電子カセッテ10の他の構成を示す斜視図が示されており、図20には、電子カセッテ10の概略構成を示す断面図が示されている。なお、上記電子カセッテ10(図10〜図17参照)と対応する部分については同一の符号を付して、同じ機能を有する部分については説明を省略する。
【0159】
電子カセッテ10は、上述した撮影部21、ゲート線ドライバ52A、52B、信号処理部54、54Bが内蔵され、照射された放射線による放射線画像を撮影する平板状の撮影ユニット12と、上述した制御部50や電源部70が内蔵された制御ユニット14とが回転軸17によって回転可能に連結されている。
【0160】
また、撮影ユニット12は、撮影部21の配設位置に対応して平板状の一方の面及び他方の面に撮影領域18A、18Bが設けられている。
【0161】
また、電子カセッテ10は、制御ユニット14の上面に操作パネル19が設けられている。
【0162】
撮影部21は、放射線検出器20Bが撮影領域18B側となり、放射線検出器20Aが撮影領域18Aとなるように内蔵されており、撮影領域18Bが感度重視の撮影領域とされ、撮影領域18Aが画質重視の撮影領域とされている。
【0163】
撮影部21と制御部50や電源部70とは、回転軸17内に設けられた接続配線44により接続されている。
【0164】
撮影ユニット12及び制御ユニット14は、一方に対して他方が回転することにより、撮影領域18Aと操作パネル19とが並んだ状態(図18)と、撮影領域18Bと操作パネル19とが並んだ状態(図19)とに変更可能とされている。
【0165】
このように、電子カセッテ10は、回転させて撮影領域18A又は撮影領域18Bで撮影を行うことにより、特性の異なる放射線画像の撮影を簡易に行える。
【0166】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。
【0167】
第2の実施の形態に係る電子カセッテ10の構成は、上記第1の実施の形態(図1〜4参照)と同一であるので、ここでは異なる部分についてのみ説明し、同一の部分の説明は省略する。
【0168】
第2の実施の形態に係る撮影部21は、第1の実施の形態と同様に、2つの放射線検出器20A、20Bを遮光板27を挟んでシンチレータ層28側で対向(図7参照)させており、また、図21に示すように、2次元状に設けられた画素37が放射線検出器20A、20Bで一定方向(行方向)及び交差方向(列方向)に画素37間隔の半ピッチ分ずれるように配置している。なお、図21では、放射線検出器20Aの画素配列を実線で示し、放射線検出器20Bの画素配列を点線で示している。
【0169】
また、第2の実施の形態に係る撮影部21は、撮影領域18A側から放射線が照射された際に、放射線検出器20A、20Bで撮影される放射線画像の特性が略同一となるように、シンチレータ層28A、28Bの厚み、粒子の粒径、粒子の重層構造、粒子の充填率、付活剤のドープ量、材料、層構造等が調整されている。
【0170】
次に、本実施の形態に係る電子カセッテ10の作用について説明する。
【0171】
本実施の形態に係る電子カセッテ10も、放射線画像を撮影する場合、放射線検出器20A、20Bの何れか一方のみでの撮影、放射線検出器20A、20Bでの撮影が可能とされている。
【0172】
また、放射線検出器20A、20Bで共に撮影を行う場合、放射線検出器20A、20Bによりそれぞれ撮影された放射線画像で補間処理を行うことにより解像度を高めた高解像度の放射線画像の生成が可能とされている。
【0173】
また、電子カセッテ10は、放射線検出器20A、20Bによりそれぞれ撮影された放射線画像を示す画像情報、及び生成した高解像度の放射線画像の画像情報の個別の保存が可能とされている。
【0174】
本実施の形態に係る電子カセッテ10は、放射線画像を撮影する際に、撮影領域18Aを上として、図11に示すように、放射線を発生する放射線発生装置80と間隔を空けて配置され、撮影領域上に患者の撮影対象部位Bが配置される。
【0175】
撮影者は、放射線画像の撮影を行う場合、コンソールに対して、用途に応じて通常の診断に用いる標準画像、精密な検査で用いる高解像度画像の何れかを撮影画像として指定する。コンソールは、画像条件が指定されると、指定された画像条件を示す画像条件情報を電子カセッテ10へ送信する。また、撮影者は、撮影画像として高解像度画像を指定した場合、コンソールに対して、電子カセッテ10での高解像度画像を生成する画像処理の実施、不実施を指定する。さらに、撮影者は、コンソールに対して、電子カセッテ10内での撮影された画像情報の保存の実施、不実施を指定する。
【0176】
コンソールは、指定された撮影画像、高解像度画像を生成する画像処理の実施、不実施、画像情報の保存の実施、不実施を処理条件として電子カセッテ10へ送信する。
【0177】
電子カセッテ10は、送信された処理条件を記憶部58Cに記憶する。
【0178】
図22には、第2の実施の形態に係る画像読出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートが示されている。
【0179】
ステップS50では、処理条件として指定された撮影画像が標準画像であるか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS52へ移行し、否定判定となった場合はステップS56へ移行する。
【0180】
ステップS52では、ゲート線ドライバ52Aを制御し、ゲート線ドライバ52Aから画質重視の特性である放射線検出器20Aの各ゲート配線40に1ラインずつ順にON信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20Aから読み出された画像情報は、画像メモリ56に記憶される。
【0181】
ステップS54では、画像メモリ56に記憶された画像情報をコンソールへ送信する。
【0182】
これにより、放射線検出器20Aで撮影された放射線画像の画像情報がコンソールへ送信される。
【0183】
一方、ステップS56では、処理条件として指定された撮影画像が高解像度画像であるものとしてゲート線ドライバ52A、52Bを共に制御し、放射線検出器20A、20Bの各ゲート配線40に1ラインずつ順にON信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20A、20Bから読み出された画像情報は、画像メモリ56に共に記憶される。
【0184】
ステップS58では、処理条件として高解像度画像を生成する画像処理の実施が指定されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS60へ移行し、否定判定となった場合はステップS64へ移行する。
【0185】
ステップS60では、放射線画像の画像間隔が半分になったものとして、画像メモリ56に記憶された放射線検出器20A、20Bによる画像情報から各画素の画素値を補間処理に求めた高解像度の放射線画像を生成する。
【0186】
図23には、補間処理の一例が示されている。なお、図23では、放射線検出器20Aにより撮影された放射線画像90Aの画素配列を実線で示し、放射線検出器20Bにより撮影された放射線画像90Bの画素配列が点線で示し、生成される高解像度の放射線画像90Cの画素配列が一点鎖線で示している。
【0187】
本実施の形態では、放射線検出器20A、20Bの画素37の配列を一定方向(行方向)及び交差方向(列方向)に画素間隔の半ピッチ分ずらして配置している。このため、放射線画像90Aの画素配列(実線)と放射線画像90Bの画素配列(点線)は、画素間隔の半ピッチ分ずれている。本実施の形態では、放射線画像90Aの画素92Aと放射線画像90Bの画素92Bが重複する領域を高解像度の放射線画像90Cの画素92Cとしており、画素92Aと画素92Bの画素値を加算平均した値を画像Cの画素値(C=(A+B)/2)として放射線画像の画像情報を生成する。
【0188】
ステップS62では、生成された高解像度の放射線画像の画像情報をコンソールへ送信する。
【0189】
一方、ステップS64では、画像メモリ56に記憶された放射線検出器20A、20Bによる画像情報をコンソールへ送信する。コンソールは、送信された放射線検出器20A、20Bによる画像情報に対して、高解像度の放射線画像を生成する画像処理を行うことにより、高解像度の放射線画像を生成できる。また、コンソールは、放射線検出器20A20Bによる標準画像の放射線画像の画像情報を得ることもできる。
【0190】
ステップS66では、処理条件として画像情報の保存が指定されているか否かを判定し、肯定判定となった場合はステップS32へ移行し、否定判定となった場合は処理終了となる。
【0191】
ステップS68では、画像情報を識別するための識別情報を関連付けて上記ステップS52、又はステップS56で読み出された画像情報を記憶部58Cに記憶する。
【0192】
ステップS70では、上記ステップS68で画像情報に関連付けた識別情報をコンソールへ送信して処理終了となる。
【0193】
このように本実施の形態に係る電子カセッテ10は、解像度を変えた放射線画像を撮影できるため、複数の用途に使用することができる。
【0194】
ここで、1枚の放射線検出器20で高解像度の放射線画像を得ようとした場合、放射線検出器20の画素配列を微細化する必要があるため、放射線検出器20の歩留まりが悪くなる。
【0195】
一方、本実施の形態のように、2枚の放射線検出器20A、20Bで高解像度の放射線画像を生成する場合、放射線検出器20A、20Bの画素配列を微細化する必要はないため、歩留まりが良い。
【0196】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。発明の要旨を逸脱しない範囲で上記実施の形態に多様な変更または改良を加えることができ、当該変更または改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0197】
また、上記の実施の形態は、クレーム(請求項)にかかる発明を限定するものではなく、また実施の形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。前述した実施の形態には種々の段階の発明が含まれており、開示される複数の構成要件における適宜の組み合わせにより種々の発明を抽出できる。実施の形態に示される全構成要件から幾つかの構成要件が削除されても、効果が得られる限りにおいて、この幾つかの構成要件が削除された構成が発明として抽出され得る。
【0198】
なお、上記各実施の形態では、可搬型の放射線撮影装置である電子カセッテ10に適応した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、据置型の放射線撮影装置に適用してもよい。
【0199】
また、上記各実施の形態では、撮影部21を、図7に示すように、放射線を透過させ、光を遮蔽する遮光板27を挟んでシンチレータ層28A、28B側が対向するように2つの放射線検出器20A、20Bを配置した構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、図24に示すように、遮光板27を挟んでTFT基板26A、26B側が対向するように2つの放射線検出器20A、20Bを配置してもよい。また、例えば、図25に示すように、TFT基板26とシンチレータ層28の向きを揃えて放射線検出器20A、20Bを積層してもよい。また、例えば、図26に示すように、放射線検出器20A、20Bが共に裏面照射となるように積層してもよく、また、図27に示すように、放射線検出器20A、20Bが共に表面照射となるように積層してもよい。
【0200】
また、上記各実施の形態では、放射線を透過させ、光を遮蔽する遮光板27を挟んで2つの放射線検出器20A、20Bを配置した構成とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮影領域18A、18Bの両面でそれぞれ撮影を行うものとした場合、遮光板27が放射線を遮蔽するようにしてもよい。また、遮光板27を、剛性を有する遮光性基板として遮光板27で放射線検出器20A、20Bを保持させるようにしてもよい。遮光板27を剛性を有する遮光性基板とした場合、各々のTFTを遮光性基板に形成することができるので、従来TFTを形成していた絶縁性基板(実物ではガラス層)が不要となり、2つの絶縁性基板を無くすことができるので軽量化を図ることができる。この場合、遮光性基板にフレキタイプの発光層およびTFTを設けることができるため、例えば、TFTを遮光性基板と発光層の間に配置するようにしてもよい。
【0201】
また、上記第2の実施の形態では、放射線検出器20A、20Bの画素配列をずらした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、放射線検出器20A、20Bの画素配列を一致させ、放射線検出器20A、20Bにより撮影された放射線画像を、対応する画素に平均化して放射線画像を生成することにより、放射線画像に含まれるノイズを低下させることができる。
【0202】
また、上記各実施の形態では、撮影画像で指定された条件で使用しない撮影系から画像を読み出さない場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、第1の実施の形態において、処理条件として指定された撮影画像が画質重視及び感度重視のいずれでも放射線検出器20A、20Bから画像を読み込み、撮影画像が画質重視の場合は放射線検出器20Bから読み出した画像情報を送信せずに記憶部58Cに記憶させ、撮影画像が感度重視の場合は放射線検出器20Aから読み出した画像情報を送信せずに記憶部58Cに記憶させ、コンソールからの要求により記憶部58Cに記憶した画像情報をコンソールへ送信するものとしてもよい。
【0203】
また、上記各実施の形態では、撮影部21の各撮影系に対する処理条件をコンソールから無線通信により無線通信部60で受け付ける場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、操作パネル19からの入力により受け付けるものとしてもよい。
【0204】
また、上記各実施の形態では、撮影画像、エネルギーサブトラクション画像を生成する画像処理の実施、不実施、高解像度画像を生成する画像処理の実施、不実施、画像情報の保存の実施、不実施を処理条件とした場合について説明したが、これに限定されるものではない。例えば、撮影部21の各撮影系からの画像情報の読み出し処理の実施、不実施や、各撮影系から読み出された画像情報に対するその他各種の画像処理の実施、不実施、各撮影系から読み出された画像情報及び画像処理された画像情報の送信処理の実施、不実施、並びに各撮影系から読み出された画像情報及び前記画像処理された画像情報の保存処理の実施、不実施としてもよい。
【0205】
ところで、CsIは、図28に示すように、連続して撮影が行われて累積被曝量の増加と共に感度が低下し、放射線が照射されない状態で維持されると低下した感度が回復する。
【0206】
このため、例えば、図7、図24〜図27に示すように2つのシンチレータ層28(28A、28B)を有する撮影部21のシンチレータ層28A、28BをCsI(例えば、CsI:Tlの柱状結晶)で形成する。そして、この撮影部21を電子カセッテ10に内蔵させて一方の面及び他方の面(撮影領域18A、18B)で放射線画像を撮影可能に構成する。この場合、電子カセッテ10では、一方の面及び他方の面を照射された放射線の線量をそれぞれ検出して一方の面及び他方の面での累積被曝量をそれぞれ記憶し、累積被曝量から推測されるシンチレータ層28の感度が撮影される放射線画像の画質に影響が生じる所定の許容感度以下となった場合、シンチレータ層28の感度が許容感度以下となった面での撮影を禁止して、反対側の面での撮影を促すようにしてもよい。照射された放射線の線量の検出は、電子カセッテ10の内部に放射線を検知可能なセンサを設けて行うものとしてもよく、また、撮影された放射線画像の各画素の画素値から行うものとしてもよい(例えば、全画素の画素値の累計値を照射された放射線の線量とみなす)。シンチレータ層28の感度が許容感度以下となった面での撮影の禁止は、コンソールなどの外部装置を介して撮影者に通知するものとしてもよく、また、操作パネル19に表示部などを設けて表示により行うものとしてもよい。
【0207】
また、CsIは、高温環境に保存することで低下した感度が早く回復する。また、CsIは、使用環境温度が高い方が感度の低下を抑制できる。このため、例えば、図7、図24〜図27に示すように2つのシンチレータ層28(28A、28B)を有する撮影部21の一方のシンチレータ層28AをCsI(例えば、CsI:Tlの柱状結晶)で形成し、他方のシンチレータ層28BをGOSで形成する。そして、この撮影部21を図15〜図17に示す開閉可能な電子カセッテ10に内蔵させて一方の面及び他方の面(撮影領域18A、18B)で放射線画像を撮影可能に構成する。この場合、撮影部21は、収納状態においてシンチレータ層28Bが制御ユニット14側、シンチレータ層28Aが外側(制御ユニット14側の反対側)となるように撮影ユニット12に内蔵されることが好ましい。
【0208】
図29(A)(B)には、例えば、図7に示す撮影部21を図15〜図17に示す開閉可能な電子カセッテ10に内蔵させた状態が示されている。
【0209】
電子カセッテ10は、収納状態で制御ユニット14からの熱が撮影ユニット12に伝わり易い。このため、撮影領域18B側にシンチレータ層28Aを配置して収納状態(図29(A))での撮影にシンチレータ層28Aを用いることにより、シンチレータ層28Aの感度の低下が抑制される。一方、GOSは温度変化による感度の変化はほとんどない。このため、撮影領域18A側にシンチレータ層28Bを配置して展開状態(図29(B))での撮影にシンチレータ層28Bを用いることにより温度変化による感度の変化で画質の変化がほとんど発生しない。
【0210】
また、シンチレータ層28をCsIで形成した場合、累積被曝量からシンチレータ層28の感度の変化を推測し、シンチレータ層28の感度が許容感度以下となった際にシンチレータ層28の温度を高く維持して低下した感度を早く回復させるようにしてもよい。
【0211】
図30には、例えば、図29(A)(B)に示すような構成の電子カセッテ10において、CsIで形成されたシンチレータ層28Aの感度変化の一例が示されている。
【0212】
電子カセッテ10は、撮影1日目及び2日目、それぞれ撮影領域18Bでの撮影が行われることによりシンチレータ層28Aの感度が低下し、夜間に放射線が照射されない状態で維持されることによりシンチレータ層28Aの感度が回復する。また、電子カセッテ10は、撮影3日目、撮影領域18Bで連続的に放射線画像の撮影を行う透視撮影(動画撮影)が行われ、シンチレータ層28Aの感度が許容感度以下となった際に、撮影領域18Bでの撮影を禁止して、撮影領域18Aでの撮影や、他の電子カセッテ10での撮影を促すようにする。
【0213】
各撮影日でのシンチレータ層28Aの感度の変化は、例えば、各撮影日に最初に所定量の放射線を電子カセッテ10に照射して装置状態を校正するキャリブレーションを行うものとした場合、各撮影日のキャリブレーションの際にシンチレータ層28Aの感度を検出を行い、各撮影日の間、それぞれ照射された累積被曝量を求めてキャリブレーションの際に検出したシンチレータ層28Aの感度が、図28に示すように累積被曝量の増加と共に感度が低下するものとして、シンチレータ層28Aの感度を推定するものとしてもよい。また、撮影で放射線が照射された照射時期及び累積被曝量と放射線が照射されない状態で維持された期間からシンチレータ層28Aの感度を推定するものとしてもよい。
【0214】
また、電子カセッテ10は、シンチレータ層28Aの感度が許容感度以下となった場合、例えば、夜間、制御ユニット14を発熱させて、制御ユニット14の熱により撮影ユニット12を暖め、シンチレータ層28Aの温度を高く維持することにより低下したシンチレータ層28Aの感度を早く回復させている。なお、電子カセッテ10がクレードルなどの収容装置に収容されて保管される場合、収容装置が、夜間、電子カセッテ10を暖め、シンチレータ層28Aの温度を高く維持するものとしてもよい。
【0215】
その他、上記実施の形態で説明した電子カセッテ10及び放射線検出器20の構成は一例であり、本発明の主旨を逸脱しない範囲内において適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0216】
10 電子カセッテ
12 撮影ユニット
14 制御ユニット
16 ヒンジ(連結部材)
17 回転軸(連結部材)
19 操作パネル(受付手段)
20、20A、20B 放射線検出器
21 撮影部
22 絶縁性基板
24 スイッチ素子
26、26A、26B TFT基板
27 遮光板(遮光層)
28、28A、28B シンチレータ層(発光層)
52A、52B ゲート線ドライバ(生成手段)
54A、54B 信号処理部(生成手段)
58 カセッテ制御部(管理手段)
58A CPU(管理手段)
58B メモリ
60 無線通信部(受付手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線が照射されることにより光を発生する発光層、及び当該発光層に発生した光を受光することにより電荷が蓄積されると共に当該電荷を読み出すためのスイッチ素子が形成された基板を各々有し、重なるように配置された2つの放射線検出器と、
前記2つの放射線検出器の間に設けられ、当該2つの放射線検出器の発光層でそれぞれ発生した光を互いに遮光する遮光層と、
を備えた放射線撮影装置。
【請求項2】
前記2つの放射線検出器は、前記遮光層を挟むように前記発光層が配置された
請求項1記載の放射線撮影装置。
【請求項3】
前記遮光層を、剛性を有する遮光性基板とした
請求項1又は請求項2記載の放射線撮影装置。
【請求項4】
前記2つの放射線検出器の発光層は、放射線に対する発光特性が異なる
請求項1〜請求項3の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項5】
前記2つの放射線検出器の発光層は、各発光層の厚み、各発光層に充填され、放射線が照射されることにより発光する粒子の粒径、当該粒子の重層構造、当該粒子の充填率、付活剤のドープ量、各発光層の材料、及び各発光層の層構造の少なくとも1つの変更、並びに各発光層の前記基板と非対向の面への前記光の反射する反射層の形成の何れかが行われた
請求項4記載の放射線撮影装置。
【請求項6】
前記2つの放射線検出器の発光層は、一方が画質重視の発光特性とされ、他方が感度重視の発光特性とされた
請求項4又は請求項5記載の放射線撮影装置。
【請求項7】
前記2つの放射線検出器の発光層は、一方側から放射線が照射された際に、放射線に対する発光特性が略同一である
請求項4又は請求項5記載の放射線撮影装置。
【請求項8】
前記2つの放射線検出器の発光層の少なくとも一方は、放射線が照射されることにより発光する蛍光体材料の柱状結晶を含んで構成された
請求項1〜請求項7の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項9】
前記蛍光体材料を、CsIとした
請求項8項記載の放射線撮影装置。
【請求項10】
前記2つの放射線検出器の基板は、蓄積された電荷を読み出した信号の読み出し特性が異なる
請求項1〜請求項9の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項11】
前記遮光層は、放射線を遮蔽する
請求項1〜請求項10の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項12】
前記2つの放射線検出器に蓄積された電荷の読み出しが個別に可能とされ、蓄積された電荷をそれぞれ電気信号として読み出し、読み出した電気信号に基づいて放射線画像を示す画像情報を生成する生成手段と、
前記2つの放射線検出器に対する処理条件を受け付ける受付手段と、
前記2つの放射線検出器に対する処理を切り替え可能とされ、前記受付手段により受け付けた処理条件に従い、前記2つの放射線検出器に対する処理を管理する管理手段と、
をさらに備えた請求項1〜請求項11の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項13】
前記2つの放射線検出器に対する替え可能な処理は、前記生成手段による前記2つの放射線検出器からの電荷の読み出し処理、前記2つの放射線検出器からそれぞれ読み出されて前記生成手段により生成された画像情報に対する画像処理、前記生成手段により生成された画像情報及び前記画像処理された画像情報の送信処理、並びに前記生成手段により生成された画像情報及び前記画像処理された画像情報の保存処理の少なくとも1つである
請求項11記載の放射線撮影装置。
【請求項14】
平板状に形成されると共に、前記2つの放射線検出器及び前記遮光層が内蔵され、当該平板の一方の面側、他方の面側の何れにおいても照射された放射線による放射線画像を撮影可能な撮影ユニットと、
前記受付手段及び前記管理手段が内蔵された制御ユニットと、
前記撮影ユニットと前記制御ユニットとが並んだ展開状態、及び前記撮影ユニットと前記制御ユニットとが重なり合って折り畳まれた収納状態に開閉可能に連結する連結部材と、
を備えた請求項1〜請求項13の何れか1項記載の放射線撮影装置。
【請求項15】
平板状に形成されると共に、前記2つの放射線検出器及び前記遮光層が内蔵され、当該平板の一方の面側、他方の面側の何れにおいても照射された放射線による放射線画像を撮影可能な撮影ユニットと、
前記受付手段及び前記管理手段が内蔵された制御ユニットと、
前記制御ユニットに対して前記撮影ユニットの一方の面、他方の面を反転可能に連結する連結部材と、
を備えた請求項1〜請求項13の何れか1項記載の放射線撮影装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2011−227044(P2011−227044A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258015(P2010−258015)
【出願日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】