説明

放射線検出器の管理方法、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システム

【課題】複数の放射線検出器を組み込む際に、各放射線検出器の同一の画素位置(座標)に欠陥画素が配置されないように組み込むことができる放射線検出器の管理方法を提供する。
【解決手段】2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影装置の放射線検出器の管理方法であって、製造された複数の放射線検出器の欠陥画素の位置を把握し、1つの前記放射線画像撮影装置に2以上の放射線検出器を重ねて組み込む際に、把握した前記欠陥画素の位置を参照して、2以上の放射線検出器の欠陥画素が重ならないようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の放射線検出器を重ねて使用する場合の放射線検出器の管理方法と、複数の放射線検出器を重ねた構造の放射線画像撮影装置と、該放射線画像撮影装置を管理する放射線画像撮影システムとに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、該被写体を透過した前記放射線を放射線検出器に導いて放射線画像情報を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。前記放射線検出器としては、前記放射線画像情報が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に前記放射線画像情報としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで前記放射線画像情報を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線検出器は、前記放射線画像情報が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、あるいは、前記蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像を得ることができる。
【0003】
一方、手術室等においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線検出器から直ちに放射線画像情報を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線検出器として、放射線を直接電気信号に変換し、あるいは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。
【0004】
放射線検出器を収納する放射線画像撮影装置に関し、放射線検出器に欠陥画素があった場合、欠陥画素の周辺画素を利用して補正する方法が知られている(特許文献1及び2参照)。
【0005】
特許文献1には、1枚の放射線検出器を組み込んだ放射線画像撮影装置における画素欠陥補正が記載され、特許文献2には、2枚の放射線検出器を組み込んだ放射線画像撮影装置における画素欠陥補正が記載されている。
【0006】
特に、特許文献2には、「前方の平面型X線検出器51(又は後方の平面型X線検出器52)内で、あるX線検出素子に欠陥が生じて出力エラーが起こったとき、傷補正プロセッサ25で、その欠陥素子と同じ画素位置の後方の平面型X線検出器52(又は前方の平面型X線検出器51)の素子出力に係数を乗算することで当該欠陥素子の信号を推定する、つまり傷補正を行うことができる。」との記載があり、同じ画素位置の欠陥のない素子の出力を利用することから、特許文献1よりも優位性があると考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2000−284059号公報
【特許文献2】特開2001−145617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、本来、放射線検出器に欠陥画素が存在しないことが理想である。しかし、全く欠陥画素がない放射線検出器を製造するのは、実際上、困難であり、多大なるコストがかかるという問題がある。これは、量産化を図った安価なシステム構築の妨げにもなる。一方、欠陥画素がある程度存在してもよいとしても、特許文献2記載の方法は、2枚の放射線検出器の同一の画素位置(座標)にそれぞれ欠陥画素があった場合、欠陥画素を補正することができない、という問題がある。
【0009】
そこで、初期段階で、欠陥画素があったとしても、補正を行うことができる程度の欠陥画素を許容するシステムの構築、すなわち、欠陥画素をある程度許容できるシステムの構築が望まれている。
【0010】
本発明はこのような課題を考慮してなされたものであり、2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影システムに関し、初期段階において、欠陥画素をある程度許容でき、量産化を図った安価なシステムを構築することができる放射線検出器の管理方法、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
[1] 第1の本発明に係る放射線検出器の管理方法は、2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影装置の放射線検出器の管理方法であって、製造された複数の放射線検出器の欠陥画素の位置を把握し、1つの前記放射線画像撮影装置に2以上の放射線検出器を重ねて組み込む際に、把握した前記欠陥画素の位置を参照して、2以上の放射線検出器の欠陥画素が重ならないようにすることを特徴とする。
【0012】
[2] 第1の本発明において、1つの前記放射線画像撮影装置に2以上の放射線検出器を重ねて組み込む際に、2以上の放射線検出器の同一の画素位置に欠陥画素が重ならないようにすることを特徴とする。
【0013】
[3] 第1の本発明において、製造された前記複数の放射線検出器から、1つの前記放射線画像撮影装置に組み込む2つの放射線検出器を選択する選択ステップを有し、前記選択ステップは、把握した前記欠陥画素の位置を参照して、同一の画素位置に欠陥画素が重ならない2つの放射線検出器を選択することをことを特徴とする。
【0014】
[4] 第1の本発明において、製造された前記複数の放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録された複数の領域情報テーブルを作成するステップを有し、前記第1領域と前記第2領域は、それぞれ同じ画素配列を有し、前記選択ステップは、前記複数の領域情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、前記第1領域と前記第2領域とが重なる関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする。
【0015】
[5] 第1の本発明において、前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、重ねられた前記2つの放射線検出器における前記領域情報テーブルに基づいて、前記第1領域同士が重なる関係になっているか否かを判別するステップと、前記判別ステップにおいて、前記第1領域同士が重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする。
【0016】
[6] 第1の本発明において、前記2つの放射線検出器の前記第1領域及び前記第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、前記第1領域同士が重なる部分を第1色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第2色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする。
【0017】
[7] 第1の本発明において、製造された前記複数の放射線検出器に対応して作成され、補正単位領域の位置情報が登録された補正領域情報テーブルを作成するステップを有し、前記補正単位領域は、欠陥画素と該欠陥画素を補正する際に用いられる周辺画素の領域を示し、前記選択ステップは、前記複数の補正領域情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、一方の放射線検出器の補正単位領域に、他方の放射線検出器の補正単位領域の一部でも重ならない関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする。
【0018】
[8] 第1の本発明において、前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記補正領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、重ねられた前記2つの放射線検出器における前記補正領域情報テーブルに基づいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっているか否かを判別するステップと、前記判別ステップにおいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする。
【0019】
[9] 第1の本発明において、前記放射線画像撮影装置に組み込まれた2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする。
【0020】
[10] 第1の本発明において、前記放射線画像撮影装置に対して2つの前記放射線検出器を少なくとも一方向に1画素ピッチ未満の範囲でずらして組み込む際に、製造された前記複数の放射線検出器に対応し、欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素の位置情報が登録された複数の周辺画素情報テーブルを作成するステップを有し、前記選択ステップは、前記複数の周辺画素情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれず、且つ、他方の欠陥画素が一方の欠陥画素とその周辺画素に含まれない関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする。
【0021】
[11] 第1の本発明において、前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記周辺画素情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、重ねられた前記2つの放射線検出器における前記周辺画素情報テーブルに基づいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっているか否かを判別するステップと、前記判別ステップにおいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする。
【0022】
[12] 第1の本発明において、前記放射線画像撮影装置に組み込まれた2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする。
【0023】
[13] 第1の本発明において、前記カラー表示ステップは、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記欠陥画素同士が重なっている箇所が存在している部分を異なった色で表示することを特徴とする。
【0024】
[14] 第2の本発明に係る放射線画像撮影装置は、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影装置において、前記2以上の放射線検出器は、それぞれ同一の画素位置に欠陥画素が重ならないように組み込まれていることを特徴とする。
【0025】
[15] 第2の本発明において、前記放射線検出器が2つ設けられており、前記2つの放射線検出器の間に設けられ、且つ前記放射線を光に変換するシンチレータをさらに備え、前記シンチレータよりも前記被写体側に位置する放射線検出器は、前記光を吸収して該光に応じた電荷を発生する光電変換部と、前記電荷を電気信号に変換して出力する信号出力部と、を有し、前記光電変換部は、有機光導電体を含んで構成されており、前記信号出力部は、有機半導体材料を含んで構成されていることを特徴とする。
【0026】
[16] 第3の本発明に係る放射線画像撮影システムは、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、前記2つの放射線検出器に対応して作成され、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録された複数の領域情報テーブルと、前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、前記領域情報テーブルに反映させるテーブル更新部と、反映後の前記領域情報テーブルに基づいて、前記第1領域同士が重なる関係になっているか否かを判別する判別部と、前記判別部において、前記第1領域同士が重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力部とを有することを特徴とする。
【0027】
[17] 第3の本発明において、前記2つの放射線検出器の前記第1領域及び前記第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、前記第1領域同士が重なる部分を第1色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第2色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする。
【0028】
[18] 第4の本発明に係る放射線画像撮影システムは、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、前記2つの放射線検出器に対応して作成され、欠陥画素と該欠陥画素を補正する際に用いられる周辺画素の領域を示す補正単位領域の位置情報が登録された補正領域情報テーブルと、前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記補正領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、前記2つの放射線検出器における前記補正領域情報テーブルに基づいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっているか否かを判別するステップと、前記判別ステップにおいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする。
【0029】
[19] 第4の本発明において、前記2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする。
【0030】
[20] 第5の本発明に係る放射線画像撮影システムは、被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が少なくとも一方向に1画素未満の範囲でずらして組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、前記2つの放射線検出器に対応して作成され、欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素の位置情報が登録された周辺画素情報テーブルと、前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記周辺画素情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、前記2つの放射線検出器における前記周辺画素情報テーブルに基づいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっているか否かを判別するステップと、前記判別ステップにおいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする。
【0031】
[21] 第5の本発明において、前記2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする。
【0032】
[22] 第3〜第5の本発明において、前記カラー表示ステップは、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記欠陥画素同士が重なっている箇所が存在している部分を異なった色で表示することを特徴とする。
【0033】
[23] 第3〜第5の発明において、前記放射線画像撮影装置は、前記2つの放射線検出器の間に設けられ、且つ前記放射線を光に変換するシンチレータをさらに備え、前記シンチレータよりも前記被写体側に位置する放射線検出器は、前記光を吸収して該光に応じた電荷を発生する光電変換部と、前記電荷を電気信号に変換して出力する信号出力部と、を有し、前記光電変換部は、有機光導電体を含んで構成されており、前記信号出力部は、有機半導体材料を含んで構成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0034】
本発明に係る放射線検出器の管理方法、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムによれば、2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影システムに関し、初期段階において、欠陥画素をある程度許容でき、量産化を図った安価なシステムを構築することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施の形態に係る放射線画像撮影システムを示す構成図である。
【図2】本実施の形態に係る電子カセッテ(放射線画像撮影装置)を一部破断して示す斜視図である。
【図3】本実施の形態に係る放射線検出器を示す回路図である。
【図4】図4Aはそれぞれ画素を互いに対向させた例を示す説明図であり、図4Bは図4AにおけるIVB−IVB上の断面図であり、図4Cは図4AにおけるIVC−IVC上の断面図である。
【図5】図5Aは水平方向に1/2画素ピッチだけずらして対向させた例を示す説明図であり、図5Bは図5AにおけるVB−VB上の断面図である。
【図6】図6Aは垂直方向に1/2画素ピッチだけずらして対向させた例を示す説明図であり、図6Bは図6AにおけるVIB−VIB上の断面図である。
【図7】図7Aは水平方向に1/2画素ピッチ、垂直方向に1/2画素ピッチだけずらして対向させた例を示す説明図であり、図7Bは図7AにおけるVIIB−VIIB上の断面図であり、図7Cは図7AにおけるVIIC−VIIC上の断面図である。
【図8】図8Aは一方の画素を、長軸が水平方向を向くように配置し、他方の画素を、長軸が垂直方向を向くように配置し、さらに、垂直方向に1/2画素ピッチだけずらして対向させた例を示す説明図であり、図8Bは図8AにおけるVIIIB−VIIIB上の断面図である。
【図9】コンソールの構成を示すブロック図である。
【図10】第1管理システムの構成を示すブロック図である。
【図11】第1管理方法を示すフローチャートである。
【図12】画素配列マップを複数の第1領域と第2領域に分ける処理を示す説明図である。
【図13】図13Aは2つの画素配列マップを重ねた際に第1領域が重なった箇所が現れる組合せを示す説明図であり、図13Bは2つの画素配列マップを重ねた際に第1領域が重なった箇所が存在しない組合せを示す説明図である。
【図14】コンソールの第1管理処理部の構成を示すブロック図である。
【図15】第1管理処理部の動作を示すフローチャートである。
【図16】第1配置関係図及び第2配置関係図を重ねて1つの配置関係図として表示装置に表示する際の処理を示す説明図である。
【図17】第2管理システムの構成を示すブロック図である。
【図18】第2管理方法を示すフローチャートである。
【図19】図19A及び図19Bは補正単位領域の画素配列を示す説明図である。
【図20】コンソールの第2管理処理部の構成を示すブロック図である。
【図21】第2管理処理部の動作を示すフローチャートである。
【図22】第3管理システムの構成を示すブロック図である。
【図23】第3管理方法を示すフローチャートである。
【図24】コンソールの第3管理処理部の構成を示すブロック図である。
【図25】第3管理処理部の動作を示すフローチャートである。
【図26】変形例に係るシンチレータの構成を説明するための説明図である。
【図27】変形例に係る第1放射線検出器及び変形例に係る第2放射線検出器の画素配置を示す説明図である。
【図28】変形例に係る第1放射線検出器の3つの画素部分の構成と、シンチレータと、変形例に係る第2放射線検出器の一部とを概略的に示した断面模式図である。
【図29】図28に示すTFT及び電荷蓄積部の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、本発明に係る放射線検出器の管理方法、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムの実施の形態例を図1〜図29を参照しながら説明する。
【0037】
先ず、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置(以下、電子カセッテと記す)を使用する放射線画像撮影システム10は、図1に示すように、撮影条件に従った線量からなる放射線12を被写体14(例えば患者)に照射するための放射線源16と、本実施の形態に係る放射線画像撮影装置(以下、電子カセッテ18と記す)と、該電子カセッテ18によって検出された放射線12に基づく放射線画像情報を表示する表示装置20と、電子カセッテ18、放射線源16及び表示装置20を制御するコンソール22とを備える。コンソール22と、電子カセッテ18、放射線源16及び表示装置20との間は、例えば、UWB(Ultra Wide Band)、IEEE802.11.a/g/n等の無線LAN又はミリ波を用いた無線通信による信号の送受信が行われる。なお、コンソール22には、病院内の放射線科において取り扱われる放射線画像情報やその他の情報を統括的に管理する放射線科情報システム(RIS)24が接続され、また、RIS24には、病院内の医事情報を統括的に管理する医事情報システム(HIS)26が接続される。
【0038】
電子カセッテ18は、図2に示すように、放射線12を透過させる材料からなるケーシング28を備える。ケーシング28の内部には、該ケーシング28の高さ方向ほぼ中央に配置されたシンチレータ30と、該シンチレータ30の一方の面(ケーシング28の照射面28a寄りの面)に対向して配置された第1放射線検出器32aと、該第1放射線検出器32aの一方の面に対向して配置され、被写体14による放射線12の散乱線を除去するグリッド34と、シンチレータ30の他方の面に対向して配置された第2放射線検出器32bと、第2放射線検出器32bの他方の面に対向して配置され、放射線12のバック散乱線を吸収する鉛板36とを有する。なお、ケーシング28の照射面28aをグリッド34として構成してもよい。シンチレータ30は、被写体14を透過した放射線12(図1参照)を一旦可視光に変換するGOS(GdS)又はCsI(Tl)(タリウムが添加されたヨウ化セシウム)等の蛍光体にて構成される。
【0039】
従って、被写体14を透過した放射線12がシンチレータ30にて可視光に変換されることになるが、このとき、放射線12のシンチレータ30への入射並びに透過に伴って、シンチレータ30の一方の面からは入射放射線量に応じた可視光が出射され、シンチレータ30の他方の面からは透過した放射線量に応じた可視光が出射されることとなる。これにより、シンチレータ30の一方の面から出射された可視光が第1放射線検出器32aにて検出され、シンチレータ30の他方の面から出射された可視光が第2放射線検出器32bにて検出されることになる。この場合、第2放射線検出器32bに入射される可視光の強度は、第1放射線検出器32aとの距離に応じて、第1放射線検出器32aに入射される可視光の強度よりも弱くなる。
【0040】
また、ケーシング28の内部には、電子カセッテ18の電源であるバッテリ38と、該バッテリ38から供給される電力により第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bを駆動制御するカセッテ制御装置40と、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bによって検出した放射線12の情報や各種信号をコンソール22との間で送受する送受信機42とが収容される。送受信機42は、コンソール22と無線であるいは有線で情報や各種信号の送受を行うようになっている。
【0041】
なお、少なくともカセッテ制御装置40には、放射線12が照射されることによる損傷を回避するため、ケーシング28の照射面28a側に鉛板等を配設しておくことが好ましい。
【0042】
第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bはそれぞれ同じ構成を有する。従って、以下、第1放射線検出器32aを主体に説明する。
【0043】
第1放射線検出器32aは、図3に示すように、光電変換を行う例えばアモルファスシリコン(a−Si)等の物質からなる固体検出素子(画素50)と該固体検出素子にて発生した電荷を電気信号として読み出す薄膜トランジスタ(TFT52:Thin Film Transistor)との組み合わせがマトリクス状に配列された構成を有する。
【0044】
第1放射線検出器32aにおいて、それぞれ画素50に対応してマトリクス状に配列されたTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
【0045】
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御装置40からアドレス信号が供給される。
【0046】
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御装置40からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器70が接続され、A/D変換器70によってデジタル信号に変換された第1放射線画像情報がカセッテ制御装置40に供給される。これらの動作は、第2放射線検出器32bについても同様で、該第2放射線検出器32bにて検出され、デジタル信号に変換された第2放射線画像情報がカセッテ制御装置40に供給される。
【0047】
カセッテ制御装置40は、図1に示すように、第1放射線検出器32aのライン走査駆動部58及び第2放射線検出器32bのライン走査駆動部58の各アドレスデコーダ60及び各マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対してアドレス信号を供給するアドレス信号発生部72と、第1放射線検出器32aによって検出された第1放射線画像情報及び第2放射線検出器32bによって検出された第2放射線画像情報を記憶する画像メモリ74と、当該電子カセッテ18を特定するためのカセッテID情報を記憶するIDメモリ76とを備える。
【0048】
電子カセッテ18は、コンソール22から送受信機42を通じて第1放射線画像情報及び第1放射線画像情報の送信要求信号を受信する一方、IDメモリ76に記憶されたカセッテID情報、画像メモリ74に記憶された第1放射線画像情報及び第2放射線画像情報等を送受信機42を通じてコンソール22に送信する。
【0049】
第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bの組み込み方は、図4A〜図4Cに示すように、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとを、それぞれ画素を互いに対向させて組み込む場合と、図5A〜図8Bに示すように、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとを、それぞれ画素をずらして組み込む場合とがある。
【0050】
図5A及び図5Bは、画素の水平方向の配列ピッチをPhとしたとき、第1放射線検出器32aに対して第2放射線検出器32bを水平方向にPh/2だけずらして配置した状態を示す。この場合、1画素の実質的な占有面積は、一点鎖線Aaに示すように、第1放射線検出器32aの1画素の占有面積に第1放射線検出器32aの水平方向の画素間の面積を加算した面積となる。
【0051】
図6A及び図6Bは、画素の垂直方向の配列ピッチをPvとしたとき、第1放射線検出器32aに対して第2放射線検出器32bを垂直方向にPv/2画素だけずらして配置した状態を示す。この場合も、1画素の実質的な占有面積は、一点鎖線Abに示すように、第1放射線検出器32aの1画素の占有面積に第1放射線検出器32aの垂直方向の画素間の面積を加算した面積となる。
【0052】
図7A〜図7Cは、第1放射線検出器32aに対して第2放射線検出器32bを水平方向及び垂直方向にそれぞれPh/2及びPv/2だけずらして配置した状態を示す。この場合、1画素の実質的な占有面積は、一点鎖線Acに示すように、第1放射線検出器32aの1画素に隣接する4つの画素間をそれぞれ2分する4つの線で囲まれた面積となる。
【0053】
図8A及び図8Bは、画素の平面形状が長方形の場合であって、第1放射線検出器32aを画素の長軸が例えば水平方向を向くように配置し、第2放射線検出器32bを画素の長軸が垂直方向を向くように配置し、さらに、第1放射線検出器32aに対して第2放射線検出器32bを垂直方向にPv/2だけずらして配置した状態を示す。この場合、1画素の実質的な占有面積は、一点鎖線Adに示すように、第1放射線検出器32aの1画素の占有面積に、第2放射線検出器32bの1画素のうち、第1放射線検出器32aの垂直方向の画素間の面積を加算した面積となる。
【0054】
そして、読影のための放射線画像情報は、基本的に第1放射線検出器32aからの第1放射線画像情報を使用することになるが、図5A〜図8Bの例では、1画素の実質的な占有面積が広くなることから、以下のようにして、第1放射線画像情報の1画素の値を補完する。
【0055】
すなわち、図5A〜図8Bの例では、第1放射線画像情報の1画素に対応する第2放射線画像情報の2つの画素又は4つの画素の位置情報(座標データ)を配列した画素情報テーブルを用意する。そして、図5A及び図5B、図6A及び図6B、図8A及び図8Bの例では、第1放射線画像情報の1画素GAの値VAと、該1画素GAに対応する第2放射線画像情報の2つの画素Gb、Gcの各値Vb、Vcをそれぞれ1/2した値Vb/2、Vc/2を加算した値{(Vb/2)+(Vc/2)}とを加算して、第1放射線画像情報の1画素GAの値{VA+(Vb/2)+(Vc/2)}とする。
【0056】
図7A〜図7Cの例では、第1放射線画像情報の1画素GAの値VAと、該1画素GAに対応する第2放射線画像情報の4つの画素Gb、Gc、Gd、Geの各値Vb、Vc、Vd、Veをそれぞれ1/2した値Vb/2、Vc/2、Vd/2、Ve/2を加算した値{(Vb/2)+(Vc/2)+(Vd/2)+(Ve/2)}とを加算して、第1放射線画像情報の1画素GAの値{VA+(Vb/2)+(Vc/2)+(Vd/2)+(Ve/2)}とする。
【0057】
そして、第1放射線検出器32aに欠陥画素があった場合は、第1放射線画像情報に存在する欠陥画素の値を、第2放射線検出器32bからの第2放射線画像情報を利用して補正する。この欠陥画素の補正方法については後述する。
【0058】
コンソール22は、図9に示すように、電子カセッテ18に関する情報が記憶された情報メモリ80と、受信した放射線画像情報に対して所定の画像処理を行う画像処理部82と、画像処理前及び画像処理後の放射線画像情報が記憶される画像メモリ84とを有する。
【0059】
情報メモリ80には、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bに対応した第1欠陥画素情報テーブル86a、第2欠陥画素情報テーブル86bや、補正情報フラグ88、画素情報テーブル90(第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとが図5A〜図8Bのように画素ずらし状態で配置された場合のみ)が記憶されている。第1欠陥画素情報テーブル86a及び第2欠陥画素情報テーブル86bには、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bにそれぞれ存在する欠陥画素の位置(座標データ)が登録されている。補正情報フラグ88には、欠陥画素を補正する方式(補正方式の情報)が登録されている。
【0060】
また、この情報メモリ80には、図9では図示しないが、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bについての領域情報テーブルと補正領域情報テーブルが記憶されている。領域情報テーブルと補正領域情報テーブルの具体的な内容については、本実施の形態に係る管理方法を説明する際に説明する。
【0061】
画像処理部82は、少なくとも第1放射線検出器32aからの第1放射線画像情報の欠陥画素の補正(第1放射線画像情報のうち、欠陥画素の値を補正すること)を行う欠陥画素補正部87を有する。
【0062】
欠陥画素補正部87にて行われる補正方式としては、欠陥画素に対応する有効画素を利用する第1補正方式と、欠陥画素に対応する有効画素とその周辺画素(補正単位領域の有効画素)を利用する第2補正方式と、画素をずらして組み込まれた場合に適用され、欠陥画素に対応する周辺画素を利用する第3補正方式とがある。どの補正方式を採用するかについては、上述した補正情報フラグ(1:第1補正方式、2:第2補正方式、3:第3補正方式)が用いられる。
【0063】
ここで、第1補正方式〜第3補正方式について図4A〜図8Bを参照しながら説明する。なお、電子カセッテ18に組み込まれる2つの放射線検出器のうち、放射線源16に近い方が第1放射線検出器32aであり、放射線源16から遠い方が第2放射線検出器32bである。
【0064】
第1補正方式は、図4A〜図4Cに示すように、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとを、それぞれ画素を互いに対向させて組み込んだ場合に適用されるもので、第1放射線画像情報の欠陥画素GAの補正に当たって、該欠陥画素GAに対応する第2放射線画像情報の有効画素Gaを利用する。すなわち、第1欠陥画素情報テーブル86aから欠陥画素GAの位置情報(座標データ)を読み出し、第2放射線画像情報から、欠陥画素GAの位置に対応した位置に存在する有効画素Gaの値Vaを読み出し、この値Vaに係数を乗算した値を欠陥画素GAの値として第1放射線画像情報を補正する。係数は、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとの離間距離から一律に求めておく。
【0065】
第2補正方式も、図4A〜図4Cに示すように、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとを、それぞれ画素を互いに対向させて組み込んだ場合に適用されるもので、第1放射線画像情報の欠陥画素GAの補正に当たって、該欠陥画素GAに対応する第2放射線画像情報の有効画素Gaとその周辺画素(補正単位領域の有効画素)を利用する。すなわち、第1欠陥画素情報テーブル86aから欠陥画素GAの位置情報(座標データ)を読み出し、第2放射線画像情報から、欠陥画素GAの位置に対応した位置に存在する有効画素Gaの値Vaと、該有効画素Gaの4つの周辺画素(水平方向に並ぶ2つの周辺画素Gb、Gc及び垂直方向に並ぶ2つの周辺画素Gd、Ge)の値Vb〜Veを読み出して、これら4つの値Vb〜Veの平均値Gmを求める。あるいは、有効画素Gaの8つの周辺画素(水平方向に並ぶ4つの周辺画素Gb、Gc、Gf、Gg及び垂直方向に並ぶ4つの周辺画素Gd、Ge、Gh、Gi)の値Vb〜Viを読み出して、これら8つの値Vb〜Viの平均値Gmを求める。そして、有効画素Gaの値Gaと平均値Gmとの比(Ga/Gm)を求める。一方、第1放射線画像情報の欠陥画素GAの4つの周辺画素(水平方向に並ぶ2つの周辺画素GB、GC及び垂直方向に並ぶ2つの周辺画素GD、GE)の平均値VF、あるいは欠陥画素GAの8つの周辺画素(水平方向に並ぶ4つの周辺画素GB、GC、GF、GG及び垂直方向に並ぶ4つの周辺画素GD、GE、GH、GI)の平均値VMを求める。そして、欠陥画素GAの値VA=(Va/Vm)×VMとして、第1放射線画像情報を補正する。この第2補正方式では、隣接する画素の輝度特性を反映することができ、精度の高い値を得ることができる。もちろん、第2放射線検出器32bの画素Ga〜Giのいずれかが欠陥画素である場合、例えば画素Gbが欠陥画素となった場合は、該画素Gbの4つの周辺画素の値に基づいて補正した後、上述と同様の方法で欠陥画素GAの値VAを補正する。
【0066】
第3補正方式は、図5A〜図8Bに示すように、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとを、それぞれ画素をずらして組み込んだ場合に適用されるもので、第1放射線画像情報の欠陥画素GAの補正に当たって、該欠陥画素GAに対応する第2放射線画像情報の周辺画素を利用する。すなわち、第1欠陥画素情報テーブル86aから欠陥画素GAの位置情報(座標データ)を読み出し、画素情報テーブル90から、欠陥画素GAに対応する2つの画素(Gb、Gc)又は4つの画素(Gb、Gc、Gd、Ge)の位置情報を読み出し、第2放射線画像情報から、これら2つの画素(Gb、Gc)の値(Vb、Vc)又は4つの画素(Gb、Gc、Gd、Ge)の値(Vb、Vc、Vd、Ve)を読み出す。そして、2つの画素(Gb、Gc)の場合は、各値(Vb、Vc)をそれぞれ1/2した値Vb/2、Vc/2を加算した値{(Vb/2)+(Vc/2)}に係数を乗算した値を欠陥画素GAの値VAとして第1放射線画像情報を補正する。また、4つの画素(Gb、Gc、Gd、Ge)の場合は、各値(Vb、Vc、Vd、Ve)をそれぞれ1/2した値Vb/2、Vc/2、Vd/2、Ve/2を加算した値{(Vb/2)+(Vc/2)+(Vd/2)+(Ve/2)}に係数を乗算した値を欠陥画素GAの値VAとして第1放射線画像情報を補正する。係数は、第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとの離間距離から一律に求めておく。この場合も、第2放射線検出器32bの2つの画素(Gb、Gc)又は4つの画素(Gb、Gc、Gd、Ge)のいずれかが欠陥画素である場合、例えば画素Gbが欠陥画素となった場合は、該画素Gbの4つの周辺画素の値に基づいて補正した後、上述と同様の方法で欠陥画素GAの値VAを補正する。
【0067】
そして、第1補正方式又は第2補正方式にて補正された第1放射線画像情報は、その後、読影用の画像処理が行われて、表示装置20等に出力されることになる。また、第3補正方式にて補正された第1放射線画像情報は、その後、上述したように、画素の実質的な占有面積の拡大に伴う第2放射線画像情報の上述した補完処理が行われ、その後、読影用の画像処理が行われて、表示装置20等に出力されることになる。
【0068】
次に、電子カセッテ18に第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bを組み込む場合の管理方法(本実施の形態に係る管理方法)について、図10〜図25を参照しながら説明する。
【0069】
この管理方法は、製造された複数の放射線検出器32の欠陥画素の位置を把握し、1つの電子カセッテ18に第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bを重ねて組み込む際に、把握した欠陥画素の位置を参照して、第1放射線検出器32aの欠陥画素と、第2放射線検出器32bの欠陥画素とが重ならないようにする。図4A〜図4Cの例では、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの同一の画素位置に欠陥画素が重ならないようにする。図5A〜図8Bの例では、第1放射線検出器32aの欠陥画素と第2放射線検出器32bの欠陥画素が一部でも重ならないようにする。
【0070】
管理方法としては、以下のように、3つの管理方法(第1管理方法〜第3管理方法)が挙げられる。
【0071】
第1管理方法は、コンピュータを有する第1管理システム100Aを用いて行うことができる。この第1管理システムは、図10に示すように、製造された複数の放射線検出器32に対応した欠陥画素情報テーブル86に基づいて欠陥画素と有効画素とが二次元的に配列された画素配列マップ102を作成するマップ作成部104と、製造された複数の放射線検出器32に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録された複数の領域情報テーブル106を作成する第1テーブル作成部108aと、作成された複数の領域情報テーブル106に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、第1領域と第2領域とが重なる関係を有する2つの放射線検出器32を選択する第1選択部110aとを有する。
【0072】
ここで、第1管理方法について図11〜図16を参照しながら説明する。
【0073】
先ず、図11のステップS1及びステップS2において、複数の放射線検出器32に対応する複数の領域情報テーブル106を作成する。各領域情報テーブル106には、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録される。第1領域に含まれる画素の個数(水平方向の個数と列方向の個数)と第2領域に含まれる画素の個数(水平方向の個数と列方向の個数)は共に同じである。
【0074】
ここで、説明を簡単にするために、第1領域及び第2領域が共に、例えば水平方向に10個の画素、垂直方向に10個の画素を含み、第1放射線検出器及び第2放射線検出器が共に、水平方向に30個の画素、垂直方向に40個の画素を含むとした場合を想定する。
【0075】
すなわち、先ず、図11のステップS1において、第1管理システム100Aのマップ作成部104は、放射線検出器32の製造時に作成された欠陥画素情報テーブル86から、欠陥画素の位置情報を読み出し、放射線検出器32に対応した有効画素と欠陥画素の配列状況を示す画素配列マップ102を作成する。この画素配列マップ102は、ビット配列が放射線検出器32の画素配列に対応し、且つ、深度が1ビット(0:有効画素/1:欠陥画素)のマップであり、欠陥画素の位置に対応したビットを「1」、その他のビットを「0」にする。その後、画素配列マップ102を、例えば垂直方向4つ、水平方向3つの合計12個の領域に分ける。各領域は、この例では、水平方向に10ビット、垂直方向に10ビットとされている。
【0076】
ステップS2において、第1テーブル作成部108aは、図12に示すように、画素配列マップ102の12個の領域のうち、1つでもビットの値が「1」である領域を、第1領域112a(斜線で示す領域)として、その位置情報(該第1領域112aの先頭ビットの行列情報と、該第1領域112aの最終ビットの行列情報等)を領域情報テーブル106に登録し、12個の領域のうち、全てのビットの値が「0」の領域を、第2領域112b(空白で示す)として、その位置情報を領域情報テーブル106に登録する。この処理を製造された複数の放射線検出器32全てについて行って、複数の領域情報テーブル106を作成する。6つの放射線検出器32が製造された場合は、これに対応して6つの領域情報テーブル106が作成される。
【0077】
ステップS3において、第1選択部110aは、複数の領域情報テーブル106に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、第1領域112aと第2領域112bとが重なる関係を有する2つの放射線検出器32を選択する。具体的には、例えば1番目の放射線検出器32に適合する放射線検出器32を残りの5つの放射線検出器32から選び、候補となる1以上の放射線検出器32を抽出して、抽出した放射線検出器32のIDを候補テーブル114(図10参照)の1レコード目に登録する。例えば図13Aの例では、2つの放射線検出器32を重ねたとき(コンピュータ上では、対応する2つの画素配列マップ102を重ねたとき)、左上の領域において、第1領域112a同士が重なることになるため、この組合せは採用されない。図13Bの例では、2つの放射線検出器32を重ねたとき、第1領域112a同士が重なることはないため、組み合わせ候補として候補テーブル114に登録される。同様に、n番目の放射線検出器32に適合する放射線検出器32を残りの5つの放射線検出器32から選び、候補となる1以上の放射線検出器32を抽出して、抽出した放射線検出器32のIDを候補テーブル114のnレコード目に登録する。候補テーブル114に登録された内容から、最適な放射線検出器32の組み合わせを、使用者からの操作入力や演算によって割り出し、組合せ情報テーブル116(図10参照)に登録する。この組合せ情報テーブル116には、第1領域112a同士が重なることのない2つの放射線検出器32の組合せ(IDの組合せ)が順次登録される。使用者の操作入力で組合せを決定する場合には、例えば以下のような方法が挙げられる。すなわち、表示装置20に、各放射線検出器32に対応する画素配列マップ102を表示し、第1領域112aを黄色、第2領域112bを白色で表示する。そして、2つの画素配列マップ102を重ねて表示したとき、第1領域112a同士が重なった領域を赤色、第1領域112aと第2領域112bとが重なった領域を黄色、第2領域112b同士が重なった領域を白色で表示し、赤色が表示されない組み合わせを確認しながら、適合する2つの放射線検出器32のIDを組合せ情報テーブル116に登録する。
【0078】
そして、その後の第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとの組み込み工程において、組合せ情報テーブル116に登録された2つの放射線検出器32のIDの組合せを参照しながら、それぞれIDに対応する2つの放射線検出器32を第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bとして電子カセッテ18に組み込む。
【0079】
その後は、電子カセッテ18が装着された放射線画像撮影システム10において第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの管理が行われることになる。この場合、電子カセッテ18に組み込まれた第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bにそれぞれ対応する欠陥画素情報テーブル86(第1欠陥画素情報テーブル86a及び第2欠陥画素情報テーブル86b)、画素配列マップ102(第1画素配列マップ102a及び第2画素配列マップ102b)、領域情報テーブル106(第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106b)がコンソール22の情報メモリ80(図14参照)に記憶される。
【0080】
そして、コンソール22は、図14に示すように、放射線画像撮影システム10で使用される電子カセッテ18の管理を行うための第1管理処理部120Aを有する。第1管理処理部120Aは、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bが重ねられて組み込まれた電子カセッテ18に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理(例えば電子カセッテ18に対するキャリブレーション中に行われる)にて新たに発見された欠陥画素の位置を各種テーブルに反映させて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの劣化状況を知らせる機能を有する。
【0081】
第1管理処理部120Aは、図14に示すように、第1テーブル更新部122aと、第1判別部124aと、第1警告出力部126aと、配置関係表示部128と、第1カラー表示部130aとを有する。
【0082】
第1テーブル更新部122aは、上述の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、それぞれ第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに反映させる。第1判別部124aは、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに基づいて、第1領域112a同士が重なる関係になっているか否かを判別する。第1警告出力部126aは、第1判別部124aにおいて、第1領域112a同士が重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する。
【0083】
配置関係表示部128は、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化して重ねて表示する。第1カラー表示部130aは、第1領域112a同士が重なる部分を第1色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第3色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。
【0084】
ここで、第1管理処理部120Aの動作について図15及び図16を参照しながら説明する。
【0085】
前提として、上述した欠陥画素検出処理が行われ、この欠陥画素検出処理にて新たに発見されれば、欠陥画素の位置情報が第1欠陥画素情報テーブル86aや第2欠陥画素情報テーブル86bに追加(反映)される。
【0086】
そして、先ず、ステップS101において、新たな欠陥画素があるか否かが判別される。新たな欠陥画素があれば、ステップS102に進み、第1テーブル更新部122aは、第1画素配列マップ102aや第2画素配列マップ102bのうち、新たな欠陥画素の位置情報に応じたビットを「1」にセットし、それに応じて、第2領域112bが第1領域112aに変化した部分を第1領域情報テーブル106aや第2領域情報テーブル106bに反映する。例えば第1放射線検出器32aに新たな欠陥画素が発見されれば、該新たな欠陥画素の位置情報が第1画素配列マップ102aに反映され、それに応じて、第1画素配列マップ102a上の第2領域112bが第1領域112aに変化した場合に、新たな欠陥画素の位置情報が第1領域情報テーブル106aに反映されることになる。これは、第2放射線検出器32bに新たな欠陥画素が発見された場合も同様である。
【0087】
ステップS103において、第1判別部124aは、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bを重ねたときに、第1の関係(第1領域112a同士が重なる関係)となっている箇所が存在するか否かを判別する。
【0088】
第1の関係となっている箇所があれば、次のステップS104に進み、第1警告出力部126aは、第1領域112aが重なった領域の欠陥画素の個数と第1警告(第1の関係になっていることを示すメッセージ)を表示装置20に表示する。このとき、必要であれば、スピーカにそのメッセージを音声出力する。特に、欠陥画素同士が重なる箇所があれば、その箇所の個数とその旨も併せてメッセージ表示や音声出力するようにしてもよい。
【0089】
前記ステップS104での処理が終了した段階、あるいはステップS103にて第1の関係になっている箇所が存在しないと判別された場合、あるいはステップS101において、新たな欠陥画素が発見されなかった場合は、ステップS105に進み、配置関係表示部128は、図16に示すように、第1領域情報テーブル106aに基づいて、第1放射線検出器32aの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第1配置関係図132aと、第2領域情報テーブル106bに基づいて、第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第2配置関係図132bとを重ねて配置関係図132を表示装置20に表示する。
【0090】
ステップS106において、第1カラー表示部130aは、表示装置20に表示されている配置関係図132のうち、第1領域112a同士が重なる部分を第1色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第3色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。なお、第1警告の出力と同時に配置関係図のカラー表示を行うようにしてもよいし、配置関係図のカラー表示の後に、第1警告を出力するようにしてもよい。
【0091】
上述したステップS101〜ステップS106の処理は、定期的又は不定期に行われる欠陥画素検出処理が終了するたびに行われる。
【0092】
次に、第2管理方法について図17〜図19Bを参照しながら説明する。この第2管理方法は、コンピュータを有する第2管理システム100Bを用いて行うことができる。
【0093】
第2管理システム100Bは、図17に示すように、上述したマップ作成部104と、製造された複数の放射線検出器32に対応し、それぞれ欠陥画素を含む補正単位領域の位置情報を登録された複数の補正領域情報テーブル134を作成する第2テーブル作成部108bと、作成された複数の補正領域情報テーブル134に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、補正単位領域が一部でも重ならない関係を有する2つの放射線検出器を選択する第2選択部110bとを有する。
【0094】
ここで、第2管理方法について図18及び図19も参照しながら説明する。
【0095】
先ず、図18のステップS201及びS202において、製造された複数の放射線検出器32に対応する複数の補正領域情報テーブル134を作成する。各補正領域情報テーブル134には、それぞれ補正単位領域136(図19A及び図19B参照)の位置情報が登録される。補正単位領域136は、欠陥画素と該欠陥画素を補正する際に用いられる周辺画素とを含む領域を示す。補正単位領域136としては、図19Aにおいて一点鎖線で示すように、例えば水平方向に3個の画素、垂直方向に3個の画素を含む、3行3列の画素配列を有する場合や、図19Bに示すように、この3行3列の画素配列にさらに欠陥画素を通る部分の両側にそれぞれ1画素ずつ加えられた画素配列であってもよい。
【0096】
すなわち、先ず、ステップS201において、第2管理システム100Bのマップ作成部104は、上述したステップS1での処理と同様に、放射線検出器32の製造時に作成された欠陥画素情報テーブル86の内容に基づいて、放射線検出器32に対応した有効画素と欠陥画素の配列状況を示す画素配列マップ102を作成する。
【0097】
その後、ステップS202において、第2テーブル作成部108bは、各画素配列マップ102について、欠陥画素を含む補正単位領域136を設定し、その位置情報(補正単位領域136に含まれるビットの行列情報等)を補正領域情報テーブル134に登録する。この処理を、製造された複数の放射線検出器32全てについて行い、複数の補正領域情報テーブル134を作成する。6つの放射線検出器32が製造された場合は、これに対応して6つの補正領域情報テーブル134が作成される。
【0098】
その後、ステップS203において、第2管理システム100Bの第2選択部110bは、複数の補正領域情報テーブル134に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、補正単位領域136が一部でも重ならない関係を有する2つの放射線検出器32を選択する。この場合も、上述したステップS103と同様に、n番目の放射線検出器32に適合する放射線検出器32を残りの5つの放射線検出器32から選び、候補となる1以上の放射線検出器32を抽出して、抽出した放射線検出器32のIDを候補テーブル114のnレコード目に登録する。候補テーブル114に登録された内容から、最適な放射線検出器32の組み合わせを、使用者からの操作入力や演算によって割り出し、組合せ情報テーブル116に登録する。この組合せ情報テーブル116には、補正単位領域136が一部でも重ならない関係を有する2つの放射線検出器32の組合せ(IDの組合せ)が順次登録される。
【0099】
そして、その後の第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとの組み込み工程において、組合せ情報テーブル116に登録された2つの放射線検出器32のIDの組合せを参照しながら、それぞれIDに対応する2つの放射線検出器32を第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bとして電子カセッテ18に組み込む。
【0100】
その後は、上述した第1管理方法と同様に、電子カセッテ18が装着された放射線画像撮影システム10での管理が行われることになる。この場合、電子カセッテ18に組み込まれた第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bに対応する第1欠陥画素情報テーブル86a及び第2欠陥画素情報テーブル86b、第1画素配列マップ102a及び第2画素配列マップ102b、第1補正領域情報テーブル134a及び第2補正領域情報テーブル134bがコンソール22の情報メモリ80に記憶される。また、この例では、第1放射線検出器32aについて欠陥画素が存在する第1領域112aと、欠陥画素が存在しない第2領域112bの位置情報が登録された第1領域情報テーブル106aと、第2放射線検出器32bについて欠陥画素が存在する第1領域112aと、欠陥画素が存在しない第2領域112bの位置情報が登録された第2領域情報テーブル106bが作成されて情報メモリ80に記憶され、さらに、新たな欠陥画素の追加に伴って更新されるようになっている。
【0101】
そして、コンソール22は、図20に示すように、放射線画像撮影システム10で使用される電子カセッテ18の管理を行うための第2管理処理部120Bを有する。第2管理処理部120Bは、図14の第1管理処理部120Aと同様に、定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を各種テーブルに反映させて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの劣化状況を知らせる機能を有する。
【0102】
第2管理処理部120Bは、第1テーブル更新部122aと、第2テーブル更新部122bと、第2判別部124bと、第2警告出力部126bと、配置関係表示部128と、第2カラー表示部130bとを有する。
【0103】
第1テーブル更新部122aは上述したので、ここではその重複説明を省略する。第2テーブル更新部122bは、上述の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、それぞれ第1補正領域情報テーブル134a及び第2補正領域情報テーブル134bに反映させる。第2判別部124bは、第1補正領域情報テーブル134a及び第2補正領域情報テーブル134bに基づいて、補正単位領域136同士が一部でも重なる関係になっているか否かを判別する。第2警告出力部126bは、第2判別部124bにおいて、補正単位領域136同士が一部でも重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する。
【0104】
配置関係表示部128は、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化して重ねて表示する。第2カラー表示部130bは、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、補正単位領域136同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、補正単位領域136同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第3色(例えば水色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第4色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。
【0105】
ここで、第2管理処理部120Bの動作について図21を参照しながら説明する。
【0106】
前提として、上述した欠陥画素検出処理が行われ、この欠陥画素検出処理にて新たに発見されれば、欠陥画素の位置情報が第1欠陥画素情報テーブル86aや第2欠陥画素情報テーブル86bに追加(反映)される。
【0107】
そして、先ず、図21のステップS301において、新たな欠陥画素があるか否かが判別される。新たな欠陥画素があれば、ステップS302に進み、第1テーブル更新部122aは、第1画素配列マップ102aや第2画素配列マップ102bのうち、新たな欠陥画素の位置情報に応じたビットを「1」にセットし、それに応じて、第2領域112bが第1領域112aに変化した部分を第1領域情報テーブル106aや第2領域情報テーブル106bに反映する。
【0108】
ステップS303において、第2テーブル更新部122bは、今回追加された欠陥画素に対応する補正単位領域136の位置情報を第1補正領域情報テーブル134aや第2補正領域情報テーブル134bに登録(反映)する。例えば第1放射線検出器32aに新たな欠陥画素が発見されれば、該新たな欠陥画素の位置情報が第1画素配列マップ102aに反映され、それに応じて、第1画素配列マップ102a上の第2領域112bが第1領域112aに変化した場合に、新たな欠陥画素の位置情報が第1領域情報テーブル106aに反映されることになる。さらに、新たな欠陥画素に対応する補正単位領域136の位置情報が第1補正領域情報テーブル134aに反映されることになる。これは、第2放射線検出器32bに新たな欠陥画素が発見された場合も同様である。
【0109】
ステップS304において、第2判別部124bは、第1補正領域情報テーブル134a及び第2補正領域情報テーブル134bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bを重ねたときに、第2の関係(補正単位領域136同士が一部でも重なった関係)になっている箇所が存在するか否かを判別する。
【0110】
第2の関係になっている箇所が存在していれば、次のステップS305に進み、第2警告出力部126bは、第1領域112aが重なった領域の欠陥画素の個数と、補正単位領域136が重なった領域の欠陥画素の個数と、第2警告(第2の関係になっていることを示すメッセージ)を表示装置20に表示する。このとき、必要であれば、スピーカにそのメッセージを音声出力する。特に、欠陥画素同士が重なる箇所があれば、その箇所の個数とその旨も併せてメッセージ表示や音声出力するようにしてもよい。
【0111】
ステップS306において、配置関係表示部128は、第1領域情報テーブル106aに基づいて、第1放射線検出器32aの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第1配置関係図132aと、第2領域情報テーブル106bに基づいて、第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第2配置関係図132bとを重ねて配置関係図132を表示装置20に表示する。
【0112】
ステップ307において、第2カラー表示部130bは、表示装置20に表示されている配置関係図132のうち、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、補正単位領域136同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、補正単位領域136同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第3色(例えば水色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第4色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。
【0113】
上述したステップS301〜ステップS307の処理は、定期的又は不定期に行われる欠陥画素検出処理が終了するたびに行われる。
【0114】
次に、第3管理方法について図22及び図23を参照しながら説明する。この第3管理方法は、コンピュータを有する第3管理システム100Cを用いて行うことができる。
【0115】
第3管理システム100Cは、図22に示すように、上述したマップ作成部104と、製造された複数の放射線検出器32に対応し、それぞれ欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素の位置情報(欠陥画素及びその周辺画素に対応するビットの行列情報等)が登録された複数の周辺画素情報テーブル140を作成する第3テーブル作成部108cと、作成された複数の周辺画素情報テーブル140に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれず、且つ、他方の欠陥画素が一方の欠陥画素とその周辺画素に含まれない関係を有する2つの放射線検出器32を選択する第3選択部110cとを有する。
【0116】
ここで、第3管理方法について図23も参照しながら説明する。
【0117】
先ず、図23のステップS401において、第3管理システム100Cのマップ作成部104は、上述したステップS1での処理と同様に、放射線検出器32の製造時に作成された欠陥画素情報テーブル86の内容に基づいて、放射線検出器32に対応した有効画素と欠陥画素の配列状況を示す画素配列マップ102を作成する。
【0118】
その後、ステップS402において、第3テーブル作成部108cは、各画素配列マップ102について、欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素を設定し、その位置情報(欠陥画素及びその周辺画素に対応するビットの行列情報等)を周辺画素情報テーブル140に登録する。この処理を、製造された複数の放射線検出器32全てについて行い、複数の周辺画素情報テーブル140を作成する。6つの放射線検出器32が製造された場合は、これに対応して6つの周辺画素情報テーブル140が作成される。
【0119】
その後、ステップS403において、第3選択部110cは、複数の周辺画素情報テーブル140に基づいて、複数の放射線検出器32のうち、2つの放射線検出器32を重ねたときに、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれず、且つ、他方の欠陥画素が一方の欠陥画素とその周辺画素に含まれない関係を有する2つの放射線検出器32を選択する。この場合も、上述したステップS2と同様に、n番目の放射線検出器32に適合する放射線検出器32を残りの5つの放射線検出器32から選び、候補となる1以上の放射線検出器32を抽出して、抽出した放射線検出器32のIDを候補テーブル114のnレコード目に登録する。候補テーブル114に登録された内容から、最適な放射線検出器32の組み合わせを、使用者からの操作入力や演算によって割り出し、組合せ情報テーブル116に登録する。この組合せ情報テーブル116には、上述の関係を有する2つの放射線検出器32の組合せ(IDの組合せ)が順次登録される。
【0120】
そして、その後の第1放射線検出器32aと第2放射線検出器32bとの組み込み工程において、組合せ情報テーブル116に登録された2つの放射線検出器32のIDの組合せを参照しながら、それぞれIDに対応する2つの放射線検出器32を第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bとして電子カセッテ18に組み込む。
【0121】
その後は、電子カセッテ18が装着された放射線画像撮影システム10での管理が行われることになる。この場合、電子カセッテ18に組み込まれた第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bに対応する第1欠陥画素情報テーブル86a及び第2欠陥画素情報テーブル86b、第1画素配列マップ102a及び第2画素配列マップ102b、第1周辺画素情報テーブル140a及び第2周辺画素情報テーブル140bがコンソール22の情報メモリ80に記憶される。また、この例では、第2管理処理部120Bの場合と同様に、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bが作成されてメモリに記憶され、さらに、新たな欠陥画素の追加に伴って更新されるようになっている。
【0122】
そして、コンソール22は、放射線画像撮影システム10で使用される電子カセッテ18の管理を行うための第3管理処理部120Cを有する。第3管理処理部120Cは、上述の第1管理処理部120Aと同様に、定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を各種テーブルに反映させて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの劣化状況を知らせる機能を有する。
【0123】
第3管理処理部120Cは、図24に示すように、第1テーブル更新部122aと、第3テーブル更新部122cと、第3判別部124cと、第3警告出力部126cと、配置関係表示部128と、第3カラー表示部130cとを有する。
【0124】
第1テーブル更新部122aは上述したので、ここではその重複説明を省略する。第3テーブル更新部122cは、上述の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、それぞれ第1周辺画素情報テーブル140a及び第2周辺画素情報テーブル140bに反映させる。第3判別部124cは、第1周辺画素情報テーブル140a及び第2周辺画素情報テーブル140bに基づいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっているか否かを判別する。第3警告出力部126cは、第3判別部124cにおいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると判別された場合に、警告を発する。
【0125】
配置関係表示部128は、第1領域情報テーブル106a及び第2領域情報テーブル106bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化して重ねて表示する。第3カラー表示部130cは、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第2色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第3色(例えば水色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第4色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。
【0126】
ここで、第3管理処理部120Cの動作について図25を参照しながら説明する。
【0127】
前提として、上述した欠陥画素検出処理が行われ、この欠陥画素検出処理にて新たに発見されれば、欠陥画素の位置情報が第1欠陥画素情報テーブル86aや第2欠陥画素情報テーブル86bに追加(反映)される。
【0128】
そして、先ず、図25のステップS501において、新たな欠陥画素があるか否かが判別される。新たな欠陥画素があれば、ステップS502に進み、第1テーブル更新部122aは、第1画素配列マップ102aや第2画素配列マップ102bのうち、新たな欠陥画素の位置情報に応じたビットを「1」にセットし、それに応じて、第2領域112bが第1領域112aに変化した部分を第1領域情報テーブル106aや第2領域情報テーブル106bに反映する。
【0129】
ステップS503において、第3テーブル更新部122cは、今回追加された欠陥画素に対応する欠陥画素とその周辺画素の位置情報を第1周辺画素情報テーブル140aや第2周辺画素情報テーブル140bに登録(反映)する。例えば第1放射線検出器32aに新たな欠陥画素が発見されれば、該新たな欠陥画素の位置情報が第1画素配列マップ102aに反映され、それに応じて、第1画素配列マップ102a上の第2領域112bが第1領域112aに変化した場合に、新たな欠陥画素の位置情報が第1領域情報テーブル106aに反映されることになる。さらに、新たな欠陥画素とその周辺画素の位置情報が第1周辺画素情報テーブル140aに反映されることになる。これは、第2放射線検出器32bに新たな欠陥画素が発見された場合も同様である。
【0130】
ステップS504において、第3判別部124cは、第1周辺画素情報テーブル140a及び第2周辺画素情報テーブル140bに基づいて、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bを重ねたときに、第3の関係(一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係)になっている箇所が存在するか否かを判別する。
【0131】
第3の関係になっている箇所が存在していれば、次のステップS505に進み、第3警告出力部126cは、第1領域112aが重なった領域の欠陥画素の個数と、第3の関係となった箇所の欠陥画素の個数と、第3警告(第3の関係になっていることを示すメッセージ)を表示装置20に表示する。このとき、必要であれば、スピーカにそのメッセージを音声出力する。特に、欠陥画素同士が重なる箇所があれば、その箇所の個数とその旨も併せてメッセージ表示や音声出力するようにしてもよい。
【0132】
ステップS506において、配置関係表示部128は、第1領域情報テーブル106aに基づいて、第1放射線検出器32aの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第1配置関係図132aと、第2領域情報テーブル106bに基づいて、第2放射線検出器32bの第1領域112aと第2領域112bの配置関係をモデル化した第2配置関係図132bとを重ねて配置関係図132を表示装置20に表示する。
【0133】
ステップS507において、第3カラー表示部130cは、表示装置20に表示されている配置関係図132のうち、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第2色(例えばオレンジ色)で表示し、第1領域112a同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色(例えば黄色)で表示し、第1領域112aと第2領域112bとが重なる部分を第3色(例えば水色)で表示し、第2領域112b同士が重なる部分を第4色(例えば白色)で表示する。特に、第1領域112aが重なる部分であって、且つ、欠陥画素同士が重なっている部分をこれらと異なる色(例えば赤色)で表示する。
【0134】
上述したステップS501〜ステップS507の処理は、定期的又は不定期に行われる欠陥画素検出処理が終了するたびに行われる。
【0135】
[本実施の形態に係る放射線検出器32の管理方法の効果]
本実施の形態に係る放射線検出器32の管理方法においては、以下の効果を奏する。
【0136】
・複数の放射線検出器32を組み込む際に、各放射線検出器32の同一の画素位置(座標)に欠陥画素が配置されないように組み込むことができる。その結果、1つの放射線検出器32に欠陥画素があった場合、他の放射線検出器32のうち、欠陥画素と同一の画素位置の画素の出力を利用して、欠陥画素を補正することができる。
【0137】
・放射線検出器32を論理的に複数の領域に分け、欠陥画素が存在する第1領域112aと、存在しない第2領域112bとに分類して管理することで、組み合わせる放射線検出器32を容易に抽出することができ、組み込み作業の簡素化、作業時間の短縮化を図ることができる。
【0138】
・放射線検出器32の組み込み時点から電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素同士が重なるようになるまでの期間にわたって確実に欠陥画素の補正を行うことができる。
【0139】
・電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素が増えてきた場合に、欠陥画素の配置関係に応じた警告を発することができ、放射線検出器32に対するメンテナンスや交換時期を使用者に認識させることができる。
【0140】
・欠陥画素の配置関係をモデル化して表示し、さらに、電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素が増えてきた場合に、欠陥画素の配置関係に応じた配色表示を行うことができ、使用者に放射線検出器32の劣化状況を一目で認識させることができる。
【0141】
・補正単位領域で管理することで、欠陥画素の補正処理の際に、高精度な補正処理を使用することができる。
【0142】
・メンテナンス時の管理によって、電子カセッテ18の使用中に放射線検出器32に発生した欠陥画素を反映させることができ、発生した欠陥画素の位置に応じた警告を出力することができ、電子カセッテ18に対して適切な処置(欠陥画素の補正処理の変更、放射線検出器32の交換)を施すことが可能となる。
【0143】
[本実施の形態に係る電子カセッテ18の効果]
また、本実施の形態に係る電子カセッテ18においては、放射線検出器32の組み込み時点から電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素同士が重なるようになるまでの期間にわたって確実に欠陥画素の補正を行うことができる。
【0144】
[放射線画像撮影システム10の効果]
また、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10においては、以下の効果を奏する。
【0145】
・電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素が増えてきた場合に、欠陥画素の配置関係に応じた警告を発することができ、放射線検出器32に対するメンテナンスや交換時期を使用者に認識させることができる。
【0146】
・欠陥画素の配置関係をモデル化して表示し、さらに、電子カセッテ18の使用に伴って欠陥画素が増えてきた場合に、欠陥画素の配置関係に応じた配色表示を行うことができ、使用者に放射線検出器32の劣化状況を一目で認識させることができる。
【0147】
このように、本実施の形態に係る放射線検出器32の管理方法、電子カセッテ18及び放射線画像撮影システム10においては、2以上の放射線検出器32を有する放射線画像撮影システム10に関し、初期段階において、欠陥画素をある程度許容でき、量産化を図った安価なシステムを構築することができる。
【0148】
上述の例では、2つの放射線検出器32をシンチレータ30を間に挟んで対向させる形態の電子カセッテ18に適用した例を示したが、3つ以上の放射線検出器32をそれぞれシンチレータ30を間に挟んで対向させた形態に適用することもできる。
【0149】
また、放射線を直接電荷に変換するタイプの放射線検出器を、複数重ねるようにしてもよい。
【0150】
なお、本発明に係る放射線検出器の管理方法、放射線画像撮影装置及び放射線画像撮影システムは、上述の実施の形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることはもちろんである。
【0151】
例えば、シンチレータ30は、図26及び図28に示す変形例に係るシンチレータ500であってもよく、第1放射線検出器32a及び第2放射線検出器32bは、図26〜図29に示す変形例に係る第1放射線検出器600a及び第2放射線検出器600bであってもよい。なお、図26は、シンチレータ500の構成を説明するための説明図であり、図27は前記第1放射線検出器及び前記第2放射線検出器の画素配置を示す説明図であり、図28は、変形例に係る第1放射線検出器600aの3つの画素部分の構成と、シンチレータ500と、変形例に係る第2放射線検出器600bの一部とを概略的に示した断面模式図であり、図29は、図28に示すTFT624及び蓄積容量622の概略構成図である。
【0152】
図26及び図28に示すように、シンチレータ500は、真空蒸着法を用いて第2放射線検出器600b(詳しくは、第2放射線検出器600bの透明絶縁膜610)に対してCsI(Tl)を所定条件で直接的に蒸着することにより形成された非柱状結晶構造の非柱状部502と、真空蒸着法を用いてCsI(Tl)を前記非柱状部502に対して前記所定条件とは異なる条件で蒸着することにより形成された柱状結晶構造の柱状部504とを有する。
【0153】
非柱状部502は、放射線12の照射側から第2放射線検出器600bの全ての画素を覆うように位置しており、柱状部504は、非柱状部502の一方の面(第1放射線検出器600aが位置する側の面)の略全面に位置している。これにより、シンチレータ500から発せられた光を第1放射線検出器600aの全ての画素と第2放射線検出器600bの全ての画素に確実に導くことができる。
【0154】
柱状部504を構成する短冊状の各柱504aは、ケーシング28の高さ方向(第1放射線検出器600aの厚さ方向)に沿って延在しており、隣接する柱504aの間には幾らかの隙間が確保されている。なお、図26では、隣接する柱504aの隙間を誇張して示している。
【0155】
柱状部504の各柱504aの端面は、第1放射線検出器600aに対して光学的に結合(接続)されている。具体的には、前記各柱504aの端面を前記第1放射線検出器600aに押し当てた状態でシンチレータ500を保持することにより、該各柱504aの端面及び該第1放射線検出器600aの間隔を極力小さくしている。これにより、該各柱504aの端面及び該第1放射線検出器600a間のエアギャップを少なくすることができるので、シンチレータ500から発せられて前記第1放射線検出器600aに導かれる光の該エアギャップによる損失を抑えることができる。
【0156】
なお、シンチレータ500を保持する方法としては、例えば、ばね部材等を用いてシンチレータ500(第1放射線検出器600a)を第1放射線検出器600a(シンチレータ500)側に付勢する方法や、クランプ等により第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bを互いに近接する方向に締め付ける方法等を用いればよい。この場合、後述するように、第1放射線検出器600aは、有機光導電体を含んで構成された光電変換膜616と、有機半導体材料を含んで構成された信号出力部606を有しているのが好ましい。これにより、第1放射線検出器600aを撓ませることができる(第1放射線検出器600aにフレキシブル性を持たせることができる)ので、シンチレータ500を第1放射線検出器600aに密着させ易くなると共に、第1放射線検出器600aで吸収される放射線(X線)12の量を少なくすることができる。
【0157】
このようにシンチレータ500を第1放射線検出器600aに対して押し当てた状態で保持した場合、例えば、前記押し当て力を弱めた状態で第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bの相対位置をずらすことで、該第1放射線検出器600aの画素と該第2放射線検出器の画素の位置関係を変更することができる。
【0158】
これにより、例えば、第1管理方法において欠陥画素検出処理にて新たに欠陥画素が発見され、第1領域112a(欠陥画素)同士が重なる関係になっていると第1判別部124aで判別された場合に、前記第1放射線検出器600aと前記第2放射線検出器600bの相対位置をずらして前記第1領域同士が重ならないようにすることができる。
【0159】
また、例えば、第2管理方法において補正単位領域136同士が一部でも重なる関係になっていると第2判別部124bで判別された場合に、前記第1放射線検出器600aと前記第2放射線検出器600bの相対位置をずらして前記補正単位領域136同士が重ならないようにすることができる。
【0160】
さらに、例えば、第3管理方法において一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると第3判別部124cで判別された場合に、前記第1放射線検出器600aと前記第2放射線検出器600bの相対位置をずらして前記一方の欠陥画素が前記他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれないようにすることができる。
【0161】
なお、第1〜第3管理方法に基づいて第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bの相対位置をずらすことにより、放射線画像の撮影可能領域が所定量(例えば、5%)以上減少してしまう場合、各警告出力部126a〜126cは、第1放射線検出器600a及び/又は第2放射線検出器600bの交換が必要である旨の警告を発してもよい。
【0162】
また、後述する第1放射線検出器600a及び第2放射線検出器600bは、それぞれの画素サイズが異なるように構成することが可能である。つまり、例えば、図27に示すように、第1放射線検出器600aの画素サイズを第2放射線検出器600bの画素サイズの25%の大きさに設定することが可能である。なお、図27では、第1放射線検出器600aの第1配置関係図を参照符号132a、第2放射線検出器600bの第2配置関係図を参照符号132b、それら配置関係図を組み合わせた配置関係図を参照符号132、電子カセッテ18の製造後に新たに欠陥画素112cが発見された状態の配置関係図を参照符号132c、配置関係図132cにおける第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bの相対位置をずらした状態の配置関係図を参照符号132dでそれぞれ示している。また、便宜上、図27における配置関係図の画素数は、実際よりも少なく表示している。
【0163】
そして、第1管理方法において欠陥画素検出処理にて第1放射線検出器600aに新たに欠陥画素112cが発見され、その欠陥画素112cと第2放射線検出器600bの欠陥画素112aの一部とが重なる関係になっていると第1判別部124aで判断された場合(配置関係図132c参照)、例えば、第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bの相対位置を第1放射線検出器600aの1画素分(距離L)だけずらすことにより、第1放射線検出器600aの欠陥画素112cと第2放射線検出器600bの欠陥画素112aが重ならないようにすることができる。具体的には、配置関係図132cにおいて、第1放射線検出器600aを第2放射線検出器600bに対して図27の右側(或いは下側でも構わない)に距離Lだけ移動させることにより、欠陥画素112aと欠陥画素112cを重ならなくすることができる。
【0164】
これにより、第1放射線検出器600aの画素サイズと第2放射線検出器600bの画素サイズを同一に設定した場合と比較して、第1放射線検出器600aのずらし量を減らす(図27の場合では半分にすること)ができる。よって、放射線画像の撮影可能領域の減少量も抑えることができる。
【0165】
なお、図27では、第1放射線検出器600aの方が小さい画素サイズ(高解像度)である例を示したが、この関係は逆であっても構わない。但し、シンチレータ500から発光した光は第2放射線検出器600bよりも第1放射線検出器600aの方に多く導かれるので、第1放射線検出器600aの画素サイズを小さくするのが好ましい。
【0166】
このように、放射線画像の撮影可能領域が所定量以上減少してしまう場合に、第1放射線検出器600a及び/又は第2放射線検出器600bを交換し、それ以外の場合に、第1放射線検出器600aと第2放射線検出器600bの相対位置をずらすことができるので、電子カセッテ18を低コストで高い品質に維持することができる。
【0167】
シンチレータ500を構成する柱状部504の各柱504aの端面と第1放射線検出器600aの結合方法は、押し当てによる方法に限らず、例えば、接着剤を用いた接着による方法、又はゲルからなるマッチングオイルを用いる方法等であってもよい。また、前記各柱504aの端面に樹脂等で構成された防湿層を設けてもよい。この場合、潮解性のあるCsI(Tl)を湿気から保護することができる。
【0168】
シンチレータ500が発光する可視光の波長は、360nm〜830nmの可視光領域であることが好ましく、第1放射線検出器600a及び第2放射線検出器600bのモノクロ撮像を可能とするためには、緑色の波長域を含んでいることがより好ましい。特に、CsI(Tl)では、放射線12の照射時における発光スペクトルが420nm〜600nmであると共に、可視光領域における発光ピーク波長が565nmである。
【0169】
なお、シンチレータ500としてGOSを用いる場合、樹脂ベースにGOSを塗布し、その後、TFTアクティブマトリクス基板の表面に貼り合わせるとよい。これにより、万が一、GOSの塗布が失敗してもTFTアクティブマトリックス基板を温存することができる。
【0170】
次に、図28及び図29を参照して第1放射線検出器600aの構成について説明する。なお、第2放射線検出器600bは、第1放射線検出器600aを上下反転させた構成となっているため、その詳細な説明を省略する。
【0171】
図28に示すように、第1放射線検出器600aは、シンチレータ500から発光された光を吸収して該光に応じた電荷を発生するセンサ部604と、絶縁性の基板602に設けられてセンサ部604にて発生した電荷を電気信号に変換して出力する信号出力部606とを有し、前記センサ部604と前記信号出力部606とで画素部が構成されている。画素部は、基板602上に行列状に配列されており、各画素部における信号出力部606とセンサ部604とが重なりを有するように構成されている。
【0172】
センサ部604は、第1電極612、第2電極614、及び該第1電極612と該第2電極614の間に配置された光電変換膜616を有している。
【0173】
第1電極612は、シンチレータ500により生じた光を光電変換膜616に入射させる必要があるため、少なくともシンチレータ500の発光波長に対して透明な導電性材料で構成することが好ましく、具体的には、可視光に対する透過率が高く、抵抗値が小さい透明導電性酸化物(TCO:Transparent Conducting Oxide)を用いることが好ましい。なお、第1電極612としてAuなどの金属薄膜を用いることもできるが、透過率を90%以上得ようとすると抵抗値が増大し易いため、TCOの方が好ましい。例えば、ITO、IZO、AZO、FTO、SnO、TiO、ZnO等を好ましく用いることができ、プロセス簡易性、低抵抗性、透明性の観点からはITOが最も好ましい。なお、第1電極612は、全画素部で共通の一枚構成としてもよく、画素部毎に分割してもよい。
【0174】
光電変換膜616は、有機光導電体(OPC:Organic Photo Conductors)を含み、シンチレータ500から発せられた光を吸収し、吸収した光に応じた電荷を発生する。有機光導電体(有機光電変換材料)を含む光電変換膜616であれば、可視光域にシャープな吸収スペクトルを持ち、シンチレータ500による発光以外の電磁波が光電変換膜616によって吸収されることが殆どなく、放射線12が光電変換膜616で吸収されることによって発生するノイズを効果的に抑制することができる。なお、光電変換膜616は、有機光導電体に代えてアモルファスシリコンを含むように構成してもよい。この場合、幅広い吸収スペクトルを持ち、シンチレータ500による発光を効率的に吸収することができる。
【0175】
光電変換膜616を構成する有機光導電体は、シンチレータ500で発光した光を最も効率よく吸収するために、そのピーク波長が、シンチレータ500の発光ピーク波長と近いほど好ましい。有機光導電体の吸収ピーク波長とシンチレータ500の発光ピーク波長とが一致することが理想的であるが、双方の差が小さければシンチレータ500から発せられた光を十分に吸収することが可能である。具体的には、有機光導電体の吸収ピーク波長と、シンチレータ500の放射線に対する発光ピーク波長との差が、10nm以内であることが好ましく、5nm以内であることがより好ましい。
【0176】
このような条件を満たすことが可能な有機光導電体としては、例えばキナクリドン系有機化合物及びフタロシアニン系有機化合物が挙げられる。例えばキナクリドンの可視域における吸収ピーク波長は560nmであるため、有機光導電体としてキナクリドンを用い、シンチレータ500の材料としてCsI(Tl)を用いれば、上記ピーク波長の差を5nm以内にすることが可能となり、光電変換膜616で発生する電荷量をほぼ最大にすることができる。
【0177】
センサ部604は、電磁波を吸収する部位、光電変換部位、電子輸送部位、正孔輸送部位、電子ブロッキング部位、正孔ブロッキング部位、結晶化防止部位、電極、及び層間接触改良部位等の積み重ね若しくは混合により形成される有機層を含んで構成される。前記有機層は、有機p型化合物(有機p型半導体)又は有機n型化合物(有機n型半導体)を含有することが好ましい。
【0178】
有機p型半導体は、主に正孔輸送性有機化合物に代表されるドナー性有機半導体(化合物)であり、電子を供与しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機材料を接触させて用いたときにイオン化ポテンシャルの小さい方の有機化合物をいう。したがって、ドナー性有機化合物としては、電子供与性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0179】
有機n型半導体は、主に電子輸送性有機化合物に代表されるアクセプター性有機半導体(化合物)であり、電子を受容しやすい性質がある有機化合物をいう。さらに詳しくは2つの有機化合物を接触させて用いたときに電子親和力の大きい方の有機化合物をいう。したがって、アクセプター性有機化合物は、電子受容性のある有機化合物であればいずれの有機化合物も使用可能である。
【0180】
この有機p型半導体及び有機n型半導体として適用可能な材料、及び光電変換膜616の構成については、特開2009−32854号公報において詳細に説明されているため説明を省略する。なお、光電変換膜616は、さらにフラーレン若しくはカーボンナノチューブを含有させて形成してもよい。
【0181】
光電変換膜616の厚みは、シンチレータ500からの光を吸収する点では膜厚は大きいほど好ましいが、ある程度以上厚くなると光電変換膜616の両端から印加されるバイアス電圧により光電変換膜616に発生する電界の強度が低下して電荷が収集できなくなるため、30nm以上300nm以下が好ましく、より好ましくは、50nm以上250nm以下、特に好ましくは80nm以上200nm以下にするのがよい。
【0182】
光電変換膜616は、全画素部で共通の一枚構成であるが、画素部毎に分割してもよい。第2電極614は、画素部毎に分割された薄膜とする。但し、第2電極614は、全画素部で共通の一枚構成であってもよい。第2電極614は、放射線(X線)12を透過可能なアルミニウム等の材料で構成することができ、その厚みは、例えば、30nm以上300nm以下とすることができる。
【0183】
センサ部604では、第1電極612と第2電極614の間に所定のバイアス電圧を印加することで、光電変換膜616で発生した電荷(正孔、電子)のうちの一方を第1電極612に移動させ、他方を第2電極614に移動させることができる。本変形例に係る第1放射線検出器600aでは、第1電極612に配線が接続され、この配線を介してバイアス電圧が第1電極612に印加されるものとする。また、バイアス電圧は、光電変換膜616で発生した電子が第1電極612に移動し、正孔が第2電極614に移動するように極性が決められているものとするが、この極性は逆であっても良い。
【0184】
各画素部を構成するセンサ部604は、少なくとも第2電極614、光電変換膜616、及び第1電極612を含んでいればよいが、暗電流の増加を抑制するため、電子ブロッキング膜618及び正孔ブロッキング膜620の少なくともいずれかを設けることが好ましく、両方を設けることがより好ましい。
【0185】
電子ブロッキング膜618は、第2電極614と光電変換膜616との間に設けることができ、第2電極614と第1電極612間にバイアス電圧を印加したときに、第2電極614から光電変換膜616に電子が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0186】
電子ブロッキング膜618には、電子供与性有機材料を用いることができる。実際に電子ブロッキング膜618に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上電子親和力(Ea)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料のイオン化ポテンシャル(Ip)と同等のIpもしくはそれより小さいIpを持つものが好ましい。この電子供与性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0187】
電子ブロッキング膜618の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部604の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0188】
正孔ブロッキング膜620は、光電変換膜616と第1電極612との間に設けることができ、第2電極614と第1電極612間にバイアス電圧を印加したときに、第1電極612から光電変換膜616に正孔が注入されて暗電流が増加してしまうのを抑制することができる。
【0189】
正孔ブロッキング膜620には、電子受容性有機材料を用いることができる。正孔ブロッキング膜620の厚みは、暗電流抑制効果を確実に発揮させると共に、センサ部604の光電変換効率の低下を防ぐため、10nm以上200nm以下が好ましく、さらに好ましくは30nm以上150nm以下、特に好ましくは50nm以上100nm以下にするのがよい。
【0190】
実際に正孔ブロッキング膜620に用いる材料は、隣接する電極の材料および隣接する光電変換膜616の材料等に応じて選択すればよく、隣接する電極の材料の仕事関数(Wf)より1.3eV以上イオン化ポテンシャル(Ip)が大きく、且つ、隣接する光電変換膜616の材料の電子親和力(Ea)と同等のEaもしくはそれより大きいEaを持つものが好ましい。この電子受容性有機材料として適用可能な材料については、特開2009−32854号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0191】
なお、光電変換膜616で発生した電荷のうち、正孔が第1電極612に移動し、電子が第2電極614に移動するようにバイアス電圧を設定する場合には、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620の位置を逆にすれば良い。また、電子ブロッキング膜618と正孔ブロッキング膜620は両方設けなくてもよく、いずれかを設けておけば、ある程度の暗電流抑制効果を得ることができる。
【0192】
図29に示すように、信号出力部606は、各画素部の第2電極614に対応して基板602の表面に設けられており、第2電極614に移動した電荷を蓄積する蓄積容量622と、前記蓄積容量622に蓄積された電荷を電気信号に変換して出力するTFT624とを有している。蓄積容量622及びTFT624の形成された領域は、平面視において第2電極614と重なる部分を有しており、このような構成とすることで、各画素部における信号出力部606とセンサ部604とが厚さ方向で重なりを有することとなる。蓄積容量622及びTFT624を第2電極614によって完全に覆うように信号出力部606を形成すれば、第1放射線検出器600a(画素部)の平面積を最小にすることができる。
【0193】
蓄積容量622は、基板602と第2電極614との間に設けられた絶縁膜626を貫通して形成された導電性材料の配線を介して対応する第2電極614と電気的に接続されている。これにより、第2電極614で捕集された電荷を蓄積容量622に移動させることができる。
【0194】
TFT624は、ゲート電極628、ゲート絶縁膜630、及び活性層(チャネル層)632を有しており、活性層632にソース電極634とドレイン電極636が所定の間隔を開けて形成されている。活性層632は、例えば、アモルファスシリコンや非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブなどにより形成することができる。なお、活性層632を構成する材料は、これらに限定されるものではない。
【0195】
活性層632を構成可能な非晶質酸化物としては、In、Ga及びZnのうちの少なくとも1つを含む酸化物(例えばIn−O系)が好ましく、In、Ga及びZnのうちの少なくとも2つを含む酸化物(例えばIn−Zn−O系、In−Ga−O系、Ga−Zn−O系)がより好ましく、In、Ga及びZnを含む酸化物が特に好ましい。In−Ga−Zn−O系非晶質酸化物としては、結晶状態における組成がInGaO(ZnO)(mは6未満の自然数)で表される非晶質酸化物が好ましく、特に、InGaZnOがより好ましい。なお、活性層632を構成可能な非晶質酸化物は、これらに限定されるものではない。
【0196】
活性層632を構成可能な有機半導体材料としては、フタロシアニン化合物や、ペンタセン、バナジルフタロシアニン等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。なお、フタロシアニン化合物の構成については、特開2009−212389号公報に詳細に記載されているため説明を省略する。
【0197】
TFT624の活性層632を非晶質酸化物や有機半導体材料、カーボンナノチューブで形成したものとすれば、X線等の放射線12を吸収せず、あるいは吸収したとしても極めて微量に留まるため、信号出力部606におけるノイズの発生を効果的に抑制することができる。
【0198】
活性層632をカーボンナノチューブで形成した場合、TFT624のスイッチング速度を高速化することができ、また、可視光域での光の吸収度合の低いTFT624を形成できる。なお、カーボンナノチューブで活性層632を形成する場合、活性層632に極微量の金属性不純物の混入するだけで、TFT624の性能は著しく低下するため、遠心分離などにより極めて高純度のカーボンナノチューブを分離・抽出して形成する必要がある。
【0199】
ここで、上述した非晶質酸化物、有機半導体材料、カーボンナノチューブや、有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。従って、基板602としては、半導体基板、石英基板、及びガラス基板等の耐熱性の高い基板に限定されず、プラスチック等の可撓性基板、アラミド、バイオナノファイバを用いることもできる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリアリレート、ポリイミド、ポリシクロオレフィン、ノルボルネン樹脂、ポリクロロトリフルオロエチレン等の可撓性基板を用いることができる。このようなプラスチック製の可撓性基板を用いれば、軽量化を図ることもでき、例えば持ち運び等に有利となる。
【0200】
ここで、光電変換膜616を有機光導電体で形成すると共にTFT624を有機半導体材料で形成する場合、プラスチック製の可撓性基板(基板602)に対して該光電変換膜616及び該TFT624をインクジェットにより成膜することが可能となる。これにより、成膜精度を向上させることができるので、第1放射線検出器600aに画素欠陥が生じ難くなる。よって、第1放射線検出器600aの歩留まりを向上させることができる。
【0201】
有機光導電体で形成された光電変換膜616と有機半導体材料で形成されたTFT624は十分な可撓性を有している。そのため、被写体14の荷重が第1放射線検出器600aに作用した場合でも該第1放射線検出器600aが破損することを抑えることができるので、第1放射線検出器600a全体の薄型化及び軽量化を図ることができる。なお、これら第1放射線検出器600aの効果は、第2放射線検出器600bにおいても奏する。
【0202】
基板602には、絶縁性を確保するための絶縁層、水分や酸素の透過を防止するためのガスバリア層、平坦性あるいは電極等との密着性を向上するためのアンダーコート層等を設けてもよい。
【0203】
アラミドは、200度以上の高温プロセスを適用できるために,透明電極材料を高温硬化させて低抵抗化でき、また、ハンダのリフロー工程を含むドライバICの自動実装にも対応できる。また、アラミドは、ITO(Indium Tin Oxide)やガラス基板と熱膨張係数が近いため、製造後の反りが少なく、割れにくい。また、アラミドは、ガラス基板等と比べて薄く基板を形成できる。なお、超薄型ガラス基板とアラミドを積層して基板602を形成してもよい。
【0204】
バイオナノファイバは、バクテリア(酢酸菌、Acetobacter Xylinum)が産出するセルロースミクロフィブリル束(バクテリアセルロース)と透明樹脂との複合したものである。セルロースミクロフィブリル束は、幅50nmと可視光波長に対して1/10のサイズで、且つ、高強度、高弾性、低熱膨である。バクテリアセルロースにアクリル樹脂、エポキシ樹脂等の透明樹脂を含浸・硬化させることで、繊維を60−70%も含有しながら、波長500nmで約90%の光透過率を示すバイオナノファイバが得られる。バイオナノファイバは、シリコン結晶に匹敵する低い熱膨張係数(3−7ppm)を有し、鋼鉄並の強度(460MPa)、高弾性(30GPa)で、且つフレキシブルであることから、ガラス基板等と比べて基板602を薄く形成できる。
【0205】
上述した変形例に係る第1放射線検出器600aでは、光電変換膜616を有機光導電体により構成すると共にTFT624の活性層632を有機半導体材料で構成しているので、該光電変換膜616及び信号出力部606で放射線12が吸収されることは殆どない。これにより、放射線12に対する感度の低下を抑えることができる。
【0206】
TFT624の活性層632を構成する有機半導体材料や光電変換膜616を構成する有機光導電体は、いずれも低温での成膜が可能である。このため、基板602を放射線12の吸収が少ないプラスチック樹脂、アラミド、バイオナノファイバで形成することができる。これにより、放射線12に対する感度の低下を一層抑えることができる。
【0207】
また、例えば、第1放射線検出器600aをケーシング28内に配置し、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、第1放射線検出器600a自体の剛性を高くすることができるため、ケーシング28を薄く形成することができる。また、基板602を剛性の高いプラスチック樹脂やアラミド、バイオナノファイバで形成した場合、第1放射線検出器600a自体が可撓性を有するため、ケーシング28に衝撃が加わった場合でも第1放射線検出器600aが破損しづらい。
【0208】
本変形例に係る電子カセッテ18では、少なくとも第1放射線検出器600aにおいて、光電変換膜616を有機光導電体で形成すると共にTFT624を有機半導体材料で形成するのが好ましい。この場合、第1放射線検出器600aで吸収される放射線(X線)12量を抑えることができるからである。
【符号の説明】
【0209】
10…放射線画像撮影システム 12…放射線
14…被写体 18…電子カセッテ
20…表示装置 22…コンソール
30、500…シンチレータ 32…放射線検出器
32a、600a…第1放射線検出器
32b、600b…第2放射線検出器
86…欠陥画素情報テーブル 87…欠陥画素補正部
100A〜100C…第1管理システム〜第3管理システム
102…画素配列マップ 104…マップ作成部
106…領域情報テーブル
108a〜108c…第1テーブル作成部〜第3テーブル作成部
110a〜110c…第1選択部〜第3選択部
112a…第1領域 112b…第2領域
120A〜120C…第1管理処理部〜第3管理処理部
122a〜122c…第1テーブル更新部〜第3テーブル更新部
124a〜124c…第1判別部〜第3判別部
126a〜126c…第1警告出力部〜第3警告出力部
128…配置関係表示部
130a〜130c…第1カラー表示部〜第3カラー表示部
132…配置関係図 134…補正領域情報テーブル
136…補正単位領域 140…周辺画素情報テーブル
602…基板 606…信号出力部
616…光電変換膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影装置の放射線検出器の管理方法であって、
製造された複数の放射線検出器の欠陥画素の位置を把握し、
1つの前記放射線画像撮影装置に2以上の放射線検出器を重ねて組み込む際に、把握した前記欠陥画素の位置を参照して、2以上の放射線検出器の欠陥画素が重ならないようにすることを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項2】
請求項1記載の放射線検出器の管理方法において、
1つの前記放射線画像撮影装置に2以上の放射線検出器を重ねて組み込む際に、2以上の放射線検出器の同一の画素位置に欠陥画素が重ならないようにすることを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項3】
請求項2記載の放射線検出器の管理方法において、
製造された前記複数の放射線検出器から、1つの前記放射線画像撮影装置に組み込む2つの放射線検出器を選択する選択ステップを有し、
前記選択ステップは、
把握した前記欠陥画素の位置を参照して、同一の画素位置に欠陥画素が重ならない2つの放射線検出器を選択することをことを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項4】
請求項3記載の放射線検出器の管理方法において、
製造された前記複数の放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録された複数の領域情報テーブルを作成するステップを有し、
前記第1領域と前記第2領域は、それぞれ同じ画素配列を有し、
前記選択ステップは、
前記複数の領域情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、前記第1領域と前記第2領域とが重なる関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項5】
請求項4記載の放射線検出器の管理方法において、
前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、
重ねられた前記2つの放射線検出器における前記領域情報テーブルに基づいて、前記第1領域同士が重なる関係になっているか否かを判別するステップと、
前記判別ステップにおいて、前記第1領域同士が重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項6】
請求項5記載の放射線検出器の管理方法において、
前記2つの放射線検出器の前記第1領域及び前記第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、
前記第1領域同士が重なる部分を第1色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第2色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項7】
請求項1又は2記載の放射線検出器の管理方法において、
製造された前記複数の放射線検出器に対応して作成され、補正単位領域の位置情報が登録された補正領域情報テーブルを作成するステップを有し、
前記補正単位領域は、欠陥画素と該欠陥画素を補正する際に用いられる周辺画素の領域を示し、
前記選択ステップは、
前記複数の補正領域情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、一方の放射線検出器の補正単位領域に、他方の放射線検出器の補正単位領域の一部でも重ならない関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項8】
請求項7記載の放射線検出器の管理方法において、
前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記補正領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、
重ねられた前記2つの放射線検出器における前記補正領域情報テーブルに基づいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっているか否かを判別するステップと、
前記判別ステップにおいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項9】
請求項8記載の放射線検出器の管理方法において、
前記放射線画像撮影装置に組み込まれた2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項10】
請求項1記載の放射線検出器の管理方法において、
前記放射線画像撮影装置に対して2つの前記放射線検出器を少なくとも一方向に1画素ピッチ未満の範囲でずらして組み込む際に、
製造された前記複数の放射線検出器に対応し、欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素の位置情報が登録された複数の周辺画素情報テーブルを作成するステップを有し、
前記選択ステップは、
前記複数の周辺画素情報テーブルに基づいて、前記複数の放射線検出器のうち、2つの放射線検出器を重ねたときに、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれず、且つ、他方の欠陥画素が一方の欠陥画素とその周辺画素に含まれない関係を有する2つの放射線検出器を選択することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項11】
請求項10記載の放射線検出器の管理方法において、
前記2つの放射線検出器が重ねられて組み込まれた前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記周辺画素情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、
重ねられた前記2つの放射線検出器における前記周辺画素情報テーブルに基づいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっているか否かを判別するステップと、
前記判別ステップにおいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項12】
請求項11記載の放射線検出器の管理方法において、
前記放射線画像撮影装置に組み込まれた2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示ステップと、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示ステップとを有することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項13】
請求項6、9又は12記載の放射線検出器の管理方法において、
前記カラー表示ステップは、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記欠陥画素同士が重なっている箇所が存在している部分を異なった色で表示することを特徴とする放射線検出器の管理方法。
【請求項14】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2以上の放射線検出器を有する放射線画像撮影装置において、
前記2以上の放射線検出器は、それぞれ同一の画素位置に欠陥画素が重ならないように組み込まれていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項15】
請求項14記載の放射線画像撮影装置において、
前記放射線検出器が2つ設けられており、
前記2つの放射線検出器の間に設けられ、且つ前記放射線を光に変換するシンチレータをさらに備え、
前記シンチレータよりも前記被写体側に位置する放射線検出器は、前記光を吸収して該光に応じた電荷を発生する光電変換部と、
前記電荷を電気信号に変換して出力する信号出力部と、を有し、
前記光電変換部は、有機光導電体を含んで構成されており、
前記信号出力部は、有機半導体材料を含んで構成されていることを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項16】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器に対応して作成され、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の位置情報が登録された複数の領域情報テーブルと、
前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、前記領域情報テーブルに反映させるテーブル更新部と、
反映後の前記領域情報テーブルに基づいて、前記第1領域同士が重なる関係になっているか否かを判別する判別部と、
前記判別部において、前記第1領域同士が重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項17】
請求項16記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器の前記第1領域及び前記第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、
前記第1領域同士が重なる部分を第1色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第2色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項18】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器に対応して作成され、欠陥画素と該欠陥画素を補正する際に用いられる周辺画素の領域を示す補正単位領域の位置情報が登録された補正領域情報テーブルと、
前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記補正領域情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、
前記2つの放射線検出器における前記補正領域情報テーブルに基づいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっているか否かを判別するステップと、
前記判別ステップにおいて、前記補正単位領域同士が一部でも重なる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項19】
請求項18記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記補正単位領域同士が一部でも重なっている箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項20】
被写体を透過した放射線を検出して放射線画像情報に変換する2つの放射線検出器が少なくとも一方向に1画素未満の範囲でずらして組み込まれた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器に対応して作成され、欠陥画素と、該欠陥画素を中心に画素ずらしの方向に対して隣接する周辺画素の位置情報が登録された周辺画素情報テーブルと、
前記放射線画像撮影装置に対する定期又は不定期の欠陥画素検出処理にて新たに発見された欠陥画素の位置を、対応する前記周辺画素情報テーブルに反映させるテーブル更新ステップと、
前記2つの放射線検出器における前記周辺画素情報テーブルに基づいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっているか否かを判別するステップと、
前記判別ステップにおいて、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる関係になっていると判別された場合に、警告を発する警告出力ステップとを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項21】
請求項20記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記2つの放射線検出器に対応し、それぞれ欠陥画素が存在する第1領域と、欠陥画素が存在しない第2領域の配置関係をモデル化して重ねて表示する配置関係表示部と、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在する部分を第1色で表示し、前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、一方の欠陥画素が他方の欠陥画素とその周辺画素に含まれる箇所が存在しない部分を第2色で表示し、前記第1領域と前記第2領域とが重なる部分を第3色で表示するカラー表示部とを有することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項22】
請求項17、19又は21記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記カラー表示ステップは、
前記第1領域同士が重なる部分であって、且つ、前記欠陥画素同士が重なっている箇所が存在している部分を異なった色で表示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項23】
請求項16、18又は20に記載の放射線画像撮影システムにおいて、
前記放射線画像撮影装置は、前記2つの放射線検出器の間に設けられ、且つ前記放射線を光に変換するシンチレータをさらに備え、
前記シンチレータよりも前記被写体側に位置する放射線検出器は、前記光を吸収して該光に応じた電荷を発生する光電変換部と、
前記電荷を電気信号に変換して出力する信号出力部と、を有し、
前記光電変換部は、有機光導電体を含んで構成されており、
前記信号出力部は、有機半導体材料を含んで構成されていることを特徴とする放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−221000(P2011−221000A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−277774(P2010−277774)
【出願日】平成22年12月14日(2010.12.14)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】