説明

放射線画像撮影システム、接続装置、放射線画像撮影装置の落下検出方法及びプログラム

【課題】移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる。
【解決手段】放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置と、接続部に接続可能に構成され、自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段(S103)を備えた接続装置と、接続装置が放射線画像撮影装置に接続された状態で、接続装置の取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出手段(S107)と、を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システム、接続装置、放射線画像撮影装置の落下検出方法及びプログラムに係り、特に、有線接続用の接続部を備えた放射線画像撮影装置を有する放射線画像撮影システム、当該放射線画像撮影装置の前記有線接続用の接続部に接続される接続装置、当該放射線画像撮影装置の落下検出方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
可搬型の放射線画像撮影装置は、その可搬性から移動中や撮影のためのセッティングの最中等に落下してしまう場合がある。この場合、放射線画像撮影装置に内蔵された放射線検出器が衝撃を受けることにより、撮影によって得られる放射線画像の品質が劣化する場合があった。
【0003】
このため、特許文献1に開示されている技術では、放射線画像撮影装置のブレを検出するためのセンサを設けておき、当該センサを用いて落下を検出していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−34428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの技術では、センサが放射線画像撮影装置に内蔵された電源によって作動するため、放射線画像撮影装置の電源がオフ状態となっている場合には落下を検出することができない、という問題点があった。
【0006】
すなわち、可搬型の放射線画像撮影装置では、その可搬性を向上させるために電源を内蔵している場合が多く、電源をオフ状態にした場合、撮影枚数をできるだけ多くするために、移動中やセッティング中には電源をオフ状態としている場合が多い。この場合、落下を検出するセンサへの給電も停止される結果、落下し易い状況である放射線画像撮影装置の移動中やセッティング中等には落下したことを検出できなくなってしまうのである。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる放射線画像撮影システム、接続装置、放射線画像撮影装置の落下検出方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る放射線画像撮影システムは、請求項1に記載したように、放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置と、前記接続部に接続可能に構成され、自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段を備えた接続装置と、前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出手段と、を備えている。
【0009】
請求項1に記載の放射線画像撮影システムによれば、放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を備えた放射線画像撮影装置を備え、前記接続端子に接続可能に構成された接続装置により、自身が落下する際に変化する物理量が取得され、検出手段により、前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下が検出される。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0010】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項2に記載したように、前記検出手段により落下が検出された場合、当該落下を報知する報知手段を更に有するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して報知することができる、という効果を奏する。
【0011】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項3に記載したように、前記報知手段は、表示手段による表示により前記落下を報知するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して表示により報知することができる、という効果を奏する。
【0012】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項4に記載したように、前記報知手段は、音声出力手段による音声により前記落下を報知するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して音声により報知することができる、という効果を奏する。
【0013】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項5に記載したように、前記検出手段による検出結果を示す情報を記憶する記憶手段を更に有するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して当該落下に関する情報を記憶して後に当該情報を使用することができる、という効果を奏する。
【0014】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項6に記載したように、前記接続装置は、前記接続部に接続された状態で、落下したことを示す落下情報を前記放射線画像撮影装置に対して送信する送信手段を更に有するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して放射線画像撮影装置で当該落下に関する情報を使用することができる、という効果を奏する。
【0015】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項7に記載したように、前記放射線画像撮影装置は、前記接続部に前記接続装置が接続された状態で前記落下情報を受信する受信手段と、前記受信手段により受信した前記落下情報を記憶する記憶手段と、を更に有するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して放射線画像撮影装置で当該落下に関する情報を後で使用することができる、という効果を奏する。
【0016】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項8に記載したように、前記送信手段は、前記放射線画像撮影装置の非駆動時に前記検出手段によって前記落下が検出された場合、前記放射線画像撮影装置が駆動状態に移行した時点で前記落下情報を送信するようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して、放射線画像撮影装置の電源がオフ状態であっても放射線画像撮影装置で当該落下に関する情報を使用することができる、という効果を奏する。
【0017】
また、本発明に係る放射線画像撮影システムにおいて、請求項9に記載したように、前記接続装置は、前記検出手段に駆動用の電力を供給する電源を更に備えるようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、独自に備えた電源を使用して落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0018】
また、本発明に係る放射線画像撮影装置において、請求項10に記載したように、前記接続装置は、前記接続部に接続された状態で、前記電源によって生成された電力を前記放射線画像撮影装置に供給する供給手段を更に備えるようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができ、更に放射線画像撮影装置に対して電力を供給すことができる、という効果を奏する。
【0019】
また、本発明に係る放射線画像撮影装置において、請求項11に記載したように、前記取得手段は、加速度を検出する加速度センサであるようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、加速度センサの検出結果を用いて落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0020】
一方、上記目的を達成するために、請求項12に記載の接続装置は、放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を備えた放射線画像撮影装置の前記接続端子に接続可能に構成された接続部と、自身の落下を検出する検出手段と、を備えている。
【0021】
従って、請求項12に記載の接続装置によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用するので、請求項1に記載の発明と同様に、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0022】
また、本発明に係る接続装置において、請求項13に記載したように、前記検出手段により落下が検出された場合、当該落下を報知する報知手段を更に備えるようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して報知することができる。
【0023】
また、本発明に係る接続装置において、請求項14に記載したように、前記検出手段により落下が検出された場合、落下したことを示す落下情報を前記放射線画像撮影装置に対して送信する送信手段を更に備えるようにしても良い。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出して放射線画像撮影装置で当該落下に関する情報を使用することができる。
【0024】
一方、上記目的を達成するために、請求項15に記載の落下検出方法は、放射線画像を検出する放射線検出器及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置の落下検出方法であって、前記放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続装置を、当該接続部に接続する接続ステップと、前記接続装置が、自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得ステップと、前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得ステップにより取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出ステップと、を備えた放射線画像撮影装置の落下検出方法である。
【0025】
従って、請求項15に記載の落下検出方法によれば、請求項1に記載の発明と同様に作用することができるので、請求項1に記載の発明と同様に、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0026】
また、上記目的を達成するために、請求項16に記載のプログラムは、放射線画像を検出する放射線検出器及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続装置が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段を備えた放射線画像撮影装置を制御するコンピュータを、前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出する検出手段と、として機能させるためのプログラムである。
【0027】
従って、請求項16に記載のプログラムによれば、コンピュータを請求項1に記載の発明と同様に作用させることができるので、請求項1に記載の発明と同様に、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施の形態に係る放射線画像撮影システムが適用される検査システムの構成を示すブロック図である。
【図2】実施の形態に係る電子カセッテおよび通信ケーブルの構成および当該通信ケーブルの電子カセッテへの接続方法を示す正面図である。
【図3】実施の形態に係るダミー・コネクタの構成および電子カセッテへの接続方法を示す正面図である。
【図4】第1の実施の形態に係る電子カセッテ及びダミー・コネクタの電気系の要部構成と、ダミー・コネクタの電子カセッテへの接続方法を示すブロック図(一部回路図)である。
【図5】第1の実施の形態に係る落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】実施の形態に係る検出情報の一例を示す図ある。
【図7】第1の実施の形態に係るダミー・コネクタの表示部における表示内容の一例を示す図である。
【図8】第1の実施の形態に係る電源遮断処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図9】第2の実施の形態及び第3の実施の形態に係る電子カセッテ及びダミー・コネクタの電気系の要部構成と、ダミー・コネクタの電子カセッテへの接続方法を示すブロック図(一部回路図)である。
【図10】第2の実施の形態に係る落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図11】第2の実施の形態に係る落下報知処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図12】第3の実施の形態に係る落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図13】第3の実施の形態に係る落下報知処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートである。
【図14】実施の形態に係るダミー・コネクタの構成例を示す正面図である。
【図15】実施の形態に係る電子カセッテ及びダミー・コネクタの電気系の要部構成と、ダミー・コネクタの電子カセッテへの接続方法の別例を示すブロック図(一部回路図)である。
【図16】実施の形態に係る他のダミー・コネクタの構成例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、ここでは、本発明を、可搬型の放射線画像撮影装置(以下、「電子カセッテ」という。)を用いて放射線画像の撮影を行う放射線画像撮影システムに適用した場合の形態例について説明する。
【0031】
[第1の実施の形態]
図1には、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10が適用される検査システム11の概略構成の一例が示されている。
【0032】
同図に示すように、本実施の形態に係る検査システム11は、放射線(本実施の形態では、X線)画像を撮影するための撮影室(以下、「X線室」という。)に設置されており、撮影制御装置(以下、「コンソール」という。)90、放射線発生装置92、および電子カセッテ32が備えられている。
【0033】
コンソール90は、電子カセッテ32と無線通信が可能に構成されている。また、コンソール90と電子カセッテ32とは通信ケーブル43を介して有線接続された状態で、有線通信が可能となっている。
【0034】
コンソール90は、有線通信方式および無線通信方式のいずれかの通信方式で通信を行って、制御信号を伝送することにより電子カセッテ32に対して様々な制御を行う。また、コンソール90は、通信ケーブル94を介して放射線発生装置92と接続されており、放射線を発生するタイミングを制御する。
【0035】
コンソール90の制御に基づいたタイミングで、放射線発生装置92は、放射線を被写体12に照射する。放射線発生装置92から照射された放射線は、被写体12を透過して電子カセッテ32に照射される。電子カセッテ32は、照射された放射線から放射線画像を示す画像データを生成する。生成された画像データは、有線通信または無線通信によりコンソール90に送信される。
【0036】
図2には、本実施の形態に係る電子カセッテ32および通信ケーブル43の構成および当該通信ケーブル43の電子カセッテ32への接続方法を示す正面図が示されている。
【0037】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、誤操作の防止および密閉性の確保のため、電源スイッチが設けられていない一方、通信ケーブル43に設けられたコネクタ43Aが接続可能とされた接続部32Bが設けられている。
【0038】
なお、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、内蔵された電力駆動する各部(後述する放射線検出器等)に対して内蔵電源60から常時電力が供給される一方、通信ケーブル43のコネクタ43Aが接続部32Bに接続されている場合には、内蔵電源60から上記各部への電力供給が遮断されると共に、当該通信ケーブル43を介して当該各部への駆動用の電力が供給される。
【0039】
一方、図3に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ32には、接続部32Bに接続可能に構成されたダミー・コネクタ50が用意されている。本実施の形態では、遠視カセッテ32及びダミー・コネクタ50を備えたシステムを放射線画像撮影システム10とする。
【0040】
ダミー・コネクタ50は、電子カセッテ32に接続されることにより、電子カセッテ32の内蔵電源60から各部への電力供給を遮断することができる。なお、本実施の形態に係るダミー・コネクタ50は、通信ケーブル43のコネクタ43Aと略同一の形状および寸法とされ、ケーブルを有さず、電子カセッテ32に接続された状態で、電子カセッテ32の接続部32密閉する。
【0041】
一方、図4には、本実施の形態に係る電子カセッテ32の電気系の要部構成が示されている。
【0042】
同図に示すように、本実施の形態に係る電子カセッテ32は、TFT(Thin Film Transistor)基板21上に光吸収性の低い接着樹脂等を用いて図示しないシンチレータが貼り付けられた放射線検出器20を備えている。
【0043】
TFT基板21には、上記シンチレータが発する光を吸収して電荷を発生するセンサ部22A、センサ部22Aにおいて発生した電荷を蓄積するコンデンサ22B、およびコンデンサ22Aに蓄積された電荷を電気信号に変換して出力する電界効果型薄膜トランジスタ(以下、単に「薄膜トランジスタ」という。)22Cを含んで構成される画素22が一定方向(図4の行方向)、および当該一定方向に対する交差方向(図4の列方向)に2次元状に複数設けられている。
【0044】
また、放射線検出器20には、上記一定方向(行方向)に延設され、各薄膜トランジスタ22Cをオン・オフさせるための複数本のゲート配線27と、上記交差方向(列方向)に延設され、オン状態の薄膜トランジスタ22Cを介して電荷を読み出すための複数本のデータ配線28と、が設けられている。放射線検出器20は、平板状で、かつ平面視において外縁に4辺を有する四辺形状、より具体的には、矩形状に形成されている。
【0045】
放射線検出器20は、隣り合う2辺の一辺側にゲート線ドライバ23が配置され、他辺側に信号処理部24が配置されている。TFT基板21の個々のゲート配線27はゲート線ドライバ23に接続され、TFT基板21の個々のデータ配線28は信号処理部24に接続されている。
【0046】
また、電子カセッテ32の筐体32Aの内部には、画像メモリ25と、カセッテ制御部26と、無線通信部27と、を備えている。
【0047】
TFT基板21の各薄膜トランジスタ22Cは、ゲート線ドライバ23からゲート配線27を介して供給される信号により行単位で順にオンされ、オン状態とされた薄膜トランジスタ22Cによって読み出された電荷は、電気信号としてデータ配線28を伝送されて信号処理部24に入力される。これにより、電荷は行単位で順に読み出され、二次元状の放射線画像が取得可能となる。
【0048】
図示は省略するが、信号処理部24は、個々のデータ配線28毎に、入力される電気信号を増幅する増幅回路およびサンプルホールド回路を備えており、個々のデータ配線28を伝送された電気信号は増幅回路で増幅された後にサンプルホールド回路に保持される。また、サンプルホールド回路の出力側にはマルチプレクサ、A/D(アナログ/デジタル)変換器が順に接続されており、個々のサンプルホールド回路に保持された電気信号はマルチプレクサに順に(シリアルに)入力され、A/D変換器によってデジタルの画像データへ変換される。
【0049】
信号処理部24には画像メモリ25が接続されており、信号処理部24のA/D変換器から出力された画像データは画像メモリ25に順に記憶される。画像メモリ25は所定枚分の画像データを記憶可能な記憶容量を有しており、放射線画像の撮影が行われる毎に、撮影によって得られた画像データが画像メモリ25に順次記憶される。
【0050】
画像メモリ25はカセッテ制御部26と接続されている。カセッテ制御部26はマイクロコンピュータを含んで構成され、CPU(中央処理装置)26A、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含むメモリ26B、フラッシュメモリ等からなる不揮発性の記憶部26Cを備えており、電子カセッテ32全体の動作を制御する。
【0051】
さらに、カセッテ制御部26には無線通信部27が接続されている。無線通信部27は、IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers)802.11a/b/g等に代表される無線LAN(Local Area Network)規格に対応しており、無線通信による外部機器との間での各種情報の伝送を制御する。カセッテ制御部26は、無線通信部27を介して、放射線画像の撮影に関する制御を行うコンソール90などの外部装置と無線通信が可能とされており、コンソール90等との間で各種情報の送受信が可能とされている。
【0052】
また、電子カセッテ32には前述した内蔵電源60が設けられており、各種回路や各種素子(ゲート線ドライバ23、信号処理部24、画像メモリ25、無線通信部27、カセッテ制御部26として機能するマイクロコンピュータ等)は、内蔵電源60から供給された電力によって作動する。内蔵電源60は、電子カセッテ32の可搬性を損なわないように、バッテリ(充電可能な二次電池)を内蔵しており、充電されたバッテリから各種回路・素子へ電力を供給する。
【0053】
ダミー・コネクタ50には、CPU51、ROM53、およびRAM54が備えられると共に、表示部56に接続された表示制御部55、音声を出力する音声出力部62、およびセンサ52に接続されたA/D変換器(A/D)57が備えられており、これら各部はシステム・バスにより相互かつ電気的に接続されている。従って、CPU51は、ROM53およびRAM54へのアクセス、表示部56に対する各種情報の表示、音声出力、およびセンサ52の検出結果の取得を各々行うことができる。センサ52は、ダミー・コネクタ50に加わる加速度を検出する加速度センサであるが、これに限定されず、その他圧電センサ等、ダミー・コネクタ50に加わる衝撃や加速度を検出することができるセンサであれば良い。
【0054】
また、ダミー・コネクタ50は、接続部50Bに接続されたインタフェース(I/F)58が備えられており、当該I/F58もまた上記システム・バスに接続されている。従って、CPU51は、ダミー・コネクタが電子カセッテ32に接続されている場合における接続部50Bを介した電子カセッテ32との各種情報の授受を行うことができる。
【0055】
さらに、ダミー・コネクタ50は、電力供給電源59を備えていて、各種回路や各種素子(CPU51、センサ52、ROM54、RAM54、表示部56や表示制御部55等)は、電力供給電源59から供給された電力によって作動する。また、ダミー・コネクタ50は、電子カセッテ32が接続部32Bを介して接続された際、電力供給電源59から電子カセッテ32の内蔵電源60への充電、あるいは電力供給電源59から電子カセッテ32の各種回路(放射線検出器32等)への給電を行うことができる。
【0056】
本実施の形態に係る電子カセッテ32では、接続部32Bがカセッテ制御部26に電気的に接続されていることにより、ダミー・コネクタのCPU51が、電子カセッテ32に接続された状態で、内蔵電源60からの給電状態を、CPU26Aを介して制御することができる。
【0057】
なお、この構成では、センサ52の検出結果を示す情報や、電子カセッテ32の作動状態を示す情報等の各種情報を表示部56により表示したり、音声出力部62により音声で出力したりすることができるため、より利便性を向上させることができる。
【0058】
次に、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10の作用を説明する。まず、図4を参照して、本実施の形態に係る電子カセッテ32の放射線画像の撮影時における作用を説明する。
【0059】
本実施の形態に係る電子カセッテ32は、放射線画像の撮影を行う場合、放射線発生装置92と間隔を空けて配置され、撮影領域上に被写体12の撮影対象部位が配置される。その後、放射線発生装置92は予め与えられた撮影条件等に応じた放射線量の放射線を射出する。
【0060】
放射線発生装置92から射出された放射線は、撮影対象部位を透過することで画像情報を担持した後に電子カセッテ32に照射される。これにより、電子カセッテ32に内蔵された放射線検出器20の各センサ部22Aには照射された放射線の線量に応じた電荷が発生し、コンデンサ22Bにはセンサ部22Aで発生した電荷が蓄積される。
【0061】
カセッテ制御部26は、放射線の照射終了後に、ゲート線ドライバ23を制御し、ゲート線ドライバ23から放射線検出器20の各ゲート配線27に1ラインずつ順にオン信号を出力させて画像情報の読み出しを行う。放射線検出器20から読み出された画像情報は上記A/D変換器によってデジタルの画像データに変換され、画像メモリ25に記憶された後、無線通信部27を介して無線にてコンソール90に送信される。
【0062】
ところで、本実施の形態に係る放射線画像撮影システム10では、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続されている状態で、ダミー・コネクタ50によって当該ダミー・コネクタ50の落下、換言すれば電子カセッテ32の落下を検出する落下検出処理を実行する。
【0063】
次に、図5を参照して、落下検出処理を実行する際のダミー・コネクタ50の作用を説明する。なお、図5は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続された場合に当該ダミー・コネクタ50のCPU51により実行される落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM53の所定領域に予め記憶されている。
【0064】
なお、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続された際に、ダミー・コネクタ50が識別信号を送信し、電子カセッテ32がこの信号に対する応答信号を送信する。CPU51は、この応答信号を受信することで、電子カセッテ32に接続されたことを認識し、当該落下検出処理プログラムの実行を開始する。
【0065】
まず、ステップS101において、CPU51は、表示部56の表示内容をクリアするように表示制御部55を介して制御する。
【0066】
ステップS103において、CPU51は、センサ52により検出された加速度をA/D変換器57を介して取得する。また、ステップ105において、CPU51は、ステップS103において取得した加速度を、ステップS103にて当該加速度を取得した時刻に関連付けてRAM54に記憶する。
【0067】
図6は、ステップS103においてRAM54に記憶される検出情報70の一例を示す図である。図6に示すように、本実施の形態に係る検出情報70は、例えば時刻と加速度とがそれぞれ対応付けられた情報である。
【0068】
ステップ107において、CPU51は、ステップS103にて取得した加速度が、落下したか否かを判定するための基準となる予め定められた閾値以上であったか否かを判定する。この閾値を示す情報は、予めROM54に記憶しておいても、I/F58を介して入力しても良い。
【0069】
ステップS107において閾値以上であると判定された場合は、ステップS109において、CPU51は、表示部56に、落下したことを示す情報を表示するように表示制御部55を介して制御した後、ステップS111に移行する。図7は、表示部56に落下したことを示す状態が表示された状態を示す図である。図7に示すように、表示部56に例えば落下が検出された旨と落下時刻とが表示される。ユーザは、表示部56の表示内容を確認することで、ダミー・コネクタ50、すなわち電子カセッテ32が落下したことを認識することができる。なお、この際の表示内容は落下が検出された旨と落下時刻に限定されず、落下が検出された際の加速度が表示されても良い。
【0070】
このように、ステップS109における表示は、ステップS107にて加速度が閾値以上であると判定された段階でリアルタイムに行っても良いが、ステップS105にて記憶した情報をユーザによる何らかの操作(例えばユーザがダミー・コネクタ50を電子カセッテ32から取り外す操作等)に応じて行っても良い。
【0071】
一方、ステップS107において加速度が閾値以上でないと判定された場合は、ステップS111に移行して、CPU51は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32から取り外されたか否かを判定する。この際、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続されている間は、電子カセッテ32がダミー・コネクタ50に対して所定時間毎に確認信号を送信するので、CPU51は、この確認信号を受信しなくなることで、電子カセッテ32から離脱したことを認識する。
【0072】
ステップS111において取り外されていないと判定された場合は上記ステップS103に戻る一方、ステップS111において取り外されたと判定された場合は、CPU51は、本落下検出処理プログラムを終了する。
【0073】
なお、ステップS105の処理をステップS107の肯定判定後に行い、閾値以上となった加速度を対象にして検出情報70を生成して記憶するようにしても良い。これにより、記憶する検出情報70の情報量を小さくすることができる。
【0074】
ここで、図8を参照して、電源遮断処理を実行する際の電子カセッテ32の作用を説明する。なお、図8は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ4に接続された場合に当該電子カセッテ32のCPU26Aにより実行される電源遮断処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはメモリ26Bの所定領域に予め記憶されている。
【0075】
まず、ステップS121において、CPU26Aは、ダミー・コネクタ50が接続されるか否かを判定し、接続された場合は、電子カセッテ32の電源をオフ状態にする。この際、ダミー・コネクタ50から電子カセッテ32に電力が供給され、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続されている間、電子カセッテ32はダミー・コネクタ50により提供される電力で駆動する。
【0076】
このようにして本第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10では、放射線画像を検出する放射線検出器20及び有線接続用の接続端子を備えた放射線画像撮影装置の当該接続端子に接続可能に構成される接続部(ダミー・コネクタ50)により、装置本体の落下が検出され、当該落下が報知される。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0077】
また、本実施の形態では、ダミー・コネクタ50が独自に表示部56及び電力供給電源59を備えているため、電子カセッテ32が非駆動状態(電源がオフの状態)となっていても、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32の落下を検出してユーザに対して報知することができる。
【0078】
なお、本実施の形態では、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に電気的に接続される場合について説明したが、これに限定されず、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に着脱自在に設けられていて、電子カセッテ32と一体的に移動する状態であれば良い。
【0079】
また、本実施の形態では、表示部56に落下したことを表示することにより落下をユーザに対して報知する場合について説明したが、これに限定されず、例えば表示部56の代わりにLED等の発光素子を備え、落下が検出された場合に発光素子を点灯させるようにしても良い。この場合には、ユーザが点灯を確認した後、ユーザによる何らかの操作(例えばユーザがダミー・コネクタ50を電子カセッテ32から取り外す操作等)により当該発光素子が消灯するようにすると良い。
【0080】
または、表示部56の代わりにスピーカ等の音声出力手段を備えていて、落下を検出した段階でリアルタイムで落下したことを音声で出力しても良い。あるいは、ユーザによる何らかの操作により、落下が検出された時刻が音声で出力されるようにしても良い。
【0081】
また、上記実施の形態では、ダミー・コネクタ50が電力供給電源59を内蔵する場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、ダミー・コネクタ50には電源を内蔵せず、電子カセッテ32の内蔵電源60からの電力を用いてダミー・コネクタ50に設けられた電力駆動する各部への給電を行う形態としてもよい。
【0082】
また、上記実施の形態では、電力供給電源59として充電可能な二次電池を用いても良く、あるいは、充電できない電池や太陽電池等の他の電池を適用する形態としてもよい。
【0083】
[第2の実施の形態]
以下、第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10と同様に、図1乃至図3に示す構成を有しているため、当該構成に関して重複する説明を省略する。
【0084】
図9に示すように、本第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、第1の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10の電子カセッテ32のカセッテ制御部26に、表示部29Aを制御する表示制御部29及び音声を出力する音声出力部63が更に接続されている。カセッテ制御部26のCPU26Aは、ダミー・コネクタ50のセンサ52による検出結果の情報を含んだ各種情報を表示部29Aに表示させたり音声出力部63により音声で出力させたりする。
【0085】
また、本第2の実施の形態に係るダミー・コネクタ50は、第1の実施の形態と異なり表示制御部55及び表示部56を備えていないが、これに限定されず、必要に応じて備えていても良い。
【0086】
本第2の実施の形態に係るダミー・コネクタ50は、電子カセッテ4に接続されている状態で、内蔵されているセンサ52でダミー・コネクタ50、すなわち電子カセッテ4に加わっている加速度を検出し、CPU51は、センサ52からの出力信号による加速度の変化に基づいて電子カセッテ32が落下したことを検出する落下検出処理を実行する。
【0087】
この際、第1の実施の形態では、電子カセッテ32の駆動・非駆動状態(オン・オフ状態)に関わらずにダミー・コネクタ50により落下を報知するが、本第2の実施の形態では、電子カセッテ32の電源がオンに設定されている場合を想定して、ダミー・コネクタ50が落下を検出した場合に、電子カセッテ32がダミー・コネクタ50からセンサ52の検出結果を受信して、電子カセッテ32がユーザに対して落下を報知する。
【0088】
以下、図10を参照して、落下検出処理を実行する際のダミー・コネクタ50の作用を説明するとともに、図11を参照して、落下報知処理を実行する電子カセッテ32の作用を説明する。なお、図10は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ4に接続された場合に当該ダミー・コネクタ50のCPU51により実行される落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM53の所定領域に予め記憶されている。また、図11は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ4に接続された場合に当該電子カセッテ32のCPU26Aにより実行される落下報知処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部26Cの所定領域に予め記憶されている。
【0089】
始めに、落下検出処理を実行する際のダミー・コネクタ50の作用を説明する。
【0090】
まず、ステップS201において、CPU51は、センサ52により検出された加速度をA/D変換器57を介して取得する。また、ステップ203において、CPU51は、ステップS105と同様の手法で、ステップS201において取得した加速度を、ステップS201にて当該センサ出力値を取得した時刻に関連付けてRAM54に記憶する。
【0091】
ステップ205において、CPU51は、ステップS201にて取得した加速度が、落下したか否かを判定するための基準となる予め定められた閾値以上であったか否かを判定する。この閾値を示す情報は、予めROM54に記憶されている。
【0092】
ステップS205において閾値以上であると判定された場合は、ステップS207において、CPU51は、閾値以上であった加速度、当該加速度が検出された時刻を示す情報を電子カセッテ32に対して送信する。
【0093】
ステップS205において閾値以上でないと判定された場合は、後述するステップ209に移行する。
【0094】
ステップS209において、CPU51は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32から取り外されたか否かを判定する。ステップS209において取り外されていないと判定された場合は上記ステップS201に戻る一方、ステップS209において取り外されたと判定された場合は、CPU51は、本落下検出処理プログラムを終了する。
【0095】
次に、ダミー・コネクタ50が上記落下検出処理を実行している一方で、落下報知処理プログラムを実行する際の電子カセッテ32の作用を説明する。なお、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に接続された際に、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32に対して識別信号を送信する。CPU26Aは、この識別信号を受信することで、電子カセッテ32に接続されたことを認識し、当該落下検出処理プログラムの実行を開始する。
【0096】
ステップS301において、CPU26Aは、表示部29Aの表示内容をクリアするように表示制御部29を介して制御する。表示部29Aの表示内容をクリアしておくことで、ユーザは、表示部29Aに何も表示されていないことを確認することにより、電子カセッテ32が落下していないことを認識することができる。
【0097】
ステップS303において、CPU26Aは、ダミー・コネクタ50から上記ステップS207において送信された加速度及び時刻の情報を受信したか否かを判定する。ステップS303において加速度及び時刻の情報を受信していないと判定された場合は、CPU26Aは、当該情報を受信するまで待機する。
【0098】
ステップS303において加速度及び時刻の情報を受信したと判定された場合は、ステップS305において、CPU26Aは、ステップS303において受信した加速度及び時刻の情報をRAM54に記憶する。なお、この記憶された加速度及び時刻の情報は、表示部29Aに表示されたり、接続部32Bに接続された装置に送信されたりすることで、ユーザが利用することができる。
【0099】
また、ステップS307において、CPU26Aは、電子カセッテ32が落下した旨を表示部39Aに表示させるように表示制御部29に制御させ、本落下報知処理プログラムを終了する。この際、表示される情報は、落下した旨を示す情報、落下時刻の情報、加速度の情報等のいずれか一つであっても、上記複数の情報を組み合わせた情報であっても良い。
【0100】
なお、ステップS307における表示は、ステップS303にて加速度及び時刻の情報を受信した段階でリアルタイムに行っても、ステップS305にて記憶した情報をユーザによる何らかの操作(例えばユーザがダミー・コネクタ50を電子カセッテ32から取り外す操作等)により一括して行っても良い。
【0101】
このようにして本第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10では、放射線画像を検出する放射線検出器20及び有線接続用の接続端子を備えた放射線画像撮影装置の当該接続端子に接続可能に構成される接続部(ダミー・コネクタ50)により、装置本体の落下が検出され、電子カセッテ32から当該落下が報知される。これにより、落下の衝撃等によってダミー・コネクタ50が離脱して紛失した場合においても、落下したことを報知することができる、という効果を奏する。
【0102】
[第3の実施の形態]
以下、第3の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10について添付図面を参照して詳細に説明する。なお、本第3の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10は、第2の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10と同様に、図1乃至図3、図9に示す構成を有しているため、当該構成に関して重複する説明を省略する。
【0103】
本第3の実施形態に係るダミー・コネクタ50は、電子カセッテ4に接続されている状態で、内蔵されているセンサ52でダミー・コネクタ50、すなわち電子カセッテ4に加わっている加速度を検出し、CPU51は、センサ52からの出力信号による加速度の変化に基づいて電子カセッテ32が落下したことを検出する落下検出処理を実行する。
【0104】
この際、第2の実施の形態では、電子カセッテ32の電源がオンに設定されている場合を想定していて、ダミー・コネクタ50が落下を検出した場合に、電子カセッテ32がダミー・コネクタ50からセンサ52の検出結果を受信して、電子カセッテ32がユーザに対して落下を報知するが、本第3の実施の形態では、電子カセッテ32の電源がオフに設定されている場合を想定していて、ダミー・コネクタ50が落下を検出した後に、図示しない電源スイッチの操作により電子カセッテの電源がオンに設定された場合に、電子カセッテ32がダミー・コネクタ50からセンサ52の検出結果を受信して、電子カセッテ32がユーザに対して落下を報知する。
【0105】
以下、図12を参照して、落下検出処理を実行する際のダミー・コネクタ50の作用を説明するとともに、図13を参照して、落下報知処理を実行する電子カセッテ32の作用を説明する。なお、図12は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ4に接続され、かつ電子カセッテ32の電源がオフに設定されている場合に当該ダミー・コネクタ50のCPU51により実行される落下検出処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムはROM53の所定領域に予め記憶されている。また、図13は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ4に接続され、かつ電子カセッテ32の電源がオフに設定されている場合に当該電子カセッテ32のCPU26Aにより実行される落下報知処理プログラムの処理の流れを示すフローチャートであり、当該プログラムは記憶部26Cの所定領域に予め記憶されている。
【0106】
始めに、落下検出処理を実行する際のダミー・コネクタ50の作用を説明する。
【0107】
まず、ステップS401において、CPU51は、センサ52により検出された加速度をA/D変換器57を介して取得する。また、ステップ403において、CPU51は、ステップS105と同様の手法で、ステップS401において取得した加速度を、ステップS401にて当該センサ出力値を取得した時刻に関連付けてRAM54に記憶する。
【0108】
ステップ405において、CPU51は、後述するステップS503にて電子カセッテ32から送信された加速度及び時刻の要求を示す情報を受信したか否かを判定する。なお、この際に受信する情報は、落下した旨を示す情報、加速度の情報、落下時刻の情報のいずれか1つの情報であっても、上記複数の情報のいずれかを組み合わせた情報であっても良い。
【0109】
ステップS405において加速度及び時刻の要求を示す情報を受信していないと判定された場合は、後述するステップS409に移行する。
【0110】
ステップS405において加速度及び時刻の要求を示す情報を受信したと判定された場合は、ステップS407において、CPU51は、ステップS503において記憶された加速度、当該加速度が検出された時刻を示す情報を電子カセッテ32に対して送信する。
【0111】
ステップS409において、CPU51は、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32から取り外されたか否かを判定する。ステップS409において取り外されていないと判定された場合は上記ステップS401に戻る一方、ステップS409において取り外されたと判定された場合は、CPU51は、本落下検出処理プログラムを終了する。
【0112】
次に、ダミー・コネクタ50が上記落下検出処理を実行している一方で、落下報知処理を実行する際の電子カセッテ32の作用を説明する。なお、上述したように、電子カセッテ32の電源は現段階でオフに設定されている。
【0113】
ステップS501において、CPU26Aは、電子カセッテ32の電源が投入されたか否かを判定する。ステップS501において電源が投入されていないと判断された場合は、CPU26Aは、電源が投入されるまで待機する。
【0114】
ステップS501において電源が投入されたと判定された場合は、ステップS503において、CPU26Aは、加速度及び時刻の情報の要求の情報をダミー・コネクタ50に対して送信する。なお、この情報を受信したダミー・コネクタ50は、上述したステップS407にて加速度及び時刻の情報を返信する。
【0115】
ステップS505において、CPU26Aは、ダミー・コネクタ50から上記ステップS407において送信された加速度及び時刻の情報を受信したか否かを判定する。ステップS505において加速度及び時刻の情報を受信していないと判定された場合は、CPU26Aは、当該情報を受信するまで待機する。
【0116】
ステップS505において加速度及び時刻の情報を受信したと判定された場合は、ステップS507において、CPU26Aは、ステップS505において受信した加速度及び時刻の情報をRAM54に記憶する。
【0117】
ステップS509において、CPU26Aは、ステップS507において記憶された加速度の中に、落下したか否かを判定するための基準となる予め定められた閾値以上であるものが存在するか否かを判定する。この閾値を示す情報は、予めメモリ26Bに記憶されている情報でも、ダミー・コネクタ50から入力されてメモリ26Bに記憶された情報でも良い。
【0118】
ステップS509において予め定められた閾値以上であるものが存在しないと判定された場合は、CPU26Aは、本落下報知処理プログラムを終了する。
【0119】
ステップS509において予め定められた閾値以上であるものが存在すると判定された場合は、ステップS511において、CPU26Aは、電子カセッテ32が落下した旨を表示部39Aに表示させるように表示制御部29に制御させ、本落下報知処理プログラムを終了する。
【0120】
このようにして本第3の実施の形態に係る放射線画像撮影システム10では、放射線画像を検出する放射線検出器20及び有線接続用の接続端子を備えた放射線画像撮影装置(電子カセッテ32)の当該接続端子に接続可能に構成される接続部(ダミー・コネクタ50)により、電子カセッテ32の電源がオフに設定されている状態で、装置本体の落下が検出され、電子カセッテ32の電源がオンに設定された段階で、当該落下を示す情報が送信され、当該落下が報知される。これにより、移動中やセッティング中等の撮影を行っていない状況下でも、落下したことを検出することができる、という効果を奏する。
【0121】
また、本実施の形態では、ダミー・コネクタ50が独自に電力供給電源59を備えているため、落下時に電子カセッテ32の電源がオフになっていても、ダミー・コネクタ50が電子カセッテ32の落下を検出でき、電子カセッテ32の電源がオンに設定された段階で電子カセッテ32に対して当該落下を示す情報を送信することができる。
【0122】
なお、図14A、図14B及び図15に示すように、実施の形態に係る放射線画像撮影システム10のダミー・コネクタ50’は、スイッチ61が更に備えられていても良い。ダミー・コネクタ50’では、スイッチ61がオン状態の場合、電力供給電源59から電子カセッテ32に対して電力が供給され、これに対し、スイッチ61がオフ状態の場合、電力供給電源59から電子カセッテ32に対する給電が遮断される。このスイッチ61は、例えばトグルスイッチにより構成されていて、ユーザ操作により切り替えることが可能であり、CPU51は、スイッチ61の切り替え時に、インタフェース(I/F)62を介してスイッチ61のオン・オフ状態を示す信号を取得する。
【0123】
また、上記各実施の形態では、本発明の接続部材として、電子カセッテ32の接続部32Bに本来接続される通信ケーブル43のコネクタ43Aと略同一の形状および寸法とされたダミー・コネクタ50を適用した場合について説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。一例として図16に示すような、コネクタ43Aとは異なる形状や、異なる寸法の接続部材を適用する形態としてもよい。図16は、破損しにくく形成されたダミー・コネクタ50’’の一例を示す図である。ダミー・コネクタ50’’は電子カセッテ32の落下を検出するものであるため、落下に際して破損しないことが要求される。図16に示すように、ダミー・コネクタ50’’は、電子カセッテ32の側面に沿う形状で形成されると良い。この場合には、電子カセッテ32が落下したことを報知するために、表示部56の代わりに、所要スペースの制限が少ないLED等の発光素子やスピーカ等の音声出力手段を備えるようにすると良い。また、図16に示すダミー・コネクタ50’’は、上記各実施の形態に記載のダミー・コネクタに比較して薄型のものとされているため、電子カセッテ32に接続した場合における当該接続部材による突出部を低くすることができる結果、電子カセッテ32を持ち運ぶ際の利便性等を向上させることができる。
【符号の説明】
【0124】
10 放射線画像撮影システム
26 カセッテ制御部
26A CPU
27 無線通信部
29A 表示部
32 電子カセッテ
32B 接続部
43 通信ケーブル
43A コネクタ
43B ケーブル本体
43C 接続部
50,50’,50’’ ダミー・コネクタ
50B 接続部
51 CPU
52 センサ
56 表示部
62 音声出力部
60 内蔵電源
61 スイッチ
63 音声出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置と、
前記接続部に接続可能に構成され、自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段を備えた接続装置と、
前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出手段と、
を有する放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記検出手段により落下が検出された場合、当該落下を報知する報知手段
を更に有する請求項1記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記報知手段は、表示手段による表示により前記落下を報知する
請求項2記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記報知手段は、音声出力手段による音声により前記落下を報知する
請求項2記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記検出手段による検出結果を示す情報を記憶する記憶手段
を更に有する請求項1乃至4のいずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記接続装置は、前記接続部に接続された状態で、落下したことを示す落下情報を前記放射線画像撮影装置に対して送信する送信手段
を更に有する請求項1乃至5のいずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線画像撮影装置は、
前記接続部に前記接続装置が接続された状態で前記落下情報を受信する受信手段と、
前記受信手段により受信した前記落下情報を記憶する記憶手段と、
を更に有する請求項6記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記送信手段は、前記放射線画像撮影装置の非駆動時に前記検出手段によって前記落下が検出された場合、前記放射線画像撮影装置が駆動状態に移行した時点で前記落下情報を送信する
請求項6または7記載の放射線画像撮影システム。
【請求項9】
前記接続装置は、前記検出手段に駆動用の電力を供給する電源を更に備えた
請求項1乃至請求項8のいずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項10】
前記接続装置は、前記接続部に接続された状態で、前記電源によって生成された電力を前記放射線画像撮影装置に供給する供給手段を更に備えた
請求項9記載の放射線画像撮影システム。
【請求項11】
前記取得手段は、加速度を検出する加速度センサである
請求項1乃至10のいずれか1項記載の放射線画像撮影システム。
【請求項12】
放射線画像を検出する放射線検出器、及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続部と、
自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段と、
前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出手段と、
を備えた接続装置。
【請求項13】
前記検出手段により落下が検出された場合、当該落下を報知する報知手段
を更に備えた請求項12記載の接続装置。
【請求項14】
前記検出手段により落下が検出された場合、落下したことを示す落下情報を前記放射線画像撮影装置に対して送信する送信手段
を更に備えた請求項12または13記載の接続装置。
【請求項15】
放射線画像を検出する放射線検出器及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置の落下検出方法であって、
前記放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続装置を、当該接続部に接続する接続ステップと、
前記接続装置が、自身が落下する際に変化する物理量を取得する取得ステップと、
前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得ステップにより取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出ステップと、
を備えた放射線画像撮影装置の落下検出方法。
【請求項16】
放射線画像を検出する放射線検出器及び有線接続用の接続端子を有する接続部を備えた放射線画像撮影装置の前記接続部に接続可能に構成された接続装置が落下する際に変化する物理量を取得する取得手段を備えた放射線画像撮影装置を制御するコンピュータを、
前記接続装置が前記放射線画像撮影装置に接続された状態で、前記接続装置の前記取得手段により取得された物理量に基づいて前記放射線画像撮影装置の落下を検出する検出する検出手段と、
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−24598(P2013−24598A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−157009(P2011−157009)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】