説明

放射線画像撮影システム

【課題】TCP/IPによるデータ通信により放射線画像撮影装置からコンソールに画像データ等を送信する際に、送信不能な状態を生じさせずに、安定した通信性能を維持することが可能な放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影システム100では、放射線画像撮影装置1からコンソール58へのデータ送信をTCP/IPによるデータ通信により行うように構成されており、コンソール58は、行っている処理の負荷状態に応じて、放射線画像撮影装置1に対して、TCP/IPによるデータ通信においてコンソール58側から放射線画像撮影装置1側に自動的に通知されるコンソール58側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量で画像データをパケット送信するように指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影システムに係り、特に、TCP/IPによる通信により放射線画像撮影装置からコンソールに画像データを送信する放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレーター等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換され照射された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号(すなわち画像データ)に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0003】
このタイプの放射線画像撮影装置はFPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等をハウジングに収納し、持ち運び可能とした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0004】
このような放射線画像撮影装置では、例えば後述する図4等に示すように、通常、複数の放射線検出素子7が、検出部P上に二次元状(マトリクス状)に配列され、各放射線検出素子7にそれぞれ薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8で形成されたスイッチ手段が接続されて構成される。
【0005】
放射線画像撮影が行われる際には、走査駆動手段15のゲートドライバー15b(後述する図4参照)から各走査線5にオフ電圧が印加され、各TFT8がオフ状態とされる。そして、この状態で、放射線源から放射線画像撮影装置に被写体を介して放射線が照射される。
【0006】
すると、放射線の照射により放射線画像撮影装置の各放射線検出素子7内で電荷が発生する。そして、ゲートドライバー15bから各走査線5にオン電圧が順次印加されて、各放射線検出素子7から電荷が読み出され、読み出し回路17で電荷が電荷電圧変換されて画像データとして読み出される。
【0007】
読み出された画像データは、撮影後、放射線画像撮影装置からコンソール(後述する図5や図6のコンソール58参照)に送信され、プレビュー画像として表示されたり、画像処理が施されて最終的な放射線画像が生成される。このようにして、放射線画像撮影装置や放射線源、コンソール等で放射線画像撮影システムが構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、このような放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置からコンソールに画像データを送信する際に、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)によるデータ通信によりデータ送信を行うように構成される場合がある。
【0010】
TCP/IPによるデータ通信では、受け手側(すなわち上記の場合はコンソール側)から送り手側(すなわち上記の場合は放射線画像撮影装置側)にバッファー領域(受信ウィンドウともいう。)の空き容量(バイト数)を通知し、送り手側は、通知された空き容量或いはそれ以下のデータ量のデータをパケット送信する。
【0011】
そして、受け手側のバッファー領域に空きがなくなると、受け手側は送り手側にゼロ・ウィンドウ・プローブを送信する。このゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されてくると、送り手側は、定期的に受け手側のバッファー領域に空きができたか否かを問い合わせるが、受け手側からゼロ・ウィンドウ・プローブが返ってくる間は、送り手側から受け手側にデータを送信できない状態が続く。
【0012】
ところが、上記の放射線画像撮影システムにおいて、このようなゼロ・ウィンドウ・プローブが返信され続ける状態が続き、送信不能な状態が生じると、放射線画像撮影装置(上記の送り手側)は画像データ等の全てのデータを送信した後、続いて放射線画像撮影やその他の処理を行いたいのに、いつまで経っても画像データ等を送信することができず、次の処理に取り掛かれないという状況が生じる。
【0013】
そして、一旦、ゼロ・ウィンドウ・プローブが返信され続ける状態になって送信不能な状態が生じると、放射線画像撮影装置からコンソールに画像データ等を送信できない状態が続く場合がある。
【0014】
このように、TCP/IPによるデータ通信では、通常の場合には、画像データ等のデータ送信制御を自動的にかつ的確に行えるといった便利さがあるが、一旦送信不能な状態が生じると、例えば、前の撮影で得られた画像データ等の送信に時間が掛かり、放射線技師が当該放射線画像撮影装置を用いて他の放射線画像撮影を行いたいのにできなくなる等の不便さを生じる場合があった。
【0015】
本発明は、上記の問題点を鑑みてなされたものであり、TCP/IPによるデータ通信により放射線画像撮影装置からコンソールに画像データ等を送信する際に、送信不能な状態を生じさせずに、安定した通信性能を維持することが可能な放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影システムは、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置に前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生
成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置から前記コンソールへのデータ送信をTCP/IPによるデータ通信により行うように構成されており、
前記コンソールは、行っている処理の負荷状態に応じて、前記放射線画像撮影装置に対して、TCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から前記放射線画像撮影装置側に自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量で前記画像データをパケット送信するように指示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明のような方式の放射線画像撮影システムによれば、1回のパケット送信で送信されるデータ量が、TCP/IPによるデータ通信においてコンソール側から放射線画像撮影装置側に自動的に通知されるコンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量になり、送信するデータ量がバッファー領域の空き容量よりも小さくなる。
【0018】
そのため、空き容量は0バイトにはならなくなり、コンソール側からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されない状態になる。そして、コンソール側からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されない状態、或いは送信され難い状態になるため、放射線画像撮影装置側から画像データ等を安定して送信し続けることが可能となる。
【0019】
また、上記のようにゼロ・ウィンドウ・プローブが返信されない、或いは返信され難い状態になるため、送信不能な状態が生じ難くなり、結果的に、放射線画像撮影装置からコンソールへの画像データ等の送信に要する時間が短くなる。そのため、放射線技師が早期に次の処理に取り掛かることが可能となり、放射線画像撮影システムが放射線技師にとって使い勝手がよいものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図2】図1のX−X線に沿う断面図である。
【図3】ケーブルを接続した状態の放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図である。
【図4】図1の放射線画像撮影装置の回路構成を表すブロック図である。
【図5】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。
【図6】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの別の構成例を示す図である。
【図7】本実施形態における放射線画像撮影装置−コンソール間の回線構造を説明する図である。
【図8】コンソールにおける処理の具体的な構成例における各処理の手順を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る放射線画像撮影システムの実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0022】
なお、以下では、放射線画像撮影システムで用いられる放射線画像撮影装置として、シンチレーター等を備え、放射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して電気信号を得るいわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレーター等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0023】
また、本発明は、本実施形態で説明する、いわゆる可搬型の放射線画像撮影装置のみならず、例えば支持台等と一体的に形成された固定式(専用機型ともいう。)の放射線画像撮影装置に対しても適用することが可能である。
【0024】
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システムで用いられる放射線画像撮影装置1の構成等について説明する。図1は、放射線画像撮影装置の外観を示す斜視図であり、図2は、図1のX−X線に沿う断面図である。
【0025】
本実施形態では、放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体状のハウジング2内にシンチレーター3や基板4等で構成されるセンサーパネルSPが収納されて構成されている。本実施形態では、筐体2は、放射線入射面Rを有する中空の角筒状のハウジング本体部2Aの両側の開口部を蓋部材2B、2Cで閉塞することで形成されている。
【0026】
図1に示すように、筐体2の一方側の蓋部材2Bには、電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、バッテリー24(図2や後述する図4参照)の状態や放射線画像撮影装置1の稼働状態等を表示するLED等で構成されたインジケーター40等が配置されている。また、図示を省略するが、本実施形態では、筐体2の反対側の蓋部材2Cに、放射線画像撮影装置1が外部装置と信号等の送受信を無線方式で行うためのアンテナ装置41(後述する図4参照)が、例えば蓋部材2Cに埋め込まれるようにして設けられている。
【0027】
また、例えば図3に示すように、放射線画像撮影装置1のコネクター39に、ケーブルCaの先端に設けられたコネクターCが接続されると、ケーブルCa等を介して外部装置との信号等の送受信を有線方式で行うようになっている。
【0028】
このように、本実施形態では、放射線画像撮影装置1から後述するコンソール58(後述する図5、図6参照)等の外部装置に画像データDを送信したり、放射線画像撮影装置1が外部装置と通信するための通信手段として、無線方式で通信するためのアンテナ装置41と有線方式で通信するためのコネクター39とを備えている。
【0029】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33やバッテリー24等が取り付けられている。また、基板4やシンチレーター3の放射線入射面Rには、それらを保護するためのガラス基板34が配設されており、センサーパネルSPと筐体2の側面との間に緩衝材35が設けられている。
【0030】
図示を省略するが、基板4の検出部P上には、フォトダイオード等からなる複数の放射線検出素子7が二次元状(マトリクス状)に配列されており、各放射線検出素子7にスイッチ手段としての薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下、TFTという。)8や走査線5、信号線6、バイアス線9等が接続されている。また、シンチレーター3が、基板4の検出部Pに対向するように設けられるようになっている。
【0031】
放射線画像撮影装置1の回路構成を、図4に示すブロック図を用いて説明する。本実施形態では、複数の放射線検出素子7が基板4上に二次元状に配列されて検出部Pが形成されている。また、各放射線検出素子7の第2電極7bにはそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。そして、バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極7bにそれぞれ逆バイアス電圧を印加するようになっている。
【0032】
走査駆動手段15では、電源回路15aからゲートドライバー15bに配線15cを介してオン電圧やオフ電圧が供給され、ゲートドライバー15bで走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えて、各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えることで、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理等を行うようになっている。
【0033】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されており、読み出し回路17は、増幅回路18と相関二重サンプリング回路19等で構成されている。読み出しIC16内には、さらに、アナログマルチプレクサー21と、A/D変換器20とが設けられている。
【0034】
そして、例えば、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理の際には、ゲートドライバー15bからオン電圧が印加された走査線5に接続されているTFT8がオン状態になり、オン状態になったTFT8に接続されている放射線検出素子7から信号線6に電荷が放出され、放出された電荷が読み出し回路17の増幅回路18で電荷電圧変換される。
【0035】
そして、増幅回路18の出力側に設けられた相関二重サンプリング回路19で、放射線検出素子7から電荷が放出される前後の増幅回路18からの出力値の差分を算出し、算出した差分をアナログ値の画像データDとして出力する。そして、出力されたアナログ値の画像データDが、アナログマルチプレクサー21を介して順次A/D変換器20に送信され、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データDに変換されて出力され、記憶手段23に順次保存される。このようにして、各放射線検出素子7からの画像データDの読み出し処理が順次行われる。
【0036】
制御手段22は、図示しないCPU(Central Processing Unit)やROM(Read Only
Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたマイクロコンピューターや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等により構成されている。そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各部材の動作等を制御するようになっている。
【0037】
また、制御手段22には、SRAM(Static RAM)やSDRAM(Synchronous DRAM)等で構成される記憶手段23が接続されている。また、本実施形態では、制御手段22には、前述したアンテナ装置41が接続されており、さらに、前述した電源スイッチ37や切替スイッチ38、コネクター39、インジケーター40(図1参照)等も接続されている。
【0038】
また、制御手段22には、制御手段22や走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段23、バイアス電源14等の各機能部に電力を供給するためのバッテリー24が接続されている。
【0039】
一方、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影の前や後に、当該撮影で走査駆動手段15や読み出し回路17等を駆動させて各放射線検出素子7から画像データDの読み出しを行った場合と同じように走査駆動手段15や読み出し回路17等を駆動させて、各放射線検出素子7からオフセットデータOを読み出すようになっている。
【0040】
このオフセットデータOの読み出し処理は、放射線画像撮影装置1に放射線を照射しない状態で行われるようになっており、上記のようにして各放射線検出素子7から読み出された画像データDに重畳されているいわゆる暗電荷に起因するオフセット分を、オフセットデータOとして読み出すようになっている。
【0041】
そして、本実施形態では、制御手段22は、放射線画像撮影が行われて各放射線検出素子7から画像データDを読み出すと、後述するコンソール58(後述する図5や図6参照)に対して、まず、全放射線検出素子7のうちの予め指定された例えば1/4の放射線検出素子7から読み出された画像データDを、プレビュー画像用のデータとして、圧縮して自動的に送信するようになっている。
【0042】
また、上記のようにしてオフセットデータOの読み出し処理を終えると、上記の予め指定された例えば1/4の放射線検出素子7から読み出されたオフセットデータOを圧縮して送信し、残りの3/4の放射線検出素子7について画像データDとオフセットデータOをそれぞれ圧縮してコンソール58に送信するようになっている。
【0043】
なお、これらのデータの送信の仕方については、放射線画像撮影システム100の構成を説明した後で説明する。
【0044】
[放射線画像撮影システム]
次に、放射線画像撮影装置1を用いて撮影を行うための放射線画像撮影システムの構成等について説明する。図5は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの構成例を示す図である。図5では、放射線画像撮影システム100が、撮影室R1やその前室R2(操作室等ともいう。)内に構築されている場合が示されている。
【0045】
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1をカセッテ保持部(カセッテホルダ等ともいう。)51aに装填可能なブッキー装置51が設置されている。なお、図5では、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bが設置されている場合が示されている。
【0046】
そして、この場合は、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCaを接続した状態で、放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51に装填して用いることができる。また、放射線画像撮影装置1にケーブルCaを接続せず、アンテナ装置41(図4参照)を介して無線方式で放射線画像撮影装置1からコンソール58にデータを送信してもよいことは前述した通りである。
【0047】
撮影室R1には、図示しない被写体を介してブッキー装置51に装填された放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する放射線源52が少なくとも1つ設けられている。また、撮影室R1内の各装置等や撮影室R1外の各装置等の間の通信等を中継するためのアクセスポイント53を備えた中継器(基地局等ともいう。)54が設けられている。
【0048】
中継器54は、放射線源52からの放射線の照射を制御する放射線発生装置55や、前室R2に設けられたコンソール58と接続されている。中継器54には、放射線画像撮影装置1やコンソール58等から放射線発生装置55に送信するLAN(Local Area Network)通信用の信号等を放射線発生装置55用の信号等に変換し、また、その逆の変換も行う図示しない変換器が内蔵されている。
【0049】
前室R2には、放射線発生装置55の操作卓57が設けられており、操作卓57には、放射線技師等が操作して放射線発生装置55に対して放射線の照射開始等を指示するための曝射スイッチ56が設けられている。
【0050】
また、コンソール58には、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等を備えて構成される表示部58aが設けられており、また、HDD(Hard Disk Drive)等で構成された記憶手段59が接続、或いは内蔵されている。
【0051】
本実施形態では、コンソール58は、上記のように、放射線画像撮影が終了して放射線画像撮影装置1から全放射線検出素子7のうちのたとえば1/4の放射線検出素子7の圧縮された画像データDが送信されてくると、それらを伸長して、表示部58a上にプレビュー画像を表示するようになっている。
【0052】
また、コンソール58は、上記のようにして、放射線画像撮影装置1から残りの画像データDやオフセットデータOが圧縮されて送信されてくると、それらを伸長し、画像データDに対してオフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、階調処理等の所定の画像処理を行って放射線画像を生成するようになっている。
【0053】
一方、図6は、本実施形態に係る放射線画像撮影システムの別の構成例を示す図である。図6では、放射線画像撮影システム200が、回診車201上に構築されており、システム全体が搬送可能に構成されている場合が示されている。なお、図6では、図示を省略したが、この場合も中継器54(図5参照)が回診車201に搭載されるように構成される。
【0054】
この場合の放射線画像撮影システム200は、例えば、患者Hが病室R3のベッドBから起き上がれず、撮影室R1に行くことができないような場合に、図6に示すように、病室R3に持ち込むことができるようになっている。そして、放射線画像撮影装置1をベッドBと患者の身体との間に差し込んだり患者の身体にあてがったりして用いるようになっている。
【0055】
この場合、図3に示したように、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCaを接続する等して、放射線画像撮影装置1とコンソール58等を接続することも可能であるが、放射線技師が撮影を行う際にケーブルCaが邪魔になる場合も多い。そのため、このような場合には、放射線画像撮影装置1にケーブルCaを接続しない状態で撮影が行われる場合が多い。
【0056】
この場合には、放射線画像撮影装置1からコンソール58への画像データD等の送信や放射線画像撮影装置1とコンソール58との通信等は、アンテナ装置41(図4参照)を介して無線方式で行われる。なお、この場合、放射線源52としてポータブルの放射線源52Pが用いられ、ベッドBと患者の身体との間に差し込まれたり患者の身体にあてがわれたりした放射線画像撮影装置1に対して、適切な距離や方向から放射線を照射することができるようになっている。
【0057】
[放射線画像撮影装置からコンソールへの画像データ等の送信の仕方について]
次に、本実施形態における放射線画像撮影装置1からコンソール58への画像データD等の送信の仕方について説明する。また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100、200の作用についてもあわせて説明する。
【0058】
本実施形態では、図7に示すように、放射線画像撮影装置1とコンソール58との間に、図示しない中継器54(図5参照)を介して、コンソール58から放射線画像撮影装置1を制御するための回線αと、放射線画像撮影装置1から画像データD等を送信するための回線βとが、別回線として2回線分設けられている。
【0059】
そして、これらの回線が、放射線画像撮影装置1のコネクター39にケーブルCaを接続して行われる有線方式の場合(図3参照)と、放射線画像撮影装置1のアンテナ装置41(図4参照)を介する無線方式の場合とで、それぞれ2回線設けられており、計4回線設けられている。
【0060】
そして、回線αを介して、コンソール58から放射線画像撮影装置1にコマンドが送信されると、放射線画像撮影装置1からコマンドを受信したことを表すコマンド応答が送信される。また、回線βを介して、放射線画像撮影装置1からコンソール58に対して画像データDやオフセットデータOが送信されると、コンソール58から放射線画像撮影装置1に対して画像データD等を受信したことを表す画像データ応答が送信されるようになっている。
【0061】
前述したように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100、200では、放射線画像撮影装置1からコンソール58に圧縮された画像データD等を送信する際に、TCP/IPによるデータ通信により圧縮された画像データD等がパケット送信されるようになっている。
【0062】
そして、TCP/IPによるデータ通信では、受け手であるコンソール58側から送り手である放射線画像撮影装置1側に、コンソール58側のバッファー領域の空き容量(すなわちバイト数)が自動的に通知されるが、本実施形態では、この空き容量の通知は、上記の回線αを使って行われるようになっている。
【0063】
その際、前述したように、このTCP/IPによるデータ通信によりデータ送信を行う場合、コンソール58側のバッファー領域に空きがなくなると、受け手側は送り手側にゼロ・ウィンドウ・プローブを送信するが、このゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されると、放射線画像撮影装置1側は、コンソール58に画像データD等を送信できない状態が続く場合がある。
【0064】
そして、このように画像データD等が送信不能な状態が生じ、通信性能が不安定になると、放射線画像撮影が停滞してしまう。そのため、放射線技師等にとって放射線画像撮影システム100、200の使い勝手が悪くなってしまうといった問題があった。
【0065】
そこで、本実施形態では、このような事態が生じることを回避するために、以下のような構成が採用されている。
【0066】
すなわち、コンソール58は、自らが行っている現在の処理の負荷状態に応じて、放射線画像撮影装置1に対して、TCP/IPによるデータ通信においてコンソール58側から放射線画像撮影装置1側に自動的に通知されるコンソール58側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量(以下、単にTCP/IPによるデータ量という。)よりも小さいデータ量で画像データD等をパケット送信するように指示するように構成される。
【0067】
そして、このように構成することで、コンソール58側からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されてしまうことを極力回避するようになっている。
【0068】
前述したように、TCP/IPによるデータ通信では、受け手側すなわち本実施形態ではコンソール58側のバッファー領域の空き容量が小さくなれば、それが自動的に放射線画像撮影装置1側に通知される。従って、TCP/IPによるデータ量は、コンソール58側のバッファー領域の空き容量に応じて自動的に小さくなる。
【0069】
そして、本実施形態で、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量で画像データD等をパケット送信するように指示する場合、上記のように、TCP/IPによるデータ通信によりコンソール58側のバッファー領域の空き容量に応じて自動的に小さくなるTCP/IPによるデータ量よりも、さらに小さいデータ量で画像データD等をパケット送信するように指示することを意味する。
【0070】
このように構成すると、1回のパケット送信で送信されるデータ量は、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量になり、送信するデータ量がバッファー領域の空き容量よりも小さくなるため、空き容量は0バイトにはならない。そのため、コンソール58側からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されない状態になる。
【0071】
そして、コンソール側58からは0バイトでない(すなわちゼロ・ウィンドウ・プローブではない)空き容量が通知される状態になるため、放射線画像撮影装置1側から画像データD等を安定して送信し続けることが可能となる。また、ゼロ・ウィンドウ・プローブによる送信不能状態が生じることが回避されるため、結果的に、放射線画像撮影装置1からコンソール58への画像データD等の送信に要する時間をより短くすることが可能となるのである。
【0072】
以下、上記の構成を実現するための具体的な構成例について説明する。本実施形態では、コンソール58は、例えば図8に示すフローチャートに従って、放射線画像撮影装置1に対して上記の指示を行うようになっている。
【0073】
まず、放射線画像撮影装置1からコンソール58に圧縮された画像データD等を送信する際には、放射線画像撮影装置1とコンソール58との間で種々の準備作業が行われる。すなわち、例えば、前述したように、全放射線検出素子7のうちの予め指定された例えば1/4の放射線検出素子7から読み出された画像データDをプレビュー画像用に圧縮して送信する場合には、放射線画像撮影装置1はコンソール58に対して、これから送信する圧縮された画像データDのデータ量(総バイト数)をコンソール58に通知する等の準備作業が行われる。
【0074】
そして、放射線画像撮影装置1は、初期状態では、TCP/IPによるデータ通信においてコンソール58側から通知されたコンソール58側のバッファー領域の空き容量に応じて、送信する画像データDのうち空き容量に対応するデータ量(すなわちTCP/IPによるデータ量)の画像データDを、コンソール58にパケット送信する。
【0075】
コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信された圧縮された画像データDを受信すると(ステップS1)、カウンターをリセットして、後述する処理時間ΔTのカウントを開始する(ステップS2)。この場合の処理時間ΔTのカウントは、例えば1クロックにつき1ずつインクリメントしていくようにしてカウント数を増加させて行われるようになっている。
【0076】
コンソール58は、処理時間ΔTのカウントを開始すると同時に、放射線画像撮影装置1から送信されてきた圧縮された画像データDのパケットの伸長処理を行う(ステップS3)。そして、伸長させた画像データDに対して必要なデータ処理を行う(ステップS4)。
【0077】
このデータ処理(ステップS4)では、コンソール58は、例えば、送信されてきた画像データDがプレビュー画像用の画像データDである場合には、まだ、今回の撮影のオフセットデータOが送信されてきていないため、各画像データDから、予め決められた各オフセットデータOを減算する。或いは、前回の撮影で得られた画像データDに対して用いたオフセットデータOを、今回のプレビュー画像用の画像データDから減算するように構成してもよい。
【0078】
そして、各放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算した値に対数変換等の簡単な処理を行い、処理が完了するごとに、処理された画像データDをコ
ンソール58の表示部58aに表示していく(ステップS5)。
【0079】
また、例えば、送信されてきた画像データDが本画像用の画像データD(すなわち本実施形態ではプレビュー用の画像データD以外の残りの画像データD)である場合には、コンソール58は、既にプレビュー用の画像データDの伸長処理は終了しているため、送信されてきた残りの画像データDを伸長する(ステップS3)。
【0080】
そして、コンソール58は、続いて、オフセットデータOの各パケットが送信されてくるごとに、圧縮されたオフセットデータOを伸長し(ステップS3)、各放射線検出素子7ごとに画像データDからオフセットデータOを減算し、減算した値に対してオフセット補正やゲイン補正、欠陥画素補正、階調処理等の所定の画像処理を行う。そして、処理が完了するごとに、処理された画像データDを表示部58aに表示していくようになっている(ステップS5)。
【0081】
しかし、コンソール58では、上記の処理を行うために負荷がかかり、また、上記の処理以外の処理を行っている場合にはさらに負荷がかかった状態になる。そして、コンソール58に負荷がかかると、上記の処理に要する時間が長くなる。
【0082】
つまり、逆の言い方をすれば、上記の処理に要する時間の長短により、コンソール58の負荷状態が高負荷状態であるか低負荷状態であるかを判別することができる。そして、コンソール58の負荷状態が高負荷状態であれば、コンソール58側のバッファー領域内のデータがバッファー領域から読み出され難い状況になり、バッファー領域が埋まってしまい易くなり、結局、上記のゼロ・ウィンドウ・プローブが出易い状態になる。
【0083】
そこで、本実施形態では、上記の処理に要する時間として、放射線画像撮影装置1から送信されてきた画像データDのパケットについて伸長(ステップS3)を開始してから処理された当該画像データDを表示(ステップS5)するまでに要する処理時間ΔTを、上記のカウンターで計測し、この処理時間ΔT、すなわちカウンターで計測されたカウント数で、コンソール58における処理の負荷状態を判別するようになっている(ステップS7)。
【0084】
そして、コンソール58は、処理された当該画像データDを表示(ステップS5)した時点で、処理時間ΔTに対応する上記のカウント数を確認し(ステップS6)、上記の処理時間ΔTが予め設定された時間以内であるか否か、すなわち処理時間ΔTに対応する上記のカウント数が予め設定された所定のカウント数以下であるか否かを判定する(ステップS7)。
【0085】
そして、上記の処理時間ΔTが予め設定された時間以内であれば、すなわち処理時間ΔTに対応する上記のカウント数が所定のカウント数以下であれば(ステップS7;YES)、上記のようにして、放射線画像撮影装置1がTCP/IPによるデータ量で圧縮された画像データD等をパケット送信することを許容するようになっている(ステップS8)。
【0086】
その際、後述するように、放射線画像撮影装置7に対して、既にパケット送信するデータ量を低減することを指示している場合には、この時点(ステップS7;YES)で、パケット送信する画像データDのデータ量を、その時点でコンソール58側から通知されているコンソール58側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量に復帰させる。
【0087】
このように上記の処理時間ΔTが予め設定された時間以内で短ければ、コンソール58の負荷状態は高負荷状態ではないと考えられる。そして、放射線画像撮影装置1がTCP
/IPによるデータ量で圧縮された画像データD等をパケット送信しても、コンソール58側のバッファー領域内が埋まってしまうことはなく、ゼロ・ウィンドウ・プローブが送信され難い状態であるからである。
【0088】
一方、コンソール58は、上記の処理時間ΔTが予め設定された時間を越えた場合、すなわち処理時間ΔTに対応する上記のカウント数が所定のカウント数を越えた場合には(ステップS7;NO)、放射線画像撮影装置1に対して、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量で画像データDをパケット送信するように指示するようになっている(ステップS9)。すなわち、この場合、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信する圧縮された画像データD等のデータ量を低減するように指示するように構成されている(ステップS9)。
【0089】
このように上記の処理時間ΔTが予め設定された時間を越えるほど長い場合には、コンソール58の負荷状態は高負荷状態であり、放射線画像撮影装置1がTCP/IPによるデータ量で圧縮された画像データD等をパケット送信してしまうと、コンソール58側のバッファー領域内が埋まってしまい、ゼロ・ウィンドウ・プローブが送信される状態になるからである。
【0090】
しかし、コンソール58の負荷状態が高くなったからといって、まだバッファー領域の空き容量が比較的大きい段階で、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量で画像データD等をパケット送信するように指示するように構成すると、全ての画像データD等の送信に要する時間が必要以上に長くなってしまう場合が生じ得る。
【0091】
そこで、例えば、TCP/IPによるデータ量が初期状態の千バイトを越えるバイト数から数百バイト或いは数十バイトまで低下した時点で初めてステップS7の判定処理でYES判定が行われるように、上記の所定のカウント数、すなわち予め設定される時間が設定されることが望ましい。
【0092】
また、TCP/IPによるデータ量と上記の処理時間ΔTとの関係が必ずしも1対1に対応付けられない場合には、上記のTCP/IPによるデータ量が数百バイト或いは数十バイトより大きい間は、ステップS7の判定処理を行わず(すなわちステップS8の処理のみを行い)、TCP/IPによるデータ量が予め設定された数百バイトや数十バイトのバイト数まで低下した時点で初めてステップS7の判定処理を行うように構成することも可能である。
【0093】
このように構成すれば、画像データD等の送信に要する時間が必要以上に長くなることを防止することが可能となる。
【0094】
ところで、上記のように、コンソール58が、ステップS9の処理において、放射線画像撮影装置1に対して、送信する圧縮された画像データD等のデータ量を低減させる手法としては、例えば以下に示すような種々の手法を採用することが可能である。
【0095】
[手法1]
例えば、コンソール58は、放射線画像撮影装置1に対して、1回のパケット送信で送信するデータ量として、予め設定された所定のデータ量を指示するように構成することが可能である。
【0096】
この場合、コンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、具体的なデータ量が通知される。なお、この場合、例えば上記の処理時間ΔTに応じて通知するデータ量を可変させて指示するように構成することも可能であり、処理時間ΔTに関わらず、一定のデー
タ量を指示するように構成することも可能である。
【0097】
[手法2]
また、コンソール58からは、放射線画像撮影装置1に対して、1回のパケット送信で送信するデータ量の割合を低減させよとの指示のみを送信し、放射線画像撮影装置1は、コンソール58から指示があると、予め設定された所定のデータ量で画像データD等をパケット送信するように構成することが可能である。
【0098】
なお、この場合も、例えば、コンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、上記指示とともに処理時間ΔTの情報をも送信し、放射線画像撮影装置1で処理時間ΔTに応じて通知するデータ量を可変させて指示するように構成することも可能である。また、処理時間ΔTに関わらず、一定のデータ量を送信するように構成することも可能である。
【0099】
[手法3]
一方、例えば、コンソール58から、放射線画像撮影装置1に対して、1回のパケット送信で、TCP/IPによるデータ通信においてコンソール58側から放射線画像撮影装置1側に自動的に通知されるコンソール58側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量に乗ずるべき、例えば80%等の所定の割合を指示するように構成することが可能である。
【0100】
この場合、コンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、具体的な割合が通知される。そして、放射線画像撮影装置1は、指示された処理の割合を、その時点でコンソール58側から通知されたTCP/IPによるデータ量に乗算し、算出したデータ量の画像データD等をパケット送信する。
【0101】
なお、この場合も、コンソール58が、処理時間ΔTやバッファー領域の空き容量に応じて上記の割合を可変させて指示するように構成することも可能であり、処理時間ΔT等に関わらず、一定の割合を指示するように構成することも可能である。
【0102】
[手法4]
また、コンソール58からは、放射線画像撮影装置1に対して、1回のパケット送信で送信するデータ量の割合を低減させよとの指示のみを送信し、放射線画像撮影装置1は、コンソール58から指示があると、その時点で通知されているTCP/IPによるデータ量に、所定の割合を乗じて算出したデータ量で画像データD等をパケット送信するように構成することが可能である。
【0103】
なお、この場合も、例えば、コンソール58から放射線画像撮影装置1に対して、上記指示とともに処理時間ΔTの情報をも送信し、放射線画像撮影装置1で、処理時間ΔTに応じて割合を可変させてTCP/IPによるデータ量に乗算するように構成することも可能である。また、処理時間ΔTに関わらず、一定の割合をTCP/IPによるデータ量に乗算するように構成することも可能である。
【0104】
例えば以上の手法1〜4を採用すれば、上記のステップS9(図8参照)の処理において、放射線画像撮影装置1に対して、送信する圧縮された画像データD等のデータ量を的確に低減させることが可能となる。
【0105】
コンソール58は、放射線画像撮影装置1から送信された圧縮された画像データDのパケットを受信するごとにステップS1〜S9の処理を行い、例えばプレビュー画像用の1/4の画像データDの全ての受信が完了していなければ(ステップS10;NO)、全ての画像データDの受信が完了するまで(ステップS10;YES)、上記のステップS1
〜S9の処理を繰り返し行うようになっている。
【0106】
また、残りの3/4の画像データDの送受信やオフセットデータOの送受信についても、同様に、ステップS1〜S10の処理が、全てのデータの受信が完了するまで繰り返し行われる。
【0107】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100、200によれば、コンソール58は、自らが行っている処理の負荷状態(本実施形態では上記のように画像データD等のパケットの伸長(ステップS3)を開始してから当該画像データD等が表示(ステップS5)されるまでに要する処理時間ΔTで判断される。)に応じて、放射線画像撮影装置1に対して、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量で画像データD等をパケット送信するように指示する。
【0108】
そのため、1回のパケット送信で送信されるデータ量が、TCP/IPによるデータ量よりも小さいデータ量になり、送信するデータ量がバッファー領域の空き容量よりも小さくなる。そのため、空き容量は0バイトにはならなくなり、コンソール58側からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されない状態になる。そして、コンソール側58からゼロ・ウィンドウ・プローブが送信されない状態、或いは送信され難い状態になるため、放射線画像撮影装置1側から画像データD等を安定して送信し続けることが可能となる。
【0109】
このように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100、200によれば、TCP/IPによるデータ通信により放射線画像撮影装置1からコンソール58に画像データD等を送信する際に、送信不能な状態を生じさせずに、安定した通信性能を維持することが可能となる。
【0110】
また、上記のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム100、200では、ゼロ・ウィンドウ・プローブが返信されない、或いは返信され難い状態になるため、送信不能な状態が生じ難くなり、結果的に、放射線画像撮影装置1からコンソール58への画像データD等の送信に要する時間が短くなる。そのため、放射線技師が早期に次の処理に取り掛かることが可能となり、放射線画像撮影システム100、200が放射線技師にとって使い勝手がよいものとなる。
【0111】
なお、本発明が上記の実施形態に限定されず、適宜変更可能であることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0112】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
15 走査駆動手段
17 読み出し回路
22 制御手段
39 コネクター(通信手段)
41 アンテナ装置(通信手段)
58 コンソール
58a 表示部
100、200 放射線画像撮影システム
D 画像データ
O オフセットデータ
r 小領域
ΔT 処理時間(画像データの伸長を開始してから表示されるまでに要する時間)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および複数の信号線により区画された各小領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子と、
前記各走査線にオン電圧またはオフ電圧を印加する走査駆動手段と、
前記放射線検出素子から放出された前記電荷を画像データに変換して読み出す読み出し回路と、
少なくとも前記走査駆動手段および前記読み出し回路を制御して前記放射線検出素子からの前記画像データの読み出し処理を行わせる制御手段と、
外部装置に前記画像データを送信するための通信手段と、
を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データに基づいて放射線画像を生成するコンソールと、
を備え、
前記放射線画像撮影装置から前記コンソールへのデータ送信をTCP/IPによるデータ通信により行うように構成されており、
前記コンソールは、行っている処理の負荷状態に応じて、前記放射線画像撮影装置に対して、TCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から前記放射線画像撮影装置側に自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量で前記画像データをパケット送信するように指示することを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項2】
前記放射線画像撮影装置は、前記コンソールに、前記画像データを圧縮して送信し、
前記コンソールは、前記放射線画像を表示する表示部を備え、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データを伸長し、伸長した前記画像データに基づいて前記表示部に前記放射線画像を表示するように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項3】
前記コンソールにおける前記処理の負荷状態は、前記放射線画像撮影装置から送信されてきた前記画像データのパケットの伸長を開始してから当該画像データが表示されるまでに要する時間で判断されるように構成されており、
前記コンソールは、
前記時間が予め設定された時間以内であれば、前記放射線画像撮影装置がTCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量で前記画像データをパケット送信することを許容し、
前記時間が予め設定された時間を越えた場合には、前記放射線画像撮影装置がTCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量で前記画像データをパケット送信するように指示することを特徴とする請求項2に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置に対して、前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量として、予め設定された所定のデータ量を指示することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記放射線画像撮影装置は、前記コンソールから指示があると、予め設定された所定のデータ量で前記画像データをパケット送信することを特徴とする請求項3または請求項4に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記コンソールは、前記放射線画像撮影装置に対して、前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量として、前記コンソール側から自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量に乗ずるべき所定の割合を指示することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項7】
前記放射線画像撮影装置は、前記コンソールから指示があると、TCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量に、所定の割合を乗じて算出されたデータ量で前記画像データをパケット送信することを特徴とする請求項3または請求項6に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項8】
前記放射線画像撮影装置は、放射線画像撮影の前や後に前記各放射線検出素子からオフセットデータを読み出すオフセットデータの読み出し処理を行うように構成されており、
前記コンソールは、行っている処理の負荷状態に応じて、前記放射線画像撮影装置に対して、前記画像データの場合と同様にして、TCP/IPによるデータ通信において前記コンソール側から前記放射線画像撮影装置側に自動的に通知される前記コンソール側のバッファー領域の空き容量に対応するデータ量よりも小さいデータ量で前記オフセットデータをパケット送信するように指示することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか一項に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2012−249909(P2012−249909A)
【公開日】平成24年12月20日(2012.12.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−125904(P2011−125904)
【出願日】平成23年6月6日(2011.6.6)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】