説明

放射線画像撮影方法、並びにこの放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム及び放射線情報システム

【課題】放射線変換パネルの識別情報を確実に検出し、放射線変換パネルの取り違いを防止することができる放射線画像撮影方法、並びにこの放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム及び放射線情報システムを提供する。
【解決手段】放射線画像の撮影に使用される予定の放射線検出カセッテ24のカセッテIDとしてRISサーバ14から通知されたカセッテID(指定カセッテID)と、手術室31内又は撮影室内に設置され、放射線画像の撮影に実際に使用される放射線検出カセッテ24からコンソール30が読み取ったカセッテID(現実カセッテID)とを、コンソール30が照合する。コンソール30は、この照合結果に応じて、撮影の許否を判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像情報に変換する放射線変換パネルを用いた放射線画像撮影方法、並びにこの放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム及び放射線情報システムに関する。より詳細には、この発明は、前記放射線変換パネルの識別を行う放射線画像撮影方法、並びにこの放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム及び放射線情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療分野において、被写体に放射線を照射し、被写体を透過した放射線を放射線変換パネルに導いて放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置が広汎に使用されている。この放射線画像撮影装置で用いる放射線変換パネルとしては、放射線画像が露光記録される従来からの放射線フイルムや、蛍光体に放射線画像としての放射線エネルギを蓄積し、励起光を照射することで放射線画像を輝尽発光光として取り出すことのできる蓄積性蛍光体パネルが知られている。これらの放射線変換パネルは、放射線画像が記録された放射線フイルムを現像装置に供給して現像処理を行い、或いは、蓄積性蛍光体パネルを読取装置に供給して読取処理を行うことで、可視画像としての放射線画像が得られる。
【0003】
一方、手術室等の場所においては、患者に対して迅速且つ的確な処置を施すため、撮影後の放射線変換パネルから直ちに放射線画像を読み出して表示できることが必要である。このような要求に対応可能な放射線変換パネルとして、放射線を直接電気信号に変換し、或いは、放射線をシンチレータで可視光に変換した後、電気信号に変換して読み出す固体検出素子を用いた放射線検出器が開発されている。このような放射線変換パネルは、様々な部位を撮影する必要があることから、制御装置としてのコンソールや放射線源から分離されている(特許文献1)。そして、作業の利便性等の観点から、放射線変換パネルは、無線通信方式が採用されるようになってきている。
【0004】
ところで、これらの放射線変換パネルを用いた放射線画像撮影システムでは、放射線画像撮影に用いる放射線変換パネルの取り違いを防止する必要がある。
【0005】
例えば、特許文献1には、無線通信方式のカセッテに搭載されている着脱可能なアダプタをアダプタ装着スロットから取り外し、X線発生装置のアダプタ装着スロットに装着することにより、X線発生装置においてカセッテの識別情報を前記アダプタから検出し、カセッテとX線発生装置を組み合わせる技術が開示されている(特許文献1の要約、[0014])。
【0006】
【特許文献1】特開2004−141473号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1では、カセッテの識別情報を記録しているアダプタがカセッテから着脱可能に構成されているため、アダプタを紛失するとカセッテの識別情報が不明になる。また、特許文献1では、アダプタに記録されている識別情報と、カセッテ内部に記録されている識別情報とを照合する。すなわち、アダプタとカセッテの組合せさえ一致していれば放射線画像撮影システムが正常に動作する。このため、カセッテ自体の取り違いがあった場合、特許文献1に記載されている技術ではこの取り違いを検出することができない。
【0008】
この発明は、上記のような課題に鑑みなされたものであり、放射線変換パネルの識別情報を確実に検出し、放射線変換パネルの取り違いを防止することができる放射線画像撮影方法、並びにこの放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム及び放射線情報システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明に係る放射線画像撮影方法は、被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像情報に変換する変換パネルと、個々の変換パネルを識別するために前記変換パネルに記憶されている変換パネル識別情報を、前記変換パネルから読み取る変換パネル識別情報読取手段と、前記変換パネル識別情報を用いて前記変換パネルの識別を行う識別手段と、を有する放射線画像撮影システムを用いるものであって、放射線画像の撮影に使用する予定の変換パネルの前記変換パネル識別情報である指定変換パネル識別情報と、前記放射線画像の撮影に実際に使用される変換パネルの前記変換パネル識別情報である現実変換パネル識別情報とを前記識別手段により照合し、その照合結果に応じて前記識別手段により前記放射線画像の撮影の許否を判定する撮影許否判定ステップを有することを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、放射線画像の撮影に実際に用いられる変換パネル自体から変換パネル識別情報が読み取られるため、変換パネル識別情報をより確実に検出することができる。
【0011】
また、この発明によれば、放射線画像の撮影に使用する予定の変換パネルの変換パネル識別情報である指定変換パネル識別情報と、放射線画像の撮影に実際に使用される変換パネルの変換パネル識別情報である現実変換パネル識別情報とが、識別手段により照合される。このため、変換パネルの取り違いをより確実に防止することができる。
【0012】
さらに、前記実際に使用される変換パネルとの通信が確立するまで、前記変換パネル識別情報読取手段から、前記現実変換パネル識別情報の要求信号を所定範囲内に所定時間放射する要求信号放射ステップと、前記実際に使用される変換パネルが前記要求信号を受信したとき、前記実際に使用される変換パネルから前記変換パネル識別情報読取手段に対して前記現実変換パネル識別情報を通知する現実変換パネル識別情報通知ステップと、を有することが好ましい。
【0013】
これにより、現実変換パネル識別情報の読取りを無線通信により行うことが可能となる。このため、現実変換パネル識別情報の読取りを簡易に行うことが可能となる。
【0014】
さらにまた、前記撮影許否判定ステップにおいて、前記識別手段が前記放射線画像の撮影を許可しないと判定した場合、放射線源による前記放射線の照射を禁止する放射線照射禁止ステップを有することが好ましい。
【0015】
これにより、識別手段が、放射線画像の撮影を許可しないと判定した場合、自動的に放射線の照射を禁止することができるため、安全性を高めることができる。
【0016】
また、前記放射線画像撮影方法は、さらに、個々の患者を識別するための患者識別情報を記憶し、個々の患者に携帯される患者識別情報記憶手段と、前記患者識別情報記憶手段から前記患者識別情報を読み取る患者識別情報読取手段と、を用い、前記放射線画像の撮影をする予定の患者の前記患者識別情報である指定患者識別情報と、実際に撮影対象となる患者の前記患者識別情報記憶手段から前記患者識別情報読取手段が読み取った前記患者識別情報である現実患者識別情報とを前記識別手段により照合し、その照合結果に応じて前記識別手段により前記放射線画像の撮影の許否を判定する第2撮影許否判定ステップを有することが好ましい。
【0017】
指定患者識別情報と現実患者識別情報が識別手段により照合されることで、患者の取り違いをより確実に防止することができる。
【0018】
前記放射線画像撮影方法は、さらに、前記放射線画像の撮影依頼を前記患者識別情報に関連付けて入力する撮影依頼入力端末と、前記変換パネル識別情報と前記変換パネルの仕様情報とを関連付けて変換パネル属性情報として記憶する変換パネル属性情報データベースを有するサーバと、を用い、前記撮影依頼入力端末において、前記撮影依頼を前記患者識別情報に関連付けて受け付ける撮影依頼受付ステップと、前記撮影依頼の内容及び前記患者識別情報を、前記撮影依頼入力端末から前記サーバに通知する撮影依頼通知ステップと、前記サーバにおいて、前記撮影依頼の内容に対応する変換パネルを、前記変換パネル属性情報データベースを用いて選択する変換パネル選択ステップと、前記変換パネル選択ステップにおいて選択された変換パネルの変換パネル識別情報を、前記撮影依頼の内容及び前記撮影依頼に関連付けられた患者の患者識別情報と共に、前記サーバから前記識別手段に通知する変換パネル識別情報通知ステップと、を有することが好ましい。
【0019】
これにより、放射線画像撮影システムを、撮影依頼入力端末やサーバを含むより大きなシステムの一部として管理することができるようになり、放射線画像撮影システムの使い勝手を向上させることが可能となる。また、変換パネル識別情報や患者識別情報をサーバで一括管理できるようになるため、この点からも放射線画像撮影システムの使い勝手を向上させることができる。
【0020】
この発明は、上述の放射線画像撮影方法を実行可能な放射線画像撮影システム、又は、上述の放射線画像撮影方法を実行可能な放射線画像撮影システム、サーバ及び撮影依頼入力端末を有する放射線情報システムとしても実現可能である。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、放射線画像の撮影に実際に用いられる変換パネル自体から変換パネル識別情報が読み取られるため、変換パネル識別情報をより確実に検出することができる。
【0022】
また、この発明によれば、放射線画像の撮影に使用する予定の変換パネルの変換パネル識別情報である指定変換パネル識別情報と、放射線画像の撮影に実際に使用される変換パネルの変換パネル識別情報である現実変換パネル識別情報とが、識別手段により照合される。このため、変換パネルの取り違いをより確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
1.システム構成
(1)全体構成
図1は、この発明の一実施形態に係る放射線情報システム10{以下、「RIS10」(RIS:Radiology Information System)とも称する。}の各構成要素を示すブロック図である。
【0024】
RIS10は、放射線科部門内における、診療予約、診断記録等の情報管理を行うためのシステムであり、病院情報システム(HIS:Hospital Information System)の一部を構成する。
【0025】
RIS10は、複数の撮影依頼入力端末12(以下、「入力端末12」とも称する。)と、RISサーバ14と、複数の放射線画像撮影システム20(以下、「撮影システム20」とも称する。)と、個々の患者71(図2)を識別するための患者識別情報(以下、「患者ID」とも称する。)を記憶し、個々の患者71に携帯される複数の患者タグ19とを備える。患者タグ19は、いわゆる無線タグであり、記憶している患者IDは、無線通信によって読み出し可能である。
【0026】
RISサーバ14は、RIS10全体の管理をするものであり、LAN(Local Area Network)ケーブル61又は無線LAN63により、各入力端末12及び撮影システム20と相互通信が可能に構成されている。また、RISサーバ14は、HIS全体の管理をするHISサーバ15に接続されている。さらに、患者タグ19は、後述する撮影システム20の患者ID読取器28との間で無線通信が可能である。
【0027】
(2)撮影依頼入力端末12
撮影依頼入力端末12は、医師75(図2)や放射線技師が、診断情報や施設予約の入力・閲覧をするためのものであり、放射線画像の撮影依頼(撮影予約)もこの入力端末12からなされる。各入力端末12は、表示装置付きのパーソナルコンピュータから構成され、RISサーバ14やHISサーバ15とLANにより接続されて相互通信が可能となっている。
【0028】
(3)RISサーバ14
RISサーバ14は、各撮影依頼入力端末12からの撮影依頼を受け付け、放射線画像撮影システム20における放射線画像の撮影スケジュールを管理するものであり、患者データベース16(以下、「患者DB16」とも称する。)と、カセッテデータベース17(以下、「カセッテDB17」とも称する。)と、スケジュールデータベース18(以下、「スケジュールDB18」とも称する。)とを有する。
【0029】
患者DB16は、患者71の属性情報(氏名、性別、生年月日、年齢、血液、患者ID等)、病歴、受診歴、過去に撮影した放射線画像等、患者71に関する情報のデータベースである。
【0030】
カセッテDB17は、撮影システム20の放射線検出カセッテ24(以下、「カセッテ24」とも称する。)の識別番号(以下、「カセッテID」とも称する。)、型式、サイズ、感度、使用可能な撮影部位(対応可能な撮影依頼の内容)、使用開始年月日、使用回数等、カセッテ24に関する情報のデータベースである。
【0031】
スケジュールDB18は、各放射線画像撮影システム20の利用予定を管理するためのデータベースである。
【0032】
(4)放射線画像撮影システム20
(a)撮影システム20の概要
撮影システム20は、RISサーバ14からの指示に応じて放射線技師の操作により放射線画像の撮影を行う。撮影システム20は、撮影条件に従った線量からなる放射線Xを被写体としての患者71(図2)に照射する撮影装置22と、患者71を透過した放射線Xを検出し、放射線画像情報に変換する放射線検出器(後述)を内蔵する放射線検出カセッテ24と、前記放射線検出器によって検出された放射線Xに基づく放射線画像を表示する表示装置26と、無線通信により患者タグ19から患者IDを読み取る患者ID読取器28と、撮影装置22、カセッテ24、表示装置26及び患者ID読取器28を制御するコンソール30と、を備える。撮影装置22、カセッテ24、表示装置26及び患者ID読取器28と、コンソール30との間では、無線通信による信号の送受信が行われる。
【0033】
図2には、本実施形態に係る撮影システム20を配置した様子の一例として、撮影システム20が撮影室としての手術室31内に設置された様子が示されている。図2の手術室31では、撮影システム20に加えて、患者71が横臥する手術台73が配置されると共に、医師75が手術に使用する各種器具が載置される器具台77が手術台73の側部に配置される。また、手術台73の周りには、麻酔器、吸引器、心電計、血圧計等、手術に必要な様々な機器が配置される(これらの機器は、図2中では省略されている。)。
【0034】
撮影装置22は、自在アーム33に連結され、患者71の撮影部位に応じた所望の位置に移動可能であると共に、医師75による手術の邪魔とならない位置に待避可能である。同様に、表示装置26は、自在アーム35に連結され、撮影された放射線画像を医師75が容易に確認できる位置に移動可能である。
【0035】
図2の例は、撮影システム20が手術室31内に設置されているが、放射線画像の撮影専用に設置された撮影室内等、他の場所に撮影システム20を設置してもよい。
【0036】
(b)カセッテ24
図3は、カセッテ24の内部構成図である。カセッテ24は、放射線Xを透過させる材料からなるケーシング34を備える。ケーシング34の内部には、放射線Xが照射されるケーシング34の照射面36側から、患者71による放射線Xの散乱線を除去するグリッド38、患者71を透過した放射線Xを検出する放射線検出器40(放射線変換パネル)、及び、放射線Xのバック散乱線を吸収する鉛板42が順に配設される。なお、ケーシング34の照射面36をグリッド38として構成してもよい。
【0037】
また、ケーシング34の内部には、放射線検出カセッテ24の電源であるバッテリ44と、バッテリ44から供給される電力により放射線検出器40を駆動制御するカセッテ制御部46と、放射線検出器40によって検出した放射線Xの情報を含む信号をコンソール30との間で送受信する送受信機48とが収容される。カセッテ制御部46には、カセッテIDが記憶されている。
【0038】
カセッテ24は、手術室31等で使用されるとき、血液やその他の雑菌が付着するおそれがある。そこで、カセッテ24を防水性、密閉性を有する構造とし、必要に応じて殺菌洗浄することにより、1つのカセッテ24を繰り返し続けて使用することができる。
【0039】
カセッテ24は、手術室31で使用される場合に限られるものではなく、例えば、検診や病院内での回診にも適用することができる。
【0040】
また、カセッテ24と外部機器との間での無線通信は、通常の電波による通信に代えて、赤外線等を用いた光無線通信で行うようにしてもよい。
【0041】
(c)放射線検出器40
図4は、放射線検出器40の回路構成ブロック図である。放射線検出器40は、放射線Xを感知して電荷を発生させるアモルファスセレン(a−Se)等の物質からなる光電変換層51を行列状の薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)52のアレイの上に配置した構造を有し、発生した電荷を蓄積容量53に蓄積した後、各行毎にTFT52を順次オンにして、電荷を画像信号として読み出す。図4では、光電変換層51及び蓄積容量53からなる1つの画素50と1つのTFT52との接続関係のみを示し、その他の画素50の構成については省略している。なお、アモルファスセレンは、高温になると構造が変化して機能が低下してしまうため、所定の温度範囲内で使用する必要がある。従って、放射線検出カセッテ24内に放射線検出器40を冷却する手段を配設することが好ましい。
【0042】
各画素50に接続されるTFT52には、行方向と平行に延びるゲート線54と、列方向と平行に延びる信号線56とが接続される。各ゲート線54は、ライン走査駆動部58に接続され、各信号線56は、読取回路を構成するマルチプレクサ66に接続される。
【0043】
ゲート線54には、行方向に配列されたTFT52をオンオフ制御する制御信号Von、Voffがライン走査駆動部58から供給される。この場合、ライン走査駆動部58は、ゲート線54を切り替える複数のスイッチSW1と、スイッチSW1の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ60とを備える。アドレスデコーダ60には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。
【0044】
また、信号線56には、列方向に配列されたTFT52を介して各画素50の蓄積容量53に保持されている電荷が流出する。この電荷は、増幅器62によって増幅される。増幅器62には、サンプルホールド回路64を介してマルチプレクサ66が接続される。マルチプレクサ66は、信号線56を切り替える複数のスイッチSW2と、スイッチSW2の1つを選択する選択信号を出力するアドレスデコーダ68とを備える。アドレスデコーダ68には、カセッテ制御部46からアドレス信号が供給される。マルチプレクサ66には、A/D変換器70が接続され、A/D変換器70によってデジタル信号に変換された放射線画像情報がカセッテ制御部46に供給される。
【0045】
(d)放射線画像撮影システム20の詳細な構成
図5は、放射線画像撮影システム20のより詳細な構成を示すブロック図である。
【0046】
撮影装置22は、撮影スイッチ72と、放射線Xを出力する放射線源74と、コンソール30から無線通信により撮影条件等に関する信号を受信する一方、コンソール30に対して無線通信による撮影完了信号等の信号を送信する送受信機76と、撮影スイッチ72から供給される撮影開始信号及び送受信機76から供給される撮影条件に基づいて放射線源74を制御する線源制御部78とを備える。
【0047】
撮影装置22の線源制御部78は、コンソール30の送受信機96及び撮影装置22の送受信機76を介して、コンソール30のコンソール制御部97より当該患者71の撮影条件を無線通信により取得し、取得した撮影条件に従って放射線源74を制御することにより、所定の線量からなる放射線Xを患者71に照射する。
【0048】
放射線検出カセッテ24には、放射線検出器40、バッテリ44、カセッテ制御部46及び送受信機48が収容される。カセッテ制御部46は、放射線検出器40を構成するライン走査駆動部58(図4)のアドレスデコーダ60及びマルチプレクサ66のアドレスデコーダ68に対してアドレス信号を供給するアドレス信号発生部80と、放射線検出器40によって検出された放射線画像情報を記憶する画像メモリ82と、当該カセッテ24を特定するためのカセッテIDを記憶するカセッテIDメモリ84とを備える。送受信機48は、コンソール30から無線通信により送信要求信号を受信する一方、コンソール30に対して、カセッテIDメモリ84に記憶されたカセッテID、及び画像メモリ82に記憶された放射線画像情報を無線通信により送信する。
【0049】
表示装置26は、コンソール30から放射線画像情報を受信する受信機90と、受信した放射線画像情報の表示制御を行う表示制御部92と、表示制御部92によって処理された放射線画像情報を表示する表示部94とを備える。
【0050】
患者ID読取器28は、読取制御部86と送受信機88とを有する。読取制御部86は、送受信機88を介して患者タグ19に対し、患者ID要求信号を無線で送信し、この患者ID要求信号に対応して患者タグ19から送信された患者IDを受信する。また、受信した患者IDを送受信機88を介してコンソール30に対して無線で送信する。患者ID読取器28は、例えば、手術室31の出入口付近に配置する。
【0051】
コンソール30は、送受信機96と、コンソール制御部97と、メモリ110とを有する。送受信機96は、放射線画像情報を含む各種情報を無線通信により送受信する。コンソール制御部97は、コンソール30の動作を制御する。具体的には、コンソール制御部97は、撮影装置22による撮影に必要な撮影条件を管理する撮影条件管理部98と、放射線検出カセッテ24から送信された放射線画像情報に対する画像処理を行う画像処理部100と、撮影対象である患者71の患者情報を管理する患者情報管理部102とを備える。
【0052】
撮影条件とは、撮影の部位、角度及び枚数、放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間並びにカセッテ24のカセッテID、サイズ及び感度等、撮影内容を決定するために必要な条件である。
【0053】
患者情報とは、患者71の属性情報(氏名、性別、年齢、患者ID等)、過去の放射線画像の撮影歴等、放射線画像の撮影について必要となる患者71に関する情報である。
【0054】
撮影条件管理部98は、放射線画像の撮影に使用する予定のカセッテ24としてRISサーバ14から通知されたカセッテ24のカセッテID(以下、「指定カセッテID」とも称する。)と、撮影に実際に使用されるカセッテ24のカセッテIDとしてコンソール30が読み出したカセッテID(以下、「現実カセッテID」とも称する。)とを照合し、その照合結果に応じて撮影の許否を判定する。
【0055】
患者情報管理部102は、放射線画像の撮影をする予定の患者71の患者IDとしてRISサーバ14から通知された患者ID(以下、「指定患者ID」とも称する。)と、実際に撮影対象となる患者71の患者タグ19から患者ID読取器28が読み取った患者ID(以下、「現実カセッテID」とも称する。)とを照合し、その照合結果に応じて放射線画像の撮影の許否を判定する。
【0056】
メモリ110は、カセッテIDや患者ID並びに画像処理部100により処理した放射線画像情報を記憶する。
【0057】
(e)撮影システム20で放射線画像を撮影する流れ
患者71を透過した放射線Xは、放射線検出カセッテ24のグリッド38によって散乱線が除去された後、放射線検出器40に照射され、放射線検出器40を構成する各画素50の光電変換層51によって電気信号に変換され、蓄積容量53に電荷として保持される(図4参照)。次いで、各蓄積容量53に保持された患者71の放射線画像情報である電荷情報は、カセッテ制御部46を構成するアドレス信号発生部80からライン走査駆動部58及びマルチプレクサ66に供給されるアドレス信号に従って読み出される。
【0058】
すなわち、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW1の1つを選択し、対応するゲート線54に接続されたTFT52のゲートに制御信号Vonを供給する。一方、マルチプレクサ66のアドレスデコーダ68は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従って選択信号を出力してスイッチSW2を順次切り替え、ライン走査駆動部58によって選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して順次読み出す。
【0059】
各放射線検出器40の選択されたゲート線54に接続された各画素50の蓄積容量53から読み出された放射線画像情報は、各増幅器62によって増幅された後、各サンプルホールド回路64によってサンプリングされ、マルチプレクサ66を介してA/D変換器70に供給され、デジタル信号に変換される。デジタル信号に変換された放射線画像情報は、カセッテ制御部46の画像メモリ82に一旦記憶された後、送受信機48を介して、無線通信によりコンソール30に送信される。
【0060】
同様にして、ライン走査駆動部58のアドレスデコーダ60は、アドレス信号発生部80から供給されるアドレス信号に従ってスイッチSW1を順次切り替え、各ゲート線54に接続されている各画素50の蓄積容量53に保持された電荷情報である放射線画像情報を信号線56を介して読み出し、マルチプレクサ66及びA/D変換器70を介してカセッテ制御部46の画像メモリ82に記憶させる。
【0061】
コンソール30に送信された放射線画像情報は、送受信機96によって受信され、画像処理部100において所定の画像処理が施された後、患者71の患者情報と関連付けられた状態でメモリ110に記憶される。
【0062】
また、画像処理の施された放射線画像情報は、送受信機96から表示装置26に送信される。受信機90によって放射線画像情報を受信した表示装置26は、表示制御部92によって表示部94を制御し、放射線画像を表示する。医師75は、表示部94に表示された放射線画像を確認しながら手術を遂行する。
【0063】
この場合、撮影装置22、放射線検出カセッテ24、表示装置26及び患者ID読取器28と、コンソール30との間には、信号を送受信するためのケーブルが連結されていないため、例えば、手術室31の床面にこれらのケーブルが配設されることがなく、医師75等の作業に支障を来すおそれがない。
【0064】
2.本実施形態の動作
本実施形態のRIS10は、基本的には以上のように構成されるものであり、次にその動作について説明する。
【0065】
この発明の理解を容易化するため、以下におけるRIS10の動作は、放射線画像撮影システム20が、図2のような手術室31ではなく、放射線画像の撮影専用に設置された撮影室内に撮影システム20を設置している例で説明する。
【0066】
図6のステップS1において、撮影依頼入力端末12は、医師75又は放射線技師からの撮影依頼を受け付ける。この撮影依頼では、撮影の日時及び撮影条件{撮影の部位、角度及び枚数、放射線Xを照射するための管電圧、管電流、照射時間並びにカセッテ24のサイズ及び感度(カセッテ24の仕様)等}が指定される。但し、RISサーバ14のカセッテDB17において、撮影の部位とカセッテ24の仕様等、入力項目が関連付けられて記憶されている場合、より少ない項目の指定のみで足りる。撮影依頼は、撮影を行う患者71の患者IDに関連付けられる。医師75又は放射線技師が撮影依頼を入力する際は、RISサーバ14のスケジュールDB18を利用して、事前に放射線画像撮影システム20の予約状況を確認する。
【0067】
ステップS2において、撮影依頼入力端末12は、受け付けた撮影依頼の内容(カセッテ24の仕様を含む。)及び患者IDをRISサーバ14に通知する。
【0068】
ステップS3において、RISサーバ14は、撮影依頼入力端末12から通知された撮影依頼の内容(撮影の日時、撮影条件)及び患者IDをスケジュールDB18に記録する。なお、上述したように、カセッテDB17において、入力項目が関連付けられて記憶されている場合、関連付けされている項目についてもスケジュールDB18に記録する。
【0069】
また、ステップS4において、カセッテDB17を用いて、撮影条件に応じたカセッテ24を選択し、選択したカセッテ24のカセッテIDを合わせてスケジュールDB18に記録する。
【0070】
スケジュールDB18に記録した内容は、各放射線画像撮影システム20のコンソール30から随時確認可能である。換言すると、ステップS3、S4の処理がなされた際、撮影システム20のコンソール30がRISサーバ14のスケジュールDB18にアクセスしていれば、RISサーバ14からコンソール30に対して、撮影依頼の内容、患者ID及びカセッテIDの組合せが通知(ダウンロード)される(ステップS5)。なお、至急の撮影を要する場合、RISサーバ14からコンソール30に対し、積極的に撮影依頼の内容を通知することもできる。また、各カセッテ24の使用状況は随時変化するため、撮影を開始する直前までカセッテIDを通知しない構成も可能である。
【0071】
放射線技師は、RISサーバ14から通知されたスケジュールに基づいて放射線画像の撮影を行う。このスケジュールは、コンソール30のモニタに表示される。最初の放射線画像の撮影が開始される前に、放射線技師は、コンソール30での表示に基づき、最初の撮影に用いるカセッテ24を特定し、このカセッテ24を撮影室内の所定位置に設置する。この際、コンソール30は、設置されたカセッテ24との間で通信を確立し、カセッテ24からカセッテIDを読み取る(ステップS6)。コンソール30とカセッテ24との間で通信を確立するには、例えば、カセッテ24からの応答があるまでコンソール30から所定の電波強度(例えば、コンソール30から半径3mの範囲のみ通信を確立できる電波強度)でカセッテID要求信号を所定時間送信し続け、カセッテ24から応答を受けることにより通信を確立する。
【0072】
次いで、ステップS7において、コンソール30の撮影条件管理部98(図5)は、放射線画像の撮影に使用される予定のカセッテ24としてRISサーバ14から通知されたカセッテ24のカセッテID(指定カセッテID)と、実際に撮影室内に配置されたカセッテ24からコンソール30自身が読み取ったカセッテID(現実カセッテID)とを照合する。
【0073】
指定カセッテIDと現実カセッテIDが一致しない場合、ステップS8において、コンソール30は、撮影装置22による放射線Xの照射を許可しない。すなわち、コンソール30の撮影条件管理部98から撮影装置22の線源制御部78に対し、放射線源74による放射線Xの照射を禁止する信号を送信する。この場合、コンソール30のモニタにその旨を表示し、ステップS6に戻る。指定カセッテIDと現実カセッテIDが一致した場合、ステップS9に進む。
【0074】
放射線技師は、コンソール30での表示に基づき、最初の撮影の対象となる患者71を特定し、この撮影対象の患者71を撮影室内に呼び込む。撮影対象の患者71が撮影室内に入る際、撮影室の出入口付近に設置されている患者ID読取器28は、無線通信により撮影対象の患者71の患者タグ19から当該患者71の患者IDを読み取り、読み取った患者IDをコンソール30に通知する(ステップS9)。
【0075】
次いで、ステップS10において、コンソール30の患者情報管理部102は、放射線画像の撮影対象の患者71の患者IDとしてRISサーバ14から通知された患者ID(指定患者ID)と、実際に撮影室内に入ってきた患者71の患者タグ19から患者ID読取器28が読み取った患者ID(現実患者ID)とを照合する。
【0076】
指定患者IDと現実患者IDが一致しない場合、ステップS11において、コンソール30は、撮影装置22による放射線Xの照射を許可しない。すなわち、コンソール30の患者情報管理部102から撮影装置22の線源制御部78に対し、放射線源74による放射線Xの照射を禁止する信号を送信する。この場合、コンソール30にその旨を表示し、ステップS9に戻る。指定患者IDと現実患者IDが一致した場合、コンソール30は、撮影装置22による放射線Xの照射を許可する。
【0077】
なお、ステップS6〜S8とステップS9〜S11の順番は反対であってもよく、また、同時並行で行ってもよい。
【0078】
また、指定患者IDと現実患者IDが一致しない場合でも、現実患者IDと現実カセッテIDとの組合せが正しい場合、すなわち、撮影の順番が間違っているものの、撮影依頼の内容自体は満たされている場合、コンソール30が、撮影装置22による放射線Xの照射を許可する構成も可能である。
【0079】
ステップS12において、放射線画像の撮影が終了すると、ステップS13において、カセッテ24が取得した放射線画像情報がコンソール30に送信され、コンソール30は、受信した放射線画像情報とこれに対応する患者IDをRISサーバ14に送信する。次いで、ステップS14において、RISサーバ14は、受信した放射線画像情報を患者IDに関連付けて患者DB16に記憶する。この患者DBに記憶された放射線画像情報は、撮影依頼入力端末12から閲覧可能である。
【0080】
3.本実施形態の効果
以上説明したように、本実施形態では、カセッテ24に記憶されているカセッテIDをコンソール30により読み取り、読み取ったカセッテID(現実カセッテID)を、RISサーバ14から通知された指定カセッテIDと照合し、その照合結果に応じて放射線画像の撮影の許否を判定する。これにより、カセッテIDがカセッテ24自体から読み取られることになるため、カセッテIDをより確実に検出することができる。また、指定カセッテIDと現実カセッテIDをコンソール30が照合するため、カセッテ24の取り違いをより確実に防止することができる。
【0081】
さらに、本実施形態では、無線通信によりカセッテ24からコンソール30に現実カセッテIDが読み取られる。このため、現実カセッテIDの読取りを簡易に行うことができる。
【0082】
さらにまた、本実施形態では、コンソール30が放射線画像の撮影を許可しないと判定した場合、放射線源74による放射線Xの照射を禁止する。これにより、コンソール30が、放射線画像の撮影を許可しないと判定した場合、自動的に放射線Xの照射を禁止することができるため、安全性を高めることができる。
【0083】
また、本実施形態では、さらに、コンソール30において、RISサーバ14から通知された指定患者IDと、患者タグ19から読み取った現実患者IDとを照合し、その照合結果に応じて放射線画像の撮影の許否を判定する。このため、患者71の取り違いをより確実に防止することができる。
【0084】
本実施形態では、放射線画像撮影システム20を、撮影依頼入力端末12やRISサーバ14を含むより大きなRIS10の一部として管理することができるようになり、放射線画像撮影システム20の使い勝手を向上させることが可能となる。また、カセッテIDや患者IDをRISサーバ14で一括管理できるようになるため、この点からも撮影システム20の使い勝手を向上させることができる。
【0085】
4.変形例
なお、この発明は、上記実施形態に限らず、この明細書の記載内容に基づき、種々の構成を採り得ることはもちろんである。例えば、以下に示す(1)〜(7)の構成を採ることができる。
【0086】
(1)放射線画像撮影システム20
上記実施形態では、撮影システム20を手術室31内又は撮影室内に配置したが、これに限られない。例えば、撮影システム20を載置式ではなく、可動式とし、各病室を回診する際に用いることも可能である。
【0087】
上記実施形態では、撮影システム20をRIS10に包含されるものとしたが、撮影システム20単独で用いてもよい。この場合、コンソール30へのカセッテIDや患者IDの入力は、コンソール30自体に直接行うことができる。
【0088】
また、上記実施形態では、カセッテIDと患者IDの両方を用いたが、一方のみを用いるような構成も可能である。
【0089】
(2)放射線変換パネル(放射線検出器40)
上記実施形態では、放射線検出カセッテ24に収容される放射線検出器40は、入射した放射線Xの線量を光電変換層51によって直接電気信号に変換するものであったが、これに代えて、入射した放射線Xをシンチレータによって一旦可視光に変換した後、この可視光をアモルファスシリコン(a−Si)等の固体検出素子を用いて電気信号に変換するように構成した放射線検出器を用いてもよい(特許第3494683号公報参照)。
【0090】
また、光変換方式の放射線検出器を利用して放射線画像情報を取得することもできる。この光変換方式の放射線検出器では、マトリクス状に配列された各固体検出素子に放射線が入射すると、その線量に応じた静電潜像が固体検出素子に蓄積記録される。静電潜像を読み取る際には、放射線検出器に読取光を照射し、発生した電流の値を放射線画像情報として取得する。なお、放射線検出器は、消去光を放射線検出器に照射することで、残存する静電潜像である放射線画像情報を消去して再使用することができる(特開2000−105297号公報参照)。
【0091】
(3)変換パネル識別情報(カセッテID)
上記実施形態では、RISサーバ14から放射線画像撮影システム20に通知されるカセッテIDと、カセッテ24から読み取られたカセッテIDが一致する場合に、放射線画像の撮影を許可することとしたが、両カセッテIDの関連付けがなされていれば、必ずしも一致しなくてよい。例えば、セキュリティ上の理由から、一方のカセッテIDに含まれる数字と他方のカセッテIDに含まれる数字とに意図的に所定の規則に従って相違させる構成も可能である。
【0092】
上記実施形態では、RISサーバ14から放射線画像撮影システム20に通知されるカセッテIDは、一度に1つのみであったが、撮影に必要な仕様を満たす複数のカセッテ24それぞれのカセッテIDを1度に通知し、そのうちの1つのカセッテIDを有するカセッテ24が撮影に用いられれば、撮影を許可する構成も可能である。
【0093】
(4)変換パネル識別情報読取手段
上記実施形態では、カセッテ24からカセッテIDを読み取る機能をコンソール30に持たせたが、別の構成要素に持たせてもよい。例えば、撮影装置22に当該機能を持たせることができる。
【0094】
(5)患者識別情報(患者ID)
変換パネル識別情報(カセッテID)について述べたのと同様に、RISサーバ14から放射線画像撮影システム20に通知される患者IDと、患者タグ19から読み取られた患者IDが一致しない構成も可能である。
【0095】
(6)患者識別情報記憶手段(患者タグ19)及び患者識別情報読取手段(患者ID読取器28)
上記実施形態では、患者IDを記憶するものとして患者タグ19を用いたが、患者IDを記憶できるものであれば、これに限られない。例えば、患者71の手首に巻く事が可能なバーコード印刷されたバンドを用いてもよい。この場合、患者ID読取器28は、バーコードリーダを用いることができる。
【0096】
上記実施形態では、手術室31又は撮影室の出入口付近に患者ID読取器28を配置したが、これに限られない。例えば、手術台73やカセッテ24の内部に設けてもよい。
【0097】
(7)その他
上記実施形態(図6)では、カセッテIDの照合に関する処理(ステップS6〜S8)を行った後に患者IDの照合に関する処理(ステップS9〜S11)を行ったが、図7に示すように、患者IDの照合に関する処理(ステップS26〜S28)を、カセッテIDの照合に関する処理(ステップS29〜S31)よりも先に行うこともできる。或いは、両処理を同時並行で行うこともできる。
【0098】
上記実施形態では、コンソール30を手術室31内又は撮影室内に配置したが、撮影装置22、放射線検出カセッテ24、表示装置26及び患者ID読取器28に対して無線通信による信号の送受信を行うことができるのであれば、コンソール30を手術室31又は撮影室の外に設置してもよい。
【0099】
図8に示すように放射線検出カセッテ500(以下、「カセッテ500」と称する。)を構成すると、一層好適である。
【0100】
すなわち、カセッテ500には、ケーシング502の放射線照射面側に、撮影領域及び撮影位置の基準となるガイド線504が形成される。このガイド線504を用いて、カセッテ500に対する被写体(患者71)の位置決めを行い、また、放射線Xの照射範囲を設定することにより、放射線画像情報を適切な撮影領域に記録することができる。
【0101】
カセッテ500の撮影領域外の部位には、当該カセッテ500に係る各種情報を表示する表示部506を配設する。この表示部506には、カセッテ500に記録される患者71のID情報、カセッテ500の使用回数、累積曝射線量、カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電状態(残容量)、放射線画像情報の撮影条件、患者71のカセッテ500に対するポジショニング画像等を表示させる。この場合、技師は、例えば、表示部506に表示されたID情報に従って患者71を確認するとともに、当該カセッテ500が使用可能な状態にあることを事前に確認し、表示されたポジショニング画像に基づいて患者71の所望の撮影部位をカセッテ500に位置決めして、最適な放射線画像情報の撮影を行うことができる。
【0102】
また、カセッテ500に取手部508を形成することにより、当該カセッテ500の取扱い、持ち運びが容易になる。
【0103】
カセッテ500の側部には、ACアダプタの入力端子510と、USB(Universal Serial Bus)端子512と、メモリカード514を装填するためのカードスロット516とを配設すると好適である。
【0104】
入力端子510は、カセッテ500に内蔵されているバッテリ44の充電機能が低下しているとき、或いは、バッテリ44を充電するのに十分な時間を確保できないとき、ACアダプタを接続して外部から電力を供給することにより、当該カセッテ500を直ちに使用可能な状態とすることができる。
【0105】
USB端子512又はカードスロット516は、カセッテ500がコンソール30等の外部機器との間で無線通信による情報の送受信を行うことができないときに利用することができる。すなわち、USB端子512にケーブルを接続することにより、外部機器との間で有線通信による情報の送受信を行うことができる。また、カードスロット516にメモリカード514を装填し、このメモリカード514に必要な情報を記録した後、メモリカード514を取り出して外部機器に装填することにより、情報の送受信を行うことができる。
【0106】
手術室31や病院内の必要な箇所には、図9に示すように、カセッテ24が装填され、内蔵されるバッテリ44の充電を行うクレードル518を配置すると好適である。この場合、クレードル518は、バッテリ44の充電だけでなく、クレードル518の無線通信機能又は有線通信機能を用いて、RISサーバ14、HISサーバ15、コンソール30等の外部機器との間で必要な情報の送受信を行うようにしてもよい。送受信する情報には、クレードル518に装填されたカセッテ24に記録された放射線画像情報を含めることができる。
【0107】
また、クレードル518に表示部520を配設し、この表示部520に対して、装填された当該カセッテ24の充電状態や、カセッテ24から取得した放射線画像情報を含む必要な情報を表示させるようにしてもよい。
【0108】
また、複数のクレードル518をネットワークに接続し、各クレードル518に装填されているカセッテ24の充電状態をネットワークを介して収集し、使用可能な充電状態にあるカセッテ24の所在を確認できるように構成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0109】
【図1】図1は、この発明の一実施形態に係る放射線情報システムのブロック図である。
【図2】図2は、図1の放射線情報システムに包含される放射線画像撮影システムが設置された手術室を示す図である。
【図3】図3は、放射線検出カセッテの内部構成図である。
【図4】図4は、放射線検出器の回路構成ブロック図である。
【図5】図5は、放射線画像撮影システムの構成ブロック図である。
【図6】図6は、上記実施形態に係る放射線情報システムの動作を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図6のフローチャートの変形例としてのフローチャートである。
【図8】図8は、放射線検出カセッテの他の構成図である。
【図9】図9は、放射線検出カセッテの充電を行うクレードルの構成図である。
【符号の説明】
【0110】
10…放射線情報システム
12…撮影依頼入力端末
14…RISサーバ
17…カセッテDB(変換パネル属性情報データベース)
20…放射線画像撮影システム
28…患者ID読取器(患者識別情報読取手段)
30…コンソール(識別手段、変換パネル識別情報読取手段)
40…放射線検出器(変換パネル)
71…患者(被写体)
74…放射線源
97…コンソール制御部
98…撮影条件管理部
102…患者情報管理部
X…放射線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を透過した放射線を検出し、放射線画像情報に変換する変換パネルと、
個々の変換パネルを識別するために前記変換パネルに記憶されている変換パネル識別情報を、前記変換パネルから読み取る変換パネル識別情報読取手段と、
前記変換パネル識別情報を用いて前記変換パネルの識別を行う識別手段と、
を有する放射線画像撮影システムを用いる放射線画像撮影方法であって、
放射線画像の撮影に使用する予定の変換パネルの前記変換パネル識別情報である指定変換パネル識別情報と、前記放射線画像の撮影に実際に使用される変換パネルの前記変換パネル識別情報である現実変換パネル識別情報とを前記識別手段により照合し、その照合結果に応じて前記識別手段により前記放射線画像の撮影の許否を判定する撮影許否判定ステップを有する
ことを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項2】
請求項1記載の放射線画像撮影方法において、さらに、
前記実際に使用される変換パネルとの通信が確立するまで、前記変換パネル識別情報読取手段から、前記現実変換パネル識別情報の要求信号を所定範囲内に所定時間放射する要求信号放射ステップと、
前記実際に使用される変換パネルが前記要求信号を受信したとき、前記実際に使用される変換パネルから前記変換パネル識別情報読取手段に対して前記現実変換パネル識別情報を通知する現実変換パネル識別情報通知ステップと、
を有することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項3】
請求項1又は2記載の放射線画像撮影方法において、さらに、
前記撮影許否判定ステップにおいて、前記識別手段が前記放射線画像の撮影を許可しないと判定した場合、放射線源による前記放射線の照射を禁止する放射線照射禁止ステップを有することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項4】
請求項1〜3いずれか1項に記載の放射線画像撮影方法において、
前記放射線画像撮影方法は、さらに、
個々の患者を識別するための患者識別情報を記憶し、個々の患者に携帯される患者識別情報記憶手段と、
前記患者識別情報記憶手段から前記患者識別情報を読み取る患者識別情報読取手段と、
を用い、
前記放射線画像の撮影をする予定の患者の前記患者識別情報である指定患者識別情報と、実際に撮影対象となる患者の前記患者識別情報記憶手段から前記患者識別情報読取手段が読み取った前記患者識別情報である現実患者識別情報とを前記識別手段により照合し、その照合結果に応じて前記識別手段により前記放射線画像の撮影の許否を判定する第2撮影許否判定ステップを有する
ことを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項5】
請求項4記載の放射線画像撮影方法において、
前記放射線画像撮影方法は、さらに、
前記放射線画像の撮影依頼を前記患者識別情報に関連付けて入力する撮影依頼入力端末と、
前記変換パネル識別情報と前記変換パネルの仕様情報とを関連付けて変換パネル属性情報として記憶する変換パネル属性情報データベースを有するサーバと、
を用い、
前記撮影依頼入力端末において、前記撮影依頼を前記患者識別情報に関連付けて受け付ける撮影依頼受付ステップと、
前記撮影依頼の内容及び前記患者識別情報を、前記撮影依頼入力端末から前記サーバに通知する撮影依頼通知ステップと、
前記サーバにおいて、前記撮影依頼の内容に対応する変換パネルを、前記変換パネル属性情報データベースを用いて選択する変換パネル選択ステップと、
前記変換パネル選択ステップにおいて選択された変換パネルの変換パネル識別情報を、前記撮影依頼の内容及び前記撮影依頼に関連付けられた患者の患者識別情報と共に、前記サーバから前記識別手段に通知する変換パネル識別情報通知ステップと、
を有することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム。
【請求項7】
請求項5記載の放射線画像撮影方法を実行する放射線画像撮影システム、サーバ及び撮影依頼入力端末を有する放射線情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−45432(P2009−45432A)
【公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−145446(P2008−145446)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】