説明

放射線画像撮影装置および方法並びにプログラム

【課題】放射線画像撮影装置において使用するカセッテの数に応じて、撮影メニューを選択する操作を行う操作者の利便性を向上できるようにする。
【解決手段】検出部40が、ケーブル50A〜50Cのいずれにカセッテ20A〜20Cが接続されたかを検出する。記憶部38には、接続されたカセッテの数と撮影メニューとの対応関係が記憶されており、表示制御部42は対応関係を参照して、表示する撮影メニューを決定し、決定された表示メニューをモニタ36Aに表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線検出器を収容したカセッテを用いて、被写体の放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置および方法並びに放射線画像撮影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、医療分野等において、被写体を透過した放射線の照射により被写体に関する放射線画像を記録する放射線検出器(いわゆる「Flat Panel Detector」 以下、FPDとする)が各種提案、実用化されている。このようなFPDとしては、例えば、放射線の照射により電荷を発生するアモルファスセレン等の半導体を利用したFPDがあり、そのようなFPDとして、いわゆる光読取方式のものやTFT読取方式のものが提案されている。また、FPDとFPDから出力された放射線画像データを記憶する記憶手段としての画像メモリとをケースに収容したカセッテも種々提案されている。また、このようなカセッテにおいて、FPDが検出した放射線画像データを無線通信によって処理装置に送信し、処理装置において画像処理等の信号処理を行うものも提案されている。
【0003】
また、1台のカセッテを立位および臥位を含む種々の架台に対して兼用する撮影装置が提案されている。このような撮影装置においては、カセッテの設置位置に応じて、撮影時に使用する撮影メニューの種類が種々異なるものとなる。このため、撮影台の天板に対するカセッテの相対的な位置を検出し、検出した位置に応じた撮影メニューを表示する手法が提案されている(特許文献1参照)。特許文献1の手法によれば、カセッテの位置に応じてカセッテが設置されている撮影台を特定することができるため、その撮影台を用いての撮影に適切な撮影メニューを表示することができ、その結果、操作者の利便性を向上できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−204857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、カセッテを使用した放射線画像撮影装置においては、2台のカセッテを使用し、立位および臥位での撮影をカセッテの移動無しで行うことができるようにする場合がある。また、立位および臥位に加えて、被写体を任意の体勢にて撮影することができるフリー状態でカセッテを使用することも考えられる。このように複数のカセッテを使用可能とした放射線画像撮影装置においては、常時1台のカセッテが接続されるものではなく、装置の一日の運用の中において接続されるカセッテの数が変更されることとなる。ここで、上記特許文献1に記載された手法は、1台のカセッテの位置に応じて撮影メニューを切り替えて表示するものであるため、使用するカセッテの数を変更する場合には、操作者の利便性を向上することができない。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みなされたものであり、放射線画像撮影装置において使用するカセッテの数に応じて、撮影メニューを選択する操作を行う操作者の利便性を向上することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による放射線画像撮影装置は、被写体の放射線画像を撮影する放射線検出器を収容したカセッテを用いて、前記放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置において、
使用する前記カセッテの数を検出する検出手段と、
撮影時に使用する撮影メニューおよび前記放射線画像を含む各種表示を行う表示手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
【0008】
「撮影メニュー」としては、撮影部位および撮影部位に応じた手技を含むが、これに限定されるものではなく、撮影時に使用する放射線源の管電圧を設定するメニュー等を撮影メニューに含めることができる。
【0009】
なお、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記検出手段を、使用する前記カセッテの数が1つの場合における該カセッテを用いた撮影の体位をさらに検出する手段とし、
前記表示制御手段を、撮影の体位に応じた撮影メニューを表示する手段としてもよい。
【0010】
「撮影の体位」としては、立位、臥位および被写体を任意の体勢にて撮影するフリーが挙げられる。
【0011】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記表示制御手段を、前記撮影メニューの表示中に前記検出手段による検出があった場合、所定時間経過後に前記撮影メニューを切り替えて表示する手段としてもよい。
【0012】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記表示制御手段を、前記撮影メニューの表示中に前記検出手段による検出があった場合、前記撮影メニューを切り替える旨の通知を前記表示手段に表示し、該表示を行ってから所定時間経過後に該撮影メニューを切り替えて表示する手段としてもよい。
【0013】
この場合において、前記表示制御手段を、前記通知の表示中にさらに前記検出手段が検出を行った場合、該検出結果に応じた通知を表示する手段としてもよい。
【0014】
「検出結果に応じた通知」とは、さらに検出が行われて撮影メニューがさらに切り替わることの通知を含む。
【0015】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記検出手段が前記撮影メニューの表示中に使用する前記カセッテの数が変更されたことを検出した場合、前記表示制御手段を、前記撮影メニューの切り替え表示が必要であるか否かを判定し、該判定が否定された場合には、前記撮影メニューの切り替えを禁止する手段としてもよい。
【0016】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、前記撮影メニューを含む画面以外の他の画面が前記表示手段に表示されている状態において、前記検出手段が検出を行った場合、前記表示制御手段を、前記撮影メニューの切り替え表示を禁止し、前記撮影メニューを含む画面が表示された時点で前記撮影メニューを切り替えて前記表示手段に表示する手段としてもよい。
【0017】
「他の画面」としては、例えば患者を登録する登録画面および撮影により取得した画像を表示する画面等、撮影メニューを含まない任意の画面を用いることができる。
【0018】
また、本発明による放射線画像撮影装置においては、撮影確認画面が前記表示手段に表示されている状態において、前記検出手段が検出を行った場合、前記表示制御手段を、前記撮影メニューの切り替え表示を禁止する手段としてもよい。
【0019】
この場合、撮影確認画面以外の画面が表示手段に表示されている状態において、検出手段が検出を行った場合には、撮影メニューの切り替え表示を行うようにすればよい。
【0020】
「撮影確認画面」とは、撮影の結果を確認するための画面であり、具体的には、QA画面および放射線画像が表示されている画面を用いることができる。なお、QA画面とは、撮影により取得した放射線画像の品質確保のため、画像処理パラメータ等を調整する画面である。
【0021】
なお、撮影確認画面以外の画面としては、例えば撮影メニューを含む画面の他、患者情報および撮影実施予定等を入力するための、撮影メニューを含まない受付画面等が挙げられる。
【0022】
本発明による放射線画像撮影方法は、被写体の放射線画像を撮影する放射線検出器を収容したカセッテを用いて、前記放射線画像を撮影する放射線画像撮影方法において、
使用する前記カセッテの数を検出し、
前記検出結果に基づいて、前記使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示手段に表示することを特徴とするものである。
【0023】
なお、本発明による放射線画像撮影方法を、コンピュータに実行させるためのプログラムとして提供してもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、使用するカセッテの数が検出されると、その検出結果に基づいて、使用するカセッテの数に応じた撮影メニューが表示されるため、撮影メニューを選択する操作を行う操作者の利便性を向上させることができる。
【0025】
また、使用するカセッテの数が1つの場合におけるカセッテを用いた撮影の体位をさらに検出し、撮影の体位に応じた撮影メニューを表示することにより、撮影の体位に応じた撮影メニューが表示されることとなるため、操作者の利便性をさらに向上させることができる。
【0026】
また、撮影メニューの表示中に検出手段による検出があった場合、所定時間経過後に撮影メニューを切り替えて表示することにより、単にカセッテを交換したい場合等のように、操作者が意図しない場合には、所定時間のうちにカセッテを交換したり、撮影メニューの切り替え禁止の指示を装置に行ったりすることができるため、操作者の意図に反して撮影メニューが切り替えられてしまうことを防止できる。
【0027】
また、撮影メニューの表示中に検出手段による検出があった場合、撮影メニューを切り替える旨の通知の表示を行い、この表示後所定時間経過した後に撮影メニューを切り替え表示することにより、操作者は撮影メニューが切り替えられることを事前に知ることができる。この場合、通知の表示中にさらに検出手段が検出を行った場合、検出結果に応じた通知を表示することにより、操作者はさらに撮影メニューが切り替えられることを事前に知ることができる。また、単にカセッテを交換したい場合等のように、撮影者が意図しない場合には、通知の表示中にカセッテを交換したり、撮影メニューの切り替え禁止の指示を装置に行ったりすることができるため、操作者が意図しない場合に撮影メニューが切り替えられてしまうことを防止できる。
【0028】
ここで、使用するカセッテの数が異なるものであっても、撮影メニューが同一の場合がある。このような場合は、撮影メニューを切り替える必要がない。したがって、撮影メニューの切り替えが必要であるか否かを判定し、この判定が否定された場合には、撮影メニューの切り替えを禁止することにより、同一内容の撮影メニューが切り替わることによる画面のちらつきを防止できる。
【0029】
また、撮影により取得した放射線画像を表示する画面、あるいは患者情報の登録画面等が表示されている場合には、撮影メニューが突然表示されて画面が切り替えられることは好ましくない。その一方で、撮影メニューを含む画面の表示中は、撮影メニューが切り替わっても問題はない。このため、撮影メニューを含む画面以外の他の画面が表示されている状態において検出手段が検出を行った場合、撮影メニューの切り替えを禁止し、撮影メニューを含む画面が表示された時点で撮影メニューを切り替えて表示することにより、好ましくない画面において突然撮影メニューが切り替え表示されることを防止できる。
【0030】
また、QA画面は、撮影により取得した放射線画像の画質調整を技師が行うための画面であり、QA画面の表示中は技師が画質を調整中であるため、撮影メニューが突然表示されて画面が切り替えられることは好ましくない。また、放射線画像が表示されている画面も、技師が放射線画像を確認中であるため、撮影メニューが突然表示されて画面が切り替えられることは好ましくない。このため、撮影確認画面が表示されている状態において検出手段が検出を行った場合、撮影メニューの切り替え表示を禁止することにより、好ましくない画面において突然撮影メニューが切り替え表示されることを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明の実施形態による放射線画像撮影装置を適用した放射線画像撮影システムの概略図
【図2】カセッテの接続数と撮影メニューとの対応関係を示す図
【図3】本実施形態において行われる撮影メニューの表示の処理を示すフローチャート
【図4】撮影により取得した画像の表示画面を示す図
【図5】撮影メニューを指示するための指示画面を示す図
【図6】撮影画面を示す図
【図7】撮影メニューを切り替えて表示する旨の通知をモニタに表示した状態を示す図
【図8】撮影メニューをさらに切り替えて表示する旨の通知をモニタに表示した状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は本発明の実施形態による放射線画像撮影装置を適用した放射線画像撮影システムの概略図である。図1に示すように、本実施形態による放射線画像撮影システム1は、撮影部10およびコンソール30を備える。
【0033】
撮影部10は、照射制御部12、放射線源14、臥位にある被写体Hの放射線画像を取得するための撮影台16A、放射線検出部18A、立位にある被写体Hの放射線画像を取得する架台16B、および放射線検出部18Bを備える。また、被写体Hを任意の体勢にて撮影することができるように、フリーのカセッテ(後述する)20Cを有する。
【0034】
照射制御部12は、放射線源14を駆動して、あらかじめ設定された強度の放射線が設定された時間だけ被写体Hに照射されるように照射量を制御する。放射線源14は、撮影台17Aおよび架台16Bを含む任意の方向を向くことが可能なように構成されており、これにより、放射線源14から照射された放射線は、撮影台16A上または架台16Bの前の被写体Hを透過して放射線検出部18A,18Bに入射される。また、フリーのカセッテの前の被写体Hに向けても放射線を照射することができる。
【0035】
放射線検出部18A,18Bには、FPD22A,22Bを内蔵するカセッテ20A,20Bが設置されており、被写体Hを透過した放射線をFPD22A,22Bにより検出して電気信号(放射線画像データ)に変換する。また、フリーのカセッテ20CもFPD22Cを内蔵し、被写体Hを透過した放射線をFPD22Cにより検出して電気信号に変換する。
【0036】
カセッテ20A〜20Cはケーブル50A〜50Cを介してコンソール30と接続されており、これによりカセッテ20A〜20Cからは、被写体Hを撮影することにより取得したアナログの放射線画像データが、ケーブル50A〜50Cを介してコンソール30へ出力される。なお、カセッテ20A〜20Cにはケーブル50A〜50Cに接続するためのコネクタ(不図示)が設けられている。なお、本実施形態においては、3つのカセッテ20A〜20Cを使用するものとして説明しているが、1または2のカセッテを異なるケーブル50A〜50Cに接続して使用することも可能である。したがって、本実施形態による放射線画像撮影システム1においては、1または2のカセッテを使用しての撮影も可能である。
【0037】
FPD22A〜22Cは、放射線を電荷に直接変換する直接方式のFPD、または放射線を一旦光に変換し、変換された光をさらに電気信号に変換する間接方式のFPDのいずれも利用可能である。直接方式のFPDは、アモルファスセレン等の光導電膜、キャパシタおよびスイッチ素子としてのTFT(Thin Film Transistor)等によって構成される。例えば、X線等の放射線が入射されると、光導電膜から電子−正孔対(e−hペア)が発せられる。その電子−正孔対はキャパシタに蓄積され、キャパシタに蓄積された電荷が、TFTを介して電気信号として読み出される。
【0038】
一方、間接方式のFPDは、蛍光体で形成されたシンチレータ層、フォトダイオード、キャパシタおよびTFT等によって構成される。例えば、「CsI:Tl」等の放射線が入射されると、シンチレータ層が発光(蛍光)する。シンチレータ層による発光はフォトダイオードで光電変換されてキャパシタに蓄積され、キャパシタに蓄積された電荷が、TFTを介して電気信号として読み出される。
【0039】
コンソール30は、撮影データ処理部32、画像処理部34、出力部36、記憶部38、検出部40、表示制御部42、入力部44、タイマー46および制御部48を備える。
【0040】
撮影データ処理部32は、撮影部10から入力された放射線画像データに対して、A/D変換等のデータ処理を行う。撮影データ処理部32からは、データ処理後のデジタルの放射線画像データが出力される。
【0041】
画像処理部34は、撮影データ処理部32が出力した放射線画像データに対して、記憶部38に記憶されている画像処理パラメータを用いて所定の画像処理を施す。画像処理部34が実施する画像処理は、例えば、画素欠陥補正やこれを行うための欠陥マップの作成、暗画像を用いるオフセット補正や所定の均一露光画像を用いるゲイン補正およびシェーディング補正を含む画像の較正(キャリブレーションデータによる放射線画像データの補正)、さらには階調補正および濃度補正、モニタ表示用およびプリント出力用のデータに画像データを変換するデータ変換等、各種の画像処理が実施可能である。
【0042】
なお、画像処理部34は、コンピュータ上で動作するプログラム(ソフトウェア)、専用のハードウェア、あるいは両者を組み合わせて構成される。画像処理部34からは、画像処理済みの放射線画像データが出力される。
【0043】
出力部36は、画像処理部34から入力された画像処理済みの放射線画像データを出力する。出力部36は、例えば、放射線画像を画面上に表示するモニタ、放射線画像をプリント出力するプリンタ、あるいは放射線画像データを記憶する記憶装置等である。なお、本実施形態においては、出力部36は放射線画像および、放射線画像撮影システム1の操作のための各種表示を行うためのモニタ36Aを備えるものとする。
【0044】
記憶部38は、画像処理部34において、画像を較正するためのキャリブレーションデータ、各種の画像処理を行うための画像処理パラメータ、カセッテの接続数と撮影メニューとの対応関係等を記憶するメモリ38aおよび放射線画像データ等を記憶する画像メモリ38bを内蔵する。なお、メモリ38aおよび画像メモリ38bは、物理的に異なるメモリであってもよく、1つのメモリの異なるメモリ領域であってもよい。また、ハードディスク等の記録媒体であってもよい。また、画像処理部34に内蔵されるものであってもよく、外部に配置されてコンソール30と接続して用いられるものであってもよい。
【0045】
検出部40は、ケーブル50A〜50Cにカセッテ20A〜20Cが接続されたことおよび取り外されたことを検出し、コンソール30へのカセッテの接続数および接続されたケーブルに応じた撮影の体位を表す検出信号を制御部48に出力する。ここで、本実施形態においては、ケーブル50A〜50Cと撮影時の体位とが互いに対応するため、撮影の体位はいずれのケーブル50A〜50Cにカセッテ20A〜20Cが接続されたかにより検出することができる。ここで、カセッテ20A〜20Cがケーブル50A〜50Cに接続されたことの検出は、カセッテ20A〜20Cがケーブル50A〜50Cと接続され、カセッテ20A〜20Cとコンソール30との接続が確立されたことを検出することにより行われる。一方、カセッテ20A〜20Cが取り外されたことの検出は、カセッテ20A〜20Cとコンソール30との接続が解除されたことを検出することにより行われる。
【0046】
表示制御部42は、検出部40がケーブル50A〜50Cへのカセッテ20A〜20Cへの接続および取り外しを検出すると、制御部48からの指示により、記憶部38に記憶されたカセッテの接続数と撮影メニューとの対応関係を参照して、モニタ36Aに表示する撮影メニューを決定し、決定した撮影メニューをモニタ36Aに表示する。
【0047】
図2はカセッテの接続数と撮影メニューとの対応関係を示す図である。ケーブル50Aには立位の撮影のためにカセッテ20Aが接続され、ケーブル50Bには臥位の撮影のためにカセッテ20Bが接続され、ケーブル50Cにはフリーの撮影のためにカセッテ20Cが接続される。なお、上述したように1または2のカセッテを異なるケーブル50A〜50Cに接続して使用することも可能である。
【0048】
ここで、ケーブル50A〜50Cのすべてにカセッテ20A〜20Cが接続されている場合、立位、臥位およびフリーのすべてを使用する可能性が高く、臥位およびフリーの撮影の場合には、被写体Hのすべての部位について撮影が行われることとなる。このため、カセッテの接続数が3の場合には、すべての撮影メニューを表示する旨が対応関係C0に対応づけられている。なお、本実施形態による放射線画像撮影システム1においては、撮影メニューとしては、撮影部位および撮影部位に応じた手技を含むが、これに限定されるものではなく、撮影時に使用する放射線源の管電圧を設定するメニュー等を撮影メニューに含めることができる。
【0049】
一方、カセッテの接続数が2の場合、そのうちの1つは立位の撮影のために使用される。ここで、他の1つのカセッテは臥位またはフリー撮影のためのものであることから、カセッテの接続数が2の場合にも、すべての撮影メニューを表示する旨が対応関係C0に対応づけられている。
【0050】
また、カセッテの接続数が1の場合において、体位に応じた撮影メニューが対応づけられている。具体的には、接続されたカセッテを使用しての撮影時の体位が臥位およびフリーの場合、すべての撮影メニューを表示する旨が対応関係C0に対応づけられている。とくにフリーの場合、立位および臥位の撮影時に行われている自動での管電圧の調整を行うことができないため、管電圧を調整できるように、管電圧の撮影メニューがさらに対応づけられている。また、体位が立位の場合、胸部、腹部および胸腹部の撮影メニューを表示する旨が対応関係C0に対応づけられている。
【0051】
また、表示制御部42は、カセッテ20A〜20Cの接続および取り外しを検出した後、タイマー46を用いて経過時間を監視することにより、カセッテ20A〜20Cが接続または取り外されてから所定時間経過したことを検出する。
【0052】
入力部44は、コンソール30に対する各種設定、撮影メニューの選択指示等を入力するためのキーボード等の公知の入力手段からなる。なお、モニタ36Aをタッチパネル式の入力部を備えたものとしてもよい。この場合、入力部44はモニタ36Aとともに設けられることとなる。
【0053】
制御部48は、入力部44から入力された撮影指示信号に応じて、放射線画像撮影システム1の各部の動作を制御する。制御部48は、例えば、指示された撮影メニュー、撮影条件または撮影モードで撮影が行われるように各部を制御する。
【0054】
次いで、本実施形態において行われる処理について説明する。なお、本実施形態は、接続されるカセッテの数に応じた撮影メニューの表示を行う点に特徴を有するものであるため、被写体Hの放射線画像を取得する処理については説明を省略し、ここでは撮影メニューの表示の処理についてのみ説明する。図3は本実施形態において行われる撮影メニューの表示の処理を示すフローチャートである。検出部40が、ケーブル50A〜50Cへのカセッテ20A〜20Cの接続および取り外しが検出されたか否かを監視している(ステップST1)。ステップST1が肯定されると、検出部40からの検出信号が制御部48に出力されるとともに、制御部48から表示制御部42に指示がなされ、これにより表示制御部42が記憶部38に記憶された対応関係C0を参照し(ステップST2)、カセッテ接続数に応じて、表示する撮影メニューを決定する(ステップST3)。
【0055】
なお、図4に示すようにモニタ36Aに撮影により取得した画像が表示されている状態、あるいは患者を登録するための登録画面が表示されている状態において、ケーブルへのカセッテの接続および取り外しが行われたことを検出して撮影メニューを表示すると、操作者の意図に反することとなる。
【0056】
また、すでにケーブル50A〜50Cのいずれかにカセッテが接続されて撮影メニューが表示されている状態において、単にカセッテを交換する作業を行うために、ケーブルからカセッテを取り外した後に、すぐに新たなカセッテを接続するにも拘わらず、操作者の意図に反して撮影メニューの表示が切り替えられてしまうおそれがある。
【0057】
さらに、本実施形態においては、カセッテ接続数が3の場合と2の場合とでは、撮影メニューが同一である。また、カセッテ接続数が1の場合と2の場合とにおいて、撮影メニューが同一の場合がある。このような場合は、すでに撮影メニューが表示されている状態においては、撮影メニューを切り替える必要がない。
【0058】
このため、制御部48は、モニタ36Aに撮影メニューを表示する画面が表示中であるか否かを判定する(ステップST4)。なお、撮影メニューを表示する画面とは、図5に示すような撮影メニューを指示するための指示画面60、あるいは図6に示すような撮影された画像とともに撮影メニューを表示する撮影画面62等が挙げられる。そして、ステップST4が否定されると、画面の切り替えが必要である旨の情報を保存し、画面を遷移するか否かの監視を開始する(ステップST5)。ステップST5が肯定されるとステップST6の処理に進む。
【0059】
一方、ステップST4が肯定されると、直ちにステップST6の処理に進み、表示制御部42が、撮影メニューの切り替えが必要であるか否かを判定し(ステップST6)、ステップST6が否定されるとステップST1に戻る。ステップST6が肯定されると、表示制御部42は、図7に示すように、撮影メニューを切り替えて表示する旨の通知70をモニタ36Aに表示し(ステップST7)、接続または取り外しの検出から所定時間を経過したか否かの監視を開始する(ステップST8)。
【0060】
ステップST8が肯定されると、撮影メニューを切り替え表示し(ステップST9)、処理を終了する。なお、ステップST7における通知の表示は、通知の表示中にさらに表示する撮影メニューが変更された場合は、その旨を知ることができるように、図8の通知72に示すように図7に示す表示とは異なるものとすることが好ましい。なお、接続または取り外しの検出後、直ちに撮影メニューを切り替えて表示してもよいことはもちろんである。
【0061】
なお、図3に示すフローチャートの処理中に、さらにカセッテ20A〜20Cの接続または取り外しがあった場合には、行われている処理に拘わらずステップST1が肯定され、ステップST2以降の処理が行われることとなる。
【0062】
このように、本実施形態においては、使用するカセッテの数が検出されると、使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示するようにしたため、撮影メニューを選択する指示を行う操作者の利便性を向上させることができる。
【0063】
また、使用するカセッテの数が1つの場合は、そのカセッテを使用しての撮影時の体位が立位、臥位またはフリーかに応じて撮影メニューを表示することにより、撮影の体位に応じた撮影メニューを表示できるため、操作者の利便性をさらに向上させることができる。
【0064】
また、撮影メニューの表示中に検出部40により、カセッテの接続または取り外しの検出があった場合、撮影メニューを切り替える旨の通知を表示し、表示後所定時間経過した後に撮影メニューを切り替え表示することにより、操作者は撮影メニューが切り替えられることを事前に知ることができる。この場合、通知の表示中にさらに検出部40が検出を行った場合、通知を変更することにより、操作者はさらに撮影メニューが切り替えられることを事前に知ることができる。このため、単にカセッテを交換したい場合等、撮影者が意図しない場合には、カセッテを交換したり、撮影メニュー切り替え禁止の指示を行ったりすることができ、その結果、操作者の意図に反して撮影メニューが切り替えられてしまうことを防止できる。
【0065】
ここで、使用するカセッテの数が異なっても、撮影メニューが同一の場合がある。このような場合は、撮影メニューを切り替える必要がない。したがって、撮影メニューの切り替えが必要であるか否かを判定し、この判定が否定された場合には、撮影メニューの切り替えを禁止することにより、同一内容の撮影メニューが切り替わることによる画面のちらつきを防止できる。
【0066】
また、撮影により取得した放射線画像の表示画面、あるいは患者情報の登録画面等が表示されている場合には、撮影メニューが突然表示されて切り替えられることは好ましくない。その一方で、撮影メニューを含む画面の表示中は、撮影メニューが切り替わっても問題はない。このため、撮影メニューを含む画面以外の他の画面が表示されている状態において、検出部40によりカセッテの接続または取り外しの検出がなされた場合、撮影メニューの切り替えを禁止し、撮影メニューを含む画面が表示された時点で撮影メニューを切り替えて表示することにより、好ましくない画面において突然撮影メニューが切り替え表示されることを防止できる。
【0067】
また、撮影により取得した放射線画像の画質調整を技師が行うためのQA画面の表示中は、技師が画質を調整中であるため、撮影メニューが突然表示されて画面が切り替えられることは好ましくない。また、放射線画像の表示画面も、技師が放射線画像を確認中であるため、撮影メニューが突然表示されて画面が切り替えられることは好ましくない。このため、QA画面あるいは放射線画像の表示画面等の撮影確認画面が表示されている状態において、検出部40によりカセッテの接続または取り外しの検出がなされた場合、撮影確認画面の切り替え表示を禁止することにより、好ましくない画面において突然撮影メニューが切り替え表示されることを防止できる。
【0068】
なお、上記実施形態においては、ケーブル50A〜50Cのいずれかにカセッテが接続されたことを検出しているが、操作者の指示により、コンソール30に接続されているカセッテが立位、臥位またはフリー撮影用かを指示することを検出するようにしてもよい。この場合、操作者は例えば図6に示す撮影画面62における立位ボタン64A、臥位ボタン64Bおよびフリーボタン64Cのいずれかを選択することとなる。なお、検出部40は操作者が選択したボタンに応じて検出信号を出力するようにすればよい。
【0069】
また、上記実施形態においては、カセッテ20A〜20Cとコンソール30とをケーブル50A〜50Cにより接続しているが、FPDが検出した放射線画像データを無線通信によってコンソール30に送信する無線タイプのカセッテを使用することも可能である。この場合、コンソール30にはカセッテと通信を行うための無線インターフェースが設けられ、無線インターフェースを介して、無線タイプのカセッテと通信を行って、カセッテIDおよび放射線画像データの送受信等を行うこととなる。
【0070】
なお、無線タイプのカセッテを使用する場合においては、システム1の電源をオンとするとともに、カセッテの電源をオンとすることにより、コンソール30がカセッテを認識し、カセッテとの通信が確立されることとなる。このため、無線タイプのカセッテを使用する場合には、検出部40は、カセッテとコンソール30との無線通信が確立されたことを検出し、あらかじめ操作者による設定によってカセッテのIDと撮影の体位とを対応づけておくことにより、システム1に接続されているカセッテを使用しての撮影時の体位が立位、臥位またはフリーかを検出するようにすればよい。
【0071】
なお、無線式のカセッテはバッテリの充電がなされるが、充電中は撮影は行われない。したがって、カセッテが無線式のカセッテである場合には、カセッテが充電中であるか否かを判定し、充電中であるカセッテについては、撮影を行わないものとして、カセッテの接続数には含めないようにすればよい。
【0072】
また、有線、無線に拘わらず接続されたカセッテが故障している場合には、そのカセッテについては、撮影メニューの選択には考慮しないようにすることが好ましい。この場合、接続が検出できた正常なカセッテのみに基づいて、表示する撮影メニューが決定されることとなる。
【0073】
また、上記実施形態においては、FPDを内蔵したカセッテを用いて撮影を行うようにしているが、FPDに代えて、被写体を透過した放射線を潜像として蓄積記録し、励起光の照射により照射された放射線量に応じた輝尽発光光を発する蓄積性蛍光体シートを内蔵したカセッテを用いて撮影を行うようにしてもよい。ここで、放射線画像が蓄積記録された蓄積性蛍光体シートは、カセッテから取り出されて、不図示の読取装置により放射線画像が読み取られることとなる。このように蓄積性蛍光体シートを内蔵したカセッテを使用する場合には、カセッテはケーブルとは接続されないため、操作者がいずれの撮影用に蓄積性蛍光体シートを内蔵したカセッテを設置したかを指示することとなる。なお、蓄積性蛍光体シートを内蔵したカセッテを使用する場合には、すべての撮影メニューを表示するようにすることが好ましい。
【0074】
以上、本発明の実施形態に係るシステム1について説明したが、コンピュータを、上記の撮影データ処理部32、画像処理部34、検出部40、表示制御部42および制御部48に対応する手段として機能させ、図3に示すような処理を行わせるプログラムも本発明の実施形態の1つである。また、そのようなプログラムを記録したコンピュータ読取り可能な記録媒体も、本発明の実施形態の1つである。
【符号の説明】
【0075】
1 放射線画像撮影システム
20A〜20C カセッテ
22A〜22C FPD
30 コンソール
32 撮影データ処理部
34 画像処理部
36 出力部
38 記憶部
40 検出部
42 表示制御部
44 入力部
46 タイマー
48 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体の放射線画像を撮影する放射線検出器を収容したカセッテを用いて、前記放射線画像を撮影する放射線画像撮影装置において、
使用する前記カセッテの数を検出する検出手段と、
撮影時に使用する撮影メニューおよび前記放射線画像を含む各種表示を行う表示手段と、
前記検出手段の検出結果に基づいて、前記使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示する表示制御手段とを備えたことを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
前記検出手段は、使用する前記カセッテの数が1つの場合における該カセッテを用いた撮影の体位をさらに検出する手段であり、
前記表示制御手段は、撮影の体位に応じた撮影メニューを表示する手段であることを特徴とする請求項1記載の放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記表示制御手段は、前記撮影メニューの表示中に前記検出手段による検出があった場合、所定時間経過後に前記撮影メニューを切り替えて表示する手段であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像撮影装置。
【請求項4】
前記表示制御手段は、前記撮影メニューの表示中に前記検出手段による検出があった場合、前記撮影メニューを切り替える旨の通知を前記表示手段に表示し、該表示を行ってから所定時間経過後に該撮影メニューを切り替えて表示する手段であることを特徴とする請求項1または2記載の放射線画像撮影装置。
【請求項5】
前記表示制御手段は、前記通知の表示中にさらに前記検出手段が検出を行った場合、該検出結果に応じた通知を表示する手段であることを特徴とする請求項4記載の放射線画像撮影装置。
【請求項6】
前記検出手段が、前記撮影メニューの表示中に使用する前記カセッテの数が変更されたことを検出した場合、前記表示制御手段は、前記撮影メニューの切り替え表示が必要であるか否かを判定し、該判定が否定された場合には、前記撮影メニューの切り替えを禁止する手段であることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項7】
前記撮影メニューを含む画面以外の他の画面が前記表示手段に表示されている状態において、前記検出手段が検出を行った場合、前記表示制御手段は、前記撮影メニューの切り替え表示を禁止し、前記撮影メニューを含む画面が表示された時点で前記撮影メニューを切り替えて前記表示手段に表示する手段であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項8】
撮影確認画面が前記表示手段に表示されている状態において、前記検出手段が検出を行った場合、前記表示制御手段は、前記撮影メニューの切り替え表示を禁止する手段であることを特徴とする請求項1から6のいずれか1項記載の放射線画像撮影装置。
【請求項9】
被写体の放射線画像を撮影する放射線検出器を収容したカセッテを用いて、前記放射線画像を撮影する放射線画像撮影方法において、
使用する前記カセッテの数を検出し、
前記検出結果に基づいて、前記使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示手段に表示することを特徴とする放射線画像撮影方法。
【請求項10】
被写体の放射線画像を撮影する放射線検出器を収容したカセッテを用いて、前記放射線画像を撮影する放射線画像撮影方法をコンピュータに実行させるためのプログラムにおいて、
使用する前記カセッテの数を検出する手順と、
前記検出結果に基づいて、前記使用するカセッテの数に応じた撮影メニューを表示手段に表示する手順とを有することを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−177417(P2011−177417A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−46537(P2010−46537)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】