説明

放射線造影剤誘発性腎症の予防のためのシステムおよび方法

ヨード造影剤を使用する診断手技より生じる造影剤腎症(RCN)の予防などの腎臓に向けた処置および治療に特に有用な装置および方法。低リスク患者はもとよりRCNを生じる高いリスクにあることが確認された介入術を受ける患者の予防的治療として使用することができる腎臓への局所治療剤送達に基づいて一連の治療計画が提供される。この方法には、造影剤侵襲前および侵襲後治療のみ、または腎臓への治療剤の局所送達と併用する方法が含まれる。このような処置のために識別された薬剤には、生理食塩液、および血管拡張剤パパベリンおよびフェノルドパムメシレートがあり、適切な投与量が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本願は、2003年8月5日に出願された米国仮出願番号60/493,100(本明細書中でその全体が参考として援用される)からの優先権を主張する。
【0002】
本願は、2003年9月13日にExpress Mail No.EV352305142USを介して出願された米国仮出願番号60/502,468(本明細書中でその全体が参考として援用される)からの優先権を主張する。
【0003】
(連邦政府支援研究または開発に関する申立て)
該当なし。
【0004】
(コンパクトディスクで提出した材料の参照による引用)
該当なし。
【0005】
(本発明の背景技術)
(1.本発明の技術分野)
本発明は、全体として患者の腎臓系への局所治療を提供するシステムおよび方法に関し、腎臓系への液体薬剤の局所送達により腎疾患状態を治療する方法にさらに関する。
【背景技術】
【0006】
(2.関連技術の説明)
毎年、多くの患者が画像診断および治療手技に関連する造影剤に曝される。多様な診断方式および手技が、色素(例えば放射線不透過性「造影」薬剤)またはその他の診断薬の局所送達を使用して開発されている。これにより、送達位置および/または送達部位により影響を受けた他の部位における、体内での診断薬の移動あるいは同化作用に基づく重要な生理的情報を収集する外部モニタリングシステムが可能になる。血管造影法は、心室または血管に放射線不透過性色素を局所に注入するために、中空で管状の血管造影用カテーテルを使用する一実施方法である。例えば冠動脈硬化の場合は冠状動脈に、心室造影法の場合は心室に色素を注入する。
【0007】
体腔を介して治療剤を特定の体組織に局所的に送達するために、他のシステムおよび方法が開示されている。例えば、体内のこのような身体空間中に送達管腔を介して局所に治療剤を注入するのに使用するために、ちょうど上述したタイプの血管造影カテーテルのほかに、別の同様な管状送達カテーテルも開示されている。このタイプのより詳細な事例としては、存在する血餅が存在する領域、または血栓形成性移植片あるいは血管外傷内にTPA(登録商標)、ヘパリン、cumadinあるいはウロキナーゼなどの血栓溶解剤を局所送達するなどがある。さらに、標的体管腔あるいは空間内に、特に血管に関連した治療剤を局所投与するために、多様なバルーン付きカテーテルシステムがさらに開示されている。これまで開示されているより特定のタイプは、バルーン壁を介して、血管壁などの組織周囲内に薬剤を溶出させる多孔性壁あるいは穿孔壁を有するバルーンなどがある。
【0008】
治療剤の局所送達のためのさらなる事例としては、バルーンへの流入またはバルーンからの流出から中間カテーテル領域を隔離するために膨張して管腔または血管壁を係合する離間バルーンを有する様々な多重のバルーンカテーテルがある。これらの事例によれば、バルーン間にある隔離された領域で意図した効果を提供する薬などの薬剤で中間領域を充填するように、液体薬剤送達系がこの中間領域に結合されることが多い。
【0009】
多様な種々のシステム、器官、および組織に関連した多くの異なるタイプの病状を診断または処置する際も、管理された様式で局所に液体または薬剤を送達する機能が有益である。特に、腎臓系に関連した多様な条件下では、腎動脈内へ治療剤、予防薬、あるいは診断薬を局所送達する機能がさらに有効であろう。
【0010】
急性腎不全(「ARF」)は、患者の血液からの老廃物を排泄する腎臓の機能が急激に低下することである。この腎機能の変化は多くの原因に起因している。出血、胃腸液損失、あるいは適切な液体交換のない腎液体損失などの外傷が生じると、患者をARFに至らしめる。麻酔、手術、あるいはα−アドレナリン作動薬を受けた患者は、それらに関連する全身性または腎性血管収縮のためARFに対して脆弱となっている。さらに、アナフィラキシー、および反昇圧薬、敗血症あるいは医薬品適用によって全身血管拡張が引き起こされると、身体の自然防御はシャットダウンし、腎臓などの非本質的な器官の血管が収縮するため、ARFも引き起こす。心原性ショック、鬱血性心不全、心膜タンポナーデ、あるいは重い肺塞栓症によって心臓血液拍出量の縮小が引き起こされると、身体中に鬱血性心不全を悪化させる可能性のある過剰な液体が生み出される。例えば、心臓血液拍出量の減少による腎臓中の血流および血圧の減少により、患者の身体中で過剰な液体の停滞が生じ、例えば肺性および全身性の浮腫に至る。
【0011】
患者の多くの腎臓系は、さらに特定の脆弱性を示すか、それ以外にも、他の医療機具による介入術の有害な影響に一般にさらされる可能性がある。例えば、身体の主要な血液ろ過手段の1つである腎臓は、冠状動脈、心臓、または脳の血管造影手技中などにおける高密度の放射線不透過性の造影剤色素にさらされることにより損傷を受ける場合がある。「造影剤腎症」あるいは「RCN」として知られる特に有害な病気のひとつが、このような手技中に観察されることが多い。このようなX線撮影造影剤材料と接触すると、腎機能の急性損傷が引き続いて生じ、一般に血清中クレアチニンレベルがベースラインよりも25%以上上昇するか、あるいは48時間以内に0.5mg/dlの絶対的増加を示す。したがって、鬱血性心不全(CHF)に加えてRCNに関連した腎障害も、ARFの要因として頻繁に観察される。放射線造影剤(radiocontrast)誘発性腎症は、入院患者に院内発症する腎不全および腎機能障害の最も一般的な原因の1つである。ほとんどの患者は主要な腎機能を回復するが、少数は透析依存者となる。
【0012】
さらに、腎臓の固有機能は、腎臓系内への心拍出量および関連する血圧と直接関係がある。これらの生理的パラメータは、鬱血性心不全(CHF)の場合と同様に、血管形成、大動脈冠動脈バイパス術、弁修復あるいは弁交換、あるいは他の心臓介入術などの外科的介入術中にさらに著しく悪化する。これらの手技を受ける患者は、造影剤画像診断による腎障害を特に受けやすくなることがある。
【0013】
したがって、外科的介入ならびに放射性造影色素送達と同時に、局所に薬剤およびその他の予防物質を腎動脈内に直接送達する機能は大きな利点がある。一方、多くのこのような手技は、一般に約4フレンチから12フレンチまでの範囲の外形寸法、冠状動脈あるいは神経血管動脈(例えば頚動脈)内に血管形成するかまたはステントデバイスを送達するためのガイドカテーテルシステムの場合は、一般に約6フレンチから約8フレンチの範囲の外形寸法を有するガイドカテーテルあるいは血管造影カテーテルを使用するなど医療機具システムにより行われている。これらのデバイスを、経皮的、経管腔的に大腿動脈内にいれ、大動脈に沿って上流への逆行送達をして腎動脈口の部分を通過させ、それぞれの使用部位(例えば冠状動脈閉塞)に送達させる。大腿動脈へのセルディンガーアクセス法には、動脈壁に開ける侵入口のサイズを最小限に抑えるように適度に調節しつつ穿刺孔を拡大する工程が含まれている。このような送達システムは、プロファイルが十分に小さいので好ましい方法である。このほか、より大きな系については、動脈壁により大きな入り口を外科的に作ることを含む「切断」技術が使用される。
【0014】
それに応じて、ちょうど上述したタイプのように医療器具を逆行式に送達する別のシステムと同時使用するための局所腎薬剤運搬システムが、(a)薬剤が局所的に腎動脈へ送達されている間、および(b)血液が腎動脈口を通って下流に流れることができる間に、(c)セルディンガー大腿動脈アクセスを可能とする総合的な協動システム内で、腎動脈口を通って上流へ進むように、特に上記のようなタイプおよび寸法の介入術デバイスシステムに該運搬システム適用するのが好ましいと考えられる。これらの特徴(a)、(b)または(c)、あるいはこれらの任意の組み合わせはどれも、患者治療の価値を有意に高めるものであり、3つの特徴のすべての組み合わせを提供する局所腎送達システムは特に価値がある。
【0015】
このような腎臓系への局所薬剤送達に対するニーズがあるのは明らかであり、当該局所薬剤送達から利点が得られるが、これを実施できるようになるには、独自の課題に取り組まなければならない。ある一面として、腎動脈は、腹大動脈に沿う各動脈口から伸張しており、腎動脈に比べて非常に大きな大動脈の周囲から空間的に著しく隔てられている。これらの腎動脈口は、大動脈に沿って縦に上方側、および下方側の位置に互いに離間していることが多い。このため、腎臓系全体へ薬剤あるいは他の薬剤を局所に送達するためには、実質的に離れた特異な位置にある動脈口から両腎臓が上記のように離間した各動脈を通って両腎臓に供給をする必要があり、独自の課題が存在する。これは、上流で侵襲的な処置をしている間に、あるいは当然のことながら両腎臓が局所薬剤伝達を必要とする他の任意の事態に適用する際に、両腎臓が等しくリスクに瀕しているか、あるいは等しく悪化している場合は特に重要となる。したがって、このような用途にでは、両腎臓を潅流する対になった腎動脈への供給を実施するために適切な局所腎送達システムが適用されることが好ましい。
【0016】
別の一面として、腎臓の上流の大動脈の自然な生理学的血流経路へ単に薬剤を局所送達する場合、他の全身性送達方法に比べて局所的な腎送達の方がいくつかの利点が得られるが、まだ種々の好ましくない結果が生じる。特に高流量の大動脈では、目的の腎動脈口を越えて送達されるはずの薬剤の多くが直ちに流されてしまう。これにより実際に腎動脈を潅流する薬剤の量が減少し、それに伴い効果が減少し、このため体循環において他の臓器および組織内へ薬剤が流れ(下流の循環系へ直接流れ込む最大の濃度で)不要な損失が生じる。
【0017】
さらなる課題としては、大腿動脈を介した(あるいは上腕動脈などの他のアクセスポイントから)経皮的経管腔手技などによって、薬剤を腎動脈に送達するために腎動脈内に位置する薬剤注入遠位ポートを備える、血管造影カテーテル、他の「末端穴」カテーテル、あるいはその他のものなどの様々な既知のタイプの管状局所送達カテーテルを配置してもよいが、そのような技術は完全に望ましい結果が得られないことがある。
【0018】
例えば、腎動脈内に送達カテーテルの遠位チップを取り付けることを、大きな直径/高流量の大動脈の内部から達成することは困難であり、動脈内で有害な内膜損傷を生じる場合がある。さらに、一対ある腎臓に薬剤を注入する必要がある場合、単一の送達デバイスで連続的にまたは複数のデバイスで同時に、対になった腎動脈にカニューレを、挿入する必要がある。これは不必要に複雑であり、時間を浪費し、さらに必要なカテーテル処置による望ましくない外傷リスクが生じる。さらに、このようなカテーテルのポジショニングのために腎臓への入り口を把握するために多数の色素注入が必要となり、そもそも薬剤送達システムにより腎機能を保護しようとしているのに、その保護すべき臓器系である腎臓の機能が、造影剤に関連した危険にさらされているリスク(例えばRCN)が増加する。さらに言えば、腎動脈自体にはおそらく腎動脈口も必要なカテーテル装填を提供する機能を妨害したり、このような機械的な介入に関連したリスクを増加させたりするような状況がすでに整っている。例えば、動脈壁はアテローム斑、血餅、切開、あるいはその他の創傷または状態に起因するなどの疾患または狭窄状態になっている場合がある。このほかにも種々の検討がされているが、これまでの開示は依然として、血管造影法またはガイドカテーテルなどの上流の介入術で使用される追加医療機具と共有された共通の誘導針またはガイドシースを通して、腎動脈にこれらのタイプの局所薬剤送達デバイスを位置決めするための効果的で安全なシステムおよび方法を記載することを目的としている。特に対になった腎動脈への同時の注入するための複合式送達カテーテルで同時に注入することは、好ましいセルディンガー血管アクセス技術を利用できそうな寸法のガイドシースではなく、代りに好ましくない「切断」技術を必要とするようなかなり大きい寸法のガイドシースをさらに必要とするであろう。
【0019】
上述のような分岐動脈内へ局所的に薬剤を送達する必要性があるうえ、それら動脈口での血圧の増加などによって簡単にこのような分岐動脈内への血液潅流が局所的に増強されることから、多くの利点も得られる。特にこのような増強は、特に大動脈から腎動脈などのその枝血管内へと流される分岐血管内への生理的潅流の不良に関連した多くの医学的状態が改善されると予想される。
【0020】
ある従前の開示では、大動脈から伸びる分岐動脈への血液送達を増強することを目的とした外科装置アセンブリおよび方法が提供された。例えば、任意の分岐動脈への血流を分流させる際に使用するための大動脈内バルーンポンプ(IABP)が開示された。1つのこのような技術は、バルーンが分岐動脈よりわずか下に(近位に)位置するように腹大動脈にIABPを配置することを含んでいる。このバルーンは、バルーンの遠位での圧力上昇が血流のかなりの部分を主に分岐動脈内のその入口領域へ誘導するように、(生理学的な圧力循環を参照することにより)カウンターパルセーションモードで選択的に膨張・収縮される。しかしながら、このカウンターパルシングサイクルの途中で、このようなバルーンシステムより下流にある下肢への血流を、ひどく妨げる可能性がある。さらに、このような以前に開示されたシステムは、好ましくない虚血を予防するのに十分な下流潅流を連続的かつ実質的に実施することができるが、一般に分岐動脈に薬剤または薬剤を送達する能力に欠けている。
【0021】
なお特にRCNにおいて放射性造影色素送達に関して述べた腎リスクがあるにもかかわらず、ある状況においてこのような色素あるいは他の診断薬の局所送達を特に腎動脈自身の診断のために適用することもある。例えば、アテローム性動脈硬化症または切開などに起因する腎狭窄の診断および治療では、対象腎動脈への色素注入を必要とする。このような状況では、腎動脈内への色素の局在化の強化がさらに望まれる。このとき、このような局在性がなければより多量の色素が必要となり、大動脈血流内の下流に流れてしまった色素は糸を通って循環して腎臓に戻るので腎臓に再び衝撃を与える可能性が依然としてある。さらに、血管造影カテーテルを設置するなどによって動脈自体の内部から腎動脈へこのような色素を局所送達する機能は、(既に説明したように)そもそも色素注入しなければならなくなった原因でもある狭窄状態によってさらに妨害される。さらに、患者は送達カテーテルの設置を妨げるステント移植を受けている場合がある。
【0022】
器官または組織の治療あるいは診断のために薬剤の局所的送達に関心が集まり進歩しているにもかかわらず、上記にまとめた従前に開示されたシステムおよび方法には、主動脈内から局所へ、実質的には主動脈から伸張する分岐動脈内にのみ局所的に薬剤を効果的に送達しつつ、血流の実質量および/または他の医療機具の方は分岐を通り過ぎて大動脈を通過するための機能が一般に欠如している。これは、特に以前に開示された腎治療および診断デバイスおよび方法による事例である。ここでは、血液の実質量が腎動脈口を通過し連続的に下流に流れることができるようにしつつ、および/または遠位の医療機具アセンブリが上流での使用のために逆行して腎臓の入口を越えることができるようにしつつ、大動脈のある位置から腎臓系内へ薬剤を局所送達する適切に提供されていない。保護または治療剤あるいは放射線不透過性造影剤色素などの薬剤をこのような方法で1つあるいは両方の腎動脈に送達することができれば、多くの利点が得られるであろう。
【0023】
最近さらに開示された進展の中には、腎動脈に隣接する動脈内で流れを腎動脈口を実質的に灌流する外部流路および下流循環を実質的に潅流する内部流路に分割する種々の直径の管状メンバを使用する局所血流アセンブが含まれる。このような開示には、腎動脈口内へ実質上局所的に送達するための外部流路へ主として液体薬剤を送達することがさらに含まれている。これらの開示されたシステムおよび方法は、一般に主血管から分岐した血管に関わる現症、さらに特に腹大動脈から伸張する腎動脈に関わる現症の局所的な診断および治療へ向けたやりがいのある新たな開発に相当する。
【0024】
一方、これらのアプローチが両方腎臓系の各腎動脈にカニューレを挿入する必要性を排除することによる利点を提供する一面もあると同時に、高流量腹大動脈へ分流器または血流の遮断器を配置することなく直接両方腎動脈注入が可能なデバイスシステムおよび方法から逆に質質的な利点が得られると考えられる。特定の例では、患者が腹部大動脈瘤を有する場合、正常な動脈のために設計されている分流器あるいは遮断器を有する標準の送達システムが不適切になることもある。別の面では、直接腎動脈注入によって、下流の大動脈血流に対する閉塞を低減させることができたり、あるいは反対にさらに下流の血流が保存されることも可能である。さらに、下流への漏出、あるいは体循環による損失の可能性がなく、腎臓系のみに薬剤を正しく分ける機能を最大化することも可能である。
【0025】
したがって、腎動脈口から下流側、患者の下肢のところまで大動脈血流の実質部分を潅流させることができると同時に、患者の両腎臓を潅流する2本の各腎動脈の両方に薬剤を局所的に送達するための改善されたシステムおよび方法が依然として求められている。
【0026】
液体薬剤送達などの方法が腎臓系の両方内で局所的に行われるように、腹部大動脈壁に沿って隔てられた腎動脈口を介して、腎臓系の各側内への経皮的経管腔的アクセスを効果的に得るための改善されたシステムおよび方法が求められている。
【0027】
大動脈壁に沿った腎動脈口に隣接する患者の大動脈内の部位から腎動脈へ局所に液体薬剤を送達するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性が存在する。
【0028】
血管造影あるいはガイドカテーテルデバイス、および関連するシステムなどの他の治療あるいは診断デバイスおよびシステムを患者の腎動脈部位を過ぎて送達することができるようにしつつこれとは別に患者の腎動脈内へ液体または薬剤の局所送達をするための改善されたシステムおよび方法に関する必要性が存在する。
【0029】
腎臓に関する予防処置または診断手技のために、患者の腎動脈内へ液体または薬剤を局所に送達するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性が存在する。
【0030】
腎動脈口の上流で血管造影のほか他の経管腔手技などの他の医学的処置をさらに同時に行いつつ、これとは別に、腎臓系の治療、保護、診断のために患者の腎動脈内へ液体あるいは薬剤を局所送達するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性が存在する。
【0031】
共通の送達シースを通じて、腎臓用の局所薬物送達システムと血管造影またはガイドカテーテルなどの少なくとも1つの追加の遠位介入術デバイスの両方を送達するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性が存在する。
【0032】
単一の大腿骨穿刺などの単一のアクセス部位を通じて、腎臓用の局所薬物送達システムと血管造影またはガイドカテーテルなどの少なくとも1つの追加の遠位介入術デバイスとの方を送達するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性がさらに存在する。
【0033】
血管造影手技中などにX線造影注入剤と同時に送達するなどして、腎動脈内へ腎保護剤あるいは改善薬を局所に送達することによって処置をし、特にARF、さらにRCNあるいはCHFに特に関連するARFを防止するための改善されたシステムおよび方法に関する必要性がさらに存在する。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0034】
(本発明の概要)
放射線造影剤誘発性腎症は、治療に関連する腎不全あるいは機能減少の共通要因である。腎機能の破損に関連するような状態が造影剤誘発性腎血管虚血であると考えられている。さらに、造影剤との接触による直接的な毒性およびフリーラジカル生成が造影剤腎症の発生に関与している可能性がある。
【0035】
本発明の1つの局面によれば、放射線造影剤侵襲後に腎機能を維持するため、腎臓および腎血管系の予防および侵襲後治療のためにシステムおよび方法が提供される。
【0036】
本発明の別の局面によれば、患者内の腹大動脈壁に沿ってそれぞれ独自の腎口を有する2本の各腎動脈に治療用量(therapeutic dose)を送達するのに適した局所両方腎治療送達システムおよび腎治療剤の治療用量が提供される。
【0037】
本発明の別の局面は、放射線造影剤への接触前である第1の期間中に、第1の腎治療剤の第1の治療用量を患者に送達する工程、および放射線造影剤と接触中の第2の期間中に患者の腎動脈の両方に、第2の腎治療剤の第2の治療用量を続いて送達する工程により患者の放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法を提供する。
【0038】
本発明のさらに一層の局面では、放射線造影剤と接触中に患者の腎動脈に第1の腎治療剤の第1の治療用量を局所に送達し、続いて放射線造影剤と接触後に第2の腎治療剤の第2の治療用量を全身に送達する方法を提供する。
【0039】
本発明の別の局面によれば、放射線造影剤への接触中に患者の腎動脈の両方に第1の治療剤の第1の治療用量を局所に送達し、続いて放射線造影剤への接触後に続く患者の腎動脈の両方に第2の治療剤の第2の治療用量を局所に送達する方法が提供される。
【0040】
本発明の別の局面は、患者に放射線造影剤を送達する前に患者に第1の腎治療剤の第1の治療用量を全身に送達することにより放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法を提供する。続いて放射線造影剤と接触中に、腎治療剤の第2の治療用量が局所に送達され、次に放射線造影剤と接触の後に、患者に腎治療剤の第三段治療用量が全身に送達される。
【0041】
本発明のさらに別の局面では、両方の局所腎治療システム;液体薬剤源;既に印刷された使用説明書(IFU)を含むキットを有する患者の血管系内における放射線造影剤の送達に関連した造影剤腎症から腎臓系を保護するためのシステムを提供する。この両方局所腎治療システムは、患者内でそれぞれ、患者の外部より液体薬剤源と連結され、その供給源より液体薬剤のある量、および2つの各腎臓を潅流するため同時に2本の各腎動脈内へ送達するのに適する。IFUは、手技相中の両方局所腎治療システムによる液体薬剤の一定量の局所両方腎送達と関連する第1の治療用量計画を提供する指示書を含み、このX線造影薬剤は患者に送達されるものであり、それぞれ時間的に患者への放射線造影剤送達の手技相前またはその後である手技前、または手技後相のいずれかである第2の相中に液体薬剤の両方腎送達と関連する第2の治療用量計画をさらに提供することを特徴とする。IFUに従ったシステムの操作は、患者に対する放射線造影剤送達に関連したRCNから腎臓系を実質的に保護するのに適している。
【0042】
本発明において記載された様々な実施形態は、ヨード造影剤を使用する診断処置に由来する造影剤腎症(RCN)の予防など腎臓に向けた処置および治療に特に有用である。RCNを生じるリスクが高いことが確認されている介入術を受ける患者のための予防的治療方法として、腎臓への局所治療剤送達に基づいて一連の治療計画が開発されている。この治療計画は低リスク患者に使用されてもよい。このような治療のために確定された薬剤としては、生理食塩液(NS)、および血管拡張パパベリン(PAP)、およびフェノルドパムメシレート(FM)がある。
【0043】
フェノルドパムにおける承認された使用方法は、迅速に、しかし速やかに可逆的に血圧を低下させることが必要な場合の高血圧症の院内静脈内治療用である。フェノルドパムは、最低約0.01μg/kg/分〜約0.5μg/kg/分静脈内全身投与で用量依存性腎血管拡張を生じ、腎皮質および腎髄質の両方の血流量を増加させる。この生理学的特性により、フェノルドパムは、ハイリスクな外科手技および造影剤腎症などの虚血性傷害から腎臓を保護するために利用される。本発明の実施形態のほとんどの用途において、約0.01〜約3.2μg/kg/分、あるいは腎動脈1本当たり(または腎臓1つ当たり).005〜約1.6μg/kg/分の投与量が適すると考えられる。前述と同様に、開始用量を採用し、患者の最大許容全身投与量を決定するために必要とされるようにタイトレーションアップまたはダウンすることが多くの事例において有用と考えられる。しかしながら、最近のデータでは、造影剤腎症の予防において約0.2μg/kg/分のフェノルドパムが約0.1μg/kg/分よりもより大きな効果を有し、この投与量が好ましいことが示唆されている。
【0044】
両方の腎動脈に送達される生理食塩液の投与レベルは経験的に設定してもよく、あるいはタイトレーションにより決定されるように有効にカスタマイズしてもよい。カテーテルまたは輸液ポンプデザインは、送達することができる液体量に対して実際的な制限を提供する。しかしながら、できるだけ多くを投与することが好ましく、毎時約2リットル(約180ポンドの患者において平均約25cc/kg/時間)、または約1リットル、あるいは1つの腎臓当たり毎時12.5cc/kgまでが有効であると考えられる。
【0045】
両方性のカテーテルによる約4mg/分まで、あるいは約2mg/分までのパパベリンの局所投与が動物実験で安全であると実証されており、さらに約2mg/分および約3mg/分のカテーテルまで、あるいは動脈あるいは腎臓当たり約1mg/分〜約1.5mg/分の局所腎投与により、ヒト被験者において腎血流速度を増加させることが示されている。したがって、パパベリンの局所両方腎送達により、高いベースライン血清中クレアチニン、糖尿病、あるいは腎臓機能を悪化させる他の証拠などの先在するリスクファクターを有する患者におけるRCNリスクを減らすことが可能と考えられている。
【0046】
予期される造影剤傷害に先立ち、単独または例えば生理食塩水導入などの他の医学的処置と併用して、非常に少ないパパベリンの全身量が投与されるさらなる実施形態も考えられる。このような投与は、例えば約3〜約14mg/時間の間(約3時間ごとに約10〜40mgの大量投与に基づく−パパベリンは一般に体重によって投与されない)のオーダーであってもよい。別の実施形態では約2〜3mg/分あるいは約120〜180mg/時間の投与。再び、局所両方送達のコンテキストでは、各動脈自体の投与量は半分になると考えられる。
【0047】
前述の化合物の各々におけるこの投与範囲の特定の有効性にもかかわらず、局所に送達されたより高い投与量でも安全であると考えられている。タイトレーションは、より高い投与量に対する許容性に関して試験する機能を提供すると考えられるさらなる機構である。さらに、単独または静脈内の生理食塩水などの全身治療と併用して記述された治療用量を送達することができると考えられる。
【0048】
本発明のさらなる局面は、本明細書の以下の部分で示されるものとし、詳細な説明はそれらを限定せずに本発明の好ましい実施形態を完全に開示するためのものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0049】
(本発明の詳細な説明)
例示のための上記図面をより明確に参照すると、本発明は、図1〜図3で示される装置および方法に一般に具体化される。本明細書に開示される基本的な考え方から逸脱せずに、この装置はその構成、および部品の詳細に関して異なる場合があり、またこの方法は特定の工程およびシーケンスにおいて異なる場合があることが認識されるであろう。
【0050】
本発明の多様な実施形態は、腎臓系への局所液体送達に関し、さらにこれゆえこのような局所化された送達を達成するための局所送達装置の使用に関することが認識されるであろう。一般に、このような伝達は、例えば、腎臓系の方「側」など方側性的に行われ、1つの腎臓またはその脈管あるいは付随する組織に関する状態が一般に治療される。あるいは局所治療が例えば両腎臓、または関連する脈管または付随する組織を治療するために両「側」など両方方的に実施される場合がある。腎臓系の方「側」に局所治療を提供することは、その方側の腎動脈経由での送達を一般に含み、腹大動脈壁に沿ったその腎小孔を一般に介する。一般に、腹大動脈壁の外周付近に空間がある2つのこのような口のそれぞれを介して、各々の側に腹部大動脈血流が潅流している。
【0051】
したがって、装置は例えば、達成されるべきシングルサイドまたは「両方」送達のいずれかにより、対応する口、複数の口を介してこれらの液体が1つあるいは両方の腎動脈内に主に流れるような様式で腹大動脈に液体を注入する大動脈内送達装置などがある。あるいは、腹大動脈を通じた送達アプローチにおいて、腎臓への入口を介した経皮的translumenal処置におけるなどの腎動脈自体を送達装置でカニューレ処置するさらに直接的なアプローチによる治療が提供されてもよい。
【0052】
液体送達による局所両方腎治療を提供するためには特別な課題が存在し、このため最近の開発はこのゴールを達成することのみに向けられている。しかしながら、治療すべき腎疾患状態が腎「システム」に関する場合は、両方の腎臓を同時に治療することが望ましい場合が多く、したがって、このような治療のために設計された装置システムが実質的に有用である。
【0053】
それに応じて、本明細書に記載された特定の実施形態の多様なゴールおよび方法を達成するために、多くの異なる装置を使用してもよいが、このような目的に、以下のPCI国際特許出願の1つ以上に記述された様々な局所の腎疾患治療装置システムおよび方法に従った有用な案件により達成されてもよいことが特に予期される。すなわち2000年11月1日に提出されたPCT/US00/00636、2001年4月27日に提出されたPCT/US01/13686、2001年11月8日に出版されたpublication WO 01/083016 A3、および2003年7月9日に提出されたPCT/US03/21406。本発明の実施形態と組み合わせて使用するために適する装置システムおよび方法のさらなる事例は、以下の出願中の米国特許明細書に開示されている。2002年9月20日に出願の出願番号10/251,915。さらに、本発明と組み合わせに適したその他の事例が、以下の出願中の米国仮特許出願に開示されている。1999年1月11日に提出された09/229,390、2000年5月1日に提出された09/562,493、2000年11月28日に提出された09/724,691、2002年9月20日に提出された60/412,343、2002年9月20日に提出された60/412,476、2003年6月5日に提出された60/476,347、2003年6月17日に提出された60/479,329、06/486,349、および2003年7月10日の60/486,206。上記、これらの全ての参考文献に記載された開示は、その内容全体を参照により本明細書に引用される。
【0054】
多様な医学的条件および徴候が本明細書に開示された多様な実施形態の使用に適する環境と考えられるが、冠動脈インターベンションまたは放射性造影色素の注入が行われるその他の治療を同時に施された患者の治療剤を腎動脈に送達するために本発明を適用することが特に有用である。より具体的には、本発明の実施形態によって送達された治療剤は、したがってを腎臓を保護し、あるいは血清クレアチニン値および糸球体濾過速度(GFR)により測定されるような有機的に結合したヨウ素(X線撮影造影剤)を処理する腎臓の機能を向上させるように機能する。
【0055】
いくつかの実施形態の種々の局面を説明する目的で、本明細書の全体にわたって用語「薬剤(agent)」、「薬剤(drug)」、「液体」および「治療用量(therapeutic dose)」が頻繁に使用されることが分かる。一般に、用語「液体」はその通常の意味を与えられるために用いられ、流動する材料に一般に記述される。用語「薬剤(agent)」は、液体を含む多くの異なるタイプの材料を表すが、それ以外に粉末、ゲル、懸濁液なども含まれる。しかしながら、一般に「薬剤(agent)」は、送達された時に治療に提供されると一般に有用な効果を有する物質を意味する。用語「薬剤(drug)」は、宿主生物またはそれらの組織に重要な特別の生理活性を有する制御された材料を記述するために一般に使用される。用語「薬剤(agent)」あるいは「薬剤(drug)」は、生理学的条件下で治療的に活性な薬剤に変換される化合物をさらに含むものとする。例えば、薬剤の選択された成分は、生理学的条件下で加水分解され、所望の分子が提供される。あるいは、薬剤(agent)または薬剤(drug)は身体の酵素活性によって転換される場合がある。本明細書に使用される用語「治療用量(therapeutic dose)」は、化合物;すなわち全身に、あるいは身体の特定の器官または組織にいずれかに、ある所望の治療効果を生みだすために有用である材料、薬剤、あるいは組成物の量を意味する。適切な投与量は、一般に化合物の量は治療効果を生みだすのに有効な最低の投与量となる。このような有効量は上述の因子に一般に依存する。活性化合物の有効量がさらに投与される。好ましくは単位剤形において処置全体にわたり適切な間隔で、1回、2回、3回、4回、5回、あるいは6回のサブ投与量が別々に投与される。さらに、投与は、治療の間に投与された治療剤の合計量を意味してもよく、腎動脈などの局所部位に導入する割合について記載する場合もある。用語「処置」は、予防的、ならびに局所または全身療法または治療を含むものとする。
【0056】
これらの有用な区別にかかわらず、このような特定の実施形態あるいは以下に記載する本発明の局面を述べる場合に、それらの使用状況においてこれらの用語を一般に共通のものであるとすることを認識すべきである。使用されるこれらの用語の1つの状況において実施形態が記載される場合、別に他のものを除外することを特に指定していない限り、このような実施形態はこれらの用語の他の1つまたは両方の状況をさらに記載している場合があることが分かる。
【0057】
インターベンション処置を受けた患者集団の有意な部分は、造影剤誘性腎症(RCN)の危険性があり、それらの予後には有意な罹患率およびさらに死亡率が含まれる。有効であるを考えられる薬剤の多くは、所望の局所効果を達成するために十分に大きな投与量で全身に送達されると(体血圧の低下などの)有害な全身作用を有する、あるいは有する可能性があることが知られているため、選択的な局所腎臓薬剤送達の必要がある。この特定の一例は血管拡張薬であり、血管拡張は特定の腎疾患状態を治療するために非常に好ましい効果であるが、全身的に広く血管拡張されることにより、重大な合併症を伴う場合がある。
【0058】
したがって、RCN発症のリスクを緩和する手段のためのインターベンション設定が実際の臨床医療において望まれている。このような緩和を必要とする患者は、以下に示されるようなリスクファクターによって通常確認することが可能であり、このため予防療法はRCNを発生する傾向に関して明らかに確定的な必要性があるこれらの患者に限定される場合がある。特定の治療製剤および方法を含むこのような予防策を行なう方法、およびをこの方法に使用される関連装置を本明細書に開示する。
【0059】
RCNを発生する高いリスクにあることが確認されたインターベンションを受けた患者における予防的治療方法として、腎臓への局所薬剤送達に基づいた一連の治療計画が開発されている。このような治療のために確認された薬剤としては、生理食塩液(NS)、および血管拡張薬パパベリン(PAP)、およびフェノルドパムメシレート(FM)がある。
【0060】
ここで図1に移ると、X線撮影造影剤に誘発された腎機能の低下を予防する方法100の一実施形態が示されている。ブロック110では、患者の腎機能、およびX線撮影造影剤暴露に対するリスクファクターが評価される。
【0061】
例えばうっ血性心不全(CHF)あるいは糖尿病の症例におけるように、造影剤使用の副作用はすでに存在する腎不全患者でより重大であることが分かる。さらに高齢、脱水、尿酸過剰血症、および事前の腎疾患を有する患者も高いリスクを有する。メトフェルミンで治療されている糖尿病では、このような治療を受ける間の造影剤暴露による乳酸血症および腎不全の特別なリスクがある。ベースライン血清クレアチニン値レベルの増加を伴う患者では、さらに放射線造影剤誘発ニューロパチーを生じるリスクの増加がある。
【0062】
有機的に結合したヨウ素を含む放射線に不透明な造影剤が循環器インターベンションおよび放射線インターベンション手技で通常使用されるが、これはいくつかの症例で腎臓系に急性および永続性の機能障害を引き起こすことが知られている。薬用診断学に使用される主要な放射線造影剤は、2、4、6−トリヨード安息香酸誘導体である。ヨウ素化された造影剤は、化学構造およびヨウ素原子に対するイオンの比率に依存してイオン性および非イオン性のカテゴリーに分類される。非イオン性の造影剤は、一般にイオン性造影剤より有害反応の発生率が低いことが示されているが、イオン性造影剤よりも本質的に高価である。したがって、非イオン性薬剤はよりリスクの高い患者への使用のために一般に確保されている。
【0063】
放射線造影剤誘発性腎症は、少なくとも25%の血清クレアチニン値(皮下投与)レベルの上昇によって特徴づけられる。血清クレアチニン値自体は全般的な腎臓の健康状態の代理マーカーであるが、総体的な腎臓の健康に関する医学文献および最近の医療現場において非常に良い相関が見られ、効率的な方法で老廃物を処理する患者の腎臓機能の全般的な信頼できる評価指標として経験的に立証されている。
【0064】
放射線造影剤は、管状上皮細胞上への直接的な毒性効果とともに腎臓の血行動態を変化させることにより腎機能を低下させる。造影剤により引き起こされる損傷に反応性酸素種(フリーラジカル)の生成が寄与している可能性があるという証拠がさらに存在する。
【0065】
具体的には、造影剤は腎臓の内部髄質領域に最も大きな傷害を生じる。濾過の高い代謝の必要性(すなわちナトリウムイオンの能動輸送)および低PO2の尿の濃縮を可能とする対向流交換システムの副産物の両方に起因して、腎臓のこの領域は低酸素状態の端上で一般に機能する。ヨウ素化された造影剤は一般に血管系に軽微な収縮性反応を通常もたらし、これ自体により上述の低酸素性のため髄質腎臓において好ましくない臨床続発症が顕在化する。今日の臨床使用においてはほとんどの造影剤の低いモル浸透圧濃度、および各々の心循環系サイクルにおける腎臓により濾過される大量の血液のため、血流からの造影剤の濾過は比較的迅速(分オーダー)である。しかしながら、造影剤が除去された後もその結果生じた収縮効果はある期間の間(数時間)持続する。
【0066】
したがって、リスクアセスメントにより患者の与えられる術前、術中、術後の処置に使用される造影剤の種類を決定してもよい。
【0067】
ここで図1のブロック120参照すると、全身の予防処置が造影剤の導入前に任意に行われ、その主要な手順が示されている。この処置により系内の有効血液循環容量を増加させる結果を生じ、非常に有用である。例えば、生理食塩水の全身投与はこの局面の1つの有用なモードである。
【0068】
生理食塩水は造影剤腎症の予防のための標準的な療法であると考えられており、当業者に公知の薬剤を経口または全身投与することを含む造影剤腎症の予防のための他の多くの全身治療方法よりも優れていることが示されている。腎血管狭窄を引き起こすことにより急性腎不全を誘発する他の薬剤(すなわちアンホテリシンB)に比して、生理食塩水はさらに無毒であり、有効な予防法である。
【0069】
生理食塩液は静脈内に一般に投与されるが、医療実務者による生理食塩水の動脈内投与の実施も相当数に上る。例えば、侵襲性血管性手技の間の動脈洗浄では、生理食塩水を300mL/時間の速度で投与することはごく普通のことである。さらに、容量置換の目的のため血液透析回路の動脈側に生理食塩液がさらに投与される。
【0070】
しかしながら、心臓カテーテル法を施される患者は心機能が低下していることが多いので、全身に生理食塩水負荷を許容する能力が制限される場合がある。さらに、患者は心カテーテル手技のために同日に入院し、退院することが多いので、患者に適切な生理食塩水負荷を行う十分な時間がない。上記要因の両方により、造影剤腎症の発生の減少に役立つ生理食塩水利用が不適切になってしまうことが多い。
【0071】
上述のように、放射線造影剤腎症の発生リスクの高い患者に過剰水分補給をさせることによりそのリスクを軽減させることもできるが、逆に動脈血液量が減少するので造影剤腎症のリスクが増える。生理食塩水送達により造影剤腎症のリスクが緩和される点については、体液量過剰による腎血流量の増加が一因である。したがって、生理食塩水は腎臓への酸素送達を増加させるようである。生理食塩水は損傷した腎尿細管細胞由来の壊死組織片を「洗い流す」役割をさらに果たし、これにより急性腎不全患者においてGFRの減少を引き起こす尿細管内の「逆圧」が予防される。最後に、糸球体尿細管フィードバックのため、腎臓へのナトリウム(Na)のより高い送達により、腎臓によるナトリウムの再吸収が減少する。腎臓内で最もエネルギーを要するプロセスは尿細管輸送プロセスであるため、生理食塩水は腎臓内のエネルギー需要を効果的に減少させる。
【0072】
生理食塩液による前手技処置は非常に有用であると考えられるが、他の全身治療剤を投与してもよいことが分かる。例えば、医師は生理食塩水ともに下記の1つ以上を付随的に投与してもよい。すなわち、ドパミン、マンニトール、エンドセリン拮抗薬、心房性、またはB形ナトリウム排泄増加性ペプチド、N−アセチルシステイン、カルシウム拮抗薬、L−アルギニン、あるいはテオフィリンおよびそれらのアナログである。
【0073】
図1のブロック130で示されるように、腎動脈への治療剤の局所送達は、本発明に示された実施形態における主要な手順の間に達成される。各腎臓の腎動脈に治療剤の離散量あるいは連続量を送達するために、患者の動脈系の近傍付近または内に1つ以上の送達カテーテルが配置されることが好ましい。腎動脈中への血管送達を介した腎臓への薬剤の局所送達により、本質的に減少(あるいは無くなった)有害な全身波及効果を伴う腎臓におけるこれらの薬剤の効果を強めることが本発明の意図である。
【0074】
少量の治療剤の局所送達により局所濃縮が生じ、経口的にあるいは静脈内に送達されたより大きな投与量により生じる全身の副作用を回避している間に、腎臓上に所望の生理的影響が提供される可能性がある。同様に、通常全身に許容できる濃度よりも高い濃度の薬剤を腎臓に送達することが可能である。
【0075】
例えば、血管内での過剰なガイドワイヤーまたはカテーテル操作により生じる血管攣縮の意図的な即時緩和のために、動脈内パパベリン(PAP)送達が以前に研究されている。PAPは、造影剤によって引き起こされた同様に人工的に誘発された血管狭窄の緩和にポジティブな効果があると考えられる。このように、造影剤の影響に関わらず髄質キャピラリーは開放した状態を保ち、あるいはさらに開放され、このため組織により多くの血流が流れ、これにより低酸素状態が悪化することが防止され、したがって髄質組織およびその重要な生物学的機能が保持される。しかしながら、患者を慎重に監視していない場合、重篤な全身性低血圧症が急速に生じるので、パパベリンの連続的な全身投与は臨床的に非常に危険である。より高い局所濃度で、かつより低い全身濃度でのPAPの局所送達によりこのような全身性の合併症が回避される。
【0076】
同様に、フェノルドパムメシレート(FM)の例では、全身の低血圧の問題のため全身的に許容することのできる量よりも低投与量で腎臓における局所効果を得ることができる。FMは内部髄質の毛細血管床に直接作用する平滑筋弛緩薬である。PAPは、例えば、より一般的な血管拡張効果を有することが知られている。
【0077】
無料あるいは相乗効果の治療剤を使用する治療法を使用することが可能であることがさらにわかる。全身療法は局所に送達された薬剤を補足し、あるいは相乗効果を有する場合がある。
【0078】
例えば、腎機能の向上を促進するために図1のブロック120で生理食塩液の全身注入が臨床設定において使用され、全身の水分補給レベルを増加させる(中心静脈圧、またはCVPにより測定することができる)場合、腎臓の髄質領域への放射線造影剤の急性傷害を防止するために追加の生理食塩液を含む相補的薬剤を投与することができる。腎臓は迅速にこの過剰液体を除去し、患者のCVPあるいはパルスオキシメトリを慎重に監視することによりその水分過負荷が回避される。しかしながら、どの程度の液体を許容することができるかに関する所定の患者のベースラインの腎臓健康状態により制約があり、さらに臨床的に有効な投与量が所定の患者の腎許容量をこえる可能性がある。
【0079】
生理食塩液、パパベリン、およびフェノルドパムメシレートは、局所送達に有用なものと認定されるが、他の治療剤を使用することができる。例えば、RCNの治療あるいはうっ血性心不全(CHF)に付随する急性腎不全(ARF)などの他の腎疾患のいずれかのための、腎機能に関して生理活性を有すると考えられ、本発明の実施形態により適切に適用され、あるいは適切に修飾され、適切な腎疾患治療療法が提供される多様な薬剤のリストとしては、例えばパパベリン、フェノルドパム、カルシウム拮抗薬、心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)、アセチルコリン、ニフェジピン、ニトログリセリン、ニトロプルシド、アデノシン、ドパミン、およびテオフィリンなどの血管拡張薬、例えばアセチルシステインなどの抗酸化剤、例えばマンニトール、またはフロセミドなどの薬剤などがある。さらに、本明細書に述べる腎治療システムおよび方法として有用と考えられるこれらの多様な組み合わせまたは混合物として類似体あるいは誘導体が考えられる。さらに、医師は、造影剤誘発性日和見腎疾患の危険性が非常に高い患者に、腎損傷の可能性を減少させるため、非イオン性、または等浸透性造影剤を使用してもよい。
【0080】
血流に放射線造影剤の一次処理および導入後、この造影剤は、分泌されず、尿細管に吸収もされずに、糸球体によって随意濾過され、したがって体内で半減期を有する。図1のブロック140では、局所または全身または両方により処置後治療剤の投与が行われる。一次手順が完了後も造影剤濃度水準が下がるまで、図1のブロック130で導入された血管拡張薬またはその他の治療剤の導入を継続してもよい。
【0081】
別の事例としては、放射線イメージング中に産生される可能性のある任意の反応性酸素種を失活させるために、スーパーオキシドジスムターゼあるいはアセチルシステインなどの抗酸化剤を導入する場合がある。
【0082】
図1のブロック150では、治療の有効性を確保するために患者の腎機能および状態がモニターされる。本明細書に示された実施形態では、腎機能は血清クレアチニン値レベルの測定によりモニターされる。しかしながら、当業者において患者の腎機能の効果的なモニターとなりうる他の診断法が存在し、血清クレアチニン値の代わりに、あるいいはそれに加えて使用することができることが分かるであろう。無効な、あるいは部分的に有効な予防策および治療は、さらなる投与、または腎機能を補充または支持するための透析あるいは他の医療行為の使用など他の治療を必要とする場合がある。
【0083】
先の説明、および添付の図を参照することによる本発明は、したがってこのような送達のために追加の手順と併用して扱うことのできる様式で提供される様々な新しく有益な送達装置により可能となった機能の利点を利用することにより、両方の局所腎疾患治療剤送達を利用するさらに幅広い治療剤送達療法の多様な実施形態が考慮されている。良好な治療のために局所両方腎送達が達成されることにより、これらの局面は高度に有用な様式を一般に提供する。手技環境において異なる期間にわたりカスタマイズされる様式で、総体的な手続き的腎治療を提供するさらなる様式がさらに提供される。これらの異なる期間は、腎臓保護に関して独自の相対的必要性ならびに独自の相対的な患者治療環境、すなわち以下に記載述される実施形態の任意において役割を果たす患者治療の両方の局面によって特徴づけられる。
【0084】
介入術に関連して異なる時期に腎臓保護プロトコルがカスタマイズされる多様な特定の実施形態を、図2を参照することによりさらに述べる。具体的には、図2の左側に図示された200命名されたカラムは、介入術に関する腎臓保護ニーズの以下の3つのウィンドウを表す。すなわち、介入術前202、介入術204、また介入術後206である。様々なカラム210、220、230、240、および250は、カラム200で示される介入術相に関連するものとして、管理された腎臓保護のための種々の異なる実施形態を意味する。
【0085】
図2のカラム210で示される1つの特定の実施形態では、前手続き的腎疾患治療は介入術前時期202に全身の薬剤送達ウィンドウ212を含み、介入術期間204中に両方の局所腎送達ウィンドウ214が続き、術後期間206中の全身性送達テイル(tail)またはウィンドウ216がその後さらに続く。術前、および術後時期202,206では、介入術期間204中に遭遇する腎臓への色素導入の高いストレスの集中を受けていない。さらに、この相の間、患者は手術室またはカテーテル室にいない、あるいは定期的な介護者監視あるいはモニタリングの下ではなくてもよい。このためこのプロトコルでは、この期間は簡単な静脈内投与ドリップの使用するなど全身的に患者を管理する。しかしながら、手技期間204の間では、色素注入直後に腎臓ストレスが最大となると、ウィンドウ214において両方の局所送達投与によりさらに積極的に腎臓保護管理が行われる。これは、患者が既にカテーテル室処置台の上におり、さらにカニューレ処置されている場合に、経管腔両方送達カテーテルにより行われる。実際には、ある高度に有益な装置実施形態に従って、一般の血液取出送入装置が局所送達システム、ならびに血管造影法システムと共に使用される。図2のカラム210によりちょうど記載された全身−局所−全身3相療法により、このため手順200の周囲の異なる時間に、この解決策は変化するニーズ、および異なる患者管理環境を満たすために修正される。
【0086】
ここで述べたような有用性にもかかわらず、カラム210の前述実施形態のこのような三相プロトコルを、手技または手順の異なる相内で他の治療様式の組み合わせに変更してもよいと解釈すべきである。1つの特定の留意点は、手技後ウィンドウは腎臓におけるリスク環境が残されている。――濾過プロセスは負荷が減少しているもののストレスの多い課題が残されており、特に範囲において、いくつかの留意点において時間の経過につれてその効果がその濾過に対して付加的となる。
【0087】
したがって、図2のカラム220で示されるさらなる実施形態は、侵襲性手技中に期間204を越えて、局所両方治療ウィンドウ214を手技後ウィンドウ206内に拡張する。この時点で、患者の腎動脈は既にカニューレ処置されており、したがって、課題は拡張された薬剤注入のため、より長期間そのカニューレ挿入を維持することのみである。これは診察と関連する医療費の増加を招くが、より高い投与量でのより長期間の局所投与の利点は、多くの場合価値があると考えられる。
【0088】
1つの特定のさらなる実施形態では、この局所送達224が先の実施形態の手技後全身治療ウィンドウ216に置き換わり、これにより、同様な移入の手技後期間206を処理する二相性治療プロトコルが提供され、したがって、腎臓保護の必要性に関して介入期間204と本質的に同等の重要なウィンドウが提供される。
【0089】
図2のカラム230に示すさらに別の特定の実施形態では、局所両方性カニューレ挿入および腎送達期間234が介入術204を越えて拡張される間に、それはしかしながら腎臓保護の第3の全身ウィンドウ236とその後入れ換えられるが、カラム210のプロトコルに関して上述の三相性アプローチの第1の場合よりも後になる。
【0090】
図2のカラム240の実施形態によって示されるさらなる留意点において、前手技期間202の全身相を置き換えるための特定の実施形態に示すように、局所送達ウィンドウ244は、先の実施形態よりも早期に拡張される。これにより早期のカニューレ挿入を必要とするが、より集中的な局所効果のため、介入術期間204の前に腎治療はより短い時間で開始される場合がある。この場合、全介入前期間および手技期間の間は、全身合併症が最小となる。この色素送達後の期間206の間に腎ストレスが緩和され、造影剤観察の必要性を軽減するように進行中の侵襲性カニューレ挿入の必要性が再び取り除かれるものの、手技後期間の間に全身テイル(tail)246がこの実施形態にまだ示されている。それにもかかわらず、図2の(if)カラム250に示されるように、さらなる実施形態において全手順が局所投与療法により行われることが依然として考慮されている。
【0091】
局所腎送達プロトコルに対し、および全身治療と密接に関連した単相、二相、あるいは三相アプローチのための多様な上述の実施形態にもかかわらず、患者の腎疾患治療の多く症例において特に有益である早期全身性、周術期局所、および手技後全身テイル(tail)治療が考慮される。
【0092】
ここで図3を参照すると、図2に開示された投薬計画とともに使用するための両方性腎動脈内送達系の一実施形態を一般に示す。カテーテルシステム300は、単回または複数回の手技用にカテーテル302および予め包装された容器304中に十分な量の薬剤と共にキット形態で提供される場合がある。本明細書に記載された投薬方法に従って使用するための予め包装された容器304は、別個に、あるいはキット中に提供される腎内送達システムと組み合わせて販売し、提供することができる。さらに、予め包装された薬剤あるいは薬剤の組み合わせは、本明細書に述べた投与方法に従った従来のカテーテルと共に使用してもよいことが分かるであろう。
【0093】
図3に示す実施形態において、確立されたプロトコルに従って身体の血管内にカテーテル302が挿入される。このカテーテルの遠位チップ306は腎動脈308内に配置される。治療剤は、バイアル304から薬剤送達ポート310を通り、遠位チップ306から腎動脈308へ誘導される。薬剤の分布は生理食塩水ポート312を介した生理食塩水の流れにより促進される。腎臓と同様に腎動脈308もこのように処理することができることが分かる。
【0094】
ここで述べたこれらの実施形態の様々な局面は、3つの特定の種類の腎疾患治療剤に関する付随するより特定の実施形態を参照することによりより良好に理解される。これらの特定のプロトコルは、確認された3つの薬剤に関して特に非常に有益であると考えられ、同様なタイプの化合物のための様式をさらに明示するものと考えられる。これらの実施形態は新規な投与において本発明の多様な局面に従って適用され、腎動脈へ局所的に、あるいは選択された局所送達と共に全身に送達された場合に、効果的にRCNを予防することができる。
【0095】
(生理食塩水の局所腎送達)
細胞外補液のために、体液喪失および軽度のナトリウム欠乏を有する代謝性アルカローシスの治療のために、血液透析手技における準備溶液として、赤血球を溶解せずに輸血を開始し終結するために、および相溶性医薬品添加物の注入のための希釈液として、一般に静脈内投与用生理食塩液(0.9%塩化ナトリウムUSP)を使用して水および電解質源が供給される。
【0096】
現在、この余分な液体を処理するための水分補給は患者の能力、および入院中に患者に耐えられる割合で適切な容量の液体を投与するための時間が不十分であることにより制限されている。水分過負荷による中心静脈圧の増加は許容されず、肺内で液体の蓄積が起こり、ヘモグロビン酸素飽和度の低下、およびこのため髄質腎臓内でおよび他の身体内で低酸素性状態が悪化する場合がある。
【0097】
しかしながら、腎動脈への生理食塩水の両方局所送達では、(a)所望の効果を達成するために必要とする生理食塩水の総容量を減少させること、(b)腎臓の血液配分を希釈するために必要とされる容量が所定の割合であり、同じ割合に患者の全体量を希釈するために必要な量よりもはるかに少ないとして、腎臓内の局所に機械的な「フラッシング」効果を加えること、および(c)腎臓自体により腎臓内へ直接注入される注入液の即時除去、これにより系の注入された液体との接触を制限し、全身の水分過負荷の可能性を減少させることによりこれらの問題を緩和することができることが分かる。腎臓は生理食塩水を非常に効率的に排泄する。したがって、カテーテル手技の間に腎内に比較的高容量の生理食塩水を潜在的に注入することが可能であり、これにより治療中に循環量が著しく変化せず、生理食塩水の実際的な有用性を最大にすることができる。
【0098】
低プロフィールの自己カニューレ型の分岐した腎カテーテルにより1つの有益な機構が提供され、他のガイドワイヤーあるいはカテーテルを必要とせずにX線透視検査の下で配置が可能で、生理食塩水を腎動脈に局所的に送達するための容易な手段として利用できる。1つの特定の実施形態では、カテーテルは、動脈可視化あるいは他の手技のための放射線造影剤の導入前、導入中、および導入後に生理食塩水を局所的に送達する。
【0099】
生理食塩水のための処置に関する1つの非常に有用なモードとして、危険に上昇したCVP、肺水腫、あるいは動脈性酸素負荷減少の徴候のない患者に許容される最大レベルまでの手技前全身水分補給がある。時に、これは手技前に約24時間までの間に約3cc/kg/時間までの送達を含んでいるが、病院内にいる患者の時間の実際的制約、および過剰水分補給を許容する能力により、所定の時間および投与量が制限される。一般に、所定の投与量は望ましくない全身作用が観察されるまで生理食塩水の注入量を増加させ(タイトレーション)、続いて有害事象が認められない最大レベルに戻るまで投与量を減少させることにより決定される。
【0100】
カテーテル処置中に、X線透視検査が必然的に利用できる場合に、即時除去の観点からいえば多くの場合、生理食塩水を直接、腎臓が許容することができるレベルまで投与することが一般に望ましい。投与レベルは経験的に設定してもよく、あるいはタイトレーションにより決定されるように有用にカスタマイズしてもよい。カテーテルまたは輸液ポンプデザインは、実際に送達することができる液体量に制限してもよい。しかしながら、できるだけ多くの量を供給できることが望ましく、毎時2リットル(約180ポンドの患者の平均で約25cc/kg/時間)までのレベルが有用であると考えられる。再び、手技後、例えば実用限界内の約24時間までに、上述のレベルで全身送達を再度開始することができる。万一患者が病院に残る場合はより長い時間を使用してもよく、あるいはより少ない注入が必要な特定の必要性を満たすためにより短くてもよい。生理食塩液は好ましいが、患者の必要性およびリスクファクターに応じて、半生理食塩水あるいはその他の生理食塩水を使用してもよい。
【0101】
腎内生理食塩液注入の本質的な予測可能なリスクのみが全身容量過負荷において残留する潜在的危険性であることが分かる。1つの有用な実施形態では、腎動脈へ投与された腎内生理食塩水の総容積は、およそ800mL未満であるレベルに維持される。それがほとんどの患者の静脈内に注入された場合でも、この容量が許容されると予想される。手技中の液体状態をモニターするために、全身酸素投与(すなわちパルスオキシメトリ)、ならびに充填圧(すなわち中心静脈圧)および血圧がモニターされることが好ましい。手技中に循環過負荷が生じる場合は、利尿薬、補足の酸素投与、あるいはモルヒネなどの肺動脈圧を下げる手段により処理することができる。必要に応じて、ニトログリセリンおよび/または変力薬などの血管拡張薬の使用により心機能も改善することができる。さらに、万一重大な低酸素血症および呼吸困難が発生する場合は、挿管のための設備を容易に利用可能である。
【0102】
いかなる場合でも、局所生理食塩水送達のための先の実施形態は、特に、局所両方腎送達の有用性を腎のシステムおよび患者のシステムの残りの両者の有用性に組み込むことにより、これまでRCNに対する腎臓保護のための「ゴールドスタンダード」であると考えられていた従来の方法に対して実質的な有用性を提供することが分かる。さらに、局所および全身性ウィンドウによる併用療法は、異なる治療期間中の異なる生理的および患者管理の必要性を満たすために溶液をカスタマイズする利点がある。
【0103】
(パパベリンの局所腎送達)
一般的な平滑筋緊張弛緩を提供する能力のために、パパベリンは腎髄質中の血流を増加させ、このため造影剤傷害による放射線造影剤誘発性腎症の可能性を減少させるのに非常に有用な薬剤である。
【0104】
パパベリンを使用した人為的に誘発された血管攣縮(収縮)の急性治療のための介入術環境において本質的な事例が存在する。本発明の実施形態では、両方の腎臓系中への局所パパベリン送達の適用により、したがって腎臓系対する両方性RCNを減少させるための高度に局所化された手段として特別な血管拡張特性を利用して、実質的に改善された利点を提供する。
【0105】
全身に長期間にわたり暴露される場合(すなわち経皮的冠血管介入術あるいは「PCI」の時)は、パパベリンによる著しい投与制限が存在する。したがって、本明細書で述べたような新規な両方腎薬剤注入システムおよび方法による局所送達様式は、パパベリンをこの予防的あるいは早期治療的適用に使用可能とするような実質的に飛躍的な進展をもたらす。
【0106】
生理食塩水について考察するように、PCIあるいは他のカテーテル処置環境により遠隔操作される腎動脈への局所薬剤送達のために提供される臨床ロジスティックにより、この治療法を特定することが困難となる。しかしながら、図2を参照することにより上述したような手技前、手技中、および/または手技後局所パパベリン送達、あるいはこれらの組み合わせは、RCNの発生率の減少を示し、臨床適用の観点からいえば確かに非常に有用な投与送達療法を提供する。それは前述の追加療法であるが、これを使用し臨床設定において不要な障害を引き起こさずにパパベリンの臨床的有効性を最大にする。
【0107】
したがって、さらなる実施形態によると、予測された造影剤傷害に先立ち、単独または例えば生理食塩水の導入などの他の医学的処置と併用して、非常に少ないパパベリンの全身量が投与される方法が考えられる。そのような投与は、例えば約3〜約14mg/時間(約3時間ごとに10〜40mgの多量投与に基づく−パパベリンは一般に体重に基づいて投薬されない)の間のオーダーである。その他の実施形態では、2〜3mg/分あるいは120〜180mg/時間の投与が提供される。
【0108】
この期間におけるこの投与範囲の特別な有効性にもかかわらず、さらに局所的により高い投与量が送達されることも安全であると考えられている。タイトレーションは、より高い投与量に対する耐性について患者を試験する機能を提供すると考えられるさらなる機構である。
【0109】
カテーテル処置時間の間は、局所送達が好ましく、以前に述べた分岐したカテーテルデザインにより容易に達成可能であると予想される。約4mg/分(再度、一般に体重ベースではない)までの局所投与は、ある生体内での動物試験において安全性が実証され、ヒトの被験者において、約2mg/分および約3mg/分の局所腎臓投与量により腎血流量の増加が認められた。このように、パパベリンの局所両方腎送達は、高ベースライン血清クレアチニン値、糖尿病、あるいは腎機能を損うその他の事例などの先在するリスクファクターを有する患者のRCNリスクを減少させることを助けることが適切に把握される。これらの投与は安全であると考えられ、タイトレーションは患者の病状によりこのような付加的保護が保証される場合において、より高い投与量を探索するために使用してもよい。
【0110】
手技後、再び、局所投与経路が非常に有利なモードと考えられる。この連続した局所投与が特定の患者のために選択される場合は、投与レベルは例えば周術期の範囲と一致していてもよい。しかしながら、例えば手技前投与レベル、あるいは前述のように水分補給と併用するなどのように特定の治療において全身投与が選択の様式であってもよい。
【0111】
(フェノルドパムの局所腎送達)
フェノルドパムメシレートは、市販の短時間作用型ドパミン−1(DA−1)特異的作動薬である。フェノルドパムの認められた使用方法は、迅速にしかし速やかに反転するような血圧低下が必要な場合の高血圧の院内静脈内治療用である。フェノルドパムは、およそ0.01μg/kg/分からおよそ0.5μg/kg/分静脈内投与の低い全身投与量で用量依存的腎血管拡張を引き起こし、腎皮質および腎髄質への両者の血流を増加させる。この生理学的特徴により、フェノルドパムは、ハイリスクな外科手術および造影剤腎症などの虚血性傷害からの腎臓保護のために利用される。フェノルドパムは、腎臓の髄質領域の毛細管において認識された効果を有する血管拡張薬(特に、ドパミンD1様受容体作動薬)としての用途に有用な薬剤と考えられる。このため、RCN予防の研究においてきわめて有望である。しかしながら、純粋な全身送達では問題が生じる。パパベリンのようなフェノルドパムは、血管拡張薬であり、したがって十分に腎髄質脈管構造に影響を及ぼすのに必要な投与量で、危険な全身性の低血圧状態を生み出す可能性がある。
【0112】
したがって、全身注入によるフェノルドパムの使用は、DA−1誘発全身血管拡張によって媒介される用量依存性低血圧により制限される。造影剤の投与を受けた血液量減少性イヌへのフェノルドパムの投与は、(糸球体濾過速度により測定されるように)腎血流量および腎機能の両方の減少を防止した。無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験を含む多くの小規模試験では、フェノルドパムは造影剤手技を受けたハイリスク患者における腎機能の悪化を軽減させた。これらの試験では、一般に総計4〜6時間投与し、造影剤投与に先立って投与を開始し、0.05〜0.5μg/kg/分の間のフェノルドパム投与を使用した。300名の被験者の1つの無作為化、二重盲検、プラセボ対照試験(CONTRAST)では、生理食塩水に対して0.05〜0.1μg/kg/分のフェノルドパムの12時間にわたる全身静脈内投与の有効性は見いだせなかった。
【0113】
しかしながら、最近のデータでは、造影剤腎症の予防において、低血圧の高いリスクにもかかわらず0.2μg/kg/分のフェノルドパムが0.1μg/kg/分より大きな効力を有することが示唆された。フェノルドパムのための腎用量反応曲線が正常なボランティアの集団に由来しており、血流効果を誘起するために正常な被験者よりも高い投与量が必要な腎機能障害患者の集団ではないことに注意すべきである。実際、正常なボランティアでは0.1μg/kg/分の投与によりベースラインから腎血流量がおよそ40%増加したが、2.6mg/dLの平均血清クレアチニン値を有する患者では、その投与量における腎血流量の増加はわずか16%であった。したがって、腎不全を有することで選択されたCONTRAST試験における被験者は、効果を発揮するのに十分な投与量のフェノルドパムを与えられなかったと考えるのが妥当である。
【0114】
フェノルドパムの腎内投与により、フェノルドパムの全身投与をより少なく、しかし局所投与をより多くすることが可能であり、これにより腎血流量におけるその用量依存効果の利点を利用することができる。注入されたフェノルドパムの90パーセントは尿中に排除される。腎臓で有効濃度のフェノルドパムの局所送達により、全身投与で遭遇する副作用の発生が減少する。最も一般的な副作用は、頭痛、悪心嘔吐、皮膚の潮紅、低血圧、頻脈、低カリウム血症、非特異的ST部分およびT波変化、眩暈、および呼吸困難である。全身療法において、11%の頻度の発生が観察された頭痛を除いて、上述のすべての発生が5%以下の頻度で観察されている。この臨床的有意性は不明であるが、ドパミンのようなフェノルドパムは眼内圧を増加させる。フェノルドパムは、亜硫酸塩アレルギーを有する患者でアレルギー反応を誘発する可能性のある防腐剤メタ重亜硫酸ナトリウムをさらに含んでいる。
【0115】
心カテーテル処置室で行なわれる日常モニタリングは、両者は用量依存的様式で生じる低血圧および頻脈などのフェノルドパム副作用をモニターするのに十分と予想される。臨床試験において、両方局所腎送達のための臨床的有効度を達成するために必要とされることが多い投与量よりも高用量である0.3μg/kg/分未満の静脈内投与量で統計学的に有意な頻脈は認められなかった。望ましくない程度までの血圧の低下は、フェノルドパム注入の休止、および体位の変化などの他の保守的な手段により一般に反転させることができる。必要に応じて、心カテーテル処置室で静脈内輸液および抗低血圧薬などの後処理を容易に投与することができる。同様に、臨床的に重要な程度のフェノルドパム誘発性反射性頻脈は、上述のような血圧管理、あるいは可能性としてカテーテル処置室においてさらに容易に利用可能なp3−受容体拮抗薬の使用により治療できる可能性がある。血清カリウムを評価する血液検査を実施してもよく、また緑内障または亜硫酸塩アレルギーの病歴のある患者は、ある環境においてフェノルドパムによる指示された治療から除外してもよい。しかしながら、再び、真の局所送達および低減された全身効果の有効性は、これらの患者においても本明細書に記載されたシステムおよび方法によるフェノルドパムにより治療可能であると考えられる。
【0116】
したがって、局所送達は、手技前、手技中、および手技後に患者を治療するためのさらなる実施形態で述べる特定の投与計画と共に本明細書に記載の実施形態により提供される。造影剤傷害前、傷害中、および傷害後に、局所的に送達される薬剤投与の非常に有用なモードにより、フェノルドパムの潜在的な保護効果を最も高めることができる。
【0117】
しかしながら、X線透視検査の利用により再び制限されたロジスティックス因子となりうる。したがって、多くの場合手技前投与は必ずしも全身である必要はない。手技前投与の約4時間までは、1つのより詳細なモードにより示唆され、また、少なくとも約15〜30分は、定常的なレベルが達成されることを保証する典型的な手技前ウィンドウかもしれない。この全身投与は任意の効果を最大とするために過剰水分補給と併用してもよい。約0.01から約3.2μg/kg/分までの投与量、あるいは各腎臓に0.05〜1.6μg/kg/分の投与が、多くの患者に適すると考えられる。手技前と同様に、開始投与量を選択し、患者の最大許容全身投与量を決定するために必要に応じてタイトレーションアップ、またはダウンすることが多くの場合有用であると考えられる。
【0118】
手技時における、局所送達への切り換えは以前に述べた分岐カテーテルにより容易に行うことができる。このポイントでは、全身効果の減少により、投与量は多くの場合実質的に増加するようである。約0.2μg/kg/分の投与量での約4時間の輸液による安全性を確認するために動物安全性試験が行われた。パパベリンによる上述のヒトデータと類似した様式で、約0.1μg/kg/分、および約0.2μg/kg/分のフェノルドパムの腎内送達は、腎動脈血流を有意にかつ即時に増加させるのに十分であり、下流(すなわち髄質毛細管床)でポジティブな効果が生じることを示唆している。したがって、全身投与からスタートし、意図されたカテーテル挿入中に許容される局所投与へ移行するさらなる実施形態に従って別のタイトレーションが行われる。手技後、特定の分岐カテーテルを除去することが好ましい場合は、追加の水分補給と併用、あるいは併用なしに投与を全身投与に戻すことができる。残留する造影剤誘発性血管攣縮は約12時間経過するまでに一般に除去されるので、この時間は十分であると考えられるが、手技後投与は、例えば約24時間まで有用である。
【0119】
上記の多様な液体薬剤のために特に記載されたもの以外に、他の投与送達様式が適用可能である。例えば、所定の全身または局所薬剤投与を追加液と組み合わせることは、上述の有無に関係なく手技前、手技中、または手技後の任意またはすべての場合に有用である。これは生理食塩水の場合にも適用され、例えば局所および全身の同時に投与される場合があり、あるRCN治療またはその他の状況におけるなど、多くの場合に臨床的に有益であると考えられる。同じ薬剤あるいは複数の薬剤の局所および全身投与(すなわち、局所および全身フェノルドパムを同時に、あるいは全身フェノルドパムと併用した局所パパベリン)を併用して送達することは、RCNの減少あるいは他の臨床症状における効力の観点から同様に有用である。
【0120】
本明細書に規定された化合物薬剤が極めて有用と考えられる。しかしながら、特にこの送達モードで、本明細書に規定された薬剤と同等の生理活性と安全性が立証されている場合は、他の薬剤を選択し同様のモードで使用してもよい。例えば、代謝されて活性な薬剤を形成するプロドラッグなどの前駆物質を使用してもよい。あるいは、特定の実施形態に従って、意図する活性に本質的に影響を及ぼさない様式で分子を改質することなどにより、他の誘導体あるいは類似体を作成してもよい。さらに、本明細書に規定された液体薬剤は、例えば血管拡張薬などの同様な特性を有する薬剤クラスを例示するためのものであり、本明細書に開示させる設定で同様な種類のその他の特定の薬剤を使用してもよいことを認識すべきである。活性が本明細書の特定の薬剤と異なる場合、本発明の範囲を逸脱せずに所望の結果を達成するために、独自の実験なしに当業者により量および時間などの特定の投与送達計画を修正してもよい。
【0121】
例えば、前臨床実験から学んだ最適化されたパラメータを有する臨床経験を得るための標準プロトコルに従った(時にさらなる再構築に従った)、最適な範囲における異なる特定の変数を観察する単純な前臨床動物試験では、特定の化合物または適用に本明細書に開示される広い局面をカスタマイズすることにより適切な機序が考慮されるであろう。このような結果は、意図された範囲内にあると考えられ、応用開発の通常のコースにおいて必要とされるさらなる精製にかかわらず、多様な用途に広く適用されるべきものである。この点で、特定の投与体制が個別に極めて有用であると考えられるが、このようなことはすべての事例において制限するためのものではなく、使用の特定の設定において、本発明の広い範囲のある局面から逸脱せずに修正が行われてもよい。
【0122】
さらに、分岐した両方腎内薬剤伝達カテーテルによるある事項に関して、確定した薬剤および化合物における多様な投与送達モードが達成されることがさらに上述されている。しかしながら、同様の結果を達成するために、全身投与と比較した場合に有用な様式で、両方の腎臓に同時に両方局所腎薬剤送達を提供することができる他の装置を使用してもよい。
【0123】
上述の説明は多くの詳細を含んでいるが、本発明の範囲を制限するものと解釈すべきではなく、本発明の好ましい実施形態のいくつかの説明を提供するためのみである。したがって、本発明の範囲は、当業者において明白となるその他の実施形態を完全に含むものと認識され、それに応じて本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲以外のいかなるものによっても制限されないものと認識され、単数における要素については、明示的に記載されない場合は「1つおよび1つのみ」を意味するものではなく、むしろ「1つ以上」を意味するものである。当業者に知られる、上記の好ましい実施形態/実施形態の要素の構造的、化学的および機能的等価物は、参照によって本明細書に明らかに引用されており、本願特許請求の範囲に含まれるものとする。さらに、ひとつのデバイスまたは方法は、本願特許請求の範囲に含まれるようにと、本発明が解決しようとするありとあらゆる課題に対処する必要はない。さらに、現在の開示での要素、成分、あるいは方法工程が本願特許請求の範囲に明示的に列挙されているかどうかには関係なく、本開示の要素、成分、または方法工程はすべて、公表されていないものである。要素を「手段のために」という用語を使用して明確に記載しない限り、米国特許法112条、第6段落の規定に基づいて解釈されるような請求項は本出願には存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0124】
【図1】図1は、本発明による一実施形態の方法のフローチャートである。
【図2】図2は、本発明による生理食塩液、フェノルドパム、およびパパベリンの介入術前、介入術、および介入術後の投与計画のブロック図である。
【図3】図3は、本発明による投与組織の送達に特に適する腎動脈内送達カテーテル図である。本発明は、説明のためにのみなされる以下の図を参照することにより、より完全に把握できるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者において、該患者に放射線造影剤を送達することに応じた放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法であって、
該放射線造影剤に曝される間に患者の腎動脈の両方に腎治療剤の治療用量を局所送達する工程、および
該患者の腎機能をモニターする工程、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記薬剤は、血管拡張剤を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記治療用量は、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記治療用量は、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記用量のパパベリンは、約2mg/分〜約3mg/分の間の速度で投与される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記薬剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインをこえる水分補給を患者に行う、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記水分補給剤は、生理食塩液を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
生理食塩液の前記治療用量は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
生理食塩液の前記治療用量は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記腎機能は、経時的に血清中クレアチニンレベルを定期的に評価することによりモニターされる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
患者において放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法であって、
放射線造影剤に曝される前の第1の期間に、該患者に第1の腎治療剤の第1の治療用量を送達する工程;および
該放射線造影剤に曝されている間の第2の期間に、該患者の腎動脈の両方に第2の腎治療剤の第2の治療用量を局所に送達する工程;
を包含する、方法。
【請求項14】
前記第1の腎治療剤は、前記第2の腎治療剤と異なる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の腎治療剤は、前記第2の腎治療剤と同じである、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の治療用量は、前記第2の治療用量と異なる、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記第2の治療用量は、前記第1の治療用量より多い、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記第1の治療剤は、血管拡張剤を含み、水分補給剤を含み、前記第1の薬剤は、正常なベースラインを超える水分補給を患者に行う、請求項13に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記第1の治療用量は、前記放射線造影剤に曝される前の約24時間に、約3cc/kg/時間の投与速度を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の腎治療剤は、パパベリンを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記第1の治療用量は、前記放射線造影剤に曝される前の約24時間に、約3mg/時間〜約14mg/時間の投与速度を含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第2の腎治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項24】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第2の治療用量は、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記第2の治療用量は、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項24に記載の方法。
【請求項27】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項28】
前記第2の治療用量は、約2mg/分〜約3mg/分の間の投与速度を含む、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記第2の腎治療剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインをこえる水分補給を患者に行う、請求項13に記載の方法。
【請求項30】
前記第2の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記第2の治療用量は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記第2の治療用量は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
患者における放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法であって、
放射線造影剤へ曝している間である第1の期間に該患者の腎動脈の両方に第1の腎治療剤の第1の治療用量を局所に送達する工程;
該放射線造影剤に曝された後の第2の期間にテイルとして第2の腎治療剤の第2の治療用量を全身に送達する工程;
を包含する、方法。
【請求項34】
前記第1の腎治療剤は、第2の腎治療剤と同じである、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記第1の治療用量と前記第2の治療用量とは、異なる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記第2の治療用量は、前記第1の治療用量より多い、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記第1の腎治療剤と前記第2の腎治療剤とは、異なる、請求項33に記載の方法。
【請求項38】
前記第1の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項39】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記第1の治療用量は、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記第1の治療用量は、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の投与速度を含む、請求項39に記載の方法。
【請求項42】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の治療用量は、約2mg/分〜約3mg/分の間の投与速度を含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記第1の治療剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインを超えて水分補給を患者に行う、請求項33に記載の方法。
【請求項45】
該水分補給剤は、生理食塩液を含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記第1の治療用量は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記第1の治療用量は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の投与速度を含む、請求項45に記載の方法。
【請求項48】
前記第2の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項49】
前記第2の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項50】
前記第2の治療用量は、前記放射線造影剤に曝された後の約24時間に、約3cc/kg/時間の投与速度を含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
前記第2の治療剤は、抗酸化剤を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項52】
前記抗酸化剤は、アセチルシステインを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
患者における放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法であって、
放射線造影剤に曝されている第1の期間に患者の腎動脈の両方に第1の治療剤の第1の治療用量を局所に送達する工程;
該放射線造影剤に曝された後に続く第2の期間に該患者の腎動脈の両方に第2の治療剤の第2の治療用量を局所に送達する工程;
を包含する、方法。
【請求項54】
前記治療剤は、前記第2の治療剤と同じ薬剤である、請求項53に記載の方法。
【請求項55】
前記第1の治療剤の用量と前記第2の治療剤の用量とは、異なる、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記第2の治療用量は、前記第1の治療用量より多い、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記第1の治療剤と前記第2の治療剤とは、異なる、請求項53に記載の方法。
【請求項58】
前記第1の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項59】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項60】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項59に記載の方法。
【請求項62】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項58に記載の方法。
【請求項63】
前記用量のパパベリンが、約2mg/分〜約3mg/分の間の速度で投与される、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記第1の治療剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインを超えて水分補給を患者に行う、請求項53に記載の方法。
【請求項65】
前記第1の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
前記生理食塩液は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記生理食塩液は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記第2の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項69】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項69に記載の方法。
【請求項72】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項68に記載の方法。
【請求項73】
前記用量のパパベリンが、約2mg/分〜約3mg/分の間の速度で投与される、請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記第2の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項75】
前記生理食塩液は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項76】
前記生理食塩液は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項74に記載の方法。
【請求項77】
前記第2の治療剤は、抗酸化剤を含む、請求項53に記載の方法。
【請求項78】
前記抗酸化剤は、アセチルシステインを含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
患者を、前記放射線造影剤に該患者が曝された後に、全身に送達される第3の治療剤で処置する工程をさらに包含する、請求項53に記載の方法。
【請求項80】
前記第3の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
前記生理食塩液は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項82】
前記生理食塩液は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項80に記載の方法。
【請求項83】
患者における放射線造影剤誘発性腎症を予防する方法であって、
該患者に放射線造影剤を送達する前である第1の期間に、該患者に第1の腎治療剤の第1の治療用量を全身に送達する工程;
該患者に該放射線造影剤を送達中である第2の期間に、該患者に第2の腎治療剤の第2の治療用量を局所に送達する工程;および
該患者に該放射線造影剤を送達する後である第3の期間に、該患者に第3の腎治療剤の第3の治療用量を全身に送達する工程;
を包含する、方法。
【請求項84】
前記第1の治療剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインを超えて水分補給を患者に行う、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
前記第1の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
前記放射線造影剤に曝される前に約24時間、約3cc/kg/時間の速度で前記生理食塩液は、投与される、請求項85に記載の方法。
【請求項87】
前記第1の治療剤は、パパベリンを含む、請求項84に記載の方法。
【請求項88】
前記パパベリンは、前記放射線造影剤へ曝す前の約24時間に、約3mg/時間〜約14mg/時間の間の速度で投与される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
前記第2の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項90】
前記血管拡張剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項91】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項90に記載の方法。
【請求項92】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項90に記載の方法。
【請求項93】
前記血管拡張剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項89に記載の方法。
【請求項94】
前記用量のパパベリンが、約2mg/分〜約3mg/分の間の速度で投与される、請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記第2の治療剤は、水分補給剤を含み、該水分補給剤は、正常なベースラインを超えて水分補給を患者に行う、請求項83に記載の方法。
【請求項96】
前記第2の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項95に記載の方法。
【請求項97】
前記生理食塩液は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項98】
前記生理食塩液は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項96に記載の方法。
【請求項99】
前記第3の治療剤は、血管拡張剤を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項100】
前記第3の治療剤は、生理食塩液を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項101】
前記生理食塩液は、前記放射線造影剤に曝された後に約24時間、約3cc/kg/時間の速度で投与される、請求項100に記載の方法。
【請求項102】
前記のテイル治療剤は、抗酸化剤を含む、請求項83に記載の方法。
【請求項103】
前記抗酸化剤は、アセチルシステインを含む、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
患者において腎臓系を処置するためのシステムであって、該システムは、
両腎臓治療用の局所送達システムと、
治療用量の腎治療剤と
を含み、該両腎臓治療用の局所送達システムは、該患者内の腹大動脈壁に沿って特有のそれぞれの腎臓への入口を有する2本の腎動脈それぞれに該治療用量を送達するのに適している、システム。
【請求項105】
前記腎治療剤は、フェノルドパムメシレートあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.01μg/kg/分〜約3.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記用量のフェノルドパムメシレートが、約0.1μg/kg/分〜約0.2μg/kg/分の間の速度で投与される、請求項106に記載の方法。
【請求項108】
前記腎治療剤は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項109】
前記用量のパパベリンが、約2mg/分〜約3mg/分の間の速度で投与される、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記腎治療剤は、生理食塩液を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項111】
前記生理食塩液は、約20cc/kg/時間〜約30cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項112】
前記生理食塩液は、約24cc/kg/時間〜約26cc/kg/時間の間の速度で投与される、請求項110に記載の方法。
【請求項113】
前記腎治療剤は、抗酸化剤を含む、請求項104に記載の方法。
【請求項114】
前記抗酸化剤は、アセチルシステインあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項113に記載の方法。
【請求項115】
患者の血管系内の放射線造影剤の送達に関連した放射線造影剤腎症(RCN)から腎臓系を保護するためのシステムであって、該システムは、
両腎臓用局所治療システムと、
液体薬剤源と、
予め印刷された使用説明書(IFU)と、
を含み、
該両腎臓用局所治療システムは、該患者の外側で該液体薬剤源と接続されるのに適しており、そして、該供給源からある体積の液体薬剤を送達し、同時に該患者において2つの腎臓のそれぞれを潅流する2本の腎動脈それぞれに送達するのに適しており、
該IFUは、処置段階の間に該両腎臓用局所治療システムにより該体積の液体薬剤を両腎臓に局所送達するのに関連する第1の治療用量計画を提供する指示を含み、該X線造影薬剤は、患者に送達されるものであり、該指示はまた、患者へ放射線造影剤を送達する処置段階のそれぞれ時間的に前または後である処置前または処置後の段階のいずれかである第2の段階中に該液体薬剤を両腎臓送達するのに関連する第2の治療用量計画をさらに提供し、
該IFUに従った該システムの操作は、該患者に対する該放射線造影剤送達に関連したRCNから該腎臓系を実質的に保護するのに適する、システム。
【請求項116】
予め包装された組み合わせキット中に滅菌された形態で、前記両腎臓用局所治療システムと液体薬剤源とは、共に提供される、請求項115に記載のシステム。
【請求項117】
前記IFUは、前記予め包装された組み合わせキットに含まれる、請求項116に記載のシステム。
【請求項118】
前記液体薬剤源は、単一用量の液体薬剤を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項119】
前記液体薬剤源は、フェノルドパムあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項120】
前記液体薬剤源は、パパベリンあるいはそのアナログまたは誘導体を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項121】
前記第1の治療用量計画は、生理食塩水の全身投与を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項122】
前記第1の治療用量計画は、フェノルドパムあるいはそのアナログまたは誘導体の全身投与を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項123】
前記第2の治療用量計画は、全身投与の投与速度を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項124】
前記第2の治療用量計画は、局所投与の投与速度を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項125】
前記第2の治療用量計画は、処置前段階中に投与する投与速度を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項126】
前記第2の治療用量計画は、処置後段階中に投与する投与速度を含む、請求項115に記載のシステム。
【請求項127】
.前記IFUは、処置前段階中に前記液体薬剤を投与するため投与速度を提供する第3の治療用量計画をさらに含む、請求項126に記載のシステム。
【請求項128】
前記第2の治療用量計画は、全身投与の投与速度を含む、請求項127に記載のシステム。
【請求項129】
前記第3の治療用量計画は、全身投与の投与速度を含む、請求項128に記載のシステム。
【請求項130】
前記第1および第3の治療用量計画のうちの一方は、全身投与の投与速度を含み、前記第1および第2の治療用量計画のもう一方は、前記両腎臓用局所治療システムの使用による局所投与の投与速度を有する、請求項127に記載のシステム。
【請求項131】
請求項115に記載のシステムであって、
前記両腎臓用局所治療システムは、第1および第2注入部材を有し、該第1および第2注入部材は、前記患者の腹大動脈壁に沿った第1および第2の腎臓への入口をそれぞれ経由して第1および第2の腎動脈にカニューレを挿入するのに適し、かつ該第1および第2注入部材は、該第1および第2の腎動脈内の第1および第2の位置にそれぞれ配置するのに適した第1および第2の注入ポートをまたそれぞれ有する第1および第2注入部材を有し、
該第1および第2の各位置にある前記第1および第2の注入ポートは、該患者の外側で前記液体薬剤源と流体接続されるのに適し、かつそれぞれ該第1および第2の腎動脈に前記体積の液体薬剤を同時に注入するのに適する、
システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−521233(P2007−521233A)
【公表日】平成19年8月2日(2007.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507920(P2005−507920)
【出願日】平成15年9月22日(2003.9.22)
【国際出願番号】PCT/US2003/029586
【国際公開番号】WO2005/016165
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(506001549)フロウメディカ, インコーポレイテッド (5)
【Fターム(参考)】