説明

放熱構造体

【課題】設置領域が発光素子の真下部分近傍に限定された厳しい使用環境の下で、ファンを使用することなく、効果的に発光素子を冷却することができる、小型筐体内に配置される光源冷却装置を提供する。
【解決手段】一方の面が光源に熱的に接続されて水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材と、前記金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部と、前記金属板材に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と前記光源の垂直下方からずらして配置される垂直部からなるヒートパイプと、前記ヒートパイプの前記垂直部に挿通された複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、各種電気・電子部品等の放熱を行うためのヒートシンクに関し、特に、放熱フィンの配置可能領域が発熱部品の下方の狭い部分に限定された、小型筐体内に配置される光源冷却装置に関する。
【背景技術】
【0002】
各種装置に搭載された半導体発光素子等の発熱性の電気・電子部品を冷却するために、ヒートシンクが各種提案され、また実用化もしている。小型化、省電力化といったLED等の半導体発光素子の優位性を生かしたLEDランプユニットが様々な用途に利用されつつある。
【0003】
近年の照明装置では、LEDやLD等の半導体で形成された発光素子を光源とする照明装置が多数提供されている。この種の発光素子は白熱電球等に比較して発光光輝度が低いため印加電流をできるだけ大きくして発光輝度を高めることが望まれるが、印加電流を増大すると発光素子での発熱量が過大になり、いわゆる熱暴走により発光素子が破壊され、あるいは発光素子の寿命が短くなる。
【0004】
そのため、発光素子の冷却効果を高め、印加電流を増大した場合における発光素子の発熱を抑制し、熱暴走による破壊を防止する一方で発光素子の発光量を高めることが考えられている。例えば、発光素子と一体的に冷却ファン構造のヒートシンクを設けておき、このヒートシンクによる放熱によって発光素子の温度上昇を抑制しようとするものである。
【0005】
特開2007−35788号公報にヒートシンクを備えたLEDランプユニットが開示されている。図6は、LEDランプユニットを説明する図である。図6に示すように、LEDランプ131に、放熱フィン152およびベースプレート151が一体的に形成された押し出し成形ヒートシンク105が熱的に接続されている。
【0006】
即ち、ヒートシンク105の上に熱伝導シート104、LEDランプ131が実装された基板103、レンズ102を順に重ねて、最後にケース110とヒートシンク105が基板103とレンズ102を挟持するようにケースを被せることによってLEDランプユニットが組立てられている。このように組立てられたLEDランプユニットのヒートシンクに冷却用空気を吹き付けて、LEDランプの熱を放散している。
【特許文献1】特開2007−35788号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述したLEDランプユニットでは、LEDランプの真下にヒートシンクが熱的に接続されているので、LEDランプからヒートシンクに伝わった熱によって、LEDランプの温度が上昇してしまうという問題点がある。
【0008】
更に、上述したLEDやLD等の半導体で形成された発光素子を光源とする照明装置においては、性能の向上が要求され、発光素子の発する熱量が大きくなっている。一方で、照明装置を配置する場所が狭い場所に限定され、更に、ヒートシンクの放熱フィンに冷却用の空気を吹き付けるファン等の設置が困難になり、ファンを使用しないで、効率的に発光素子の熱を放散して、発光素子の機能を維持することが要求されている。
【0009】
更に、設計上、ヒートシンクを設ける領域が発光素子の真下部分近傍に限定される場合もある。このように、使用環境が厳しく制限された状態で、LEDやLD等の半導体で形成された発光素子を効果的に冷却する冷却装置の出現が要請されている。
【0010】
従って、この発明の目的は、設置領域が発光素子の真下部分近傍に限定された厳しい使用環境の下で、ファンを使用することなく、効果的に発光素子を冷却することができる、小型筐体内に配置される光源冷却装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明者は上述した従来の問題点を解決すべく鋭意研究を重ねた。その結果、発光素子を載置する金属板材(ベース部)の概ね真下部分に限定された領域にヒートシンクを配置して、効果的に発光素子を冷却するためには、金属板材の下に屈曲部を設けて金属板材の垂直下方から少しずらして垂直部を配置したヒートパイプを用いることによって、発光素子から金属板材を介してヒートパイプに伝わった熱によって、発光素子に昇温した空気が当り発光素子の温度が上昇することを回避することができることが判明した。
【0012】
更に、ヒートパイプの垂直部に挿通される薄板放熱フィンを水平から少し傾斜させて設置することによって、発光素子の熱によって昇温した空気が斜め下方から上方に流れて、発光素子の真下部分から離れて、発光素子に昇温した空気が当らないことが判明した。
【0013】
更に、上述したヒートパイプの垂直部に挿通される薄板放熱フィンを、ヒートパイプに挿通された平らな中央フィン部と、中央フィン部の両側端部の上方および下方にそれぞれ所定角度で屈曲されて折り曲げ板状フィン部とからなる形状にすると、冷たい空気が斜め下方から入り、発光素子の熱によって昇温した空気が斜め上方に流れて、自然対流が生じるので、放熱効率を高めることができることが判明した。
この発明は、上述した研究成果に基づいてなされたものである。
【0014】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第1の態様は、一方の面が光源に熱的に接続されて水平に配置された金属板材と、前記金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部を備えたヒートシンクと、前記金属板材にその一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と水平から所定角度で傾斜して下方に配置されるヒートパイプと、前記ヒートパイプに挿通された水平な複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0015】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第2の態様は、一方の面が光源に熱的に接続されて水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材と、前記金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部と、前記金属板材に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と前記光源の垂直下方からずらして配置される垂直部からなるヒートパイプと、前記ヒートパイプの前記垂直部に挿通された複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0016】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第3の態様は、前記ヒートパイプの前記屈曲部が前記ベース部に沿って風下側に延伸した湾曲部からなり、前記第2放熱フィンが前記所定角度と概ね平行に配置されている、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0017】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第4の態様は、前記第2放熱フィンが平らな金属板状からなっている、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0018】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第5の態様は、前記第2放熱フィンが前記ヒートパイプに挿通された平らな中央フィン部と、前記中央フィン部の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、前記所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部とからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0019】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第6の態様は、前記光源が半導体発光素子である、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0020】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の第7の態様は、前記ヒートパイプは、内部に毛細管機構を備えて、所謂トップヒートモードに対応可能である、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0021】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置のその他の態様は、前記所定角度が風の流れる方向に一致している、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【発明の効果】
【0022】
この発明によると、設置領域が発光素子の真下部分近傍に限定された厳しい使用環境の下で、ファンを使用することなく、効果的に発光素子を冷却することができる、小型筐体内に配置される光源冷却装置を提供することができる。
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置によると、金属板材の下に屈曲部を設けて金属板材の垂直下方から少しずらせて垂直部を配置したヒートパイプを用いることによって、発光素子から金属板材を介してヒートパイプに伝わった熱によって、半導体発光素子に昇温した空気が当り発光素子の温度が上昇することを回避することができる。
ヒートパイプのコンテナ内に強い毛細管力を有する毛細管構造を備えているので、熱源よりも下方に配置して、トップヒートモードで冷却をすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。
この発明は、限られたスペース内で、放熱フィンが発光素子の下部の限定された領域にしか配置できない、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0024】
この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の1つの態様は、一方の面が光源に熱的に接続されて水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材と、金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部と、金属板材に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と光源の垂直下方からずらして配置される垂直部からなるヒートパイプと、ヒートパイプの垂直部に挿通された複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置である。
【0025】
図1は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の1つの態様を説明する側面図である。図2は、適切な放熱処置をしないときの、小型筐体内に配置される光源冷却装置の熱の流れを説明する図である。
【0026】
図1に示すように、半導体発光素子等の光源冷却装置は、場所および位置が限定された小型筐体内に配置される。光源冷却装置1は、一方の面が半導体発光素子等の光源2に熱的に接続されて、水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材3と、金属板材3に熱的に接続された複数の第1の放熱フィン5からなる放熱フィン部と、金属板材3に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部8と光源2の垂直下方からずらして配置される垂直部9からなるヒートパイプ7と、ヒートパイプ7の垂直部9に挿通された複数の第2放熱フィン10とを備えている。上述した放熱フィン部は、第1の放熱フィン5とベース部6とからなるヒートシンク4であってもよい。また、ヒートシンク4と金属板材3は一体でもよい。
【0027】
即ち、この態様の光源冷却装置1においては、金属板材3およびヒートシンク4は、所定の角度で水平面から傾斜している。傾斜角度は、例えば、空気の取り入れ角度である。このように傾斜角度を設定することによって、ヒートシンク4の第1放熱フィンの間を冷たい空気が流れて、半導体発光素子等の光源から金属材料3を伝わった熱の一部が効果的に放熱され、半導体発光素子等の光源の冷却を容易にすることができる。
【0028】
半導体発光素子等の光源2から金属材料3に伝わった熱の有力な一部は、ヒートパイプによって金属材料3の下方の空間部に移動して、ヒートパイプに挿通された第2放熱フィンから放熱される。ヒートパイプ7は、上述したように、屈曲部8と光源2の垂直下方からずらして配置される垂直部9からなっている。このように屈曲部8を設けることによって、ヒートパイプ7の垂直部9を半導体素子等の光源2の真下から外し、ヒートパイプの垂直部9に挿通された放熱フィンに伝わった熱が上方に上昇して、半導体素子等の光源2に直接加熱するのを回避することができる。
【0029】
なお、この発明の冷却装置は、半導体発光素子等の光源の垂直方向に下方に延伸した空間を備えた筐体内に配置されるので、上述したヒートパイプ、および、放熱フィンに移動した熱は、放熱フィンの風下側に移動して放出される。
この態様においては、第2放熱フィンは、平らな金属製薄板部材からなっており、金属板材3およびヒートシンク4の傾斜角度と、概ね同じ角度で水平面から傾斜している。
【0030】
図2に、斜線部で放熱フィン設置可能領域11を示す。更に、熱の流れを図中に示す。
図2に示すように、放熱フィンをそのまま設置可能領域に設けると、放熱フィンが半導体発光素子等の光源が熱的に接続された金属板材の真下にあるので、放熱部からの熱によって金属板材および光源が直接または間接的に温められてしまう。
【0031】
従って、図1に示したように、第2放熱フィン9は、放熱フィン9の両端部、特に近端部を通って上方に上昇しないように、概ね放熱フィン設置可能領域11の全幅にわたって放熱フィン9が配置される必要がある。
【0032】
図1に示すように、金属板材3およびヒートシンク4は、所定の角度で水平面から傾斜して配置されているので、ヒートシンク4の第1放熱フィンの間を冷たい空気が流れて、半導体発光素子等の光源から金属材料3を伝わった熱の一部が効果的に放出される。
【0033】
同時に一方で、ヒートパイプの屈曲部8を設けることによって、ヒートパイプ7の垂直部9を半導体素子等の光源2の真下から外し、ヒートパイプの垂直部9に挿通された放熱フィン10に同様に傾斜をつけて配置しているので、ヒートパイプ7を通って放熱フィンに伝わった熱が、放熱フィンの間を矢印で示すように流れて、放熱フィンの設置可能領域の風下側に移動して、効果的に放熱される。
この態様では、ヒートパイプの屈曲部は、湾曲部からなっている。ヒートパイプの直線部分は、概ね垂直に配置されている。
【0034】
図3は、半導体発光素子等の光源の周辺部を説明する部分拡大図である。図3に示すように、金属板材3の一方の面(図中、上側の面)に熱的に接続された放熱フィン部4は、概ね金属板材と同じ大きさのベース部6と、複数の薄板状の放熱フィンとからなっている。複数の薄板状の放熱フィンを直接金属板材に接合して放熱フィン部としてもよい。その場合には、薄板状の放熱フィンをU字形に形成して、U字の底部分を金属板材に接合してもよい。また、薄板状の放熱フィンをL字形に形成して、底面部を直接金属板材に接合してもよい。更に、金属板材に溝部を形成して、薄板状の放熱フィンを溝部に挿入して、溝部周辺を機械的にカシメて放熱フィンを金属板材に固定してもよい。
【0035】
放熱フィン部4にベース部6を設ける場合には、図3に示すように、ベース部に凹部を形成し、ヒートパイプを凹部に嵌合して半田等によって接合する。
【0036】
図4は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の他の1つの態様を説明する図である。図4(a)は側面図、図4(b)は背面図である。この態様の光源冷却装置においては、第2放熱フィン10として、ヒートパイプ7に挿通された平らな中央フィン部12と、中央フィン部12の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部13、14とからなっている。
【0037】
即ち、折り曲げ板状フィン13は、風上側に向かって下方に折り曲げられ、折り曲げ板状フィン14は、風下側に向かって上方に折り曲げられている。従って、複数枚の薄板状フィンが垂直方向に所定間隔で並列配置されて、隣接するフィンの間で、下方から上方に向かう緩やかな空気の流路が形成されている。
【0038】
図4(b)に示すように、第1の放熱フィン4は、ベース部と放熱フィン部が一体的に形成された押し出し成形フィンからなっている。更に、図4(b)に示すように、第2放熱フィン10は、風下側に向かって上方に折り曲げられている折り曲げ板状フィン14の裏面が示されている。
【0039】
図4に示すように、半導体発光素子等の光源冷却装置は、場所および位置が限定された小型筐体内に配置される。例えば、図4(a)に示すように、光源の垂直方向の下方に放熱フィン配置領域が限定されている。このような限定された配置状況で、光源冷却装置1は、一方の面が半導体発光素子等の光源2に熱的に接続されて、水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材3と、金属板材3に熱的に接続された複数の第1の放熱フィン5からなる放熱フィン部と、金属板材3に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部8と光源2の垂直下方からずらして配置される垂直部9からなるヒートパイプ7と、ヒートパイプ7の垂直部9に挿通された、平らな中央フィン部12と、中央フィン部12の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部13、14とからなる複数の第2放熱フィン10とを備えている。即ち、風下側に向かって下方に傾斜し、図中の左側から右側に向かって、下から上に緩やかに傾斜して、第1放熱フィンの間を冷却用の風が流れる。
【0040】
上述したように、この態様の光源冷却装置1においては、金属板材3およびヒートシンク4は、所定の角度で水平面から風下側が上になるように傾斜して設けられている。傾斜角度は、例えば、空気の取り入れ角度と同一である。このように傾斜角度を設定することによって、ヒートシンク4の第1放熱フィンの間を冷たい空気が流れて、半導体発光素子等の光源から金属材料3を伝わった熱の一部が効果的に放出される。
【0041】
同時に、半導体発光素子等の光源2から金属材料3に伝わった熱の有力な一部は、ヒートパイプ7によって金属材料3の下方の空間部に移動して、ヒートパイプに挿通された、平らな中央フィン部12と、中央フィン部12の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部13、14とからなる第2放熱フィンから放熱される。
【0042】
ヒートパイプ7は、上述したように、屈曲部8と光源2の垂直下方からずらして配置される垂直部9からなっている。このように屈曲部8を設けることによって、ヒートパイプ7の垂直部9を半導体素子等の光源2の真下から外し、ヒートパイプの垂直部9に挿通された放熱フィンに伝わった熱が上方に上昇して、半導体素子等の光源2に直接加熱するのを回避することができる。
【0043】
第2放熱フィンは、上述したように、ヒートパイプ7に挿通された平らな中央フィン部12と、中央フィン部12の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部13、14とからなっており、複数枚の薄板状フィンが垂直方向に所定間隔で並列配置されて、隣接するフィンの間で、下方から上方に向かう緩やかな空気の流路が形成されている。第2放熱フィンの近端部の上方には、光源は位置していない。第2放熱フィンに流れ込んだ風は、上方への移動を妨げられて、上述した流路に沿って流れ、第2放熱フィンの風下側へと移動していく。
【0044】
第2放熱フィンの形状としては、中央フィン部12が折り曲げ板フィン13、14よりもやや小さいほうが空気の流路の障害が少ない。折り曲げ板フィン13、14の傾斜角度は15°〜45°付近が最適であると考えられる。また、フィンの設置間隔は、7〜11mm程度がよく、フィンの傾斜角が大きいほど設置間隔も広くしたほうがよい。
【0045】
ヒートパイプ7の内部には作動流体の流路となる空間が設けられ、その空間に収容された作動流体が、蒸発、凝縮等の相変化や移動をすることによって、熱の移動が行われる。即ち、ヒートパイプ7の吸熱側(金属板材6側)において、ヒートパイプ7を構成する容器の材質中を熱伝導して伝わってきた被冷却部品が発する熱により、作動流体が蒸発し、その蒸気がヒートパイプ7の放熱側(第2放熱フィン側)に移動する。放熱側においては、作動流体の蒸気は冷却され再び液相状態に戻る。このように液相状態に戻った作動流体は再び吸熱側に移動(還流)する。このような作動流体の相変態や移動によって、大量の熱の移動が行われる。ヒートパイプは、丸型ヒートパイプ、扁平型ヒートパイプ等を使用することができる。
【0046】
図5は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の他の1つの態様を説明する摸式側面図である。この態様においては、第1の放熱フィンは水平に配置され、ヒートパイプが傾斜して下方に延伸して配置されている。即ち、金属板材3が水平に配置され、金属板材3の下面に半導体発光素子からなる光源が熱的に接続され、金属板材の上面に第1放熱フィンが熱的に接続されて固定されている。ヒートパイプ7は、一方の端部が金属板材3に熱的に接続され、屈曲されて、金属板材の垂直下方に所定角度で傾斜して配置されている。第2放熱フィンは、平らな薄板状フィンを所定間隔でヒートパイプに挿通して、垂直方向に並列配置した。
【0047】
このように、限定された空間の中で、第1放熱フィンおよび金属板材を水平に配置し、ヒートパイプを斜め下方向に傾斜して配置し、第2放熱フィンとして、水平な薄板状フィンを垂直方向に並列配置しても、金属板材を介してヒートパイプによって移動された熱は、上昇して光源を温めることなく、第2放熱フィンに沿って水平方向に移動し、第2放熱フィンの風下方向に流される。
【0048】
上述した何れの場合にも、ヒートパイプは熱源よりも下方向に配置され、所謂トップヒートモードに対応できることが必要である。このため、ヒートパイプのコンテナ内に、強い毛細管力を有する毛細管構造を備えている。
【0049】
上述したように、この発明によると、設置領域が発光素子の真下部分近傍に限定された厳しい使用環境の下で、ファンを使用することなく、効果的に発光素子を冷却することができる、小型筐体内に配置される光源冷却装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】図1は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の1つの態様を説明する側面図である。
【図2】図2は、適切な放熱処置をしないときの、小型筐体内に配置される光源冷却装置の熱の流れを説明する図である。
【図3】図3は、半導体発光素子等の光源の周辺部を説明する部分拡大図である。
【図4】図4は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の他の1つの態様を説明する図である。図4(a)は側面図、図4(b)は背面図である。
【図5】図5は、この発明の小型筐体内に配置される光源冷却装置の他の1つの態様を説明する摸式側面図である。
【図6】図6は、LEDランプユニットを説明する図である。
【符号の説明】
【0051】
1 光源冷却装置
2 半導体発光素子
3 金属板材
4 放熱フィン部
5 第1放熱フィン
6 ベース部
7 ヒートパイプ
8 屈曲部
9 垂直部
10 第2放熱フィン
13 中央フィン部
14 折り曲げ板状フィン部
15 折り曲げ板状フィン部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の面が発熱素子に熱的に接続されて水平に配置された金属板材と、前記金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部を備えたヒートシンクと、前記金属板材にその一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と水平から所定角度で傾斜して下方に配置されるヒートパイプと、前記ヒートパイプに挿通された複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項2】
一方の面が発熱素子に熱的に接続されて水平から所定角度で傾斜して配置された金属板材と、前記金属板材に熱的に接続された複数の第1の放熱フィンからなる放熱フィン部と、前記金属板材に一方の端部が熱的に接続され、屈曲部と前記光源の垂直下方からずらして配置される垂直部からなるヒートパイプと、前記ヒートパイプの前記垂直部に挿通された複数の第2放熱フィンとからなる、小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項3】
前記ヒートパイプの前記屈曲部が前記ベース部に沿って風下側に延伸した湾曲部からなり、前記第2放熱フィンが前記所定角度と概ね平行に配置されている、請求項1に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項4】
前記第2放熱フィンが平らな金属板状からなっている、請求項2または3に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項5】
前記第2放熱フィンが前記ヒートパイプに挿通された平らな中央フィン部と、前記中央フィン部の両側端部の上方および下方にそれぞれ屈曲された、前記所定角度で屈曲された折り曲げ板状フィン部とからなる、請求項2または3に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項6】
前記第2放熱フィンの屈曲された折り曲げ板状フィン部の傾斜角は、15°以上60°以下であり、フィン設置間隔は6mm以上12mm以下である、請求項2または3に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項7】
前記発熱素子が半導体発光素子である、請求項1から5の何れか1項に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。
【請求項8】
前記ヒートパイプは、内部に毛細管機構を備えて、所謂トップヒートモードに対応可能である、請求項1から7の何れか1項に記載の小型筐体内に配置される光源冷却装置。






【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−224664(P2009−224664A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−69258(P2008−69258)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】