放電灯点灯装置、バックライトユニット及び液晶表示装置
【課題】予熱設計範囲の狭いバースト調光時にフィラメントのリード線電流を適正に制御する。
【解決手段】直流電圧Vdcを高周波電圧に変換し熱陰極ランプLaを点灯するインバータ回路IVと、バースト調光信号Sbを受けてオン期間では点灯可能な周波数で、オフ期間ではオン期間の周波数よりも高く点灯が維持できない周波数でインバータ回路IVを制御する制御回路1と、インバータ回路IVの周波数に従って予熱電流を出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路PHと、フィラメントf2のリード線電流IL2を検出する検出回路2と、検出回路2の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器3とを備え、誤差増幅器3から出力される誤差信号を制御回路1で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数にのみフィードバック制御する。
【解決手段】直流電圧Vdcを高周波電圧に変換し熱陰極ランプLaを点灯するインバータ回路IVと、バースト調光信号Sbを受けてオン期間では点灯可能な周波数で、オフ期間ではオン期間の周波数よりも高く点灯が維持できない周波数でインバータ回路IVを制御する制御回路1と、インバータ回路IVの周波数に従って予熱電流を出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路PHと、フィラメントf2のリード線電流IL2を検出する検出回路2と、検出回路2の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器3とを備え、誤差増幅器3から出力される誤差信号を制御回路1で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数にのみフィードバック制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱陰極ランプを点灯する点灯装置、及び、これを備えるバックライトユニット、当該バックライトユニットを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の大型化のニーズに伴い50インチを超えるものも市場に投入されている。一般的に液晶表示装置のバックライトとして冷陰極ランプが用いられているが、冷陰極ランプでは、管径が細いゆえに強度に問題があり、また、1本あたりに投入できる電力が少ないため液晶表示装置で所望の輝度を得ようとした場合、かなりの本数を必要とし、またランプ電圧が非常に高いという問題もある。
【0003】
そこで、大型液晶表示装置用のバックライトとして、近年熱陰極ランプが注目されている。熱陰極ランプは、1本当りに投入できる電力が大きいためランプ本数の削減が可能であり、またアーク放電ゆえにランプ電圧が冷陰極ランプの1/10以下であるというメリットがある。
【0004】
熱陰極ランプを用いた場合の課題としては、例えばフィラメント断線やエミッタレス状態を早期に発生させないための予熱設計が挙げられる。冷陰極ランプでは過度なランプ電流を流さない限り、電極が徐々に消耗したとしても電極の消耗が原因でランプが不点灯になることは稀であり電極寿命は長い。しかし、熱陰極ランプにおいては、バックライト用にフィラメントを多重巻き構造にしてエミッタを大量に塗布したとしても、予熱設計が適切でなければフィラメント断線やエミッタレス状態になるリスクが高くなる。このようなフィラメントの異常状態でバックライトが機能しないことは液晶表示装置にとって致命的である。
【0005】
さらに、一般照明用の熱陰極ランプの調光方式としては、ランプ電流の振幅を変化させて調光を行う振幅調光方式が一般的であるが、液晶表示装置用のバックライトの調光方式としては、ランプ電流のオン期間とオフ期間の比を変化させて調光を行うバースト調光方式が一般的である。
【0006】
振幅調光方式におけるフィラメントの予熱設計条件に関しては、一般照明用の実績等から最適設計条件がある程度明確になっているが、熱陰極ランプのバースト調光方式は実績も少なく、最適予熱設計条件が明確になっているとは言えない。それゆえ、熱陰極ランプを液晶表示装置のバックライトとして採用するには、バースト調光方式における予熱条件を最適化し、フィラメントの長寿命化を実現することが求められる。
【0007】
バースト調光における予熱制御についての従来例としては、例えば特許文献1(特開平8−106987号公報)がある。特許文献1の説明図を図13、図14に示す。この放電灯点灯装置は、熱陰極放電灯FLのフィラメント間のスイッチSW2を開放/短絡することにより点灯期間と消灯期間を切り替え、バースト点灯を行う。コンバータ制御回路45の制御下でDC−DCコンバータ44により直流電源41の出力を電圧変換し、高周波インバータ47により高周波電力に変換して熱陰極放電灯FLに供給している。熱陰極放電灯FLのフィラメント間には調光回路49のスイッチSW2が並列接続されており、このスイッチSW2の短絡/開放は調光制御回路46により制御され、スイッチSW2の短絡時には高周波インバータ47の出力により熱陰極放電灯FLのフィラメントに予熱電流が流れ、スイッチSW2の開放時には高周波インバータ47の出力により熱陰極放電灯FLのフィラメント間にランプ電流が流れる。そのため、スイッチSW2の短絡時には熱陰極放電灯FLは消灯し、スイッチSW2の開放時には熱陰極放電灯FLは点灯するから、消灯期間と点灯期間の時間比率を調整することにより光出力を制御することができる。
【0008】
熱陰極放電灯FLの出力は光センサSによりモニターされており、操作部42で設定された調光状態となるように、CPU43によりフィードバック制御される。また、調光状態検出回路48により検出された調光状態に応じて消灯期間のDC−DCコンバータ44の出力電圧をコンバータ制御回路45により可変としており、これにより消灯期間中のフィラメント電圧は調光状態に応じて可変とされている。
【0009】
次に図13の放電灯点灯装置におけるランプ電流とフィラメント電流の波形について図14を用いて説明すると、消灯期間に流れるフィラメントの予熱電流と、点灯期間に流れるランプ電流の波形は、それぞれ調光状態に応じて図14(a)〜(c)のように変化する。フィラメントの予熱電流が流れる消灯期間Ta,Tb,Tcとランプ電流が流れる点灯期間ta,tb,tcの時間比率に応じて、フィラメント温度が適正となるように、フィラメント電流の振幅は調光状態に応じて可変制御されている。
【特許文献1】特開平8−106987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、消灯期間と点灯期間の時間比率を調整することにより光出力を制御することができるが、図14の波形図から明らかなように、高周波電流の切断時やスイッチSW2がオンした瞬間の突入電流、スイッチSW2がオフした瞬間にランプにかかる始動電圧など、スイッチSW2へのストレスが大きい。また、スイッチSW2の開放/短絡によって、ランプ電流供給期間と予熱電流供給期間を制御するので、ランプ電流供給期間においてはフィラメントへ予熱電流を供給することができない。
【0011】
液晶表示用バックライト装置の場合、バースト調光の周波数は数100Hz程度の繰り返し波形のため、電極温度はバーストオン期間とオフ期間のフィラメントに流す予熱電流の平均値で効いてくる(ここでのバーストオン期間はランプ電流が供給されている期間で、オフ期間はランプ電流が供給されていない期間である)。そのため、予熱電流に休止期間がある場合、電極温度を確保するためにオフ期間での予熱電流を常時流す場合よりも大きなピーク値で供給する必要があり、回路のストレスになる。
【0012】
また、熱陰極ランプにおいては、フィラメントに流せる電流値に制限があり、オフ期間の予熱電流のみで電極温度を確保しようとした場合に、前記制限を越える可能性がある。さらには、液晶表示用のバックライトに使用する熱陰極ランプは数万時間の寿命を確保するために、多重巻き構造のフィラメントに一般照明用の熱陰極ランプよりも多量のエミッタが塗布されるので、それらを活性化させるために一般照明用の熱陰極ランプよりも大きなエネルギーが必要になる。つまり、特許文献1のように予熱電流の休止期間がある場合、多量のエミッタを活性化させるための予熱電流をバーストオフ期間に集中して投入する必要があるので、フィラメント間の電圧が上昇し、フィラメントのエンドグロー現象を起こし、短寿命になってしまう。前記の通り、特許文献1は回路ストレス、ランプ寿命の観点からバースト調光時の望ましい予熱制御ではない。
【0013】
従来例については前記の通りであるが、バースト調光の予熱設計について検討を進めた結果、明確になった課題について説明する。振幅調光を行う一般照明用の熱陰極ランプの予熱設計条件は、一般的にランプ電流に応じてフィラメントへ投入するエネルギーが規定されている。フィラメントへ投入するエネルギーとは、図11に示すようにフィラメント両端のリード線電流IL1、IL2の二乗和(IL12 +IL22 )である。図11において、リード線電流IL1及びIL2はランプ電流Ilaと予熱電流Ifの合成電流である。つまり、点灯回路IVから出力されるランプ電流Ilaは、直接フィラメントに向かう成分と、予熱回路PHを介してフィラメントへ向かう成分にて構成されており、その成分比率はランプ電流Ilaと予熱電流Ifの位相差によって決定される。
【0014】
予熱設計条件がリード線電流の二乗和で規定される理由は、ランプ電流Ilaと予熱回路PHから出力される予熱電流Ifの位相差を考慮する必要がなく、フィラメントへの投入エネルギーにて予熱設計条件が規定できるためである。次に、ランプ電流(実効値)とリード線電流の二乗和(IL12 +IL22 )の関係を図12に示す。図12の実線が振幅調光における予熱設計の範囲を示すものである。
【0015】
ここで、我々はバースト調光時の予熱設計範囲を明確にするために、前記振幅調光時の予熱設計範囲を基にランプライフ試験を行った。その結果、図12の点線で示すように、バースト調光時においては振幅調光時よりも予熱設計範囲が著しく狭くなることを確認した。特に、Duty20%のバースト調光においては、リード線電流の二乗和の設計範囲は、バースト調光時では振幅調光時の約半分程度であった。
【0016】
次にバースト調光時の予熱設計範囲が振幅調光時よりも狭くなる理由について考察する。バースト調光時のリード線電流の二乗和は、バースト調光のオン期間とオフ期間の比に応じてオン期間のリード線電流の二乗和とオフ期間のリード線電流の二乗和の平均値で算出される。しかし、バースト調光時のランプ電流実効値は、バースト調光のオン期間とオフ期間の比に応じてオン期間のランプ電流実効値とオフ期間のランプ電流実効値(ゼロ)の平均値で算出されるものではなく、おおよそオン期間のランプ電流実効値に√{Duty(%)/100}を乗じて算出される。つまり、図12に示すように、バースト調光時の予熱設計範囲は、振幅調光時のように直線状の範囲で規定されるものではなく、破線のような曲線状の範囲で規定されるものになると考察する。
【0017】
前記のランプライフ結果からも明らかなように、バースト調光においては、振幅調光よりも予熱設計範囲が著しく狭く、リード線電流の二乗和のばらつきを低減しなければ、液晶表示用のバックライトとしての寿命を十分に確保することができない。これは、バースト調光特有の大きな課題である。
【0018】
リード線電流の二乗和のばらつきの発生要因は、予熱回路部品の部品ばらつきと、個々の熱陰極ランプのフィラメント抵抗ばらつきである。部品ばらつきについては、低ばらつき品の採用などで対応可能であるが、フィラメントの抵抗ばらつきについては対応に限界がある。また、図12からも明らかなように、バースト調光のDutyを絞って深調光を行う場合には、予熱設計範囲の狭さが際立っている。液晶表示装置においては、コントラスト比を向上させるために、なるべくバックライトの深調光を実現したいので、深調光時の予熱設計を図12の予熱設計範囲で適切に行う必要がある。
【0019】
本発明は、前記特許文献1の課題である回路ストレス、フィラメント短寿命の課題を改善し、さらに前記バースト調光時に特有の予熱設計範囲が特に深調光時において狭いという課題を解決する放電灯点灯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る放電灯点灯装置は、図1〜図3に示すように、直流電圧Vdcを高周波電圧に変換し熱陰極ランプLaを点灯するインバータ回路IVと、バースト調光のオン期間とオフ期間の比を決定するバースト調光信号Sbを受けて、バースト調光のオン期間では点灯可能な周波数f(ON)で、オフ期間ではオン期間の周波数f(ON)よりも高く点灯が維持できない周波数f(OFF)で前記インバータ回路IVを制御する制御回路1と、前記インバータ回路IVの周波数に従って予熱電流Ifを出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路PHと、フィラメントf2のリード線電流IL2を直接的または間接的に検出する検出回路2と、前記検出回路2の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器3とを備え、前記誤差増幅器3から出力される誤差信号を前記制御回路1で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数f(OFF)にのみフィードバック制御し、前記検出信号と前記基準信号が同等になるように制御されることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項2に係る放電灯点灯装置は、図4〜図6に示すように、請求項1の発明において、検出回路2はバースト調光のオン期間とオフ期間のフィラメントf2のリード線電流の平均値を検出することを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項3に係る放電灯点灯装置は、図7に示すように、請求項1の発明において、検出回路2はバースト調光のオフ期間のフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項4に係る放電灯点灯装置は、請求項1の発明において、検出回路はバースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項5に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜4の発明において、予熱回路PHは少なくとも予熱トランスT11を含み、バースト調光のオフ期間の予熱電流の実効値はオン期間の予熱電流の実効値よりも大きいことを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項6に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜5の発明において、図4に示すように、検出回路2は少なくとも予熱回路PHの出力とフィラメントf2から構成される閉ループに、インピーダンス素子T21が直列に挿入され、前記インピーダンス素子の電流または電圧を検出することによりフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項7に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜5の発明において、図8に示すように、検出回路2は予熱回路PHの出力電圧、またはフィラメント間電圧を検出することによりフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項8に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜7の発明において、図9に示すように、検出回路2,5は複数存在し、各検出回路2,5の出力値の平均値を前記誤差増幅器3に入力することを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備えたことを特徴とするバックライトユニットである(図10)。
【0029】
また、請求項10に係る発明は、請求項9のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置である(図10)。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、予熱設計範囲の狭いバースト調光時において、予熱設計要素であるフィラメントのリード線電流を所望の値に制御できる。したがって、予熱回路定数のばらつきや、熱陰極ランプ個々の抵抗ばらつきがある場合でもトータルのリード線電流を所望の電流値に一定制御できるので、バースト調光した場合においても熱陰極ランプを長寿命化できる。
【0031】
もう一つの効果は、前記の通りバースト調光オフ期間の周波数のみを制御するので、熱陰極ランプの照度に影響を与えないことである。バースト調光のオフ期間においては、もともと不点灯状態であり、不点灯状態が継続される周波数範囲であれば周波数が増減しようが、予熱回路の出力は変わるが、熱陰極ランプの照度を左右するランプ電流は変化しない。つまり、ランプの照度に影響を与えずに、バースト調光の一周期のリード線電流を所望の値に一定制御できる。
【0032】
さらには、バースト調光のオン期間及びオフ期間どちらにも連続的にフィラメントに予熱電流を供給しているので、特許文献1の課題である回路ストレスや、エンドグロー現象によるフィラメントの短寿命化を回避できる。
【0033】
請求項2の発明によれば、バースト調光時のフィラメント寿命を左右するバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出することで、バースト調光のオフ期間がオン期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオフ期間のリード線電流にて支配的になる深調光時において、近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0035】
請求項4の発明によれば、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することで、バースト調光のオン期間がオフ期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオン期間のリード線電流にて支配的になる全灯に近い状態において、近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0036】
請求項5の発明によれば、予熱トランスを用いて予熱回路を構成するため、インバータ回路に接続される予熱トランスの1次側電圧がいずれの値であれ、巻数比を調整することにより、比較的容易に予熱トランスの2次側電圧を所望の範囲に設定することが可能である。さらに、バースト調光のオン期間の周波数よりも高い周波数で設定されるオフ期間において、オン期間よりも大きな予熱電流をフィラメントへ供給できるため、オフ期間のフィラメント温度の低下を抑制することができ、フィラメントを長寿命化できる。
【0037】
請求項6の発明によれば、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入するので、バースト調光時のリード線電流を直接的に検出でき、検出精度が高い。
【0038】
請求項7の発明によれば、請求項6とは異なり間接的にバースト調光時のリード線電流を検出するものであるが、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入する必要がないので、インピーダンス素子で消費される損失が無いうえに、比較的簡易な回路構成にて検出を実現できるものである。
【0039】
請求項8の発明によれば、複数の検出回路の出力値の平均値を誤差増幅器に入力するので、複数のフィラメントのトータルのリード線電流の検出を行う場合であっても、誤差増幅器は一つで済むので、低コストの回路構成を実現できる。
【0040】
請求項9に係るバックライトユニット、請求項10に係る液晶表示装置は、バースト調光制御をする場合においてもランプ寿命が長寿命である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本実施形態の回路構成について図1を用いて説明する。
初めにインバータ回路IVの説明を行う。直流電源Vdcは、所定の直流電圧を出力する電源であり、例えば商用交流電源を全波整流し、昇圧チョッパ回路により平滑化して出力する回路などで構成できる。直流電源Vdcにはスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続されており、スイッチング素子Q1,Q2は、例えばMOSFETからなり、制御回路1の出力により高周波で交互にオンオフ駆動される。また、スイッチング素子Q1,Q2の接続点とグランド間には、インダクタL1とコンデンサC1の直列回路が接続されている。コンデンサC1の両端には直流カット用のコンデンサC2を介して熱陰極蛍光ランプLaが接続されている。インダクタL1とコンデンサC1,C2は熱陰極蛍光ランプLaの点灯時インピーダンスと共に共振回路を構成している。ここで直流カット用のコンデンサC2の容量を共振用のコンデンサC1に比べて十分大きくすれば、共振には殆ど寄与しない。また、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数は前記共振回路の負荷時共振周波数よりも高く設定されている。したがって、スイッチング周波数が高くなるにつれて、ランプ電流は減少するように制御される。ここで、熱陰極蛍光ランプLaに流れるランプ電流は、インダクタL1とコンデンサC1,C2を含む共振回路により略正弦波状の高周波電流となっている。
【0042】
次に予熱回路PHについて説明する。スイッチング素子Q1,Q2の接続点とグランド間には、直流カット用コンデンサC11を介して予熱トランスT11の1次巻線N1が接続されている。予熱トランスT11は一対の2次巻線N21、N22を備え、それぞれ予熱用コンデンサC12,C13を介して熱陰極蛍光ランプLaのフィラメントf1、f2に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が上昇すると、予熱用コンデンサC12,C13のインピーダンスは低下するので、フィラメントf1,f2の予熱電流は増えることになる。本予熱回路PHでは、熱陰極蛍光ランプLaにランプ電流を供給するためのインバータ回路IVを用いてフィラメントf1,f2に予熱電流を供給しているので、フィラメント予熱用のインバータを別設する必要がなく、点灯装置の小型化・軽量化、コスト低減に寄与できる。また、予熱トランスT11の2次巻線N21,N22から予熱用コンデンサC12,C13を介して各フィラメントf1,f2に予熱電流を供給しており、予熱トランスT11とコンデンサC11の直列共振特性を利用することが可能なので、予熱電流設定の自由度が高く、予熱電流の適正化によりランプの長寿命化が図れる。
【0043】
次に制御回路1について、図1、図2を用いて説明する。制御回路1は、図2に示すようにPWM信号であるバースト調光信号を受けて、スイッチング素子Q1、Q2に駆動信号を出力する。バースト調光信号のオフ期間においてはオフ期間周波数設定部1aにおいて予め設定されている周波数f(OFF)の駆動信号を出力する。周波数f(OFF)で制御された前記インバータ回路IVは、熱陰極ランプLaにランプ電流を供給できない状態(点灯を維持できない状態)となるが、フィラメントf1,f2へは予熱回路PHから予熱電流が供給される。
【0044】
また、バースト調光信号がオフからオンに切り替わると、駆動信号は周波数f(OFF)から周波数f(S)にスイープし、始動期間周波数設定部1bにおいて予め設定されている周波数f(S)を一定期間保持した後、周波数f(S)から周波数f(ON)にスイープする。ここで、周波数f(S)の期間において熱陰極ランプLaは始動し、点灯する。
【0045】
バースト調光信号がオンの期間は、オン期間周波数設定部1cにおいて予め設定されている周波数f(ON)の駆動信号を出力し続け、点灯を継続する。予熱電流については、始動期間、点灯期間のいずれにおいても予熱回路PHからフィラメントf1,f2へ供給されている。
【0046】
さらに、バースト調光信号がオンからオフに切り替わると、駆動信号は周波数f(ON)から周波数f(OFF)にスイープし、熱陰極ランプLaは消灯することになる。つまり、前記一連の周波数動作をバースト調光信号のオン、オフに対応して繰り返すことにより、熱陰極ランプLaはバースト調光される。
【0047】
以上のように、制御回路1はバースト調光信号のON期間とOFF期間でスイッチング素子Q1,Q2に出力する駆動信号の周波数を制御するものである。
【0048】
また、図1に示すように、制御回路1はバースト調光信号オフ期間の周波数f(OFF)を設定するオフ期間周波数設定部1aと、バースト調光信号オン期間のうちの始動期間の周波数f(S)を設定する始動期間周波数設定部1bと、バースト調光信号オン期間のうちの点灯期間の周波数f(ON)を設定するオン期間周波数設定部1cから構成されている。前記制御回路1は、例えば制御用ICであって、駆動信号の周波数設定は例えば制御用ICの周波数設定端子の電流、または電圧をバースト調光信号に応じて変化させて設定するものである。
【0049】
次に検出回路2について説明する。本実施形態の検出回路2は、予熱トランスT11の2次巻線N22と、予熱用コンデンサC13と、フィラメントf2から構成される閉ループ回路に流れるバースト調光オン期間及びオフ期間のリード線電流の平均値を検出し、検出レベルに応じた電圧信号を出力するものである。
【0050】
前記のようにバースト調光のオン期間、オフ期間ではそれぞれ前記インバータ回路IVの駆動周波数が異なるので、当然フィラメントのリード線電流もそれに応じて変化することになる。例えば、バースト調光のオフ期間におけるフィラメントへのリード線電流は、周波数f(OFF)で予熱回路から出力される予熱電流If(OFF)となる。つまり、バースト調光のオフ期間においては、予熱回路から出力される予熱電流と、フィラメントに流れるリード線電流は等しい。
【0051】
しかし、バースト調光のオン期間におけるフィラメントのリード線電流は、始動期間を除けば、点灯期間の周波数f(ON)で予熱回路から出力される予熱電流If(ON)と、ランプ電流Ilaの合成電流となる。
【0052】
次に基準電圧変換回路4について説明する。基準電圧変換回路4は、バースト調光信号のオン期間とオフ期間の比に応じた電圧信号を出力するものである。
【0053】
次に誤差増幅器3について説明する。本実施形態の誤差増幅器3は、前記検出回路2の出力電圧と、前記基準電圧変換回路4の出力電圧を入力とし、これら2つの入力電圧を比較し、誤差信号を出力するものである。この誤差増幅器3の出力に基づき、前記制御回路1のオフ期間周波数設定部1cにてオフ期間の周波数f(OFF)を制御する。
【0054】
したがって、オフ期間の予熱電流が変化するので、バースト調光時のリード線電流も基準値と同等になるように調整される。
【0055】
本実施形態の具体的な動作について図2の波形図と、図3の周波数特性図を用いて説明する。図2は、図1に示す回路の波形図であり、上からバースト調光信号、制御回路1からスイッチング素子Q1、Q2へ出力される駆動信号の周波数変化、熱陰極ランプLaのランプ電圧(Vla)、ランプ電流(Ila)、リード線電流IL1、リード線電流IL2の波形を示すものである。
【0056】
また、図3は動作説明のための周波数特性図であり、図中の出力電圧図において、点線で示す曲線は無負荷時の共振回路の共振特性であり、実線で示す曲線は点灯時のランプインピーダンスを負荷とした共振回路の共振特性であり、一点鎖線で示す曲線は周波数f(S)で点灯した直後のランプインピーダンスを負荷とした共振回路の周波数特性である。
【0057】
また、図3の電流図において、実線で示す曲線は点灯時のランプインピーダンスを負荷としたランプ電流の周波数特性であり、一点鎖線で示す曲線は予熱回路から出力される予熱電流の周波数特性である。次に図2の波形図の時間変化について、図3を用いて説明していく。
【0058】
(期間t0〜t1)
この期間はバースト調光信号がオンの期間であり、熱陰極ランプLaにランプ電流Ilaが流れ、ランプが点灯している状態にある。この期間においては周波数f(ON)でインバータ回路が駆動されるので、図3に示すように熱陰極ランプのランプ電圧はA点:Vla(ON)、ランプ電流はE点:Ila(ON)、予熱電流はF点:If(ON)で与えられる。ここで、バースト調光信号オン期間のリード線電流IL1(ON)、IL2(ON)は、オン期間のランプ電流Ila(ON)と予熱電流If(ON)の合成電流となる。
【0059】
(期間t1〜t2)
この期間はバースト調光信号がオフの期間であり、熱陰極ランプLaへのランプ電流が略ゼロで、ランプは消灯状態にある。図2に示すようにバースト調光信号がオンからオフに切り替わると、インバータ回路の駆動周波数はスイープしながらf(ON)からf(OFF)に切り替わる。
【0060】
図3の出力電圧図に示すように、熱陰極ランプLaへの印加電圧は点A:Vla(ON)から点B:Vla(OFF)に移行することになり、点B:Vla(OFF)においては熱陰極ランプLaを点灯維持できない出力電圧となり、消灯状態となる。また、図3の電流図に示すように、ランプ電流はE点:IIa(ON)からゼロとなり、予熱電流は点F:If(ON)から点G:If(OFF)へと増加する。
【0061】
周波数f(ON)からf(OFF)へのスイープ後は、インバータ回路が周波数f(OFF)で駆動されるので、図3に示すように熱陰極ランプLaのランプ電圧はB点:Vla(OFF)、ランプ電流はゼロ、予熱電流はG点:If(OFF)で与えられる。ここで、バースト調光オフ期間のリード線電流IL1(OFF)、IL2(OFF)は、オフ期間の予熱電流If(OFF)である。
【0062】
(期間t2〜t3)
この期間はバースト調光信号がオフからオンに切り替わった直後であり、ランプ始動期間である。図2に示すようにバースト調光信号がオフからオンに切り替わると、インバータ回路の駆動周波数はf(OFF)からf(S)にスイープし、周波数f(S)を一定期間保持した後、周波数f(S)からf(ON)へスイープする。
【0063】
図3の出力電圧図に示すように、熱陰極ランプLaへの印加電圧は点B:Vla(OFF)から点C:Vla(S)に移行することになり、点C:Vla(S)における出力電圧にて熱陰極ランプLaを始動した後、点灯直後のランプインピーダンスで決まる点Dを経由して、点A:Vla(ON)へ移行する。
【0064】
次に本実施形態の動作の特徴について述べる。例えば、図2に示すように、前記インバータ回路IVが制御回路1によってバースト調光オン期間周波数がf(ON)、バースト調光オフ期間周波数がf(OFF)、始動期間周波数がf(S)で、熱陰極ランプLaをバースト調光しているとする。図1の検出回路2にて検出されたバースト調光時のリード線電流の平均値は、誤差増幅器3にて基準値と比較され、誤差信号を出力する。例えば、基準値よりも検出値の方が大きい場合、誤差増幅器3は制御回路1のオフ期間周波数設定部1aに対して、オフ期間の周波数f(OFF)を下げるような信号を出力する。図3に示すように、オフ期間の周波数がf(OFF)→f(OFF)1に下がると、予熱電流もIf(OFF)→If(OFF)1と低下する。つまり、オフ期間の予熱電流が低下することにより、バースト調光時のリード線電流の平均値も低下し、基準電圧と同等の検出値となる。
【0065】
次に、基準値よりも検出値の方が小さい場合を考えてみると、誤差増幅器3は前記制御回路1のオフ期間周波数設定部1aに対して、オフ期間の周波数f(OFF)を上げるような信号を出力する。図3に示すように、オフ期間の周波数がf(OFF)→f(OFF)2に上がると、予熱電流もIf(OFF)→If(OFF)2と増加する。つまり、オフ期間の予熱電流が増加することにより、バースト調光時のリード線電流の平均値も増加し、基準電圧と同等の検出値となる。
【0066】
本実施形態の効果は、予熱設計範囲の狭いバースト調光時において、予熱設計要素であるフィラメントのリード線電流を所望の値に一定制御できるので、予熱回路定数のばらつきや熱陰極ランプ個々の抵抗ばらつきがある場合においても熱陰極ランプを長寿命化できる。また、バースト調光オフ期間の周波数のみを制御するので、熱陰極ランプの照度に全く影響を与えずに、最適予熱制御が可能である。
【0067】
また、予熱トランスを用いて予熱回路を構成するため、インバータ回路に接続される予熱トランスの1次側電圧がいずれの値であれ、巻数比を調整することにより、比較的容易に予熱トランスの2次側電圧を所望の範囲に設定することが可能である。さらに、バースト調光のオン期間の周波数よりも高い周波数で設定されるオフ期間において、オン期間よりも大きな予熱電流をフィラメントへ供給できるため、オフ期間のフィラメント温度の低下を抑制することができ、フィラメントを長寿命化できる。
【0068】
(実施形態2)
次に実施形態2に係る点灯装置を図4、動作説明図を図5に示す。図4に示すように本実施形態のインバータ回路IV、予熱回路PH、制御回路1の構成は実施形態1と同じであるので、それらの説明は省略し、検出回路2、基準電圧変換回路4、誤差増幅器3の構成及び動作について説明する。
【0069】
本実施形態の検出回路2は、1次巻線が熱陰極ランプLaのフィラメントf2と予熱コンデンサC13の間に直列に接続されるフィラメントf2のリード線電流検出用トランスT21と、前記検出用トランスT21の2次巻線に接続される平滑回路によって構成されている。前記平滑回路は、検出用トランスT21の2次巻線の一方とグランド間に直列に接続される抵抗R21、R22と、前記抵抗R21とR22の接続点にカソードが接続され、グランドにアノードが接続されたダイオードD21と、前記抵抗R21とR22の接続点にアノードが接続されたダイオードD22と、前記ダイオードD22のカソードとグランド間に並列接続されたコンデンサC21と抵抗R23から構成されている。
【0070】
検出用トランスT21の2次側巻線には高周波電圧が出力されるが、出力電圧がプラスの場合には、検出用トランスT21の2次巻線から抵抗R21、ダイオードD22を介してコンデンサC21に充電電流が流れ、コンデンサC21を充電する。また、検出用トランスT22の2次巻線の出力電圧がマイナスの場合には、ダイオードD22がオフするので、コンデンサC21から抵抗R23へ放電電流が流れ、コンデンサC21の電荷は放電される。つまり、本検出回路2の出力は、コンデンサC21の充放電電圧であり、検出用トランスT21の2次巻線に出力される高周波電圧の半波成分を直流電圧に変換したものとなる。ここで、コンデンサC21の充電時と放電時の時定数について述べておくと、充電時の時定数は抵抗R21、R22、R23とコンデンサC21の定数で決まり、おおよそC21・(R21//R22//R23)となり、放電時の時定数は抵抗R23とコンデンサC21の定数で決まり、おおよそC21・R23となる。バースト調光時のフィラメントのリード線電流はオン期間とオフ期間で変化するので、本検出回路のようにバースト調光時のリード線電流の平均値を検出する場合には、前記時定数をバースト調光信号の周期よりも十分大きく設定する必要がある。
【0071】
次に基準電圧変換回路4について説明する。基準電圧変換回路4は、図4に示すようにPWM信号であるバースト調光信号SbをDuty比に応じた直流電圧に変換する回路である。バースト調光信号オフ時は、トランジスタQ41はオフ状態なので、制御電源電圧Vccから抵抗R41、R42を介してコンデンサC41に充電電流が流れ、コンデンサC41を充電する。また、バースト調光信号オン時は、トランジスタQ41がオンするので、コンデンサC41から抵抗R43、また抵抗R42を介して抵抗R44へ放電電流が流れ、コンデンサC41の電荷が放電される。つまり、バースト調光信号のDuty(トランジスタQ41のオン期間とオフ期間の比)によって、コンデンサC41の充放電電圧つまりは直流電圧が決まる。ここで、前記コンデンサC41の充放電の時定数について述べると、充電時の時定数は抵抗R41,R42,R43、コンデンサC41の定数で決まり、C41・[(R41+R42)//R43]で与えられ、放電時の時定数は抵抗R41,R42,R43,R44、コンデンサC41の定数で決まり、C41・[R41//R44//(R42+R43)]で与えられる。バースト調光信号をリップルの少ない直流電圧に変換するには、バースト調光信号の周期に対して時定数を十分大きく設定する必要がある。
【0072】
基準電圧変換回路4の出力電圧と、バースト調光信号のDutyの関係について、図6に示しておく。図6においては、バースト調光信号のDuty(%)と直流電圧出力がほぼ比例関係となっているが、特にこれに限定されるものでない。例えば、R41≪R42とすれば図6のように比例関係となるが、R41≒R42とすれば比例関係は崩れる。
【0073】
次に、誤差増幅器3について説明する。本実施形態の誤差増幅器3は、オペアンプOP31と、オペアンプ31の入力抵抗R31と、帰還回路として接続される抵抗R32とコンデンサC31の並列回路と、出力に接続される抵抗R33から構成されている。
【0074】
本実施形態の動作について、図5を用いて説明する。図5(A)は前記検出回路2のリード線電流検出用トランスT21の出力電圧波形を示すものであり、出力が小さい期間がバースト調光オン期間であり、出力が大きい期間がバースト調光オフ期間である。また、図5(B)は前記検出回路2のA点の電圧を示すものであり、前記検出回路2のダイオードD21、D22の整流作用により前記リード線電流検出用トランスT21の出力電圧波形のプラス成分のみが現れる波形となる(ダイオードD21の降下電圧により若干マイナス成分も残る)。また、図5(C)は検出回路2の出力電圧であり、前記検出回路2のA点の電圧が前記検出回路2の抵抗R23、コンデンサC31によって平滑された直流電圧を示すものである。また、図5(D)はバースト調光時のインバータ回路IVの駆動周波数である。
【0075】
例えば、図5に示すように、期間t0〜t1における検出電圧が、基準電圧よりも小さい場合を考えると、前記オペアンプOP31の出力はフィードバック動作によって上昇し、制御回路1はオペアンプOP31の出力を受けてオフ期間の周波数をf(OFF)からf(OFF)2へと制御し、オフ期間の予熱電流が増加するようにインバータ回路IVを制御する。図5に示すように、期間t1〜t2でオフ期間の周波数はf(OFF)からf(OFF)2へと変化する。オフ期間の予熱電流が増加することにより、バースト調光時の一周期のリード線電流の平均値も増加するので、前記検出電圧も増加し、基準電圧と同等になる。ただし、周波数は期間t1〜t2で変化するが、検出電圧は平滑回路の時定数の影響により遅れるので、図5のt3で検出電圧と基準値が同等になる。
【0076】
本実施形態の効果について説明する。本実施形態は、バースト調光時のフィラメント寿命を左右するバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することができる。また、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入するので、バースト調光時のリード線電流を直接的に検出でき、検出精度が高い。
【0077】
本実施形態においては、リード線電流検出用トランスT21の1次巻線を熱陰極ランプLaのフィラメントf2と予熱コンデンサC13の間に直列に接続したが、例えば電流検出用抵抗を接続しても構わない。その場合は、検出用抵抗の両端電圧からリード線電流を検出することができる。
【0078】
(実施形態3)
本実施形態の回路構成図を図7に示す。本実施形態の回路構成は、基本的に実施形態2の回路構成と同様であるが、検出回路2の抵抗器R22とグランド間にバースト調光信号によってスイッチングを行うスイッチQ21を設けたものである。バースト調光信号のオフ期間では、スイッチQ21がオフしているので、コンデンサC21にバースト調光オフ期間のリード線電流の検出値が出力される。また、バースト調光信号のオン期間では、スイッチQ21がオンするのでコンデンサC21への充電電流は無くなり、コンデンサC21へ充電された電荷は抵抗R23を介して放電される。つまり、本実施形態の回路構成は、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出せずに、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流のみを検出する回路構成である。但し、バースト調光のオン期間において、コンデンサC21を充電できないので、コンデンサC21の電圧が低下し、検出電圧のリップルが大きくなる可能性があるので、放電時の時定数は実施形態2よりも大きくする必要がある。
【0079】
本実施形態の効果について述べると、バースト調光のオフ期間がオン期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオフ期間のリード線電流にて支配的になる深調光時において、バースト調光オフ期間のリード線電流を検出することで近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0080】
また、図示していないが、バースト調光信号のオフ期間でスイッチQ21がオン、オン期間でスイッチQ21がオフするように回路構成を変更すれば、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出せずに、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流のみを検出する回路構成になる。その効果として、バースト調光のオン期間がオフ期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオン期間のリード線電流にて支配的になる全灯に近い状態において、バースト調光のオン期間のリード線電流を検出することで近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の回路構成図を図8に示す。本実施形態の回路構成は、基本的に実施形態2と同様であるので、回路構成及び動作の説明は省略する。実施形態2との相違点は、検出回路2の検出部位であって、本実施形態ではフィラメント電圧を検出することにより、間接的にフィラメントf2のリード線電流を検出するものである。
【0082】
本実施形態の効果について述べると、予熱回路の出力とフィラメントの間に直列にインピーダンス素子を挿入する必要がないので、インピーダンス素子で消費される損失が無く、比較的簡易な回路構成にて検出を実現できるものである。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態の回路構成図を図9に示す。本実施形態の回路構成は、実施形態2の回路構成に高圧側のリード線電流検出回路5を加えて、検出回路2と検出回路5の平均値を検出回路の出力とし、誤差増幅器3へ入力するものである。
【0084】
本実施形態の効果は、複数の検出回路の出力値の平均値を誤差増幅器に入力するので、複数のフィラメントのリード線電流の検出を行う場合であっても、誤差増幅器は一つで済むから、低コストの回路構成を実現できる。
【0085】
(実施形態6)
図10は本発明の放電灯点灯装置を用いた液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。液晶パネルLCPの背面(直下)にバックライトユニットが配置されており、バックライトユニットは、筐体22と、この上に設置された反射板23及び複数の放電灯24と、その上方に設置された拡散板25、プリズムシート等の光学シート26とから構成されている。また、筐体22の背面に放電灯24を点灯する放電灯点灯装置21が設置されている。反射板23は各放電灯24の照射光を有効に前面に指向させるものである。拡散板25は放電灯24及び反射板23からの光を拡散させて前面への照明光の明るさ分布を平均化する機能を有する。
【0086】
なお、本発明の放電灯点灯装置の用途は液晶表示装置に限定されるものではなく、放電灯を用いた照明装置にも搭載できることは言うまでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図4】本発明の実施形態2の回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図6】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の回路図である。
【図8】本発明の実施形態4の回路図である。
【図9】本発明の実施形態5の回路図である。
【図10】本発明の実施形態6の液晶表示装置の分解斜視図である。
【図11】熱陰極ランプのリード線電流の説明図である。
【図12】振幅調光及びバースト調光時の予熱設計範囲の説明図である。
【図13】従来例の回路構成図である。
【図14】従来例の動作波形図である。
【符号の説明】
【0088】
IV インバータ回路
PH 予熱回路
Sb バースト調光信号
La 熱陰極放電ランプ
1 制御回路
1a オフ期間周波数設定部
2 検出回路
3 誤差増幅器
4 基準電圧変換回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱陰極ランプを点灯する点灯装置、及び、これを備えるバックライトユニット、当該バックライトユニットを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置の大型化のニーズに伴い50インチを超えるものも市場に投入されている。一般的に液晶表示装置のバックライトとして冷陰極ランプが用いられているが、冷陰極ランプでは、管径が細いゆえに強度に問題があり、また、1本あたりに投入できる電力が少ないため液晶表示装置で所望の輝度を得ようとした場合、かなりの本数を必要とし、またランプ電圧が非常に高いという問題もある。
【0003】
そこで、大型液晶表示装置用のバックライトとして、近年熱陰極ランプが注目されている。熱陰極ランプは、1本当りに投入できる電力が大きいためランプ本数の削減が可能であり、またアーク放電ゆえにランプ電圧が冷陰極ランプの1/10以下であるというメリットがある。
【0004】
熱陰極ランプを用いた場合の課題としては、例えばフィラメント断線やエミッタレス状態を早期に発生させないための予熱設計が挙げられる。冷陰極ランプでは過度なランプ電流を流さない限り、電極が徐々に消耗したとしても電極の消耗が原因でランプが不点灯になることは稀であり電極寿命は長い。しかし、熱陰極ランプにおいては、バックライト用にフィラメントを多重巻き構造にしてエミッタを大量に塗布したとしても、予熱設計が適切でなければフィラメント断線やエミッタレス状態になるリスクが高くなる。このようなフィラメントの異常状態でバックライトが機能しないことは液晶表示装置にとって致命的である。
【0005】
さらに、一般照明用の熱陰極ランプの調光方式としては、ランプ電流の振幅を変化させて調光を行う振幅調光方式が一般的であるが、液晶表示装置用のバックライトの調光方式としては、ランプ電流のオン期間とオフ期間の比を変化させて調光を行うバースト調光方式が一般的である。
【0006】
振幅調光方式におけるフィラメントの予熱設計条件に関しては、一般照明用の実績等から最適設計条件がある程度明確になっているが、熱陰極ランプのバースト調光方式は実績も少なく、最適予熱設計条件が明確になっているとは言えない。それゆえ、熱陰極ランプを液晶表示装置のバックライトとして採用するには、バースト調光方式における予熱条件を最適化し、フィラメントの長寿命化を実現することが求められる。
【0007】
バースト調光における予熱制御についての従来例としては、例えば特許文献1(特開平8−106987号公報)がある。特許文献1の説明図を図13、図14に示す。この放電灯点灯装置は、熱陰極放電灯FLのフィラメント間のスイッチSW2を開放/短絡することにより点灯期間と消灯期間を切り替え、バースト点灯を行う。コンバータ制御回路45の制御下でDC−DCコンバータ44により直流電源41の出力を電圧変換し、高周波インバータ47により高周波電力に変換して熱陰極放電灯FLに供給している。熱陰極放電灯FLのフィラメント間には調光回路49のスイッチSW2が並列接続されており、このスイッチSW2の短絡/開放は調光制御回路46により制御され、スイッチSW2の短絡時には高周波インバータ47の出力により熱陰極放電灯FLのフィラメントに予熱電流が流れ、スイッチSW2の開放時には高周波インバータ47の出力により熱陰極放電灯FLのフィラメント間にランプ電流が流れる。そのため、スイッチSW2の短絡時には熱陰極放電灯FLは消灯し、スイッチSW2の開放時には熱陰極放電灯FLは点灯するから、消灯期間と点灯期間の時間比率を調整することにより光出力を制御することができる。
【0008】
熱陰極放電灯FLの出力は光センサSによりモニターされており、操作部42で設定された調光状態となるように、CPU43によりフィードバック制御される。また、調光状態検出回路48により検出された調光状態に応じて消灯期間のDC−DCコンバータ44の出力電圧をコンバータ制御回路45により可変としており、これにより消灯期間中のフィラメント電圧は調光状態に応じて可変とされている。
【0009】
次に図13の放電灯点灯装置におけるランプ電流とフィラメント電流の波形について図14を用いて説明すると、消灯期間に流れるフィラメントの予熱電流と、点灯期間に流れるランプ電流の波形は、それぞれ調光状態に応じて図14(a)〜(c)のように変化する。フィラメントの予熱電流が流れる消灯期間Ta,Tb,Tcとランプ電流が流れる点灯期間ta,tb,tcの時間比率に応じて、フィラメント温度が適正となるように、フィラメント電流の振幅は調光状態に応じて可変制御されている。
【特許文献1】特開平8−106987号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1の技術では、消灯期間と点灯期間の時間比率を調整することにより光出力を制御することができるが、図14の波形図から明らかなように、高周波電流の切断時やスイッチSW2がオンした瞬間の突入電流、スイッチSW2がオフした瞬間にランプにかかる始動電圧など、スイッチSW2へのストレスが大きい。また、スイッチSW2の開放/短絡によって、ランプ電流供給期間と予熱電流供給期間を制御するので、ランプ電流供給期間においてはフィラメントへ予熱電流を供給することができない。
【0011】
液晶表示用バックライト装置の場合、バースト調光の周波数は数100Hz程度の繰り返し波形のため、電極温度はバーストオン期間とオフ期間のフィラメントに流す予熱電流の平均値で効いてくる(ここでのバーストオン期間はランプ電流が供給されている期間で、オフ期間はランプ電流が供給されていない期間である)。そのため、予熱電流に休止期間がある場合、電極温度を確保するためにオフ期間での予熱電流を常時流す場合よりも大きなピーク値で供給する必要があり、回路のストレスになる。
【0012】
また、熱陰極ランプにおいては、フィラメントに流せる電流値に制限があり、オフ期間の予熱電流のみで電極温度を確保しようとした場合に、前記制限を越える可能性がある。さらには、液晶表示用のバックライトに使用する熱陰極ランプは数万時間の寿命を確保するために、多重巻き構造のフィラメントに一般照明用の熱陰極ランプよりも多量のエミッタが塗布されるので、それらを活性化させるために一般照明用の熱陰極ランプよりも大きなエネルギーが必要になる。つまり、特許文献1のように予熱電流の休止期間がある場合、多量のエミッタを活性化させるための予熱電流をバーストオフ期間に集中して投入する必要があるので、フィラメント間の電圧が上昇し、フィラメントのエンドグロー現象を起こし、短寿命になってしまう。前記の通り、特許文献1は回路ストレス、ランプ寿命の観点からバースト調光時の望ましい予熱制御ではない。
【0013】
従来例については前記の通りであるが、バースト調光の予熱設計について検討を進めた結果、明確になった課題について説明する。振幅調光を行う一般照明用の熱陰極ランプの予熱設計条件は、一般的にランプ電流に応じてフィラメントへ投入するエネルギーが規定されている。フィラメントへ投入するエネルギーとは、図11に示すようにフィラメント両端のリード線電流IL1、IL2の二乗和(IL12 +IL22 )である。図11において、リード線電流IL1及びIL2はランプ電流Ilaと予熱電流Ifの合成電流である。つまり、点灯回路IVから出力されるランプ電流Ilaは、直接フィラメントに向かう成分と、予熱回路PHを介してフィラメントへ向かう成分にて構成されており、その成分比率はランプ電流Ilaと予熱電流Ifの位相差によって決定される。
【0014】
予熱設計条件がリード線電流の二乗和で規定される理由は、ランプ電流Ilaと予熱回路PHから出力される予熱電流Ifの位相差を考慮する必要がなく、フィラメントへの投入エネルギーにて予熱設計条件が規定できるためである。次に、ランプ電流(実効値)とリード線電流の二乗和(IL12 +IL22 )の関係を図12に示す。図12の実線が振幅調光における予熱設計の範囲を示すものである。
【0015】
ここで、我々はバースト調光時の予熱設計範囲を明確にするために、前記振幅調光時の予熱設計範囲を基にランプライフ試験を行った。その結果、図12の点線で示すように、バースト調光時においては振幅調光時よりも予熱設計範囲が著しく狭くなることを確認した。特に、Duty20%のバースト調光においては、リード線電流の二乗和の設計範囲は、バースト調光時では振幅調光時の約半分程度であった。
【0016】
次にバースト調光時の予熱設計範囲が振幅調光時よりも狭くなる理由について考察する。バースト調光時のリード線電流の二乗和は、バースト調光のオン期間とオフ期間の比に応じてオン期間のリード線電流の二乗和とオフ期間のリード線電流の二乗和の平均値で算出される。しかし、バースト調光時のランプ電流実効値は、バースト調光のオン期間とオフ期間の比に応じてオン期間のランプ電流実効値とオフ期間のランプ電流実効値(ゼロ)の平均値で算出されるものではなく、おおよそオン期間のランプ電流実効値に√{Duty(%)/100}を乗じて算出される。つまり、図12に示すように、バースト調光時の予熱設計範囲は、振幅調光時のように直線状の範囲で規定されるものではなく、破線のような曲線状の範囲で規定されるものになると考察する。
【0017】
前記のランプライフ結果からも明らかなように、バースト調光においては、振幅調光よりも予熱設計範囲が著しく狭く、リード線電流の二乗和のばらつきを低減しなければ、液晶表示用のバックライトとしての寿命を十分に確保することができない。これは、バースト調光特有の大きな課題である。
【0018】
リード線電流の二乗和のばらつきの発生要因は、予熱回路部品の部品ばらつきと、個々の熱陰極ランプのフィラメント抵抗ばらつきである。部品ばらつきについては、低ばらつき品の採用などで対応可能であるが、フィラメントの抵抗ばらつきについては対応に限界がある。また、図12からも明らかなように、バースト調光のDutyを絞って深調光を行う場合には、予熱設計範囲の狭さが際立っている。液晶表示装置においては、コントラスト比を向上させるために、なるべくバックライトの深調光を実現したいので、深調光時の予熱設計を図12の予熱設計範囲で適切に行う必要がある。
【0019】
本発明は、前記特許文献1の課題である回路ストレス、フィラメント短寿命の課題を改善し、さらに前記バースト調光時に特有の予熱設計範囲が特に深調光時において狭いという課題を解決する放電灯点灯装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の目的を達成するために、請求項1に係る放電灯点灯装置は、図1〜図3に示すように、直流電圧Vdcを高周波電圧に変換し熱陰極ランプLaを点灯するインバータ回路IVと、バースト調光のオン期間とオフ期間の比を決定するバースト調光信号Sbを受けて、バースト調光のオン期間では点灯可能な周波数f(ON)で、オフ期間ではオン期間の周波数f(ON)よりも高く点灯が維持できない周波数f(OFF)で前記インバータ回路IVを制御する制御回路1と、前記インバータ回路IVの周波数に従って予熱電流Ifを出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路PHと、フィラメントf2のリード線電流IL2を直接的または間接的に検出する検出回路2と、前記検出回路2の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器3とを備え、前記誤差増幅器3から出力される誤差信号を前記制御回路1で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数f(OFF)にのみフィードバック制御し、前記検出信号と前記基準信号が同等になるように制御されることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項2に係る放電灯点灯装置は、図4〜図6に示すように、請求項1の発明において、検出回路2はバースト調光のオン期間とオフ期間のフィラメントf2のリード線電流の平均値を検出することを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項3に係る放電灯点灯装置は、図7に示すように、請求項1の発明において、検出回路2はバースト調光のオフ期間のフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0023】
また、請求項4に係る放電灯点灯装置は、請求項1の発明において、検出回路はバースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0024】
また、請求項5に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜4の発明において、予熱回路PHは少なくとも予熱トランスT11を含み、バースト調光のオフ期間の予熱電流の実効値はオン期間の予熱電流の実効値よりも大きいことを特徴とするものである。
【0025】
また、請求項6に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜5の発明において、図4に示すように、検出回路2は少なくとも予熱回路PHの出力とフィラメントf2から構成される閉ループに、インピーダンス素子T21が直列に挿入され、前記インピーダンス素子の電流または電圧を検出することによりフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0026】
また、請求項7に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜5の発明において、図8に示すように、検出回路2は予熱回路PHの出力電圧、またはフィラメント間電圧を検出することによりフィラメントf2のリード線電流を検出することを特徴とするものである。
【0027】
また、請求項8に係る放電灯点灯装置は、請求項1〜7の発明において、図9に示すように、検出回路2,5は複数存在し、各検出回路2,5の出力値の平均値を前記誤差増幅器3に入力することを特徴とするものである。
【0028】
また、請求項9に係る発明は、請求項1〜8のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備えたことを特徴とするバックライトユニットである(図10)。
【0029】
また、請求項10に係る発明は、請求項9のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置である(図10)。
【発明の効果】
【0030】
請求項1の発明によれば、予熱設計範囲の狭いバースト調光時において、予熱設計要素であるフィラメントのリード線電流を所望の値に制御できる。したがって、予熱回路定数のばらつきや、熱陰極ランプ個々の抵抗ばらつきがある場合でもトータルのリード線電流を所望の電流値に一定制御できるので、バースト調光した場合においても熱陰極ランプを長寿命化できる。
【0031】
もう一つの効果は、前記の通りバースト調光オフ期間の周波数のみを制御するので、熱陰極ランプの照度に影響を与えないことである。バースト調光のオフ期間においては、もともと不点灯状態であり、不点灯状態が継続される周波数範囲であれば周波数が増減しようが、予熱回路の出力は変わるが、熱陰極ランプの照度を左右するランプ電流は変化しない。つまり、ランプの照度に影響を与えずに、バースト調光の一周期のリード線電流を所望の値に一定制御できる。
【0032】
さらには、バースト調光のオン期間及びオフ期間どちらにも連続的にフィラメントに予熱電流を供給しているので、特許文献1の課題である回路ストレスや、エンドグロー現象によるフィラメントの短寿命化を回避できる。
【0033】
請求項2の発明によれば、バースト調光時のフィラメント寿命を左右するバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することができる。
【0034】
請求項3の発明によれば、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出することで、バースト調光のオフ期間がオン期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオフ期間のリード線電流にて支配的になる深調光時において、近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0035】
請求項4の発明によれば、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することで、バースト調光のオン期間がオフ期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオン期間のリード線電流にて支配的になる全灯に近い状態において、近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0036】
請求項5の発明によれば、予熱トランスを用いて予熱回路を構成するため、インバータ回路に接続される予熱トランスの1次側電圧がいずれの値であれ、巻数比を調整することにより、比較的容易に予熱トランスの2次側電圧を所望の範囲に設定することが可能である。さらに、バースト調光のオン期間の周波数よりも高い周波数で設定されるオフ期間において、オン期間よりも大きな予熱電流をフィラメントへ供給できるため、オフ期間のフィラメント温度の低下を抑制することができ、フィラメントを長寿命化できる。
【0037】
請求項6の発明によれば、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入するので、バースト調光時のリード線電流を直接的に検出でき、検出精度が高い。
【0038】
請求項7の発明によれば、請求項6とは異なり間接的にバースト調光時のリード線電流を検出するものであるが、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入する必要がないので、インピーダンス素子で消費される損失が無いうえに、比較的簡易な回路構成にて検出を実現できるものである。
【0039】
請求項8の発明によれば、複数の検出回路の出力値の平均値を誤差増幅器に入力するので、複数のフィラメントのトータルのリード線電流の検出を行う場合であっても、誤差増幅器は一つで済むので、低コストの回路構成を実現できる。
【0040】
請求項9に係るバックライトユニット、請求項10に係る液晶表示装置は、バースト調光制御をする場合においてもランプ寿命が長寿命である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
本実施形態の回路構成について図1を用いて説明する。
初めにインバータ回路IVの説明を行う。直流電源Vdcは、所定の直流電圧を出力する電源であり、例えば商用交流電源を全波整流し、昇圧チョッパ回路により平滑化して出力する回路などで構成できる。直流電源Vdcにはスイッチング素子Q1,Q2の直列回路が接続されており、スイッチング素子Q1,Q2は、例えばMOSFETからなり、制御回路1の出力により高周波で交互にオンオフ駆動される。また、スイッチング素子Q1,Q2の接続点とグランド間には、インダクタL1とコンデンサC1の直列回路が接続されている。コンデンサC1の両端には直流カット用のコンデンサC2を介して熱陰極蛍光ランプLaが接続されている。インダクタL1とコンデンサC1,C2は熱陰極蛍光ランプLaの点灯時インピーダンスと共に共振回路を構成している。ここで直流カット用のコンデンサC2の容量を共振用のコンデンサC1に比べて十分大きくすれば、共振には殆ど寄与しない。また、スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数は前記共振回路の負荷時共振周波数よりも高く設定されている。したがって、スイッチング周波数が高くなるにつれて、ランプ電流は減少するように制御される。ここで、熱陰極蛍光ランプLaに流れるランプ電流は、インダクタL1とコンデンサC1,C2を含む共振回路により略正弦波状の高周波電流となっている。
【0042】
次に予熱回路PHについて説明する。スイッチング素子Q1,Q2の接続点とグランド間には、直流カット用コンデンサC11を介して予熱トランスT11の1次巻線N1が接続されている。予熱トランスT11は一対の2次巻線N21、N22を備え、それぞれ予熱用コンデンサC12,C13を介して熱陰極蛍光ランプLaのフィラメントf1、f2に接続されている。スイッチング素子Q1,Q2のスイッチング周波数が上昇すると、予熱用コンデンサC12,C13のインピーダンスは低下するので、フィラメントf1,f2の予熱電流は増えることになる。本予熱回路PHでは、熱陰極蛍光ランプLaにランプ電流を供給するためのインバータ回路IVを用いてフィラメントf1,f2に予熱電流を供給しているので、フィラメント予熱用のインバータを別設する必要がなく、点灯装置の小型化・軽量化、コスト低減に寄与できる。また、予熱トランスT11の2次巻線N21,N22から予熱用コンデンサC12,C13を介して各フィラメントf1,f2に予熱電流を供給しており、予熱トランスT11とコンデンサC11の直列共振特性を利用することが可能なので、予熱電流設定の自由度が高く、予熱電流の適正化によりランプの長寿命化が図れる。
【0043】
次に制御回路1について、図1、図2を用いて説明する。制御回路1は、図2に示すようにPWM信号であるバースト調光信号を受けて、スイッチング素子Q1、Q2に駆動信号を出力する。バースト調光信号のオフ期間においてはオフ期間周波数設定部1aにおいて予め設定されている周波数f(OFF)の駆動信号を出力する。周波数f(OFF)で制御された前記インバータ回路IVは、熱陰極ランプLaにランプ電流を供給できない状態(点灯を維持できない状態)となるが、フィラメントf1,f2へは予熱回路PHから予熱電流が供給される。
【0044】
また、バースト調光信号がオフからオンに切り替わると、駆動信号は周波数f(OFF)から周波数f(S)にスイープし、始動期間周波数設定部1bにおいて予め設定されている周波数f(S)を一定期間保持した後、周波数f(S)から周波数f(ON)にスイープする。ここで、周波数f(S)の期間において熱陰極ランプLaは始動し、点灯する。
【0045】
バースト調光信号がオンの期間は、オン期間周波数設定部1cにおいて予め設定されている周波数f(ON)の駆動信号を出力し続け、点灯を継続する。予熱電流については、始動期間、点灯期間のいずれにおいても予熱回路PHからフィラメントf1,f2へ供給されている。
【0046】
さらに、バースト調光信号がオンからオフに切り替わると、駆動信号は周波数f(ON)から周波数f(OFF)にスイープし、熱陰極ランプLaは消灯することになる。つまり、前記一連の周波数動作をバースト調光信号のオン、オフに対応して繰り返すことにより、熱陰極ランプLaはバースト調光される。
【0047】
以上のように、制御回路1はバースト調光信号のON期間とOFF期間でスイッチング素子Q1,Q2に出力する駆動信号の周波数を制御するものである。
【0048】
また、図1に示すように、制御回路1はバースト調光信号オフ期間の周波数f(OFF)を設定するオフ期間周波数設定部1aと、バースト調光信号オン期間のうちの始動期間の周波数f(S)を設定する始動期間周波数設定部1bと、バースト調光信号オン期間のうちの点灯期間の周波数f(ON)を設定するオン期間周波数設定部1cから構成されている。前記制御回路1は、例えば制御用ICであって、駆動信号の周波数設定は例えば制御用ICの周波数設定端子の電流、または電圧をバースト調光信号に応じて変化させて設定するものである。
【0049】
次に検出回路2について説明する。本実施形態の検出回路2は、予熱トランスT11の2次巻線N22と、予熱用コンデンサC13と、フィラメントf2から構成される閉ループ回路に流れるバースト調光オン期間及びオフ期間のリード線電流の平均値を検出し、検出レベルに応じた電圧信号を出力するものである。
【0050】
前記のようにバースト調光のオン期間、オフ期間ではそれぞれ前記インバータ回路IVの駆動周波数が異なるので、当然フィラメントのリード線電流もそれに応じて変化することになる。例えば、バースト調光のオフ期間におけるフィラメントへのリード線電流は、周波数f(OFF)で予熱回路から出力される予熱電流If(OFF)となる。つまり、バースト調光のオフ期間においては、予熱回路から出力される予熱電流と、フィラメントに流れるリード線電流は等しい。
【0051】
しかし、バースト調光のオン期間におけるフィラメントのリード線電流は、始動期間を除けば、点灯期間の周波数f(ON)で予熱回路から出力される予熱電流If(ON)と、ランプ電流Ilaの合成電流となる。
【0052】
次に基準電圧変換回路4について説明する。基準電圧変換回路4は、バースト調光信号のオン期間とオフ期間の比に応じた電圧信号を出力するものである。
【0053】
次に誤差増幅器3について説明する。本実施形態の誤差増幅器3は、前記検出回路2の出力電圧と、前記基準電圧変換回路4の出力電圧を入力とし、これら2つの入力電圧を比較し、誤差信号を出力するものである。この誤差増幅器3の出力に基づき、前記制御回路1のオフ期間周波数設定部1cにてオフ期間の周波数f(OFF)を制御する。
【0054】
したがって、オフ期間の予熱電流が変化するので、バースト調光時のリード線電流も基準値と同等になるように調整される。
【0055】
本実施形態の具体的な動作について図2の波形図と、図3の周波数特性図を用いて説明する。図2は、図1に示す回路の波形図であり、上からバースト調光信号、制御回路1からスイッチング素子Q1、Q2へ出力される駆動信号の周波数変化、熱陰極ランプLaのランプ電圧(Vla)、ランプ電流(Ila)、リード線電流IL1、リード線電流IL2の波形を示すものである。
【0056】
また、図3は動作説明のための周波数特性図であり、図中の出力電圧図において、点線で示す曲線は無負荷時の共振回路の共振特性であり、実線で示す曲線は点灯時のランプインピーダンスを負荷とした共振回路の共振特性であり、一点鎖線で示す曲線は周波数f(S)で点灯した直後のランプインピーダンスを負荷とした共振回路の周波数特性である。
【0057】
また、図3の電流図において、実線で示す曲線は点灯時のランプインピーダンスを負荷としたランプ電流の周波数特性であり、一点鎖線で示す曲線は予熱回路から出力される予熱電流の周波数特性である。次に図2の波形図の時間変化について、図3を用いて説明していく。
【0058】
(期間t0〜t1)
この期間はバースト調光信号がオンの期間であり、熱陰極ランプLaにランプ電流Ilaが流れ、ランプが点灯している状態にある。この期間においては周波数f(ON)でインバータ回路が駆動されるので、図3に示すように熱陰極ランプのランプ電圧はA点:Vla(ON)、ランプ電流はE点:Ila(ON)、予熱電流はF点:If(ON)で与えられる。ここで、バースト調光信号オン期間のリード線電流IL1(ON)、IL2(ON)は、オン期間のランプ電流Ila(ON)と予熱電流If(ON)の合成電流となる。
【0059】
(期間t1〜t2)
この期間はバースト調光信号がオフの期間であり、熱陰極ランプLaへのランプ電流が略ゼロで、ランプは消灯状態にある。図2に示すようにバースト調光信号がオンからオフに切り替わると、インバータ回路の駆動周波数はスイープしながらf(ON)からf(OFF)に切り替わる。
【0060】
図3の出力電圧図に示すように、熱陰極ランプLaへの印加電圧は点A:Vla(ON)から点B:Vla(OFF)に移行することになり、点B:Vla(OFF)においては熱陰極ランプLaを点灯維持できない出力電圧となり、消灯状態となる。また、図3の電流図に示すように、ランプ電流はE点:IIa(ON)からゼロとなり、予熱電流は点F:If(ON)から点G:If(OFF)へと増加する。
【0061】
周波数f(ON)からf(OFF)へのスイープ後は、インバータ回路が周波数f(OFF)で駆動されるので、図3に示すように熱陰極ランプLaのランプ電圧はB点:Vla(OFF)、ランプ電流はゼロ、予熱電流はG点:If(OFF)で与えられる。ここで、バースト調光オフ期間のリード線電流IL1(OFF)、IL2(OFF)は、オフ期間の予熱電流If(OFF)である。
【0062】
(期間t2〜t3)
この期間はバースト調光信号がオフからオンに切り替わった直後であり、ランプ始動期間である。図2に示すようにバースト調光信号がオフからオンに切り替わると、インバータ回路の駆動周波数はf(OFF)からf(S)にスイープし、周波数f(S)を一定期間保持した後、周波数f(S)からf(ON)へスイープする。
【0063】
図3の出力電圧図に示すように、熱陰極ランプLaへの印加電圧は点B:Vla(OFF)から点C:Vla(S)に移行することになり、点C:Vla(S)における出力電圧にて熱陰極ランプLaを始動した後、点灯直後のランプインピーダンスで決まる点Dを経由して、点A:Vla(ON)へ移行する。
【0064】
次に本実施形態の動作の特徴について述べる。例えば、図2に示すように、前記インバータ回路IVが制御回路1によってバースト調光オン期間周波数がf(ON)、バースト調光オフ期間周波数がf(OFF)、始動期間周波数がf(S)で、熱陰極ランプLaをバースト調光しているとする。図1の検出回路2にて検出されたバースト調光時のリード線電流の平均値は、誤差増幅器3にて基準値と比較され、誤差信号を出力する。例えば、基準値よりも検出値の方が大きい場合、誤差増幅器3は制御回路1のオフ期間周波数設定部1aに対して、オフ期間の周波数f(OFF)を下げるような信号を出力する。図3に示すように、オフ期間の周波数がf(OFF)→f(OFF)1に下がると、予熱電流もIf(OFF)→If(OFF)1と低下する。つまり、オフ期間の予熱電流が低下することにより、バースト調光時のリード線電流の平均値も低下し、基準電圧と同等の検出値となる。
【0065】
次に、基準値よりも検出値の方が小さい場合を考えてみると、誤差増幅器3は前記制御回路1のオフ期間周波数設定部1aに対して、オフ期間の周波数f(OFF)を上げるような信号を出力する。図3に示すように、オフ期間の周波数がf(OFF)→f(OFF)2に上がると、予熱電流もIf(OFF)→If(OFF)2と増加する。つまり、オフ期間の予熱電流が増加することにより、バースト調光時のリード線電流の平均値も増加し、基準電圧と同等の検出値となる。
【0066】
本実施形態の効果は、予熱設計範囲の狭いバースト調光時において、予熱設計要素であるフィラメントのリード線電流を所望の値に一定制御できるので、予熱回路定数のばらつきや熱陰極ランプ個々の抵抗ばらつきがある場合においても熱陰極ランプを長寿命化できる。また、バースト調光オフ期間の周波数のみを制御するので、熱陰極ランプの照度に全く影響を与えずに、最適予熱制御が可能である。
【0067】
また、予熱トランスを用いて予熱回路を構成するため、インバータ回路に接続される予熱トランスの1次側電圧がいずれの値であれ、巻数比を調整することにより、比較的容易に予熱トランスの2次側電圧を所望の範囲に設定することが可能である。さらに、バースト調光のオン期間の周波数よりも高い周波数で設定されるオフ期間において、オン期間よりも大きな予熱電流をフィラメントへ供給できるため、オフ期間のフィラメント温度の低下を抑制することができ、フィラメントを長寿命化できる。
【0068】
(実施形態2)
次に実施形態2に係る点灯装置を図4、動作説明図を図5に示す。図4に示すように本実施形態のインバータ回路IV、予熱回路PH、制御回路1の構成は実施形態1と同じであるので、それらの説明は省略し、検出回路2、基準電圧変換回路4、誤差増幅器3の構成及び動作について説明する。
【0069】
本実施形態の検出回路2は、1次巻線が熱陰極ランプLaのフィラメントf2と予熱コンデンサC13の間に直列に接続されるフィラメントf2のリード線電流検出用トランスT21と、前記検出用トランスT21の2次巻線に接続される平滑回路によって構成されている。前記平滑回路は、検出用トランスT21の2次巻線の一方とグランド間に直列に接続される抵抗R21、R22と、前記抵抗R21とR22の接続点にカソードが接続され、グランドにアノードが接続されたダイオードD21と、前記抵抗R21とR22の接続点にアノードが接続されたダイオードD22と、前記ダイオードD22のカソードとグランド間に並列接続されたコンデンサC21と抵抗R23から構成されている。
【0070】
検出用トランスT21の2次側巻線には高周波電圧が出力されるが、出力電圧がプラスの場合には、検出用トランスT21の2次巻線から抵抗R21、ダイオードD22を介してコンデンサC21に充電電流が流れ、コンデンサC21を充電する。また、検出用トランスT22の2次巻線の出力電圧がマイナスの場合には、ダイオードD22がオフするので、コンデンサC21から抵抗R23へ放電電流が流れ、コンデンサC21の電荷は放電される。つまり、本検出回路2の出力は、コンデンサC21の充放電電圧であり、検出用トランスT21の2次巻線に出力される高周波電圧の半波成分を直流電圧に変換したものとなる。ここで、コンデンサC21の充電時と放電時の時定数について述べておくと、充電時の時定数は抵抗R21、R22、R23とコンデンサC21の定数で決まり、おおよそC21・(R21//R22//R23)となり、放電時の時定数は抵抗R23とコンデンサC21の定数で決まり、おおよそC21・R23となる。バースト調光時のフィラメントのリード線電流はオン期間とオフ期間で変化するので、本検出回路のようにバースト調光時のリード線電流の平均値を検出する場合には、前記時定数をバースト調光信号の周期よりも十分大きく設定する必要がある。
【0071】
次に基準電圧変換回路4について説明する。基準電圧変換回路4は、図4に示すようにPWM信号であるバースト調光信号SbをDuty比に応じた直流電圧に変換する回路である。バースト調光信号オフ時は、トランジスタQ41はオフ状態なので、制御電源電圧Vccから抵抗R41、R42を介してコンデンサC41に充電電流が流れ、コンデンサC41を充電する。また、バースト調光信号オン時は、トランジスタQ41がオンするので、コンデンサC41から抵抗R43、また抵抗R42を介して抵抗R44へ放電電流が流れ、コンデンサC41の電荷が放電される。つまり、バースト調光信号のDuty(トランジスタQ41のオン期間とオフ期間の比)によって、コンデンサC41の充放電電圧つまりは直流電圧が決まる。ここで、前記コンデンサC41の充放電の時定数について述べると、充電時の時定数は抵抗R41,R42,R43、コンデンサC41の定数で決まり、C41・[(R41+R42)//R43]で与えられ、放電時の時定数は抵抗R41,R42,R43,R44、コンデンサC41の定数で決まり、C41・[R41//R44//(R42+R43)]で与えられる。バースト調光信号をリップルの少ない直流電圧に変換するには、バースト調光信号の周期に対して時定数を十分大きく設定する必要がある。
【0072】
基準電圧変換回路4の出力電圧と、バースト調光信号のDutyの関係について、図6に示しておく。図6においては、バースト調光信号のDuty(%)と直流電圧出力がほぼ比例関係となっているが、特にこれに限定されるものでない。例えば、R41≪R42とすれば図6のように比例関係となるが、R41≒R42とすれば比例関係は崩れる。
【0073】
次に、誤差増幅器3について説明する。本実施形態の誤差増幅器3は、オペアンプOP31と、オペアンプ31の入力抵抗R31と、帰還回路として接続される抵抗R32とコンデンサC31の並列回路と、出力に接続される抵抗R33から構成されている。
【0074】
本実施形態の動作について、図5を用いて説明する。図5(A)は前記検出回路2のリード線電流検出用トランスT21の出力電圧波形を示すものであり、出力が小さい期間がバースト調光オン期間であり、出力が大きい期間がバースト調光オフ期間である。また、図5(B)は前記検出回路2のA点の電圧を示すものであり、前記検出回路2のダイオードD21、D22の整流作用により前記リード線電流検出用トランスT21の出力電圧波形のプラス成分のみが現れる波形となる(ダイオードD21の降下電圧により若干マイナス成分も残る)。また、図5(C)は検出回路2の出力電圧であり、前記検出回路2のA点の電圧が前記検出回路2の抵抗R23、コンデンサC31によって平滑された直流電圧を示すものである。また、図5(D)はバースト調光時のインバータ回路IVの駆動周波数である。
【0075】
例えば、図5に示すように、期間t0〜t1における検出電圧が、基準電圧よりも小さい場合を考えると、前記オペアンプOP31の出力はフィードバック動作によって上昇し、制御回路1はオペアンプOP31の出力を受けてオフ期間の周波数をf(OFF)からf(OFF)2へと制御し、オフ期間の予熱電流が増加するようにインバータ回路IVを制御する。図5に示すように、期間t1〜t2でオフ期間の周波数はf(OFF)からf(OFF)2へと変化する。オフ期間の予熱電流が増加することにより、バースト調光時の一周期のリード線電流の平均値も増加するので、前記検出電圧も増加し、基準電圧と同等になる。ただし、周波数は期間t1〜t2で変化するが、検出電圧は平滑回路の時定数の影響により遅れるので、図5のt3で検出電圧と基準値が同等になる。
【0076】
本実施形態の効果について説明する。本実施形態は、バースト調光時のフィラメント寿命を左右するバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することができる。また、予熱回路の出力とフィラメント間に直列にインピーダンス素子を挿入するので、バースト調光時のリード線電流を直接的に検出でき、検出精度が高い。
【0077】
本実施形態においては、リード線電流検出用トランスT21の1次巻線を熱陰極ランプLaのフィラメントf2と予熱コンデンサC13の間に直列に接続したが、例えば電流検出用抵抗を接続しても構わない。その場合は、検出用抵抗の両端電圧からリード線電流を検出することができる。
【0078】
(実施形態3)
本実施形態の回路構成図を図7に示す。本実施形態の回路構成は、基本的に実施形態2の回路構成と同様であるが、検出回路2の抵抗器R22とグランド間にバースト調光信号によってスイッチングを行うスイッチQ21を設けたものである。バースト調光信号のオフ期間では、スイッチQ21がオフしているので、コンデンサC21にバースト調光オフ期間のリード線電流の検出値が出力される。また、バースト調光信号のオン期間では、スイッチQ21がオンするのでコンデンサC21への充電電流は無くなり、コンデンサC21へ充電された電荷は抵抗R23を介して放電される。つまり、本実施形態の回路構成は、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出せずに、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流のみを検出する回路構成である。但し、バースト調光のオン期間において、コンデンサC21を充電できないので、コンデンサC21の電圧が低下し、検出電圧のリップルが大きくなる可能性があるので、放電時の時定数は実施形態2よりも大きくする必要がある。
【0079】
本実施形態の効果について述べると、バースト調光のオフ期間がオン期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオフ期間のリード線電流にて支配的になる深調光時において、バースト調光オフ期間のリード線電流を検出することで近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0080】
また、図示していないが、バースト調光信号のオフ期間でスイッチQ21がオン、オン期間でスイッチQ21がオフするように回路構成を変更すれば、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出せずに、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流のみを検出する回路構成になる。その効果として、バースト調光のオン期間がオフ期間よりも十分長く、バースト調光の一周期のリード線電流の平均値がオン期間のリード線電流にて支配的になる全灯に近い状態において、バースト調光のオン期間のリード線電流を検出することで近似的にバースト調光の一周期のリード線電流の平均値を検出することが可能である。
【0081】
(実施形態4)
本実施形態の回路構成図を図8に示す。本実施形態の回路構成は、基本的に実施形態2と同様であるので、回路構成及び動作の説明は省略する。実施形態2との相違点は、検出回路2の検出部位であって、本実施形態ではフィラメント電圧を検出することにより、間接的にフィラメントf2のリード線電流を検出するものである。
【0082】
本実施形態の効果について述べると、予熱回路の出力とフィラメントの間に直列にインピーダンス素子を挿入する必要がないので、インピーダンス素子で消費される損失が無く、比較的簡易な回路構成にて検出を実現できるものである。
【0083】
(実施形態5)
本実施形態の回路構成図を図9に示す。本実施形態の回路構成は、実施形態2の回路構成に高圧側のリード線電流検出回路5を加えて、検出回路2と検出回路5の平均値を検出回路の出力とし、誤差増幅器3へ入力するものである。
【0084】
本実施形態の効果は、複数の検出回路の出力値の平均値を誤差増幅器に入力するので、複数のフィラメントのリード線電流の検出を行う場合であっても、誤差増幅器は一つで済むから、低コストの回路構成を実現できる。
【0085】
(実施形態6)
図10は本発明の放電灯点灯装置を用いた液晶表示装置の概略構成を示す分解斜視図である。液晶パネルLCPの背面(直下)にバックライトユニットが配置されており、バックライトユニットは、筐体22と、この上に設置された反射板23及び複数の放電灯24と、その上方に設置された拡散板25、プリズムシート等の光学シート26とから構成されている。また、筐体22の背面に放電灯24を点灯する放電灯点灯装置21が設置されている。反射板23は各放電灯24の照射光を有効に前面に指向させるものである。拡散板25は放電灯24及び反射板23からの光を拡散させて前面への照明光の明るさ分布を平均化する機能を有する。
【0086】
なお、本発明の放電灯点灯装置の用途は液晶表示装置に限定されるものではなく、放電灯を用いた照明装置にも搭載できることは言うまでも良い。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態1の回路図である。
【図2】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図3】本発明の実施形態1の動作説明図である。
【図4】本発明の実施形態2の回路図である。
【図5】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図6】本発明の実施形態2の動作説明図である。
【図7】本発明の実施形態3の回路図である。
【図8】本発明の実施形態4の回路図である。
【図9】本発明の実施形態5の回路図である。
【図10】本発明の実施形態6の液晶表示装置の分解斜視図である。
【図11】熱陰極ランプのリード線電流の説明図である。
【図12】振幅調光及びバースト調光時の予熱設計範囲の説明図である。
【図13】従来例の回路構成図である。
【図14】従来例の動作波形図である。
【符号の説明】
【0088】
IV インバータ回路
PH 予熱回路
Sb バースト調光信号
La 熱陰極放電ランプ
1 制御回路
1a オフ期間周波数設定部
2 検出回路
3 誤差増幅器
4 基準電圧変換回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電圧を高周波電圧に変換し熱陰極ランプを点灯するインバータ回路と、
バースト調光のオン期間とオフ期間の比を決定するバースト調光信号を受けて、バースト調光のオン期間では点灯可能な周波数で、オフ期間ではオン期間の周波数よりも高く点灯が維持できない周波数で前記インバータ回路を制御する制御回路と、
前記インバータ回路の周波数に従って予熱電流を出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路と、
フィラメントのリード線電流を直接的または間接的に検出する検出回路と、
前記検出回路の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器とを備え、
前記誤差増幅器から出力される誤差信号を前記制御回路で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数にのみフィードバック制御し、前記検出信号と前記基準信号が同等になるように制御されることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記検出回路は、バースト調光のオン期間とオフ期間のフィラメントのリード線電流の平均値を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記検出回路は、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記検出回路は、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記予熱回路は少なくとも予熱トランスを含み、バースト調光のオフ期間の予熱電流の実効値はオン期間の予熱電流の実効値よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記検出回路は少なくとも予熱回路の出力とフィラメントから構成される閉ループに、インピーダンス素子が直列に挿入され、前記インピーダンス素子の電流または電圧を検出することによりフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記検出回路は予熱回路の出力間電圧、またはフィラメント間電圧を検出することによりフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記検出回路は複数存在し、各検出回路の検出信号の平均値を前記誤差増幅器に入力することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備えたことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項10】
請求項9記載のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項1】
直流電圧を高周波電圧に変換し熱陰極ランプを点灯するインバータ回路と、
バースト調光のオン期間とオフ期間の比を決定するバースト調光信号を受けて、バースト調光のオン期間では点灯可能な周波数で、オフ期間ではオン期間の周波数よりも高く点灯が維持できない周波数で前記インバータ回路を制御する制御回路と、
前記インバータ回路の周波数に従って予熱電流を出力し、バースト調光のオン期間とオフ期間では実効値が異なる予熱電流を連続的にフィラメントに供給する予熱回路と、
フィラメントのリード線電流を直接的または間接的に検出する検出回路と、
前記検出回路の検出信号とバースト調光信号レベルに対応した基準信号とを比較し、誤差信号を出力する誤差増幅器とを備え、
前記誤差増幅器から出力される誤差信号を前記制御回路で制御されるバースト調光のオフ期間の周波数にのみフィードバック制御し、前記検出信号と前記基準信号が同等になるように制御されることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記検出回路は、バースト調光のオン期間とオフ期間のフィラメントのリード線電流の平均値を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記検出回路は、バースト調光のオフ期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記検出回路は、バースト調光のオン期間のフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記予熱回路は少なくとも予熱トランスを含み、バースト調光のオフ期間の予熱電流の実効値はオン期間の予熱電流の実効値よりも大きいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記検出回路は少なくとも予熱回路の出力とフィラメントから構成される閉ループに、インピーダンス素子が直列に挿入され、前記インピーダンス素子の電流または電圧を検出することによりフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記検出回路は予熱回路の出力間電圧、またはフィラメント間電圧を検出することによりフィラメントのリード線電流を検出することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記検出回路は複数存在し、各検出回路の検出信号の平均値を前記誤差増幅器に入力することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の放電灯点灯装置を備えたことを特徴とするバックライトユニット。
【請求項10】
請求項9記載のバックライトユニットを備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−67563(P2010−67563A)
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−234988(P2008−234988)
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年9月12日(2008.9.12)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】
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