説明

放電灯点灯装置およびそれを用いた照明装置

【課題】定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯を安定に並列点灯させる。
【解決手段】照明装置1は、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる第1の放電灯21および第2の放電灯22が並列接続された照明負荷2と、照明負荷2を点灯させる放電灯点灯装置3とを備える。放電灯点灯装置3は、インバータ回路31と、共振回路32と、バランサ35と、トランス36とを備える。バランサ35は、第1の巻線351が第1の放電灯21の給電路に挿入され、第2の巻線352が第2の放電灯22の給電路に挿入されている。トランス36は、一次巻線361が共振回路32の一対の出力端の間に接続され、第1の放電灯21のランプ電流と第2の放電灯22のランプ電流とが等しい平衡状態において、バランサ35の第1の巻線351および第2の巻線352の各々の両端電圧がゼロに近づくように、二次巻線362が第2の放電灯22に接続される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置およびそれを用いた照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、定格ランプ電流が略等しく定格電力が異なる複数の放電灯が並列接続された照明負荷を適合負荷とする放電灯点灯装置が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載された放電灯点灯装置では、並列接続された複数の放電灯の各々に流れるランプ電流が等しくなるように、バランサの巻線と放電灯とが1対1で直列接続されている。引用文献1に記載されたバランサでは、各巻線に流れる電流の差に応じて各巻線に電圧が発生する。このバランサは、各巻線に発生した電圧によって、各巻線に流れる電流を増加させたり、減少させたりして、各巻線に流れる電流が等しくなるように動作する。これにより、各巻線に直列接続されている各放電灯のランプ電流を等しくすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−87711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載された従来の放電灯点灯装置では、各放電灯のランプ電流が等しい平衡状態であっても、バランサの各巻線は、複数の放電灯の平均ランプ電圧と各放電灯のランプ電圧との差分電圧が印加された状態である。
【0006】
このような状態から電流バランスが崩れた場合、バランサの各巻線に新たな電圧が発生する。このとき、ランプ電圧の高い放電灯は、ランプ電圧の低い放電灯よりもランプ電流の増減が小さく、ランプ電圧の低い放電灯よりも光出力が低下する。
【0007】
このため、従来の放電灯点灯装置では、各放電灯に対して深調光(例えば25%以下)を行うと、ランプ電流が低下するため、バランサの各巻線に発生する電圧が低下し、その結果、ランプ電圧の高い放電灯は点灯維持することができなくなり、立ち消えてしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みて為され、本発明の目的は、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯を安定に並列点灯させることができる放電灯点灯装置およびそれを用いた照明装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の放電灯点灯装置は、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる第1の放電灯および第2の放電灯が並列接続された照明負荷を点灯させる放電灯点灯装置であって、直流電源の直流電圧を高周波電圧に変換する高周波電圧生成回路と、第1の巻線が前記第1の放電灯の給電路に挿入され、第2の巻線が前記第2の放電灯の給電路に挿入されたバランサと、一次巻線が前記高周波電圧生成回路の一対の出力端の間に電気的に接続され、前記第1の放電灯のランプ電流と前記第2の放電灯のランプ電流とが等しい平衡状態において前記バランサの前記第1の巻線および前記第2の巻線の各々の両端電圧がゼロに近づくように二次巻線が前記第1の放電灯および前記第2の放電灯の少なくとも一方に接続されるトランスとを備えることを特徴とする。
【0010】
この放電灯点灯装置において、前記トランスは、前記第1の放電灯のランプ電圧と前記第2の放電灯のランプ電圧との電圧比に応じて前記一次巻線と前記二次巻線との巻数比が設定されていることが好ましい。
【0011】
この放電灯点灯装置において、前記バランサは、前記第1の巻線が前記第1の放電灯とともに第1の直列回路を形成し、前記第2の巻線が前記第2の放電灯とともに第2の直列回路を形成し、前記トランスは、前記二次巻線で発生した高周波電圧を前記第1の直列回路または前記第2の直列回路のいずれか一方に印加することが好ましい。
【0012】
この放電灯点灯装置において、前記トランスは、前記バランサの前記第2の巻線と前記第2の放電灯との間に設けられ、前記一次巻線が前記第2の巻線に直列接続され、前記二次巻線が前記第2の放電灯に電気的に接続され、前記二次巻線で発生した高周波電圧を前記第2の放電灯に印加することが好ましい。
【0013】
この放電灯点灯装置において、前記高周波電圧生成回路と前記バランサとが実装されたプリント基板を備え、前記プリント基板には、前記トランスの前記一次巻線が接続される第1の接続端子と、前記トランスの二次巻線が接続される第2の接続端子とが設けられていることが好ましい。
【0014】
この放電灯点灯装置において、前記第1の放電灯は、前記第2の放電灯よりも定格電力が大きく、前記バランサは、前記第1の巻線が前記第1の放電灯とともに第1の直列回路を形成し、前記第2の巻線が前記第2の放電灯とともに第2の直列回路を形成し、前記トランスは、前記二次巻線の両端が前記第1の直列回路に電気的に接続され、前記二次巻線の一端および中間タップが前記第2の直列回路に電気的に接続されることが好ましい。
【0015】
この放電灯点灯装置において、前記高周波電圧生成回路と前記バランサと前記トランスとが実装されたプリント基板を備え、前記プリント基板には、前記トランスの前記二次巻線の他端に電気的に接続される第1の接続端子と、前記トランスの前記中間タップに電気的に接続される第2の接続端子と、前記第2の放電灯の一端に電気的に接続される第3の接続端子とが設けられていることが好ましい。
【0016】
この放電灯点灯装置において、前記トランスは、単巻トランス、または、前記一次巻線と前記二次巻線とが直列接続されたトランスであることが好ましい。
【0017】
この放電灯点灯装置において、前記バランサの前記第1の巻線と前記第1の放電灯との間に設けられた第1の容量性素子と、前記バランサの前記第2の巻線と前記第2の放電灯との間に設けられた第2の容量性素子とを備えることが好ましい。
【0018】
本発明の照明装置は、前記放電灯点灯装置と、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる第1の放電灯および第2の放電灯が並列接続された照明負荷とを備えることを特徴とする。
【0019】
この照明装置において、前記第1の放電灯と前記第2の放電灯は、互いに直列接続された光源の個数が異なることが好ましい。
【発明の効果】
【0020】
本発明は、バランサの第1の巻線および第2の巻線の各々の両端電圧がゼロに近づくように、トランスの二次巻線で発生した高周波電圧を第1の放電灯および第2の放電灯の少なくともいずれかに印加することができる。これにより、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯(第1の放電灯および第2の放電灯)を安定に並列点灯させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】実施形態1に係る照明装置であって、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図2】同上に係る照明装置であって、同じ特性の複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図3】同上に係る照明装置の変形例であって、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図4】同上に係る照明装置の他の変形例であって、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図5】同上に係る照明装置の他の変形例であって、同じ特性の複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図6】実施形態2に係る照明装置であって、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図7】同上に係る照明装置であって、同じ特性の複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図8】実施形態3に係る照明装置であって、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図9】同上に係る照明装置であって、同じ特性の複数の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図10】実施形態4に係る照明装置であって、個数の異なる複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図11】同上に係る照明装置であって、個数の等しい複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図12】実施形態5に係る照明装置であって、個数の異なる複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図13】同上に係る照明装置であって、個数の等しい複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図14】実施形態6に係る照明装置であって、個数の異なる複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図15】同上に係る照明装置であって、個数の等しい複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【図16】同上に係る予熱回路の要部であって、(a)は、個数の異なる複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図、(b)は、個数の等しい複数組の放電灯が並列接続された場合の回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下の実施形態1〜6では、複数の放電灯を点灯させる放電灯点灯装置およびそれを用いた照明装置について説明する。
【0023】
(実施形態1)
実施形態1に係る照明装置1は、図1に示すように、第1の放電灯21および第2の放電灯22が並列接続された照明負荷(負荷回路)2と、照明負荷2を点灯させる放電灯点灯装置3とを備えている。
【0024】
照明負荷2は、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが並列接続されて構成されている。第1の放電灯21および第2の放電灯22は、例えば熱陰極型蛍光ランプなどであり、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる光源である。本実施形態では、第1の放電灯21が第2の放電灯22よりも定格電力が大きい。
【0025】
放電灯点灯装置3は、インバータ回路31と、共振回路32と、発振制御部33と、駆動回路34と、バランサ35と、トランス36と、予熱回路37とを備えている。また、放電灯点灯装置3は、第1の放電灯21が装着される一対のコネクタ41,42と、第2の放電灯22が装着される一対のコネクタ43,44とを備えている。インバータ回路31および共振回路32は、直流電源9の直流電圧を高周波電圧に変換する高周波電圧生成回路の機能を有している。
【0026】
インバータ回路31は、直流電源9の両端間に第1のスイッチング素子311と第2のスイッチング素子312とが直列接続されたハーフブリッジ型の回路である。第1のスイッチング素子311および第2のスイッチング素子312は、例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor)型電界効果トランジスタなどである。高圧側の第1のスイッチング素子311および低圧側の第2のスイッチング素子312が交互にスイッチングすることによって、インバータ回路31は直流電源9の直流電圧を高周波電圧に変換する。なお、インバータ回路31は、ハーフブリッジ型の回路に限定されず、フルブリッジ型の回路であってもよい。
【0027】
共振回路32は、第2のスイッチング素子312の両端間に接続されたインダクタ321およびコンデンサ322のLC共振回路と、インダクタ321とコンデンサ322との接続点に接続された直流カットコンデンサ323とを備えている。なお、共振回路32は、第1のスイッチング素子311の両端間に接続されてもよい。
【0028】
発振制御部33は、所定の周波数で発振する発振回路(図示せず)を備え、外部の調光器8から入力される調光信号に応じて発振回路の発振周波数を変化させ、所定周波数の矩形波信号からなる発振制御信号を駆動回路34に出力する。
【0029】
駆動回路34は、発振制御部33から入力される発振制御信号に応じて、第1のスイッチング素子311および第2のスイッチング素子312を駆動して交互にオンオフさせる。すなわち、発振制御部33が発振制御信号の周波数を変化させ、駆動回路34が第1のスイッチング素子311および第2のスイッチング素子312を駆動して交互にオンオフさせることによって、インバータ回路31の動作周波数を変化させて、第1の放電灯21および第2の放電灯22を始動させたり、調光させたりすることができる。
【0030】
バランサ35は、第1の放電灯21の給電路に挿入された第1の巻線351と、第2の放電灯22の給電路に挿入された第2の巻線352とを備え、共振回路32の出力側に接続されている。バランサ35は、例えば共通の鉄心に巻回されることで第1の巻線351と第2の巻線352とが磁気結合するバランサトランスである。本実施形態のバランサ35では、第1の巻線351が第1の放電灯21とともに第1の直列回路を形成し、第2の巻線352が第2の放電灯22とともに第2の直列回路を形成するように共振回路32と照明負荷2との間に設けられている。
【0031】
トランス36は、磁気結合する一次巻線361および二次巻線(トランス36の出力側)362を備えている。一次巻線361は、直流カットコンデンサ38とともに直列回路を形成し、共振回路32の一対の出力端の間に接続されている。二次巻線362は、バランサ35の第2の巻線352を介して第2の放電灯22に電気的に接続されている。すなわち、一次巻線361は、一端が後述の第1の接続端子51に接続され、他端が後述の第3の接続端子53に接続されている。二次巻線362は、一端が後述の第2の接続端子52に接続され、他端が第3の接続端子53に接続されている。なお、本実施形態のトランス36は、単巻トランス(オートトランス)であるが、他のトランスであってもよい。他のトランスとしては、一次巻線361と二次巻線362とが直列接続されたトランスなどがある。
【0032】
ところで、トランス36は、バランサ35において第1の巻線351および第2の巻線352の各々の両端電圧がゼロに近づくように、二次巻線362で発生した高周波電圧を第2の放電灯22に印加する。このため、トランス36は、第1の放電灯21のランプ電圧と第2の放電灯22のランプ電圧との電圧比に応じて一次巻線361と二次巻線362との巻数比が設定されていることが好ましい。例えば、第1の放電灯21のランプ電圧が第2の放電灯22のランプ電圧のn倍である場合、一次巻線:二次巻線=n:1とすればよい。例えば、第1の放電灯21のランプ電圧が第2の放電灯22のランプ電圧の2倍である場合、一次巻線:二次巻線=2:1とすればよい。すなわち、分路巻線:直列巻線=1:1とすればよい。なお、トランス36の励磁電流などを考慮してトランス36の巻数比を調整して設定してもよい。
【0033】
これにより、第1の放電灯21のランプ電流と第2の放電灯22のランプ電流とが等しい平衡状態において、バランサ35の第1の巻線351の両端電圧と第2の巻線352の両端電圧とをゼロに近づけることができる。その結果、第1の放電灯21および第2の放電灯22の各々の基準電圧にバランサ電圧が加えられることによって、ランプ電流のバランスが崩れにくくなるので、バランサ35を大型化することなく、第1の放電灯21および第2の放電灯22を深調光(例えば25%以下)まで絞ることができる。
【0034】
予熱回路37は、第1の放電灯21のフィラメントおよび第2の放電灯22のフィラメントに予熱電流を流す。
【0035】
ところで、放電灯点灯装置3は、インバータ回路31と共振回路32とバランサ35と予熱回路37とが実装されたプリント基板(図示せず)を備えている。さらに、上記プリント基板には、第1の接続端子51と、第2の接続端子52と、第3の接続端子53と、第4の接続端子54と、第5の接続端子55とが設けられている。第1の接続端子51にはトランス36の一次巻線361の一端が接続され、第2の接続端子52にはトランス36の二次巻線362の一端が接続され、第3の接続端子53には一次巻線361および二次巻線362の他端(直流電源9のグランド側)が接続される。第4の接続端子54には直流カットコンデンサ38の一端が接続され、第5の接続端子55には直流カットコンデンサ38の他端(直流電源9のグランド側)が接続される。すなわち、図1に示す回路パターンがプリント基板上に配線されている。なお、第1の接続端子51、第2の接続端子52、第3の接続端子53、第4の接続端子54および第5の接続端子55は、プリント基板上にランドとして設けられてもよい。
【0036】
第1の放電灯21と第2の放電灯22とが異なる特性の場合、図1に示すように、トランス36および直流カットコンデンサ38はプリント基板(図示せず)に実装され、トランス36は、二次巻線362で発生した高周波電圧を第2の放電灯22に印加する。
【0037】
一方、図2に示すように、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性である照明負荷2を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、トランス36および直流カットコンデンサ38はプリント基板に実装されず、第1の接続端子51と第2の接続端子52との間がジャンパ線61によって短絡する。すなわち、共振回路32の出力端とバランサ35の第2の巻線352との間が短絡する。
【0038】
以上の説明より、本実施形態の照明装置1は、放電灯点灯装置3において、バランサ35の第1の巻線351および第2の巻線352の各々の両端電圧がゼロに近づくように、トランス36の二次巻線362で発生した高周波電圧を第2の放電灯22に印加することができる。これにより、定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる複数の放電灯(第1の放電灯21および第2の放電灯22)を安定に並列点灯させることができる。この際に、バランサ35のインダクタまたはインピーダンスを大きくすることなく、複数の放電灯のランプ電流を等しくして深調光(例えば25%以下)に対応させることができるので、バランサ35を大型にする必要がない。
【0039】
また、本実施形態によれば、トランス36の巻数比を第1の放電灯21のランプ電圧と第2の放電灯22のランプ電圧との電圧比に近づけることによって、バランサ35の第1の巻線351および第2の巻線352の各々の両端電圧をゼロに近づけることができる。
【0040】
さらに、本実施形態によれば、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性である場合に、トランス36を実装せずに、第1の接続端子51と第2の接続端子52との間をジャンパ線61で短絡させることができる。これにより、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが異なる特性の場合と、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性である場合とで、放電灯点灯装置3の主要な回路部品(インバータ回路31、共振回路32、バランサ35および予熱回路37)が配置されたプリント基板の共通化を図ることができるので、生産性を向上させることができる。
【0041】
なお、共振回路32は、直流カットコンデンサ323に代えて、図3に示すように、第1の放電灯21に直列接続された直流カットコンデンサ324と、第2の放電灯22に直列接続された直流カットコンデンサ325とを備えていてもよい。直流カットコンデンサ324は、バランサ35の第1の巻線351と第1の放電灯21との間に設けられた第1の容量性素子であり、直流カットコンデンサ325は、バランサ35の第2の巻線352と第2の放電灯22との間に設けられた第2の容量性素子である。
【0042】
また、放電灯点灯装置3は、バランサ35の第1の巻線351の出力端と第2の巻線352の出力端との間にコンデンサ353を備えてもよい。これにより、バランサ35のインピーダンスを等価的に大きくすることができるので、コンデンサ353を備えていない場合よりもバランサ35を小型にすることができる。
【0043】
さらに、放電灯点灯装置3は、図4,5に示すように、第1の放電灯21および第2の放電灯22に対して直流電源9のグランド側にバランサ35が配置された構成であってもよい。図4は、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが異なる特性の場合を示し、図5は、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性の場合を示す。
【0044】
(実施形態2)
実施形態2に係る照明装置1は、図6に示すように、ランプ電圧の高い第1の放電灯21に、トランス36の二次巻線362で発生した高周波電圧を印加する点で、実施形態1に係る照明装置1(図1参照)と相違する。なお、実施形態1の照明装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0045】
本実施形態のトランス36は、第1の放電灯21のランプ電圧と第2の放電灯22のランプ電圧との電圧比に応じて、一次巻線361と二次巻線362との巻数比が設定されている。例えば、第1の放電灯21のランプ電圧が第2の放電灯22のランプ電圧の2倍である場合、一次巻線:二次巻線=1:2とすればよい。本実施形態の第1の放電灯21には、トランス36で昇圧された高周波電圧が印加される。なお、実施形態1のトランス36(図1参照)と同様の機能については説明を省略する。
【0046】
一方、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性である照明負荷2を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、図7に示すように、トランス36および直流カットコンデンサ38はプリント基板(図示せず)に実装されず、第1の接続端子51と第2の接続端子52との間がジャンパ線61によって短絡する。
【0047】
(実施形態3)
実施形態3に係る照明装置1は、図8に示すように、トランス36および直流カットコンデンサ38の直列回路がバランサ35の第2の巻線352の出力側に接続されている点で、実施形態1に係る照明装置1(図1参照)と相違する。なお、実施形態1の照明装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0048】
本実施形態のトランス36は、バランサ35の第2の巻線352と第2の放電灯22との間に設けられている。具体的には、一次巻線361は、第2の巻線352および直流カットコンデンサ38とともに直列回路を形成して共振回路32の一対の出力端の間に接続され、二次巻線362は、第2の放電灯22に接続されている。トランス36は、二次巻線362で発生した高周波電圧を第2の放電灯22に印加する。なお、実施形態1のトランス36(図1参照)と同様の機能については説明を省略する。
【0049】
一方、第1の放電灯21と第2の放電灯22とが同じ特性である照明負荷2を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、図9に示すように、トランス36および直流カットコンデンサ38はプリント基板(図示せず)に実装されず、第1の接続端子51と第2の接続端子52との間がジャンパ線61によって短絡する。すなわち、バランサ35の第2の巻線352と第2の放電灯22との間が短絡する。
【0050】
(実施形態4)
実施形態4では、図10,11に示すように、3つ以上の放電灯211,212,221,222を点灯させる場合について説明する。図10は、3つの放電灯211,212,221で構成される照明負荷2(以下「3灯負荷」という)の場合の構成を示し、図11は、4つの放電灯211,212,221,222によって2組の2灯直列の並列回路で構成された照明負荷2(以下「4灯負荷」という)の場合の構成を示す。なお、実施形態1の照明装置1(図1参照)と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0051】
図10では、第1の放電灯として、2つの放電灯211,212が直列接続されて用いられ、第2の放電灯として、1つの放電灯221が用いられている。すなわち、図10では、第1の放電灯と第2の放電灯は、互いに直列接続された光源の個数が異なっている。
【0052】
このような3灯負荷の場合、トランス36の二次巻線362にバランサ35の第2の巻線352を介して第2の放電灯としての放電灯221が接続されている。予熱回路37に接続されているコネクタ46は用いられず、放電灯221はコネクタ43,44に接続され、予熱回路37により予熱される。2灯直列の放電灯211,212の接続点のフィラメントは、コネクタ45によって予熱回路37に接続され、予熱回路37によって予熱される。
【0053】
一方、図11に示す4灯負荷を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、トランス36および直流カットコンデンサ38はプリント基板(図示せず)に実装されず、第1の接続端子51と第2の接続端子52との間がジャンパ線61によって短絡する。4灯負荷の場合、2灯直列の放電灯211,212の接続点のフィラメントは、コネクタ45によって予熱回路37に接続され、予熱回路37によって予熱される。2灯直列の放電灯221,222の接続点のフィラメントは、コネクタ46によって予熱回路37に接続され、予熱回路37によって予熱される。
【0054】
放電灯211,212,221,222が全て同じ特性である場合、本実施形態のトランス36の巻数比は、理想的には1対1である。ただし、トランス36の励磁電流などを考慮してトランス36の巻数比を調整して設定してもよい。なお、実施形態1のトランス36(図1参照)と同様の機能については説明を省略する。
【0055】
以上の説明より、本実施形態では、3灯負荷の場合と4灯負荷の場合とで、放電灯点灯装置3の主要な回路部品(インバータ回路31、共振回路32、バランサ35および予熱回路37)が配置されたプリント基板(図示せず)の共通化を図ることができ、生産性を向上させることができる。
【0056】
なお、本実施形態の放電灯点灯装置3は、例えば3灯直列の放電灯が並列接続された6灯負荷のような5つ以上の放電灯の場合であっても適用することができる。
【0057】
(実施形態5)
実施形態5に係る照明装置1は、図12,13に示すように、3灯負荷の場合(第1の放電灯と第2の放電灯とで放電灯の個数が異なる場合)だけではなく、4灯負荷(第1の放電灯と第2の放電灯とで放電灯の個数が同じである場合)の場合にもトランス36および直流カットコンデンサ38を用いる点で、実施形態4に係る照明装置1(図11参照)と相違する。なお、実施形態4の照明装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0058】
本実施形態のプリント基板(図示せず)には、インバータ回路31と共振回路32とバランサ35とトランス36と予熱回路37とが設置されている。さらに、本実施形態のプリント基板には、第1の接続端子71と、第2の接続端子72と、第3の接続端子731,732とが設けられている。第1の接続端子71はトランス36の二次巻線362に電気的に接続され、第2の接続端子72はトランス36の中間タップに電気的に接続され、第3の接続端子731,732は放電灯222に電気的に接続される。
【0059】
本実施形態のトランス36は、第1の放電灯のランプ電圧と第2の放電灯のランプ電圧との電圧比に応じて二次巻線362の中間タップが設定されている。例えば、第2の放電灯のランプ電圧が第1の放電灯のランプ電圧のn分の1である場合、中間タップから他端までの巻数を二次巻線362の全体の巻数のn分の1にすればよい。なお、トランス36の励磁電流などを考慮してトランス36の巻数比を調整して設定してもよい。
【0060】
図12に示す3灯負荷を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、第1の接続端子71と第3の接続端子731との間が開放され、第2の接続端子72と第3の接続端子732との間がジャンパ線63によって短絡する。これにより、トランス36は、二次巻線362の両端がバランサ35の第1の巻線351および放電灯211,212の直列回路に電気的に接続され、二次巻線362の一端および中間タップがバランサ35の第2の巻線352および放電灯221の直列回路に電気的に接続される。
【0061】
一方、図13に示す4灯負荷を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、第1の接続端子71と第3の接続端子731との間がジャンパ線62によって短絡し、第2の接続端子72と第3の接続端子732との間が開放される。これにより、トランス36の二次巻線362の両端は、バランサ35の第1の巻線351および放電灯211,212の直列回路と、バランサ35の第2の巻線352および放電灯221の直列回路との両方に電気的に接続される。
【0062】
図13に示すように4灯負荷の場合にもトランス36を用いることによって、放電灯211,212の接続点および放電灯221,222の接続点を擬似的に回路の基準電位とすることができる。これにより、トランス36の巻数比を1対1とした場合、コネクタ45,46の電圧を実施形態4(図11参照)の場合よりも約半分にすることができるので、放電灯211,212,221,222からの漏れ電流を少なくすることができる。さらに、放電灯211,212の接続点および放電灯221,222の接続点の各々の配線からの漏れ電流を極めて小さくすることができる。
【0063】
また、本実施形態の放電灯点灯装置3では、3灯負荷の場合に、第2の接続端子72と第3の接続端子732との間にジャンパ線63を接続し、4灯負荷の場合に、第1の接続端子71と第3の接続端子731との間にジャンパ線62を接続することができる。これにより、3灯負荷の場合と4灯負荷の場合とで、放電灯点灯装置3の主要な回路部品(インバータ回路31、共振回路32、バランサ35、トランス36および予熱回路37)が配置されたプリント基板(図示せず)の共通化を図ることができ、生産性を向上させることができる。
【0064】
(実施形態6)
実施形態6に係る照明装置1は、図14,15に示すように、実施形態5に係る照明装置1(図12,13参照)とは異なる回路構成を有している。なお、実施形態5の照明装置1と同様の構成要素については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
図14に示す3灯負荷を点灯させるために放電灯点灯装置3が用いられる場合、第2の接続端子72と第3の接続端子732との間はジャンパ線63によって短絡し、図15に示す4灯負荷の場合、第2の接続端子72と第3の接続端子732との間は開放される。
【0066】
予熱回路37は、図16に示すように、予熱トランス371と予熱コンデンサ372とを備えている。4灯負荷の場合、図16(b)に示すように、第4の接続端子74と第5の接続端子75との間がジャンパ線64によって短絡し、3灯負荷の場合、図16(a)に示すように、第4の接続端子74と第6の接続端子76との間がジャンパ線65によって短絡する。予熱電流は、予熱コンデンサ372の容量値を調整することで対応することができる。
【0067】
本実施形態の照明装置1においても、3灯負荷の場合と4灯負荷の場合とで、放電灯点灯装置3のプリント基板(図示せず)の共通化を図ることができ、生産性を向上させることができる。
【0068】
なお、実施形態4〜6において、放電灯点灯装置3が放電灯211,212,221,222の各フィラメントの脱着検出回路(図示せず)を備えている場合であっても、3灯負荷のときに、コネクタ46に接続されるフィラメントに対する検出を不動作にすればよい。これにより、3灯負荷である場合と4灯負荷の場合とで検出回路を共用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1 照明装置
2 照明負荷
21 第1の放電灯
211,212 放電灯(光源)
22 第2の放電灯
221,222 放電灯(光源)
3 放電灯点灯装置
31 インバータ回路(高周波電圧生成回路)
32 共振回路(高周波電圧生成回路)
35 バランサ
351 第1の巻線
352 第2の巻線
36 トランス
361 一次巻線
362 二次巻線
51 第1の接続端子
52 第2の接続端子
71 第1の接続端子
72 第2の接続端子
731,732 第3の接続端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる第1の放電灯および第2の放電灯が並列接続された照明負荷を点灯させる放電灯点灯装置であって、
直流電源の直流電圧を高周波電圧に変換する高周波電圧生成回路と、
第1の巻線が前記第1の放電灯の給電路に挿入され、第2の巻線が前記第2の放電灯の給電路に挿入されたバランサと、
一次巻線が前記高周波電圧生成回路の一対の出力端の間に電気的に接続され、前記第1の放電灯のランプ電流と前記第2の放電灯のランプ電流とが等しい平衡状態において前記バランサの前記第1の巻線および前記第2の巻線の各々の両端電圧がゼロに近づくように二次巻線が前記第1の放電灯および前記第2の放電灯の少なくとも一方に接続されるトランスと
を備えることを特徴とする放電灯点灯装置。
【請求項2】
前記トランスは、前記第1の放電灯のランプ電圧と前記第2の放電灯のランプ電圧との電圧比に応じて前記一次巻線と前記二次巻線との巻数比が設定されていることを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項3】
前記バランサは、前記第1の巻線が前記第1の放電灯とともに第1の直列回路を形成し、前記第2の巻線が前記第2の放電灯とともに第2の直列回路を形成し、
前記トランスは、前記二次巻線で発生した高周波電圧を前記第1の直列回路または前記第2の直列回路のいずれか一方に印加する
ことを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項4】
前記トランスは、前記バランサの前記第2の巻線と前記第2の放電灯との間に設けられ、前記一次巻線が前記第2の巻線に直列接続され、前記二次巻線が前記第2の放電灯に接続され、前記二次巻線で発生した高周波電圧を前記第2の放電灯に印加することを特徴とする請求項1または2記載の放電灯点灯装置。
【請求項5】
前記高周波電圧生成回路と前記バランサとが実装されたプリント基板を備え、
前記プリント基板には、前記トランスの前記一次巻線が接続される第1の接続端子と、前記トランスの前記二次巻線が接続される第2の接続端子とが設けられている
ことを特徴とする請求項3または4記載の放電灯点灯装置。
【請求項6】
前記第1の放電灯は、前記第2の放電灯よりも定格電力が大きく、
前記バランサは、前記第1の巻線が前記第1の放電灯とともに第1の直列回路を形成し、前記第2の巻線が前記第2の放電灯とともに第2の直列回路を形成し、
前記トランスは、前記二次巻線の両端が前記第1の直列回路に接続され、前記二次巻線の一端および中間タップが前記第2の直列回路に接続される
ことを特徴とする請求項1記載の放電灯点灯装置。
【請求項7】
前記高周波電圧生成回路と前記バランサと前記トランスとが実装されたプリント基板を備え、
前記プリント基板には、前記トランスの前記二次巻線の他端に接続される第1の接続端子と、前記トランスの前記中間タップに接続される第2の接続端子と、前記第2の放電灯の一端に接続される第3の接続端子とが設けられている
ことを特徴とする請求項6記載の放電灯点灯装置。
【請求項8】
前記トランスは、単巻トランス、または、前記一次巻線と前記二次巻線とが直列接続されたトランスであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項9】
前記バランサの前記第1の巻線と前記第1の放電灯との間に設けられた第1の容量性素子と、
前記バランサの前記第2の巻線と前記第2の放電灯との間に設けられた第2の容量性素子と
を備えることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の放電灯点灯装置と、
定格ランプ電流が等しく定格電力が異なる第1の放電灯および第2の放電灯が並列接続された照明負荷と
を備えることを特徴とする照明装置。
【請求項11】
前記第1の放電灯と前記第2の放電灯は、互いに直列接続された光源の個数が異なることを特徴とする請求項10記載の照明装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2013−45653(P2013−45653A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−183028(P2011−183028)
【出願日】平成23年8月24日(2011.8.24)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】