説明

整髪用乳化組成物

【課題】室温で固形の油分が多く配合されていたとしても、整髪後のべたつき感がなく、自然な艶感を付与することができるとともに、毛髪からの洗い落ちに優れる整髪用乳化組成物の提供。
【解決手段】(A)室温で固形のロウ類および/又は室温で固形の炭化水素類、(B)非イオン性界面活性剤、(C)ロジンの中和物および/又は水素添加ロジンの中和物、並びに(D)水を含有してなる整髪用乳化組成物とする。所望により、(E)室温で液状の炭化水素油および/又は室温で液状のエステル油を含有させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、整髪用乳化組成物に関する。尚、本発明における室温とは、1〜30℃の温度範囲を表す。
【背景技術】
【0002】
従来より、ヘアワックスやヘアクリームといった整髪用乳化組成物には、「立ち上げる」「まとめる」「保持する」といった整髪性を付与するために、ロウ類や炭化水素類などの室温で固形の油分が配合されている。しかしながら、室温で固形の油分を多く配合すると、優れた整髪性が得られる反面、油分のぎらつき感が際立つことから、自然な艶感が得られにくいといった問題がある。また、油分が多く配合されているため、毛髪からの洗い落ちが悪く、洗髪後の毛髪に油分が残るといった問題もある。
【0003】
これまで、整髪性を維持したまま自然な艶感を付与する試みがなされている。例えば、ロウ類と、特定の水溶性高分子と、流動油分と、水とを含有する整髪料(特許文献1を参照)、ロウ類と、ペースト状の油剤と、特定重合度のポリエチレングリコールとを含有する整髪料(特許文献2を参照)などが提案されている。しかしながら、これら試みに拠って、ある程度自然な艶感を付与することはできるものの、洗髪時に毛髪からの洗い落ちに劣るといった問題がある。
【0004】
また、毛髪からの洗い落ちをよくする試みもなされている。例えば、特定の液状油と、揮発性の液状油と、ロウ類と、水とを含有した整髪料などが提案されている(特許文献3参照)。しかしながら、このような試みに拠って、ある程度毛髪からの洗い落ちを改善することはできるもの、室温で固形の油分特有の優れた整髪性が得られにくいといった問題がある。また、自然な艶感に劣るといった問題もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−45546号公報
【特許文献2】特開2002−187825号公報
【特許文献3】特開2005−239677号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、前記従来技術に鑑みてなされたものであり、室温で固形の油剤が多く配合された従来の整髪剤と同等の整髪性が得られるにもかかわらず、整髪後の毛髪には自然な艶感を付与することができるとともに、毛髪からの洗い落ちに格段に優れた効果を奏する整髪用乳化組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、
〔1〕(A)室温で固形のロウ類および/又は室温で固形の炭化水素類、(B)非イオン性界面活性剤、(C)ロジンの中和物および/又は水素添加ロジンの中和物、並びに(D)水を含有してなる整髪用乳化組成物、並びに
〔2〕更に、(E)室温で液状の炭化水素油および/又は室温で液状のエステル油を含有してなる前記〔1〕に記載の整髪用乳化組成物
に関する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の整髪用乳化組成物は、室温で固形の油剤が多く配合された従来の整髪剤と同等の整髪性が得られるとともに、整髪後の毛髪には自然な艶感を付与することができるという効果を奏する。また、本発明の整髪用乳化組成物は、洗髪時の毛髪からの洗い落ちに格段に優れた効果を奏することから、洗髪後の毛髪に油分が残らないものである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の整髪用乳化組成物は、(A)室温で固形のロウ類および/又は室温で固形の炭化水素類、(B)非イオン性界面活性剤、(C)ロジンの中和物および/又は水素添加ロジンの中和物、並びに(D)水を含有する。
【0010】
(A)成分の室温で固形のロウ類の具体例としては、例えば、カルナウバロウ、キャンデリラロウ、ミツロウ、コメヌカロウ、セラックロウ、鯨ロウ、ラノリンなどを例示することができる。また、室温で固形の炭化水素類の具体例としては、例えば、セレシン、パラフィンワックス、フィッシャー・トロプシュワックス(合成ワックス)、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレン末、ポリエチレンワックス、ワセリンなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0011】
(A)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、整髪性の観点から、組成物中、1質量%以上が好ましく、より好ましくは5質量%以上である。また、自然な艶感とする観点および洗髪時の洗い落ちの観点から、40質量%以下が好ましく、より好ましくは30質量%以下である。これらの観点から、(A)成分の含有量は、1〜40質量%が好ましく、より好ましくは5〜30質量%である。
【0012】
(B)成分の非イオン性界面活性剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ポリアルキレングリコール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物などの脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤の他、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンラノリンなどが挙げられる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0013】
グリセリン肪酸エステルとしては、本発明においては、グリセリン脂肪酸エステルおよびポリグリセリン脂肪酸エステルのいずれをも意味し、具体的には、モノカプリル酸グリセリル、モノカプリン酸グリセリル、モノラウリン酸グリセリル、モノミリスチン酸グリセリル、モノパルミチン酸グリセリル、モノステアリン酸グリセリル、モノイソステアリン酸グリセリル、モノベヘン酸グリセリル、モノオレイン酸グリセリル、モノエルカ酸グリセリル、セスキオレイン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、ジアラキン酸グリセリルなどのグリセリン脂肪酸エステル;モノカプリル酸ジグリセリル、モノカプリル酸デカグリセリル、モノカプリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸テトラグリセリル、モノラウリン酸ヘキサグリセリル、モノラウリン酸デカグリセリル、モノラウリン酸ポリ(4〜10)グリセリル、モノミリスチン酸デカグリセリル、モノステアリン酸デカグリセリル、モノイソステアリン酸デカグリセリル、モノステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、モノオレイン酸ジグリセリル、モノオレイン酸ヘキサグリセリル、セスキオレイン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸ポリ(2〜10)グリセリル、ジステアリン酸ポリ(6〜10)グリセリル、トリイソステアリン酸ジグリセリル、トリステアリン酸ポリ(10)グリセリルなどの上記したグリセリン脂肪酸エステルの重合度2〜10のポリグリセリン脂肪酸エステルを例示することができる。また、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、モノオレイン酸ポリオキシエチレングリセリルなどを例示することができる。
【0014】
ポリアルキレングリコール脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ポリエチレングリコール、モノステアリン酸ポリエチレングリコール、モノラウリン酸ポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール脂肪酸エステル;モノステアリン酸プロピレングリコール、モノラウリン酸プロピレングリコール、モノオレイン酸プロピレングリコールなどのプロピレングリコール脂肪酸エステルなどを例示することができる。
【0015】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、モノステアリン酸ソルビタン、モノイソステアリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、モノラウリン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、トリステアリン酸ソルビタン、セスキステアリン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、セスキイソステアリン酸ソルビタン、ヤシ油脂肪酸ソルビタンなどのソルビタン脂肪酸エステルを例示することができる。また、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物としては、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノパルミチン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノイソステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノヤシ油脂肪酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどを例示することができる。
【0016】
ポリオキシアルキレンアルキルエーテルの具体例としては、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンラウリルエーテル、ポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシプロピレンイソセチルエーテル、ポリオキシプロピレンステアリルエーテル、ポリオキシプロピレンオレイルエーテルなどを例示することができる。
【0017】
好適な(B)成分としては、乳化の観点から、グリセリン脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物、ソルビタン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステルの酸化エチレン縮合物およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルの群から選ばれる少なくとも1種を用いるのが好ましい。
【0018】
(B)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、乳化の観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、整髪時の使用感の観点から、30質量%以下が好ましく、より好ましくは20質量%以下である。これらの観点から、(B)成分の含有量は、好ましくは0.1〜30質量%、より好ましくは0.5〜20質量%である。
【0019】
(C)成分を構成するロジンとは、マツ科の植物の樹液である松脂(まつやに)を蒸留して得られる、ロジン酸を主成分とする天然樹脂である。本発明においては、該ロジンに水素添加した水素添加ロジンを用いても良い。また、本発明においては、室温で固形の油剤が多く配合された従来の整髪剤と同等の整髪性が得られるにもかかわらず、整髪後の毛髪には自然な艶感を付与することができるとともに、洗髪時の毛髪からの洗い落ちを良くすることから、ロジンの中和物および/又は水素添加ロジンの中和物が用いられる。加えて、このような中和物を用いることにより、容易に乳化組成物とすることができるという利点もある。
【0020】
上記したロジンおよび/又は水素添加ロジンを中和するのに用いられる中和剤としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムなどを例示することができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。好適な中和剤としては、乳化および洗い落ちの観点から、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムを用いることが好ましい。
【0021】
本発明の整髪用乳化組成物に、(C)成分を含有させるには、ロジンおよび/又は水素添加ロジンを予め中和剤で中和した物を調製後に配合してもよく、ロジンおよび/又は水素添加ロジンと中和剤とを個々に配合して組成物中で中和物としてもよい。本発明においては、既に中和されている形態の市販品を配合させてもよい。
【0022】
尚、(C)成分は、市販品をそのまま使用することができる。具体的には、例えば、中国ロジンX、ハイペール(商品名,何れも荒川化学工業社製)などを例示することができる。また、既に中和されている形態の市販品としては、例えば、ロンヂスK−25(商品名,荒川化学工業社製)などを例示することができる。
【0023】
(C)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、整髪性の観点、艶感の観点、並びに、洗い落ちの観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、整髪時の使用感の観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。これらの観点から、(C)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。
【0024】
(D)成分の水は、化粧料原料として使用できるものであれば特に限定はされないが、通常、精製水が用いられる。本発明における水の含有量は、整髪性の観点から、組成物中、95質量%以下である。また、使用感の観点から、10質量%以上で調製される。これらの観点から、(D)成分の含有量は、10〜95質量%である。
【0025】
また、本発明の整髪用乳化組成物には、(C)成分の自然な潤いのある艶感を十分に発揮させる観点から、(E)室温で液状の炭化水素油および/又は室温で液状のエステル油を含有させることができる。これら成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を適宜組み合わせて用いることもできる。
【0026】
具体的な室温で液状の炭化水素油としては、軽質イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、合成スクワラン、植物性スクワラン、スクワラン、流動パラフィン、流動イソパラフィンなどを例示することができる。
【0027】
室温で液状のエステル油としては、炭素数6〜22の脂肪酸と炭素数2〜22のアルコールとのエステル化合物が挙げられる。その具体例としては、例えば、パルミチン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、2−エチルヘキサン酸セチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸2−ヘキシルデシル、ミリスチン酸オクチルドデシル、リノール酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、ラノリン酸イソプロピル、ラノリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、オレイン酸デシル、パルミチン酸セチル、トリミリスチン酸グリセリン、ジオレイン酸プロピレングリコール、トリイソステアリン酸グリセリン、トリイソオクタン酸グリセリン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリン、ステアリン酸コレステリルなどを例示することができる。
【0028】
(E)成分の含有量は、所望の効果が充分に付与されるのであれば特に限定されないが、通常、艶感の観点から、組成物中、0.1質量%以上が好ましく、より好ましくは0.5質量%以上である。また、整髪性の観点から、20質量%以下が好ましく、より好ましくは15質量%以下である。これらの観点から、(E)成分の含有量は、好ましくは0.1〜20質量%、より好ましくは0.5〜15質量%である。
【0029】
本発明の整髪用乳化組成物には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、上記した成分の他に通常化粧品に用いられる成分、例えば、シリコーン油、脂肪酸、多価アルコール、高級アルコール、皮膜形成剤、低級アルコール、紫外線吸収剤、香料、酸化防止剤、保湿剤、清涼剤、ビタミン類、植物抽出物などを目的に応じて適宜配合することができる。
【0030】
具体的なシリコーン油としては、メチルポリシロキサン、高重合メチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ジメチコノールなどの鎖状シリコーン;オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサンなどの環状シリコーン;アミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体、アミノエチルアミノプロピルメチルシロキサン・ジメチルシロキサン共重合体などのアミノ変性シリコーン;カルボキシ変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、脂肪族アルコール変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーンなどを例示することができる。
【0031】
具体的な脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、イソステアリン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、ウンデシレン酸などを例示することができる。
【0032】
具体的な多価アルコールとしては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオールなどを例示することができる。
【0033】
具体的な高級アルコールとしては、例えば、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコールなどを例示することができる。
【0034】
具体的な皮膜形成剤としては、例えば、ポリビニルピロリドン、酢酸ビニル・ビニルピロリドン共重合体、ビニルピロリドン・N,N−ジメチルアミノエチルメタクリル酸共重合体ジエチル硫酸塩、ビニルピロリドン・メタクリルアミド・ビニルイミダゾール共重合体、N−メタクリロイルオキシエチルN,N−ジメチルアンモニウム−α−N−メチルカル・ボキシベタイン・メタクリル酸アルキルエステル共重合体、アクリル樹脂アルカノールアミン、ビニルメチルエーテル・マレイン酸ブチル共重合体などを例示することができる。
【0035】
尚、本発明の整髪用乳化組成物は、前記各構成成分を混合し、公知の方法、例えばホモミキサーを用いた転相乳化法などにより乳化することにより製造することができる。また、混合と乳化は別々に行っても同時に行ってもよい。
【実施例】
【0036】
以下、本発明を実施例に基づいて更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例にのみ限定されるものではない。尚、配合量は、特記しない限り「質量%」を表す。
【0037】
(試料の調製1)
表1および表2に記した組成に従い、実施例1〜4および比較例1〜4の各整髪用乳化組成物を常法に準じて調製し、下記評価に供した。結果をそれぞれ表1および表2に併記する。尚、評価はすべて、23℃、湿度60%の恒温恒湿の一定条件下で実施した。また、比較例4は、乳化組成物とはならないものである。
【0038】
(試験例1:整髪性の評価)
評価パネル20名により、実施例および比較例で得られた各試料をウィッグ(レッスンマネキン:ユーカリジャパン社製)を用いて実際に整髪してもらい、整髪性について下記の評価基準に従って官能評価した。
尚、整髪性の評価は、毛髪を「立ち上げる力」、立ち上げた毛髪を「まとめる力」、まとめた毛髪が「保持される力」について総合的に評価してもらった。
【0039】
<整髪性の評価基準>
○:20名中16名以上が整髪性に優れると回答
△:20名中10〜15名が整髪性に優れると回答
×:20名中9名以下が整髪性に優れると回答
【0040】
(試験例2:艶感の評価)
試験例1の評価後、同評価パネルにより、ウィッグから0.5m離れて整髪した毛髪を見てもらい、見た目の艶感について、下記評価基準に従って目視評価した。
【0041】
<艶感の評価基準>
○:20名中16名以上がぎらつき感はなく、自然な艶が付与されていると回答
△:20名中10〜15名がぎらつき感はなく、自然な艶が付与されていると回答
×:20名中9名以下がぎらつき感はなく、自然な艶が付与されていると回答
【0042】
(試験例3:毛髪からの洗い落ちの評価)
試験例2の評価1時間後、同評価パネルにより、整髪したウィッグをシャンプー(商品名 ルシード シャンプー,マンダム社製)を用いて、ぬるま湯にて洗髪してもらい、洗髪時の毛髪からの洗い落ちについて、下記の評価基準に従って官能評価した。
【0043】
<洗い落ちの評価基準>
○:20名中16名以上がべたつき感なく、毛髪から洗い落ちると回答
△:20名中10〜15名がべたつき感なく、毛髪から洗い落ちると回答
×:20名中9名以下がべたつき感なく、毛髪から洗い落ちると回答
【0044】
【表1】

【0045】
【表2】

【0046】
表1および2に示された結果から、実施例の整髪用乳化組成物は、優れた整髪性を有するとともに、整髪後はべたつき感がなく、自然な艶感を付与できていることが分かる。また、実施例の整髪用乳化組成物は、室温で固形の油剤が多く配合されているにもかかわらず、洗髪時の毛髪からの洗い落ちに格段に優れた効果を奏していることも分かる。
【0047】
これに対し、(C)成分を含有しない比較例1では、整髪性、毛髪からの洗い落ちに劣っていることが分かる。また、未中和物を含有した比較例2も毛髪からの洗い落ちに劣っていることが分かる。更に、ロジンのエステル化物に置き換えた比較例3および4では、艶感に劣り、毛髪からの洗い落ちにも劣っていることが分かる。
【0048】
以下、本発明に係る整髪用乳化組成物の処方例を示す。尚、含有量は質量%である。
【0049】
(処方例1)
キャンデリラロウ 8.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1.0
モノステアリン酸ソルビタン 2.0
ロジン 3.0
水酸化カリウム 0.45
スクワラン 1.0
精製水 残 部
合 計 100.0
【0050】
(処方例2)
カルナウバロウ 3.0
ミツロウ 8.0
モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) 1.5
モノステアリン酸ソルビタン 4.0
水素添加ロジン 1.0
水酸化ナトリウム 0.11
ジメチコノール 3.0
精製水 残 部
合 計 100.0
【0051】
(処方例3)
マイクロクリスタリンワックス 5.0
パラフィンワックス 5.0
ポリオキシエチレンセチルエーテル(20E.O.) 1.0
モノステアリン酸ソルビタン 4.0
ロジンKOH中和物 5.0
ポリビニルピロリドン 0.5
イソノナン酸イソノニル 5.0
精製水 残 部
合 計 100.0

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)室温で固形のロウ類および/又は室温で固形の炭化水素類、(B)非イオン性界面活性剤、(C)ロジンの中和物および/又は水素添加ロジンの中和物、並びに(D)水を含有してなる整髪用乳化組成物。
【請求項2】
更に、(E)室温で液状の炭化水素油および/又は室温で液状のエステル油を含有してなる請求項1に記載の整髪用乳化組成物。

【公開番号】特開2011−168508(P2011−168508A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−31812(P2010−31812)
【出願日】平成22年2月16日(2010.2.16)
【出願人】(390011442)株式会社マンダム (305)
【Fターム(参考)】