説明

新規な一酸化窒素放出アミジンおよびエナミン誘導ジアゼニウムジオレート、組成物およびそれらの用途、ならびにその製造方法

【課題】結合しているN−官能基が自発的NOおよび/またはNO−供与体として利用できるような原子的および電子的配置(atomic and electronic arrangement)を有する化学構造骨格(chemical structural framework)を提供する。
【解決手段】下記の化学構造結合を有する一酸化窒素放出アミジンまたはエナミン誘導ジアゼニウムジオレート。


代表例として、アセトアミジン−テトラキス(ニトリックオキサイド)付加物が挙げられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、一酸化窒素放出アミジンおよびエナミン誘導ジアゼニウムジオレート、そのような化合物を含有する組成物、そのような化合物および組成物を使用する方法、一酸化窒素とアミジンおよびエナミンとの直接反応を経由して一酸化窒素放出アミジンおよびエナミン誘導ジアゼニウムジオレートを製造する方法、ならびにアミンをそのような化合物に変換する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
一酸化窒素(nitric oxide)(NO)は、血圧の生理学的制御、マクロファージ誘導性の細胞性塞栓や細胞毒性、ならびに神経伝達を含めた多様な生体調節プロセスに関与する相互作用剤のカスケードの一部として関与することが示されてきた(Moncada et al., "Nitric Oxide from L-Arginine: A Bioregulatory System," Excerpta Medica, International Congress Series 897, Elsevier Science Publishers B.V.: Amsterdam, (1990); Marletta et al., Biofactors 2: 219-225 (1990); Ignarro, Hypertension (Dallas) 16: 477-483 (1990); Kerwin et al., J. Med. Chem. 38: 4343-4362 (1995); Anggard, Lancet343: 1199-1206 (1994))。NOはこのような多様な生体調節プロセスにおいて役割を果たすことから、NOを放出し得る化合物を開発するために多大な努力がなされてきた。これらの化合物の中には自発的に(例えば、水性媒体中の加水分解により)NOを放出し得るものもあれば、代謝されてNOを放出し得るものもある(Lefer et al., Drugs Future 19: 665-672 (1994))。
【0003】
Keeferら(米国特許第4,954,526号;米国特許第5,039,705号;米国特許第5,155,137号;米国特許第5,208,233号および米国特許第5,405,919号ならびに関連の特許および特許出願、これらは全て言及することでここに組み入れられる)は中でも、NO放出薬剤として、ある種の求核剤/一酸化窒素付加物、すなわち、
【0004】
【化1】

【0005】
(式中、求核性残基(Nuc)は第一級アミン、第二級アミンまたはポリアミンである)を開示している。このような付加物は、他の現在利用できる一酸化窒素放出化合物に比べて多くの有利な点を有するが、このような付加物を医薬剤として使用することによる一つの欠点は、分解しNOを放出するときに発癌性のニトロソアミン類を放出するという潜在的な危険性を有する点である。第一級アミンの付加物のもう一つの欠点は、微量の潜在的に爆発性のジアゾタート(diazotate)を形成する傾向があるために、固体であっても不安定である可能性がある点である。
【0006】
一般構造
【0007】
【化2】

【0008】
を有する幾つかのタイプの化合物が何年も前から知られている。Traube (Liebigs Ann. Chem. 300: 81-123 (1898))は、多くのこのような化合物の製造を報告し、該化合物を酸で処理することにより「褐色ガス」("brown gas")が発生することに注目した。褐色ガスはNOの放出を示唆するが、亜硝酸塩(nitrite)の不均化反応においても形成され得るので、Traubeにより製造された該化合物による褐色ガスの放出は、それ自体で自ずからNO放出の証拠となるものではない。Traubeにより報告された構造タイプの化合物は、ガスを放出させるためには鉱酸による過酷な処理を必要とすることが知られており、これは勿論、生物学的利用に適合するものではない。
【0009】
次の構造
【0010】
【化3】

【0011】
を有するもう一つの化合物(これはクプフェロン(cupferron)という名称である)は、Kubrina et al., Izvestia Akademii Nauk SSSR Seriia Biologicheskaia 6: 844-850 (1988))によりin vivoにおいてNOを発生することが示されている。また、抗生物質であるアラノシン(alanosine)(C(O)(OH)CH(NH)CH N(O)=NOH)およびドパスチン(dopastin)(CHCH=CHC(O)NHCH CH(i−プロピル)−N(O)=NOH)はクプフェロンと同様に、in vivoにおいて酵素的酸化によりNOを放出することが示されている(Alston et al., J. Biol. Chem. 260: 4069-4074 (1985))。
【0012】
さらに最近、Keeferらは、米国特許第5,212,204号において、有機部分を、炭素を介してN基に結合させ得ることを広く記載している。この特許は求核剤としてアミジンまたはエナミン構造を開示しておらず、また、生成したN基が一酸化窒素供与体となるようにするために有機部分が有していなければならない構造的特徴の性質も教示していない。
【0013】
幾つかのN基含有化合物は、ゴム製造における硬化剤、ガソリンのアンチノック添加剤、指示薬染料、爆薬、腐食抑制剤および殺真菌剤として有用であることが開示されている(Danzig et al., 米国特許第3,309,373号; Wiersdorff et al., Chem Abstracts 77: 48034f (1972); Massengale, 米国特許第2,635,978号; Metzger et al., 米国特許第2,954,314号)。しかしながら、これらの化合物の報告された作用の機序は説明されていなかった。
【0014】
この点に関して、N基の最近のある研究(Taylor et al., J. Org. Chem. 60: 435-444 (1995))では、観察されたNO放出の機構を提案している。提案された機構は量子力学的計算に基づくものであり、Nに結合するNの場合、末端酸素でのプロトン化が熱力学的に最も好ましいことを示した。
【0015】
しかしながら、上記開示のいずれも、この官能基によるニトロキシル(HNO、これは生理学的pH7.4でNOとして存在する)の放出に関して何ら言及していない。最近の結果は、特定の条件下で「NO供与体」の多くのクラスがNOをいくらか放出する可能性があることを示唆する(Feelisch et al., Donors of Nitrogen Oxides, In Methods in Nitric Oxide Research, M. Feelisch and J.S. Stamler, Eds., Ch. 7, pp. 71-115, John Wiley and Sons, New York (1996)のニトロソチオールおよびジアゼニウムジオレートに関する考察、ならびにNO供与体の表を参照)。
【0016】
これまで、溶液中でHNOを発生させるために使用されている三つの化合物がある。一つの化合物は、Angeli塩(Angeli's salt)であり、これは標準的なHNO源であり(Fukuto et al., J. Pharm. Exp. Ther. 263: 546-551 (1992))、勿論、無機塩である。他の二つの化合物、アセチル化Piloty酸(acetylated Piloty's acid) (Smith et al., J. Amer. Chem. Soc. 82: 5731-5740 (1960))およびベンゾイル化ヒドロキシシアナミド(Lee et al., J. Med. Chem. 35 3648-3652 (1992))は有望なアルデヒドデヒドロゲナーゼの阻害剤である。しかしながら、これらの化合物においても、観察された生理学的効果がNOに起因すると考えられるのか、またはNOに起因すると考えられるのかは議論となっている。例えば、Piloty酸は生理学的条件下で酸化的にNOを放出することが示されている(Zamora et al., Biochem. J. 312: 333-339 (1995))。
【0017】
スーパーオキシドジスムターゼが、NOのNOへの可逆還元を介してNOの効果を持続させることができるという報告(Murphy et al., PNAS USA 88: 10860-10864 (1991))、ならびにNO自身が血管拡張剤として(Fukuto et al., J. Pharm. Exp. Ther. 263: 546-551 (1992))およびアルデヒドデヒドロゲナーゼの阻害剤として(Lee et al., J. Med. Chem. 35: 3648-3652 (1992))の強力な活性を示すという報告は、NOまたはNOまたはこれら二つの混合物のいずれかを放出する化合物が医薬剤として有用である可能性があり、NOを放出するだけの化合物よりも有利な点を有するかもしれないことを示唆する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
NOおよび一酸化窒素放出化合物に関する膨大な数の文献があるにもかかわらず、一酸化窒素放出基Nが炭素原子に直接結合した、ジアゼニウムジオレートに変換するために適した窒素原子を含まない化合物から調製することのできる、安定な一酸化窒素放出化合物が依然として求められている。
【0019】
従って、本発明の目的は、結合しているN官能基が自発的NOおよび/またはNO供与体として利用できるような原子的および電子的配置(atomic and electronic arrangement)を有する化学構造骨格(chemical structural framework)を提供することである。さらに本発明の目的は、N基が炭素原子に結合した新規なNOおよび/またはNO放出ジアゼニウムジオレートを製造する方法を提供することである。本発明の別の目的は、アミジンおよびエナミンのNOおよび/またはNO放出誘導体を提供することである。本発明の関連の目的は、公知の医薬剤のNOおよび/またはNO放出誘導体を提供することである。さらに特定の目的は、医薬剤の窒素原子が一酸化窒素供与体として適したN−ジアゼニウムジオレートを提供しない公知の医薬剤のNOおよび/またはNO放出誘導体を提供することである。さらにまた本発明の別の目的は、アミジンおよびエナミンのNOおよび/またはNO放出誘導体を含有する組成物を提供することである。さらにまた本発明の目的は、アミジンおよびエナミン化合物のNOおよび/またはNO放出誘導体、およびその組成物を使用する方法を提供することである。本発明のこれらのおよびその他の目的、ならびにさらなる発明の特徴は、ここに述べる発明の記載から明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0020】
発明の要旨
本発明は、エナミンまたはアミジンから誘導され、N官能基が炭素原子に結合したNOまたはNO放出ジアゼニウムジオレートを提供する。本発明はまた、そのようなジアゼニウムジオレート化合物を含有する組成物、ならびにそのような化合物および組成物を使用する方法を提供する。本発明はさらに、NOまたはNO放出エナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを製造する方法を提供する。さらに本発明は、現在あるアミノ化合物からNOおよび/またはNO放出アミジン誘導体を製造する方法を提供する。この方法は、アミノ化合物をアセトアミド化試薬と反応させた後、一酸化窒素ガスと反応させることを含む。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明の一つの側面によれば、アミジンまたはエナミン誘導化学結合(ここでN官能基は当該結合の炭素原子に直接結合している)を有する一酸化窒素−求核剤付加物またはジアゼニウムジオレートの新たなクラスが提供される。このN官能基を含むアミジンまたはエナミン誘導化学結合は、特徴的な接続性(connectivity)を表す次の図式で示される。
【0022】
【化4】

【0023】
(式中、
〜CはC−CまたはC=Cのいずれかを示し、
mは1または2であり、
qは0または1であり、
pは0または1である。
但し、
(1)Cは4価であり、C、C、NおよびNのうちの2個またはそれ以上に結合している;
(2)p=lのとき、q=0かつC〜CはC−Cを示すか;または
(3)p=0かつq=lのとき、C〜Cは(i)C=Cまたは
(ii)C−C(ここでC〜NはC=Nを示す)のいずれかを示す;
(4)C〜CがC−Cを示し、かつq=1かつp=0のとき、
〜NおよびC〜N
【0024】
【化5】

【0025】
を示す。)
【0026】
ここで開示するように、用いられる合成反応の性質のため、全ての場合において二重結合は本来C=Nとして形成され、そしてNに対してβにC−Hが存在するため可能であれば互変異性体に変化するであろうことは、当業者に理解されるであろう。この二重結合は典型的には、熱力学的により好ましい構造の互変異性体へと変化する。しかしながら、溶媒などの条件により、熱力学的に好ましくはない互変異性体が生じ、観察されることがあるかもしれない。Nに対してβ位にHがない化合物においては、互変異性化は起こらない。従って、本発明は、熱力学的に好ましい互変異性体に関係なく、炭素原子にN官能基が結合したアミジンまたはエナミン誘導化学結合を含む全てのNO放出ジアゼニウムジオレートを意図している。エナミンに関しても、アミジンに関しても電子移動または互変異性化は概念的に同じものであるが、エナミンの場合、エナミン窒素上にHがないので、反応に使用されなければならないのは窒素原子に結合した孤立電子対である。
【0027】
本発明のアミジンおよびエナミンをベースとするジアゼニウムジオレートは幾つかの点で有利である。これらの化合物は発癌性のニトロソアミン類に分解することは予測されていない。本発明のジアゼニウムジオレートは非常に広い範囲の水溶性を示す。本発明のジアゼニウムジオレートのあるものは、従って、ステント(stent)、インプラント(implant)、プロテーゼ(prostheses)などにおけるような水不溶性が望ましい場合に特に有用である。本発明の多くのジアゼニウムジオレートは、NOの長時間徐放性により特徴付けられ、コーティングなどの中で使用することができる。さらに、これらの化合物はNOが放出された後においてもコーティングから溶出しない。本発明のジアゼニウムジオレートは非常に安定な固体であり、溶液中では上記で説明した窒素類縁体と比べてより熱安定性である。あるものは分解することなく、沸騰溶媒から再結晶することができる。
【0028】
本発明によれば、アミジン誘導ジアゼニウムジオレートはさらに次の式により表すことができる。
【0029】
【化6】

【0030】
(上記で定義する化学結合の特徴を含むいかなる化合物をもここでは意図しているので、上記式中のR−Rは、本発明の範囲から逸脱しない広範な、種々の置換基であってよい。)
【0031】
従って、式I、IIまたはIIIの化合物において、R−Rは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合しているC3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいは置換または無置換フェニル(3個までの置換基で置換されている)から選ばれる。
【0032】
式I、IIまたはIIIの化合物において、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、あるいは置換または無置換モルホリノである。RおよびRはまた、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、無置換または置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、ニトロ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシアルキル(例えば、無置換もしくは置換カルボキシメチル、または無置換もしくは置換カルボキシエチル)、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、無置換または置換フェノキシ、無置換または置換ベンジルオキシ、無置換または置換ニトロフェニル、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、トリアルキルシリルであってもよい。
【0033】
上記R−Rとして示したどの基も、置換された基として定義されているとき、例えば、C1−12直鎖アルキル、C3−12分枝鎖アルキル、C3−12直鎖オレフィン基、C3−12分枝鎖オレフィン基、C3−8シクロアルキル、ベンジル、ピペラジノ、モルホリノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アセチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシメチル、アルコキシなどが置換されているとき、それらは当該化合物のNO放出特性をなくすることのないものであればどんな部分で置換されていてもよく、好ましくは、当該部分は生物学的に適合性のものである。従って、置換されたR−R基に対する置換基としては、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、ハロゲンまたはベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル(例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル)、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、ピロリジニル、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール(例えば、ピラン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピリジンまたはピリミジン)、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロ、スルホニル、ニトロベンジル、トリアルキルアンモニウム、アルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジニルまたはモルホリニルを挙げることができる。
【0034】
置換基R、R、R、RおよびRは、いろいろな組合わせで、それらが結合する窒素原子または炭素原子と一緒になって無置換もしくは置換された環、または無置換もしくは置換された複素環を形成してもよい。形成された環は4員環または層(four member rings or layers)である。例えば、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になってC2−8複素環を形成してもよい。RおよびRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になってC−C複素環を形成してもよい。同様に、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になってC3−8複素環を形成してもよい。当該複素環は酸素、窒素または硫黄のようなヘテロ原子をさらに1個まで含有してもよい。
【0035】
、R、R、RおよびRの別の組合わせにより形成される複素環は、例えば、ピペラジノ、モルホリノ、ヘキサメチレンイミノ、イミダゾリル、ピロリジノ、ピペリジノなどであってもよい。同様に、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になってC3−8シクロアルキル、または複素環基(例えば、テトラヒドロフラニル、ジオキサニルなど)を形成してもよい。さらに、RおよびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって1,4−ベンゾジオキサン、1,3−ベンゾジオキソール、テトラヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキノキサリンまたはテトラヒドロイソキノリンを形成してもよい。
【0036】
およびR、またはRおよびR、またはRおよびR、またはRおよびRで形成される環または複素環はそれぞれ、例えばC3−8シクロアルキル、アルコキシ、ベンジル、縮合ベンゼン、フェニル、アルコキシ、アセチル、カルボキシル、カルボキシメチル、カルボキシエチル、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ピロリジン、ジオキサン、チオールまたはアルキルチオール、またはヘテロアリール(例えば、ピラン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピリジンまたはピリミジン)を含めた1またはそれ以上の置換基で置換されていてもよい。
【0037】
本発明の化合物は、アミジン基を含有する現在ある医薬剤から誘導することができる。例えば、式IIIの化合物は、好ましくは、RおよびRが水素であり、かつRが、例えば、トリプタミン、セロトニン、ヒスタミン、バルシクロビル(valcyclovir)、アデノシン、チロキシン、グアニン、グアノシン、ウベニメクス、グルコサミン、マンノサミン、マイコサミン、スフィンゴシン、チエナマイシン、ペニシラミンおよびリマンタジンのような医薬剤のアミンに結合している置換基全体である化合物である。同様に、例えば、本発明は、RおよびRが水素であり、かつRがアミノ酸のアミンに結合している置換基全体である式IIIの化合物を提供する。当該アミノ酸は、好ましくはリシン、トリプトファンまたはヒドロキシ−トリプトファンである。
【0038】
本発明はまた、
【0039】
【化7】

【0040】
(上記で定義する化学結合の特徴を含むいかなる化合物をもここでは意図しているので、上記式中のR−Rは、本発明の範囲から逸脱しない広範な、種々の置換基であってよい。)の化合物を提供する。
【0041】
従って、式IVおよび式Vの化合物において、R、R、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、シアノ、トリル、キシリル、アニシル、メシチル、ニトロ、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換カルボキシアルキル(例えば、無置換もしくは置換カルボキシメチル、または無置換もしくは置換カルボキシエチル)、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、あるいは無置換または置換ジアルキルカルボキサミドである。
【0042】
式IVおよびVの化合物において、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合しているC3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいは置換または無置換フェニル(3個までの置換基で置換されている)から選ばれる。このような化合物は利点を有する。なぜなら、このような化合物はポリアミンに比べてより「有機的(organic)」であるため、単純な芳香族エナミンを、NOを放出するけれども水不溶性に、また熱に対して安定にすることができるからである。
【0043】
上記R−Rとして示したどの基も、置換された基(例えば、C1−12直鎖アルキル、C3−12分枝鎖アルキル、C3−12直鎖オレフィン基、C3−12分枝鎖オレフィン基、C3−8シクロアルキル、ベンジル、ピペラジノ、モルホリノ、アルキルアミノ、アリールアミノ、アセチル、アセトキシ、カルボキシ、カルボキシメチル、アルコキシなど)として定義されているとき、それらは当該化合物のNO放出特性をなくすることのないものであればどんな部分で置換されていてもよく、好ましくは、当該部分は生物学的に適合性のものである。従って、置換されたR−R基に対する置換基としては、ヒドロキシ、アルコキシ、アシルオキシ、ハロゲンまたはベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル(例えば、カルボキシメチル、カルボキシエチル)、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、ピロリジン、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール(例えば、ピラン、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピリジンまたはピリミジン)、フェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロを挙げることができる。
【0044】
式IVおよび式Vの化合物の基R−Rは、いろいろな組合わせで、それらが結合する窒素原子または炭素原子、およびその間に介在する原子と一緒になって複素環を形成してもよい。例えば、これに限定されるわけではないが、RおよびRが、それらが結合する窒素原子と一緒になってC3−8複素環を形成してもよい式Vの化合物である。当該複素環はさらにヘテロ原子で置換されていてもよい。別の例としては、式Vの化合物において、RおよびRは、それを介してRおよびRが結合しているC=C−Cと一緒になって置換または無置換C3−12シクロアルキルを形成してもよい。同様に、式IVの化合物に関して、RおよびRは、Rが結合する窒素原子と一緒になってC3−8複素環を形成してもよい。当該複素環は、さらにヘテロ原子、またはC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてもよい芳香環で置換されていてもよい。また、RおよびRはC3−8複素環を形成してもよく、当該複素環もまた置換されていてもよい。
【0045】
式IVおよびVにおいて、RおよびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になってC3−8複素環またはC3−8置換複素環、またはO、S、Nの群から選ばれる2個までのヘテロ原子をさらに含有するC3−8無置換または置換複素環を形成してもよい。
【0046】
また、RおよびRは、それらが結合する炭素と一緒になって置換または無置換C4−8シクロアルキルを形成してもよい。
【0047】
式I、IIおよびIIIの化合物に関して、R−Rは、鼻充血除去薬およびα−アドレナリン拮抗薬(例えば、テトラヒドロゾリン、イダゾキサン(idazoxan)、フェントラミン、キシロメタゾリンなど)のアミジンに結合した置換基を示すように選択することができる。
【0048】
本発明の別の側面によれば、ここに説明するアミジンおよびエナミン誘導NO放出化合物の製造方法が提供される。一つの態様において、この方法は、アミジン(好ましくは式Ia、IIaまたはIIIaのアミジン)をアセトニトリルまたは類似の溶媒中でガス状NOと反応させて、N含有化合物を製造することを含む。RおよびRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子と一緒になってC−C複素環を形成してもよい。
【0049】
溶媒は、好ましくは、反応が完結するようにするために、出発原料のアミジンまたはエナミンが可溶性であって、生成したN含有生成物が不溶性であり、生成物が形成されるにしたがって析出するように選択される。アセトニトリル、テトラヒドロフラン、ジオキサンおよびエーテルのような無水の中性溶媒が好ましい。なぜなら、これらの溶媒は水に敏感なアミジンおよびエナミンの加水分解を引き起こすことがないからである。しかしながら、ある程度、水性および/または塩基性溶媒、中でもメタノール中のNaOMeまたはウェットのテトラヒドロフランのような溶媒中においても、所望の生成物が低収率で形成されると予測されるので、そのような溶媒もまた用いることができる。
【0050】
本発明の方法に従って得た化合物は、例えば、下記に示すように、アミジン反応体の構造に応じて一個または二個のN官能基を含有する。
【0051】
【化8】

【0052】
【化9】

【0053】
式Ia、IIaおよびIIIaで示されるようなアミジンの製造方法はよく知られており、次の二つの参考図書に概説されている。Gautier et al., "Preparation and Synthetic Uses of Amidines," Chapter 7 in The Chemistry of Amidines and Imidates, Editor: Patai, pp. 283-348, Wiley, 1975, およびBoyd, "Recent Advances in the Synthesis of Amidines," Chapter 7 in The Chemistry of Amidines and Imidates, Volume 2, Editors: Patai and Rappoport, pp. 339-367, Wiley, 1991。これらの方法により当業者は種々のアミジンを製造することができ、そしてこれらのアミジンを本発明に従ってNO放出ジアゼニウムジオレートにすることができる。
【0054】
例であり、これに限定されるものではないが、NO放出アミジン誘導ジアゼニウムジオレートの製造は、次のような2−メチル−2−イミダゾリンのNOとの反応により例示することができる。
【0055】
【化10】

【0056】
最初の反応の生成物はアミジニウム塩(分子内塩または分子間塩のいずれか)であるが、標準的な複分解反応(metathesis reactions)を用いて、該カチオンをいかなる医薬的に許容されるイオンにも交換することができる。これは上記のように、メタノール中のナトリウムメトキシドが関与し、二ナトリウム塩が生成する反応により例示することができる。また、合成方法により異なるが、分子内塩もしくは分子間塩またはそれらの混合物を得ることができる。NaOMe/MeOH中での2−メチル−2−イミダゾリンのNOとの反応がナトリウム塩を直接形成するのは、そのような反応の一例である。
【0057】
出願人は特定の理論に束縛されることを望んではいないが、上記反応は、少量発生したアミジンのエンジアミン互変異性体とNOとの反応により説明されると考えられる。エンジアミン互変異性体は溶液中で存在することが知られており、次のようなNMR溶液中の重水素交換を説明するために最初に提案された(Isagulyants et al., Zh. Prikl. Khim. 41: 1585-1590 (1968); またin Chem. Abstracts 70: 11629h (1969))。
【0058】
【化11】

【0059】
従って、特定の理論に束縛されているわけではないが、上記の重水素化していない化合物のNO二量体との反応は次のとおりと考えられる。
【0060】
【化12】

【0061】
反応は立体障害および/または生成物の溶液からの析出のためにこの段階で停止すると考えられる。
【0062】
2−メチル−2−イミダゾリンから誘導されるNO放出ジアゼニウムジオレートのアミジニウム塩またはナトリウム塩のいずれも、水に溶解し酸性化されたときに多量のガスを発生させ、溶液は青色に変色し、ガスの発生が終了した後も何時間にもわたってそのままであった。この実験をpH7.4で繰り返したとき、発生するガスは2部のNO(化学ルミネセンスにより測定)と1部のNO(ガスクロマトグラフィーにより測定)の混合物として同定された。亜酸化窒素(NO)はHNO二量化および脱水の最終生成物であるので、次の化学方程式によりHNO生成の測定手段となった(Nagasawa et al., J. Med. Chem. 33:3122-3124 (1990))。
【0063】
【化13】

【0064】
再度、特定の理論に束縛されることを望んではいないが、これらの観察に対する部分的な機構の説明は次のように考えられる。
【0065】
【化14】

【0066】
この機構の最終工程はよくわかっていないが、標準NO源として用いられるFK409および密接な関連のある化合物による公知のNOの放出において前例がある(Kita et al., Eur. J. Pharmacol. 257: 123-130 (1994))。この機構は観察されたNOおよびNO放出に対する一つの説明であるが、水溶液中の与えられた化合物に実際に何が起こっているかの説明としては非常に不完全なものである。特に、アミジンは、例えば、2−メチル−2−イミダゾリンの場合(Haake et al., J. Org. Chem. 35: 4063-4067 (1970))
【0067】
【化15】

【0068】
のように非常に遅い速度から、アセトアミジンの場合(Davies et al, Chem. Ind. (London): 628 (1958))
【0069】
【化16】

【0070】
のように非常に速い速度までの範囲の速度で加水分解されることが知られている。
【0071】
従って、HNOまたはNO放出のいかなる中間段階においても、アミジノ基は加水分解し得るのでさらにガスが発生することはないであろう。アミジンが速やかに加水分解する化合物は、多量のHNOを放出するが非常に少量のNOしか放出しないだろうし、一方、アミジンがゆっくりと加水分解する化合物は、最終工程であるNOを放出するための時間を有するので、より多量のNOを放出するであろう。この点に関して、式I(上記に示す)の化合物は上記機構で加水分解することができない。これらのモノ−N誘導体は二つの競合する経路を経由して分解すると考えられる。一方は合成工程の単純な逆反応によりNOを放出する経路と考えられ、もう一方は単開裂(single scission)によりHNO一分子とモノ−C−ニトロソ化合物を生じる経路と思われる。アミジノ互変異性体はこのニトロソ基と共役することができないので、NO源としての役目を果たすことができない。またアミジンの加水分解は第一の経路と競合するので、式Iのアミジンから誘導される化合物はNOをごく少量だが長時間にわたって放出する。このような場合、アミジンとNOとの反応は、結果として立体障害のある式Iの化合物を生じさせ、この化合物はこれまで報告されている立体障害の小さいN化合物とは異なってばらばらに分解する傾向があるようだ。
【0072】
本発明の方法の別の態様においては、エナミン、好ましくは式IVまたはVのエナミンをNOと反応させてN含有化合物を製造する。エナミンは、次のようにアルデヒドまたはケトンと第二級アミンとの等モル混合物から脱水を経て調製する。
【0073】
【化17】

【0074】
エナミンの調製方法およびその特性の非常に長い解説は、合成化学者が容易に入手することができる(例えば、Hickmott, Tetrahedron 38: 1975-2050 (1982); Hickmott, Tetrahedron 38: 3363-3446 (1982); Cook, Enamines: Synthesis, Structure and Reactions, Marcel Dekker, New York (1988); Szmuszkovicz, Enamines, Vol. 4 of Adv. in Org. Chem. Methods and Results, Wiley Interscience, New York (1963)参照)。この反応において、文字通り数千のカルボニル化合物が使用されているが、アミンは通常ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリンおよびN−メチルアニリンのような選ばれた幾つかに限定されている。
【0075】
アミジン誘導化合物とは異なり、エナミン誘導ジアゼニウムジオレートはNOまたはNOのいずれも放出しないと思われる。むしろ、これらの化合物は延長された時間(例えば、リン酸緩衝溶液中で1週間)にわたって少量のNOを放出する。アミジン誘導化合物の場合と同様に、NO放出の機構は以下に示すような競合する加水分解機構によって複雑になっている。
【0076】
【化18】

【0077】
当業者には、本発明によるアミジン誘導またはエナミン誘導ジアゼニウムジオレートは、いずれも塩(好ましくは生物学的に許容される塩)として形成し得ることが理解されるであろう。従って、対イオンは、好ましくはいかなる生物学的に許容される対イオンであってもよい。このような対イオンとしては、ナトリウムイオン、カリウムイオン、第四級アンモニウムイオンなどが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0078】
また本発明により、第一級アミンおよび/または第二級アミンを含有する化合物から一酸化窒素放出化合物を製造する方法が提供される。本方法は、(a)第一級アミンおよび/または第二級アミンを含有する化合物をアセトアミド化剤(これは、それ自身から他の分子にCHC(=NH)基を転移させることのできる有機化学試薬を意味する)で処理することを含む。このような試薬は、一般にアセトイミド酸エステル(acetimidate)(例えば、アセトイミド酸エチル)またはチオイミド酸エステル(thioimidate)(例えば、チオアセトイミド酸ベンジル)である。本方法で使用するのに好適な試薬は、Shearer et al., Tetrahedron Letters 38(2): 179-182 (1997)に記載されている試薬であり、第一級アミンおよび/または第二級アミンを含有する化合物のアセトアミジン誘導体を形成させるための試薬であり、(b)当該アセトアミジン誘導体を一酸化窒素ガスで処理して、アミジン誘導ジアゼニウムジオレートを形成させる。本発明によるこの方法は、NO放出N官能基が元々の第一級または第二級アミンにではなく、炭素原子に結合したアミジンベースのジアゼニウムジオレートを製造する方法を提供する。この方法により、多くの第一級および第二級アミン含有薬物をアセトアミド化試薬との処理に付し、アミジンを生じさせ、次いでこれをジアゼニウムジオレートに変換することができる。これは、N−N官能基があまり安定でない第一級アミンの場合に特に有利である。
【0079】
当分野でよく知られているように、一酸化窒素およびN官能基を含有する化合物は広範な用途に利用でき、これは一つには生体調節プロセスにおける一酸化窒素の多方面にわたる役割のためである。従って、本発明はまた、本発明のジアゼニウムジオレートを含有する組成物(医薬組成物を含む)も提供する。好ましくは、医薬組成物は、さらに医薬的に許容される担体を含有する。
【0080】
本発明のジアゼニウムジオレート組成物を動物(例えば、哺乳類)に投与するための適切な方法があり、特定の組成物を投与するのに二以上の経路を用いることができるが、ある特定の経路が別の経路よりも迅速かつ効果的な反応を与え得ることが当業者には理解されるであろう。医薬的に許容される担体もまた当業者によく知られている。担体の選択は、特定の組成物ならびに当該組成物を投与するために用いられる特定の方法の両方によりある程度決定されるであろう。従って、本発明の医薬組成物の適当な製剤は多種多様である。
【0081】
経口投与に好適な製剤は、(a)有効量のジアゼニウムジオレートを希釈剤(例えば、水または塩溶液)に溶解したような液剤;(b)それぞれ所定量の活性成分を固体または顆粒として含有するカプセル、薬袋(sachet)または錠剤;(c)適当な液体中の懸濁剤;および(d)適切な乳剤で構成することができる。液剤は、アミジンベースの鼻充血除去薬用の公知の保存剤を使用して製剤化することもできる。
【0082】
錠剤の形態は、ラクトース、マンニトール、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、結晶セルロース、アラビアゴム、ゼラチン、コロイド状二酸化ケイ素、クロスカルメロースナトリウム、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびその他の賦形剤、着色料、希釈剤、緩衝剤、湿潤剤、保存剤、矯味矯臭剤、ならびに薬理学的に適合性の担体のうちの一または二以上を含んでいてよい。舐剤(lozenge)の形態は、矯味矯臭剤、通常、ショ糖およびアラビアゴムまたはトラガント中に活性成分を含有していてよく、同様に香錠(pastille)は、不活性基剤(ゼラチンおよびグリセリンまたはショ糖およびアラビアゴム乳剤、ゲル剤など)中に活性成分を含有し、活性成分に加えて当該分野で公知の担体を含有する。
【0083】
本発明のジアゼニウムジオレートは、単独でまたは他の適当な成分と組み合わせて、エアロゾル剤に製剤化して吸入法により投与することができる。これらのエアロゾル剤は、ジクロロジフルオロメタン、プロパン、窒素などの許容される噴射剤を加圧したものに含ませてもよい。
【0084】
非経口投与に好適な製剤には、水性および非水性の溶液、等張性無菌注射溶液が含まれ、これらの溶液は、酸化防止剤、緩衝剤、制菌剤、および当該製剤を投与対象者の血液と等張にする溶質を含有していてもよく、そして懸濁化剤、可溶化剤、増粘剤、安定化剤および保存剤を含んでいてもよい水性および非水性の無菌懸濁液が含まれる。この製剤は、単位投与量または多回投与量を封入したアンプルおよびバイアルのような容器中に入れて提供することができ、また、使用直前に例えば水等の注射用無菌液状担体を加えるだけでよいようなフリーズドライ(凍結乾燥)した状態で保存することができる。用時調製の注射溶液および懸濁液は、前記で説明したような種類の無菌の散剤、顆粒剤および錠剤から調製することができる。
【0085】
本発明において、動物(特にヒト)に投与する用量は、妥当な時間枠にわたって、当該動物に治療的反応を生じさせるのに十分な量でなければならない。上記用量は用いられる特定の組成物の効力(少なくとも、NO放出の速度、NO放出の程度、およびジアゼニウムジオレートに由来する分解生成物の生物活性を考慮して)、動物の状態、ならびに処置すべき動物の体重により決定される。上記用量はまた、特定の組成物の投与に伴うかもしれない悪影響を及ぼす副作用の有無、性質および程度によっても決定されるであろう。内服投与用の適当な用量は0.01〜100mg/kg/日である。好ましい用量は0.01〜35mg/kg/日である。より好ましい用量は0.05〜5mg/kg/日である。局所投与用医薬組成物中のエナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートの適当な濃度は0.05〜15%(重量%)である。好ましい濃度は0.02〜5%である。より好ましい濃度は0.1〜3%である。
【0086】
上記を考慮すると、本発明は、一酸化窒素放出アミジンまたはエナミン誘導ジアゼニウムジオレートを使用する方法を提供する。一つの態様において、一酸化窒素で治療し得る生物学的障害を有する動物(例えば、哺乳類)を治療する方法が提供される。この方法は、治療を必要とする動物(例えば、哺乳類)に、当該動物における当該生物学的障害を治療するのに十分な量のエナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを投与すること含む。この態様において、「生物学的障害」とは、一酸化窒素で治療し得る障害であれば、高血圧、再狭窄、インポテンス、および遺伝的欠陥(genetic defect)または感染因子(例えば、ウィルス、細菌または寄生生物)による感染に起因する生物学的障害を含めた、いかなる生物学的障害であってもよい。
【0087】
上記に関して、アミジンから誘導されるNOおよび/またはNO放出化合物は、既に認可されている多くの医薬剤(例えば、精神安定薬、フェントラミンのようなα−アドレナリン拮抗薬、および鼻充血除去薬)中にアミジンが存在するため有利である。具体的な例としては、トラゾリンおよびジアゾキシド(diazoxide)が挙げられる。アミジン含有化合物のその他の例としては、メチルピリミジンおよび1,8−ジアミノオクタヒドロナフタレンが挙げられる。
【0088】
使用方法の別の態様においては、動物(例えば、哺乳類)の例えば、ウィルス、細菌または寄生生物による感染を治療する方法が提供される。この方法は、動物(例えば、哺乳類)に、当該動物における感染を治療するのに十分な量のジアゼニウムジオレートを投与することを含む。
【0089】
さらに別の態様において、動物(例えば、哺乳類)の癌を治療する方法が提供される。この方法は、動物(例えば、哺乳類)に、当該動物における癌の増殖もしくは転移を予防する、または当該動物における癌を放射線もしくは化学療法に対してより感受性にするのに十分な量のジアゼニウムジオレートを投与することを含む。
【0090】
別の態様においては、潜在的に感染性のウィルス、細菌または寄生生物の存在に対する処理を無生命体に行う方法が提供される。この方法は潜在的に感染性のウィルス、細菌または寄生生物の存在を低減させるのに十分な量の本発明のジアゼニウムジオレートに無生命体を接触させることを含む。「潜在的に感染性」とは、動物(例えば、哺乳類)を感染させる能力を意味する。
【0091】
本発明によるエナミンおよびアミジンから誘導されるジアゼニウムジオレートは、プロテーゼ、ステントおよび医療用インプラントに関わる固形癌の発生の危険性を減ずる手段として、あるいはインプラントに血小板が接着するのを防止する手段として、生体に外科的に導入する前にプロテーゼ、ステントおよび医療用インプラント(例えば、胸部インプラント)を被覆するのに用いることができると考えられる。さらに、プロテーゼおよびインプラントは、エナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを出発材料の構成成分として使用して製造することができる。エナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを含有する医療用デバイスは、有用な医療用構造体(これはNOの局所放出を有利に提供することもできる)を提供することにより、多くの生物学的障害の治療への非常に貴重な二方面からのアプローチを提供する。
【0092】
エナミンおよびアミジンから誘導されるジアゼニウムジオレートはまた、NO生物学のin vitroの研究における有用性も有する。
【実施例】
【0093】
以下の実施例により本発明をさらに説明するが、もちろん、それらは本発明の範囲を何ら限定するものとして解釈されるべきではない。
【0094】
全ての融点はホットステージで測定し、補正は行わなかった。H NMRスペクトルは、Varian XL-200スペクトロメーターを用いて200 MHzで測定し、13C NMRスペクトルは、同じ機器を使用して50 MHzで得た。化学シフトは内部標準としてのテトラメチルシランかまたは3−(トリメチルシリル)プロピオン酸ナトリウム−dのいずれかに対するδ値(ppm)で表した。元素分析はAtlantic Microlabs, Inc. (Norcross, GA)で行った。
【0095】
特に記載した以外は、全ての試薬およびアミンはAldrich Chemical Company (Milwaukee, WI)から入手した。反応溶媒はAldrich無水グレードであったが、その他の全てのものは試薬グレードであった。市販グレードの一酸化窒素をMatheson Gas Productsから入手し、そのまま用いた。
【0096】
圧力下での反応は、以前に報告されているように標準ガラス水素化ボトル中で実施した(Hrabie et al., J. Org. Chem. 58: 1472-1476 (1993))。ここでは完全にするため、一般的な使用方法を繰り返した。
【0097】
NOガスに長時間暴露するためにステンレス鋼(SS)が必要であり、アミンが大部分のタイプのストッパーおよびガスケットを侵食する場合には、標準パール(Parr)3911水素化装置(Parr Instrument Co., Moline, IL)に従って設計された特殊反応容器を組み立てた。貯蔵器は、SSフィッティングを備えたタイプ304SSガスサンプリングシリンダー(どんな「バルブおよびフィッティング」鉛管類供給会社からでも入手可能)により置き換えた。バルブはダイヤフラムシールパックレスタイプ(Aldrich)であり、圧力計はSS(Air Products)であった。通常のパール(Parr)クランプとボトルのシステムを用いたが、これをテフロンチューブを介してガス貯蔵器に連結し、マグネチックスターラーで撹拌できるように設置した。
【0098】
全ての分析データは、反応混合物から直接単離した生成物を使用して得た。
【0099】
実施例1
本実施例は、アミジンからNOおよび/またはNO放出化合物を調製する一般化された手順を説明する。
【0100】
所望される溶媒中の市販の(Aldrich)または標準的な手順に従って合成した適当なアミジンの溶液を標準パール(Parr)水素化ボトルに入れた。窒素を、装置を通して通気し、溶液を通して5〜10分間泡立たせ、ボトルの口をクランプで締め、そしてNOガスを5atmの圧力になるまで入れた。この溶液を室温にて、貯蔵器の圧力を維持するために必要に応じて最初の5〜6時間の間NOを添加しながら、示された時間攪拌した。次いで、過剰のNOを排出し、そして得られた白色スラリーにNを通して5分間泡立たせた。生成物を濾過により単離し、反応溶媒で洗浄し、次いでエーテルで洗浄し、真空中で数時間乾燥した。全ての生成物は無定形で、嵩張った白色粉末であった。この粉末は空気中で安定であったが、冷蔵庫で保存した。
【0101】
実施例2
本実施例は、2−メチル−2−イミダゾリン テトラキス(ニトリックオキサイド)付加物およびそのナトリウム塩の調製を説明する。
【0102】
アセトニトリル150 ml中の2−メチル−2−イミダゾリン(リシジン、5.0 g, 59.4 mmol)の溶液を、上記のようにしてNOと28時間反応させた。収量3.59 g(49%); 融点102-103℃(分解); H NMR (DO) δ 1.92(6H, s), 3.51(8H, s), 3.67(4H, s); 13C NMR (DO) 24.8, 42.4, 42.5, 44.6, 51.3, 51.7, 163.5, 177.2; UV(0.01 N NaOH) λmax 260 nm, = 13,600 M−1cm−1, 206 nm, ε= 22,500. 分析 C12H24N10Oについての計算値: C, 38.71; H, 6.50; N, 37.61. 実測値: C, 38.92; H, 6.55; N, 37.62.
【0103】
ジナトリウム塩を調製するために、25%NaOMe MeOH溶液(Aldrich、8.06 mmol) 1.74 gをMeOH 0.5 mlで希釈し、この溶液に上記ジイミダゾリニウム塩(8.06 mmol) 1.5 gを添加した。この固体をゆっくりと溶解させ、次いで再析出させた。このスラリーをアセトニトリルで希釈し、濾過し、この固体を真空中で乾燥して白色粉末を得た。収量0.92 g(92%)。融点>180℃(炭化); H NMR (DO) δ 2.7-2.8(2H, m), 3.3-3.4(2H, m).
【0104】
実施例3
本実施例は、アセトアミジン テトラキス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0105】
アセトニトリル150 ml中のアセトアミジン塩酸塩 (7.0 g, 74.0 mmol) の溶液を、MeOH中の25%NaOMe (74.0 mmol)16.93 mlで処理し、沈澱した塩化ナトリウムを濾過により除去した。得られた溶液をNOで16時間処理して黄褐色粉末を得た。収量5.95 g(82%); 融点>150℃(炭化); H NMR (DO) δ 2.21(s); 13C NMR (DO) 20.8, 51.8, 57.7, 164.6.
【0106】
実施例4
本実施例は、2−イミノピペリジン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0107】
アセトニトリル200 ml中の2−イミノピペリジン塩酸塩 (5.0 g, 37.2 mmol)の溶液を、MeOH中の25%NaOMe (37.2 mmol) 8.5 mlとMeOH 10 mlで処理し、沈澱した塩化ナトリウムを濾過により除去した。得られた溶液をNOで23時間処理してオフホワイト粉末を得た。収量4.5 g(95%); 融点110-112℃(分解); H NMR (DO) δ 1.8-1.9(6H, m), 2.55-2.65(2H, m), 2.85-2.95(2H, m), 3.3-3.4(2H, m), 3.5-3.6(2H, m); 13C NMR (DO) 19.0, 20.3, 23.0, 28.3, 29.0, 43.7, 44.1, 90.6, 100.5, 162.6.
【0108】
実施例5
本実施例は、2−シクロヘキシル−2−イミダゾリン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0109】
この調製の出発物質は、Neef et al. (J. Org. Chem. 46: 2824-2826 (1981))に記載された方法により製造した。アセトニトリル300 ml中の2−シクロヘキシル−2−イミダゾリン(5.0 g, 32.8 mmol)の溶液をNOと78時間反応させた。収量6.66 g(97%); 融点158-159℃(分解); H NMR (DO) δ 1.4-1.7(6H, m), 1.9-2.1(2H, m), 2.5-2.6(2H, m), 4.0(4H, s); 13C NMR (DO) 23.9(2C), 26.6, 34.3(2C), 47.3(2C), 73.0, 173.4.
【0110】
実施例6
本実施例は、テトラヒドロゾリン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0111】
MeOH中の25%NaOMe (42.25 mmol NaOMe)9.66 ml中のテトラヒドロゾリン塩酸塩 (10.0 g, 42.25 mmol)の溶液を、アセトニトリル200 mlで希釈し、沈澱した塩化ナトリウムを濾過により除去した。得られた溶液をNOで24時間処理した。収量9.0 g(82%); 融点168-169℃(分解); H NMR (DO) δ 1.8-1.9(2H, m), 2.3-2.45(1H, m), 2.9-3.0(3H, m), 4.00(4H, s), 7.15-7.47(4H, m); 13C NMR (DO) 20.4, 30.6, 34.7, 47.7(2C), 76.0, l29.7, 13O.7, 131.8, 133.0, 133.1, 141.5, 173.7. 分析 C13H16NOについての計算値: C, 59.99; H, 6.20; N, 21.52. 実測値: C, 60.05; H, 6.14; N, 21.48.
【0112】
実施例7
本実施例は、Research Biochemicals, Inc.(Natick, HA)から入手可能なイダゾキサン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0113】
MeOH中の25%NaOMe (4.155 mmol NaOMe) 0.95 mlとMeOH 3 mlとの混合液中のイダゾキサン塩酸塩 (1.00 g, 4.155 mmol)の溶液を、アセトニトリル40 mlで希釈し、沈澱した塩化ナトリウムを濾過により除去した。得られた溶液をNOで21時間処理した。収量0.62 g(56%); 融点152-154℃(分解); H NMR (DO) δ 4.04(4H, s), 4.64(1H, d), 5.13(1H, d), 7.02-7.22(4H, m). 分析 C13H16NOについての計算値: C, 49.81; H, 4.94; N, 21.12. 実測値: C, 50.22; H, 4.61; N, 20.98.
【0114】
実施例8
本実施例は、エナミンのジアゼニウムジオレート誘導体を調製する一般的手順を説明する。
【0115】
エナミンは、アルデヒドおよびケトンと、種々の第二級アミンとの等モル混合物から脱水を経て調製した。このような方法は、Hicknott, Tetrahedron 38: 1975-2050, 3363-3446 (1982); Cook, Enamines: Synthesis, Structure and Reactions, Marcel Dekker, New York (1988);およびSzmuszkovicz, "Enamines", Chapter 4, In advances in Org. Chem. Methods and Results, Wiley Interscience, New York (1963)に記載されている。好ましいアミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ピペリジン、ピロリジン、モルホリンおよびN−メチル−アニリンが挙げられる。
【0116】
これらの化合物を、必要な場合に反応物を冷却した以外は、実施例1に述べた一般的手順に従って調製した。いくつかのものは個々の説明において記載したような結晶状生成物を与えた。
【0117】
実施例9
本実施例は、シクロヘキサノン モルホリン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0118】
エチルエーテル150 ml中の、モルホリンおよびシクロヘキサノンから誘導されたエナミン(15.0 g, 89.7 mmole)の溶液を、ドライアイス中で攪拌せずに冷却し、溶液が室温まで暖められるのに従ってNOと20時間反応させた。上記のようにして後処理し、生成物の大きい透明な結晶を得た。収量8.14 g(40%); 融点85-87℃; H NMR (CDCN) δ 1.5-2.3(6H, m), 2.44-2.55(4H, m), 2.85-2.96(4H, m), 5.13-5.18(1H, m), 5.23-5.27(1H, t), 11.6(1H, br.s); 13C NMR (CDCN) 19.2, 24.7, 28.6, 50.6(2C), 67.1, 67.5(2C); 112.5, 141.3; C10H17NO(M)についての正確な質量計算値227.1269, 実測値 227.1254. 分析 C10H17NOについての計算値: C, 52.85; H, 7.54; N, 18.49. 実測値: C, 53.32; H, 7.63; N, 18.76.
【0119】
実施例10
本実施例は、イソブチルアルデヒド モルホリン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0120】
THF 100 ml中の、モルホリンおよびイソブチルアルデヒドから誘導されたエナミン(7.0 g, 49.6 mmole)の溶液を、上記のようにしてNOと22時間反応させた。収量4.05 g(41%); 融点91-92℃; H NMR (DO) δ 1.48(6H, s), 3.25-3.31(4H, m), 3.92-3.98(4H, m), 5.26(1H, s); 13C NMR (DO) 23.2(2C), 46.1(2C), 66.6(2C), 75.7, 95.2; CH16NO(MH) についての正確な質量計算値 202.1192; 実測値202.1137. 分析 CH15NOについての計算値: C, 47.75; H. 7.51; N, 20.88. 実測値: C, 47.74; H, 7.70; N, 20.13.
【0121】
実施例11
本実施例は、シクロヘキサンカルボキサアルデヒド モルホリン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0122】
CHCN 200 mL中の4−(シクロヘキシリデンメチル)モルホリン(10.0 g, 55.2 mmol)の溶液を、氷浴中で0℃に冷却し、上記のようにして攪拌せずにNOと6時間反応させ、次いで室温まで暖めた。生成物を濾過により単離し、CHCN、次いでエーテルで洗浄し、真空中で乾燥した。収量7.13g(54%); 融点115-117℃; H NMR δ 1.25-1.40(2H, m), 1.48-1.70(4H, m), 1.95-2.40(4H, m), 3.20-3.26(4H, m), 3.90-3.96(4H, m), 5.05(1H, s); 13C NMR δ 24.1(2C), 27.8, 31.3(2C), 46.3(2C), 67.1(2C), 78.0, 95.7. 分析 C11H19NOについての計算値: C, 54.76; H, 7.94; N, 17.41. 実測値: C, 54.93; H, 8.04; N, 17.60.
【0123】
実施例12
本実施例は、イソブチルアルデヒド ピペリジン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物(25)の調製を説明する。
【0124】
CHCN 150 ml中の、ピペリジンおよびイソブチルアルデヒドから誘導されたエナミン(5.0 g, 35.9 mmole)の溶液を、室温にて攪拌し、上記のようにしてNOと23時間反応させた。収量3.25 g(45%); 融点84-85℃; H NMR (DO) δ 1.48(6H, s), 1.66-1.83(6H, m), 3.13-3.18(4H, m), 5.25(1H, s). 13C NMR (DO) 23.2(2C), 24.3, 25.1(2C), 47.4(2C), 75.5, 95.2. 分析 CH17NOについての計算値: C, 54.25; H, 8.60; N, 21.09. 実測値: C, 52.69; H, 8.56; N, 21.28.
【0125】
実施例13
本実施例は、イソブチルアルデヒド ピロリジン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0126】
CHCN 200 mL中のN−(2−メチル−1−プロペニル)ピロリジン(10.Og, 79.9 mmol)の溶液を、氷浴中で0℃まで冷却し、上記のようにして攪拌せずにNOと6時間反応させ、次いで室温まで暖めた。生成物を濾過により単離し、CHCN、次いでエーテルで洗浄し、真空中で乾燥した。収量88.8g(60%); 融点75-76℃; H NMR δ 1.48(6H, s), 1.98-2.03(4H, m), 3.23-3.32(4H, m), 5.25(1H, s); 13C NMR δ 23.2(2C), 26.5(2C), 48.3(2C), 75.6, 95.2.
【0127】
実施例14
本実施例は、イソブチルアルデヒド N−メチルアニリン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0128】
CHCN 150 ml中の、N−メチルアニリンおよびイソブチルアルデヒドから誘導されたエナミン(5.0 g, 31.0 mmole)の溶液を、室温にて攪拌し、NOと20時間反応させた。得られた淡黄色溶液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、残渣の固体を無水エタノールから再結晶させて淡クリーム色針状物として生成物2.26 g(33%)を得た。融点83-84℃; H NMR (CDCl) δ 1.59(3H, s), 1.63(3H, s), 2.75(3H, s), 6.00(1H, s), 6.96-7.37(5H, m); 13C NMR (CDCl) 17.4, 26.8, 34.4, 75.6, 101.1, 118.9(2C), 122.7, 129.4(2C), 149.3. 分析 C11H15NOについての計算値: C, 59.71; H, 6.83; N, 18.99. 実測値: C, 59.77; H, 6.84; N, 19.01.
【0129】
実施例15
本実施例は、イソブチルアルデヒド N−メチル−p−トルイジン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0130】
CHCN 150 ml中の、N−メチル−p−トルイジンおよびイソブチルアルデヒドから誘導されたエナミン(5.0 g, 28.5 mmole)の溶液を、室温で攪拌し、NOと20時間反応させた。得られた淡黄橙色溶液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、残渣のオフホワイト固体を無水エタノールから再結晶させて白色綿様針状物として生成物2.21 g(33%)を得た。融点127-128℃; H NMR (CDCl) δ 1.58(3H, s), 1.61(3H, s), 2.31(3H, s), 2.71(3H, s), 5.92(lH, s), 6.90-7.15(4H, m); 13C NMR (CDCl) 17.3, 20.5, 26.8, 34.9, 75.4, 101.9, 119.7(2C), 129.9(2C), 132.7, 147.2. 分析 C12H17NOについての計算値: C, 61.26; H, 7.28; N, 17.86. 実測値: C, 61.32; H, 7.35; N, 17.88.
【0131】
実施例16
本実施例は、イソブチルアルデヒド N−メチル−p−アニシジン エナミン ビス(ニトリックオキサイド)付加物の調製を説明する。
【0132】
CHCN 150 ml中の、N−メチル−p−アニシジンおよびイソブチルアルデヒドから誘導されたエナミン(5.0 g, 26.1 mmole)の溶液を、室温で攪拌し、NOと23時間反応させた。得られた淡茶色溶液をロータリーエバポレーターで濃縮乾固し、残渣のオイルを無水エタノールから結晶化させて無色塊状結晶として生成物4.89 g(75%)を得た。融点97-98℃; H NMR (CDCl) δ 1.58(3H, s), 1.60(3H, s), 2.67(3H, s), 3.79(3H, s), 5.80(lH, s), 6.84-7.06(4H, m); 13C NMR (CDCl) 17.2, 26.8, 36.1, 55.5, 75.2, 103.0, 114.6(2C), 122.8(2C), 143.4, 156.3. 分析 C12H17NOについての計算値: C, 57.35; H, 6.82; N, 16.72. 実測値:C, 57.36; H, 6.87; N, 16.75.
【0133】
実施例17
本実施例は、アミジン/一酸化窒素付加物によるNOおよびNOの生成の測定を説明する。
【0134】
一酸化窒素およびニトロキシル放出剤として本明細書中に記載されるアミジン/一酸化窒素付加物の効力の例証として、選択した化合物を0.1 N HClかまたはpH 7.4緩衝液のいずれかに溶解させ、ヘッドスペースを化学ルミネセンス(NOの検出のため)およびガスクロマトグラフィー(HNOの脱水された二量体であるNOの検出のため)によりモニターした。結果を表Iに示す。
【0135】
【表1】

【0136】
実施例18
本実施例は、アミジンおよびエナミン一酸化窒素付加物によるNO生成の時間的経過の測定を説明する。
【0137】
長期間の一酸化窒素放出剤としてのこれらの化合物の有用性を例証するために、選択した化合物をpH 7.4のリン酸塩緩衝液に溶解させ、37℃の恒温水浴中でインキュベートした。溶液を不活性Nガスで押し流し、次いで新たに発生したNOを化学ルミネセンス検出器へと押し流し、そして次の4〜7分にわたって生じたシグナルを積分することにより、NO放出速度を定期的に測定した。NO放出を2週間の期間にわたって測定した。
【0138】
これらの化合物のいずれも、一次速度則に合致する放出プロフィールを生じさせる単一経路を経由して一酸化窒素を放出することはなかった。従って、各試験の結果は、代表的な実施例についての、初期NO放出速度、一つの中間時点での速度および観察されたNO放出の総時間を示すことによりここに要約する。
【0139】
従って、実施例Vの化合物(テトラヒドロゾリン ジアゼニウムジオレート)は、3.64×10−11 モルNO/分/mg溶解試料の初期NO放出速度を示した。この速度は、7日後2.06×l0−11 モルNO/分/mg.まで減少し、そして数週間の間継続したが、実験開始15日後、最後の定量測定では9.00×10−12 モルNO/分/mg.のNO放出速度を示した。
【0140】
同様に、実施例VIの化合物(イダゾキサン ジアゼニウムジオレート)は、5.25×10−11 モル NO/分/mg.の初期NO放出速度を示した。この速度は、4日後に1.41×l0−10 モルNO/分/mg.まで徐々に増加し、次いで徐々に減少し、16日目までに0(すなわち、もはやNOは放出されない)に至った。
【0141】
エナミン誘導化合物の中で、実施例VIIの化合物(シクロヘキサノンのモルホリン エナミンのジアゼニウムジオレート)は、4.2×10−11 モルNO/分/mg.の初期NO放出速度を示した。この速度は、3日後に1.8×10−11 モルNO/分/mg.までほぼ一次速度則に従って減少し、7日目までに0に至った。
【0142】
実施例VIIIのエナミン誘導ジアゼニウムジオレート(イソブチルアルデヒドのモルホリン エナミンから誘導される)は、3.7×10−11 モルNO/分/mg.の初期NO放出速度を示した。この速度は、速やかに7.0×10−12 モルNO/分/mg.の速度まで減少し、次いで4日間およそこのレベルに維持され、その後ゆっくりと減少し、7日後に0に至った。
【0143】
ここに挙げた全ての刊行物は、各刊行物を言及により組み込むと個々に特に述べ、その全体をここに説明したのと同程度に、ここに言及することで組み込まれるものである。
【0144】
好適な実施態様を強調して本発明を説明したが、当業者には、好適な実施態様を変更し得ることが自明であろう。本発明は、ここで特に説明した以外の方法でも実施できることを意図している。従って、以下の請求の範囲の精神および範囲内に包含される全ての変形を本発明は含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の化学構造結合を有する一酸化窒素放出アミジンまたはエナミン誘導ジアゼニウムジオレート。
【化1】

(式中、
〜CはC−CまたはC=Cのいずれかを示し、
mは1または2であり、
qは0または1であり、
pは0または1である。
但し、
(1)Cは4価であり、C、C、NおよびNのうちの2個またはそれ以上に結合している;
(2)p=lのとき、q=0かつC〜CはC−Cを示すか;または
(3)p=0かつq=lのとき、C〜Cは(i)C=Cまたは
(ii)C−C(ここでC〜NはC=Nを示す)のいずれかを示す;
(4)C〜CがC−Cを示し、かつq=1かつp=0のとき、
〜NおよびC〜N
【化2】

を示す。)
【請求項2】
次の式I、式IIおよび式III
【化3】

(式中、
−Rは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合しているC3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルであり、
およびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、無置換または置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、無置換または置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、無置換または置換フェノキシ、無置換または置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、無置換または置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロから選ばれ、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C2−8複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8複素環を形成するか、または
およびRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子、およびその間に介在する炭素原子と一緒になって置換または無置換C2−6複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって無置換または置換C3−8シクロアルキル、またはヘテロ原子が酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるC4−8複素環基を形成するか、または
およびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって無置換または置換の1,4−ベンゾジオキサン、1,3−ベンゾジオキソール、テトラヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロイソキノリンを形成する。)からなる群より選ばれる化合物。
【請求項3】
式I
【化4】

(式中、
−Rは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合しているC3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルであり、
およびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、無置換または置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、無置換または置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、無置換または置換フェノキシ、無置換または置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、無置換または置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロから選ばれ、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C2−8複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8複素環、置換または無置換C3−8複素環を形成するか、または
およびRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子、およびその間に介在する炭素原子と一緒になって置換または無置換C2−6複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって無置換または置換C3−8シクロアルキル、またはヘテロ原子が酸素、窒素および硫黄からなる群より選ばれるC4−8複素環基を形成するか、または
およびRは、それらが結合する炭素原子と一緒になって無置換または置換の1,4−ベンゾジオキサン、1,3−ベンゾジオキソール、テトラヒドロナフタレン、オクタヒドロナフタレン、ピペラジン、モルホリン、テトラヒドロキノリン、テトラヒドロキノキサリン、テトラヒドロイソキノリンを形成する。)で表される請求項2記載の化合物。
【請求項4】
式II
【化5】

(式中、
−Rは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合している置換または無置換C3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルであり、
は、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、無置換または置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、無置換または置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、無置換または置換フェノキシ、無置換または置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、無置換または置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロであり、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8複素環を形成するか、または
およびRは、Rが結合する窒素原子、およびRが結合する炭素原子、およびその間に介在する炭素原子と一緒になって置換または無置換C2−6複素環を形成する。)で表される請求項2記載の化合物。
【請求項5】
式III
【化6】

(式中、
−Rは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合しているC3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルであり、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C2−8複素環を形成するか、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8複素環を形成する。)で表される化合物。
【請求項6】
置換された基における置換基が、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール、またはフェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロ、スルホニル、ニトロベンジル、トリアルキルアンモニウム、アルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジンまたはモルホリンである請求項2記載の式Iまたは式IIまたは式IIIで表される化合物。
【請求項7】
置換された基における置換基が、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール、またはフェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロ、スルホニル、ニトロベンジル、トリアルキルアンモニウム、アルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジンまたはモルホリンである請求項3記載の化合物。
【請求項8】
置換された基における置換基が、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール、またはフェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロ、スルホニル、ニトロベンジル、トリアルキルアンモニウム、アルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジンまたはモルホリンである請求項4記載の化合物。
【請求項9】
置換された基における置換基が、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシ、ハロゲン、ベンジル、アセチル、カルボキシル、カルボキシアルキル、カルボキシアルキルアミド、カルボキシジアルキルアミド、アルキルカルボニル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、シアノ、トリル、キシリル、メシチル、アニシル、カルボキサミド、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ホルミル、ジオキサン、チオール、アルキルチオール、アリール、ヘテロアリール、またはフェノキシ、ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、ニトロフェニル、トリアルキルシリル、ニトロ、スルホニル、ニトロベンジル、トリアルキルアンモニウム、アルキル、シクロアルキル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、ピペリジンまたはモルホリンである請求項5記載の化合物。
【請求項10】
当該置換基が、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジンまたはピリミジンからなる群より選ばれるヘテロアリールである請求項2記載の式Iまたは式IIまたは式IIIで表される化合物。
【請求項11】
当該置換基が、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジンまたはピリミジンからなる群より選ばれるヘテロアリールである請求項7記載の化合物。
【請求項12】
当該置換基が、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジンまたはピリミジンからなる群より選ばれるヘテロアリールである請求項8記載の化合物。
【請求項13】
当該置換基が、ピロール、フラン、チオフェン、チアゾール、ピラゾール、ピラン、ピリジンまたはピリミジンからなる群より選ばれるヘテロアリールである請求項9記載の化合物。
【請求項14】
置換された基における置換基が、ベンジル、トリル、カルボキシル、カルボキシアルキル、ジアルキルアミノ、アリールアミノまたはジアリールアミノである請求項2記載の式Iまたは式IIまたは式IIIで表される化合物。
【請求項15】
置換された基における置換基が、ベンジル、トリル、カルボキシル、カルボキシアルキル、ジアルキルアミノ、アリールアミノまたはジアリールアミノである請求項3記載の式Iで表される化合物。
【請求項16】
置換された基における置換基が、ベンジル、トリル、カルボキシル、カルボキシアルキル、ジアルキルアミノ、アリールアミノまたはジアリールアミノである請求項4記載の式IIで表される化合物。
【請求項17】
置換された基における置換基が、ベンジル、トリル、カルボキシル、カルボキシアルキル、ジアルキルアミノ、アリールアミノまたはジアリールアミノである請求項5記載の式IIIで表される化合物。
【請求項18】
およびRが水素であり、Rがアミノ酸、トリプタミン、セロトニン、ヒスタミン、バルシクロビル、アデノシン、チロキシン、グアニン、グアノシン、ウベニメクス、グルコサミン、マンノサミン、マイコサミン、スフィンゴシン、チエナマイシン、ペニシラミンおよびリマンタジンからなる群より選ばれる化合物のアミンに結合している置換基全体である請求項5記載の化合物。
【請求項19】
当該アミノ酸が、リシン、トリプトファンおよびヒドロキシ−トリプトファンからなる群より選ばれる請求項5記載の化合物。
【請求項20】
次の式IVおよび式V
【化7】

(式中、R、R、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、シアノ、置換または無置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、置換または無置換フェノキシ、置換または無置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、置換または無置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロであり、
およびRは、それらが結合する炭素と一緒になって置換または無置換C−Cシクロアルキルを形成してもよく、
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になって置換または無置換C3−8シクロアルキルを形成し、
およびRは、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合している置換または無置換C3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルであるか、または
およびRは、それらが結合する窒素原子と一緒になってC3−8複素環またはC3−8置換複素環、またはO、S、Nの群から選ばれる2個までのヘテロ原子をさらに含有するC3−8無置換または置換複素環を形成してもよく、または
およびRは、それを介してRおよびRが結合しているC=C−Cと一緒になって無置換または置換シクロアルキルを形成するか、または
およびRは、それらが結合する炭素と一緒になって置換または無置換C4−8シクロアルキルを形成してもよい。)からなる群より選ばれる化合物。
【請求項21】
式IV
【化8】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、シアノ、置換または無置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、置換または無置換フェノキシ、置換または無置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、置換または無置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロであり、
およびRは、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合している置換または無置換C3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルである。)で表される化合物。
【請求項22】
式V
【化9】

(式中、RおよびRは、独立して、水素、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換ベンジル、置換または無置換フェニル、置換または無置換ピペラジノ、置換または無置換モルホリノ、アミノ、無置換または置換アルキルアミノ、無置換または置換アリールアミノ、無置換または置換ジアルキルアミノ、無置換または置換ジアリールアミノ、カルボキシアルキルアミノ、カルボキシジアルキルアミノ、シアノ、置換または無置換トリル、キシリル、アニシル、メシチル、無置換または置換アセチル、無置換または置換アセトキシ、カルボキシ、無置換または置換カルボキシメチル、無置換または置換カルボキシエチル、無置換または置換アルキルカルボニル、チオール、無置換または置換アルキルチオ、無置換または置換アルコキシ、カルボキサミド、無置換または置換アルキルカルボキサミド、または無置換または置換ジアルキルカルボキサミド、置換または無置換フェノキシ、置換または無置換ベンジルオキシ、フェニルカルボニル、ベンジルカルボニル、置換または無置換ニトロフェニル、トリアルキルシリルまたはニトロであり、
およびRは、無置換または置換C1−12直鎖アルキル、無置換または置換C3−12分枝鎖アルキル、無置換または置換C3−12直鎖オレフィン基、無置換または置換C3−12分枝鎖オレフィン基、置換または無置換C3−8シクロアルキル、炭素原子を介して結合している置換または無置換C3−8複素環(当該複素環のヘテロ原子は酸素または窒素である)、置換または無置換ナフチル、置換または無置換テトラヒドロナフチル、置換または無置換オクタヒドロナフチル、ベンジルまたは3個までの置換基で置換された置換ベンジル、あるいはフェニルまたは3個までの置換基で置換された置換フェニルである。)で表される化合物。
【請求項23】
式Vにおいて、RおよびRが、それらが結合する炭素および窒素原子と一緒になってC3−8シクロアルキルを形成する請求項22記載の化合物。
【請求項24】
当該C3−8シクロアルキルがヘテロ原子で置換されている請求項23記載の化合物。
【請求項25】
およびRが、それを介してRおよびRが結合しているC=C−Cと一緒になってC3−12脂環式炭化水素を形成する請求項22記載の化合物。
【請求項26】
およびRが、それらが結合する窒素と一緒になってC3−8シクロアルキルを形成する請求項21記載の化合物。
【請求項27】
当該C3−8シクロアルキルが、さらにヘテロ原子、またはC1−6アルキルもしくはC1−6アルコキシで置換されていてもよい芳香環で置換されており、RおよびRがC3−8シクロアルキルを形成してもよい請求項26記載の化合物。
【請求項28】
一酸化窒素で治療し得る生物学的障害を有する動物の治療方法であって、当該動物の当該生物学的障害を治療するのに十分な量のエナミンまたはアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを、当該動物に投与することを含む方法。
【請求項29】
次の工程を含む、アミンを含有する化合物から一酸化窒素放出アミジンまたはエナミン誘導ジアゼニウムジオレートを製造する方法であって、当該アミンが第一級アミンまたは第二級アミンである方法。
(a)アミン含有化合物のアセトアミジン誘導体を形成させるために、アミンをアセトアミド化剤で処理し、
(b)当該アセトアミジン誘導体を一酸化窒素ガスで処理してアミジン誘導ジアゼニウムジオレートを形成させる。
【請求項30】
請求項29記載の方法に従って製造された化合物。

【公開番号】特開2010−168390(P2010−168390A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−50987(P2010−50987)
【出願日】平成22年3月8日(2010.3.8)
【分割の表示】特願平11−507350の分割
【原出願日】平成10年7月1日(1998.7.1)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(500035513)アメリカ合衆国政府 (2)
【Fターム(参考)】