説明

新規な方法

本発明は、アルモトリプタンおよび医薬品として許容可能なその塩の新規な製造方法に関する。この方法により、生成物を、簡便かつ効果的に、商業的に許容可能な収率および純度で得ることができる。本発明は、この方法で用いる新規な合成中間体にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡便かつ効果的に、商業的に許容可能な収率および純度で生成物を得ることができる、アルモトリプタンおよび医薬品として許容可能なその塩の新規な製造方法に関する。本発明は、この方法で使用する新規な合成中間体にも関する。
【背景技術】
【0002】
アルモトリプタン、化学名3-[2-(ジメチルアミノ)エチル]-5-(ピロリジン-1-イルスルホニル-メチル)-1H-インドール(I)は、現在、前兆を伴うかまたは伴わない片頭痛の急性頭痛期の治療のためのマレート塩(II)として市販されている。
【化1】

【0003】
アルモトリプタンは、構造的にトリプタミンに由来しており、血管性頭痛、例えば片頭痛などの治療に用いられる薬剤である。アルモトリプタンは、選択的な5-ヒドロキシトリプタミン1B/1D(5-HP1B/1D)受容体アゴニストであり、セロトニン受容体アゴニスト化合物の部類に属する。これらは、頭部に血液を供給する動脈および静脈の血管収縮を引き起こすことによって働くと考えられている。
【0004】
さまざまな特許に、医薬品として許容可能な所望の塩に変換可能なるアルモトリプタン塩基の製造方法が記載されている。
【0005】
米国特許第5,565,447号に開示されたアルモトリプタン塩基および医薬品として許容可能なその塩を得るための方法を、スキーム1に示す。米国特許第5,565,447号は、3,5-ジ置換インドール誘導体、例えばアルモトリプタンなどの調製であって、中間体1-[[2-カルボキシ-3-(ジメチルアミノエチル)-5-インドリル]メタンスルホニル]ピロリジンを、酸化銅触媒および溶媒としてのキノリンを使用して脱カルボニル化することによる調製を記載している。上述の中間体は、文献に既に報告されている方法にしたがって4段階で調製されており、これにより、生成物の全収率に悪影響が及ぼされている。この脱カルボニル化反応のために報告された工程条件は、極めて高温(190℃)であり、この高温は、アルモトリプタンの品質にも悪影響を及ぼす。さらに、このような高温を商業的な規模で達成することは困難である。また、溶媒として用いられるキノリンからアルモトリプタンを分離することは、これらの化学的特性の類似性に起因して困難である。生成物を単離するために多段階の処理が必要となり、さらに、最終化合物の所望の品質を達成するために、クロマトグラフィーによる精製が必須である。
【化2】

【0006】
スペイン特許第2,084,560号には、フェニルヒドラジンおよび4-クロロ-ブチルアルデヒドジエチルアセタールを用いて1-[[3-(2-アミノエチル)-5-インドリル] メタンスルホニル]ピロリジンを得る、Fischerインドール合成に基づくアルモトリプタンの製造方法が記載されている(スキーム2を参照されたい)。生成した1-[[3-(2-アミノエチル)-5-インドリル] メタンスルホニル]ピロリジンは、ホルムアルデヒドの18%溶液、次いで水素化ホウ素ナトリウムでさらに処理された。反応が完結し、反応物を通常どおりに処理した後、1-[[3-(2-ジメチルアミノエチル)-5-インドリル] メタンスルホニル]ピロリジンが得られ、次いで、市販のDL-マレート塩に変換された。しかし、この方法は、せいぜい約20%の低い収率である。さらに、この工程条件では、ポリマー状の不純物がかなりの量で生成し、アルモトリプタンの単離が非常に骨の折れるものとなり、収率が低くなる。
【0007】
得られるアルモトリプタンは、十分な品質ではなく、さらなる精製を必要とする。HPLC純度が、医薬製品のために必要とされるよりかなり低い、約80〜85%であることが観察された。高価な精製工程(化学的精製:酸-塩基精製)およびさまざまなpHにおける有機洗浄を採用して、妥当な純度(90〜95%)を達成する必要がある。環化反応で生成した分解物の除去のための後処理方法は、非常に煩雑であり、かつ、極性不純物および非塩基性不純物の除去のための有機溶媒を用いる抽出工程、酸付加塩を調製することによって粗アルモトリプタンをその場で(in situ:系内で)精製する工程、および後医薬品として許容可能な塩に変換する前の活性炭を用いる精製工程を含む。加えて、DL-マレート塩を形成させるためのさらなる処理が、98.5%より高い純度を達成するために必要とされる。
【0008】
【化3】

【0009】
アルモトリプタンを製造するための別の方法が、国際公開第2006/129190号に記載されており、これをスキーム3に概説する。4-(1-ピロリジニルスルホニルメチル)アニリンが2位でハロゲン化されて、2-ヨード-4-(1-ピロリジニルスルホニルメチル)アニリンが得られた。この2-ヨード-4-(1-ピロリジニルスルホニルメチル)アニリンが、1-トリエチルシロキシ-4-トリエチルシリル-3-ブチンと、パラジウム触媒Heckカップリングによってさらにカップリングされて、5-(1-ピロリジニル-スルホニルメチル)-1H-インドール-3-エタノールが得られた。この5-(1-ピロリジニル-スルホニルメチル)-1H-インドール-3-エタノールが、メタンスルホニルクロライド、ジメチルアミン、およびコハク酸を用いることによって、アルモトリプタンスクシネートに変換された。得られたアルモトリプタンスクシネートは、アルモトリプタン塩基に変換され、次いで、アルモトリプタンDL-マレートに変換された。しかし、1-トリエチルシロキシ-4-トリエチルシリル-3-ブチンは、商業的な規模の製造のためには便宜性および安全性がない、n-ブチルリチウムの使用を伴う。さらに、n-ブチルリチウムの使用は、厳密しい反応条件(すなわち、反応の間の厳密な水分含量の制御)を必要とし、かつ、高い製造コストにつながる特別な貯蔵条件を必要とする。
【0010】
【化4】

【0011】
Tetrahedron, 2001, vol. 57, 1041-1048頁に報告された合成スキームは、Heck環化によるインドール環の製造に関する。この逐次法は、スキーム4に示すとおりの多段階を必要とする。1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンが臭素、次いでトリフルオロ酢酸で処理されて、2-位の臭素部分が導入され、アニリンの窒素が保護された。さらに、LDAおよびブロモクロトネートを用いるアリル化が行われた。Heck環化は、Pd(OAc)2を用いて達成された。得られたインドール-3-酢酸エステルは、相当する酸に加水分解され、これが酸クロライドに変換され、塩基性媒体中でジメチルアミンと反応させることによってジメチルアミドにさらに変換された。最後に、アミドのカルボニルの還元によって、所望の化合物が得られた。しかし、この合成は、アルモトリプタンの全収率が非常に低い(5%未満)。
【0012】
【化5】

【0013】
驚くべき事に、この従来技術では、対応するアミン、ヒドラジン、またはヒドラゾンと、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドまたはその保護された形態(例えばアセタール)からインドール核を構築する、可能性のある最も短い経路によるアルモトリプタンの製造方法が全く報告されていない。報告されたいすれの合成においても、必要とされる側鎖は、2-アセチル-5-(ジメチルアミノ)-ペンタン酸エチルエステル、4-クロロ-ブチルアルデヒドジエチルアセタール、3-ブチン-1-オール、およびメチル4-ブロモクロトネートなどのいずれかから逐次的に構築された。トリプタン、例えば、ゾルミトリプタン、リザトリプタンなどを得るための、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドを用いるこのFischerインドールアプローチでは、標題分子の重大な分解を含まないと報告されている。しかし、C-5位にスルホンアミド官能基を有するトリプタン(例えば、スマトリプタンおよびアルモトリプタン)の場合、同様のFischerインドール条件(85〜90℃で3〜8時間のインドール形成)では標題分子の重大な分解がもたらされることが観察されており、したがって、これらの分子の改善された合成方法の開発が求められていた。
【0014】
このように、従来技術に開示された方法はいずれも、上で議論した欠点、例えば、多段階合成、かなりの分解生成物の生成、中程度〜低い収率、および/または商業的な製造には不適切な試薬などの欠点を有していた。
【0015】
したがって、アルモトリプタンおよび医薬品として許容可能なその塩の新規で簡便な合成方法であって、商業的に許容可能な収率および純度で生成物を得ることができる方法が求められていた。
【0016】
本発明者らは、非常に驚くべきことに、C-5にスルホンアミド官能基を有するにもかかわらず、FischerインドールアプローチにおいてN,N-ジメチルアミノブチルアルデヒドを使用する方法で、簡易、簡便であり、必要な場合には「ワンポット(one pot)」法とすることもできる方法によって、アルモトリプタンを製造することが可能であことを見出した。
【0017】
したがって、本発明は、適切なアミン、ヒドラジンまたはヒドラゾン、および、好ましくはN,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドまたはそのジアセタールを用いるインドール核の構築を含む、アルモトリプタンの製造方法に関する。
【0018】
本発明によって調製されるアルモトリプタン塩基は、その後、医薬品として許容可能な適切な塩、例えばマレートなどに変換することができる。
【0019】
加えて、本発明は、工程不純物の混入を最低限に抑えることによって収率および品質を向上させるために最適化された条件を含む、簡易な後処理方法を提供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】米国特許第5,565,447号
【特許文献2】スペイン特許第2,084,560号
【非特許文献】
【0021】
【非特許文献1】Tetrahedron, 2001, vol. 57, 1041-1048頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の第一の目的は、アルモトリプタンを簡便な「ワンポット」法で得るための適切な合成中間体の使用に関する。
【0023】
本発明の第二の目的は、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドまたはその保護された形態(例えば、ジメチルアセタールなど)を用いるインドール形成のための最適化された条件であって、アルモトリプタンが安全であり分解しない条件の設計に関する。好ましくは、このことは、的確な希釈、反応媒体のpHおよび温度であって、これらの条件に従う場合にはプロセスが規模によらず不変である条件を作り出すことによって達成される。
【0024】
本発明のさらなる目的は、アルモトリプタンの形成中に生成したいかなる分解物をも除去して、不純物について必要とされる品質および制御を達成し、ICHガイドラインに準拠する不純物プロファイルを達成するための、新規な後処理条件を含むアルモトリプタンの製造方法を開発することである。
【0025】
本発明のさらに別の目的は、別法として、定義した組成物(好ましくは、有機アミン、例えばトリエチルアミンなどと混合した組成物)を、溶媒混合物を用いて吸収剤を通して溶出させることによって、ICHガイドラインによって求められる高い品質のアルモトリプタンを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0026】
本発明の第一の態様は、
(a) 1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩と、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドまたはその保護された形態とを縮合させてヒドラゾン中間体(V) またはその保護された形態:
【化6】

を得る工程、および
(b) ヒドラゾン中間体(V)を環化させてアルモトリプタンを得る工程
を含む、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の製造方法を提供する。
【0027】
好ましくは、工程(a)で用いる1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩は、1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩を、ジアゾ化し、次いで還元することによって調製する。好ましくは、このジアゾ化合物の還元は、塩化第一スズ、亜ジチオン酸ナトリウム、または亜硫酸ナトリウムを使用して行うが、亜硫酸ナトリウムを使用して行うことが好ましい。
【0028】
本発明の方法は、好ましくは「ワンポット」法であるが、別法として、ヒドラゾン中間体(V)またはその保護された形態を、必要とされる場合には単離することができる。
【0029】
使用する中間体アミンまたはヒドラジンの医薬塩は、塩酸塩であることが好ましい。N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドは、アセタール(例えば、ジアセタールなど、例えばジメチルアセタールまたはジエチルアセタールなど)の形態で使用することが好ましく、ジメチルアセタールが好ましい。
【0030】
好ましくは、工程(a)の縮合は、pH 0〜3、最も好ましくはpH約2で実施する。
【0031】
好ましくは、工程(b)の環化は、酸性pH、より好ましくはpH 0〜3、最も好ましくはpH約2で実施する。
【0032】
好ましくは、工程(b)の環化は、40〜70℃、最も好ましくは55〜65℃で実施する。
【0033】
加えて、工程(b)の環化は、高希釈、例えば、10〜100容積倍の希釈、典型的には400容積倍の希釈で実施する。
【0034】
本発明の目的において、「容積倍の希釈」は、出発物質に対して使用する溶媒の量を意味する。例えば、25 gの1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンを出発物質として用いる場合、反応を、4容積倍の希釈で実施する。これは、25 x 4 = 100 mlの溶媒を使用することを意味する。
【0035】
好ましくは、工程(b)の環化は、1種以上の鉱酸またはルイス酸の存在下で実施する。鉱酸またはルイス酸は、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、または三フッ化ホウ素から選択することが好ましい。
【0036】
好ましくは、工程(b)の環化は、適切な金属触媒、例えば、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、Pd(P(C6H5)3)4、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)[Pd2(dba)3]、塩化亜鉛、またはルテニウム錯体の存在下で実施する。酢酸パラジウム(II)を使用することが好ましい。
【0037】
本発明の好ましい方法は、1種以上の有機溶媒(例えば、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、第三ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはこれらの混合物など)を用いて抽出することによって形成されたアルモトリプタンを単離する工程を含む。
【0038】
本発明の特に好ましい方法は、吸収剤または溶出系を用いてアルモトリプタン塩基を単離する場合である。好ましくは、吸収剤は、シリカゲルまたはある種のアルミナ(例えば、中性アルミナまたは塩基性アルミナなど)から選択される。好ましくは、溶出系は、溶媒と有機塩基との混合物〔例えば、アルコール、アセテート、または塩素化溶媒と、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N,N-エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、ピロリドン、またはこれらの混合物など)との混合物など〕から選択される。
【0039】
本発明の第一の態様の方法は、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩、例えば、アルモトリプタンマレートの製造に使用することができる。
【0040】
好ましくは、本発明の第一の態様によって得られるアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩は、(HPLCで測定して)96%以上、好ましくは98%以上、好ましくは99%以上、好ましくは99.5%以上、好ましくは99.85%以上の化学純度を有する。
【0041】
好ましくは、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩は、20%以上、好ましくは25%以上、好ましくは30%以上、好ましくは35%以上の収率で、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩から得られる。
【0042】
好ましくは、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩は、工業的規模、好ましくは50 g、100 g、500 g、1 kg、5 kg、10 kg、50 kg、100 kg、またはそれ以上のバッチで得られる。
【0043】
本発明の第二の態様は、本発明の第一の態様の方法によって製造したアルモトリプタンまたはアルモトリプタンマレートである。
【0044】
本発明の第三の態様は、本発明の第一の態様の方法によって製造したアルモトリプタンマレートを含む医薬組成物である。
【0045】
本発明の第四の態様は、片頭痛を治療または予防するための薬剤の製造における、本発明の第一の態様の方法によって製造したアルモトリプタンマレートの使用である。
【0046】
本発明の第五の態様は、本発明の第一の態様の方法によって製造したアルモトリプタンマレートの治療的または予防的な有効量を、片頭痛を治療または予防する必要がある患者に投与する工程を含む、片頭痛の治療または予防方法である。好ましくは、患者はヒトである。
【0047】
本発明の第六の態様は、新規な中間体ヒドラゾン(V)またはその保護された形態である。
【化7】

【0048】
本発明の第六の態様は、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩、好ましくはアルモトリプタンマレートの製造方法であって、ヒドラゾン中間体(V) またはその保護された形態を利用する方法である。
【発明を実施するための形態】
【0049】
本発明は、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の新規で簡便な合成方法であって、好ましくは、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタールを、下記スキーム5〜8に概説するとおりに使用することによる方法を提供する。
【0050】
1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)からのアルモトリプタンの「ワンポット」合成を、スキーム5に概説した。
【0051】
1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)のジアゾ化は、亜硝酸ナトリウム(1.5当量)を、塩酸の存在下、低温(-10〜5℃)で用いることによって実施した。この反応は、相当するジアゾニウム塩酸塩への、1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)の完全な変換を達成するためには、低温での反応を最高で8時間まで継続させなければならない。反応を4〜9時間経過前に終了させると、未反応の1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)が、以降の段階における主要な不純物となることが観察された。
【0052】
ジアゾニウム中間体の還元を、さまざまな還元剤(例えば、塩化第一スズ、亜ジチオン酸ナトリウム、または亜硫酸ナトリウムなど)を使用して実施した。最も良い結果は、還元を亜硫酸ナトリウムを使用して実施した場合に得られた。亜硫酸ナトリウム(6当量)を、水(10〜20倍量)に25〜30℃で溶解させて、透明な溶液を得た。得られたジアゾニウム塩溶液を、0〜5℃にて亜硫酸ナトリウムの透明溶液に添加して、ジアゾニウム塩の分解を回避させた。ジアゾニウム塩溶液の添加が完了した後、反応混合物を25〜30℃で13〜18時間撹拌して、ジアゾニウム塩から1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン(IV)への完全な変換を達成した。次いで、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン(IV)を、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタールと縮合させて、ヒドラゾン中間体(V)を得た。
【0053】
1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン(IV)の溶液を、水で50容積倍に希釈し、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタールを25〜30℃で添加した後、反応混合物のpHを、希HClを用いてpH 2に調節した。この特別の工程における反応混合物のpHが、分解を最小限に抑えるために重要であることが観察された。反応混合物を、ヒドラゾンの生成を完結させるために、pH 2、25〜30℃にて5〜6時間さらに撹拌した。
【0054】
本発明の別の重要な態様は、ヒドラゾン中間体(V)のアルモトリプタン塩基(I)への「ワンポット」法での環化である。
【0055】
このような淡黄色透明のヒドラゾン(V)の反応混合物を、ヒドラゾン中間体(V)からアルモトリプタン遊離塩基への環化を完結させるために、55〜65℃にて最高で10〜12時間までさらに加熱した。反応パラメータである温度(55〜65℃)および時間(10〜12時間)が、この反応工程の完結およびきれいな変換を達成するために重要であることが観察された。これらの反応パラメータは、分解生成物の生成も最小限に抑える。文献には、同様にスルホンアミド官能基を有するスマトリプタンが、Fischerインドール環化条件下で分解することが報告されている。
【0056】
5〜65℃で10〜12時間加熱した後、反応混合物を25〜30℃に冷却し、非極性不純物を酢酸エチルで抽出することによって除去した。得られた粗アルモトリプタン塩基(I)を、中和することによって水性相から得、酢酸エチルで抽出し、蒸発させた。得られた残渣を、有機酸または鉱酸のいずれかの酸付加塩に変換することによって精製して、必要とされる純度プロファイルを達成した。あるいは、オイルとして得られた粗アルモトリプタン塩基を、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶媒系:ジクロロメタン:メタノール:トリエチルアミン、9:1:0.5)によって、さらに容易に精製した。淡黄色オイルを、医薬品として許容可能な塩にさらに変換した。
【0057】
【化8】

【0058】
あるいは、ヒドラゾン(V)の製造およびそのアルモトリプタンへの変換を、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン(IV)を出発物質として用いて実施した。1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)を用いることによるアルモトリプタンの「ワンポット」合成を、スキーム6に示す。1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)を、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタールまたは別の保護された形態(例えば、ジエチルアセタールなど)と縮合させて、ヒドラゾン中間体(V)を得、次いで、アルモトリプタに環化させた。
【0059】
【化9】

【0060】
あるいは、ヒドラゾン中間体(V)をオイルとして単離し、環化させて、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩を得た(スキーム7および8)。
【0061】
単離したヒドラゾン中間体(V)からのアルモトリプタンの製造を、スキーム7に示す。オイルとして単離したヒドラゾン中間体(V)を、1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)から製造した。この反応混合物を炭酸ナトリウムで中和し、分離したヒドラゾン塩基(V)を酢酸エチルで抽出した。この酢酸エチル相を、水でさらに洗浄して、望まれていないN,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタール関連の不純物を除去した。ヒドラゾン(V)は、酢酸エチルを蒸発させることによってオイルとして得られた。このヒドラゾン塩基オイル(V)を、適切な環化剤(例えば、鉱酸またはルイス酸および適切な金属触媒、例えば、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、または三フッ化ホウ素、および酢酸パラジウム(II)など)を使用することによって、環化反応にかけて、アルモトリプタン塩基を得た。粗アルモトリプタン塩基(I)は、pH調節工程、酢酸エチルでの抽出工程、および酢酸エチルの蒸発工程を含む通常の水性後処理手順によって得られた。粗アルモトリプタン塩基オイルを、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで容易に精製した。この淡黄色のオイルを、医薬品として許容可能な塩にさらに変換した。
【0062】
【化10】

【0063】
単離したヒドラゾン中間体(V)からのアルモトリプタンの製造を、スキーム8にも示す。ヒドラゾン(V)を、スキーム6に記述した方法にしたがって、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)から製造した。さらなる工程(ヒドラゾンの単離、環化、および塩の形成)を、スキーム7に記述したとおりに実施して、アルモトリプタンを得た。
【0064】
【化11】

【0065】
本発明のさらなる詳細、その目的および利点を、以下の非限定的な実施例において、より詳細に説明する。
【実施例】
【0066】
[実施例1]:1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)からのアルモトリプタンのワンポット(one pot)合成
1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)(25 g)を、100 ml(4容積倍)の水中の濃塩酸に25〜30℃にて入れ、この白い懸濁液を、15分間撹拌した後、-5〜+5℃に冷却した。亜硝酸ナトリウム(10.7 g、1.5当量)の100 ml(4容積倍)の水中の溶液を、この白い懸濁液に、1/2時間かけて-5〜+5℃にて徐々に添加した。得られた透明溶液を、5時間撹拌した。その後、このジアゾニウム溶液を滴下漏斗に移し、1時間かけて、250 ml(10容積倍)の水中の亜硫酸ナトリウム(78.5 g、6当量)溶液に、-5〜+5℃にて添加した。この反応混合物を、15時間撹拌して、ジアゾニウム化合物から1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)への完全な変換を達成した。この1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)溶液を、500 ml(20容積倍)の水で、反応混合物の合計容積が30〜60倍の範囲となるようにさらに希釈した。希釈した後、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタール196 ml(10当量)を25〜30℃にてこのヒドラジン溶液に添加し、反応混合物のpHをチェックした(pH 9)。反応混合物のpHを、pH 2に、50質量%のHCl溶液約12.5 ml(0.5容積倍)をゆっくりと添加することによって調節した。この反応混合物を、5〜6時間、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)からヒドラゾン(V)への(TLCによる)完全な変換が達成されるまで撹拌した。形成されたヒドラゾン(V)を、反応混合物のpHをpH 2に維持しながら反応混合物を55〜65℃にて10〜12時間加熱することによって、アモトリプタン塩基に環化させた。次いで、反応混合物を、25〜30℃に冷却し、酢酸エチル250 ml(10容積倍)で抽出した。分離した水性相を、炭酸ナトリウムで中和した(pH 8〜9)。この水性相を、酢酸エチル500 ml(20容積倍)で2回抽出した。こうして得られた酢酸エチル相を、水で2回さらに洗浄した。粗アモトリプタン塩基が減圧下で酢酸エチルを除去することによって、オイルとして得られた。この粗アモトリプタン塩基を、適切な酸付加塩に変換することによってさらに精製して、高品質のアモトリプタン塩基を得た。あるいは、粗アモトリプタン塩基を、溶媒混合物(ジクロロメタン:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5、または、酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5)を用いることによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
収率: 35質量%
NMRデータ: 1H NMR (300 MHz, CDCl3 ) δ 1.76 (m, 4H), 2.35 (s, 6H), 2.63 (t, 2H), 2.93 (t, 2H), 3.14 (m, 4H), 4.37 (s, 2H), 6.99 (s, 2H), 7.19 (d, 1H), 7.27 (d, 1H), 7.56 (s, 1H), 8.60 (s, 1H).
マススペクトル: 336.6 (M+1)
純度: 99.85%より大(HPLCで測定)
【0067】
[実施例2]:1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)からのアルモトリプタンの一段階(one pot)合成
1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)(25 g)を、水(1.25L、50容積倍)に、25〜30℃にて撹拌しながら添加した。この撹拌した懸濁液に、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドジメチルアセタール(196 ml、10当量)を、25〜30℃にて添加し、反応混合物のpHをチェックした(pH = 9)。反応混合物のpHを、50容積%のHCl溶液をゆっくりと添加することによってpH 2に調節した。この反応混合物をpH 2で5〜6時間撹拌して、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)からヒドラゾン(V)への完全な変換(TLCによる)を達成した。ヒドラゾン(V)のアルモトリプタン塩基(I)へのさらなる環化、およびアルモトリプタン塩基の単離および精製は、実施例1に記述した実験手順のとおりに実施した。粗アルモトリプタン塩基を、適切な酸付加塩に変換することによってさらに精製して、高品質アルモトリプタン塩基を得た。あるいは、粗アルモトリプタン塩基を、溶媒混合物(ジクロロメタン:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5、または、酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5)を用いることによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
収率: 25質量%
純度: 99.85%より大(HPLCで測定)
【0068】
[実施例3]:1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)から単離したヒドラゾン(V)からのアルモトリプタンの合成
1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(III)からのヒドラゾン形成を、実施例1で記述した実験手順にしたがって実施した。ヒドラゾン形成を確認した後、反応混合物を、炭酸ナトリウム溶液を用いてpH 8〜9まで塩基性にした。ヒドラゾンを125 ml(5容積倍)の酢酸エチルで2回抽出し、この酢酸エチル相を125 ml(5容積倍)の水で2回さらに洗浄した。このヒドラゾンを、ロータリーエバポレーター、45〜50℃、50〜100 mbarで酢酸エチルを蒸留することによって、オイルとして単離した。
ヒドラゾン中間体(V)のNMRデータ: 1H NMR (300 MHz, CDCl3) δ 1.4 (m, 2H), 1.80 (m, 6H), 2.35 (s, 6H), 2.52 (t, 2H), 3.25 (m, 4H), 4.25 (s, 2H), 6.60 (t, 1H), 6.90 (d, 2H), 7.27 (d, 2H), 9.80 (s, 1H).
マススペクトル: 353 (M+1)
【0069】
ヒドラゾン塩基オイル(V)のアルモトリプタン塩基(I)へのさらなる環化、ならびにアルモトリプタン塩基の単離および精製を、実施例1で記述した実験手順にしたがって実施した。粗アルモトリプタン塩基を、適切な酸付加塩に変換することによってさらに精製して、高品質アルモトリプタン塩基を得た。あるいは、粗アルモトリプタン塩基を、溶媒混合物(ジクロロメタン:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5、または、酢酸エチル:メタノール:トリエチルアミン:9:1:0.5)を用いることによるシリカゲルカラムクロマトグラフィーによってさらに精製した。
収率: 30質量%
純度: 99.85%より大(HPLCで測定)
【0070】
[実施例4]:1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)から単離したヒドラゾン(V)からのアルモトリプタンの合成
1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジン塩酸塩(IV)からのヒドラゾン形成を、実施例2で記述した実験手順にしたがって実施した。ヒドラゾン塩基オイル(V)のアルモトリプタン塩基(I)へのさらなる環化、ならびにアルモトリプタン塩基の単離および精製を、実施例3で記述した実験手順にしたがって実施した。
収率: 35質量%
純度: 99.85%より大 (HPLCで測定)
【0071】
[実施例5]:アルモトリプタン塩基からのアルモトリプタンマレートの合成
アルモトリプタン塩基(5.0 g)を、エタノール50 mlに溶解させた。この透明な淡黄色溶液に、リンゴ酸(2.4 g、エタノール50 ml 中)を25〜30℃にて添加し、反応混合物を5時間撹拌した。5時間後に、灰色がかった白色固体を除去し、生成物を濾過し、25 mlエタノールで洗浄した。この生成物を、真空オーブン内、55〜65℃、50〜100 mbarで6時間、恒量に達するまで乾燥させた。
収率: 85-90質量%
融点: 167-169°C

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a) 1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩と、N,N-ジメチルアミノ-ブチルアルデヒドまたはその保護された形態とを縮合させて、ヒドラゾン中間体(V):
【化1】

またはその保護された形態を得る工程、および
(b) ヒドラゾン中間体(V)を環化させてアルモトリプタンを得る工程
を含む、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の製造方法。
【請求項2】
工程(a)で使用する1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩を、1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩をジアゾ化し、次いで還元することによって調製する、請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
前記還元を、塩化第一スズ、亜ジチオン酸ナトリウム、または亜硫酸ナトリウムを使用して行う、請求項2に記載の製造方法。
【請求項4】
前記還元を、亜硫酸ナトリウムを使用して行う、請求項3に記載の製造方法。
【請求項5】
ワンポット(one pot)法である、請求項1〜4のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項6】
1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩を、単離することなくその場で用いる、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項7】
1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩を単離する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項8】
ヒドラゾン中間体(V) またはその保護された形態を、単離することなくその場で用いる、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項9】
ヒドラゾン中間体(V) またはその保護された形態を単離する、請求項1〜7のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項10】
用いる1-(4-アミノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンの医薬品として許容可能な塩が、塩酸塩である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項11】
工程(a)の縮合を、pH0〜3で実施する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項12】
工程(a)の縮合を、pH約2で実施する、請求項11に記載の製造方法。
【請求項13】
工程(b)の環化を、酸性のpHで実施する、請求項1〜12のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項14】
工程(b)の環化を、pH0〜3で実施する、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
工程(b)の環化を、約2のpHで実施する、請求項14に記載の製造方法。
【請求項16】
工程(b)の環化を、40〜70℃で実施する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項17】
工程(b)の環化を、55〜65℃で実施する、請求項16に記載の製造方法。
【請求項18】
工程(b)の環化を、高度に希釈して実施する、請求項1〜17のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項19】
工程(b)の環化を、10〜100容積倍に希釈して実施する、請求項18に記載の製造方法。
【請求項20】
工程(b)の環化を、40容積倍に希釈して実施する、請求項19に記載の製造方法。
【請求項21】
工程(b)の環化を、1種以上の鉱酸またはルイス酸の存在下で実施する、請求項1〜20のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項22】
前記鉱酸またはルイス酸が、塩酸、硫酸、酢酸、リン酸、トリフルオロ酢酸、または三フッ化ホウ素から選択される、請求項21に記載の製造方法。
【請求項23】
工程(b)の環化を、金属触媒の存在下で行う、請求項1〜22のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項24】
前記金属触媒が、酢酸パラジウム(II)、塩化パラジウム(II)、Pd(P(C6H5)3)4、Pd2(dba)3、塩化亜鉛、またはルテニウム錯体から選択される、請求項23に記載の製造方法。
【請求項25】
前記金属触媒が酢酸パラジウム(II)である、請求項24に記載の製造方法。
【請求項26】
1種以上の有機溶媒を用いて抽出することによって、形成されたアルモトリプタンを単離する工程をさらに含む、請求項1〜25のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項27】
前記有機溶媒が、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ジクロロメタン、クロロホルム、ジエチルエーテル、第三ブチルメチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、またはこれらの混合物から選択される、請求項26に記載の製造方法。
【請求項28】
形成されたアルモトリプタンを吸収剤または溶出系を使用して単離する工程をさらに含む、請求項1〜27のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項29】
前記吸収剤が、シリカゲルまたはある種のアルミナから選択される、請求項28に記載の製造方法。
【請求項30】
前記吸収剤が、中性アルミナまたは塩基性アルミナである、請求項29に記載の製造方法。
【請求項31】
前記吸収剤が、シリカゲルである、請求項29に記載の製造方法。
【請求項32】
前記溶出系が、溶媒と有機塩基との混合物から選択される、請求項28〜31のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項33】
前記溶媒が、アルコール、アセテート、塩素化溶媒、またはこれらの混合物である、請求項32に記載の製造方法。
【請求項34】
前記溶媒が、メタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2-ジクロロエタン、またはこれらの混合物から選択される、請求項33に記載の製造方法。
【請求項35】
前記有機アミンが、トリエチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、N-エチルイソプロピルアミン、N,N-エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、ピロリドン、またはこれらの混合物である、請求項32〜34のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項36】
N,N-ジメチルアミノブチルアルデヒドを、アセタールの形態で使用する、請求項1〜35のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項37】
N,N-ジメチルアミノブチルアルデヒドを、ジアセタールの形態で使用する、請求項36に記載の製造方法。
【請求項38】
N,N-ジメチルアミノブチルアルデヒドを、ジメチルアセタールまたはジエチルアセタールの形態で使用する、請求項37に記載の製造方法。
【請求項39】
N,N-ジメチルアミノブチルアルデヒドを、ジメチルアセタールの形態で使用する、請求項38に記載の製造方法。
【請求項40】
アルモトリプタンの医薬品として許容可能な塩を調製する工程をさらに含む、請求項1〜39のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項41】
アルモトリプタンマレートを調製するための、請求項40に記載の製造方法。
【請求項42】
ヒドラゾン(V):
【化2】

またはその保護された形態を用いる、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の製造方法。
【請求項43】
アルモトリプタンマレートを調製するための、請求項42に記載の製造方法。
【請求項44】
得られるアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩が、(HPLCで測定して)96%以上の化学純度を有する、請求項1〜43のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項45】
アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩が、1-(4-ヒドラジノ-ベンゼンメタンスルホニル)ピロリジンまたは医薬品として許容可能なその塩から20%以上の収率で得られる、請求項1〜44のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項46】
アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩が、工業的規模で得られる、請求項1〜44のいずれか一項に記載の製造方法。
【請求項47】
請求項1〜46のいずれか一項に記載の方法によって調製される、アルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩。
【請求項48】
医薬品として許容可能な塩がアルモトリプタンマレートである、請求項47に記載のアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩。
【請求項49】
片頭痛の治療または予防のための、請求項47または48に記載のアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩。
【請求項50】
請求項47〜49いずれか一項に記載のアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩を含む、医薬組成物。
【請求項51】
片頭痛の治療または予防のための薬剤の製造における、請求項47〜49いずれか一項に記載のアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の使用。
【請求項52】
請求項47〜49いずれか一項に記載のアルモトリプタンまたは医薬品として許容可能なその塩の治療的または予防的に有効な量を、片頭痛の治療または予防を必要とする患者に投与する工程を含む、片頭痛の治療または予防方法。
【請求項53】
患者がヒトである、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
式(V):
【化3】

で表されるヒドラゾン、またはその保護された形態。

【公表番号】特表2010−535187(P2010−535187A)
【公表日】平成22年11月18日(2010.11.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−518752(P2010−518752)
【出願日】平成20年8月1日(2008.8.1)
【国際出願番号】PCT/GB2008/050653
【国際公開番号】WO2009/016414
【国際公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(508116469)ジェネリクス・(ユーケー)・リミテッド (34)
【Fターム(参考)】