説明

新規な4−ピペリジンカルボキシアミドおよび5HT2A受容体関連障害に対する薬剤の製造のためのその使用

本発明は、式(I)(式中、RおよびR´は本願明細書および特許請求の範囲に規定の通りである。)の化合物、該化合物の製造方法、該化合物を含有する薬学的組成物、および5HT2A受容体関連障害の予防または治療における該化合物及び薬学的組成物の使用に関するものである。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
[関連出願]
本願は、2003年9月3日に出願されたスウェーデン出願第0302369−4号、および2003年9月23日に出願されたU.S.仮出願60/505,295号に基づく優先権を主張する。これら出願の内容は、参照により本書類に包含される。
【0002】
[技術分野]
本発明は、新規化合物、該化合物を含有する薬学的組成物、その製法、並びに5HT2A受容体関連障害に対する薬剤の製造のための該化合物の使用に関するものである。
【0003】
[背景技術]
中枢神経系の多くの障害及び疾患は、アドレナリン作用性、ドーパミン作用性、及びセロトニン神経伝達物質系による影響を受ける。例えば、セロトニン(5−HT;5−ヒドロキシトリプタミン)は中枢神経系に起因する多くの障害及び疾患に関連してくる。5HT2A受容体は、精神分裂病等の精神病性障害を含む、セロトニン系の異常の治療又は予防のための治療学的標的として関連してくる(非特許文献1乃至3を参照。)。この系の異常は、精神的うつ病(非特許文献4を参照。)、片頭痛、癲癇、及び強迫性障害(非特許文献5を参照。)等の人間の多くの障害にも関連してくる。5HT2A拮抗薬はまた、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振(非特許文献6を参照。)、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障(非特許文献7及び8を参照。)の治療において有用であり、また、血小板凝集の阻止において有用である。選択的5HT2A受容体拮抗薬はまた、アルコール及びコカイン依存症の治療においても有用である兆候がある(非特許文献9及び10を参照。)。
【0004】
5HT2A受容体関連障害に対する本発明に係る化合物の使用について開示された文献は存在しない。
【0005】
[非特許文献1] A. Carlsson, N. Waters及びM. L. Carlsson, Biol. Psychiatry, 46, 1388 (1999)
[非特許文献2] G.J. Marek及びG. K. Aghajanian, Biol. Psychiatry, 44, 1118 (1998)
[非特許文献3] E. Sibelle, Z. Sarnyai, D. Benjamin, J. Gal, H. Baker及びM. Toth, Mol. Pharmacol., 52, 1056 (1997)
[非特許文献4] Arias B, Gutierrez B, Pintor L, Gasto C, Fananas L, Mol. Psychiatry (2001) 6, 239-242
[非特許文献5] Luisa de Angelis, Curr. Opin. Invest. Drugs (2002) 3 (1) 106-112
[非特許文献6] Ziegler A, Gorg T, Lancet (1999) 353, 929
[非特許文献7] T. Mano等, Investigative Ophthalmology and Visual Science, 1995, vol. 36, p 719
[非特許文献8] H. Takaneka等, Invest. Ophthamol. Vis. Sci., 1995, vol. 36, p 734
[非特許文献9] Maurel S, De Vry J, De Beun R, Schreiber, Pharmacol. Biochem Behav (1999) 89-96
[非特許文献10] McMahon LR, Cunningham KA, J. Pharmacol Exp Ther (2001) 297, 357-363。
【0006】
[発明の開示]
本発明は、一態様において、式(I)の化合物、および、その薬学的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、およびプロドラッグ形態である。
【0007】
式(I):
【化1】

【0008】
式中、Rは、
− 任意に1又は2以上のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、及びハロ−C1−6アルキルにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリール−C1−6アルキル;または
− C3−8シクロアルキル;のいずれかであり、
R´は、
- 任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、及びシアノにより独立に置換されていてもよいアリール;または
- 任意に1又は2以上のハロゲン、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリールオキシ;または
- 任意に1つのアリール、および/または、1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいヘテロアリール、ここで前記アリールは任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよい;のいずれかである。
【0009】
Rは、
- 1又は2以上のメチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、およびトリフルオロメチルにより独立に置換されているフェニル;
- 1又は2以上のメトキシにより独立に置換されているベンジル;および
- シクロヘキシル
から選択されることが好ましい。
【0010】
Rは、2−エトキシフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、3,4,5−トリメトキシベンジル、およびシクロヘキシルから選択されることが特に好ましい。
【0011】
R´は、
- 1又は2以上のフルオロにより独立に置換されているフェニル;
- 1又は2以上のメトキシにより独立に置換されているフェノキシ;および
- 1つのフェニル、および/または、1又は2以上のフルオロ、クロロ、メチル、及びメトキシにより独立に置換されているインドリル、ここで前記フェニルは任意に1又は2以上のフルオロ、クロロ、メチル、及びメトキシにより独立に置換されていてもよい;
から選択されることが好ましい。
【0012】
R´は、4−フルオロフェニル、2,6−ジメトキシフェノキシ、及び2−フェニル−3−インドリルから選択されることが特に好ましい。
【0013】
好ましい化合物を実施例1−5に示す。
【0014】
本発明は、他の態様において、上述した化合物の製造方法であり、該方法には以下の工程:
a)アミン:RNH
[式中、Rは、
− 任意に1又は2以上のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、及びハロ−C1−6アルキルにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリール−C1−6アルキル;または
− C3−8シクロアルキル;のいずれかである。]
を、シアネートと反応させることにより、式:R−NH−CO−NH
[式中、Rは上述に規定の通りである。]
を得る工程;
b)式(II):
【化2】

【0015】
[式中、R’’はC1−6アルキルである。]
の化合物の、式:R´−CH−CH−LG
[式中、R´は、
− 任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、及びシアノにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のハロゲン、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリールオキシ;または
− 任意に1つのアリール、および/または、1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいヘテロアリール、ここで前記アリールは任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよい;のいずれかである;および
LGは、離脱基である。]
のアルキル化剤を用いた、式(II)の化合物反応による離脱基の置換を介したアルキル化により、式(III):
【化3】

【0016】
[式中、R´およびR’’は、上述に規定の通りである。]
の化合物を得る工程;
c)ナトリウムメトキシド又はカリウムt−ブトキシド等の塩基の存在下における、工程a)およびb)で得られた生成物の反応により、式(I):
【化4】

【0017】
[式中、RおよびR´は上述に規定の通りである。]
の化合物を得る工程;
を含む方法である。
【0018】
本発明は、他の態様において、療法、特に5HT2A受容体関連障害の予防または治療において使用する上述した化合物である。
【0019】
本発明は、他の態様において、活性成分として上述した化合物を、薬学的に許容し得る賦形剤または担体との組合せにおいて含有する薬学的調製物であって、特に5HT2A受容体関連障害の予防または治療において使用する薬学的調製物である。
【0020】
本発明は、他の態様において、5HT2A受容体関連障害を罹患している人間または動物対象を治療する方法である。かかる方法は、ここで開示の式で表されるいずれか1種または2種以上の化合物、その塩、または該化合物もしくは塩を含有する有効量の組成物を、投与を必要とする対象(例えば、人間または動物、犬、猫、馬、牛)へ投与することを含み得る。
【0021】
ここで詳細に記載される方法はまた、5HT2A受容体関連障害の治療が必要な対象を識別する工程を含み得る。かかる治療が必要な対象を識別することは、対象または健康管理専門家の判断であり得、主観的(例えば、意見)または客観的(例えば、テストまたは診断法によりはかり得る)であり得る。
【0022】
本発明は、他の態様において、5HT2A受容体関連障害の予防方法であり、上述した化合物の有効量をかかる治療を必要とする対象に投与することを含む。
【0023】
本発明は、他の態様において、5HT2A受容体活性を調節する(すなわち、促進または阻害する)方法であり、上述した化合物の有効量をかかる治療を必要とする対象に投与することを含む。
【0024】
本発明は、他の態様において、5HT2A受容体関連障害の予防または治療に使用する薬剤の製造における上述した化合物の使用である。
【0025】
上述した化合物は、5HT2A受容体のアゴニスト、部分アゴニスト、または拮抗薬であり得る。
【0026】
5HT2A受容体関連障害の具体例としては、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症が挙げられる。
【0027】
該化合物および組成物は、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症などの病気の治療に有用である。一態様において、本発明は、上述した病気を治療または予防する方法に関わり、ここで詳細に記載する化合物または組成物の有効量をかかる治療が必要な対象に投与することを含む。
【0028】
定義
以下の定義は明細書および添付の特許請求の範囲において適用される。
特段の言及または指摘がない限り、用語「C1−6アルキル」は、炭素原子を1〜6個有する直線状または分岐アルキル基を意味する。前記低級アルキルの具体例には、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、および直鎖及び分岐鎖ペンチル及びヘキシルが含まれる。範囲に含まれる一部に関し、「C1−6アルキル」の全サブグループとしては、例えば、C1−5アルキル、C1−4アルキル、C1−3アルキル、C1−2アルキル、C2−6アルキル、C2−5アルキル、C2−4アルキル、C2−3アルキル、C3−6アルキル、C4−5アルキル等が考えられる。「ハロ−C1−6アルキル」は、1または2以上のハロゲン原子で置換されたC1−6アルキル基を意味する。同様に、「アリール−C1−6アルキル」は、1または2以上のアリール基で置換されたC1−6アルキル基を意味する。
【0029】
特段の言及または指摘がない限り、用語「C3−8シクロアルキル」は、炭素原子数が3〜8個の大きさの環を有する環状アルキル基を意味する。前記シクロアルキルの具体例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、およびシクロオクチルが含まれる。範囲に含まれる一部に関し、「C3−8シクロアルキル」の全サブグループとしては、例えば、C3−7シクロアルキル、C3−6シクロアルキル、C3−5シクロアルキル、C3−4シクロアルキル、C4−8シクロアルキル、C4−7シクロアルキル、C4−6シクロアルキル、C4−5シクロアルキル、C5−7シクロアルキル、C6−7シクロアルキル等が考えられる。
【0030】
特段の言及または指摘がない限り、用語「C1−6アルコキシ」は、炭素原子を1〜6個有する直線状または分岐アルコキシ基を意味する。前記低級アルコキシの具体例には、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシ、t−ブトキシ、および、直鎖及び分岐鎖ペントキシ及びヘキソキシが含まれる。範囲に含まれる一部に関し、「C1−6アルコキシ」の全サブグループとしては、例えば、C1−5アルコキシ、C1−4アルコキシ、C1−3アルコキシ、C1−2アルコキシ、C2−6アルコキシ、C2−5アルコキシ、C2−4アルコキシ、C2−3アルコキシ、C3−6アルコキシ、C4−5アルコキシ等が考えられる。
【0031】
特段の言及または指摘がない限り、用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素を意味する。
【0032】
特段の言及または指摘がない限り、用語「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を有する炭化水素環系を意味する。アリールの具体例には、フェニル、ペンタレニル、インデニル、インダニル、イソインドリニル、クロマニル、ナフチル、フルオレニル、アントリル、フェナントリル、およびピレニルが含まれる。アリール環は、任意にC1−6アルキルで置換されていてもよい。置換アリール基の具体例としては、2−メチルフェニルおよび3−メチルフェニルを挙げることができる。同様に、「アリールオキシ」は、酸素原子に結合したアリール基を意味する。
【0033】
用語「ヘテロアリール」は、環原子としてO、NまたはS等のヘテロ原子を1または2以上有する少なくとも1つの芳香環を含む炭化水素環系を意味する。ヘテロアリール基の具体例には、フリル、ピロリル、チエニル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、イミダゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリジニル、ピリミジニル、キナゾリニル、インドリル、ピラゾリル、ピリダジニル、キノリニル、ベンゾフラニル、ジヒドロベンゾフラニル、ベンゾジオキソリル、ベンゾジオキシニル、ベンゾチアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、およびベンゾトリアゾリル基が含まれる。
【0034】
用語「離脱基」は、求核置換反応の間に分子から置換される基を意味する。離脱基の具体例としては、ヨー化物、臭化物、塩化物、スルホン酸メタン、ヒドロキシ、メトキシ、チオメトキシ、トシル、またはその好適なプロトン化形態(例えば、HO、MeOH)を挙げることができ、特に臭化物およびスルホン酸メタンが挙げられる。
【0035】
用語「アルキル化剤」は、他の化合物に加えられ得る1又は2以上のアルキル基を服務化合物を意味する。アルキル化剤の具体例としては、ヨードメタン、ヨードエタン、1−ヨードプロパン、2−ヨードプロパン、直線又は分岐ヨードブタン、ヨードペンタン、ヨードヘキサン、ブロモメタン、1−ブロモプロパン、2−ブロモプロパン、直線又は分岐ブロモブタン、ブロモペンタン、ブロモヘキサン、アリルブロミド、エチルメタンスルホネート、メチルメタンスルホネート、およびプロピルメタンスルホネートが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
【0036】
「薬学的に許容し得る」とは、一般的に安全、非毒性であり、且つ、生物学的でもなくまた有害でもない、薬学的組成物の調製に有用であることを意味し、獣医学使用並びに人間の薬学的使用に有用であることを含む。
【0037】
ここで用いられる「治療」には、指名された障害または疾患の予防、またはいったん定着した障害の改善もしくは除去が含まれる。
【0038】
「有効量」とは、治療された対象に治療効果が与える化合物の量を意味する。治療効果は客観的であっても(すなわち、何らかのテストまたはマーカーによりはかることができる。)、また主観的であってもよい(すなわち、対象が効果を指摘する、もしくは効果を感じる。)。
【0039】
用語「プロドラッグ形態」とは、薬学的に許容し得る誘導体(例えば、エステルまたはアミド)を意味し、誘導体は身体の中で生体内変化し、活性薬物を形成する。グッドマン及びギルマンのザ・ファーマコロジカル・ベーシス・オブ・セラピューティク(The Pharmacological basis of Therapeutics)、第8版、マグローヒル、1992、「バイオトランスフォーメーション・オブ・ドラッグ(Biotransformation of Drugs)」、p.13−15を参照のこと。
【0040】
ここで使用する略語を以下に示す:
ACNは、アセトニトリルを表す。
CHOは、中国ハムスター卵巣を表す。
DEAは、ジエチルアミンを表す。
DEPTは、歪増加分極移動(distortion enhancement polarization transfer)を表す。
DMSOは、ジメチルスルホキシドを表す。
ELSは、電子光散乱を表す。
HPLCは、高速液体クロマトグラフィーを表す。
Rtは、保持時間を表す。
TFAは、トリフルオロ酢酸を表す。
THFは、テトラヒドロフランを表す。
TLCは、薄層クロマトグラフィーを表す。
【0041】
詳細に記載される化合物について可能なすべての異性体形態(純粋な鏡像異性体、ジアステレオマー、互変異性体、ラセミ混合物、および二つの鏡像異性体の等量でない混合物)は、本発明の範囲内である。かかる化合物はまた、シス−またはトランス−、E−またはZ−二重結合異性体形態を生ずる。すべての異性体形態が考えられる。
【0042】
式(I)の化合物は、それ自体として、あるいは適宜その薬学的に許容し得る塩(酸または塩基付加塩)として使用することができる。前記の薬学的に許容し得る付加塩は、化合物が形成することが可能である治療学的に活性な非毒性の酸及び塩基付加塩形態を含むことが意図される。塩基特性を有する化合物は、該塩形態を適切な酸で処理することによりその薬学的に許容し得る酸付加塩に転化され得る。典型的な酸としては、塩化水素、臭化水素、ヨウ化水素、硫酸、リン酸、等の無機酸;および、例えばギ酸、酢酸、プロピオン酸、ヒドロキシ酢酸、乳酸、ピルビン酸、グリコール酸、マレイン酸、マロン酸、シュウ酸、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸、フマル酸、琥珀酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、サリチル酸、p−アミノサリチル酸、パモイックエイシッド(pamoic acid)、安息香酸、アスコルビン酸、等の有機酸が挙げられる。典型的な塩基付加塩形態は、ナトリウム、カリウム、カルシウム塩、薬学的に許容し得るアミン(例えば、アンモニア、アルキルアミン、ベンズアシン(benzathine)、およびアミノ酸(例えばアルギニン及びリシン)による塩である。ここで用いられる用語、付加塩にはまた、化合物およびその塩が形成することができる溶媒和物、例えば水和物、アルコール化合物等が含まれる。
【0043】
臨床使用のため、本発明の化合物は、経口的、直腸的、非経口的投与及び他の投与方式用の薬学的調製物に調合される。薬学的調製物は、通常、活性物質、またはその薬学的に許容し得る塩を薬学的に一般的な賦形剤と混合することにより調製される。賦形剤の具体例としては、水、ゼラチン、アラビゴム、ラクトース、微晶質セルロース、澱粉、澱粉グリコール酸ナトリウム、リン酸水素カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、滑石、コロイド二酸化ケイ素等を挙げることができる。かかる調製物はまた、他の薬学的活性試薬、および一派的な付加物、例えば安定剤、湿潤剤、乳化剤、香味料、緩衝剤等を含有していてもよい。
【0044】
調製物は、さらに、例えば顆粒化、圧縮、マイクロカプセル詰め、スプレーコーティング等、公知の方法により調製することもできる。調製物は、従来の方法により、錠剤、カプセル、顆粒、粉末、シロップ、懸濁液、坐薬、または注射の投与形態に調製することができる。液体調製物は、活性物質を水または他の好適な賦形済に溶解あるいは懸濁させることにより調製することができる。錠剤および顆粒は従来の方法を用いてコーティングすることができる。
【0045】
更なる態様において、本発明は、本明細書に詳細に記載される1または2以上の化合物のいずれかを反応させることを含む、本明細書に開示のいずれかの式により表わされる化合物の製造方法に関するものであり、本明細書に詳細に記載された手段を含む。前記式(I)の化合物は従来の方法(もしくは類似の方法)により調製することができる。
【0046】
上述した方法は、本発明の化合物を塩基のない形態、または酸付加塩として得るために実施することができる。薬学的に許容し得る酸付加塩は、塩基化合物から酸付加塩を調製する従来の手順に従い、塩基のない化合物を好適な有機溶媒に溶解し、溶液を酸で処理することにより得ることができる。付加塩を形成する酸については上述の通りである。
【0047】
式(I)の化合物は、1または2以上のキラル炭素原子を有し得、故に該化合物は光学異性体の形態、例えば、純粋な鏡像異性体、または鏡像異性体の混合物(ラセミ)化合物、またはジアステレオマー含有混合物として得られ得る。純粋な鏡像異性体を得るための光学異性体混合物の分離は、当該分野で周知であり、例えば、光学的に活性な(キラル)酸を用いた塩の分別結晶、またはキラルカラムのクロマトグラフィー分離により達成することができる。
【0048】
本明細書で詳細に記載する合成ルートで使用される化学物質には、例えば、溶媒、試薬、触媒、および保護基並びに脱保護基試薬が含まれる。上述の方法はまた、本明細書で具体的に記載した工程の前または後のいずれかに、本化合物の合成を最終的に成し遂げるために好適な保護基を付加または除去する工程を更に含むことがある。加えて、様々な合成工程は、所望の化合物を得るために、連続的または順に実施することができる。合成適用可能な化合物における合成化学変換および保護基方法(保護および脱保護)は、当該分野で公知であり、例えば、R. Larock, Comprehensive Organic Transformations, VCH Publishers (1989); T.W. Greene および P.G.M. Wuts, Protective Groups in Organic Synthesis, 第3版, John Wiley and Sons (1999); L. Fieser 及び M. Fieser, Fieser 及び Fieser’s Reagents for Organic Synthesis, John Wiley and Sons (1994); 及び L. Paquette, ed., Encyclopedia of Reagents for Organic Synthesis, John Wiley 及びSons (1995) 及びその続きの出版物を参照にすることができる。
【0049】
式(I)の化合物の製造に必要な出発物質は公知であるか、あるいは公知化合物の調製に類似の方法で調製することができる。特定化合物の投薬量並びに投薬頻度は、使用される特定化合物の効能、その化合物の代謝安定性および作用の長さ、患者の年齢、体重、通常の健康状態、性別、食事療法、投与の方法及び時間、排泄の割合、薬物の組み合わせ、治療の状況の過酷さ、患者が受ける療法など様々な要因に依存し変わってくるものである。一日の投薬量は、例えば、体重1キロ当たり約0.001mg乃至約100mgであり、例えば約0.01mg乃至約25mgの量において1回または複数回投与することができる。通常は、かかる投薬は経口的に行われるが、非経口的な投与もまた選択することができる。
【0050】
本発明を実施例によりさらに詳細に説明するが、これらは本発明を限定するものではない。
【実施例】
【0051】
実験方法
試薬はすべて市場用グレードであり、特に言及しない限り更なる精製は行うことなく入手したものを使用した。不活性雰囲気下で実施される反応には商業的に入手可能な無水溶媒を使用した。他のケースではすべて、特に言及しない限り、試薬グレードの溶媒を使用した。カラムクロマトグラフィーは、Matrex(登録商標)シリカゲル60(35−70ミクロン)で実施した。TLCはプレコートシリカゲルF−254プレート(厚さ0.25mm)を使用して行った。H NMRスペクトルは250MHzにおいてBruker Avance250に記録した。H NMRスペクトルの化学シフトは、100万当たり一部分与えられ、テトラメチルシラン(0.00ppm)または残渣溶媒ピークが内部リファレンスとして用いられる。分裂パターンを以下のように示す;s、一重線;d、二重線;t、三重線、q、四重線、m、多重線、br、ブロード。結合定数はヘルツ(Hz)において与えられる。選択されたデータのみが記録される。13C NMRスペクトルは62.5MHzにおいて記録された。DEPT実験が13C NMR共鳴を助長するために使用された。13C NMRの化学シフトが100万当たり部分的に現され、残渣溶媒ピークが内部リファレンスとして用いられた。HPLC分析は、254nmでモニターしWaters600EまたはGilsonシステムにおいて3ml/分の流速で3.5分間にわたり95%水中5%ACN/5%水中95%ACN(0.2%TFAバッファー)の勾配で、次いで更に2.5分間5%水中95%ACN(0.2%TFAバッファー)で抽出しWaters Xterra MS C18カラム(100x4.6mm、5μ)を用いて実施された。逆相分取HPLCは、254nmでモニターし25ml/分の流速でWaters600EまたはGilsonシステムにおいて12分間にわたり95%水中5%ACN/5%水中95%ACN(0.05%DEA)の勾配で、次いで更に5分間5%水中95%ACN(0.2%TFAバッファー)で抽出しXterra MS C18カラム(100x19mm、5μm)を用いて実施された。所望の生成物を含む画分を減圧下に濃縮し、得られた残渣をジオキサンおよび水の混合物から凍結乾燥した。エレクトロスプレーMSスペクトルをマイクロマスプラットフォームLCMS分光計に得た。化合物はAutoNom2000を用いて命名された。
【0052】
実施例1
1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)エチル]-N-{[(3,4,5-トリメトキシベンジル)アミノ]カルボニル}ピペリジン-4-カルボキシアミド
工程1:(3,4,5-トリメトキシ-ベンジル)-尿素
3,4,5-トリメトキシベンジルアミン(1.0496g, 5.32 mmol)の水溶液(4mL)に、濃塩酸(1mL)およびシアン化カリウム(3.45g, 42.5mmol)を加え、溶液を90℃で2時間攪拌した。次いで、混合物を室温まで冷却し、固体を濾過し、水で洗浄することにより、白色固体(1g, 78.2%)を得た。
【0053】
1H-NMR(250MHz, DMSO-d6) δ= 3.60 (s, 3H, -OMe), 3.73 (s, 6H, -OMe), 4.08 (d, 2H, J=6.0Hz, -CH2-Ar), 5.54 (s, 2H, -NH2), 6.42 (t, 1H, J=6.0Hz, -NH), 6.55 (s, 2H, Harom). HPLC 98%, Rt=1.30 min. MS (ES) m/z 241.24 (M+H)。
【0054】
工程2:メタンスルホン酸2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)-エチルエステル
メタンスルホニルクロリド(0.247mL, 3.18mmol)を、2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)-エタノール(606mg, 2.55mmol)およびトリエチルアミン(0.56mL, 4mmol)の乾燥ジクロロメタン(5mL)溶液に0℃において滴下により加えた。40分後、溶液を1N HClに注ぎ、有機層を分離し、水、ブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、真空下に濃縮することにより、赤色油状物(0.8g, 100%)を得た。
【0055】
1H-NMR(250MHz, CDCl3) δ= 2.79 (s, 3H, -Me), 3.37 (t, 2H, J=7.4Hz, -CH2-Ar), 4.48 (t, 2H, J=7.3Hz,-CH2-O-), 7.17-7.34 (m, 4H, Harom), 7.39-7.67 (m, 5H, Harom), 8.20 (s, 1H, -NH). HPLC 94%, Rt=2.95 min. MS (AP) m/z 分子イオンなし。
【0056】
工程3:1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3イル)-エチル]-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル
メタンスルホン酸2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)-エチルエステル(0.8g, 2.5mmol)、メチルイソニペコチン酸(0.473mL, 3.5mmol)および炭酸水素ナトリウム(0.9g, 11mmol)の乾燥アセトニトリル(5mL)溶液を80℃において20時間攪拌した。溶液を冷却し、濾過し、真空下に濃縮することにより、黄色油状物(0.5g)を得た。該油状物は、シリカ又はアルミナにおける分解のため、カラムクロマトグラフィーによる精製ができなかった。中間体は更に精製することなく次の工程(尿素とのカップリング)で使用した。
【0057】
工程4:1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)エチル]-N-{[(3,4,5-トリメトキシベンジル)アミノ]-カルボニル}ピペリジン-4-カルボキシアミド
3,4,5-トリメトキシベンジル尿素(97.2mg, 0.4mmol)、1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3イル)- エチル]- ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル(220mg, 0.6mmol)のジメチルアセトアミド(3mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(0.45mL, 25% wt メタノール溶液, 2.0mmol)を加えた。反応物を回転エバポレーターに1時間かけ、メタノールの痕跡を除去した。次いで水を加え、酢酸エチルで化合物を抽出した。化合物を塩基性条件(DEA)下で分取HPLCにより精製し、白色固体(29.3mg, 13%)を得た。
【0058】
1H-NMR (250 MHz, CDCl3) δ= 1.77-1.90 (m, 4H, piperidine), 2.04 (dd, 2H, J=2.75/11.4Hz, -CH2-), 2.12-2.25 (m, 1H, -CH-CO), 2.66-2.72 (m, 2H, -CH2-), 3.06-3.13 (m, 4H, 2-CH2), 3.82 (s, 3H, -OMe), 3.85 (s, 6H, -OMe), 4.40 (d, 2H, J=5.8Hz, -CH2-Ar), 6.53 (s, 2H, Harom), 7.11-7.25 (m, 2H, Harom), 7.37-7.67 (m, 7H, Harom), 8.05 (d, 2H, J=7.8Hz, -NH), 8.72 (t, 1H, J=5.56Hz, -NH). HPLC 100%, Rt=3.59 min. MS (ES) m/z 571.02 (M+H)。
【0059】
実施例2
1-[2-(2,6-ジメトキシフェノキシ)エチル]-N-({[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)-ピペリジン-4-カルボキシアミド
(3-トリフルオロメチル-フェニル)-尿素(0.1699g, 0.83mmol)および1-[2-(2,6-ジメトキシ-フェノキシ)-エチル]- ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル**(0.2635g, 0.81mmol)のジメチルアセトアミド(2.0mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(0.9mL, 25% in MeOH, 4.0mmol)を加えた。反応物を室温で真空下に回転エバポレーターにかけて1時時間攪拌した。水(10mL)を加えることにより、白色沈殿物が形成された。固体を酢酸エチルに溶解し、溶液を水で洗浄した。有機層を乾燥し(MgSO)、溶媒を約0.5mLまで濃縮した。白色結晶が形成した。結晶を濾過し、少量の酢酸エチルで洗浄した。白色結晶の生成物(0.1157g, 29%)が得られた。
【0060】
1H-NMR (250 MHz, CDCl3) δ= 1.86-1.95 (m, 4H, CH2), 2.05-2.19 (m, 2H, -CH2-), 2.33-2.43 (m, 1H, -CH-CO), 2.80 (t, 2H, J= 5.9Hz, -CH2-), 3.14-3.19 (m, 2H, -CH2N), 3.83 (s, 6H, 2x-OMe), 4.10 (t, 2H, J=5.9Hz, -CH2O), 6.57 (d, 2H, J=8.4Hz, Harom), 6.99 (t, 1H, J=8.4Hz, Harom), 7.34-7.47 (m, 2H, Harom), 7.60 (brd, 1H, J=8.0Hz, Harom), 7.98 (s, 1H, Harom), 9.78 (s, 1H, -NH) and 10.92 (s, 1H, -NH). 13C-NMR (62.5MHz, CDCl3) δ= 26.3, 41.9, 51.1, 54.1, 56.1, 68.5, 103.2, 115.0, 121.2, 121.7, 127.6, 135.2, 135.8, 150.4, 151.7 and 175.9. HPLC 99%, Rt=2.25 min. MS (ES) m/z 496 (M+H).
* 実施例1、工程1と同様の手順により合成された。
【0061】
** 実施例1、工程3と同様の手順により合成された。
【0062】
実施例3
N-[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]-1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド
シクロヘキシル尿素(75.1mg, 0.5mmol)および1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3イル)-エチル]-ピペリジン-4-カルボン酸メチルエステル** (253.3mg, 0.75mmol)のジメチルアセトアミド(5mL)溶液に、ナトリウムメトキシド(0.7mL, 25% wt メタノール溶液, 3.14mmol)を加えた。反応物を回転エバポレーターに1時間かけ、メタノールの痕跡を除去した。次いで水を加え、化合物の酢酸エチル又はクロロホルムによる抽出を試みたところ失敗した。従って、水層を乾燥状態までエバポレートし、アセトニトリルを加え、溶液を硫酸マグネシウムで乾燥し濃縮することにより、黄色固体を得た。得られた固体を塩基性(DEA)条件下に分取HPLCで精製することにより、白色固体(5.8mg, 3%)を得た。
【0063】
HPLC 100%, Rt=3.97 min. MS (ES) m/z 473.00 (M+H).
* 実施例1、工程1と同様の手順により合成された。
【0064】
** 実施例1、工程3と同様の手順により合成された。
【0065】
実施例4および5の一般的手順A:(化合物ライブラリー)
【化5】

【0066】
尿素(0.20 mmol)のDMSO(0.5 ml)攪拌溶液に、カリウムt−ブトキシド(0.40 mmol)のDMSO溶液を加え、反応物を室温で震盪させた。15分後、エステル**(0.2 mmol)のDMSO溶液を添加し、内容物を更に18時間震盪させた。続いて反応物をアンバーライト(amberlite)(登録商標)−IR−120(H)樹脂で濾過し、以下の条件で分取クロマトグラフィーにより精製した。
【0067】
* 実施例1、工程1と同様の手順により合成された。
【0068】
** 実施例1、工程3と同様の手順により合成された。
【0069】
移動相
0.2% TFA/水、ACN
流速 25ml/分
勾配: 85/15 HO+0.2%TFA/ACN 1.5分間
5/95 in 9.5分 1.5分間
85/15 in 0.5分
検出器: ELS(Sedex 55 ELSDに対するフロースプリット 約1.5ml/分)
ガス(窒素) 2.0バール
ネブライザー 40℃
カラム: ウォーターズ シンメトリープレップ(Waters SymmetryPrep)(登録商標)19mmx150mmx7μm C18。
【0070】
実施例4
N-{[(2,4-ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド
実施例4は、一般的手順Aに従い合成された。
【0071】
HPLC 100%, Rt = 3.88 min. MS (AP) m/z 406 (M+H)。
【0072】
実施例5
N-{[(2-エトキシフェニル)アミノ]カルボニル}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド
実施例5は、一般的手順Aに従い合成された。
【0073】
HPLC 97%, Rt = 3.96 min. MS (AP) m/z 414 (M+H)。
【0074】
薬学的組成物の製造
実施例6:錠剤の製造
成分 mg/錠剤
1.式(I)の活性成分 10.0
2.微晶質セルロース 57.0
3.リン酸水素カルシウム 15.0
4.澱粉グリコール酸ナトリウム 5.0
5.コロイド二酸化ケイ素 0.25
6.ステアリン酸マグネシウム 0.75
活性成分1を成分2,3,4および5と約10分間混合する。次いでステアリン酸マグネシウムを加え、得られた混合物を約5分間混合し、フィルムコーティング有り、または無しで錠剤中に圧縮した。
【0075】
生物学的方法
実験方法
第1次スクリーニングおよびIC50測定
384ウェルプレートに接種された5HT2A受容体発現CHOをフルオ−4AM蛍光色素で予め充填し、次いで化合物(第一次スクリーニング用に10μM)で15分間インキュベートした。蛍光強度はフルオロメトリックイメージングプレートリーダー(FLIPR384, モルキュラーデバイス)を用いて記録し、5−HT(EC70濃度)により喚起されたピーク反応の阻害が計算される。IC50測定は、第1次スクリーニングについて記載されたのと同じ機能アッセイを利用して行われ(15分間拮抗薬化合物プレインキュベーション)、3nM〜10μMの投薬量範囲で化合物を適用する。
【0076】
インヴィトロ受容体薬理学−選択性測定
化合物の結合定数を、線維芽細胞ライン(CHOまたはHEK293)に安定して発現する組換えヒトセロトニン受容体を使用し、シンチレーション近接アッセイまたはフィルター結合アッセイを使用し化合物が放射−標識トレーサーを置換する能力を測定して行った。5−HT1B、5−HT2Bおよび5−HT2C受容体結合調査のため、H-LSDを放射リガンドとして使用し、5−HT2Aおよび5−HTのため、H-5−HTトレーサーとして使用し、一方、5−HT1Aへの結合定数は、H-8−OH−DPATを使用して測定した。非選択性セロトニン受容体拮抗薬ミアンセリン(mianeserine)はリファレンス物質として使用した。
【0077】
5−HT2c受容体における活性は、FLIPRベースアッセイにおいて、10nM 5−HT誘導Ca2+電流において化合物の効果を測定して調査した。
【0078】
生物学的要約
阻害因子に関するKi値の計算は、アクティビティベースを使用して行った。Ki値は、Cheng Prushoffの式(ミカエリス-メンテンの式に続く可逆阻害):
Ki=IC50(1+[S]/Km)(Cheng, Y.C.; Prushoff, W.H. Biochem. Pharmacol. 1973, 22, 3099-3108)を使用しIC50から計算する。式(I)の化合物は、1nM〜10μMの範囲で5−HT2A受容体についてのIC50値を示す。
【0079】

5−HT2A拮抗薬化合物は、5−HT2A受容体のFLIPRベース機能性スクリーニングにおいて同定された。これらの中で1つの化合物が平衡置換結合測定において試験された。本実験の結果では、実施例2が、Ki値がナノモル範囲で、5−HT2A受容体特殊型(subtype)について高結合性リガンドであることが示された。この化合物は、試験された他の5つのセロトニン受容体(5−HT2C、5−HT2B、5−HT1A、5−HTおよび5−HT1B)に対し少なくとも20倍の選択性であることが示された。さらに、実施例2は、効能の観点において、5−HT2C受容体に対し5−HT2Aについて高い選択性を示すことがわかった。
【表1】

【0080】
上記の表は、5−HT2Aについての、他のセロトニン結合受容体との比較における2つの実施例2の選択性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物、および、その薬学的に許容し得る塩、水和物、溶媒和物、幾何異性体、互変異性体、光学異性体、およびプロドラッグ形態:
式(I):
【化1】

式中、Rは、
− 任意に1又は2以上のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、及びハロ−C1−6アルキルにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリール−C1−6アルキル;または
− C3−8シクロアルキル;のいずれかであり、
R´は、
- 任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、及びシアノにより独立に置換されていてもよいアリール;または
- 任意に1又は2以上のハロゲン、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリールオキシ;または
- 任意に1つのアリール、および/または、1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいヘテロアリール、ここで前記アリールは任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよい;のいずれかである。
【請求項2】
Rは、
- 1又は2以上のメチル、メトキシ、エトキシ、フルオロ、およびトリフルオロメチルにより独立に置換されているフェニル;
- 1又は2以上のメトキシにより独立に置換されているベンジル;および
- シクロヘキシル
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Rは、2−エトキシフェニル、2,4−ジフルオロフェニル、3−(トリフルオロメチル)フェニル、3,4,5−トリメトキシベンジル、およびシクロヘキシルから選択される、請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R´は、
- 1又は2以上のフルオロにより独立に置換されているフェニル;
- 1又は2以上のメトキシにより独立に置換されているフェノキシ;および
- 1つのフェニル、および/または、1又は2以上のフルオロ、クロロ、メチル、及びメトキシにより独立に置換されているインドリル、ここで前記フェニルは任意に1又は2以上のフルオロ、クロロ、メチル、及びメトキシにより独立に置換されていてもよい;
から選択される、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項5】
R´は、4−フルオロフェニル、2,6−ジメトキシフェノキシ、及び2−フェニル−3−インドリルから選択される、請求項1乃至4のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項6】
以下から選択される、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の化合物:
1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)エチル]-N-{[(3,4,5-トリメトキシベンジル)アミノ]カルボニル}ピペリジン-4-カルボキシアミド、
1-[2-(2,6-ジメトキシフェノキシ)エチル]-N-({[3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)-ピペリジン-4-カルボキシアミド、
N-[(シクロヘキシルアミノ)カルボニル]-1-[2-(2-フェニル-1H-インドール-3-イル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド、
N-{[(2,4-ジフルオロフェニル)アミノ]カルボニル}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド、および
N-{[(2-エトキシフェニル)アミノ]カルボニル}-1-[2-(4-フルオロフェニル)エチル]ピペリジン-4-カルボキシアミド.
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物の製造方法であり、以下の工程:
a)アミン:RNH
[式中、Rは、
− 任意に1又は2以上のC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、ハロゲン、及びハロ−C1−6アルキルにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリール−C1−6アルキル;または
− C3−8シクロアルキル;
のいずれかである。]
を、シアネートと反応させることにより、式:R−NH−CO−NH
[式中、Rは上述に規定の通りである。]
を得る工程;
b)式(II):
【化2】

[式中、R’’はC1−6アルキルである。]
の化合物の、式:R´−CH−CH−LG
[式中、R´は、
− 任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルコキシ、ハロ−C1−6アルキル、及びシアノにより独立に置換されていてもよいアリール;または
− 任意に1又は2以上のハロゲン、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいアリールオキシ;または
− 任意に1つのアリール、および/または、1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよいヘテロアリール、ここで前記アリールは任意に1又は2以上のハロゲン、C1−6アルキル、及びC1−6アルコキシにより独立に置換されていてもよい;のいずれかである;および
LGは、離脱基である。]
のアルキル化剤を用いた、式(II)の化合物反応による離脱基の置換を介したアルキル化により、式(III):
【化3】

[式中、R´およびR’’は、上述に規定の通りである。]
の化合物を得る工程;
c)ナトリウムメトキシド又はカリウムt−ブトキシド等の塩基の存在下における、工程a)およびb)で得られた生成物の反応により、式(I):
【化4】

[式中、RおよびR´は上述に規定の通りである。]
の化合物を得る工程;
を含む製造方法。
【請求項8】
療法において使用する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項9】
5HT2A受容体関連障害の予防または治療において使用する、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物。
【請求項10】
障害が、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症から選択される、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
活性成分として請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物を、薬学的に許容し得る賦形剤または担体との組合せにおいて含有する薬学的調製物。
【請求項12】
5HT2A受容体関連障害の予防または治療において使用する、請求項11に記載の薬学的調製物。
【請求項13】
障害が、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症から選択される、請求項12に記載の薬学的調製物。
【請求項14】
5HT2A受容体関連障害の予防または治療方法であって、かかる治療を必要とする対象に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項15】
障害が、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
5HT2A受容体活性を調節する方法であって、かかる治療を必要とする対象に請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物の有効量を投与することを含む方法。
【請求項17】
5HT2A受容体関連障害の予防または治療に使用する薬剤の製造における、請求項1乃至6のいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項18】
障害が、精神分裂病、精神性うつ病、片頭痛、癲癇、強迫性障害、不眠症及び閉塞性睡眠時無呼吸等の睡眠障害、神経性食欲不振、高血圧症、血管痙攣、アンギナ、レーノー現象、及び発作を含む血栓性疾患等の心血管系疾患、緑内障、アルコール、およびコカイン依存症から選択される、請求項17に記載の使用。

【公表番号】特表2007−504221(P2007−504221A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525301(P2006−525301)
【出願日】平成16年8月27日(2004.8.27)
【国際出願番号】PCT/SE2004/001236
【国際公開番号】WO2005/021505
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(506074705)ガラパゴス・エヌブイ (2)
【Fターム(参考)】