説明

新規の高安定性水溶液、該溶液を調製するためのナノコーティングを備えた電極、及びこの電極の製造方法

比較的長時間の実質的な化学的・物理的安定性を保証するのに十分小さい寸法の分子クラスタを有する高安定性の水溶液。この溶液を調製するためには、少なくとも一つのチャンバ(7)及びチャンバ(7)内に配置された少なくとも一つのアノード(4)と一つのカソード(3)を含む、流体処理装置が用いられる。アノード(4)とカソード(3)は、少なくとも一部分が、第一の金属材料で製作される。少なくとも一つのカソード(3)とアノード(4)のうちの少なくとも一方は、第二の金属材料のナノ粒子のコーティング(5)を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、殺菌剤の分野にあり、安定性の高い酸性水性組成物、前記組成物の生産方法、この方法に関連して使用される装置、前記装置を含む設備、及び前記組成物の対応する使用に関する。
【背景技術】
【0002】
電解処理の結果としての、塩の水溶液、特に塩化ナトリウムの水溶液が、2つの液体生成物、つまり塩基性で還元特性をもつもの(一般にカソード水又は塩基性水として知られている)及び酸性で酸化特性をもつもの(一般にアノード水又は酸性水と呼ばれる)に分けられる、ということが知られている。アノード水は、その高い酸化力のため、食品、医療及び化粧品の分野で細菌剤製品として用いられることで知られている。
【0003】
従来のアノード水は、保存がきわめて制限されるという広く知られた欠点を有している。実際のところ一般に、調製から数日後に該生成物は分解しその特性を失う傾向をもつ。従って既知の電解酸性水は、調製して実質的に即座に使用されなくてはならない。よって、あらゆる既製パッケージの保管寿命が著しく制限されるので、該生成物それ自体を商業的に利用することは極めて不便である。
【0004】
従来の電解酸性水のもう一つの欠点はその皮膚浸透能力の限界にあり、これにより表面以外の不純物を殺菌する上でこれらの水は実質的な効力をもたない。
【0005】
最後に、既知の電解酸性水は、大量の塩素を有する傾向をもち、その使用に当たっては特定の溶液が必要となるが、その実現は専門の技術者にしかできない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の課題は、上記背景技術の欠点を克服する、特に殺菌剤組成物としての、電解酸性水を提供することである。
【0007】
この課題の中で、本発明の目的の一つは、経時的にその殺菌力の安定性が高く、生産コストが低く且つ調製が容易な電解酸性水を提供することである。
【0008】
本発明のもう一つの目的は、例えば皮膚の深層内への高い浸透能力を有し且つ塗布後既知の毒性をもつ成分の残留物をわずかしか残さず、かくしてヒト及び動物に対する毒性指数が低い、上で定義されたとおりの電解酸性水を提供することである。
【0009】
もう一つの目的は、上で定義されたとおりの電解酸性水を調製するための方法を提供することである。
【0010】
もう一つの目的は、上で定義されたとおりの電解酸性水を調製する方法に関連して使用される装置を提供することである。
【0011】
もう一つの目的は、上で定義されたとおりの電解酸性水を調製する方法を提供するための設備を提供することである。
【0012】
さらにもう一つの目的は、上で定義されたとおりの電解酸性水の使用を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
この課題及びこれらの及びその他の目的は、1種以上の金属のナノ粒子を含む表面コーティングを含むことを特徴とする、特に電解槽用の、電極によって達成される。
【0014】
本発明の課題及び目的はまた、特に流体の電解処理のための装置であり、前記流体の電解処理のための少なくとも一つのチャンバ及び各チャンバに少なくとも1対ずつの電極を含み、前記電極が前記少なくとも一つのチャンバ内部に配置されている装置であって、存在する電極のうちの少なくとも一つが上で定義されたとおりのものであることを特徴とする装置によっても達成される。
【0015】
本発明の課題及び目的は、上で定義されたとおりの装置を含むことを特徴とする、特に流体の電解処理のための設備によっても達成される。
【0016】
本発明の課題及び目的は、上で定義されたとおりの装置の内部で所定の量の流体を電解に付す工程a)を含む、流体を電解する方法によっても達成される。
【0017】
本発明の課題及び目的は、上で定義されたとおりの電解のための方法で得ることができ、そして電解に付される流体が水である、特に消毒剤としての、酸性水によっても達成される。
【0018】
本発明の課題及び目的は、特に下地を消毒するための組成物であって、上で定義されたとおりの酸性水と、
i)ヒト又は動物向けの薬剤組成物を調製するための薬学的に受容可能である賦形剤及び担体、
ii)ヒト又は動物向けの化粧品組成物を調製するための化粧品用に受容可能である賦形剤及び担体、
iii)殺菌剤組成物を調製するのに食品分野で使用される賦形剤及び担体、及び
iv)駆虫又は防かび組成物を調製するため農業分野で使用される賦形剤及び担体、
からなる群から選択される1種以上の成分とを含む組成物によっても達成される。
【0019】
本発明の課題及び目的は、上で定義されたとおりの電解酸性水及びそれを下地に塗布するための手段を含むキットによっても達成される。
【0020】
本発明の課題及び目的は、ヒト又は動物の体の皮膚の表層又は深層の疾患又は病変を治療及び予防するための薬剤を調製するための、上で定義されたとおりの酸性水の使用によっても達成される。
【0021】
本発明の課題及び目的は、下地を消毒するための、上で定義されたとおりの電解酸性水の使用によっても達成される。
【0022】
本発明の課題及び目的は、ヒト又は動物の体又はその分離された部分の美容上の処置のための、上で定義されたとおりの酸性水の使用によっても達成される。
【0023】
本発明の課題及び目的は、骨再生に適した製剤を搬送するための、上で定義されたとおりの酸性水の使用によっても達成される。
【0024】
本発明の課題及び目的は、脱水状態のヒト又は動物の再移植用組織を再水和するための、上で定義されたとおりの電解酸性水の使用によっても達成される。
【0025】
本発明の上記態様のうちのただ一つに関して言及されているがその他の態様にも言及できるすべての特徴は、明示的には反復されていなくてもこれらのその他の態様に関しても同様に有効とみなされるべきものと理解される。
【0026】
本発明の更なる特徴及び利点は、限定しない例として提供される図1〜5の説明からより明らかになろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
「流体」という用語は、電解に付された場合に非自発的化学反応を起こさせる能力をもつあらゆる純粋流体、溶液又は懸濁液に言及するために使用される。一つのきわめて好ましい流体は水である。「水」という用語は、水道水、ろ過水、脱イオン水、蒸留水といったようなあらゆるタイプの水を指すのに用いられる。本発明により処理可能な水は、電極間の極性の連続的反転(以下で定義するとおりの極性スワッピング)を提供することが可能であるために、従来の装置で処理可能な水に比べ溶液中の固体汚染物質の割合を高くすることができる。いかなる汚染溶質も、荷電された場合、事実上反対の極により引きつけられて流れを形成し、この流れは電解装置内に具備された膜の気孔を急速に詰まらせ、プロセスを阻止することになる。逆に、連続的で急速な極性反転はいかなる流れも生成せず、膜が設けられている場合、膜は清浄且つ高効率のままである。
【0028】
ひとたび電解に付されると、水は2つの液体画分に分離し、これらの画分は、簡略化を期してここではアノード水又は酸性水及びカソード水又は塩基性水と呼ばれる。
【0029】
本発明の特徴及び利点について、その全ての態様において電解すべき流体が水であるきわめて好ましい実施形態に関連して専ら記述する。とは言え、当業者には、以下に提供する情報及び詳細に基づいて、水以外の流体の電解でも同じ利点を達成することが可能であることが直ちに明白となろう。
【0030】
第1の態様では、本発明は、1種以上の金属のナノ粒子を含む表面コーティング5を含むことを特徴とする、特に電解槽のための、電極3又は4に関する。
【0031】
好ましい実施形態においては、以下で明らかになるようにアノードとして及びカソードとして同等に使用可能な電極は、金属材料、非金属材料又はそれらの組合せで製作されるコア3’又は4’を含む。
【0032】
コアが金属材料製である場合、それは例えばチタン及び白金の合金又は鋼及び黒鉛の合金で作ることができる。
【0033】
コアが非金属材料製である場合、それは例えば黒鉛で作ることができる。
【0034】
コアはまた異なる層を含んでもよく、例えば、金属、例としてチタン、の外層でコーティングされた黒鉛製のコアが挙げられる。「金属」という用語は、金属と、例えばその酸化物といったような、前記金属を含む化合物の両方を意味する。好ましいコアはTiO2製である。
【0035】
本発明による電極は、既知の電極に比べた場合、極めて平滑であるナノメートル被覆5(以下コーティングとも呼ばれる)、すなわちコアを被覆するための金属ナノ粒子を含む層、の存在に実質的に起因する特徴を有している。
【0036】
コーティング5のナノ粒子を構成する金属は、好ましくは、チタン、イリジウム、イットリウム、ルテニウム、亜鉛、ジルコニウム及び白金、そしてそれらの化合物のうちの1種以上の中から選択される。好ましい金属化合物は、上述の金属の酸化物である。好ましいコーティング5は、ZrO2、ZnO、Ru23、IrO2及びY23を含む。好ましくは、種々の金属を粉末形態で使用する。
【0037】
一つの実施形態においては、コーティング5は、非金属の担体材料、例えば1種以上のポリマーの粒子、を含むこともできる。ポリマーは、合成したもの(例えばプラスチック、アクリルポリマーなど)又は部分的に合成したもの(例えば変性セルロース、加工でんぷんなど)であることができる。
【0038】
コーティング5に含まれる金属ナノ粒子は、好ましくは粉末形態で使用される。粉末内のサイズ分布に関しては、好ましくは、粉末中に存在する粒子の80重量%以上、より好ましくは85重量%以上の量が、60〜80nmの範囲内の粒径を有する。
【0039】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電極3又は4を得るための方法に関する。
【0040】
本発明のコーティング5は、当業者にとって既知であり且つ、例えば粉末又は金属ナノ粉末の混合物を焼結することにより、平滑な表面を生じさせるようにされているナノテクノロジー技術を用いて提供することができる。
【0041】
粉末形態の個々の金属は、1)予備形成された混合物として、及び/又は2)逐次的に塗布され互いに積重ねられて、各層が単一の金属で構成される、別個の層の形で、及び/又は3)逐次的に塗布され互いに積重ねられて、各層が2種以上の金属で構成されるがコーティング中に存在する全ての金属から同時に構成されることのない、別個の層の形で、コーティングを作るように電極に塗布することができる。
【0042】
好ましい実施形態においては、上記の方法は、上で定義されたとおりの1種以上の金属のナノ粒子粉末を直接電極のコアの上で焼結させることにより、電極のコーティングを調製する工程(A)を含む。好ましくは、工程(A)は、ここに列挙されている順序で実施されるべき以下の工程、すなわち、
(A1)上で定義されたとおりの金属のナノ粒子の1種以上の粉末を調製する工程、
(A2)少なくとも塗布すべき粉末の全てを溶解できるような量の、適切な溶媒中に、上記ナノ粒子の1種以上の粉末を溶解させ、1以上の溶液を得る工程、及び
(A3)前の工程で得た1以上の溶液を、好ましくは表面を不動態化された、金属プレート上で焼結させる工程、
を含む。
【0043】
好ましくは、
・工程(A1)の金属ナノ粒子の1種以上の粉末は、熱水化学処理によって有利に得られる、ZrO2、ZnO、Ru23、IrO2及びY23の粉末の組合せであり、ここで各粉末において粒子の少なくとも80重量%、より好ましくは少なくとも85%は60〜80nmの範囲の直径を有し、
・各粉末が溶解される工程(A2)の溶媒は、少なくとも塗布すべき全ての粉末を溶解できるような量の、30重量%塩酸水溶液であり、
・工程(A3)は、0.15〜0.35mmの範囲内の厚みをもち、その表面が不動態化されているTiO2プレートの両面で、工程(A2)から得た塩酸水溶液を焼結させるものであり、ここでの焼結は次の工程に従って行われる。
【0044】
【表1】

【0045】
多数の焼結工程を採用することは、電極の表面から粗さをなくして極めて硬く平滑な表面を得るために特に有用であることがわかった。
【0046】
水の電解を行うための装置の一部として用いられる、上で定義されたとおりの電極は、以下の利点をもたらす。
・水などの低導電率の流体の電解を加速するために従来用いられているNaClといった塩の消費量がより少ないという点で、より効率的な電解である。
・両方の電極が本発明による電極である非常に好ましい実施形態において、電極の極性を連続に変更する(「極性スワッピング」)ことが可能である。極性を急激に変更することにより、電解に付された流体中に存在する荷電粒子を、(粒子の電荷により及び電極の不変の正負符号により強いられる)一方向のみではなく、両方向に循環させることが可能であり、かくして電極のレベルで被着物が生成するのを回避してそれらの表面を清浄に保ちそれらの効率を最大レベルに保つのが可能になる。その上、電解槽内に半透性膜6を設けて2つのアノード及びカソード半チャンバを分割する場合、極性の変更は、前記膜の気孔の詰まりを回避し、装置の寿命を延ばす。
・ナノメートルコーティング5の存在は、上部電極による電荷の蓄積を従来の電極に比べ100%超にする。こうして、有意に高い電位で質的及び量的に異なる電解を行うことが可能になり、その結果、例えば、分子クラスタの大きさを小さくすることが可能になる。
・酸性及び塩基性の水画分においてその後発生するであろう電極自体の可溶化又はその表面への堆積物の発生を回避させる特徴である、非常に高いコンシステンシー、平滑さ及び表面密度が得られる。
【0047】
同じ特徴はまた、酸性及び塩基性の水画分内の電極の表面及びコアを構成する重金属とその他の化合物の放出を実質的にゼロにするための基礎でもある。以下でも言及するとおり、酸性水中に重金属が存在しないことで、ORP、pH及び分子クラスタサイズといったような特性を保ちながらその驚くべき経時的安定性が得られる。この安定性は、既知の対応する製品には見られないものである。
【0048】
同じ特徴はまた、既知の電極よりも有意に低い頻度で交換することができ、コストを低減し生産をより容易にする電極が必要とする最小限のメンテナンスのための基礎でもあり、
・コーティング粒子のナノメートル寸法による量子効果(「ナノ効果」という用語でも文献中で知られている)を得ることが可能である。簡単に言うと、ナノメートル寸法に達した時点で、物質の光学的、磁気的及び電気的特性は根本的に変化する。いわゆるクラスタの標準的なナノメートル寸法が達成されるまで寸法を低減させることにより、前記クラスタ中に存在する原子の数の少なさ及びその低下した体積に起因して、電子構造においてエネルギーレベルの離散化(量子化)が明らかとなり、そしてこれはクラスタの大きさに依存し(この現象は「量子サイズ効果」として知られる)、また、通常の寸法の材料の特色を示すものとは対照的なものである全く新しい特性に依存する。
【0049】
この場合には、上述のとおり60〜80nmの範囲の間隔内に中心をおくサイズ分布を有する粉末で、最高の性能が得られた。
【0050】
全体として、上述の効果は、本発明の主要な特徴である3つの因子、すなわち、結果として得られる酸性水の安定性、その生産の容易さ(例えばより少ない保守費及び全体としての装置の耐久性がより高いことによる)、及びその品質の改善(特に純度と特性の経時的安定性に関して)を、同時にもたらす。特に、酸性水の品質の改善は、分子クラスタの寸法の均一性(高分子クラスタの数との関係において微小分子の割合がより高い)と、電解自体により水に与えられる特性の経時的安定性の増大(中でも、酸性度、ORP及びクラスタサイズ)の両方に関して、測定することができる。安定性の増大により恐らく、ここに記載されているようなナノコーティングでコーティングされた電極の構造的表面特性が経時的に保持される。
【0051】
もう一つの態様において、本発明は、特に水の電解処理用の装置1であり、前記水を処理するための少なくとも1つのチャンバ7、8、及び各チャンバごとに少なくとも1対の電極3及び4を含み、前記電極3及び4が前記少なくとも1つのチャンバ7、8内に配置されている装置であって、存在する電極3又は4のうちの少なくとも一方が上で定義されたとおりのものであることを特徴とする装置1に関する。
【0052】
装置1が単一の電解チャンバ7、8及び当該チャンバ7、8内の電極3及び4の単一対を含んでいる実施形態を、以下で説明する。とは言え、当業者であれば、この説明を2つ以上の電解チャンバ及び2対以上の電極を含むその他の実施形態にいかに適応させるかを理解しよう。チャンバの数は、例えば生産する水の処理速度又は流量をより大きくする目的で、変更することができる。
【0053】
きわめて好ましい実施形態においては、装置の両方の電極3及び4はともに、上で定義されたとおりの電極である。しかしながら、2つの電極のうちの一方が上で定義されたとおりのものであるだけでも、電極プロセスの低コスト及び効率に関する利点ばかりか、酸性水及び塩基性水の経時的安定性に関する利点も、得ることができる。
【0054】
好ましくは、本発明による装置は、少なくとも1つのチャンバを、おのおの2つの電極3又は4のうちの一つを収容する2つの半チャンバ7及び8に分割するようにされている膜6をも含み、ここでアノード4を収容する半チャンバ8はアノード半チャンバと呼ばれ、その一方カソード3を収容する半チャンバ7はカソード半チャンバと呼ばれる。膜6は、チャンバを部分的に又は全体的に占有しうる限外ろ過膜であるのが有利である。
【0055】
膜6は、従来の電解槽で使用されるタイプのものであることができる。しかしながら、特に有利な実施形態では、膜は、金属ナノ粒子、好ましくはジルコニウム、イットリウム、アルミニウムの酸化物又はそれらの混合物のナノ粒子でコーティングされた、開放気孔をもつセラミック材料で作られる。
【0056】
膜6を製造するのにナノメートル粒子を採用することで、最終的な膜の平均気孔サイズが経時的にきわめて安定であり、且つ水をいかに処理すべきかの必要条件に適合可能であることがわかった。
【0057】
サイズの経時的に安定であること及び気孔寸法自体が安定であることは、ここに記載されているセラミック膜6を、対応する装置で従来使用されている繊維の膜(これはむしろ経時的に急速な劣化を受ける)と区別する2つの特徴である。これらの特徴は、電解後に得られる液体画分(酸性水及び塩基性水)の安全性に対しプラスの効果を示し、ここでこの効果は、上で定義されたとおりの電極の使用によりもたらされる安定化効果と組合わされ、それを増大させる。
【0058】
特に有利な実施形態では、各半チャンバ7、8は、以下のもの、すなわち、
・半チャンバ7又は8の上部に配置され、電解すべき水をそこから入れる開口部(図中では参照番号により指示されていない)、及び
・半チャンバ7又は8の下部に配置され、結果として得られる酸性及び塩基性画分のための排出口として働くことができる付加的な開口部10及び11、
を通して装置1の外部に接続される。第2の開口部10及び11には、未分離の水が半チャンバから流出するのを防ぐようにされていて、且つ電解プロセスの終了時に開放されるようにされている閉鎖手段(図示せず)が設けられる。
【0059】
従って、特に図1を参照すると、ここまでに列挙された全ての基本的及び任意付加的な構成要素が備わった、上で定義されたとおりの装置1の作動メカニズムは、水を上方から導管9を用いてチャンバ2の2つの半チャンバ7及び8内に導入することによって水を処理することを必要とする。ここで、水は、電圧源の負極及び正極に予め接続されたカソード4及びアノード3の作用の下で、正及び負のイオンに分けられ、これらは、知られているように、それぞれの反対極によって引きつけられる。一方の半チャンバから他方へと進むに際し、ナノ多孔質膜6は前記イオンのため及び任意の荷電粒子のためのフィルタとして作用し、充分に小さいサイズの粒子のみを通過させる。
【0060】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの装置1を含むことを特徴とする、特に水の電解処理のための設備に関する。
【0061】
本発明の一つの実施形態においては、設備は、水を前処理するための手段12、この前処理手段の下流側に配置された水の電解処理のための手段、そしてこの処理手段に前記前処理手段を接続するための流体回路を含み、前記電解処理手段は上で定義されたとおりの装置1を含む。
【0062】
「前処理手段」という表現は、電解に付す前に水を処理するようにされた手段を言うものである。前処理手段は、
・1組以上のフィルタ14、
・水を磁化するための1以上のユニット15、及び
・水に1種以上の任意成分を添加するための1以上のユニット16、
の中から選択された1以上の構成要素を含むことができる。
【0063】
特に、一組のフィルタ14は、懸濁状態で存在する固体画分を物理的に削除するように、1以上のプレフィルタ17、1以上の微小孔性フィルタ18、及び1以上の活性炭フィルタ19を含むことができる。これらの3つのタイプのフィルタは、低下していくサイズに関して固体を削除する。従って、それらが同時に存在する場合、効果的であるためには、ここに提示されている順序でもってそれらを使用しなければならない。
【0064】
それ自体既知の要領で、磁化ユニット15は、水から微量の懸濁金属を分離するのに有用である。
【0065】
流体に添加剤を添加するためのユニット16では、その後の電解のための担体(キャリヤ)として働くことになる塩などの成分、例えば塩化ナトリウム、と流体を一緒にすることが可能である。
【0066】
一つの実施形態においては、追加のフィルタ20を、磁化ユニット(その下流側)と添加剤添加ユニット(その上流側)の間に、又は電解装置1の直ぐ上流側に、配置することが可能である。
【0067】
もう一つの態様において、本発明は、水の電解を実施するための方法であって、上で定義されたとおりの装置の内部で所定量の水を電解に付す工程a)を含む方法に関する。
【0068】
本発明の一つの実施形態において、上記の方法は、1以上のろ過、磁化及び付加的な添加工程を用いて、工程a)に付す前に水を前処理する付加的な工程a1)を含む。水中に懸濁したいずれの固体も電解にとって有害であり、前記装置の膜及び電極の平均寿命を急速に縮めることになるため、ろ過工程は重要である。
【0069】
本発明の一つの実施形態において、上記の方法は、電解により発生された酸性及び塩基性の水の成分を分離するため、工程a)に続く付加的な工程b)を含む。
【0070】
「ろ過」という用語は、懸濁した固体を水から除去することを言うのに用いられる。ろ過は、懸濁した固体を物理的に除去するべく、1以上のプレフィルタ、1以上の微小孔性フィルタ、及び1以上の活性炭フィルタといったような、既知の手段により行なうことができる。
【0071】
「磁化」という用語は、除去されない場合電解プロセスによってアノード画分及びカソード画分に付与される特定の特性(例えば、ORP、pH及び分子クラスタのサイズ)を急速になくす可能性のある、存在している任意の微量の金属を除去する目的で水に対し磁場を適用することを言うのに用いられる。
【0072】
「添加剤の添加」という表現は、後の電解工程a)の速度に関してプラスの効果をもつ可能性のあることが知られている、例えば塩などの、1種以上の任意的成分を、水に添加することを言うのに用いられる。
【0073】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの水電解方法で得ることのできる、特に消毒剤としての、電解酸性水に関する。
【0074】
本発明による電解酸性水は、恐らくは重金属が存在しないことに起因する、その安定性において実質的に既知の類似の製品と異なっている。従来の電解で処理する前に水をろ過工程に付してさえも、実際のところ、電解のために現在用いられている電極は処理中にその表面が崩壊し、大量の重金属(特にカソードを構成する1種以上の金属)を放出する傾向を有する。
【0075】
本発明による酸性水は、それに引き替え、重金属が存在する場合でもそれが通常の分析方法で検出できる限界より少ない量で存在するという意味で、重金属を含まない。例えば、本発明による酸性水は、5μg/リットル未満の濃度のカドミウム、10μg/リットル未満のクロム、5μg/リットル未満の鉛、そして20μg/リットル未満のニッケルを含む。
【0076】
何らかの特定の理論に束縛されることを意図しないものの、重金属の存在しないことは、本発明で得られる電解酸性水の目立って有利な経時的安定性の主たる理由であると考えられる。「経時的安定性」という表現は、本発明の酸性水を光、空気及び熱から遮へいした状態に保った場合にそれがその化学的及び物理的特性、特にそのpH、ORP及び分子クラスタサイズを、最高90日、好ましくは最高180日、更に一層好ましくは最高365日間不変のまま保つということを意味するのに用いられる。
【0077】
安定時間は保存特性により左右されるとは言え、等しい貯蔵条件について言えば、上で定義されたとおりの電解装置を用いることによって得られる酸性水は、最良の場合でも15〜30日間の保管寿命しか示さなかった既知の類似の製品よりも際立って高い安定性を示したということに注目しなければならない。よって、これらの既知製品は、入手して短期間の間に使用するか、あるいはその生産と同時に入手して使用しなければならない。従って、本発明による電解酸性水は、例えば有効な殺菌剤を得ることが必要であるもののその生産のために有利な条件が利用できない場所(第三世界の国々)及び状況(電解を行うための水が欠乏)における利用のためにも有効に使用することができる。
【0078】
好ましい実施形態では、本発明による電解酸性水は、重金属を含まず、有利には3.0以下で0より高く、好ましくは1.5〜3.0の範囲のpH、1000mV以上、好ましくは1000mV〜1300mV、より好ましくはおよそ1150mVに等しいORP(酸化還元電位)、そして10以下で0より大きく、好ましくは5に等しい分子クラスタを有する。
【0079】
「分子クラスタ」という表現は、規則構造に配位された水分子の集団を表わす。核磁気共鳴17O NMR(クラスタサイズを測定するために世界的に採用されているパラメータ)により、本発明によるアノード水のピークに沿った中間の振幅は51〜52Hzであり、一方既知の製品については110〜130Hzであることが示される。これらの値は、本発明によるアノード水のクラスタが極めて一定したサイズを有し、好ましくは10未満、より好ましくは約5の少数の水分子を含むということを表わしている。それに引き替え、従来の酸性水は、相互に配位された最高で数十の水分子を含む一定しないサイズのクラスタを含んでいる。分子クラスタのサイズの縮小は、本発明によるアノード水に特別な特性、例えば改善された溶媒能力、より高い浸透力、及びより速い浸透作用を与える。
【0080】
一つの実施形態において、本発明による酸性水は、60mg/リットル未満の平均濃度で電解プロセス中に生成される活性塩素を含む。このようにして、本発明による水溶液は、ヒトに対する毒性がきわめて低く、環境に対する影響が実質的にない。換言すると、本発明によるアノード水の特有の利点は、それが選択されたやり方で適用された後、残された残留物が光と酸素の複合作用によりヒトと環境にとって無害な化合物、例えば普通の水及び塩化ナトリウムなどのようなものへと急速に転換される、ということである。
【0081】
同様に、電解酸性水の固定残留物がその他の違うやり方で得られた殺菌剤組成物の固定残留物よりも極立って少ないということにも注目すべきである。従って、その安定性のため、本発明によるアノード水は例えば、処理済み表面上に被着物又は残留物を残さない必要性と、高くて長時間の殺菌力とを組合せることが望まれる分野全てにおいて、例えばコンタクトレンズのクリーニング及び衛生維持といったような分野において、使用することができる。現在、この目的のための電解酸性水の使用は、殺菌力の経時的安定性が制限されていることにより妨げられている。
【0082】
もう一つの態様において、本発明は、特に下地を消毒するための組成物であって、上で定義されたとおりの酸性水と、次のもの、すなわち、
i)ヒト又は動物向けの薬剤組成物を調製するための薬学的に受容可能である賦形剤及び担体、
ii)ヒト又は動物向けの化粧品組成物を調製するための化粧品用に受容可能である賦形剤及び担体、
iii)殺菌剤組成物を調製するのに使用される賦形剤及び担体、及び
iv)駆虫又は防かび組成物を調製するための農業分野で使用される賦形剤及び担体、
を含む群から選択される1種以上の成分とを含む組成物に関する。
【0083】
本発明における「消毒する」、「消毒」又は「消毒用」という用語は、殺菌、消毒及び清浄の組合せ効果を提供することを示すものである。特に、殺菌効果は、殺細菌、殺かび、殺胞子及び殺ウイルス効果を含む。
【0084】
好ましい薬学的に受容可能な賦形剤及び担体は、局所殺菌剤組成物を調製するため又は皮膚処置用組成物を調製するために通常用いられる賦形剤及び担体である。例としては、植物由来のポリマー(セルロース又はデンプンの誘導体)又は合成ポリマー(アクリルポリマー)又は動物由来のポリマー(コラーゲン)がある。
【0085】
「殺菌剤組成物のために使用される賦形剤及び担体」という表現は、
・食品用の殺菌剤組成物(食品分野)、
・環境、装置及び医療・手術器具向けの殺菌剤組成物、
・ヒト又は動物の再移植用組織向けの殺菌剤組成物、
・コンタクトレンズ及び光学機材全般をクリーニングし衛生維持するための殺菌剤組成物、
・家庭内の表面及び環境向けの殺菌剤組成物、
を調製するために一般に使用される成分を言うのに用いられる。
【0086】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電解酸性水又は当該水を含む組成物とそれを下地に塗布するための手段とを含むキットに関する。
【0087】
下地は、有利には、1)無生物物体及び表面、2)ヒト又は動物の体、そして3)ヒト又は動物の体の分離された部分、の中から選択される。上述の3つのクラスの例は、上で定義されたとおりの酸性水の消毒用用途の態様に関連して下記で提示される。
【0088】
本発明による酸性水の一部の利用分野は、下記に記載されており、これらは、その特別な特性によって、そして特に非常に低コストでの容易な生産、結果として得られる水の安定性、及びその純度の現在得ることのできる組み合わせによって、可能となっている。
【0089】
もう一つの態様において、本発明は、上述のとおりの電解酸性水又はそれを含む組成物を、ヒト又は動物の体の皮膚の表層又は深層の疾患又は病変を治療し予防するための薬剤を調製するのに使用することに関する。
【0090】
薬剤を調製する目的での使用は、以下で検討する使用の態様全てと全く同様に、本発明による酸性水の使用を明示的に参照して説明される。しかしながら、使用に関する同じ利点が、酸性水自体ではなくそれを含む上で定義されたとおりの組成物を用いることによって達成できるということは、当業者に直ちに理解されよう。
【0091】
「治療又は予防」という表現は、その特性、すなわち主としてpH及びORPのために、本発明による電解酸性水又はそれを含む組成物が、すでに発生している皮膚の表層又は深層の病状又は病変の治療及び寛解にとって有効である(例えば皮膚又は真皮の損傷又は病変の治癒、皮膚又は真皮を侵す細菌、真菌又はウイルス感染の抑制及び寛解)か、又は皮膚の深層又は表層の病状又は病変を発生させるリスクを低減させることがわかった、ということを意味している。
【0092】
治療効果及び予防が、組織的であるが病因が感染性因子の皮膚浸透にあるとすることのできる疾患にもあてはまる、ということも理解される。実際、皮膚感染の早期治療により、組織的に拡散する前に感染性因子を除去することが可能である。
【0093】
「皮膚の表層又は深層の病状又は病変」という表現は、好ましくは以下のものを言う。
・表皮及び/又は真皮を侵す、炎症及び紅斑といったような、アレルギー性、炎症性及び免疫学的反応に結びつけられる皮膚反応現象。炎症の例としては、じんましん、皮膚炎(アレルギー性又は接触性)、湿疹、乾癬、白斑、及びふけなどがある。乾癬の治療については、本発明による酸性水の有効性はおそらく、それに含まれた活性塩素の剥脱効果に起因している。
・細菌及び/又は真菌及び/又はウイルス感染によってひき起こされる皮膚の表層又は深層の現象。
・火傷、日焼け及び床ずれといったような、皮膚及び/又は真皮の病変又は擦過傷。
【0094】
本発明の電解酸性水及びそれを含む組成物が示す広範な殺生物機能は、特定の病原体に関する試験の結果によってだけではなく、本発明による製品が病原体の核酸を完全に分解する能力をもつという事実によっても確認される。
【0095】
上述のとおり、本発明による酸性水は、毒性が低くて高い浸透能力をもつことから、皮膚の火傷又は日焼けの治療及び寛解のため、あるいは創傷の治癒のために使用可能である。ここに記載されている酸性水の高い浸透能力を実証する一つの特徴は、ヒト及び動物において移植を待つ間脱水して適切なバンクに保存されている組織で見られるその高い膨潤力である。
【0096】
更に、本発明による水溶液は、微生物又はウイルスに対するその広範な作用の点から、例えば、食品用(例えば果物、葉菜など)又は家庭用や装飾用(室内用植物、花束)に意図された植物のウイルス及び/又は細菌由来の寄生虫感染症を除去するために使用することができる。
【0097】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電解酸性水又はそれを含む組成物を、下地を消毒するのに使用することに関する。
【0098】
有利には、下地は、1)無生物の物体及び表面、2)ヒト又は動物の体の表面、及び3)ヒト又は動物の体の分離された部分の表面、の中から選択される。
【0099】
好ましい無生物の表面及び物体としては、家庭内の空間及び物体、医療及び医療手術用装置及び器具(例えば乳房、内視鏡又はその他の医療用ツール)、コンタクトレンズ及び光学機器全般、食品の表面、例えば果物又は野菜の表面、がある。
【0100】
ヒト又は動物の体の好ましい表面は、外科手術前後の患者又は執刀医の一部分、及びヒトの胸部又は動物の乳房である。
【0101】
ヒト又は動物の体の分離された部分の好ましい表面としては、脱水することが可能な又は不可能な、ヒト又は動物の再移植組織、例えば腱などがある。
【0102】
更なる態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電解酸性水又はそれを含む組成物を、ヒト又は動物の体又はその分離された部分の美容上の処置のために使用することに関する。
【0103】
化粧品としての使用は、特に皮膚の処置、詳しく言えば、手、足及び顔面といったような発疹を起こす人体の部域の皮膚の処置に関係する。製品の酸性pHは、赤らみ及び炎症といった状況において改変される通常の皮膚の酸性度を復元することにより、実際に皮膚の機能性をより速く回復させる。
【0104】
更に、本発明による酸性水は、皮膚の脂質分泌物を溶解させる驚くべき能力を示し、従ってこれをにきびや吹き出物の美容上の処置において使用することができる。
【0105】
同じく化粧品の分野では、皮膚への化粧品の塗布により残されそして皮膚の表面層によってすでに部分的に吸収された化学的残留物の大部分を溶解させるという本発明による酸性水が示す特性と、汚れにより生成されて吸着された細かい粉末を皮膚から除去する能力が重要視される。
【0106】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電解酸性水又はそれを含む組成物を、骨の再生に適した製剤を搬送するのに使用することに関する。
【0107】
骨の再生用の溶液は、搬送のためには最初に溶解させ、そしてゲル化(酸性環境でのみ得られる効果)させなくてはならないコラーゲンを一般に含有していることから、酸性でなくてはならない。本発明で得られた酸性水は、コラーゲンを溶解させそれをゲル化させるのに必要とされる酸性度を確保することに加えて、高い感染のリスクをもつ医療・手術の利用分野にとって非常に有利である持続性ある顕著な殺細菌、殺ウイルス及び抗真菌力をも有することから、骨再生のための現行のコラーゲン担体を改良するものである。
【0108】
もう一つの態様において、本発明は、上で定義されたとおりの電解酸性水又はそれを含む組成物を、再移植のためにヒト又は動物の脱水された組織を再水和するのに使用することに関する(これに関しては例7の図を参照されたい)。
【0109】
ヒト又は動物の再移植用の組織は、ドナーから外植されてから再移植を待つ間、細菌の成長を緩慢にし予防するべく、通常は脱水(例えば凍結乾燥による)の後に、適切に用意された無菌バンク内に保存される。再移植前に組織を再水和するのに本発明による酸性水が使用された場合、従来この目的で使用された水溶液に比べ再水和時間の大幅な短縮が観察された。この水和効果は、本発明による酸性水が示す組織のケラチン成分を溶解する高い能力と、組織の一部分に対するいわゆる「保湿」効果を決定するその実質的な浸透力の結果である可能性がある。上述の用途は、従来の酸性水の場合、その低い純度(特に重金属に関して)及び低い安定性のため、考えられないものであった。
【0110】
上で説明したことから、本発明が、意図された課題及び目的、特に、すでに知られている特性を有するが安定性が従来の製品よりもはるかに高い電解酸性水溶液を提供するという課題を達成するものであることは明らかである。
【0111】
本発明は、数多くの修正及び変更を受ける可能性があるが、それらは全て特許請求の範囲に提示された発明の概念の範囲内にあるものである。本発明の範囲を放棄することなく必要条件に応じて、全ての細部をその他の技術的に等価の構成要素で置換することができ、そして材料は異なるものであることができる。
【0112】
本発明のその他の特徴及び利点は、もっぱら限定しない例として意図された、以下の好ましい実施形態の説明からより明らかになろう。
【0113】
上述の用途との関連で使用した、本発明による装置で得られた電解酸性水の有効性に関するデータを含む表が、以下で提示される。
【0114】
以下の全ての試験で使用した水の試料は「溶液259」と呼ばれ、約2.69のpH、約1135mVのORP、そして約5のクラスタサイズを有する一定量の酸性水から採られたものである。
【実施例】
【0115】
(例1)
この試料における重金属の濃度は、出願人の要請に基づき、認定された試験所で確認された。データを以下に提示する。
【0116】
試験報告書第30572/2005号
溶液259の試料
【0117】
【表2】

【0118】
この結果、酸性水259が重金属を含まず、従って純粋であって、それゆえ安定していることが明らかである。
【0119】
(例2)
次に、経皮吸収に関連するパラメータとして対照試料(及びブランク)と比較した浸透濃度及び累積の浸透を計算して、マウスの皮膚での経皮吸収を評価する目的で、水259の試料を試験に付した。
【0120】
増大した浸透の効果:
方法及び材料: 試験試料: 溶液259、ビタミンEと5%で混合した無色透明な液体。
対照試料: 5%のビタミンEを含む従来のラテックス。
試験機器: 紫外線分光光度測定用UV−2100(島津製作所、日本)
試験対象動物: マウス(クンミン種)
数量: 2(雄:雌=50:50)
体重: 18〜22g
温度: 16〜21℃
相対湿度: 40〜60%
【0121】
実験方法: 動物は最高16時間餌なしにした。化学的脱毛(8%のNa2Sアルコール溶液)により背部から体毛を除去した。毛のない皮膚を固定し分離した。洗浄後に皮膚を除去した。皮下及び脂肪組織と粘膜を収集した。無損傷部分をカットした。食塩水で洗い流した後、冷蔵庫で保存した。
【0122】
試料の調製: 溶液259をグリセリンで希釈し、それぞれ1、2、4、5及び10倍の複数の希釈液を作って、コードS−1、S−2、S−4、S−5、S−10で識別した。
対象はグリセリンで希釈して1倍の希釈液を作った。
【0123】
結果:
【0124】
【表3】

【0125】
【表4】

【0126】
累積浸透は、角質層に希釈した溶液259を塗布してから10分後(0.167時間)に確認することができ、約4時間後に安定状態となる。1.5時間後に計算した対照試料の累積浸透は、溶液259のものよりもおよそ55.8%低い範囲を示した。溶液259と対照とのPの有意な差も観察された。
【0127】
(例3)
急性の皮膚の炎症と眼の炎症を査定して、溶液259の毒性を計算する。
【0128】
皮膚の炎症: 中国保健省発行の1999年11月の第1巻(実験基準)、第3版(滅菌技術基準)の第3.6条に従って採用されたプロトコル。
方法及び材料: 試験対象試料: 未混合の溶液259、無色透明の液体。
試験対象動物: ウサギ(ニュージーランド種)
数量: 4(雄:雌=50:50)
体重: 2.5〜3.0kg、復旦大学実験動物部門により提供されたもの、証明書番号02−52−1
温度: 18〜22℃
相対湿度: 40〜70%
【0129】
実験方法: 実験の24時間前に動物の脊柱の両側で3×3cmの寸法の領域から体毛を除去した。24時間後に、0.2mlの溶液259を左脇に塗布し、次にこの試験領域を透明紙でカバーし、無刺激の弾性包帯で固定した。右側領域を比較対象として用いた。1時間、24時間及び48時間後に、包帯を除去し、残った溶液259で洗浄し、炎症の度合いを測定して、浮腫(E)、紅斑(R)、及び全面的炎症(T)の程度の分類を行なった(0=なし、1=あり)。
【0130】
結果:
【0131】
【表5】

【0132】
ここで明らかであるように、いずれの事例においても、真皮レベルでの急性の炎症現象は発生しなかった。
【0133】
眼の炎症: 中国保健省発行の1999年11月の第1巻(実験基準)、第3版(滅菌技術基準)の第3.7条に従って採用されたプロトコル。
方法及び材料: 試験対象試料: 未混合の溶液259、無色透明の液体。
試験対象動物: ウサギ(ニュージーランド種)
数量: 4(雄:雌=50:50)
体重: 2.5〜3.0kg、復旦大学実験動物部門により提供されたもの、証明書番号02−52−1
温度: 18〜22℃
相対湿度: 40〜70%
【0134】
実験方法: 試験対象の動物の左まぶたを穏やかに切断し、溶液259を2滴結膜へ滴下し、等量の生理溶液を右眼に滴下した。適用から1時間、24時間、48時間、72時間及び4日、7日後に、眼を5分間食塩水で洗浄し、次に4秒間まぶたを閉じた後、損傷を観察した。2つの露出した眼から角膜、虹彩及び結膜を回収し、2%のナトリウムフルオレセインで洗浄した。最後に、急性の眼の炎症の度合いを査定し、点数スケールを決定して、平均の合計の眼の炎症(T)、角膜の炎症(C)、虹彩の炎症(I)、及び結膜の炎症(O)の度合いを評価した。
【0135】
結果:
【0136】
【表6】

【0137】
ここでわかるように、溶液259は眼の粘膜に対して刺激性がないものとして分類されなければならない。
【0138】
(例4)
溶液259の再生特性を試験する。
【0139】
試験方法: 78名の患者に関与してもらい、これらの患者を、表面に火傷のある患者35名のグループAと、深層に火傷のある患者43名のグループBの2つに分けた。グループAの25名の患者(S−1)とグループBの31名の患者(S−2)を、創傷清拭のため溶液259で処置した後、スルファジアジンで処置した。Aの残りの10名の患者(対照−1)及びBの残りの12名(対照−2)を、創傷清拭のため通常のように処置した後、スルファジアジンで処置した。
【0140】
結果:
【0141】
【表7】

【0142】
溶液259での処置は、火傷を負った領域の表皮及び線維芽細胞をより速く再生させ、炎症をひき起こさず、組織浮腫を抑制し、表面感染を軽減し、外傷を比較的乾燥した状態に保ち、そして治癒時間を著しく短縮した。
【0143】
(例5)
出願人の要請に基づき、認定試験所で溶液259の殺細菌力を試験した。データを下記の表に提示する。実験の詳細も同様に提供される。
【0144】
試験方法及びその検証:
・方法: 希釈・中和
・中和剤: 30g/リットルのポリソルベート80(Tween(登録商標)80)
【0145】
実験条件:
・試験中に使用した製品の希釈剤: 硬水(300mg/kgのCaCO3)、無菌。
・製品の試験濃度: 100%、80%(v/v)。
・製品の希釈物の外観: 透明無色の溶液。
・接触時間: t=5分±10秒。
・試験温度: θ=20℃±1℃。
・妨害物質: 清浄な条件をシミュレートするための0.3g/リットルのウシアルブミン、汚れた条件をシミュレートするための3g/リットルのウシアルブミン。
・混合物(妨害物質と試験製品、希釈したもの、及びそのままのもの)の安定性: 試験全体を通して沈殿物なし。
・培養温度: 37℃±1℃。
【0146】
使用した菌種の同定: 緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa) ATCC 10145、大腸菌(Escherichia coli) ATCC 11775、ブドウ球菌(Staphylococcus aureus) ATCC 29213、エンテロコッカス・ヒラエ(Enterococcus hirae) ATCC 8043。
【0147】
【表8】

【0148】
【表9】

【0149】
なおここで、Nv=検証試験に用いた細菌懸濁液1mlあたりのCFU数、A=実験条件の検証における1mlあたりのCFU数、B=中和剤の毒性の検証における1mlあたりのCFU数、C=希釈・中和の検証における1mlあたりのCFU数、N=試験細菌懸濁液1mlあたりのCFU数、Na=試験混合物における1mlあたりのCFU数、R=微生物数の減少の度合い。
【0150】
表中に含まれているデータは、UNI EN 1276:2000規格に従って、製品「溶液259」のORPが1138のバッチL0510001が、「清浄」条件(0.3g/リットルのウシアルブミン)下にて、製品を100%(v/v)で使用した場合と硬水で希釈後に80%(v/v)で使用した場合の両方において、基準菌種の緑膿菌ATCC 10145、大腸菌ATCC 11775、ブドウ球菌ATCC 29213、エンテロコッカス・ヒラエATCC 8043について20℃において5分で殺細菌活性を有する、ということを確認した。予想どおり、「汚染」条件(3.0g/リットルのウシアルブミン)では、製品はより低い殺細菌活性を有する。
【0151】
(例6)
溶液259の殺ウイルス力を、出願人が自社実験室で直接試験した。データを次の表に示す。
【0152】
【表10】

【0153】
なおここで、S=試料グループのOD、N=マイナスのグループのODであり、S/N<2.1=破壊した抗原HBsAg、酸性水のORP=1152〜1180mV、酸性水のpH=2.35〜2.6である。
【0154】
(例7)
凍結乾燥した生体組織の水和: 溶液259と天然水を対比。この例に関係する写真は図3に含まれている。
【0155】
上述の図に関して、左の最初の欄は「乾燥」試料を示し、2番目の欄は15分の処理後の試料を示し、3番目の欄は45分の処理後の試料を示している。
【0156】
更に、(上から)1番目と4番目の試料は水道水で処理し、(同じく上から)2番目と3番目の試料は、本発明による溶液259で処理した。
【0157】
(上から)1番目と2番目の試料はアキレス腱の試料であり、一方(上から)3番目と4番目の試料は心膜である。
【0158】
乾燥: 溶液259及び水道水に浸漬する前の凍結乾燥した生体組織(アキレス腱及び心膜)のフラグメント。
T15’: 静的条件及び周囲温度で15分の浸漬後の組織フラグメント。
T45’: 静的条件及び周囲温度で45分の浸漬後の組織フラグメント。
【0159】
結果: 水道水に浸漬したフラグメントは体積増加が最低限であり、これは腱の場合により明らかである。溶液259に浸漬したフラグメントは、かなりの体積増加(少なくとも3倍)を示している。腱繊維は更に離隔され、その一方で心膜の厚みは45分の浸漬後に少なくとも3倍の増大を示している。
【0160】
溶液259は、恐らくはH2O分子の特殊な立体組織(5分子クラスタ)のおかげで、水道水よりも高い水和力を有する。
【0161】
(例8)
特に緑膿菌に対する溶液259の抗菌特性を試験した。図4は、従来の酸性水(a)、溶液259(b)、及び生理溶液(c)で得られた、細菌壁の溶解を示す電子顕微鏡で撮影した写真である。写真5は、従来の酸性水(B)、溶液259(C)、及び生理溶液(D)で処置後の、緑膿菌DNAのゲル電気泳動の写真である。欄(A)は、基準として用いた重量スケールである。
【0162】
本発明のいくつかの好ましい実施形態のみについて本書で説明してはいるが、当業者はその他の同等に有利で好ましい実施形態をどのように得るかを直ちに認識しよう。
【0163】
本出願がその優先権を主張しているイタリア国特許出願第PN2005A000079号及びMI2006A601252号明細書中の開示は、参照によりここに含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0164】
【図1】電解チャンバ2及び2つの電極3、4を含む、本発明による電解装置1の概略図である。
【図2】図1による電解装置1を含む、本発明による設備の概略図である。
【図3】例7(再移植組織の再水和)に関する写真である。
【図4】例8に関し、従来の酸性水(a)で実施された細菌溶解活性を溶液259(b)及び生理溶液(c)と比較する写真である。
【図5】同じく例8に関し、細菌DNAについての溶菌活性を比較する写真である。詳しく言えば、実験はアガロースゲルについての電気泳動であり、ここで実験A)はDNA分子量の標準であり、実験B)は、従来の電解酸性水で処理した緑膿菌由来のDNAであり、実験C)は溶液259で処理した緑膿菌由来のDNAであり、実験D)及びE)は生理溶液で処理した緑膿菌由来のDNAである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1種以上の金属のナノ粒子を含む表面コーティングを含むことを特徴とする、特に電解槽用の、電極。
【請求項2】
金属材料、非金属材料、又はそれらの組合せから製作されたコアを含む、請求項1に記載の電極。
【請求項3】
前記コーティングがZrO2、ZnO、Ru23、IrO2及びY23を含む、請求項1〜2のうちの1以上のものに記載の電極。
【請求項4】
次に提示する順序で実施されるべき工程、すなわち、
(A1)1種以上の金属のナノ粒子の1種以上の粉末を調製する工程、
(A2)少なくとも塗布したい粉末の全てを溶解できるような量の、適切な溶媒中に、前記ナノ粒子の1種以上の粉末を溶解させ、1以上の溶液を得る工程、及び
(A3)前の工程で得た1以上の溶液を、電極のコアを形成することになる、好ましくは表面を不動態化された、金属プレート上で焼結させる工程、
によって前記電極のコーティングを作製する工程(A)を含む、請求項1〜3のうちの1以上のものに記載の電極を提供するための方法。
【請求項5】
・工程(A1)の金属ナノ粒子の1種以上の粉末は、ZrO2、ZnO、Ru23、IrO2及びY23の粉末の組合せであり、ここで各粉末について粒子の少なくとも80重量%は60〜80nmの範囲の直径を有し、
・工程(A2)の溶媒は、30重量%塩酸水溶液であり、
・工程(A3)は、0.15〜0.35mmの範囲の厚みをもち表面が不動態化されているTiO2プレートの両面で、工程(A2)から得た塩酸水溶液を焼結させるものであり、ここでの焼結は下記の11の工程に従って行われる、請求項4に記載の方法。
【表1】

【請求項6】
前記流体の電解処理のための少なくとも一つのチャンバ及び各チャンバに少なくとも1対ずつの電極を含み、前記電極が前記少なくとも一つのチャンバ内に配置されている装置、特に流体の電解処理のための装置であって、存在する電極のうちの少なくとも一つが請求項1〜3のうちの1以上のものに記載のものであることを特徴とする装置。
【請求項7】
前記電解チャンバを2つの半チャンバに分割するようにされている膜を更に含み、当該膜が、金属ナノ粒子でコーティングされた開放気孔率を有するセラミック材料で作られていることを特徴とする、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
請求項6又は7に記載の装置を含むことを特徴とする、特に流体の電解処理のための、設備。
【請求項9】
水の前処理手段、前記前処理手段の下流側に配置された水の電解処理手段、及び前記処理手段に前記前処理手段を接続するための流体回路を含み、前記電解処理手段が請求項6又は7に記載の装置を含む、請求項8に記載の設備。
【請求項10】
請求項6又は7に記載の装置内で特定量の流体を電解に付す工程a)を含む、流体の電解を実施するための方法。
【請求項11】
前記流体が水である、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
・ろ過、磁化及び添加剤添加のうちの1以上の工程を用いて、工程a)に付す前に前記水を前処理する工程a1)、及び
・電解により生成された酸性水と塩基性水の成分を分離する、工程a)に後続する工程b)、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
請求項12に記載の電解方法で得られる、特に消毒剤としての、酸性水。
【請求項14】
重金属を含まないことを特徴とする、請求項13に記載の酸性水。
【請求項15】
pHが3.0以下で0より高く、ORPが1000mV以上であり、10以下で1以上の分子クラスタを有することを更に特徴とする、請求項14に記載の酸性水。
【請求項16】
最高90日間、光、空気及び熱から保護された状態に保った場合に安定していることを特徴とする、請求項13〜15のうちの1以上のものに記載の酸性水。
【請求項17】
活性塩素を60mg/リットル未満の平均濃度で含むことを特徴とする、請求項13〜16のうちの1以上のものに記載の酸性水。
【請求項18】
特に下地を消毒するための組成物であって、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水と、次のもの、すなわち、
i)薬学的に受容可能である賦形剤及び担体、
ii)化粧品用に受容可能である賦形剤及び担体、
iii)殺菌剤組成物を調製するのに使用される賦形剤及び担体、及び
iv)駆虫及び防かび組成物を調製するため農業分野で使用される賦形剤及び担体、
からなる群から選択される1種以上の成分とを含む組成物。
【請求項19】
前記薬学的に受容可能な賦形剤及び担体が、局所殺菌剤組成物を調製するのに又は治療用の皮膚用組成物を調製するのに用いられる賦形剤及び担体である、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
前記殺菌剤組成物のために使用される賦形剤及び担体が、
・食品用の殺菌剤組成物、
・環境、装置及び医療・手術器具向けの殺菌剤組成物、
・ヒト又は動物の再移植用組織向けの殺菌剤組成物、
・コンタクトレンズ及び光学機材全般をクリーニングし衛生維持するための殺菌剤組成物、
・家庭内の表面及び環境向けの殺菌剤組成物、
のための賦形剤及び担体からなる群から選択される、請求項18に記載の組成物。
【請求項21】
請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水と、それを下地に塗布するための手段とを含むキット。
【請求項22】
ヒト又は動物の体の皮膚の表層又は深層の疾患又は病変の治療及び予防用の薬剤を調製することへの、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水の使用。
【請求項23】
前記皮膚の表層又は深層の疾患又は病変が、
・表皮及び/又は真皮を侵すアレルギー、炎症性又は免疫学的反応と結びつけられる皮膚現象、
・細菌及び/又は真菌感染及び/又はウイルス感染によりひき起こされる皮膚の表層又は深層の現象、及び
・皮膚及び/又は真皮の病変又は擦過傷、
の中から選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
下地を消毒することへの、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水の使用。
【請求項25】
前記下地が、1)無生物の表面及び物体、2)ヒト又は動物の体の表面、及び3)ヒト又は動物の体の分離された部分の表面、からなる群から選択される、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
ヒト又は動物の体、又はその分離された部分の、美容上の処置のための、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水の使用。
【請求項27】
骨の再生に適した製剤を搬送することへの、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水の使用。
【請求項28】
ヒト又は動物の脱水状態の再移植組織を再水和させることへの、請求項13〜17のうちの1以上のものに記載の酸性水の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2009−520875(P2009−520875A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−537073(P2008−537073)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【国際出願番号】PCT/EP2006/067676
【国際公開番号】WO2007/048772
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(508127720)アクアテク ソチエタ レスポンサビリタ リミテ (2)
【Fターム(参考)】