説明

新規イミダゾ[1,5−a]ピリジン誘導体、該誘導体を調製する方法及び該誘導体を含有する医薬組成物

本発明は、塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、式Iの化合物


(Rは、H、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOR、−NR、−NH−SO−アルク、−NH−CO−アルク、−NR−CO−アルク、−O−アルク−COOR、−O−アルク−NR、−O−(CH−Ph、−CO−NR又は−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR基を表し;Rは、H、ハロゲン、シアノ、−COOR、−NR、−NH−SO−アルク、−NH−CO−CF、−NH−CO−Ph、−NH−CO−アルク、−NH−CO−アルク、−CONR基、場合によって置換されたフェニル又は場合によって置換されたヘテロアリールを表し;R及びRは、互いに独立に、ヒドロキシ、アルコキシ、−COOR、ニトロ、−NR、−NH−CO−アルク、−NH−CO−Ph、−NH−CO−アルク、−NH−SO−アルク、−CO−NR若しくは−CO−NHOHを表し;又は、R及びRは、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び酸素などの別の複素原子とを含む6員の炭素含有環を形成する。)
に関する。本発明は、前記化合物を調製する方法、前記化合物を含有する医薬組成物及び前記化合物の治療的使用にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の主題は、FGF(繊維芽細胞増殖因子)の阻害剤である新規イミダゾ[1,5−a]ピリジン誘導体、該誘導体の調製方法及び該誘導体を含む医薬組成物である。
【背景技術】
【0002】
FGFは、胚発生中の細胞の多数によって、及び様々な病的状態にある成体組織の細胞によって合成されるポリペプチドのファミリーである。
【0003】
FGF−1の選択的阻害剤であるナフチリジンジアミンのある種の誘導体及び対応する尿素が公知である(Batley B. et al.,Life Sciences,(1998), Vol.62 No.2, pp.143−150;Thompson A. et al., J Med. Chem.,(2000), Vol.43, pp.4200−4211)。
【0004】
FGFの受容体へのFGFの結合のアンタゴニストであるインドリジン誘導体は、国際特許出願WO03/084956号及びWO2005/028476号に記載されている。
【発明の開示】
【0005】
イミダゾ[1,5−a]ピリジン誘導体である化合物が、FGF受容体へのFGFの結合に対する強力なアンタゴニスト活性を示し、並びにインビボで極めて優れた活性を示すことが、ここに見出された。これは、驚くべきことに、マウスでのインビボモデルにおいて、10mg/kgの用量によって、本発明者らが前記化合物の最大活性を取得することが可能となるからである。この効果は、国際特許出願WO03/084956号及びWO2005/028476号に記載されたインドリジン系列を用いると、50mg/kgの用量で得られるに過ぎなかった。
【0006】
従って、本発明の主題は、式Iの新規イミダゾ[1,5−a]ピリジン誘導体である。
【0007】
【化28】

【0008】
式中、
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの5、6、7又は8位に存在する。)は、水素原子、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、ヒドロキシル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−O−アルク−NR
・−O−(CH−Ph
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
の基を表し、
(式中:
・アルクは、1から5個の炭素原子の、アルキル基又はアルキレン基を表し、
・nは、1から5の整数を表し、
・mは、0から4の整数を表し、
・R及びRは、互いに独立に、水素原子を表し、1から5個の炭素原子のアルキル基又はベンジル基を表し、
・Rは、水素原子を表し、又は1から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
・Rは、水素原子を表し、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式:
・−アルク−CONR
・−アルク−OR
・−アルク−NR
・Ph若しくは
・−CHPh及び
の基を表し、
・Phは、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基(Rは、上記定義のとおりである。)から選択される1つ又はそれ以上の基によって、場合によって置換されたフェニル基を表す。);
・Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−CF
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−CONR
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合によって置換されたフェニル基、
・硫黄原子、酸素原子又は窒素原子から選択される複素原子を含み、及び第二の窒素原子を場合によって含む5員のヘテロアリール基(前記ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合により置換されている。)、又は
・1個若しくは2個の窒素原子を含み、並びにハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合により置換されている6員のヘテロアリール基、
(アルク、Ph、R、R及びRは、上記定義のとおりである。)
の基を表し;
・R及びRは、互いに独立に、ヒドロキシル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、−COOR基、ニトロ基又は式:
・−NR
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−NH−SO−アルク
・−CO−NR若しくは
・−CO−NHOH
(アルク、Ph、R、R及びRは、上記定義のとおりである。)
の基を表し;
あるいは、R及びRは、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び酸素などの別の複素原子とを含む6員の炭素環を形成する。
【0009】
式Iの化合物は、塩基の形態で、又は酸若しくは塩基によって、特に医薬として許容される酸もしくは塩基によって塩化された形態で存在することが可能である。このような付加塩も、本発明の一部を構成する。
【0010】
本発明の化合物は、水和物又は溶媒和物の形態で、すなわち、1つ若しくはそれ以上の水分子と、又は溶媒と会合若しくは結合した形態でも存在することが可能である。このような水和物及び溶媒和物も、本発明の一部を構成する。
【0011】
本発明において、
−「アルキル基」という用語は、1から5個の炭素原子を含むことが可能な、直鎖又は分岐の飽和脂肪族基を意味するものと理解される。例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル及び2,2−ジメチルプロピル基を挙げ得る。
【0012】
−「アルキレン基」という用語は、飽和であり、及び直鎖又は分岐であり、並びに二価である上記定義のアルキル基を意味するものと理解される。例としては、メチレン、エチレン及びプロピレン基を挙げ得る。
【0013】
−「アルコキシ基」という用語は、アルキル基が上記定義のとおりであり、及び1から5個の炭素原子を含むことが可能な−O−アルキル基を意味するものと理解される。例としては、メトキシ、エトキシ及びプロポキシ基を挙げ得る。
【0014】
−「ハロゲン原子」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を意味するものと理解される。
【0015】
−「複素原子」という用語は、窒素、酸素又は硫黄原子を意味するものと理解される。
【0016】
−「5員のヘテロアリール基」という用語は、5員環を含み、及び上記定義の複素原子を含み、及び窒素原子である第二の複素原子も場合によって含む芳香族環状基を意味するものと理解され、前記芳香族基は場合によって置換される。例としては、チエニル、フリル及びピロリル基を挙げ得る。並びに、
−「6員のヘテロアリール基」という用語は、6員環を含み、及び1個又は2個の窒素原子を含む、場合により置換された芳香族環状基を意味するものと理解される。例としては、ピリジニル基を挙げ得る。
【0017】
本発明の主題である化合物のうち、
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)が、水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−O−アルク−NR
・−O−CH−Ph
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
(アルク、Ph、R、R、R、R及びm、上に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−CF
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−CO−NR
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基;
・硫黄原子、酸素原子又は窒素原子から選択される複素原子を含み、及び第二の窒素原子を場合により含む5員のヘテロアリール基(前記ヘテロアリールは、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個又は2個の基によって、場合により置換されている。)、若しくは
・1個若しくは2個の窒素原子を含み、並びにハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されている6員のヘテロアリール基
(アルク、Ph及びRは、上に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・R及びRが、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基、アミノ基、ニトロ基又は式:
・−NR
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−SO−アルク
(アルク、Ph、R、R及びRは、上に定義されているとおりである。)
の基を表す、式Iの化合物の第二の群を挙げ得る。
【0018】
本発明に係る化合物のこの第二の群のうち、Rが水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式−アルク−OR若しくは−CH−Phの基を表すものを特に挙げることができる。
【0019】
本発明に係る化合物のこの第二の群のうち、m=0又は1のものも挙げることができる。
【0020】
本発明の主題である化合物のうち、
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)が、水素原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
(mは、0又は1を表し、Rは、水素原子を表し、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式−アルク−OR若しくは−CH−Phの基を表し、並びにアルク、R、R及びRは、上に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基、
・チエニル、フリル及びピロリル基から選択されるヘテロアリール基(前記ヘテロアリールは、場合によって、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個又は2個の基によって置換されている。)、若しくは
・1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたピリジニル基、
(アルク、Ph、R及びRは、上に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・R及びRが、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基、ニトロ基、アミノ基、又は式−NH−CO−アルク、−NH−CO−Ph若しくは−NH−SOアルク
(アルク、Ph及びRは、上に定義されているとおりである。)
の基を表す、式Iの化合物の第三の群を挙げることができる。
【0021】
上で定義されている本発明に係る式Iの全ての化合物のうち、Rが1から5個の炭素原子のアルコキシ基又は−COOR基(Rは、上で定義されているとおりである。)ものを、特に挙げ得る。
【0022】
上で定義されている本発明に係る式Iの全ての化合物のうち、Rが、ニトロ基、アミノ基又は式−NH−CO−アルク、−NH−CO−Ph若しくは−NH−SOアルクの基(アルク及びPhは、上で定義されているとおりである。)を表すものも挙げることができる。有利に、Rはアミノ基を表す。
【0023】
本発明の主題である化合物のうち、
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)は、水素原子、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−O−アルク−COOR
・−CO−NR、又は
・−CO−NH−CH(R)−COOR
(Rは、水素原子を表し、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式−アルク−ORの基を表し、並びにアルク、R、R及びRは、上で定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、−COOR基又は式:
・−NH−CO−Ph
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基、若しくは
・1から5個の炭素原子のアルコキシ基及びーCOOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたチエニル基
(Ph及びRは、上記定義のとおりである。)
の基を表し、
・Rは、1から5個の炭素原子のアルコキシ基又は−COOR基(Rは、上で定義されているとおりである。)を表し;並びに
・Rがアミノ基を表す、
式Iの化合物の第四の群を挙げることができる。
【0024】
本発明の主題である化合物のうち、以下の化合物を特に挙げることができる。
【0025】
−2−アミノ−5−{(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)カルボニル}安息香酸;
−2−アミノ−5−{[1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸;
−2−アミノ−5−{[1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸;
−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)メタノン;
−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−カルボン酸;
−5−[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]チオフェン−2−カルボン酸;
−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボン酸;
−N−[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]−3−メトキシベンゾアミド;
−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸;
−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−7−カルボン酸;
−3−[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]安息香酸;
−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(3−フルオロフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン;
−3−{3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−7−[(メチルアミノ)カルボニル]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]}安息香酸;
−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(8−ヒドロキシイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)メタノン;
−(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(7−ヒドロキシイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)メタノン;
−{[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−7−イル]オキシ]酢酸;
−3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−7−カルボン酸;
−メチルN−{[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−7−イル]カルボニル}−D−アラニナート;
−N−{[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]カルボニル}−L−セリン。
【0026】
以下において、様々な置換R、R、R及びRの意味に応じて、式Iの化合物は、Ia、Ib、Ic、Id、Ie、If、Ig、Ih、Ii、Ij、Ik、Is、Im、In、Io、Ip、Iq、Ir、It、Iu、Iv、Iw、Ix、Iy、Iz及びIz’と称される。
【0027】
本発明は、
A)−R若しくはRがニトロ基を表す式Iの化合物である式Iaの化合物、又は
−R若しくはRが−COOR基(Rは、1から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表す式Iの化合物である式Ibの化合物を取得するために、
式IIの化合物:
【0028】
【化29】

(Rは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであるが、Rは、ヒドロキシル基、カルボキシル基又は−NR基など、式IIIの化合物と反応することが可能な基以外であり、及びRは、−NH−CO基以外又は−CONR基以外であり、Rは、有利に、水素原子を表す。)
を、式IIIの化合物:
【0029】
【化30】

(Xは、ハロゲン原子を表し、並びにR及びRは、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ニトロ基又は−COOR基(Rは、1から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表す。)
と縮合させ、
並びに、続いて、
a)式Idの化合物:
【0030】
【化31】

(R及びRは、式Iaの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRはアミノ基を表す。)
を取得するために、式Iaの化合物は還元反応に供せられ;
式Idの化合物は、続いて、式Igの化合物:
【0031】
【化32】

(式中、R及びRは、式Idの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRは−NR、−NHCOアルク、−NHCOアルク又は−NHSOアルク基を表す。)
を得るために、アルキル化、アシル化若しくはスルホニル化反応に供されることができ、
b)若しくは、式Ieの化合物:
【0032】
【化33】

(式中、R及びRは、式Ibの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRはカルボキシル基を表す。)
を取得するために、式Ibの化合物は鹸化反応に供せられ、
式Ieの化合物は、続いて、式Ihの化合物:
【0033】
【化34】

(式中、R及びRは、式Ieの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRは−CONR又は−CONHOH基を表す。)
を取得するために、例えば、Tetrahedron Letters,(1975),14,1219−1222に記載されている手順に従う、塩基(トリエチルアミンなど)の存在下での、反応剤BOP[ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート]を用いた、カルボキシル官能基の活性化、及び次いで、式HNRのアミン若しくはヒドロキシルアミンの付加後に、カップリング反応に供されることができ;
又は
B)パートA)において上で定義されている式IIの化合物が、式III’の化合物:
【0034】
【化35】

(式中、Xはハロゲン原子を表し、並びにR’及びR’は、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び別の複素原子(酸素など)とを含む6員の炭素環を形成する。)
と縮合されて、
式Icの化合物:
【0035】
【化36】

(R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得し、
式Icの前記化合物は、続いて、以下の式Ifの化合物:
【0036】
【化37】

(式中、R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)
を与えるために、アルコール分解反応に供され、
化合物Ifは、続いて、式Id又はIeの化合物(R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりであり、Rは−COOH基を表し、及びRは−NH基を表す。)を得るために鹸化されることができ;
又は
C)パートA)において上で得られた、Rが水素原子を表す式Iの化合物は、式Iiの化合物:
【0037】
【化38】

(R、R及びRは、式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、(R及びRが、一緒にヘテロアリールを形成しない場合には)、Rは、臭素原子を表す。)
を取得するために、臭化反応に供され、
Rが臭素原子以外であり、又はヨウ素原子以外である式Iiの化合物は、パラジウム触媒の、リガンドの、及び塩基の存在下で、
a)式Ijの化合物:
【0038】
【化39】

(R、R及びRは、式Iiの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−NH基を表す。)
を取得するために、「Tetrahedron,(2003),59(22),3925−3936」に記載された反応条件に従う、ベンゾフェノンイミンを用いたイミノ化反応後、酸加水分解反応に、
b)若しくは、式Ikの化合物:
【0039】
【化40】

(R、R及びRは、式Iiの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−CN基を表す。)
を得るために、「J.Med.Chem.,(2003),46,265−283」に記載されている反応条件に従う、シアン化亜鉛を用いたシアン化反応に、
−式Ikの化合物は、続いて、式Imの化合物:
【0040】
【化41】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−CONH基を表す。)
を取得するために、塩基性加水分解反応に供されることができ、
−あるいは、式Ikの化合物は、対応するイミドエステルをもたらすために、塩化水素ガスの存在下で、メタノール若しくはエタノールなどの第一級アルコールを用いたPinner反応[The Chemistry of Amidines and Imidates;edited by S.Patai,J.Wiley and Sons,New York,(1975),385−489]に供され、前記イミドエステルは、酸加水分解によって、式Inの化合物:
【0041】
【化42】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは、−COアルク基を表す。)
をもたらし、
式Inの化合物は、それ自体、式Ioの化合物:
【0042】
【化43】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−COH基を表す。)
を取得するために、鹸化反応に供されることが可能であり、
c)もしくは、式Isの化合物:
【0043】
【化44】

(R、R及びRは、化合物Iiに対して定義されているとおりであり、並びにRは、置換されたフェニル基又は場合によって置換された、5員若しくは6員のヘテロアリールを表す。)
を取得するために、フェニルボロン誘導体若しくはヘテロアリールボロン誘導体との、「Synth.Commun.,(1981),Vol.11,p.513」に記載されている条件に従うSuzuki反応に、
供されることが可能であり;
又は
D)Rがアミノ基を表す式Ijの化合物は、式Ipの化合物:
【0044】
【化45】

(R、R及びRは、式Ijの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは、−NHCOアルク、−NHCOアルク、−NHSOアルク、−NHCOPh又は−NHCOCF基(アルク及びPhは、式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)を表す。)
を取得するために、アシル化若しくはスルホニル化反応に供され、
式Iqの化合物:
【0045】
【化46】

(R、R及びRは、式Ijの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR及びRは、式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得するために、Rが−NHCOCF基を表す式Ipの化合物は、それ自体、アルキル化及びその後の脱保護反応に供されることが可能であり、場合により、その後に別のアルキル化反応に供されることが可能であり;
又は
E)Rが−CO基を表し、及びRがアルク基を表す、パートAにおいて上で取得された(すなわち、R=−COOアルクである式(II)の化合物の、式(III)の化合物を用いたアシル化による)式Irの化合物は、式Itの化合物:
【0046】
【化47】

(R、R及びRは、式Irの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−COOH基を表す。)
を取得するために、酸若しくは塩基性加水分解反応に供され、
式Itの化合物は、続いて、
a)式Iuの化合物:
【0047】
【化48】

(R、R及びRは、式Itの化合物に対して定義されているとおりであり、
を取得するために、例えば、「Tetrahedron Letters,(1975),14,1219−1222」に記載されている手順に従う、反応剤BOP[ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート]を用いた、塩基(トリエチルアミンなど)の存在下での、カルボキシル官能基の活性化後のカップリング反応、及び次いで、式HNRのアミン若しくはHN−CH(R)−(CH−COOR(Rは、アルク基を表す。)のアミンの付加に、
並びにRが−CONH−CH(R)−(CH−COOR基であり、Rは式Iの化合物に対して定義されているアルク基を表す場合、これらの化合物は、Rが−CONH−CH(R)−(CH−COOR基(Rは水素原子を表し、並びにR、R及びRは上記定義のとおりである。)である式Iuの化合物を取得するために、鹸化することが可能であり、
b)もしくは、式Ivの化合物:
【0048】
【化49】

(R、R及びRは、式Itの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−NHCOアルク基を表す。)
を取得するために、還流下、トルエンなどの不活性溶媒中、トリエチルアミンの存在下でのジフェニルホスホリルアジドの作用、及びその後の式アルク−OHのアルコールの付加による、「Synthesis,(1990),295−299」に記載されている手順に従うCurtius転位に供され、
Rが−NH−CO−アルク基(アルクは、−tBu基を表す。)を表す式Ivの化合物は、続いて、R、R、R、R及びRが式Iの化合物に対して定義されているとおりである式Iwの化合物をもたらすことができ:
【0049】
【化50】

【0050】
−酸溶媒中での脱保護によって、Rが−NH基を表す式Iwの化合物が取得され、
−アルキル化に続く脱保護によって、及び場合によって行われる第二のアルキル化によって、Rが−NR基を表す式Iwの化合物を取得することが可能であり、
Rが−NH基を表す式Iwの化合物は、続いて、式Ixの化合物:
【0051】
【化51】

(R、R及びRは、化合物Iwに対して定義されているとおりであり、並びにRは−NHCOアルク又は−NHSOアルク基を表す。)
を取得するために、アシル化若しくはスルホニル化されることができ、
又は
F)式Iyの化合物:
【0052】
【化52】

(Rは−O−ベンジル基を表し、並びにR、R及びRは、式Iの化合物において定義されているとおりである。)
は、式Izの化合物:
【0053】
【化53】

(R、R及びRは、式Iyの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRはヒドロキシル基を表す。)
を取得するために、活性炭上パラジウムの存在下で、メタノールなどのプロトン溶媒中での、例えばヒドラジン水和物の反応による脱ベンジル化反応に供され、
並びにR又はRがニトロ官能基を表す場合には、R又はRがNH基を表し、並びにRが式Iの化合物において定義されているとおりである式Idの化合物が取得され、
続いて、式Izの化合物は、式Iz’の化合物:
【0054】
【化54】

(R、R及びRは、式Izの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得するために、炭酸アルカリの存在下、ジメチルホルムアミドなどの極性溶媒中、ハロゲン化アルキルの周囲温度での作用による選択的O−アルキル化反応に供することが可能であり、 並びに、Rが−O−アルク−COOR基(Rは、式Iの化合物に対して定義されているアルク基を表す。)である場合には、これらの化合物は、Rが−O−アルク−COOR基(Rは、水素原子を表し、並びにR、R及びRは上記定義のとおりである。)である式Iz’の化合物を取得するために、鹸化することが可能であることを特徴とする、式Iの化合物を調製するための方法にも関する。
【0055】
当業者であれば、分子上に位置し、及び反応することが可能な様々な基を考慮に入れながら、式Iの化合物を取得するために、上記されている様々な反応及び以下のスキーム1から6に例示されている様々な反応をどのように使用するかについて知悉している。
【0056】
スキーム1及び6において、出発化合物及び試薬は、それらの調製の方法が記載されていない場合には、市販されているか、又は文献に記載されており、あるいは、その中に記載されている方法に従って調製することが可能であるか、又は当業者に公知である。
【0057】
上記様々な変法A、B、C、D、E又はFは、それぞれ、以下のスキーム1、2、3、4、5及び6によって表される。
【0058】
【化55】

【0059】
【化56】

【0060】
【化57】

【0061】
【化58】

【0062】
【化59】

【0063】
【化60】

【0064】
特にR=Hである場合に、式IIの化合物は、「J.Chem.Soc.,(1955),2834−2836」に記載されている以下の反応スキームに従って、適切に置換された2−アミノメチルピリジンから、文献公知の方法によって得られる。
【0065】
【化61】

【0066】
イミダゾ[1,5−a]ピリジンの合成を記載する3つの特許出願:WO03/070732、WO 04/064836及びWO 04/046133も挙げることができる。
【0067】
及びR(同一又は別異であり得る。)が、式Ia又はIbの化合物に対する定義と同一の定義を有し、及びXが塩素原子を表す式IIIの化合物は、対応する安息香酸(市販されているか、又は文献中に記載されている。)に対する塩化チオニルの作用によって得られる。
【0068】
’及びR’が、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び酸素などの別の複素原子とを含む6員の炭素環を形成し、並びにXが塩素原子を表す式III’の化合物は、文献に記載されている対応する酸に対する塩化チオニルの作用によって取得することが可能である。例えば、式IIの化合物をアシル化するために、及び式Icの化合物を与えるために使用される対応する酸塩化物を、塩化チオニルでの処理によってもたらす、フランス特許FR2 333 511号に記載されている方法に従って調製される4−オキソ−2−フェニル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−6−カルボン酸を挙げることができる。
【0069】
本発明の式Iの化合物は、強力なFGF−1及び−2アンタゴニストである。分化された内皮細胞からの新しい血管の形成を阻害するそれらの能力及びCD34+CD133+成人骨髄細胞の分化を遮断して内皮細胞を与える能力が何れも、インビトロにおいて示されている。さらに、病的血管新生を阻害するそれらの能力が、インビボにおいて示されている。さらに、式Iの化合物はFGF−1受容体の強力なアンタゴニストであることが示されている。
【0070】
一般的に、FGF受容体は、自己分泌、傍分泌又は接触分泌を介して、癌細胞の増殖の刺激の調節解除の現象に大きく関与している。さらに、FGF受容体は、腫瘍の増殖及び転移現象の両者に関して主要な役割を果たしている腫瘍血管形成に影響を与える。
【0071】
血管新生とは、既存の血管からの、又は骨髄細胞の動員及び分化による新しい毛細血管の生成のための過程である。従って、内皮細胞の制御されていない増殖及び骨髄からの血管芽細胞の動員の両者が、腫瘍の新血管新生過程において観察される。幾つかの増殖因子が、内皮増殖、特にFGF1又はa−FGF受容体及びFGF−2又はb−FGF受容体を刺激することが、インビトロ及びインビボにおいて示されている。これら2つの因子は、培養中の内皮細胞による増殖、遊走及びプロテアーゼの産生を誘導し、並びにインビボにおいて新血管新生を誘導する。a−FGF及びb−FGF受容体は、細胞の表面及び細胞外マトリックス中に位置する、チロシンキナーゼ活性を有する高親和性受容体(FGF)及びヘパラン硫酸プロテオグリカン型の低親和性受容体(HSPG)という受容体の2つのカテゴリーを介して、内皮細胞と相互作用する。内皮細胞に関するこれら2つの因子の傍分泌の役割は広く記載されているが、a−FGF及びb−FGFも、自己分泌過程を通じて、前記細胞に関して関与している可能性があり得る。従って、a−FGF及びb−FGF並びにこれらの受容体は、血管新生過程を阻害することを目的とした治療に対する極めて適切な標的となる(Keshet E, and Ben−Sasson S.A., J. Clin. Invest, (1999), vol.501, pp.104−1497 ; Presta M., Rusnati M., Dell’Era P., Tanghetti E., Urbinati C., Giuliani R. et al., New York:Plenum Publishers, (2000), pp.7−34, Billottet C., Janji B., Thiery J.P. and Jouanneau J., Oncogene, (2002) vol.21, pp.8128−8139)。
【0072】
さらに、腫瘍細胞の様々な種類に関するa−FGF及びb−FGF並びにそれらの受容体(FGFs)による発現を決定することを目的とした体系的な研究は、研究されたヒト腫瘍株の大多数において、これら2つの因子に対する細胞応答が機能的であることを示している。これらの結果は、a−FGF及びb−FGFのアンタゴニストも、腫瘍細胞の増殖を阻害し得るという仮説を支持している(Chandler L.A., Sosnowski B.A., Greenlees L., Aukerman S.L., Baird A. and Pierce G.F., Int.J.Cancer, (1999), vol.58, pp.81−451)。
【0073】
a−FGF及びb−FGFは、前立腺の細胞の増殖及び維持において重要な役割を果たしている。動物モデルとヒトの両方で、これらの因子に対する細胞応答の有害な変化が前立腺癌の進行において不可欠な役割を果たしていることを示している。これは、これらの病変において、腫瘍中に存在する繊維芽細胞及び内皮細胞によるa−FGF及びb−FGFの産生の増加並びに腫瘍細胞上のFGF受容体の発現の増加が何れも記録されているからである。従って、前立腺の癌細胞の傍分泌刺激が起こり、この過程は、本病変の主要な構成要素である。本発明の化合物のような、FGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、これらの病変において選択される治療法となり得る(Giri D. and Ropiquet F., Clin. Cancer Res., (1999), Vol.71, pp.5−1063 ; Doll J.A., Reiher F.K., Crawford S.E., Pins M.R., Campbell S.C. Bouck N.P., Prostate,(2001),Vol.305, pp.49−293)。
【0074】
幾つかの研究が、ヒト乳癌株(特に、MCF7)及び腫瘍の生検中の両者に、a−FGF及びb−FGF並びにそれらのFGFR受容体が存在することを示している。これらの因子は、本病変において、強力な転移を誘導する極めて浸潤性の高い表現型の出現に必要とされる。従って、式Iの化合物など、FGFR受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、これらの病変において選択される治療法となり得る(Vercoutter−Edouart A−S., Czeszak X., Crepin M., Lemoine J., Boilly B., Le Bourhis X. et al., Exp.Cell Res.,(2001), Vol.262, pp.59−68)。
【0075】
癌性の悪性黒色腫は、極めて頻繁に転移を誘導し、及び様々な化学療法処置に対して高度に抵抗性がある腫瘍である。血管新生過程は、癌性悪性黒色腫の進行において主要な役割を果たしている。さらに、転移の出現の確率は、原発性腫瘍の血管新生の増加とともに極めて強く増加することが示されている。悪性黒色腫の細胞は、a−FGF及びb−FGFを含む、様々な血管新生因子を産生及び分泌する。さらに、可溶性FGF−1受容体による、これら2つの因子の細胞効果の阻害は、インビトロで、悪性黒色腫腫瘍細胞の増殖及び生存を遮断し、並びにインビボで、腫瘍の進行を遮断することが示されている。従って、本発明の化合物など、FGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、これらの病変において選択される治療法となり得る(Rofstad E.K. Halsor E.F., Cancer Res.,(2000);Yayon A, Ma Y−S, Safran M, Klagsbrun M. and Halaban R., Oncogene, (1997), Vol. 14, pp.2999−3009)。
【0076】
神経膠腫細胞は、インビトロ及びインビボにおいて、a−FGF及びb−FGFを産生し、それらの表面に、様々なFGF受容体を有している。従って、このことは、これらの2つの因子が、自己分泌及び傍分泌効果によって、腫瘍のこのタイプの進行において中心的な役割を果たしていることを示唆している。さらに、固形腫瘍の大半のごとく、神経膠腫の進行及びそれらの転移誘導能は、原発性腫瘍中の血管新生過程に大きく依存している。FGF受容体アンチセンスは、ヒト星状細胞腫の増殖を遮断することも示されている。さらに、ナフタレンスルホナート誘導体は、a−FGF及びb−FGFの細胞効果をインビトロで阻害し、並びに、これらの増殖因子によって誘導された血管新生をインビボで阻害することが記載されている。これらの化合物の脳内注射は、アポトーシスの極めて著しい増加及び血管新生の著しい減少を誘導し、これは、ラットにおける神経膠腫の相当な退行によって反映される。従って、本発明の化合物のような、a−FGF及び/又はb−FGF及び/又はFGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、これらの病変において選択される治療法となり得る(Yamada S.M., Yamaguchi F., Brown R., Berger M.S., and Morrison R.S., Glia,(1999), Vol.76, pp.28−66;Auguste P., Guersel D.B., Lemiere S., Reimers D., Cuevas P., Carceller F. et al., Cancer Res., (2001), Vol. 26, pp.61−1717)。
【0077】
さらに最近になって、白血病及びリンパ腫における血管新生促進因子の潜在的な役割が文献に記載されている。これは、一般的には、これらの病変中の細胞クローンが、免疫系によって自然に破壊されることができるか、又はそれらの生存を好み、次いでそれらの増殖を好む血管新生表現型へと突然変化できることが報告されているからである。表現型のこの変化は、特にマクロファージによる血管新生因子の過剰発現によって、及び/又は細胞外マトリックスからのこれらの因子の動員によって誘導される(Thomas D.A., Giles F.J., Cortes J., Albitar M. and Kantarjian H.M., Acta Haematol.,(2001), Vol.207, pp.106−190)。血管新生因子のうち、b−FGFは、多数のリンパ芽球性及び造血性腫瘍細胞株中に検出されている。FGF受容体は、これらの株の多くの上にも存在し、これらの細胞の増殖を誘導する、aーFGF及びb−FGFの自己分泌細胞効果の可能性を示唆する。さらに、傍分泌効果による骨髄の血管新生は、これらの病変の幾つかの進行と相関していることが報告されている。
【0078】
より具体的には、CLL(慢性リンパ性白血病)細胞において、b−FGFは、抗アポトーシスタンパク質(Bc12)の発現の増加を誘導し、これらの細胞の生存の増加をもたらし、従って、これらの癌化に顕著に関与していることが示されている。さらに、これらの細胞中で測定されるb−FGFのレベルは、疾病の臨床的な進行の段階及び本病変に適用される化学療法(フルダラビン)に対する耐性と極めてよく相関している。従って、本発明の化合物などの、FGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、単独で、又はフルダラビン若しくは本病変において活性な他の産物と組み合わせて、選択される治療法となり得る(Thomas D.A., Giles F.J., Cortes J., Albitar M. and Kantarjian H.M., Acta Haematol., (2001), Vol.207, pp.106−190 ; Gabrilove J.L., Oncologist, (2001),Vol.6,pp.4−7)。
【0079】
骨髄の血管新生過程とCML(慢性骨髄単球性白血病)における髄外疾病の間には相関が存在する。特にFGF受容体に対するアンタゴニスト活性を有する化合物による血管新生の阻害は、本病変において選択される治療法となり得ることを、様々な研究が示している。
【0080】
血管平滑筋細胞の増殖及び遊走は、動脈の内膜肥厚に寄与しており、従って、アテローム性動脈硬化症において、並びに血管形成術後の再狭窄及び動脈内膜切除術において主要な役割を果たしている。
【0081】
インビボ研究は、バルーン傷害による頸動脈の病変後における、a−FGF及びb−FGFの局所的な産生を示している。この同じモデルにおいて、抗FGF2中和抗体は、血管平滑筋細胞の増殖を阻害し、従って、内膜肥厚を軽減する。
【0082】
サポリンなどの分子に結合されたFGF2キメラタンパク質は、血管平滑筋細胞の増殖をインビトロにおいて阻害し、内膜肥厚をインビボにおいて阻害する(Epstein C.E., Siegall C.B., Biro S., Fu Y.M. and FitzGerald D., Circulation, (1991), Vol.87, pp.84−778 ; Waltenberger J., Circulation, (1997), pp.96−4083)。
【0083】
従って、本発明の化合物など、FGF受容体に対するアンタゴニストは、アテローム性動脈硬化症若しくは血管形成術後の再狭窄などの、又は血管内プロテーゼ(ステント)の装着後の、若しくは大動脈冠動脈バイパス中の血管平滑筋細胞の増殖に関連する病変の治療において、単独で、又はPDGFなど、これらの病変に関与する他の増殖因子に対するアンタゴニスト化合物と組み合わせて、選択される治療法となる。
【0084】
心肥大は、圧力又は容積に関する過剰負荷によって誘導される心室壁に対する圧力に応答して起こる。この過剰負荷は、高血圧、AC(大動脈狭窄)、心筋梗塞及び様々な血管疾患など、数多くの病態生理的症状の結果であり得る。本病変の帰結は、心筋細胞の肥大、マトリックスタンパク質の蓄積及び胎児遺伝子の再発現などの、形態的、分子的及び機能的変化である。b−FGFは、本病変に関与している。これは、新生児ラット心筋細胞の培養へのb−FGFの添加が、収縮性タンパク質に対応する遺伝子のプロファイルを修飾し、胎児型の遺伝子のプロファイルをもたらすからである。さらに、成体ラット筋細胞は、b−FGFの効果の下で、肥大性の応答を示し、この応答は、抗b−FGF中和抗体によって遮断される。b−FGFノックアウトトランスジェニックマウスに対してインビボで実施された実験は、b−FGFが、本病変における心筋細胞の肥大の主な刺激因子であることを示している(Schultz JeJ, Witt S.A., Nieman M.L., Reiser P.J., Engle S.J., Zhou M. et al, J. Clin. Invest,(1999), Vol. 19, pp.l04−709)。
【0085】
従って、本発明の化合物など、FGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、心不全及び心臓組織の変性を伴う他の全ての病変の治療において選択される治療法となる。本治療は、単独で、又は現行の治療(β遮断薬、抗利尿薬、アンギオテンシンアンタゴニスト、抗不整脈薬、カルシウムアンタゴニスト、抗血栓薬など)と組み合わせて実施することが可能である。
【0086】
糖尿病に起因する血管疾患は、血管の反応性及び血流の有害な変化、透過性亢進、悪化した増殖応答並びにマトリックスタンパク質の堆積の増加を特徴とする。より具体的には、a−FGF及びb−FGFは、糖尿病性網膜症を有する患者の網膜前膜中に、下層の毛細血管の膜中に、及び増殖性網膜症に罹患する患者の硝子体液中に存在する。a−FGF及びb−FGFの両方を結合することができる可溶性FGF受容体は、糖尿病に関連する血管疾患中で発達する(Tilton R.G., Dixon R.A.F., and Brock T.A., Exp. Opin. Invest. Drugs,(1997), Vol.84, pp.6−1671)。従って、式Iの化合物など、FGF受容体に対してアンタゴニスト活性を有する化合物は、単独で、又はVEGFなどのこれらの病変に関与する他の増殖因子に対するアンタゴニストである化合物と組み合わせて選択される治療法となる。
【0087】
関節リウマチ(RA)は、未知の病因を有する慢性疾患である。関節リウマチは多くの臓器に影響を与えるが、RAの最も重篤な形態は、関節の破壊に至る関節の進行性滑膜炎である。血管新生は、本病変の進行に著しく影響を与えるようである。従って、a−FGF及びb−FGFは、RAに冒された患者の滑膜組織中及び関節液中に検出されており、本増殖因子が本病変の開始及び/又は進行に関与していることを示している。ラットでのアジュバント誘発関節炎(AIA)モデルにおいて、b−FGFの過剰発現が本疾病の重篤度を増加させるのに対して、抗b−FGF中和抗体はRAの進行を遮断することが示されている(Yamashita A., Yonemitsu Y., Okano S., Nakagawa K., Nakashima Y., Irisa T. et al, J.Immunol, (2002), vol. 57, pp.168−450 ; Manabe N., Oda H., Nakamura K., Kuga Y., Uchida S., and Kawaguchi H., Rheumatol.,(1999), Vol. 20, pp.38−714)。従って、本発明の化合物は、本病変において選択される治療法となる。
【0088】
FGF1及び2など、血管新生促進活性を有する増殖因子のレベルが、骨関節炎に冒された患者の滑液中で大幅に増加したことも記載されている。病変のこの種類では、血管新生促進因子と血管新生抑制因子間のバランスの著しい変化が記録されており、新しい血管の形成と、その結果生じる、血管が新生されない構造(関節軟骨又は椎間板など)の血管新生をもたらす。従って、血管新生は、骨形成(骨棘)における重要な要因であり、従って、疾病の進行に寄与する。さらに、新しい血管の神経支配は、本病変に伴う慢性的な疼痛にも寄与し得る(Walsh D.A., Curr. Opin., Rheumatol., 2004 Sep;16(5).,:609−15)。従って、本発明の化合物は、本病変において選択される治療法となる。
【0089】
IBD(炎症性腸疾患)は、腸の慢性炎症性疾患の2つ形態、すなわちUC(潰瘍性大腸炎)及びクローン病(CD)を含む。IBDは、炎症性サイトカインの不適切な産生によって反映される免疫機能不全を特徴とし、局所的な微小血管系の確立をもたらす。炎症に起因するこの血管新生の帰結は、血管収縮によって誘導される腸の虚血である。b−FGFの高い循環レベル及び局所レベルが、これらの病変に冒された患者において測定されている(Kanazawa S., Tsunoda T., Onuma E., Majima T., Kagiyama M., and Kkuchi K., American Journal of Gastroenterology, (2001), Vol.28, pp.96−822 ; Thorn M., Raab Y., Larsson A., Gerdin B., and Hallgren R., Scandinavian Journal of Gastroenterology, (2000),Vol. 12, pp.35−408)。炎症性血管新生のモデルにおいて高い血管新生抑制活性を示す本発明の化合物は、これらの病変において選択される治療法となる。
【0090】
FGF−1、−2及び−3受容体は、軟骨形成(chronogenesis)及び骨形成過程に関与している。常に活性化されたFGFRの発現をもたらす変異は、ファイファー症候群、クロウゾン症候群、アペール症候群、ジャクソン−ワイス症候群及びベアール−スティーブンソン回転状皮膚症候群(Beare−Stevenson cutis gyrata syndrome)など、骨格の形成不全によって反映されるヒト遺伝病の多数に関連付けられている。より具体的にはFGF−3受容体に影響を与えるこれらの変異の幾つかは、特に、軟骨形成不全症(ACH)、軟骨低形成症(HCH)及びTD(骨異形成症状)をもたらし、ACHが、小人症の最も一般的な形態である。生化学的な見地からは、これらの受容体の持続的な活性化は、リガンドの不存在下において、受容体の二量体化によって起こる(Chen L., Adar R., Yang X., Monsonego E.O., Li C., Hauschka P.V., Yagon A. and Deng C.X., (1999), The Journ. of Clin. Invest., Vol. 104, No.11, pp.1517−1525)。従って、FGF受容体へのb−FGFの結合に対してアンタゴニスト活性を示し、従って、受容体の二量体化を阻害する本発明の化合物は、これらの病変において選択される治療法となる。
【0091】
さらに、脂肪組織は、成体において、増殖又は退行することが可能な稀な組織の一つであることが知られている。本組織は、高度に血管新生化されており、微小血管の極めて密なネットワークが各脂肪細胞を取り囲んでいる。これらの観察は、成体での脂肪組織の発達に対する血管新生抑制因子の効果の検査をもたらした。従って、ob/obマウスでの薬理学的モデルにおいて、血管新生の阻害は、マウスの体重の大幅な喪失によって反映されるように見受けられる(Rupnick M.A. et al., (2002), PNAS, Vol.99, No.16, pp.10730−10735)。従って、強力な血管新生抑制活性を有するFGF受容体に対するアンタゴニストである化合物は、肥満に関連する病変において選択される治療法となり得る。
【0092】
それらの毒性並びにそれらの薬理学的及び生物学的特性のために、本発明の化合物は、血管新生の高い程度を有する全ての癌腫(肺、乳房、前立腺、食道)又は転移を誘発する全ての癌腫(大腸、胃、悪性黒色腫)又は自己分泌様式でa−FGF若しくはb−FGFに対して感受性がある全ての癌腫又は、最後にリンパ腫及び白血病型の病変の治療に用途を有する。これらの化合物は、単独で、又は適切な化学療法と組み合わせて、選択される治療法となる。本発明の化合物は、アテローム性動脈硬化症又は血管形成術後の再狭窄などの心血管疾患、血管内プロテーゼの装着及び/若しくは大動脈冠動脈バイパス若しくは他の血管移植後に出現する合併症に関連する疾病、並びに心肥大、又は糖尿病網膜症などの、糖尿病の血管合併症の治療にも用途を有する。本発明の化合物は、関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の治療においても用途を有する。最後に、本発明の化合物は、軟骨形成不全症(ACH)、軟骨形成低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症状)の治療において、並びに肥満の治療においても使用することが可能である。
【0093】
本発明の産物は、黄斑変性、特に加齢性黄斑変性(又はAMD)の治療においても用途を有する。成体における視力の喪失の主な特徴は、新血管新生及びその結果生じる出血であり、これは、眼に大きな機能的疾患を引き起こし、早期の失明によって反映される。最近、眼の新血管新生の現象に関わる機序の研究により、これらの病変に血管新生促進因子が関与していることを示すことが可能となった。レーザーによって誘導される脈絡膜新血管新生モデルを使用することにより、本発明の産物も、脈絡膜の新血管新生を調節できることを確認することが可能となっている。
【0094】
さらに、本発明の産物は、特に、抗癌化学療法による血小板減少の治療又は予防に使用することが可能である。これは、本発明の産物が、化学療法中に、循環血小板のレベルを改善できることが示されたからである。
【0095】
従って、その別の態様によれば、本発明の主題は、式Iの化合物又は医薬として許容される酸若しくは塩基との式Iの化合物の付加塩又は式Iの化合物の水和物若しくは溶媒和物を含む医薬である。
【0096】
その別の態様によれば、本発明は、本発明の式Iの化合物を活性成分として含む医薬組成物に関する。これらの医薬組成物は、本発明に係る少なくとも1つの化合物又は前記化合物の、医薬として許容される塩、水和物若しくは溶媒和物の有効量と、及び医薬として許容される少なくとも1つの賦形剤とを含む。
【0097】
前記賦形剤は、医薬の形態及び所望される投与の方法(例えば、経口、舌下、皮下、筋肉内、静脈内、経皮、経粘膜、局所又は直腸経路)に従って、当業者に公知である通常の賦形剤から選択される。
【0098】
本発明の医薬組成物は、好ましくは、経口的に投与される。
【0099】
経口投与のための本発明の医薬組成物において、活性成分は、慣用の医薬担体との混合物として、単位投与形態で投与することが可能である。適切な単位投与形態は、例えば、場合によって刻み目が付けられた錠剤、ゼラチンカプセル、粉末、顆粒及び経口的に摂取されるべき溶液又は懸濁液を含む。
【0100】
例として、錠剤形態の本発明の化合物の単位投与形態は、以下の成分を含むことが可能である。
本発明の化合物 50.0mg
マニトール 223.75mg
クロスカルメロースナトリウム 6.0mg
コーンスターチ 15.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 2.25mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
【0101】
本発明は、医薬としての、上記医薬組成物にも関する。
【0102】
本発明の別の主題は、FGFの調節を必要とする疾病の治療において使用する医薬の調製における上記式Iの化合物の使用である。
【0103】
本発明の別の主題は、癌、特に、肺癌、乳癌、前立腺癌及び食道癌など、血管新生の高い程度を有する癌腫、大腸癌及び胃癌、悪性黒色腫など、転移を誘発する癌、神経膠腫、リンパ腫及び白血病の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0104】
本発明の式Iの化合物は、単独で、又は血管新生抑制活性を有する1つ若しくはそれ以上の化合物と、若しくは1つ若しくはそれ以上の細胞毒性化合物と組み合わせて(化学療法)、又は放射線を用いた療法と組み合わせて投与することが可能である。従って、本発明の別の主題は、1つ若しくはそれ以上の抗癌活性成分と、及び/又は放射線療法と組み合わせた、上記式Iの化合物の使用である。
【0105】
本発明の別の主題は、アテローム性動脈硬化症又は血管形成術後の再狭窄などの心血管疾患、血管内プロテーゼの装着及び/若しくは大動脈冠動脈バイパス若しくは心肥大の他の血管移植後に出現する合併症に関連する疾病又は糖尿病性網膜症などの、糖尿病の血管合併症の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0106】
本発明の別の主題は、関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0107】
本発明の別の主題は、骨関節炎、軟骨形成不全症(ACH)、軟骨形成低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症状)の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0108】
本発明の別の主題は、肥満の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0109】
本発明の別の主題は、加齢性黄斑変性(AMD)などの、黄斑変性の治療において使用する医薬の調製における、上記式Iの化合物の使用である。
【0110】
経口投与用の本発明の組成物は、0.01から700mgの推奨される用量を含む。より高い投薬量又はより低い投薬量が適切である具体的症例が存在し得る。このような投薬量は、本発明の範囲から逸脱するものではない。通常の慣行によれば、各患者に適した投薬量は、投与の方法、年齢、患者の体重及び応答並びに疾病の進行の程度に従って、医師によって決定される。
【0111】
その別の態様によれば、本発明は、上記病変の治療のための方法であり、本発明の化合物又は医薬として許容されるその塩若しくは水和物若しくは溶媒和物の1つの有効量を患者に投与することを含む前記方法にも関する。
【実施例】
【0112】
以下の実施例は、本発明に係る幾つか化合物の調製を記載している。これらの実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明を例示するためのものに過ぎない。
【0113】
材料及び中間体の調製が説明されていない場合には、材料及び中間体は、文献公知であるか、又は市販されている。式Iの化合物の調製において使用する幾つかの中間体は、以下に掲載されている実施例において明らかになるとおり、式Iの最終産物として使用することも可能である。同様に、本発明の式Iの化合物の幾つかは、本発明に係る式Iの他の化合物の調製において使用する中間体として使用することが可能である。
【0114】
以下の記載において、
−BOC:tert−ブチルオキシカルボニル。
−BOP:ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート。
−DMSO:ジメチルスルホキシド。
−NMRスペクトルは、Bruker Avance250MHz、300MHz及び400MHz装置上で測定した。
−融点は、BuchiタイプB−540装置上で測定した。
−M.S.:質量分析法、Agilent MSD1装置上で測定した。
【0115】
合成中間体の調製
調製I
tert−ブチルイミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキシラートの合成
N,N−ジメチルホルムアミドジ(tert−ブチル)アセタール3.37mL(14.06mmol)を、ジメチルホルムアミド5mL及びトルエン5mLの混合物中のイミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸570mg(3.52mmol)[Bioorg.Med.Chem.Lett.,(2002),12(3),465−470に記載されている。]に添加し、この混合物を、90℃で6時間加熱する。再度、N,N−ジメチルホルムアミドジ(tert−ブチル)アセタール3.37mL(14.06mmol)を、反応溶媒に添加し、この混合物を、90℃でさらに4時間加熱する。反応溶媒を水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させる。シリカのベッドを通したろ過によって、産物を精製し、ジクロロメタンとメタノールの混合物(98/2)を用いて溶出を行う。蒸発後、ベージュの粉末580mgが得られる。融点:77℃;H NMR(d−DMSO):1,59(9H,s);7,71(1H,d);7,36(1H,s);7,58(1H,d);8,56(1H,s);9,03(1H,s)。
【0116】
調製II
7−(ベンジルオキシ)イミダゾ[1,5−a]ピリジンの合成
段階A:
4−(ベンジルオキシ)−2−(クロロメチル)ピリジン
ジクロロメタン46mL中の[4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メタノール2g(9.29mmol)[J.Org.Chemo.,(1996),61(8)、2624に記載されている。]に、塩化チオニル1.76mL(24.16mmol)を添加する。反応溶媒を、周囲温度で18時間撹拌し、次いで、減圧下で濃縮する。飽和炭酸ナトリウム水溶液中に、得られた残留物を採取し、次いで、ジクロロメタンで抽出する。硫酸ナトリウム上で有機相を乾燥させ、次いで、減圧下で濃縮する。茶色の油2.1gを集める。質量分析(ES+モード):MH+=234
段階B
1−[4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メタンアミン
ジクロロメタン60mL中の4−(ベンジルオキシ)−2−(クロロメチル)ピリジン(段階Aに記載されている。)2.1(8.99mmol)gに、ヘキサメチレンテトラミン1.5g(10.78mmol)を添加し、次いで、ヨウ化ナトリウム1.3gを添加する。反応溶媒を、還流しながら12時間加熱し、次いで、減圧下で濃縮する。メタノール45mL中に、得られた残留物を採取する。12Nの塩酸溶液7.5mL(89.90mmol)を添加する。反応溶媒を、還流して16時間加熱する。エチルエーテルの添加後、得られた沈殿をろ別し、次いで、飽和炭酸ナトリウム水溶液中に採取する。酢酸エチルを用いて水相を抽出し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで、減圧下で濃縮する。ベージュの油1.1gを集める。質量分析(ES+モード):MH+=215
段階C:
ギ酸16mL中の1−[4−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メタンアミン[段階Bに記載されている。]0.7g(3.27mmol)を、還流しながら5時間加熱する。反応溶媒を減圧下で濃縮する。1,2−ジクロロエタン7mL中に、得られた残留物を採取する。1,2−ジクロロエタン7mL中に溶解された塩化ホスホリル0.6mL(6.54mmol)を添加する。還流しながら4時間加熱した後、反応溶媒を減圧下で濃縮し、次いで、残留物をジクロロメタン中に採取する。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液で有機相を洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮させる。茶色の油0.97gを集める。
質量分析(ES+モード):NH+=225;H NMR(d−DMSO):5.092(2H,s);6.44−6.47(1H,m);7.07(1H,m);7.08(1H,s);7.37−7.49(5H,m);8.17(1H,s);8.23−8.27(1H,m)
【0117】
調製III
8−(ベンジルオキシ)イミダゾ[1,5−a]ピリジンの合成
本化合物は、ギ酸を用いたホルミル化及び塩化ホスホリルとの反応によるその後の環化により、1−[3−(ベンジルオキシ)ピリジン−2−イル]メタンアミン[Inorg.Chem.,(2003),42(14),4401]2.8g(13.25mmol)から、調製II(段階C)と同じ手順に従って調製される。茶色の油1.74gを集める。
【0118】
質量分析(ES+モード):MH+=225;H NMR(d−DMSO):5.26(2H,s);6.21−6.28(1H,m);6.55−6.60(1H,m);7.28−7.52(6H,m);7.96−7.99(1H,m);8.35(1H,s)。
【0119】
実施例
(実施例1)
(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン
3−メトキシ−4−ニトロベンゾイルクロリド11.5g(0.053mol)及びトリエチルアミン7.8ml(0.056mol)を、1,2−ジクロロエタン100mL中に溶解されたイミダゾ[1,5−a]ピリジン3g(0.025mol)[J.Chem.Soc.,(1955),2834−2836中に記載されている。]に添加する。この混合物を、周囲温度で2時間攪拌する。反応溶媒を減圧下で濃縮し、次いで、ジクロロメタン及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液中に残留物を採取する。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をジクロロメタン中に採取し、シリカゲルのベッドを通してろ過することにより精製する。蒸発後、黄色の固体7.1gを収集する。融点:183℃。H NMR(d−DMSO):4.01(3H,s),7.35−7.40(1H,m),7.47−7.54(1H,m),7.97(1H,s),8.06−8.11(3H,m),8.l5(1H,s),9.77(1H,d)。
【0120】
(実施例2から4)
実施例1に記載の手順に従って調製を実施することにより、適切に置換されたイミダゾ[1,5−a]ピリジン(国際特許出願WO04/046133及びWO03/070732中に記載されている。)の3−メトキシ−4−ニトロベンゾイルクロリドとのアシル化により、下記の表I中に記載されている式Iaの化合物を合成する。
【0121】
【表1】

【0122】
下記の表I’には、表Iの実施例2から8に対するNMRデータが示されている。
【0123】
【表2】

【0124】
(実施例9)
メチル5−[(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)カルボニル]−2−ニトロベンゾアート
メチル5−(クロロカルボニル)−2−ニトロベンゾアート5.6g(0.023mol)及びトリエチルアミン3.4ml(0.024mol)を、1,2−ジクロロエタン100ml中に溶解されたイミダゾ[1,5−a]ピリジン1.3g(0.011mol)[J.Chem.Soc.,(1955),2834−2836中に記載されている。]に添加する。この混合物を、周囲温度で4時間攪拌する。反応溶媒を減圧下で濃縮し、次いで、残留物をジクロロメタン及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液中に採取する。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって生成物を精製し、溶出はジクロロメタンで実施する。蒸発後、黄色の固体3.1gを収集する。融点:151℃。H NMR(d−DMSO):3.92(2H,s),7.39−7.42(1H,m),7.50−7.54(1H,m),8.00(1H,s),8.10(1H,d),8.25(1H,d),8.69(1H,d),8.76(1H,s),9.78(1H,d)。
【0125】
(実施例10)
tert−ブチル3−[3−(メトキシカルボニル)−4−ニトロベンゾイル]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキシラート
トリエチルアミンの存在下において、tert−ブチルイミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキシラートの、メチル5−(クロロカルボニル)−2−ニトロベンゾアートでのベンゾイル化により、実施例9に記載されているものと同じ方法に従って、この化合物を取得する。黄色の固体を得る。融点:170℃。H NMR(d−DMSO):1.63(9H,s),3.89(3H,s),7.76(1H,d),8.05(1H,s),8.12(1H,d),8.26(1H,d),8.70(1H,d),8.77(1H,s),10.25(1H,s)。
【0126】
(実施例11)
3−[3−(メトキシカルボニル)−4−ニトロベンゾイル]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸
トリフルオロ酢酸2.13ml(28.68mmol)を、ジクロロメタン2ml中のtert−ブチル3−[3−(メトキシカルボニル)−4−ニトロベンゾイル]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキシラート610mg(1.43mmol)へ添加し、この混合物を、周囲温度で5時間攪拌する。反応溶媒を減圧下で濃縮し、次いで、取得した残留物をアセトン中に採取する。形成した沈殿物をろ別し、アセトンで洗浄して、乾燥させる。黄色の粉末450mgを取得する。融点:290℃。H NMR(d−DMSO):3.90(3H,s),7.78(1H,d),8.04(1H,s),8.12(1H,d),8.26(1H,d),8.68(1H,d),8.75(1H,s),10.26(1H,s)。
【0127】
(実施例12)
メチル5−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル}カルボニル)−2−ニトロベンゾアート
トリエチルアミン0.55ml(3.96mmol)及びtert−ブタノール1.07ml、続いてジフェニルホスホリルアジド0.31ml(1.40mmol)を、トルエン20ml中の3−[3−(メトキシカルボニル)−4−ニトロベンゾイル]−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸430mg(1.16mmol)へ添加する。反応溶媒を、110℃で3時間加熱し、次いで、周囲温度まで冷却する。水及び飽和重炭酸ナトリウム水溶液を添加し、次いで、酢酸エチルで抽出を行う。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄した後、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、生成物を精製し、溶出は、ジクロロメタン及びメタノール(98/2)の混合物を用いて行う。オレンジ色の固体480mgを得る。融点:182℃。H NMR(d−DMSO):1.55(9H,s),3.92(3H,s),7.45(1H,d),7.90(1H,s),7.99(1H,d),8.24(1H,d),8.67(1H,d),8.76(1H,s),9.89(1H,s)。
【0128】
(実施例13)
[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル](3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン
tert−ブタノールの存在下において、ジフェニルホスホリルアジドを用いた3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸から開始するCurtius転位により、上記の実施例12に記載のものと同様の方法に従い、この化合物を取得する。黄色の固体を得る。融点:200℃。H NMR(d−DMSO):1.54(9H,s),4.02(3H,s),7.42(1H,d),7.87(1H,s),8.11−7.87(3H,m),8.15(1H,s),9.87(1H,s)。
【0129】
(実施例14)
メチル5−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)(メチル)アミノ]−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル}カルボニル)−2−ニトロベンゾアート
ジメチルホルムアミド10ml中の5−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)アミノ]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル}カルボニル)−2−ニトロベンゾアート540mg(1.23mmol)を、ジメチルホルムアミド2ml中の水素化ナトリウム(油中の60%分散液)53.9mg(1.35mmol)に添加し、混合物を周囲温度で30分間攪拌して、次いで、ヨウ化メチル84μl(1.35mmol)を添加し、混合物を周囲温度で一晩攪拌し続ける。硫酸水素カリウム水溶液で、混合物をpH=4に酸性化し、酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカのベッドを通してろ過することにより、生成物を精製し、溶出はジクロロメタン行う。オレンジ色の粉末475mgを得る。融点:55℃。H NMR(d−DMSO):1.46(9H,s),3.33(3H,s),3.92(3H,s),7.57(1H,d),7.98(1H,s),8.06(1H,d),8.25(1H,d),8.68(1H,d),8.76(1H,s),9.77(1H,s)。
【0130】
(実施例15)
メチル5−{[6−(メチルアミノ)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}−2−ニトロベンゾアート
トリフルオロ酢酸1.3mlを、ジクロロメタン5ml中のメチル5−({6−[(tert−ブトキシカルボニル)−(メチル)アミノ]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル}カルボニル)−2−ニトロベンゾアート460mg(1.01mmol)に添加し、この混合物を、周囲温度で一晩攪拌する。反応溶媒を減圧下で濃縮する。残留物を水中に採取し、飽和重炭酸ナトリウム水溶液で塩基性化して、次いで、ジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。赤い粉末350mgを得る。融点:183℃。H NMR(d−DMSO):2.79(3H,d),3.90(3H,s),7.11(1H,d),7.77(1H,s),7.82(1H,d),8.31(1H,d),8.66(1H,d),8.75(1H,s),9.01(1H,s)。
【0131】
(実施例16)
(6−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン
トリフルオロ酢酸を用いた化合物[6−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル](3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノンのアミンの脱保護により、上記の実施例15に記載のものと同様の方法に従って、この化合物を得る。黄色の固体を取得し、塩酸塩形態で塩化する。融点:252℃。H NMR(d−DMSO):4.01(3H,s),7.14(1H,d),7.79(1H,s),7.87(1H,d),7.97−8.01(2H,m),8.13(1H,s),9.41(1H,s)。
【0132】
((実施例17)
N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]メタンスルホンアミド
塩化メシル0.107ml(1.38mmol)を、5℃に冷却したピリジン10ml中の(6−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン塩酸塩0.40g(1.15mmol)に添加し、混合物を周囲温度に戻して、18時間攪拌する。溶媒を1N塩酸130ml中に採取し、酢酸エチルで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。残留物をイソプロピルエーテル中に採取し、ろ別して、イソプロピルエーテルで洗浄し、続いて乾燥させる。黄色の固体411mgを取得する。融点:249℃。H NMR(d−DMSO):3.14(3H,s),4.02(3H,s),7.39(1H,d),7.94(1H,s),8.02−8.11(3H,m),8.13(1H,s),9.88(1H,s)。
【0133】
(実施例18)
N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−イル]アセトアミド
トリエチルアミン1.29ml(0.29mmol)、次いで塩化アセチル0.51ml(7.15mmol)を、5℃に冷却した1,2−ジクロロエタン25mL中の(6−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン塩酸塩0.50g(1.43mmol)に添加し、次いで混合物を周囲温度に戻して、18時間攪拌する。溶媒を水中に採取し、重炭酸ナトリウム溶液で塩基性化し、ジクロロメタンで抽出する。有機相を飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、続いて硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、生成物を精製し、溶出はジクロロメタン及びアセトン(90/10)の混合物で行う。黄色の固体316mgを得る。融点257℃。H NMR(d−DMSO):2.15(3H,s),4.01(3H,s),7.45(1H,d),7.92(1H,s),8.00−8.06(3H,m),8.13(1H,s),10.62(1H,s)。
【0134】
(実施例19)
メチル2−(ベンゾイルアミノ)−5−[(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)カルボニル]ベンゾアート
トリエチルアミン5.2ml(0.037mol)を、次いで、0℃で窒素雰囲気下で、4−オキソ−2−フェニル−4H−3,1−ベンゾオキサジン−6−カルボニルクロリド10g(0.035mol)を、アセトニトリル100ml中のイミダゾ[1,5−a]ピリジン[J.Chem.Soc.,(1955),2834−2836中に記載されている。]1.97g(0.017mol)に添加する。周囲温度で22時間攪拌した後、反応溶媒をろ過する。取得した残留物を酢酸エチル、水及びアセトンで洗浄し、次いで乾燥させる。N,N−ジメチルピリジン−4−アミン0.32g(2.65mmol)を、メタノール50ml及びN,N−ジメチルホルムアミド50ml中の上記で取得した黄色の固体9.75g(0.026mol)へ添加する。還流下での22時間の加熱後、反応溶媒をろ過する。残留物を水で洗浄し、次いで乾燥させる。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、生成物を精製し、溶出はジクロロメタン及びメタノール(99.1/0.1)の混合物で行う。黄色の固体3.67gを得る。融点:218℃。H NMR(CDCl):4.05(2H,s),7.08−7.09(1H,m),7.27−7.29(1H,m),7.57−7.60(3H,m),7.76−7.81(2H,m),8.12(2H,d),8.78(1H,d),9.15(1H,d),9.28(1H,s),9.88(1H,d)。
【0135】
(実施例20)
(1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン
酢酸ナトリウム3.51g(0.043mol)を、クロロホルム170ml中の実施例1で得た(イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン9.8g(0.033mol)に添加し、続いて、クロロホルム15ml中の臭素溶液1.85ml(0.036mol)を滴下し、溶媒は周囲温度に維持される。導入が完了したら、同温度で更に1時間、混合物を攪拌する。飽和重炭酸ナトリウム水溶液上に反応溶媒を注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。静置により有機相を分離し、塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。トルエン/ジクロロメタンの混合物中に残留物を採取し、次いで、シリカゲルのベッドを通したろ過により精製し、溶出はトルエンで行う。蒸発後、黄色の固体7.71gを収集する。融点:189℃。H NMR(CDCl):4.10(3H,s),7.23−7.29(1H,m),7.41−7.46(1H,m),7.78(1H,d),7.96(1H,d),8.14−8.20(2H,m),9.90(1H,d)。
【0136】
(実施例21から24)
実施例20に記載されている調製のような作業を実施することによって、臭素及び酢酸ナトリウムの存在下において、式I(R=H)の化合物の臭素化により、下記の表IIに記載されている式Iiの化合物を合成する。
【0137】
【表3】

【0138】
下記の表II’には、表IIの実施例21から24に対するNMRデータが示されている。
【0139】
【表4】

【0140】
(実施例25)
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ−[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン
4−メトキシフェニルボロン酸0.447g(0.003mol)、KPO・HO2.24g(0.009mol)、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)0.131g(0.011mol)を、アルゴン雰囲気下において、ジオキサン30ml中の実施例20で取得した(1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン0.850g(0.023mol)に添加する。還流しながら、混合物を1時間加熱する。反応溶媒を水の上に注ぎ、酢酸エチルで抽出する。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。ジクロロメタン/シクロヘキサン(2/1)の混合物、次いで、シリカゲルを通したろ過により、生成物を精製し、溶出はジクロロメタンで行う。蒸発後、オレンジ色の固体0.850gを収集する。融点:185℃。H NMR(d−DMSO):3.85(3H,s),4.06(3H,s),7.12(2H,d),7.41−7.44(1H,m),7.54−7.58(1H,m),7.95(2H,d),8.08−8.10(2H,m),8.34(1H,d),8.36(1H,s),9.81(1H,d)。
【0141】
(実施例26から58)
実施例25に記載の調製に従って作業を実施することによって、一般式Iiの臭素化された化合物の、フェニルボロン又はヘテロアリールボロンとのSuzuki型カップリングにより、下記の表III中に記載されている式Isの化合物を合成し、実験条件(触媒、リガンド、塩基)は取得されるべき化合物によって異なる。
【0142】
【表5】


対応するボロン酸の代わりに、ピナコールボロナート誘導体を使用する。
BOC=tert−ブトキシカルボニル
【0143】
下記の表III’には、表III中の実施例26から58に対するNMRデータが示されている。
【0144】
【表6】




【0145】
(実施例59)
3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキサミド
トリエチルアミン0.16ml(1.12mmol)、次いでBOP0.49g(1.12mmol)を、N,N−ジメチルホルムアミド10ml中の実施例182で取得された3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸0.346g(1.01mmol)に添加する。反応溶媒を周囲温度で30分間攪拌し、次いで、テトラヒドロフラン中の1Nアンモニア溶液1.35mlを添加し、混合物を周囲温度で18時間攪拌する。形成した沈殿物をろ別し、次いで水で洗浄する。黄色の固体0.25gを収集する。融点:289℃。H NMR(d−DMSO):4.02(3H,s),7.82(1H,d),7.98(1H,s),8.06−8.10(3H,m),8.15(1H,s),10.21(1H,s)。
【0146】
(実施例60から69)
実施例59に記載の調製に従って作業を行うことによって、カップリング試薬としてのBOPの存在下において、実施例182で得られた3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸又は実施例184で得られた3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−7−カルボン酸の、アミン又はアミノ酸エステルとのペプチドカップリングにより、下記の表IVに記載されている一般式Iuの化合物を合成する。
【0147】
【表7】

【0148】
下記の表IV’には、表IVの実施例60から69に対するNMRデータが示されている。
【0149】
【表8】

【0150】
(実施例70)
3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−N,N−ジメチルイミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−カルボキサミド
塩化チオニル0.17ml(2.36mmol)を、次いでN,N−ジメチルホルムアミド30μlを、ジクロロメタン10ml中の実施例183で得られた3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−8−カルボン酸0.318g(0.88mmol)に添加する。この混合物を、還流しながら2時間加熱する。反応溶媒を減圧下で濃縮する。得られた残留物を、テトラヒドロフラン中のジメチルアミンの2N溶液5mlに添加する。周囲温度で18時間攪拌した後、反応溶媒を減圧下で濃縮する。残留物をジクロロメタン中に採取する。有機相を1N塩酸水溶液で洗浄し、次いで飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のクロマトグラフィーによって、残留物を精製し、溶出は、ジクロロメタン、次いでジクロロメタン/メタノール(99/1)の混合物で行う。黄色の固体0.19gを収集する。融点:176℃:H NMR(d−DMSO):4.02(3H,s),7.39(1H,t),7.53(1H,d),7.83(1H,s),8.0−8.12(3H,m),9.75(1H,d)。
【0151】
(実施例71から74)
実施例70に記載の調製に従って作業を行うことによって、式Itの化合物の酸官能基を、対応するアミンとカップリングすることにより、下記の表Vに記載されている一般式Iuの化合物を合成する。
【0152】
【表9】

【0153】
下記の表V’には、表Vの実施例71から74に対するNMRデータが示されている。
【0154】
【表10】

【0155】
(実施例75)
3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボニトリル
N,N−ジメチルホルムアミド160ml中の実施例20で得られた(1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン6.94g(18.45mmol)に、シアン化亜鉛2.17g(18.48mmol)、次いでテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)1.07g(0.93mmol)を、窒素雰囲気下において添加する。90℃で17時間、反応溶媒を加熱する。取得した沈殿物をろ別し、水で洗浄して、次いで飽和重炭酸ナトリウム水溶液及び水で洗浄する。乾燥させた後、黄色の固体5.9gを収集する。融点:219℃。H NMR(d−DMSO):4.01(3H,s),7.53−7.55(1H,m),7.76−7.81(1H,m),7.95−8.01(2H,m),8.08(1H,d),8.19(1H,d),9.70(1H,d)。
【0156】
(実施例76)
(1−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン
N,N−ジメチルホルムアミド66ml中の実施例20で得られた(1−ブロモイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン5g(13.29mmol)に、炭酸セシウム8.67g(26.61mmol)、次いでベンゾフェノンイミン4.5ml(26.82mmol)を、窒素雰囲気下において添加する。30分間の攪拌後、2,2’−ビス(ジフェニルホスフィノ)−1,1’−ビナフタレン1.66g(2.67mmol)、次いでトリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)1.22g(1.33mmol)を添加する。反応溶媒を3時間加熱し、次いで減圧下で濃縮する。ジクロロメタン及び水の混合物中に残留物を採取する。静置により有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。テトラヒドロフラン250ml中に残留物を採取し、2N塩酸水溶液135mlを添加する。周囲温度で1時間攪拌した後、反応溶媒を減圧下で濃縮する。得られた固体残留物をアセトン中に採取し、ろ別して、アセトン、次いでエチルエーテルで洗浄し、乾燥させる。茶色の固体3.43gを収集する。融点:214℃。H NMR(d−DMSO):4.02(3H,s),7.29−7.36(2H,m),7.96−8.04(2H,m),8.11(1H,d),8.16(1H,s),9.78(1H,d)。
【0157】
(実施例77)
3−メトキシ−N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]ベンズアミド
アセトニトリル20ml中の3−メトキシ安息香酸0.8g(2.29mmol)に、トリエチルアミン0.78ml(5.05mmol)、次いでBOP1.17g(2.65mmol)を、窒素雰囲気下において添加する。周囲温度で30分間攪拌した後、実施例76で取得した(1−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン0.8g(2.29mmol)を添加し、次いで混合物を80℃で20時間加熱する。水及び酢酸エチルの混合物中に反応溶媒を採取する。静置により有機相を分離し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。ジクロロメタン/アセトン(99/1)の混合物で溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、残留物を精製する。オレンジ色の固体0.618gを収集する。融点:167℃。H NMR(d−DMSO):3.87(3H,s),4.02(3H,s),7.21(1H,d),7.41−7.49(3H,m),7.63−7.66(2H,m),7.95−8.10(3H,m),8.11(1H,s),9.80(1H,d)。
【0158】
(実施例78)
N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]アセトアミド
1,2−ジクロロエタン中の、実施例76で得られた(1−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン0.8g(2.56mmol)に、トリエチルアミン0.54ml(3.84mmol)、次いで塩化アセチル0.21ml(2.95mmol)を、窒素雰囲気下において添加する。反応溶媒を周囲温度で16時間攪拌し、次いでジクロロメタン及び水の混合物中に採取する。静置により有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、残留物を精製し、溶出は、ジクロロメタン/アセトン(94/6)の混合物で行う。オレンジ色の固体0.523gを収集する。融点:256℃。H NMR(d−DMSO):2.14(3H,s),4.02(3H,s),7.34−7.44(2H,m),7.94−8.08(3H,m),8.09(1H,s),9.75(1H,d)。
【0159】
(実施例79)
(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(メチルアミノ)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン
段階A
2,2,2−トリフルオロ−N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]アセトアミド
トリエチルアミンの存在下において、(1−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン塩酸塩1.2g(3.44mmol)の、1,2−ジクロロエタン中のトリフルオロ酢酸無水物を用いたアシル化により、実施例78に記載されているものと同様の方法に従って、この化合物を調製する。黄色の固体1.08gを取得する。融点:228℃。H NMR(d−DMSO):4.03(3H,s),7.43−7.47(1H,m),7.51−7.55(1H,m),7.93−7.99(2H,m),8.04−8.11(2H,m),9.76(1H,d)。
【0160】
段階B
水素化ナトリウム(油中の60%分散液)0.121g(3.03mmol)を、0℃にて、ジメチルホルムアミド35ml中の2,2,2−トリフルオロ−N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]アセトアミド1.03g(2.52mmol)の溶液に添加する。反応溶媒を周囲温度で1時間攪拌し、次いでヨウ化メチル0.189ml(3.03mmol)を添加する。投入が完了した時点で、混合物を周囲温度に戻し、20時間攪拌する。メタノール20ml、次いで炭酸カリウム0.523g(3.78mmol)を添加し、混合物を周囲温度で2時間攪拌する。反応溶媒を水の上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。静置により有機相を分離し、水で洗浄して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。赤い固体0.86gを取得し、固体を塩酸塩形態で塩化する。赤い固体625mgを得る。融点:208℃。H NMR(d−DMSO):3.00(3H,s),4.04(3H,s),7.33−7.36(2H,m),7.99−8.09(3H,m),8.59(1H,s),9.89(1H,d)。
【0161】
(実施例80)
N−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]メタンスルホンアミド
ピリジン14ml中の、実施例76で得られた(1−アミノイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)メタノン塩酸塩0.473g(1.36mmol)に、塩化メシル116μl(1.49mmol)を、5℃の温度で、素雰囲気下において添加する。投入が完了した時点で、混合物を周囲温度に戻し、30分間攪拌する。2N塩酸95ml中に反応溶媒を注ぎ、酢酸エチルで抽出する。有機相を水で洗浄し、沈殿により分離して、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた固体残留物をイソプロピルエーテル中に採取し、ろ別して、イソプロピルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。オレンジ色の固体0.40gを収集する。融点:231℃。H NMR(d−DMSO):3.24(3H,s),4.02(3H,s),7.40−7.44(1H,m),7.49−7.53(1H,m),7.88−7.92(1H,d),8.00−8.07(2H,m),8.26(1H,s),9.75(1H,d)。
【0162】
(実施例81)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン
ジオキサン30ml及びエタノール10ml中の、実施例25で得られた(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン0.835g(2.07mmol)に、10%Pd/C0.167g、次いでシクロヘキサン2.1ml(21mmol)を添加し、混合物を7時間加熱還流する。反応溶媒を冷却し、タルクを通してろ過する。減圧下でろ液を濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、生成物を精製し、溶出はトルエン/酢酸エチル(97/3)の混合物で行う。黄色の固体0.760gを得る。アセトン中の、上記で得られた粉末を溶解し、次いでエチルエーテル中の1N塩酸3.8ml(2.6当量)を添加することにより、生成物を塩化する。エチルエーテルの添加後、得られた沈殿物をろ別し、エチルエーテルで洗浄して、次いで乾燥させる。黄色の固体0.553gを塩酸塩形態で収集する。融点:232℃。H NMR(d−DMSO):3.85(3H,s),3.94(3H,s),6.95(1H,d),7.10−7.26(3H,m),7.36−7.40(1H,m),7.96(2H,d),7.98−8.25(3H,m),9.76(1H,d)。
【0163】
(実施例82から95)
実施例81に記載されている調製に従って作業を行うことによって、触媒としての10%Pd/Cの存在下で、式Iaの化合物のニトロ官能基の、シクロヘキセンによる還元により、下表VI中に記載されている一般式Idの化合物を合成する。
【0164】
【表11】

【0165】
下記の表VI’には、表VIの実施例82から95に対するNMRデータが示されている。
【0166】
【表12】


【0167】
(実施例96)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(1H−ピロール−2−イル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン
水13ml及びエタノール7mlの混合物中の溶液状態である、実施例38で得られた2−[3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル]ピロール−1−カルボン酸tert−ブチル0.480g(0.001mol)に、酢酸1.78ml及び鉄0.209gを添加する。反応溶媒を70℃で7時間加熱し、次いで周囲温度に戻して、1N水酸化ナトリウム水溶液上に注ぎ、ジクロロメタンで抽出する。静置により有機相を分離し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、続いて減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、生成物を精製し、溶出はトルエン、次いでトルエン/酢酸エチル(90/10)の混合物で行う。茶色の油状物200mgを取得し、油状物を塩酸塩形態で塩化する。赤い固体60mgを得る。融点:136℃。H NMR(d−DMSO):3.91(3H,s),6.21(1H,m),6.68(1H,m),6.81(1H,d),6.90(1H,m),7.17−7.33(2H,m),7.98(1H,s),8.15(1H,d),8.38(1H,d),9.73(1H,d)。
【0168】
(実施例97から119)
実施例96に記載されている調製に従って作業を行うことによって、式Iaの化合物のニトロ官能基の、鉄及び酢酸での還元により、下表VII中の一般式Idの化合物を合成する。
【0169】
【表13】

【0170】
下記の表VII’には、表VII中の実施例97から119に対するNMRデータが示されている。
【0171】
【表14】



【0172】
(実施例120)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)[1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ−[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン
メタノール10ml中の、実施例34で得られた(3−メトキシ−4−ニトロフェニル)[1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]メタノン0.441g(1mmol)に、10%Pd/C0.117g、次いでヒドラジン水和物0.27ml(5.47mmol)を添加する。混合物を、70℃で3時間加熱する。タルクを通して反応溶媒をろ過し、触媒をメタノールで洗浄する。ろ液を減圧下で濃縮する。残留物をジクロロメタン中に採取し、飽和塩化ナトリウム水溶液で洗浄し、次いで硫酸ナトリウム上で乾燥させる。減圧下での濃縮後、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、残留物を精製し、溶出はジクロロメタンで行う。黄色の泡状物0.354gを収集する。エチルエーテル中の1N塩酸を添加することにより、生成物を塩化する。エチルエーテルを添加した後、沈殿物をろ別し、エチルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。黄色の固体を塩酸塩形態で収集する。融点:210℃。H NMR(d−DMSO):3.86(3H,s),3.92(3H,s),6.88(1H,d),6.99(1H,d),7.22(1H,t),7.40−7.60(5H,m),8.14−8.27(3H,m),9.75(1H,d)。
【0173】
(実施例121から148)
実施例120に記載の調製に従って作業を行うことによって、触媒としての10%Pd/Cの存在下で、式Iaの化合物のニトロ官能基の、ヒドラジン水和物での還元により、下表VIII中の一般式Idの化合物を合成する。
【0174】
【表15】

水素化中に鹸化されたRにおけるメチルエステル
【0175】
下記の表VIII’には、表VIII中の実施例121から148に対するNMRデータが示されている。
【0176】
【表16】



【0177】
(実施例149)
3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボキサミド
エタノール50ml中の実施例85で得られた3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボニトリル0.5g(1.7mmol)に、6N水酸化ナトリウム水溶液4.4ml(26.4mmol)を、窒素雰囲気下において添加する。還流しながら2時間加熱した後、反応溶媒を減圧下で濃縮する。得られた残留物を、水、アセトン、エチルエーテルで洗浄し、次いで乾燥させる。黄色の固体0.447gを得る。エチルエーテル中の1N塩酸溶液を添加することにより、生成物を塩化する。黄色の固体0.310gを得る。融点:241℃。H NMR(d−DMSO):3.89(3H,s),6.74(1H,d),7.24−7.27(1H,m),7.45−7.49(1H,m),7.88(1H,s),8.33(1H,d),8.42(1H,d),9.65(1H,d)。
【0178】
(実施例150)
メチル3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボキシラート
実施例85で得られた3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボニトリル0.61g(2.09mmol)を、5℃の温度において、塩酸で飽和したメタノール溶液20mlに添加し、次いで、この混合物を周囲温度に戻して、17時間攪拌する。反応溶媒を減圧下で濃縮する。1N塩酸水溶液14ml中に、残留物を採取し、次いで70℃で5時間加熱する。反応溶媒を重炭酸ナトリウムで塩基性化し、酢酸エチル及びテトラヒドロフランの混合物で抽出する。有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。得られた残留物をジクロロメタン中に採取し、続いてシリカゲルベッドを通してろ過し、溶出はジクロロメタン/エタノール(99.8/0.2)の混合物で行う。黄色の泡状物0.3gを収集する。融点:63℃。H NMR(d−DMSO):3.87(3H,s),3.92(3H,s),6.73(1H,d),7.27−7.32(1H,m),7.57−7.62(1H,m),7.91(1H,s),8.14(1H,d),8.30(1H,d),9.62(1H,d)。
【0179】
(実施例151)
2−アミノ−5−{[1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸
ジオキサン30ml中の溶液状態にある、実施例130で得られたメチル2−アミノ−5−{[1−(3−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}ベンゾアート0.650g(1.62mmol)に、2N水酸化ナトリウム水溶液4.05ml(8.1mmol)を添加する。反応溶媒を60℃で2時間加熱し、次いで周囲温度に戻す。混合物を減圧下で濃縮する。ジクロロメタン中に残留物を採取する。有機相を1N塩酸水溶液で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、次いで減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、残留物を精製し、溶出はジクロロメタン/メタノール(99/1)の混合物で行う。得られたオレンジ色の固体167mgを、ナトリウム塩0.98HO形態で塩化する。融点:257℃。H NMR(d−DMSO):3.89(3H,s),6.64(1H,d),6.95(1H,d),7.14−7.40(3H,m),7.44−7.60(2H,m),8.22(1H,d),8.32(1H,d),9.12(1H,s),9.69(1H,d)。
【0180】
(実施例152から161)
実施例151に記載されている調製に従って作業を行うことによって、式Ibの化合物のR又はRの置換基上に存在するエステル官能基の鹸化により、下表IX中に記載されている一般式Ieの化合物を合成する。
【0181】
【表17】

【0182】
下記の表IX’には、表IXの実施例152から161に対するNMRデータが示されている。
【0183】
【表18】

【0184】
(実施例162)
2−アミノ−5−{[1−(4−メトキシフェニル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸
ジオキサン25ml中の溶液状態にある、実施例155で得られた2−ベンゾイルアミノ−5−{[1−(4−メトキシフェニル)−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル]カルボニル}安息香酸0.259g(0.5mmol)に、水酸化ナトリウムのペレット1.2gを添加する。この混合物を、還流しながら48時間加熱する。反応溶媒を周囲温度に戻す。ジオキサン中に溶媒を採取し、次いで硫酸水素カリウムで酸性化する。形成した沈殿物をろ別し、次いで水ですすいで、乾燥させる。黄色の固体0.162gを収集し、固体をナトリウム塩1.15HO形態で塩化する。融点:296℃。H NMR(d−DMSO):3.85(3H,s),6.63(1H,d),7.09−7.17(3H,m),7.28−7.35(1H,m),7.96(2H,d),8.17(1H,d),8.34(1H,d),9.04(1H,s),9.69(1H,d)。
【0185】
(実施例163)
3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボン酸
ジオキサン及びメタノール(1/1)の混合物12ml中の、実施例150で得られた3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−カルボン酸メチル0.272g(0.84mmol)に、1N水酸化ナトリウム水溶液1.67ml(1.67mmol)を添加する。2時間の加熱還流後、反応溶媒を減圧下で濃縮する。残留物を水中に採取し、次いで硫酸水素カリウム0.239g(1.7mmol)で酸性化する。形成した沈殿物をろ別し、水及びエチルエーテルで洗浄して、乾燥させる。オレンジ色の固体0.22gを収集し、固体をナトリウム塩2.55HO形態で塩化する。融点:226℃。H NMR(d−DMSO):3.86(3H,s),6.71(1H,d),7.06−7.11(1H,m),7.24−7.30(1H,m),7.89(1H,s),8.34(1H,d),8.59(1H,d),9.63(1H,d)。
【0186】
(実施例164)
3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸
ジオキサン、ジクロロメタン及びメタノール(5/5/5)の混合物15ml中の、実施例83で得られた3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸メチル300mg(0.92mmol)に、1N水酸化ナトリウム水溶液1.51ml(1.51mmol)を添加する。反応溶媒を周囲温度で一晩攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。残留物を水中に溶解し、酢酸エチルで洗浄し、次いで、1N塩酸1.5mlで水相を酸性化する。形成した沈殿物をろ別し、水で洗浄して、続いて乾燥させる。黄色の固体346mgを収集し、固体をナトリウム塩0.7HO形態で塩化する。融点:306℃。H NMR(d−DMSO):3.87(3H,s),6.72(1H,d),7.70−7.78(3H,m),7.96(1H,s),8.18(1H,d),10.09(1H,s)。
【0187】
(実施例165から181)
実施例164に記載されている調製に従って作業を行うことによって、R置換基上に存在するエステル官能基の鹸化により、下表Xに記載されている一般式Idの化合物を合成する。
【0188】
【表19】

【0189】
下記の表X’には、表Xの実施例165から181に対するNMRデータが示されている:
【0190】
【表20】


【0191】
(実施例182)
3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボン酸
ジオキサン20ml及びメタノール10mlの混合物中の、実施例4で得られたメチル3−(3−メトキシ−4−ニトロベンゾイル)イミダゾ[1,5−a]ピリジン−6−カルボキシラート530mg(1.49mmol)に、1N水酸化ナトリウム1.64ml(1.64mmol)を添加する。反応溶媒を60℃で3時間加熱し、次いで減圧下で濃縮する。残留物を水中に採取し、得られた水相をジクロロメタンで洗浄し、次いで1N塩酸1.64mlの添加により中和する。形成された沈殿物をろ別し、水で洗浄して、次いで乾燥させる。黄色の固体405mgを収集する。融点:313℃。H NMR(d−DMSO):4.01(3H,s),7.78(1H,d),7.98(1H,s),8.06−8.10(3H,m),8.15(1H,s),10.28(1H,s)。
【0192】
(実施例183及び184)
実施例182に記載されている調製に従って作業を行うことによって、R置換基上に存在するエステル官能基の鹸化により、下表XIに記載されている一般式Itの化合物を合成する。
【0193】
【表21】

【0194】
下表XI’には、表XI中の実施例183及び184に対するNMRデータが示されている。
【0195】
【表22】

【0196】
(実施例185)
(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(8−メトキシイミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)メタノン
DMF5ml中の、実施例147で得られた(4−アミノ−3−メトキシフェニル)(8−ヒドロキシ−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−3−イル)メタノン0.22g(0.76mmol)に、炭酸セシウム0.79g(2.43mmol)、次いでヨウ化メチル0.05ml(0.84mmol)を添加する。反応溶媒を、周囲温度で4時間攪拌する。飽和炭酸水素ナトリウム溶液の添加後、反応溶媒を酢酸エチルで抽出する。得られた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。ジクロロメタンで溶出するシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーにより、残留物を精製する。黄橙色の固体0.2gを収集する。融点:229℃。H NMR(CDCl):3.86(3H,s),4.01(3H,s),5.80(2H,m),6.69(1H,m),6.69−6.72(1H,m),7.03−7.09(1H,t),7.78(1H,s),7.92(1H,s),8.24(1H,m),9.25−9.28(1H,m)。
【0197】
(実施例186から189)
実施例185に記載されている調製に従って作業を行うことによって、炭酸アルカリ及び対応するハロゲン化物の存在下において、一般式Izの化合物のO−アルキル化により、下表XIIに記載されている一般式Iz’の化合物を合成する。
【0198】
【表23】

【0199】
下記の表XII’には、表XII中の実施例186から189に対するNMRデータが示されている。
【0200】
【表24】

【0201】
(実施例190)
メチル3−(3−{3−メトキシ−4−[(プロピルスルホニル)−アミノ]ベンゾイル}イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル)ベンゾアート
ピリジン6ml中の、実施例111で得られたメチル3−[3−(4−アミノ−3−メトキシベンゾイル)イミダゾ[1,5−エa]ピリジン−1−イル]ベンゾアート0.5g(1.24mmol)に、1−プロパンスルホニルクロリド0.17ml(1.5mmol)を添加する。反応溶媒を周囲温度で18時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。取得した残留物をジクロロメタン中に採取する。得られた有機相を水で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。シリカゲル上のカラムクロマトグラフィーによって、取得した残留物を精製し、溶出はジクロロメタンで行う。黄色の油状物0.34gを収集する。H NMR(d−DMSO):0.96−1.01(3H,t),1.74−1.81(2H,m),3.16−3.19(2H,m),3.92(3H,s),4.00(3H,s),7.33−7.73(2H,m),7.38−7.51(1H,m),7.53−7.96(2H,m),8.03−8.30(2H,m),8.33−9.85(2H,m),8.38(1H,s),8.63(1H,s),9.25(1H,m)。
【0202】
(実施例191から194)
実施例190に記載されている調製に従って作業を行うことによって、一般式Idの化合物のスルホルニ化又はアシル化により、下表XIII中に記載されている一般式Igの化合物を合成する。
【0203】
【表25】

【0204】
下記の表XIII’には、表XIII中の実施例191から194に対するNMRデータが示されている。
【0205】
【表26】

【0206】
(実施例195)
3−(3−{3−メトキシ−4−[(プロピルスルホニル)アミノ]ベンゾイル}−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル)安息香酸
メタノール20ml中の、実施例190で得られたメチル3−(3−{3−メトキシ−4−[(プロピルスルホニル)アミノ]ベンゾイル}イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル)ベンゾアート0.34g(0.7mmol)に、1N水酸化ナトリウム水溶液1.4mlを添加する。反応溶媒を70℃で3時間加熱し、次いで減圧下で濃縮する。残留物を水中に採取し、得られた水相をジクロロメタンで洗浄し、1N塩酸1.4mlの添加により中和し、次いでジクロロメタンで抽出する。得られた有機相を硫酸ナトリウム上で乾燥させ、減圧下で濃縮する。黄色の固体0.19gを収集し、この固体は、ナトリウム塩2.1HO形態で塩化される。融点:145℃。H NMR(d−DMSO):0.96−1.01(3H,t),1.71−1.83(2H,m),3.16−3.19(2H,m),4.00(3H,s),7.33−7.70(2H,m),7.36−7.38(1H,m),7.52−7.97(2H,m),8.04−8.07(2H,m),8.27−9.85(2H,m),8.44(1H,s),8.64(1H,s),9.25(1H,m)。
【0207】
(実施例196)
3−{3−[3−メトキシ−4−[プロピオニルアミノ]ベンゾイル]イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル}安息香酸
実施例195に記載されている調製に従って作業を行うことによって、実施例191で得られたメチル3−{3−[3−メトキシ−4−[プロピオニルアミノ]ベンゾイル]−イミダゾ[1,5−a]ピリジン−1−イル}ベンゾアートの、1N水酸化ナトリウム溶液での鹸化により、化合物を取得する。黄色の固体を収集し、この固体はナトリウム塩2.4HO形態で塩化される。融点:145℃。H NMR(d−DMSO):1.08−1.24(3H,t),2.46−2.51(2H,m),4.03(3H,s),7.30−7.55(3H,m),7.88−8.38(6H,m),8.43(1H,m),8.60(1H,m),9.40(1H,m),9.45(1H,m),9.95(1H,m)。
【0208】
(実施例197)
近接シンチレーションアッセイによる、精製された受容体FGF R αIIIcへの125I−b−FGF結合の研究
2分間37℃で、0.1%ゼラチン100μL/ウェルにより、NBSプレート(NBSプレート96ウェル固相ホワイトCorning3600)をコートする。温置の終了時に、コーティングを除去し、プレートを濯ぎ、完全に乾燥させる。結合緩衝液(40mMBisTris緩衝液、pH7.0)100μLを、プレート中に分配する。
【0209】
10μg/ウェルの割合で、本発明の化合物の希釈物をウェルに分配する。続いて、b−FGF(Amersham ARM35050)10μL/ウェル及びFGF R αIIIc(R&D Systems 658FR)10μL/ウェルを分配する。その後、125I−b−FGF10μL/ウェル(Dupont NEN NEX 268−比活性>70μCi)及びSPAビーズ50μL/ウェル(Amersham RPQN 00019)を添加する。プレートを、数秒間振盪し、遮光しながら、37℃で60分間温置する。
【0210】
温置の終了時に、Mibrobeta Trilux放射能カウンター(Wallac/Perkin−Elmer)中でプレートを読み取る。
【0211】
本発明の化合物は、10−7Mと10−9Mの間の比活性を示した。
【0212】
(実施例198)
b−FGF30ng/mL又はa−FGF10ng/mLと比較した、HUVECの増殖に対する式Iの化合物の効果
フィブロネクチン溶液200μL/ウェル(50μg/mL、PBS中に調製)で、24ウェルプレート(Falcon Primaria)をコートする。
【0213】
30,000細胞/mL/ウェルの割合で、RPMI1640培地+10%FCS+1%グルタミン+ヘパリン−ECGF(HE)混合物中に、接種を行う。
【0214】
温置は、37℃、5%COで、細胞が接着するために必要とされる時間、行われる。
【0215】
産物を溶解し、1μM最終から10−7Mの最終濃度を有するDMSO/反応培地中で溶液を調製する。
【0216】
5%COの存在下、37℃で6時間、細胞を接着させた後、培地を、RPMI1640 0.1%FCS+グルタミン+HEと交換する。
【0217】
誘導体化のために、陰性対照として0.1%FCSを、陽性対照として0%FCSを、対照として、0.1%FCS+b−FGF30ng/mL又はa−FGF10ng/mLを使用する。続いて、5%COの存在下、37℃で24時間、温置を行う。
【0218】
二日目に、PBS1mL及びトリプシン200μLで細胞を濯ぎ、次いで、Isoton中に細胞を回収する。カウントを行う(n>9μm)。
【0219】
b−FGF又はa−FGFによって誘導される内皮細胞の増殖に関する本検査において、本発明の化合物は、10−5Mと10−9Mの間の比活性を示した。
【0220】
(実施例199)
インビトロでの血管新生のモデル
各チャンバースライドウェル(Biocoat Cellwareラット尾部コラーゲン、I型、8ウェルカルチャーサイド:Becton Dickinson 354630)中に、コラーゲン(Rat Tail Collagen、I型:Becton Dickinson 354236)中の1/6希釈されたMatrigel160μL(増殖因子が低減されたMatrigel:Becton Dickinson 356230)を分配することによって、ゲルを調製する。37℃で1時間、ゲル化を行わせる。
【0221】
ヒト静脈内皮細胞(HUVEC ref:C−015−10C−Cascade Biologics,Inc.)又はブタ大動脈内皮細胞(PAEC)を、HUVECについては、EBM培地400μL(Clonetics C3121)+2%FBS+hEGF10μg/ml、及びPAECについては、DMEM+3%FCS+2mMグルタミン+1mMピルビン酸ナトリウム+1%非必須アミノ酸(GIBCO)中に、15×10細胞/ウェルで、播種する。
【0222】
5%COの存在下、37℃で24時間、本発明の産物の存在下又は不存在下において、b−FGF(TEBU/Peprotech)10ng/mL又はa−FGF(TEBU/Peprotech)10ng/mLを用いて刺激を行う。
【0223】
24時間後、細胞を固定し、顕微鏡下、×4のレンズ下での観察及び画像分析(Biocom,Visiolab 2000ソフトウェア)の前に、Massonのトリクロムでスライドを染色する。
【0224】
b−FGF又はa−FGFによって誘導されるインビトロでの血管新生の検査において、本発明の化合物は、10−7Mと10−11Mの間の比活性を示した。
【0225】
(実施例200)
マウスにおける炎症性血管新生のモデル
血管新生は、関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の発症及び固形腫瘍の発症に必要とされる。新しい血管の形成によって、病的組織の灌流が可能となるのみならず、疾病の慢性化を確立するために必要とされるサイトカインの輸送も可能となる。
【0226】
Colville−Nash P.ら(D.JPET.,1995,Vol.24,No.3,pp.1463−1472)によって記載されたモデルによって、血管新生の出現を調節することが可能な薬理学的因子の研究が可能となる。
【0227】
腹腔内経路によって、ペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)を用いて、動物(体重約25gの、血縁関係にない白色マウス)を麻酔する。
【0228】
皮下から空気3mLを注入することによって、マウスの背中に空気嚢を作製する。
【0229】
覚醒後、動物は、一般的には、強制給餌による処置を受け、及び0.1%クロトン油(Sigma)を加えたFreundのアジュバント(Sigma)0.5mLの注射を嚢中に受ける。
【0230】
7日後、再度、マウスに麻酔を施し、40℃の加熱プレート上に置く。カルミンレッド(10%ゼラチン中5%、Aldrich Chemicals)1mLを、尾静脈中に注入する。続いて、4℃に、2から3時間、動物を置く。
【0231】
続いて、皮膚を除去し、56℃で48時間、オーブン中で乾燥させる。乾燥された組織を秤量し、消化緩衝液1.8mL(2mMジチオスレイトール、20mMNaHPO、1mMEDTA、12U/mLパパイン)中に、24時間置く。
【0232】
次いで、この染色液を、5MNaOHの0.2mL中に溶解する。2000gで10分間、皮膚を遠心する。0.2μmの酢酸セルロース膜を通して、上清をろ過する。カルミンレッド較正系列に対して492nmの分光光度計中で、ろ液を読み取る。
【0233】
2つのパラメータ:組織の消化後の肉芽腫の乾燥重量及び染料の量を調べる。
【0234】
結果は、平均値(±SEM)として表す。群間の差は、ANOVAに引き続き行われる、Dunnett検定で検定し、これに対する参照群は「溶媒対照」群である。
【0235】
本発明の化合物は、経口経路によって0.1から30mg/kgの用量で、活性である。
【0236】
(実施例201)
マウスにおけるMatrigel血管新生のモデル
Passanitiら(Laboratory Investigation,(1992)67(4),pp.519−524)によって記載されたモデルによって、bFGFによって特異的に誘導される血管新生の出現を調節することが可能な薬理学的因子の研究が可能となる。4℃で液体形態に維持されたMatrigel(Beckton Dickinson)に、300ng/mLの割合でFGF2(Peprotech)を添加する。ホモゲナイズ後、予めペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)で腹腔内に麻酔した、約20gの体重の雌のブラックマウス(C57/B16)の背中の基部中に、混合物(0.5mL)を皮下注射する。強制給餌によって動物を処置する。5日後に、再度、マウスを麻酔し、背中の基部の皮膚を除去し、この段階で、肉芽腫の血管新生の定性的な差を評価し(スコアを与えた。)、肉芽腫の写真を撮影した。続いて、その細胞充実度を定量するために、肉芽腫中のDNAのアッセイを行う。このために、37℃で一晩、コラーゲナーゼ(3mg/mL)を用いて、単離された肉芽腫を消化する。850gでの10分間の遠心後、上清を廃棄し、1mMCaCl、1mMMgCl及び5mMグルコースを含有するPBS緩衝液1.2mL中にペレットを再溶解する。存在するDNAの量は、供給者の指示書に従い、キット(Cyquanto−GR(R),Molecular Probe)を用いて測定する。
【0237】
結果は、平均値(±SEM)として表される。群間の差は、ANOVAに引き続き行われる、Dunnett検定で検定し、これに対する参照群は「溶媒対照」群である。
【0238】
組織学的研究のために、筋肉及び皮膚とともに肉芽腫を除去し、10%ホルムアルデヒド溶液中に一晩固定し、パラフィン(Embedder Leica(R))中に包埋する。続いて、ミクロトーム(Leica)を用いて肉芽腫をスライスし、Massonのトリクロム染色によって染色する。次いで、肉芽腫の新血管新生を評価する。血管新生のレベルは、0の値と5の値の間である。
【0239】
本発明の化合物は、経口経路によって0.1から30mg/kgの用量で、活性である。
【0240】
(実施例202)
マウスにおける腫瘍血管新生のモデル
本モデルによって、腫瘍発生によって特異的に誘導される血管新生の出現を調節することが可能な薬理学的因子の研究が可能となる。腹腔内から、ペントバルビタールナトリウム(60mg/kg;Sanofi Nutrition Sante Animale)を用いて、体重約20gのC56/B16マウスを麻酔する。2×10細胞/マウスの割合で、Lewisマウスの背中に肺細胞を皮下注射することによって腫瘍を確立する。5日後、強制給餌によって、毎日、マウスに処置を施す。21日間、週に2回、腫瘍のサイズを測定し、式:[π/6(ω×ω×ω)](ωは最大の直径を表し、ωは最小の直径を表す。)を用いて腫瘍の容積を計算する。
【0241】
結果は、平均値(±SEM)として表される。群間の差は、ANOVAに引き続き行われる、Dunnett検定で検定し、これに対する参照群は「溶媒対照」群である。
【0242】
本発明の化合物は、経口経路によって0.1から30mg/kgの用量で、活性である。
【0243】
(実施例203)
血小板減少に対する効果
血小板減少は、血小板濃縮液及びトロンボポイエチンの輸血を除くと、効果的な治療がほとんど存在しない病変である(Kaushansky, K., New Eng. J.Med.,(1998), 339, pp.746−754)。
【0244】
抗癌化学療法は、血小板減少の主要な原因の1つである。化学療法剤の1つであるカルボプラチンは、マウス中に血小板減少を誘導し、これにより、例えば、トロンボポエチンなどの血小板のレベルを改善することができる化合物の効果を特定できるようにするために広く使用されている(Hokom M.M. et al.,Blood,(1995),86,pp.4486−4492)。
【0245】
20gの体重を有するbalbCマウスに、カルボプラチン150mg/kgを腹腔内投与した。逆行眼窩穿刺によって、血液試料を定期的に採取し、血液学自動化装置(Melet−Schloesing Laboratories,Cergy−Pontoise,FranceのMS9TM)によって、循環している血小板のレベルを測定する。これらの条件下で、可逆的な血小板減少が観察され、カルボプラチンの投与から9から10日後に底に達する(50−60%の循環血小板のレベルの減少)。
【0246】
本発明の化合物又はこれらの溶媒(ブランク対照)は、5日間、経口経路によって投与され、カルボプラチンの投与の7日前に、処置が開始される。実験は、10から12匹のマウスを含む群に対して行われ、結果は、平均±標準誤差として表される。これらの条件下で、本発明の化合物は、0.1から30mg/kgの用量で、循環血小板のレベルを増加させる。
【0247】
(実施例204)
マウス中に、アルゴンレーザーによって誘導されるCNV(脈絡膜新血管新生)のモデル
眼の透明性の喪失の主な特徴は、新血管新生及びその結果生じる出血であり、これは、眼に大きな機能的疾患を引き起こし、早期の失明が起きる。最近、眼の新血管新生の現象に関わる機序の研究により、これらの病変に血管新生促進因子が関与していることを示すことが可能となった。
【0248】
Rakic J.Mらにより、「Invest.Ophthalmol.Vis.Sci.,(2003),Jul.,44(7)、pp.3186−3193」に記載された、レーザーによって誘導される脈絡膜の新血管新生のモデルは、脈絡膜の新血管新生を調節することが可能な薬理学的因子の研究を可能とする。
【0249】
AvertinTMの腹腔内注射によって、マウスに麻酔を施す。局所適用により、1%トロピカミド溶液を用いて、2つの瞳孔を散大させ、アルゴンレーザー(532nm:スポットサイズ直径50μm;持続時間0.05秒;400mW)を用いて、視神経円板周囲に3つの傷害を与える。続いて、視神経円板をレンズで覆う。
【0250】
14日後、マウスを屠殺し、眼球を摘出し、3.5%のFormalinTMを含有する緩衝液中に固定し、TekTMティッシュ(Miles Laboratories,Naperville,Illinois)中に包み、クリオスタットを用いて切片を作製できるようにするために、液体窒素中で凍結させる。
【0251】
定量的な形態計測研究によって、脈絡膜の新血管新生を定量し、これにより、コンピュータで補助された画像解析システム(Olympus Micro Image version 3.0 for Windows(登録商標) 95/NT, Olympus Optical Co.Europe GmBH)を用いて、脈絡膜中に存在する新しい血管のネットワークの厚さを評価することが可能となる。
【0252】
傷害に隣接する領域中の同じ色素含有層の厚さ(C)に対する傷害中の脈絡膜の色素含有層の厚さ(B)の比(B/C)によって、新血管新生を評価する。結果は、平均値(±SEM)として表される。処置群と対照群間の差は、ANOVAに引き続き行われる、Dunnett検定で検定し、これに対する参照群は「溶媒対照」群である。
【0253】
本発明の化合物は、経口経路によって0.1から30mg/kgの用量で、活性である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、式Iの化合物
【化1】

(式中、
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの5、6、7又は8位に存在する。)は、水素原子、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、ヒドロキシル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−O−アルク−NR
・−O−(CH−Ph
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
の基を表し、
(式中:
・アルクは、1から5個の炭素原子の、アルキル基又はアルキレン基を表し、
・nは、1から5の整数を表し、
・mは、0から4の整数を表し、
・R及びRは、互いに独立に、水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基又はベンジル基を表し、
・Rは、水素原子又は1から5個の炭素原子のアルキル基を表し、
・Rは、水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式:
・−アルク−CONR
・−アルク−OR
・−アルク−NR
・Ph若しくは
・−CHPh及び
の基を表し、
・Phは、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基(Rは、上記定義のとおりである。)から選択される1つ又はそれ以上の基によって、場合によって置換されたフェニル基を表す。);
・Rは、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−CF
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−CONR
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合によって置換されたフェニル基、
・硫黄原子、酸素原子又は窒素原子から選択される複素原子を含み、及び第二の窒素原子を場合によって含む5員のヘテロアリール基(前記ヘテロアリール基は、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合により置換されている。)、又は
・1個若しくは2個の窒素原子を含み、並びにハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1つ若しくはそれ以上の基によって、場合により置換されている6員のヘテロアリール基、
(アルク、Ph、R、R及びRは、上記定義のとおりである。)
の基を表し;
・R及びRは、互いに独立に、ヒドロキシル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、アミノ基、−COOR基、ニトロ基又は式:
・−NR
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−NH−SO−アルク
・−CO−NR若しくは
・−CO−NHOH
(アルク、Ph、R、R及びRは、上記定義のとおりである。)
の基を表し;
あるいは、R及びRは、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び酸素などの別の複素原子とを含む6員の炭素環を形成する。)。
【請求項2】
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)が、水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−O−アルク−NR
・−O−CH−Ph
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
(アルク、Ph、R、R、R、R及びm、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−CF
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・−CO−NR
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基;
・硫黄原子、酸素原子又は窒素原子から選択される複素原子を含み、及び第二の窒素原子を場合により含む5員のヘテロアリール基(前記ヘテロアリールは、ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個又は2個の基によって、場合により置換されている。)、若しくは
・1個若しくは2個の窒素原子を含み、並びにハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルキル基、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されている6員のヘテロアリール基
(アルク、Ph及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・R及びRが、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基、アミノ基、ニトロ基又は式:
・−NR
・−NH−CO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−SO−アルク
(アルク、Ph、R、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表す、
塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1に記載の式Iの化合物。
【請求項3】
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)が、水素原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−アルク
・−NR−CO−アルク
・−O−アルク−COOR
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−(CH−COOR
(mは、0又は1を表し、Rは、水素原子1から5個の炭素原子のアルキル基又は式−アルク−OR若しくは−CH−Phの基を表し、並びにアルク、R、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、シアノ基、−COOR基又は式:
・−NR
・−NH−SO−アルク
・−NH−CO−Ph
・−NH−CO−アルク
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基、
・チエニル、フリル及びピロリル基から選択されるヘテロアリール基(前記ヘテロアリールは、場合によって、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個又は2個の基によって置換されている。)、若しくは
・1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたピリジニル基、
(アルク、Ph、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・R及びRが、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、−COOR基、ニトロ基、アミノ基、又は式−NH−CO−アルク、−NH−CO−Ph若しくは−NH−SOアルク
(アルク、Ph及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表す;
塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1又は2に記載の式Iの化合物。
【請求項4】
が、1から5個の炭素原子のアルコキシ基又は−COOR基(Rは、請求項1に定義されているとおりである。)を表す、塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1から3の何れか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項5】
が、ニトロ基、アミノ基又は式−NH−CO−アルク、−NH−CO−Ph又は−NH−SOアルクの基(アルク及びPhは、請求項1に定義されているとおりである。)を表す、塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1から4の何れか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項6】
・R(イミダゾ[1,5−a]ピリジンの6、7又は8位に存在する。)は、水素原子、ヒドロキシル基、−COOR基又は式:
・−O−アルク−COOR
・−CO−NR若しくは
・−CO−NH−CH(R)−COOR
(Rは、水素原子、1から5個の炭素原子のアルキル基又は式−アルク−ORの基を表し、並びにアルク、R、R及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、水素原子、ハロゲン原子、−COOR基又は式:
・−NH−CO−Ph
・ハロゲン原子、1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個若しくは2個の基によって、場合により置換されたフェニル基若しくは
・1から5個の炭素原子のアルコキシ基及び−COOR基から選択される1個又は2個の基によって、場合により置換されたチエニル基
(Ph及びRは、請求項1に定義されているとおりである。)
の基を表し;
・Rが、1から5個の炭素原子のアルコキシ基又は−COOR基(Rは、請求項1に定義されているとおりである。)を表し;並びに
・Rが、アミノ基を表す、
塩基又は塩の形態の、及び水和物又は溶媒和物の形態の、請求項1から5の何れか一項に記載の式Iの化合物。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の式Iの化合物を調製するための方法であり、
A)−R若しくはRがニトロ基を表す式Iの化合物である式Iaの化合物、又は
−R若しくはRが−COOR基(Rは、1から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表す式Iの化合物である式Ibの化合物を取得するために、
式IIの化合物:
【化2】

(Rは、請求項1に記載されている式Iの化合物に対して定義されているとおりであるが、Rは、ヒドロキシル基、カルボキシル基又は−NR基など、式IIIの化合物と反応することが可能な基以外であり、及びRは、−NH−CO基以外又は−CONR基以外である。)
を、式IIIの化合物:
【化3】

(Xは、ハロゲン原子を表し、並びにR及びRは、互いに独立に、1から5個の炭素原子のアルコキシ基、ニトロ基又は−COOR基(Rは、1から5個の炭素原子のアルキル基を表す。)を表す。)
と縮合させ、
並びに、続いて、
a)式Idの化合物:
【化4】

(式中、R及びRは、式Iaの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRはアミノ基を表す。)
を取得するために、式Iaの化合物は還元反応に供せられ;
式Idの化合物は、続いて、式Igの化合物:
【化5】

(式中、R及びRは、式Idの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRは−NR基、−NHCOアルク基、−NHCOアルク基又は−NHSOアルク基を表す。)
を得るために、アルキル化、アシル化若しくはスルホニル化反応に供されることができ、
b)若しくは、式Ieの化合物:
【化6】

(式中、R及びRは、式Ibの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRはカルボキシル基を表す。)
を取得するために、式Ibの化合物は鹸化反応に供せられ、
式Ieの化合物は、続いて、式Ihの化合物:
【化7】

(式中、R及びRは、式Ieの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR又はRは−CONR又は−CONHOH基を表す。)
を取得するために、塩基の存在下でのカルボキシル官能基の活性化、及び次いで、式HNRのアミン若しくはヒドロキシルアミンの付加後に、カップリング反応に供されることができ;
又は
B)パートA)において上で定義されている式IIの化合物が、式III’の化合物:
【化8】

(式中、Xはハロゲン原子を表し、並びにR’及びR’は、両者で、これらが結合しているフェニル環の炭素原子とともに、窒素原子と、及び別の複素原子とを含む6員の炭素環を形成する。)
と縮合されて、
式Icの化合物:
【化9】

(R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得し、
式Icの前記化合物は、続いて、式Ifの化合物:
【化10】

(式中、R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)
を与えるために、アルコール分解反応に供され、
化合物Ifは、続いて、式Id又はIeの化合物(R及びRは、式IIの化合物に対して定義されているとおりであり、Rは−COOH基を表し、及びRは−NH基を表す。)を得るために鹸化されることができ;
又は
C)パートA)において上で得られた、Rが水素原子を表す式Iの化合物は、式Iiの化合物:
【化11】

(R及びRが、一緒にヘテロアリールを形成しない場合には、R、R及びRは、請求項1において記載されている式Iの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは、臭素原子を表す。)
を取得するために、臭化反応に供され、
Rが臭素原子以外であり、又はヨウ素原子以外である式Iiの化合物は、パラジウム触媒の、リガンドの、及び塩基の存在下で、
a)式Ijの化合物:
【化12】

(Rは、式Iiの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR及びRは式Iiの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−NH基を表す。)
を取得するために、ベンゾフェノンイミンを用いたイミノ化反応後、酸加水分解反応に、
b)若しくは、式Ikの化合物:
【化13】

(R、R及びRは、化合物Iiに対して定義されているとおりであり、並びにRは−CN基を表す。)
を得るために、シアン化亜鉛を用いたシアン化反応に、
−式Ikの化合物は、続いて、式Imの化合物:
【化14】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−CONH基を表す。)
を取得するために、塩基性加水分解反応に供されることができ、
−あるいは、式Ikの化合物は、対応するイミドエステルをもたらすために、塩化水素ガスの存在下で第一級アルコールを用いたPinner反応に供され、前記イミドエステルは、酸加水分解によって、式Inの化合物:
【化15】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは、−COアルク基(アルクは、請求項1に定義されているとおりである。)を表す。)
をもたらし、
式Inの化合物は、それ自体、式Ioの化合物:
【化16】

(R、R及びRは、式Ikの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−COH基を表す。)
を取得するために、鹸化反応に供されることが可能であり、
c)もしくは、式Isの化合物:
【化17】

(R、R及びRは、化合物Iiに対して定義されているとおりであり、並びにRは、置換されたフェニル基又は場合によって置換された、5員若しくは6員のヘテロアリールを表す。)
を取得するために、フェニルボロン誘導体若しくはヘテロアリールボロン誘導体とのSuzuki反応に、
供されることが可能であり;
又は
D)Rがアミノ基を表す式Ijの化合物は、式Ipの化合物:
【化18】

(R、R及びRは、式Ijの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは、−NHCOアルク、−NHCOアルク、−NHSOアルク、−NHCOPh又は−NHCOCF基(アルク及びPhは、請求項1に記載されている式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)を表す。)
を取得するために、アシル化若しくはスルホニル化反応に供され、
式Iqの化合物:
【化19】

(R、R及びRは、式Ijの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにR及びRは、式Iの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得するために、Rが−NHCOCF基を表す式Ipの化合物は、それ自体、アルキル化及びその後の脱保護反応に供されることが可能であり、場合により、その後に別のアルキル化反応に供されることが可能であり;
又は
E)Rが−CO基(Rは、パートAにおいて上で取得されたアルク基を表す。)を表す式Irの化合物は、式Itの化合物:
【化20】

(R、R及びRは、式Irの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−COOH基を表す。)
を取得するために、酸若しくは塩基性加水分解反応に供され、
式Itの化合物は、続いて、
a)式Iuの化合物:
【化21】

(R、R及びRは、式Itの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得するために、塩基の存在下での、カルボキシル官能基の活性化後のカップリング反応、及び次いで、式HNR若しくはHN−CH(R)−(CH−COOR(Rは、請求項1に定義されているアルク基を表す。)のアミンの付加、並びにRが−CONH−CH(R)−(CH−COOR基であり、Rは請求項1に定義されているアルク基を表す場合、これらの化合物は、Rが−CONH−CH(R)−(CH−COOR基(Rは水素原子を表し、並びにR、R及びRは上記定義のとおりである。)である式Iuの化合物を取得するために、鹸化することが可能であり、
b)もしくは、式Ivの化合物:
【化22】

(R、R及びRは、式Itの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRは−NHCOアルク基を表す。)
を取得するために、還流下、不活性溶媒中、トリエチルアミンの存在下でのジフェニルホスホリルアジドの作用、及びその後の式アルク−OHのアルコールの付加によるCurtius転位に供され、
Rが−NH−CO−アルク基(アルクは、−tBu基を表す。)を表す式Ivの化合物は、続いて、R、R、R、R及びRが請求項1に記載されている式Iの化合物に対して定義されているとおりである式Iwの化合物をもたらすことができ:
【化23】

−酸溶媒中での脱保護によって、Rが−NH基を表す式Iwの化合物が取得され、
−アルキル化に続く脱保護によって、及び場合によって行われる第二のアルキル化によって、Rが−NR基を表す式Iwの化合物を取得することが可能であり、
Rが−NH基を表す式Iwの化合物は、式Ixの化合物:
【化24】

(R、R及びRは、化合物Iwに対して定義されているとおりであり、並びにRは−NHCOアルク又は−NHSOアルク基を表す。)
を取得するために、アシル化若しくはスルホニル化されることができ、
又は
F)式Iyの化合物:
【化25】

(Rは−O−ベンジル基を表し、並びにR、R及びRは、請求項1に記載の式Iの化合物において定義されているとおりである。)
は、式Izの化合物:
【化26】

(R、R及びRは、式Iyの化合物に対して定義されているとおりであり、並びにRはヒドロキシル基を表す。)
を取得するために、活性炭上パラジウムの存在下で、プロトン溶媒中での脱ベンジル化反応に供され、
並びにR又はRがニトロ官能基を表す場合には、R又はRがNH基を表し、並びにRが式Iの化合物において定義されているとおりである式Idの化合物が取得され、
続いて、式Izの化合物は、式Iz’の化合物:
【化27】

(R、R及びRは、式Izの化合物に対して定義されているとおりである。)
を取得するために、炭酸アルカリの存在下、極性溶媒中、ハロゲン化アルキルの周囲温度での作用による選択的O−アルキル化反応に供することが可能であり、
並びに、Rが−O−アルク−COOR基(Rは、式Iの化合物に対して定義されているアルク基を表す。)である場合には、これらの化合物は、Rが−O−アルク−COOR基(Rは、水素原子を表し、並びにR、R及びRは上記定義のとおりである。)である式Iz’の化合物を取得するために、鹸化することが可能であることを特徴とする、方法。
【請求項8】
請求項1から6の何れか一項に記載の式Iの化合物又は医薬として許容される酸若しくは塩基との該化合物の付加塩又は式Iの化合物の水和物若しくは溶媒和物を含むことを特徴とする、医薬。
【請求項9】
請求項1から6の何れか一項に記載の式Iの化合物又は該化合物の、医薬として許容される塩、水和物若しくは溶媒和物と、及び医薬として許容される少なくとも1つの賦形剤とを含むことを特徴とする、医薬組成物。
【請求項10】
FGFの調節を必要とする疾病の治療用医薬の調製における、請求項1から6の何れか一項に記載の式Iの化合物の使用。
【請求項11】
癌、特に、肺癌、乳癌、前立腺癌及び食道癌など、血管新生の高い程度を有する癌腫、大腸癌及び胃癌など、転移を誘発する癌、悪性黒色腫、神経膠腫、リンパ腫及び白血病の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。
【請求項12】
式Iの化合物が、1つ又はそれ以上の抗癌活性成分及び/又は放射線療法と組み合わせて使用されることを特徴とする、請求項11に記載の使用。
【請求項13】
アテローム性動脈硬化症又は血管形成術後の再狭窄などの心血管疾患、血管内プロテーゼの装着及び/若しくは大動脈冠動脈バイパス若しくは心肥大の他の血管移植後に出現する合併症に関連する疾病又は糖尿病性網膜症などの、糖尿病の血管合併症の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。
【請求項14】
関節リウマチ又はIBDなどの慢性炎症性疾患の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。
【請求項15】
骨関節症、軟骨形成不全症(ACH)、軟骨形成低形成症(HCH)及びTD(致死性骨異形成症状)の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。
【請求項16】
肥満の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。
【請求項17】
加齢性黄斑変性症(AMD)などの黄斑変性の治療用医薬の調製における、請求項10に記載の使用。

【公表番号】特表2008−533111(P2008−533111A)
【公表日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−501368(P2008−501368)
【出願日】平成18年3月15日(2006.3.15)
【国際出願番号】PCT/FR2006/000567
【国際公開番号】WO2006/097625
【国際公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【出願人】(504456798)サノフイ−アベンテイス (433)
【Fターム(参考)】