説明

新規ジクロロ−フェニル−ピリド[2,3−D]ピリミジン誘導体、それらの製造及び医薬物質としての使用

本発明は、一般式(I)の化合物、それらの製造方法、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに医薬的活性剤としてのそれらの化合物の使用、を説明する。前記化合物は、タンパク質キナーゼ阻害剤、特にsrcファミリーのチロシンキナーゼ阻害剤としての活性を示し、それ故に、前記チロシンキナーゼが媒介する疾患の処置のために有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の二環式ピリド[2,3−d]ピリミジン類、それらの製造方法、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに医薬的活性剤としてのそれらの化合物の使用に関する。
【0002】
いくつかの置換された二環式の窒素複素環式化合物は、それらのタンパク質キナーゼ及びそれらのチロシンキナーゼ阻害活性について当業界で知られている。WO02/090360は、キナーゼ酵素阻害剤として、及び過増殖病(hyperproliferatie direse)の処置にとって有用なピリド[2,3−d]ピリミジンを開示する。
【0003】
WO03/000011号は、タンパク質キナーゼ阻害剤としての、及び一般的に骨疾患、癌及びシグナル化症害の処置のためのピリド[2,3−d]ピリミジンのリン−含有誘導体を開示する。
【0004】
WO96/15128号は、タンパク質チロシンキナーゼの阻害剤としての、及びアテローム硬化症、再狭窄、乾癬、細菌感染及び癌の処置のための6−アリール−ピリド[2,3−d]ピリミジンを開示する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上文で言及した文献に示される進展にもかかわらず、治療指数の向上、例えば、幾つか例を挙げると、活性、耐性、選択性又は安定性の向上を示す新規化合物についての必要性が依然存在している。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、下記一般式:
【化1】

[ここで、
1は−C(O)−NH−アルキル又は−C(O)−N(アルキル)2{これらのアルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換されている(全てのアルキル基は任意に−OHで置換されている)};
あるいは下記基:
−CN;
−C(O)−NH2
−C(O)−NH−ヘテロシクリル;
−C(O)−NH−NH−C(O)−NH2;又は
−C(O)−NH−NH−C(O)-アルキル{このアルキルは任意に−NH(アルキル);又は−N(アルキル)2により置換されている}であり;そして
2は、
ハロゲン;
ヘテロシクリル;
アルキル;
−NH−C(O)−アルキル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−(CH2)m−S(O)2−NH2
−(CH2)m−S(O)2−N(アルキル)2
−(CH2)m−S(O)2−NH-(アルキル);
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり{全てのアルキル基が任意に
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されている};
Xは−CH=又は−N=であり;
mは、0,1,2,3,4,5又は6であり;
nは、0,1又は2である]の新規化合物、及び医薬として許容されるその塩である。
【0007】
本発明の化合物は、タンパク質キナーゼ阻害剤、特にsrcファミリーのチロシンキナーゼ阻害剤としての活性を示し、そしてそれ故に、前記チロシンキナーゼにより介在される疾患の処置のために有用である。チロシンキナーゼのファミリーは、ペプチド及びタンパク質のチロシン残基をリン酸化することによる細胞シグナル化及び細胞増殖の調節において重要な役割を演じる。チロシンキナーゼの不適切な活性化が、種々の疾患状態、例えば炎症性、免疫学的、CNS症害、又は腫瘍学的障害又は骨疾患に関与することが知られている。例えば、Susa, M.,など., Trends Pharmacol. Sci., 21 (2000) 489-495;Biscardi, J. S., et al., Adv. Cancer Res. 76 (2000) 61-119を参照のこと。
【0008】
本発明の化合物は、例えば移植片拒絶、炎症性腸症候群、リウマチ性関節炎、乾癬、再狭窄、アレルギー性喘息、アルツハイマー病、パーキンソン病、発作、骨粗鬆症、癌及び良性過形成の予防及び治療において活性剤として使用され得る。
【0009】
本発明の化合物は、驚くべきことに、当業界で既知の化合物と比較して、src−チロシンキナーゼに対する同程度の活性とともに、代謝の安定性及び選択性の向上を示すことが明らかとなった。
【0010】
本発明の目的は、式Iの化合物及び医薬として許容される塩並びにそれらの鏡像異性体形、上記化合物の調製、それらを含む薬剤及びそれらの製造、並びに疾患、特に上文で言及した疾患の制御又は予防、又は対応する薬剤の製造への上記化合物の使用方法である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本明細書で使用する場合、用語「アルキル」とは、1〜6個、好ましくは1〜4個の炭素原子を含む、飽和の直鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル及びそれらの異性体を意味する。「任意に置換された」アルキル基は、置換されていないか、あるいは、1回又は可能なら、2回置換されている、上文で定義したようなアルキル基である。
【0012】
本明細書で使用する場合、「(C1−C4)アルキル」とは、1〜4個の炭素原子を含む、飽和の直鎖又は枝分かれ鎖の炭化水素、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、2−ブチル、t−ブチルを意味する。
【0013】
用語「ヘテロシクリル」は、本明細書で使用する場合、1〜3、好ましくは1又は2個の炭素原子が窒素−、酸素−又は硫黄原子、あるいは基−S(O)−で置換されている、5〜10員の単環又は二環式の芳香族又は非芳香族炭化水素を意味する。前記ヘテロシクリル基は、アルキル、オキソ又は−C(O)−NHで1回又は2回任意に置換されている。例としては、2−オキソ−イミダゾリジン−1−イル;ピロリジン−2−イル;ピロリジン−3−イル;2−オキソピロリジン−1−イル;1−メチル−ピロリジン−2−イル;イミダゾール−4−イル;ピラゾール−3−イル;2−メチル−ピラゾール−3−イル;1−メチル−ピラゾール−5−イル;1,5−ジメチル−ピラゾール−3−イル;4−カルバモイル−ピラゾール−3−イル;ピペリジン−3−イル;ピペリジン−4−イル;1−メチル−ピペリジン−4−イル;モルホリン−4−イル;ピリジン−2−イル;1−アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタ−3−イル又は4,4−ジオキソ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]オキサチイン−6−イル、がある。
【0014】
本明細書で使用する場合、ハロゲンの用語は、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素を意味し、好ましくはフッ素、塩素及び臭素であり、そしてより好ましいのはフッ素及び塩素である。
【0015】
好ましくは、式Iの置換基R2はパラ又はメタ位に位置する。
【0016】
本発明の好ましい態様は、
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−アルキルであり、当該アルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換され、全てのアルキル基は任意に−OHで置換されており;且つ
2が上文で示した意味を有する、式Iの化合物である。
【0017】
本発明の別の態様は、
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−メチル;又は
−C(O)−NH−エチルであり、このメチル又はエチルが置換されておらず、又は
1回
−OH;
−ピロリジニル;又は
−NH−S(O)2−CH3
で置換されており;且つ
2が上文で示した意味を有する、式Iの化合物である。
【0018】
本発明の更に別の態様は、
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−エチル;又は
−C(O)−NH−メチルであり、このエチル又はメチルが1回
−OH;又は
−ピロリジニル
で置換されており;且つ
2がモルホリン−4−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
式Iの化合物;及び
医薬として許容されるその塩、である。
【0019】
そのような化合物は、例えば、
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸((R)−1−ピロリジン−2−イルメチル)−アミド;
又は6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸((R)−1−ピロリジン−2−イルメチル)−アミド、である。
【0020】
本発明の更に別の態様は、
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−(CH22−NH−S(O)2−CH3であり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
4−メチル−ピペラジン−1−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
式Iの化合物;及び
医薬として許容されるその塩、である。
【0021】
そのような化合物は、例えば
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(3−メタンスルホニルアミノ−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;又は
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(3−メチルスルファニル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド
である。
【0022】
本発明の更に別の態様は、
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH2であり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
式Iの化合物;及び
医薬として許容されるその塩、である。
【0023】
そのような化合物は、例えば:
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸アミド;又は
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸アミド
である。
【0024】
本発明の更に別の態様は、
Xが−CH=であり;
1が−CNであり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
式Iの化合物;及び
医薬として許容されるその塩、である。
【0025】
そのような化合物は、例えば:
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル ;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル;又は
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
である。
【0026】
本発明の更に別の態様は、
Xが−N=であり;
1が−C(O)−NH−(CH22−NH−S(O)2−CH3であり;且つ
2がアルキル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
式Iの化合物;及び
医薬として許容されるその塩、である。
【0027】
そのような化合物は、例えば:
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2− (6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド
である。
【0028】
本発明の更に別の態様は、本発明の化合物の製造方法であり、
ここで、
(a)一般式(II)の化合物
【化2】

のスルフィド基は相当のスルホキシドに変換され、このスルホキシド基を、
(b)式(II−A)
【化3】

(ここで、R2及びXは、本明細書の前文で示した意味を有する)
の各アニリンで置換して一般式(IV)の化合物
【化4】

を生成させ、
(c)式(IV)の−COOH基は式(I)のアミド誘導体に変換され;そして
(d)所望により、(c)から得られた第一級アミド誘導体はその相当の式(I)の7−カルボニトリル誘導体に更に変換され;そして
(e)所望により、(c)又は(d)から得られた一般式(I)の前記化合物は医薬として許容される塩に変換される。
【0029】
更に詳細に説明すると、R1がアミド基を介して結合している式(I)の化合物は、一般式(Ia)によって表される。かかる化合物は、式(II)のカルボン酸から、当業界で周知の標準的な反応を用いて調製することができる。一般式(Ia)の化合物の合成をスキーム1に示す。ここで、R3は、基−CNを除き、上文で示した意味を有しており、従って、
3は−C(O)−NH−アルキル又は−C(O)−N(アルキル)2{これらのアルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換されている(全てのアルキル基は任意に−OHで置換されている)};
あるいは下記基:
−C(O)−NH2
−C(O)−NH−ヘテロシクリル;
−C(O)−NH−NH−C(O)−NH2;又は
−C(O)−NH−NH−C(O)-アルキル(このアルキルは任意に−NH(アルキル);又は−N(アルキル)2により置換されている)であり;
且つR2及びXは上文で示した意味を有する。
【0030】
一般式(I)の化合物、又は医薬として許容されるその塩、の誘導体は、化学的に関連する化合物の調製に適用可能であることが当業者知られている任意の方法によって調製することができる。かかる方法は、式(I)のジアジン誘導体、又は医薬として許容される塩を調製するのに使用する場合、本発明の更なる特徴として提供され、そして以下のスキーム1からスキーム4の代表例によって例示される。ここで、特に断らない限り、R1、R2及びXは、本明細書の前文で示した意味を有する。必要な出発材料は市販のものか、あるいは、有機化学の標準的手順により得ることができるものである。このような出発材料の調製は、以下の実施例内で説明する。あるいは、必要な出発材料は、例示する手順に類似の、有機化学者の通常の技術範囲内にある手順により得られる。
【0031】
【化5】

【0032】
あるいは、カルボン酸(II)は、スキーム(II)に従い、最初に、カルボキサミド(V)に変換することができ、続いて、2位をアニリンで置換してもよく、ここで、R3、R2及びXは上文で示した意味を有する。
【0033】
【化6】

【0034】
式(Ia)又は(V)(ここで、R3は−C(O)−NH2である)の第一カルボキサミドが、従来の方法、例えばSOCl2又はPOCl3による脱水により、一般式(Ib)のニトリルに変換することができる。式(Ib)の前記ニトリルはまた、スキーム3に従う既知のピリミジン誘導体(VII)から調製することもでき、ここで、R2は本明細書の前文で示した意味を有し、そしてLは適切な脱離基である。
【0035】
【化7】

【0036】
段階1:
式(B)の3−(2,6−ジクロロ−フェニル)−ピルビン酸、又は、概してアリールピルビン酸を式(A)の適切なピリミジンカルバルデヒドと縮合することで化合物(II)が得られる。前記縮合反応は、水又はメタノール(MeOH)又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU)中、水酸化ナトリウム(NaOH)により、又はジメチルホルムアミド(DMF)、1−メチル−2−ピロリジノン(NMP)又はテトラヒドロフラン(THF)中、カリウムtert−ブトキシレート(KOtBu)により、塩基性条件下で行われ得る。他方では、縮合反応は、酢酸ナトリウムの存在下で酢酸中で行われる。反応温度は、室温(RT)〜150℃の範囲である。
【0037】
段階2,6及び10:
式(II)、(V)又は(IX)のピリドピリミジンの2位のメチルチオ、あるいは任意な他のアルキルチオ又はアリールチオ基は、式(III)、(VI)又は(IX)のその相当のスルホン又はスルホキシドへの酸化により、適切な脱離基に変換することができる。適切な試薬は例えば、−40℃〜+65℃の範囲の温度での不活性溶媒、例えばジクロロメタン(CH2Cl2)、クロロホルム(CHCl3)又はメチルtert−ブチルエーテル(MTBE)中の、3−クロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)又は2−ベンゼンスルホニル−3−フェニル−オキサジリジンである。
【0038】
段階3,7及び11:
段階2,6又は10由来のスルホキシド又はスルホンは、式(IV)、(Ia,スキーム2)又は(Ib)の2−アニリノ置換ピリドピリミジンを得るために、精製された形で又は粗生成物としてアニリンと反応させることができる。当該反応は、溶媒としての過剰のアニリンにおいて、又は不活性溶媒、例えばCH2Cl2、トルエン、アセトニトリル、DMF、ジメチルスルホキシド(DMSO)又はNMPにおいて、及び0℃〜150℃の範囲の温度で行われる。酸、例えばトリフルオロ酢酸(TFA)又は塩酸(HCl)が前記反応を触媒するために添加され得る。mCPBAが前の酸化段階のために使用された場合、粗反応混合物に存在する、形成されたm−クロロ安息香酸が、触媒として作用することができる。
【0039】
段階4及び5:
式(IV)又は(II、スキーム2)の適切なカルボン酸は、当業界において知られている標準的な方法により、式(Ia、スキーム1)又は(V)のアミド誘導体に変換することができる。例えば、前記酸は最初に、カルボジイミド又はカルボニルジイミダゾール又は塩化オキサリルとの反応により活性化され、そして続いて、適切な置換されたアミン又はアンモニアと、単離することなく反応させられる。当該反応は、0℃〜150℃の範囲の温度で、不活性溶媒、例えばTHF、CH2Cl2又はNMP中で最もよく行われる。
【0040】
段階8:
(VIII)における適切な脱離基「L」はトリフレートであり、これは、塩基、例えばトリエチルアミン(NEt3)、ピリジン、カリウムtert−ブトキシド(KOtBu)、リチウムジイソプロピルアミド(LDA)、NaH又はK2CO3の存在下で、不活性溶媒、例えばTHF、CH2Cl2又はNMP中でのトリフルオロメタンスルホン酸無水物(Tf2O)又はN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(PhN(Tf)2)との反応により、(VII)から調製され得る。別の脱離基は、POCl3又はPOBr3によるピリドンのハロゲン化により導入することができる塩素又は臭素原子である。
【0041】
段階9:
(VIII)における脱離基「L」は、RT〜180℃の温度で、不活性溶媒、例えばジグリム、DMF、NMP又はスルホラン中で無機シアン化物、例えばシアン化カリウム(KCN)、シアン化ナトリウム(NaCN)又はシアン化銅(CuCN)により置換することができ、その結果(IX)が得られる。好ましくは、この反応はまた、遷移金属触媒、例えばPd又はNi触媒により触媒され得る。この場合、シアン化亜鉛(Zn(CN)2)が、シアン化物源として適用され得る。
【0042】
3又はR2における側鎖によっては、反応順序の間、保護を必要とすることがある。これには、当業界において良く知られている標準の保護及び保護解除方法が適用され得る。例えば、第一級及び第二級アミンが、t−ブトキシカルボニル(Boc)又はベンジルオキシカルボニルで保護した形で適用され、そして保護基は、酸、例えばHCl又はトリフルオロ酢酸(TFA)による処理により最後の反応段階として除去され得る。
【0043】
一般式Iの化合物は、1又は複数のキラル中心を含み、そして次に、ラセミ形で、又は光学的活性形で存在することができる。ラセミ体は、既知の方法に従って、鏡像異性体に分離され得る。例えば、結晶化により分離され得るジアステレオマー塩は、光学的活性の酸、例えばD−又はL−酒石酸、マンデル酸、リンゴ酸、乳酸又は樟脳スルホン酸との反応により、ラセミ混合物から形成される。あるいは、鏡像異性体の分離はまた、市販のキラルHPLC−相上でのクロマトグラフィーを用いることにより達成され得る。
【0044】
本発明の化合物は、それらの医薬として許容される塩の形で存在することができる。用語「医薬として許容される塩」とは、式Iの化合物の生物学的有効性及び性質を保持し、そして適切な非毒性有機又は無機酸又は有機又は無機塩基から形成される、従来の酸付加塩又は塩基付加塩を言及する。酸付加塩は、無機酸、例えば塩酸、臭酸、ヨウ酸、硫酸、スルファミド酸、リン酸及び硝酸に由来するそれらの塩、及び有機酸、例えばp−トルエンスルホン酸、サリチル酸、メタンスルホン酸、シュウ酸、琥珀酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、フマル酸及び同様のものに由来するそれらの塩を包含する。塩基付加塩は、アンモニア、カリウム、ナトリウム及び第四級アンモニウム水酸化物、例えばテトラメチルアンモニウム水酸化物に由来するそれらの塩を包含する。医薬化合物の塩への化学的変性は、化合物の改良された物理的及び化学的安定性、吸湿性、流動性及び溶解性を得るために、当業者に良く知られている技法である。それらは、例えば、Bastin,R. J. et al, Organic Proc. Res. Dev. 4 (2000) 427-435に記載されている。
【0045】
本発明の化合物及びそれらの医薬として許容される塩は、例えば医薬調製物の形で薬剤として使用され得る。医薬調製物は、錠剤、被覆された錠剤、糖剤、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、溶液、エマルジョン又は懸濁液の形で経口投与され得る。しかしながら、投与はまた、例えば坐剤の形で直腸的に、又は例えば注射用溶液の形で非経口的にもたらされ得る。
【0046】
上文で言及した医薬調製物は、本発明の化合物を、医薬的に不活性な無機又は有機担体により処理することにより得られる。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩、及び同様のものが、例えば錠剤、被覆された錠剤、糖剤、及び硬質ゼラチンカプセルのためのそのような担体として使用され得る。軟質ゼラチンカプセルのための適切な担体は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体及び液体ポリオール、及び同様のものである。しかしながら、活性物質の性質に依存して、担体は、軟質ゼラチンカプセルの場合、常に必要とされるものではない。溶液の生成のための適切な担体は、シロップ、水、ポリオール、グリセロール、植物油及び同様のものである。坐剤のための適切な担体は、例えば天然又は硬化された油、ワックス、脂肪、半液体又は液体ポリオール、及び同様のものである。
【0047】
さらに、医薬調製物は、保存剤、溶解剤、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変えるための塩、緩衝液、マスキング剤、又は酸化防止剤を含むことができる。それらはまた、他の治療的に価値ある物質も含むことができる。
【0048】
好ましい医薬調製物は、次の方法を用いることにより得られた:
1.注文製作された管GL25、4cmにおいて4.0gのガラスビーズを計量する(管の半分をビーズにより満たす)。
2.50mgの化合物を添加し、ヘラにより分散し、そしてボルテックスにかける。
3.2mlのゼラチン溶液(ビーズ:ゼラチン溶液(重量)=2:1)を添加し、そしてボルテックスにかける。
4.キャップし、そして光の保護のためにアルミ箔でラップする。
5.ミル用のカウンターバランスを用意する。
6.Retschミルにおいて4時間、20/秒で微粉砕する(ある物質に関しては、30/秒で24時間まで)。
7.400gで2分間の遠心分離により溶液体バイアルに連結した、フィルターホルダー上の二層のフィルター(100μm)によるビーズからの懸濁液を抽出する。
8.抽出物を測定シリンダーに移す。
9.最終体積に達するか、又は抽出物が透明になるまで、少量(ここにおいては、1ml段階)での洗浄を繰り返す。
10.ゼラチンにより最終体積まで満たし、そして均質化する。
【0049】
上記調製は、1〜10μmの粒子サイズを有する式Iの化合物の微小懸濁液を生成する。当該懸濁液は、経口投与のために適切であり、後述するin vivo薬物動態試験において使用した。
【0050】
src−ファミリーのチロシンキナーゼの阻害
src−ファミリーのチロシンキナーゼの阻害剤としての本発明の化合物の活性は、以下のアッセイを用いることで証明した。本明細書で使用する場合、Roはペプチド:NH2−A−E−E−E−I−Y−G−E−F−E−A−K−K−K−K−CONH2 ;Jal33−Roはペプチド:Jal33−G−アミノカプリル酸−A−E−E−E−I−Y−G−E−F−E−A−K−K−K−K−CONH2を指し、ここで、Jal33はLightCycler-Red 640-N-ヒドロキシスクシンイミドエステルであり;PT66はプロテインチロシンキナーゼのリン酸化チロシンを検出することができるホスホチロシン特異的抗体を指し;そしてTCEPはトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを指し:Lck Cisbio Mab PT66-Kは抗ホスホチロシン(PT66)−クリプテートを指し;そしてSrc EG&G Wallac PT66 Eu-W1024はEu3+−標識抗ホスホチロシン(PT66)−クリプテートを指す。
【0051】
SRC−阻害剤アッセイパラメーター:
反応混合物:
ATP:5μM
ペプチド(Ro+Ja133-Ro):10μM
Ja133-Ro 196nM
Ro 9.8μM
PT66 230ng/ml
【0052】
アッセイ緩衝液: 4mMのMgCl2
2mMのTCEP
50mMのHEPES
0.1%Tween20 (pH7.3)
酵素: 2.5U/ml
阻害剤: 最大25μM
最少0.42nM
【0053】
材料:
Eu−標識ホスホチロシン抗体:−Lck Cisbio Mab PT66-K用、
−Src EG & G Wallac PT66Eu-W1024用(すべて市販品)。
【0054】
ペプチド:Ro:NH2−A−E−E−E−I−Y−G−E−F−E−A−K−K−K−K−CONH2、及びa133-Ro:Ja133-G-アミノカプリル酸A−E−E−E−I−Y−G−E−F−E−A−K−K−K−K−CONH2、ここでJa133はLightCycler-Red 640−N-ヒドロキシスクシンイミドエステルである;ここで、両ペプチドは、Zinsser SMP350ペプチド合成機上で、最適化された固相ペプチド合成プロトコール(Merrifield, Fed. Proc. Fed. Amer. Soc. Exp. Biol. 21 (1962) 412)により合成された。手短に言及すれば、ペプチドが160mg(22.8μモル)のRink-Linker変性ポリスチレン固相上で、側鎖機能に依存して、一時的ピペリジン不安定Fmoc−及び永久的酸不安定tert-Bu-, BOC-及びOtert-Bu-基により、それぞれ保護された20倍過剰のアミノ酸を反復して接合することによりアセンブリーされた。基質配列AEEEIYGEFEAKKKKは、スペーサーアミノ酸アミノカプリル酸及びグリシンによりさらに固定されたN−末端であった。N−末端一時的保護基の切断の後、まだ結合され、そして保護されているペプチドが、1.5倍量のLightCycler−Red640−N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(Roche Diagnostics GmbHにより市販されている)及びトリエチルアミンにより標識された。3時間後、樹脂が、青色の樹脂の溶出物が無色になるまで、ジメチルホルムアミド及びイソプロパノールにより洗浄された。十分に保護され、そして標識されたペプチドが、固相から除去され、そして80%トリフルオロ酢酸、10%エタンジチオール、5%チオアニソール及び5%水の混合物による処理により、永久保護基から開放された。最終的に、基質は、分離用逆相HPLC精製により単離された。精製は、12.2mgのRP-HPLC単一ピークの純粋な青色材料(凍結乾燥物)を生成した。同一性は、MALDI質量分光計[2720.0]により証明された。
【0055】
酵素:Upstate Lck (p56lck, 活性)、Upstate Src (p60c-src, 一部精製された)は、UBIにより購入された。
【0056】
時間分解蛍光アッセイ:リーダー:Perkin Elmer, Wallac Viktor 1420-040複数ラベルカウンター;液体取扱いシステム:Backman Coulter, Biamek 2000。ATP, Tween20, HEPESは、Roche Molecular Biochemicalsから購入し、MgCl2及びMnCl2はMerck Euralabから購入し、TCEPはPierceから購入し、384ウェル低体積蛍光プレートはFalconから購入した。
【0057】
アッセイの説明:
最初に、酵素が、対応する量の本発明の阻害剤と共に水性溶液において15℃で15分間、プレインキュベートされる。次に、リン酸化反応が、ATP、ペプチド及びPT66を含む反応混合物を添加し、そして続いて振盪することにより開始される。この反応の進行はすぐに、適切なウェルプレートリーダーにおいて、時間分解蛍光分光計を用いてモニターされる。
【0058】
IC50−値は、非線上曲線適合(Excelfit)を用いることにより、反応から入手され得る。
【0059】
【表1】

【表2】

【0060】
腫瘍阻害に対するin vivoアッセイ:
原発腫瘍を生成するために、HT−29結腸癌細胞(100μlの体積中、2.5×106個)を、1mlの注射器及び26Gの針を用いて、雄重症複合免疫不全(SCID)マウスの左側腹部中に皮下注射する。HT−29細胞は、NCIから得られ、そして細胞銀行に寄与されていた。細胞を融解し、そして実験に使用の前、in vitroで拡張した。マウスを、9日目、処理グループに割り当てる。グループ分けのために(n=12匹のマウス/グループ)、動物をランダム化し、グループ当たり約120mm3の類似する平均原発腫瘍体積を得る。試験化合物を、実際の体重に基づいて10ml/kgの投与体積で、7.5%ゼラチン、0.22%NaCl中、懸濁液として1日当たり1度、経口投与する。処理を10日目で開始し、そして研究の最終日の30日目まで行う。皮下原発腫瘍を、電気カリパスを用いて、腫瘍細胞移植の7日後に開始して、2つの寸法(長さ及び幅)で、週当たり2度、測定する。原発腫瘍の体積を、式:V[mm3]=(長さ[mm]×幅[mm])/2を用いて計算する。さらに、動物の体重を、毎週、少なくとも2度、記録する。最後に、研究の終わりに、腫瘍を外植(explant)し、そして計量する。
【0061】
以下の実施例、引用文献は、本発明、特許請求の範囲に記載されているそれらの範囲の理解を助けるために提供されている。本発明の精神を逸脱することなく前述の手順を変更することができることは理解されるであろう。
【0062】
出発材料
a)エチル3−(2,6−ジクロロフェニル)−2−オキソプロピオナート
12.4gのマグネシウム粉末をアルゴン雰囲気の下1時間攪拌して乾燥させることで活性化した。250mlの乾燥エーテルを添加した。25gの2,6−ジクロロベンジルブロマイドを150mlのエーテルに溶解し、この10mlの溶液を攪拌したマグネシウム懸濁液に添加した。少量のヨウ素を添加し、そして混合物を穏やかに10分間加温して反応を開始させた。続いて、2,6−ジクロロベンジルブロマイド溶液の残りを室温(RT)で1時間後に添加し、そして混合物を続いて2時間還流させた。
【0063】
上記グリニャール溶液を−30℃に冷却し、そして150mlのエーテル中の29.5gのシュウ酸ジエチルに素早く添加し、これを予め−50℃に添加した。混合物を室温で放置し、そして室温での攪拌を更に14時間続けた。
【0064】
混合物を塩酸溶液で洗浄し、真空下で乾燥して濃縮した。最初の群の8.1gの結晶性の表題の生成物を濾過で単離した。第二の群の8.7gのものは、全ての揮発成分を70℃/20mbarで蒸発させた後に得られた。
【0065】
b)3−(2,6−ジクロロフェニル)−2−オキソプロピオン酸
70mlのエタノール中の8.1gの上記エチルエステルを50mlの1.6MのNaOHと一緒に室温で4時間攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、そして水性HClでpHを1〜2に酸性化し、続いてジクロロメタンで抽出した。一まとめにしたジクロロメタン相を1MのNaOHで抽出し、水相を再び酸性化し、そして更にもう1回ジクロロメタンで抽出した。溶媒を真空下で蒸発させることにより5.0gの表題の生成物が生成した。
【0066】
c)6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニルピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸
試験b)由来の3.0gの生成物を20mlの乾燥N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)中に溶解し、そして−20℃に冷却した。2.55gのカリウムtert−ブチレートをゆっくりと添加した。−10℃で、1.777gの4−アミノ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−カルバルデヒドを添加し、そして混合物を70℃に加温した。生じた懸濁液を追加の30mlのDMFで希釈し、そして70℃での混合を3時間続けた。
【0067】
混合物をRTに冷却し、そして300mlの水で希釈した。塩酸でpH1〜2に酸性化して、粗製生成物を沈殿させ、そして濾過し、そして更にクロマトグラフィー(シリカ、酢酸エチル+5%酢酸)で精製した。
表題生成物の収量1.35g
【0068】
d)6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニルピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(7−メタンスルホニルアミノ−エチル)−アミド
試験c)由来の0.45gの生成物を10mlの乾燥DMFに溶解させ、0.215gのカルボニルジイミダゾールを添加し、そして混合物を室温で1時間攪拌した。4mlのDMF中の0.228gの2−メチルスルホニルアミノ−エチルアミンを一滴ずつ添加し、そして混合物を更に2時間攪拌した。混合物を200mlの水で希釈した。粗製の表題の生成物が沈殿し、そしてこれを濾過で回収した。濾液をジクロロメタンで抽出し、有機相を乾燥して蒸発させ、そして残渣を粗製生成物の第一沈殿物と一緒にした。シリカ上でのクロマトグラフィーにより375mgの表題の生成物が生成した。
【0069】
e)2−({[6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニル]−アミノ}−メチル)−ピロリジン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
0.2gの出発材料c)、0.096gの1,1’−カルボニルジイミダゾール(CDI)、及び0.153gの(R)−2−アミノメチル−1−Boc−ピロリジン(Astatechから購入)から、試験d)と同様に行った。
【0070】
DMF中の反応混合物を100mlの水で希釈し、そして沈殿した粗製生成物を濾過により単離した。濾液を塩酸で酸性化し、そしてジクロロメタンで抽出した。上文由来の粗製生成物をジクロロメタン中に溶解し、そして、希塩酸で洗浄し、続いて他のジクロロメタン抽出物と一まとめにした。残渣の蒸発及びシリカゲル上でのクロマトグラフィーにより、152mgの表題の生成物が生成した。
【0071】
f)6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニル−8H−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−オン
50mlのテトラリン中の5.0gの4−アミノ−2−メチルスルファニルピリミジン−5−カルバルデヒドの混合物に対し、10.91gの2,6−ジクロロフェニル酢酸、10.76gのトリエチルアミン及び22.45gの塩化ピバロイルを連続して添加した。混合物を190℃で30分間攪拌し、続いて追加の2.04mlの塩化ピバロイルを添加した。30分後、2.04mlの塩化ピバロイルの次の部分を添加し、そして温度を195℃に上昇させた。更に30分及び60分後、2以上の部分の塩化ピバロイルを添加し、そして最後に攪拌を更に1時間195℃で続けた。
【0072】
約40mlの溶媒を真空下で除去し、100mlのエーテルを添加し、そして沈殿した粗製生成物を濾過により単離した。粗製生成物をエーテル及び水で洗浄して4.16gの表題の生成物を生成させた。
【0073】
g)トリフルオロ−メタンスルホン酸6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−イルエステル
4.0gの出発材料f)を20mlの乾燥N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中で懸濁し、そして0.562gの60%水素化ナトリウムで処理した。30分40℃で攪拌した後、混合物を室温で冷却し、そして7.02gのN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドを添加した。室温で45分経過した後、追加の2.01gのN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミドを添加し、そして攪拌を更に30分間続けた。
【0074】
溶媒を真空下60℃で除去し、そして残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにより精製して、約25%のフェニルトリフルオロメタンスルホンアミドを含む5.38gの表題の生成物を生成させた。2.4gのこの材料を、ジクロロメタン中で溶解して炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄することにより更に精製し、次の段階に使用する1.72gのものを生成させた。
【0075】
h)6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−メチルスルファニル−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
上記由来の1.72gの出発材料g)を、0.423gのテトラキス−(トリフェニルホスフィノ)パラジウム(0)及び0.859gのシアン化亜鉛を含む17.5mlの乾燥NMP中で90℃で75分間処理した。溶媒を真空下で蒸発させ、そして残渣をシリカゲル上でのクロマトグラフィーにかけることで0.50gの表題の生成物が生成した。
【0076】
最終生成物
実施例1
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(ピロリジン−2−イルメチル)−アミド
36mgの70%メタクロロペルオキシ安息香酸(mCPBA)を4mlのジクロロメタン中に溶解し、この溶液を硫酸ナトリウム上での濾過により乾燥させた。乾燥したmCPBA溶液を4mlのジクロロメタン中の75mgの出発材料e)の溶液に室温で添加し、そして酸化反応をTLCでモニタリングした。1時間後、出発材料が消費され、そして過剰のmCPBAは、数滴のジメチルスルフィドの添加によりクエンチングされた。37mgの4−モルホリノアニリンを添加し、そして攪拌を室温で14時間続けた。
【0077】
混合物をジクロロメタンで希釈し、そして10%酢酸水溶液で洗浄した。有機相の蒸発及び残渣のクロマトグラフィーにより67mgのBoc保護された表題の生成物が生成した。
【0078】
上述の材料を2mlのジクロロメタン中に溶解させ、そして2mlの2Mの塩酸/エーテル溶液と一緒に室温で3時間攪拌した。沈殿を濾過で単離し、少量のメタノール中で溶解し、そして炭酸水素カリウム水溶液とジクロロメタンの混合物で希釈した。ジクロロメタン相を分離し、乾燥させ、そして蒸発させることにより41mgの表題の生成物を生成させた。
1H−NMR (CDC13):9.15 (s,1H); 8.47(br,s,1H); 7.95(s,1H); 7.69 (br m, 3H); 7.40 (d, 2H); 7.26 (t,1H) ; 6.98(d, 2H); 3.89 (t, 4H); 3.48 (m, 1H);3. 34 (m, 1H) ; 3.17 (m, 5H); 2.94 (m, 2H); 1.60−2. 00 (m, 3H); 1.40 (m, 1H);
【0079】
実施例2
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド
実施例1と同様に、1.50mgの出発材料d)を29mgのmCPBAを用いてジクロロメタン中室温で酸化した。
【0080】
22mgの4−(4−メチルピペラジノ)アニリンを添加し、そして混合物を14時間室温で攪拌した。追加の10mlのジクロロメタンを用いて希釈した後、混合物を水で洗浄し、有機相を乾燥させ、そして蒸発させ、そしてシリカ上でのクロマトグラフィー(ジクロロメタン19/メタノール1/アンモニア0.5)で更に精製した。表題の化合物の収量44mg。
1H−NMR (CD3OD): 9.28(s,1H); 8.18(s,1H); 7.78 (br d, 2H);7.48 (d, 2H); 7. 36 (t, 1H) ; 7.03 (d, 2H); 4.60(br,s,1H); 3.46 (t, 2H); 3.26 (t) 及び(t, together 6H); 3.20 (s, 3H); 2.65 (t, 4H); 2.36 (s, 3H).
【0081】
実施例3
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド
60mgの出発材料d)を実施例1と同様にmCPBAで酸化した。27mgの3−(2−ヒドロキシエチルスルファニル)アニリンを添加し、そして反応混合物を15時間室温で攪拌した。混合物を10mlのジクロロメタンで希釈し、10%の酢酸水溶液で洗浄し、そして乾燥して蒸発させた。最初に、シリカ上でのカラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール)、続いて、調製用HPLC−MS、そして最終的にシリカ上での調製用TLC(ジクロロメタン/メタノール)による精製は、12mgの表題の生成物を生成させた。
1H−NMR (CDC13): 9.21 (s,1H) ; 8.91 (br s, 1H); 8.07 (s, 1H); 7.83 (br s, 1H); 7.77 (s, 1H); 7.43 (d, 2H); 7.31 (t, 1H) ; 7.25 (m, 1H); 7.05 (d, 1H) ; 6.85 (br s 及びd, 2H); 5.67 (br, 1H) ; 4.13 (m, 2H); 3.58 (m, 2H); 3.35 (m, 4H); 2.93 (s, 3H).
【0082】
実施例4
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
3.5ml中のジクロロメタン中の100mgの出発材料h)を、301mgの2−ベンゼンスルホニル−3−フェニル−オキサジリジンを用いて室温で処理した。5.5時間後、過剰の酸化試薬は、70mgのジメチルスルフィドを添加することでクエンチングした。2.5mlのNMP中の265mgの4−(2−ヒドロキシエチル)アニリンを添加し、そして混合物を室温で18.5時間攪拌した。
【0083】
溶媒を真空下除去し、そして残渣をシリカ上でのクロマトグラフィーにかけることで、過剰のアニリン試薬が混入した220mgの粗製生成物が生成した。当該粗製生成物を酢酸エチル中に溶解し、そして希塩酸水溶液で洗浄した。有機相を乾燥させ、蒸発させ、そして残渣を最終的にヘプタンで粉砕して94mgの表題の生成物を生成させた。
1H−NMR (CDC13): 9.19 (s, 1H); 8.08(s,1H); 7.80 (br,m,2H); 7.63 (br s, 1H) ; 7.52 (d, 2H); 7.42 (t, 1H); 7.00 (d, 2H); 4.12 (m, 2H); 3.99 (m, 2H);
【0084】
実施例5
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸アミド
1mlのTHF中の、実施例3に由来する20mgの生成物を13.5mgのトリメチルシラノール酸カリウムと一緒にアルゴン雰囲気下で混合した。混合物は、マイクロ波リアクター内で100℃に20分間加熱した。
【0085】
冷却した反応混合物を0.1mlの水で希釈し、そして少量のアルミナクロマトグラフィー材料を添加した。この懸濁液を乾燥するまで蒸発し、そして残渣をシリカクロマトグラフィーカラムに充填した。酢酸エチル6/ヘプタン1を用いた溶出により6mgの表題の生成物が生成した。
1H−NMR (DMSO−d6): 10.24(br,s,1H); 9.41 (s, 1H); 8.31 (s, 1H); 8.13(br,s,1H); 7.92 (m, 2H); 7.56 (m, 3H); 7.42 (t, 1H); 6.99 (d, 2H); 4.87 (t, 1H); 4.00 (t, 2H); 3.73 (m, 2H)
【0086】
実施例6
実施例1に記載の手順と同様に、但し、上述の相当の出発材料を用いて、以下の化合物を得ることができる:
【表3】

【表4】

【0087】
実施例7
実施例4に記載の手順と同様に、但し、上述の相当の出発材料を用いて、以下の化合物を得ることができる:
【表5】

【0088】
実施例8
実施例5に記載の手順と同様に、但し、上述の相当の出発材料を用いて、以下の化合物を得ることができる:
【表6】

【0089】
【表7】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式Iの化合物
【化1】

[ここで、
1は−C(O)−NH−アルキル又は−C(O)−N(アルキル)2{これらのアルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換されている(全てのアルキル基は任意に−OHで置換されている)};
あるいは下記基:
−CN;
−C(O)−NH2
−C(O)−NH−ヘテロシクリル;
−C(O)−NH−NH−C(O)−NH2;又は
−C(O)−NH−NH−C(O)-アルキル{このアルキルは任意に−NH(アルキル);又は−N(アルキル)2により置換されている}であり;そして
2は、
ハロゲン;
ヘテロシクリル;
アルキル;
−NH−C(O)−アルキル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−(CH2)m−S(O)2−NH2
−(CH2)m−S(O)2−N(アルキル)2
−(CH2)m−S(O)2−NH-(アルキル);
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり{全てのアルキル基は任意に
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されている};
Xは−CH=又は−N=であり;
mは、0,1,2,3,4,5又は6であり;
nは、0,1又は2である]、及び医薬として許容されるその塩。
【請求項2】
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−アルキルであり、当該アルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換されており、全てのアルキル基は任意に−OHで置換されており;且つ
2が請求項1で示した意味を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−メチル;又は
−C(O)−NH−エチルであり、このメチル又はエチルが置換されておらず、又は
1回
−OH;
−ピロリジニル;又は
−NH−S(O)2−CH3
で置換されており;且つ
2が請求項1で示した意味を有する、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−エチル;又は
−C(O)−NH−メチルであり、このエチル又はメチルが1回
−OH;又は
−ピロリジニル
で置換されており;且つ
2がモルホリン−4−イル;
4−メチル−ピペラジン−1−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
請求項1に記載の化合物;及び
医薬として許容されるその塩。
【請求項5】
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−ヒドロキシ−エチル)−アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸((R)−1−ピロリジン−2−イルメチル)−アミド;及び
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸((R)−1−ピロリジン−2−イルメチル)−アミド、である、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH−(CH22−NH−S(O)2−CH3であり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
4−メチル−ピペラジン−1−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
請求項1に記載の化合物;及び
医薬として許容されるその塩。
【請求項7】
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(3−メタンスルホニルアミノ−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[3−(2−ヒドロキシ−エチルスルファニル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(4−メチル−ピペラジン−1−イル)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド;及び
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(3−メチルスルファニル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド、
である、請求項6に記載の化合物。
【請求項8】
Xが−CH=であり;
1が−C(O)−NH2であり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
請求項6に記載の化合物;及び
医薬として許容されるその塩。
【請求項9】
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸アミド;及び
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸アミド
である、請求項8に記載の化合物。
【請求項10】
Xが−CH=であり;
1が−CNであり;且つ
2がモルホリン−4−イル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
請求項1に記載の化合物;及び
医薬として許容されるその塩。
【請求項11】
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ジエチルアミノ−エトキシ)−フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル ;
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−(4−モルホリン−4−イル−フェニルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル;及び
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2−[4−(2−ヒドロキシ−エトキシ)フェニルアミノ]−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボニトリル
である、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
Xが−N=であり;
1が−C(O)−NH−(CH22−NH−S(O)2−CH3であり;且つ
2がアルキル;
−NH−S(O)2−CH3
−O−アルキル;又は
−S(O)n−アルキルであり、全てのアルキルが任意に1回
−OH;
−O−アルキル;
−NH−アルキル;若しくは
−N(アルキル)2
で置換されており;
nは0,1又は2である、
請求項1に記載の化合物;及び
医薬として許容されるその塩。
【請求項13】
6−(2,6−ジクロロ−フェニル)−2− (6−メチル−ピリジン−3−イルアミノ)−ピリド[2,3−d]ピリミジン−7−カルボン酸(2−メタンスルホニルアミノ−エチル)アミド、である、請求項12に記載の化合物。
【請求項14】
以下の反応工程
(a)一般式(II)の化合物
【化2】

のカルボン酸基を式(V)の相当のアミド
【化3】

[ここで、
3は−C(O)−NH−アルキル又は−C(O)−N(アルキル)2{これらのアルキル基は、任意に
−OH;
−NH(アルキル);
−N(アルキル)2
−NH−C(O)−アルキル;
−C(O)−NH−アルキル;
−C(O)−N(アルキル)2
−C(O)−NH2
−O−アルキル;
−ヘテロシクリル;
−NH−ヘテロシクリル;
−NH−S(O)2−アルキル;
−S(O)2−NH2;又は
−S(O)−アルキル
で置換されており(全てのアルキル基は任意に−OHで置換されている)};
あるいは下記基:
−C(O)−NH2
−C(O)−NH−ヘテロシクリル;
−C(O)−NH−NH−C(O)−NH2;又は
−C(O)−NH−NH−C(O)-アルキル(このアルキルは任意に−NH(アルキル);又は−N(アルキル)2により置換されている)である]
に変換する工程、
b)一般式(V)の化合物のメチルチオ基を、式(VI)の相当のスルホキシド
【化4】

(ここで、R3は上文に示した意味を有する)
に変換する工程;
c)式(VI)のスルホキシド基を、式(II−A)
【化5】

(ここで、R2及びXは、請求項1の式(I)で示した意味を有する)
の各アニリンで置換して一般式(Ia)の相当の化合物
【化6】

(ここで、R3は上文で示した意味を有し;
且つR2及びXは請求項1の式(I)で示した意味を有する)
の各アニリンで置換する工程;
(d)所望により、工程(c)から得られた式(Ia)の第一級アミド誘導体を請求項1に記載の式(I)の、その相当の7−カルボニトリル誘導体に更に変換する工程;並びに
(e)所望により、(c)又は(d)から得られた式(I)の前記化合物を医薬として許容される塩に変換する工程、
を実施することによる、請求項1に記載の式(I)の化合物の製造方法。
【請求項15】
医薬として許容される賦形剤と一緒に、請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物を活性成分として含む薬物。
【請求項16】
srcファミリーチロシンキナーゼの不適切な活性化により媒介される疾患の処置のための請求項15に記載の薬物。
【請求項17】
ガンの処置のための請求項15に記載の薬物。
【請求項18】
炎症性−、免疫学的−、CNS障害又は骨疾患の処置のための請求項15に記載の薬物。
【請求項19】
srcファミリーチロシンキナーゼの不適切な活性化により媒介される疾患の処置のための薬物の製造のための請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項20】
ガンの処置のための薬物の製造のための請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項21】
srcファミリーチロシンキナーゼ阻害剤としての請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。
【請求項22】
ガンの処置のための請求項1〜13のいずれか1項に記載の1又は複数の化合物の使用。

【公表番号】特表2007−529451(P2007−529451A)
【公表日】平成19年10月25日(2007.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−503267(P2007−503267)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【国際出願番号】PCT/EP2005/002700
【国際公開番号】WO2005/090344
【国際公開日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】