説明

新規チアゾロピラゾール及びその使用方法

本発明は、式(I)の新規チアゾロピラゾール化合物及びそれを含む組成物に関する。さまざまな疾患及び障害を治療、予防、及び管理するためのこれらの化合物の使用方法も本発明に包含される。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、本明細書にその全体を援用する、2004年3月31日に出願した米国仮出願第60/557,699号の優先権を主張する。
【0002】
1. 発明の分野
本発明は、新規チアゾロピラゾール、並びにさまざまな疾患及び障害を治療、予防、及び管理するためのその使用方法に関するものである。
【背景技術】
【0003】
2. 発明の背景
プロテインキナーゼ(PK)は、タンパク質のチロシン残基、セリン残基、及びスレオニン残基上のヒドロキシル基のリン酸化を触媒する酵素である。タンパク質のリン酸化は、細胞成長、分化、及び増殖などのさまざまな細胞活性を調節する。異常なPK活性は、乾癬のように比較的命に別条はない疾患から膠芽細胞腫(脳腫瘍)のように極めて悪性な疾患まで、多数の障害に関連している。
【0004】
PK活性を調節する方法を同定する試みに、かなりの努力が費やされている。例としては:実際の細胞内プロセスに関与するものを模倣した高分子を用いる生体模倣法である(例えば、変異体リガンド(米国特許第4,966,849号);可溶性受容体及び抗体(WO94/10202号;Kendallら、Proc.Natl.Acad.Sci.USA、90:10705−09(1994);Kimら、Nature、362:841−844(1993));RNAリガンド(Jelinekら、Biochemistry、33:10450−56);Takanoら、Mol.Bio.Cell、4:358A(1993);Kinsellaら、Exo.Cell Res.、199:56−62(1992);Wrightら、J.Cellular Phys.、152:448−57);並びにチロシンキナーゼインヒビター(WO94/03427号;WO92/21660号;WO91/15495号;WO94/14808号;米国特許第5,330,992号;Marianiら、Proc.Am.Assoc.Cancer Res.、35:2268(1994))。こうした試みにもかかわらず、PK活性を調節する有効な方法に対する必要性が依然として存在している。
【発明の開示】
【0005】
3. 発明の概要
本発明は、式(1)の化合物:
【0006】
【化1】

【0007】
式中:
XはCH又はNであり;
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0008】
他の態様では、本発明は、式(2)の化合物:
【0009】
【化2】

【0010】
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
はH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0011】
1つの特定の態様では、RとRは、それらが結合している窒素原子とともに置換されていてもよい複素環を形成する。置換されていてもよい複素環の例は、置換されていてもよいピロリジンである。
【0012】
他の特定の態様では、RはHであり、Rは低級アルキルである。
他の特定の態様では、RはHであり、Rはシクロプロピルである。
他の特定の態様では、R及びRはともに低級アルキルである。
【0013】
他の特定の態様では、RはHであり、Rはアリールである。
他の特定の態様では、RはHであり、Rはフェニルである。
他の特定の態様では、Rは分岐鎖アルキル(例えばt−ブチル)である。
【0014】
他の特定の態様では、Rは置換されていてもよいアリール(例えば置換されていてもよいフェニル)である。
他の特定の態様では、Rはt−ブチルであり、Rは置換されていてもよいフェニルである。
【0015】
他の態様では、本発明は、式(3)の化合物:
【0016】
【化3】

【0017】
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0018】
1つの特定の態様では、Rは分岐鎖アルキル(例えばt−ブチル)である。
他の態様では、Rは置換されていてもよいアリール(例えば置換されていてもよいフェニル)である。
【0019】
他の態様では、Rはt−ブチルであり、Rはp−メチル−フェニルである。
他の態様では、RはHであり、Rは置換されていてもよいアルキル、特に置換されていてもよい分岐鎖アルキルである。
【0020】
他の態様では、RはHであり、Rはヘテロアリール、複素環、若しくはアルコキシで置換された、直鎖又は分岐鎖アルキルである。
本発明の他の態様は、式(1)、(2)、又は(3)の化合物、及びその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、又はプロドラッグを含む医薬組成物を包含する。
【0021】
他の態様では、本発明は、さまざまな疾患及び障害を治療、予防、及び管理するための方法を包含するものであり、そのような治療、予防、又は管理を必要とする患者(例えば哺乳動物、好ましくはヒト)に、治療的に又は予防的に有効量の式(1)、(2)、若しくは(3)の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグを投与することを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
4. 発明の詳細な説明
本発明は、新規チアゾロピラゾール化合物、それを含む医薬組成物及び剤形、並びにそれを用いてさまざまな疾患又は障害を治療、予防、及び管理する方法を包含する。疾患又は障害の例には、限定されるものではないが:アレルギー性疾患(例えば免疫不全症及び過敏症);心血管疾患(例えば高血圧症及び動脈硬化症);歯科又は口腔の障害(例えば口腔粘膜の炎症);皮膚疾患(例えば皮膚炎及び皮膚感染);物理的要因による障害(例えば高山病又は乗物酔い);内分泌障害又は代謝障害(例えば下垂体機能低下症及び甲状腺機能亢進症);消化器疾患(例えば炎症性腸疾患及び膵炎);泌尿生殖器疾患(例えば尿失禁及び筋神経性障害);婦人科又は産科の疾患(例えば性機能障害及び婦人科炎症);血液疾患又は腫瘍性疾患(例えば貧血、骨髄増殖性疾患、及びがん);肝疾患及び胆道系疾患(例えば脂肪肝及び肝炎);感染性疾患(例えば細菌、ウイルス、又は真菌感染による疾患);筋骨格及び結合組織の障害(例えば関節リウマチ及び全身性硬化症);神経障害(例えば疼痛性障害及び睡眠障害);栄養障害(例えばタンパク質エネルギー低栄養);眼科障害(例えば結膜炎及び角膜炎);精神障害(例えば不安障害及び気分障害);並びに肺疾患(例えば喘息及び気管支炎)が含まれる。
【0023】
4.1 定義
特に明示のない限り、本明細書において使用するさまざまな用語及び語句の意味は以下に記載の通りである。
【0024】
「アルキル」という用語は、1〜20の炭素原子、具体的には1〜10の炭素原子、より具体的には1〜4の炭素原子を有する、飽和直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。「低級アルキル」という用語は、1〜10、具体的には1〜6、より具体的には1〜4の炭素原子を有する炭化水素を意味する。アルキル基は、置換されていてもよい直鎖、分岐鎖、又は環状(シクロアルキル)の飽和炭化水素基である。置換されている場合、アルキル基は、利用可能な結合点において本明細書に記載のように置換され得る。アルキル基で置換されたアルキル基は、「分岐鎖アルキル基」と呼ぶことができる。未置換アルキル基の例には、限定されるものではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、t−ブチル、イソブチル、ペンチル、ヘキシル、イソヘキシル、ヘプチル、4,4−ジメチルペンチル、オクチル、2,2,4−トリメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、及びドデシルが含まれる。アルキル基は、1以上の炭素−炭素2重結合又は1以上の炭素−炭素3重結合を含むこともできる。
【0025】
「アルケニル」という用語は、2〜20の炭素原子、具体的には2〜10の炭素原子、より具体的には2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素2重結合を含む直鎖又は分岐鎖炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分岐鎖(C〜C10)アルケニルには、ビニル、アリル、1−ブテニル、2−ブテニル、イソブチレニル、1−ペンテニル、2−ペンテニル、3−メチル−1−ブテニル、2−メチル−2−ブテニル、2,3−ジメチル−2−ブテニル、1−ヘキセニル、2−ヘキセニル、3−ヘキセニル、1−ヘプテニル、2−ヘプテニル、3−ヘプテニル、1−オクテニル、2−オクテニル、3−オクテニル、1−ノネニル、2−ノネニル、3−ノネニル、1−デセニル、2−デセニル、及び3−デセニルが含まれる。アルケニル基の2重結合は、他の不飽和基に結合していなくても結合していてもよい。アルケニル基は未置換でも置換されていてもよい。
【0026】
「アルキニル」という用語は、2〜20の炭素原子、具体的には2〜10の炭素原子、より具体的には2〜6の炭素原子を有し、少なくとも1つの炭素−炭素3重結合を含む、直鎖又は分岐鎖非環式炭化水素を意味する。代表的な直鎖及び分岐鎖−(C〜C10)アルキニルには、アセチレニル、プロピニル、1−ブチニル、2−ブチニル、1−ペンチニル、2−ペンチニル、3−メチル−1−ブチニル、4−ペンチニル、1−ヘキシニル、2−ヘキシニル、5−ヘキシニル、1−ヘプチニル、2−ヘプチニル、6−ヘプチニル、1−オクチニル、2−オクチニル、7−オクチニル、1−ノニニル、2−ノニニル、8−ノニニル、1−デシニル、2−デシニル、9−デシニルなどが含まれる。アルキニル基の3重結合は、他の不飽和基に結合していなくても結合していてもよい。アルキニル基は未置換でも置換されていてもよい。
【0027】
「アルコキシ」という用語は、酸素連結(−O−)を介して結合したアルキル基を意味する。アルコキシの例には、限定されるものではないが、−OCH、−OCHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、−O(CHCH、及び−O(CHCHが含まれる。
【0028】
「アリール」という用語は、単環式及び二環式芳香環、例えばフェニル、並びに融合した基、例えばナフチル又はフェナントレニルを意味する。したがって、アリール基は、少なくとも6原子を有する少なくとも1つの環を含有し、そのような環は5つまで存在し、その中には22以下の原子を含有し、隣接炭素原子又は好適な異種原子のあいだに交互(共鳴)2重結合を有する。アリール基は、本明細書で定義するように、1以上の置換基で置換されていてもよい。代表的なアリール基には、限定されるものではないが、フェニル、トリル、アントラセニル、フルオレニル、インデニル、アズレニル、フェナントレニル、及びナフチルが含まれる。
【0029】
「アリールアルキル」という用語は、アルキル基に結合した芳香環を意味する。
「シクロアルキル」という用語は、炭素原子間に交互又は共鳴2重結合のない、3〜15の炭素原子を含有するアルキルの1種を意味する。1〜4の環を含有することができる。未置換シクロアルキルの例には、限定されるものではないが、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、及びアダマンチルが含まれる。シクロアルキルは、以下に定義するように、1以上の置換基で置換されていてもよい。
【0030】
「ハロゲン」又は「ハロ」という用語は、塩素、臭素、フッ素、又はヨウ素を意味する。
「ヘテロアルキル」という用語は、N、O、P、B、S、Si、Sb、Al、Sn、As、Se、又はGeなどの異種原子を含むアルキル部分を意味する。異種原子は、飽和又は不飽和結合によって、ヘテロアルキルの残りの部分に結合することができる。したがって、ヘテロシクロアルキル、置換ヘテロシクロアルキル、ヘテロアリール、置換ヘテロアリール、アルコキシ、アリールオキシ、ボリル、ホスフィノ、アミノ、シリル、チオ、又はセレノのような基で置換されたアルキルは、ヘテロアルキルという用語の範囲内である。ヘテロアルキルの例には、限定されるものではないが、シアノ、ベンゾイル、2−ピリジル、及び2−フリルが含まれる。
【0031】
「ヘテロアリール」という用語は、5〜14の環原子を含有し、そのうちの少なくとも1つ(例えば1、2、又は3)は異種原子(例えば窒素、酸素、又は硫黄)である炭素環式芳香環を意味する。ヘテロアリール環構造には、限定されるものではないが、単環式、二環式、及び三環式化合物、並びに融合複素環部分が含まれる。ヘテロアリールの例には、限定されるものではないが、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサジアゾリル、ピリジル、フリル、ベンゾフラニル、チオフェニル、チアゾリル、ベンゾチオフェニル、ベンゾイソオキサゾリル、ベンゾイソチアゾリル、キノリニル、ピロリル、インドリル、オキサゾリル、ベンゾオキサゾリル、イミダゾリル、ベンズイミダゾリル、チアゾリル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾリル、ピラゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、トリアジニル、シンノリニル、フタラジニル、キナゾリニル、ベンゾキナゾリニル、アクリジニル、ピリミジル、オキサゾリル、ベンゾ[1,3]ジオキソール、及び2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシンが含まれる。基は未置換でも置換されていてもよい。
【0032】
「ヘテロアリールアルキル」という用語は、アルキル基が結合しているヘテロアリール基を意味する。
「複素環」という用語は、炭素及び水素原子を含み、場合により1又は2の多重結合を有する単環式又は多環式環を意味し、環原子は少なくとも1つの異種原子、具体的には独立して窒素、酸素、及び硫黄から選択される1〜3の異種原子を含有する。複素環構造には、限定されるものではないが、単環式、二環式、及び三環式化合物が含まれる。特定の複素環は、単環式又は二環式である。代表的な複素環には、モルホリニル、ピロリジノニル、ピロリジニル、ピペリジニル、ピペラジニル、ヒダントイニル、バレロラクタミル、オキシラニル、オキセタニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロピラニル、テトラヒドロピリジニル、テトラヒドロピリミジニル、テトラヒドロチオフェニル、及びテトラヒドロチオピラニルが含まれる。複素環は、未置換でも置換されていてもよい。
【0033】
「ヘテロシクロアルキル」という用語は、環の少なくとも1つの炭素原子が異種原子(例えばO、S、又はN)で置換されているシクロアルキル基を意味する。
「ヘテロシクロアルキルアルキル」という用語は、アルキル基が結合したヘテロシクロアルキル基を意味する。
【0034】
「置換された」という用語は、化学構造又は部分を記載するために用いる場合は、その構造又は部分の誘導体を意味する。ここで、1以上の水素原子は、限定されるものではないが:アルキル、アルケニル、アルキニル、及びシクロアルキル;アルコキシアルキル;アロイル;ハロ;ハロアルキル(例えばトリフルオロメチル);ヘテロシクロアルキル;ハロアルコキシ(例えばトリフルオロメトキシ);ヒドロキシ;アルコキシ;シクロアルキルオキシ;ヘテロシクロオキシ;オキソ;アルカノイル;アリール;ヘテロアリール(例えばインドリル、イミダゾリル、フリル、チエニル、チアゾリル、ピロリジル、ピリジル、及びピリミジル);アリールアルキル;アルキルアリール;ヘテロアリール;ヘテロアリールアルキル;アルキルヘテロアリール;ヘテロシクロ;ヘテロシクロアルキル−アルキル;アリールオキシ、アルカノイルオキシ;アミノ;アルキルアミノ;アリールアミノ;アリールアルキルアミノ;シクロアルキルアミノ;ヘテロシクロアミノ;モノ及びジ置換アミノ;アルカノイルアミノ;アロイルアミノ;アラルカノイルアミノ;アミノアルキル;カルバミル(例えばCONH);置換カルバミル(例えばCONH−アルキル、CONH−アリール、CONH−アリールアルキル、又は窒素上に2つの置換基が存在する場合);カルボニル;アルコキシカルボニル;カルボキシ;シアノ;エステル;エーテル;グアニジノ;ニトロ;スルホニル;アルキルスルホニル;アリールスルホニル;アリールアルキルスルホニル;スルホンアミド(例えばSONH);置換スルホンアミド;チオール;アルキルチオ;アリールチオ;アリールアルキルチオ;シクロアルキルチオ;ヘテロシクロチオ;アルキルチオノ;アリールチオノ;及びアリールアルキルチオノなどの置換基で置換されている。ある態様では、置換基自体が、限定されるものではないが本明細書に記載のような1以上の化学部分で置換されていてもよい。
【0035】
「医薬的に許容可能な塩」という用語は、医薬的に許容可能な非毒性の、無機の酸及び塩基並びに有機の酸及び塩基を含む、酸又は塩基から調製される塩を意味する。好適な医薬的に許容可能な塩基付加塩には、限定されるものではないが、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、及び亜鉛から作製される金属塩、並びにリジン、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン(N−メチルグルカミン)、及びプロカインから作製される有機塩が含まれる。好適な非毒性の酸には、限定されるものではないが、酢酸、アルギン酸、アントラニル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エテンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、フロ酸、ガラクツロン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩化水素酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、ムチン酸、硝酸、パモン酸、パントテン酸、フェニル酢酸、リン酸、プロピオン酸、サリチル酸、ステアリン酸、コハク酸、スルファニル酸、硫酸、酒石酸、及びp−トルエンスルホン酸などの無機酸及び有機酸が含まれる。特定の非毒性酸には、塩化水素酸、臭化水素酸、リン酸、硫酸、及びメタンスルホン酸が含まれる。したがって、特定の塩の例には、塩酸塩及びメシル酸塩が含まれる。他のものも当該技術分野に周知である。例えば『レミントンの薬学』(第18版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルバニア州:1990)、及び『レミントン:製薬の科学と実践』(第l9版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルバニア州:1995)を参照されたい。
【0036】
「溶媒和物」という用語は、非共有結合的分子間力で結合した化学量論的又は非化学量論的な量の溶媒を更に含む、化合物又はその塩を意味する。溶媒が水の場合、溶媒和物は水和物である。
【0037】
「プロドラッグ」という用語は、生物学的条件下(in vitro又はin vivo)で加水分解、酸化、又は他の反応を行い、活性化合物、特に本発明の化合物を提供できる化合物の誘導体を意味する。プロドラッグの例には、限定されるものではないが、生体内加水分解可能なアミド、生体内加水分解可能なエステル、生体内加水分解可能なカルバミン酸塩、生体内加水分解可能な炭酸塩、生体内加水分解可能なウレイド、及び生体内加水分解可能なリン酸塩アナログなどの生体内加水分解可能な部分を含む、本発明の化合物の誘導体及び代謝産物が含まれる。カルボキシル官能基を有する化合物の特定のプロドラッグは、カルボン酸の低級アルキルエステルである。カルボン酸塩は、分子上のカルボン酸部分をエステル化することによって簡便に形成される。プロドラッグは、典型的には、『Burgerの医薬品化学と薬物の発見』、第6版(Donald J.Abraham編、2001、Wiley)、及び『プロドラッグのデザインと適用』(H.Bundgaard編、1985、Harwood Academic Publishers Gmfh)に記載のような周知の方法で調製することができる。
【0038】
本明細書において、特に明示のない限り、「生体内加水分解可能なアミド」、「生体内加水分解可能なエステル」、「生体内加水分解可能なカルバミン酸塩」、「生体内加水分解可能な炭酸塩」、「生体内加水分解可能なウレイド」、「生体内加水分解可能なリン酸塩」という用語は、それぞれ、1)化合物の生物活性を妨げないが、in vivoで、吸収、作用の持続時間、又は作用の開始などの有益な特性を化合物に付与できる化合物;あるいは、2)生物学的に不活性であるがin vivoで生物学的に活性な化合物に変換される化合物のアミド、エステル、カルバミン酸塩、炭酸塩、ウレイド、又はリン酸塩を意味する。生体内加水分解可能なエステルの例には、限定されるものではないが、低級アルキルエステル、アルコキシアシルオキシエステル、アルキル アシルアミノ アルキルエステル、及びコリンエステルが含まれる。生体内加水分解可能なアミドの例には、限定されるものではないが、低級アルキルアミド、α−アミノ酸アミド、アルコキシアシルアミド、及びアルキルアミノアルキルカルボニルアミドが含まれる。生体内加水分解可能なカルバミン酸塩の例には、限定されるものではないが、低級アルキルアミン、置換エチレンジアミン、アミノ酸、ヒドロキシアルキルアミン、複素環アミン及び複素芳香族アミン、並びにポリエーテルアミンが含まれる。
【0039】
本明細書において、特に明示のない限り、「ステレオマー的に(stereomerically)純粋な」という用語は、化合物の1つの立体異性体を含み、その化合物の他の立体異性体を実質的に含まない組成物を意味する。例えば、1つの立体中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、化合物の反対の立体異性体を実質的に含まないであろう。2つの立体中心を有する化合物のステレオマー的に純粋な組成物は、化合物の他のジアステレオマー実質的に含まないであろう。典型的なステレオマー的に純粋な化合物は、約80重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約20重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、より好ましくは約90重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約10重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、更により好ましくは約95重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約5重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含み、最も好ましくは約97重量%を越える化合物の1つの立体異性体と、約3重量%未満の化合物の他の立体異性体とを含む。
【0040】
本明細書において、特に明示のない限り、「立体異性体混合物」という用語は、ラセミ混合物、及びステレオマー的に富んだ混合物を包含する(例えば、R/S=30/70、35/65、40/60、45/55、55/45、60/40、65/35、及び70/30)。
【0041】
本明細書において「治療」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患するあいだに起こる作用を意図するものであり、疾患又は障害の重篤度を軽減させるか、あるいは疾患又は障害の進行を抑制若しくは遅延させる。
【0042】
本明細書において、特に明示のない限り、「予防」という用語は、患者が特定の疾患又は障害に罹患し始める前に起こる作用を意図するものであり、疾患又は障害の重篤度を阻害又は軽減させる。
【0043】
本明細書において、特に明示のない限り、「管理」という用語は、特定の疾患又は障害の再発を、すでに疾患又は障害に罹患した患者において予防すること、及び/又は疾患又は障害に罹患している患者の寛解時期を延長させることを包含する。この用語は、疾患又は障害の閾値、発症、及び/又は継続期間を調節すること、あるいは患者が疾患又は障害に反応する方法を変化させることを包含する。
【0044】
本明細書において、特に明示のない限り、化合物の「治療的に有効量」は、疾患又は病態の治療又は管理において治療的恩恵を提供すること、あるいは疾患又は病態に関連した1以上の症状を遅延又は最小にするのに十分な量である。化合物の治療的に有効量は、疾患又は病態の治療又は管理に治療的恩恵を提供する、治療剤の単独又は他の療法を併用した量を意味する。「治療的に有効量」という用語は、療法全体を向上させ、疾患又は病態の症状又は病因を軽減又は回避し、あるいは他の治療剤の治療的有効性を高める量を包含することができる。
【0045】
本明細書において、特に明示のない限り、化合物の「予防的に有効量」は、疾患若しくは病態、又は疾患若しくは病態に関連した1以上の症状を予防し、あるいはその再発を予防するのに十分な量である。化合物の予防的に有効量は、疾患の予防に予防的恩恵を提供する、治療剤の単独又は他の薬剤を併用した量を意味する。「予防的に有効量」という用語は、予防法全体を向上させ、又は他の予防剤の予防的有効性を高める量を包含することができる。
【0046】
表記した構造とその構造に付した名称とのあいだに相違がある場合は、構造のほうが重視されるべきであることに注意されたい。加えて、構造又は構造の部分の空間的配置が例えば太線又は破線で示されていない場合、その構造又は構造の部分は全ての立体異性体を包含するものと解釈されるべきである。
【0047】
4.2 本発明の化合物
本発明は、式(1)の化合物:
【0048】
【化4】

【0049】
式中:
XはCH又はNであり;
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
はH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0050】
他の態様では、本発明は、式(2)の化合物:
【0051】
【化5】

【0052】
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0053】
1つの特定の態様では、RとRは、それらが結合している窒素原子とともに置換されていてもよい複素環を形成する。置換されていてもよい複素環の例は、置換されていてもよいピロリジンである。
【0054】
他の特定の態様では、RはHであり、Rは低級アルキルである。
他の特定の態様では、RはHであり、Rはシクロプロピルである。
他の特定の態様では、R及びRはともに低級アルキルである。
【0055】
他の特定の態様では、RはHであり、Rはアリールである。
他の特定の態様では、RはHであり、Rはフェニルである。
他の特定の態様では、Rは分岐鎖アルキル(例えばt−ブチル)である。
【0056】
他の特定の態様では、Rは置換されていてもよいアリール(例えば置換されていてもよいフェニル)である。
他の特定の態様では、Rはt−ブチルであり、Rは置換されていてもよいフェニルである。
【0057】
本発明の特定の化合物には、表1に列挙したもの、並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、ラセミ混合物、ステレオマー的に富んだ混合物、及びプロドラッグが含まれる。
【0058】
【表1−1】

【0059】
【表1−2】

【0060】
【表1−3】

【0061】
【表1−4】

【0062】
【表1−5】

【0063】
追加の例には、限定されるものではないが、表2の化合物、並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、ラセミ混合物、ステレオマー的に富んだ混合物、及びプロドラッグが含まれる。
【0064】
【表2−1】

【0065】
【表2−2】

【0066】
【表2−3】

【0067】
【表2−4】

【0068】
【表2−5】

【0069】
【表2−6】

【0070】
【表2−7】

【0071】
【表2−8】

【0072】
【表2−9】

【0073】
【表2−10】

【0074】
【表2−11】

【0075】
【表2−12】

【0076】
【表2−13】

【0077】
【表2−14】

【0078】
【表2−15】

【0079】
【表2−16】

【0080】
【表2−17】

【0081】
【表2−18】

【0082】
【表2−19】

【0083】
【表2−20】

【0084】
【表2−21】

【0085】
【表2−22】

【0086】
【表2−23】

【0087】
【表2−24】

【0088】
また、本発明は、式(3)の化合物:
【0089】
【化6】

【0090】
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはR及びRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
はH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである、
並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、及びプロドラッグを包含する。
【0091】
1つの特定の態様では、Rは分岐鎖アルキル(例えばt−ブチル)である。
他の態様では、Rは置換されていてもよいアリール(例えば置換されていてもよいフェニル)である。
【0092】
他の態様では、Rはt−ブチルであり、Rはp−メチル−フェニルである。
他の態様では、RはHであり、Rは置換されていてもよいアルキル(例えば置換されていてもよい分岐鎖アルキル)である。
【0093】
他の態様では、RはHであり、Rはヘテロアリール、複素環、若しくはアルコキシで置換された、直鎖又は分岐鎖アルキルである。
特定の化合物には、限定されるものではないが、表3に列挙した化合物、並びにその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、ラセミ混合物、ステレオマー的に富んだ混合物、及びプロドラッグが含まれる。
【0094】
【表3−1】

【0095】
【表3−2】

【0096】
【表3−3】

【0097】
【表3−4】

【0098】
本発明のさまざまな化合物は、1以上の立体中心を含有することができ、エナンチオマーのラセミ混合物として又はジアステレオマーの混合物として存在することができる。本発明は、ステレオマー的に純粋な形態のそのような化合物の使用、及びそれらの形態の混合物の使用を包含する。例えば、等量又は異なった量の本発明の具体的化合物のエナンチオマーを含む混合物は、本発明の方法及び組成物に使用することができる。これらの異性体は、非対照的に合成されるか、又はキラルカラム若しくはキラル分割剤などの標準技術を用いて分割されることができる。例えば、Jacques,J.ら、『エナンチオマー、ラセミ化合物と分割』(Wiley−Interscience、ニューヨーク、1981);Wilen,S.H.ら、Tetrahedron 33:2725(1977);Eliel,E.L.、『炭素化合物の立体化学』(McGraw−Hill、ニューヨーク、1962);及びWilen,S.H.、『分割剤と光学分割の表』、p.268(E.L.Eliel監修、ノートルダム大学出版、ノートルダム、インディアナ州、1972)を参照されたい。
【0099】
本発明の化合物は、非結晶性又は結晶性の固体として存在することができる。本発明の結晶性化合物は、1以上の多形型で存在することができ、それらは全て本発明に包含される。
【0100】
4.3 本発明の化合物の製造
本発明の化合物は、当該技術分野に公知の方法、及び本明細書に記載の方法を用いて製造することができる。例えば、ある化合物は以下に示すようにして製造することができる。
【0101】
【化7】

【0102】
この方法によれば、式IIの化合物(式中、Rは水素、アルキル、アリール、又はヘテロアリールである)は、式Iの化合物と、シアノピルビン酸エチルナトリウムとの反応によって製造される。式Iの化合物の水溶液と、1当量の硫酸、TFA、酢酸、又は硝酸などの酸とを、乾性THF、トルエン、塩化メチレン、又はクロロホルム、好ましくはクロロホルム中のシアノピルビン酸エチルナトリウム溶液にゆっくり加える。反応は約−10℃〜約200℃の温度、好ましくは室温で約12時間〜5日間行う。次に、得られた粗生成物を密閉チューブ内の1−ブタノール、エタノール、メタノール、又はイソプロパノールに溶解する。混合物を約25℃〜約200℃、好ましくは約100℃〜約150℃の温度で、約12〜48時間インキュベーションする。次に、粗生成物を、ヘキサンと酢酸エチルとの混合物を用いてSiOカラムクロマトグラフィで精製するか、又はヘキサン及びエーテルなどの有機溶媒の混合物を用いた再結晶により精製する。
【0103】
式IIIの化合物は、式IIの化合物と、チオイソシアネートとの反応によって製造することができる。チオイソシアネートは市販されており、又はOrg.Syn.、28:98(1948)、及びJ.Am.Chem.Soc.、77:5440(1955)に開示された手順にしたがい、対応の酸塩化物とチオシアン酸カリウムとの反応によって調製することができる。無水THF、トルエン、クロロホルム、塩化メチレン、1−ブタノール、エタノール、又はエーテル中の式IIの化合物の溶液を、1当量のチオイソシアネートとともに、約25℃〜約200℃、好ましくは約80℃〜約150℃の温度でインキュベーションする。Bがカルボニルの場合は、好ましい温度は約80℃〜約100℃である。Bが存在しない他の場合は、好ましい温度は約120℃〜約150℃である。
【0104】
式IVの化合物は、溶媒中、式IIIの化合物を、N−ブロモスクシンイミド又はN−ヨードスクシンイミドなどのハロゲン化試薬と、約0℃〜約150℃、好ましくは約0℃〜約60℃の温度で反応させることにより製造することができる。好適な溶媒は、クロロホルム、塩化メチレン、THF、アセトニトリル、ベンゼン、トルエン、又はエーテルなどの有機溶媒である。反応はLCMS及び/又はTLCで典型的には約1〜12時間モニターされる。
【0105】
式Vの化合物は、溶媒中、式IVの化合物を、約0℃〜約100℃の温度で、簡便には室温で塩基と反応させることにより製造することができる。好適な塩基には、水酸化リチウム1水和物、水酸化ナトリウム、及び水酸化カリウムが含まれる。好適な溶媒は、メタノールと水のようなアルキルアルコールと水との混合物、又はTHFと水との混合物である。反応終了後、混合物のpHを、硫酸、TFA、酢酸、又は塩酸などの酸を添加して5〜6に調整する。通常、生成物を沈殿させてろ過し、純粋な生成物を得ることができる。
【0106】
式VIの化合物(式中、Aはカルボニルである)は、有機溶媒中、式Vの化合物を、約0℃〜約100℃、好ましくは室温〜約50℃の温度でアミンとカップリング反応させることにより製造することができる。過剰量のカップリング試薬、例えばN−シクロヘキシルカルボジイミド N’−メチル ポリスチレン(200〜400メッシュ、NovaBio、カタログ番号:A28141、添加:1.8ミルモル/g)を用い、1−ヒドロキシ ベンゾトリアゾールを用いて式Vの化合物を活性化する。好適な溶媒には、クロロホルム、THF、アセトニトリル、トルエン、DMF、及び1,4−ジオキサンが含まれる。反応終了後、過剰量のN−シクロヘキシルカルボジイミド N’−メチル ポリスチレン、1−ヒドロキシ ベンゾトリアゾール、及び過剰量の式Vの化合物を、PS−トリスアミン(Argonaut Technology社、カタログ番号:800230、添加:4.11ミリモル/g)のようなポリスチレンで支持されたアミンを添加することにより、室温〜約100℃の温度で捕集する。溶媒としてメタノール/HO/TFAを用いて、SiOカラムクロマトグラフィで又は分離用HPLCで生成物を精製する。
【0107】
式VIAの化合物の製造を以下のスキーム2に示す。式VIAの化合物は、DMF、1,4−ジオキサン、THF、エタノール、又は塩化メチレンなどの有機溶媒中、塩基の存在下、約0〜200℃の温度で、式VIの化合物を、ハロゲン化アルキル、酸塩化物、塩化スルホニルと反応させることにより製造することができる。
【0108】
【化8】

【0109】
4.4 医薬組成物
本発明は、本発明の化合物を活性成分として含む医薬組成物及び剤形を包含する。本発明の医薬組成物及び剤形は、場合により、1以上の医薬的に許容可能な担体又は賦形剤を含有することもできる。特定の医薬組成物は、患者への経口、局所、経粘膜(例えば鼻、肺、舌下、膣、口腔、又は直腸)、非経口(例えば皮下、静脈内、ボーラス注入、筋肉内、又は動脈内)、又は経皮投与に好適な単位剤形である。剤形の例には、限定されるものではないが:錠剤;キャプレッツ;軟ゼラチンカプセルなどのカプセル;カシェ;トローチ;ロゼンジ;分散液;坐剤;軟膏;パップ(湿布);ペースト;粉末;包帯剤;クリーム;硬膏;溶液;パッチ;エアロゾル(例えば経鼻スプレー又は吸入器);ジェル;懸濁液(例えば水性又は非水性懸濁液、水中油型エマルジョン、又は油中水型エマルジョン)、溶液、及びエリキシルを含めた患者への経口又は経粘膜投与に好適な液体剤形;患者への非経口投与に好適な液体剤形;並びに再構成して患者への非経口投与に好適な液体剤形を提供することができる滅菌固体(例えば結晶性又は非結晶性固体)が含まれる。
【0110】
製剤は投与様式に適応させるべきである。例えば、経口投与は、消化管内での活性成分の分解から保護するために腸溶コーティングを必要とすることができる。他の例では、活性成分は、分解酵素から遮蔽し、循環系への輸送を容易にするため、及び/又は細胞膜を通って細胞内部位へ送達するため、リポソーム製剤で投与することができる。
【0111】
本発明の剤形の組成、形状、及び種類は、典型的には用途に応じて異なるであろう。例えば、疾患の急性期治療に用いる剤形は、1以上の活性成分を、同一疾患の慢性期治療に用いる剤形よりも多量に含有することができる。同様に、非経口剤形は、1以上の活性成分を、同一疾患を治療するために用いる経口剤形よりも少量含有することができる。本発明に包含される特定の剤形が互いに異なるこれら及び他の方法は、当該技術分野に熟練した者に容易に明らかとなるであろう。例えば『レミントンの薬学』、第18版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルバニア州(1990)を参照されたい。
【0112】
4.4.1 経口剤形
経口投与に好適な本発明の医薬組成物は、限定されるものではないが、錠剤(例えばチュアブル錠)、キャプレッツ、カプセル、及び液体(例えば香りのするシロップ)などの個別の剤形として提供することができる。そのような剤形は所定量の活性成分を含有し、当該技術分野に熟練した者に周知の製薬法で製造することができる。一般に、『レミントンの薬学』、第18版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルバニア州(1990)を参照されたい。
【0113】
本発明の典型的な経口剤形は、慣用の医薬配合技術にしたがい、密接な混合剤中で活性成分を少なくとも1つの賦形剤と組み合わせることによって製造する。賦形剤は、投与に望ましい製剤の形態に応じて広範な形態を取ることができる。
【0114】
投与のしやすさのため、錠剤及びカプセルが最も有益な経口単位剤形であり、この場合、固体賦形剤が用いられる。所望により、錠剤は、標準の水性又は非水性技術によってコーティングすることができる。そのような剤形は、いかなる製薬法でも製造することができる。一般に、医薬組成物及び剤形は、活性成分を液体担体、微粉固体担体、又は両方と均一且つ密接に混合し、次に生成物を必要に応じて所望の形状にすることによって製造する。崩壊剤又は滑剤を本発明の医薬組成物及び剤形に用いることができる。
【0115】
本発明の剤形は、消化管以外の部分で放出されるよう、場合により腸溶コーティングを含むことができる。腸溶コーティング物質は、他の好適なコーティング物質に加えて、又はその代わりに用いることができる。好適な腸溶ポリマーの例には、限定されるものではないが、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、フタル酸ポリ酢酸ビニル、メタクリル酸コポリマー、シェラック、コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸トリメリト酸セルロース、及びそれらの混合物が含まれる。腸溶コーティングは、限定されるものではないが、サブコーティングに対する腸溶ポリマーの噴霧適用を含めた、当該技術分野に公知の好適な方法で提供することができる。
【0116】
4.4.2 非経口剤形
非経口剤形は、限定されるものではないが、皮下、静脈内(ボーラス注入を含む)、筋肉内、及び動脈内を含めたさまざまな経路で患者に投与することができる。典型的には汚染物質に対する患者の自然の防御を通さずに投与するため、非経口剤形は滅菌されているか、患者に投与する前に滅菌可能であることが好ましい。非経口剤形の例には、限定されるものではないが、すぐに注入できる溶液、注入のために医薬的に許容可能なビヒクルにすぐに溶解又は懸濁できる乾燥産物、すぐに注入できる懸濁液、及びエマルジョンが含まれる。
【0117】
非経口剤形を提供するために用いることができる好適なビヒクルは、当該技術分野に熟練した者に周知である。例として、限定されるものではないが:注射用蒸留水USP;限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロース及び塩化ナトリウム注射液、及び乳酸加リンゲル液などの水性ビヒクル;並びに限定されるものではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクルが挙げられる。
【0118】
本明細書に開示した1以上の活性成分(即ち本発明の化合物)の溶解性を増加させる化合物を本発明の非経口剤形に組み込むこともできる。
【0119】
4.4.3 経皮、局所、及び経粘膜剤形
本発明の経皮、局所、及び経粘膜剤形には、限定されるものではないが、点眼剤、スプレー、エアロゾル、クリーム、ローション、軟膏、ジェル、溶液、エマルジョン、懸濁液、又は当該技術分野に熟練した者に公知の他の形態が含まれる。例えば、『レミントンの薬学』、第16版及び第18版、Mack Publishing、イーストン、ペンシルバニア州(1980&1990);並びに『医薬剤形の手引き』、第4版、Lea&Febiger、フィラデルフィア(1985)を参照されたい。経皮剤形には、「リザーバー型」又は「マトリックス型」パッチが含まれ、皮膚に適用し、特定の期間装着し、所望量の活性成分を浸透させることができる。
【0120】
本発明に包含される経皮、局所、及び経粘膜剤形を提供するために用いることができる好適な賦形剤(例えば担体及び希釈剤)及び他の材料は、医薬分野に熟練した者に周知であり、所定の医薬組成物又は剤形が適用される具体的な組織に依存する。
【0121】
治療される特定の組織に応じて、本発明の活性成分で治療する前、治療と併用して、又は治療後に追加の成分を用いることができる。例えば、追加の浸透促進剤を用いて、組織への活性成分の送達を補助することができる。
【0122】
医薬組成物若しくは剤形、又は医薬組成物若しくは剤形が適用される組織のpHを調整して、1以上の活性成分の送達を向上させることもできる。同様に、溶剤担体の極性、そのイオン強度、又は等張性を調整して送達を高めることができる。また、送達を向上させるために、ステアリン酸塩のような化合物を医薬組成物又は剤形に加えて、1以上の活性成分の親水性又は親油性を有益に変化させることができる。その際、ステアリン酸塩は、製剤の脂質ビヒクルとして、乳化剤又は界面活性剤として、及び送達促進剤又は浸透促進剤として作用することができる。活性成分のさまざまな塩、プロドラッグ、包接化合物、水和物、又は溶媒和物を用いて得られた組成物の特性を更に調整することができる。
【0123】
4.4.4 遅延放出型剤形
本発明の活性成分は、当該技術分野において通常の知識を有する者に周知の制御放出手段又は送達装置によって投与することができる。例としては、限定されるものではないが、米国特許第3,845,770号;第3,916,899号;第3,536,809号;第3,598,123号;及び第4,008,719号、第5,674,533号、第5,059,595号、第5,591,767号、第5,120,548号、第5,073,543号、第5,639,476号、第5,354,556号、及び第5,733,566号に記載のものが含まれる。これらはそれぞれ本明細書に援用される。そのような剤形は、さまざまな比率で所望の放出プロファイルを提供するために、例えばヒドロプロピルメチルセルロース、他のポリマーマトリックス、ゲル、透過性膜、浸透圧システム、多層コーティング、マイクロ粒子、リポソーム、マイクロスフェア、又はそれらの組み合わせを用いて、1以上の活性成分の持続放出又は制御放出を提供するために用いることができる。当該技術分野において通常の知識を有する者に公知の、本明細書に記載のものを含めた好適な制御放出製剤は、本発明の化合物とともに用いるために容易に選択することができる。したがって、本発明は、限定されるのもではないが、制御放出に適合した錠剤、カプセル、ジェルキャップ、及びキャプレッツなどの経口投与に好適な単位剤形を包含する。
【0124】
全ての制御放出医薬製品は、同等の非制御製品によって達成されたよりも薬物療法を向上させる共通の目的を有している。最適にデザインされた制御放出製剤の医療における使用は、最小量の医薬物質を用いて最短時間で病態を治癒又は制御することを特徴とすることが理想的である。制御放出製剤の利点には、薬物活性の延長、投与頻度の減少、及び患者のコンプライアンスの増加が含まれる。加えて、制御放出製剤を用いて、作用の発生時間や薬物の血中レベルなどの他の特徴に影響を及ぼすことができ、したがって、副作用(例えば有害効果)の発症に影響を及ぼすことができる。
【0125】
多くの制御放出製剤は、所望の治療効果をすぐに生ずる量の薬物(活性成分)を初めに放出し、他の量の薬物を徐々に且つ持続的に放出し、この治療効果又は予防効果のレベルを長期間維持するようにデザインされる。体内で薬物のこの一定レベルを維持するには、薬物は、代謝され体内から排泄される薬物の量に置き換わる速度で剤形から放出される必要がある。活性成分の制御放出は、限定されるものではないが、pH、温度、酵素、水、又は他の生理的条件、若しくは化合物を含めたさまざまな条件によって刺激され得る。
【0126】
4.4.5 キット
ある場合には、本発明の複数の活性成分は、同時に又は同一投与経路で患者に投与しないことが好ましい。したがって、本発明はキットを包含し、これは、開業医が用いる場合、患者への適当量の活性成分の投与を単純化することができる。
【0127】
典型的なキットは、本発明の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、プロドラッグ、溶媒和物、水和物、若しくは立体異性体の単位剤形、及び本発明の化合物と併用できる他の物質の単位剤形を含む。本発明のキットは、活性成分を投与するために用いる装置を更に含むことができる。そのような装置の例には、限定されるものではないが、注射器、点滴バッグ、パッチ、及び吸入器が含まれる。
【0128】
本発明のキットは、1以上の活性成分を投与するために用いることができる医薬的に許容可能なビヒクルを更に含むことができる。例えば、活性成分を、非経口投与のために再構築しなければならない固体で提供する場合、キットは好適なビヒクルの密閉容器を含むことができ、活性成分を溶解させて、非経口投与に好適な、粒子のない滅菌溶液を形成することができる。医薬的に許容可能なビヒクルの例には、限定されるものではないが:注射用蒸留水USP;限定されるものではないが、塩化ナトリウム注射液、リンゲル液、デキストロース注射液、デキストロースと塩化ナトリウムとの注射液、及び乳酸加リンゲル液などの水性ビヒクル;限定されるのもではないが、エチルアルコール、ポリエチレングリコール、及びポリプロピレングリコールなどの水混和性ビヒクル;並びに限定されるものではないが、コーン油、綿実油、ピーナッツ油、ゴマ油、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及び安息香酸ベンジルなどの非水性ビヒクルが含まれる。しかしながら、特定の態様では、本発明の製剤は、アルコール又は他の共溶媒、オイル又はタンパク質を含有しない。
【0129】
以下の非限定的な実施例を参照して本発明を更に明確にする。当該技術分野に熟練した者には、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、材料及び方法に、多くの改変を実施できることが明らかであろう。
【0130】
4.5 治療、予防、及び管理方法
本発明は、本明細書に記載の化合物を用いて、さまざまな疾患及び障害を治療、予防、及び/又は管理する方法を包含する。疾患及び障害の例には、限定されるものではないが:アレルギー性疾患(例えば免疫不全症及び過敏症);心血管疾患(例えば高血圧症及び動脈硬化症);歯科及び口腔の障害(例えば口腔粘膜の炎症);皮膚疾患(例えば皮膚炎及び皮膚感染);物理的要因による障害(例えば高山病又は乗物酔い);内分泌障害及び代謝障害(例えば下垂体機能低下症及び甲状腺機能亢進症);消化器疾患(例えば炎症性腸疾患及び膵炎);泌尿生殖器疾患(例えば尿失禁及び筋神経性障害);婦人科及び産科の疾患(例えば性機能障害及び婦人科炎症);血液疾患及び腫瘍性疾患(例えば貧血、骨髄増殖性疾患、及びがん);肝疾患及び胆道系疾患(例えば脂肪肝及び肝炎);感染性疾患(例えば細菌、ウイルス、又は真菌感染による疾患);筋骨格及び結合組織の障害(例えば関節リウマチ及び全身性硬化症);神経障害(例えば疼痛性障害及び睡眠障害);栄養障害(例えばタンパク質エネルギー低栄養);眼科障害(例えば結膜炎及び角膜炎);精神障害(例えば不安障害及び気分障害);並びに肺疾患(例えば喘息及び気管支炎)が含まれる。これらの障害は全て、当該技術分野に周知である。本明細書に援用される『診断と治療のメルクマニュアル』、第17版(1999)を参照されたい。
【0131】
本発明の化合物の用量は:治療、予防、又は管理すべき特定の症状;患者の年齢及び病態;並びに存在する場合は用いる第2の活性物質の量などの要因に応じて異なる。一般に、化合物は、1日あたり約0.01mg〜約2000mgの量で用いることができ、慣用の様式(例えば治療、予防、又は管理期間のそれぞれの日に等量投与する)、サイクル(例えば1週間行い、1週間休む)、又は治療、予防、若しくは管理の経過を通して増加又は減少する量に調整することができる。他の態様では、用量は、1日あたり約0.1mg〜約1000mg、約0.1mg〜約500mg、約0.1mg〜約100mg、約0.1mg〜約50mg、約0.1mg〜10mg、約1mg〜約1000mg、約1mg〜約500mg、約1mg〜約100mg、約1mg〜約50mg、約1mg〜約10mg、約10mg〜約1000mg、約10mg〜約500mg、約10mg〜100mg、約10mg〜50mg、約50mg〜約500mg、約50mg〜200mg、又は約100mg〜300mgであり得る。
【0132】
また、本発明は、1以上の第2の活性物質と併用した本発明の化合物の使用を包含する。第2の活性物質は、高分子(例えばタンパク質)又は小分子(例えば合成無機、有機金属、又は金属分子)であり得る。高分子活性物質の例には、限定されるものではないが、造血成長因子、サイトカイン、並びにモノクローナル抗体及びポリクローナル抗体が含まれる。活性物質の特定の例は、抗CD40モノクローナル抗体(例えばSGN−40など);ヒストン脱アセチル化酵素インヒビター(例えばSAHA及びLAQ 824など);熱ショックタンパク質−90インヒビター(例えば17−AAGなど);インスリン様成長因子−1受容体キナーゼインヒビター;血管内皮成長因子受容体キナーゼインヒビター(例えばPTK787など);インスリン成長因子受容体インヒビター;リゾホスファチジン酸アシルトランスフェラーゼインヒビター;IκBキナーゼインヒビター;p38MAPKインヒビター;EGFRインヒビター(例えばゲフィチニブ及びエルロチニブHClなど);HER−2抗体(例えばトラスツズマブ(ヘルセプチン(登録商標))及びパーツズマブ(オムニターグ(商標))など);VEGFR抗体(例えばベバシズマブ(アバスチン(商標))など);VEGFRインヒビター(例えばflk−1特異的キナーゼインヒビター、SU5416、及びptk787/zk222584など);PI3Kインヒビター(例えばワートマニンなど);C−Metインヒビター(例えばPHA−665752など);モノクローナル抗体(例えばリツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トシツモマブ(ベクサール(登録商標))、エドレコロマブ(パノレックス(登録商標))、及びG250など);及び抗TNF−α抗体である。本発明の化合物と併用できる特定の第2の活性化合物は、治療、予防、又は管理すべき特定の症状に応じて異なる。
【0133】
本発明の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、立体異性体、若しくはプロドラッグ、及び第2の活性物質は、同一又は異なる投与経路で同時に又は連続的に患者に投与することができる。具体的な活性物質に用いる具体的な投与経路の適切性は、活性成分自体(例えば、血流に入る前に分解されることなく経口投与できるかどうか)、及び治療される疾患に依存するであろう。本発明の化合物の好ましい投与経路は経口である。第2の活性物質又は本発明の成分の好ましい投与経路は、当該技術分野において通常の知識を有する者に公知である。例えば米医薬品便覧、1755−1760(第56版、2002)を参照されたい。
【0134】
本発明の1つの態様では、第2の活性物質は、1日1回又は2回、約1〜約1000mg、約5〜約500mg、約10〜約350mg、又は約50〜約200mgの量で投与する。第2の活性物質の特定量は、用いる特定の物質、治療又は管理される疾患の種類、疾患の重篤度及び段階、並びに本発明の化合物及び場合により患者に同時に投与される追加の活性物質の量に依存するであろう。
【実施例】
【0135】
5. 実施例
5.1 合成化合物の精製及び同定
本発明の化合物を合成後、高速液体クロマトグラフィ(HPLC)を用いて以下の手順を実施し、精製及び同定した。
【0136】
方法A:島津HPLC YMC ODS−A 4.6×33mmカラム、溶剤A−MeOH/HO/TFA=10/90/0.1(容量)、溶剤B−MeOH/HO/TFA=90/10/0.1(容量)、濃度勾配 4分で0〜100%B、220nMで検出、流速3ml/分;
方法B:島津HPLC YMC ODS−A 4.6×33mmカラム、溶剤A−MeOH/HO/TFA=10/90/0.1(容量)、溶剤B−MeOH/HO/TFA=90/10/0.1(容量)、濃度勾配 6分で0〜100%B、220nMで検出、流速2ml/分;
方法C:Agilent Qc1.m、Polaris C18 5μ 4.6×30mmカラム、溶剤A−メタノール/水/TFA=10/90/0.1(容量)、溶剤B−メタノール/水/TFA=90/10/0.1(容量)、濃度勾配 2分で0〜100%B、実行時間2.5分、220nMで検出;
方法D:YMC Pack ODS−A 3.0×50mmカラム、溶剤A−MeOH/HO/TFA=10/90/0.1(容量)、溶剤B−MeOH/HO/TFA=90/10/0.1(容量)、濃度勾配 4分で0〜100%B、220nMで検出、流速2ml/分。
【0137】
5.2 5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0138】
【化9】

【0139】
フェニルヒドラジン(2.94ml、0.03モル)を、500mlビーカー中の水(50ml)に溶解した。氷浴で冷却しながら、濃HSO(1.63ml、0.03モル)をピペットで少しずつ加えた。次に、このフェニルヒドラジン溶液を、500ml丸底フラスコに入った70mlのクロロホルム中のシアノピルビン酸エチルナトリウム(5.37g、0.03モル)の撹拌した溶液に室温で加えた。約24時間撹拌し、反応をLCMSでモニターした。反応終了後、有機相を分離し、水相をCHCl(2×150ml)で抽出した。次に、いっしょにした有機相を飽和NaHCO(1×100ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を除去することにより、粘性のオイルを得た。これは主に非環化ヒドラゾンであった。粗生成物を最小量の乾性EtOH(15ml)に溶解し、混合物を密閉チューブ内にて120〜150℃で一晩加熱した。反応終了後、エタノールを真空で蒸発させて粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィにてヘキサン/酢酸エチル=9/1〜1/1で溶出して精製し、5.54gの5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(収率:80%)を得た。
【0140】
以下に提供する一般構造に包含される、表4に示す化合物は、適当なヒドラジン及びシアノピルビン酸エチルナトリウムを出発物質として、同様の手順を用いて製造した。
【0141】
【化10】

【0142】
【表4−1】

【0143】
【表4−2】

【0144】
【表4−3】

【0145】
5.3 1−フェニル−5−[3−ベンゾイル−チオウレイド]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0146】
【化11】

【0147】
5−アミノ−1−フェニル−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(0.63g、2.72ミリモル)を10mlの無水テトラヒドロフランに溶解した。次に、442mgのベンゾイル チオイソシアネート(2.72ミリモル)を加えた。混合物を90℃で2時間加熱し、反応をLCMSでモニターした。反応終了後、THFを真空で除去して1.02gの所望の産物(収率:96%)を得、これを高真空下で乾燥させた。生成物を更に精製することなく次の工程に用いた。
【0148】
5.4 5−ベンゾイルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−カルボン酸エチルエステル
【0149】
【化12】

【0150】
1−フェニル−5−[3−ベンゾイル−チオウレイド]−1H−ピラゾール−3−カルボン酸エチルエステル(500mg、1.26ミリモル)を25mlの無水CHClに溶解した。N−ブロモスクシンイミド(225mg、1.26ミリモル)を0℃で5〜10分位内に少しずつ加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌した。反応終了後、100mlのCHClを反応フラスコに加え、有機相をNaHCO(2×30ml)で洗浄し、次にブラインで洗浄し、NaSOで乾燥させた。溶媒を除去することにより生成物を得た。これは、以下の工程に使用するには十分純粋であった(>95%)。粗生成物をSiOカラムで更に精製し、450mgの表題化合物を得た(収率:91%)。
【0151】
以下に提供する一般構造に包含される、表5に列挙した以下の化合物は、実施例5.3〜5.4に記載の手順を用いて製造した。
【0152】
【化13】

【0153】
【表5−1】

【0154】
【表5−2】

【0155】
【表5−3】

【0156】
【表5−4】

【0157】
5.5 5−ベンゾイルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−カルボン酸
【0158】
【化14】

【0159】
8mlのMeOH:HO(3:1)中の5−ベンゾイルアミノ−1−フェニル−1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−カルボン酸(230mg、0.58ミリモル)と水酸化リチウム一水和物(73mg、1.75ミリモル)との混合物を室温で一晩撹拌した。反応終了後(LCMSでモニターした)、メタノールを除去し、氷浴中で冷却しながら反応混合物を1N HClでpH=5〜6に中和した。産物が白色固体として沈殿した。次に固体をろ過し、冷メタノールで洗浄し、高真空下でPに対して乾燥させ、196mgの表題化合物を得た(収率:92%)。
【0160】
以下に提示する一般構造によって包含される表6に列挙した化合物は、同様の手順で調製した。
【0161】
【化15】

【0162】
【表6−1】

【0163】
【表6−2】

【0164】
【表6−3】

【0165】
【表6−4】

【0166】
【表6−5】

【0167】
【表6−6】

【0168】
【表6−7】

【0169】
【表6−8】

【0170】
【表6−9】

【0171】
【表6−10】

【0172】
【表6−11】

【0173】
【表6−12】

【0174】
5.6 N−tert−ブチル−3−(2−メトキシメチル−ピロリジン−1−カルボニル)−1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール−5−イル−4−メチル−ベンズアミド
【0175】
【化16】

【0176】
1−Tert−ブチル−5−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−1H−ピラゾロ[3,4−d]チアゾール−3−カルボン酸(50mg、0.14ミリモル)を、10mlの無水テトラヒドロフランに溶解させた。次に、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(23mg、0.168ミリモル)を加え、続いてN−シクロヘキシルカルボジイミド N’−メチル ポリスチレン(155mg、0.28ミリモル、添加:1.8ミリモル/g)及びS−2−メトキシメチル ピロリジン(22mg、0.14ミリモル)を加えた。混合物を50℃で一晩加熱した。ポリマーで支持されたトリスアミン(100mg、0.417ミリモル、添加:4.17ミリモル/g)を加え、50℃で4時間振盪した。樹脂をろ過して除去し、テトラヒドロフラン(2×5ml)で洗浄した。ろ液を真空で蒸発させて粗生成物を得、MeOH/HO/TFA溶媒系を用いて分離用HPLCで精製した。一緒にした精製画分を真空で蒸発させ、凍結乾燥機で更に乾燥させた(収率:36%、LC:方法A、RT=4.020分、MS:M+1=456)。
【0177】
以下に提示する一般構造によって包含される表7に列挙した化合物、及び表2に列挙した化合物は、同様の手順で調製した。
【0178】
【化17】

【0179】
【表7−1】

【0180】
【表7−2】

【0181】
【表7−3】

【0182】
【表7−4】

【0183】
【表7−5】

【0184】
【表7−6】

【0185】
【表7−7】

【0186】
【表7−8】

【0187】
【表7−9】

【0188】
5.7 4−Tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]ジチアゾール−6−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド
本発明の特定の化合物を以下に記載の方法で調製した。
【0189】
【化18】

【0190】
5.7.1 5−アミノ−1−tert−ブチル−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル
濃硫酸(61.0mL)を、エタノール(250mL、HPLC用、変性)中の5−アミノ−1−tert−ブチル−1H−ピロール−3−カルボニトリル(12.2g、75.0ミリモル)の十分に撹拌した周囲温度の溶液に、自然に還流させながらゆっくり加えた。反応液がその沸点以下に冷却された場合は外部加熱を施し、反応液を18時間で一晩還流させた。溶液を冷却し、撹拌した10%(w/v)重炭酸ナトリウム水溶液(1L)に注意深く注ぎ、固体重炭酸ナトリウムを加えてpHを更に約8に調整した。粗生成物を酢酸エチル中に抽出し、乾燥させ(MgSO)、蒸発させ、フラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、25%(v/v)EtOAc/ヘキサン)に供し、5.6g(35%)の産物を透明な赤いオイルとして得た。MS:M+H=211。
【0191】
5.7.2 4−Tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−カルボン酸エチルエステル
4−メチル−ベンゾイル イソチオシアネート(4.5ml、29.5ミリモル)を、無水THF(270ml)中の5−アミノ−1−tert−ブチル−1H−ピロール−3−カルボン酸エチルエステル(5.6g、26.6ミリモル)の撹拌した溶液に、Nブランケット下でシリンジを介して手際よく加え、1.5時間還流させた。溶液を0℃に冷却し、次に純粋N−ヨードスクシンイミド(6.6g、29.3ミリモル)を加え、溶液を撹拌し、周囲温度まで一晩、16時間温めた。反応液を撹拌した10%(w/v)メタ重亜硫酸ナトリウム水溶液(200ml)にゆっくり注ぎ、次に酢酸エチルで抽出し、乾燥させ(MgSO)、フラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、25%(v/v)EtOAc/ヘキサン)に供した。単離生成物を酢酸エチル/ヘキサンから晶出させ、4.2g(41%)の白色粉末を得た。融点200〜201℃。MS:M+H=386。
【0192】
5.7.4 4−Tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−カルボン酸
水(50ml)を、THF(105ml)中の4−tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−カルボン酸エチルエステル(4.0g、10.5ミリモル)と水酸化リチウム(1.0g、42.6ミリモル)との撹拌した懸濁液に加えた。混合物を18時間還流し、冷却し、水(200ml)で希釈し、酢酸エチルで洗浄した。水相を冷却し、次に撹拌しながら酸性化し(6M HCl)、生成物を沈殿させた。固体をろ過し、乾燥させ、3.14g(84%)の生成物を得た。MS:M+H=358。
【0193】
5.7.5 4−Tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−カルボン酸(チアゾール−2−イルメチル)−アミド
無水N,N−ジメチルホルムアミド(30ml)を、4−tert−ブチル−2−(4−メチル−ベンゾイルアミノ)−4H−ピロロ[2,3−d]チアゾール−6−カルボン酸(1.lg、2.9ミリモル)、C−チアゾール−2−イル−メチルアミン塩酸塩(0.5g、3.3ミリモル)、1−ヒドロキシ−7−アザベンゾトリアゾール(HOAt、0.4g、2.9ミリモル)、N−(3−ジメチルアミノプロピル)−N’−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDAC、0.9g、4.4ミリモル)、及び4−メチル−モルホリン(NMM、0.8ml、7.2ミリモル)の混合物に加えた。得られた溶液をNブランケット下、周囲温度で15時間撹拌し、次に300mlの激しく撹拌させた水にゆっくり注いだ。沈殿した固体をろ過して単離し、フラッシュクロマトグラフィ(シリカゲル、100%EtOAc)に供し、次に酢酸エチル/ヘキサンから晶出させ、0.9g(68%)の生成物を白色結晶性微粉末として得た。融点245〜246℃(分解)。H−NMR(d−DMSO):δ1.72ppm,s,9H;2.40ppm,s,3H;4.73ppm,d,j=6.0Hz,2H;7.35ppm,d,j=7.8Hz,2H;7.63ppm,d,j=3.3Hz,1H;7.74ppm,d,j=3.3Hz,1H;7.85ppm,s,1H;8.03ppm,d,j=8.1Hz,2H;8.92ppm,t,j=6.0Hz,1H;12.49ppm,s,1H。MS:M+H=454。
【0194】
表3に列挙した化合物は、5.7.1〜5.7.5節に記載のものと類似の手順で合成した。
【0195】
本願において参照する全ての特許、特許出願、及び出版物は本明細書中にその全体が援用される。しかしながら、本願における参考文献の引用又は特定は、そのような参考文献が本発明に対し先行技術として利用可能であることを承認するものではない。発明の全範囲は添付の特許請求の範囲を参照することによって、よりよく理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式:
【化1】

の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは立体異性体、
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはRとRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである。
【請求項2】
とRが、それらが結合している窒素原子とともに置換されていてもよい複素環を形成している、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
とRが、それらが結合している窒素原子とともに置換されていてもよいピロリジンを形成している、請求項2に記載の化合物。
【請求項4】
がHであり、Rが低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項5】
がシクロプロピルである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
及びRがともに低級アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項7】
がHであり、Rがアリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項8】
がフェニルである、請求項7に記載の化合物。
【請求項9】
が分岐鎖アルキルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項10】
がt−ブチルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
が置換又は未置換アリールである、請求項1に記載の化合物。
【請求項12】
が置換又は未置換フェニルである、請求項11に記載の化合物。
【請求項13】
がt−ブチルであり、Rが置換又は未置換フェニルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項14】
ステレオマー的に純粋である、請求項1に記載の化合物。
【請求項15】
表1若しくは表2の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは立体異性体。
【請求項16】
式:
【化2】

の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは立体異性体、
式中:
、R、及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、置換されていてもよいヘテロアリールアルキル、置換されていてもよいアルコキシカルボニル、置換されていてもよいアミノカルボニル、置換されていてもよいカルボニル、又は置換されていてもよいスルホニルであるか;あるいはRとRは、それらが結合している窒素とともに置換されていてもよい複素環を形成し;
は、H、置換されていてもよいアルキル、置換されていてもよいアルケニル、置換されていてもよいアルキニル、置換されていてもよいアリール、置換されていてもよいヘテロアリール、置換されていてもよいヘテロシクロアルキル、置換されていてもよい複素環、置換されていてもよいアリールアルキル、置換されていてもよいヘテロシクロアルキルアルキル、又は置換されていてもよいヘテロアリールアルキルであり;そして
は、H、アルキル、ヘテロアルキル、ヘテロシクロアルキル、アルキルカルボニル若しくはアリールカルボニル、又は置換されていてもよいアルキルスルホニル若しくは置換されていてもよいアリールスルホニルである。
【請求項17】
が分岐鎖アルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項18】
がt−ブチルである、請求項17に記載の化合物。
【請求項19】
が置換又は未置換アリールである、請求項16に記載の化合物。
【請求項20】
が置換又は未置換フェニルである、請求項19に記載の化合物。
【請求項21】
がt−ブチルであり、Rがp−メチルフェニルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項22】
がHであり、Rが置換又は未置換アルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項23】
がHであり、Rがヘテロアリールで置換されたアルキル、複素環で置換されたアルキル、又はアルコキシで置換されたアルキルである、請求項16に記載の化合物。
【請求項24】
ステレオマー的に純粋である、請求項16に記載の化合物。
【請求項25】
表3の化合物、又はその医薬的に許容可能な塩、溶媒和物、若しくは立体異性体。
【請求項26】
請求項1又は16に記載の化合物を含む、医薬組成物。
【請求項27】
医薬的に許容可能な担体又は賦形剤を更に含む、請求項26に記載の医薬組成物。
【請求項28】
請求項1又は16に記載の化合物を含む単位剤形。
【請求項29】
経口投与、非経口投与、又は経皮投与に好適な、請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
疾患若しくは障害の治療、予防、又は管理方法であって、そのような治療、予防、又は管理を必要とする患者に、治療的に又は予防的に許容量の請求項1又は16の化合物を投与することを含み、疾患若しくは障害は、アレルギー性疾患、心血管疾患、がん、歯科若しくは口腔の障害、皮膚疾患、物理的要因による障害、内分泌障害若しくは代謝障害、消化器疾患、泌尿生殖器疾患、婦人科若しくは産科の疾患、血液疾患若しくは腫瘍性疾患、肝疾患若しくは胆道系疾患、感染性疾患、筋骨格若しくは結合組織の障害、神経障害、栄養障害、眼科障害、精神障害、又は肺疾患である、前記方法。

【公表番号】特表2007−531772(P2007−531772A)
【公表日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−506573(P2007−506573)
【出願日】平成17年3月31日(2005.3.31)
【国際出願番号】PCT/US2005/010956
【国際公開番号】WO2005/095420
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【出願人】(501318084)レキシコン・ジェネティクス・インコーポレーテッド (8)
【Fターム(参考)】