説明

新規ピペリジン誘導体

本発明は、5−HT7が関与する各種疾病の治療剤又は予防剤として用いられる下記式で表されるピペリジン誘導体又はその類縁体を提供する。


【発明の詳細な説明】
発明の背景
本発明は新規なピペリジン誘導体及び医薬品としてのピペリジン誘導体の使用に関するものである。5−HT中枢、及び末梢の5−HT制御機能の異常によって起こりうると考えられる様々な疾患、例えば精神疾患、循環系疾患、消化管機能異常などの時に、5−HT7の関与が示唆されており、本発明の化合物はその5−HT7に対し親和性を有し、5−HT7のアゴニスト、パーシャルアゴニスト、アンタゴニストのいずれかとして作用することにより上記疾患の治療薬または予防薬となる点で有用である。
近年、社会環境の複雑化に伴い、多くの人が過度のストレスにさらされるようになり、便通異常や腹痛などを主症状とする過敏性腸症候群の患者が増加している。このような疾患の改善には、抗コリン薬、緩下薬、止瀉薬、整腸薬、粘膜麻痺薬、消化管運動機能調節薬、自律神経調節薬、漢方薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、抗精神病薬などが用いられている。
内臓痛や腹痛は通常、内臓および腹部の病的状態をその個体に知らせる重要な生態情報であり、上述のような、腸疾患、すなわち過敏性腸症候群に伴う症状としてだけでなく、胃や胆嚢など管状の臓器の急激な収縮、痙攣、腹膜や胸膜の炎症などにより生じる疼痛等もある。これら症状に対しては鎮痙剤や消炎鎮痛剤が用いられている。
しかしながら、これら薬剤は、臨床効果が不十分であり、また副作用の面から必ずしも満足できるものとは言い難い。従って、副作用を有さない、優れた治療効果を示す新しいタイプの薬剤開発が望まれている。
セロトニン(5−ヒドロキシトリプタミン、5−HT)は生理学的あるいは行動学的なプロセスにおいて重要な役割を果たしている。とりわけ、腸管クロム親和性細胞に生体内の90%が存在しており、腸管での生理的および病態生理的意義は大きい。今日まで14種類の5−HT受容体が同定されているが、5−HT7受容体は最も新しく同定された5−HT受容体であり、末梢組織においては、冠血管や腸管での発現が報告されている(例えば、J.Biol.Chem.,268,pp23422(1993)参照)。
5−HT7受容体は環状アデノシン一リン酸(cyclic adenosine monophosphate,cAMP)の産生を促進するGタンパク質(Gs)と共役している。従って、セロトニン刺激により5−HT7受容体を介して、細胞内cAMP濃度の上昇が起こる(例えば、J.Pharmacol.Exp.Ther.,287,pp508(1998)参照)。この結果、例えば、腸管平滑筋では拡張反応が観察される(例えば、British J.Pharmacol.,128,pp849(1999)参照)。このような背景から、5−HT7受容体拮抗薬は、5−HT中枢、及び末梢の5−HT制御機能の異常によって起こりうると考えられる様々な疾患、例えば精神疾患(躁鬱、不安、精神分裂、てんかん、睡眠障害、生体リズム障害、偏頭痛など)、循環系疾患(高血圧など)、消化管機能異常などの治療に有用である可能性(例えば、特開平11−189585公報参照)やラット中大脳動脈閉塞モデルにおける治療効果が開示されている(例えば、国際公開第200037082号パンフレット参照)。5−HT7受容体は腸管組織上に存在することから、5−HT7に親和性のある化合物は、セロトニン刺激により誘発される消化管運動異常を伴う疾患である過敏性腸症候群、腹痛または内臓痛等に有効であると期待される。
しかしながら、経口吸収性の欠如、体内動態などの問題が理由で実際に治療に用いられているものは現在のところ存在しない。
なお、英国特許出願公開第1542823号明細書、米国特許第3759928号明細書、国際公開第9218505号パンフレット、米国特許第3687956号明細書、国際公開第9828275号パンフレット、Boll.Chim.Farm.,101,pp363−375(1962)及びJ.Med.Chem.,.43,(21),pp3895−3905(2000)に報告されている以下の(i)〜(iv)に示される化合物を本発明から除く。但し、これらの文献に記載されている化合物は、本発明の化合物と、メカニズム、対象疾患において異なる。

(i)E1がH−、HO−、PhCOO−のいずれか、E2がH−、HO−、PhCOO−のいずれかE3がH−、HO−、PhCOO−、tert−ブチルのいずれかである場合、
(ii)E4がメチル基、3位に置換基を有するプロピレン基のいずれかである場合
(iii)E5がHO−CH2CH2−、HO−CH2CH2OCH2CH2−、H−のいずれかである場合、
(iv)式(iv)で示される化合物である場合。
【発明の開示】
本発明は、5−HT7に親和性を有する新規化合物を提供することを目的とする。
本発明は、また、上記新規化合物を含有する医薬組成物を提供することを目的とする。
本発明は、また、過敏性腸症候群の治療剤または予防剤を提供することを目的とする。
本発明は、また、腹痛や内臓痛の治療剤または予防薬を提供することを目的とする。
発明者らは、上記の課題を解決するために、種々のピペリジン誘導体を合成し5−HT7との親和性を調べた結果、ある特定の新規フェニルアラニン誘導体、特に下記一般式(1)におけるR2がメチル基などの低級アルキル基である化合物群が5−HT7との親和性が高いことを見出し、本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は下記一般式(1)で示されるピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩を提供する。

(式中、S1、S2、S3はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い);アリール基;ヘテロアリール基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルキル基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基;低級アルキルチオ基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキルチオ基;アリール基で置換された低級アルコキシ基;アリール基で置換された低級アルキルチオ基;ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキルチオ基;環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基;アリールオキシ基;ヘテロアリールオキシ基;ヒドロキシ低級アルキル基;ヒドロキシ低級アルケニル基;ヒドロキシ低級アルコキシ基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルコキシ基;ハロゲノ低級アルキルチオ基;ハロゲノ低級アルケニル基;ニトロ基;シアノ基;置換または無置換アミノ基;カルボキシル基;低級アルキルオキシカルボニル基;置換または無置換のカルバモイル基;低級アルカノイル基;アロイル基;低級アルキルスルホニル基;置換または無置換スルファモイル基のいずれかを表し;また、S1、S2、S3は結合して環を形成してもよく、場合により環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてよく、
RNGは置換されていてもよいアリール基;または酸素原子、硫黄原子または窒素原子より選ばれるヘテロ原子を1、2、3または4個含む、置換されていてもよいヘテロアリール基であり、
R1は水素原子、水酸基;低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い);アリール基;ヘテロアリール基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルケニル基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基;アミノ基で置換された低級アルキル基;カルボキシル基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基で置換されたカルボニル基により置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基;ヒドロキシ低級アルキル基;ヒドロキシ低級アルケニル基;アリール基で置換されたヒドロキシ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルケニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、ピペロニル基のいずれかで置換されていてもよいアミド基により置換された低級アルキル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、ピペロニル基のいずれかで置換されていてもよいスルフォンアミド基により置換された低級アルキル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、ピペロニル基のいずれかで置換されていてもよいウレア基により置換された低級アルキル基であり、
R2は低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルケニル基;ハロゲノ低級アルキニル基であり、
A,Bはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基のいずれかを表す。
ただし、以下(i)〜(iv)の場合を除く。

(i)E1がH−、HO−、PhCOO−のいずれか、E2がH−、HO−、PhCOO−のいずれかE3がH−、HO−、PhCOO−、tert−ブチルのいずれかである場合、
(ii)E4がメチル基、3位に置換基を有するプロピレン基のいずれかである場合
(iii)E5がHO−CH2CH2−、HO−CH2CH2OCH2CH2−、H−のいずれかである場合、
(iv)式(iv)で示される化合物である場合。)
本発明はまた、上記ピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分とする5−HT7と親和性のある化合物を提供する。
また、本発明は、上記ピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分として含有する過敏性腸症候群の治療剤または予防剤を提供する。
また、本発明は、上記ピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分として含有する内臓痛または腹痛の治療剤または予防剤を提供する。
【図面の簡単な説明】
図1は、5HT−7発現細胞を用いた5HT−7アゴニスト活性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための最良の形態】
本明細書における低級アルキル基等の「低級」という語は、炭素数が1〜6の基を意味する。アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルカノイル基、アルキルアミノ基等の成分としてのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基は直鎖若しくは分岐鎖状であることができる。以下の置換基が他の基の成分である場合にも、対応する基と同義であるものとする。
アルキル基の例としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、セカンダリーブチル基、ターシャリーブチル基、ペンチル基、ヘキシル基などが挙げられ、炭素数1〜6が好ましく、より好ましくは、1〜4である。アルケニル基はビニル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基等が挙げられ炭素数2〜6が好ましく、より好ましくは、2〜4である。アルキニル基としてはエチニル基、プロピニル基、ブチニル基等が挙げられ、炭素数2〜6が好ましく、より好ましくは、2〜4である。環状アルキル基は、置換または無置換の環状アルキル基を意味し、例としてはシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ノルボルニル基、アダマンチル基、シクロヘキセニル基等があげられ、炭素数3〜8が好ましく、より好ましくは、3〜5である。アルコキシ基としてはメトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、イソプロピルオキシ基、フェノキシ基等が挙げられる。ヘテロ原子は窒素、酸素、イオウ等が挙げられ、炭素数1〜6が好ましく、より好ましくは、1〜4である。ハロゲン原子はフッ素、塩素、臭素、ヨウ素を示している。ハロゲノアルキル基としてはクロロメチル基、トリクロロメチル基、トリフルオロメチル基、トリフルオロエチル基、ペンタフルオロメチル基等が挙げられる。ハロゲノアルコキシ基としてはトリクロロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等が挙げられる。ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基等があげられる。ヒドロキシル基の結合位置は特に限定されない。環中にヘテロ原子を含んでも良い環状アルキル基は、置換または無置換のどちらでもよく、例としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフラニル基、ウラシル基等が挙げられ、4〜8員環が好ましく、より好ましくは5〜7員環である。
本明細書においてアリール基は、炭素数6〜14の単環〜3環式芳香族炭化水素基を示し、これらは置換基を有してもよく、アリール基としては、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基及び置換されたフェニル基であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましく、ハロゲン原子及びアルキル基が置換基として特に好ましく、中でも塩素原子及びメチル基が置換基として好ましい。ヘテロアリール基は、環原子として、酸素原子、硫黄原子及び窒素原子から選択されるヘテロ原子を1〜4個含有する5〜8員の単環〜3環式の芳香族ヘテロ環基を示し、これらは置換基を有してもよく、ヘテロアリールとしては、ピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、ピラゾリル基、ピロリル基、トリアジル基、フリル基、チエニル基、イソキサゾリル基、イソチアゾリル基、インドリル基、キノリル基、イソキノリル基、ベンゾイミダゾリル基等が挙げられ、好ましくはピリジル基、ピラジル基、ピリミジル基、フリル基、チエニル基及び置換されたピリジル基、フリル基、チエニル基等であり、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。アリール基で置換された低級アルキル基はたとえば、置換または無置換のベンジル基、置換または無置換のフェネチル基等があげられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基の例としては例えばピリジルメチル基が挙げられハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。アルカノイル基としては、ホルミル基、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、ピバロイル基等が挙げられる。アロイル基としてはそれぞれ置換または無置換のベンゾイル基、ピリジルカルボニル基等が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。ハロゲノアルカノイル基としては、トリクロロアセチル基、トリフルオロアセチル基等が挙げられる。アルキルスルホニル基としては、メタンスルホニル基、エタンスルホニル基等があげられる。アリールスルホニル基としてはベンゼンスルホニル基、p−トルエンスルホニル基等が挙げられる。ヘテロアリールスルホニル基としては、ピリジルスルホニル基等があげられる。ハロゲノアルキルスルホニル基としては、トリフルオロメタンスルホニル基等が挙げられる。アルキルオキシカルボニル基としては、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ターシャリーブトキシカルボニル基等、またアリール置換アルコキシカルボニル基としてはベンジルオキシカルボニル基、9−フルオレニルメトキシカルボニル基等があげられる。置換カルバモイル基としては、メチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基、置換フェニルカルバモイル基、等が挙げられ、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。置換チオカルバモイル基としては、メチルチオカルバモイル基、フェニルチオカルバモイル基、置換フェニルチオカルバモイル基等が挙げられハロゲン原子、アルコキシ基、アルキル基、水酸基、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基が特に置換基として好ましい。本明細書において置換アミノ基における置換基としては、低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、低級アルカノイル基、アロイル基、ハロゲノ低級アルカノイル基、低級アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、ヘテロアリールスルホニル基、ハロゲノアルキルスルホニル基、低級アルキルオキシカルボニル基、アリール置換低級アルキルオキシカルボニル基、置換または無置換のカルバモイル基、置換または無置換のチオカルバモイル基が挙げられる。
上記一般式(1)において、R2は低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基及びプロピル基がより好ましく、特に、メチル基またはハロゲノメチル基が好ましい。
また、上記一般式(1)において、S1、S2、S3はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルケニル基、置換または無置換アミノ基が好ましく、特に、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基が好ましい。このとき、R2は低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基がより好ましく、特に、メチル基またはハロゲノメチル基が好ましい。
また、上記一般式(1)において、R1は、水素原子、低級アルキル基、低級アルケニル基、環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換されたアルキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルキル基、アリール基で置換されたヒドロキシ低級アルキル基、低級アルコキシで置換された低級アルキル基、低級アルキルオキシで置換されたカルボニル基により置換された低級アルキル基、カルボキシル基で置換されたアルキル基、アミノ置換低級アルキル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、環状アルケニル基、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、アリール基で置換されたアルキル基、ヘテロアリール基で置換されたアルキル基、アリール基で置換されたアルケニル基、ヘテロアリール基で置換されたアルケニル基、低級アルキニル基のいずれかで置換されたアミド基により置換されていてもよい低級アルキル基;ハロゲノ低級アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかで置換されていてもよいスルフォンアミド基により置換された低級アルキル基が好ましい。
また、上記一般式(1)において、R1は低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基のいずれかで置換されたスルフォンアミド基により置換された低級アルキル基がより好ましい。
また、上記一般式(1)において、RNGは置換アリール基、ヘテロ原子が硫黄である置換又は無置換のヘテロアリール基が好ましい。置換アリール基としては、置換フェニル基がより好ましい。ヘテロアリール基としては、置換又は無置換のチエニル基がより好ましい。これらの置換基としては、ハロゲン原子及び低級アルキル基が好ましく、塩素原子及びメチル基が特に好ましい。置換基の数及び結合位置は特に限定されない。なかでも、3−クロロフェニル基、3,4−ジクロロフェニル基、4−メチルフェニル基、2−チエニル基、5−クロロ−2−チエニル基及び5−メチル−2−チエニル基が好ましい。
また、上記一般式(1)において、A、Bはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基が好ましく、特に、水素原子が好ましい。
また、一般式(1)において、S1、S2、S3がそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基を表し、R2がメチル基を表し、A、Bが水素原子を表すのが好ましい。
また、一般式(1)において、下記に示すピペリジン誘導体が特に好ましい。

また、一般式(1)において、下記に示すピペリジン誘導体が特に好ましい。

また、一般式(1)において、下記に示すピペリジン誘導体が特に好ましい。

本発明の一般式(1)で示されるピペリジン誘導体(1)は、製造方法の例として以下に示した方法を用いることにより製造することができる。

スキーム1
Ar1とAr2はアリール基を表し、Ar1とAr2、または、Ar2とAr1は、それぞれ一般式(1)で示されるRNGと置換基を有するフェニル基の構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点でそれぞれ化1に示すRNGと置換基を有するフェニル基の構造に変換可能な構造をとる。D、EはそれぞれA、Bの構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点でそれぞれA、Bに変換可能な構造をとる。Q1はR1の構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点でR1に変換可能な構造をとる。X1とX2はそれぞれ同じでも異なっていても良く、ハロゲン原子を表す。ハロゲン化芳香族化合物とマグネシウムをTHF中で加熱還流することにより得られるピペリジン誘導体のGrignard試薬(7)と二トリル基を有する芳香族化合物(6)を、THF中で室温または加熱還流下で一晩反応させることにより得られるイミン(8)を酸性条件で処理することによりケトン(9)が得られる。次に、ハロゲン化芳香族化合物をTHF中でマグネシウムと反応することにより得られるGrignard試薬(10)と反応させることで(11)を得ることができる。(11)を硫酸などの強酸とメタノールなどの混合溶媒中で室温または加熱下で反応させることによりβ脱離をおこさせ(12)へと導くことができる。

スキーム2
D、E、Ar1、Ar2、Q1の定義はスキーム1と同じものとする。(13)とエチルクロロフォルメートをトルエンなどの溶媒中、加熱還流などすることにより(14)を得た後、n−ブタノールなどの溶媒中で水酸化カリウムなどを塩基として用いて、加熱還流などすることにより加水分解することで、(15)を得る。さらに、さまざまなアルキルハライドなど用いて、アルキル化などを行うことにより(16)を得ることができる。

スキーム3
D、E、Ar1、Ar2、Q1の定義はスキーム1、スキーム2と同じものとする。T1は一般式(1)で示されるS1の構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点で一般式(1)で示されるT1に変換可能な構造をとる。T2、T3はそれぞれ一般式(1)で示されるS2、S3の構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点でそれぞれ一般式(1)で示されるS2、S3の構造に変換可能な構造をとる。Q2は一般式(1)で示されるR2の構造を有するか、または合成工程のいずれかの時点で一般式(1)で示されるR2に変換可能な構造をとる。(17)をジクロロメタンなどの溶媒を用いて、BBr3などの酸で処理することで(18)を得る。さらに、(18)に対して、アルキルハライドなどによるアルキル化、または、アルコール(19)とトリフェニルホスフィンなどのホスフィンとDEAD、DIAD、TMADなどのアゾ化合物を使用した光延反応によるアルキル化を行うことにより(20)を得ることができる。
また、固相合成方法を使用した次の方法を用いても本特許のピペリジン誘導体を合成することができる。

D、E、Ar1、Ar2、Q1の定義はスキーム1と同じものとする。文献記載方法(Kroll,F.E.;Morphy,R.;Rees,D.;Gani,D.Tetrahedron Lett.1997,38,8573−8576.)に従ってMerrifieldレジンより誘導化して合成された(21)などに対して、メチルイソニペコテート誘導体などを反応することにより得られる(22)を、LiOHなどの塩基を使用してエステル加水分解を行って(23)を得た後、N,O−ジメチルヒドロキシルアミンなどとDICなどの縮合剤とHOAtなどの縮合補助剤を使用して縮合して(24)を得る。その後、(24)とGrignard試薬と反応させることにより(25)を得た後、酢酸などで処理することにより(26)へ導く。さらに異なっていても同じでもよいGrignard試薬を(26)と反応させることで(27)を得た後、NMPやDMFなどの溶媒中においてアルキルハライドなどと(27)を反応させることで(28)を得る。(28)を塩基性条件下、例えば、アンモニアガスで一晩処理することによりHofmann脱離によりレジンから化合物の切り出し後、アセトニトリル、ジクロロメタンなどの溶媒を使用してにより溶出することで(29)を得ることができる。また、水酸化リチウムをTHFと水の混合溶媒中に溶かした溶液と(28)を一晩反応させることでも(29)を得ることができる。さらに、(29)からはスキーム1に示した方法でβ脱離を誘発して本特許のピペリジン誘導体を得ることができる。
本発明の一般式(1)で示される化合物が塩の形態を成し得る場合、その塩は医薬的に許容しうるものであればよく、例えば、式中のカルボキシル基等の酸性基に対しては、アンモニウム塩、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アルミニウム塩、亜鉛塩、トリエチルアミン、エタノールアミン、モルホリン、ピペリジン、ジシクロヘキシルアミン等の有機アミンとの塩、アルギニン、リジン等の塩基性アミノ酸との塩が挙げることができる。式中に塩基性基が存在する場合の塩基性基に対しては、塩酸、硫酸、リン酸などの無機酸との塩、酢酸、クエン酸、安息香酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、コハク酸等の有機カルボン酸との塩、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機スルホン酸との塩が挙げることができる。塩を形成する方法としては、一般式(1)の化合物と必要な酸または塩基とを適当な量比で溶媒、分散剤中で混合することや、他の塩の形より陽イオン交換または陰イオン交換を行うことによっても得られる。
本発明の一般式(1)で示される化合物にはその溶媒和物、例えば水和物、アルコール付加物等も含んでいる。
一般式(1)で示される化合物またはその塩は、そのままあるいは各種の医薬組成物として投与される。このような医薬組成物の剤形としては、例えば錠剤、散剤、丸剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、溶液剤、糖衣剤、デボー剤、またはシロップ剤にしてよく、普通の製剤助剤を用いて常法に従って製造することができる。
例えば錠剤は、本発明の有効成分であるフェニルアラニン誘導体を既知の補助物質、例えば乳糖、炭酸カルシウムまたは燐酸カルシウム等の不活性希釈剤、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン等の結合剤、アルギン酸、コーンスターチまたは前ゼラチン化デンプン等の膨化剤、ショ糖、乳糖またはサッカリン等の甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリー等の香味剤、ステアリン酸マグネシウム、タルクまたはカルボキシメチルセルロース等の滑湿剤、脂肪、ワックス、半固形及び液体のポリオール、天然油または硬化油等のソフトゼラチンカプセル及び坐薬用の賦形剤、水、アルコール、グリセロール、ポリオール、スクロース、転化糖、グルコース、植物油等の溶液用賦形剤と混合することによって得られる。
一般式(1)で示される化合物またはその塩を有効成分とするピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩は、また、5−HT7が関与する病態、例えば、消化管運動機能疾患を含む機能性消化管疾患、例えば、過敏性腸症候群、反芻症候群、球症候群、機能性胸焼症、食道起因姓胸痛症、機能性胃腸障害、機能性嚥下困難症、機能性嘔吐、嚥下症、呑気症、機能性便秘、機能性腹部膨満、機能性腹痛症候群、機能性下痢、オッジ括約筋機能異常、胆嚢機能異常症、肛門挙筋症候群、機能性便失禁、骨盤底強調運動障害、消散性肛門痛、小児消化管機能障害(小児逆流症、小児反芻症候群、周期性嘔吐症候群、機能性胃腸障害、過敏性腸症候群、機能性腹痛、発作性腹痛、空気嚥下症、機能性下痢、小児排便困難症、機能性便秘、機能性便貯留、機能性非貯留型便失禁等)、腹痛、内臓痛等の治療剤または予防剤、特に過敏性腸症候群のいずれかの治療剤または予防剤に利用できる。本発明は、また、5−HT7が関与する病態、例えば、機能性消化管疾患の類似の病態を伴う疾患(不安性障害(パニック障害および全般性不安障害)、身体表現性障害、解離性障害、気分障害などの神経症、過食症、神経性拒食症、睡眠障害、糖尿病性胃腸症等)、または、腹部外科手術後の消化器症状などのいずれかの治療剤または予防剤にも利用できる。
本発明における「過敏性腸症候群」とは、器質的あるいは生化学的異常では説明できない、慢性あるいは繰り返し消化管機能障害を示す疾患である「機能性腸消化管疾患」における一疾患であり、腹痛や腹部不快感を伴った便通異常が、一定期間以上持続する疾患である。この症候群は、便通異常の状況から「便秘型」、「下痢型」、両者が交替して出現する「交替型」に分けられる。[Rome II;the functional gastrointestinal disorders,2nd Ed,Degnon Associates,McLean(2000)]。
本発明における「内臓痛」とは、胃、腸管、心臓等の内臓、腹膜および胸膜に生じた痛みである[Textbook of Pain,4nd Ed,603−709,CHURCHILL LIVINGSTONE,Hartcourt Publishers Limited(1999)]。
本発明における「腹痛」とは腹部領域に知覚される慢性もしくは、急性の疼痛である。[Textbook of Pain,4nd Ed,603−619,CHURCHILL LIVINGSTONE,Hartcourt Publishers Limited(1999)]。
本発明における「過敏性腸症候群治療薬」は過敏性腸症候群の治療のみならず、改善および予防にも有用である。
本発明における「内臓痛治療薬」は内臓痛の治療のみならず、改善および予防にも有用である。
本発明における「腹痛治療薬」は腹痛の治療のみならず、改善および予防にも有用である。
本化合物はこうした疾患の治療において、単独で用いる事もできるが、抗コリン薬、緩下薬、止瀉薬、整腸薬、粘膜麻痺薬、消化管運動機能調節薬、自律神経調節薬、漢方薬、抗不安薬、抗うつ薬、睡眠薬、抗精神病薬、セロトニン拮抗薬、セロトニン作動薬等の薬剤と併せて用いることもできる。又、本発明の化合物は薬理作用として優れるのみならず、代謝的に安定であることも期待される。
上記目的のために用いる投与量は、目的とする治療効果、投与方法、治療期間、年齢、体重などにより決定されるが、経口もしくは非経口のルートにより、通常成人一日あたりの投与量として経口投与の場合で1μg〜5g、非経口投与の場合で0.01μg〜1gを用いる。
【実施例】
以下の実施例により本発明を詳細に説明する。これらは本発明の好ましい実施態様でありこれらの実施例に限定されるものではない。
【実施例1】
工程1
アルゴン置換した反応容器中に、N−メチル−4−クロロピペリジン(100g)、マグネシウム(22g)、THF(500mL)を加えてオイルバスを使用して加熱還流した。発熱を伴う反応が観察されたらオイルバスを取り除き、発熱が完全に終了するまで激しく攪拌し続けた。(約1時間)反応系を室温に戻してから3−クロロベンゾニトリル(100g)を加えて、2時間加熱還流した。反応系を氷浴にて0℃にした後、100mLの水を除々に加えた後、さらに、12N塩酸溶液(1L)を除々に加えた。次に反応溶媒を減圧除去し、水(500mL)と水酸化ナトリウム(500g)を混ぜることにより調製された溶液を加えて良く攪拌した後、再度、反応溶媒を減圧除去した。酢酸エチル(500mL)を加えて良く攪拌した後、デカントにて目的物の酢酸エチル溶液を取り出す作業を10回繰り返した後、全ての酢酸エチル溶液を濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表記化合物53gを得た。
工程2
アルゴン置換した反応容器中にて、マグネシウム(23g)とTHF(400mL)を激しく攪拌しているところに、2−メトキシブロモベンゼン(10g)を加えて発熱反応が開始するまで攪拌を継続した。その後、氷浴の使用と2−メトキシブロモベンゼンを加える速度を調整しながら、2−メトキシブロモベンゼン(140g)をさらに加えた。反応系を室温に戻した後、実施例1工程1で合成された化合物(34g)を加えて3時間攪拌した。水(100mL)を除々に加えた後、12N塩酸溶液(500mL)を除々に加えた。次に反応溶媒を減圧除去し、水(500mL)と水酸化ナトリウム(500g)を混ぜることにより調製された溶液を加えて良く攪拌した後、再度、反応溶媒を減圧除去した。酢酸エチル(500mL)を加えて良く攪拌した後、デカントにて酢酸エチル溶液を取り出す作業を10回繰り返した後、全ての酢酸エチル溶液を濃縮して表題化合物を得た。
工程3
実施例1工程2で得られた化合物を、あらかじめ調製された濃硫酸(2mL)とメタノール(60mL)の混合溶液に溶かし、50℃にて3時間加熱した。その後、水(50mL)と水酸化ナトリウム(40g)を混ぜることにより調製された溶液を氷浴にて冷却されているところに、室温に戻した上記の目的化合物を含有する濃硫酸溶液を除々に加えた。酢酸エチル(300mL)を加えた抽出作業を2回繰り返した後、溶液を濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表記化合物17gを得た。
【実施例2】
工程1
実施例1で合成された化合物(11g)をトルエン(50mL)に溶解させた後、クロロエチルフォルメート(20mL)を除々に加えてから5時間加熱還流した。水を20mL加えた後、酢酸エチル(200mL)を加えて抽出を行った後、有機相を減圧濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表代化合物12gを得た。
工程2
実施例2工程1で得られた化合物全量に水酸化カリウム(6.75g)とn−ブタノール(51mL)を加えて加熱還流を3時間行った。減圧濃縮によりn−ブタノールを取り除いた後、酢酸エチル(100mL)と水(50mL)を加えて抽出を行って、分離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより表代化合物10gを得た。
【実施例3】
実施例1工程1で得られた化合物(2g)に、2,5−ジメトキシブロモベンゼン(4.5g)とマグネシウム(0.5g)を激しく攪拌することにより得られたGrignard試薬を室温で2時間反応させた。水(100mL)を除々に加えた後、12N塩酸溶液(150mL)を除々に加えた。次に反応溶媒を減圧除去し、水(150mL)と水酸化ナトリウム(150g)を混ぜることにより調製された溶液を加えて良く攪拌した後、再度、反応溶媒を減圧除去した。酢酸エチル(150mL)を加えて良く攪拌した後、デカントにて酢酸エチル溶液を取り出す作業を10回繰り返した後、全ての酢酸エチル溶液を濃縮した。得られた化合物を、あらかじめ調製された濃硫酸(6mL)とメタノール(15mL)の混合溶液に溶かし、50℃にて3時間加熱した。その後、水(30mL)と水酸化ナトリウム(20g)を混ぜることにより調製された溶液を氷浴にて冷却されているところに、室温に戻した上記の目的化合物を含有する濃硫酸溶液を除々に加えた。酢酸エチル(150mL)を加えた抽出作業を2回繰り返した後、溶液を濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表記化合物2.1gを得た。
【実施例4】
工程1
実施例3で合成された化合物(1g)をトルエン(5mL)に溶解させた後、クロロエチルフォルメート(2mL)を除々に加えてから4時間加熱還流した。水を20mL加えた後、酢酸エチル(50mL)を加えて抽出を行った後、有機相を減圧濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表代化合物2.1gを得た。
工程2
実施例5工程1で得られた化合物全量に水酸化カリウム(1.7g)とn−ブタノール(10mL)を加えて加熱還流を3時間行った。減圧濃縮によりn−ブタノールを取り除いた後、酢酸エチル(20mL)と水(10mL)を加えて抽出を行って、分離した有機相を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮することにより表代化合物0.9gを得た。
【実施例5】
工程1
アルゴン置換した反応容器中に、N−メチル−4−クロロピペリジン(15g)、マグネシウム(3.3g)、THF(50mL)を加えてオイルバスを使用して加熱還流した。発熱を伴う反応が観察されたらオイルバスを取り除き、発熱が完全に終了するまで激しく攪拌し続けた。(約1時間)反応系を室温に戻してから2−メトキシベンゾニトリル(100g)を加えて、一晩加熱還流した。反応系を氷浴にて0℃にした後、10mLの水を除々に加えた後、さらに、12N塩酸溶液(100mL)を除々に加えた。次に反応溶媒を減圧除去し、水(50mL)と水酸化ナトリウム(50g)を混ぜることにより調製された溶液を加えて良く攪拌した後、再度、反応溶媒を減圧除去した。酢酸エチル(50mL)を加えて良く攪拌した後、デカントにて目的物の酢酸エチル溶液を取り出す作業を10回繰り返した後、全ての酢酸エチル溶液を濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表記化合物4gを得た。
工程2
アルゴン置換した反応容器中にて、THF(50mL)中、2−ブロモチオフェンとマグネシウム(1g)とを激しく攪拌することで調製されたGrignard試薬に、実施例4工程1で合成された化合物(1.2g)を加えて3時間攪拌した。水(10mL)を除々に加えた後、12N塩酸溶液(50mL)を除々に加えた。次に反応溶媒を減圧除去し、水(50mL)と水酸化ナトリウム(50g)を混ぜることにより調製された溶液を加えて良く攪拌した後、再度、反応溶媒を減圧除去した。酢酸エチル(50mL)を加えて良く攪拌した後、デカントにて酢酸エチル溶液を取り出す作業を10回繰り返した後、全ての酢酸エチル溶液を濃縮して表題化合物を得た。
工程3
実施例4工程2で得られた化合物を、あらかじめ調製された濃硫酸(8mL)とメタノール(20mL)の混合溶液に溶かし、50℃にて3時間加熱した。その後、水(20mL)と水酸化ナトリウム(20g)を混ぜることにより調製された溶液を氷浴にて冷却されているところに、室温に戻した濃硫酸溶液を除々に加えた。酢酸エチル(150mL)を加えた抽出作業を2回繰り返した後、溶液を濃縮してクルードの表記化合物を得た。さらに、シリカゲルクロマトグラフィーによる精製を行い、表記化合物1gを得た。
【実施例6】
実施例2で合成された化合物(82mg)、臭化n−プロピル(31μL)、アセトニトリル(2mL)、炭酸カリウム(80mg)を室温にて一晩攪拌した。実施例4工程2と同様な方法で精製することにより目的化合物(70mg)を得た。
実施例7−25
表2に記載されアルキルハライド、反応条件を用いて実施例6と同様の方法で目的物を得ることができた。
【実施例26】
実施例2で得られた化合物(4g)と(2−bromo−ethyl)−carbamic acid tert−butyl ester(5.7g)をトリエチルアミン(5.34mL)存在下、アトトニトリル(50mL)中、室温にて一晩反応させた。実施例4工程2と同様な方法で精製することにより目的化合物(4.13g)を得た。
【実施例27】
実施例26で得られた化合物(4.0g)に4N HCl/酢酸エチル(60mL)を加えて室温にて40分攪拌した。溶媒を減圧除去して目的化合物(3.7g)を得た。
【実施例28】
実施例27で得られた化合物(60mg)に無水酢酸(3mL)とピリジン(3mL)を加えて室温にて一晩攪拌した。実施例4工程2と同様な方法で精製することにより目的化合物(46mg)を得た。
【実施例29】
実施例28で得られた化合物(60mg)に1−Methyl−cyclopropanecarboxylic acid(19mg)、WSC(36mg)、HOBt(25mg)、トリエチルアミン(57μL)を加えて室温にて一晩攪拌した。実施例4工程2と同様な方法で精製することにより目的化合物(70mg)を得た。
実施例30−35
対応する反応試薬を用いて実施例29と同様の方法で目的物を得ることができた。
【実施例36】
実施例2で得られた化合物と(2−bromo−propyl)−carbamic acid tert−butyl esterを使用して実施例26と同様な方法を用いることにより目的物が得られた。
【実施例37】
実施例36で得られた化合物に対して、実施例27の処理を行うことにより目的物を得ることができた。
実施例38−47
実施例37で得られた化合物に、実施例28と同様な処理を行うことにより目的物を得ることができた。
【実施例48】
実施例27で得られた化合物(67mg)に対して、2,6−ジメトキシベンゼンスルフォニルクロリド(48mg)、2,6−ルチジン(150μL)、ジクロロメタン(3mL)を加えて、室温にて一晩攪拌した。実施例4工程2と同様な方法で精製することにより目的化合物(50mg)を得た。
実施例49−52
実施例27で得られた化合物に対して、実施例48と同様な処理を行うことにより目的物を得ることができた。
実施例53−57
実施例1または実施例3または実施例5と同様な方法で目的物を得ることができた。
実施例58−63
実施例4で得られた化合物に対して、実施例6または実施例7または実施例8または実施例9または実施例11または実施例23の反応試薬、反応条件を使用することで目的物を得ることができた。
【実施例64】
実施例4で得られた化合物に対して、実施例26と同様な処理を行うことにより目的物を得ることができた。
【実施例65】
実施例64で得られた化合物に対して、実施例27と同様な処理を行うことにより目的物を得ることができた。
【実施例66】
工程1
実施例1で得られた化合物(1.5g)をジクロロメタン(5mL)に溶解した後、1N BBr3/ジクロロメタン(20mL)を除々に加えた。室温にて15分間攪拌した後、反応溶液を粉砕された氷にデカンテーションにより注いだ。氷が完全に溶けるまで待ってから、反応溶液が塩基性になるまで水酸化ナトリウムを加え、ジクロロメタンにより目的物の抽出を行った。さらに、実施例4工程2と同様な方法で精製することにより中間体(1g)を得た。
工程2
実施例66工程1で得られた化合物(100mg)、固相化されたトリフェニルホスフィン(1.6mmol/1gレジン、600mg)、ジクロロメタン(10mL)、エタノール(55μL)を混合した後、TMAD(165mg)を加えて、室温にて3日間反応させた。固相樹脂をフィルターで取り除いた後、溶媒を減圧濾過し、逆相HPCLを使用して精製して目的物(40mg)を得た。
【実施例67】
実施例66工程1で得られた化合物に対して、プロパノールを使用して実施例66工程2と同様な処理を行うことで目的物を得ることができた。これら実施例を表1〜8に示す。









試験例1:5HT−7発現細胞を用いたRBA(Receptor Binding Assay)
ヒト5−HT7a受容体発現CHO−K1細胞(EUROSCREEN;h5HT−C1 cells,No.ES−317−C)を400μg/ml G418、100U/ml Penicillin、100μg/ml Streptomycin、10%ウシ胎児血清を含むHam’s F12培地中で37℃ 5% CO incubatorで培養した。培地を除去し、細胞をCa2、Mg2を含まないPhosphate−buffered saline(PBS(−))で洗った後HMEE buffer(20mM HEPES−KOH pH7.4、1mM EDTA、1mM EGTA、2mM MgCl)にてシャーレより剥がし回収した。氷上でテフロンホモジナイザーを用いて細胞をホモジナイズした後、4℃、1,500gで5分間遠心し、上清を回収した。上清を更に4℃、12,000gで30分間遠心し得られた沈殿物をHMEE Bufferに懸濁、分注し、液体窒素で瞬間凍結し−80℃に保存し、使用時に室温にて融解した。U底ポリスチレン製96穴プレート(Falcon,No.351190)にて膜画分、評価化合物、2−[125I]−(+)−Iodo−Lysergic Acid Diethylamide(Perkin Elmer life sciences,No.NEX199)をBinding buffer(50mM HEPES−NaOH pH7.4、1mM CaCl、5mM MgCl、0.5% BSA)50μl/well中で室温3時間反応後、予め0.05% Polyethyleneimine 50μl/wellを添加した96well GF/B Unifilter plate(Perkin Elmer life sciences,No.6005177)に吸引捕集した。上記Unifilter plateをWashing buffer(50mM HEPES−NaOH pH7.4、1mM CaCl、5mM MgCl、0.5M NaCl、0.05% Tween−20)約200μl/wellで3回洗浄し、一晩乾燥し、マイクロシンチ(Packard,No.NR6013611)30μl/wellを添加した。結合した2−[125I]−(+)−Iodo−Lysergic Acid Diethylamideの量をトップカウンター(Packard)で測定した。化合物として100μMのcrozapineを用いた場合に得られたカウントを0%、化合物非添加の場合に得られたカウントを100%として、各濃度の化合物存在下での2−[125I]−(+)−Iodo−Lysergic Acid Diethylamideの結合率を%表示し、各化合物について濃度と結合%の関係をシグモイド近似曲線で表し、2−[125I]−(+)−Iodo−Lysergic Acid Diethylamideの結合率が50%となる化合物の濃度をIC50値と定義した。
得られた試験結果を表9に示す。

試験例2:5HT−7発現細胞を用いた5HT−7アゴニスト活性の測定
ヒト5HT−7を発現したCHO−K1細胞、h5HT7−C2はEuroscreen社より購入した。1%ウシ胎児血清を含む培地(GIBCO CHO−SFM−II、Clontech社)に2x10細胞/mlに懸濁したh5HT7−C2細胞を96穴プレートに100μl播種し、37℃のCO2インキュベータで5時間培養した。培地を吸引除去し、1wellあたり200μlのCHO−SFM−II培地で洗浄した後、1wellあたり100μlのCHO−SFM−II培地を加え、さらに37℃のCO2インキュベータ終夜培養した。培地を吸引除去した後、1mMのIBMX(3−isobutyl−1methylxanthine)、化合物を含むRPMI−1640培地100μlを添加し37℃のCO2インキュベータ内で刺激を行なった。刺激後培地を吸引除去した後100μlの0.1N塩酸を加え振とう後、4℃で1時間静置した。各well中の0.1N塩酸溶液のうち50μlを取り、減圧下で乾燥した後、cAMP EIAキット(RPN225、Amersham社)を用い、添付のプロトコール(Protocol 2.Acetylation EIA Procedure)に準拠した方法によってcAMP濃度を測定した。化合物として10μMのserotoninを用いた場合に得られたcAMP濃度を100%、化合物非添加の場合に得られたcAMP濃度を0%として、各濃度の化合物のcAMPを%表示し、各化合物について濃度とcAMP%の関係のシグモイド近似曲線の最大値をEmax値、Emax値の1/2のcAMPとなる化合物の濃度をEC50値と定義した。
得られた試験結果を表10、図1に示す。

図1からも明らかであるように、実施例59の化合物の作用は生体内アゴニストであるserotoninよりも強力であった。
以上のことから、本発明の化合物は5−HT7アゴニストとして優れた効果を発揮しうる。
試験例3:In vivoマウス 5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)誘発排便モデルに対する作用被験化合物の評価
In vivoマウス 5−ヒドロキシトリプトファン(5−HTP)誘発排便モデルに対する作用被験化合物として、実施例5で得られた化合物を用い、G.J.Sangerらの方法(British Journal of Pharmacology,130:706−712,2000)に準じて行なった。SLC:ICR雄性マウス6週齢を、マウス用ステンレス製五連ケージに移し、1時間以上馴化させた後、被験化合物を30mg/kgを経口投与した(n=10)。その30分後に5−HTPを10mg/5mL/kg(5−HTPを使用しない群は生理食塩液を5mL/kg)を皮下投与した。その直後から30分間に排出する糞の状態(0:正常便および糞なし、1:下痢あるいは軟便 としてスコア化)を各個体ごとに観察した。媒体(5−HTP有)群から媒体(5−HTP無)群を差し引いたスコア値を100%として、被験化合物抑制率(%)を算出した。被験化合物の抑制率は100%であった。本結果から明らかであるように、本発明における5−HT7受容体拮抗薬は下痢型過敏性腸症候群の治療薬として優れた効果を発揮し得る。
試験例4:5HT−7発現細胞を用いた5HT−7アンタゴニスト活性の測定
ヒト5HT−7を発現したCHO−K1細胞、h5HT7−C2はEuroscreen社より購入した。1%ウシ胎児血清を含む培地(GIBCO CHO−SFM−II、Clontech社)に2x10細胞/mlに懸濁したh5HT7−C2細胞を96穴プレートに100μl播種し、37℃のCO2インキュベータで5時間培養した。培地を吸引除去し、1wellあたり200μlのCHO−SFM−II培地で洗浄した後、1wellあたり100μlのCHO−SFM−II培地を加え、さらに37℃のCO2インキュベータ終夜培養した。培地を吸引除去した後、1mMのIBMX(3−isobutyl−1methylxanthine)、化合物を含むRPMI−1640培地50μlを添加し、約5分後に1mMのIBMX、serotonin(0.2uM)を含むRPMI−1640培地50μlをさらに加え、37℃のCO2インキュベータ内で30分間刺激を行なった。刺激後培地を吸引除去した後50μlの0.1N塩酸を加え振とう後、4℃で1時間静置した。各well中の0.1N塩酸溶液のうち40μlを取り、減圧下で乾燥した後DELFIA cAMPキット(CR89−102、PerkinElmer社)を用い、添付のプロトコールに準拠した方法によってcAMP濃度を測定した。化合物非添加時のcAMP濃度を阻害0%、serotonin非添加時のcAMP濃度を阻害100%として、化合物の阻害活性を計算した。実施例5の化合物のIC50値は6.0nMであった
試験例5
マウス酢酸ライジングモデルに対する作用
Matsumotoらの方法(Eur J Pharmacol.,352,47,1998)に準じて行なった。
酢酸で誘発される身もだえ(ライジング:writhing)試験法に対する試験化合物1の効果をICR雄性マウス(4週齢)を用いて検討した。0.9%酢酸溶液(生理食塩水で希釈)を腹腔内投与し、その5分後から15分間の身もだえ回数を測定した。被験化合物は0.5%トラガカントゴム溶液に懸濁し、5mL/kgで酢酸投与90分前に経口投与した。実施例5の化合物を10mg/kg投与した場合の抑制率は49%であった。
本結果から明らかであるように、本発明における5−HT7受容体拮抗薬は内臓痛および腹痛の治療薬として優れた効果を発揮し得る。
【図1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示されるピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。

(式中、S1、S2、S3はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子;ハロゲン原子;水酸基;低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い);アリール基;ヘテロアリール基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルキル基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基;低級アルキルチオ基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルコキシ基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキルチオ基;アリール基で置換された低級アルコキシ基;アリール基で置換された低級アルキルチオ基;ヘテロアリール基で置換された低級アルコキシ基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキルチオ基;環状アルキル(環中にヘテロ原子を含んでも良い)オキシ基;アリールオキシ基;ヘテロアリールオキシ基;ヒドロキシ低級アルキル基;ヒドロキシ低級アルケニル基;ヒドロキシ低級アルコキシ基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルコキシ基;ハロゲノ低級アルキルチオ基;ハロゲノ低級アルケニル基;ニトロ基;シアノ基;置換または無置換アミノ基;カルボキシル基;低級アルキルオキシカルボニル基;置換または無置換のカルバモイル基;低級アルカノイル基;アロイル基;低級アルキルスルホニル基;置換または無置換スルファモイル基のいずれかを表し;また、S1、S2、S3は結合して環を形成してもよく、場合により環中に1または2個の酸素原子、窒素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含んでいてよく、
RNGは置換されていてもよいアリール基;または酸素原子、硫黄原子または窒素原子より選ばれるヘテロ原子を1、2、3または4個含む、置換されていてもよいヘテロアリール基であり、
R1は水素原子、水酸基;低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い);アリール基;ヘテロアリール基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルキル基;アリール基で置換された低級アルケニル基;ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基で置換された低級アルキル基;アミノ基で置換された低級アルキル基;カルボキシル基で置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基で置換されたカルボニル基により置換された低級アルキル基;低級アルコキシ基;ヒドロキシ低級アルキル基;ヒドロキシ低級アルケニル基;アリール基で置換されたヒドロキシ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルケニル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、ピペロニル基のいずれかで置換されていてもよいアミド基により置換された低級アルキル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、のいずれかで置換されていてもよいスルフォンアミド基により置換された低級アルキル基;環状アルキル基(環中にヘテロ原子を含んでも良い)、アリール基、ヘテロアリール基、低級アルキル基、低級アルキニル基、低級アルコキル基、アリール基で置換された低級アルキル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルキル基、アリール基で置換された低級アルケニル基、ヘテロアリール基で置換された低級アルケニル基、低級アルキニル基、環状アルケニル基、ピペロニル基のいずれかで置換されていてもよいウレア基により置換された低級アルキル基であり、
R2は低級アルキル基;低級アルケニル基;低級アルキニル基;ハロゲノ低級アルキル基;ハロゲノ低級アルケニル基;ハロゲノ低級アルキニル基であり、
A,Bはそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子;ハロゲン原子;低級アルキル基のいずれかを表す。
ただし、以下(i)〜(iv)の場合を除く。

(i)E1がH−、HO−、PhCOO−のいずれか、E2がH−、HO−、PhCOO−のいずれかE3がH−、HO−、PhCOO−、tert−ブチルのいずれかである場合、
(ii)E4がメチル基、3位に置換基を有するプロピレン基のいずれかである場合
(iii)E5がHO−CH2CH2−、HO−CH2CH2OCH2CH2−、H−のいずれかである場合、
(iv)式(iv)で示される化合物である場合。)
【請求項2】
一般式(1)において、R2が低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基を表す請求項1記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項3】
一般式(1)において、R2がメチル基を表す請求項1記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項4】
一般式(1)において、S1、S2、S3はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、水酸基、低級アルキル基、低級アルケニル基、低級アルキニル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ヒドロキシ低級アルキル基、ヒドロキシ低級アルケニル基、ヒドロキシ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルケニル基、置換または無置換アミノ基のいずれかを表す請求項1記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項5】
一般式(1)において、R2が低級アルキル基、ハロゲノ低級アルキル基のいずれかを表す請求項4記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項6】
一般式(1)において、R2がメチル基を表す請求項4記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項7】
一般式(1)において、S1、S2、S3はそれぞれ同じでも異なってもよく、水素原子、ハロゲン原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルキルチオ基、ハロゲノ低級アルキル基、ハロゲノ低級アルコキシ基、ハロゲノ低級アルキルチオ基を表し、R2がメチル基を表し、A、Bは水素原子を表す請求項4記載のピペリジン誘導体または医薬的に許容しうる塩。
【請求項8】
一般式(1)で表される化合物が、下記式で表される化合物からなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩。

【請求項9】
一般式(1)で表される化合物が、下記式で表される化合物である請求項1〜7のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩。

【請求項10】
一般式(1)で表される化合物が、下記式で表される化合物からなる群から選ばれる請求項1〜7のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩。

【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分として含有する医薬組成物。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分として含有する過敏性腸症候群の治療薬または予防薬。
【請求項13】
過敏性腸症候群が下痢型過敏性腸症候群である請求項12の治療薬または予防薬。
【請求項14】
過敏性腸症候群が便秘型過敏性腸症候群である請求項12の治療薬または予防薬。
【請求項15】
過敏性腸症候群が交替型過敏性腸症候群である請求項12の治療薬または予防薬。
【請求項16】
請求項1〜10のいずれか1項記載のピペリジン誘導体またはその医薬的に許容しうる塩を有効成分として含有する内蔵痛または腹痛の治療薬。

【国際公開番号】WO2004/103972
【国際公開日】平成16年12月2日(2004.12.2)
【発行日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−506383(P2005−506383)
【国際出願番号】PCT/JP2004/007132
【国際出願日】平成16年5月19日(2004.5.19)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
テフロン
【出願人】(000000066)味の素株式会社 (887)
【Fターム(参考)】