説明

新規ペプチド

本発明は、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)をターゲティングするための新規ペプチドに関する。本発明はさらに治療上有効な処置及び画像診断法における当該ペプチドの使用に関する。VEGFR−2は血管新生内皮細胞、造血幹細胞、骨髄中の内皮前駆体細胞及び数種の悪性細胞で発現されるので、これらのペプチド系造影剤は、例えば悪性疾患、心疾患、子宮内膜症、炎症関連疾患及び関節リウマチの診断に使用し得る。さらに、かかる薬剤は血管新生の阻害によるこれらの疾患の治療に使用し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規ペプチド並びに治療上有効な処置及び画像診断法におけるそれらの使用に関する。さらに具体的には、本発明は、血管新生内皮細胞、造血幹細胞、骨髄中の内皮前駆体細胞及び数種の悪性細胞で発現される血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2/KDR(kinase insert domain−containing receptor)/flk−1(fetal liver kinase))をターゲティングするためのかかるペプチドの使用に関する。そこで、これらのペプチドをベースとした造影剤は、例えば悪性疾患、心疾患、子宮内膜症、炎症関連疾患及び関節リウマチの診断に使用し得る。さらに、かかる薬剤は血管新生の阻害によるこれらの疾患の治療に使用し得る。これらのペプチドはさらに疾患部位又は組織に治療薬を運搬する薬物送達にも使用できる。
【背景技術】
【0002】
新しい血管は、血管新生と脈管形成という2つの異なる機序で形成される。血管新生は既存の血管からの出芽/枝分れによる新しい血管の形成である。このプロセスに対する主な刺激として、組織内の細胞への栄養及び酸素の不十分な供給(低酸素)がある。細胞は血管新生因子の分泌によって応答することがある。血管新生因子は多数存在するが、その一例は血管内皮増殖因子(VEGF)と呼ばれるものである。これらの因子は、基底膜のタンパク質を分解するタンパク分解酵素の分泌だけでなく、かかる潜在的に有害な酵素の作用を制限する阻害剤の分泌も惹起する。血管新生因子のもう一つの顕著な作用は内皮細胞を遊走させ分裂させることである。血管の反管腔側に連続層をなす基底膜に付着した内皮細胞は有糸分裂を起こさない。付着の喪失と血管新生因子受容体からのシグナルとの複合作用によって、内皮細胞の移動、増殖及び再配列が起こり、最終的には新血管周囲に基底膜が合成される。脈管形成は、骨髄から内皮前駆細胞を動員することによる新血管の生成である。新たに公開されたデータによれば、脈管形成は胎生期血管形成に限らず、成人においても様々な状態への応答として起こる。動員された骨髄由来内皮前駆細胞もVEGFR2を発現する。
【0003】
血管新生は創傷治癒及び炎症過程を始めとする組織の増殖及びリモデリングに重要である。腫瘍は、ミリメートル大に達すると、その増殖速度を保つため血管新生を惹起しなければならない。血管新生は内皮細胞とそれらの周囲の環境に特徴的な変化を伴う。これらの細胞の表面は遊走に備えて再構築され、タンパク分解の誘発と制御に関与する各種タンパク質に加えて、基底膜が分解されると隠れた構造が露出される。腫瘍の場合、形成される血管ネットワークは通常はまとまりがなく、鋭いねじれや動静脈シャントの形成を伴う。
【0004】
血管新生の阻害は抗腫瘍療法の有望な方策であると考えられる。血管新生に伴う形質転換も診断用の標的として極めて有望である。明らかな例は悪性疾患であるが、この方策は、炎症及びアテローム性動脈硬化症を始めとする様々な炎症関連疾患にも極めて有望である。初期アテローム性動脈硬化病変のマクロファージは血管新生因子の潜在的発生源である。これらの因子は心筋梗塞の血管再生にも関与している。
【0005】
新血管の発生又は増殖が示唆される新脈管形成又は血管新生に関連する不都合な状態を以下に述べる。これに関しては国際公開第98/47541号も参照できる。
【0006】
血管新生に関連した疾患及び適応症は例えば様々な形態の癌及び転移、例えば乳癌、皮膚癌、結腸直腸癌、膵臓癌、前立腺癌、肺癌又は卵巣癌である。
【0007】
血管新生に関連した他の疾患及び適応症は、炎症(例えば慢性)、アテローム性動脈硬化症、関節リウマチ及び歯肉炎である。
【0008】
血管新生に関連したさらに別の疾患及び適応症は、動静脈奇形、星細胞腫、絨毛癌、子宮内膜症、グリア芽細胞種、神経膠腫、血管腫(小児性、毛細血管性)、肝細胞腫、過形成性子宮内膜症、虚血性心筋症、カポジ肉腫、黄斑変性症、黒色腫、神経芽細胞腫、閉塞性末梢動脈疾患、骨関節炎、乾癬、網膜症(糖尿病性、増殖性)、強皮症、精上皮腫及び潰瘍性大腸炎である。悪性細胞及びストローマ細胞は血管新生の過程に関与するタンパク質を上方制御する。特異性の異なるマーカーが内皮細胞で発現される。これらのマーカーには、VEGFR2のような増殖因子受容体が含まれる。電子顕微鏡と組合せた免疫組織化学的研究によれば、VEGFR2は管腔外及び管腔内の血管内皮細胞の原形質膜に発現される(Dvorak & Feng, 2001 J Histochem Cytochem, 49:419)。低酸素の腫瘍細胞又はストローマ細胞の産生するVEGFは内皮細胞のVEGFR2に結合して血管新生を刺激する。
VEGFとVEGFR2の複合体は主に血管内皮の管腔外側にみられるので、循環リガンドによるターゲティングに利用可能なVEGFR2は管腔表面で利用できる。
【特許文献1】国際公開第98/47541号パンフレット
【非特許文献1】Dvorak & Feng, 2001 J Histochem Cytochem, 49:419
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0009】
今回、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)をターゲティングする新規ペプチドを発見した。この新規ペプチドは疾患領域/組織での血管新生を阻害するので医薬品製剤中の治療薬として使用できる。
【0010】
さらに、この新規ペプチドを公知の治療薬にカップリングさせれば、該ペプチドのターゲティング能力によって治療薬を疾患領域/組織に運ぶことができる。1以上のペプチドをさらにキレート剤又はレポーター部分に直接結合によって又はリンカー部分を介してカップリングすると、診断造影剤又は治療活性薬剤として機能させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明は各請求項に記載した通りである。以下の詳細な説明及び実施例で本発明の具体的特徴を概説する。
【0012】
アミノ酸に用いる三文字表記法は以下の意味を有する。
Arg: アルギニン
Asp: アスパラギン酸
Cys: システイン
Hcy: ホモシステイン
Gly: グリシン
VAl: バリン
Tyr: チロシン
Ile: イソロイシン
Ser: セリン
Leu: ロイシン
Asn: アスパラギン
Gln: グルタミン
Ala: アラニン
Met: メチオニン
Glu: グルタミン酸
His: ヒスチジン
Thr: スレオニン
Phe: フェニルアラニン
Trp: トリプトファン
Ser: セリン。
【0013】
第1の態様では、本発明はVEGFR2をターゲティングする新規ペプチドを提供する。
【0014】
新規ペプチドは次の式(I)のアミノ酸配列又はその薬学的に許容される塩を含む。
−Arg−X−X−Ile−X−X−X−X−X−Z−Y (I)
式中、
はVal、Leu、Ile及びTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はArg、Lys、Tyr、Ile及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAsp及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はGly、Asn及びGlnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAla、Met、Gln、Arg、Glu及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はPro、Gly、Ser及びArgからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAla、Met、Gln、Arg、Gly及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基、又はチオエーテルを形成し得る残基であって、該残基は好ましくはQ−C(=O)(式中、Qは−(CH又は−(CH−Cであり、nは1〜10の正の整数である。)であるか、或いはZは存在せず、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基であるか、或いはZは存在せず、
は1〜10個のアミノ酸であるか、或いはYは存在しない。
【0015】
さらに具体的には、新規ペプチドは次の式(II)のアミノ酸配列又はその薬学的に許容される塩を含む。
−Arg−Val(Arg/Lys)Ile−Asp−Gly−X−Pro−X−Z−Y (II)
式中、
はPro、Gly、Ser及びArgからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAla、Met、Gln、Arg、Gly及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基、又はチオエーテルを形成し得る残基であって、該残基は好ましくはQ−C(=O)(式中、Qは−(CH又は−(CH−Cであり、nは1〜10の正の整数である。)であるか、或いはZは存在せず、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基であるか、或いはZは存在せず、
は1〜10個のアミノ酸であるか、或いはYは存在しない。
【0016】
さらに好ましいは、以下のアミノ酸配列を含むペプチドである。
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asp−Gly−Ala−Pro−Ala−Cys(配列番号1)、
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asp−Asn−Met−Pro−Met−Cys(配列番号2)、
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asn−Gly−Gln−Pro−Gln−Cys(配列番号3)、
Cys−Arg−Val−Lys−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Met−Cys(配列番号4)、
Cys−Arg−Leu−Lys−Ile−Asp−Gly−Met−Pro−Arg−Cys(配列番号5)、
Cys−Arg−Ile−Lys−Ile−Asp−Gly−Glu−Gly−Gln−Cys(配列番号6)、
Cys−Arg−Val−Tyr−Ile−Asp−Gly−Val−Ser−Val−Cys(配列番号7)、
Cys−Arg−Val−Ile−Ile−Asp−Gly−Arg−Arg−Met−Cys(配列番号8)、
Cys−Arg−Tyr−Asn−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Gln−Cys(配列番号9)、又は
Cys−Arg−Ile−Arg−Ile−Asp−Gln−Arg−Pro−Ala−Cys(配列番号10)。
【0017】
別の態様では、本発明は次の式(III)で定義される新規ペプチド系化合物を提供する。
【0018】
V−L−Z 式(III)
式中、ベクターVは上記の通り定義されるペプチドであり、Lは結合、スペーサー又はリンカーを表し、Zは抗悪性腫瘍薬、レポーター部分又は適宜イメージング部分Mを保有し得る基を表す。
【0019】
リンカーLの役割はベクターをレポーターにカップリングさせることであり、Lがスペーサー部分である場合は、Lの役割はペプチド成分の活性部位から比較的嵩高いキレート剤を離隔させることである。スペーサー部分Lはペプチドの活性部位から嵩高い抗悪性腫瘍薬を離隔させるのにも応用できる。
【0020】
リンカー部分は1個のベクターを1個のレポーターに連結させるのに役立ててもよいが、2以上のベクター及び/又は2以上のレポーターを連結させてもよい。同様に、レポーター又はベクターを2以上のリンカーに連結させてもよい。このように複数のレポーターを使用すると(例えば、1個のベクターに数個のリンカー−レポーター部分が結合している場合、又は1個のベクターに1個のリンカーが結合し、そのリンカーに数個のレポーターが結合している場合)、造影剤の検出性を(例えば放射線不透過性、エコー反射性又は緩和の増大によって)高めたり、或いは2以上のイメージングモダリティで検出できるようになる。また、このように複数のベクターを使用すると、例えば造影剤のターゲティング効率を高めたり、或いは造影剤/治療薬を2以上の部位(例えば受容体に異種性をもつ薬剤に対する各種受容体)にターゲティングすることができる。
【0021】
リンカー部分Lは単結合であっても、或いは例えば国際公開第01/77145号第23〜27頁に記載の当技術分野で公知の他のリンカーであってもよく、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0022】
Zは安定化ガス充填微小気泡であってもよい。本発明のこの態様では、式(III)の化合物はターゲティング超音波イメージングに使用できる。各微小気泡は数個のベクターVを保有し得る。
【0023】
さらに、Zは次の式(IV)のキレート剤であってもよい。
【0024】
【化1】

【0025】
式中、
各R、R、R及びRは独立にR基であって、
各R基は独立にH又はC1−10アルキル、C3−10アルキルアリール、C2−10アルコキシアルキル、C1−10ヒドロキシアルキル、C1−10アルキルアミン、C1−10フルオロアルキルであるか、或いは2以上のR基がそれらに結合した原子と共に炭素環、複素環、飽和又は不飽和環を形成するものである。或いは、Zは以下の式a、b、c及びdのキレート剤であってもよい。
【0026】
【化2】

【0027】
キレート剤の好ましい例は次の式eである。
【0028】
【化3】

【0029】
式(IV)のキレート剤を含むコンジュゲートを放射性標識すると、中性pH付近の水性条件下室温で良好な放射化学的純度(「RCP」)が得られる。ペプチド成分のジスルフィド架橋が開裂するおそれは高温よりも室温の方が低い。コンジュゲートを室温で放射性標識するもう一つの利点は病院薬局での操作が簡単なことである。
【0030】
しかし、式(III)で定義した化合物は、国際公開第01/77145号第11〜15頁の表Iに規定されているようなキレート剤Zを含んでいてもよい。
【0031】
本発明のある態様では、Zはレポーター部分Mを含んでいて、該レポーター部分は放射性核種を含む。キレート剤のさらに詳しい定義は国際公開第01/77145号第11〜15頁の表Iに記載されており、その開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0032】
本発明の式(III)の一つの態様では、Zは抗悪性腫瘍薬である。この態様では、本化合物は癌に関連した血管新生部位をターゲティングし、抗悪性腫瘍薬を疾患領域に運搬する。抗悪性腫瘍薬の例として、シクロホスファミド、クロロアンブシル(chloroambucil)、ブスルファン、メトトレキセート、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、アムサクリン、ドセタキセルが挙げられるが、その他幅広い種類の抗悪性腫瘍薬も使用し得る。
【0033】
式(III)のペプチド成分は、例えばジスルフィド結合などによる環状立体配置のものであってもよいし、或いは線状であってもよい。
【0034】
本明細書に記載するコンジュゲートのペプチド成分は好ましくは遊離アミノ及びカルボキシ末端をもたない。これによって、これらの化合物は酵素分解に対する耐性が格段に向上し、多くの公知の遊離ペプチドに比べてインビボ安定性が増す。
【0035】
本発明の造影剤のレポーター部分(M)はインビボ画像診断で直接又は間接的に検出できる部分であればよい。
【0036】
MRイメージング用には、レポーターは核スピンが0でない同位体(例えば19F)であるか、或いは不対電子スピンを有していて常磁性、超常磁性、フェリ磁性又は強磁性特性を備える物質である。光学イメージング用には、レポーターは光分散体(例えば着色又は不着色粒子)、光吸収体又は発光体である。磁気的イメージング用には、レポーターは検出可能な磁性粒子である。電気インピーダンス式イメージング用には、レポーターは電気インピーダンスに影響を与えるものである。シンチグラフィー、SPECT、PETなどには、レポーターは放射性核種である。
【0037】
概して、レポーターは、(1)キレート化し得る金属又は多原子金属含有イオン(TcOなど)で、金属が原子番号の高い(例えば原子番号が37を超える)金属、常磁性種(例えば遷移金属又はランタニド)又は放射性同位体であるもの、(2)共有結合した非金属種で、不対電子部位(例えば持続性フリーラジカルの酸素又は炭素)、原子番号の高い非金属又は放射性同位体であるもの、(3)多原子クラスター又は原子番号の高い原子を含む結晶で、協同的磁性挙動(例えば超常磁性、フェリ磁性又は強磁性)を示すか或いは放射性核種を含むもの、のいずれでもよい。
【0038】
以下、特に好ましいレポーター基(M)の例をさらに詳しく説明する。
【0039】
キレート金属レポーターは、好ましくは90Y、99mTc、111In、47Sc、67Ga、51Cr、177mSn、67Cu、187Tm、97Ru、188Re、177Lu、199Au、203Pb及び141Ceからなる群から選択される。
【0040】
金属イオンは、望ましくはリンカー部分のキレート剤によってキレート化される。適当なキレート剤のその他の例は、米国特許第4647447号、国際公開第89/00557号、米国特許第5367080号、米国特許第5364613号に開示されており、それらの開示内容は援用によって本明細書の内容の一部をなす。
【0041】
存在するキレート剤を金属化する方法は当業者の技術レベルである。金属は、直接導入法、鋳型合成及び/又はトランスメタレーションの3通りの常法のいずれかでキレート部分に導入し得る。直接導入法が好ましい。
【0042】
そこで、例えば単にキレート剤含有部分の水溶液を好ましくはpH約4〜約11の水溶液中の金属塩に曝露又は混合することによって、金属イオンをキレート剤と容易に錯化できるのが望ましい。塩はどんな塩でもよいが、好ましくはハロゲン塩のような水溶性の金属塩であり、さらに好ましくは、かかる塩は金属イオンとキレート剤と結合を妨害しないものを選択する。キレート剤含有部分は、好ましくはpH約5〜約9、さらに好ましくはpH約6〜約8の水溶液である。キレート剤含有部分は、至適pHが得られるようにクエン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、リン酸塩及びホウ酸塩のような緩衝塩と混合してもよい。好ましくは、緩衝塩は後段の金属イオンとキレート剤との結合を妨害しないものを選択する。
【0043】
以下の同位体及び同位体対:47Sc21141Ce58188Re75177Lu71199Au7947Sc211315367Cu291315312853188Re7699mTc439039873947Sc2144Sc21903912353146Sm62153Sm62、及び9039111In49は、放射性標識法又はキレート剤を変更しなくても、イメージングと治療の両方に使用できる。
【0044】
好ましい非金属原子レポーターとしては、123I、131I及び18Fのような放射性同位体、並びに19Fのような核スピンが0でない原子及びIのような重原子が挙げられる。
【0045】
本発明の別の実施形態では、特にヨウ素又はフッ素の放射性同位体の使用が考えられる。例えば、ペプチド又はリンカーが、共有結合形成反応においてヨウ素又はフッ素で化学的に置換できる置換基(例えばヒドロキシフェニル又はp−ニトロベンゾイル官能基を含む置換基)を有する場合、かかる置換基は当技術分野で公知の方法によってそれぞれヨウ素又はフッ素の放射性同位体で標識できる。これらの化学種は治療及び画像診断用途に使用できる。同時に、同じペプチドリンカー上のキレート剤に結合した金属も治療及び画像診断用途に使用できる。
【0046】
式(III)の化合物は、疾患の治療に有効で、しかもインビボイメージングで検出可能なものとし得る。例えば、レポーター部分のベクターは、ベクター部分の放射性核種レポーターの放射線治療効果などによって、治療効果を有し得る。
【0047】
本発明は、式(III)の化合物又はその塩の有効量(例えばインビボイメージングで画像コントラストの強調に有効な量)を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる医薬組成物も提供する。
【0048】
さらに、本発明は、式(III)の化合物又はその塩の有効量を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる疾患治療用の医薬組成物も提供する。
【0049】
そこで、治療用組成物(医薬)の製造、並びにヒト又は動物の身体の治療又は予防的処置、好ましくは癌の治療における、上記の新規ペプチド及び式(III)の化合物の使用も本発明の別の態様をなすと考えられる。
【0050】
別の態様では、本発明は、造影剤をヒト又は動物の身体に投与して身体の少なくとも一部分の画像を生成させる診断法に用いられる造影剤の製造に対する式(III)の化合物の使用を提供する。
【0051】
さらに別の態様では、本発明は、式(III)で定義される化合物を含む造影剤組成物を予め投与しておいたヒト又は動物の身体の強調画像を生成させる方法であって、身体の少なくとも一部分の画像を生成させることが含む方法を提供する。
【0052】
さらに別の態様では、本発明は、癌に関連した病態(好ましくは血管新生)に有効な薬剤(例えば細胞毒性剤)によるヒト又は動物の身体の処置の効果をモニタリングする方法であって、式(III)の薬剤を身体に投与し、細胞受容体(好ましくは内皮細胞受容体、特にVEGF受容体)による上記薬剤の取り込みを検出し、任意ではあるが好ましくは、投与と検出を、例えば薬剤による処置の前後途中のいずれかに繰り返すことを含む方法を提供する。
【0053】
これらの新規化合物は治療上有効な処置及びイメージング用に使用し得る。さらに、これらの新規化合物は薬物送達用に使用し得る。
【0054】
一般手順
使用した略号は以下の意味を有する。
Fmoc: 9−フルオレニルメトキシカルボニル
Acm: アセトアミドメチル
TFA: トリフルオロ酢酸
ACN: アセトニトリル
RP−HPLC: 逆相高速液体クロマトグラフィー
DMF: ジメチルホルムアミド
NMM: N−メチルモルホリン
DCM: ジクロロメタン
NMP: N−メチルピロリドン
HBTU: 2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
HOBt: 1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール
DIEA: ジイソプロピルエチルアミン
DTT: ジチオスレイトール。
【0055】
本発明のペプチドは、あらゆる公知の化学合成法で合成できるが、特に有用な方法は自動ペプチド合成装置を用いたMerrifieldの固相法である(J.Am.Chem.Soc.85:2149(1964))。典型的には、所望の配列を固相ペプチド合成で構築する。本発明の実施例で用いた合成法の標準的手順は、E.Atherton & R.C.Sheppard, “Solid phase peptide synthesis: a practical approach, 1989, IRL Press, Oxfordに記載されている。
【0056】
例えば、酸不安定リンカー基を有する合成樹脂を用いて、これに、C末端を保護した所望のアミノ酸残基をアミド結合の形成によって結合させる。以下の実施例1〜実施例3では、(ジメトキシフェニル−アミノメチル)−フェノキシ誘導リンカーを有するいわゆるRink Amide AM樹脂を利用した(Rink,H., Tetrahedron Lett.(1987),30,3787)。さらに、一段と酸に不安定な樹脂であるキサンテニル誘導リンカーを有するいわゆるXAL−MBHA樹脂も使用できる(Han,Y., Bontems,S.L., Hegyes,P., Munson, M.C., Minor, C.A., Kates,S.A., Albericio,F., Barany,G., J. Org. Chem. (1996),61,6326−6339)。
【0057】
次いでNα−アミノ保護基を除き、適当な縮合試薬を用いて配列の第2のアミノ酸をカップリングさせる。次にNα−アミノ脱保護とカップリングのサイクルを目的配列が構築されられるまで交互に繰り返す。一時的なNα−アミノ保護基と官能性側鎖のための永続的な保護基をもつアミノ酸を使用する。一般に、ペプチド合成に際しては、存在するすべての反応性基(例えば、アミノ、ヒドロキシル、チオール及びカルボキシル基)を保護する。 アミノ酸の保護基は多種多様なものが知られている(例えば、Greene,T.W. & Wuts,P.G.M. (1991) Protective groups in organic synthesis, John Wiley & Sons, New York参照)。例えば、使用できるアミノ保護基の例として、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、ベンジルオキシカルボニル、t−ブチルオキシカルボニルなどが挙げられる。ペプチドをC末端側から構築する場合、次のカップリング段階に進む前にNα−アミノ保護基を選択的に除去する必要がある。かかる一時的なアミン保護基として特に有用なものはFmoc基であり、有機溶媒中でのピペリジン処理によって選択的に除去できる。使用し得るカルボキシル保護基としては、例えばt−ブチル、ベンジル、トリチルなどが挙げられる。使用するチオール保護基は、例えばp−メトキシトリチル基のように半永続的なものでもよいし、トリチル及びアセトアミドメチル基のように永続的なものでもよい。その他多種多様な基が当技術分野で公知である。
【0058】
最後に、ペプチドを合成樹脂から切断し、通常は以下の実施例1〜3に記載の通り同時に永続的な側鎖保護基を除去する。或いは、側鎖保護基が安定である穏和な条件下でペプチドを脱着できる合成樹脂を用いて、保護ペプチドを得てもよい。
【0059】
以下の非限定的な実施例によって本発明さらに説明する。
【実施例】
【0060】
実施例1
シクロ−[CHCO−Arg−Val−Lys−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Met−Cys]−Gly−Glu−Glu−Glu−Cys−NH
【0061】
【化4】

【0062】
Applied Biosystems(Perkin Elmer)433A型ペプチド合成装置を用いてRink Amide AM樹脂(0.64mmol/g、NovaBlochem社製)上で上記の配列のペプチジル樹脂を構築した。Fmocの脱保護は、N−メチルピロリドン(NMP)中20%ピペリジンを用いて、導電率をモニターしながら行った。洗浄溶媒はNMPであった。これらの残基(カルボキシル末端から)の構築は、4倍モル過剰量のFmox−アミノ酸(1mmolカートリッジ)とNMP中の2−(1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)−1,1,3,3−テトラメチルウロニウム−ヘキサフルオロホスフェート(HBTU)/1−ヒドロキシ−ベンゾトリアゾール(HOBt)/ジイソプロピルエチルアミン(DIEA)でのシングルカップリングを用いて0.25mmolのスケールで行い、2.5時間のカップリングサイクルを用いた。使用したアミノ酸側鎖保護基は、Asp、Ser及びTyrにはtert−ブチル、Cys10にはトリチル、Cys15にはアセトアミドメチル(Acm)であった。6番目の位置にカップリングしたGly残基は、アスパルトイミドの形成(Packman,L.C.1995,Tetrahedron Lett.36,p.7523−7526)を抑制するため、追加のNα−保護基(2−Fmoc−オキシ−4−メトキシベンジル)と共に用いた。
【0063】
使用した追加の側鎖保護基は、Argに対する2,2,5,7,8−ペンタメチルクロマン−6−スルホニル、Lysに対するtert−ブチルオキシカルボニル、及びGluに対するtert−ブチルであった。
【0064】
構築したペプチジル樹脂を次いで手動式窒素バブラー装置に移した(Wellings,D.A.,Atherton,E.(1997), Methods in Enzymology(Fields,G.ed),289,p.53−54,Academic Press,New York)。N末端をFmoc脱保護し、次にジメチルホルムアミド(DMF)中10倍モル過剰量のブロモアセチルブロミド及びN−メチルモルホリン(NMM)を用いて1時間ブロモアセチル化した。得られたペプチジル樹脂をDMF及びジクロロメタン(DCM)で洗浄し、真空乾燥した。
【0065】
樹脂からのペプチドの解離とペプチドからの(アセトアミドメチル基以外の)側鎖保護基の同時除去は、2.5%のエタンジチオールと2.5%の水と1%のトリイソプロピルシランを含有するトリフルオロ酢酸(TFA)でペプチジル樹脂の一部(0.125mmol)を2時間処理することによって行った。樹脂残留物を濾別し、少量の純TFAで洗浄した。濾液と洗液を一緒にロータリーエバポレーターで濃縮し、次にジエチルエーテルで倍散して粗製ペプチドを得た。遠心分離で沈殿を単離し、エーテルで洗浄し、次に50%アセトニトリル(ACN)−0.1%TFA水溶液から凍結乾燥して150mgの粗生成物を得た。
【0066】
線状粗製ペプチドをチオエーテル架橋形成により環化したが、これはペプチドをpH8(アンモニア水で調節)の50%ACN−水300ml中で室温で30分間攪拌することによって行った。環化生成物は凍結乾燥によって単離した。次にペプチドを25%ACN−水中のpH4〜4.5(酢酸で調節)の酢酸水銀(II)の5倍モル過剰量で処理してAcm−保護基を除去した。室温で1時間攪拌した後、酢酸銀(II)に対し4倍モル過剰量のジチオスレイトール(DTT)を固体として混合物に添加した。反応混合物を室温で2.5時間攪拌し、生じた沈殿を遠心分離で除去した。上清を凍結乾燥して完全に脱保護し環化した粗製ペプチドを得た。
【0067】
粗生成物を10%ACN−0.1%TFA水溶液(50ml)に溶解し、濾過し、調製用RP−HPLCで精製した。カラム(Phenomenex Luna C18 10μ、250×50mm)は、0.1%TFA水溶液中10〜30%ACN濃度勾配を用いて50ml/分で60分間溶出した。所望のピーク画分をプールし、凍結乾燥して純粋ペプチド81mgを得た。分析用RP−HPLCの結果は以下の通り:t=17.8分、純度95%(Phenomenex Luna 5μ、4.6×250mm、0.1%TFA水溶液中10〜30%ACN濃度勾配で1ml/分で20分間、λ=215nm)。エレクトロスプレーMSの結果は以下の通り:生成物の[M+H]+の予測値1760.8m/z、実測値1760.5m/z。
【0068】
実施例2
シクロ−[CHCO−Lys−Arg−Gly−Val−Ile−Asp−Pro−Met−Arg−Cys]−Gly−Glu−Glu−Glu−Cys−NH
【0069】
【化5】

【0070】
実施例1のペプチジル樹脂と同様にして、Rink Amide AM樹脂(0.74mmol/g、NovaBlochem社製)上で上記の配列のペプチジル樹脂を構築した。使用した追加の側鎖保護基については実施例1を参照されたい。構築したペプチジル樹脂を実施例1に記載のものと同一の条件下でブロモアセチル化し、仕上げ処理した。
【0071】
ペプチドの酸分解による脱保護とその後の環化は、実施例1に記載の通り、ペプチジル樹脂の一部(0.125mmol)を2.5%のエタンジチオールと2.5%の水と1%のトリイソプロピルシランを含有するTFAで2時間処理して行った。ジエチルエーテルからの沈殿後、pH8の50%ACN−水500ml中で40分間かけてチオエーテル架橋を形成した。
【0072】
環化Acm−保護ペプチドの粗生成物の一部を実施例1記載の通りPR−HPLCで精製した。165mgを3バッチで精製し、カラム(Vydac 218TP1022 10μ、22×250mm)は0.1%TFA水溶液中の10〜30%ACNの勾配を用いて10ml/分で40分間溶出した。所望のピーク画分をプールし、凍結乾燥して12.5mgの収量を得た。最後のAcm−脱保護は実施例1に概説した通り実施し、脱保護した環状生成物を半調製用RP−HPLCカラム(Phenomenex Luna 10×250mm、10μ)で0.1%TFA水溶液中5〜40%ACNの勾配を30分間用いて精製し、6mgの純粋ペプチドを得た。分析用RP−HPLCの結果は以下の通り:t=14分、純度99%(Phenomenex Luna 5μ、4.6×250mm、0.1%TFA水溶液中5〜50%ACNで1ml/分で20分間、λ=215nm)。エレクトロスプレーMSの結果は以下の通り:生成物の[M+H]+の理論値1760.8m/z、実測値1760.5m/z。
【0073】
実施例3
Ala−Glu−Gly−Glu−Phe−(シクロ−[Dpr−Nβ(CHCO)−Arg−Val−Lys−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Met−Cys])−Gly−Glu−Glu−Glu−Cys−NH
【0074】
【化6】

【0075】
実施例1のペプチジル樹脂と同様にして、Rink Amide AM樹脂(0.74mmol/g、NovaBlochem社製)上で上記の配列のペプチジル樹脂を構築した。本例で使用した追加の側鎖保護基はGlu残基に対するtert−ブチルであった。Dapa及びPheは、以下に述べる通り、窒素バブラー装置を用いて手動で導入した。5倍モル過剰量のFmoc−Dpr(ivDde)−OHをDMF中の[7−アザベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス−(ピロリジノ)ホスホニウム−ヘキサフルオロホスフェート](PyAOP)及びNMMで2分間予備活性化し、次いでH−Ser−Tyr−Tyr−Ser−Asp−Gly−Val−Tyr−Asp−Cys]−Gly−Cys−Rink Amide樹脂(0.075mmol)に加えた。3時間後に、Kaiser試験(Kaiser,E., Colescott,R.L.,Bossinger,C.D.,Cook,P.J., Anal. Biochemistry (1970)84, p.595)は陰性となり、反応が完了したことを示したので、樹脂を50%モルホリンDMF溶液でFmoc脱保護した(2×15分間)。次いでペプチジル樹脂を三口フラスコに移し、−40℃において1.6倍モル過剰量のFmoc−Phe−OHのDMF溶液(2ml)及び3倍モル過剰量のNMMで処理した。次いでDMF(1.5ml)中のPyAOP(1.6倍過剰)を添加し、反応混合物を室温まで温めた。3.5時間攪拌した後、反応を終了し、実施例1に記載の自動ペプチド合成装置で最終的なペプチド構築を成し遂げた。ペプチジル樹脂を窒素バブラー装置に移し、Dpr−NβをDMF中2%ヒドラジンで3×3分間処理して脱保護した。解離したアミノ官能基は実施例1に記載の通りブロモアセチル化した。
【0076】
ペプチドの酸分解による脱保護は、実施例1に記載の通り、樹脂を2.5%のエタンジチオールと2.5%の水と1%のトリイソプロピルシランを含有するTFAで2時間処理して行った。粗生成物の一部(50mg)を、実施例1に記載の通り、pH8の50%ACN−水100ml中でのチオエーテル架橋形成によって環化し、最終的Acm−脱保護を行った。
【0077】
粗生成物を20%ACN−0.1%TFA水溶液(5ml)に溶解し、濾過し、調製用RP−HPLCで精製した。カラム(Phenomenex Luna C18 10μ、22×250mm)は、0.1%TFA水溶液中10〜25%ACN濃度勾配を用いて10ml/分で40分間溶出した。所望のピーク画分をプールし、凍結乾燥して純粋ペプチド5.3mgを得た。分析用RP−HPLCの結果は以下の通り:t=14.2分、純度90%(Phenomenex Luna 5μ、4.6×250mm、0.1%TFA水溶液中10〜40%ACN濃度勾配で1ml/分で20分間、λ=215nm)。エレクトロスプレーMSの結果は以下の通り:生成物の[M+H]+の予測値1190.5m/z、実測値1190.4m/z。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式(I)又は式(II)のアミノ酸配列を含むペプチド又はその薬学的に許容される塩。
−Arg−X−X−Ile−X−X−X−X−X−Z−Y (I)
−Arg−Val(Arg/Lys)Ile−Asp−Gly−X−Pro−X−Z−Y (II)
式中、
はVal、Leu、Ile及びTyrからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はArg、Lys、Tyr、Ile及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAsp及びAsnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はGly、Asn及びGlnからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAla、Met、Gln、Arg、Glu及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はPro、Gly、Ser及びArgからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はAla、Met、Gln、Arg、Gly及びValからなる群から選択されるアミノ酸であり、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基、又はチオエーテルを形成し得る残基であって、該残基は好ましくはQ−C(=O)(式中、Qは−(CH又は−(CH−Cであり、nは1〜10の正の整数である。)であるか、或いはZは存在せず、
はジスルフィド結合を形成し得るアミノ酸残基、好ましくはシステイン又はホモシステイン残基であるか、或いはZは存在せず、
は1〜10個のアミノ酸であるか、或いはYは存在しない。
【請求項2】
以下のアミノ酸配列の請求項1記載のペプチド。
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asp−Gly−Ala−Pro−Ala−Cys(配列番号1)、
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asp−Asn−Met−Pro−Met−Cys(配列番号2)、
Cys−Arg−Val−Arg−Ile−Asn−Gly−Gln−Pro−Gln−Cys(配列番号3)、
Cys−Arg−Val−Lys−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Met−Cys(配列番号4)、
Cys−Arg−Leu−Lys−Ile−Asp−Gly−Met−Pro−Arg−Cys(配列番号5)、
Cys−Arg−Ile−Lys−Ile−Asp−Gly−Glu−Gly−Gln−Cys(配列番号6)、
Cys−Arg−Val−Tyr−Ile−Asp−Gly−Val−Ser−Val−Cys(配列番号7)、
Cys−Arg−Val−Ile−Ile−Asp−Gly−Arg−Arg−Met−Cys(配列番号8)、
Cys−Arg−Tyr−Asn−Ile−Asp−Gly−Arg−Pro−Gln−Cys(配列番号9)、又は
Cys−Arg−Ile−Arg−Ile−Asp−Gln−Arg−Pro−Ala−Cys(配列番号10)。
【請求項3】
次の式(III)のターゲティング性診断及び/又は治療活性薬剤。
V−L−Z (III)
式中、ベクターVは請求項1又は請求項2記載のペプチドであり、
Lは結合、スペーサー又はリンカーを表し、
Zは抗悪性腫瘍薬、レポーター部分又は適宜イメージング部分Mを保有し得る基を表す。
【請求項4】
Zが次の式IVのキレート剤である、請求項3記載の薬剤。
【化1】

式中、
各R、R、R及びRは独立にR基であって、
各R基は独立にH又はC1−10アルキル、C3−10アルキルアリール、C2−10アルコキシアルキル、C1−10ヒドロキシアルキル、C1−10アルキルアミン、C1−10フルオロアルキルであるか、或いは2以上のR基がそれらに結合した原子と共に炭素環、複素環、飽和又は不飽和環を形成するものである。
【請求項5】
Zがレポーター部分Mを含んでいて、該レポーター部分Mが金属放射性核種、常磁性金属イオン、蛍光金属イオン、重金属イオン又はクラスターイオンを含む、請求項3又は請求項4記載の薬剤。
【請求項6】
レポーター部分Mが、90Y、99mTc、111In、47Sc、67Ga、51Cr、177mSn、67Cu、167Tm、97Ru、188Re、177Lu、199Au、203Pb、141Ce又は18Fを含む、請求項5記載の薬剤。
【請求項7】
各レポーター(Z)が複数のベクターVを保有し得る、請求項3乃至請求項6のいずれか1項記載の薬剤。
【請求項8】
抗悪性腫瘍薬Zが、シクロホスファミド、クロロアンブシル、ブスルファン、メトトレキセート、シタラビン、フルオロウラシル、ビンブラスチン、パクリタキセル、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エトポシド、テニポシド、シスプラチン、アムサクリン又はドセタキセルを表す、請求項3記載の薬剤。
【請求項9】
一般式(III)の化合物又はその塩の有効量を、薬学的に許容される1種以上の補助剤、賦形剤又は希釈剤と共に含んでなる医薬組成物。
【請求項10】
請求項3乃至請求項7のいずれか1項記載の化合物を含む造影剤組成物を予め投与しておいたヒト又は動物の身体の強調画像を生成させる方法であって、当該方法が身体の少なくとも一部分の画像を生成させることを含む方法。

【公表番号】特表2006−524183(P2006−524183A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−563062(P2004−563062)
【出願日】平成15年12月29日(2003.12.29)
【国際出願番号】PCT/NO2003/000443
【国際公開番号】WO2004/058803
【国際公開日】平成16年7月15日(2004.7.15)
【出願人】(396019387)ジーイー・ヘルスケア・アクスイェ・セルスカプ (82)
【Fターム(参考)】