説明

新規光学活性環状アミノ酸およびその製造方法

【課題】医農薬の合成中間体として有用な、新規な環状アミノ酸、及びその中間体を提供する。
【解決手段】下記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸。


(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6の芳香族基で置換されたメチル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖等であり、特にイソプロピル基、s−ブチル基、4−エトキシフェニルメチル基、2−メチルチオエチル基が好ましく、nは1〜6 の整数、* は不斉炭素を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は新規な光学活性環状アミノ酸、その中間体及びそれらの製造方法に関する。本発明の光学活性環状アミノ酸は、医農薬の合成中間体、新規なたんぱく質医薬の原料として有用な化合物である。
【背景技術】
【0002】
本発明の光学活性環状アミノ酸およびその中間体は新規化合物である。
天然のタンパク質は20種類のアミノ酸から構成されており、それら20種類のアミノ酸中には酸として機能するもの、塩基として機能するもの、疎水性のもの、親水性のものなどがある。それらが巧みな配列と高次構造を構成することにより、タンパク質は様々な機能を担っている。このアミノ酸配列を人工的に設計することにより、またランダム変異によりin vivo又はin vitro選択などを行うことにより、タンパク質をエンジニアリング
することが最近盛んに行われている。
【0003】
しかしながら、天然に存在するアミノ酸だけではアミノ酸の化学的性質(酸性・塩基性の強さ)に限界があるため、酵素活性のpH依存性や温度依存性の向上または変化を試みても限界があると考えられる。そこで天然に存在しない種々のアミノ酸の合成手法の開発が重要な課題となってきている。
【0004】
そこで本発明者は、タンパク質の機能を改変するための新たなツールを得るために、天然には存在しないアミノ酸を設計して合成することを考えた。天然に存在するアミノ酸とは異なった化学構造を有する、新規な非天然の環状アミノ酸を、簡便に工業的に有利は製造方法で得ることが本発明の課題であるが、実用的な方法はほとんど知られていない。
光学活性アミノ酸誘導体を原料とし、フリーのアミノ酸ではないが、光学活性な環状アミノ酸誘導体を得る方法としては、例えば本発明者によってなされた方法が知られている(特開2005−82572)。
【0005】
【特許文献1】特開2005−82572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特開2005−82572記載の方法は、光学活性環状アミノ酸誘導体を製造する際、高価で発火性の高い金属水素化物または金属アミドを使用し、ラセミ化を抑制するためにー50度〜ー80度の極低温で実施する必要がある。また、N-tert-ブト
キシカルボニル基を処理する際、望ましくない副生物が生成する等、工業的な製造方法としては満足のいくものではなかった。
【0007】
本発明の目的は、新規な環状アミノ酸、その中間体を提供することであり、さらには4員環〜6員環まで適用可能で、非常に高い光学選択性で目的物を得ることができる汎用性の高い該化合物の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の第一の要旨は、下記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸に存する。
【0009】
【化1】

【0010】
(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は、分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6 の整数、* は不斉炭素を示す。)
【0011】
また、本発明の第二の要旨は、下記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体に存する。
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6 の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10
〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6の整数、* は不斉炭素、Z
はベンジロキシカルボニル基を示す。)
【0014】
また、本発明の第三の要旨は、第二発明に記載の光学活性アミノ酸誘導体を、酸または塩基および還元触媒の存在下で脱保護することを特徴とする、第一発明に記載の光学活性環状アミノ酸の製造方法に存する。
【0015】
また、本発明の第四の要旨は、下記一般式(3)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体に存する。
【0016】
【化3】

【0017】
(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6の整数、* は不斉炭素、Zは
ベンジロキシカルボニル基およびXはハロゲン原子を示す。)
【0018】
また、本発明の第五の要旨は、第四発明に記載のN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体をアルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物で処理することを特徴とする、第2発明に記載の光学活性環状アミノ酸誘導体の製造方法に存する。
【発明の効果】
【0019】
本発明により、新規な光学活性環状アミノ酸、及びその中間体が提供される。本発明の光学活性環状アミノ酸は、医農薬の合成中間体として有用な化合物である。また本発明により、4員環〜6員環まで適用可能で、非常に高い光学選択性で目的物を得ることができる汎用性の高い該化合物の製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を以下詳細に説明する。本発明において、上記一般式(1)で示される化合物としては、特に限定するものではないが、n=3として具体的には、(S)−α−イソプロピルプロリン、(S)−α−n−ブチルプロリン、(S)−α−s−ブチルプロリン、(S)−α−イソブチルプロリン、(S)−α−(1,1−ジメチルエチル)プロリン、(S)−α−(メチルチオエチル)プロリン、(S)−α−(4−エトキシフェニルメチル)プロリンが挙げられる。
【0021】
またn=2として具体的には(S)−2−イソプロピルアゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(n−ブチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(s−ブチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(イソブチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(1,1−ジメチルエチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(メチルチオエチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(フェニルメチル)アゼチジン−2−カルボン酸、(S)−2−(4−エトキシフェニルメチル)アゼチジン−2−カルボン酸が挙げられる。
【0022】
またn=4として具体的には(S)−2−イソプロピルピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(n−ブチル)ピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(s−ブチル)ピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(イソブチル)ピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(1,1−ジメチルエチル)ピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(メチルチオエチル)ピペリジン−2−カルボン酸、(S)−2−(4−エトキシフェニ
ルメチル)ピペリジン−2−カルボン酸が挙げられる。
【0023】
またn=5として具体的には(S)−2−イソプロピルアゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(n−ブチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(s−ブチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(イソブチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(1,1−ジメチルエチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(メチルチオエチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(フェニルメチル)アゼパン−2−カルボン酸、(S)−2−(4−メトキシフェニルメチル)アゼパン−2−カルボン酸等が挙げられる。また上述の化合物の鏡像体である(R)−体およびこれらアミノ酸誘導の塩酸塩等の塩も例示することができる。
【0024】
上記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸は、上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を酸または塩基および還元触媒の存在下で脱保護することにより、その不斉を維持したまた得ることができる。
【0025】
上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体としては、特に限定するものではないが、n=3として具体的には(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−イソプロピルプロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−n−ブチルプロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−s−ブチルプロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−イソブチルプロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−(1,1−ジメチルエチル)プロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−(メチルチオエチル)プロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−(フェニルメチル)プロリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−α−(4−エトキシフェニルメチル)プロリンエチルエステルを挙げることができる。
【0026】
またn=2として具体的にはエチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−イソプロピルアゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(n−ブチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(s−ブチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル (S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(イソブチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(1,1−ジメチルエチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(メチルチオエチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(フェニルメチル)アゼチジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(4−エトキシフェニルメチル)アゼチジン−2−カルボキシレートを挙げることができる。
【0027】
n=4として具体的にはエチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−イソプロピルピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(n−ブチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(s−ブチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(イソブチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(1,1−ジメチルエチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(メチルチオエチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(フェニルメチル)ピペリジン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(4−エトキシフェニルメチル)ピペリジン−2−カルボキシレートを挙げることができる。
【0028】
n=5として具体的にはエチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−イソプロピルアゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(n−ブチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(s−ブチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(イソブチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(1,1−ジメチルエチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(メチルチオエチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(フェニルメチル)アゼパン−2−カルボキシレート、エチル(S)−N−ベンジロキシカルボニル−2−(4−メトキシフェニルメチル)アゼパン−2−カルボキシレート等が挙げられる。また上述した化合物の鏡像体である(R)体も例示することができる。
【0029】
上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体は、上記一般式(3)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体をアルカリ土類またはアルカリ金属水酸化物で処理することにより、その不斉を維持したまま得ることができる。
【0030】
上記一般式(2)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体としては、特に限定するものではないが、具体的には、ブロモアルキルアミノ酸として、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ブロモプロピル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ブロモペンチル)−O−エチルチロシンエチルエステルを例示することができる。
【0031】
またクロロアルキルアミノ酸として(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−クロロプロピル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−クロロエチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−クロロブチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−クロロペンチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、さらにヨードアルキルアミノ酸として(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(3−ヨウドプロピル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ブロモエチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(2−ヨウドエチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボ
ニル−N−(4−ヨウドブチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ブロモブチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ヨウドブチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ヨウドブチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ヨウドブチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ヨウドブチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(4−ヨウドブチル)−O−エチルチロシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)イソロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)−2−アミノペンタン酸エチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)バリンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)−tert−ロイシンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)メチオニンエチルエステル、(S)−N−ベンジロキシカルボニル−N−(5−ヨウドペンチル)−O−エチルチロシンエチルエステル等が挙げられる。また、上述した化合物の鏡像体である(R)体も例示することができる。
【0032】
上記一般式(3)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体は、光学活性アミノ酸類を原料として誘導することができる。
【0033】
光学活性アミノ酸誘導体としては、天然、非天然に関わらず非環式の光学活性なα−アミノ酸のエチルエステルであればよく、特に限定するものではないが、具体的には、例えば、L−イソロイシン エチルエステル、L−ロイシンエチルエステル、L−2−アミノペンタン酸エチルエステル、L−バリンエチルエステル、L−tert−ロイシンエチルエステル、L−メチオニンエチルエステル、L−O−エチルチロシンエチルエステル、L−フェニルアラニンエチルエステル等が挙げられ、これらとの鏡像体であるD−体もこれに含まれ、またこれらアミノ酸誘導体の塩酸塩も含まれる。
【0034】
本発明の上記一般式(1)、一般式(2)、及び一般式(3)で示される化合物においては、原料の入手の容易さから、置換基Rが、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、4−エトキシフェニルメチル基又は2−メチルチオエチル基を示すものが好ましい。またnは2〜5の整数を示す化合物が好ましい。
【0035】
上記アミノ酸のエチルエステルから上記一般式(3)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体を得る方法としては、特に限定するものではないが、アミノ酸誘導体と含ハロゲンアルコール類を、通常20℃〜150℃の温度範囲下、反応に不活性な溶剤中、通常1〜10時間反応させることによりN−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体を得、次いでN−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体中の窒素原子をベンジロキシカルボニル化した後、得られた化合物の水酸基をハロゲン原子に置換することにより得ることができる。
【0036】
含ハロゲンアルコール類としては、特に限定するものではないが、具体的には、2−クロロエタノール、3−クロロプロパノール、4−クロロブタノール、5−クロロペンタノール、6−クロロヘキサノール、2−ブロモエタノール、3−ブロモプロパノール、4−ブロモブタノール、5−ブロモペンタノール、6−ブロモヘキサノール、2−ヨウドエタノール、3−ヨウドプロパノール、4−ヨウドブタノール、5−ヨウドペンタノール、6−ヨウドヘキサノール等が挙げられ、反応に用いる光学活性アミノ酸 エチルエステル1モルに対して、通常1〜1.5モル使用する。
【0037】
またアミノ酸エチルエステルから上記一般式(3)で示されるN−ハロアルキルアミノ酸誘導体を得る別法として、アミノ酸誘導体とラクトール類を0℃〜100℃の温度範囲下、反応に不活性な溶剤中、1〜24時間反応させてイミノ化合物を得た後、該イミノ化合物をナトリウムボロハイドライド等で還元しN−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体を得、次いでN−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体中の窒素原子をベンジロキシカルボニル化した後、得られた化合物の水酸基をハロゲン原子に置換することにより、上記一般式(3)で示されるN−ハロアルキルアミノ酸誘導体を得ることも可能である。
【0038】
上記ラクトール類としては、特に限定するものではないが、具体的には、β−プロピオラクトール、γ−ブチロラクトール(2−ヒドロキシテトラヒドロフラン)、δ−ペンタノラクトール等が挙げられ、光学活性アミノ酸誘導体1モルに対して通常1〜2モル使用する。
【0039】
本発明の方法において、得られたN−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体をN−ベンジロキシカルボニル−N−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体に誘導する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、ジクロロメタン等の溶媒中、過剰のトリエチルアミン、ジイソプロピルアミン等の塩基存在下、過剰のクロロギ酸ベンジルを、通常0〜30℃の温度範囲で、通常1〜48時間反応させることにより、目的物のN−ベンジロキシカルボニル−N−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体を得ることができる。
【0040】
また、本発明の方法において、得られたN−ベンジロキシカルボニル−N−(ヒドロキシアルキル)アミノ酸誘導体を、N−ベンジロキシカルボニル−N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体にハロゲン置換する方法としては、特に限定するものではないが、例えば、溶媒中、過剰の臭化水素、塩化水素、四塩化炭素、ヨウ化水素等を、通常0〜100℃の温度範囲で、通常1〜48時間反応させることにより、目的物のN−ベンジロキシカルボニル−N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体を得ることができる。なお、前記反応を促進させる目的で、トリフェニルフォスフィンオキサイド類を添加して反応を行ってもよい。
【0041】
本発明においては、上記一般式(3)で示される光学活性N−ハロアルキルアミノ酸誘導体をアルカリ土類またはアルカリ金属水酸化物で処理することにより不斉を維持したまま上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を得ることができる。
【0042】
本発明において使用するアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物は、公知のものが何ら制限されることなく使用される。具体的には、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アルカリ土類金属水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。このうち水酸化カリウムを用いることが収率、不斉の維持といった点で特に好ましい。
【0043】
アルカリ土類またはアルカリ金属水酸化物の使用量としては、反応に用いる上記一般式(3)で示される光学活性N−ハロアルキルアミノ酸誘導体1モルに対して、通常1〜2モル使用する。
【0044】
上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体から上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を得る際、適用可能な反応媒体としては、反応を抑制しない限りにおいてあらゆるものが適用可能であるが、極性非プロトン性溶剤が好ましく、極性非プロトン性溶媒として具体的には、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルのような液体エステル、又はジクロロメタン又はクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、又はアセトニトリルのようなニトリル、又はエチルエーテル又はテトラヒドロフランのようなエーテル化合物;N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジエチルアセタミド、N,N−ジメチルメトキシアセタミドのようなアセタミド化合物;N,N−ジメチル
ホルムアミドのようなアミド化合物;ジメチルスルホキシド;2−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドンのようなピロリドン化合物;N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホアミド、N,N、N′,N′−テトラメチル尿素、テトラヒドロチオフェンジオキシド(スルホラン)あるいはジメチルジスルホキシドを例示することができ、これらの混合液であってもよい。このうち反応収率および不斉の維持という点でジメチルスルホキシドが特に好適である。
【0045】
溶剤の使用量としては、特に限定するものではないが、反応に用いる上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体に対して、5倍〜50倍量使用する。
【0046】
上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体から上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を得る際の反応条件としては、反応温度は通常−20℃〜50℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜40℃という工業的製造方法として好適な範囲で実施可能である。−20℃未満の温度で実施した場合、大量製造の場合特殊な設備が必要であり、反応の進行が著しく遅く得策で無い。また、50℃を超える場合はラセミ化が進行して好ましくない。反応時間としては通常10分〜4時間の範囲である。
【0047】
反応終了後、飽和の塩化アンモニウム水溶液等で中和した後、抽出、乾燥、必要に応じてカラムクロマトグラフィー等で精製することにより目的とする上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を高収率、かつ高光学純度で得る。
【0048】
本発明においては、上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を酸または塩基および還元触媒の存在下で脱保護することにより不斉を維持したまま上記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸を得ることができる。
【0049】
本発明において使用するアルカリ金属水酸化物およびアルカリ土類金属水酸化物は、公知のものが何ら制限されることなく使用される。具体的には、アルカリ金属水酸化物としては、水酸化リチウム,水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が、アルカリ土類金属水酸化物としては水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム等が挙げられる。このうち水酸化カルシウムを用いるが収率、不斉の維持といった点で特に好ましい。
【0050】
アルカリ土類またはアルカリ金属水酸化物の使用量としては、反応に用いる上記一般式(3)で示される光学活性N−ハロアルキルアミノ酸誘導体1モルに対して、通常1〜2モル使用する。
【0051】
上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体から上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を得る際、適用可能な反応媒体としては、反応を抑制しない限りにおいてあらゆるものが適用可能であるが、極性非プロトン性溶剤が好ましく、極性非プロトン性溶媒として具体的には、酢酸エチル又は酢酸イソプロピルのような液体エステル、又はジクロロメタン又はクロロホルムのようなハロゲン化炭化水素、又はアセトニトリルのようなニトリル、又はエチルエーテル又はテトラヒドロフランのようなエーテル、N,N−ジメチルアセタミド、N,N−ジエチルアセタミド、N,ジメチルスルホキシド、N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルメトキシアセタミド、2−メチル−2−ピロリドン、N−アセチル−2−ピロリドン、N−メチル−ε−カプロラクタム、ヘキサメチルホスホアミド、N,N、N′,N′−テトラメチル尿素、テトラヒドロチオフェンジオキシド(スルホラン)およびジメチルジスルホキシドを例示することができる。あるいはこれらの混合液を使用してもよい。このうち反応収率および不斉の維持という点でジメチルスルホキシドが特に好適である。
【0052】
溶剤の使用量としては、特に限定するものではないが、反応に用いる上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体に対して、5倍〜50倍量使用する。
【0053】
上記一般式(3)で示される光学活性N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体から上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を得る際の反応条件としては、反応温度は通常−20℃〜50℃の範囲、さらに好ましくは0℃〜40℃という工業的製造方法として好ましい範囲で実施可能である。−20℃未満の温度で実施した場合、大量製造の場合特殊な設備が必要であるが、反応の進行が著しく遅くまた、50℃を超える場合はラセミ化が進行して好ましくない。反応時間としては通常10分〜4時間の範囲である。
【0054】
本発明においては、上記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体を酸または塩基および還元触媒の存在下で脱保護することにより不斉を維持したまま上記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸を得ることができる。酸としては、例えば塩化水素、臭化水素等のハロゲン化水素類、硝酸、硫酸等の無機酸類、酢酸、シュウ酸等のカルボン酸類、p-トルエンスルホン酸等のスルホン酸類等の有機酸類、塩化亜鉛、塩化第二鉄、塩化ホウ素等のルイス酸類、Dowex 50W 等の酸性型陽イオン交換樹脂等が例示できる。
【0055】
これら酸は通常、0.01〜50Mの水溶液で使用される。反応に使用する各化合物の割合は、化合物(2)1 モルに対して、酸を0.001〜20モル当量、好ましくは0.01 〜1 モル当量使用するのがよい。
【0056】
塩基としては、例えば水酸化リチウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属水酸化物類、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム等のアルカリ土類金属水酸化物類、トリエチルアミン、ジメチルイソプロピルアミン、ピリジン等の有機塩基等が例示できる。これら塩基は通常、0.01〜50Mの水溶液ないしは有機溶媒の溶液で使用される。反応に使用する各化合物の割合は、化合物(2)1 モルに対して、塩基を0.001〜20モル当量、好ましくは0.01 〜1 モル当量使用するのがよい。
【0057】
また、還元触媒としては、例えばパラジウム−炭素、パラジウム−アルミナ、パラジウム−アスベスト、パラジウム−炭酸バリウム、パラジウム−硫酸バリウム、パラジウム黒、パラジウム−炭酸カルシウム、白金−炭素、白金黒、白金−炭酸カルシウム等の第8族金属を様々な担体に担持させたもの、酸化パラジウム、酸化白金等の第8族金属の酸化物等が例示できる。
【0058】
反応に使用する各化合物の割合は、化合物(2)1モルに対して、触媒を0.1〜10モル当量使用するのがよい。水素圧は常圧〜100 気圧、好ましくは常圧〜10気圧で
ある。酸または塩基および還元触媒は、同時に添加することもまた、酸または塩基を添加した後、触媒を添加し接触還元することも可能である。また、先に触媒を添加し接触還元した後、酸または塩基を加えて反応することも差し支えない。
【0059】
溶媒としては反応に関与しないものであれば特に制限はなく、例えばヘキサン、ベンゼン等の炭化水素類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル類、ジクロルメタン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類、アセトン等のアルキルケトン類、酢酸エチル等のエステル類、メタノール、エタノール等のアルコール類、アセトニトリル、N,N-ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチルリン酸トリアミド等の非プロトン性極性溶媒、水等を例示でき、これらを単独で又は2種以上混合して使用してもよい。
【0060】
反応温度は0℃〜100℃、好ましくは室温〜50℃であり、反応時間は10分〜48時間、好ましくは0.5 〜24時間である。
【0061】
上記方法により得られる本発明の一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸は、通常公知の分離精製手段、例えば分離クロマトグラフィー、再結晶等により単離精製可能であり、高収率、高光学純度で取得できる。また、同様な精製手段により塩酸塩等のアミノ酸塩の形で取得することも可能である。
【実施例】
【0062】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は以下実施例のみに限定されるものではない。
【0063】
<実施例1>
(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニルメチオニン エチルエステルの
調整
L-メチオニン エチルエステル・塩酸塩(8.59 g, 40.2 mmol),炭酸カリウム(13.87 g, 100.5 mmol),ヨウ化ナトリウム(1.8 g, 12.1 mmol),3-ブロモプロパノール(8.38 g, 60.3 mmol)及びN,N-ジメチルフォルムアミド(50.3 mL)を混合し70 ℃で攪拌しながら2時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に飽和の塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エチルで抽出した。抽出した有機層は合わせて、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、減圧下濃縮することにより粘稠な油状物を得た。
【0064】
反応器に得られた粘稠な油状物のジクロロメタン(100 mL)溶液を仕込み、これに0 ℃でクロロギ酸ベンジル(7.54 g, 44.2 mmol)及びジイソプロピルアミン(12.23 mL, 68.34 mmol)を仕込み、同温で3時間反応を行った。反応終了後、反応混合物に飽和の塩化アンモニウム水溶液を加えてジエチルエーテルで抽出した。抽出した有機層は合わせて、水洗、飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、減圧下濃縮することにより残渣を得、得られた残渣はカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン=1/2 vol/vol)で生成することにより粘稠な油状物3.68 gを得た。
【0065】
得られた油状物(1.15 g, 3.23 mmol)のジクロロメタン(23 mL)溶液を0 ℃に冷却し、これに四臭化炭素(1.40 g, 4.20 mmol)、続いてトリフェニルフォスフィン(1.36 g, 5.17 mmol)を添加した。30分攪拌した後、これに飽和の炭酸水素ナトリウム水溶液を加え、クロロホルムで抽出した。抽出した有機層は合わせて飽和食塩水で洗い、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過、減圧下濃縮を行った。得られた残渣はカラムクロマトグラフィー(シリ
カゲル,酢酸エチル/ヘキサン=1/5 vol/vol)で生成することにより目的物(S)-N-(3-ブロ
モプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニルメチオニン エチルエステルを得た(収率34%)

【0066】
<分析結果>
性状:薄黄色透明油状物
比旋光度:[α]D20 = −54.00 (c 1.907, CHCl3).
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.36-7.32 (m, 5H), 5.19-5.07 (m, 2H), 4.35-4.26 (m, 1H), 4.17 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.09-3.92 (m, 1H), 3.73-3.59 (m, 1H), 3.55-3.34 (m,
2H), 3.31-3.23 (m, 1H), 2.64-2.45 (m, 2H), 2.41-2.32 (m, 1H), 2.27-2.05 (m, 3H), 2.10, 2.07 (two s, 3H), 1.23, 1.14 (two t, J = 6.9 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 170.84, 155.73, 136.19, 135.94, 128.36, 128.03, 127.85,
67.35, 61.28, 59.47, 59.00, 31.99, 31.51, 30.84, 30.75, 30.63, 29.22, 28.45, 15.16, 13.95, 13.90.
IR (neat) 2978, 1739, 1704, 1469, 1421, 1260, 1027, 770, 699 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 433 (M+, 5), 431 (M+, 5), 359(25), 357 (25), 298 (5), 296 (5), 224 (15), 222 (15), 159 (10), 91 (100), 61 (5).
【0067】
高分解能質量分析
計算値 C18H26BrNO4S : 431.0766.
測定値 : 431.0763.
元素分析
計算値 C18H26BrNO4S : C, 50.00; H, 6.06; N, 3.24 %.
測定値 : C, 49.72; H, 6.00; N, 3.03 %.
【0068】
<実施例2>
(S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-(2-メチルチオエチル) プロリン エチルエステル
の調整
実施例1で調整した(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニルメチオニ
ン エチルエステル(91.8 mg, 0.22 mmol)のジメチルスルフォキシド(2.8 mL)溶液を20
℃にし、これに水酸化カリウム(14.6mg, 0.26 mmol) を添加した。30分攪拌後、反応混合物に飽和の塩化アンモニウム水溶液を加え、次いでジエチルエーテルで抽出した。得られた有機層は合わせて水洗、飽和食塩水で洗浄、無水硫酸ナトリウム上で乾燥、ろ過後、減圧下濃縮した。得られた残渣は分取薄層クロマトグラフィー(シリカゲル、酢酸エチル/ヘキサン=1/2 vol/vol) で精製することにより目的物の (S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-(2-メチルチオエチル) プロリン エチルエステル69.7mg(収率94%、光学純度96% ee)を得た。
【0069】
<分析結果>
性状:薄黄色透明油状物
光学活性の決定:HPLC(N-ベンゾイル体に誘導後に測定)
ダイセル社製キラルセルOD(ヘキサン/2-プロパノール=90/10 vol/vol)、流速 1.0mL/min, t R=15(R),28(S) min.
比旋光度: [α]D20 = −17.09 (c 1.655, CHCl3).
【0070】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.36-7.29 (m, 5H), 5.16-5.08 (m, 2H), 4.16 (q, J = 7.1 Hz, 1H), 4.03, 4.00 (two q, J = 7.1 Hz, 0.5H), 3.91, 3.89 (two q, J = 7.1 Hz, 0.5H), 3.79 (ddd, J = 10.5 Hz, 7.8 Hz, 5.5 Hz, 0.5H), 3.72 (ddd, J = 10.5 Hz, 7.8 Hz, 5.5 Hz, 0.5H), 3.54-3.47 (m, 1H), 2.64-2.31 (m, 3H), 2.26-2.17 (m, 1H), 2.15-1.81 (m, 4H), 2.08-2.00 (two s, 3H), 1.21, 1.10 (two t, J = 7.1 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 173.88, 173.62, 154.43, 154.38, 136.85, 136.10, 128.43,
128.37, 128.26, 128.09, 127.86, 127.66, 68.16, 67.33, 67.16, 66.65, 61.20, 49.18, 48.32, 37.52, 36.17, 34.91, 34.17, 28.70, 28.53, 23.15, 22.65, 15.47, 14.04, 13.97.
IR (neat) 2978, 1737, 1704, 1407, 1356, 1226, 1126, 1029, 769, 699 cm-1
Mass m/z (rel intensity) 351 (M+, 5), 277 (60), 234 (30), 142 (70), 91 (100), 65 (5).
【0071】
高分解能質量分析
計算値 C18H25NO4S : 351.1504.
測定値 : 351.1513.
元素分析
計算値 C18H25NO4S : C, 61.51; H, 7.17; N, 3.99 %.
測定値 : C, 61.41; H, 7.19; N, 3.96 %.
【0072】
<実施例3>
(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニル-O-エチルチロシン エチルエス
テルの調整
L-チロシン エチルエステル・塩酸塩を原料とし、エチルエーテル化後、実施例1と同じ操作を行い(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニル-O-エチルチロシン
エチルエステルを得た(L-チロシン 塩酸塩・塩酸塩からの収率34%)
【0073】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
比旋光度: [α]D20 = −110.86 (c 1.593, CHCl3).
【0074】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.39-7.30 (m, 5H), 7.00, 6.96 (two d, J = 8.2 Hz, 2H), 6.78, 6.76 (two d, J = 8.2 Hz, 2H), 5.21-5.10 (m, 1H), 5.13 (s, 1H), 4.20 (q,
J = 7.3 Hz, 1H), 4.12-3.93 (m, 2H), 3.99 (q, J = 7.1 Hz, 2H), 3.44-3.16 (m, 4.5H), 3.09-3.03 (m, 0.5H), 2.86-2.73 (m, 1H), 1.99-1.80 (m, 2H), 1.40 (t, J = 7.1 Hz, 3H), 1.23, 1.15 (two t, J = 7.3, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 170.43, 157.58, 157.48, 155.50, 155.44, 136.38, 135.91,
129.93, 128.32, 128.27, 128.18, 127.90, 127.84, 114.38, 114.29, 67.28, 67.00, 63.34, 63.14, 62.96, 61.19, 61.15, 48.02, 47.14, 35.00, 33.89, 31.60, 31.20, 30.95, 30.76, 14.68, 13.91, 13.84.
IR (neat) 2979, 1739, 17704, 1612, 1513, 1474, 1513, 1474, 1247, 1115, 1048, 770, 699, 562 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 493 (M+, 1), 491 (M+, 1), 422 (2), 366 (5), 352 (4), 312 (2), 267 (2), 239 (2), 220 (100), 135 (30), 91 (50), 71 (20), 57 (20).
【0075】
高分解能質量分析
計算値 C24H30BrNO5 : 491.1307.
測定値 : 491.1321.
元素分析
計算値 C24H30BrNO5 : C, 58.54; H, 6.14; N, 2.84 %.
測定値 : C, 58.53; H, 6.20; N, 2.92 %.
【0076】
<実施例4>
N-ベンジルオキシカルボニル-α-(4-エトキシフェニルメチル) プロリン エチルエステルの調整
実施例3で得られた(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニル-O-エチル
チロシン エチルエステルを用い、実施例2と同じ操作で反応を行い、目的物のN-ベンジルオキシカルボニル-α-(4-エトキシフェニルメチル) プロリン エチルエステルを収率99%、光学純度96% eeで得た。
【0077】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
光学活性の決定:HPLC(N-ベンゾイル体に誘導後に測定)
ダイセル社製キラルセルOD(ヘキサン/2-プロパノール=95/5 vol/vol)、流速 1.5mL/min, t R=15(minor),32(major) min.
比旋光度: [α]D20 = −127.60 (c 1.525, CHCl3).
【0078】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.43-7.28 (m, 5H), 6.95-6.92 (m, 2H), 6.79-6.70 (m, 2H), 5.21 (ABq ΔνAB = 49.0 Hz, JAB= 12.8 Hz, 1H), 5.20 (s, 1H), 4.20 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.05, 4.02 (two q, J = 6.9 Hz, 0.5H), 3.99 (q, J = 6.9 Hz, 2H), 3.92
, 3.90 (two q, J = 6.9 Hz, 0.5H), 3.35 (ABq ΔνAB = 282.8 Hz, JAB = 14.2 Hz, 1H), 3.26 (ABq ΔνAB = 202.9 Hz, JAB = 14.7 Hz, 1H), 3.58-3.47 (m, 1H), 3.10-3.00
(m, 1H), 2.14-1.97 (m, 2H), 1.66-1.56 (m, 1H), 1.40, (two t, J = 6.9Hz, 3H), 1.24, 1.11 (two t, J = 6.9Hz, 3H), 1.07-0.95 (m, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 174.42, 174.24, 157.74, 157.59, 154.34, 154.30, 137.15,
136.25, 131.60, 131.52, 128.71, 128.48, 128.39, 128.36, 128.11, 127.88, 127.83,
114.14, 113.97, 68.90, 68.17, 67.18, 66.54, 63.26, 63.22, 61.23, 61.17, 48.96, 48.11, 38.63, 37.15, 36.72, 35.26, 22.79, 22.25, 14.84, 14.10, 14.00.
IR (neat) 2979, 1737, 1703, 1512, 1408, 1358, 1248, 1116 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 411 (M+, 15), 294 (10), 276 (30), 232 (60), 35 (10), 91 (100), 65 (5).
【0079】
高分解能質量分析
計算値 C24H29NO5 : 411.2046.
測定値 : 411.2054.
元素分析
計算値 C24H29NO5 : C, 70.05; H, 7.10; N, 3.40 %.
測定値 : C, 70.03; H, 7.18; N, 3.40 %.
【0080】
<実施例5>
(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルの調整
L-フェニルアラニン エチルエステル・塩酸塩 (15.0 g, 65.3 mmol)をN,N-ジメチルフ
ォルムアミド(76 mL)に溶かし、炭酸カリウム(22.6 g, 163 mmol), ベンジル 3-ヨードプロピルエーテル(21.6 g, 78.4 mmol) を加えて、70 ℃, 2時間攪拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えてジエチルエーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧除去し粗製物を得た。それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン=1/4 vol/vol) で精製して油状物(15.53 g, 70%)を得た。
【0081】
得られた油状物 (14.2 g, 41.6 mmol) をエタノール (100 mL)に溶かし、10% パラジウム炭素(1.5 g)を加え,水素雰囲気下50 ℃で12.5時間攪拌した。溶液をろ過後、溶媒を減
圧除去し得られた粗製物をカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン
=1/1 vol/vol) で精製して油状物 (4.95 g, 47 %)を得た。
【0082】
得られた油状物(1.00 g, 3.98 mmol), をジクロロメタン(13.3 mL)に溶かし、0 ℃でクロロギ酸ベンジル (814.6 mg, 4.78 mmol), ジイソプロピルアミン (1.18 mL, 6.76 mmol) を加え室温で70 min 攪拌した。その後、飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて酢酸エ
チルで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧除去し粗製物を得た。それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘ
キサン=1/2 vol/vol) で精製して油状物 (1.24 g, 81%)を得た。
【0083】
得られた油状物(600 mg, 1.56 mmol)をジクロロメタン(11.1 mL)に溶かし、0 ℃で四臭化炭素 (672 mg, 2.02 mmol), トリフェニルフォスフィン (653 mg, 2.49 mmol) を加え
て20分間攪拌した。飽和炭酸水素ナトリウム水溶液を加えてクロロホルムで抽出し、飽和食塩水で洗浄した後に無水硫酸ナトリウムで乾燥し、ろ過後、溶媒を減圧除去し粗製物を得た。それをカラムクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/ヘキサン=1/5 vol/vol) で精製することにより目的物の(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニ
ルフェニルアラニン エチルエステルを得た(554 mg, 79%)を得た。
【0084】
<分析結果>
性状:白色固体
融点:m.p = 48.0-48.5 ℃
比旋光度: [α]D20 = −107.59 (c 1.165, CHCl3).
【0085】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.39-7.31 (m, 5H), 7.26-7.23 (m, 3H), 7.12-7.07 (m, 2H), 5.21-5.11 (m, 2H), 4.23-4.13 (m, 2H), 4.17-3.96 (m, 1H), 3.43-3.26 (m, 4H),
3.19-3.10 (m, 1H), 2.86-2.73 (m, 1H), 1.95-1.80 (m, 2H), 1.23, 1.15 (two t, J =
7.3 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 170.54, 155.64, 137.83, 137.53, 136.47, 136.01, 137.83,
137.53, 136.47, 136.01, 129.13, 128.60, 128.51, 128.43, 128.35, 128.23, 128.07,
127.98, 126.75, 126.60, 67.50, 67.22, 63.39, 63.00, 61.41, 48.14, 47.25, 36.07,
34.96, 31.68, 31.25, 31.06, 30.85, 14.04, 13.98.
IR (KBr) 2949, 1747, 1687, 1469, 1419, 1336, 1252, 1047, 763, 705 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 449 (M+, 5), 447 (M+, 5), 374(10), 356 (10), 312 (40),
204 (10), 176 (90), 131 (10), 91 (100), 65 (15) .
【0086】
高分解能質量分析
計算値 C22H26BrNO4 : 447.1045.
測定値 : 447.1046.
元素分析
計算値 C22H26BrNO4 : C, 58.94; H, 5.85; N, 3.09 %.
測定値 : C, 58.97; H, 5.89; N, 3.09 %.
【0087】
<実施例6>
(S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-ベンジルプロリン エチルエステルの調整
実施例5で得られた、(S)-N-(3-ブロモプロピル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルを用い、実施例2と同じ操作で反応を行い、目的物の(S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-ベンジルプロリン エチルエステルを収率97%、光学純度95% eeで得た。
【0088】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
光学活性の決定:HPLC(N-ベンゾイル体に誘導後に測定)
ダイセル社製キラルセルOD(ヘキサン/2-プロパノール=90/10 vol/vol)、流速 1.0mL/min, t R=8(R),20(S) min.
比旋光度: [α]D21 = −119.28 (c 1.605, CHCl3).
【0089】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.43-7.28 (m, 5H), 7.26-7.17 (m, 3H), 7.06-7.04 (m, 2H), 5.22 (ABq ΔνAB = 47.1 Hz, JAB = 12.8 Hz, 1H), 5.20 (ABq ΔνAB = 4.06 Hz,
JAB = 12.8 Hz, 1H), 4.21 (q, J = 7.2 Hz, 1H), 4.06, 4.03 (two q, J = 7.2 Hz, 0.5H), 3.93, 3.90 (two q, J = 7.2 Hz, 0.5H), 3.43 (ABq ΔνAB = 285.4 Hz, JAB = 14.2 Hz, 1H), 3.32 (ABq ΔνAB = 204.1 Hz, JAB = 14.2 Hz, 1H), 3.47-3.58 (m, 1H), 3.07-2.97 (m, 1H), 2.16-1.98 (m, 2H), 1.64-1.56 (m, 1H), 1.24, 1.11 (two t, J = 7.2Hz, ratio = 1 : 0.56, 3H), 1.03-0.89 (m, 1H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 174.36, 174.19, 154.43, 154.34, 137.12, 136.98, 136.65, 136.28, 130.79, 130.69, 128.52, 128.44, 128.23, 128.17, 128.06, 127.93, 127.86, 126.67, 126.46, 68.89, 68.16, 67.26, 66.63, 61.32, 61.27, 49.00, 48.16, 39.61,
38.12, 36.81, 35.31, 22.80, 22.24, 14.14, 14.03.
IR (neat) 1737, 1703, 1408, 1358, 1250, 1126, 1030, 702 cm-1. Mass m/z (rel inte
nsity) 367 (M+, 5), 294 (20), 276 (65), 232 (80), 158 (10), 91 (100), 65 (10).
【0090】
高分解能質量分析
計算値 C22H25NO4 : 367.1784.
測定値 : 367.1780.
元素分析
計算値 C22H25NO4 : C, 71.91; H, 6.86; N, 3.81 %.
測定値 : C, 71.88; H, 6.95; N, 3.78 %.
【0091】
<実施例7>
(S)-N-(3-ブロモブチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルの調整
実施例5のベンジル 3-ヨードプロピルエーテルをベンジル 4-ヨードブチルエーテルに
替えた以外は実施例7と同じ操作で反応を行い(S)-N-(3-ブロモブチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルを得た(収率51%)
【0092】
<分析結果>
性状:白色固体
融点:m.p = 35.3-35.9 ℃
比旋光度:[α]D20 = −97.79 (c 1.795, CHCl3).
【0093】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.40-7.30 (m, 5H), 7.26-7.19 (m, 3H), 7.13-7.06 (m, 2H), 5.20-5.11 (m, 1H), 5.14 (s, 1H), 4.19 (q, J = 7.3 Hz, 1H), 4.14-3.93 (m, 2H), 3.37-3.09 (m, 5H), 2.75-2.63 (m, 1H), 1.81-1.56 (m, 2H), 1.51-1.29 (m, 2H), 1.23, 1.14 (two t, J = 7.3 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 170.69, 155.66, 137.97, 137.71, 129.20, 128.54, 128.45,
128.32, 128.18, 128.04, 127.97, 126.68, 126.55, 67.41, 67.16, 62.87, 62.44, 61.35, 48.27, 47.66, 36.13, 35.07, 33.49, 33.26, 29.70, 27.21, 26.66, 36.13, 35.07,
33.49, 33.26, 29.70, 27.21, 26.66, 14.06, 14.00.
IR (KBr) 2981, 1744, 1682, 1476, 1425, 1248, 1199, 1048, 762, 698 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 463 (M+, 2), 461 (M+, 2), 372(4), 370 (4), 328 (15), 326 (15), 287 (4), 285 (4), 176 (20), 156 (6), 91 (100), 55 (5).
【0094】
高分解能質量分析
計算値 C23H28BrNO4 : 461.1202.
測定値 : 461.1194.
元素分析
計算値 C23H28BrNO4 : C, 59.74; H, 6.10; N, 3.03 %.
測定値 : C, 59.44; H, 6.11; N, 3.04 %.
【0095】
<実施例8>
エチル N-ベンジルオキシカルボニル2-ベンジルピペリジン-2-カルボキシレートの調整
実施例7で得られた(S)-N-(3-ブロモブチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルを用い、実施例2と同じ操作で反応を行い、目的物の(S)-エチル N-
ベンジルオキシカルボニル2-ベンジルピペリジン-2-カルボキシレートを収率99%、光学
純度85% eeで得た。
【0096】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
光学活性の決定:HPLC(N-ベンゾイル体に誘導後に測定)
ダイセル社製キラルセルOD(ヘキサン/2-プロパノール=90/10 vol/vol)、流速 1.0mL/min, t R=11(minor),28(major) min.
比旋光度:Colorless oil [α]D20 = −116.71 (c 1.845, CHCl3).
【0097】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.38-7.07 (m, 10H), 5.23-4.92 (br m, 2H), 4.32-3.43 (br m, 4H), 3.00, 2.96 (two s, 1H), 2.46-2.27 (br m, 1H), 1.99-1.92 (m, 1H), 1.78-1.65 (br m, 2H), 1.64-1.45 (m, 2H), 1.44-1.33 (br m, 1H), 1.30-0.99 (br m, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 173.86, 136.84130.99, 128.42, 128.02, 127.93, 126.46, 66.99 (br), 63.74, 61.05, 40.37 (br), 29.96 (br), 21.36 (br), 16.34, 14.07.
IR (neat) 2947, 1735, 1699, 1454, 1412, 1258, 1192, 1073, 764, 702 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 381 (M+, 2), 336 (2), 308 (5), 290 (50), 264 (10), 246 (70), 172 (10), 91 (100), 65 (55).
【0098】
高分解能質量分析
計算値 C23H27NO4 : 381.1940.
測定値 : 381.1947.
元素分析
計算値 C23H27NO4 : C, 72.42; H, 7.13; N, 3.67 %.
測定値 : C, 72.26; H, 7.35; N, 3.60 %.
【0099】
<実施例9>
(S)-N-(3-ブロモエチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルの調整
実施例5のベンジル 3-ヨードプロピルエーテルをベンジル 3-ヨードエチルエーテルに
替え、ブロモ化の際の溶媒をジクロロメタンからテトラヒドロフランに替え、四臭化炭素とトリフェニルフォスフィンの加える順序をトリフェニルフォスフィン、四臭化炭素とし、反応時間を1時間、反応温度を0 ℃で30分、室温で30分とした以外は実施例5と同じ操作で反応を行い、(S)-N-(3-ブロモエチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルを得た(収率31%)。
【0100】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
比旋光度: [α]D20 = −92.69 (c 2.010, CHCl3).
【0101】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.39-7.20 (m, 8H), 7.12-7.06 (m, 2H), 5.20-5.07 (m, 2H), 4.34 (ABq ΔνAB = 9.28 Hz, JAB= 5.0 Hz, 0.5H), 4.28 (ABq ΔνAB = 9.23 Hz,
JAB= 5.0 Hz, 0.5H), 4.19 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.09, 4.07 (two q, J = 6.9, 0.5H), 4.02, 3.99 (two q, J = 6.9, 0.5H), 3.58-3.45 (m, 1H), 3.38-3.30 (m, 1H), 3.27-3.00 (m, 4H), 1.23, 1.16 (two t, J = 6.9 Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 170.42, 170.36, 155.36, 155.31, 137.37, 137.23, 136.22,
135.80, 129.01, 128.99, 128.67, 128.59, 128.52, 128.33, 128.30, 128.13, 127.79,
126.89, 126.78, 67.70, 67.41, 63.11, 62.97, 61.51, 50.71, 49.92, 36.11, 35.14, 27.95, 27.82, 14.03, 13.99.
IR (neat) 2981, 1740, 1708, 1466, 1419, 1282, 1217, 1028, 752, 700 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 435 (M+, 1), 433 (M+, 1), 362 (2), 360 (2), 318 (4), 316 (4), 300 (7), 298 (7), 176 (40), 91 (100), 65 (10) .
【0102】
高分解能質量分析
計算値 C21H24BrNO4 : 433.0889.
測定値 : 433.0899.
元素分析
計算値 C21H24BrNO4 : C, 58.07; H, 5.57; N, 3.22 %.
測定値 : C, 58.02; H, 5.55; N, 3.26 %.
【0103】
<実施例10>
(R)-エチル N-ベンジルオキシカルボニル-2-ベンジルアゼチジン-2-カルボキシレートの
調整
実施例9で得られた(S)-N-(3-ブロモエチル)-N-ベンジルオキシカルボニルフェニルアラニン エチルエステルを用い、実施例2と同じ操作で反応を行い、目的物の(R)-エチル N-
ベンジルオキシカルボニル-2-ベンジルアゼチジン-2-カルボキシレートを収率96%、94%
eeで得た。
【0104】
<分析結果>
性状:無色透明油状物
光学活性の決定:HPLC(N-ベンゾイル体に誘導後に測定)
ダイセル社製キラルセルOD(ヘキサン/2-プロパノール=90/10 vol/vol)、流速 1.0mL/min, t R=11(S),16(R) min.
比旋光度:[α]D20= −114.18 (c 1.540, CHCl3).
【0105】
1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ7.39-7.23 (m, 8H), 7.20-7.14 (m, 2H), 5.22-5.10 (m, 1H), 5.18 (s, 1H), 4.27 (q, J = 6.9 Hz, 1H), 4.17, 4.14 (two q, J = 6.9 Hz, 0.5H), 4.06, 4.04 (two q, J = 6.9 Hz, 0.5H), 3.87-3.79 (m, 1H), 3.31 (ABq ΔνAB = 176.3 Hz, JAB = 14.6 Hz, 1H), 3.22 (ABq ΔνAB = 106.2 Hz, JAB = 14.6 Hz, 1H), 3.20-3.13 (m, 1H), 2.22-2.09 (m, 2H), 1.28, 1.18 (two t, J = 6.9Hz, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3) 172.32, 155.47, 154.83, 136.84, 136.35, 135.86, 135.71,
130.79, 130.70, 128.46, 128.38, 128.19, 128.14, 128.11, 127.91, 127.84, 126.76,
126.66, 71.13, 70.72, 66.70, 66.23, 61.56, 61.51, 45.79, 44.80, 38.67, 37.86, 23.84, 23.79, 14.10, 14.02.
IR (neat) 1737, 1710, 1412, 1353, 1254, 1110, 1072, 1021, 702 cm-1.
Mass m/z (rel intensity) 353 (M+, 10), 280 (35), 236 (20), 218 (20), 117 (10), 91 (100), 65 (5).
【0106】
高分解能質量分析
計算値 C21H23NO4 : 353.1627.
測定値 : 353.1627
元素分析
計算値 C21H23NO4 : C, 71.37; H, 6.56; N, 3.96 %.
測定値 : C, 71.38; H, 6.57; N, 4.12 %.
【0107】
<実施例11>
実施例2で得た(S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-(2-メチルチオエチル) プロリン エチルエステル(221 mg, 0.63 mmol) と水酸化リチウム一水和物 (79.3 mg, 1.89 mmol) をTHF: メタノール: 水=1: 1: 1 混合溶媒 (4.2 mL) に溶かし、50 oC で 24 時間撹拌させた。その後反応溶液に飽和塩化アンモニウム水溶液を加えて、1N 塩酸で pH を3 に調
節した。その溶液を酢酸エチルで抽出し硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧除去し粗製物を得た。
【0108】
分取薄層クロマトグラフィー (シリカゲル, ヘキサン:酢酸エチル:酢酸= 10: 10: 1)
で精製することにより、(S)-N-ベンジルオキシカルボニル-α-(2-メチルチオエチル) プ
ロリン (158.9 mg, 78 %) を得た。本化合物(97.0 mg, 0.31 mmol) のメタノール10ml溶
液に5%パラジウム-炭素0.1gを加え、水素気流下52psiで11時間振とうした。沈殿物を濾去し、4N 塩酸-酢酸エチル溶液 (2 mL) を加え室温で 1 時間撹拌させた。この反応溶液の
溶媒を減圧除去し、得られた溶媒をジエチルエーテルで洗浄することにより、α-(2-メチルチオエチル) プロリン 塩酸塩 (61.8 mg, 88 %) を得た。
【0109】
<分析結果>
m.p. 129-130 oC.
[a]D19 (98% ee)= 33 (c=1.1, H2O).
1H NMR (400MHz, D-2O) d= 3.50-3.40 (m, 2H), 2.63-2.45 (m, 4H), 2.22 (m, 1H), 2.12 (s, 3H), 2.10-2.03 (m, 2H), 2.00-1.94 (m, 1H).
13C NMR (100MHz, D2O) d= 176.4, 75.8, 48.9, 38.1, 37.1, 31.0, 25.1, 17.1.
IR(KBr) 3407, 2950, 1738, 1550, 1456, 1431, 1410, 1169 (cm-1).
EI+MS (m/z) 189 (M+, 15), 144 (100), 114 (35), 96 (92), 70 (15), 61 (15).
【0110】
高分解能質量分析
計算値 C8H15NO2S : 189.0823.
測定値 : 189.0829
【0111】
<実施例12>
L-イソロイシン エチルエステル・塩酸塩を原料として用い、実施例1、2および11
と同様な操作を実施することにより、(S)−α−s−ブチルプロリンを53.2 mg得た。
【0112】
<分析結果>
m.p. 236 oC (dec.).
[a]D19(>99% ee)= 50 (c=1.0, H2O).
1H NMR (400MHz, D-2O) d= 3.43-3.37 (m, 1H), 3.31-3.24 (m, 1H), 2.41-2.36 (m, 1H), 2.07-1.99 (m, 1H), 1.93-1.81 (m, 1H), 1.60-1.51 (m, 1H), 1.27-1.15 (m, 1H), 0.99 (d, J= 6.7 Hz, 3H), 0.93 (t, J= 7.1 Hz, 3H).
13C NMR (100MHz, D2O) d= 178.6, 81.8, 48.6, 42.9, 36.1, 28.1, 26.2, 15.7, 14.6. IR(KBr) 3434, 3087, 2969, 2386, 1618, 1389, 1302 (cm-1).
EI+MS (m/z) 171 (M+, 0.3), 126 (100), 114 (50), 96 (25), 68 (10).
【0113】
高分解能質量分析
計算値 C9H17NO2 : 171.1259.
測定値 : 171.1260
【0114】
<実施例13>
L-バリン エチルエステル・塩酸塩を原料として用い、実施例1、2および11と同様
な操作を実施することにより、(S)−α−イソプロピルプロリン塩酸塩を49.3 mg得た

【0115】
<分析結果>
m.p. 226 oC (dec.).
[a]D19(98% ee)= 34 (c=1.1, H2O).
1H NMR (400MHz, D-2O) d= 3.46-3.34 (m, 2H), 2.54-2.48 (m, 1H), 2.26 (septet, J= 6.7 Hz, 1H), 2.29-2.04 (m, 1H), 2.02-1.90 (m, 1H), 1.09 (d, J= 6.7 Hz, 3H), 1.03
(d, J= 6.7 Hz, 3H).
13C NMR (100MHz, D2O) d= 176.2, 80.6, 48.6, 36.3, 35.8, 25.7, 20.5, 19.4.
IR(KBr) 3350, 2976, 1943, 1741, 1543, 1379, 1219 (cm-1).
FAB+MS (m/z) 158 (M+1, 100), 112 (12).
【0116】
高分解能質量分析
計算値 C8H15NO2 : 157.1103.
測定値 : 158.1185
【0117】
表1に、上記実施例で合成した化合物の構造式を示す。
【0118】
【表1】

【0119】
【表2】

【0120】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される光学活性環状アミノ酸。
【化1】

(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は、分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6 の整数、* は不斉炭素を示す。)
【請求項2】
がイソプロピル基、s−ブチル基、4−エトキシフェニルメチル基又は2−メチルチオエチル基であり、nが2〜5の整数を示す、請求項1に記載の光学活性環状アミノ酸。
【請求項3】
下記一般式(2)で示される光学活性環状アミノ酸誘導体。
【化2】

(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6 の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10
〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6の整数、* は不斉炭素、Z
はベンジロキシカルボニル基を示す。)
【請求項4】
がイソプロピル基、s−ブチル基、4−エトキシフェニルメチル基又は2−メチルチオエチル基であり、nが2〜5の整数を示す、請求項3に記載の光学活性環状アミノ酸誘導体。
【請求項5】
請求項3又は請求項4に記載の光学活性アミノ酸誘導体を、酸または塩基および還元触媒の存在下で脱保護することを特徴とする、請求項1又は請求項2に記載の光学活性環状
アミノ酸の製造方法。
【請求項6】
下記一般式(3)で示されるN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体。
【化3】

(式中、Rはイソプロピル基、炭素数4〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロアルキル基で置換されていても良い炭素数6の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数10〜14の芳香族基で置換されたメチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換されたエチル基、置換基を有する炭素数6〜14の芳香族基で置換された炭素数3〜10の直鎖、分岐若しくは環式のアルキル基、ヘテロ原子を含む炭素数2〜10の直鎖、又は分岐若しくは環式のヘテロアルキル基を示し、nは1〜6の整数、* は不斉炭素、Zは
ベンジロキシカルボニル基およびXはハロゲン原子を示す。)
【請求項7】
がイソプロピル基、s−ブチル基、4−エトキシフェニルメチル基又は2−メチルチオエチル基であり、nが2〜5の整数を示す、請求項6に記載のN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体。
【請求項8】
請求項6又は請求項7に記載のN−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体をアルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物で処理することを特徴とする請求項3又は請求項4に記載の光学活性環状アミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項9】
N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体のアルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物での処理を、極性非プロティック溶媒中、−20度〜50度で実施することを特徴とする請求項8に記載の光学活性環状アミノ酸誘導体の製造方法。
【請求項10】
N−(ハロアルキル)アミノ酸誘導体から光学活性環状アミノ酸誘導体の製造に際し、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の水酸化物として水酸化カリウムを用い、極性非プロティック溶媒としてジメチルスルホキシドを用いることを特徴とする請求項8又は請求項9に記載の製造方法。

【公開番号】特開2008−239491(P2008−239491A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77610(P2007−77610)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000005968)三菱化学株式会社 (4,356)
【Fターム(参考)】