説明

新規複素環化合物

式I:


で示される4−ピリドン(4−ピリジノン)誘導体およびその医薬上許容される誘導体、その調製法、その医薬処方およびマラリアなどのある種の寄生虫感染症の化学療法におけるその使用が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複素環化合物および化学療法におけるその使用に関する。より具体的には、本発明は、ある種の4−ピリドン(4−ピリジノン)誘導体、その調製法、その医薬処方およびマラリアなどのある種の寄生虫感染症、特に、プラスモジウム・ファルシパルム(Plasmodium falciparum)による感染症の化学療法におけるその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
寄生性原虫感染症は、ヒトにおけるマラリアおよびトリ、魚および動物における種々のコクジシウム症を含む、広範な医学的および獣医学的に重要な疾患に関与する。多数の疾患は、宿主の命にかかわり、アイメリア属(Eimeria)種、タイレリア属(Theileria)種、バベシア属(Babesia)種、クリプトスポリジウム属(Cryptosporidium)種、トキソプラズマ属(Toxoplasma)種(例えば、トキソプラズマ・ブルーセイ(Toxoplasma brucei)、アフリカ睡眠病およびトキソプラズマ・クルーズ(Toxoplasma cruzi)、シャーガス病)およびプラスモジウム属(Plasmodium)種(例えば、プラスモジウム・ファルシパルム)などの畜産において相当な経済的損害、ならびにリーシュマニア属(Leishmania)種(例えば、ドノバン・リーシュマニア(Leishmania donovani))などの鞭毛虫上綱を引き起こす。関心が高まっている別の寄生生物は、ニューモシスティス・カリニ(Pneumocytis carinii)であり、HIV感染するものを含む、免疫不全または免疫障害の宿主において致死的肺炎をよく引き起こす。
【0003】
マラリアは、発展途上国世界の重大な疾患問題の一つである。ヒトにおける最も発症率の高いマラリア原因寄生虫は、寄生虫プラスモジウム・ファルシパルムであり、毎年何億もの件数のマラリアの原因であり、毎年100万を超える死者をもたらすと考えられている、Breman,J.G.,ら,(2001) Am.Trop.Med.Hyg.64,1−11。マラリアの治療で見られるある問題点は、利用可能な薬物に対する寄生虫による耐性の構築である。したがって、新規の抗マラリア薬を開発する必要がある。
【0004】
一群の3,5−ジハロ−2,6−ジアルキル−4−ピリジノール誘導体(4−ピリドンの互変異性型)は、抗コクシジウム活性を有するとして米国特許第3,206,358号に記載されている。
【0005】
欧州特許出願番号第123239号は、増強比で前述の4−ピリジノール誘導体と抗原虫薬ナフトキノン、例えば、抗マラリア薬ナフトキノンとの組み合わせを開示する。
【0006】
PCT特許出願WO 91/13873 A1は、原虫に対する、特に、マラリア原虫プラスモジウム・ファルシパルム、およびアイメリア属ならびに寄生生物ニューモシスティス・カリニに対する活性を示す、4−ピリドン誘導体のクラスを開示する。一般にWO 91/13873 A1に開示され、特定の置換パターンを有する本発明に記載の化合物は、WO 91/13873 A1に具体的に開示される化合物を超える改善された特性を示すことが見出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】米国特許第3,206,358号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第123239号明細書
【特許文献3】PCT特許出願WO 91/13873 A1
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】Breman,J.G.,ら,(2001) Am.Trop.Med.Hyg.64,1−11
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、ある種の4−ピリドン誘導体、その調製法、かかる化合物を含む医薬組成物およびマラリアなどのある種の寄生虫感染症、特にプラスモジウム・ファルシパルムによる感染症の化学療法における化合物の使用を対象とする。
【0010】
本発明は、式I:
【化1】

[式中:
はハロ、CFまたはOCFを表し;
はハロを表し;
およびRの一方はメチルを表し、もう一方は−(CHOHまたは−HC=N−ORを表し;
はHまたは−C−Cアルキルを表し;
nは1〜4を表す]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
用語および定義
本明細書に用いられるように、基または一部の基としての「アルキル」なる語は、所定の炭素数を含有する、直線状または分岐飽和炭化水素基をいう;かかる基の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチルおよびtert−ブチルなどが挙げられる。
【0012】
本明細書に用いられるように、「ハロ」は、フルオロ、クロロ、ブロモまたはヨード基をいう。
【0013】
本明細書に記載の本発明の全ての態様および実施態様は、特に明記しない限り、式Iの化合物に関する。
【0014】
は、フェニル環の任意の位置の置換基を表す。本発明の一の態様において、Rは、フェニル基のメタ位またはパラ位の置換基を表す。本発明の別の態様において、Rは、フェニル基のパラ位の置換基を表す。
【0015】
本発明の一の態様において、Rは、Br、Cl、F、CFまたはOCFを表す。本発明の別の態様において、Rは、Cl、F、CFまたはCFを表す。本発明のさらなる態様において、Rは、CFまたはOCFを表す。本発明のよりさらなる態様において、RはOCFを表す。
【0016】
本発明の一の態様において、RはBrまたはClを表す。本発明の別の態様において、RはClを表す。
【0017】
本発明の一の態様において、RおよびRの一方はメチルを表し、もう一方は−(CHOHを表す;別の態様において、RおよびRの一方はメチルを表し、もう一方は−HC=N−ORを表す。
【0018】
本発明の一の態様において、Rはメチルを表し、Rは−(CHOHまたは−HC=N−ORを表す。本発明の別の態様において、Rはメチルを表し、Rは−(CHOHを表す。
【0019】
本発明の一の態様において、Rはメチルを表し、Rは−(CHOHまたは−HC=N−ORを表す。本発明の別の態様において、Rはメチルを表し、Rは−(CHOHを表す。
【0020】
本発明の一の実施態様において、RはHまたはメチルを表す。
【0021】
本発明の一の態様において、nは1または3を表す。本発明のさらなる態様において、nは1を表す。
【0022】
特に明記しない限り、式I、またはそのいずれかの下位式における、ある場合での官能基またはその置換基の意味は、他の場合でのその意味または他の官能基もしくは置換基の意味と独立したものである。本発明が、上記の本発明の異なる態様に記載の基の全ての組み合わせを包含することは理解されるべきである。
【0023】
本発明の一の態様において、化合物、またはその医薬上許容される誘導体が提供され、ここで、化合物は、
3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4(1H)−ピリジノン;
5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム;
5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド−O−メチルオキシム;
3−クロロ−6−メチル−4−オキソ−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム;および
3−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノンからなる群より選択される。
【0024】
本明細書に用いられるように、「医薬上許容される誘導体」なる語は、レシピエントに投与すると、式Iの化合物、またはその活性代謝物もしくは残渣を(直接的または間接的に)提供しうる、式Iの化合物の医薬上許容される塩、溶媒和物、またはプロドラッグ、例えば、エステルまたは炭酸塩を意味する。過度の実験を行うことなく、かかる誘導体は当業者であれば認識できる。にもかかわらず、Burger’s Medicinal Chemistry and Drug Discovery,第5版,Vol 1:Principles and Practiceの教示を参照し、かかる誘導体を教示する範囲を出典明示により本明細書の一部とする。本発明の一の態様において、医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物、エステルおよびカルバメートである。本発明の別の態様において、医薬上許容される誘導体は、塩、溶媒和物およびエステルである。さらなる態様において、医薬上許容される誘導体は、塩および溶媒和物である。よりさらなる態様において、医薬上許容される誘導体は、塩である。一の態様において、ピリジノン環の窒素の医薬上許容される誘導体には、−OC1−6アルキルおよび−O(CO)C1−6アルキルが含まれる。別の態様において、RまたはRが−(CHOHである場合、RまたはRのOH基の医薬上許容される誘導体には、−O(CO)C1−6アルキル(例えば、−O(CO)CH)および−O(CO)N(C1−4アルキル)−C1−2アルキル−N(C1−6アルキル)が挙げられる。さらなる態様において、4−ピリジノール互変異性型のヒドロキシ基の医薬上許容される誘導体には、−O(CO)C1−6アルキル(例えば、−O(CO)CH)および−O(CO)N(C1−4アルキル)−C1−2アルキル−N(C1−6アルキル)が含まれる。
【0025】
式Iの化合物のエステルは、ヒト体内のインビボ条件下で加水分解しうる。適当な医薬上許容されるインビボ加水分解エステル基には、ヒト体内で容易に分解され、親酸またはその塩を分離するものが含まれる。エステルは、対応する酸との反応に関与する当該分野にてよく知られている方法を用いて式Iの化合物のヒドロキシ基(OH)で形成されうる。例えば、エステルは、C1−6アルキルエステルであってもよく、ここで、アルキルは本明細書に定義されるとおりである、例えば、メチルエステル、エチルエステルなど。
【0026】
本発明の化合物は弱両性であるので、式Iに記載の化合物のある種の医薬上許容される塩が調製されうることは明らかであろう。実際、本発明のある実施態様において、かかる塩が、分子に対しより良い安定度または溶解度を与えることにより、処方を容易に剤形にするので、式Iに記載の化合物の医薬上許容される塩は、各遊離塩基または遊離酸より好ましい。本発明の化合物はまた、医薬上許容される塩として投与されうる。したがって、本発明はさらに、式Iに記載の化合物の医薬上許容される塩を対象とする。
【0027】
本明細書に用いられるように、「医薬上許容される塩」なる語は、目的化合物の所望の生物活性を維持し、最小限の望ましくない毒性効果を示す塩をいう。適当な塩の総説については、Bergeら,J.Pharm.Sci.,1977,66,1−19を参照。「医薬上許容される塩」なる語には、医薬上許容される酸付加塩および医薬上許容される塩付加塩両方が含まれる。これらの医薬上許容される塩は、化合物の最終的単離および精製の間にインサイツで、あるいは、その遊離酸または遊離塩基形態中の精製された化合物をそれぞれ適当な塩基または酸と単独で反応させることにより調製されうる。塩は溶液から沈殿し、濾過により回収されうるかまたは溶媒の蒸発により回収されうる。
【0028】
ある実施態様において、式Iに記載の化合物は、酸性官能基を含有していてもよく、したがって、適当な塩基での処理により医薬上許容される塩基付加塩を形成可能であってもよい。医薬上許容される塩基付加塩は、所望により有機溶媒などの適当な溶媒中で、式Iの化合物と適当な強無機塩基との反応により形成され、例えば、結晶化および濾過により単離されうる塩基付加塩を得てもよい。医薬上許容される塩基性塩には、医薬上許容される塩、例えば、水酸化物、ナトリウム、カリウム、リチウムなどの医薬上許容されるアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩が含まれる。
【0029】
ある実施態様において、式Iに記載の化合物は、塩基性官能基を含有してもよく、したがって、適当な酸との処理により医薬上許容される酸付加塩を形成可能であってもよい。医薬上許容される酸付加塩は、所望により有機溶媒などの適当な溶媒中で、式Iの化合物と適当な強無機酸または強有機酸(例えば、臭化水素酸、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(例えば、2−ナフタレンスルホン酸))との反応により形成され、例えば、結晶化または濾過により通常単離される塩を得てもよい。医薬上許容される酸付加塩には、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、重硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、過塩素酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩またはナフタレンスルホン酸塩(例えば、2−ナフタレンスルホン酸塩)が含まれる。一の実施態様において、式Iの化合物の医薬上許容される酸付加塩には、強酸、例えば、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヨウ化水素酸塩、硫酸塩、硝酸塩、過塩素酸塩、リン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩が含まれる。
【0030】
本発明は、式Iの化合物の塩の全ての可能な化学量論的および非化学量論的形態をその範囲内に含む。
【0031】
本明細書に用いられるように、「本発明の化合物(複数形)」なる語は、式Iに記載の化合物およびその医薬上許容される誘導体を意味する。「本発明の化合物(単数形)」なる語は、上記の本発明の化合物のいずれか1つを意味する。
【0032】
本発明の化合物は、固体または液体として存在してもよく、その両方とも本発明に含まれる。固体状態において、本発明の化合物は、非晶質または結晶形のいずれかとして、あるいはその混合物として存在しうる。本発明の化合物の医薬上許容される溶媒和物が、結晶化の間に溶媒分子が結晶格子に組み込まれて形成されうることは明らかであろう。溶媒和物は、エタノール、イソプロパノール、ジメチルスルホキシド(DMSO)、酢酸、エタノールアミン、および酢酸エチルなどの非水性溶媒を含みうるか、あるいは、それらは、結晶格子に組み込まれる溶媒として水を含みうる。水が結晶格子に組み込まれる溶媒である溶媒和物は、典型的には、「水和物」として称される。本発明には、全てのかかる溶媒和物が含まれる。
【0033】
本発明の化合物が、異なる互変異性型として存在しうることは明らかであろう。特に、式Iの化合物は、以下のとおり4−ピリジノール互変異性型で存在しうる:
【化2】

【0034】
式Iの化合物の全ての可能な互変異性型が、本発明の範囲内にあることを意図とする。本発明の一の態様において、4−ピリドン互変異性型の式Iの化合物が提供される。本発明の別の態様において、4−ピリジノール互変異性型の式Iの化合物が提供される。本発明のさらなる態様において、4−ピリドンおよび4−ピリジノール互変異性型の式Iの化合物の混合物が提供される。本発明のよりさらなる態様において、式Iの化合物の4−ピリドンおよび4−ピリジノール互変異性型の混合物は、平衡混合物である。
【0035】
さらに、二重結合、例えば、オキシム二重結合を含有する本発明の化合物が、二重結合についての配置に関して、EおよびZ異性体の混合物として存在しうることは明らかであろう。混合物は等量のEおよびZ異性体を含有しうるか、あるいは、混合物は過剰のZまたはE異性体を含みうる。あるいは、本発明の化合物は、各二重結合について各々純粋なEおよびZ幾何異性体で存在しうる。
【0036】
多形体、エナンチオマーおよびその混合物として存在しうる本発明の化合物全てが、本発明の範囲内にあることを意図とすることも明らかであろう。
【0037】
ある本発明の化合物は、改善された薬物動態プロファイルを有しうる(例えば、それらは、より経口投与可能でありうるか、または、改善された経口暴露を示しうる)。
【0038】
本発明の別の態様にしたがって、ヒトまたは獣医学的薬物療法に用いるための式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0039】
本発明の化合物は、マラリア原虫プラスモジウム・ファルシパルム、アイメリア種、ニューモシスティス・カリニ、トリパノソーマ・クルーズ、トリパノソーマ・ブルーセイまたはドノバン・リーシュマニアによる寄生性原虫感染症などのある寄生虫感染症の治療に有用でありうる。特に、本発明の化合物は、プラスモジウム・ファルシパルムによる感染症の治療に有用でありうる。したがって、本発明は、かかる病態を治療する方法を対象とする。
【0040】
本発明の一の態様において、療法、例えば、マラリアなどの寄生性原虫感染症、例えば、プラスモジウム・ファルシパルムによる感染症の治療に用いるための、式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体が提供される。
【0041】
本発明の別の態様において、マラリアなどの寄生性原虫感染症、例えば、プラスモジウム・ファルシパルムによる感染症によって引き起こされる病態の治療のための医薬の製造における式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用が提供される。
【0042】
本発明の別の態様において、マラリアなどの寄生性原虫感染症、例えば、プラスモジウム・ファルシパルムによる感染症を罹患しているヒトまたは動物対象の治療方法であって、有効量の式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体、あるいは式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体を含む医薬組成物をヒトまたは動物対象に投与することを含む方法が提供される。
【0043】
本発明の治療方法は、安全かつ有効な量の式Iに記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体をそれを必要とする患者に投与することを含む。
【0044】
本明細書に用いられるように、「治療」は、(1)治療を受けている病態または治療を受けている病態の1または複数の生物学的兆候の緩和または予防、(2)(a)治療を受けている病態をもたらすかもしくは関与する生物学的カスケードにおける1もしくは複数の地点または(b)1また複数の治療を受けている病態の生物学的兆候の障害、あるいは(3)1または複数の治療を受けている病態に付随する症状または効果の軽減を意味する。「予防」が絶対的用語ではないことを当業者は分かるであろう。医学分野において、「予防」は、病態またはその生物学的兆候の可能性または重篤度を実質的に軽減するか、あるいは、かかる病態またはその生物学的兆候の開始を遅らせるための薬物の予防的投与をいうと理解されている。
【0045】
本明細書に用いられるように、「安全かつ有効な量」は、適切な医学的判断の範囲内の、治療を受ける病態における積極的な改善を有意に誘導するのに十分であるが、重大な副作用を回避するのに十分低量な(妥当な利益/危険性の割合の)化合物の量を意味する。安全かつ有効な量の本発明の化合物は、選択される特定の化合物(例えば、化合物の効力、有効性および半減期に応じて);選択される投与経路;治療を受けている感染症および/または病態の特性;治療を受けている感染症および/または病態の重篤度;治療を受けている患者の年齢、大きさ、体重および健康状態;治療を受けている患者の病歴;治療期間;併用療法の性質;所望の治療効果;および同様の因子によって変化しうるが、当業者により慣用的に決定されうる。
【0046】
本明細書に用いられるように、「患者」は、ヒトまたは他の動物をいう。
【0047】
本発明の化合物は、全身投与を含む、いずれかの適当な投与経路により投与されうる。全身投与には、経口投与、非経口投与、経皮投与、直腸投与、および吸入による投与が含まれる。非経口投与は、腸内、経皮、または吸入による投与以外の投与経路をいい、典型的には注射または注入による。非経口投与には、静脈内、筋肉内、および皮下注射または注入が含まれる。吸入は、口を通って吸入されるかそれとも鼻腔を通って吸入される患者の肺への投与をいう。局所投与には、皮膚への皮膚用途ならびに眼球内、口腔(例えば、舌下)、直腸、膣内、および鼻腔内投与が含まれる。
【0048】
本発明の化合物は、1回のみかまたは多量の投与量を所定の時間で時間の間隔を変えて投与する投与計画にしたがって投与されうる。例えば、投与量は、1日当たり1、2、3、または4回投与されうる。投与量は、所望の治療効果を達成するまで投与されうるかまたは所望の治療効果を無期限に維持するために投与されうる。投与量はまた、所望の治療の性質にしたがって変化するであろう、ここで、「治療」は下記のとおりであり、例えば、多用量の化合物は、治療を受けている病態の予防と比べて改善されうる。本発明の化合物の適当な投与計画は、当業者により決定されうる、吸収、分布、および半減期などの該化合物の薬物動態特性による。加えて、かかる計画を投与する期間を含む、本発明の化合物の適当な投与計画は、化合物の投与経路、治療を受けている病態、治療を受けている病態の重篤度、治療を受けている患者の年齢および健康状態、治療を受ける患者の病歴、併用療法の性質、所望の治療効果、ならびに当業者の知見および専門知識中の同様の因子による。適当な投与計画が、投与計画に対する個々の患者の応答を鑑み、あるいは、個々の患者の要求の変化に応じて調整を必要としうることはかかる当業者によりさらに理解されるであろう。本発明の化合物を、さらに下記の1種または複数の付加的な活性治療薬と組み合わせて用いるならば、本発明の化合物の投与計画がまた、必要に応じて、1種または複数の付加的な治療薬の特性および用量にしたがって変化しうることもまた分かるであろう。
【0049】
典型的な1日投与量は、選択される特定の投与経路によって変化しうる。経口投与のための典型的な1日投与量は、約0.01〜約25mg/kg、一の実施態様において、約0.1〜約14mg/kgの範囲である。非経口投与のための1日投与量は、約0.001〜約10mg/kg、一の実施態様において、約0.01〜約6mg/kgの範囲である。一の実施態様において、化合物の1日投与量範囲は、100〜1000mg/日である。
【0050】
式Iの化合物はまた、他の活性治療薬と組み合わせて用いられうる。したがって、本発明は、さらなる態様において、式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体と一緒にさらなる活性治療薬を含む組み合わせを提供する。式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体が、同一の疾患病態に対して活性である第2の活性治療薬と組み合わせて用いられる場合、各化合物の投与量は、化合物が単独で用いられる場合とは異なる。適当な投与量は当業者であれば容易に分かるであろう。治療に用いるのに必要な本発明の化合物の量は、治療を受けている病態の性質ならびに患者の年齢および病態によって変化するであろうし、最終的にはかかりつけ医または獣医の判断になるであろう。
【0051】
本発明の化合物は、単独または他の抗寄生虫薬、例えば、抗マラリア薬などの、1種もしくは複数の付加的な活性治療薬と組み合わせて用いられうる。
【0052】
適当な他の活性治療薬には、抗マラリア薬、例えば、葉酸塩(例えば、クロロキン、メフロキン、プリマキン、ピリメタミン、キニーネ、アルテミシニン、ハロファントリン、ドキシサイクリン、アモジキン(amodiquine)、アトバクオン、タフェノキン)および葉酸拮抗薬(例えば、ダプソーン、プログアニル、スルファドキシン、ピリメタミン、クロルシクログアニル(chlorcycloguanil)、シクログアニル)が含まれる。
【0053】
上記の組み合わせは、便宜上、医薬処方の形態で用いるために存在してもよいので、上記の組み合わせと一緒に医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む医薬処方は、本発明のさらなる態様を含む。かかる組み合わせの個々の成分は、いずれかの有利な経路により個々のまたは合した医薬処方で連続してまたは同時に投与されうる。
【0054】
連続して投与する場合、本発明の化合物または1種もしくは複数の付加的な活性治療薬(群)は、最初に投与されうる。同時に投与する場合、組み合わせは、同一または異なる医薬組成物で投与されうる。同一処方で合する場合、本発明の化合物および1種または複数の付加的な活性治療薬(群)が安定であって、相互および処方の他の成分と混合可能であることは明らかであろう。個々に処方される場合、本発明の化合物および1種または複数の付加的な活性治療薬(群)は、便宜上、当該分野にてかかる化合物について知られているような手法でいずれか有利な処方にて提供される。
【0055】
組成物
本発明の化合物は通常、患者への投与前に医薬組成物中に処方されるであろうが、必ずしも処方されるとは言えない。一の態様において、本発明は、本発明の化合物を含む医薬組成物を対象とする。別の態様において、本発明は、本発明の化合物および1種または複数の医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物を対象とする。
【0056】
担体および/または賦形剤は、処方の他の成分と混合可能であり、そのレシピエントに無害であるという意味で「許容」されなければならない。
【0057】
本発明の医薬組成物は調製され、バルク形態で包装されてもよく、ここで、安全かつ有効な量の本発明の化合物は抽出され、次いで、例えば、粉末またはシロップで患者に与えられうる。あるいは、本発明の医薬組成物は調製され、単位剤形で包装されてもよく、ここで、各物理的不連続な単位量は、安全かつ有効な量の本発明の化合物を含有する。単位剤形で調製される場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、本発明の化合物の約0.1〜100mg、別の態様において、0.1mg〜約50mgを含有する。
【0058】
本発明の医薬組成物は、典型的には、1種の本発明の化合物を含有する。しかしながら、ある実施態様において、本発明の医薬組成物は、1種以上の本発明の化合物を含有する。例えば、ある実施態様において、本発明の医薬組成物は、2種の本発明の化合物を含有する。加えて、本発明の医薬組成物は、所望により1種または複数の付加的な活性治療化合物をさらに含みうる。本発明の医薬組成物は、典型的には、1種以上の医薬上許容される賦形剤を含有する。しかしながら、ある実施態様において、本発明の医薬組成物は、1種の医薬上許容される賦形剤を含有する。
【0059】
本明細書に用いられるように、「医薬上許容される」なる語は、医薬用途に適当であることを意味する。
【0060】
本発明の化合物および医薬上許容される賦形剤または複数の賦形剤は、典型的には、所望の投与経路によって患者への投与に適する剤形中に処方されるであろう。例えば、剤形には、(1)錠剤、カプセル剤、カプレット、ピル、トローチ、粉末、シロップ、エリキシル剤、懸濁液、溶液、乳液、サシェ、およびカシェなどの経口投与;(2)滅菌溶液、懸濁液、および復元用粉末などの非経口投与;(3)経皮パッチなどの経皮投与;(4)坐剤などの直腸投与;(5)エアロゾルおよび溶液などの吸入;および(6)クリーム、軟膏、ローション、溶液、ペースト、スプレー、泡沫およびゲルなどの局所投与に適しているものが含まれる。
【0061】
適当な医薬上許容される賦形剤は、選択される特定の剤形により変化するであろう。加えて、適当な医薬上許容される賦形剤は、組成物中で作用しうる特定の機能で選択されうる。例えば、ある医薬上許容される賦形剤は、均一剤形の製造を容易にする能力で選択されうる。ある医薬上許容される賦形剤は、適当な剤形の製造を容易にする能力で選択されうる。患者に投与するとすぐに、ある医薬上許容される賦形剤は、ある器官、または身体の部分から別の器官、または身体の部分への本発明の化合物または化合物の運搬または輸送を容易にする能力で選択されうる。ある医薬上許容される賦形剤は、患者のコンプライアンスを高める能力で選択されうる。
【0062】
適当な医薬上許容される賦形剤には、以下の種類の賦形剤:結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、造粒剤、コーティング剤、湿潤剤、溶媒、共溶媒、懸濁化剤、乳化剤、甘味剤、香味剤、香味マスキング剤、着色剤、アンチケーキング剤、保湿剤、キレート剤、可塑剤、増粘剤、抗酸化剤、保存剤、安定化剤、界面活性剤、および緩衝剤が含まれる。ある医薬上許容される賦形剤が、処方中にどのくらい賦形剤が存在するか、または処方中に他のどんな成分が存在するかに応じて、1以上の機能または代替的機能を果たしうることは当業者であれば分かるであろう。
【0063】
当業者は、本発明において用いるための適切な量の適当な医薬上許容される賦形剤を選択できるだけの、当該分野における知識および技術を有する。加えて、医薬上許容される賦形剤を記載しており、適当な医薬上許容される賦形剤を選択するのに有用でありうる、当業者が入手可能な多数の供給源がある。例として、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)、The Handbook of Pharmaceutical Additives(Gower Publishing Limited)、およびThe Handbook of Pharmaceutical Excipients(the American Pharmaceutical Association and the Pharmaceutical Press)が挙げられる。
【0064】
本発明の医薬組成物は、当業者に既知の技法および方法を用いて調製されうる。当該分野にて一般に用いられるいくつかの方法は、Remington’s Pharmaceutical Sciences(Mack Publishing Company)に記載されている。
【0065】
一の態様において、本発明は、安全かつ有効な量の本発明の化合物および担体を含む、液体、錠剤、ロゼンジまたはカプセルなどの固体または液体経口剤形を対象とする。担体は、希釈剤または充填剤の形態であってもよい。適当な希釈剤および充填剤には、一般的に、ラクトース、スクロース、デキストロース、マンニトール、ソルビトール、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、じゃがいもデンプン、およびプレゼラチン化デンプン)、セルロースおよびその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)、硫酸カルシウム、および第二リン酸カルシウムが含まれる。液体剤形は、一般に、化合物または医薬上許容される誘導体の液体担体、例えば、エタノール、オリーブ油、グリセリン、グルコース(シロップ)または水中懸濁液または溶液(例えば、加えた香味剤、懸濁化剤、または着色剤と一緒に)からなりうる。組成物が錠剤またはロゼンジの形態である場合、固体処方を調製するために通常用いられるいずれかの医薬担体が用いられうる。かかる担体の例として、ステアリン酸マグネシウム、白土、タルク、ゼラチン、アカシア、ステアリン酸、デンプン、ラクトースおよびスクロースが含まれる。組成物がカプセルの形態である場合、所定のカプセル化は、例えば、上記の担体または半固体、例えば、カプリル酸のモノ、ジ−グリセリド、Gelucire(商標)およびLabrasol(商標)、あるいは硬カプセルシェル、例えば、ゼラチンを用いることが適当である。組成物が軟カプセルシェル、例えば、ゼラチンの形態である場合、分散液または懸濁液を調製するのに通常用いられる医薬担体は、例えば、水性ゴムまたは油が考えられ、軟カプセルシェルの一部となりうる。
【0066】
経口固体剤形は、結合剤の形態で賦形剤をさらに含みうる。適当な結合剤には、デンプン(例えば、トウモロコシデンプン、じゃがいもデンプン、およびプレゼラチン化デンプン)、ゼラチン、アカシア、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸、トラガカント、グァーガム、ポビドンおよびセルロースならびにその誘導体(例えば、微結晶性セルロース)が含まれる。経口固体剤形は、崩壊剤の形態で賦形剤をさらに含みうる。適当な崩壊剤には、クロスポビドン、デンプングリコール酸ナトリウム、クロスカルメロース、アルギン酸およびカルボキシメチルセルロースナトリウムが含まれる。経口固体剤形は、潤滑剤の形態で賦形剤をさらに含みうる。適当な潤滑剤には、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、およびタルクが含まれる。
【0067】
本発明により、医薬組成物を調製する方法がさらに提供され、該方法は、少なくとも1種の式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体を、医薬上許容される担体および/または賦形剤と一緒に混合することを含む。
【0068】
経口投与用製剤は、適当には、活性化合物の制御/持続された放出を得るために処方されうる。
【0069】
略語
本発明を記載するのに、化学元素は、元素周期表にしたがって特定されている。本明細書で用いられる略語および記号は、当業者によるかかる略語および記号の共通使用に従う。以下の略語は、本明細書で用いられる:
【0070】
AcOEt,EtOAc 酢酸エチル
approx. 約
バール 1x10Pa(パスカル)
ブライン 飽和水性塩化ナトリウム
n−BuLi n−ブチルリチウム
t−BuOMe tert−ブチル−メチル−エーテル
cat.ref. カタログ番号
CDCl 重水素化クロロホルム
CDOD 重水素化メタノール
conc. 濃度
cpm カウント/分(放射能単位)
DCM ジクロロメタン
DIBAH 水素化ジイソブチルアルミニウム
DMF N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
DMSO−d 重水素化ジメチルスルホキシド
ES MS エレクトロスプレー質量分析
EtOH エタノール
h 時間(複数も可)
ヒト血清AB ヒト血液型AB型から得られる血清
HEPES 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−
エタンスルホン酸
HPLC 高速液体クロマトグラフィー
HT ヒポキサンチン
HTサプリメント 0.15mMヒポキサンチンおよび24μMチミジン
、(GIBCO(商標)カタログ番号:41065)
不十分な献血 研究に用いられる450mlより少ない血液量
L リットル(複数も可)
LDA リチウムジイソプロピルアミド
MeOH メタノール
min. 分(複数も可)
タウロコール酸Na タウロコール酸ナトリウム
NBS N−ブロモスクシンイミド
NCS N−クロロスクシンイミド
NMP N−メチル−ピロリジノン
NMR 核磁気共鳴分光学
Pa パスカル(圧力のSI単位:m−1.kg.s−2
PRBCs 寄生された赤血球
pH 水素イオン濃度の−Log10
RBCs 赤血球
TBDMS tert−ブチルジメチルシリル
TBDPS tert−ブチルジフェニルシリル
TCCA トリクロロイソシアヌル酸
TMHD 2,2,6,6−テトラメチル−ヘプタン−3,5
−ジオン
RPMI Roswell Park Memorial
Institute培地*
THF テトラヒドロフラン
v/v 容量比
w/w 重量比、例えば、重量%
*(該培地について詳しくは、Divo,A.A.ら,Nutritional requirements of Plasmodium falciparum in culture.I.Exogenously supplied dialyzable components necessary for continuous growth.J Protozool,1985.32(1):p.59−64を参照)。
【0071】
化合物調製
式I:
【化3】

で示される化合物を合成するのに用いられる一般的製法は、反応スキーム1−24に記載され、実施例にて説明される。
【0072】
本明細書において、一般式は、ローマ数字I、II、III、IVなどで指定されている。式Iの化合物のサブセットは、Ia、Ib、Ic、IdおよびIeとして定義され;別の式のサブセットは同様に表される。
【0073】
スキーム1にしたがって、Rがハロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rが−CHOHを表し;およびRがメチルを表す、式Iの化合物である、式Iaの化合物は、ジクロロメタンおよびメタノールの混合物などの適当な溶媒中で、IIをハロスクシンイミド(NBS、NCS)、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)または臭素などの適当なハロゲン化試薬と反応させることにより、Rがハロ、CFまたはOCFを表す、式IIの化合物から調製されうる。
【化4】

【0074】
スキーム2にしたがって、式IIの化合物は、例えば、EtOHまたはMeOHなどの、適当な溶媒において、適当には加圧および高温下、例えば、120℃〜160℃で、水性アンモニアの存在下において、保護基PGを同時に脱保護する、アミノ分解により、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し、PGが立体障害のヒドロキシ保護基、例えば、TBDMSまたはTBDPSである、式IIIの化合物から調製されうる。
【化5】

【0075】
スキーム3にしたがって、式IIIの化合物は、PGが式IIIの記載と同義である、式IVの化合物とRがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式Vのボロン酸化合物の間の鈴木クロスカップリング反応を用いて調製されうる。式IVの化合物は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基、および適当なパラジウム触媒の存在下において、トルエン、エタノール、DMFまたはその混合液などの適当な溶媒中でVと、例えば、50℃〜100℃の温度で加熱されうる。一の態様において、パラジウム触媒は、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)である。
【化6】

【0076】
スキーム4にしたがって、式IVの化合物は、炭酸ナトリウムまたはカリウムなどの適当な塩基の存在下において、ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中で、VIを弱トリフルオロメタンスルホニル化試薬で処理することにより、PGが式IIIの記載と同義である、式VIの化合物から調製されうる。一の態様において、トリフルオロメタンスルホニル化試薬は、N−フェニル−トリフルオロメタンスルホンイミドである。
【化7】

【0077】
スキーム5にしたがって、式VIの化合物は、VIIを選択的脱保護反応に付し、PGを除去することにより、PGが式IIIの記載と同義であり、PGがPGとは異なるヒドロキシ保護基である、式VIIの化合物から調製されうる。例えば、PGがベンジルである場合、酢酸エチルなどの適当な溶媒中で、適当な触媒、例えば、炭素担体パラジウムの存在下において、水素化を用いて脱保護が行われうる。
【化8】

【0078】
スキーム6にしたがって、式VIIの化合物は、式VIIIのヒドロキシ基を適当な保護基PGで保護する反応により、PGが式VIIの記載と同義である、式VIIIの化合物から調製されうる。例えば、保護基PGがTBDMSである場合、式VIIIの化合物は、DMFなどの適当な溶媒中で、塩基、例えば、イミダゾールの存在下において、TBDMSClで処理されうる。
【化9】

【0079】
スキーム7にしたがって、式VIIIの化合物は、式IXの化合物から調製されうる。化合物IXは、水性水酸化ナトリウムなどの適当な塩基の存在下において、ホルムアルデヒドで処理され、次いで、得られた中間体生成物は、保護反応に付され、PGが導入されうる。例えば、PGがベンジルである場合、中間体生成物は、臭化テトラ−N−ブチルアンモニウムなどの、適当な触媒の存在下において、塩化ベンジルまたは臭化ベンジルで処理されうる。
【化10】

【0080】
スキーム8にしたがって、式IXの化合物は、高温、例えば、50℃〜90℃にて水などの適当な溶媒中で濃HClの存在下において、亜鉛とのIXの反応により、式Xの化合物から調製されうる。
【化11】

【0081】
スキーム9にしたがって、式Xの化合物は、式XIの化合物を塩化チオニル(SOCl)または塩化ホスホリル(POCl)などの塩素化試薬と反応させることにより調製されうる。
【化12】

【0082】
スキーム10にしたがって、式Vのボロン酸は、−60℃〜−78℃でTHFなどの適当な溶媒中にてトリ−イソプロピルホウ酸塩の存在下において、XIIをn−BuLiなどの適当な塩基で処理し、次いで、例えば、6N HClで酸加水分解することにより、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式XIIの化合物から調製されうる。
【化13】

【0083】
スキーム11にしたがって、式XIIの化合物は、商業的に入手可能である式XIIIの4−ブロモフェニル化合物と、商業的に入手可能でもある、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式XIVのヨードフェニル化合物の間のウルマンカップリングにより調製されうる。化合物XIIIは、80℃〜110℃などの高温にて、N−メチル−ピロリジノン(NMP)などの適当な溶媒中で、塩化銅(I)などの銅(I)塩および炭酸セシウムなどの塩基および2,2,6,6−テトラメチル−ヘプタン−3,5−ジオン(TMHD)などの添加剤の存在下において、XIVと反応されうる、例えば、Ley V.S.およびThomas A.W.,(2003) Angew.Chem.Int.Ed.42,5400−5449に記載の製法に従う。
【化14】

【0084】
スキーム12にしたがって、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rがメチルを表し;およびRが−CHOHを表す、式Iの化合物である、式Ibの化合物は、ジクロロメタンおよびメタノールの混合物などの適当な溶媒中で、XVをハロスクシンイミド(NBS、NCS)、トリクロロイソシアヌル酸(TCCA)または臭素などの適当なハロゲン化試薬と反応させることにより、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式XVの化合物から調製されうる。
【化15】

【0085】
スキーム13にしたがって、式XVの化合物は、エタノールまたはメタノールなどの適当な溶媒中で、適当には加圧下で加熱しながら、所望によりマイクロ波放射の存在下において、化合物XVを水性アンモニアで処理することにより、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式XVIの化合物から調製されうる。一の態様において、高温で1〜8時間スチール製反応器にて反応を行う。別の態様において、高温でマイクロ波オーブンにて、例えば、30−90分間反応を行う。
【化16】

【0086】
スキーム14にしたがって、式XVの化合物は、式XVIIの化合物と、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式Vのボロン酸化合物の間の鈴木クロスカップリング反応を用いて調製されうる。式IVの化合物は、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなどの塩基、および適当なパラジウム触媒の存在下において、トルエン、エタノール、DMFまたはその混合液などの適当な溶媒中でVと、例えば、50℃〜100℃の温度で加熱されうる。一の態様において、パラジウム触媒は、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)である。
【化17】

【0087】
スキーム15にしたがって、式XVIIの化合物は、炭酸ナトリウムまたはカリウムなどの適当な塩基の存在下において、ジメチルホルムアミドなどの適当な溶媒中で、弱トリフルオロメタンスルホニル化試薬とのXVIIの処理により、式XVIIIの化合物から調製されうる。一の態様において、トリフルオロメタンスルホニル化試薬は、N−フェニル−トリフルオロメタンスルホンイミドである。
【化18】

【0088】
スキーム16にしたがって、式XVIIIの化合物は、高温、例えば、50℃〜90℃で、水などの適当な溶媒中で濃HClの存在下において、亜鉛とのXVIIIの反応により、式XIXの化合物から調製されうる。
【化19】

【0089】
スキーム17にしたがって、式XIXの化合物は、式Xの化合物から調製されうる。化合物XIXは、水性水酸化ナトリウムなどの適当な塩基の存在下において、ホルムアミドで処理されうる。
【化20】

【0090】
スキーム18にしたがって、Rがハロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し、Rが−HC=N−ORを表し;Rがメチルを表し;RがHまたはC1−3アルキルを表す、式Iの化合物である、式Icの化合物は、高温、例えば、50℃〜還流温度で、EtOHなどの適当な溶媒中にてピリジンなどの適当な塩基の存在下において、XXをRがHまたはC1−3アルキルを表す、NHOR.HClと反応させることにより、Rがハロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表す、式XXの化合物から調製されうる。
【化21】

【0091】
スキーム19記載の酸化反応により、式XXの化合物は、適当な溶媒、例えば、DMSOおよびDCMの混合液中で、トリエチルアミンなどの塩基の存在下において、三酸化硫黄−ピリジン複合体などの適当な酸化剤で処理することにより、式Iaの化合物から調製されうる。
【化22】

【0092】
スキーム20にしたがって、Rがハロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rがメチルを表し;Rが−HC=N−ORを表し;RがHまたはC1−3アルキルを表す、式Iの化合物である、式Idの化合物は、高温、例えば、50℃〜還流温度で、EtOHなどの適当な溶媒中にてピリジンなどの適当な塩基の存在下において、XXIをRがHまたはC1−3アルキルを表す、NHOR.HClと反応させることにより、Rがハロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表す、式XXIの化合物から調製されうる。
【化23】

【0093】
スキーム21記載の酸化反応によって、式XXIの化合物は、適当な溶媒、例えば、DMSOおよびDCMの混合液中でトリエチルアミンなどの塩基の存在下において、Iaを三酸化硫黄−ピリジン複合体などの適当な酸化剤で処理することにより、式Ibの化合物から調製されうる。
【化24】

【0094】
スキーム22にしたがって、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rが−(CHOHを表し、ここで、nは3を表し;Rがメチルを表し;RがHまたはC1−3アルキルを表す、式Iの化合物である、式Ieの化合物は、EtOAcなどの適当な溶媒中で、適当な触媒、例えば、炭素担体パラジウムの存在下において、XXIIを水素化することによりRがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表す、式XXIIの化合物から調製されうる。
【化25】

【0095】
スキーム23にしたがって、式XXIIの化合物は、冷却しながら、例えば、20℃〜−20℃で、THFなどの適当な溶媒中でXIIをDIBAHと反応することにより、Rがフルオロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rがアルキル、例えば、メチル、エチルまたはtert−ブチルを表す、式XXIIIの化合物から調製されうる。該反応は、式Ieの化合物に変換する前に分離または精製を必要としない、式XXIIおよびIeの化合物の混合物を生成しうる。
【化26】

【0096】
スキーム24にしたがって、式XXIIIの化合物は、DCMなどの適当な溶媒中でRがアルキル、例えば、メチル、エチルまたはtert−ブチルを表す、(カルボアルコキシメチレン)−トリフェニルホスホランPhP=CHCOと反応するXXのウィッティヒ反応により上記の式XXの化合物から調製されうる。
【化27】

【0097】
がフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し;Rがハロを表し;Rが−(CHOHを表し、ここで、nは2〜4を表し;Rがメチルを表し;RがHまたはC1−3アルキルを表す、式Iの化合物は、式Ieについてスキーム22−24に記載の製法と類似の製法を用いて、すなわち、化合物XXのウィッティヒ反応、次いで、そのように形成されたアルケンの還元、例えば、水素化の方法により調製されうる。
【0098】
別法として、スキーム25にしたがって、式IIの化合物は、XXIVを還元的開環し、その後、例えば、i)活性炭素担体パラジウムなどの適当な触媒の存在下における水素、またはii)EtOHなどの適当な溶媒中でヘキサカルボニルモリブテンを用いて保護された中間エナミンを環化することにより、Rがハロ、CFまたはOCFを表す、式XXIVの化合物から調製されうる。
【化28】

【0099】
スキーム26にしたがって、式XXIVの化合物は、アシル化反応によりRがハロ、CFまたはOCFを表す、式XXVの化合物から調製されうる。化合物XXVは、所望によりN,N−ジイソプロピルアミンおよび塩化リチウムなどの適当なリチウム塩の存在下において、n−BuLiもしくはLDAまたはn−BuLiとLDAの混合物などの適当な塩基で処理され、次いで、THFなどの適当な溶媒中で−60℃〜−78℃などの低温にてN−メトキシ−N−メチル−アセタミドまたは酢酸エチルなどのアシル化剤で処理されうる。
【化29】

【0100】
式IIの化合物は、式XXIVの中間化合物を単離および精製することなく、式XXVの化合物から得られうる。
【0101】
スキーム27にしたがって、式XXVの化合物は、式XXVIの化合物とRがハロ、CFまたはOCFを表す、式Vの間のカップリング反応の方法により調製されうる。化合物XXVIおよびVは、適当な溶媒、例えば、EtOHまたはEtOHとトルエンの混合液中で高温、例えば、70℃〜90℃にて炭酸水素ナトリウムまたは炭酸ナトリウムなどの適当な塩基の存在下において、活性炭素担体パラジウムまたは塩化ビス(トリフェニルホスホリン)パラジウム(II)などの適当な触媒の存在下で一緒に反応されうる。
【化30】

【0102】
スキーム28にしたがって、式XXVIの化合物は、式XXVIIの化合物のヨウ素化反応により調製されうる。化合物XXVIIは、高温下、例えば、30℃〜60℃で、DCMなどの適当な溶媒中でトリフルオロ酢酸銀などの適当な触媒の存在下において、ヨウ素で処理されうるか、あるいは、高温、例えば、60℃〜70℃でトリフルオロ酢酸などの強有機酸の存在下において、水などの適当な溶媒中で一塩化ヨウ素にて処理されうる。
【化31】

【0103】
スキーム29にしたがって、化合物XXVIIは、商業的に入手可能な化合物XXVIIIの還元により調製されうる。化合物XXVIIIは、EtOHなどの適当な溶媒中で適当な還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウムで処理されうる。
【化32】

【0104】
式Iのさらなる化合物は、上記の方法に類似の方法を用いて、または、本明細書に記載の実施例に詳述の実験製法を参照することにより、または、PCT特許出願番号WO 91/13873 A1で既に報告された方法に類似の方法を用いて調製されうることを当業者は容易に分かるであろう。
【0105】
式Iの化合物またはその医薬上許容される誘導体の調製において、好ましくない副反応を防ぐために分子または適当な中間体中の1個または複数の感受性基を保護することが必要および/または好ましいことは当業者であれば分かるであろう。本発明にしたがって用いるための適当な保護基は、当業者によく知られており、従来の方法で用いられうる。例えば、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wutsによる「Protective groups in organic synthesis」(John Wiley & sons 1991)またはP.J.Kocienskiによる「Protecting Groups」(Georg Thieme Verlag 1994)を参照。適当なアミノ保護基の例として、アシル型保護基(例えば、ホルミル、トリフルオロアセチル、アセチル)、芳香族ウレタン型保護基(例えば、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および置換Cbz)、脂肪族ウレタン保護基(例えば、9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、t−ブチルオキシカルボニル(Boc)、イソプロピルオキシカルボニル、シクロヘキシルオキシカルボニル)およびアルキルまたはアラルキル型保護基(例えば、ベンジル、トリチル、クロロトリチル)が挙げられる。適当な酸素保護基の例として、例えば、トリメチルシリルまたはtert−ブチルジメチルシリルなどのアルキルシリル基;テトラヒドロピラニルまたはtert−ブチルなどのアルキルエーテル;または酢酸塩などのエステルが挙げられる。
【実施例】
【0106】
以下の実施例は本発明を説明する。これらの実施例は、本発明の範囲を限定することを意図とするものではなくむしろ本発明の化合物、組成物および方法を調製および使用するための指針を当業者に提供するものである。本発明の特定の実施態様が記載されるが、本発明の精神および範囲から逸脱することなく、種々の変更および修飾が行われうることは当業者に明らかであろう。
【0107】
実験欄
中間体1(Bioorganic&Medicinal Chemistry 9,2001,563−573)
【化33】

2−(クロロメチル)−5−ヒドロキシ−4H−ピラン−4−オン
コウジ酸(FLUKA,1g)に、塩化チオニル(ALDRICH,1.027mL)を加えた。黄色混合物を室温で2時間攪拌した。沈殿を濾過し、次いで、ヘキサンで洗浄し、真空乾燥し、淡黄色固体として1.08gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):9.28(bd,1H);8.12(s,1H);6.56(s,1H);4.65(s,2H)
【0108】
中間体2(Bioorganic&Medicinal Chemistry 9,2001,563−573)
【化34】

5−ヒドロキシ−2−メチル−4H−ピラン−4−オン
50℃で中間体1(1.07g)の水(30mL)中懸濁液に、亜鉛末(PANREAC,871mg)を加えた。混合物を70℃で1時間加熱した。次いで、濃HCl(5mL)を滴下し、混合物を70−80℃で5時間加熱した。過剰の亜鉛を熱濾過により除去し、淡黄色濾液を氷/水混合物上に注いだ。水層をジクロロメタン(3x30mL)で抽出し、合した有機抽出液をNaSOで乾燥した。溶媒を真空中で除去し、淡黄色固体として0.53gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.76(s,1H);6.24(s,1H);2.28(s,3H)
【0109】
中間体3(Bioorganic&Medicinal Chemistry 9,2001,563−573;US 6,426,418 B1)
【化35】

2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−3−[(フェニルメチル)オキシ]−4H−ピラン−4−オン
1Lの3口丸底フラスコは、機械スターラーおよび滴下漏斗を装備された。1N NaOH(498mL)をフラスコに加え、次いで、中間体2(57.15g)を滴下した。帯赤色混合物を氷浴中で(約30分)冷却し、37%水性ホルムアルデヒド溶液(ALDRICH,37.36mL)を(30分かけて)滴下し、溶液を室温で18時間攪拌した。混合物を0℃で冷却し、臭化テトラ−N−ブチルアンモニウム(ALDRICH,365mg)を、次いで、臭化ベンジル(ALDRICH,59.2mL)を加えた。溶液を60℃で2時間加熱し、次いで、室温に冷却し、一晩攪拌し、ジクロロメタン(3x500mL)で抽出した。合した有機抽出液を、飽和水性NaCl(1x500ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮し、117gの淡黄色固体を得た。該固体を、80:20 EtOAc/ヘキサン(250mL)でトリチュレートし、次いで、濾過した。該製法を70:30 EtOAc/ヘキサン(250mL)で繰り返し、真空下で乾燥した後、白色固体として84.15gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):7.38(m,5H);6.25(s,1H);5.43(t,1H);5.00(s,2H);4.25(d,2H);2.25(s,3H)
【0110】
中間体4
【化36】

2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−メチル−3−[(フェニルメチル)オキシ]−4H−ピラン−4−オン
2Lの反応器中に、中間体3(66.65g)およびN,N−ジメチルホルムアミド(500mL)を加えた。混合物を窒素雰囲気下で攪拌し、溶液を得、次いで、イミダゾール(55.28g)および塩化tert−ブチルジメチルシリル(48.94g)を加え、次いで、乾N,N−ジメチルホルムアミド(50mL)を加えた。3時間攪拌した後、酢酸エチル(900mL)および1N NHCl(700mL)を加えた。二層を分配し、有機層を1N NHCl(2x900mL)およびブライン(900mL)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮乾固し、淡黄色油として103.68gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.35(m,5H);6.20(s,1H);5.16(s,2H);4.39(s,2H);2.26(s,3H);0.87(s,9H);0.04(s,6H)
【0111】
中間体5
【化37】

2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−3−ヒドロキシ−6−メチル−4H−ピラン−4−オン
雰囲気下、中間体4(23.71g)の酢酸エチル(600mL)中溶液に、活性炭素担体10重量%パラジウム(FLUKA,700.9mg)を加えた。混合物を、1.8x10Pa(1.8バール)で3時間水素化した。触媒を濾去し、溶媒を真空下で蒸発乾固し、16.72gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):6.43(bd,1H);6.23(s,1H);4.70(s,2H);2.32(s,3H);0.91(s,9H);0.12(s,6H)
【0112】
中間体6
【化38】

2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−メチル−4−オキソ−4H−ピラン−3−イル トリフルオロメタンスルホン酸塩
500mL丸底フラスコ中に、乾N,N−ジメチルホルムアミド(170mL)中の中間体5(16.72g)を加え、溶液をN雰囲気下で10分間攪拌した。次いで、N−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(FLUKA,23.85g)および炭酸カリウム末(ALDRICH,10.68g)を滴下した。1.5時間攪拌した後、炭酸カリウムを濾去し、tert−ブチル−メチル−エーテル(300mL)で洗浄した。濾液を、100mLのtert−ブチル−メチル−エーテルで希釈し、1N NHCl(2x400mL)で洗浄した。水層を、tert−ブチル−メチル−エーテル(200mL)で抽出した。合した有機抽出液を、NaCO(3x400mL)およびブライン(400mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮し、淡橙色固体として24.7gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):6.29(s,1H);4.6624(s,2H);2.34(s,3H);0.92(s,9H);0.13(s,6H)
【0113】
中間体7a
【化39】

2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−メチル−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4H−ピラン−4−オン
1L丸底フラスコ中に、中間体6(11.8g)および乾トルエン(90mL)を加え、得られた溶液を、15分間その中でアルゴンを発泡させることにより脱酸素化した。塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(ALDRICH,1.03g)を加え、混合物を再度、30分間その中でアルゴンを発泡させることにより脱酸素化した。次いで、中間体19(10.5g)の乾エタノール(200mL)中溶液を加えた。最後に、炭酸ナトリウム(12.45g)を加えた。アルゴン雰囲気下で80℃にて2時間45分加熱した後、混合物を室温で一晩攪拌し、次いで、濾過し、真空下で濃縮乾固した。粗生成物を、tert−ブチルメチルエーテル(700mL)で溶解し、1N NaOH(2x500mL)、HO(500mL)およびブライン(450mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮し、セライト層に通して濾過された暗色溶液を得た。得られた溶液を濃縮乾固し、暗色油状残渣を得、酢酸エチル/ヘキサン(0−50%)の混合液で溶出しながらシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付して精製した。褐色固体として10.3gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.28(d,2H);7.20(d,2H);7.07−7.02(m,4H);6.25(s,1H);4.39(s,2H);2.33(s,3H);0.89(s,9H);0.05(s,6H)
【0114】
中間体7b
【化40】

2−({[(1,1−ジメチルエチル)(ジメチル)シリル]オキシ}メチル)−6−メチル−3−(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4H−ピラン−4−オン
25mLの2口丸底フラスコ中に、中間体6(500mg)および乾トルエン(4mL)を加え、得られた溶液を、15分間その中でアルゴンを発泡させることにより脱酸素化した。塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(ALDRICH,43.5mg)および中間体20(420mg)の乾エタノール(9mL)中溶液を加え、得られた混合物を再度、15分間アルゴンを発泡させることにより脱酸素化し、次いで、炭酸カリウム(525mg)を加えた。アルゴン雰囲気下で80℃にて3時間15分加熱した後、混合物を室温に冷却し、濾過し、トルエン/メタノールで洗浄し、濃縮乾固した。粗生成物をtert−ブチル−メチルエーテルで溶解し、1N NaOH(2x)、HOおよびNaOHで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、濃縮乾固した。カラメル色油状残渣を、酢酸エチル/ヘキサン(0−70%)混合液で溶出しながらシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付して精製した。カラメル色油として460mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.46(m,1H);7.36(m,1H);7.32−7.29(m,3H);7.24−7.20(m,1H);7.05(d,2H);6.25(s,1H);4.39(s,2H);2.33(s,3H);0.89(s,9H);0.04(s,6H)
【0115】
中間体8a
【化41】

2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
方法A
中間体7a(10.1g)のエタノール(60mL)中溶液に、30%水性アンモニア(200mL)を加えた。得られた懸濁液を、スチール製反応器中に加え、20バール(300psi)圧下で140℃にて8.5時間加熱し、次いで、一晩室温に冷却した。沈渣を濾過し、HO(700mL)および酢酸エチル(20mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、真空下で乾燥した後、灰色粉末として5.39gの標記化合物を得た。H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):10.84(bd,1H);7.39(d,2H);7.21(d,2H);7.12(d,2H);7.02(d,2H);5.98(s,1H);5.49(bd,1H);4.22(s,2H);2.24(s,3H)。
【0116】
方法B
中間体23(0.365g)の乾THF(10ml)中溶液を、アルゴン雰囲気下で−75℃に冷却した。n−BuLi(1.4ml、ヘキサン中1.78M)の溶液を加え、混合物を、アルゴン下で40分間攪拌し、次いで、0.16mlのN−メトキシ−N−メチル−アセタミドを加えた。混合物を、−75℃で3時間攪拌した。HPLC分析は、出発物質が残っていることを示した。追加量のn−BuLi(1.4ml,ヘキサン中1.78M)およびN−メトキシ−N−メチル−アセタミド(0.050ml)を順次加え、混合物を、アルゴン雰囲気下で−75℃にて1時間攪拌した。2N HCl(5ml)を加え、混合物を室温で1時間攪拌し、次いで、水(50ml)およびt−BuOMe(50ml)を加え、混合物を分配した。有機層を、水(50ml)、10%NaHCO(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄した。それをNaSOで乾燥し、次いで、濃縮乾固し、0.425gの橙色油を得た。t−BuOMe(20ml)で溶解し、活性炭素(0.3g)を加えた。混合物を、室温で3時間攪拌し、濾過し、蒸発乾固した。該方法にて、0.38gの粗物質を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。上記のとおりに得られた粗生成物(0.38g)をEtOH(20ml)で溶解し、活性炭素担体10%パラジウム(50mg)を溶液に加えた。そのようにして得られた混合物を、(2バール圧の水素で)6時間水素化した。さらなるPd(C)(50mg)を加え、混合物を、同一条件下で18時間水素化した。触媒を濾過し、溶媒を蒸発させ、乾燥し、0.375gの粗生成物を得、EtOAc(3ml)で溶解し、室温で一晩、次いで、冷蔵庫で6時間結晶化した。生成物を濾過し、EtOAcで洗浄し、真空下で乾燥した。白色固体として0.17gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):10.84(bd,1H);7.39(d,2H);7.21(d,2H);7.12(d,2H);7.02(d,2H);5.98(s,1H);5.49(bd,1H);4.22(s,2H);2.24(s,3H)。
【0117】
方法C
アルゴン雰囲気下、中間体23(0.548g)および無水塩化リチウム(0.572g)の乾テトラヒドロフラン(15ml)中混合物に、再蒸留ジイソプロピルアミン(0.63ml)を加え、混合物を−75℃に冷却した。n−BuLi(2ml、ヘキサン中1.7M)の溶液を滴下し、混合物を、アルゴン雰囲気下で−75℃にて1時間攪拌し、次いで、N−メトキシ−N−メチルアセタミド(0.225ml)を滴下し、混合物を−75℃で4時間攪拌した。2N HCl(10ml)を加え、混合物を室温で0.5時間攪拌し、次いで、1N HCl(75ml)およびt−BuOMe(75ml)を加え、混合物を分配した。有機層を1N HCl(2x75ml)、10%NaHCO(75ml)、水(75ml)およびブライン(75ml)で洗浄した。NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固し、粗生成物として0.62gの淡褐色油を得、さらに精製することなく次の工程に用いた。
粗生成物(0.62g)をEtOH(25ml)で溶解し、活性炭素担体10%パラジウム(60mg)を窒素雰囲気下で溶液に加えた。そのように得られた混合物を、Parr装置中で(2バールのH圧にて)8時間水素化した。さらに活性炭素担体10%パラジウム(60mg)を加え、混合物を同一条件下で14時間水素化した。
混合物を、ナイロン製0.45μm膜に通して濾過し、2:1 CHCl/MeOH(3x5ml)で洗浄した。溶媒を除去し、乾燥し、0.61gの粗生成物を得、EtOAc(5ml)で溶解した。該溶液に、1mlのヘキサンを加え、次いで、室温で結晶化し、次いで、一晩冷蔵庫中に静置した。得られた固体を濾去し、3:2 ヘキサン/酢酸エチル混合液(2x4ml)で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として0.42gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):10.84(bd,1H);7.39(d,2H);7.21(d,2H);7.12(d,2H);7.02(d,2H);5.98(s,1H);5.49(bd,1H);4.22(s,2H);2.24(s,3H)。
【0118】
方法D
中間体23(160mg)の乾テトラヒドロフラン(2ml)中溶液を、アルゴン雰囲気下で−78℃に冷却した。n−BuLi(0.44ml、ヘキサン中2.5M)の溶液を滴下し、混合物を、アルゴン雰囲気下で−78℃にて30分間攪拌し、次いで、N−メトキシ−N−メチルアセトアミド(0.056ml)を加え、混合物を攪拌した。約30分後、混合物は高粘度ゲルとなり、反応物を2時間かけて−50℃まで加温し、混合物はより流動性になった。反応混合物を−5℃に加温し、6N HCl(10ml)を加えた。混合物を2時間攪拌し、次いで、10%NaHCOで(約pH7−8に)中和し、t−BuOMeで3回抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。残渣を、10:90〜50:50 EtOAc−ヘキサンで溶出しながらシリカゲル上のクロマトグラフィーに付して精製し、黄色油として45mg(28%)の出発中間体23および121mg(67%)の1−{3−(ヒドロキシメチル)−4−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−5−イソオキサゾリル}−2−プロパノンを得た。
H−NMR(δ ppm,DMSO−d):7.34(d,2H);7.22(d,2H);7.06(d,2H);7.05(d,2H);4.72(d,2H);3.88(s,2H);2.45(bs,2H);2.26(s,3H)。
【0119】
上記の生成物(0.114g)をEtOH(20ml)で溶解し、活性炭素担体10%パラジウム(15mg)を溶液に加えた。そのようにして得られた混合物を、Parr装置中で(2バールH圧で)6時間水素化した。さらに、活性炭素担体10%パラジウム(15mg)を加え、混合物を同一条件下で16時間水素化した。混合物を、ナイロン製0.45μmフィルターに通して濾過した。溶媒を除去し、乾燥し、EtOAc(1ml)でトリチュレートされた0.1gの粗生成物を得た。得られた固体を濾去し、真空下で乾燥し、帯黄色固体として0.061gの標記化合物(中間体8a)を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):10.97(bd,1H);7.39(d,2H);7.21(d,2H);7.12(d,2H);7.02(d,2H);5.98(s,1H);5.49(bd,1H);4.22(s,2H);2.24(s,3H)。
【0120】
中間体8b
【化42】

2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−3−{4−[3−(トリフルオロメチル)フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
中間体7b(455mg)のエタノール(13mL)中溶液に、30%水性アンモニア(60mL)を加えた。得られた懸濁液を、スチール製反応器中に加え、140℃で加熱した。8.5時間加熱した後、反応器を一晩室温に冷却した。有機溶媒を真空下で除去し、得られた水性溶液を凍結乾燥し、316mgの褐色固体を得た。該固体を酢酸エチル(12mL)で洗浄し、濾過し、真空下で乾燥し、白色固体として161mgの純粋な化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):10.97(bd,1H);7.63(t,1H);7.48(d,1H);7.33−7.30(m,2H);7.24(d,2H);7.06(d,2H);5.96(s,1H);5.52(t,1H);4.22(s,2H);2.24(s,3H)
【0121】
中間体9(J.Am.Chem.Soc.;EN;121;30;1999;7020−7025.)
【化43】

3−ヒドロキシ−2,6−ビス(ヒドロキシメチル)−4H−ピラン−4−オン
100mL丸底フラスコ中に、コウジ酸(FLUKA,5g)、1N NaOH(39mL)およびHO(10mL)を加えた。混合物を(氷/水浴で)冷却し、37%水性ホルムアルデヒド(ALDRICH,2.9mL)を滴下した。室温で34時間後、さらに37%水性ホルムアルデヒド(ALDRICH,0.5mL)を滴下し、溶液を18時間攪拌した。混合物を、濃HClを加えて酸性化し、溶媒を除去し、真空下で乾燥し、粗生成物を得、冷水で処理し、沈殿した固体を得、濾過し、真空乾燥した。白色固体として3.056gの標記化合物を得た。濾液を真空下で濃縮し、第二群の固体を分離した。さらに1.154gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDOD):6.46(s,1H);4.61(s,2H);4.43(s,2H)
【0122】
中間体10
【化44】

3−ヒドロキシ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−4H−ピラン−4−オン
50℃で中間体9(6.56g)の水(22.8mL)中懸濁液に、亜鉛末(PANREAC,4.98g)を加え、濃HCl(11.43mL)を滴下し、混合物を70−80℃で5時間加熱した。過剰の亜鉛をセライトに通して熱濾過により除去し、濾過ケークを冷水で洗浄した。固体が分離するまで、水性溶液に固体NaClを加えた。該固体を濾去し、真空下で乾燥し、3.16gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):8.69(s,1H);6.26(s,1H);5.63(t,1H);4.26(d,2H);2.26(s,3H)
【0123】
中間体11
【化45】

6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−4−オキソ−4H−ピラン−3−イル トリフルオロメタンスルホン酸塩
雰囲気下、中間体10(180mg)の乾N,N−ジメチルホルムアミド(9mL)中溶液に、炭酸カリウム(ALDRICH,478mg)およびN−フェニルトリフルオロメタンスルホンイミド(FLUKA,412mg)を加えた。室温で0.5時間攪拌した後、1N NHClを加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を、1N NHCl(4x)、0.5N NaOHおよびブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空中で濃縮した。残渣をクロマトグラフィー(96%CHCl/MeOH)に付して精製し、白色固体として166mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):6.57(s,1H);4.51(d,2H);2.83(t,1H);2.42(s,3H)
【0124】
中間体12a
【化46】

6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4H−ピラン−4−オン
2口丸底フラスコ中に、中間体11(160mg)、乾トルエン(1.7mL)および乾エタノール(0.5mL)を加えた。得られた溶液を、Nを発泡させることにより脱酸素化した。テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(ALDRICH,38mg)、次いで、中間体19(215mg)の乾エタノール(4mL)中溶液および炭酸ナトリウム(235mg)を加えた。混合物を、N雰囲気下で脱酸素化し、80℃で4時間加熱した。混合物を濃縮乾固し、1N NHClおよび酢酸エチルを加え、10分間攪拌した。水層を酢酸エチルで抽出し、合した有機抽出液をブラインで洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で濃縮した。粗生成物を、カラムクロマトグラフィー(1%、2%メタノール/ジクロロメタン)に付して精製し、橙色油として202mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.23−7.19(m,4H);7.08−7.02(m,4H);6.49(s,1H);5.30(s,1H);4.50(d,2H);2.46(t,1H);2.24(s,3H)
【0125】
中間体12b
【化47】

6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−3−(4−{[3(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4H−ピラン−4−オン
中間体12bを、トルエン(24mL)中の中間体11(2.3g)、触媒として塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(II)(ALDRICH,280mg)、EtOH(55.86mL)中の中間体20(2.7g)および炭酸ナトリウム(3.38g)を用いて中間体12aに記載の方法に類似の方法により調製した。混合物を85℃で40分間加熱し、冷却し、セライト層に通して濾過し、酢酸エチルで洗浄し、溶媒を蒸発させた。粗生成物をEtOAcで溶解し、1N NHCl(1x)、HO(1x)、飽和NaHCO(1x)およびNaCl(1x)で洗浄し、(MgSO)乾燥し、真空下で濃縮した。カラムクロマトグラフィー(EtOAc−ヘキサン 0−100%)に付して精製し、不純物の試料と一緒に第1画分の931mgの標記化合物を得、さらにカラムクロマトグラフィーに付して再精製し、さらに黄色固体として510mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.49−7.33(m,3H);7.23(m,3H);7.05(d,2H);6.53(s,1H);4.51(s,2H);2.25(s,3H)。
【0126】
中間体13a
【化48】

6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
195mgの中間体12aのメタノール(2mL)中懸濁液を、電磁攪拌しながらマイクロ波管中に加えた。30%水性アンモニア(3mL)を加え、得られた懸濁液を、マイクロ波放射下で140℃にて30分間加熱した。冷却すると、粗生成物を水で希釈し、真空下で濾過した。固体をアセトニトリルで洗浄し、灰白色固体として92mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):11.09(bd,1H);7.39(d,2H);7.19(d,2H);7.12(d,2H);7.02(d,2H);6.07(s,1H);5.51(bd,1H);4.33(bd,2H);2.10(s,3H)
【0127】
中間体13b
【化49】

6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−3−(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4(1H)−ピリジノン
中間体12b(200mg)のメタノール(1.5mL)中溶液に、攪拌しながら商業用30%水性アンモニア(3.5mL)を加えた。マイクロ波放射下で140℃にて30分間反応を行った。冷却すると、粗生成物を水で希釈し、真空下で濾過した。固体をアセトニトリルで洗浄し、灰白色固体として104mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):11.08(bs,1H);7.62(m,1H);7.48(d,1H);7.32(m,2H);7.21(d,2H);7.06(d,2H);6.07(m,1H);5.5(m,1H);4.32(s,2H);2.09(s,3H)。
【0128】
中間体14
【化50】

5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド
実施例1(0.506g)のジクロロメタン(5mL)中溶液に、DMSO(3.49mL)およびトリエチルアミン(1.26mL)を滴下した。該混合物を0℃に冷却し、それに三酸化硫黄−ピリジン複合体を少量ずつ加えた(0.947g)。反応温度を室温に加温し、混合物を21時間攪拌した。混合物をジクロロメタンで希釈し、水(3x40mL)で洗浄した。有機相を、無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮し、褐色油を得、第1溶出液としてジクロロメタン、次いで、メタノール/ジクロロメタン(v/v 1:600、1:500、1:400および1:200)を用いてシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付して精製した。適当な画分中の溶媒を蒸発させた後、総量424mgの標記化合物を得た。
H NMR(δ,ppm,CDCl):9.66(s,1H),9.03(bs,1H),7.41(d,2H),7.23(d,2H),7.12−7.06(m,4H),2.60(s,3H);[ES MS] m/z 424(MH)。
【0129】
中間体15
【化51】

3−クロロ−6−メチル−4−オキソ−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド
アルゴン雰囲気下、実施例3(0.422g)のジクロロメタン(4.25mL)中懸濁液に無水DMSO(3mL)を加えた。得られた溶液を氷−水浴中で冷却し、テトラエチルアミン(1mL)を、次いで、三酸化硫黄−ピリジン複合体(0.788g)を加えた。混合物を、一晩室温に加温した。20時間の攪拌後、混合物を水(5x)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濃縮乾固した。黄色粉末として380mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):10.33(s,1H);7.22(m,4H);7.06(m,4H);2.30(s,3H)。
【0130】
中間体16
【化52】

(2E)−3−{5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジニル}−2−プロペン酸エチル
アルゴン雰囲気下、中間体14(0.154g)のジクロロメタン(7.20mL)中溶液に、(カルボエトキシメチレン)−トリフェニルホスホラン(0.190g)を加えた。反応混合物を室温で2時間攪拌し、次いで、水(3x5mL)で洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥し、真空下で濃縮し、トランス/シス α,β−不飽和エステルの混合物を得た。粗生成物を、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出液CHOH/CHCl 0−5%)に付して精製した。黄色固体として0.058gの標記化合物を得た。
H NMR(δ,ppm,CDCl):13.41(s,1H),7.26(d,2H),7.20(d,2H),7.08(d,2H),7.03(d,2H),6.72(d,1H),6.00(d,1H),4.23(q,2H),2.56(s,3H),1.37(t,3H)
【0131】
中間体17
【化53】

1−ブロモ−4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)ベンゼン
アルゴン雰囲気下、4−ブロモフェノール(0.173g)の4mLの1−メチル−2−ピロリドン中溶液を、4−(トリフルオロメトキシ)ヨードベンゼン(0.313mL)、2,2,6,6−テトラメチルヘプタン−3,5−ジオン(0.046mL)および炭酸セシウム(0.652g)で処理した。15分間アルゴンを発泡させることによりスラリーを脱気し、塩化銅(I)(0.099g)を加えた。15分間アルゴンを発泡させることにより反応混合物を脱気し、次いで、アルゴン下で5時間100℃に加熱した。反応物を室温に冷却し、30mLのtert−ブチル−メチル−エーテルに滴下した。スラリーを濾過し、固体をtert−ブチル−メチル−エーテル(3x20mL)で洗浄した。合した濾液を、1N NaOH(50mL)、水(50mL)、2N HCl(50mL)、1N HCl(50mL)、水(50mL)およびブライン(50mL)で順次洗浄した。得られた有機層をNaSOで乾燥し、濃縮し、粗生成物を得、ヘキサンで溶出しながらシリカゲル上のカラムクロマトグラフィーに付して精製し、無色液体として0.15gの標記化合物を得た。
H−NMR(d,ppm,CDCl):7.45(m,2H);7.20(m,2H);6.99(m,2H);6.90(m,2H)
【0132】
中間体18
【化54】

1−[(4−ブロモフェニル)オキシ]−3−(トリフルオロメチル)ベンゼン
2口丸底フラスコ中に、アルゴン雰囲気下で4−ブロモフェノール(ALDRICH,500mg)および1−メチル−2−ピロリドン(ALDRICH,12mL)を加えた。次いで、3−ヨードベンジルトリフルオリド(ALDRICH,1.18g)、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン(ALDRICH,0.133mL)および炭酸セシウム末(ALDRICH、1.88g)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下で15分間攪拌した。最後に、塩化銅(I)(ALDRICH、143mg)を加え、混合物をアルゴン雰囲気下で20分間攪拌した。得られた混合物を105℃で3.5時間加熱し、室温で冷却した。tert−ブチル−メチルエーテル(60mL)を加え、混合物を15分間攪拌し、固体(銅塩)を濾去し、tert−ブチル−メチル−エーテルで洗浄した。濾液を、2N HCl(70mL)、1N HCl(70mL)、2N NaOH(2x60mL)およびブライン(70mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させ、964mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.48(d,2H);7.44(d,1H);7.36(d,1H);7.24(s,1H);7.15(m,2H);6.91(d,2H)
【0133】
中間体19
【化55】

[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]ボロン酸
−75℃で、中間体17(4.53g)の乾テトラヒドロフラン(100mL)中溶液にホウ酸トリイソプロピル(4.1mL)を加えた。混合物を−78℃に冷却し、それにヘキサン中1.47M n−ブチルリチウム(11.1mL)を滴下した。混合物を−75℃で3時間攪拌し、次いで、6N HCl(12mL)を加えることによりクエンチし、アセトンおよび固形二酸化炭素の浴槽中で一晩攪拌する間に、反応物を室温に加温した。混合物を、酢酸エチル(200mL)と水(200mL)の間に分配し、層を分離し、有機層を水(2x200mL)およびブライン(200mL)で洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、濾過し、蒸発乾固した。得られた固体を、2N NaOH(60mL)で処理し、数分間攪拌し、水(250mL)で希釈し、観察された白色固体沈殿を溶解し、溶液を0.45μmナイロン製フィルターに通して濾過した。濾液をペンタン(2x200mL)で洗浄し、水層を6N HClでpH1.5に酸性化し、沈殿を濾去し、水で洗浄し、真空下で乾燥し、淡黄色固体として3.23gの標記化合物を得た。
H−NMR(d,ppm,CDCl):8.01(bs,2H);7.85−7.78(m,2H);7.43−7.33(m,2H);7.15−7.07(m,2H);7.02−6.94(m,2H)。
【0134】
中間体20
【化56】

(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)ボロン酸
500mL丸底フラスコ中に、アルゴン雰囲気下で中間体18(17.576g)の乾テトラヒドロフラン(100mL)中溶液、100mL以上のテトラヒドロフランおよびホウ酸トリイソプロピル(ALDRICH,16.63mL)を加えた。混合物を−78℃で冷却し、1.65M n−ブチルリチウム(ALDRICH,40.3mL)を滴下した。溶液を−78℃で4時間45分攪拌し、次いで、6N HCl(55mL)を滴下し、混合物を室温で一晩攪拌した。テトラヒドロフランを減圧下で除去し、tert−ブチル−メチル−エーテル(500mL)および水(400mL)を加えた。有機層を、Na(400mL)、HO(400mL)およびブライン(400mL)で洗浄し、MgSOで乾燥し、濾過し、真空下で蒸発させた。得られた粗生成物に、ナトリウム塩を形成するために2N NaOH(325mL)を、それを溶解するために(600mL)を加えた。ある不純物を除去するために水性溶液をペンタン(2x500mL)で抽出し、それを2N HCl(325mL,pH=1)を加えることで酸性化した。白色沈殿を濾過し、水で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として11.0483gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):8.04(s,2H);7.83(d,2H);7.62(m,1H);7.49(d,1H);7.30(m,2H);7.02(d,2H)
【0135】
中間体21
【化57】

(5−メチル−3−イソオキサゾリル)メタノール
5−メチル−3−イソオキサゾールカルボン酸メチル(9g,ABCRから入手可能)の乾エタノール(90ml)中懸濁液に、アルゴン下氷浴中で水素化ホウ素ナトリウム(3.6g)を滴下し、混合物を室温で3時間攪拌した。混合物を氷浴で冷却し、pH<7まで1N HCl(120ml)を加えることにより慎重に加水分解した。エタノールを除去するために混合物を真空下で濃縮し、得られた水性溶液をpH6−7まで水性NaOH(最初に5N、次いで、1N)で中和した。水性溶液をDCM(6x50ml)で抽出し、合した有機層をブライン(50ml)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、濃縮乾固し、帯黄色油として標記化合物を得た(6g)。水層をDCM(3x50ml)で再抽出し、新しく合した有機層を再度、硫酸ナトリウムで乾燥し、濾過し、溶媒を蒸発乾固した。帯黄色油としてさらなる量(1g)の標記化合物を得た。両試料(総量7g)を次の工程に一緒に用いた。
H−NMR(δ,ppm,CDCl3):6.03(s,1H);4.70(s,2H);2.42(s,3H)
【0136】
中間体22
【化58】

(4−ヨード−5−メチル−3−イソオキサゾリル)メタノール
方法A
室温でトリフルオロ酢酸銀(13.25g)の乾DCM(175ml)中懸濁液に、中間体21(6.25g)の乾DCM(25ml)中溶液を加えた。30分攪拌した後、ヨウ素(15.25g)を滴下し、混合物を室温で30分間攪拌し、次いで、窒素下で3時間48℃に加熱した。さらなる量のトリフルオロ酢酸銀(1.3g)およびヨウ素(1.5g)を加え、2時間加熱し続け、次いで、室温で一晩攪拌した。混合物をDCM(60ml)で希釈し、濾去し、DCM(3x30ml)で洗浄した。得られた濾液および洗浄物を、水(200ml)、10%Na(200ml)、10%NaHCO(200ml)、水(200ml)およびブライン(200ml)で順次洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮乾固し、14.55gの油状物質を得、固体になった。それをヘプタン(8ml)でトリチュレートし、得られた固体を濾過し、真空下で乾燥した。該方法で白色固体として第一群(6.2g)の所望の化合物を得た。合した有機洗浄物を蒸発乾固し、7.5gの油状残渣を得、ヘキサンおよびヘキサン/EtOAc 4:1で溶出しながら、短層のシリカゲルに通した。適当な画分の溶媒を蒸発させ、油状物質を得、MeOH(15ml)で溶解し、1N HCl(10ml)および10%Na(10ml)で30分間処理した。溶媒を除去し、乾燥し、残渣をEtOAc(150ml)と1N HCl(100ml)の間に分配した。有機層を、10%Na(100ml)、飽和NaHCO(100ml)およびブライン(100ml)で順次洗浄し、次いで、NaSOで乾燥し、濃縮乾固し、4.75gの帯黄色固体を得、ヘプタン(6ml)でトリチュレートし、濾過し、ヘプタン(4ml)で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として第2群(4.5g)の所望の化合物を得た。
【0137】
方法B
ICl(6.3g)の水(75ml)中懸濁液に、ヒドロキシメチル−メチルイソオキサゾール(3.4g)、次いで、TFA(11.1ml)を加えた。混合物を、窒素下で65℃にて加熱した。2時間の加熱後、さらなるICl(1g)を加え、混合物を2.5時間加熱した。混合物を、室温に冷却し、次いで、水(150ml)で希釈し、10%Na(25ml)で処理した。混合物を、固体NaCO(15g)を滴下することで塩基性にし(pH=7.5−8.0)、次いで、ジクロロメタン(1x100ml+2x75ml)で抽出した。合した有機層を、水(50ml)およびブライン(50ml)で洗浄し、NaSOで乾燥し、濾過し、濃縮乾固し、帯白色固体として6.58gの標記化合物を得た(収率91%)。
H−NMR(δ,ppm,CDCl3):4.68(d,2H);2.47(s,3H);2.12(t,1H)
【0138】
中間体23
【化59】

{5−メチル−4−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−3−イソオキサゾリル}メタノール
中間体22(5.976g)、中間体19(7.97g)および活性炭素担体10%パラジウム(1.25g)のエタノール(150ml)中混合物を、30分間窒素を発泡させることにより脱酸素化し、次いで、10%NaHCO溶液(75ml)をそれに滴下した。混合物を窒素雰囲気下で5時間85℃に加熱し、次いで、室温に冷却し、一晩攪拌した。混合物をナイロン膜(0.45μm)に通して濾過し、濾過ケークをDCM/MeOH 2:1(3x75 ml)で洗浄した。1N NaOH(15ml)を加え、有機溶媒を減圧下で除去した。黒色固体が出現し、濾去した。濾過ケークを一部のDCM/MeOH 2:1混合液で洗浄した。水(60ml)を加え、有機溶媒を除去し続け、固体沈殿を含有する水性懸濁液を得た。固体を濾過し、次いで、1N NaOH(3x50ml)および水(4x50ml)で洗浄した。真空下で乾燥させるとすぐに、固体をヘプタン(3x50ml)で洗浄し、最終的に乾燥した。白色固体として8.828gの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,CDCl):7.37(m,2H);7.25(m,2H);7.06(m,4H);4.72(d,2H);2.46(s,3H);2.11(t,1H)
【0139】
実施例1
【化60】

3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
500mL丸底フラスコ中に、中間体8a(5.25g)を容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(135mL)で溶解した。混合物を、攪拌しながらアルゴン雰囲気下で0℃にて冷却し、30分後、クロロイソシアヌル酸(ALDRICH,1.26g)を加えた。溶液を窒素雰囲気下で50分間攪拌し、濾過し、容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(60mL)で洗浄した。濾液を蒸発乾固し、10%炭酸ナトリウムを加え(30mL)、混合物を攪拌した。固体を濾過し、HO(100mL)、10%NaCO(2x30mL)、HO(2x50mL)およびアセトニトリル(2x15mLおよび1x20mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、灰白色粉末として4.66gの標記化合物を得た。
H−NMR δ ppm,DMSO−d:11.50(bd,1H);7.40(d,2H);7.24(d,2H);7.14(d,2H);7.04(d,2H);5.58(bd,1H);4.23(s,2H);2.44(s,3H)。[ES MS] m/z 426(MH+)。
【0140】
実施例2
【化61】

3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
25mL丸底フラスコ中に、中間体8b(155mg)を容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(9mL)で溶解した。混合物を、アルゴン雰囲気下で0℃にて冷却し、トリクロロイソシアヌル酸(ALDRICH,40mg)を加えた。溶液を、窒素雰囲気下で0℃にて55分環攪拌し、濾過し、容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(13mL)で洗浄した。濾液を蒸発乾固し、10%炭酸ナトリウムを加え、混合物を攪拌した。固体を濾過し、10%NaCO(2x)およびアセトニトリル(6mL)で洗浄し、真空下で乾燥し、白色固体として130mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):11.50(bd,1H);7.64(t,1H);7.50(d,1H);7.34−7.32(m,2H);7.26(d,2H);7.08(d,2H);5.59(bd,1H);4.243(s,2H);2.45(s,3H)。
【0141】
実施例3
【化62】

3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
中間体13a(80mg)の容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(5mL)中溶液に、窒素下0℃でトリクロロイソシアヌル酸(ALDRICH,19.5mg)を加えた。溶液を窒素雰囲気下0℃で2時間攪拌し、濾過し、容量比2:1ジクロロメタン/メタノール(60mL)で洗浄した。濾液を蒸発乾固し、クロマトグラフィー(3、5および10%MeOH/CHCl)に付して精製し、白色固体として55.1mgの標記化合物を得た。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):11.30(bd,1H);7.40(d,2H);7.21(d,2H);7.14(d,2H);7.04(d,2H);5.89(bd,1H);4.58(s,2H);2.16(s,3H)。
【0142】
実施例4
【化63】

3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4(1H)−ピリジノン
0℃で中間体13b(214mg)の容量比2:1ジクロロメタン/メタノール混合液中溶液に、トリクロロイソシアヌル酸(53mg)を加えた。混合物を該温度で40分間攪拌した。粗生成物を濾過し、濃縮し、得られた混合物を、カラムクロマトグラフィー(ジクロロメタン/メタノール5%)に付して精製した。適当な画分中の溶媒を蒸発させ、固体を得、アセトニトリルでトリチュレートし、濾過し、次いで、真空下で乾燥し、白色固体として標記化合物を得た(85mg)。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):11.31(bs,1H);7.64(m,1H);7.50(d,1H);7.34(m,2H);7.21(d,2H);7.08(d,2H);5.89(m,1H);4.58(m,2H);2.16(s,3H)。[ES MS] m/z 410(MH)。
【0143】
実施例5

5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム
アルゴン雰囲気下、中間体14(0.204g)およびヒドロキシルアミン塩酸塩(0.167g)をエタノール(3.37mL)中で合し、次いで、ピリジン(0.167mL)を加え、1時間加熱還流した(75−80℃)。反応混合物を真空下で濃縮し、ベージュ色粉末を得、水でトリチュレートし、濾過した。得られた固体を水で洗浄し、次いで、真空下で乾燥し、白色粉末として0.166gの標記化合物を得た。
H NMR(δ,ppm,CDOD):7.66(s,1H),7.31−7.25(m,4H),7.15(d,2H),7.10(d,2H),2.57(s,3H)。[ES MS] m/z 439(MH)。
【0144】
実施例6
【化64】

5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド−O−メチルオキシム(立体化学未知)
アルゴン雰囲気下、中間体14(0.100g)およびメトキシルアミン塩酸塩(0.079g)をエタノール(1.65mL)中で合し、次いで、ピリジン(0.079mL)を加え、75℃で2時間加熱した。反応混合物を真空下で濃縮し、シロップを得、メタノールで溶解した。該溶液に、ジクロロメタン/ヘキサンの2:1混合液を加えた。粗生成物を真空下で濃縮し、黄色固体を得、濾過し、水で洗浄し、次いで、真空下で乾燥し、白色粉末として0.088gの標記化合物を得た。
H NMR(δ,ppm,CDOD):7.67(s,1H),7.31−7.24(m,4H),7.15−7.07(m,4H),4.02(s,3H),2.60(s,3H)。[ES MS] m/z 453(MH
【0145】
実施例7
【化65】

3−クロロ−6−メチル−4−オキソ−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム(立体化学未知)
不活性雰囲気下、中間体15をEtOH(2.8mL)で溶解した。次いで、ヒドロキシルアミン塩酸塩(139mg)およびピリジン(0.139mL)を加え、混合物を約2時間加熱還流した。混合物を冷却し、濃縮乾固した。得られた粗生成物を水で希釈し、水で数回洗浄した。次いで、得られた固体をアセトニトリルで2時間トリチュレートし、次いで、濾過し、アセトニトリルで洗浄し、真空乾燥し、灰白色固体として標記化合物を得た(50mg)。
H−NMR(δ,ppm,DMSO−d):12.35(s,1H);11.52(s,1H);8.32(s,1H);7.40(d,2H);7.20(d,2H);7.15(d,2H);7.05(d,2H);2.17(s,3H)。[ES MS] m/z 439(MH)。
【0146】
実施例8
【化66】

3−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン
アルゴン雰囲気下0℃で、中間体16(0.113g)のTHF(1.50mL)中溶液に、1.5Mの水素化ジイソブチルアルミニウムのヘキサン中溶液(DIBAH,0.89mL)を徐々に加えた。反応混合物を室温に加温し、一晩攪拌した。22時間後、混合物を水でクエンチし、酢酸エチル(3x20mL)で抽出した。合した有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥し、減圧下で濃縮し、褐色油状粗生成物を得、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出液 ジクロロメタン/メタノール、0−5%)に付して精製した。0.032gの標記生成物および部分的に水素化された3−ヒドロキシ−1−プロペニル誘導体の混合物を得た。反応を完了するために、N雰囲気下、該混合物の酢酸エチル(2.5mL)中溶液に活性炭素担体10重量%パラジウム(0.008g)を加え、溶液を1.38x10Pa(20psi)の水素ガスで21時間反応させた。酢酸エチル(2x5mL)およびメタノール(1x5mL)で順次洗浄しながら触媒を濾去し、溶媒を真空下で蒸発乾固し、黒色油を得、シリカゲル上のカラムクロマトグラフィー(溶出液 メタノール/ジクロロメタン0−5%およびメタノール/ジエチルエーテル0−5%)に付して精製した。黄色固体として0.013gの純標記生成物を得た。
H NMR(δ,ppm,DMSO):7.40(d,2H),7.17(d,2H),7.14(d,2H),7.05(d,2H),3.26−3.24(m,2H),2.38(s,5H),1.63−1.53(m,2H)。[ES MS] m/z 454(MH)。
【0147】
生物学的アッセイ
本発明の化合物を、所定の薬理効果を有する必要がある化合物の濃度を測定するために複数の生物学的アッセイの一つで試験してもよい。
【0148】
プラスモジウム・ファルシパルムに対するインビトロでの抗マラリア活性
IC50アッセイ/[H]−ヒポキサンチンアッセイ
I.材料
寄生虫
プラスモジウム・ファルシパルム系統.
【0149】
培地
培地は、25mM HEPES、重炭酸ナトリウムおよびグルタミン(GIBCO(商標) カタログ番号:52400)を有するRPMI 1640を含み、10%の貯蔵ヒト血清AB(Irvine Scientific,カタログ番号:5009)およびHTサプリメント(0.15mMヒポキサンチンおよび24μMチミジン)、(GIBCO(商標) カタログ番号:41065)が追加された。ヒト血清を、56℃で30分失活し、アリコートし、該培地中で使用するまで−20℃で冷凍保存した。
【0150】
培地(「完全培地」)は通常、使用直前に新しく調製され、37℃に予め加温された。
【0151】
赤血球
赤血球O+ストック懸濁液を、スペイン赤十字により提供される不十分な献血(サンプリング後25日未満)からもたらされる全血バックから調製した.該「全血」をアリコートし、4℃で保存した。
【0152】
アッセイにおける赤血球を調製するために、全血を遠心分離し、血清不含RPMIで3回洗浄した。赤血球を含有する上清を除去した。洗浄された赤血球を、完全培地中の50%懸濁液として保持した。調製された赤血球を4℃で保存し、調製の4日後までいつでもアッセイに用いた。
【0153】
II.化合物.
化合物調製
試験化合物を、アッセイ当日に100%DMSO中で2mg/mlにて溶解した。必要に応じて、微温(混合物を37℃未満の温度で加熱した)および超音波処理(超音波処理浴)で完全に溶解を達成した。
【0154】
試験化合物を寄生虫に加える前に、化合物溶液におけるDMSOの割合を、完全培地について上記されるように同様に調製される培地で溶液をさらに希釈することにより低下させたが、ヒポキサンチンを含有しなかった。寄生虫の増殖に対し検出可能な望ましくない効果をもたらすことがないように、アッセイプレートにおけるDMSOの最終濃度は、0.2%を超えることが許されなかった。IC50測定について、10シリアルの2倍希釈液を、一定量のDMSOの存在下において完全培地中で調製した。溶液をアッセイ培地中で希釈すると100%DMSO中ストック溶液の不溶性または沈殿のいくつかの明らかな兆候が記録された。
【0155】
III.プラスモジウム・ファルシパルム培養(寄生虫)
プラスモジウム・ファルシパルム系統を、TragerおよびJensen(1)ならびにTraeger(2)によって刊行された出典の方法を用いて連続培養にて5%のヘマトクリットの完全培地中に維持した。
【0156】
寄生虫血を、光学顕微鏡法で寄生された赤血球の割合をカウントすることにより計算した。薄層塗抹標本を、各培養フラスコから毎日作製し、メタノールで固定し、pH7.2緩衝水中にて10%Giemsa(Merck,カタログ番号:1.09204)で10分間染色した。スライドガラスを観察し、100倍油浸対物レンズを装備した光学顕微鏡(Nikon,Eclipse E200)でカウントした。
【0157】
培養液を5%のヘマトクリットで維持し、培地を毎日交換し、寄生虫血が約5%に到達した場合には希釈した。寄生虫集団は非同期性であり、安定な割合(約70%)の早期栄養体(輪状体)から構成され、寄生虫の初期数を1日に3〜3.5倍にする一定の増殖速度を示した。
【0158】
低酸素雰囲気下(5%CO、5%O、95%N)、37℃でインキュベートされた培養フラスコ(カントネック,Corning)中で増殖を達成した。
【0159】
IV.IC50アッセイ
H]ヒポキサンチン取り込みアッセイは、出典Desjardinsら(3)の方法を用いて実施した。該アッセイは96ウェルフラットボトムマイクロプレート中で実施した。
【0160】
1.試験化合物の連続希釈液(50μlの5×溶液/ウェル)を二つ組でセットした。本発明の化合物を該アッセイにて試験した。クロロキンおよびアトバクオンを各アッセイのための対照化合物として用いた。
【0161】
2.接種材料は、完全培地について前記したものと同様に調製したがヒポキサンチン不含の培養培地中の2.5%のヘマトクリットおよび0.5%の寄生虫血の寄生された赤血球(PRBC)の懸濁液として調製した。
【0162】
3.[H]−ヒポキサンチン(Amersham Biosciences,カタログ番号:TRK74)を1μCi/ml(0.25μCi/ウェルに相当)の濃度で接種材料懸濁液に即座に加えた。得られた懸濁液の200μlを各ウェル(下記の対照ウェルH12以外)に分配し、2%のヘマトクリットおよび0.5%の寄生虫血の1ウェルあたり250μlの最終容量をもたらした。
【0163】
4.各プレート中、2つのカラムを対照ウェル用として確保した:
【0164】
カラム11:正対照ウェル:PRBCおよび0.2%DMSO−(i)寄生虫増殖におけるDMSO溶媒(0.2%の最終濃度)の効果の測定および(ii)試験化合物で処理した培養液との比較。
【0165】
カラム12(ウェルA12−H12を含む):
A12−D12−バックグラウンド値ウェル:非感染RBC−寄生虫なしRBCから読み取るバックグラウンドを得るためのブランク対照。
【0166】
E12−G12−溶媒効果ウェル:DMSOなしPRBC−これらのウェルをカラム11ウェルと比較することによるPRBCにおけるDMSO溶媒の効果の測定。
【0167】
H12−非−放射性ウェル:冷ヒポキサンチンを有するPRBC−(i)薄層塗抹標本を作製し、顕微鏡法によりインキュベーション後の寄生虫血値を測定すること、および(ii)アッセイの間、寄生虫が適切に増殖していることを確認すること。([H]−ヒポキサンチンの代わりに非−トリチウム化ヒポキサンチンを用いることを除き、200μlの接種材料懸濁液を上記のとおり調製し(項目2および3)、次いで、該ウェルに加え、最終容量250μlとした)。
【0168】
5.低酸素雰囲気下、プレートを37℃で48時間インキュベートした。アッセイの終わりに、寄生虫の増殖の視覚対照のために、非−放射性試料(ウェルH12)を用いて薄層標本を作製した。プレートを一晩−80℃で凍結することにより取り込みを終了した。
【0169】
6.寄生虫の核酸中への[H]−ヒポキサンチンの取り込みレベルを測定することにより、増殖を定量化した。プレートを解凍した後、半自動セルハーベスター(Harvester96,TOMTEC)を用いて、ガラスファイバーフィルター(Wallac,カタログ番号:1450−421)上にウェルの中身を回収した。そのフィルターを乾燥し、Melt−onシンチレーター(Meltilex(登録商標)A,PerkinElmerカタログ番号:1450−441)で処理した。β−カウンター(Wallac Microbeta,PerkinElmer)を用いて放射能の取り込みを測定した。
【0170】
アッセイを少なくとも独立して3回繰り返した。
【0171】
V.データ分析
絶対値からバックグラウンド値を差し引くことにより、各ウェルの値を補正した。バックグラウンドは、非感染対照ウェルのcpm単位の平均値として各プレートについて算出した。
【0172】
所定の試験化合物の各濃度について、二つ組試料の平均(中間)値を算出した。
【0173】
次いで、各試験化合物の各濃度について、DMSOで希釈して同じウェル容量としたが試験化合物不含でPRBC含有の対照ウェルから得られた値と比較することにより、阻害の割合を算出した。ここで用いられた対照ウェルは上記のカラム11のウェルである(カラム11のウェル全ての平均値をとる)。
【0174】
ExcelおよびGraphPad Prism 3.0ソフトウェアを用いてデータ分析を行った。結果は、異なる日に実施した少なくとも3つの独立した実験の平均±標準偏差として示した。
【0175】
VI.参考文献
1.Trager W,Jensen JB.Human malaria parasites in continuous culture.Science.1976 Aug 20;193(4254):673−5.
2.Trager W.Cultivation of malaria parasites.Methods Cell Biol.1994;45:7−26.
3.Desjardins RE,Canfield CJ,Haynes JD,Chulay JD.Quantitative assessment of antimalarial activity in vitro by a semiautomated microdilution technique.Antimicrob Agents Chemother 1979 Dec;16(6):710−8.
【0176】
化合物溶解度測定
I.材料
化合物
95%以上のLC−MS純度を有する3mgの固体化合物が必要であった。この量を3つの異なるガラスバイアル(各1.8ml容量)へ分割し、各々1mgの化合物を加えた。
【0177】
溶媒およびバッファー
HPLCグレードの有機溶媒を用いた。超純水(Milli−Qグレード)を用いた。超純水を用いてバッファーを調製し、0.45μのナイロンフィルターを用いて濾過した。該アッセイにおいて用いられた各溶媒の組成は、下記のとおりである(パートIII)。
【0178】
II.手順
1.全溶解度測定のための手順:
a)デジタルピペット(Eppendorf Research pro)を用いて、100μlの溶媒を各バイアルに加えた。
b)その後、混合物を1分間ボルテックスし、5分間超音波分解した。
c)各バイアルの最終容量が1mlに達するまで工程a)およびb)を繰り返した。
d)顕微鏡を各バイアル中の試料を調べるために用いた。
e)各試料中の化合物の溶解度を、全試料が溶解した後の最終濃度より大きく、および最終溶媒添加前の濃度より小さく、算出した。
f)化合物の溶解度を3つのバイアル試料の平均値として算出した。
【0179】
2.平衡溶解度の測定(所望の溶媒中の化学安定性は問題ではないと想定する)
化合物が完全に溶解した、上記のとおりに調製した3つのバイアル試料の各々につき、以下の手順を続けて実施した:
a)少量(約0.1mg)のさらなる固体化合物をバイアルに加え、非溶解固体の形態の過剰な化合物を混合物中に維持した。
b)試料を24時間磁気攪拌した。所望により、さらなる固体化合物(0.1mg)を加え、その過剰量を維持しておき、次いで、試料を再度攪拌した。
c)次いで、試料を濾過し(Millipore Milex フィルターナイロン 0.2um)、3種のアリコートを作製し(3つのバイアルの各々から1つ)、LC−MSにより分析した。
d)pH−メーター(WTW pH330iおよびpH−電極 Sentix41)を用いて、各試料中の最終溶液のpHを測定した。
【0180】
3.定量分析のためのLC−MSアッセイ
濾過した全アリコートをLC−MSにより分析した。Waters ZMD−2000 MS分光計と接続したHP1100 HPLC装置と、Luna 5μC18(2) カラム 4.6×150mmを用いて、分析を行った。上記のように調製した最終的な試料の濃度を、研究中の化合物のDMSO(Aldrich カタログ番号:27685−5)ストック溶液中2mM溶液の連続希釈から得られた参照検量線の濃度から算出した。
【0181】
4.データ分析
MassLynx3.4ソフトウェアを用いて全LC−MSデータの分析を行った。Microsoft Excelを用いて統計およびグラフ分析を行った。試料からのピーク面積および検量線からのピーク面積を用いて、各化合物についての濃度(uM)および溶解度(ug/ml)を算出した
【0182】
III.これらのアッセイに用いられる溶媒の組成
A)FaSSIFは絶食状態の腸液を刺激する溶媒である(FaSSIF:Fasted tate imulated ntestinal luid)。その組成を下記表に示す。
【表1】

【0183】
FaSSIF調製手順.
1.1LのpH6.8バッファー溶液の調製
1.a. リン酸カリウム3.947gおよび塩化カリウム16.401gを約900mlの水で溶解した。
1.b. 磁気攪拌しながら、0.1N水酸化ナトリウム(Scharlau SO 0441010C)を徐々に加えることにより、pHを6.8に調整した。
1.c. 混合物を水で1000ml容量に希釈した。
【0184】
2.100mlのFaSSIFの調製
2.a. タウロコール酸Na(Aldrich T−4009)269mgを約80mlのpH6.8バッファーで溶解した。
2.b. レシチン(Sigma P−7318)114mgを該タウロコール酸Na/バッファー溶液で溶解した(これは窒素充填したグローブバッグを用いて実施した)。
2.c. 得られた混合物を、さらにpH6.8バッファーで100ml容量に希釈した。
2.d. 最終的な溶液を、窒素または代替的な不活性ガスの層で覆った。ボトルをパラフィルムで密封し、4℃で保存した。
【0185】
B)FeSSIFは、摂食状態の腸液を刺激する溶媒である(FeSSIF:Fetate imulated ntestinal luid)。その組成を下記表に示す。
【表2】

【0186】
参考文献:Galia,Nicolaides,Horter,Lobenberg,Reppas,and Dressman −Pharmaceutical Research,Vol.15,No.5,1998
【0187】
FeSSIF調製手順
1.1LのpH5バッファー溶液の調製
1.a. 塩化カリウム15.2gおよび氷酢酸8.25mlを約900mlの水で溶解した。
1.b. 磁気攪拌しながら、0.1NのNaOH(Scharlau SO 0441010C)を徐々に加えることにより、pH5に調整した。
1.c 混合物を水で1000ml容量に希釈した。
【0188】
2.100mlのFeSSIFの調製
2.a. タウロコール酸Na(Aldrich T−4009)806.5mgを80mlのpH5バッファーで溶解した。
2.b. レシチン(Sigma P−7318)288mgを該タウロコール酸Na/バッファー溶液で溶解した(窒素充填したグローブバッグを用いて実施した)。
2.c. 得られた溶液を、pH5バッファーで100ml容量に希釈した。
2.d. 最終的な溶液を、窒素または代替的な不活性ガスの層で覆った。ボトルをパラフィルムで密封し、4℃で保存した。
【0189】
C)pH7.4における溶解度をリン酸緩衝生理食塩水(PBS)(Fluka カタログ番号:79383)中で測定した。
【0190】
D)pH1.0における溶解度を0.1NのHCl溶液(Scharlau AL0744010C)中で測定した。
【0191】
E)pH4.5における溶解度をクエン酸ナトリウム0.5M溶液(Aldrich 25,127−5)中で測定した。
【0192】
インビトロ活性アッセイおよび溶解度測定アッセイの結果
インビトロアッセイ
上記の本発明の全実施例(実施例1〜8)は75ng/ml未満のIC50値を有することが見出された。
【0193】
溶解度測定アッセイ
本発明の全実施例(実施例1〜8)の溶解度は、2種の溶媒FaSSIFおよびFeSSIFそれぞれで試験された。データを下記表に示す。
【表3】

【0194】
表の要点
S=μg/ml単位の溶解度
S<1 *
1<S<5 **
5<S<10 ***
10<S<50 ****

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式I:
【化1】

[式中:
はハロ、CFまたはOCFを表し;
はハロを表し;
およびRの一方はメチルを表し、もう一方は−(CHOHまたは−HC=N−ORを表し;
はHまたはC1−3アルキルを表し;
nは4を表す]
で示される化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項2】
がBr、Cl、F、CFまたはOCFを表す、請求項1記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項3】
がBrまたはClを表す、請求項1または請求項2記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項4】
およびRの一方がメチルを表し、もう一方が−(CHOHを表し、nが1〜4を表す、前記の請求項のいずれかに記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項5】
がメチルを表し、Rが−(CHOHを表し、nが1〜4を表す、前記の請求項のいずれかに記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項6】
がHまたはメチルを表す、前記の請求項のいずれかに記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項7】
nが1または3を表す、前記の請求項のいずれかに記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項8】
化合物が、
3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノン;
3−クロロ−2−(ヒドロキシメチル)−6−メチル−5−(4−{[3−(トリフルオロメチル)フェニル]オキシ}フェニル)−4(1H)−ピリジノン;
5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム;
5−クロロ−6−メチル−4−オキソ−3−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド−O−メチルオキシム;
3−クロロ−6−メチル−4−オキソ−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−1,4−ジヒドロ−2−ピリジンカルバルデヒド オキシム;および
3−クロロ−6−(3−ヒドロキシプロピル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノンからなる群より選択される、請求項1記載の化合物、またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項9】
3−クロロ−6−(ヒドロキシメチル)−2−メチル−5−[4−({4−[(トリフルオロメチル)オキシ]フェニル}オキシ)フェニル]−4(1H)−ピリジノンである化合物。
【請求項10】
薬物療法に用いるための請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体。
【請求項11】
マラリアの治療のための医薬の製造における請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体の使用。
【請求項12】
マラリアが、プラスモジウム・ファルシパルム感染によって引き起こされる請求項11記載の使用。
【請求項13】
マラリアに罹患しているヒトまたは動物対象の治療方法であって、該ヒトまたは動物対象に有効量の請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体を投与することを含む、方法。
【請求項14】
マラリアが、プラスモジウム・ファルシパルム感染によって引き起こされる請求項13記載の使用。
【請求項15】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の化合物またはその医薬上許容される誘導体ならびに1種または複数の医薬上許容される担体および/または賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項16】
請求項1記載の式Iの化合物の調製方法であって、
(A)Rがハロ、CFまたはOCFを表す、式IIの化合物をハロゲン供与体と反応させるか;
【化2】

または
(B)Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表す、式XVの化合物をハロゲン供与体と反応させるか;
【化3】

または
(C)適当な塩基の存在下において、Rがハロ、CFまたはOCFを表し、Rがハロを表す、式XXの化合物を、RがHまたはC1−3アルキルを表す、NHOR.HClと反応させるか;
【化4】

または
(D)適当な塩基の存在下において、Rがハロ、CFまたはOCFを表し、Rがハロを表す、式XXIの化合物を、RがHまたはC1−3アルキルを表す、NHOR.HClと反応させるか;
【化5】

または
(E)適当な触媒の存在下において、Rがフルオロ、クロロ、CFまたはOCFを表し、Rがハロを表す、式XXIIの化合物を、水素化反応に付す;
【化6】

ことを含む、方法。
【請求項17】
がハロ、CFまたはOCFを表す、式IIの化合物の調製方法であって、適当な条件下で、式XXIVの化合物を還元的開環に付し、次いで、中間体エナミンを環化することによる、方法。
【化7】

【請求項18】
式XXIVの化合物が、式XXVの化合物をアシル化することによって調製される、請求項17記載の方法。
【化8】


【公表番号】特表2009−538873(P2009−538873A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512577(P2009−512577)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/EP2007/055188
【国際公開番号】WO2007/138048
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】