説明

新規8−(3−アミノ−ピペリジン−1−イル)−7−(ブタ−2−イニル)−キサンチン類、それらの製造方法及び医薬組成物としてのそれらの使用

本発明は、一般式(I)の置換キサンチン類に関する(式中R1及びR2は請求項1〜11に定義の意味を有する)。また、本発明は、その互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、混合物及びそれらの塩であって、価値ある薬理学的特性、具体的には酵素ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)の活性に阻害作用を有するものに関する。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、以下の一般式の新規置換キサンチン類、その互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物及びそれらの塩、具体的には無機酸又は有機酸との生理学的に許容され得るそれらの塩であって、価値ある薬理学的特性、具体的には酵素ジペプチジルペプチダーゼ-IV(DPP-IV)の活性に阻害効果を有するもの、それらの製造方法、上昇するDPP-IV活性に関するか又はDPP-IV活性を低下させることにより予防又は緩和することができる病気又は状態、具体的にはI型又はII型の糖尿病を予防又は治療するためのそれらの使用、一般式(I)の化合物又は生理学的に許容され得るそれらの塩を含む医薬組成物及びそれらの製造方法に関する;
【0002】
【化1】

【背景技術】
【0003】
関連するキサンチン類は、国際出願WO 02/068420、WO 04/018468、WO 04/018467、WO 04/041820及びWO 04/046148に記載されている。
【発明の開示】
【0004】
前記一般式(I)、その互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、それらのプロドラッグ又はそれらの塩において、
R1は、アリールメチル基又はアリールエチル基、
ヘテロアリールメチル基又はヘテロアリールエチル基、
アリールカルボニルメチル基、
ヘテロアリールカルボニルメチル基、又は
アリール-プロパ-2-エニル基又はヘテロアリール-プロパ-2-エニル基(プロペニル鎖は、1〜4のフッ素原子又はシアノ基、C1-3-アルキルオキシ-カルボニル基又はニトロ基により置換されていてもよい)を示し、
R2は、テトラゾリル基、ヒドロキシスルホニル基、シアノ基、ピペリジン-1-イルカルボニル基又はピロリジン-1-イルカルボニル基により置換されているC1-6-アルキル基(前記ピペリジニル基及びピロリジニル基における一又は二つのメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子により、C1-4-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基により、又はカルボニル基、スルフィニル基又はスルホニル基により互いに独立して置換されていてもよい)を示すか、又は
一般式Ra-O-CO、(Ra)2N-CO又は[(RaO)2PO-]-で表される基により置換されているC1-6-アルキル基を示し、
(Raは、それぞれ独立して水素原子、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、アリール-C1-3-アルキル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキル基、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル基、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、C3-10-シクロアルキル基又はC5-10-シクロアルケニル基を示すが、
Raに関して述べた全てのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全に、フッ素化されているか、又は塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選ばれる同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、また、
Raに関して述べたシクロアルキル基及びシクロアルケニル基における一又は二つのメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子により、C1-4-アルキル基により置換されていてもよいイミノ基により、又はカルボニル基、スルフィニル基又はスルホニル基により、互いに独立して置換されていてもよい)、
前記基の定義で述べたアリール基は、フェニル基又はナフチル基を意味し、それは互いに独立してRhにより一置換、二置換又は三置換されていてもよく、その置換基は同一でも異なっていてもよく、Rhは、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、トリフルオロメチル基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、アミノカルボニル基、C1-3-アルコキシ-カルボニル基、アミノスルホニル基、メチルスルホニル基、アセチルアミノ基、メチルスルホニルアミノ基、C1-3-アルキル基、シクロプロピル基、エテニル基、エチニル基、フェニル基、モルホリニル基、ヒドロキシ基、C1-3-アルキルオキシ基、ジフルオロメトキシ基又はトリフルオロメトキシ基を表すか、又は芳香族基の二つの隣接する炭素原子で二つのRhはC3-5-アルキレン鎖を形成し、アルキレン鎖において、一又は二つのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基により互いに独立して置換されていてもよく、さらに各水素原子は、フッ素原子により置換されていてもよく、
前記基の定義において述べたヘテロアリール基は、ピロリル基、フラニル基、チエニル基、ピリジル基、インドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、フェナントリジニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基、
又は一又は二つのメチン基が窒素原子により置換されているピロリル基、フラニル基、チエニル基、イミダゾリル基又はピリジル基、
又は1〜3のメチン基が、窒素原子により置換されているインドリル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチオフェニル基、フェナントリジニル基、キノリニル基又はイソキノリニル基、
又は1,2-ジヒドロ-2-オキソ-ピリジニル基、1,4-ジヒドロ-4-オキソ-ピリジニル基、2,3-ジヒドロ-3-オキソ-ピリダニジル基、1,2,3,6-テトラヒドロ-3,6-ジオキソ-ピリダジニル基、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-ピリミジニル基、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-ピリミジニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-ピリミジニル基、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-ピラジニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,3-ジオキソ-ピラジニル基、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-インドリル基、2,3-ジヒドロベンゾフラニル基、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-1H-ベンズイミダゾリル基、2,3-ジヒドロ-2-オキソ-ベンゾキサゾリル基、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-キノリニル基、1,4-ジヒドロ-4-オキソ-キノリニル基、1,2-ジヒドロ-1-オキソ-イソキノリニル基、1,4-ジヒドロ-4-オキソ-シンノリニル基、1,2-ジヒドロ-2-オキソ-キナゾリニル基、3,4-ジヒドロ-4-オキソ-キナゾリニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,4-ジオキソ-キナゾリニル基、1,2-ジヒドロ-2-オキソキノキサリニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-2,3-ジオキソ-キノキサリニル基、1,2-ジヒドロ-1-オキソ-フタラジニル基、1,2,3,4-テトラヒドロ-1,4-ジオキソ-フタラジニル基、クロマニル基、クマリニル基、2,3-ジヒドロ-ベンゾ[1,4]ジオキシニル基、イミダゾ[1,2-a]キノリニル基、ベンゾ[1,6]ナフチリジニル基、3H-キナゾリン-4-オニル基、1H-キノリン-2-オニル基又は3,4-ジヒドロ-3-オキソ-2H-ベンゾ[1,4]オキサジニル基を意味し、
前記ヘテロアリール基は、Rhにより一置換又は二置換されていてもよく(置換基は、同一でも異なっていてもよく、Rhは前記定義の通りである)、
前記定義で述べたシクロアルキル基及びシクロアルケニル基は、単環系及び多環系の両方を意味し、多環基は、アネレート(annelated)、スピロ結合又は架橋構造をしていてもよく、例えば、用語「多環基」は、デカリン、オクタヒドロインデン、ノルボルナン、スピロ[4.4]ノナン、スピロ[4.5]デカン、ビシクロ[2.1.1]ヘキサン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、ビシクロ[3.2.1]オクタン、ビシクロ[3.2.2]ノナン、ビシクロ[3.3.1]ノナン、ビシクロ[3.3.2]デカン又はアダマンタン又はそれらの一不飽和誘導体を示し、
特に規定しない限り、前記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい。
【0005】
前記基の定義で述べたカルボキシ基は、インビボでカルボキシ基に変換し得る基により、又は生理学的条件下で負に帯電した基により置換されていてもよく、
さらに、前記基の定義において述べたアミノ基及びイミノ基は、インビボにおいて切断することができる基により置換されていてもよい。そのような基は、例えばWO 98/46576に、またN.M.NielsenらによりInternational Journal of Pharmaceutics 39、75〜85頁(1987年)に記載されている。
【0006】
インビボでカルボキシ基に変換し得る基は、例えば、ヒドロキシメチル基、アルコールでエステル化されているカルボキシ基を意味し、そのアルコール成分は、好ましくはC1-6-アルカノール基、フェニル-C1-3-アルカノール基、C3-9-シクロアルカノールを意味するが、一又は二つのC1-3-アルキル基でさらに置換されていてもよいC5-8-シクロアルカノール、3位又は4位のメチレン基が酸素原子により又はC1-3-アルキル基、フェニル-C1-3-アルキル基、フェニル-C1-3-アルコキシカルボニル基又はC2-6-アルカノイル基により置換されていてもよいイミノ基により置換され、シクロアルカノール成分が、一又は二つのC1-3-アルキル基によりさらに置換されていてもよいC5-8-シクロアルカノール、C4-7-シクロアルケノール、C3-5-アルケノール、フェニル-C3-5-アルケノール、C3-5-アルキノール又はフェニル-C3-5-アルキノール(但し、酸素原子への結合は二重又は三重結合を有する炭素原子から始まらないことを条件とする)、C3-8-シクロアルキル-C1-3-アルカノール、一又は二つのC1-3-アルキル基によりビシクロアルキル成分においてさらに置換されていてもよい炭素原子数8〜10のビシクロアルカノール、1,3-ジヒドロ-3-オキソ-1-イソベンゾフラノール又は以下の一般式のアルコール
Rp-CO-O-(RqCRr)-OH、
(式中、Rpは、C1-8-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基、C1-8-アルキルオキシ基、C5-7-シクロアルキルオキシ基、フェニル基又はフェニル-C1-3-アルキル基を示し、
Rqは、水素原子、C1-3-アルキル基、C5-7-シクロアルキル基又はフェニル基を示し、
Rrは、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)であり、
生理学的条件下で負に帯電している基は、例えば、テトラゾール-5-イル基、フェニルカルボニルアミノカルボニル基、トリフルオロメチルカルボニルアミノカルボニル基、C1-6-アルキルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、ベンジルスルホニルアミノ基、トリフルオロメチルスルホニルアミノ基、C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル基、フェニルスルホニルアミノカルボニル基、ベンジルスルホニルアミノカルボニル基又はペルフルオロ-C1-6-アルキルスルホニルアミノカルボニル基を意味し、インビボにおいてイミノ基又はアミノ基から切断できる基は、例えば、ヒドロキシ基、アシル基、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子により、C1-3-アルキル基又はC1-3-アルコキシ基により所望により一置換又は二置換されていてもよいフェニルカルボニル基(置換基は同一でも異なっていてもよい)、ピリジノイル基又はC1-16-アルカノイル基、例えばホルミル基、アセチル基、プロピオニル基、ブタノイル基、ペンタノイル基又はヘキサノイル基、3,3,3-トリクロロプロピオニル基又はアリルオキシカルボニル基、C1-16-アルコキシカルボニル基又はC1-16-アルキルカルボニルオキシ基(式中、水素原子はフッ素原子又は塩素原子により全体的又は部分的に置換されていてもよい)、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、tert.ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基、ヘキソキシカルボニル基、オクチルカルボニル基、ノニルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、ウンデシルオキシカルボニル基、ドデシルオキシカルボニル基、ヘキサデシルオキシカルボニル基、メチルカルボニルオキシ基、エチルカルボニルオキシ基、2,2,2-トリクロロエチルカルボニルオキシ基、プロピルカルボニルオキシ基、イソプロピルカルボニルオキシ基、ブチルカルボニルオキシ基、tert.ブチルカルボニルオキシ基、ペンチルカルボニルオキシ基、ヘキシルカルボニルオキシ基、オクチルカルボニルオキシ基、ノニルカルボニルオキシ基、デシルカルボニルオキシ基、ウンデシルカルボニルオキシ基、ドデシルカルボニルオキシ基又はヘキサデシルカルボニルオキシ基、フェニル-C1-6-アルコキシカルボニル基、例えばベンジルオキシカルボニル基、フェニルエトキシカルボニル基又はフェニルプロポキシカルボニル基、3-アミノ-プロピオニル基(式中、アミノ基はC1-6-アルキル基又はC3-7-シクロアルキル基により一置換又は二置換されていてもよくその置換基は同一でも異なっていてもよい)、C1-3-アルキルスルホニル-C2-4-アルコキシカルボニル基、C1-3-アルコキシ-C2-4-アルコキシ-C2-4-アルコキシカルボニル、Rp-CO-O-(RqCRr)-O-CO-、C1-6-アルキル-CO-NH-(RsCRt)-O-CO基又はC1-6-アルキル-CO-O-(RsCRt)-(RsCRt)-O-CO基(式中Rp〜Rrは前記定義の通りであり、Rs及びRtは同一でも異なっていてもよく、水素原子又はC1-3-アルキル基を示す)を意味する。
【0007】
さらに、特に規定しない限り、前記定義に述べた炭素数が2より多い飽和アルキル成分及びアルコキシ成分としては、それらの分岐異性体、例えばイソプロピル基、tert.ブチル基、イソブチル基等が挙げられる。
R1は、例えば、2-シアノベンジル基、3-シアノベンジル基、2-フルオロベンジル基、3-フルオロベンジル基、3-メトキシベンジル基、4-ブロモ-シアノベンジル基、3-クロロ-2-シアノベンジル基、2-シアノ-4-フルオロベンジル基、2-シアノ-5-フルオロベンジル基、2-シアノ-6-フルオロベンジル基、4-シアノ-3-フルオロベンジル基、4-シアノ-3-ニトロベンジル基、3,5-ジメトキシベンジル基、2-シアノ-3-メトキシベンジル基、2-シアノ-4-メトキシベンジル基、2-シアノ-5-メトキシベンジル基、2,6-ジシアノベンジル基、3,4-ジシアノベンジル基、3,5-ジシアノベンジル基、5-シアノフラニルメチル基、オキサゾリルメチル基、イソキサゾリルメチル基、5-メトキシカルボニルチエニルメチル基、ピリジニルメチル基、3-シアノピリジン-2-イルメチル基、6-シアノピリジン-2-イルメチル基、6-フルオロピリジン-2-イルメチル基、ピリミジン-2-イル基、4-メチルピリミジン-2-イル基、4,6-ジメチルピリミジン-2-イル基、3-(2-シアノフェニル)-プロパ-2-エニル基、3-(2-ニトロフェニル)-プロパ-2-エニル基、3-(ピリジン-2-イル)-プロパ-2-エニル基、3-(ペンタフルオロフェニル)-プロパ-2-エニル基、フェニルカルボニルメチル基、3-メトキシフェニルカルボニルメチル基、1-メチル-ベンゾトリアゾール-5-イルメチル基、ナフト-1-イルメチル基、4-シアノナフト-1-イルメチル基、4-フルオロナフト-1-イルメチル基、4-ブロモナフト-1-イルメチル基、4-メトキシナフト-1-イルメチル基、キノリン-1-イルメチル基、4-シアノキノリン-1-イルメチル基、8-シアノキノリン-7-イルメチル基、イソキノリン-1-イルメチル基、4-シアノイソキノリン-1-イルメチル基、3-メチルイソキノリン-1-イルメチル基、キナゾリン-2-イルメチル基、4-メチルキナゾリン-2-イルメチル基、4-シアノキナゾリン-2-イルメチル基、4-アミノキナゾリン-2-イルメチル基、4-モルホリン-4-イルキナゾリン-2-イルメチル基、[1,5]ナフチリジン-2-イルメチル基、[1,5]ナフチリジン-3-イルメチル基、フェナントリジン-6-イルメチル基、キノキサリン-6-イルメチル基又は2,3-ジメチル-キノキサリン-6-イルメチル基を示す。
【0008】
R2は、例えば、シアノメチル基、シアノエチル基、シアノプロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基、メトキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルエチル基、メトキシカルボニルプロピル基、エトキシカルボニルメチル基、エトキシカルボニルエチル基、エトキシカルボニルプロピル基、イソプロポキシカルボニルメチル基、イソプロポキシカルボニルエチル基、イソプロポキシカルボニルプロピル基、プロポキシカルボニルメチル基、プロポキシカルボニルエチル基、プロポキシカルボニルプロピル基、アリルオキシカルボニルメチル基、プロパギロキシカルボニルメチル基、ブトキシカルボニルメチル基、tert-ブトキシカルボニルメチル基、ベンジルオキシカルボニルメチル基又はp-メトキシベンジルカルボニルメチル基を示してもよい。
【0009】
一般式(I)の好ましい化合物は、
R1が前記定義の通りであり、
R2が、シアノ基又は一般式Ra-O-CO-の基(式中、Raは前記定義の通りである)により置換されているC1-4-アルキル基を示すもの、
そのエナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物及びそれらの塩である。
【0010】
特に好ましいものは、
R1が、フェニルメチル基、フェニルカルボニルメチル基、フェニル-プロパ-2-エニル基、ピリジニルメチル基、ピリミジニルメチル基、ナフチルメチル基、キノリニルメチル基、1H-キノリン-2-オニルメチル基、イミダゾ[1,2-a]キノリニルメチル基、イソキノリニルメチル基、キナゾリニルメチル基、3H-キナゾリン-4-オニルメチル基、キノキサリニルメチル基、フェナントリジニルメチル基、ナフチリジニルメチル基、ベンゾ[1,6]ナフチリジニルメチル基、イミダゾピリジニルメチル基又はベンゾトリアゾリルメチル基を示し、これらの基は、一又は二つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子により又は一又は二つのシアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルオキシ基、フェニル基又はモルホリニル基により置換されていてもよく、それらの置換基は同一でも異なっていてもよく、
R2が、シアノ-C1-3-アルキル基、ヒドロキシカルボニルメチル基、C1-6-アルコキシカルボニルメチル基、C3-6-アルケニルオキシカルボニルメチル基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシカルボニルメチル基又はC3-6-シクロアルキルオキシカルボニルメチル基を示し、ここで、該アルキル基、アルケニル基及びシクロアルキル基は、一又は二つのC1-3-アルキル又はC1-3-アルキルオキシ基によりそれぞれ置換されていてもよく、及び/又は部分的又は完全にフッ素化されていてもよい、
一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、それらの混合物又はそれらの塩である。
【0011】
最も好ましいものは、
R1が、一又は二つのシアノ基又はメチル基により置換されていてもよいピリジニルメチル基、ピリミジニルメチル基、イソキノリニルメチル基、キナゾリニルメチル基、キノキサリニルメチル基又はナフチルメチル基を示し、
R2が、シアノメチル基、ヒドロキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルメチル基又はエトキシカルボニルメチル基を示す、
一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、互変異性体又はそれらの塩である。
【0012】
好ましいサブグループは、
R1が、メチル基により置換されていてもよいキナゾリニルメチル基を示し、
R2が、C1-4-アルコキシ-カルボニル基により置換されているメチル基を示す、
一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、互変異性体及びそれらの塩を含む。
【0013】
以下の化合物を好ましい例として挙げる:
(a) 1-(ナフチル-1-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(b) 1-(ナフチル-1-イルメチル)-3-(シアノメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(c) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(d) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(エトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(e) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(ヒドロキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
及びその互変異性体及びそれらの塩。
【0014】
本発明により、一般式(I)の化合物は、それ自体公知の方法、例えば以下の方法a)又はb)により得ることができる:
a) 以下の一般式(II)の化合物を、3-アミノピペリジン、3-N-保護アミノピペリジン、それらの誘導体又は塩と反応させる方法。
【0015】
【化2】

【0016】
(式中、R1及びR2は前記定義の通りであり、
Z1は、脱離基、例えば、ハロゲン原子、置換ヒドロキシ基、メルカプト基、スルフィニル基、スルホニル基又はスルホニルオキシ基、例えば、塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニルオキシ基又はメタンスルホニルオキシ基を示す)。
【0017】
3-アミノ基の保護基は、例えば、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、エトキシカルボニル基、tert-ブトキシカルボニル基、アリルオキシカルボニル基、ベンジルオキシ-カルボニル基、p-メトキシベンジルカルボニル基、ベンジル基、メトキシベンジル基、2,4-ジメトキシベンジル基、フタリル基又はテトラクロロフタリル基であってもよい。しかし、また、アミノ基は、複素芳香環基の一部、例えば、2,5-ジメチルピロールであってもよく、後の段階でそれらから遊離されてもよい。
【0018】
また、3-アミノ官能基は、カルボキシ基又はそれらの誘導体の形態においてマスクされてもよく、それらは、所謂クルチウス、シュミット又はホフマン分解(特に、J. March, Advanced Organic Reactions, Mechanisms, and Structure, 第4版、John Wiley& Sons、チチェスター/ニューヨーク/ブリスベン/トロント/シンガポール、1992年及びここに記載した文献を参照されたい)によりアミノ官能基に変換されてもよい。
【0019】
反応は、溶媒、例えば、イソプロパノール、ブタノール、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル又はスルホラン中、所望により無機又は三級有機塩基、例えば、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム又は水酸化カリウム、三級有機塩基、例えば、トリエチルアミンの存在下、又はN-エチル-ジイソプロピルアミン(Huning塩基)の存在下で行うのが都合が良いが、また、それら有機塩基を、同時に、溶媒として、所望により反応促進剤、例えばアルカリ金属ハロゲン化物又はパラジウム又は銅-塩基触媒の存在下、-20〜180℃、好ましくは-10〜120℃で使用してもよい。しかし、反応を、溶媒不存在下、過剰のピペリジン誘導体中、従来の暖房装置又はマイクロ波オーブン中で行ってもよい。
【0020】
b) 以下の一般式(III)の化合物を脱保護する方法。
【0021】
【化3】

【0022】
(式中、R1及びR2は、前記定義の通りであり、NPGは保護又はマスクされたアミノ官能基を示す)。アミノ官能基の考えられる保護基又はマスキングは、既にa)に記載した。好ましくは、アミノ基は、tert.-ブトキシカルボニル基又はフタリル基により保護されている。
【0023】
tert.-ブチルオキシカルボニル基は、酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸で処理するか、又はブロモトリメチルシラン又はヨードトリメチルシランで処理することにより、所望により、溶媒、例えば、塩化メチレン、酢酸エチル、ジオキサン、メタノール、イソプロパノール又はジエチルエーテルを使用して、0〜80℃で好ましく切断される。フタリル基は、ヒドラジン又は一級アミン、例えばメチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン又はn-ブチルアミンの存在下、溶媒、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、トルエン、トルエン/水又はジオキサン中、20〜120℃で好ましく切断される。
【0024】
前記反応において、例えばアミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基を示すいずれかの反応基は、反応後に再び切断される従来の保護基により、反応中保護されていてもよい。
例えば、アミノ基、アルキルアミノ基又はイミノ基に関する保護基は、ホルミル基、アセチル基、トリフルオロアセチル基、エトキシカルボニル基、tert.ブトキシカルボニル基、ベンジルオキシカルボニル基、ベンジル基、メトキシベンジル基又は2,4-ジメトキシベンジル基、及びさらにアミノ基、フタリル基であってもよい。
【0025】
使用されるいずれかの保護基は、例えば、水性溶媒、例えば水、イソプロパノール/水、酢酸/水、テトラヒドロフラン/水又はジオキサン/水中、酸、例えばトリフルオロ酢酸、塩酸又は硫酸の存在下、アルカリ金属塩基、例えば、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムの存在下、又は非プロトン性、例えばヨードトリメチルシランの存在下、0〜120℃、好ましくは10〜100℃での加水分解により、所望により次に切断される。
しかし、ベンジル、メトキシベンジル又はベンジルオキシカルボニル基は、例えば、加水分解的に、例えば、触媒の存在下での水素、例えばパラジウム/木炭の存在下、好適な溶媒、例えばメタノール、エタノール、酢酸エチル又は氷酢酸中、所望により、酸、例えば塩酸の添加で、0〜100℃で、好ましくは20〜60℃の周囲温度で、1〜7バール、好ましくは3〜5バールの水素圧で切断される。しかし、2,4-ジメトキシベンジル基は、トリフルオロ酢酸中、アニソールの存在下、好ましく切断される。
【0026】
tert.ブチル又はtert.ブチルオキシカルボニル基は、酸、例えばトリフルオロ酢酸又は塩酸での処理により、又はヨードトリメチルシランでの処理により、所望により溶媒、例えば塩化メチレン、ジオキサン、メタノール又はジエチルエーテルを使用して好ましく切断される。
トリフルオロアセチル基は、好ましくは、酸、例えば塩酸で、所望により、溶媒、例えば酢酸の存在下、50〜120℃での処理により、又は、水酸化ナトリウム溶液で、所望により、溶媒、例えばテトラヒドロフランの存在下、0〜50℃での処理により切断される。
【0027】
フタリル基は、ヒドラジン又は一級アミン、例えば、メチルアミン、エチルアミン又はn-ブチルアミンの存在下、溶媒、例えばメタノール、エタノール、エタノールアミン、イソプロパノール、トルエン、トルエン/水又はジオキサン中、20〜120℃で好ましく切断される。
2,5-ジメチルピロールからのアミノ官能基の遊離は、例えば、塩酸ヒドロキシルアミンで、塩基、例えばトリエチルアミンの存在下、好適な溶媒、例えば、アルコール、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール又はイソプロパノール又は水又はそれらの混合物中、0〜150℃、好ましくは50〜110℃の周囲温度で行われる。
【0028】
さらに、得られる一般式(I)の化合物は、前記のように、それらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割されてもよい。従って、例えば、シス/トランス混合物は、それらのシス及びトランス異性体に分割されてもよく、少なくとも一つの光学活性炭素原子を有する化合物は、それらのエナンチオマーに分離されてもよい。
従って、例えば、得られるシス/トランス混合物は、それらのシス及びトランス異性体にクロマトグラフィーにより分離されてもよく、ラセミ体として生じ、得られる一般式(I)の化合物は、それ自体公知の方法(Allinger N.L.及びEliel E.L.の「Topics in Stereochemistry」、第6巻、Wiley Interscience、1971年を参照されたい)により、それらの光学エナンチマーに分離されてもよく、少なくとも2の不斉炭素原子を有する一般式(I)の化合物は、それ自体公知の方法、例えばクロマトグラフィー及び/又は分別結晶を使用して物理的-化学的差異に基づきそれらのジアステレオマーに分割されてもよく、それらの化合物がラセミ形態において得られるならば、それらは前記のように、エナンチマーにその後分割されてもよい。
【0029】
キラル相におけるカラム分離、又は光学活性溶媒からの再結晶、又は光学活性物質(その光学活性物質は、塩又は誘導体、例えばエステル又はアミドを、ラセミ化合物、具体的にはそれらの酸及び活性誘導体又はアルコールと形成する)との反応及びこのようにして得られた塩又は誘導体のジアステレオマー混合物を溶解性の差異に基づいて分離することにより、エナンチオマーは好ましく分離され、一方、遊離鏡像体は、好適な薬剤の作用により純粋なジアステレオマー塩又は誘導体から遊離される。一般的な光学活性酸は、例えば、酒石酸又はジベンゾイル酒石酸、ジ-o-p-トルオイル酒石酸、リンゴ酸、マンデル酸、カンファスルホン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸又はキナ酸のD-型及びL-型である。光学活性アルコールは、例えば、(+)又は(-)-メントールであってもよく、アミドの光学活性アシル基は、(+)又は(-)-メンチルオキシカルボニルであってもよい。
【0030】
さらに、得られる一般式(I)の化合物は、それらの塩に、具体的には医薬用に無機酸又は有機酸の生理学的に許容され得る塩に変換されてもよい。この目的に使用してもよい酸としては、例えば塩酸、臭化水素酸、硫酸、メタンスルホン酸、リン酸、フマル酸、コハク酸、乳酸、クエン酸、酒石酸又はマレイン酸が挙げられる。
さらに、一般式(I)の新規化合物は、それらがカルボキシ基を含む場合、所望により、無機塩基又は有機塩基とのそれらの塩に、具体的には医薬用に、生理学的に許容され得るそれらの塩に変換されてもよい。このための好適な塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、シクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン及びトリエタノールアミンが挙げられる。
【0031】
出発化合物として使用される一般式(II)及び(III)の化合物は、文献から公知であるか、又は文献から公知の方法により製造してもよい(実施例I〜VIを参照されたい)。
既に上記したように、本発明による一般式(I)の化合物及び生理学的に許容され得るそれらの塩は、価値ある薬理学的特性、具体的には酵素DPP-IVの阻害作用を有する。
新規化合物の生理学的特性を以下のように検討した:
物質及びそれらの対応する塩のDPP-IV活性を阻害する活性は、ヒト大腸癌細胞系Caco-2の抽出物をDPP IVの源として使用する実験において示すことができる。DPP-IV発現を誘導するための細胞の分化は、Proc. Natl. Acad. Sci.90巻、5757〜5761頁(1993年)のReiherらによる「Increased expression of intestinal cell line Caco-2」という題名の文献の記載に従って行った。細胞抽出物は、緩衝液(10mM トリスHCL、0.15M NaCl、0.04t.i.u、アプロチニン、0.5%ノニデット-P40、pH 8.0)に溶解された細胞から、(細胞壊死組織片を除去するために)35,000gで30分間、4℃での遠心分離により得た。
【0032】
DPP-IV分析を以下のように行った:
基質溶液50μl(AFC;AFCはアミド-4-トリフルオロメチルクマリンである)、最終濃度100μMを、ブラックマイクロタイタープレートに置いた。分析バッファー20μl(最終濃度50mM トリスHCl pH 7.8、50mM NaCl、1% DMSO)をピペットで入れた。可溶化Caco-2タンパク(穴当たりタンパク最終濃度0.14μg)30μlの添加により反応を始めた。研究中の試験物質を、一般的に加え、20μlに予希釈し、分析バッファーのその容量をその後徐々に減らした。反応を周囲温度で行い、インキュベーション時間は60分であった。その後、蛍光を励起波長405nm及び放射波長535nmのビクター1420 Multilabel Counterで測定した。ダミー値(0%活性に相当する)をCaco-2タンパクのない混合物(分析バッファーにより置き換えた容量)での混合物において得て、コントロール値(100%活性に相当する)を、いかなる添加物質のない混合物において得た。IC50値として表される問題の試験基質の力価を、各場合において11の測定ポイントからなる用量/活性曲線から計算した。以下の結果が得られた:
【0033】

【0034】
本発明により製造した化合物は、例えば、実施例1(2)の化合物10mg/kgの経口投与後にラットに毒性の副作用が検出されない場合、十分許容される。
DPP-IV活性を阻害するそれらの性能から見て、本発明による一般式(I)の化合物及び対応する医薬的に許容され得るそれらの塩は、DPP-IV活性の阻害により影響され得るいずれかの状態又は疾患に好適に影響する。従って、本発明による化合物は、I型及びII型糖尿病、前糖尿病、耐糖能低下又は空腹時血糖値の変化、糖尿病合併症(例えば、網膜症、腎障害又は神経障害)、代謝性アシドーシス又はケトーシス、反応性低血糖、インシュリン耐性、メタボリックシンドローム、様々な起源の異脂肪血症、関節炎、アテローム性動脈硬化症及び関連疾患、肥満、同種移植又はカルシトニンにより生じる骨粗鬆症のような疾患又は状態の予防又は治療に適すると予期される。さらに、これらの物質は、B細胞の退化、例えば膵臓B細胞のアポトーシス又はネクローシスの予防に好適である。また、その物質は、膵臓細胞の機能を改善又は回復し、膵臓B細胞のサイズや数をさらに増加するのに適している。さらに、グルカゴン様ペプチド、例えば、GLP-1及びGLP-2及びDPP-IV阻害へのそれらの関与の役割に基づくと、本発明による化合物は、特に、鎮静又は精神安定作用を達成し、手術後の異化状態又はホルモンストレス応答に好ましい効果を示し、又は心筋梗塞後の死亡率及び罹患率を可能な限り低下させるのに適すると予期される。さらに、それらは、前記作用に関連し、GLP-1又はGLP-2により介在されるいずれかの状態の治療に適している。また、本発明による化合物は、利尿剤又は降圧剤として使用されてもよく、急性腎不全の予防及び治療に適している。また本発明による化合物は、気道の炎症性愁訴を治療するために使用されてもよい。また、それらは、慢性炎症性腸疾患、例えば過敏性腸症候群(IBS)、クローン病又は潰瘍性大腸炎及び膵炎の予防及び治療に適している。また、例えば、大腸炎及び腸炎が生じるかも知れない消化管の全ての障害又は損傷にそれらを使用できることが予期される。さらに、DPP-IVインヒビター及び本発明による化合物は、ヒト又は哺乳類の不妊症の治療又は受胎能の改善のために、特にその不妊症がインシュリン抵抗性又は多嚢胞性卵巣症候群に関連する場合に、使用可能であることが予期される。一方、これらの物質は、精子の運動性への影響に好適であり、従って、雄性の避妊物質としての使用に適している。さらに、その物質は、成長の制限に関連する成長ホルモン欠乏症の治療に好適であり、成長ホルモンを使用してもよい全ての適応症に合理的に使用されてもよい。本発明による化合物は、DPP-IVへのそれらの阻害作用に基づき、様々な自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、多発性硬化症、甲状腺炎及びバセドウ氏病等の治療に適している。また、それらは、ウイルス性疾患の治療に、また、例えば、血液産生の刺激に関して、HIV感染症に、良性前立腺肥大過形成、歯肉炎において、並びに、ニューロン欠損症及び神経変性疾患、例えばアルツハイマー疾患の治療のために使用してもよい。また、記載の化合物は、腫瘍の治療、特に腫瘍の浸潤及び転移の緩和に使用してもよく;ここで、例として、T-細胞リンパ腫、急性リンパ芽球性白血病、細胞ベースの甲状腺癌、基底細胞癌又は乳癌の治療でのそれらの使用が挙げられる。他の適応症としては、卒中、様々な原因の虚血、パーキンソン病及び片頭痛が挙げられる。さらに、さらなる適応症として、濾胞性及び上皮性過角化症、ケラチノサイト増殖の増加、乾癬、脳脊髄炎、糸球体腎炎、リポジストロフィー、並びに心身症、鬱病及び全ての種類の精神神経症が挙げられる。
【0035】
また、本発明による化合物を、他の活性物質と合わせて使用してもよい。そのようなコンビネーションに好適な治療剤としては、例えば、抗糖尿病薬、例えばメトホルミン、スルホニル尿素(例えば、グリベンクラミド、トルブタミド、グリメピリド)、ナテグリニド、レパグリニド、チアゾリジンジオン(例えば、ロシグリタゾン、ピオグリタゾン)、PPAR-ガンマアゴニスト(例えば、GI262570)及びアンタゴニスト、PPAR-ガンマ/アルファモジュレータ(例えば、KRP 297)、PPAR-ガンマ/アルファ/デルタモジュレータ、AMPKアクチベータ、ACC1及びACC2インヒビター、DGAT-インヒビター、SMT3レセプターアゴニスト、11β-HSDインヒビター、FGF19アゴニスト又はミメテックス、アルファー-グルコシダーゼインヒビター(例えば、アカルボース、ボグリボース)、他のDPP IVインヒビター、アルファ2アンタゴニスト、インシュリン及びインシュリン類似体、GLP-1及びGLP-1類似体(例えば、エキセンディン-4)又はアミリンが挙げられる。また、SGLT2インヒビター、例えばT-1095又はKGT-1251(869682)とのコンビネーションは、タンパクチロシンホスファターゼIのインヒビター、肝臓においてグルコース産生の調節解除に影響する物質、例えばグルコース-6-ホスファターゼ又はフルクトース-1,6-ビホスファターゼのインヒビター、グリコーゲンホスホリラーゼ、グルカゴンレセプターアンタゴニスト及びホスホエノールピルベートカルボキシキナーゼ、グリコーゲンシンターゼキナーゼ又はピルベートデヒドロキナーゼのインヒビター、脂質低下剤、例えばHMG-CoA-還元酵素インヒビター(例えば、シンバスタチン、アトルバスタチン)、フィブレート(例えば、ベンザ-フィブレート、フェノフィブレート)、ニコチン酸及びその誘導体、PPAR-アルファアゴニスト、PPAR-デルタアゴニスト、ACATインヒビター(例えば、アバシミベ(avasimibe)又はコレステロール吸収インヒビター、例えば、エゼチミブ、胆汁酸-結合物質、例えばコレスチラミン、回腸胆汁酸輸送のインヒビター、HDL-上昇化合物、例えば、CETPのインヒビター又はABC1のレギュレータ又はLXRアルファアンタゴニスト、LXRベータアゴニスト又はLXRアルファ/ベータレギュレーター又は肥満症の治療用活性物質、例えば、シブトラミン又はテトラヒドロリポスタチン、デクスフェンフルラミン、アクソカイン、カンナビノイド1レセプターのアンタゴニスト、MCH-1レセプターアンタゴニスト、MC4レセプターアゴニスト、NPY5又はNPY2アンタゴニスト又はβ3-アゴニスト、例えばSB-418790又はAD-9677並びに5HT2cレセプターのアゴニストが挙げられる。
【0036】
高血圧治療薬、例えばAIIアンタゴニスト又はACEインヒビター、利尿剤、β-ブロッカー、Ca-アンタゴニスト等又はそれらのコンビネーションと、本発明の化合物を組み合わせることも可能である。
静脈内経路により、そのような効果を都合よく達成するために要求される投与量は、1〜100mg、好ましくは1〜30mgであり、経口投与により1日1〜4回の場合、1〜1000mg、好ましくは1〜100mgである。このため、他の活性物質と任意に組み合わせた本発明により製造される一般式(I)の化合物は、一つ以上の不活性な従来の担体及び/又は希釈剤、例えばコーンスターチ、ラクトース、グルコース、微結晶性セルロース、ステアリン酸マグネシウム、ポリビニルピロリドン、クエン酸、酒石酸、水、水/エタノール、水/グリセロール、水/ソルビトール、水/ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、セチルステアリルアルコール、カルボキシメチルセルロース又は脂肪物質、例えば固い脂肪又はそれらの好適な混合物と一緒に、従来のガレヌス製剤、例えば裸錠又は被覆錠、カプセル、粉末、サスペンジョン又は坐剤に導入してもよい。
以下の例は、本発明を説明しようとするものである:
【実施例】
【0037】
出発化合物の製造:
製造例I
1-エトキシカルボニルメチル-3-シアノ-2-フェニル-イソ尿素
グリシンエチルエステル塩酸塩29.3gを、トリエチルアミン29ml及びイソプロパノール500ml中にジフェニル-N-シアノ-カーボンイミデート50.0gを含む溶液に加えた。その溶液を、周囲温度で16h(時間)攪拌し、その後蒸発させた。残渣を酢酸エチルに溶解し、有機層を水及び炭酸カリウム水溶液で洗った。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を完全に除いた。残渣をジエチルエーテルで洗い、乾燥した。
収量:35.5g(理論値の68%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=248[M+H]+
【0038】
製造例II
1-エトキシカルボニルメチル-1-(ブタ-2-イニル)-3-シアノ-2-フェニル-イソ尿素
アセトン200mlに1-エトキシカルボニルメチル-3-シアノ-2-フェニル-イソ尿素30.2g及び炭酸カリウム20.0gを含む混合物に、ブタ-2-イニル(but-2-ynyl)臭化物11mlを加えた。周囲温度で1d(日)攪拌した後、さらに炭酸カリウム6.5g及びブタ-2-イニル臭化物3.5mlを加えた。室温でさらに20h後、溶媒を除去し、酢酸エチルを加えた。有機層を水で洗い、硫酸ナトリウムで乾燥し、蒸発乾固した。
収量:35.2g(理論値の96%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=300[M+H]+
【0039】
製造例III
3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-N-(エトキシカルボニルメチル)-N-(ブタ-2-イニル)-N'-シアノ-ピペリジン-1-カルボキサミド
1-エトキシカルボニルメチル-1-(ブタ-2-イニル)-3-シアノ-2-フェニル-イソ尿素10gを、ジメチルホルムアミド50ml中の3-tert-ブトキシカルボニルアミノピペリジン10.0g及び炭酸カリウム4.8gの混合物に加えた。反応混合物を周囲温度で1日攪拌し、その後炭酸カリウム1.6g及び3-tert-ブトキシカルボニルアミノピペリジン3.0gを加えた。周囲温度でさらに3日後、水を加え、その混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残渣をシリカゲルで精製した(シクロヘキサン/酢酸エチル5:1->1:2)。
収量:12.5g(理論値の約90%、83%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=406[M+H]+
【0040】
以下の化合物を製造例IIIと同様に得た:
(1) (R)-3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-N-(エトキシカルボニルメチル)-N-(ブタ-2-イニル)-N'-シアノ-ピペリジン-1-カルボキサミジン
質量スペクトル(ESI+):m/z=406[M+H]+
【0041】
製造例IV
エチル5-アミノ-2-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブタ-2-イニル)-3H-イミダゾール-4-カルボキシレート
乾燥エタノール100ml中に3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-N-(エトキシカルボニルメチル)-N-(ブタ-2-イニル)-N'-シアノ-ピペリジン-1-カルボキサミジン12.5g(約90%)を含む溶液に、ナトリウムエトキシド2.5gを加えた。反応溶液を、周囲温度で3時間攪拌し、その後1M塩酸で中和した。溶媒を除去し、水を加え、混合物を酢酸エチルで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去し、残渣をシリカで精製した(シクロヘキサン/酢酸エチル3:1->1:5)。
収量:5.7g(理論値の51%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=406[M+H]+
【0042】
以下の化合物を製造例IIIと同様に得た:
(1) エチル5-アミノ-2-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブタ-2-イニル)-3H-イミダゾール-4-カルボキシレート
質量スペクトル(ESI+):m/z=406[M+H]+
【0043】
製造例V
1-(ナフト-1-イルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
乾燥1,2-ジメトキシエタン35mlにエチル5-アミノ-2-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-3-(ブタ-2-イニル)-3H-イミダゾール-4-カルボキシレート2.0gを含む氷冷した溶液に、トリホスゲン0.5gとトリエチルアミン1.4mlを首尾よく加えた。周囲温度で2時間攪拌した後、ナフト-1-イルメチルアミン0.76ml及びさらに乾燥1,2-ジメトキシエタン35mlを加えた。反応溶液をさらに周囲温度で14時間攪拌した。その後、溶液を約20mlに蒸発させ、ジクロロメタン150mlで希釈した。有機層を1M塩酸及び炭酸水素ナトリウム水溶液で洗い、その後、硫酸ナトリウムで乾燥した。溶媒を除去した後、残渣をエタノール100mlに溶解し、ナトリウムエトキシド0.41gと合わせた。溶液を4時間、60℃で攪拌した。周囲温度に冷ました後、反応溶液を1M塩酸で中和し、エタノールを蒸発させた。水を加え、沈殿物を分離し、エーテルで洗い、60℃で乾燥した。
収量:2.1g(理論値の77%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=543[M+H]+
【0044】
以下の化合物を製造例Vと同様に得た:
(1)(R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
質量スペクトル(ESI+):m/z=559[M+H]+
【0045】
製造例VI
1-(ナフト-1-イルメチル)-3-(シアノメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
ジメチルホルムアミド3ml中に1-(ナフト-1-イルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン0.20gと炭酸カリウム0.10gを含む混合物に、ブロモアセトニトリル30μlを加えた。反応混合物を60℃で3時間攪拌し、その後、周囲温度に冷ました。水を加え、沈殿物を分離し、60℃で乾燥した。
収量:0.20g(理論値の93%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=582[M+H]+
【0046】
以下の化合物を製造例VIと同様に得た:
(1) 1-(ナフト-1-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
質量スペクトル(ESI+):m/z=615[M+H]+
(2) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
質量スペクトル(ESI+):m/z=631[M+H]+
(3) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(エトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
質量スペクトル(ESI+):m/z=645[M+H]+
【0047】
最終化合物の製造:
実施例1
1-(ナフト-1-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
【0048】
【化4】

【0049】
ジクロロメタン3ml中に1-(ナフト-1-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-tert-ブトキシカルボニルアミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン200mgを含む溶液に、トリフルオロ酢酸0.7mlを加えた。溶液を周囲温度で3時間攪拌し、その後、氷冷した炭酸カリウム水溶液に加えた。水層をジクロロメタンで抽出し、合わせた有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を除去した。残渣をシリカゲルカラム上、溶出液として塩化メチレン/メタノール(7:3)を使用して精製した。
収量:85mg(理論値の25%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=515[M+H]+
【0050】
以下の化合物を実施例1と同様に得た:
(1) 1-(ナフト-1-イルメチル)-3-(シアノメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
【0051】
【化5】

【0052】
質量スペクトル(ESI+):m/z=482[M+H]+
(2) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
【0053】
【化6】

【0054】
質量スペクトル(ESI+):m/z=531[M+H]+
(3)(R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(エトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
【0055】
【化7】

【0056】
質量スペクトル(ESI+):m/z=545[M+H]+
【0057】
実施例2
(R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(ヒドロキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
【0058】
【化8】

【0059】
テトラヒドロフラン/水/メタノール(1:1:1)6ml中に(R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン150mgを含む溶液に、1M水酸化ナトリウム溶液2mlを加えた。その溶液を周囲温度で1時間攪拌し、その後1M塩酸で中和した。溶液を蒸発乾固し、水/アセトニトリル(70:30)でHPLC(YMCC18)により精製した。
収量:120mg(理論値の82%)
質量スペクトル(ESI+):m/z=517[M+H]+
【0060】
以下の化合物を前記実施例及び文献から公知の他の方法と同様に得ることができる。
【0061】
【化9】

【0062】
【化10】

【0063】
【化11】

【0064】
【化12】

【0065】
【化13】

【0066】
【化14】

【0067】
【化15】

【0068】
【化16】

【0069】
【化17】

【0070】
【化18】

【0071】
【化19】

【0072】
【化20】

【0073】
【化21】

【0074】
【化22】

【0075】
【化23】

【0076】
【化24】

【0077】
【化25】

【0078】
【化26】

【0079】
【化27】

【0080】
実施例3
活性物質75mgを含む被覆錠
1錠のコアは以下のものを含む:
活性物質 75.0mg
リン酸カルシウム 93.0mg
コーンスターチ 35.5mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 15.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.5mg
230.0mg
【0081】
製造方法:
活性物質を、リン酸カルシウム、コーンスターチ、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース及び所定量の半分のステアリン酸マグネシウムと混合した。直径約13mmのブランクを打錠機で製造し、その後、これらを適当な機械を使用してメッシュサイズ1.5mmの篩を通して擦り、残りのステアリン酸マグネシウムと混合した。この顆粒を打錠機で圧縮し、望ましい形の錠剤を形成した。
コアの質量:230mg
直径:9mm、凸型
このように製造した錠剤のコアを、ヒドロキシプロピルメチルセルロースから本質的になるフィルムで被覆した。最終的なフィルムコート錠をミツロウで磨いた。
被覆錠の質量:245mg
【0082】
実施例4
活性物質100mgを含む錠剤
組成:
1錠中に以下のものを含む:
活性物質 100.0mg
ラクトース 80.0mg
コーンスターチ 34.0mg
ポリビニルピロリドン 4.0mg
ステアリン酸マグネシウム 2.0mg
220.0mg
【0083】
製造方法:
活性物質、ラクトース及びスターチを一緒に混合し、ポリビニルピロリドンの水溶液で不均一に湿らせた。湿った組成物を篩い(2.0mmメッシュサイズ)、50℃のラック型ドライヤー中で乾燥した後、再び篩い(1.5mmメッシュサイズ)、滑沢剤を加えた。最終混合物を圧縮し、錠剤を形成した。
錠剤の質量:220mg
直径 :10mm、二平面、両側にファセットを形成し、片側にノッチを入れた。
【0084】
実施例5
活性物質150mgを含む錠剤
組成:
1錠中に以下のものを含む:
活性物質 150.0mg
粉末ラクトース 89.0mg
コーンスターチ 40.0mg
コロイド状シリカ 10.0mg
ポリビニルピロリドン 10.0mg
ステアリン酸マグネシウム 1.0mg
300.0mg
【0085】
製造方法:
ラクトース、コンスターチ及びシリカと混合した活性物質を、20%ポリビニルピロリドン水溶液で湿らせ、メッシュサイズ1.5mmの篩いを通過させた。
45℃で乾燥した顆粒を、再び同じ篩に通し、所定量のステアリン酸マグネシウムと混合した。錠剤を混合物から圧縮した。
錠剤の質量:300mg
ダイ: 10mm、フラット
【0086】
実施例6
活性物質150mgを含有する硬ゼラチンカプセル
1カプセル中に以下のものを含む:
活性物質 150.0mg
コーンスターチ(乾燥) 約180.0mg
ラクトース(粉末) 約 87.0mg
ステアリン酸マグネシウム 3.0mg
約420.0mg
【0087】
製造方法:
活性物質を賦形剤と混合し、メッシュサイズ0.75mmの篩いを通過させ、好適な装置を使用して均一に混合した。最終混合物をサイズ1の硬ゼラチンカプセルに充填した。
カプセルフィリング:約320mg
カプセルシェル:サイズ1硬ゼラチンカプセル
【0088】
実施例7
活性物質150mgを含む坐剤
1坐剤中に以下のものを含む:
活性物質 150.0mg
ポリエチレングリコール1500 550.0mg
ポリエチレングリコール6000 460.0mg
ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート 840.0mg
2,000.0mg
【0089】
製造方法:
坐剤の塊を溶融した後、活性物質をそこに均一に分配し、その溶融物をチルド型に注いだ。
【0090】
実施例8
活性物質50mgを含有するサスペンジョン
サスペンジョン100ml中に以下のものを含む:
活性物質 1.00g
カルボキシメチルセルロース-Na-塩 0.10g
p-ヒドロキシ安息香酸メチル 0.05g
p-ヒドロキシ安息香酸プロピル 0.01g
グルコース 10.00g
グリセロール 5.00g
70%ソルビトール溶液 20.00g
フレーバー 0.30g
蒸留水 加えて100mlにする
【0091】
製造方法:
蒸留水を70℃に加熱した。グリセロール及びカルボキシメチルセルロースのナトリウム塩と一緒にp-ヒドロキシ安息香酸メチル及びプロピルを、攪拌しながらそこに溶解した。その溶液を周囲温度に覚まし、活性物質を加え、攪拌しながら均一にそこに分散した。糖、ソルビトール溶液及びフレーバーを加え、溶解した後、サスペンジョンを攪拌しながら空気を抜いた。
サスペンジョン5mlは活性物質50mgを含んでいた。
【0092】
実施例9
活性物質10mgを含むアンプル
組成:
活性物質 10.0mg
0.01N 塩酸十分量(q.s.)
二回蒸留水 加えて2.0mlにする
製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、2mlアンプルに移した。
【0093】
実施例10
活性物質50mgを含むアンプル
組成:
活性物質 50.0mg
0.01N 塩酸十分量(q.s.)
二回蒸留水 加えて10.0mlにする
製造方法:
活性物質を必要量の0.01N HClに溶解し、塩化ナトリウムで等張化し、滅菌ろ過し、10mlアンプルに移した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の一般式(I)の化合物、その互変異性体、エナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物、それらのプロドラッグ又はそれらの塩;
【化1】

{式中、
R1は、アリールメチル基又はアリールエチル基、
ヘテロアリールメチル基又はヘテロアリールエチル基、
アリールカルボニルメチル基、
ヘテロアリールカルボニルメチル基、又は
アリール-プロパ-2-エニル基又はヘテロアリール-プロパ-2-エニル基(プロペニル鎖は、1〜4のフッ素原子又はシアノ基、C1-3-アルキルオキシ-カルボニル基又はニトロ基により置換されていてもよい)を示し、
R2は、テトラゾリル基、ヒドロキシスルホニル基、シアノ基、ピペリジン-1-イルカルボニル基又はピロリジン-1-イルカルボニル基により置換されているC1-6-アルキル基(前記ピペリジニル基及びピロリジニル基における一又は二つのメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子により、C1-4-アルキル基により所望により置換されていてもよいイミノ基により、又はカルボニル基、スルフィニル基又はスルホニル基により互いに独立して置換されていてもよい)を示すか、又は
一般式Ra-O-CO、(Ra)2N-CO又は[(RaO)2PO-]-で表される基により置換されているC1-6-アルキル基を示し、
(Raは、それぞれ独立して水素原子、C1-6-アルキル基、C2-6-アルケニル基、C2-6-アルキニル基、アリール-C1-3-アルキル基、ヘテロアリール-C1-3-アルキル基、C3-10-シクロアルキル-C1-3-アルキル基、C5-10-シクロアルケニル-C1-3-アルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、C3-10-シクロアルキル基又はC5-10-シクロアルケニル基を示すが、
Raに関して述べた全てのアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、シクロアルキル基及びシクロアルケニル基は、部分的又は完全にフッ素化されているか、又は塩素、ヒドロキシ、C1-3-アルコキシ及びC1-3-アルキルから選ばれる同一又は異なる置換基により一置換又は二置換されていてもよく、また、
Raに関して述べたシクロアルキル基及びシクロアルケニル基における一又は二つのメチレン基は、酸素原子又は硫黄原子により、C1-4-アルキル基により所望により置換されていてもよいイミノ基により、又はカルボニル基、スルフィニル基又はスルホニル基により、互いに独立して置換されていてもよい)、
特に規定しない限り、前記アルキル基、アルケニル基及びアルキニル基は、直鎖又は分岐鎖であってもよい}。
【請求項2】
式中、R1が請求項1に定義の通りであり、
R2が、シアノ基又は一般式Ra-O-CO-の基(式中、Raは請求項1に定義の通りである)により置換されているC1-4-アルキル基を示す、請求項1に記載の一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、それらの混合物又はそれらの塩。
【請求項3】
R1が、フェニルメチル基、フェニルカルボニルメチル基、フェニル-プロパ-2-エニル基、ピリジニルメチル基、ピリミジニルメチル基、ナフチルメチル基、キノリニルメチル基、1H-キノリン-2-オニルメチル基、イミダゾ[1,2-a]キノリニルメチル基、イソキノリニルメチル基、キナゾリニルメチル基、3H-キナゾリン-4-オニルメチル基、キノキサリニルメチル基、フェナントリジニルメチル基、ナフチリジニルメチル基、ベンゾ[1,6]ナフチリジニルメチル基、イミダゾピリジニルメチル基又はベンゾトリアゾリルメチル基を示し、これらの基は、一又は二つのフッ素原子、塩素原子又は臭素原子により、又は一又は二つのシアノ基、ニトロ基、アミノ基、C1-3-アルキル基、C1-3-アルキルオキシ基、フェニル基又はモルホリニル基により置換されていてもよく、それらの置換基は同一でも異なっていてもよく、
R2が、シアノ-C1-3-アルキル基、ヒドロキシカルボニルメチル基、C1-6-アルコキシカルボニルメチル基、C3-6-アルケニルオキシカルボニルメチル基、C3-6-シクロアルキル-C1-3-アルキルオキシカルボニルメチル基又はC3-6-シクロアルキルオキシカルボニルメチル基を示し、ここで該アルキル基、アルケニル基及びシクロアルキル基は、一又は二つのC1-3-アルキル基又はC1-3-アルキルオキシ基により置換されていてもよく、及び/又は部分的又は完全にフッ素化されていてもよい、
請求項2に記載の一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、ジアステレオマー、互変異性体、それらの混合物又はそれらの塩。
【請求項4】
R1が、一又は二つのシアノ基又はメチル基により置換されていてもよいピリジニルメチル基、ピリミジニルメチル基、イソキノリニルメチル基、キナゾリニルメチル基、キノキサリニルメチル基又はナフチルメチル基を示し、
R2が、シアノメチル基、ヒドロキシカルボニルメチル基、メトキシカルボニルメチル基又はエトキシカルボニルメチル基を示す、
請求項3に記載の一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、互変異性体又はそれらの塩。
【請求項5】
R1が、メチル基により置換されていてもよいキナゾリニルメチル基を示し、
R2が、C1-4-アルコキシ-カルボニル基により置換されているメチル基を示す、
請求項2に記載の一般式(I)の化合物、そのエナンチオマー、互変異性体又はそれらの塩。
【請求項6】
請求項1に記載の以下の好ましい化合物、その互変異性体又はそれらの塩:
(a) 1-(ナフチル-1-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(b) 1-(ナフチル-1-イルメチル)-3-(シアノメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(c) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(メトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(d) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(エトキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン
(e) (R)-1-(4-メチル-キナゾリン-2-イルメチル)-3-(ヒドロキシカルボニルメチル)-7-(ブタ-2-イニル)-8-(3-アミノ-ピペリジン-1-イル)-キサンチン。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物の、無機又は有機の酸又は塩基の生理学的に許容され得る塩。
【請求項8】
所望により一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤と一緒に、請求項1〜6のいずれか1項に記載の化合物又は請求項7に記載の生理学的に許容され得る塩を含む医薬組成物。
【請求項9】
I型及びII型糖尿病、関節炎、肥満、同種移植又はカルシトニンにより生じる骨粗鬆症の治療に適する医薬組成物を製造するための、請求項1〜7の少なくともいずれか1項に記載の化合物の使用。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の化合物を、一つ以上の不活性担体及び/又は希釈剤に非化学的方法により導入する、請求項8に記載の医薬組成物の製造方法。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の一般式(I)で表される化合物の製造方法であって、
a) 以下の一般式(II)の化合物を、3-アミノピペリジン、3-N-保護アミノピペリジン、それらの誘導体又は塩と反応させるか:又は
【化2】

(式中、R1及びR2は、請求項1〜6のいずれか1項に定義の通りであり、
Z1は、脱離基、例えば、ハロゲン原子、置換ヒドロキシ基、メルカプト基、スルフィニル基、スルホニル基又はスルホニルオキシ基を示す)
b) 以下の一般式(III)の化合物を脱保護し:
【化3】

(式中、R1及びR2は、請求項1〜6のいずれか1項に定義の通りであり、NPGは保護又はマスクされたアミノ官能基を示す)
及び/又は、
反応中に使用された保護基をその後切断し、及び/又は
このようにして得られた一般式(I)の化合物をそれらのエナンチオマー及び/又はジアステレオマーに分割し、及び/又は
このようにして得られた一般式(I)の化合物を、それらの塩に、特に医薬用に、無機又は有機の酸又は塩基の生理学的に許容され得る塩に変換することを含む、前記製造方法。

【公表番号】特表2008−512412(P2008−512412A)
【公表日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530635(P2007−530635)
【出願日】平成17年9月6日(2005.9.6)
【国際出願番号】PCT/EP2005/009548
【国際公開番号】WO2006/027204
【国際公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【出願人】(503385923)ベーリンガー インゲルハイム インターナショナル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (976)
【Fターム(参考)】