説明

方位推定装置およびプログラム

【課題】地表において太陽光を用いて方位を推定する。
【解決手段】方位推定装置は、地球に対する太陽の運動を示す天体情報を記憶手段から取得し、時計から日時情報を取得し、測位手段により計測された自装置の位置を示す位置情報を取得し、自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得し、或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段から当該自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する。そして、方位推定装置は、天体情報を参照し、日時情報が示す日時に、位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定し、光強度情報、および取得された姿勢情報に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する。そして、方位推定装置は、これら推定した各方向に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を用いて方位を推定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
地磁気センサやGPS(Global Positioning System)を用いて方位を推定する装置が知られている。しかし、地磁気センサを用いる場合、近くに磁性体がある場合やビル街、踏切付近、鉄橋、地下鉄の上、屋内などでは、地磁気が乱れるため、装置は正確に方位を計測することができない。また、GPSを用いて方位を推定する場合には、移動方向から方位を推定するので、このような装置は移動させる必要があり、立ち止まった状態では方位を計測することができない。さらに、GPSは衛星からの電波を受信して位置特定をするので、このような装置はビル街や屋内などで計測精度が低下する。
【0003】
一方、太陽光の偏光特性に基づいて、太陽の方向を検出する技術が開発されている。特許文献1には、人工衛星の打上げ初期において太陽方向計算を行う技術が開示されている。特許文献2には、角度が異なるように設けられた2つの偏光板を通してそれぞれ画像を取得し、各画像の差分値から太陽の位置を検出することにより撮影補助光の発光を制御する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平7−248225号公報
【特許文献2】特開2004−117478号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1により開示された技術は、宇宙空間において人工衛星から見た太陽の方向を検出することに関するものであり、特許文献2により開示された技術は、逆光などカメラと太陽との相対的な方向関係を検出するに留まるものである。いずれの文献も、地表における方位を推定するものではない。
【0006】
本発明の目的は、地表において太陽光を用いて方位を推定することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決するため、本発明に係る方位推定装置は、地球に対する太陽の運動を示す天体情報を取得する天体情報取得手段と、日時情報を取得する日時情報取得手段と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度、および前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段とを具備することを特徴とする。
【0008】
また、本発明に係る方位推定装置は、地球に対する太陽の運動を示す天体情報を取得する天体情報取得手段と、日時情報を取得する日時情報取得手段と、自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向、並びに前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段とを具備することを特徴とする。
【0009】
好ましくは、前記第2推定手段は、前記光強度の差に応じて、前記太陽の方向を推定するとよい。
【0010】
また、好ましくは、前記検出手段は、それぞれ異なる偏光方向の複数の偏光フィルタを通して撮像を行う撮像手段を備え、前記光強度情報取得手段は、前記撮像手段により各々の前記偏光フィルタを通して撮像された各画像の明度を示す明度情報を前記光強度情報として取得するとよい。
【0011】
また、好ましくは、前記検出手段は、それぞれ異なる偏光方向の複数の偏光フィルタが配置されたフィルタを通して撮像を行う撮像手段を備え、前記光強度情報取得手段は、前記撮像手段により撮像された画像の明度の配置パターンを示す明度情報を前記光強度情報として取得するとよい。
【0012】
また、好ましくは、前記検出手段は、偏光フィルタを通して撮像を行う撮像手段と、前記偏光フィルタを回転させて、前記撮像手段へと透過させる偏光成分を変動させる回転駆動部とを備えるとよい。
【0013】
また、好ましくは、前記検出手段は、液晶を通して撮像を行う撮像手段と、印加する電圧を変えて当該液晶が透過させる偏光成分を変動させる液晶制御手段とを備えるとよい。
【0014】
また、本発明に係るプログラムは、地球に対する太陽の運動を示す天体情報を記憶する記憶手段と、日時情報を出力する時計と、自装置の位置を計測して当該位置を示す位置情報を出力する測位手段と、前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段と、或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段とを備えるコンピュータを、前記記憶手段から、前記天体情報を取得する天体情報取得手段と、前記時計から、前記日時情報を取得する日時情報取得手段と、前記測位手段から、前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記検出手段から、前記各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、前記姿勢検知手段から、前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度、および前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、地表において太陽光を用いて方位を推定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】第1実施形態に係る方位推定装置の構成を示す図である。
【図2】方位推定装置の外観を示す図である。
【図3】方位推定装置の機能的構成を示す図である。
【図4】方位推定装置の位置を原点とする地平座標系を示す概略図である。
【図5】太陽の相対方向を説明する図である。
【図6】太陽方向に対する撮像方向の成す角度に対する明度差の変化を表した図である。
【図7】明度差が最も増大したときの2つの画像を例示した図である。
【図8】第2実施形態に係る方位推定装置の機能的構成を示す図である。
【図9】相対方向推定部が、太陽の相対方向を推定することを説明する図である。
【図10】地平面に対する装置座標系を表す図である。
【図11】相対方向推定部により推定される太陽の相対方向を説明する図である。
【図12】方位推定装置によって算出される撮像方向の方位角を説明する図である。
【図13】変形例における偏光フィルタの一例を示す図である。
【図14】変形例における偏光フィルタの別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明を実施するための形態について説明する。
1.第1実施形態
1−1.構成
1−1−1.方位推定装置の構成
図1は、本発明の第1実施形態に係る方位推定装置1の構成を示す図である。方位推定装置1は、デジタルスティルカメラや携帯電話機、電子書籍表示機、ゲーム機、携帯音楽再生機、携帯動画再生機などさまざまなものに実装することができる。ここでは、方位推定装置1は、携帯電話機である。
【0018】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などを備え、CPUが、ROMに記憶されているブートローダや記憶部12に記憶されているコンピュータプログラム(以下、単にプログラムという)を読み出し、RAMをワークエリアとして実行することにより、方位推定装置1の各部を制御する。
【0019】
記憶部12はEEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)などの大容量の記憶手段であり、制御部11のCPUに読み込まれるプログラムを記憶する。また、記憶部12は、地球を含めた太陽系天体の自転・公転などの運動を示す情報である天体情報121を記憶している。
【0020】
操作部13は各種の指示を入力するための操作子を備えており、ユーザによる操作を受け付けてその操作内容に応じた信号を制御部11に供給する。表示部14は、制御部11からの指示に応じて、画像を表示する。表示部14は、例えば、液晶ディスプレイなどの表示体を有する。
【0021】
時計部15は、日時を計測し、計測した日時を示す日時情報を出力する。時計部15は、標準電波を受信して日時の誤差を修正する機能を備えたいわゆる電波時計であってもよい。
【0022】
通信部16は、無線による通信機能を備え、無線基地局の識別情報を読み出すことにより方位推定装置1の位置を特定し、この位置を示す位置情報を出力する。この位置情報とは、すなわち、上記の識別情報で識別される無線基地局の通信エリアを示す情報である。この位置情報には、この通信エリア内の代表地点に割り当てられた緯度・経度が記述されている。
【0023】
撮像部17は、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)イメージセンサやCCD(Charge Coupled Device)イメージセンサなどの撮像素子と、対象からの光を受けて像を結ぶための2つの光学部材171a,171b(以下、区別する必要がない場合には、これらを光学部材171と表記する)を備える。光学部材171は、レンズ・反射鏡・プリズムなどのほか、偏光フィルタを備える。各光学部材171において、偏光フィルタは互いに偏光方向が異なるように設けられている。例えば、光学部材171a,171bの各偏光フィルタの偏光方向が成す角度は90度である。
そして、撮像部17は、これら2つの光学部材171a,171bに備えられた偏光フィルタを介して撮像した各画像Pa,Pbを示す画像データを出力する。
【0024】
姿勢検知部18は、3軸の加速度センサであり、方位推定装置1の各構成に沿って定められた座標系である装置座標系の各座標軸が重力方向に対して成す角度を計測して、方位推定装置1の姿勢を検知し、この姿勢を示す姿勢情報を出力する。
【0025】
ここで、装置座標系について説明する。図2は、方位推定装置1の外観を示す図である。図2(a)に示すように、方位推定装置1の一方の面には操作部13と表示部14と撮像部17の2つの光学部材171a,171bが配置されている。表示部14の表示体は矩形に準じた輪郭を有しており、この矩形の互いに直交する2辺に沿ってx軸およびy軸が定められている。そして、x軸およびy軸に直交する方向にz軸が定められている。このx軸、y軸、およびz軸で表される直交座標系が装置座標系である。装置座標系の原点は、例えば、方位推定装置1の重心である。
【0026】
以下、図において、「○」の内部に「・」が記載されている記号は、紙面の奥から手前へ向かう方向を表す記号である。そして、x軸方向の成分が増加する方向をx(+)方向とよび、x軸方向の成分が減少する方向をx(−)方向とする(y軸、z軸についても同様とする)。すなわち、図にx,y,zで表す直交座標系は右手系である。
【0027】
各光学部材171は、表示部14の表示体が画像を表示する表示面に垂直な方向に向けられている。したがって、撮像部17が撮像する方向は、z(+)方向である。図2(a)に示した方向成分Daは、y軸方向に沿った方向成分であり、光学部材171aに含まれる偏光フィルタは、方向成分Daを有する直線偏光を通過させる偏光特性を有する。同様に、方向成分Dbは、x軸方向に沿った方向成分であり、光学部材171bに含まれる偏光フィルタは、方向成分Dbを有する直線偏光を通過させる偏光特性を有する。したがって、方向成分Daと方向成分Dbとは直交する。
【0028】
方位推定装置1が方位を推定すると、表示部14には、図2(b)に示したように推定された方位を表すコンパス図が表示される。このコンパス図は、例えば、地平面に描いたコンパス図を、この地平面に垂直な平行光線によって表示部14の表示面に正射影したものである。例えば、コンパス図の中心点から「北」と表示された点に向けて線を引いたとする。そして、この線を地平面に平行な第1成分と、原点Oからみて天頂の方向に平行な第2成分に直交分解すると、分解された第1成分は「北」を指し示す。
【0029】
このほかに、携帯電話機である方位推定装置1は、ユーザの声を音声信号に変換するマイクロフォン、受信した音声信号に基づいて変換された相手の声を放音するスピーカ、音声信号のデジタル/アナログ変換をするコンバータなどを備えている。通信部16は、通信機能によりこれらの音声信号を遣り取りする。
【0030】
1−1−2.方位推定装置の機能的構成
図3は、第1実施形態に係る方位推定装置1の機能的構成を示す図である。制御部11は、プログラムを実行することで、天体情報取得部111、日時情報取得部112、位置情報取得部113、明度情報取得部114、姿勢情報取得部115、絶対方向推定部116、相対方向推定部117、および方位推定部118として機能する。
【0031】
天体情報取得部111は、記憶部12から天体情報121を取得する。日時情報取得部112は、時計部15から日時情報を取得する。位置情報取得部113は、通信部16から位置情報を取得する。明度情報取得部114は、撮像部17から画像Pa,Pbをそれぞれ示す画像データ受け取り、それぞれの明度を示す明度情報を取得する。姿勢情報取得部115は、姿勢検知部18から姿勢情報を取得する。
【0032】
絶対方向推定部116は、天体情報取得部111が取得した天体情報121、日時情報取得部112が取得した日時情報、および位置情報取得部113が取得した位置情報に基づいて、太陽の絶対方向を推定する。太陽の絶対方向とは、位置情報で示される方位推定装置1の位置を原点とする地平座標系における太陽の方向であり、例えば方位角Aおよび高度hにより表される。
【0033】
図4は、方位推定装置1の位置を原点Oとする地平座標系を示す概略図である。同図に示すように、太陽Snの方向は、地平座標系における天球上の位置として表される。ここで方位角Aは、天頂と太陽Snとを通る大円が子午線と成す角度であり、真北から東回りに測定される。また、高度hは、上記の大円に沿って地平線から太陽Snまでの角度である。
【0034】
天体情報121には、地球を含めた太陽系天体の自転・公転などの運動を示す情報が記述されている。絶対方向推定部116は、この天体情報121に基づいて、地球に対する太陽の運動を、例えば、赤道座標系で表す。そして、絶対方向推定部116は、取得した日時情報により日時を特定し、特定された日時の赤道座標系における太陽の位置を算出する。そして取得した位置情報により、絶対方向推定部116は、方位推定装置1の緯度および経度を決定し、赤道座標系における太陽Snの位置を、決定した緯度および経度により表される方位推定装置1の位置を原点Oとする地平座標系に変換する。なお、天体情報121は、日時および位置を独立変数として、太陽の地球に対する運動を所定の天球座標系で表した関数であってもよく、また、複数の、日時および位置の組み合わせごとに、地球に対する太陽の座標や速度などの運動情報を対応付けた表であってもよい。
【0035】
相対方向推定部117は、明度情報取得部114が取得した明度情報に基づいて、太陽の相対方向を推定する。太陽の相対方向とは、方位推定装置1を基準とした太陽の相対的な方向であって、上述した装置座標系における太陽の方向である。
【0036】
図5は、太陽の相対方向を説明する図である。同図において、方位推定装置1は、原点Oに位置し、撮像部17による撮像方向を矢線z(+)方向に向けている。太陽Snと原点Oを結ぶ線がz(+)方向と成す角をψとすると、同図に示す線Cvは、原点Oを中心とする天球において、角度ψの値が共通する撮像方向と天球面との各交点を結んだ線である。
【0037】
撮像方向を太陽に向ける(ψ=0度)ことにより得られる太陽光そのものには、あらゆる偏光成分の光が含まれている。また、撮像方向を太陽の反対方向(ψ=180度)に向けても、太陽光の反射光が得られるので、得られる光には、あらゆる偏光成分の光が含まれている。一方、大気により散乱させられた太陽光(以下、散乱光という)は、同図に示す線Cvに沿った偏光特性を有することがわかっている。したがって、撮像方向であるψの値が90度に近づくほど、撮像部17が受け取る光のうち、線Cvに沿った偏光成分の割合が、これに垂直な偏光成分の割合よりも強くなる。偏光成分の光の強度(以下、光強度という)は、偏光成分を受け取って撮像部17により生成される画像の明度に相関があるので、つまり、ψの値が90度に近づくほど各偏光成分に対応する画像の明度の差(以下、明度差という)が大きくなる。
【0038】
図6は、太陽方向に対する撮像方向の成す角度に対する明度差の変化を表した図である。横軸は角度ψの値であり、縦軸は明度差、または明度差に準じた指標値(例えば、明度差の二次関数や対数関数など)である。このようにψの値が90度に近いほど、明度差が増加するため、例えば地平面に沿った方向を撮像する方位推定装置1に対して真横から太陽光が照射されているとき、撮像方向である正面からは、地平面に対して垂直方向の偏光成分が得られ、地平面に対して水平方向の偏光成分は得られ難い。そのため、偏光フィルタの偏光方向が地平面に対して垂直方向に近いほど、横から地平面に沿って太陽光が照射された状態で撮像した撮像画像は明るくなるが、偏光フィルタの偏光方向が地平面に対して水平方向に近くなるにしたがって、撮像画像は暗くなる。この傾向は、太陽方向に対する撮像方向の成す角度ψが90度に近づくほど強くなる。このような太陽光の偏光特性はプログラムに記述されており、相対方向推定部117は、取得した明度情報から明度差を算出して、これに対応する角度ψを太陽の相対方向として推定する。
【0039】
図3に戻る。姿勢情報取得部115は、姿勢検知部18から取得した姿勢情報から重力方向と装置座標系のz軸との成す角を得て、これに基づいて図4に示した仰角φを特定する。仰角φとは、撮像方向(すなわちz(+)方向)が地平面と成す角度である。すなわち、姿勢情報取得部115は、或る方向を基準とした自装置(方位推定装置1)の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段の一例である。この場合、或る方向とは、重力方向(図4におけるG)や地平面の法線方向などである。
【0040】
方位推定部118は、絶対方向推定部116により推定された太陽の絶対方向を示す情報と、相対方向推定部117により推定された太陽の相対方向を示す情報、および取得した姿勢情報に基づいて姿勢情報取得部115が特定した仰角から、方位推定装置1の方位を推定する。具体的には、方位推定部118は、太陽の絶対方向を示す情報として方位角Aおよび高度hを取得し、太陽の相対方向を示す情報として角度ψを取得し、姿勢情報として撮像方向の仰角φを取得する。そして、方位推定部118は、地平面に対して仰角φを満たし、かつ太陽の照射方向に対して角度ψを満たすz軸を特定し、特定されたz軸が、地平座標においてどの方位にあるかを示す方位角θを、太陽の絶対方向を示す方位角A、高度hを基準にして求める。
【0041】
1−2.動作
次に、第1実施形態の方位推定装置1による方位推定の動作について説明する。
ユーザは、撮像する方向であるz軸を定めて方位推定装置1の撮像部17の光学部材171を向ける。表示部14には、撮像部17が撮像した2つの画像Pa,Pbが表示される。画像Paは、光学部材171aを介して撮像された画像であり、画像Pbは、光学部材171bを介して撮像された画像である。したがって、画像Paは、方向成分Daを有する偏光を受けて生成された画像であり、画像Pbは、方向成分Dbを有する偏光を受けて生成された画像である。そのため、撮像方向からの光に方向成分Daが減少すると、画像Paが暗くなり、方向成分Dbが減少すると、画像Pbが暗くなる。
【0042】
定めたz軸を中心としてユーザが方位推定装置1を回転させると、2つの画像Pa,Pbの明度差が変動する。制御部11は、撮像部17から各画像の明度情報を取得し(明度情報取得部114)、明度差が最も増大したときに、その明度差をRAMに記憶する。
【0043】
制御部11は、RAMに記憶した明度差から角度ψを推定する(相対方向推定部117)。図7は、上述の明度差が最も増大したときの2つの画像を例示した図である。図7(a)に示すように、画像Pa,Pbで明度差がない場合には、太陽の相対方向を示す角度ψは0度か180度である。すなわち、太陽に向かって撮像した場合や、太陽に背を向けて撮像した場合にあっては、撮像部17の各光学部材171は、太陽光の散乱光のみならず、直射光や反射光を受けるので、受けた光に偏光が少なく、撮像された2つの画像Pa,Pbの明度に差が生じない。
【0044】
一方、図7(b)〜(d)に示すように、角度ψが30度、60度、90度と増加し、または150度、120度、90度と減少して90度に近づくにつれて、画像Pa,Pb間の明度差は増大する。プログラムには、図6で示したような明度差と角度ψとの関係が予め記述されているので、制御部11は、このプログラムを実行することにより、取得した明度差から角度ψを推定する。なお、この段階では、制御部11は、2種類(例えば、30度と150度など)の角度ψを推定することがある。
【0045】
また、制御部11は、時計部15から日時情報を(日時情報取得部112)、通信部16から位置情報を(位置情報取得部113)それぞれ取得して、記憶部12に記憶された天体情報121を参照して(天体情報取得部111)、取得した日時情報が示す日時に、取得した位置情報が示す方位推定装置1の位置を原点とする地平座標における太陽の位置を絶対方向として推定する(絶対方向推定部116)。
【0046】
そして、制御部11は、姿勢検知部18から姿勢情報を取得し(姿勢情報取得部115)、取得した姿勢情報(仰角φ)、推定した太陽の相対方向(角度ψ)および絶対方向(方位角Aおよび高度h)から、方位推定装置1の撮像方向を特定して、その方位角θ(図4参照)を算出し、算出された方位角θに基づいて方位推定装置1の位置を原点とする地平座標における方位を推定し(方位推定部118)、その方位に応じたコンパス図を表示部14に表示する。
【0047】
なお、太陽方向との成す角が角度ψであり、地平面と成す角が仰角φである撮像方向(z(+)方向)は、原点Oを頂点として太陽方向に軸を有する円錐の側面と、原点Oを頂点として天頂方向に軸を有する円錐の側面とが交差する線上にあるので、1つに特定される場合もあるが、2つが特定されることもある。この場合、制御部11は、特定した2つの撮像方向をそれぞれ候補として、これらの方位を表す方位角θをそれぞれ推定し、表示部14に推定された2つの方位角θに基づくコンパス図をそれぞれ表示してもよい。
【0048】
以上の構成により、第1実施形態に係る方位推定装置1は、地磁気やGPSを用いることなく、方位を推定することができる。
【0049】
2.第2実施形態
本発明の第2実施形態に係る方位推定装置1について説明する。第2実施形態において第1実施形態と共通する事項の説明は省略する。第2実施形態に係る方位推定装置1は、太陽の相対方向を示す情報として、撮像部17が受け取る光のうち最も強い偏光成分の方向に直交する方向を、地平面を基準として特定する点が第1実施形態と異なっている。
【0050】
2−1.構成
第2実施形態に係る方位推定装置1の構成は、第1実施形態に係る方位推定装置1の構成と共通しており、制御部11がプログラムを実行することで実現する機能の一部に相違がある。
図8は、第2実施形態に係る方位推定装置1の機能的構成を示す図である。制御部11は、プログラムを実行することで、第1実施形態と共通する天体情報取得部111、日時情報取得部112、位置情報取得部113、明度情報取得部114、姿勢情報取得部115、および絶対方向推定部116として機能するほか、後述する相対方向推定部117a、および方位推定部118aとして機能する。
【0051】
相対方向推定部117aは、明度情報取得部114が取得した明度情報と、姿勢情報取得部115が取得した姿勢情報に基づいて、太陽の相対方向を推定する。第2実施形態において、太陽の相対方向は、方位推定装置1が地平面の中心にある天球上の位置として求められる。例えば、この天球に対し、撮像部17が受け取る光のうち最も強い偏光成分によって特定される方向(以下、特定方向という)に線を引くと、太陽を中心とした同心円が描かれるので(図5参照)、上記の天球において、この特定方向に引いた線に直交する直交線上に太陽が位置することとなる。つまり、上記の天球において、上記の特定方向に引いた線上の一点から、その一点を通り且つその線に直交する直交線に沿った方向が、太陽の相対方向である。相対方向推定部117aは、太陽の相対方向を、地平面を基準として推定するため、姿勢情報取得部115が取得した姿勢情報を参照する。
【0052】
図9は、第2実施形態に係る相対方向推定部117aが、太陽の相対方向を推定することを説明する図である。相対方向推定部117aは、同図に示すように、撮像部17が撮像した2つの画像Pa,Pbに基づいて、特定方向と方向成分Dbとの成す角を特定することにより、太陽の相対方向を推定する。
【0053】
例えば、図9(a)のように、画像Paの明度が画像Pbの明度よりも暗い場合、撮像部17が撮像方向から受け取る光は、方向成分Daを有する直線偏光よりも、方向成分Dbを有する直線偏光を多く含んでいることがわかる。したがって、方向成分Db、すなわちx軸方向と、天球において特定方向に沿った線Cvとの成す角は、少なくとも45度未満と推定される。さらに、例えば、画像Paと画像Pbとの明度差が閾値を超えているなどの条件が満たされた場合には、方向成分Dbと線Cvとの成す角は0度と推定される。
【0054】
また、図9(b)のように、画像Paの明度が画像Pbの明度と略同じである場合、撮像部17が撮像方向から受け取る光は、方向成分Daを有する直線偏光と、方向成分Dbを有する直線偏光とを略等しい割合で含んでいることがわかる。したがって、方向成分Db(x軸方向)と、線Cvとの成す角は略45度と推定される。
【0055】
また、図9(c)のように、画像Paの明度が画像Pbの明度よりも明るい場合、撮像部17が撮像方向から受け取る光は、方向成分Dbを有する直線偏光よりも、方向成分Daを有する直線偏光を多く含んでいることがわかる。したがって、方向成分Dbと線Cvとの成す角は45度を超えると推定される。さらに、例えば、画像Paと画像Pbとの明度差が閾値を超えているなどの条件が満たされた場合には、方向成分Dbと線Cvとの成す角は90度と推定される。
【0056】
以上のように画像Pa,Pbの明度差のパターンから方向成分Dbと線Cvとの成す角を推定すると、相対方向推定部117aは、姿勢情報取得部115が取得した姿勢情報を参照して、線Cvに直交する方向を、地平面を基準として推定する。すなわち、相対方向推定部117aは、姿勢情報を参照することによって、x軸方向である方向成分Dbの地平面に対する傾きを求め、さらに方向成分Dbと線Cvとの成す角と、求めた傾きとに基づいて、地平面を基準とした場合における、上述の線Cvに直交する方向を推定する。なお、線Cvに直交する方向は地平面を基準として推定されるが、相対方向推定部117aは、この方向と地平座標系における方位との関係は特定していない。つまり、相対方向推定部117aによって、太陽の相対方向として推定される「線Cvに直交する方向」とは、方位推定装置1を基準とした方向である。
【0057】
方位推定部118aは、絶対方向推定部116により推定された太陽の絶対方向を示す情報と、相対方向推定部117aにより推定された太陽の相対方向を示す情報とに基づいて方位推定装置1の方位を推定する。つまり、方位推定部118aは、太陽の相対方向と地平座標系における方位との関係を、太陽の絶対方向を用いて推定する。具体的には、方位推定部118aは、太陽の絶対方向により示される太陽の位置が、太陽の相対方向により示される「線Cvに直交する方向」に引いた線上に存在するような向きに方位推定装置1を配置したときの方位を推定する。
【0058】
2−2.動作
次に、第2実施形態の方位推定装置1による方位推定の動作について説明する。
ユーザは、撮像する方向であるz軸を定めて方位推定装置1の撮像部17の光学部材171を向ける。図10は、地平面に対する装置座標系を表す図である。第2実施形態において、装置座標系のx(+)方向が地平面に含まれるように、方位推定装置1の姿勢は、ユーザによって調整される。例えば、方位推定装置1の制御部11は、姿勢検知部18によって検知された姿勢情報を参照し、x(+)方向が地平面に含まれていないと判断すると、表示部14にその旨の警告をして、ユーザにより方位推定装置1の姿勢が調整されるまで方位推定の動作を中断する。なお、x(+)方向が地平面に含まれるとは、x(+)方向と地平面との成す角が閾値(例えば、2度)を超えないということである。したがって、同図に示したように、x(+)方向と重力方向Gとの成す角は、略90度(例えば、88〜92度)であり、x軸方向である方向成分Dbの地平面に対する傾きは、略0度(例えば、±2度)である。
【0059】
図11は、相対方向推定部117aにより推定される太陽の相対方向を説明する図である。撮像された画像Pa,Pbの明度差のパターンから図9(a)に示したように方向成分Dbと線Cvとの成す角を0度と推定した場合に、相対方向推定部117aは、図11(a)に示すように天球とz軸とが交差する点zにおいてx軸に平行な接線T1と直交する線L1を特定する。点zを通り、方向成分Dbと特定の角を成す線Cvは無数に存在するが、これらの線Cvの点zにおける接線は、同図に示した接線T1のみである。この接線T1は、方向成分Dbと線Cvとの成す角が0度であることから、x軸とz軸とによって定まる平面(以下、xz平面という)に含まれる。そして、点zにおいてこの接線T1と直交する線L1は、点zにおいて線Cvにも直交するので、相対方向推定部117aは、点zにおいて接線T1と直交する線L1を太陽の相対方向として推定する。
【0060】
また、図9(b)に示したように方向成分Dbと線Cvとの成す角を45度と推定した場合に、相対方向推定部117aは、図11(b)に示すように上記の点zにおいて、上記のxz平面との成す角が45度の接線T2を特定し、この接線T2と直交する線L2を太陽の相対方向として特定する。相対方向推定部117aは、このようにして、方向成分Dbと線Cvとの成す角に応じて天球上の線L(L1、L2)を特定し、これに沿った方向を太陽の相対方向として推定する。
【0061】
そして、方位推定部118aは、推定した太陽の相対方向(線L)および絶対方向(方位角Aおよび高度h)から、方位推定装置1の撮像方向(z(+)方向)を特定して、その方位角θを算出する。
図12は、方位推定装置1によって算出される撮像方向の方位角θを説明する図である。方位推定部118aは、絶対方向推定部116によって推定された絶対方向、すなわち、方位推定装置1の位置を原点とする地平座標系における太陽の方位角Aおよび高度hを取得している。そして図11(a)に示したように、相対方向推定部117aが線L1を太陽の相対方向として推定した場合には、方位推定部118aは、線L1を通り、且つ、地平から高度hの位置を太陽Snの位置として特定する。例えば、図12(a)に示すように、方位推定部118aは、天球上の点のうち、地平から高度hの位置にある点を結んでなる曲線Lhを特定し、この曲線Lhと線L1との交点を、太陽Snの位置として特定する。そして、方位推定部118aは、特定した太陽Snの位置と方位角Aとに基づいて、北を示す方位を特定し、この北を基準として撮像方向の方位角θを算出する。
【0062】
同様に、図11(b)に示したように、相対方向推定部117aが線L2を太陽の相対方向として推定した場合には、図12(b)に示すように、方位推定部118aは、線L2を通り、且つ、地平から高度hの位置を太陽Snの位置として特定する。そして、方位推定部118aは、特定した太陽Snの位置と方位角Aとに基づいて、北を示す方位を特定し、この北を基準として撮像方向の方位角θを算出する。
【0063】
以上のように、方位推定部118aは、撮像方向の方位角θを算出すると、算出された方位角θに基づいて方位推定装置1の位置を原点とする地平座標における方位を推定し、その方位に応じたコンパス図を表示部14に表示する。
【0064】
なお、曲線Lhと線L(L1、L2)との交点は、図12に示すように2点が特定されることもある。この場合、制御部11は、特定した2点をそれぞれ太陽の位置の候補として、これらに基づいて方位角θをそれぞれ推定し、表示部14に推定された2つの方位角θに基づくコンパス図をそれぞれ表示してもよい。
【0065】
以上の構成により、第2実施形態に係る方位推定装置1は、地磁気やGPSを用いることなく、方位を推定することができる。
【0066】
3.変形例
以上が実施形態の説明であるが、この実施形態の内容は以下のように変形し得る。また、以下の変形例を組み合わせてもよい。
3−1.上述の第1実施形態において、ユーザは、z軸を中心として方位推定装置1を回転させていたが、撮像部17の各光学部材171を回転させてもよい。この回転は、制御部11によって制御される図示しない駆動部によって、行われてもよい。
【0067】
また、制御部11は、姿勢検知部18の検知する姿勢情報を参照して、装置座標系の地平面に対する傾きに応じて、撮像部17の各光学部材171を回転させてもよい。これにより、方位推定装置1は、偏光フィルタの方向成分Daや方向成分Dbをy軸やx軸の向きに連動させることができる。
【0068】
3−2.上述の実施形態において、光学部材171は撮像部17に2つ備えられていたが、3つ以上備えられていてもよいし、1つだけ備えられていてもよい。光学部材171が撮像部17に1つだけ備えられている場合、この光学部材171は、駆動部によって周期的に回転させられるように構成し、制御部11が回転周期内における予め定められた複数のタイミングで撮像を行って、各タイミングに応じた画像の明度を比較することで、太陽の相対方向を推定すればよい。
【0069】
3−3.上述の実施形態において、光学部材171aと光学部材171bとにそれぞれ設けられた偏光フィルタの偏光方向が成す角は90度であったが、この角度は90度に限られない。各偏光フィルタの偏光方向に差があり、両者が平行でなければよい。
【0070】
3−4.上述の第1実施形態において、制御部11は、方位推定装置1または光学部材171を回転させて得た2つの画像の明度情報を取得し、明度差が最も増大したときに、その明度差をRAMに記憶して、記憶した明度差から太陽の相対方向である角度ψを推定していたが、方位推定装置1または光学部材171を回転させないで得た2つの画像の明度情報を取得し、その明度差に基づいて角度ψを推定してもよい。この場合、図5に示したz(+)方向を結ぶ線Cvの方向は、2つの画像Pa,Pbにそれぞれ対応する方向成分Da,Dbのいずれにも一致しないことがある。例えば、上述した図9(b)は、この変形例における2つの画像の明度差の一例を示す図である。同図に示すように、方向成分Da,Dbに対して線Cvが成す角がいずれも45度である場合、光学部材171a,171bでそれぞれ吸収される偏光成分の量は等しいので、画像Pa,Pbはともに暗くなり、明度差は生じない。このような場合であっても、制御部11は、以下のような方法で、太陽の相対方向を推定すればよい。
【0071】
(1)プログラムに角度ψと最大の明度差との関係のほか、明度そのものと角度ψとの関係が記述されている場合、制御部11は、各画像の明度そのものと算出した明度差とをキーにして、プログラムに記述されたこれらのパターンから角度ψを特定すればよい。
【0072】
(2)制御部11は、姿勢情報取得部115が取得した姿勢情報から装置座標系のx軸またはy軸の方向を特定し、特定したx軸またはy軸の方向と、太陽Snの相対方向との傾きを算出して、この傾きに応じて角度ψを補正すればよい。この処理は具体的に、以下の通りである。制御部11は、各画像の明度差を最大の明度差と仮定して、太陽の相対方向である角度ψを算出する。そして、制御部11は、太陽の相対方向と、太陽の絶対方向、および姿勢情報から得た仰角φにより撮像方向の方位角θを算出する。次に、制御部11は、姿勢情報から重力方向に対する装置座標系のx(+)方向またはy(+)方向を特定し、特定したこの方向と、図5に示したz(+)方向を結ぶ線Cvの方向との成す角度ζを求める。そして、この角度ζが減少するように、角度ψを補正して、上述の計算を繰り返せばよい。なお、この処理には、種々の最適化計算のアルゴリズムが適用可能である。
【0073】
(3)撮像部17は、さらに偏光フィルタを有しない光学部材171cを備え、この光学部材171cを介して撮像された画像Pcを撮像するようにしてもよい。画像Pcは、偏光フィルタを経ていない光により生成された画像なので、画像Paや画像Pbと比較することで、偏光フィルタを介することによる画像の明度への影響がそれぞれ特定される。これにより、画像Paと画像Pbとの明度の比較による明度差に加えて、画像Paおよび画像Pbの画像Pcに対する明度差がそれぞれ特定されるので、方位推定の確度が向上する。
【0074】
3−5.上述の実施形態において、撮像部17は、z(+)方向のみの撮像方向を有していたが、複数の撮像方向を有していてもよい。この場合、複数の撮像方向のそれぞれに、複数の光学部材171を備えさせ、各光学部材171には、それぞれ互いに偏光方向が異なる偏光フィルタを設けるようにしてもよい。これにより、方位推定装置1は、z(+)方向を撮像した画像Pa,Pbと、z(+)方向と異なる方向(例えば、xz平面においてz(+)方向からx(+)方向に1度ずれた方向など)を撮像した画像Pc,Pdをそれぞれ取得する。そして、方位推定装置1は、画像Pa,Pbの組から推定される角度ψaや線Laが1つに絞り込めない場合に、画像Pc,Pdの組から推定される角度ψcや線Lcを用いてこれらを1つに絞り込むようにしてもよい。なお、撮像方向は2つ以下に限られるものではなく、3つ以上であってもよい。
【0075】
太陽の相対方向が1つに絞り込めない原因は、特定方向が太陽光の照射方向に対して対称であることが挙げられる。例えば、西の地平線上に太陽が位置しているときに、北西(西から北側に向かって45度の方向)の地平線を撮像した場合と、南西(西から南側に向かって45度の方向)の地平線を撮像した場合とでは、いずれも特定方向は地平面に対して垂直となり、且つ、太陽光の照射方向である西からずれた角度も45度と等しいため、これだけでは見分けがつかない。上述した変形例のように、第1の撮像方向を撮像した画像によって特定される太陽の相対方向の候補が2つ以上ある場合には、第1の撮像方向と異なる方向である第2の撮像方向を撮像した画像を用いることで、この2つ以上ある候補のうちの1つを選択することができる場合がある。
【0076】
(1)具体的には、上述の例によると、方位推定装置1が南東と、天頂から見て南東から時計回りに10度ずれた方向とをそれぞれ撮像した場合には、前者より後者の方が、明度差が増加する。後者は、南から東側に向かって55度の方向だからである。一方、方位推定装置1が南西と、天頂から見て南西から時計回りに10度ずれた方向とをそれぞれ撮像した場合には、前者より後者の方が、明度差が低下する。後者は、南から西側に向かって35度の方向だからである。したがって、或る方向と、或る方向から決まった方向にずれた方向とをそれぞれ撮像した場合に、ずれた方向における明度差が或る方向における明度差より増加しているか減少しているかを判断することにより、方位推定装置1は、この或る方向を1つに絞り込むことができる。
【0077】
(2)なお、ユーザに方位推定装置1の姿勢を変えさせたり、図示しない駆動部によって撮像部17の光学部材171の向きを動かしたりすることで、撮像部17に今までと異なる撮像方向を撮像させ、方位推定装置1が複数の撮像方向を撮像した画像を取得するようにしてもよい。これにより得られた複数の撮像方向の各画像を比較して、方位推定装置1の制御部11は、太陽の相対方向を1つに絞り込むようにすればよい。この場合においても、姿勢が変動するだけなので、方位推定装置1の位置(例えば重心など)を原点Oから移動させる必要は無い。そして、同時に複数の方向を撮像する場合に比較して、方位推定装置1の部品点数を抑制することができる。
【0078】
3−6.上述の実施形態において、撮像部17の2つの光学部材171a,171bは、互いに偏光方向が異なる偏光フィルタを備えていたが、1つの光学部材171に互いに偏光方向が異なる複数種類の偏光フィルタが備えられていてもよい。
【0079】
(1)図13は、この変形例における偏光フィルタの一例を示す図である。図13(a)に示すように、偏光フィルタは、y軸方向に平行な複数の線で複数の領域に区切られており、区切られた複数の領域は交互に偏光方向が異なるように構成されている。この偏光フィルタを用いることで、図13(b)や図13(c)に示すように、受光した偏光成分に応じて、各領域に明度差が生じ、撮像された画像には領域ごとに明暗のパターンが発生する。図13(b)で示したパターンはx軸方向の両端が明るく、図13(c)で示したパターンはx軸方向の両端が暗い。このようにパターンの違いから、受光した偏光成分を特定し、推定結果に基づいて太陽の相対方向を推定すればよい。この場合、光学部材171は1つでもよい。
【0080】
(2)また、図14は、この変形例における偏光フィルタの別の一例を示す図である。図14(a)に示すように、この偏光フィルタは正八角形であり、正八角形の中心と各頂点とを結ぶ8つの線分によって8つの領域R1〜R8に区画されている。領域R1と領域R5とは、x(+)方向に平行な偏光方向を有する偏光フィルタである。領域R3と領域R7とは、y(+)方向に平行な偏光方向を有する偏光フィルタである。そして、領域R2と領域R6とは、x(+)方向に対して−45度の偏光方向を有する偏光フィルタであり、領域R4と領域R8とは、x(+)方向に対して+45度の偏光方向を有する偏光フィルタである。このように、図14に示す偏光フィルタは、4種類の偏光方向をそれぞれ有する領域に区画されている。
【0081】
図14(b)に示すように、上述の偏光フィルタを介して撮像された画像が「領域R1と領域R5が最も暗く、領域R2と領域R6、および領域R4と領域R8が次に暗く、領域R3と領域R7が最も明るい」というパターンを示した場合、方位推定装置1が、この撮像方向から受け取る最も強い直線偏光の方向(特定方向)は、y軸方向に平行な方向である。したがって、図14(b)に示すように、このパターンから、y軸方向に平行な方向に上述した線Cvが配置していることがわかる。つまり、例えば領域R1と領域R5の各重心を結ぶ線が上述した線Cvに重なる。
【0082】
また、図14(c)に示すように、上述の偏光フィルタを介して撮像された画像が「領域R4と領域R8が最も暗く、領域R1と領域R5、および領域R3と領域R7が次に暗く、領域R2と領域R6が最も明るい」というパターンを示した場合、方位推定装置1が、この撮像方向から受け取る最も強い直線偏光の方向(特定方向)は、x(+)方向に対して−45度の方向である。したがって、図14(b)に示すように、このパターンから、x(+)方向に対して−45度の方向に上述した線Cvが配置していることがわかる。つまり、例えば領域R4と領域R8の各重心を結ぶ線が上述した線Cvに重なる。
【0083】
また、図14(c)に示すように、上述の偏光フィルタを介して撮像された画像が「領域R3と領域R7が最も暗く、領域R2と領域R6、および領域R4と領域R8が次に暗く、領域R1と領域R5が最も明るい」というパターンを示した場合、方位推定装置1が、この撮像方向から受け取る最も強い直線偏光の方向(特定方向)は、x軸方向に平行な方向である。したがって、図14(c)に示すように、このパターンから、x軸方向に平行な方向に上述した線Cvが配置していることがわかる。つまり、例えば領域R3と領域R7の各重心を結ぶ線が上述した線Cvに重なる。
【0084】
このように、偏光フィルタが備える偏光方向は、x、y軸の2種類から45度ずつ位相が異なるように構成された4種類に増やすことにより、撮像方向から受け取る最も強い直線偏光の方向(特定方向)の特定精度を上げることができる。また、さらに、位相差を細かくし、偏光フィルタが備える偏光方向の種類を増加させることで、方位推定装置1による方位推定の精度は向上する。なお、偏光フィルタが備える偏光方向は、2種類と4種類に限定されるものではなく、2種類以上であればよい。また、上述した例では、偏光フィルタは正八角形であり、正八角形の中心と各頂点とを結ぶ8つの線分によって区画される8つの領域R1〜R8のうち、対向する2つの領域の偏光方向が共通していたが、偏光フィルタの形態はこれに限られず、偏光フィルタが区画されている場合において、例えば、区画された領域の全ての偏光方向が異なっていてもよい。
【0085】
3−7.上述の実施形態において、明度情報取得部114は、撮像部17から画像データを受け取り、その明度を示す明度情報を取得していたが、明度情報に代えて偏光成分の光強度を示す光強度情報を他の構成から取得してもよい。例えば、方位推定装置1は、撮像部17に代えて、2つの偏光フィルタを介してそれぞれ得られる2つの光強度を検出する光強度センサを備えていてもよい。この場合、明度情報取得部114は、光強度センサから2つの光の強度を光強度情報として取得し、相対方向推定部117は、これらの差である光強度差から角度ψを推定してもよい。要するに、方位推定装置1は、自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、各光強度を示す光強度情報を取得可能なように構成されていればよい。
【0086】
なお、上述の実施形態において、明度情報取得部114は、撮像部17から画像Pa,Pbをそれぞれ示す画像データ受け取り、それぞれの明度を示す明度情報を取得していたが、上述したとおり、偏光成分の光強度と、その偏光成分を受け取って撮像部17により生成される画像の明度とは相関があるので、明度情報取得部114が取得する明度情報は、各偏光成分の光強度をそれぞれ示す光強度情報として用いられる。つまり、明度情報取得部114は、自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段として機能する。
【0087】
3−8.上述の実施形態において、撮像部17は、偏光フィルタを備えていたが、偏光フィルタに代えて液晶を備えていてもよい。この場合、制御部11は、液晶に印加する電圧を制御して液晶の偏光特性を変動させ、撮像部17は、変動した偏光特性に応じて撮像すればよい。すなわち、この制御部11は、印加する電圧を変えて液晶が透過させる偏光成分を変動させる液晶制御手段として機能する。
【0088】
3−9.上述の実施形態において、通信部16は、無線基地局の識別情報を読み出すことにより方位推定装置1の位置を特定し、この位置を示す位置情報を出力していたが、通信部16以外の構成が位置情報を出力してもよい。例えば、GPSを用いた測位部が、方位推定装置1の位置を特定してもよい。この場合であっても、ユーザは、方位を推定するために方位推定装置1を移動させる必要が無い。
【0089】
3−10.なお、方位推定装置1は、地磁気センサを含んでいてもよい。この場合、方位推定装置1は、地磁気センサによる方位の推定の信頼性を、センサの感知結果に基づいて評価し、その評価を示す評価値が予め定めた閾値を下回った場合に、上述の方位推定部118によって推定される方位を表示させるようにしてもよい。また、方位推定部118による方位の推定結果が複数ある場合において、地磁気センサによる方位の推定結果により近い方の推定結果を表示部14に表示させるようにしてもよいし、地磁気センサによる方位の推定結果そのものを表示部14に表示させるようにしてもよい。
【0090】
3−11.上述の実施形態において、表示部14には、図2(b)に示したように推定された方位を表すコンパス図が表示されていたが、地平面に垂直な平行光線に対して表示部14の表示面が平行となるような姿勢を方位推定装置1がとっていた場合には、上述したように、地平面に描いたコンパス図の正射影を表示部14に表示させることはできない。この場合、表示部14は、撮像方向の反対方向(つまり、z(−)方向)の方位を表示すればよい。例えば、表示部14は、コンパス図の中心点から見たそのコンパス図の半円部分を表示してもよいし、「北東」「南西」などの文字列を表示してもよい。
【0091】
3−12.方位推定装置1の制御部11によって実行される各プログラムは、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、光ディスクなどの光記録媒体、光磁気記録媒体、半導体メモリなどの、コンピュータ装置が読み取り可能な記録媒体に記憶された状態で提供し得る。また、このプログラムを、インターネットのようなネットワーク経由でダウンロードさせることも可能である。なお、上記の制御部11によって例示した制御手段としてはCPU以外にも種々の装置を適用することができ、例えば、専用のプロセッサなどを用いてもよい。
【0092】
3−13.上述の実施形態において、記憶部12は、天体情報121を記憶しており、天体情報取得部111は、記憶部12から天体情報121を取得していたが、天体情報取得部111は、他の構成から天体情報を取得してもよい。この他の構成としては、例えば、要求に応じて天体情報を供給するサーバ装置などが挙げられる。すなわち、天体情報取得部111は、通信部16を介してサーバ装置に天体情報の要求を送信し、サーバ装置から要求した天体情報を取得すればよい。この場合、記憶部12は、天体情報121を記憶していなくてもよい。
【0093】
3−14.上述の第1実施形態において、明度差情報取得部114は、撮像部17から各画像の明度情報を取得し、明度差をRAMに記憶していたが、明度差ではなく、各画像の明度の比を記憶してもよい。
【0094】
3−15.上述の第2実施形態において、方位推定装置1の姿勢は、装置座標系のx(+)方向が地平面に含まれるようにユーザによって調整されていたが、調整はされなくてもよい。この場合、方位推定装置1の制御部11は、姿勢検知部18によって検知された姿勢情報を参照して、x(+)方向の地平面に対する傾きを取得し、x軸方向である方向成分Dbと線Cvとの成す角にこの傾きを加算することにより、線Cvの地平面に対する角度を算出すればよい。そして、相対方向推定部117aは、この線Cvの地平面に対する角度とz(+)方向の仰角φとに基づいて、天球上の線Lを特定すればよい。
【0095】
3−16.上述の第1実施形態の相対方向推定部117は角度ψを取得し、第2実施形態の相対方向推定部117aは、点zにおいて線Cvまたは接線Tと直交する線Lを取得して、それぞれ太陽の相対方向を推定していたが、相対方向推定部117(117a)は、角度ψおよび線Lの両方を取得して、太陽の相対方向を推定するようにしてもよい。角度ψにより、太陽光の照射方向に対する撮像方向の相対的な角度が明確になり、線Lにより、撮像方向から受け取る光の方向(特定方向)の地平面に対する角度が明確になるため、これらを組み合わせることで、太陽の相対方向の推定がより正確になる。
【符号の説明】
【0096】
1…方位推定装置、11…制御部、111…天体情報取得部、112…日時情報取得部、113…位置情報取得部、114…明度情報取得部、115…姿勢情報取得部、116…絶対方向推定部、117…相対方向推定部、118…方位推定部、12…記憶部、121…天体情報、13…操作部、14…表示部、15…時計部、16…通信部、17…撮像部、171(171a,171b)…光学部材、18…姿勢検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地球に対する太陽の運動を示す天体情報を取得する天体情報取得手段と、
日時情報を取得する日時情報取得手段と、
自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、
或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、
前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度、および前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段と
を具備することを特徴とする方位推定装置。
【請求項2】
地球に対する太陽の運動を示す天体情報を取得する天体情報取得手段と、
日時情報を取得する日時情報取得手段と、
自装置の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段から、当該各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、
或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、
前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向、並びに前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段と
を具備することを特徴とする方位推定装置。
【請求項3】
前記第2推定手段は、前記光強度の差に応じて、前記太陽の方向を推定する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の方位推定装置。
【請求項4】
前記検出手段は、それぞれ異なる偏光方向の複数の偏光フィルタを通して撮像を行う撮像手段を備え、
前記光強度情報取得手段は、前記撮像手段により各々の前記偏光フィルタを通して撮像された各画像の明度を示す明度情報を前記光強度情報として取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方位推定装置。
【請求項5】
前記検出手段は、それぞれ異なる偏光方向の複数の偏光フィルタが配置されたフィルタを通して撮像を行う撮像手段を備え、
前記光強度情報取得手段は、前記撮像手段により撮像された画像の明度の配置パターンを示す明度情報を前記光強度情報として取得する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方位推定装置。
【請求項6】
前記検出手段は、偏光フィルタを通して撮像を行う撮像手段と、前記偏光フィルタを回転させて、前記撮像手段へと透過させる偏光成分を変動させる回転駆動部とを備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方位推定装置。
【請求項7】
前記検出手段は、液晶を通して撮像を行う撮像手段と、印加する電圧を変えて当該液晶が透過させる偏光成分を変動させる液晶制御手段とを備える
ことを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の方位推定装置。
【請求項8】
地球に対する太陽の運動を示す天体情報を記憶する記憶手段と、日時情報を出力する時計と、自装置の位置を計測して当該位置を示す位置情報を出力する測位手段と、前記自装置に照射される太陽光を複数の偏光成分に分離し、分離した各偏光成分の光強度を検出する検出手段と、或る方向を基準とした前記自装置の姿勢を検知する姿勢検知手段とを備えるコンピュータを、
前記記憶手段から、前記天体情報を取得する天体情報取得手段と、
前記時計から、前記日時情報を取得する日時情報取得手段と、
前記測位手段から、前記位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記検出手段から、前記各光強度を示す光強度情報を取得する光強度情報取得手段と、
前記姿勢検知手段から、前記自装置の姿勢を示す姿勢情報を取得する姿勢情報取得手段と、
前記天体情報取得手段により取得された天体情報を参照し、前記日時情報取得手段により取得された日時情報が示す日時に、前記位置情報取得手段により取得された位置情報が示す位置を原点とする地平座標における太陽の方向を推定する第1推定手段と、
前記光強度情報取得手段により取得された光強度情報が示す各光強度、および前記姿勢情報取得手段により取得された姿勢情報に応じて、前記自装置を基準とした太陽の方向を推定する第2推定手段と、
前記第1推定手段および前記第2推定手段により推定された各方向に応じて、自装置の位置を原点とする地平座標における方位を推定する方位推定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−88073(P2012−88073A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−232666(P2010−232666)
【出願日】平成22年10月15日(2010.10.15)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】