既設接合構造体の補強構造及び補強方法
【課題】リブプレートを有する既設接合構造体を補強するにあたって、構造欠陥の発生を防止しつつ、その耐力、疲労強度の向上を図ることができるうえ、作業性にも優れた構造、方法を提供すること。
【解決手段】柱又は梁として用いられる第1構造部材11と、第1構造部材11の端部11aに接合された第2構造部材13と、これらを補剛するためのリブプレート21とを有する既設接合構造体1において、第2構造部材13とは反対側に位置するリブプレート端部21aの溶接接合部22を取り囲むように第1構造部材11の側面に沿って補強部材31が接合されるとともに、リブプレート21にその補強部材31が接合される。これにより、リブプレート21の端部21aの溶接接合部における応力集中を緩和しつつ、局所的な応力集中を抑えることが可能となり、既設接合構造体1の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【解決手段】柱又は梁として用いられる第1構造部材11と、第1構造部材11の端部11aに接合された第2構造部材13と、これらを補剛するためのリブプレート21とを有する既設接合構造体1において、第2構造部材13とは反対側に位置するリブプレート端部21aの溶接接合部22を取り囲むように第1構造部材11の側面に沿って補強部材31が接合されるとともに、リブプレート21にその補強部材31が接合される。これにより、リブプレート21の端部21aの溶接接合部における応力集中を緩和しつつ、局所的な応力集中を抑えることが可能となり、既設接合構造体1の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱又は梁として用いられる管体等からなる第1構造部材と、第1構造部材の端部に接合された板状部材等からなる第2構造部材と、これらを補剛するためのリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造及び補強方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の既設接合構造体101の構成を示す斜視図であり、図12(a)はその側面図である。
【0003】
従来より、柱や梁として用いられる鋼管等からなる管体111と、その管体111の端部111aに接合される鋼板等からなる板状部材113とを有する既設接合構造体101に対しては、これら管体111と板状部材113とを補剛するために鋼板等からなるリブプレート121を接合することが多い。このリブプレート121は、管体111の主応力方向である軸方向に延びるように配置され、管体111の側面と板状部材113の側面とに溶接により接合されている。これにより、管体111の面外方向に曲げ荷重が負荷されたときに、リブプレート121により管体111の曲げ変形を拘束することが可能となり、既設接合構造体101の強度、剛性の向上を図ることが可能となっている。
【0004】
このとき、リブプレート121は、重量を減らして経済的な設計とするために、板状部材113側の板幅が大きく、板状部材113とは反対側の板幅が小さくなるように断面質台形状、断面三角形状等に形成されたものを用いることが一般である。
【0005】
しかしながら、上述のような構造であると、管体111の面外方向に曲げ荷重が負荷された場合に、板状部材113とは反対側に位置するリブプレート121の端部121aの溶接接合部122において大きな応力集中が発生してしまうことになる。また、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122は、回し溶接が行なわれることが多いことから、溶接の熱影響により発生する引張残留応力や材質劣化の影響により構造欠陥が発生し易い部位となっている。このため、同構造では、管体111の面外方向に曲げ荷重が繰り返し負荷されたときに、その応力集中によりリブプレート121の端部121a近傍の管体111において疲労による亀裂が生じ易くなっており、既設接合構造体101の崩壊を招く恐れが高いものとなっていた。
【0006】
これを解決するための既設接合構造体の補強構造としては、例えば、以下のようなものが提案されている。図12(b)は、従来の既設接合構造体101の補強構造103の構成を示す側面図である。
【0007】
この既設接合構造体101の補強構造103では、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122での溶接ビードを削った後、既設接合構造体101の主応力方向と直交するように平板状の鋼板等からなる補強部材131をリブプレート121の端部121aに突き当てて配置する。そして、補強部材131と管体111を確実に固定するため、リブプレート121とは反対側からこの補強部材131を管体111の側面に、突合せ溶接により十分な溶け込み量を確保しつつ接合するとともに、応力集中部となるリブプレート121の端部121aを補強部材131に溶接により接合することとしている。これにより、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122における応力集中が緩和されて、既設接合構造体101の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
因みに、既設接合構造体101の補強構造103とは直接関係はないが、橋梁の主桁の補強構造のような他の技術分野では、特許文献1〜4に記載のような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−70570号公報
【特許文献2】特開2006−45833号公報
【特許文献3】特開2007−107185号公報
【特許文献4】特開2007−77749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような補強構造103では、応力集中が生じ得るリブプレート121の端部121aの溶接接合部122の極めて近くで溶け込み量の大きい突合せ溶接をすることになるため、溶接作業が困難となるうえ、既熱影響部にさらに熱影響を与えるため、引張残留応力や材質変化の影響により依然として構造欠陥を生み出し易くなっており、かえって既設接合構造体101の耐力、疲労強度の低下を招きかねないことになっていた。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、リブプレートを有する既設接合構造体を補強するにあたって、構造欠陥の発生を防止しつつ、その耐力、疲労強度の向上を図ることができるうえ、作業性にも優れた既設接合構造体の補強構造及び補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の既設接合構造体の補強構造及び補強方法を発明した。
【0013】
第1発明に係る既設接合構造体の補強構造は、柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造において、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材が接合されるとともに、前記リブプレートに当該補強部材が接合されることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明において、前記補強部材は、前記リブプレートの両側面と前記第1構造部材の側面とに接合されていることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明又は第2発明において、前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1鋼構造部材との溶接接合部においてスカラップが形成されていることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第3発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部に対して50mm以上200mm以下の間隔を空けて接合されていることを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第4発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、6mm以上12mm以下の板厚からなることを特徴とする。
【0018】
第6発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第5発明の何れか一つの発明において、前記第1構造部材の側面からの高さが25mm以上100mm以下であることを特徴とする。
【0019】
第7発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第6発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材の側面とに溶接により接合されていることを特徴とする。
【0020】
第8発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第7発明において、前記補強部材の溶接による接合部は、グラインダ処理又はピーニング処理されていることを特徴とする。
【0021】
第9発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第8発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さについて、前記第2構造部材側が高く、前記第2構造部材とは反対側が低くなるように形成されていることを特徴とする。
【0022】
第10発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第9発明の何れか一つの発明において、前記第1構造部材は、管体から構成されており、前記第2構造部材は、板状部材から構成されていることを特徴とする。
【0023】
第11発明に係る既設接合構造体の補強方法は、柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強方法において、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材を接合するとともに、前記リブプレートに前記補強部材を接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
第1発明〜第11発明によれば、リププレートの端部の溶接接合部における応力集中を緩和することができるうえ、第2構造部材とは反対側の補強部材の端部で応力集中が生じ易い部位を分散させることができ、その結果、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となる。これにより、既設接合構造体の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。また、補強部材の接合時においてリブプレートの端部と第1構造部材との溶接接合部の極めて近くで溶接することなく作業することができ、作業性に優れているうえ、構造欠陥の発生を防止しつつ上述のような効果を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の構成を示す側面図である。
【図3】(a)は図2のA−A線断面図であり、(b)は図3(a)の分解図である。
【図4】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の作用効果について説明するための図である。
【図5】本発明に係る補強部材の形状について説明するための一部拡大側面図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る補強部材の好ましい寸法条件について確認するために行った構造解析の条件を説明するための既設接合構造体の側面図であり、(b)はその平面図である。
【図7】リブプレートの端部の溶接接合部と補強部材との間隔rに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図8】補強部材の板厚tに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図9】補強部材の高さhに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図10】補強部材の他の形状について説明するための側面図である。
【図11】従来の既設接合構造体の構成を示す斜視図である。
【図12】(a)は従来の既設接合構造体の構成を示す側面図であり、(b)はその従来の補強構造の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した既設接合構造体の補強構造及び補強方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る既設接合構造体1の補強構造3の構成を示す斜視図であり、図2はその側面図である。また、図3(a)は図2のA−A線断面図であり、図3(b)は図3(a)の分解図である。
【0028】
本発明の適用の対象となる既設接合構造体1は、第1構造部材11と、第1構造部材11の端部11aに接合された第2構造部材13とを有している。第1構造部材11は、柱又は梁として用いられるものであり、本実施形態において円形鋼管等からなる管体から構成されている。第2構造部材13は、本実施形態において鋼板等からなる板状部材から構成されている。既設接合構造体1は、本実施形態において、柱として用いられる第1構造部材11の端部11aに対して、基礎等にアンカーボルト15により接合される板状部材からなる第2構造部材13を接合したものを例示している。以下においては、第1構造部材11を管体11とし、第2構造部材13を板状部材13として説明する。
【0029】
この既設接合構造体1は、管体11の主応力方向である軸方向に延びるように配置され、管体11の側面と板状部材13の側面とに溶接により接合された複数のリブプレート21を更に有している。リブプレート21は、鋼板等から構成されるものであり、管体11と板状部材13とを補剛するために、その管体11の側面及び板状部材13の側面に溶接により接合されている。
【0030】
リブプレート21は、重量を減らして経済的な設計とするために、本実施形態において、板状部材13側の板幅が大きく、板状部材13とは反対側の板幅が小さくなるように断面台形状、断面三角形状等に形成されている。
【0031】
ここで、本実施形態に係る補強構造3においては、応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように、管体11の側面に沿って補強部材31が溶接等により接合されており、更に、その補強部材31がリブプレート21に溶接等により接合されている。なお、ここでいう応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aとは、第2構造部材13としての板状部材13とは反対側に位置するリブプレート21の端部21aのことを意味する。
【0032】
補強部材31は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22に生じ得る応力集中を緩和するものとして機能する。補強部材31は、リブプレート21の管体11に対する溶接接合部22のうち、応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aの溶接接合部22を少なくとも取り囲むように接合されている。また、補強部材31は、リブプレート21に対しては、そのリブプレート21の両側面に接合されている。補強部材31を管体11に溶接により接合するにあたっては、補強部材31を管体11に確実に固定するため、その溶接形態として、補強部材31の両面側又は片面側から突合せ溶接をして十分な溶け込み量を確保できるようにすることが好ましい。
【0033】
補強部材31は、筒状に形成された鋼材等からなるものであり、本実施形態においては断面円形筒状の円形鋼管から構成されている。これにより補強部材31は、板状部材13とは反対側の端部31aが湾曲して形成されることになり、その湾曲した端部31aが管体11に接合されることになる。なお、補強部材31は、後述のようにその断面形状について特に限定するものではないが、円形鋼管等の断面円形筒状に形成されている場合、実現が非常に容易となり、経済性の観点から好ましい。
【0034】
補強部材31は、管体11の側面に接触する接触面31cが、その管体11の側面に応じた形状となるように形成されている。補強部材31の接触面31cは、本実施形態において管体11が円形鋼管から構成されていることから、その管体11の側面に応じた形状である円弧状に形成されている。
【0035】
補強部材31は、図3(b)に示すように、その周方向の一部の範囲に亘って切り欠くような切欠部33が形成されている。補強部材31は、その切欠部33内にリブプレート21が嵌め込まれたうえで、リブプレート21の側面に接合されている。
【0036】
補強部材31は、リブプレート21と管体11との溶接接合部22においてスカラップ35が形成されている。このスカラップ35は、リブプレート21と管体11との溶接接合部22に沿って延びる溶接ビードを避けるように、補強部材31の一部を切り欠いて形成されるものである。このスカラップ35があることにより、補強部材31を管体11等に溶接により接合するにあたって、リブプレート21の端部21a以外と管体11との溶接接合部22に対して更に溶接することを防止できる。
【0037】
次に、本発明の作用効果について説明する。図4は、本発明に係る既設接合構造体1の補強構造3の作用効果について説明するための図である。
【0038】
管体11の面外方向に曲げ荷重が負荷された場合、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように補強部材31が接合されているので、板状部材13とは反対側の補強部材31の端部31aにおいて応力集中が生じ易くなり、その結果、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22における応力集中が緩和されることになる。
【0039】
このとき、補強部材31は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように接合されているので、板状部材13とは反対側の補強部材31の端部31aのような比較的広い範囲S1に応力集中が生じ易い部位を分散させて、図4に示す方向P1に伝達させることができ、その結果、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となる。そして、この補強部材31に対して伝達された応力は、補強部材31がリブプレート21に接合されているので、リブプレート21に対して図4に示す方向P2に伝達された後、板状部材13に伝達されることになる。
【0040】
このように、本発明によれば、リププレート21の端部21aの溶接接合部22における応力集中を緩和することができるうえ、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となっているため、既設接合構造体1の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【0041】
また、本発明によれば、補強部材31の接合時においてリブプレート21の端部21aと管体11との溶接接合部22の極めて近くで溶接することなく作業することができ、作業性に優れているうえ、構造欠陥の発生を防止しつつ上述のような効果を発揮することが可能となる。
【0042】
また、本発明によれば、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように補強部材31を管体11の側面に接合しつつ、その補強部材31をリブプレート21の両側面に接合するのみで足りるため、上述の所期の効果を得るうえで補強部材31の大きさを小さくすることができ、ひいては補強部材31の重量を軽くすることが可能となる。これにより、補強部材31を一人の作業員が容易に持ち運び可能となる程度の重さにすることにより、高所にある既設接合構造体1の管体11の補強作業をするうえでの安全性の向上を図ることが可能となる。
【0043】
ここで、本発明に係る補強部材31は、板状部材13とは反対側の端部31aの形状を調整することにより、その補強部材31の端部31aの接合部32に対する応力集中を更に緩和させることが可能である。例えば、板状部材13とは反対側に位置する補強部材31の端部31aの管体11の側面からの高さを高くして、その端部31aが先鋭化された形状とならないようにしておけば、その補強部材31の端部31aの接合部32に対する応力集中を更に緩和させることが可能となる。また、本実施形態に係る補強部材31のように、板状部材13とは反対側に位置する補強部材31の端部31aを湾曲させておけば、その端部31aが低剛性化されることにより端部31aの接合部32に対する応力集中を更に効果的に緩和させることが可能となる。
【0044】
なお、上述した実施形態においては、補強部材31が断面円形筒状の円形鋼管から構成されている例について説明したが、補強部材31は、図5(a)〜図5(e)に示すように、その断面形状については特に限定するものではない。例えば、図5(a)に示すように、断面楕円形筒状に形成されていてもよいし、図5(b)に示すように、断面角形筒状に形成されていてもよいし、図5(c)、図5(d)に示すように、断面台形状に形成されていてもよい。また、図5(e)に示すように、板状部材13側の端部31bが断面角形状に形成され、その板状部材13とは反対側の端部31aが湾曲して形成されていてもよい。
【0045】
次に、本発明に係る補強部材31の好ましい寸法条件について説明する。
【0046】
本発明者は、第1実施形態に係る補強構造3について、図2に示すような、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22と補強部材31との間隔r、補強部材31の板厚t、補強部材31の管体11からの高さhが、疲労強度に対してどのような影響を及ぼすか、構造解析により調査することとした。
【0047】
この構造解析は、FEM解析により行うこととした。既設接合構造体1の寸法は図6に示すような条件とし、既設接合構造体1の材質はヤング率が2.05×105N/mm2、ポアソン比が0.3である条件とした。また、この構造解析では、補強部材31の板厚tを6mm、高さhを25mmとして間隔rを変動させた場合の条件1と、間隔rを200mm、高さhを25mmとして板厚tを変動させた場合の条件2と、間隔rを200mm、板厚tを6mmとして高さhを変動させた場合の条件3との各条件について解析を行った。
【0048】
また、この構造解析では、管体11の上端の中央位置Zが管体11と剛結合されているものとし、位置Zに方向Rの荷重が載荷された場合において、リブプレート21の端部21aの近傍の管体11に作用する応力を求めることとした。このとき、既設接合構造体1の板状部材13は拘束されている条件の下で位置Zに荷重を載荷するものとした。また、既設接合構造体1に弾性域を超えない範囲の荷重が負荷されるように位置Zに荷重を載荷するものとした。
【0049】
疲労強度を評価するうえでは、まず、構造解析により下記の数式(11)に記載された応力σ(1.0t)、応力σ(0.4t)を求め、その求めた応力に基づき下記の数式(11)からホットスポット応力σhsを算出した。このとき、応力σ(1.0t)、応力σ(0.4t)について補強部材31、41の接合前後のものを求め、補強部材31の接合後のホットスポット応力σhsAと、補強部材31の接合前のホットスポット応力σhsBとを算出した。なお、このホットスポット応力については、文献「川崎重工技報:ホットスポット応力を用いた船殻構造の疲労強度評価,Vol.154,pp.32-33」にも記載されている。
σhs=1.67×σ(0.4t)−0.67×σ(1.0t) ・・・(11)
σhs :リブプレート21の端部21aの溶接接合部22における管体11側の溶接止端(以下、ホットスポット部という。)での応力
σ(1.0t) :ホットスポット部から管体11の板厚分離れた箇所での応力
σ(0.4t) :ホットスポット部から管体11の板厚の0.4倍分離れた箇所での応
【0050】
次に、補強部材31の接合前後のホットスポット応力σhsA、σhsBに基づき下記の数式(12)から疲労寿命延命効果αを求め、この疲労寿命延命効果αにより疲労強度を評価することとした。
α=σhsB3/σhsA3 ・・・ (12)
【0051】
なお、疲労寿命延命効果αは、下記の数式(13)に示すように、補強部材31の接合後の疲労寿命nAが接合前の疲労寿命nBに対してどの程度向上しているかを表す指標値となる数値である。
α=nA/nB ・・・ (13)
【0052】
ここで、疲労寿命nは、下記の数式(14)〜(17)から導出される数式(18)により表せる。このことから、上述の数式(18)により表された補強部材31の接合前の疲労寿命nBと、接合後の疲労寿命nAと、上述の数式(13)とを結合することによりホットスポット応力σhsa、σhsbの項だけが残り、上述の数式(12)のように疲労寿命延命効果αをホットスポット応力σhsa、σhsbにより表せることになる。なお、下記の数式(14)〜(16)については、文献「鋼構造物の疲労設計指針・同解説,1993年4月25日第1版発行,pp.5-17」にも記載されている。
ΔσR=(C0/n)1/3×CR×Ct ・・・ (14)
(γb×γw×γi)×Δσα=ΔσR ・・・ (15)
C0=2×106×Δσf ・・・ (16)
Δσα=σhs ・・・ (17)
n=(2×106×Δσf×CR3×Ct3)/{(γb×γw×γi)3×σhs3}・・・(18)
ΔσR:許容応力範囲(MPa)
CR:平均応力補正係数
Ct:板厚補正係数
γb×γw×γi:安全係数
Δσα:設計応力範囲(MPa)
Δσf:2×106回基本許容応力範囲(MPa)
【0053】
図8は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22と補強部材31との間隔rに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。図9は、補強部材31の板厚tに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。図10は、補強部材31の高さhに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【0054】
間隔rは、図8に示すように、50mm以上200mm以下である場合、上述の条件1の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。また、間隔rが75mm以上150mm以下である場合、上述の条件1の下で疲労寿命延命効果が2.5倍以上になることが確認できる。間隔rが50mm未満の場合は、補強部材31の湾曲した端部31aの曲率が大きくなりすぎ、その端部31aから管体11の広い範囲に応力集中を分散させ難くなるため、疲労寿命延命効果が低くなるものと考えられる。また、間隔rが200mm超の場合は、補強部材31とリブプレート21の端部21aとの距離が離れすぎることにより、その補強部材31によるリブプレート21の端部21aへの拘束効果がほとんど発揮できなくなるため、疲労寿命延命効果が低くなるものと考えられる。
【0055】
この結果に基づき、間隔rの好ましい数値条件として、50mm以上200mm以下と設定した。この間隔rが50mm未満又は200mm超であると、上述のような理由により優れた疲労寿命延命効果が得られない。また、間隔rが50mm未満であると、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22の溶接ビードを削る必要が生じて作業性が悪化するうえ、既熱影響部に大きく熱影響を与えて構造欠陥を招く恐れが高くなるので好ましくない。また、間隔rが50mm未満であると、補強部材31をその内周側から突合せ溶接をする場合に、溶接棒を補強部材31の内周側に入り込ませるのが困難になり溶接作業性が悪化するため好ましくない。また、この間隔rが200mm超であると、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。また、更に優れた疲労寿命延命効果を得る観点からは、間隔rを75mm以上150mm以下とすることが好ましい。また、間隔rを75mm以上とした場合、上述の作業性、既熱影響部に対する熱影響の観点から更に優れた効果が得られる。間隔rを150mm以下とした場合、上述の重量の過度の増大による悪影響を更に抑えることが可能となる。
【0056】
なお、ここでの間隔rは、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22から補強部材31の全周に亘る範囲での各部位までの間隔を意味する。
【0057】
また、補強部材31の板厚tは、図9に示すように、6mm以上12mm以下である場合、上述の条件2の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。この結果に基づき、補強部材31の板厚tの好ましい数値条件として、6mm以上12mm以下と設定した。補強部材31の板厚tが6mm未満であると、優れた疲労寿命延命効果が得られないうえ、補強部材31を溶接により接合するにあたって作業性が悪化するので好ましくない。また、板厚tが12mm超であると、補強部材31の全板厚に亘る溶け込みが得られるように突合せ溶接をするうえで、補強部材31の片面につき複数パスの溶接が必要となり、1箇所当たりの溶接作業にかかる時間増加するうえ、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。
【0058】
また、補強部材31の高さhは、図10に示すように、25mm以上100mm以下である場合、上述の条件3の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。この結果に基づき、補強部材31の高さhの好ましい数値条件として、25mm以上100mm以下と設定した。高さhが25mm未満であると、優れた疲労寿命延命効果が得られない。また、高さhが100mm超であると、補強部材31をその内周側から突合せ溶接する場合に溶接棒を補強部材31の内周側に入り込ませるのが困難になり溶接作業性の悪化を招くうえ、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。また、補強部材31の重量の増大による作業性の低下、コストの増加を防止する観点からは、高さhを50mm以下とすることが更に好ましい。
【0059】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0060】
例えば、図10に示すように、本発明に係る補強部材31は、管体11の側面からの高さについて、板状部材13側が高く、その板状部材13とは反対側が低くなるように形成されていてもよい。これにより、重量を減らして経済的な設計とすることが可能となる。
【0061】
また、補強部材31を溶接により接合する場合、その溶接による接合部32は、グラインダ処理又はピーニング処理されていてもよい。ここでいうグラインダ処理とは、溶接ビードの余盛部形状が滑らかとなるように研削する処理のことをいい、これにより、溶接止端での応力集中を低減することにより疲労強度を高めることが可能となる。また、ここでいうピーニング処理とは、超音波ピーニング、ショットピーニング等のことであり、超音波振動等による打撃を溶接による接合部32に加えることにより、その接合部32に圧縮残留応力を導入して疲労強度を高めることが可能となる。
【0062】
また、上述した実施形態においては、管体11の周方向に90°の間隔を空けて接合された四つのリブプレート21の夫々に補強部材31が接合されている場合を例示したが、複数のリブプレート21の何れかに対してのみ補強部材31が接合されていてもよい。この場合、例えば、管体11の近傍に壁がある等して何れかのリブプレート21に補強部材31を接合するのが困難である場合のような施工上の制約がある場合においても、そのような施工上の制約によることなく補強部材31を接合することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 :既設接合構造体
3 :補強構造
11 :第1構造部材(管体)
11a :端部
13 :第2構造部材(板状部材)
15 :アンカーボルト
21 :リブプレート
21a :端部
22 :溶接接合部
31 :補強部材
31a、31b :端部
31c :接合面
32 :接合部
33 :切欠部
35 :スカラップ
【技術分野】
【0001】
本発明は、柱又は梁として用いられる管体等からなる第1構造部材と、第1構造部材の端部に接合された板状部材等からなる第2構造部材と、これらを補剛するためのリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造及び補強方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図11は、従来の既設接合構造体101の構成を示す斜視図であり、図12(a)はその側面図である。
【0003】
従来より、柱や梁として用いられる鋼管等からなる管体111と、その管体111の端部111aに接合される鋼板等からなる板状部材113とを有する既設接合構造体101に対しては、これら管体111と板状部材113とを補剛するために鋼板等からなるリブプレート121を接合することが多い。このリブプレート121は、管体111の主応力方向である軸方向に延びるように配置され、管体111の側面と板状部材113の側面とに溶接により接合されている。これにより、管体111の面外方向に曲げ荷重が負荷されたときに、リブプレート121により管体111の曲げ変形を拘束することが可能となり、既設接合構造体101の強度、剛性の向上を図ることが可能となっている。
【0004】
このとき、リブプレート121は、重量を減らして経済的な設計とするために、板状部材113側の板幅が大きく、板状部材113とは反対側の板幅が小さくなるように断面質台形状、断面三角形状等に形成されたものを用いることが一般である。
【0005】
しかしながら、上述のような構造であると、管体111の面外方向に曲げ荷重が負荷された場合に、板状部材113とは反対側に位置するリブプレート121の端部121aの溶接接合部122において大きな応力集中が発生してしまうことになる。また、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122は、回し溶接が行なわれることが多いことから、溶接の熱影響により発生する引張残留応力や材質劣化の影響により構造欠陥が発生し易い部位となっている。このため、同構造では、管体111の面外方向に曲げ荷重が繰り返し負荷されたときに、その応力集中によりリブプレート121の端部121a近傍の管体111において疲労による亀裂が生じ易くなっており、既設接合構造体101の崩壊を招く恐れが高いものとなっていた。
【0006】
これを解決するための既設接合構造体の補強構造としては、例えば、以下のようなものが提案されている。図12(b)は、従来の既設接合構造体101の補強構造103の構成を示す側面図である。
【0007】
この既設接合構造体101の補強構造103では、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122での溶接ビードを削った後、既設接合構造体101の主応力方向と直交するように平板状の鋼板等からなる補強部材131をリブプレート121の端部121aに突き当てて配置する。そして、補強部材131と管体111を確実に固定するため、リブプレート121とは反対側からこの補強部材131を管体111の側面に、突合せ溶接により十分な溶け込み量を確保しつつ接合するとともに、応力集中部となるリブプレート121の端部121aを補強部材131に溶接により接合することとしている。これにより、リブプレート121の端部121aの溶接接合部122における応力集中が緩和されて、既設接合構造体101の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【0008】
因みに、既設接合構造体101の補強構造103とは直接関係はないが、橋梁の主桁の補強構造のような他の技術分野では、特許文献1〜4に記載のような技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2006−70570号公報
【特許文献2】特開2006−45833号公報
【特許文献3】特開2007−107185号公報
【特許文献4】特開2007−77749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、このような補強構造103では、応力集中が生じ得るリブプレート121の端部121aの溶接接合部122の極めて近くで溶け込み量の大きい突合せ溶接をすることになるため、溶接作業が困難となるうえ、既熱影響部にさらに熱影響を与えるため、引張残留応力や材質変化の影響により依然として構造欠陥を生み出し易くなっており、かえって既設接合構造体101の耐力、疲労強度の低下を招きかねないことになっていた。
【0011】
そこで、本発明は、上述した問題点に鑑みて案出されたものであり、その目的とするところは、リブプレートを有する既設接合構造体を補強するにあたって、構造欠陥の発生を防止しつつ、その耐力、疲労強度の向上を図ることができるうえ、作業性にも優れた既設接合構造体の補強構造及び補強方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者は、上述した課題を解決するために、鋭意検討の末、下記の既設接合構造体の補強構造及び補強方法を発明した。
【0013】
第1発明に係る既設接合構造体の補強構造は、柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造において、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材が接合されるとともに、前記リブプレートに当該補強部材が接合されることを特徴とする。
【0014】
第2発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明において、前記補強部材は、前記リブプレートの両側面と前記第1構造部材の側面とに接合されていることを特徴とする。
【0015】
第3発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明又は第2発明において、前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1鋼構造部材との溶接接合部においてスカラップが形成されていることを特徴とする。
【0016】
第4発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第3発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部に対して50mm以上200mm以下の間隔を空けて接合されていることを特徴とする。
【0017】
第5発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第4発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、6mm以上12mm以下の板厚からなることを特徴とする。
【0018】
第6発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第5発明の何れか一つの発明において、前記第1構造部材の側面からの高さが25mm以上100mm以下であることを特徴とする。
【0019】
第7発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第6発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材の側面とに溶接により接合されていることを特徴とする。
【0020】
第8発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第7発明において、前記補強部材の溶接による接合部は、グラインダ処理又はピーニング処理されていることを特徴とする。
【0021】
第9発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第8発明の何れか一つの発明において、前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さについて、前記第2構造部材側が高く、前記第2構造部材とは反対側が低くなるように形成されていることを特徴とする。
【0022】
第10発明に係る既設接合構造体の補強構造は、第1発明〜第9発明の何れか一つの発明において、前記第1構造部材は、管体から構成されており、前記第2構造部材は、板状部材から構成されていることを特徴とする。
【0023】
第11発明に係る既設接合構造体の補強方法は、柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強方法において、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材を接合するとともに、前記リブプレートに前記補強部材を接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
第1発明〜第11発明によれば、リププレートの端部の溶接接合部における応力集中を緩和することができるうえ、第2構造部材とは反対側の補強部材の端部で応力集中が生じ易い部位を分散させることができ、その結果、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となる。これにより、既設接合構造体の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。また、補強部材の接合時においてリブプレートの端部と第1構造部材との溶接接合部の極めて近くで溶接することなく作業することができ、作業性に優れているうえ、構造欠陥の発生を防止しつつ上述のような効果を発揮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の構成を示す側面図である。
【図3】(a)は図2のA−A線断面図であり、(b)は図3(a)の分解図である。
【図4】本発明の実施形態に係る既設接合構造体の補強構造の作用効果について説明するための図である。
【図5】本発明に係る補強部材の形状について説明するための一部拡大側面図である。
【図6】(a)は本発明の実施形態に係る補強部材の好ましい寸法条件について確認するために行った構造解析の条件を説明するための既設接合構造体の側面図であり、(b)はその平面図である。
【図7】リブプレートの端部の溶接接合部と補強部材との間隔rに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図8】補強部材の板厚tに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図9】補強部材の高さhに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【図10】補強部材の他の形状について説明するための側面図である。
【図11】従来の既設接合構造体の構成を示す斜視図である。
【図12】(a)は従来の既設接合構造体の構成を示す側面図であり、(b)はその従来の補強構造の構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を適用した既設接合構造体の補強構造及び補強方法の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0027】
図1は、本発明の実施形態に係る既設接合構造体1の補強構造3の構成を示す斜視図であり、図2はその側面図である。また、図3(a)は図2のA−A線断面図であり、図3(b)は図3(a)の分解図である。
【0028】
本発明の適用の対象となる既設接合構造体1は、第1構造部材11と、第1構造部材11の端部11aに接合された第2構造部材13とを有している。第1構造部材11は、柱又は梁として用いられるものであり、本実施形態において円形鋼管等からなる管体から構成されている。第2構造部材13は、本実施形態において鋼板等からなる板状部材から構成されている。既設接合構造体1は、本実施形態において、柱として用いられる第1構造部材11の端部11aに対して、基礎等にアンカーボルト15により接合される板状部材からなる第2構造部材13を接合したものを例示している。以下においては、第1構造部材11を管体11とし、第2構造部材13を板状部材13として説明する。
【0029】
この既設接合構造体1は、管体11の主応力方向である軸方向に延びるように配置され、管体11の側面と板状部材13の側面とに溶接により接合された複数のリブプレート21を更に有している。リブプレート21は、鋼板等から構成されるものであり、管体11と板状部材13とを補剛するために、その管体11の側面及び板状部材13の側面に溶接により接合されている。
【0030】
リブプレート21は、重量を減らして経済的な設計とするために、本実施形態において、板状部材13側の板幅が大きく、板状部材13とは反対側の板幅が小さくなるように断面台形状、断面三角形状等に形成されている。
【0031】
ここで、本実施形態に係る補強構造3においては、応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように、管体11の側面に沿って補強部材31が溶接等により接合されており、更に、その補強部材31がリブプレート21に溶接等により接合されている。なお、ここでいう応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aとは、第2構造部材13としての板状部材13とは反対側に位置するリブプレート21の端部21aのことを意味する。
【0032】
補強部材31は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22に生じ得る応力集中を緩和するものとして機能する。補強部材31は、リブプレート21の管体11に対する溶接接合部22のうち、応力集中が生じ得るリブプレート21の端部21aの溶接接合部22を少なくとも取り囲むように接合されている。また、補強部材31は、リブプレート21に対しては、そのリブプレート21の両側面に接合されている。補強部材31を管体11に溶接により接合するにあたっては、補強部材31を管体11に確実に固定するため、その溶接形態として、補強部材31の両面側又は片面側から突合せ溶接をして十分な溶け込み量を確保できるようにすることが好ましい。
【0033】
補強部材31は、筒状に形成された鋼材等からなるものであり、本実施形態においては断面円形筒状の円形鋼管から構成されている。これにより補強部材31は、板状部材13とは反対側の端部31aが湾曲して形成されることになり、その湾曲した端部31aが管体11に接合されることになる。なお、補強部材31は、後述のようにその断面形状について特に限定するものではないが、円形鋼管等の断面円形筒状に形成されている場合、実現が非常に容易となり、経済性の観点から好ましい。
【0034】
補強部材31は、管体11の側面に接触する接触面31cが、その管体11の側面に応じた形状となるように形成されている。補強部材31の接触面31cは、本実施形態において管体11が円形鋼管から構成されていることから、その管体11の側面に応じた形状である円弧状に形成されている。
【0035】
補強部材31は、図3(b)に示すように、その周方向の一部の範囲に亘って切り欠くような切欠部33が形成されている。補強部材31は、その切欠部33内にリブプレート21が嵌め込まれたうえで、リブプレート21の側面に接合されている。
【0036】
補強部材31は、リブプレート21と管体11との溶接接合部22においてスカラップ35が形成されている。このスカラップ35は、リブプレート21と管体11との溶接接合部22に沿って延びる溶接ビードを避けるように、補強部材31の一部を切り欠いて形成されるものである。このスカラップ35があることにより、補強部材31を管体11等に溶接により接合するにあたって、リブプレート21の端部21a以外と管体11との溶接接合部22に対して更に溶接することを防止できる。
【0037】
次に、本発明の作用効果について説明する。図4は、本発明に係る既設接合構造体1の補強構造3の作用効果について説明するための図である。
【0038】
管体11の面外方向に曲げ荷重が負荷された場合、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように補強部材31が接合されているので、板状部材13とは反対側の補強部材31の端部31aにおいて応力集中が生じ易くなり、その結果、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22における応力集中が緩和されることになる。
【0039】
このとき、補強部材31は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように接合されているので、板状部材13とは反対側の補強部材31の端部31aのような比較的広い範囲S1に応力集中が生じ易い部位を分散させて、図4に示す方向P1に伝達させることができ、その結果、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となる。そして、この補強部材31に対して伝達された応力は、補強部材31がリブプレート21に接合されているので、リブプレート21に対して図4に示す方向P2に伝達された後、板状部材13に伝達されることになる。
【0040】
このように、本発明によれば、リププレート21の端部21aの溶接接合部22における応力集中を緩和することができるうえ、局所的に応力集中が生じるのを抑えることが可能となっているため、既設接合構造体1の耐力、疲労強度の向上を図ることが可能となる。
【0041】
また、本発明によれば、補強部材31の接合時においてリブプレート21の端部21aと管体11との溶接接合部22の極めて近くで溶接することなく作業することができ、作業性に優れているうえ、構造欠陥の発生を防止しつつ上述のような効果を発揮することが可能となる。
【0042】
また、本発明によれば、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22を取り囲むように補強部材31を管体11の側面に接合しつつ、その補強部材31をリブプレート21の両側面に接合するのみで足りるため、上述の所期の効果を得るうえで補強部材31の大きさを小さくすることができ、ひいては補強部材31の重量を軽くすることが可能となる。これにより、補強部材31を一人の作業員が容易に持ち運び可能となる程度の重さにすることにより、高所にある既設接合構造体1の管体11の補強作業をするうえでの安全性の向上を図ることが可能となる。
【0043】
ここで、本発明に係る補強部材31は、板状部材13とは反対側の端部31aの形状を調整することにより、その補強部材31の端部31aの接合部32に対する応力集中を更に緩和させることが可能である。例えば、板状部材13とは反対側に位置する補強部材31の端部31aの管体11の側面からの高さを高くして、その端部31aが先鋭化された形状とならないようにしておけば、その補強部材31の端部31aの接合部32に対する応力集中を更に緩和させることが可能となる。また、本実施形態に係る補強部材31のように、板状部材13とは反対側に位置する補強部材31の端部31aを湾曲させておけば、その端部31aが低剛性化されることにより端部31aの接合部32に対する応力集中を更に効果的に緩和させることが可能となる。
【0044】
なお、上述した実施形態においては、補強部材31が断面円形筒状の円形鋼管から構成されている例について説明したが、補強部材31は、図5(a)〜図5(e)に示すように、その断面形状については特に限定するものではない。例えば、図5(a)に示すように、断面楕円形筒状に形成されていてもよいし、図5(b)に示すように、断面角形筒状に形成されていてもよいし、図5(c)、図5(d)に示すように、断面台形状に形成されていてもよい。また、図5(e)に示すように、板状部材13側の端部31bが断面角形状に形成され、その板状部材13とは反対側の端部31aが湾曲して形成されていてもよい。
【0045】
次に、本発明に係る補強部材31の好ましい寸法条件について説明する。
【0046】
本発明者は、第1実施形態に係る補強構造3について、図2に示すような、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22と補強部材31との間隔r、補強部材31の板厚t、補強部材31の管体11からの高さhが、疲労強度に対してどのような影響を及ぼすか、構造解析により調査することとした。
【0047】
この構造解析は、FEM解析により行うこととした。既設接合構造体1の寸法は図6に示すような条件とし、既設接合構造体1の材質はヤング率が2.05×105N/mm2、ポアソン比が0.3である条件とした。また、この構造解析では、補強部材31の板厚tを6mm、高さhを25mmとして間隔rを変動させた場合の条件1と、間隔rを200mm、高さhを25mmとして板厚tを変動させた場合の条件2と、間隔rを200mm、板厚tを6mmとして高さhを変動させた場合の条件3との各条件について解析を行った。
【0048】
また、この構造解析では、管体11の上端の中央位置Zが管体11と剛結合されているものとし、位置Zに方向Rの荷重が載荷された場合において、リブプレート21の端部21aの近傍の管体11に作用する応力を求めることとした。このとき、既設接合構造体1の板状部材13は拘束されている条件の下で位置Zに荷重を載荷するものとした。また、既設接合構造体1に弾性域を超えない範囲の荷重が負荷されるように位置Zに荷重を載荷するものとした。
【0049】
疲労強度を評価するうえでは、まず、構造解析により下記の数式(11)に記載された応力σ(1.0t)、応力σ(0.4t)を求め、その求めた応力に基づき下記の数式(11)からホットスポット応力σhsを算出した。このとき、応力σ(1.0t)、応力σ(0.4t)について補強部材31、41の接合前後のものを求め、補強部材31の接合後のホットスポット応力σhsAと、補強部材31の接合前のホットスポット応力σhsBとを算出した。なお、このホットスポット応力については、文献「川崎重工技報:ホットスポット応力を用いた船殻構造の疲労強度評価,Vol.154,pp.32-33」にも記載されている。
σhs=1.67×σ(0.4t)−0.67×σ(1.0t) ・・・(11)
σhs :リブプレート21の端部21aの溶接接合部22における管体11側の溶接止端(以下、ホットスポット部という。)での応力
σ(1.0t) :ホットスポット部から管体11の板厚分離れた箇所での応力
σ(0.4t) :ホットスポット部から管体11の板厚の0.4倍分離れた箇所での応
【0050】
次に、補強部材31の接合前後のホットスポット応力σhsA、σhsBに基づき下記の数式(12)から疲労寿命延命効果αを求め、この疲労寿命延命効果αにより疲労強度を評価することとした。
α=σhsB3/σhsA3 ・・・ (12)
【0051】
なお、疲労寿命延命効果αは、下記の数式(13)に示すように、補強部材31の接合後の疲労寿命nAが接合前の疲労寿命nBに対してどの程度向上しているかを表す指標値となる数値である。
α=nA/nB ・・・ (13)
【0052】
ここで、疲労寿命nは、下記の数式(14)〜(17)から導出される数式(18)により表せる。このことから、上述の数式(18)により表された補強部材31の接合前の疲労寿命nBと、接合後の疲労寿命nAと、上述の数式(13)とを結合することによりホットスポット応力σhsa、σhsbの項だけが残り、上述の数式(12)のように疲労寿命延命効果αをホットスポット応力σhsa、σhsbにより表せることになる。なお、下記の数式(14)〜(16)については、文献「鋼構造物の疲労設計指針・同解説,1993年4月25日第1版発行,pp.5-17」にも記載されている。
ΔσR=(C0/n)1/3×CR×Ct ・・・ (14)
(γb×γw×γi)×Δσα=ΔσR ・・・ (15)
C0=2×106×Δσf ・・・ (16)
Δσα=σhs ・・・ (17)
n=(2×106×Δσf×CR3×Ct3)/{(γb×γw×γi)3×σhs3}・・・(18)
ΔσR:許容応力範囲(MPa)
CR:平均応力補正係数
Ct:板厚補正係数
γb×γw×γi:安全係数
Δσα:設計応力範囲(MPa)
Δσf:2×106回基本許容応力範囲(MPa)
【0053】
図8は、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22と補強部材31との間隔rに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。図9は、補強部材31の板厚tに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。図10は、補強部材31の高さhに対する疲労寿命延命効果の関係について示す図である。
【0054】
間隔rは、図8に示すように、50mm以上200mm以下である場合、上述の条件1の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。また、間隔rが75mm以上150mm以下である場合、上述の条件1の下で疲労寿命延命効果が2.5倍以上になることが確認できる。間隔rが50mm未満の場合は、補強部材31の湾曲した端部31aの曲率が大きくなりすぎ、その端部31aから管体11の広い範囲に応力集中を分散させ難くなるため、疲労寿命延命効果が低くなるものと考えられる。また、間隔rが200mm超の場合は、補強部材31とリブプレート21の端部21aとの距離が離れすぎることにより、その補強部材31によるリブプレート21の端部21aへの拘束効果がほとんど発揮できなくなるため、疲労寿命延命効果が低くなるものと考えられる。
【0055】
この結果に基づき、間隔rの好ましい数値条件として、50mm以上200mm以下と設定した。この間隔rが50mm未満又は200mm超であると、上述のような理由により優れた疲労寿命延命効果が得られない。また、間隔rが50mm未満であると、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22の溶接ビードを削る必要が生じて作業性が悪化するうえ、既熱影響部に大きく熱影響を与えて構造欠陥を招く恐れが高くなるので好ましくない。また、間隔rが50mm未満であると、補強部材31をその内周側から突合せ溶接をする場合に、溶接棒を補強部材31の内周側に入り込ませるのが困難になり溶接作業性が悪化するため好ましくない。また、この間隔rが200mm超であると、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。また、更に優れた疲労寿命延命効果を得る観点からは、間隔rを75mm以上150mm以下とすることが好ましい。また、間隔rを75mm以上とした場合、上述の作業性、既熱影響部に対する熱影響の観点から更に優れた効果が得られる。間隔rを150mm以下とした場合、上述の重量の過度の増大による悪影響を更に抑えることが可能となる。
【0056】
なお、ここでの間隔rは、リブプレート21の端部21aの溶接接合部22から補強部材31の全周に亘る範囲での各部位までの間隔を意味する。
【0057】
また、補強部材31の板厚tは、図9に示すように、6mm以上12mm以下である場合、上述の条件2の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。この結果に基づき、補強部材31の板厚tの好ましい数値条件として、6mm以上12mm以下と設定した。補強部材31の板厚tが6mm未満であると、優れた疲労寿命延命効果が得られないうえ、補強部材31を溶接により接合するにあたって作業性が悪化するので好ましくない。また、板厚tが12mm超であると、補強部材31の全板厚に亘る溶け込みが得られるように突合せ溶接をするうえで、補強部材31の片面につき複数パスの溶接が必要となり、1箇所当たりの溶接作業にかかる時間増加するうえ、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。
【0058】
また、補強部材31の高さhは、図10に示すように、25mm以上100mm以下である場合、上述の条件3の下で疲労寿命延命効果が2.0倍以上になることが確認できる。この結果に基づき、補強部材31の高さhの好ましい数値条件として、25mm以上100mm以下と設定した。高さhが25mm未満であると、優れた疲労寿命延命効果が得られない。また、高さhが100mm超であると、補強部材31をその内周側から突合せ溶接する場合に溶接棒を補強部材31の内周側に入り込ませるのが困難になり溶接作業性の悪化を招くうえ、補強部材31の重量の過度の増大により作業性の低下、コストの増大を招くので好ましくない。また、補強部材31の重量の増大による作業性の低下、コストの増加を防止する観点からは、高さhを50mm以下とすることが更に好ましい。
【0059】
以上、本発明の実施形態の例について詳細に説明したが、前述した実施形態は、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。
【0060】
例えば、図10に示すように、本発明に係る補強部材31は、管体11の側面からの高さについて、板状部材13側が高く、その板状部材13とは反対側が低くなるように形成されていてもよい。これにより、重量を減らして経済的な設計とすることが可能となる。
【0061】
また、補強部材31を溶接により接合する場合、その溶接による接合部32は、グラインダ処理又はピーニング処理されていてもよい。ここでいうグラインダ処理とは、溶接ビードの余盛部形状が滑らかとなるように研削する処理のことをいい、これにより、溶接止端での応力集中を低減することにより疲労強度を高めることが可能となる。また、ここでいうピーニング処理とは、超音波ピーニング、ショットピーニング等のことであり、超音波振動等による打撃を溶接による接合部32に加えることにより、その接合部32に圧縮残留応力を導入して疲労強度を高めることが可能となる。
【0062】
また、上述した実施形態においては、管体11の周方向に90°の間隔を空けて接合された四つのリブプレート21の夫々に補強部材31が接合されている場合を例示したが、複数のリブプレート21の何れかに対してのみ補強部材31が接合されていてもよい。この場合、例えば、管体11の近傍に壁がある等して何れかのリブプレート21に補強部材31を接合するのが困難である場合のような施工上の制約がある場合においても、そのような施工上の制約によることなく補強部材31を接合することが可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 :既設接合構造体
3 :補強構造
11 :第1構造部材(管体)
11a :端部
13 :第2構造部材(板状部材)
15 :アンカーボルト
21 :リブプレート
21a :端部
22 :溶接接合部
31 :補強部材
31a、31b :端部
31c :接合面
32 :接合部
33 :切欠部
35 :スカラップ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造において、
前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材が接合されるとともに、前記リブプレートに当該補強部材が接合されること
を特徴とする既設接合構造体の補強構造。
【請求項2】
前記補強部材は、前記リブプレートの両側面と前記第1構造部材の側面とに接合されていること
を特徴とする請求項1記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項3】
前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材との溶接接合部においてスカラップが形成されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項4】
前記補強部材は、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部に対して50mm以上200mm以下の間隔を空けて接合されていること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項5】
前記補強部材は、6mm以上12mm以下の板厚からなること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項6】
前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さが25mm以上100mm以下であること
を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項7】
前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材の側面とに溶接により接合されていること
を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項8】
前記補強部材の溶接による接合部は、グラインダ処理又はピーニング処理されていること
を特徴とする請求項7記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項9】
前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さについて、前記第2構造部材側が高く、前記第2構造部材とは反対側が低くなるように形成されていること
を特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項10】
前記第1構造部材は、管体から構成されており、
前記第2構造部材は、板状部材から構成されていること
を特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項11】
柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強方法において、
前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材を接合するとともに、前記リブプレートに前記補強部材を接合すること
を特徴とする既設接合構造体の補強方法。
【請求項1】
柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強構造において、
前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材が接合されるとともに、前記リブプレートに当該補強部材が接合されること
を特徴とする既設接合構造体の補強構造。
【請求項2】
前記補強部材は、前記リブプレートの両側面と前記第1構造部材の側面とに接合されていること
を特徴とする請求項1記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項3】
前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材との溶接接合部においてスカラップが形成されていること
を特徴とする請求項1又は2記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項4】
前記補強部材は、前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部に対して50mm以上200mm以下の間隔を空けて接合されていること
を特徴とする請求項1〜3の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項5】
前記補強部材は、6mm以上12mm以下の板厚からなること
を特徴とする請求項1〜4の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項6】
前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さが25mm以上100mm以下であること
を特徴とする請求項1〜5の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項7】
前記補強部材は、前記リブプレートと前記第1構造部材の側面とに溶接により接合されていること
を特徴とする請求項1〜6の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項8】
前記補強部材の溶接による接合部は、グラインダ処理又はピーニング処理されていること
を特徴とする請求項7記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項9】
前記補強部材は、前記第1構造部材の側面からの高さについて、前記第2構造部材側が高く、前記第2構造部材とは反対側が低くなるように形成されていること
を特徴とする請求項1〜8の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項10】
前記第1構造部材は、管体から構成されており、
前記第2構造部材は、板状部材から構成されていること
を特徴とする請求項1〜9の何れか1項記載の既設接合構造体の補強構造。
【請求項11】
柱又は梁として用いられる第1構造部材と、前記第1構造部材の端部に接合された第2構造部材と、前記第1構造部材の側面と前記第2構造部材の側面とに溶接により接合されたリブプレートとを有する既設接合構造体の補強方法において、
前記第2構造部材とは反対側に位置する前記リブプレート端部の溶接接合部を取り囲むように前記第1構造部材の側面に沿って補強部材を接合するとともに、前記リブプレートに前記補強部材を接合すること
を特徴とする既設接合構造体の補強方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−231610(P2011−231610A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70187(P2011−70187)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000006655)新日本製鐵株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】
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