説明

日付表示機能を備えた生体情報測定装置

【課題】 正しい日時で継続して、体温値,血圧値、血糖値等の生体情報を正しく時系列に保存できる生体情報測定装置の提供。
【解決手段】 本発明の生体情報測定装置は、生体情報を、日時情報と共に保存する生体情報保存手段と、現在の日時情報を設定する現在日時情報設定手段と、現在の日時情報を定期的に保存する現在日時情報保存手段と、の現在日時情報保存手段により保存された現在の日時情報の信頼性を確認する現在日時情報確認手段とを備えた生体情報計測装置であって、現在日時情報確認手段により、保存された現在の日時情報が正しくないことが確認された場合、現在日時情報設定手段が自動的に起動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使い勝手のよい日付表示機能を備えた生体情報測定装置、特に、電子体温計、電子血圧計、血糖計等、またはこれらを任意に組合せた生体情報装置で、体温値,血圧値、血糖値等の生体情報を日時とともにトレンド記憶し、表示部に表示する機能を有する日付表示機能を備えた生体情報測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、データ処理手段、体温を測定する時刻を設定する時刻設定手段、時刻設定手段に設定した時刻を計時すると報知する報知手段を備えた婦人用電子体温計(特許文献1:特開平10−239164号公報)、測定時刻を設定する時刻設定手段、設定時刻に血圧測定を促す報知を行うか、自動血圧測定を行うかの別を設定する測定種別設定手段とを備えた電子血圧計(特許文献2:特開2001−70260号公報)等が提案されている。これらの婦人体温計は、内部時計を備え、内部時計により計数された日付情報と体温値をペアでEEPROMに保存する。
【特許文献1】特開平10−239164号公報
【特許文献2】特開2001−70260号公報
【0003】
上記内部時計は、電池を入れた時に必ず初期値(例えば、2005年1月1日0時0分)から始まるので、そのままでは電池を交換するたびに何日分もの日付を更新して現在年月日時分に合わせなければならない。
【0004】
これは大変に面倒なため、1時間おき(00分毎)にEEPROMに、現在年月日時を保存し、電池を入れた時は、EEPROMから上記現在年月日時を読込み、そこからスタートするようにしていた。例えば、2005年12月15日16:30に電池を外し、2005年12月15日17:30に電池を交換して入れた場合、2005年1月1日0:00から修正するのではなく、2005年12月15日16:00から修正することになるので、手間が簡単になる。
【0005】
一方、EEPROMに保存したデータは、信頼性を高めるために、サムチェックを行ったり、3ヶ所に同一のデータを書込み、多数決の論理を行うなどして、EEPROMから読み込んだ値が正しいか否かを確認する手段を設けるのが普通である。EEPROMに保存したデータが破壊されるケースとしては、書込み中に電池を外される、などが考えられる。そのサム値を保存している。もし、サムチェックエラーが発生した場合は、故障としてエラーを表示させ、使用できなくする方法が考えられるが、故障はお客様にとっては大変不都合なことである。別法として、サムチェックエラーが発生した場合は、現在年月日時を初期値(2005年1月1日0:00)にしてしまい、動作させる方法も考えられるが、使用者が日時の間違いに気が付かず使用した場合に、日付と体温をペアで保存したデータ列の時系列がおかしくなってしまうという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、不揮発メモリから読み込んだ日時情報が不適正な場合においても正しい日時で継続して、体温値,血圧値、血糖値等の生体情報を正しく時系列に保存できる生体情報測定装置を提供することを目的とする。また、サムチェックエラーが発生した場合は、日時を入力する画面を表示させ、それを入力しないと生体情報(体温計測等)を開始できないようにした日付(カレンダー)表示機能を備えた生体情報測定装置を提供することを目的とする。本発明の生体情報測定装置は、生体情報を、日時情報と共に保存する生体情報保存手段と、現在の日時情報を設定する現在日時情報設定手段と、現在の日時情報を定期的に保存する現在日時情報保存手段と、の現在日時情報保存手段により保存された現在の日時情報の信頼性を確認する現在日時情報確認手段とを備えた生体情報計測装置であって、現在日時情報確認手段により、保存された現在の日時情報が正しくないことが確認された場合、現在日時情報設定手段が自動的に起動することを特徴とする。また、本発明の生体情報測定装置は、生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した生体情報を内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、記憶部に記憶された生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置であって、サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に、設定入力手段で日時を入力する画面を表示部に表示させ、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なうようにしたことを特徴とする。また、本発明の生体情報測定装置の制御方法は、生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した生体情報を前記内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、記憶部に記憶された生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置の制御方法であって、サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したか否か判断する工程と、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に日時を入力する画面を表示部に表示させる工程と、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なう工程と、からなることを特徴とする。また、本発明の生体情報測定装置の制御方法のプログラムが記憶されたコンピュータで読み取り可能な記憶媒体は、生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した前記生体情報を前記内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、記憶部に記憶された前記生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置の制御方法のプログラムが記憶されたコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したか否か判断する工程のプログラムと、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に日時を入力する画面を表示部に表示させる工程のプログラムと、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なう工程のプログラムと、からなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、使い勝手がよく、EEPROMの現在年月日時分が破損した場合でも、使用者自身で正しい日付を入力し継続使用が可能になる。高機能婦人体温計に限らず、トレンドが見られる電子血圧計(これも日付と血圧値をペアで保存する必要がある)、血糖計、体重計、体脂肪計等、またはこれらの任意の組合せによる生体情報測定装置等にも適用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、図面を参照して、この発明の好適な実施の形態の1つとしての生体情報としての婦人体温を測定記憶する高機能電子体温計を例示的に詳しく説明する。ただし、この実施の形態に記載されている構成要素はあくまで例示であり、高機能婦人体温計に限らず、トレンドが見られる電子血圧計、血糖計、体重計、体脂肪計等、またはこれらの任意の組合せによる生体情報測定装置等にも適用できることはいうまでもなく、この発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0009】
(実施例)
<婦人用電子体温計の構成> 図1は、実施形態に係る婦人用電子体温計の外観を示す図であり、(a)は正面図(b)は側面図である。図2は、第1実施形態に係る婦人用電子体温計の内部ブロック図である。
【0010】
図1において、30は、表示部で、数字・文字・図形(キャラクター,アイコン等)が表示可能な、例えば、ドットマトリックス液晶により構成され、日時や測定された体温、体温のトレンド等などの測定値に関する情報や、電池切れなど装置の制御に関する情報を表示する。2は、耐衝撃性,耐薬品性を備えた合成樹脂で形成された本体ケースで、後述する演算制御部20等の電子回路、ブザー31、電池(電源部)40等が収納されている。3は、ステンレス製の金属キャップで、サーミスタ13(図2参照)等を含む口中に挿入して体温を測定するための温度計測部を接着剤で固定して収納している。本体ケース2と金属キャップ3は接着剤を介して、本体ケース2から延設された延設部2bに液密に接合・固定されている。こうして、金属キャップ3は、サーミスタ13は、体温(温度)を伝熱するとともにサーミスタ13を外部の衝撃等から保護している。なお、延設部2bの基部には、先端が丸みを帯びた複数の微小突起2aが設けられ、滑り止め防止機能を備えている。また、延設部2bは、60mm程度の長さで、本体ケース2から約15度屈曲した形状となっている。これらの構造のため、口中で安定して咥えやすくなっている。
【0011】
また、本体ケース2上には、後述する各種機能モードの選択/決定のための機能ボタン4、各種設定を完了し初期画面に戻るための完了ボタン5、バックライトON/OFFのためのバックライトボタン6、メニュー選択,グラフ移動などに利用される左移動ボタン7および右移動ボタン8、電源ON/OFFのための電源ボタン9が設けられている。
【0012】
図2において、本婦人用電子体温計は、温度を計測しそれをデジタル値として出力する温度計測部10と、計測された温度から予測温度を演算すると共に本電子体温計を制御する演算制御部20と測定結果を表示する、バックライト用のLED30cを備えた表示部30と、使用者からの操作を受け付ける入力部32から構成される。
【0013】
温度計測部10は、並列に接続された感温部に設置されたサーミスタ13及びコンデンサ14と、測温用CR発振回路11とから成り、サーミスタ13の温度に対応するカウンタ16のカウント量の変化に従い、温度をデジタル量として出力する。なお、本温度計測部10の構成は一例であって、これに限定するものではない。
【0014】
演算制御部20は、1日1回の計測温度を測定値及び入力部32により入力された各種設定値を所定日数(例えば240日分)記憶するとともに、月経周期(生理初日から次の生理初日の前日まで)ごとの中間データ等を一時記憶するRAM23、体温測定に必要なパラメータや予測式などのプログラムを格納したROM22、表示部30を制御するための表示制御部30d、測温用CR発振回路11の発振信号をカウントするカウンタ16、ROM22のプログラムに従い予測を含む各種の演算を行なう演算処理部21、時刻を管理するタイマ24、および、カウンタ16,演算処理部21,表示制御部30dを制御する制御回路50とからなる
【0015】
なお、入力部32は前述した、機能ボタン4、完了ボタン5、バックライトボタン6、左移動ボタン7、右移動ボタン8、電源ボタン9などを含み、利用者からの各種操作を受け付ける。
【0016】
表示部30の下部に表示されている絵文字(アイコン)30bは、左から順に、生理日、生理痛、性交、飲薬、発熱、おりものの各種設定項目に対応している。左移動ボタン7および右移動ボタン8の操作により選択される。なお、現在選択されている絵文字はnで囲まれて表示がなされる。図3(b)では機能ボタン4により、メモに対応する絵文字が選択されている状態を示している。
【0017】
表示部30の上部に表示されている絵文字(アイコン)30aは、左から順に、メモ、次回生理日、次回排卵日、目覚まし時刻設定、ブザー音量設定、時刻設定の各種選択項目である。機能ボタン4を押した後、左移動ボタン7および右移動ボタン8により、選択された項目は、当該項目が点滅する。確定する場合には、再度機能ボタン4を押す。以下、図3に従い、実施例の1つとしての高機能婦人用電子体温計の動作フローに基づいて説明を行う。
【0018】
電池を挿入すると、不揮発性メモリ22から、現在年月日時及びそのサム値を含む必要なデータを読込む(ステップS600)。電池が挿入されている間は、不図示の工程にて、タイマ24より1時間に1回、00分毎に信号が演算処理部21に送られ、演算処理部は当該信号を受信したら、その時点の年月日時を不揮発性メモリ22に書き込む(ステップS601)。
【0019】
次に、読込んだ現在年月日時のサム値を計算し、読込んだサム値と等しいかを確認する(ステップS602)。等しければそのままSLEEP状態に進む。等しくなければ、読込んだ値が不正と判断し、エラーフラグFLAGerrをセット(=1)する(ステップS603)。
【0020】
次に、電源ボタン9が押されるまで、即ち電源がONされるまでSLEEP状態で待機する(ステップS604、S605)。
【0021】
電源がONされたら、FLAGerrを確認し、所定条件、たとえばそれが1以外だったら検温動作に移行する(ステップS608)。もし、FLAGerrが1だったら、日時入力処理に移行する(ステップS607)。ここでは、日時の入力を促す画面が表示され、使用者は画面に従い、現在年月日時分を入力する。別法として、FLAGerrの値によらず、電池を挿入後、初回の電源ONの場合は常に日時入力処理に移行する方法も考えられる。その場合は、サム値及びサムチェックの機能は不要になる。
【0022】
以後、予測検温処理(ステップS608)を行い、検温が終了したら、体温値を日時データと共に不揮発性メモリ22に保存する。(ステップS609)
そして検温結果を表示部30に表示する。(ステップ610) 表示は電源をOFFするまで継続する。ここでは、省電力化のため、5分間放置したら自動的にOFFするように構成している。(ステップ611)
【0023】
(他の実施形態)
なお、本発明は、前述した実施形態の機能を実現するプログラムを、装置に直接或いは遠隔から供給し、その装置が供給されたプログラムコードを読み出して実行することによっても達成される。従って、本発明の機能処理をコンピュータで実現するために、コンピュータにインストールされるプログラムコード自体も本発明の技術的範囲に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】実施形態に係る婦人用電子体温計の外観を示す図である。
【図2】実施形態に係る婦人用電子体温計の内部ブロック図である。
【図3】実施形態の婦人用電子体温計に係るフローチャートである。
【符号の説明】
【0025】
2・・・本体ケース、3・・・金属キャップ、13・・・サーミスタ、21・・・演算制御部(CPU)、22・・・不揮発メモリ、23・・・RAM、24・・・タイマ、32・・・入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体情報を、日時情報と共に保存する生体情報保存手段と、
現在の日時情報を設定する現在日時情報設定手段と、
現在の日時情報を定期的に保存する現在日時情報保存手段と、
上記の現在日時情報保存手段により保存された現在の日時情報の信頼性を確認する現在日時情報確認手段とを備えた生体情報計測装置において、
上記の現在日時情報確認手段により、保存された現在の日時情報が正しくないことが確認された場合、上記の現在日時情報設定手段が自動的に起動することを特徴とする生体情報計測装置。
【請求項2】
生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した前記生体情報を前記内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、前記記憶部に記憶された前記生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置であって、
前記サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に、前記設定入力手段で日時を入力する画面を前記表示部に表示させ、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なうようにしたことを特徴とする生体情報測定装置。
【請求項3】
生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した前記生体情報を前記内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、前記記憶部に記憶された前記生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置の制御方法であって、
前記サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したか否か判断する工程と、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に日時を入力する画面を前記表示部に表示させる工程と、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なう工程と、からなることを特徴とする生体情報測定装の制御方法。
【請求項4】
生体情報を取得する取得手段と、設定入力手段と、内部時計と、取得した前記生体情報を前記内部時計により計数された日付情報と対にして記憶する記憶手段と、前記記憶部に記憶された前記生体情報を表示する表示部、サムチェックエラーを判断するサムチェックエラー判断手段と、を備えた生体情報測定装置の制御方法のプログラムが記憶されたコンピュータで読み取り可能な記憶媒体であって、
前記サムチェックエラー判断手段により、サムチェックエラーが発生したか否か判断する工程のプログラムと、サムチェックエラーが発生したと判断された場合に日時を入力する画面を前記表示部に表示させる工程のプログラムと、日時が入力されたことを条件に生体情報測定開始指示を行なう工程のプログラムと、からなることを特徴とする生体情報測定装の制御方法のプログラムが記憶されたコンピュータで読み取り可能な記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−159873(P2007−159873A)
【公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−361125(P2005−361125)
【出願日】平成17年12月14日(2005.12.14)
【出願人】(000109543)テルモ株式会社 (2,232)
【Fターム(参考)】