説明

明色化効果を用いてケラチン物質を染色するためのシアニン蛍光染料を含む組成物の使用

本発明は、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色するための、少なくとも1つのシアニン蛍光染料を含む組成物の使用に関する。本発明は、前記物質に損害を与えることなくヒトのケラチン物質を染色し、同時に明色化することを可能にする。本発明の状況において使用される蛍光染料は、ケラチン物質に対する高い着色親和性、および外部の薬剤、特にシャンプーに対する良好な耐性をも有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色するための、少なくとも1つのシアニン蛍光染料を含む組成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
毛髪の分野では、より明るい染色を得るために、通常は化学的漂白法を用いる。この方法は、酸化系によってケラチン繊維のメラニンを漂白するものであり、これは一般に、過酸基塩と組み合わせた過酸化水素または組み合わせない過酸化水素から構成される。この操作は、直接染料および/または酸化染料の存在下でも非存在下でも実施することができる。
【0003】
この漂白系は繊維を分解し、繊維の化粧特性を損なうという欠点を有する。毛髪はごわつくようになり、もつれが解きにくくなり、より傷つきやすくなる。
【0004】
したがって、ケラチン繊維を分解することなくこれらの繊維を見た目よく染色すると同時に明色化することが可能な、利用できる組成物を得ることが望ましい。
【0005】
明色化効果を用いてヒトのケラチン物質、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色するための蛍光染料、特に2-(2-[4-ジメチルアミノフェニル]ビニル)-1-エチルピリジニウムの使用は、特許出願EP1 432 390で提案された。しかし得られる染色は、シャンプー耐性の点から見れば完全には満足のいくものではない。
【0006】
特許出願FR2 853 229には、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質、特に毛髪などのヒトのケラチン繊維を染色するための二量体の形態の蛍光染料、特に2-(2-[4-ジメチルアミノフェニル]ビニル)-1-エチルピリジニウムの二量体、リンカーを介してピリジニウム環で互いに結合した2つの2-(2-[4-ジメチルアミノフェニル]ビニル)-1-エチルピリジニウム分子の使用が記載されている。得られる染色のシャンプー耐性は改善されているが、明色化効果は2-(2-[4-ジメチルアミノフェニル]ビニル)-1-エチルピリジニウムより著しく劣る。
【0007】
さらに、製紙業におけるシアニン化合物および染料としてのその使用が、特許US4 323 362に記載されている。
【特許文献1】特許出願EP1 432 390
【特許文献2】特許出願FR2 853 229
【特許文献3】特許US4 323 362
【特許文献4】特許出願WO95/01772
【特許文献5】WO95/15144
【特許文献6】EP714954
【特許文献7】フランス特許FR2 692 572
【特許文献8】特許FR2 586 913
【非特許文献1】Charles ZVIAKによる文献「Sciences des traitements capillaires」1988年、Masson、215および278頁
【非特許文献2】Synthesis(8)、606〜8頁、1981年
【非特許文献3】Helvetica Chimica Acta 68(3)、584〜91頁、1985年
【非特許文献4】JOC Section C-Organic、7、1966年、666〜8頁
【非特許文献5】J.Heterocyclic Chemistry 16(8)、1583〜7頁、1979年
【非特許文献6】Farmaco 1989年、1167頁
【非特許文献7】J.Chem.Soc.Perkin Trans.I、2000年、3559頁
【非特許文献8】Recueil des travaux chimiques des Pays-Bas et de la Belgique、77、559〜568頁、1958年
【非特許文献9】Organic preparations and procedures international、36(4)、337〜340頁、2004年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を着色するための、従来の組成物の欠点を示さない新規組成物を提供することである。特に本発明の目的は、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための、ケラチン物質に対する高い着色親和性、外部薬剤、特にシャンプーに対する良好な耐性を示し、処理される物質を損なうことなく視覚的明色化を得ることをも可能にする新規染料を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この目的は本発明によって実現され、本発明は、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するために、以下の式(I)または(II)の化合物、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される少なくとも1つのシアニン蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む組成物を使用することを提供する。
【0010】
【化1】

【0011】
式中、
リンカーは、飽和または不飽和の脂肪族または脂環式C1〜C12、好ましくはC2〜C8の炭化水素鎖を表し、炭化水素鎖の1つまたは複数の炭素原子を、1つまたは複数の酸素原子、1つまたは複数の基NR(Rは水素原子またはアルキル基である)で置換することが可能であり、前記炭化水素鎖はジアゾ、ニトロ、ニトロソ、または過酸化基を含有しておらず、かつヘテロ原子によってその末端の一方または他方で終端することはできず、
R1は、末端位においてヒドロキシル基またはアルコキシ基で任意選択で置換されている直鎖のC1〜C8、好ましくはC1〜C4アルキル基を表し、
R2は、水素原子、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、1つまたは複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているアミノ基を表し、1つまたは複数のC1〜C4アルキル基は、それら自体1つまたは複数のヒドロキシル基で任意選択で置換されており、
R3は、末端位においてヒドロキシル基またはアルコキシ基で任意選択で置換されている直鎖のC1〜C8、好ましくはC1〜C4アルキル基を表し、
2つの基R3は、リンカーおよびそれらが結合する窒素原子と共に、次式の6員または7員の飽和複素環を形成することが可能であり
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、nは1または2である)、
X-は、対イオンを表す。
【0014】
本発明は同様に、本発明の状況に有用な組成物を使用する、明色化効果を用いたヒトのケラチン物質の染色方法を提供する。
【0015】
本発明はさらに、本発明の方法を実施するための多区画(multi-compartment)デバイスを提供する。
【0016】
本発明はさらに、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための、新規シアニン蛍光染料および少なくとも1つのかかる蛍光染料を含む組成物を提供する。
【0017】
本発明はさらに、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための、少なくとも1つのシアニン蛍光染料および化粧術分野で通常使用される少なくとも1つの添加剤を含む組成物を提供する。
【0018】
本発明は、ヒトのケラチン物質を損なうことなく着色し、同時に明色化することを可能にする。実際、ケラチン物質を着色し、同時に明色化することを可能にする従来の方法では、前記物質に長期的に損害を与える恐れがある化合物を使用する必要がある。
【0019】
より具体的には本発明は、本発明に従って処理された物質の反射率が、550および700nmの間で測定して未処理物質の反射率よりも大きい染色または着色を得ることを可能にする。
【0020】
本発明は、天然色よりも明るく、満足のいく審美効果を備えた染色を得ることを可能にする。
【0021】
最後に、使用される化合物は、ヒトのケラチン物質に対する高い着色親和性、および外部薬剤、特にシャンプーに対する良好な耐性を示す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
本発明の特定の一実施形態によれば、処理されるケラチン物質は線維の形態であり、より具体的には有色ケラチン繊維または人工的に染色した繊維の形態である。これらの繊維は、好ましくは毛髪である。
【0023】
有利には、有色毛髪または人工的に染色された毛髪は、6(ダークブロンド)以下、好ましくは4(ブラウン)以下の色調レベルを有する。
【0024】
「色調」の意味は、天然の色合いの分類をベースとしており、ある色調は、各色合いをその直前または直後の色合いと区別するものである。この定義および天然の色合いの分類は、整髪の専門家には周知であり、Charles ZVIAKによる文献「Sciences des traitements capillaires」1988年、Masson、215および278頁に公開されている。
【0025】
本発明の目的の蛍光染料は、任意の従来の染料と同様、それ自体を染色し、かつスペクトルの可視域内、場合により紫外領域内の光を吸収する一分子であるが、従来の染料とは対照的に、吸収した光の波長よりも大きい波長で可視スペクトル内の蛍光を再発光する染料である。適切には、再発光された光の波長は400および700nmの間である。
【0026】
別段の指定がない限り、以下に示す値の端点は、それらの範囲に含まれる。
【0027】
本発明の目的では、飽和脂肪族C1〜C12炭化水素鎖の例には、エチレン、プロピレン、およびブチレン基が含まれる。
【0028】
飽和脂肪族C1〜C12炭化水素鎖の例には、次式の基が含まれる。
【0029】
【化3】

【0030】
アルキル基(alk)は、別段の指定がない限り1〜10個の炭素原子、好ましくは1〜6個の炭素原子を含む直鎖または分岐の基、例えばメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、またはtert-ブチル基である。アルコキシ基は、基alk-O-であり、アルキル基は先に定義した通りである。
【0031】
末端位においてヒドロキシル基またはアルコキシ基で置換されていてもよい直鎖のC1〜C8アルキル基の例には、2-ヒドロキシエチル、3-ヒドロキシ-n-プロピル、4-ヒドロキシ-n-ブチル、2-メトキシエチル、3-メトキシ-n-プロピル、および4-メトキシ-n-ブチルが含まれる。
【0032】
本発明の状況では、ハロ基は、塩素、臭素、ヨウ素、およびフッ素から選択されるハロゲン原子を示す。
【0033】
本発明の特定の一実施形態によれば、リンカーは、アルキレン基およびアラルキレン基から選択される。リンカーは、好ましくはエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、および次式の基から選択される。
【0034】
【化4】

【0035】
さらにより好ましくは、リンカーは、エチレン基、ブチレン基、およびヘキシレン基から選択される。
【0036】
本発明の特定の別の実施形態によれば、R1はアルキル基を表す。R1は、好ましくはメチル基およびエチル基から選択される。
【0037】
本発明の特定の別の実施形態によれば、R2は、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、およびハロ基から選択される。
【0038】
R2は、好ましくは水素原子である。
【0039】
本発明の特定の別の実施形態によれば、R3はアルキル基を表す。R3は、好ましくはメチル基を表す。
【0040】
対イオンX-の例には、塩化物イオン、臭化物イオン、フッ化物イオン、またはヨウ化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、および硫酸メチルもしくは硫酸エチルなどのC1〜C6アルキル硫酸イオンが含まれる。
【0041】
式(I)または(II)の化合物の例には、以下の表に示す化合物が含まれる。
【0042】
【表1A】

【0043】
【表1B】

【0044】
本発明の状況において有用な式(I)または(II)の化合物は、例えば特許US4 323 362に記載の合成の態様に従って調製することができる。これらは特に、以下の手順の1つによって合成することができる。
【0045】
経路1:
【0046】
【化5】

【0047】
芳香族系におけるフッ素基、特に4-フルオロベンズアルデヒドの求核置換反応は、文献に記載されている。特に、以下の参考文献を引用することが可能である。Synthesis(8)、606〜8頁、1981年およびHelvetica Chimica Acta 68(3)、584〜91頁、1985年。この第1のステップに関して、例えば、参考文献JOC Section C-Organic、7、1966年、666〜8頁に記載の代替が存在する。縮合ステップは、以下の参考文献に記載されている。J.Heterocyclic Chemistry 16(8)、1583〜7頁、1979年。
【0048】
経路2:
【0049】
【化6】

【0050】
最初の2つの合成ステップは、以下の参考文献に記載の条件に着想を得るものである。Farmaco 1989年、1167頁。第3の合成ステップは、以下の参考文献に記載の条件に着想を得るものである。J.Chem.Soc.Perkin Trans.I、2000年、3559頁。縮合ステップは、以下の参考文献に記載されている。J.Heterocyclic Chemistry 16(8)、1583〜7頁、1979年。
【0051】
経路3:
本発明の状況において特に興味深い合成経路は、以下の経路である。
【0052】
【化7】

【0053】
N-アルキルアニリンのN-アルキル化反応およびN,N-ジアルキルアニリンのホルミル化反応は、それぞれ以下の参考文献に記載されている。Recueil des travaux chimiques des Pays-Bas et de la Belgique、77、559〜568頁、1958年およびOrganic preparations and procedures international、36(4)、337〜340頁、2004年。縮合ステップは、以下の参考文献に記載されている。J.Heterocyclic Chemistry 16(8)、1583〜7頁、1979年。
【0054】
本発明によれば、1つまたは複数の蛍光染料は、周囲温度(15および25℃の間)で組成物の媒体に溶解するか、または溶解しない形態で存在することができる。
【0055】
本発明の状況において有用な1つまたは複数の蛍光染料は、一般に、組成物の全重量に対して0.01重量%〜20重量%、より具体的には組成物の全重量に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%である。
【0056】
化粧上許容可能な媒体は、一般に水から構成されるか、または水および少なくとも1つの有機溶媒の混合物から構成される。
【0057】
有機溶媒として、例えば1〜4個の炭素原子を含有する直鎖または分岐のアルカノール、例えばエタノールおよびイソプロパノール、ポリオールおよびポリールエーテル、例えばグリセロール、2-ブトキシエタノール、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジメトキシエタン、芳香族アルコール、例えばベンジルアルコールまたはフェノキシエタノール、3〜4個の炭素原子を含有するケトン、ならびにC1〜C4酢酸アルキル(これらの化合物は単独または組み合わせたものである)が挙げられる。
【0058】
例えば、溶媒が存在する場合、その溶媒は組成物の全重量に対して約1重量%〜40重量%で存在し、より有利には組成物の全重量に対して約5重量%〜30重量%で存在する。
【0059】
本発明の状況に有用な組成物のpHは、一般に約3および12の間であり、好ましくは約5および11の間である。
【0060】
該組成物のpHは、一般に使用される酸性化剤またはアルカリ化剤を用いて所望の値に調節することができる。
【0061】
酸性化剤には、例えば有機または無機酸、例えば塩酸、オルト-リン酸、硫酸、カルボン酸、例えば酢酸、酒石酸、クエン酸および乳酸、ならびにスルホン酸が含まれる。
【0062】
アルカリ化剤には、例えば水性アンモニア、アルカリ金属炭酸塩、アルカノールアミン、例えばモノ-、ジ-、およびトリエタノールアミン、ならびにそれらの誘導体、水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム、ならびに以下の式(III)の化合物が含まれる。
【0063】
【化8】

【0064】
式中、Wは、ヒドロキシル基またはC1〜C6アルキル基で任意選択で置換されているプロピレン残基であり、R4、R5、R6、およびR7は、同じかまたは異なっており、水素原子または少なくとも1つのヒドロキシル基を任意選択で担持するC1〜C6アルキル基を表す。
【0065】
本発明の状況に有用な組成物は、媒体に溶解する1つまたは複数の追加の蛍光化合物をさらに含むことができる。
【0066】
適切なクラスの化合物の例には、以下のクラスに属する蛍光化合物が含まれる。単独または組み合わせたナフタルイミド、カチオン性または非カチオン性クマリン、キサンテノジキノリジン(特にスルホローダミンなど)、アザキサンテン、ナフトラクタム、アズラクトン、オキサジン、チアジン、ジオキサジン、ピレン、およびニトロベンゾキサジアゾール。
【0067】
より具体的な例には、特に以下の構造の化合物が含まれる。
【0068】
【化9】

【0069】
式中、式R8は、メチル基またはエチル基を表し、R9はメチル基を表し、Y-は、ヨウ化物アニオン、塩化物アニオン、硫酸アニオン、またはメト硫酸アニオンを表す。
【0070】
このタイプの化合物の例には、R8がエチル基を表し、R9がメチル基を表し、Y-がヨウ素を表す、Ubichemから販売されている感光色素NK-557が含まれる。
【0071】
SANDOZから販売されており、次の構造を有するブリリアントイエローB6GL。
【0072】
【化10】

【0073】
Prolabo、Aldrich、またはCarlo Erbaから販売されており、次の構造を有するベーシックイエロー2またはオーラミンO。
【0074】
【化11】

【0075】
4,4'-(イミドカルボニル)ビス(N,N-ジメチルアニリン)一塩酸塩、CAS番号2465-27-2。
【0076】
本発明の状況に有用な組成物は、媒体に溶解しない1つまたは複数の追加の蛍光化合物をさらに含むことができ、その中でも酸化亜鉛または硫化亜鉛をベースとする化合物、および後に粉砕される固体を得るために事前に樹脂ビヒクルに溶解される蛍光染料から製造された蛍光有機化合物を挙げることができる。
【0077】
本発明の状況に有用な組成物中に1つまたは複数の追加の蛍光化合物が存在する場合、それらは一般に、組成物の全重量に対して0.05重量%〜10重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%〜5重量%である。
【0078】
本発明の状況に有用な組成物は、少なくとも1つの追加の非蛍光直接染料をさらに含むことができる。
【0079】
より具体的には、前記追加の染料は非イオン性、カチオン性、またはアニオン性である。
【0080】
概してこれらの直接染料は、単独または組み合わせたニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾキノン、フェノチアジン、インジゴイド、キサンテン、フェナントリジン、およびフタロシアニン染料、ならびにトリアリールメタン由来のものから選択される。
【0081】
これらの追加の直接染料は、特に基本的な染料であってよく、その中でもより具体的には、カラーインデックス第3巻の中のベーシックブラウン16、ベーシックブラウン17、ベーシックイエロー57、ベーシックレッド76、ベーシックバイオレット10、ベーシックブルー26、およびベーシックブルー99の名称で知られる染料が挙げられ、または酸性の直接染料、中でもより具体的には、カラーインデックス第3巻の中のアシッドオレンジ7、アシッドオレンジ24、アシッドイエロー36、アシッドレッド33、アシッドレッド184、アシッドブラック2、アシッドバイオレット43、およびアシッドブルー62の名称で知られる染料、またはカチオン性の直接染料、例えばその内容が本発明の不可欠な部分を形成する特許出願WO95/01772、WO95/15144、およびEP714954に記載のものが挙げられる。
【0082】
レッドまたはオレンジのニトロベンゼン染料には、例えば以下の化合物が含まれ得る。
1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノベンゼン、
N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、
1-アミノ-3-メチル-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-6-ニトロベンゼン、
1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
1,4-ジアミノ-2-ニトロベンゼン、
1-アミノ-2-ニトロ-4-メチルアミノベンゼン、
N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミン、
1-アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-5-クロロベンゼン、
2-ニトロ-4-アミノジフェニルアミン、
1-アミノ-3-ニトロ-6-ヒドロキシベンゼン、
1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチルオキシ)-ベンゼン、
1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)-アミノベンゼン、
1-ヒドロキシ-3-ニトロ-4-アミノベンゼン、
1-ヒドロキシ-2-アミノ-4,6-ジニトロベンゼン、
1-メトキシ-3-ニトロ-4-(β-ヒドロキシエチル)アミノベンゼン、
2-ニトロ-4'-ヒドロキシジフェニルアミン、
1-アミノ-2-ニトロ-4-ヒドロキシ-5-メチルベンゼン。
【0083】
イエローおよびグリーン-イエローの追加のニトロベンゼン直接染料には、例えば以下の化合物が含まれ得る。
1-β-ヒドロキシエチルオキシ-3-メチルアミノ-4-ニトロベンゼン、
1-メチルアミノ-2-ニトロ-5-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)オキシベンゼン、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メトキシ-4-ニトロベンゼン、
1-(β-アミノエチル)アミノ-2-ニトロ-5-メトキシベンゼン、
1,3-ジ(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-ニトロ-6-クロロベンゼン、
1-アミノ-2-ニトロ-6-メチルベンゼン、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ヒドロキシ-4-ニトロベンゼン、
N-(β-ヒドロキシエチル)-2-ニトロ-4-トリフルオロメチルアニリン、
4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンゼンスルホン酸、
4-エチルアミノ-3-ニトロ安息香酸、
4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロクロロベンゼン、
4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロメチルベンゼン、
4-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-3-ニトロトリフルオロメチルベンゼン、
1-(β-ウレイドエチル)アミノ-4-ニトロベンゼン、
1,3-ジアミノ-4-ニトロベンゼン、
1-ヒドロキシ-2-アミノ-5-ニトロベンゼン、
1-アミノ-2-[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アミノ-5-ニトロベンゼン、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
4-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-3-ニトロベンズアミド。
【0084】
ブルーまたはバイオレットの追加のニトロベンゼン直接染料には、例えば以下から選択される化合物が含まれ得る。
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、
1-(γ-ヒドロキシプロピル)アミノ-4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-メチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
1-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)-アミノ-2-ニトロベンゼン、
1-(β,γ-ジヒドロキシプロピル)アミノ-4-(N-エチル-N-β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-ニトロベンゼン、
フランス特許FR2 692 572に記載のものなどの、次式の2-ニトロ-パラ-フェニレンジアミン。
【0085】
【化12】

【0086】
式中、
R11は、C1〜C4アルキル基またはβ-ヒドロキシエチルもしくはβ-ヒドロキシプロピルもしくはγ-ヒドロキシプロピル基を表し、
R10およびR12は、同じかまたは異なっており、β-ヒドロキシエチル、β-ヒドロキシプロピル、γ-ヒドロキシプロピル、またはβ,γ-ジヒドロキシプロピル基を表し、基R11、R12、またはR10の少なくとも1つは、γ-ヒドロキシプロピル基を表し、R10がγ-ヒドロキシプロピル基である場合、R11およびR12が同時にβ-ヒドロキシエチル基を示すことはできない。
【0087】
1つまたは複数の追加の非蛍光の直接染料が存在する場合、それらは組成物の全重量に対して約0.0005重量%〜12重量%、さらにより好ましくは前記重量の約0.005重量%〜6重量%である。
【0088】
本発明の状況に有用な組成物は、少なくとも1つの酸化塩基をさらに含むことができる。
【0089】
1つまたは複数の酸化塩基は、酸化染色に通常使用される酸化塩基、例えばパラ-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルトアミノフェノール、および複素環塩基、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩などから選択することができる。
【0090】
パラ-フェニレンジアミンの中でも、より具体的には、例えばパラフェニレンジアミン、パラ-トリレンジアミン、2-クロロ-パラ-フェニレンジアミン、2,3-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、2,6-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、2,5-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジエチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジプロピル-パラ-フェニレンジアミン、4-アミノ-N,N-ジエチル-3-メチルアニリン、N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルアニリン、4-N,N-ビス(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-クロロアニリン、2-β-ヒドロキシエチル-パラ-フェニレンジアミン、2-フルオロ-パラ-フェニレンジアミン、2-イソプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-ヒドロキシプロピル)-パラ-フェニレンジアミン、2-ヒドロキシメチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-ジメチル-3-メチル-パラ-フェニレンジアミン、N,N-(エチル-β-ヒドロキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、N-(β,γ-ジヒドロキシプロピル-パラ-フェニレンジアミン、N-(4'-アミノフェニル)-パラ-フェニレンジアミン、N-フェニル-パラ-フェニレンジアミン、2-β-ヒドロキシエチルオキシ-パラ-フェニレン-ジアミン、2-β-アセチルアミノエチルオキシ-パラ-フェニレンジアミン、N-(β-メトキシエチル)-パラ-フェニレンジアミン、および4'-アミノフェニル-1-(3-ヒドロキシ)ピロリジン、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0091】
ビスフェニルアルキレンジアミンの中でも、より具体的には、例えばN,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)-1、3-ジアミノ-プロパノール、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4'-アミノフェニル)エチレンジアミン、N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(β-ヒドロキシエチル)-N,N'-ビス(4-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(4-メチル-アミノフェニル)テトラメチレンジアミン、N,N'-ビス(エチル)-N,N'-ビス(4'-アミノ-3'-メチルフェニル)エチレンジアミン、1,8-ビス(2,5-ジアミノフェノキシ)-3,5-ジオキサオクタン、および酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0092】
パラ-アミノフェノールの中でも、より具体的には、例えばパラ-アミノフェノール、4-アミノ-3-メチルフェノール、4-アミノ-3-フルオロフェノール、4-アミノ-3-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メチルフェノール、4-アミノ-2-ヒドロキシメチルフェノール、4-アミノ-2-メトキシメチルフェノール、4-アミノ-2-アミノメチルフェノール、4-アミノ-2-(β-ヒドロキシエチルアミノメチル)フェノール、4-アミノ-2-フルオロフェノール、および酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0093】
オルト-アミノフェノールの中でも、例えば2-アミノフェノール、2-アミノ-5-メチルフェノール、2-アミノ-6-メチルフェノール、5-アセトアミド-2-アミノフェノール、および酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0094】
複素環塩基の中でも、特にピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、およびピラゾール誘導体、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0095】
1つまたは複数の酸化塩基が存在する場合、それらは一般に、組成物の全重量に対して0.0005重量%〜12重量%、好ましくは組成物の全重量に対して0.005重量%〜6重量%である。
【0096】
本発明の状況に有用な組成物が1つまたは複数の酸化塩基を含む場合、該組成物は、1つまたは複数の蛍光染料および1つまたは複数の酸化塩基を使用して得られた色合いを、光輝を用いて改変しまたは高めるために、少なくとも1つのカプラーを含むこともできる。
【0097】
使用できるカプラーは、この分野で通常使用されるカプラーから選択することができ、その中でも特に、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、複素環式カプラー、および酸または塩基とのそれらの付加塩を挙げることができる。
【0098】
これらのカプラーは、より具体的には2-メチル-5-アミノフェノール、5-N-(β-ヒドロキシエチル)アミノ-2-メチルフェノール、3-アミノフェノール、1,3-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシ-2-メチルベンゼン、4-クロロ-1,3-ジヒドロキシベンゼン、2,4-ジアミノ-1-(β-ヒドロキシエチルオキシ)ベンゼン、2-アミノ-4-(β-ヒドロキシエチルアミノ)-1-メトキシベンゼン、1,3-ジアミノベンゼン、1,3-ビス(2,4-ジアミノフェノキシ)プロパン、セサモール、α-ナフトール、6-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシインドール、4-ヒドロキシ-N-メチルインドール、6-ヒドロキシインドリン、2,6-ジヒドロキシ-4-メチルピリジン、1H-3-メチルピラゾール-5-オン、1-フェニル-3-メチルピラゾール-5-オン、2,6-ジメチルピラゾロ[1,5-b]-1,2,4-トリアゾール、2,6-ジメチルピラゾロ[3,2-c]-1,2,4-トリアゾール、6-メチルピラゾロ[1,5-a]ベンズイミダゾール、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される。
【0099】
1つまたは複数のカプラーが存在する場合、それらは一般に、組成物の全重量に対して0.0001重量%〜10重量%、より具体的には組成物の全重量に対して0.005重量%〜5重量%である。
【0100】
概して、本発明の状況(式(I)または(II)の蛍光染料、酸化塩基、およびカプラー)で使用できる酸との付加塩は、特に塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、クエン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、トシル酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、乳酸塩、および酢酸塩から選択される。
【0101】
本発明の状況(式(I)または(II)の蛍光染料、酸化塩基、およびカプラー)で使用できる塩基との付加塩は、特にアルカリ金属またはアルカリ土類金属との付加塩、水性アンモニアとの付加塩、有機アミンとの付加塩、例えばアルカノールアミン、ならびに式(III)の化合物から選択される。
【0102】
本発明の状況に有用な組成物は、少なくとも1つの酸化剤を含むことができる。
【0103】
酸化剤は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸基塩、例えば過ホウ酸塩および過硫酸塩、ならびに酵素、例えば2つの電子または4つの電子の酸化還元酵素およびペルオキシダーゼから選択される。過酸化水素または酵素の使用が特に好ましい。
【0104】
酸化剤が存在する場合、その量は一般に、組成物の全重量に対して0.001重量%〜10重量%である。
【0105】
本発明の状況に有用な組成物はさらに、化粧術分野で通常使用されている様々な助剤、例えばアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオン界面活性剤またはそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオンポリマーまたはそれらの混合物、有機または無機増粘剤、ならびに特に非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の会合性ポリマー、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、カチオンなどの調節剤、例えばカチオン性または両性ポリマー、改変または非改変の揮発性または不揮発性シリコーン、1つまたは複数のキトサン誘導体、被膜形成剤、セラミド、保存剤、安定化剤、および乳化剤を含むことができる。
【0106】
上記の助剤は、一般に組成物の全重量に対して0.01重量%および40重量%の間の量で、好ましくは組成物の全重量に対して0.1重量%および20重量%の間の量でそれぞれ存在する。
【0107】
当然のことながら、組成物に本質的に付与される有利な特性が、予想される1つまたは複数の添加剤によって損なわれず、または実質的に損なわれないよう、1つまたは複数の任意選択の追加化合物が当業者によって確実に選択されよう。
【0108】
本発明の状況に有用な組成物は、様々な形態、例えばローション、シャンプー、クリーム、ジェル、ペースト、または他の任意の適切な形態をとることができる。
【0109】
本発明の明色化効果を用いてケラチン物質を染色する方法は、先に定義した少なくとも1つのシアニン蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む組成物をケラチン物質に適用し、任意選択でこの適用後にすすぐ方法である。
【0110】
ケラチン物質に適用される組成物は、先に定義した少なくとも1つの追加の蛍光染料および/または少なくとも1つの追加の非蛍光直接染料を含むことができる。
【0111】
ケラチン物質に適用される組成物は、先に定義した少なくとも1つの酸化塩基および任意選択で少なくとも1つのカプラーを含むこともできる。
【0112】
ケラチン物質に適用される組成物は、少なくとも1つの酸化剤の存在下で適用することができる。
【0113】
酸化剤は、使用時に本発明の状況に有用な組成物に添加することができ、または酸化剤を含有する酸化組成物から使用することもでき、染色組成物と同時にまたは連続的に適用される。
【0114】
酸化剤は、例えば過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸基塩、例えば過ホウ酸塩および過硫酸塩、ならびに酵素、例えば2つの電子または4つの電子の酸化還元酵素およびペルオキシダーゼから選択される。過酸化水素または酵素の使用が特に好ましい。
【0115】
染色を発色させケラチン繊維に明色化効果を得るために必要な時間は、一般に約5〜60分、より具体的には約5〜40分である。
【0116】
さらに、染色を発色させケラチン繊維に明色化効果を得るために必要な温度は、一般に周囲温度(15〜25℃)および80℃の間、より具体的には15および40℃の間である。
【0117】
本発明はさらに、染色組成物が酸化剤の存在下で適用される場合、明色化効果を用いた本発明の染色方法を実施可能にする多区画デバイスを提供する。
【0118】
本発明の多区画デバイスは、先に定義した少なくとも1つのシアニン蛍光染料、ならびに任意選択で先に定義した少なくとも1つの追加の蛍光染料および/または少なくとも1つの非蛍光直接染料および/または少なくとも1つの酸化塩基および/または少なくとも1つのカプラーを化粧上許容可能な媒体中に含む組成物を第1区画に含有し、少なくとも1つの酸化剤を含む組成物を第2区画に含有する。
【0119】
本発明の多区画デバイスは、特許FR2 586 913に記載のデバイスなど、所望の混合物を毛髪に送達可能にする手段を備えることができる。
【0120】
本発明はさらに、次式の4,4'-{ピペラジン-1,4-ジイルビス[4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)
【0121】
【化13】

【0122】
および次式の4,4'-{1,4-フェニレンビス[メチレン(エチルイミノ)-4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)
【0123】
【化14】

【0124】
ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩以外の、先に定義した式(I)または(II)の蛍光染料を提供する。
【0125】
さらに本発明では、4,4'-{ピペラジン-1,4-ジイルビス[4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}-ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)および4,4'-{1,4-フェニレンビス[メチレン(エチルイミノ)-4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩以外の、先に定義した式(I)または(II)の蛍光染料から選択される少なくとも1つの蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための組成物を提供する。
【0126】
本発明はまた、先に定義した式(I)または(II)の化合物および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される少なくとも1つの蛍光染料、ならびにアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオン界面活性剤、ならびに有機または無機増粘剤、ならびに特に非イオン性、アニオン性、カチオン性、または両性の会合性ポリマーから選択される少なくとも1つの添加剤を化粧上許容可能な媒体中に含む、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための組成物を提供する。
【0127】
以下の実施例は、限定的性質を有することなく本発明を例示する働きをする。
【0128】
(実施例)
合成実施例
染料1:
【0129】
【化15】

【0130】
合成スキーム
【0131】
【化16】

【0132】
塩化1,2-ジメチルピリジニウム2.8g、メタノール50ml、およびピロリジン1.4gを、三つ口丸底フラスコに入れる。ビスアルデヒドA2.9gを、この混合物に添加し、反応混合物を攪拌しながら8時間還流する。次いで得られた黄色溶液を周囲温度に冷却し、その後酢酸エチル300mlに注ぐ。混合物を濾過し、得られた固体を酢酸エチルで洗浄し、次いで真空下で乾燥する。橙色粉末2gを回収する。分析は、実際に染料1が得られたことを示している。
【0133】
染料2:
【0134】
【化17】

【0135】
合成スキーム
【0136】
【化18】

【0137】
メト硫酸1,4-ジメチルピリジニウム2.19g、メタノール25ml、およびピロリジン0.7gを、三つ口丸底フラスコに入れる。ビスアルデヒドA1.45gをこの混合物に添加し、反応混合物を攪拌しながら4時間還流する。次いで得られた黄色溶液を周囲温度に冷却し、濾過し、次いで得られた固体を真空下で乾燥する。橙色結晶2gを回収する。分析は、実際に染料2が得られたことを示している。
【0138】
染料3:
【0139】
【化19】

【0140】
合成スキーム:
【0141】
【化20】

【0142】
N-エチルピコリニウム3.7gのメタノール29ml中溶液を、ジアルデヒドC3.6gに次いでピペリジン2.2mlと混合する。反応混合物を攪拌しながら3時間還流する。次いで、ジエチルエーテルを反応混合物に注いで沈殿物を得、その混合物を終夜-20℃で静置する。沈殿物を遠心分離にかけ、上清を分離し、赤色粉末を乾燥する。生成物7gを回収し、この生成物をカラムクロマトグラフィーで精製する(シリカ、メタノール/水/酢酸が8/1/1)。精製生成物4.05gを、深紅色粉末の形態で得る。分析は、実際に染料3が得られたことを示している。特に、1H NMR分析(D2O)の結果は以下の通りである。
1.6ppm、m、10H;3.05ppm、s、6H;3.5ppm、m、4H;4.7ppm、dd、4H;6.7ppm、d、4H;7.2ppm、d、2H;7.7ppm、m、6H、7.9ppm、d、2H;8.3ppm、m、4H;8.7ppm、d、2H。
【0143】
染料4:
【0144】
【化21】

【0145】
合成スキーム:
【0146】
【化22】

【0147】
第1ステップ
フルオロベンズアルデヒド26.77g、N-メチルピロリドン(NMP)100mlに次いで、炭酸カリウム34.5gおよびN,N'-ジメチル-1,6-ヘキシレンジアミン14.12gを混合し、90℃で30時間加熱する。反応混合物を冷却し、水500mlに注ぐ。形成された沈殿物を水100mlで3回洗浄し、真空下で乾燥する。淡黄色粉末32.9gを回収する。
【0148】
第2ステップ
2-ピコリン5.95gをジクロロメタン50mlで希釈する。硫酸ジメチル6.2mlをその混合物に添加し、次いで45℃で2時間加熱する。イソプロパノール50mlを添加し、混合物を40℃で30分間加熱する。ジクロロメタンを蒸留によって除去する。ピロリジン4.04gに次いで酢酸3.41gを添加し、その後先のステップで得られたビスアルデヒドD10gおよびイソプロパノール20mlを添加する。周囲温度で3日後に、その混合物を水/ブタノール液体/液体抽出物によって精製する。赤色粉末5.7gを回収する。分析によって、特に1H NMR分析(D2O)の結果によって、期待された生成物の性質が確認される。
【0149】
染料5:
【0150】
【化23】

【0151】
合成スキーム:
【0152】
【化24】

【0153】
4-ピコリン2.78gをジクロロメタン25mlで希釈する。硫酸ジメチル3mlを混合物に添加し、ジクロロメタンを加熱還流する。攪拌の15分後、イソプロパノール50mlを添加し、ジクロロメタンを蒸留によって除去する。ピロリジン2.02gを添加し、次いで染料4の合成の第1ステップで得られたビスアルデヒドD5gおよびイソプロパノール20mlを添加する。85℃で2時間攪拌した後、混合物を冷却する。形成された沈殿物を濾別し、イソプロパノール100mlで3回洗浄し、P2O5の存在下、真空下で乾燥する。赤色粉末9.63gを回収する。分析によって、特に1H NMR分析(D2O)の結果によって、期待された生成物の性質が確認される。
【0154】
明色化効果を用いた染色の実施例
(実施例1)
以下の組成物を調製する。iは3または6である。
【0155】
【表2】

【0156】
染料を以下に示す。
【0157】
【表3】

【0158】
該組成物を、毛髪1gに対して組成物5gの割合で、色調レベル4を有するナチュラルブラウンの毛髪のロックおよびナチュラル90%ホワイトの毛髪のロックに周囲温度で30分間適用する。その後それらのロックをシャンプーなしですすぎ、次いでフードの下で30分間乾燥する。
【0159】
得られた結果を以下の表に示す。
【0160】
【表4】

【0161】
本発明の染料を用いて得られた染色は、毛髪上で可視であり、特許出願EP1 432 390に記載の染料を用いて得られたものと同じであることに留意されたい。
【0162】
上記の条件下で得られた染料3および6を用いて染色した毛髪のロックで、シャンプー耐性試験を実施した。ロックを水でぬらし、シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、その後乾燥することを含む1サイクルにおいて、染色したロックを6回のシャンプーに曝した。
【0163】
6回のシャンプー後、染料3を用いて得られた染色は、染料6を用いて得られた染色よりも明瞭である。これらの結果は、本発明の染料が、特許出願EP1 432 390に記載の染料よりも良好なシャンプー耐性を示すことを示している。
【0164】
(実施例2)
以下の組成物を調製する。iは4または5である。
【0165】
【表5】

【0166】
染料を以下に示す。
【0167】
【表6】

【0168】
該組成物を、毛髪1gに対して組成物5gの割合で、色調レベル4を有するナチュラルブラウンのロックおよびナチュラル90%ホワイトの毛髪のロックに周囲温度で30分間適用する。その後それらのロックをシャンプーなしですすぎ、次いでフードの下で30分間乾燥する。
【0169】
得られた結果を以下の表に示す。
【0170】
【表7】

【0171】
上記の条件下で得られた染料4および5を用いて染色した毛髪のロックで、シャンプー耐性試験を実施した。ロックを水でぬらし、シャンプーで洗浄し、水ですすぎ、その後乾燥することを含む1サイクルにおいて、染色したロックを6回のシャンプーに曝した。
【0172】
得られた結果は、本発明の染料4および5が良好なシャンプー耐性を示すことを示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための、以下の式(I)または(II)の化合物、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される少なくとも1つのシアニン蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む組成物の使用
【化1】

[式中、
リンカーは、飽和または不飽和の脂肪族または脂環式C1〜C12炭化水素鎖を表し、炭化水素鎖の1つまたは複数の炭素原子を、1つまたは複数の酸素原子、1つまたは複数の基NR(Rは水素原子またはアルキル基である)で置換することが可能であり、前記炭化水素鎖はジアゾ、ニトロ、ニトロソ、または過酸化基を含有しておらず、かつヘテロ原子によってその末端の一方または他方で終端することはできず、
R1は、末端位においてヒドロキシル基またはアルコキシ基で任意選択で置換されている直鎖のC1〜C8アルキル基を表し、
R2は、水素原子、ハロ基、アルキル基、アルコキシ基、1つまたは複数のC1〜C4アルキル基で任意選択で置換されているアミノ基を表し、1つまたは複数のC1〜C4アルキル基は、それら自体1つまたは複数のヒドロキシル基で任意選択で置換されており、
R3は、末端位においてヒドロキシル基またはアルコキシ基で任意選択で置換されている直鎖のC1〜C8アルキル基を表し、
2つの基R3は、リンカーおよびそれらが結合する窒素原子と共に、次式の6員または7員の飽和複素環を形成することが可能であり
【化2】

(式中、nは1または2である)、
X-は、対イオンを表す]。
【請求項2】
リンカーが、アルキレン基およびアルキレンアラルキレン基から選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
リンカーが、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基、および次式の基から選択される、請求項2に記載の使用。
【化3】

【請求項4】
リンカーが、エチレン基、ブチレン基、およびヘキシレン基から選択される、請求項3に記載の使用。
【請求項5】
R1がアルキル基を表す、請求項1から4のいずれか一項に記載の使用。
【請求項6】
R1がメチル基およびエチル基から選択される、請求項5に記載の使用。
【請求項7】
R2が、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、およびハロ基から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の使用。
【請求項8】
R2が水素原子である、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
R3がアルキル基を表す、請求項1から8のいずれか一項に記載の使用。
【請求項10】
R3がメチル基を表す、請求項9に記載の使用。
【請求項11】
X-が、ハロゲン化物イオン、水酸化物イオン、硫酸水素イオン、およびC1〜C6アルキル硫酸イオンから選択される、請求項1から10のいずれか一項に記載の使用。
【請求項12】
1つまたは複数の蛍光染料が、以下の表に記載の化合物、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される、請求項1から11のいずれか一項に記載の使用。
【表1A】

【表1B】

【請求項13】
1つまたは複数の蛍光染料が、組成物の全重量に対して0.01重量%〜20重量%で存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の使用。
【請求項14】
組成物が、少なくとも1つの追加の蛍光化合物を含む、請求項1から13のいずれか一項に記載の使用。
【請求項15】
1つまたは複数の追加の蛍光化合物が、組成物の全重量に対して0.05重量%〜10重量%で存在する、請求項14に記載の使用。
【請求項16】
組成物が、少なくとも1つの追加の非蛍光直接染料を含む、請求項1から15のいずれか一項に記載の使用。
【請求項17】
1つまたは複数の追加の非蛍光直接染料が、単独または組み合わせた、ニトロベンゼン染料、アゾ、アゾメチン、メチン、アントラキノン、ナフトキノン、ベンゾキノン、フェノチアジン、インジゴイド、キサンテン、フェナントリジン、およびフタロシアニン染料、ならびにトリアリールメタン由来のものから選択される、請求項16に記載の使用。
【請求項18】
1つまたは複数の追加の非蛍光直接染料が、組成物の全重量に対して約0.0005重量%〜12重量%で存在する、請求項16または17に記載の使用。
【請求項19】
組成物が、パラ-フェニレンジアミン、ビスフェニルアルキレンジアミン、パラ-アミノフェノール、オルト-アミノフェノール、複素環塩基、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される少なくとも1つの酸化塩基を含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の使用。
【請求項20】
1つまたは複数の酸化塩基が、組成物の全重量に対して0.0005重量%〜12重量%で存在する、請求項19に記載の使用。
【請求項21】
組成物が、メタ-フェニレンジアミン、メタ-アミノフェノール、メタ-ジフェノール、複素環式カプラー、および酸または塩基とのそれらの付加塩から選択される少なくとも1つのカプラーを含む、請求項19または20に記載の使用。
【請求項22】
1つまたは複数のカプラーが、組成物の全重量に対して0.0001重量%〜10重量%である、請求項21に記載の使用。
【請求項23】
組成物が少なくとも1つの酸化剤を含む、請求項1から22のいずれか一項に記載の使用。
【請求項24】
1つまたは複数の酸化剤が、過酸化水素、過酸化尿素、アルカリ金属臭素酸塩、過酸基塩、および酵素から選択される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
組成物が、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオン界面活性剤またはそれらの混合物、アニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオンポリマーまたはそれらの混合物、有機または無機増粘剤、抗酸化剤、浸透剤、金属イオン封鎖剤、香料、緩衝剤、分散剤、カチオンなどの調節剤、カチオン性または両性ポリマー、改変または非改変の揮発性または不揮発性シリコーン、1つまたは複数のキトサン誘導体、被膜形成剤、セラミド、保存剤、安定化剤、および乳化剤から選択される少なくとも1つの添加剤を含む、請求項1から24のいずれか一項に記載の使用。
【請求項26】
請求項1から12のいずれか一項に定義の少なくとも1つの蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む組成物をケラチン物質に適用し、任意選択でこの適用後にすすぐ、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色する方法。
【請求項27】
ケラチン物質に適用される組成物が、少なくとも1つの追加の蛍光染料および/または少なくとも1つの追加の非蛍光直接染料を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
ケラチン物質に適用される組成物が、少なくとも1つの酸化塩基および任意選択で少なくとも1つのカプラーを含む、請求項26または27に記載の方法。
【請求項29】
ケラチン物質に適用される組成物が、少なくとも1つの酸化剤の存在下で適用される、請求項26から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
請求項1から12のいずれか一項に定義した少なくとも1つの蛍光染料、ならびに任意選択で少なくとも1つの追加の蛍光染料および/または少なくとも1つの非蛍光直接染料および/または少なくとも1つの酸化塩基および/または少なくとも1つのカプラーを化粧上許容可能な媒体中に含む組成物を第1区画に含有し、少なくとも1つの酸化剤を含む組成物を第2区画に含有する多区画デバイス。
【請求項31】
4,4'-{ピペラジン-1,4-ジイルビス[4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}-ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)および4,4'-{1,4-フェニレンビス[メチレン(エチルイミノ)-4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩以外の、請求項1から12のいずれか一項に定義した式(I)または(II)の蛍光染料。
【請求項32】
4,4'-{ピペラジン-1,4-ジイルビス-[4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)および4,4'-{1,4-フェニレンビス[メチレン(エチルイミノ)-4,1-フェニレンエテン-2,1-ジイル]}ビス(1-メチルピリジニウム)ビス(硫酸メチル)、ならびに酸または塩基とのそれらの付加塩以外の、請求項1から12のいずれか一項に定義した式(I)または(II)の蛍光染料から選択される少なくとも1つの蛍光染料を化粧上許容可能な媒体中に含む、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための組成物。
【請求項33】
請求項1から12のいずれか一項に定義した少なくとも1つの蛍光染料、ならびにアニオン性、カチオン性、非イオン性、両性、および双性イオン界面活性剤、ならびに有機または無機増粘剤から選択される少なくとも1つの添加剤を化粧上許容可能な媒体中に含む、明色化効果を用いてヒトのケラチン物質を染色するための組成物。

【公表番号】特表2009−528261(P2009−528261A)
【公表日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−549877(P2008−549877)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/050269
【国際公開番号】WO2007/080183
【国際公開日】平成19年7月19日(2007.7.19)
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】