説明

映像信号処理装置

【課題】 フレームメモリの容量及びフレームメモリに対するアクセス数を削減することができ、構成を簡略化でき低コストで実現することができる映像信号処理装置を提供する。
【解決手段】 2次元Y/C分離回路12はコンポジット映像信号を輝度信号Y0と色信号C0とに分離する。色復調回路13は色信号C0を色復調して色差信号CD0を出力する。3次元Y/C分離回路15は画像の動きを検出し、3次元Y/C分離を行って輝度信号Yと色差信号CDを生成する。3次元IP変換回路16,17は輝度信号Yと色差信号CDを3次元IP変換する。フレームメモリ18は3次元Y/C分離回路15と3次元IP変換回路16,17で用いる各遅延信号を生成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンポジット映像信号に対して3次元Y/C(輝度信号/色信号)分離及び3次元IP(インターレース−プログレッシブ)変換を施す映像信号処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
NTSC信号やPAL信号等の輝度信号と色信号とが複合されたコンポジット映像信号における輝度信号と色信号とを精度よく分離するため、フレーム相関を利用した動き適応型3次元Y/C分離回路が用いられている。動き適応型3次元Y/C分離回路は、動画領域についてはライン相関を利用した2次元処理を行い、静止画領域についてはフレーム相関を利用した3次元処理を行って、輝度信号と色信号とを分離するものである。
一方、インターレース信号を走査線補間してプログレッシブ信号に変換するため、フィールド相関を利用した動き適応型3次元IP変換回路が用いられている。動き適応型3次元IP変換回路は、動画領域についてはライン相関を利用した2次元処理を行い、静止画領域についてはフィールド相関を利用した3次元処理を行って、インターレース信号をプログレッシブ信号に変換するものである。
【0003】
図3は、3次元Y/C分離回路及び3次元IP変換回路を備えた従来の映像信号処理装置の一例を示すブロック図である。図3においては、入力コンポジット映像信号としてNTSC信号を例としている。図3において、入力端子1に入力されたコンポジット映像信号V0は3次元Y/C分離回路2とフレームメモリ7とに供給される。入力端子1に入力されたコンポジット映像信号V0のフィールド(現フィールド)をmとする。フレームメモリ7は、コンポジット映像信号V0を1フレーム(2フィールド)遅延した1フレーム遅延コンポジット映像信号V02と、コンポジット映像信号V0を2フレーム(4フィールド)遅延した2フレーム遅延コンポジット映像信号V04とを生成して、3次元Y/C分離回路2に供給する。1フレーム遅延コンポジット映像信号V02のフィールドをm−2とし、2フレーム遅延コンポジット映像信号V04のフィールドをm−4とする。
3次元Y/C分離回路2は動き検出部21を備えている。動き検出部21は後述のようにして入力されたコンポジット映像信号V0における画像の動きを検出し、画像の動きの検出信号に基づいてコンポジット映像信号V0に3次元Y/C分離を施す。
【0004】
NTSC信号やPAL信号における色信号はフレーム周期で位相が回転している。NTSC信号であれば1フレームで180°、PAL信号であれば2フレームで180°位相が回転する。画像の動きを検出するには、色信号の位相が一致しているフレームどうしで演算を行う必要がある。NTSC信号であれば現フレームと2フレーム遅延したフレームとで画像の動きを検出し、PAL信号であれば現フレームと4フレーム遅延したフレームとで画像の動きを検出することが必要となる。図3においては、mフィールドのコンポジット映像信号V0とm−4フィールドの2フレーム遅延コンポジット映像信号V04とは、走査線及び色信号の位相が一致している。
そこで、動き検出部21はコンポジット映像信号V0と2フレーム遅延コンポジット映像信号V04とを用いて画像の動きの有無を検出する。3次元Y/C分離回路2は、動き検出部21より出力された動きの検出信号に基づき、静止画領域については色信号の位相が反転しているコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とを加算して1/2にすることにより輝度信号を生成する。3次元Y/C分離回路2はコンポジット映像信号V0から輝度信号を減算することにより色信号を生成する。3次元Y/C分離回路2は、動画領域についてはライン相関を利用した2次元処理を行って輝度信号と色信号を生成する。
【0005】
このようにして3次元Y/C分離回路2より出力された輝度信号をY0、色信号をC0とする。輝度信号Y0は輝度信号を3次元IP変換する3次元IP変換回路5及びフレームメモリ7に入力される。
色信号C0は色復調回路3に入力されてベースバンドの色差信号R−Y,B−Yとされる。色復調回路3より出力された色差信号R−Y,B−Yはパラレル・シリアル(PS)変換回路4に入力されて、シリアル信号の色差信号CD0として出力される。色差信号CD0は色信号を3次元IP変換する3次元IP変換回路6及びフレームメモリ7に入力される。
【0006】
フレームメモリ7は、輝度信号Y0を1フィールド遅延した1フィールド遅延輝度信号Y01と、輝度信号Y0を2フィールド(1フレーム)遅延した2フィールド遅延輝度信号Y02とを生成して、3次元IP変換回路5に供給する。また、フレームメモリ7は、色差信号CD0を1フィールド遅延した1フィールド遅延色差信号CD01と、色差信号CD0を2フィールド(1フレーム)遅延した2フィールド遅延色差信号CD02とを生成して、3次元IP変換回路6に供給する。1フィールド遅延輝度信号Y01及び1フィールド遅延色差信号CD01のフィールドをm−1とし、2フィールド遅延輝度信号Y02及び2フィールド遅延色差信号CD02のフィールドをm−2とする。
3次元IP変換回路5,6はそれぞれ動き検出部51,61を備えている。動き検出部51は互いに走査線の位相が一致している輝度信号Y0と2フィールド遅延輝度信号Y02とを用いて画像の動きの有無を検出する。動き検出部61は互いに走査線の位相が一致している色差信号CD0と2フィールド遅延色差信号CD02とを用いて画像の動きの有無を検出する。
【0007】
3次元IP変換回路5は、動き検出部51より出力された動きの検出信号に基づき、静止画領域については輝度信号Y0に1フィールド遅延輝度信号Y01を内挿するフィールド間補間を行い、動画領域についてはフィールド内補間(ライン間補間)を行う。さらに原信号と補間信号とを倍速変換して、輝度信号Y0をプログレッシブ信号Y0pに変換する。3次元IP変換回路6は、動き検出部61より出力された動きの検出信号に基づき、静止画領域については色差信号CD0に1フィールド遅延色差信号CD01を内挿するフィールド間補間を行い、動画領域についてはフィールド内補間(ライン間補間)を行う。さらに原信号と補間信号とを倍速変換して、色差信号CD0をプログレッシブ信号CD0pに変換する。
プログレッシブ信号である輝度信号Y0pは出力端子8より出力され、プログレッシブ信号である色差信号CD0pは出力端子9より出力される。
【0008】
【特許文献1】特開平5−64205号公報
【特許文献2】特開平5−336497号公報
【特許文献3】特開平6−54343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
図4を用いて図3に示す従来の映像信号処理装置の動作についてさらに説明する。図4において、(A)はインターレースのコンポジット映像信号V0における走査線構造をmフィールドからm−4フィールドまで簡略化して示しており、(B)は図3の映像信号処理装置における各回路での処理がどのフィールドで、またはどのフィールド間で行われているかを示している。なお、図4(A)における白丸は画素を示しており、図4(B)における黒丸は単にフィールドの位置を示している。
【0010】
前述の説明より分かるように、また、図4に示すように、図3に示す従来の映像信号処理装置においては、3次元Y/C分離回路2内の動き検出部21はmフィールドとm−4フィールドとの間で動きを検出し(図4(B)の(B1))、3次元Y/C分離回路2はmフィールドとm−2フィールドとの間で静止画領域のY/C分離を行う(図4(B)の(B2))と共に、mフィールド内で動画領域のY/C分離を行う(図4(B)の(B3))。
また、3次元IP変換回路5,6内の動き検出部51,61はmフィールドとm−2フィールドとの間で動きを検出し(図4(B)の(B4))、3次元IP変換回路5はmフィールドとm−1フィールドとの間で静止画領域のIP変換を行う(図4(B)の(B5))と共に、mフィールド内で動画領域のIP変換を行う(図4(B)の(B6))。図4(A)には、静止画領域において、m−1フィールドの走査線の画素がmフィールドの2つの走査線の間に破線で示すように内挿されることを図示している。ここでは簡略化のため1つの画素のみのフィールド間補間を示しているが、走査線の各画素が内挿される。また、ここでは図示していないが、動画領域ではmフィールド内の上下の走査線を用いたフィールド内補間が行われる。
【0011】
以上のように動作する従来の映像信号処理装置においては、フレームメモリ7として4フレーム分のメモリが必要となり、また、フレームメモリ7へのアクセス数が9必要で、メモリ容量及びアクセス数が多いという問題点があった。それゆえ、従来の映像信号処理装置はコストが高く、構成も煩雑であるという問題点があった。
本発明はこのような問題点に鑑みなされたものであり、フレームメモリの容量及びフレームメモリに対するアクセス数を削減することができ、構成を簡略化でき低コストで実現することができる映像信号処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上述した従来の技術の課題を解決するため、インターレースのコンポジット映像信号を処理する映像信号処理装置において、前記コンポジット映像信号を第1の輝度信号と色信号とに分離して出力する2次元Y/C分離回路(12)と、前記色信号を色復調して第1の色差信号を出力する色復調回路(13)と、前記コンポジット映像信号における画像の動きを検出して静止画領域と動画領域とを判定する動き検出部(153)と、前記コンポジット映像信号における第1のフィールドの信号と前記第1のフィールドよりも過去の第2のフィールドの信号とを用いた3次元処理によって第2の輝度信号を生成し、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第2の輝度信号を第3の輝度信号として出力すると共に、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第1の輝度信号を第3の輝度信号として出力する輝度信号処理部(151)と、前記第1の色差信号における前記第1のフィールドの信号と前記第2のフィールドの信号とを用いた3次元処理によって第2の色差信号を生成し、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第2の色差信号を第3の色差信号として出力すると共に、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第1の色差信号を第3の色差信号として出力する色差信号処理部(152)と、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第3の輝度信号における前記第1のフィールドの信号と前記第1のフィールドよりも過去の第3のフィールドの信号とを用いてフィールド間補間して前記第3の輝度信号をプログレッシブ信号に変換し、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第3の輝度信号における前記第1のフィールドの信号を用いてフィールド内補間して前記第3の輝度信号をプログレッシブ信号に変換する第1の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路(16)と、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第3の色差信号における前記第1のフィールドの信号と前記第3のフィールドの信号とを用いてフィールド間補間して前記第3の色差信号をプログレッシブ信号に変換し、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第3の色差信号における前記第1のフィールドの信号を用いてフィールド内補間して前記第3の色差信号をプログレッシブ信号に変換する第2の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路(17)と、前記輝度信号処理部及び前記色差信号処理部で用いる前記第2のフィールドの信号と前記第1及び第2の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路で用いる前記第3のフィールドの信号とを生成するフレームメモリ(18)とを備えて構成したことを特徴とする映像信号処理装置を提供するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の映像信号処理装置によれば、フレームメモリの容量及びフレームメモリに対するアクセス数を削減することができ、構成を簡略化でき低コストで実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の映像信号処理装置について、添付図面を参照して説明する。図1は本発明の映像信号処理装置の一実施形態を示すブロック図、図2は一実施形態の動作を説明するための図である。なお、図1において、輝度信号や色信号あるいは色差信号を表す符合として便宜上図3と同じものを用いる場合があるが、必ずしも同じ処理によって得た信号を意味するものではない。
【0015】
図1においても、入力コンポジット映像信号としてNTSC信号を例とする。図1において、入力端子11に入力されたコンポジット映像信号V0は2次元Y/C分離回路12と3次元Y/C分離回路15とフレームメモリ18とに供給される。入力端子1に入力されたコンポジット映像信号V0のフィールド(現フィールド)をmとする。フレームメモリ18は、コンポジット映像信号V0を1フレーム(2フィールド)遅延した1フレーム遅延コンポジット映像信号V02を生成して、3次元Y/C分離回路15に供給する。1フレーム遅延コンポジット映像信号V02のフィールドをm−2とする。
2次元Y/C分離回路12はコンポジット映像信号V0より櫛型フィルタによる2次元処理によって輝度信号Y0と色信号C0とを分離して出力する。輝度信号Y0は3次元Y/C分離回路15に入力され、色信号C0は色復調回路13に入力される。
【0016】
色信号C0は色復調回路13によってベースバンドの色差信号R−Y,B−Yとされ、色復調回路13より出力された色差信号R−Y,B−Yはパラレル・シリアル(PS)変換回路14に入力されて、シリアル信号の色差信号CD0として出力される。色差信号CD0は色信号を3次元Y/C分離回路15及びフレームメモリ18に入力される。なお、PS変換回路14は信号処理の都合上設けているものであり、必ずしも必要ではない。
フレームメモリ18は、色差信号CD0を1フレーム(2フィールド)遅延した1フレーム遅延色差信号CD02を生成して、3次元Y/C分離回路15に供給する。色差信号CD0のフィールドはmであり、1フレーム遅延色差信号CD02のフィールドはm−2である。
【0017】
3次元Y/C分離回路15は動き検出部153を備えている。動き検出部153は次のようにして画像の動きを検出する。即ち、入力されたコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02との双方からローパスフィルタ(図示せず)によって高域成分を除去する。これにより、コンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02は実質的に輝度信号成分のみとなる。輝度信号成分のみとなったコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とのフレーム差分が所定の閾値を越えるか否かを判定する。
輝度信号成分のみで画像の動きの有無を判定してもよいが、本実施形態では好ましい例として、色差信号成分も用いて画像の動きの有無を判定する。具体的には、色差信号CD0と1フレーム遅延色差信号CD02のフィールドとのフレーム差分が所定の閾値を越えるか否かを判定し、輝度信号成分に動きがあり、かつ色差信号成分にも動きがある場合に動きがあると判定する。なお、動き検出部153での動き検出の判定方法はこれに限定されるものではない。
【0018】
3次元Y/C分離回路15は、動き検出部153により得られた画像の動きの検出信号に基づいてコンポジット映像信号V0を3次元Y/C分離する。静止画領域において、ドット妨害成分を除く本来の輝度信号成分はコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とで同位相である。これに対し、ドット妨害成分はコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とで逆位相である。そこで、輝度信号処理部(Y処理部)151は、コンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とを加算して1/2にすることにより、輝度信号成分に含まれているドット妨害成分のみを相殺して除去する。
Y処理部151は、動き検出部153からの動きの検出信号により画像に動きがないと判定された静止画領域でコンポジット映像信号V0と1フレーム遅延コンポジット映像信号V02とを加算した3次元処理の輝度信号を出力する。また、Y処理部151は、動き検出部153からの動きの検出信号により画像に動きがあると判定された動画領域では、2次元Y/C分離回路12からの輝度信号Y0をそのまま出力する。Y処理部151より出力される輝度信号をYとする。
【0019】
一方、静止画領域において、クロスカラー妨害成分を除く本来の色差信号成分は色差信号CD0と1フレーム遅延色差信号CD02とで同位相である。これに対し、クロスカラー妨害成分は色差信号CD0と1フレーム遅延色差信号CD02とで逆位相である。そこで、色差信号処理部(CD処理部)152は、色差信号CD0と1フレーム遅延色差信号CD02とを加算して1/2にすることによって、色差信号成分に含まれているクロスカラー妨害成分のみを相殺して除去する。
CD処理部152は、動き検出部153からの動きの検出信号により画像に動きがないと判定された静止画領域で色差信号CD0と1フレーム遅延色差信号CD02とを加算した3次元処理の色差信号を出力する。また、CD処理部152は、動き検出部153からの動きの検出信号により画像に動きがあると判定された動画領域では、色差信号CD0をそのまま出力する。CD処理部152より出力される色差信号をCDとする。
【0020】
以上のようにしてY処理部151より出力された輝度信号Yは、3次元IP変換回路16とフレームメモリ18とに供給される。CD処理部152より出力された色差信号CDは、3次元IP変換回路17とフレームメモリ18とに供給される。動き検出部153からの動きの検出信号は、3次元IP変換回路16,17に供給される。
フレームメモリ18は、Y処理部151より出力された輝度信号Yを1フィールド遅延した1フィールド遅延輝度信号Y01を生成して3次元IP変換回路16に供給し、CD処理部152より出力された色差信号CDを1フィールド遅延した1フィールド遅延色差信号CD01を生成して3次元IP変換回路17に供給する。1フィールド遅延輝度信号Y01及び1フィールド遅延色差信号CD01のフィールドをm−1とする。
【0021】
3次元IP変換回路16は、動き検出部153より出力された動きの検出信号に基づき、静止画領域についてはY処理部151より出力された輝度信号Yに1フィールド遅延輝度信号Y01を内挿するフィールド間補間を行い、動画領域については輝度信号Yのみでフィールド内補間(ライン間補間)を行う。さらに原信号と補間信号とを倍速変換して、輝度信号をプログレッシブ信号Ypに変換する。3次元IP変換回路17は、動き検出部153より出力された動きの検出信号に基づき、静止画領域についてはCD処理部152より出力された色差信号CDに1フィールド遅延色差信号CD01を内挿するフィールド間補間を行い、動画領域については色差信号CDのみでフィールド内補間(ライン間補間)を行う。さらに原信号と補間信号とを倍速変換して、色差信号をプログレッシブ信号CDpに変換する。
プログレッシブ信号である輝度信号Ypは出力端子19より出力され、プログレッシブ信号である色差信号CDpは出力端子20より出力される。
【0022】
図2を用いて図1に示す本実施形態の映像信号処理装置の動作についてさらに説明する。図2において、(A)はインターレースのコンポジット映像信号V0における走査線構造をmフィールドからm−2フィールドまで簡略化して示しており、(B)は図1の映像信号処理装置における各回路での処理がどのフィールドで、またはどのフィールド間で行われているかを示している。なお、図4と同様、図2(A)における白丸は画素を示しており、図2(B)における黒丸は単にフィールドの位置を示している。
【0023】
前述の説明より分かるように、また、図2に示すように、図1に示す本実施形態の映像信号処理装置においては、3次元Y/C分離回路15内の動き検出部153はmフィールドとm−2フィールドとの間で動きを検出し(図2(B)の(B1))、3次元Y/C分離回路15(Y処理部151及びCD処理部152)はmフィールドとm−2フィールドとの間で静止画領域のY/C分離を行う(図2(B)の(B2))と共に、mフィールド内で動画領域のY/C分離を行う(図2(B)の(B3))。
また、3次元IP変換回路16,17はmフィールドとm−1フィールドとの間で静止画領域のIP変換を行う(図2(B)の(B4))と共に、mフィールド内で動画領域のIP変換を行う(図2(B)の(B5))。図2(A)には、静止画領域において、m−1フィールドの走査線の画素がmフィールドの2つの走査線の間に破線で示すように内挿されることを図示している。ここでは簡略化のため1つの画素のみのフィールド間補間を示しているが、走査線の各画素が内挿される。また、ここでは図示していないが、動画領域ではmフィールド内の上下の走査線を用いたフィールド内補間が行われる。
【0024】
以上のように動作する本実施形態の映像信号処理装置においては、フレームメモリ18として3フレーム分のメモリでよく、また、フレームメモリ18へのアクセス数は8でよく、図3の従来例と比較してメモリ容量及びアクセス数を少なくすることができる。よって,本実施形態の映像信号処理装置は低コストで、構成も簡略化することができる。さらに、動き検出部153での動き検出は、mフィールドとm−4フィールドとの間(2フレーム間)で行う必要があった図3の構成とは異なり、mフィールドとm−2フィールドとの間(1フレーム間)で行うことができるので、動きの速い画像の動きも精度よく検出することができ、プログレッシブ信号の画質を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態を示すブロック図である。
【図2】一実施形態の動作を説明するための図である。
【図3】従来例を示すブロック図である。
【図4】の従来例動作を説明するための図である。
【符号の説明】
【0026】
12 2次元Y/C分離回路
13 色復調回路
15 3次元Y/C分離回路
16,17 3次元インターレース−プログレッシブ変換回路(3次元IP変換回路)
18 フレームメモリ
151 輝度信号処理部(Y処理部)
152 色差信号処理部(CD処理部)
153 動き検出部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターレースのコンポジット映像信号を処理する映像信号処理装置において、
前記コンポジット映像信号を第1の輝度信号と色信号とに分離して出力する2次元Y/C分離回路と、
前記色信号を色復調して第1の色差信号を出力する色復調回路と、
前記コンポジット映像信号における画像の動きを検出して静止画領域と動画領域とを判定する動き検出部と、
前記コンポジット映像信号における第1のフィールドの信号と前記第1のフィールドよりも過去の第2のフィールドの信号とを用いた3次元処理によって第2の輝度信号を生成し、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第2の輝度信号を第3の輝度信号として出力すると共に、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第1の輝度信号を第3の輝度信号として出力する輝度信号処理部と、
前記第1の色差信号における前記第1のフィールドの信号と前記第2のフィールドの信号とを用いた3次元処理によって第2の色差信号を生成し、前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第2の色差信号を第3の色差信号として出力すると共に、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第1の色差信号を第3の色差信号として出力する色差信号処理部と、
前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第3の輝度信号における前記第1のフィールドの信号と前記第1のフィールドよりも過去の第3のフィールドの信号とを用いてフィールド間補間して前記第3の輝度信号をプログレッシブ信号に変換し、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第3の輝度信号における前記第1のフィールドの信号を用いてフィールド内補間して前記第3の輝度信号をプログレッシブ信号に変換する第1の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路と、
前記動き検出部によって静止画領域であると判定されたときには前記第3の色差信号における前記第1のフィールドの信号と前記第3のフィールドの信号とを用いてフィールド間補間して前記第3の色差信号をプログレッシブ信号に変換し、前記動き検出部によって動画領域であると判定されたときには前記第3の色差信号における前記第1のフィールドの信号を用いてフィールド内補間して前記第3の色差信号をプログレッシブ信号に変換する第2の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路と、
前記輝度信号処理部及び前記色差信号処理部で用いる前記第2のフィールドの信号と前記第1及び第2の3次元インターレース−プログレッシブ変換回路で用いる前記第3のフィールドの信号とを生成するフレームメモリとを備えて構成したことを特徴とする映像信号処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−5424(P2006−5424A)
【公開日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−176801(P2004−176801)
【出願日】平成16年6月15日(2004.6.15)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】