説明

時刻認証管理システム及び画像形成装置

【課題】 時刻認証サービスを利用してデータを処理する際におけるコスト低減を図る。
【解決手段】 制御部103が、許可情報取得部102によって取得された認証許可情報が、HDD170の認証許可情報記憶部171に記憶されているか否かを判断する。当該認証許可情報が制御手段が認証許可情報記憶部171に記憶されている場合に、認証情報取得部101が時刻認証情報を取得するように制限を設ける。これにより、複合機1にデータを保存したり、データをプリントする際における時刻認証サービス利用についてのコスト低減を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、時刻認証機関からの時刻認証情報の取得を管理する時刻認証管理システム及びこれを備えた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、電子文書の改ざん等を防止するために、電子文書の作成日時等を電子的に証明する時刻認証サービスが知られている。この時刻認証サービスは、ユーザのパーソナルコンピュータから、ネットワークを介して、時刻認証サービスを提供する時刻認証機関(いわゆる時刻認証局等)にアクセスし、時刻認証情報の交付を受けること等によって、電子文書作成時点等の時刻の認証を受けるようになっている。この時刻認証サービスを利用した印刷システムとして、例えば、特許文献1に示されるように、印刷時に時刻認証局に対してタイムスタンプの発行を要求し、この要求に基づいて発行されたタイムスタンプを印刷データと一緒に印刷する印刷システムが提案されている。
【特許文献1】特開2003−323512号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記時刻認証機関が提供する時刻認証サービスは有料であるため、全ての印刷データについて、時刻認証サービスの提供を受けてタイムスタンプを印刷していたのではコストが高くなってしまうが、上記特許文献1に記載の発明では、印刷データの印刷時における時刻認証サービスのコスト低減についての対策が図られていない。
【0004】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたもので、時刻認証サービスを利用してデータを処理する際におけるコスト低減を図ることができる時刻認証管理システム及び画像形成装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載の発明は、時刻を認証する時刻認証機関からネットワークを介して時刻認証情報を取得する時刻認証情報取得手段と、
前記時刻認証情報取得手段による前記時刻認証情報の取得が許可される1以上の認証許可情報を記憶する認証許可情報記憶手段と、
外部からの入力に基づいて前記認証許可情報を取得する認証許可情報取得手段と、
前記認証許可情報取得手段によって取得された認証許可情報が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されている場合に、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させる制御手段と
を備えた時刻認証管理システムである。
【0006】
この構成では、認証許可情報取得手段によって取得された認証許可情報が、認証許可情報記憶手段に記憶されている場合に、制御手段が時刻認証情報取得手段に時刻認証情報を取得させることによって、時刻認証情報取得手段が、認証許可情報記憶手段に記憶されている認証許可情報と同一の認証許可情報を取得した場合にのみ、時刻認証機関から時刻認証情報を取得するように制限を設けている。
【0007】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の時刻認証管理システムであって、データの入力を受け付けるデータ入力受付手段と、
前記データ入力受付手段によって受け付けられたデータを保存するデータ保存手段と、
前記データの処理に関する指示を受け付ける指示受付手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記データ保存手段に前記データを保存させる指示が前記指示受付手段に受け付けられた場合、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報を前記データに付加して前記データ保存手段に保存するものである。
【0008】
この構成では、認証許可情報取得手段によって取得された認証許可情報が、認証許可情報記憶手段に記憶されている場合にのみ、制御手段が、時刻認証情報取得手段に時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報を、データ入力受付手段で受け付けられたデータに付加して、データ保存手段に保存するようにすることで、データ保存時における時刻認証情報の取得に制限を設けている。
【0009】
また、請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の時刻認証管理システムであって、前記時刻認証情報の付加された前記データが前記データ保存手段に保存されたことを示す確認メッセージを出力する確認メッセージ出力手段を更に備え、
前記制御手段は、前記時刻認証情報が付加された前記データを前記データ保存手段に保存した場合に、前記確認メッセージ出力手段に確認メッセージを出力させるものである。
【0010】
この構成では、時刻認証情報が付加されたデータをデータ保存手段に保存した場合に、制御手段が確認メッセージ出力手段に確認メッセージを出力させることによって、操作者に対して、保存されたデータに時刻認証情報が付加されたことを認識させるようになっている。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の時刻認証管理システムであって、データを保存するデータ保存手段と、
前記データ保存手段に保存されているデータを出力するデータ出力手段と、
前記データの処理に関する指示を受け付ける指示受付手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記データ保存手段に保存されているデータを出力させる指示が前記指示受付手段に受け付けられた場合、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報を前記データに付加して前記データ出力手段に出力させるものである。
【0012】
この構成では、データ保存手段に保存されているデータを出力させる指示が指示受付手段に受け付けられ、かつ、認証許可情報取得手段によって取得された認証許可情報が、認証許可情報記憶手段に記憶されている場合にのみ、制御手段が時刻認証情報取得手段に時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報をデータに付加してデータ出力手段に出力させるようにして、データ出力時における時刻認証情報の取得に制限を設けている。
【0013】
また、請求項5に記載の発明は、請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の時刻認証管理システムであって、前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データのデータ形式を用い、前記制御手段は、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されているか否かによって、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させるか否かを判断するものである。
【0014】
この構成では、データ受信手段が外部からデータを受信した場合に、認証許可情報取得手段が認証許可情報として当該受信したデータのデータ形式を用い、このデータ形式に応じて、制御手段が、時刻認証情報取得手段に時刻認証情報を取得させるか否かを判断するようにすることで、受信したデータのデータ形式に応じて、上記データの発信元に対して受信確認メッセージを送信するか否かを制御するようにしている。
【0015】
また、請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の時刻認証管理システムであって、外部からデータを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信されたデータの発信元に対して、受信確認メッセージを送信する受信確認メッセージ送信手段とを更に備え、
前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データ受信手段によって受信されたデータのデータ形式を用い、前記制御手段は、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されている場合に、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、前記受信確認メッセージ送信手段に当該時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを送信させるものである。
【0016】
この構成では、制御手段が、データ受信手段によって受信されたデータのデータ形式に応じて、当該データの発信元に時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを送信するか否かを選定するので、受信したデータ形式に応じて、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを送信するか否かを選択できるようになっている。
【0017】
また、請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の時刻認証管理システムであって、前記時刻認証情報が付加された受信確認メッセージを前記受信確認メッセージ送信手段に送信させる指示の入力を操作者から受け付ける送信指示受付手段を更に備え、
前記制御手段は、前記送信指示受付手段によって前記時刻認証情報が付加された受信確認メッセージの送信指示が受け付けられた場合、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式に拘わらず、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、前記時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを前記受信確認メッセージ送信手段に送信させるものである。
【0018】
この構成によれば、制御手段が、送信指示受付手段によって時刻認証情報の付加された受信確認メッセージを送信する指示が受け付けられた場合には、受信されたデータのデータ形式に拘わらず、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを受信確認メッセージ送信手段に送信させることによって、操作者が任意に、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを上記テータの発信元に送信するか否かを選定できるようになっている。
【0019】
また、請求項8に記載の発明は、請求項6又は請求項7に記載の時刻認証管理システムであって、前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データ形式に代えて、前記データ受信手段が受信したデータの発信元を示す情報を用いるものである。
【0020】
この構成では、データ受信手段に受信されたデータの発信元に応じて、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを返信するか否かを選定できるようになっている。
【0021】
また、請求項9に記載の発明は、請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の時刻認証管理システムであって、前記認証許可情報毎に、前記時刻認証情報取得手段が前記時刻認証情報を取得した回数をカウントする認証回数カウント手段を更に備え、
前記制御手段は、前記時刻認証情報取得手段に、前記認証回数カウント手段によってカウントされた認証回数に基づいて、予め定められた回数だけ前記時刻認証情報の取得を許可するものである。
【0022】
この構成では、制御手段が、認証回数カウント手段によってカウントされた認証回数に基づいて、予め定められた回数だけ、時刻認証情報取得手段による時刻認証情報の取得を認証許可情報毎に許可することによって、認証許可情報毎に回数の面から時刻認証情報の取得に制限を設けるようにしている。
【0023】
また、請求項10に記載の発明は、請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の時刻認証管理システムを備えた画像形成装置である。
【0024】
この構成によれば、上記請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の発明による作用を奏する画像形成装置とすることができる。
【発明の効果】
【0025】
請求項1に記載の発明によれば、データ処理を行う際に、時刻認証サービスを常時利用するのではなく、時刻認証情報の取得が許可された認証許可情報を有する操作者等が時刻認証情報を取得できるように制限を設けているので、時刻認証サービスを利用してデータを処理する際におけるコスト低減を図ることができる。
【0026】
また、真に時刻認証情報の取得が必要な操作者等に付随する認証許可情報を任所情報記憶手段に記憶させておくようにすれば、真に時刻認証情報の取得が必要な操作者又はデータ等に対してのみ、時刻認証情報の取得を認める管理も可能になるので、時刻認証サービスの利用を認めるか否かの管理の幅を拡げることができる。
【0027】
請求項2に記載の発明によれば、データの保存を行う際に、常時時刻認証サービスを利用するのではなく、時刻認証情報の取得が許可された認証許可情報を有する操作者等が、時刻認証情報の付加されたデータをデータ保存手段に保存できるように制限を設けているので、時刻認証情報を付加してデータを保存する際におけるコスト低減を図ることができる。
【0028】
請求項3に記載の発明によれば、保存されたデータに時刻認証情報が付加されたことを、操作者が確実に認識することができる。
【0029】
請求項4に記載の発明によれば、データの出力を行う際に、時刻認証サービスを常時利用するのではなく、データ保存手段に保存されているデータを出力させる指示が指示受付手段に受け付けられ、かつ、時刻認証情報の取得が許可された認証許可情報を有する操作者等が、時刻認証情報の付加されたデータを出力できるように制限を設けているので、時刻認証情報を付加してデータを出力する際におけるコスト低減を図ることができる。
【0030】
請求項5に記載の発明によれば、受信したデータのデータ形式に応じて、時刻認証情報の取得を許可するか否かを制御できるため、時刻認証サービスの利用を認めるか否かの管理の幅を更に拡げることができる。
【0031】
請求項6に記載の発明によれば、受信したデータのデータ形式に応じて、受信確認メッセージを送信するか否かを制御できるため、時刻認証サービスの利用を認めるか否かの管理の幅を更に拡げることができる。
【0032】
請求項7に記載の発明によれば、操作者が、時刻認証情報が付加された受信確認メッセージを送信する指示を入力することによって、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを受信確認メッセージ送信手段に送信させるか否かを任意に選択できる。
【0033】
請求項8に記載の発明によれば、データ受信手段に受信されたデータの発信元に応じて、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを返信するか否かを選定できるようになっている。
【0034】
請求項9に記載の発明によれば、時刻認証情報の取得を認証許可情報毎に予め定められた回数だけ許可することによって、認証許可情報毎に、回数の面から時刻認証情報の取得を制限し、時刻認証サービスの利用を認めるか否かの管理の幅を更に拡げることができる。
【0035】
請求項10に記載の発明によれば、上記請求項1乃至請求項9のいずれかの時刻認証管理システムが奏する効果を、画像形成装置としても得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、本発明の一実施形態に係る時刻認証管理システム及びこれが適用された画像形成装置について図面を参照して説明する。図1は本発明に係る時刻認証管理システムが適用された画像形成装置と、この画像形成装置に接続されたコンピュータとからなるネットワーク構成を示す図である。
【0037】
画像形成装置の一例としての複合機1は、コピー機能、ファクシミリ機能、プリンタ機能、スキャナ部機能等の機能を兼ね備えている。複合機1は、スキャナ部で読み取った原稿のデータを複合機1の内部記憶装置や、イントラネット等によって複合機1に接続されたサーバコンピュータSV2、各PC(パーソナルコンピュータ)31乃至34内の記憶部等に格納する。また、複合機1は、複合機1の内部記憶装置に記憶されているデータのプリントアウトや、サーバコンピュータSV2及び各PC31乃至34から送られてきたデータのプリントアウト等を行う。
【0038】
また、複合機1、サーバコンピュータSV2及び各PC31乃至34からなるネットワークは、ルータ4を介してインターネットに接続されている。これにより、複合機1は、インターネットを介して、時刻認証局(時刻認証機関)5にアクセスして、電子文書の作成日時等を電子的に証明する時刻認証サービスの提供を受けたり、外部のパーソナルコンピュータ等から送られてくる電子メールを、サーバコンピュータSV2を介して又は直接に受信することが可能となっている。
【0039】
図2は複合機1の内部構成の概略を示すブロック図である。複合機1は、装置の各部の動作を制御する制御ユニット100と、原稿画像を読み取るスキャナ等を有する画像読取部(データ入力受付手段の一例)110と、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータ等を一時的に記憶する画像メモリ120と、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータや、HDD170のデータ保存部172に保存されているデータ等を印刷する印刷部(確認メッセージ出力手段、データ出力手段)130とを有する。
【0040】
また、複合機1は、ファクシミリ通信に必要な諸機能を実行し、公衆回線を通じて外部のファクシミリ装置から画像データを受信するファクシミリ通信部140と、送信スタートキー、テンキー及び短縮番号キー等からなり、操作者から各種操作指示(印刷枚数等)や認証許可情報(後述)等の入力を受け付ける操作部20と、操作者への操作案内等を表示するLCD(Liquid Crystal Display)等からなる表示部(確認メッセージ出力手段、データ出力手段)26とを備える。なお、この表示部26がタッチパネル機能を備えることにより、操作者からの各種操作指示(認証許可情報の入力を含む)を受け付けるようにしてもよい。
【0041】
さらに、複合機1は、認証許可情報記憶部(認証許可情報記憶手段)171と、データ保存部(データ保存手段)172とを備えるHDD(ハードディスク)170を有している。データ保存部172は、画像読取部110によって読み取られたデータ等を蓄積する記憶装置である。認証許可情報記憶部171は、認証情報取得部101による時刻認証情報の取得が許可される1以上の認証許可情報を記憶するものである。なお、認証許可情報記憶部171は、認証許可情報として、複合機1で取り扱うデータのデータ形式が用いられる場合には、時刻認証情報の取得が許可される1以上のデータ形式を記憶する。
【0042】
制御ユニット100は、認証情報取得部101と、許可情報取得部102と、制御部103と、指示受付部104と、認証回数カウント部106とを備えている。
【0043】
認証情報取得部(時刻認証情報取得手段)101は、時刻認証局5からインターネットを介して時刻認証情報を取得するものである。この時刻認証情報とは、電子文書の作成日時等を電子的に証明する情報であり、タイムスタンプ等と呼ばれる場合もある。
【0044】
許可情報取得部(認証許可情報取得手段)102は、操作者によって操作部20や、表示部26のタッチパネル機能を用いて入力され、これら操作部20や表示部26から送られてくる認証許可情報を取得するものである。この認証許可情報は、例えば、複合機1の各操作者にそれぞれ与えられたID情報からなり、ある操作者について、認証情報取得部101による時刻認証局5からの時刻認証情報の取得を許可するか否かを判別するために用いられるものである。また、許可情報取得部102は、複合機1で取り扱うデータのデータ形式(ファクスデータ形式、電子メール形式等)を認証許可情報として用いる場合は、データ送受信部180,ファクシミリ通信部140等で受信したデータのデータ形式を判別し、判別したデータ形式を認証許可情報として取得する。
【0045】
制御部(制御手段)103は、複合機1全体の動作制御を司るものである。また、制御部103は、例えば、許可情報取得部102によって取得された認証許可情報が認証許可情報記憶部171に記憶されているか否かを判断し、認証許可情報が認証許可情報記憶部171に記憶されている場合には、認証情報取得部101に時刻認証局5から時刻認証情報を取得させる等の制御を行う。制御部103が行う各制御は、後述するフローチャートを用いた説明において逐次説明する。
【0046】
指示受付部(指示受付手段)104は、操作部20や表示部26のタッチパネル機能により、又はPC31乃至34により操作者から入力される、データの処理に関する指示(例えば、画像読取部110で読み取られたデータを保存又はプリントする指示、HDD170のデータ保存部172に記憶されているデータをプリントする指示等)を受け付けるものである。
【0047】
認証回数カウント部(認証回数カウント手段)106は、許可情報取得部102によって取得された認証許可情報(ID情報又はデータ形式等)毎に、認証情報取得部101が時刻認証情報を取得した回数をカウントするものである。
【0048】
さらに、複合機1は、画像読取部110が読み取った画像イメージデータ編集/加工(符/復号処理、拡大/縮小処理、圧縮/伸長処理)処理等を行う画像処理部190と、サーバコンピュータSV2、PC31乃至34との間で各種データのやりとりを行うために用いられるネットワークI/F28とを有している。
【0049】
データ送受信部180は、制御部103による制御の下、インターネットを介して時刻認証局5との間で、時刻認証情報の要求、及び、この要求に対して送られてくる時刻認証情報の送受信等を行うものである。さらに、データ送受信部180は、インターネットを介して、外部のパーソナルコンピュータ等との間で電子メールを送受信する機能を備える。なお、図2ではルータ4の図示を省略している。
【0050】
次に、複合機1による時刻認証管理の第1実施形態について説明する。図3は複合機1において、読み取った原稿のデータを保存する場合の時刻認証管理の第1実施形態を示すフローチャートである。画像読取部110で原稿画像が読み取られ(S1)、この読み取られた画像のデータをHDD170のデータ保存部172に保存する旨の指示が操作者から操作部20等に入力されると(S2でYES)、制御部103は、操作者に対してID情報の入力を促すメッセージを表示部26に表示させる(S3)。なお、上記原稿画像の読取後に、操作者からデータ保存の指示がない場合は(S2でNO)、処理を終了する。
【0051】
そして、操作者によってID情報が入力され、許可情報取得部102が当該ID情報を取得すると、制御部103によって、当該ID情報が、認証許可情報記憶部171に記憶されているID情報に一致するか、すなわち、時刻認証情報を取得することが許可されているID情報であるかが判断される(S4)。
【0052】
操作者によって入力されたID情報が、時刻認証情報の取得が許可されているものである場合(S4でYES)、制御部103は、これまでの当該ID情報を用いた時刻認証情報の取得回数が予め定められた回数(例えば、1ヶ月間に10回など)に達しているかを、認証回数カウント部106のカウント値に基づいて判断する(S5)。ここで、時刻認証情報の取得回数が上記予め定められた回数に達していない場合は(S5でNO)、認証情報取得部101が時刻認証局5に対して時刻認証情報の送信要求を送信する(S6)。
【0053】
そして、この送信要求に対応して時刻認証局5から送信されてくる時刻認証情報をデータ送受信部180が受信し、認証情報取得部101が取得すると(S7)、制御部103は、当該認証情報取得部101が取得した時刻認証情報を、S1で読み取られたデータに付加する(S8)。そして、当該ID情報についての時刻認証回数を認証回数カウント部106がカウントアップすると(S9)、制御部103は、時刻認証情報の付加されたデータをデータ保存部172に保存する(S10)。このデータ保存後、時刻認証が行われたことを操作者に認識させるために、制御部103は、当該データの保存時に時刻認証情報が行われたことを示す確認メッセージを、印刷部130にプリントさせる(S11)。この印刷部130のプリントに代えて、制御部103による表示部26への確認メッセージの表示等を、確認メッセージの出力としてもよい。
【0054】
なお、操作者によって入力されたID情報が、時刻認証情報の取得が許可されていないものである場合(S4でNO)、及び、時刻認証情報の取得回数が上記予め定められた回数に達している場合は(S5でYES)、時刻認証情報の取得は行われず、制御部103は、時刻認証情報を付加していない状態のデータをデータ保存部172に保存する。
【0055】
次に、複合機1による時刻認証管理の第2実施形態について説明する。図4は複合機1において、読み取った原稿のデータを保存する場合の時刻認証管理の第2実施形態を示すフローチャートである。第2実施形態は、HDD170のデータ保存部172に保存されているデータを読み出してプリントする際における時刻認証管理である。なお、上記図3と同様の処理は同符号を付して説明を省略する。
【0056】
HDD170のデータ保存部172に保存されているデータをプリントする旨の指示が操作者から操作部20等に入力されると(S21でYES)、制御部103は、操作者に対してID情報の入力を促すメッセージを表示部26に表示させる(S3)。そして、操作者によって入力されたID情報が、時刻認証情報の取得が許可されたものであり(S4でYES)、時刻認証情報の取得回数が予め定められた回数に達していない場合は(S5でNO)、認証情報取得部101は、時刻認証局5から時刻認証情報を取得し(S6,S7)、制御部103は、当該時刻認証情報を、S21で指示されたプリントの対象となるデータ読み取られたデータに付加する(S22)。そして、認証回数カウント部106が当該ID情報についての時刻認証回数をカウントアップした後(S9)、制御部103が時刻認証情報の付加されたデータを印刷部130にプリントさせる(S23)。
【0057】
これら第1及び第2実施形態のように、画像読取部110で読み取ったデータの保存や、データ保存部172に保存されているデータのプリントを行う際に、時刻認証サービスを常時利用するのではなく、時刻認証情報の取得が許可された認証許可情報を有する操作者が時刻認証情報を取得できるように制限を設けることによって、時刻認証サービスを利用してデータを処理する際におけるコスト低減が図られる。
【0058】
また、認証許可情報記憶部171に、真に時刻認証情報の取得が必要な操作者のID情報のみを記憶させておくことにより、真に時刻認証情報の取得が必要な操作者に対してのみ時刻認証情報の取得を認めるようにする管理も可能になるので、時刻認証サービスの利用を認めるか否かの管理の幅を拡げることができる。
【0059】
次に、複合機1による時刻認証管理の第3実施形態について説明する。図5は複合機1において、受信したデータについて受信確認メッセージを送信する場合の時刻認証管理の第3実施形態を示すフローチャートである。第3実施形態は、ファクスデータ受信時における時刻認証管理であり、許可情報取得部102が、データ送受信部180及びファクシミリ通信部140(データ受信手段)によって受信されたデータのデータ形式を判別し、このデータ形式を認証許可情報として用いるようになっている。なお、上記図3又は図4と同様の処理は説明を省略する。
【0060】
データ送受信部180又はファクシミリ通信部140が外部からデータを受信すると(S31でYES)、許可情報取得部102が当該受信されたデータのデータ形式を判別する(S32)。
【0061】
許可情報取得部102によって判別されたデータ形式がファクスデータ形式である場合(S32でファクス)、制御部103は、認証回数カウント部106が示すカウント値に基づいて、ファクスデータ受信時に時刻認証情報を取得した回数を調べる(S33)。
【0062】
ファクスデータ受信時の時刻認証情報取得回数が、予め定められている回数(例えば、1ヶ月間に100回など)に達している場合(S33でYES)、制御部103は、時刻認証情報の取得を行わせることなく、時刻認証情報を付加しない受信確認メッセージ(ファクスデータを受信したことを示すメッセージ)を作成し(S42)、作成した受信確認メッセージをファクシミリ通信部140から当該ファクスデータの発信元にファクス送信させる(S40)。その後、制御部103は、受信したファクスデータを印刷部130にプリントさせる(S41)。なお、S40とS41の処理は、どちらを先に行ってもよい。
【0063】
ファクスデータ受信時の時刻認証情報取得回数が、予め定められている回数に達していない場合は(S33でNO)、認証情報取得部101が、データ送受信部180から時刻認証局5に対して時刻認証情報の送信要求を送信する(S36)。この送信要求に対応して時刻認証局5から送信されてくる時刻認証情報をデータ送受信部180が受信し、認証情報取得部101が取得すると(S37)、制御部103は、当該認証情報取得部101が取得した時刻認証情報を付加して受信確認メッセージを作成し(S38)、認証回数カウント部106はファクスデータ受信時の時刻認証回数をカウントアップする(S39)。この後、制御部103は、時刻認証情報が付加されたデータをファクシミリ通信部140から当該ファクスデータの発信元に送信させ(S40)、受信したファクスデータを印刷部130にプリントさせる(S41)。
【0064】
許可情報取得部102によって判別されたデータ形式が電子メール形式である場合(S32でメール)、制御部103は、操作者による操作部20等の操作により受信確認メッセージをデータ発信元に送信するように設定されているかを判別する(S43)。受信確認メッセージをデータ発信元に送信する設定がされていない場合は(S43でNO)、制御部103は、時刻認証情報の取得を行わせることなく、時刻認証情報を付加しない受信確認メッセージ(電子メールを受信したことを示すメッセージ)を作成し(S50)、作成した受信確認メッセージを、データ送受信部180から、当該受信した電子メールの発信元に電子メールで送信させる(S49)。
【0065】
一方、受信確認メッセージをデータ発信元に送信する設定がされている場合は(S44でYES)、電子メール受信時の時刻認証情報取得回数が、予め定められている回数に達しているかを制御部103が判別する(S44)。電子メール受信時の時刻認証情報取得回数が予め定められている回数に達している場合は(S44でYES)、制御部103が、時刻認証情報を付加しない受信確認メッセージを作成し(S50)、作成した受信確認メッセージを、データ送受信部180から、当該受信した電子メールの発信元に電子メールで送信させる(S49)。
【0066】
電子メール受信時の時刻認証情報取得回数が、予め定められている回数に達していない場合(S44でNO)、認証情報取得部101が、データ送受信部180を介して、時刻認証局5に対して時刻認証情報の送信要求を送信する(S45)。この送信要求に対応して時刻認証局5から送信されてくる時刻認証情報をデータ送受信部180が受信し、認証情報取得部101が取得すると(S46)、制御部103は、当該認証情報取得部101が取得した時刻認証情報を付加して受信確認メッセージを作成し(S47)、認証回数カウント部106が電子メール受信時の時刻認証回数をカウントアップする(S48)。この後、制御部103は、時刻認証情報が付加されたデータを、データ送受信部180から当該電子メールの発信元に送信させる(S49)。
【0067】
このように処理を行うことによって、複合機1は、外部から受信したデータの形式に応じて、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを送信するか否かを制御できる。また、操作者が、時刻認証情報の付加された受信確認メッセージをデータ発信元に送信する設定を行うことによって、時刻認証情報を付加した受信確認メッセージをデータ発信元に返信するか否かを、操作者の任意で選択することができる。
【0068】
なお、この第3実施形態では、受信確認メッセージをデータ発信元に返信するようになっているが、予め設定しておいた別の送信先に受信確認メッセージを送信するようにしてもよい。また、受信確認メッセージに、受信したデータの少なくとも一部を付加して返信するようにしてもよい。
【0069】
また、S31のデータ受信処理では、ファクス又は電子メールが対象となっているが、画像読取部110によって読み取られた原稿のデータ(例えば、スキャンデータ)、ネットワークI/F(データ受信手段)28を介して外部PCから受信したプリントアウト用のデータを対象とし、それぞれのデータ形式に基づいて、時刻認証情報の取得を行うか否かを決定するようにしてもよい。
【0070】
また、全てのファクスデータに対して受信確認メッセージを返信するようにしているが、受信したファクスデータに付随する所謂Fコード等の情報や、受信した電子メールのヘッダ情報に基づいて、受信確認メッセージを返信するか否かを判別して、所定の者だけに受信確認メッセージを返信するようにしてもよい。
【0071】
本発明は上記実施の形態の構成に限られず種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態では、本発明に係る時刻認証管理システムを複合機1に適用した実施形態について説明しているが、これは本発明に係る時刻認証管理システムを複合機1に適用することに限定する意図を示すものではなく、本発明に係る時刻認証管理システムを別の機器に適用することも可能である。
【0072】
また、上記図1乃至図5で示した構成及び処理は、あくまでも一例であり、本発明は上記に示した構成及び処理に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】本発明に係る時刻認証管理システムが適用された画像形成装置と、この画像形成装置に接続されたコンピュータとからなるネットワーク構成を示す図である。
【図2】図1に示した複合機の内部構成の概略を示すブロック図である。
【図3】図1に示した複合機において、読み取った原稿のデータを保存する場合の時刻認証管理の第1実施形態を示すフローチャートである。
【図4】図1に示した複合機において、読み取った原稿のデータを保存する場合の時刻認証管理の第2実施形態を示すフローチャートである。
【図5】図1に示した複合機において、受信したデータについて受信確認メッセージを送信する場合の時刻認証管理の第3実施形態を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0074】
1 複合機
5 時刻認証局
20 操作部
26 表示部
28 ネットワークI/F
100 制御ユニット
101 認証情報取得部
102 許可情報取得部
103 制御部
104 指示受付部
106 認証回数カウント部
110 画像読取部
130 印刷部
140 ファクシミリ通信部
170 HDD
171 認証許可情報記憶部
172 データ保存部
180 データ送受信部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
時刻を認証する時刻認証機関からネットワークを介して時刻認証情報を取得する時刻認証情報取得手段と、
前記時刻認証情報取得手段による前記時刻認証情報の取得が許可される1以上の認証許可情報を記憶する認証許可情報記憶手段と、
外部からの入力に基づいて前記認証許可情報を取得する認証許可情報取得手段と、
前記認証許可情報取得手段によって取得された認証許可情報が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されている場合に、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させる制御手段と
を備えた時刻認証管理システム。
【請求項2】
データの入力を受け付けるデータ入力受付手段と、
前記データ入力受付手段によって受け付けられたデータを保存するデータ保存手段と、
前記データの処理に関する指示を受け付ける指示受付手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記データ保存手段に前記データを保存させる指示が前記指示受付手段に受け付けられた場合、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報を前記データに付加して前記データ保存手段に保存する請求項1に記載の時刻認証管理システム。
【請求項3】
前記時刻認証情報の付加された前記データが前記データ保存手段に保存されたことを示す確認メッセージを出力する確認メッセージ出力手段を更に備え、
前記制御手段は、前記時刻認証情報が付加された前記データを前記データ保存手段に保存した場合に、前記確認メッセージ出力手段に確認メッセージを出力させる請求項2に記載の時刻認証管理システム。
【請求項4】
データを保存するデータ保存手段と、
前記データ保存手段に保存されているデータを出力するデータ出力手段と、
前記データの処理に関する指示を受け付ける指示受付手段とを更に備え、
前記制御手段は、前記データ保存手段に保存されているデータを出力させる指示が前記指示受付手段に受け付けられた場合、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、当該取得した時刻認証情報を前記データに付加して前記データ出力手段に出力させる請求項1に記載の時刻認証管理システム。
【請求項5】
前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データのデータ形式を用い、前記制御手段は、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されているか否かによって、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させるか否かを判断する請求項2乃至請求項4のいずれかに記載の時刻認証管理システム。
【請求項6】
外部からデータを受信するデータ受信手段と、
前記データ受信手段によって受信されたデータの発信元に対して、受信確認メッセージを送信する受信確認メッセージ送信手段とを更に備え、
前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データ受信手段によって受信されたデータのデータ形式を用い、前記制御手段は、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式が、前記認証許可情報記憶手段に記憶されている場合に、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、前記受信確認メッセージ送信手段に当該時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを送信させる請求項1に記載の時刻認証管理システム。
【請求項7】
前記時刻認証情報が付加された受信確認メッセージを前記受信確認メッセージ送信手段に送信させる指示の入力を操作者から受け付ける送信指示受付手段を更に備え、
前記制御手段は、前記送信指示受付手段によって前記時刻認証情報が付加された受信確認メッセージの送信指示が受け付けられた場合、前記認証許可情報取得手段によって受け付けられた前記データ形式に拘わらず、前記時刻認証情報取得手段に前記時刻認証情報を取得させ、前記時刻認証情報を付加した受信確認メッセージを前記受信確認メッセージ送信手段に送信させる請求項6に記載の時刻認証管理システム。
【請求項8】
前記認証許可情報取得手段は、前記認証許可情報として、前記データ形式に代えて、前記データ受信手段が受信したデータの発信元を示す情報を用いる請求項6又は請求項7に記載の時刻認証管理システム。
【請求項9】
前記認証許可情報毎に、前記時刻認証情報取得手段が前記時刻認証情報を取得した回数をカウントする認証回数カウント手段を更に備え、
前記制御手段は、前記時刻認証情報取得手段に、前記認証回数カウント手段によってカウントされた認証回数に基づいて、予め定められた回数だけ前記時刻認証情報の取得を許可する請求項1乃至請求項8のいずれかに記載の時刻認証管理システム。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれかに記載の時刻認証管理システムを備えた画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−140966(P2006−140966A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−331097(P2004−331097)
【出願日】平成16年11月15日(2004.11.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】